(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の測定ユニットと、該複数の測定ユニットに共通の整準ユニットとを有し、該整準ユニットは上面に凹嵌合部を有し、前記複数の測定ユニットはそれぞれ前記凹嵌合部に嵌脱可能な凸嵌合部を有し、前記複数の測定ユニットは前記整準ユニットに対して交換可能であり、各測定ユニットを前記整準ユニットに取付けた状態で、それぞれ同一の測定対象を測定し、各測定ユニット間のオフセット量を測定し、該オフセット量に基づき各測定ユニットで測定した測定値を補正、座標変換する様構成した測量システム。
前記複数の測定ユニットのうち1つの測定ユニットで前記測定対象を測定した際の水平角と、前記複数の測定ユニットのうち他の1つの測定ユニットで前記測定対象を測定した際の水平角との差分から、直交する水平2方向のオフセットを行う方位角オフセット量を測定する請求項1に記載の測量システム。
前記複数の測定ユニットのうち1つの測定ユニットで前記測定対象を測定した際の斜距離と鉛直角とから前記1つの測定ユニットに対する前記測定対象の高さを測定し、前記複数の測定ユニットのうち他の1つの測定ユニットで前記測定対象を測定した際の斜距離と鉛直角とから前記他の1つの測定ユニットに対する前記測定対象の高さを測定し、2つの高さの差分から鉛直方向のオフセットを行う機械高オフセット量を測定する請求項1又は請求項2に記載の測量システム。
前記複数の測定ユニットはそれぞれ撮像部を有し、該撮像部は基準位置に設けられたターゲットを含む画像を撮像し、撮像された画像内の前記ターゲットを基に、該ターゲットを検出する請求項1〜請求項4のうちいずれか1項に記載の測量システム。
前記複数の測定ユニットのうち1つはトータルステーションであり、該トータルステーションは水平回転軸を中心に水平回転する托架部と、鉛直回転軸を中心に鉛直回転する望遠鏡部と、測距光を射出して測定対象物迄の距離を測定する距離測定部とを有し、前記望遠鏡部により前記測定対象物を視準し、該測定対象物迄の距離を測定する請求項1〜請求項5のうちいずれか1項に記載の測量システム。
前記複数の測定ユニットのうち1つはレーザスキャナであり、該レーザスキャナは水平回転軸を中心に水平回転する托架部と、鉛直回転軸を中心に鉛直回転する走査鏡と、測距光を射出して測定対象物迄の距離を測定する距離測定部とを有し、前記走査鏡を介して測距光を回転照射して前記測定対象物を走査し、該測定対象物の点群データを取得する請求項1〜請求項5のうちいずれか1項に記載の測量システム。
前記複数の測定ユニットのうち1つはスポットレーザスキャナであり、該スポットレーザスキャナは測距光を射出して測定対象物迄の距離を測定する距離測定部と、測距光の光軸と前記測定対象物で反射された反射測距光の光軸を同一の偏角、同一の方向で偏向する光軸偏向部を有し、該光軸偏向部は重なり合う一対の光学プリズムで構成され、該光学プリズムはそれぞれ独立して回転可能である請求項1〜請求項5のうちいずれか1項に記載の測量システム。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0021】
先ず、
図1〜
図3に於いて、本発明の実施例に係る測量システムについて説明する。
【0022】
測量システム1は、三脚56(
図4(A)、
図4(B)参照)に取付けられた整準ユニット2、該整準ユニット2に着脱される複数の測量装置、例えば第1測定ユニット(後述するレーザスキャナ3)、第2測定ユニット(後述するトータルステーション24)から構成される。又、前記第1測定ユニットと前記第2測定ユニットは、それぞれ前記整準ユニット2と嵌脱可能な固定部(後述)を有している。
【0023】
図1は、前記整準ユニット2に前記第1測定ユニットとしての前記レーザスキャナ3を取付けた状態を示している。
【0024】
該レーザスキャナ3は、固定部4と、托架部5と、水平回転軸6と、水平回転軸受7と、水平回転駆動部としての水平回転モータ8と、水平角検出部としての水平角エンコーダ9と、鉛直回転軸11と、鉛直回転軸受12と、鉛直回転駆動部としての鉛直回転モータ13と、鉛直角検出部としての鉛直角エンコーダ14と、鉛直回転部である走査鏡15と、第1通信部16と、演算制御部17と、記憶部18と、第1距離測定部19等を具備している。
【0025】
前記固定部4の下面には、該固定部4よりも径が小さい円筒状の嵌合筒部21が突設されている。又、該嵌合筒部21の一部には、該嵌合筒部21の外周面より径方向に突出する嵌合凸部22が形成されている。前記嵌合筒部21と前記嵌合凸部22を介して、前記レーザスキャナ3が芯合せされ、回転方向の位置合せがされた状態で、前記整準ユニット2に嵌合し、取付けられる。尚、前記嵌合筒部21と前記嵌合凸部22とで前記レーザスキャナ3の凸嵌合部が構成される。
【0026】
前記水平回転軸受7は前記固定部4に固定される。前記水平回転軸6は鉛直な軸心6aを有し、前記水平回転軸6は前記水平回転軸受7に回転自在に支持される。又、前記托架部5は前記水平回転軸6に支持され、前記托架部5は水平方向に前記水平回転軸6と一体に回転する様になっている。
【0027】
前記水平回転軸受7と前記托架部5との間には前記水平回転モータ8が設けられ、該水平回転モータ8は前記演算制御部17により制御される。該演算制御部17は、前記水平回転モータ8により、前記托架部5を前記軸心6aを中心に回転させる。
【0028】
