特許第6817096号(P6817096)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6817096
(24)【登録日】2020年12月28日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】消防用ホース
(51)【国際特許分類】
   A62C 33/00 20060101AFI20210107BHJP
   F16L 11/02 20060101ALI20210107BHJP
【FI】
   A62C33/00 C
   F16L11/02
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-19318(P2017-19318)
(22)【出願日】2017年2月6日
(65)【公開番号】特開2018-126181(P2018-126181A)
(43)【公開日】2018年8月16日
【審査請求日】2019年10月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000215822
【氏名又は名称】帝国繊維株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】得能 進
【審査官】 村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−167343(JP,A)
【文献】 特開2005−324646(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0125470(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 2/00−99/00
F16L 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホース長手方向に配された経糸に対してホース周方向に配された緯糸を交錯させて筒状に製織されたジャケットと、該ジャケットに内張りされたゴム又は合成樹脂からなる被覆層とを備えた消防用ホースにおいて、
前記緯糸がマルチフィラメント糸からなり、前記緯糸の密度が66本/10cm〜95本/10cmであり、下記計算式(1)及び(2)により求められる前記経糸のカバーファクターCF1と前記緯糸のカバーファクターCF2の合計が4,000〜5,500であることを特徴とする消防用ホース。
CF1=N1×√D1 ・・・(1)
CF2=N2×√D2 ・・・(2)
ここで、N1:経糸の密度(本/2.54cm)、N2:緯糸の密度(本/2.54cm)、D1:経糸の繊度(dtex)、D2:緯糸の繊度(dtex)である。
【請求項2】
前記緯糸の繊度が200,000dtex/10cm〜500,000dtex/10cmであることを特徴とする請求項1に記載の消防用ホース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状に製織されたジャケットと、該ジャケットに内張りされたゴム又は合成樹脂からなる被覆層とを備えた消防用ホースに関し、更に詳しくは、取り扱い性を悪化させることなく圧力損失を大幅に低減することを可能にした消防用ホースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、災害現場で使用される消防用ホースは、ホース長手方向に配された経糸に対してホース周方向に配された緯糸を交錯させて筒状に製織されたジャケットと、該ジャケットに内張りされたゴム又は合成樹脂からなる被覆層とから構成されている。
【0003】
このような消防用ホースにおいて、経糸は主として外傷からホース自体を守る役割を果たし、経糸の密度は緯糸の密度よりも高く、糸重量比も経糸の方が高いことが一般的である。一方、緯糸は主として耐圧性を確保する役割を果たし、消防用ホースを真っ直ぐにした状態で使用圧の少なくとも2.0倍まで耐えることが求められる。そのため、従来の消防用ホースでは、例えば、総繊度が7,700dtex程度の太い緯糸が使用され、その緯糸の密度が44本/10cm程度に設定されている。また、緯糸の密度を必要以上に高めた場合、消防用ホースの取り扱い性が悪くなる傾向がある。
【0004】
ところで、火災現場においては、複数本の消防用ホースが互いに連結され、場合によっては、連結された消防用ホースが数百メートルもの長さになった状態で送水作業を行うことがあるため、通水時の圧力損失を低減することが求められている。
【0005】
これに対して、筒状に製織されたジャケットと、該ジャケットに内張りされたゴム又は合成樹脂からなる被覆層とを備えた消防用ホースにおいて、ジャケットを綾織物とし、その綾目がジャケットの内側に表れるような構成を採用することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、ジャケットを綾織物とした場合であっても、ホース内面には綾目に基づく凹凸が形成されるため、通水時の圧力損失を必ずしも十分に低減することができないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014−180381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、取り扱い性を悪化させることなく圧力損失を大幅に低減することを可能にした消防用ホースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明の消防用ホースは、ホース長手方向に配された経糸に対してホース周方向に配された緯糸を交錯させて筒状に製織されたジャケットと、該ジャケットに内張りされたゴム又は合成樹脂からなる被覆層とを備えた消防用ホースにおいて、
前記緯糸がマルチフィラメント糸からなり、前記緯糸の密度が66本/10cm〜95本/10cmであり、下記計算式(1)及び(2)により求められる前記経糸のカバーファクターCF1と前記緯糸のカバーファクターCF2の合計が4,000〜5,500であることを特徴とするものである。
CF1=N1×√D1 ・・・(1)
CF2=N2×√D2 ・・・(2)
