特許第6817110号(P6817110)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6817110
(24)【登録日】2020年12月28日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】電子レシートシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/20 20120101AFI20210107BHJP
   G07G 1/12 20060101ALI20210107BHJP
   G07G 1/06 20060101ALI20210107BHJP
【FI】
   G06Q20/20 370
   G07G1/12 361C
   G07G1/06 Z
【請求項の数】5
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-41914(P2017-41914)
(22)【出願日】2017年3月6日
(65)【公開番号】特開2018-147250(P2018-147250A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2020年2月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】釜本 俊一朗
【審査官】 石川 正二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−222390(JP,A)
【文献】 特開2015−212884(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/156517(US,A1)
【文献】 特開2016−81105(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第105513228(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
未決済の1件の取引の対象となる複数のアイテムのリストである取引リストに含まれる前記複数のアイテムのそれぞれについて、代金の支払者を決定する決定手段と、
前記取引リストに含まれる前記複数のアイテムの全てに関する代金が一括で決済されたことに応じて、前記決定手段により同一の支払者が代金を支払うものとして決定されているアイテムのリストである支払者別リストを第1の記憶デバイスに記憶させる第1の記憶制御手段と、
前記第1の記憶デバイスにより記憶された前記支払者別リストを出力する第1の出力手段と、
を具備した電子レシートシステム。
【請求項2】
前記取引リストに含まれる前記複数のアイテムの全てに関する代金が一括で決済されたことに応じて、当該決済を行った決済者を識別する識別情報に関連付けて、前記取引リストを第2の記憶デバイスに記憶させる第2の記憶制御手段と
前記、第2の記憶デバイスにより記憶された前記取引リストを出力する第2の出力手段と、
をさらに備える請求項1に記載の電子レシートシステム。
【請求項3】
前記第1の出力手段及び前記第2の出力手段は、同一の出力先に対して前記支払者別リスト及び取引リストを互いに区別可能に出力する、
請求項2に記載の電子レシートシステム。
【請求項4】
前記決定手段は、前記取引リストに含まれ、前記支払者別リストのいずれにも含まれていないアイテムについての支払宣言が複数の情報端末のうちの1つでなされたことに応じて、当該情報端末の使用者を、前記支払宣言の対象となった前記アイテムの代金の支払者として決定する、
請求項1−請求項3のいずれか一項に記載の電子レシートシステム。
【請求項5】
前記決定手段を備えた第1の情報処理装置と、
前記第1の記憶制御手段及び前記第1の出力手段を具備した第2の情報処理装置と、
を含み、
前記第1の情報処理装置は、前記支払者別リストを、その支払者別リストに含まれるアイテムの支払者を識別する識別情報と対として前記第2の情報処理装置に送信する送信手段、をさらに備え、
前記第2の情報処理装置は、前記送信手段により送信された前記識別情報及び前記支払者別リストを受信する受信手段、をさらに備え、
前記第1の記憶制御手段は、前記受信手段により受信された識別情報に関連付けて、当該識別情報と対として前記受信手段で受信された前記支払者別リストを前記第1の記憶デバイスに記憶させる、
請求項1−請求項4のいずれか一項に記載の電子レシートシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子レシートシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