前記托架部5の前記固定部4に対する相対回転角は、前記水平角エンコーダ9によって検出される。該水平角エンコーダ9からの検出信号は前記演算制御部17に入力され、該演算制御部17により水平角データが演算される。該演算制御部17は、前記水平角データに基づき、前記水平回転モータ8に対するフィードバック制御を行う。
【0029】
又、前記托架部5には、水平な軸心11aを有する前記鉛直回転軸11が設けられている。該鉛直回転軸11は、前記鉛直回転軸受12を介して回転自在となっている。尚、前記軸心6aと前記軸心11aの交点が、測距光の射出位置であり、前記レーザスキャナ3の座標系の原点となっている。
【0030】
前記托架部5には凹部23が形成されている。前記鉛直回転軸11は、一端部が前記凹部23内に延出し、前記一端部に前記走査鏡15が固着され、該走査鏡15は前記凹部23に収納されている。又、前記鉛直回転軸11の他端部には、前記鉛直角エンコーダ14が設けられている。
【0031】
前記鉛直回転軸11に前記鉛直回転モータ13が設けられ、該鉛直回転モータ13は前記演算制御部17に制御される。該演算制御部17は、前記鉛直回転モータ13により前記鉛直回転軸11を回転させ、前記走査鏡15は前記軸心11aを中心に回転される。
【0032】
前記走査鏡15の回転角は、前記鉛直角エンコーダ14によって検出され、検出結果は前記演算制御部17に入力される。該演算制御部17は、検出結果に基づき前記走査鏡15の鉛直角データを演算し、該鉛直角データに基づき前記鉛直回転モータ13に対するフィードバック制御を行う。
【0033】
前記第1通信部16は、無線や有線等所要の手段で後述する第2測定ユニットとしての前記トータルステーション24の第2通信部25(後述)との通信が可能である。前記第1通信部16と前記第2通信部25を介して、水平角データや鉛直角データ、測定結果、後述する方位角オフセット量、機械高オフセット量等について、前記レーザスキャナ3と前記トータルステーション24との間で各種データの授受が可能となっている。
【0034】
又、前記演算制御部17で演算された水平角データ、鉛直角データや測定結果、或は前記トータルステーション24との方位角オフセット量(後述)、機械高オフセット量(後述)は、前記記憶部18に保存される。該記憶部18には、HDD、CD、メモリカード等種々の記憶手段が用いられる。該記憶部18は、前記托架部5に対して着脱可能であってもよく、或は前記第1通信部16を介して外部記憶装置や外部データ処理装置にデータを送出可能としてもよい。
【0035】
次に、前記第1距離測定部19について説明する。
【0036】
発光素子26からパルス光の測距光が射出される。測距光は、投光光学系27、ビームスプリッタ28を介して射出される。該ビームスプリッタ28から射出される測距光の光軸は、前記軸心11aと合致しており、測距光は前記走査鏡15によって直角に偏向される。該走査鏡15が前記軸心11aを中心に回転することで、測距光は前記軸心11aと直交し、且つ前記軸心6aを含む平面内で回転(走査)される。
【0037】
測定対象物で反射された測距光(以下反射測距光)は、前記走査鏡15に入射し、該走査鏡15で偏向される。該走査鏡15で偏向された反射測距光は、前記ビームスプリッタ28、受光光学系29を経て受光素子31で受光される。
【0038】
前記第1距離測定部19は、前記発光素子26の発光タイミングと、前記受光素子31の受光タイミングの時間差(即ち、パルス光の往復時間)に基づき、測距光の1パルス毎に測距を実行する(Time Of Flight)。
【0039】
尚、前記第1距離測定部19には内部参照光学系(図示せず)が設けられ、該内部参照光学系で受光した測距光の受光タイミングと、反射測距光の受光タイミングとの時間差により測距を行うことで、より高精度の測距が可能となる。
【0040】
前記走査鏡15の鉛直方向の回転と、前記托架部5の水平方向の回動との協働により、測距光が2次元に走査される。又、パルス光毎の測距により測距データが得られ、各パルス光毎に前記鉛直角エンコーダ14、前記水平角エンコーダ9により鉛直角、水平角を検出することで、鉛直角データ、水平角データが取得できる。鉛直角データ、水平角データ、測距データとにより測定対象物に対応する3次元の点群データが取得できる。
【0041】
次に、
図2に於いて、前記整準ユニット2について説明する。
【0042】
該整準ユニット2は、前記三脚56に取付けられる基盤部32と、前記測量システム1を整準する為の整準ネジ33と、前記レーザスキャナ3又は前記トータルステーション24が択一的に装着される台座部34とを含む。
【0043】
該台座部34の上面には、円筒状の嵌合穴35が穿設され、該嵌合穴35は前記嵌合筒部21と嵌合可能となっている。又、前記嵌合穴35の周縁の一部が欠切されて欠切凹部36が形成され、該欠切凹部36は前記嵌合凸部22と嵌合可能となっている。尚、前記嵌合穴35と前記欠切凹部36とで凹嵌合部が構成される。
【0044】
前記整準ユニット2に前記レーザスキャナ3を装着した際には、前記嵌合筒部21と前記嵌合穴35との嵌合により前記レーザスキャナ3が前記整準ユニット2と芯合せされ、前記嵌合凸部22と前記欠切凹部36との嵌合により前記レーザスキャナ3が回転方向に位置決めされる。又この時、前記整準ユニット2の軸心と前記軸心6aとが合致する様になっている。
【0045】
図3は、前記整準ユニット2に第2測定ユニットとしての前記トータルステーション24を取付けた状態を示している。