ここで、N1:経糸の密度(本/2.54cm)、N2:緯糸の密度(本/2.54cm)、D1:経糸の繊度(dtex)、D2:緯糸の繊度(dtex)である。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、筒状に製織されたジャケットと、該ジャケットに内張りされたゴム又は合成樹脂からなる被覆層とを備えた消防用ホースにおいて、緯糸の密度が66本/10cm〜95本/10cmに設定し、ジャケットの組織により形成される凹凸の凸部分がジャケット内面に密集するような構造を採用することにより、ジャケットの組織に起因してホース内面に形成される凹凸を可及的に小さくし、通水時の圧力損失を大幅に低減することができる。また、経糸のカバーファクターCF1と緯糸のカバーファクターCF2の合計を4,000〜5,500の範囲に設定することにより、消防用ホースの取り扱い性を良好に維持することができる。
【0010】
本発明において、緯糸の繊度は200,000dtex/10cm〜500,000dtex/10cmであることが好ましい。このような緯糸の繊度を採用することにより、消防用ホースとして良好な耐圧性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態からなる消防用ホースを示す平面図である。
図2図1の消防用ホースの長手方向の一部を拡大して示す平面図である。
図3図2のX−X矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。図1図3は本発明の実施形態からなる消防用ホースを示すものである。
【0013】
図1に示すように、本実施形態の消防用ホースは、筒状のホース本体1と、該ホース本体の両端部に取り付けられた筒先金具2(オス金具)及び水元金具(メス金具)3とを備えている。図2及び図3に示すように、ホース本体1は、ホース長手方向に配された経糸4とホース周方向に配された緯糸5とを互いに交錯させて筒状に製織されたジャケット6と、そのジャケット6に内張りされたゴム又は合成樹脂からなる被覆層7とから構成されている。被覆層7の厚さは例えば0.20mm〜1.00mmの範囲に設定される。
【0014】
図2において、ジャケット6を構成する緯糸5は2本の経糸4の外側と2本の経糸4の内側とを交互に交錯するように製織されているが、その他、緯糸5が1本の経糸4の外側と1本の経糸4の内側とを交互に交錯するように製織されていても良い。また、ジャケット6の組織は平織であっても良く、綾織りであっても良い。
【0015】
ジャケット6を構成する経糸4としては、紡績糸やマルチフィラメント糸(嵩高加工糸を含む)を使用することができる。一方、ジャケット6を構成する緯糸5としては、紡績糸やマルチフィラメント糸(嵩高加工糸を含む)やモノフィラメント糸を使用することができる。経糸4及び緯糸5の材質は特に限定されるものではないが、例えばポリエステル糸を使用することができる。
【0016】
上述した消防用ホースにおいて、緯糸5の密度は60本/10cm以上、より好ましくは66本/10cm〜95本/10cmの範囲に設定されている。ここで言う緯糸5の密度とは、ホース長さ10cm当たりの緯糸5の配置本数である。
【0017】
このように緯糸5の密度を高く設定し、ジャケット6の組織により形成される凹凸の凸部分がジャケット6の内面に密集するような構造を採用することにより、ジャケット6の組織に起因してホース内面(即ち、被覆層7の内面)に形成される凹凸を可及的に小さくし、通水時の圧力損失を大幅に低減することができる。例えば、本発明の消防用ホースによれば、従来の消防用ホースに比べて通水時の圧力損失を20%以上低減することが可能になる。そのため、火災現場において、複数本の消防用ホースが互いに連結された状態で送水作業を行う場合であっても、低圧力損失の特性に基づいて消火作業を円滑に行うことができる。
【0018】
また、上述した消防用ホースにおいて、下記計算式(1)及び(2)により求められる経糸4のカバーファクターCF1と緯糸5のカバーファクターCF2の合計は4,000〜5,500の範囲に設定されている。
CF1=N1×√D1 ・・・(1)
CF2=N2×√D2 ・・・(2)
ここで、N1:経糸4の密度(本/2.54cm)、N2:緯糸5の密度(本/2.54cm)、D1:経糸4の繊度(dtex)、D2:緯糸5の繊度(dtex)である。
【0019】
このように経糸4のカバーファクターCF1と緯糸5のカバーファクターCF2の合計を4,000〜5,500の範囲に設定することにより、消防用ホースの取り扱い性を良好に維持することができる。ここで、経糸4と緯糸5のカバーファクターの合計(CF1+CF2)が4,000よりも小さいと消防用ホースとしての耐久性が低下し、逆に5,500よりも大きいと消防用ホースとしての柔軟性が低下し、火災現場での作業性や使用後の収納性が悪くなる。特に、経糸4のカバーファクターCF1は2,900〜4,000の範囲に設定し、緯糸5のカバーファクターCF2は1,100〜1,500の範囲に設定することが好ましい。
【0020】
上記消防用ホースにおいて、緯糸5の繊度は200,000dtex/10cm〜500,000dtex/10cmであると良い。ここで言う緯糸5の繊度とは、ホース長さ10cm当たりの緯糸5の配置本数と緯糸5の1本当たりの繊度との積である。緯糸5の繊度を上記範囲に設定することにより、消防用ホースとして良好な耐圧性を確保することができる。ここで、緯糸5の繊度が200,000dtex/10cmよりも小さいと消防用ホースとしての耐圧性を確保することが難しくなり、逆に500,000dtex/10cmよりも大きくなると前述のカバーファクターを満足することが難しくなる。なお、緯糸5の1本当たりの繊度は2,200dtex〜7,700dtexの範囲にあることが好ましい。
【実施例】
【0021】
筒状に製織されたジャケットと、該ジャケットに内張りされた被覆層とを備えた消防用ホースにおいて、表1の仕様に基づいて従来例及び実施例1,2のホースをそれぞれ製作した。本明細書において、実施例1は参考例である。
【0022】
これら従来例及び実施例1,2のホースについて、流量を600L/分としたときの圧力損失(MPa/20m)を測定した。その結果を表1に併せて示す。
【0023】
【表1】
【0024】
表1に示すように、実施例1のホースでは圧力損失が従来例に対して25%改善されていた。また、実施例2のホースでは圧力損失が従来例に対して33%改善されていた。そして、実施例1,2のホースはいずれも耐圧性、耐久性、柔軟性の点において従来例に比べて遜色がないものであった。
【符号の説明】
【0025】
1 ホース本体
2 筒先金具
3 水元金具
4 経糸
5 緯糸
6 ジャケット
7 被覆層
図1
図2
図3