1件の取引の対象となる複数のアイテムについての代金の支払いを複数の支払者で分担する場合、当該複数の支払者のうちの1人が、他の支払者の負担分の現金を他の支払者から回収し、上記複数のアイテム全てについての代金を一括で決済することがある。
【0003】
例えば飲食店において、1グループに属する複数人の客のうちの代表者が、グループ内の他の人から、その人の飲食にかかる代金を受け取り、上記の飲食店に対する決済は当該代表者が行うケースがその典型例である。
【0004】
このようなケースでは、決済者以外の支払者が電子レシートサービスの会員であったとしても、その支払者の支払に関する情報は、電子レシートサービスを利用して事後確認することができない。また、決済者が電子レシートサービスの会員である場合、決済に関する情報を、電子レシートサービスを利用して事後確認することが可能である。しかしながら、その確認可能な情報は、他の人の負担による決済に関する情報も区別なく含んでいるのであり、決済者による本来の支払の状況を正しく示すものではない。
【0005】
このような事情から、電子レシートサービスの会員が、複数の支払人が属するグループにより一括で決済を行う取引に関して、会員自身がどのような支払を行ったのかを、電子レシートサービスを利用して事後に確認できることが望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−219820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、電子レシートサービスの会員が、複数の支払人が属するグループにより一括で決済を行う取引に関して、会員自身がどのような支払を行ったのかを、電子レシートサービスを利用して事後確認することができる電子レシートシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の電子レシートシステムは、決定手段、第1の記憶制御手段及び第1の出力手段を備える。決定手段は、未決済の1件の取引の対象となる複数のアイテムのリストである取引リストに含まれる複数のアイテムのそれぞれについて、代金の支払者を決定する。第1の記憶制御手段は、取引リストに含まれる複数のアイテムの全てに関する代金が一括で決済されたことに応じて、決定手段により同一の支払者が代金を支払うものとして決定されているアイテムのリストである支払者別リストを第1の記憶デバイスに記憶させる。第1の出力手段は、第1の記憶デバイスにより記憶された支払者別リストを出力する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係る販売データ管理システムの概略構成を示す図。
図2図1中のウェブサーバの要部回路構成を示すブロック図。
図3図1中のレシートサーバの要部回路構成を示すブロック図。
図4】一例としての受注データを模式的に示す図。
図5図2中のプロセッサが実行する情報処理の手順を示すフローチャート。
図6図2中のプロセッサが実行する情報処理の手順を示すフローチャート。
図7】一例としての設定画面を示す図。
図8】受注データの一例を模式的に示す図。
図9】一例としての設定画面を示す図。
図10】受注データの一例を模式的に示す図。
図11】一例としての設定画面を示す図。
図12】受注データの一例を模式的に示す図。
図13】一例としての設定画面を示す図。
図14図2中のプロセッサが実行する情報処理の手順を示すフローチャート。
図15】支払者別データの一例を模式的に示す図。
図16図3中のプロセッサが実行する情報処理の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態の一例について図面を用いて説明する。なお、本実施の形態では、客の注文に応じて飲食提供サービスを提供する飲食店における代金の決済のための販売データ管理システムに電子レシートシステムを適用した例について説明する。
【0011】
図1は本実施形態に係る販売データ管理システム1の概略構成を示す図である。
販売データ管理システム1は、店舗システム10、ウェブサーバ20及びレシートサーバ30を含む。
【0012】
店舗システム10は、上記の飲食店に設けられるもので、ハンディ端末11、ステーション12、伝票プリンタ13及びPOS端末14を、LAN(local area network)15にそれぞれ接続して構成される。ただし、ハンディ端末11は、無線アクセスポイント16を介してLAN15に接続される。ハンディ端末11、伝票プリンタ13、POS端末14及び無線アクセスポイント16は、図1においては1つずつのみを示すが、複数台を含んでいてもよく、その数はそれぞれに任意である。