【0046】
該トータルステーション24は、固定部37と、托架部38と、水平回転軸39と、水平回転軸受41と、水平回転駆動部としての水平回転モータ42と、水平角検出部としての水平角エンコーダ43と、鉛直回転軸44と、鉛直回転軸受45と、鉛直回転駆動部としての鉛直回転モータ46と、鉛直角検出部としての鉛直角エンコーダ47と、鉛直回転部である望遠鏡部48と、前記第2通信部25と、演算制御部49と、記憶部51等を具備している。
【0047】
前記固定部37の下面には、該固定部37よりも径が小さい円筒状の嵌合筒部52と、該嵌合筒部52の外周面より径方向に突出する嵌合凸部53とが形成されている。前記嵌合筒部52、前記嵌合凸部53は、前記レーザスキャナ3の前記嵌合筒部21、前記嵌合凸部22と同一の形状をしており、前記嵌合穴35、前記欠切凹部36に対して嵌脱可能となっている。尚、前記嵌合筒部52と前記嵌合凸部53とで前記トータルステーション24の凸嵌合部が構成される。
【0048】
前記嵌合筒部52と前記嵌合穴35とが嵌合し、前記嵌合凸部53と前記欠切凹部36とが嵌合することで、前記トータルステーション24が芯合せされ、回転方向に位置決めされた状態で、前記整準ユニット2に取付けられる。
【0049】
尚、測定ユニット間の構造上の相違、或は各測定ユニット間の個体差により、基準光軸(水平角が0°、高低角(鉛直角)が0°の時の光軸)は水平方向の相違、或は高低差を有している。この差をオフセット量と称する。
【0050】
前記水平回転軸受41は、前記固定部37に固定される。前記水平回転軸39は鉛直な軸心39aを有し、前記水平回転軸受41に回転自在に支持される。又、前記托架部38は、前記水平回転軸39に支持され、前記托架部38は前記水平回転軸39と一体に水平方向に回転する様になっている。
【0051】
前記水平回転軸受41と前記托架部38との間には前記水平回転モータ42が設けられ、該水平回転モータ42は前記演算制御部49によって制御される。該演算制御部49は、前記水平回転モータ42により、前記托架部38を前記軸心39aを中心に回転させる。
【0052】
前記托架部38の前記固定部37に対する相対回転角は、前記水平角エンコーダ43によって検出される。該水平角エンコーダ43からの検出信号は、前記演算制御部49に入力され、該演算制御部49により水平角データが演算される。該演算制御部49は、前記水平角データに基づき、前記水平回転モータ42のフィードバック制御を行う。
【0053】
又、前記托架部38には凹部54が形成されている。前記托架部38に前記鉛直回転軸受45を介して前記鉛直回転軸44が回転自在に設けられる。
【0054】
該鉛直回転軸44は、水平な軸心44aを有している。前記鉛直回転軸44の一端部は前記凹部54内に延出し、前記一端部に前記望遠鏡部48が固着され、該望遠鏡部48は前記凹部54に収納されている。又、前記鉛直回転軸44の他端部には、前記鉛直角エンコーダ47が設けられている。尚、前記軸心39aと前記軸心44aの交点が、測距光の射出位置であり、前記トータルステーション24の座標系の原点となっている。
【0055】
前記鉛直回転軸44に前記鉛直回転モータ46が設けられ、該鉛直回転モータ46は前記演算制御部49に制御される。該演算制御部49は、前記鉛直回転モータ46により前記鉛直回転軸44を回転し、前記望遠鏡部48は前記軸心44aを中心に回転される。
【0056】
前記望遠鏡部48の高低角(鉛直角)は、前記鉛直角エンコーダ47によって検出され、検出結果は前記演算制御部49に入力される。該演算制御部49は、前記鉛直角エンコーダ47の検出結果に基づき、前記望遠鏡部48の鉛直角データを演算し、該鉛直角データに基づき前記鉛直回転モータ46のフィードバック制御を行う。
【0057】
又、前記演算制御部49で演算された水平角データ、鉛直角データや測定結果、或は前記レーザスキャナ3と前記トータルステーション24との方位角オフセット量(後述)、機械高オフセット量(後述)は前記記憶部51に保存される。該記憶部51には、HDD、CD、メモリカード等種々の記憶手段が用いられる。該記憶部51には、前記托架部38に対して着脱可能であってもよく、或は所要の通信手段、例えば第2通信部25を介して外部記憶装置或は外部データ処理装置にデータを送出可能としてもよい。
【0058】
次に、前記望遠鏡部48について説明する。
【0059】
該望遠鏡部48は、視準望遠鏡55を具備し、又第2距離測定部(図示せず)を内蔵している。該第2距離測定部は、前記軸心44aと直交する方向に測距光を射出する測距光射出部(図示せず)と、測定対象物で反射された反射測距光を受光する測距光受光部(図示せず)とを有している。尚、測距光の測距光軸と前記視準望遠鏡55の視準光軸とは一致しているものとする。
【0060】
前記第2距離測定部は、前記測距光射出部から射出された測距光の発光タイミングと、測定対象物で反射された反射測距光の前記測距光受光部への受光タイミングとの時間差(即ち、測距光の往復時間)に基づき、測定対象物の測距が実行される。又、測距結果は、水平角データと鉛直角データに関連付けられて、又は3次元の座標値として前記記憶部51に保存される。
【0061】
ここで、前記整準ユニット2に前記レーザスキャナ3を取付けた際の前記軸心6aと、前記整準ユニット2に前記トータルステーション24を取付けた際の前記軸心39aとは一致する様になっている。
【0062】
又、前記整準ユニット2に前記レーザスキャナ3を取付けた際には、前記嵌合穴35と前記嵌合筒部21、前記欠切凹部36と前記嵌合凸部22との嵌合により、前記レーザスキャナ3が芯合せされ、回転方向の位置が決定される。従って、前記レーザスキャナ3の水平面内に於ける1方向(X軸)とそれに直交する1方向(Y軸)、即ち直交する水平2方向の位置が決定される。
【0063】
又、前記整準ユニット2に前記トータルステーション24を取付けた際には、前記嵌合穴35と前記嵌合筒部52、前記欠切凹部36と前記嵌合凸部53との嵌合により、前記トータルステーション24が芯合せされ、回転方向の位置が決定される。従って、前記トータルステーション24の水平面内に於ける1方向(X軸)とそれに直交する1方向(Y軸)、即ち直交する水平2方向の位置が決定される。
【0064】
次に、
図4(A)、
図4(B)を用い、前記レーザスキャナ3と前記トータルステーション24との間のオフセット量について説明する。尚、
図4(A)は、前記整準ユニット2に前記トータルステーション24を取付けた状態を示し、
図4(B)は、前記整準ユニット2に前記レーザスキャナ3を取付けた状態を示している。
【0065】
前記レーザスキャナ3と前記トータルステーション24との間のオフセット量を求める際には、先ず、前記嵌合穴35に前記嵌合筒部52を嵌合させ、前記欠切凹部36に前記嵌合凸部53を嵌合させて、前記整準ユニット2に前記トータルステーション24を取付ける。この時、前記整準ユニット2の軸心と前記軸心39aとが合致する。
【0066】
次に、前記水平回転モータ42、前記鉛直回転モータ46を駆動させ、前記視準望遠鏡55を任意の方向に向ける。例えば、近距離で任意の基準位置にプリズムや反射シート等の再帰反射性を有するターゲット57を設け、該ターゲット57が測距光軸58上に位置する様、前記ターゲット57を前記視準望遠鏡55で視準し、測距する。
【0067】
前記ターゲット57の視準は、作業者が前記視準望遠鏡55を介して手動で行ってもよい。又、図示しない撮像部で撮像された画像を基に前記ターゲット57を検出し、画像の中心と画像中の前記ターゲット57の中心との距離に基づき、前記托架部38と前記望遠鏡部48を回転させ、視準する様にしてもよい。更に、測距光を可視光とし、目視により前記測距光軸58と前記ターゲット57の位置合せをしてもよい。
【0068】
尚、
図4(A)は、前記視準望遠鏡55で前記ターゲット57を視準した際に、前記托架部38の水平角が0°、前記望遠鏡部48が水平、即ち鉛直角が90°となった状態を示している。この時の前記トータルステーション24の座標系の原点に対する前記ターゲット57の高さは0となっている。又、この時の水平角、鉛直角、測距結果、高さは、前記第2通信部25、前記第1通信部16を介して前記レーザスキャナ3に送信される。
【0069】
次に、前記整準ユニット2から前記トータルステーション24を取外し、前記嵌合穴35に前記嵌合筒部21を嵌合させ、前記欠切凹部36に前記嵌合凸部22を嵌合させて前記整準ユニット2に前記レーザスキャナ3を取付ける。この時、前記整準ユニット2の軸心と前記軸心6aとが合致する。
【0070】
前記レーザスキャナ3の取付け後、該レーザスキャナ3で同一の前記ターゲット57の中心を検出し、前記測距光軸58上に前記ターゲット57の中心が位置する様、前記水平回転モータ8と前記鉛直回転モータ13とを駆動させる。
【0071】
尚、前記ターゲット57は、測距光で全面を走査して該ターゲット57の形状を検出し、検出した該ターゲット57の形状を基に中心を検出してもよい。又、図示しない撮像部で前記ターゲット57を含む画像を取得し、画像を基に該ターゲット57の中心を検出してもよい。更に、測距光を可視光とし、目視により前記測距光軸58と前記ターゲット57の位置合せを行ってもよい。
【0072】
前記水平角エンコーダ9は、前記測距光軸58と前記ターゲット57の中心とが合致した際の水平角を検出する。前記演算制御部17は、前記水平角エンコーダ9が検出した水平角と、前記トータルステーション24から受信した水平角との差分を演算する。該差分は、前記トータルステーション24に対する前記レーザスキャナ3の水平2方向のオフセットを行う為の方位角オフセット量として前記記憶部18に保存される。
【0073】
又、前記鉛直角エンコーダ14は、前記測距光軸58と前記ターゲット57の中心とが合致した際の鉛直角を検出する。前記演算制御部17は、前記ターゲット57の測距結果、即ち斜距離dと、水平に対する鉛直角θとを基に、前記レーザスキャナ3の座標系の原点に対する前記ターゲット57の高さhを演算する。
【0074】
尚、
図4(A)では、該ターゲット57の高さは、前記トータルステーション24の座標系の原点の高さと同等となっている。従って、
図4(A)、
図4(B)では、演算した高さhが前記トータルステーション24に対する前記レーザスキャナ3の鉛直方向(Z軸方向)のオフセットを行う為の機械高オフセット量となる。演算された機械高オフセット量は、前記記憶部18に保存される。
【0075】
又、前記ターゲット57の高さが前記トータルステーション24の座標系の原点の高さと異なる場合には、上記と同様に斜距離と鉛直角とから前記トータルステーション24に対する前記ターゲット57の高さを演算する。更に、該高さと前記レーザスキャナ3に対する前記ターゲット57の高さhとの差分を演算し、機械高オフセット量として設定する。又、カタログ等から前記レーザスキャナ3と前記トータルステーション24の機械高が既知である場合には、機械高の差から機械高オフセット量を演算してもよい。