【0013】
ハンディ端末11は、注文入力のための店員の操作を入力するための端末装置である。ハンディ端末11は、入力した操作に従って、注文された商品の品目番号を無線送信する。ハンディ端末11から無線送信された注文番号は、無線アクセスポイント16及びLAN15を介してステーション12に伝送される。
【0014】
ステーション12は、例えば飲食店のバックヤードに設置され、ハンディ端末11から送信された注文番号を集計処理して客のグループ毎の受注データを生成し、管理する。ステーション12は、受注データを、通信ネットワーク2を介してウェブサーバ20に送信する。ステーション12は、受注データが表す取引に関する代金の決済がPOS端末14で行われた場合に、当該受注データ含んだ電子レシートデータを、通信ネットワーク2を介してレシートサーバ30に送信する。
【0015】
伝票プリンタ13は、注文内容を表したものであり、客が決済のためにチェックアウトカウンタへと持参するためのオーダ伝票をプリントする。伝票プリンタ13は、注文内容を調理人に通知するためのオーダ伝票もプリントする場合もある。
【0016】
POS端末14は、例えば飲食店のチェックアウトカウンタに設置され、ステーション12で管理される受注データに基づき、客の飲食に関する代金を決済するための処理を行う。
【0017】
ウェブサーバ20は、後述する支払い分担に関する客の設定を受け付け、支払者別データを生成する。ウェブサーバ20は、支払者別データを、通信ネットワーク2を介してレシートサーバ30に送信する。
【0018】
レシートサーバ30は、ステーション12から送信された電子レシートデータと、ウェブサーバ20から送信された支払者別データとに含まれた各種のデータを蓄積する。レシートサーバ30は、上記の蓄積したデータに基づき、会員に対して、その会員が上記の飲食店において行った支払いの実績を事後確認することを可能とするための電子レシートサービスを提供する。
【0019】
飲食店の客は、自らが所持する情報端末3により通信ネットワーク2を介してウェブサーバ20にアクセスし、上記の支払い分担に関する設定を行う。また当該客が電子レシートサービスの会員である場合は、情報端末3により通信ネットワーク2を介してレシートサーバ30にアクセスし、電子レシートサービスを利用できる。情報端末3は、典型的にはスマートフォン又はタブレット端末などであるが、通信ネットワーク2を介してウェブサーバ20及びレシートサーバ30にアクセス可能なものであれば、どのようなものであってもよい。なお、ウェブサーバ20へのアクセスとレシートサーバ30へのアクセスとに、それぞれ別々の情報端末3が用いられる場合もある。
【0020】
通信ネットワーク2は、上記したような様々な通信を可能とする。通信ネットワーク2は、典型的には、移動体通信網とインターネットとを組み合わせたものである。しかしながら通信ネットワーク2は、例えば無線LANとVPN(virtual private network)とを組み合わせたものなど、他のどのようなものであってもよい。
【0021】
図2はウェブサーバ20の要部回路構成を示すブロック図である。
ウェブサーバ20は、プロセッサ21、メインメモリ22、補助記憶デバイス23、通信インタフェース24及び伝送システム25を含む。
【0022】
図3はレシートサーバ30の要部回路構成を示すブロック図である。
レシートサーバ30は、プロセッサ31、メインメモリ32、補助記憶デバイス33、通信インタフェース34及び伝送システム35を含む。
【0023】
つまり、ウェブサーバ20及びレシートサーバ30は、いずれも例えば汎用のサーバ装置を用いて実現することができ、ハードウェアとしては同様な構成を備える。
【0024】
ウェブサーバ20においては、プロセッサ21、メインメモリ22及び補助記憶デバイス23を伝送システム25によって接続することにより、ウェブサーバ20を制御するコンピュータを構成する。レシートサーバ30においては、プロセッサ31、メインメモリ32及び補助記憶デバイス33を伝送システム25によって接続することにより、レシートサーバ30を制御するコンピュータを構成する。
【0025】
プロセッサ21,31は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ21,31は、オペレーティングシステムやアプリケーションプログラムに従って、ウェブサーバ20又はレシートサーバ30としての各種の機能を実現するべく各部を制御する。
【0026】