【0076】
演算された方位角オフセット量、機械高オフセット量は、前記第1通信部16、前記第2通信部25を介して前記トータルステーション24へと送出される。
【0077】
前記測量システム1により測定を行なう際には、先ず前記トータルステーション24により、既知点に設けられた前記ターゲット57を測定し、前記トータルステーション24の設置位置の絶対座標を求める。該トータルステーション24の絶対座標が求まることで、該トータルステーション24の座標系を変換し、絶対座標系に合致させることができる。
【0078】
次に、前記トータルステーション24を前記整準ユニット2から取外し、該整準ユニット2に前記レーザスキャナ3を取付ける。該レーザスキャナ3の取付け後、前記托架部5を水平回転させ、前記走査鏡15を鉛直回転させて、測定対象物を測距光で走査する。
【0079】
前記レーザスキャナ3により測定対象物の点群データを取得した際には、事前に演算した方位角オフセット量、機械高オフセット量を基に、測定値を補正し、前記レーザスキャナ3の座標系で取得された測定結果を、前記トータルステーション24の座標系の測定結果へと座標変換することができる。即ち、前記レーザスキャナ3の座標系を前記トータルステーション24の座標系に合致させることができ、更に絶対座標系に合致させることができる。
【0080】
前記レーザスキャナ3で測定された点群データは、方位角オフセット量、機械高オフセット量を基に座標変換され、前記トータルステーション24の座標系と合致した状態で、或は絶対座標系と合致した状態で、前記トータルステーション24の測定結果と共に前記記憶部18に保存される。
【0081】
上述の様に、本実施例では、前記嵌合穴35と前記嵌合筒部21との嵌合、及び前記欠切凹部36と前記嵌合凸部22との嵌合により、前記整準ユニット2に対する前記レーザスキャナ3の位置が機械的に決まる。又、前記嵌合穴35と前記嵌合筒部52との嵌合、及び前記欠切凹部36と前記嵌合凸部53との嵌合により、前記整準ユニット2に対する前記トータルステーション24の位置が機械的に決まる様になっている。
【0082】
この為、前記整準ユニット2に対して前記レーザスキャナ3、前記トータルステーション24を着脱し、更に前記三脚56を移動して設置位置を変更した場合でも、前記トータルステーション24に対する前記レーザスキャナ3の方位角オフセット量、機械高オフセット量は常に一定となる。
【0083】
従って、事前に演算した方位角オフセット量、機械高オフセット量が、前記整準ユニット2を基準として前記レーザスキャナ3、前記トータルステーション24間で固定且つ既知の値となり、前記測量システム1の設置位置に拘わらず適用可能となる。この為、設置位置毎に前記トータルステーション24に対する前記レーザスキャナ3の方位角オフセット量、機械高オフセット量を演算する必要がないので、作業時間の短縮、作業性の向上を図ることができる。
【0084】
又、前記レーザスキャナ3により前記ターゲット57を検出するのは、前記トータルステーション24との方位角オフセット量、機械高オフセット量を演算する為の1回のみである。従って、遠方に設置された前記ターゲット57の検出を行う必要がないので、高価な前記発光素子26や高性能な前記演算制御部17を用いる必要がなく、前記レーザスキャナ3の製作コストの低減を図ることができる。
【0085】
又、方位角オフセット量、機械高オフセット量が維持されるので、センサの感度等の設定変更を行う為に前記レーザスキャナ3、前記トータルステーション24を取外し、再度装着した場合に、方位角オフセット量、機械高オフセット量を演算し直す必要がない。
【0086】
尚、トータルステーションやレーザスキャナによる測定では、設置位置毎に任意の方位で水平角を0°に設定するゼロセットを行い、ゼロセットを行った状態で新たに測定を行う場合がある。
【0087】
例えば、前記トータルステーション24でゼロセットを行う場合、該トータルステーション24がゼロセットを行った時点の水平角を前記水平角エンコーダ43で検出し、前記第2通信部25、前記第1通信部16を介して前記レーザスキャナ3へと送信する。前記演算制御部17は、受信した水平角と方位角オフセット量の差分を演算し、該差分を新たな方位角オフセット量として更新し、前記記憶部18に保存する。
【0088】
前記レーザスキャナ3でゼロセットを行う場合には、該レーザスキャナ3がゼロセットを行った時点の水平角を前記水平角エンコーダ9で検出し、前記演算制御部17は検出した水平角と方位角オフセット量の差分を演算し、該差分を新たな方位角オフセット量として更新し、前記記憶部18に保存する。
【0089】
尚、前記トータルステーション24でゼロセットを行った場合、前記演算制御部49で差分を演算し、方位角オフセット量を更新してもよい。又、前記レーザスキャナ3でゼロセットを行った場合には、検出した水平角を前記第1通信部16、前記第2通信部25を介して前記トータルステーション24へと送信し、前記演算制御部49で差分を演算し、方位角オフセット量を更新してもよい。
【0090】
上記した様に、前記レーザスキャナ3と前記トータルステーション24とは通信可能な構成であり、前記レーザスキャナ3又は前記トータルステーション24でゼロセットを行う毎に前記レーザスキャナ3又は前記トータルステーション24で方位角オフセット量を更新する。従って、前記レーザスキャナ3又は前記トータルステーション24でゼロセットを行ったとしても、前記レーザスキャナ3と前記トータルステーション24の座標系を合致させ続けることができるので、設置位置毎にオフセット量を再度演算する必要がなく、作業時間の短縮が図れ、更に作業性を向上させることができる。
【0091】
尚、本実施例では、前記整準ユニット2に取付けられる測定ユニットとして、前記レーザスキャナ3と、前記トータルステーション24について説明したが、本実施例に適用可能な測定ユニットは、上記した2つの測定ユニットに限られるものではない。
【0092】
以下、
図5、
図6に於いて、本実施例に適用可能な他の測定ユニットである第3測定ユニットとしてのスポットレーザスキャナ59について説明する。
【0093】
該スポットレーザスキャナ59は、所定の範囲、所定の形態、例えば円状に測距光を走査可能なレーザスキャナであり、前記整準ユニット2を介して前記三脚56(
図4(A)、
図4(B)参照)上に設置される。前記スポットレーザスキャナ59は、鉛直回転部である測定ユニット本体61と、托架部62と、固定部63とを有している。
【0094】
前記托架部62は、凹部を有する凹字形状であり、該凹部に前記測定ユニット本体61が収納されている。該測定ユニット本体61は鉛直回転軸64を介して前記托架部62に支持され、前記鉛直回転軸64は軸受(図示せず)を介して回転自在となっている。
【0095】
該鉛直回転軸64の端部には、鉛直被動ギア65が嵌設されている。該鉛直被動ギア65は、鉛直駆動ギア66と噛合し、該鉛直駆動ギア66は鉛直回転モータ67の出力軸に固着されている。前記測定ユニット本体61は、前記鉛直回転モータ67により前記鉛直回転軸64を中心として鉛直方向に回転される様になっている。
【0096】
又、前記鉛直回転軸64の端部には、鉛直角(前記鉛直回転軸64を中心とした回転方向の角度)を検出する鉛直角検出部である鉛直角エンコーダ68が設けられている。該鉛直角エンコーダ68により、前記測定ユニット本体61の前記托架部62に対する鉛直方向の相対回転角が検出される。
【0097】
前記托架部62の下面からは、水平回転軸69が突設され、該水平回転軸69は軸受(図示せず)を介して前記固定部63に回転自在に嵌合している。前記托架部62は、前記水平回転軸69を中心に水平方向に回転自在となっている。
【0098】
該水平回転軸69と同心に、水平被動ギア71が前記固定部63に固着されている。前記托架部62には水平回転モータ72が設けられ、該水平回転モータ72の出力軸に水平駆動ギア73が固着されている。該水平駆動ギア73は前記水平被動ギア71と噛合している。前記托架部62は、前記水平回転モータ72により前記水平回転軸69を中心に水平方向に回転される様になっている。
【0099】
又、前記托架部62には、水平角(前記水平回転軸69を中心とした回転方向の角度)を検出する水平角検出部である水平角エンコーダ74が設けられている。該水平角エンコーダ74により、前記托架部62の前記固定部63に対する水平方向の相対回転角が検出される。尚、前記鉛直回転軸64の軸心と、前記水平回転軸69の軸心との交点が、測距光の射出位置であり、前記スポットレーザスキャナ59の座標系の原点となっている。
【0100】
前記固定部63の下面には、前記嵌合穴35(
図2参照)と嵌合可能な嵌合筒部75が形成されると共に、前記欠切凹部36(
図2参照)と嵌合可能な嵌合凸部76が形成される。前記嵌合穴35と前記嵌合筒部75との嵌合、前記欠切凹部36と前記嵌合凸部76との嵌合により、前記スポットレーザスキャナ59が位置決めされた状態で前記整準ユニット2に取付けられる。尚、前記嵌合筒部75と前記嵌合凸部76とで前記スポットレーザスキャナ59の凸嵌合部が構成される。
【0101】
前記鉛直回転モータ67と前記水平回転モータ72との協働により、前記測定ユニット本体61を所望の方向へと向けることができる。尚、前記鉛直回転モータ67と前記水平回転モータ72とにより、前記測定ユニット本体61の回転駆動部が構成される。
【0102】
該測定ユニット本体61内には、測距光射出部77、受光部78、測距部79、射出方向検出部81、モータドライバ82、第3通信部83、演算制御部84、記憶部85が収納され、一体化されている。又、前記測定ユニット本体61には、操作部86、表示部87が設けられている。尚、該表示部87をタッチパネルとし、前記操作部86と兼用させてもよい。又、前記測距光射出部77、前記受光部78、前記測距部79等により、第3距離測定部が構成される。
【0103】
前記測距光射出部77は、射出光軸88を有し、該射出光軸88上に発光素子89、例えばレーザダイオード(LD)が設けられている。又、前記射出光軸88上に投光レンズ91が設けられている。更に、前記射出光軸88上に設けられた偏向光学部材としての第1反射鏡92と、受光光軸93(後述)上に設けられた偏向光学部材としての第2反射鏡94とによって、前記射出光軸88は前記受光光軸93と合致する様に偏向される。尚、前記第1反射鏡92と前記第2反射鏡94とで射出光軸偏向部が構成される。
【0104】
前記受光部78は、前記受光光軸93を有している。前記受光部78には、測定対象物からの反射測距光、或はプリズムや反射鏡等の再帰反射性を有する前記ターゲット57(
図4(A)、
図4(B)参照)からの反射測距光が入射する。