メインメモリ22,32は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メインメモリ22,32は、不揮発性のメモリ領域と揮発性のメモリ領域とを含む。メインメモリ22,32は、不揮発性のメモリ領域ではオペレーティングシステムやアプリケーションプログラムを記憶する。またメインメモリ22,32は、プロセッサ21,31が各種の情報処理を実行する上で必要なデータを不揮発性または揮発性のメモリ領域で記憶する場合もある。メインメモリ22,32は、揮発性のメモリ領域を、プロセッサ21,31によってデータが適宜書き換えられるワークエリアとして使用する。
【0027】
補助記憶デバイス23,33は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。補助記憶デバイス23,33は、例えばEEPROM(electric erasable programmable read-only memory)、HDD(hard disc drive)、SSD(solid state drive)などである。補助記憶デバイス23,33は、プロセッサ21,31が各種の情報処理を行う上で使用するデータや、プロセッサ21,31での処理によって生成されたデータを保存する。補助記憶デバイス23,33は、上記のアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。
【0028】
通信インタフェース24,34は、通信ネットワーク2を介したデータ通信のインタフェースである。通信インタフェース24,34としては、例えばインターネットを介したデータ通信を行うための周知の通信デバイスを利用できる。
【0029】
伝送システム25,35は、アドレスバス及びデータバスなどを含んだバスラインと、このバスラインに各部を接続するためのインタフェース回路とを含む。伝送システム25,35は、接続された上記の各部の間で授受されるデータや信号を伝送する。
【0030】
ウェブサーバ20とレシートサーバ30とは、補助記憶デバイス23,33が記憶するアプリケーションプログラムが互いに異なる。またウェブサーバ20とレシートサーバ30とは、そのアプリケーションプログラムに基づくプロセッサ21,31による情報処理に際しての補助記憶デバイス23,33の利用形態が互いに異なる。
【0031】
補助記憶デバイス23が記憶するアプリケーションプログラムの1つは、支払者別データを生成するための後述する情報処理について記述したプログラムであるウェブサーバアプリ23aである。
【0032】
補助記憶デバイス23の記憶領域の一部は、分担管理領域23bとして利用される。分担管理領域23bは、支払者別データを生成するためのデータ編集を行うための領域である。
【0033】
補助記憶デバイス33が記憶するアプリケーションプログラムの1つは、電子レシートサービスを提供するための情報処理について記述したプログラムであるレシートサーバアプリ33aである。
補助記憶デバイス33は、電子レシートデータベース33b及び分担管理データベース33cを記憶する。これらデータベースについては後述する。
【0034】
ウェブサーバ20又はレシートサーバ30のハードウェアとして汎用のサーバ装置を用いる場合、当該サーバ装置とウェブサーバアプリ23a又はレシートサーバアプリ33aとは、それぞれ個別にウェブサーバ20又はレシートサーバ30の使用者に譲渡される。そして、使用者又はサービスマンの操作の下に、サーバ装置に備えられた補助記憶デバイス23,33へとウェブサーバアプリ23a又はレシートサーバアプリ33aが書き込まれる。このときにウェブサーバアプリ23a又はレシートサーバアプリ33aの譲渡は、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリなどのようなリムーバブルな記録媒体に記録して、あるいはネットワークを介した通信により行える。ただし、補助記憶デバイス23,33へとウェブサーバアプリ23a又はレシートサーバアプリ33aが書き込まれた状態のウェブサーバ20又はレシートサーバ30が、その使用者に譲渡されてもよい。
【0035】
次に以上のように構成された販売データ管理システム1の動作について説明する。なお、以下に説明する処理の内容は一例であって、同様な結果を得ることが可能であれば、一部の処理の順番を入れ替えることや、別の様々な処理を適宜に利用することが可能である。
【0036】
以下においては、図1に示すA氏、B氏、C氏の3氏からなるグループが、店舗システム10が設置されている飲食店において飲食する場合について具体的に説明する。なお、A氏、B氏、C氏は、いずれもレシートサーバ30が提供する電子レシートサービスの会員であり、それぞれの会員コードはID1、ID2、ID3であることとする。