【0105】
前記受光光軸93上には受光素子95、例えばフォトダイオード(PD)が設けられ、又結像レンズ96が配設されている。該結像レンズ96は、反射測距光を前記受光素子95に結像する。該受光素子95は反射測距光を受光し、受光信号を発する。該受光信号は、前記測距部79に入力される。
【0106】
更に、前記受光光軸93(即ち、前記射出光軸88)上で、前記結像レンズ96の対物側には、光軸偏向部97が配設されている。以下、
図7に於いて、該光軸偏向部97について説明する。
【0107】
該光軸偏向部97は、一対の光学プリズム98a,98bから構成される。該光学プリズム98a,98bは、それぞれ円板状であり、前記受光光軸93上に該受光光軸93と直交して配置される。又、前記光学プリズム98a,98bは、重なり合い、平行に配置されている。該光学プリズム98a,98bとしては、それぞれフレネルプリズムが用いられることが、装置を小型化する為に好ましい。
【0108】
該光学プリズム98a,98bとして用いられるフレネルプリズムは、それぞれ中心部に平行に形成されたプリズム要素99a,99bと、中心部を除く部分に形成された多数のプリズム要素101a,101bとによって構成され、板形状を有する。各プリズム要素99a,99b及びプリズム要素101a,101bは、同一の光学特性を有する。
【0109】
前記プリズム要素99a,99bは、測距光が透過する第1光軸偏向部である測距光軸偏向部97aを構成し、前記プリズム要素101a,101bは反射測距光が透過する第2光軸偏向部である反射測距光軸偏向部97bとなっている。
【0110】
前記フレネルプリズムは、光学ガラスから製作してもよいが、光学プラスチック材料でモールド成形したものでもよい。光学プラスチック材料でモールド成形することで、安価なフレネルプリズムを製作できる。
【0111】
前記光学プリズム98a,98bは、それぞれ前記受光光軸93を中心に独立して個別に回転可能に配設されている。前記光学プリズム98a,98bは、回転方向、回転量、回転速度を独立して制御されることで、測距光の前記射出光軸88を任意の方向に偏向し、反射測距光の前記受光光軸93を前記射出光軸88と平行に偏向する。
【0112】
前記光学プリズム98a,98bの外形形状は、それぞれ前記受光光軸93を中心とする円形であり、反射測距光の広がりを考慮し、充分な光量を取得できる様、前記光学プリズム98a,98bの直径が設定されている。
【0113】
前記光学プリズム98aの外周にはリングギア102aが嵌設され、前記光学プリズム98bの外周にはリングギア102bが嵌設されている。前記リングギア102aには駆動ギア103aが噛合し、該駆動ギア103aはモータ104aの出力軸に固着されている。同様に、前記リングギア102bには駆動ギア103bが噛合し、該駆動ギア103bはモータ104bの出力軸に固着されている。前記モータ104a,104bは、前記モータドライバ82に電気的に接続されている。
【0114】
前記モータ104a,104bは、回転角を検出できるもの、或は駆動入力値に対応した回転をするもの、例えばパルスモータが用いられる。或は、モータの回転量(回転角)を検出するエンコーダ等を用いてモータの回転量を検出してもよい。前記モータ104a,104bの回転量がそれぞれ検出され、前記モータドライバ82により前記モータ104a,104bが個別に制御される。
【0115】
前記駆動ギア103a,103b、前記モータ104a,104bは、前記測距光射出部77と干渉しない位置、例えば前記リングギア102a,102bの下側に設けられている。
【0116】
前記測距部79は、前記発光素子89を制御し、測距光としてレーザ光線をパルス発光させる。又、前記プリズム要素99a,99b(前記測距光軸偏向部97a)により、前記測距光が測定対象物に向う様前記射出光軸88が偏向される。
【0117】
測定対象物で反射された反射測距光は、前記プリズム要素101a,101b(前記反射測距光軸偏向部97b)、前記結像レンズ96を介して前記受光部78に入射し、前記受光素子95に受光される。該受光素子95は、受光信号を前記測距部79に送出し、該測距部79は前記受光素子95からの受光信号に基づき測定点(測距光が照射された点)の測距を行う。
【0118】
前記射出方向検出部81は、前記モータ104a,104bに入力される駆動パルスをカウントすることで、前記モータ104a,104bの回転角を検出する。或は、エンコーダからの信号に基づき、前記モータ104a,104bの回転角を検出する。又、前記射出方向検出部81は、前記モータ104a,104bの回転角に基づき、前記光学プリズム98a,98bの回転位置を演算する。更に、前記射出方向検出部81は、前記光学プリズム98a,98bの屈折率と回転位置に基づき、測距光の偏角、射出方向を演算し、演算結果は前記演算制御部84に入力される。
【0119】
前記第3通信部83は、前記レーザスキャナ3の前記第1通信部16、前記トータルステーション24の前記第2通信部25との間で、水平角データや鉛直角データ、測定結果、或は方位角オフセット量、機械高オフセット量等、各種データの授受が可能となっている。
【0120】
又、前記演算制御部84で演算された水平角データ、鉛直角データや射出方向、測定結果、或は方位角オフセット量、機械高オフセット量は、前記記憶部85に保存される。
【0121】
前記発光素子89から測距光が発せられ、測距光は前記投光レンズ91で平行光束とされ、前記測距光軸偏向部97a(前記プリズム要素99a,99b)により、所要の方向に偏向されて測定対象物に照射される。
【0122】
前記測定対象物で反射された反射測距光の光軸は、前記反射測距光軸偏向部97b(前記プリズム要素101a,101b)により前記受光光軸93と合致する様偏向され、前記結像レンズ96により前記受光素子95に集光される。
【0123】
尚、前記光学プリズム98aと前記光学プリズム98bとの回転位置の組合わせにより、射出する測距光を任意の偏向方向、偏角で変更することができる。
【0124】
又、前記光学プリズム98aと前記光学プリズム98bとの位置関係、即ち偏角を固定した状態で、前記光学プリズム98aと前記光学プリズム98bとを一体に回転させることで、前記測距光軸偏向部97aを透過した測距光が描く軌跡は、前記射出光軸88を中心とした円となる。
【0125】
従って、前記発光素子89よりレーザ光線(測距光)を発光させつつ、前記光軸偏向部97を回転させれば、測距光を円の軌跡で走査させることができる。
【0126】
又、前記光学プリズム98aと前記光学プリズム98bの回転方向、回転速度を個別に制御し、前記光学プリズム98aと前記光学プリズム98bとを相対回転させることで、直線状、同心多重円状、スパイラル状等、種々の走査状態を得ることができる。
【0127】
測距光を走査しつつ測距を実行することで、走査軌跡上の測定点についての測距データを取得することができる。又、前記モータ104a,104bの回転角及び前記鉛直角エンコーダ68と前記水平角エンコーダ74の検出結果から得られた測距光の射出方向と、前記測距データとを関連付けることで、3次元の測定データを得ることができる。
【0128】
前記スポットレーザスキャナ59についても、前記レーザスキャナ3、前記トータルステーション24と同様に、前記整準ユニット2に取付けることで、前記嵌合穴35と前記嵌合筒部75とが嵌合し、前記欠切凹部36と前記嵌合凸部76とが嵌合し、機械的に位置決めされる。又、前記水平回転軸69の軸心が前記整準ユニット2の軸心と一致する。
【0129】
従って、事前に前記スポットレーザスキャナ59により前記ターゲット57を検出し、該ターゲット57の測定結果を基に前記レーザスキャナ3や前記トータルステーション24との方位角オフセット量、機械高オフセット量を求めることができる。この為、前記スポットレーザスキャナ59を着脱した場合や、設置位置を変更した場合でも、再度オフセット量を求めることなく前記スポットレーザスキャナ59の座標系を容易に前記レーザスキャナ3、前記トータルステーション24の座標系と合致させることができる。
【0130】
上述の様に、本実施例では、事前に求めた方位角オフセット量、機械高オフセット量を基に、レーザスキャナ、トータルステーション、スポットレーザスキャナ、或は他の測定ユニット等、各種測定ユニットの座標系を合致させた状態で、前記整準ユニット2に対する着脱、前記測量システム1の設置位置の変更が可能となる。
【0131】
従って、状況に応じて各測定ユニットを組合わせて測定対象物の測定が可能となり、各測定ユニット単体で測定を行う必要がないので、各測定ユニットに高品質な部材を用いる必要がなく、各測定ユニットの製作コストを低減させることができる。
【0132】
尚、本実施例では、前記整準ユニット2に対して、前記レーザスキャナ3、前記トータルステーション24、前記スポットレーザスキャナ59を着脱する構成としている。一方で、例えば前記トータルステーション24を前記整準ユニット2に固定的に設け、前記トータルステーション24に対して前記レーザスキャナ3、前記スポットレーザスキャナ59等を位置決めした状態で取付ける構成であってもよい。
【0133】
この場合も、事前に方位角オフセット量、機械高オフセット量を求めておくことで、着脱や設置位置の変更があった場合でも、再度方位角オフセット量、機械高オフセット量を演算することなく各測定ユニットの座標系を合致させ続けることができる。
【0134】
又、各測定ユニットに微細な傾斜を検出可能なチルトセンサを設けてもよい。チルトセンサにより前記整準ユニット2に取付けた際の各測定ユニットの傾斜を検出し、測定結果を補正することで、着脱の際に生じる誤差の影響を低減することができる。
【0135】
更に、各測定ユニットに、微小な方位角を検出する微小方位角検出部を設けてもよい。微小方位角検出部により、前記整準ユニット2に取付けた際の各測定ユニットの方位角のズレを検出し、測定結果を補正することで、着脱の際に生じる誤差の影響を低減させることができる。
【0136】
尚、前記スポットレーザスキャナ59についても、設置位置毎にゼロセットを行い、ゼロセットを行った状態で新たに測定を行う場合がある。該スポットレーザスキャナ59の場合も、前記レーザスキャナ3、前記トータルステーション24の場合と同様に、前記スポットレーザスキャナ59がゼロセットを行った時点の水平角を前記水平角エンコーダ74で検出する。前記演算制御部84は、検出した水平角と方位角オフセット量の差分を演算し、該差分を新たな方位角オフセット量として更新し、前記記憶部85に保存する。
【0137】
又、前記第3通信部83を介して前記レーザスキャナ3又は前記トータルステーション24に検出した水平角を送信し、前記レーザスキャナ3又は前記トータルステーション24にて差分の演算、方位角オフセット量の更新を行わせてもよいのは言う迄もない。