【0037】
A氏、B氏、C氏のそれぞれの注文は、飲食店の店員により聞き取られた上で、当該店員による操作によってハンディ端末11に入力される。
そうするとハンディ端末11は、上記の操作に従って受注データを生成し、無線アクセスポイント16及びLAN15を介してステーション12へと送信する。
【0038】
図4は一例としての受注データを模式的に示す図である。
図4に示すように受注データは、注文番号及びテーブル番号等の管理情報と、注文情報とを含む。
【0039】
注文番号は、複数の客グループに関するそれぞれの扱いを個々に識別するためにハンディ端末11にて決定される。なお注文番号は、ステーション12で決定されてもよい。テーブル番号は、該当の客グループが着席しているテーブルに予め付与された番号であり、店員により入力される。管理情報としては他に、例えば受注時刻などの任意の情報を含み得る。
【0040】
注文情報は、注文された商品のそれぞれについてのレコードを含む。当該レコードは、品目番号、品名、価格及び数量の情報を含む。品目番号は、商品のそれぞれを識別するために予め定められた番号である。品名は、該当の商品の名称である。価格は、該当の商品の単価である。数量は、該当の商品の注文数である。
【0041】
ここでは、A氏が「サラダ」及び「グラタン」を、B氏が「ピザ」及び「ジュース」を、そしてC氏が「スパゲッティ」「コーヒー」及び「ケーキ」を、それぞれ1つずつ注文したこととする。このため注文情報には、これらの各商品のそれぞれに関するレコードを含んでいる。ただし、受注データにおいては、各商品が誰によって注文されたのかを区別するための情報は含んでいない。
かくして注文情報は、未決済の1件の取引の対象となる複数のアイテムに相当する商品のリストである取引リストを表す。
【0042】
ステーション12は、受注データがLAN15により伝送されてくると、これを受信する。そしてステーション12は、当該受注データを、内蔵する記憶デバイス又は外付けされた記憶デバイスで記憶する。ステーション12は、受注データに基づいてオーダ伝票をプリントするように伝票プリンタ13を制御する。オーダ伝票は、注文内容を、客が確認出来るように表したものであり、在店中の客に、当該客が決済を行う前に渡される。なお、ハンディ端末11は、注文された商品を入力する操作が行われる度に、その商品の品目コードをステーション12に送信してもよい。そしてステーション12において、上記のような受注データを生成してもよい。
以上のような処理は、既存の同種の店舗システムにて行われているのと同様な処理であってよい。ただし本実施形態においてステーション12は、上記に加えて、次の処理を行う。
【0043】
ステーション12は、受注データを受信すると、オーダ伝票をプリントするのに先立って、当該受注データを、通信ネットワーク2を介してウェブサーバ20に送信する。このときにステーション12は、テーブル番号に代えて店舗コードを受注データに含める。店舗コードは、ステーション12が設置されている飲食店を識別するために予め定められた識別情報である。なお、ウェブサーバ20が、1つの飲食店から送信された受注データのみを処理するのであれば、受注データに店舗コードを含めなくてもよい。また、注文番号が複数の飲食店の間で重複しないように決定されるならば、受注データに店舗コードを含めなくてもよい。そしてステーション12は、ウェブサーバ20から後述するようにしてURL(uniform resource locator)が通知されると、これを受け取る。そしてステーション12は、上記のオーダ伝票に、上記のURLをセットした2次元コードを追加して表すように伝票プリンタ13を制御する。なお、2次元コードに代えて、バーコードなどのような別のコードシンボルを用いてもよい。
【0044】
図5はウェブサーバ20におけるプロセッサ21が実行する情報処理の手順を示すフローチャートである。ウェブサーバ20が通常の動作状態にあるとき、プロセッサ21は、ウェブサーバアプリ23aに基づいて図5に示す情報処理を常時実行する。
【0045】
Act1としてプロセッサ21は、受注データが受信されるのを待ち受ける。
上述のようにステーション12から送信された受注データが通信ネットワーク2によってウェブサーバ20へと伝送されると、当該受注データを通信インタフェース24が受信する。このような受信が開始されたことに応じて、プロセッサ21はAct1にてYesと判定し、Act2へと進む。
【0046】
Act2としてプロセッサ21は、通信インタフェース24により受信される受注データを分担管理領域23bに保存する。
Act3としてプロセッサ21は、通信ネットワーク2を介してウェブサーバ20にアクセスするためのもので、かつAct2で保存した受注データに関連付いたURLを決定する。そしてプロセッサ21は、当該URLを、上記の受信された受注データの送信元であるステーション12へと通信ネットワーク4を介して通知する。このURLが、前述したオーダ伝票にプリントされる2次元コードにセットされる。
この後、プロセッサ21は、Act1へと戻り、次に受注データが受信されるのを待ち受ける。
【0047】
さて、飲食に係る代金の決済にあたって、A氏、B氏、C氏のうちの一人が、他の人が支払う分のお金を受け取った上で、一括で決済するものとする。そしてこの場合において、A氏、B氏、C氏のそれぞれが、自分の支払に関する事後確認を、電子レシートサービスを用いて行えるようにしたいとする。この場合にA氏、B氏、C氏はそれぞれ、情報端末3に、オーダ伝票にプリントされた2次元コードを読み取らせる。そして各人は、2次元コードにセットされたURLにアクセスするように、情報端末3を操作する。この操作に応じて情報端末3は、上記のURLによりウェブサーバ20へとアクセスする。このような情報端末3によるウェブサーバ20へのアクセスには、2次元コードの読み取りを行うアプリケーションと、ウェブブラウザとの連携により実現される周知の機能を用いることができる。あるいは、電子レシートサービスを利用するための情報端末3のアプリケーションに、2次元コードを読み取る機能と、ウェブブラウザの機能とを組み込んで、これらの機能により上記のアクセスを実現してもよい。
【0048】
図6はウェブサーバ20におけるプロセッサ21が実行する情報処理の手順を示すフローチャートである。ウェブサーバ20が通常の動作状態にあるとき、プロセッサ21は、ウェブサーバアプリ23aに基づいて、図5に示す処理とは別に当該情報処理を常時実行する。
【0049】
Act11としてプロセッサ21は、ウェブアクセスがなされるのを待ち受ける。そしてプロセッサ21は、上述のように情報端末3からのウェブアクセスがなされるとYesと判定し、Act12へと進む。
【0050】
Act12としてプロセッサ21は、情報端末3にてログイン画面を表示させるためのログイン画面データを、通信ネットワーク2を介して情報端末3に送信する。ログイン画面は、会員認証のための認証情報を情報端末3の操作者に入力させるための画面である。なお、ログイン画面は、ログインしないことを情報端末3の操作者が宣言するための操作も受け付けるものとする。
【0051】
情報端末3においてログイン画面が表示されたならば、情報端末3の操作者は、認証情報を入力する。典型的には、操作者は、自らに割り当てられた会員コードと、予め定めたパスワードとを入力する。そうすると情報端末3は、当該の入力された認証情報の通知を伴ってログインをウェブサーバ20に対して要求する。また情報端末3の操作者は、ログインすることなく、後述する操作を行いたい場合には、ログインしないことを宣言するための操作を行う。そうすると情報端末3は、非ログインをウェブサーバ20に対して指示する。
【0052】
Act13としてプロセッサ21は、非ログインが指示されたか否かを確認する。そしてプロセッサ21は、非ログインが指示されていないならばNoと判定し、Act14へと進む。
Act14としてプロセッサ21は、ログインが要求されたか否かを確認する。そしてプロセッサ21は、ログインが要求されていないならばNoと判定し、Act13へと戻る。
かくしてプロセッサ21はAct13及びAct14としては、非ログインが指示されるか、又はログインが要求されるのを待ち受ける。そしてプロセッサ21は、ログインが要求されたならばAct14にてYesと判定し、Act15へと進む。
【0053】
Act15としてプロセッサ21は、ログインの要求に際して通知された認証情報を用いた認証処理を行う。この認証処理は、周知の処理であってよい。そしてプロセッサ21は、認証に成功したならば、Act16へと進む。なお、認証に失敗した場合の処理については図示を省略している。プロセッサ21は例えば、認証エラーを情報端末3に通知した上で、Act11又はAct12へと戻る。
【0054】
Act16としてプロセッサ21は、認証情報に含まれた会員コードを支払者コードとして設定する。
【0055】
一方、プロセッサ21は、情報端末から非ログインが指示されたならばAct13にてYesと判定し、Act17へと進む。
Act17としてプロセッサ21は、情報端末3のIPアドレスを支払者コードとして設定する。なお、ここでは、情報端末3を一時的に識別できる任意の情報をIPアドレスに代えて用いることができる。
【0056】
プロセッサ21は、Act16又はAct17にて支払者コードを設定し終えたならば、いずれの場合もAct18へと進む。
Act18としてプロセッサ21は、情報端末3にて設定画面を表示させるための設定画面データを、通信ネットワーク2を介して情報端末3に送信する。設定画面は、編集対象とされた1つの受注データに示されている商品の中から情報端末3の操作者が代金を支払う商品を操作者に選択させるための画面である。プロセッサ21は、分担管理領域23bに記憶された受注データのうちで、情報端末3からのアクセスに使用されたURLに関連付けられているものを編集対象とする。
【0057】
図7は一例としての設定画面100を示す図である。
設定画面100は、図4に示す受注データに基づいてプロセッサ21が生成したものである。設定画面100は、表示欄110,120及びボタン130,140を含む。
【0058】
表示欄110は、編集対象の受注データに示された商品の一覧を示すとともに、各商品の品名の横にそれぞれ、チェックボックス111を配置している。チェックボックス111はそれぞれ、横に並ぶ品名の商品に関連付けられている。
【0059】
表示欄120は、設定画面100を表示している情報端末3の操作者が自己の支払い分として指定した商品の一覧と、その商品の金額の合計とを示す。しかし、図7に示す初期の設定画面100では、いずれの商品も指定されていないために、商品の情報は示されず、また合計も「0」とされている。表示欄120はさらに、入力欄121を含む。入力欄121は、情報端末3の操作者が、自らが支払う任意の金額を入力するためのものである。
【0060】
ボタン130は、設定画面100に対して行った設定操作を取り消すことを操作者が宣言するためのものである。
ボタン140は、設定画面100に対して行った設定操作による設定を確定することを操作者が宣言するためのものである。
【0061】
Act19としてプロセッサ21は、情報端末3で表示中の設定画面において、分担変更がなされたか否かを確認する。そしてプロセッサ21は、分担変更がなされていなければNoと判定し、Act20へと進む。
Act20としてプロセッサ21は、情報端末3で表示中の設定画面において、支払額が入力されたか否かを確認する。そしてプロセッサ21は、支払額が入力されていなければNoと判定し、Act21へと進む。
Act21としてプロセッサ21は、情報端末3で表示中の設定画面において、取消宣言がなされたか否かを確認する。そしてプロセッサ21は、取消宣言がなされていなければNoと判定し、Act22へと進む。
Act22としてプロセッサ21は、情報端末3で表示中の設定画面において、確定宣言がなされたか否かを確認する。そしてプロセッサ21は、確定宣言がなされていなければNoと判定し、Act19へと戻る。
かくしてプロセッサ21はAct19−Act22においては、分担変更、支払額の入力、取消宣言及び確定宣言のいずれかがなされるのを待ち受ける。
【0062】
情報端末3の操作者は、設定画面100の表示欄110に示された商品の一覧の中から、自らが代金を支払う商品を選び出し、その商品に関連付けられているチェックボックスにチェックを入れるように情報端末3を操作する。
具体的には、まずA氏が、「サラダ」及び「グラタン」に関連付けられたチェックボックスにチェックを入れるように情報端末3を操作する。そうするとこの操作結果は、情報端末3からウェブサーバ20へと通知される。このような通知を受けるとプロセッサ21は、分担が変更されたとしてAct19にてYesと判定し、Act23へと進む。
Act23としてプロセッサ21は、編集対象の受注データを更新する。
【0063】
図8は更新された後の受注データを模式的に示す図である。
プロセッサ21は、注文情報における各レコードに、支払者コードのフィールドが付加されていなければ、当該フィールドを付加する。またプロセッサ21は、チェックが入れられたチェックボックスが関連付けられている商品に関するレコードに付加した支払者コードのフィールドに、支払者コードを記述する。ここでは、操作者がA氏であるから、支払者コードにはA氏の会員コードが設定されている。従って、図8に示すように「サラダ」及び「グラタン」に関連付けられた支払者コードのフィールドには、「ID1」がそれぞれ記述される。かくして、プロセッサ21は、取引の対象となるアイテムである「サラダ」及び「グラタン」について、会員コード「ID1」で識別される会員を支払者として決定しているのである。つまりウェブサーバアプリ23aに基づく情報処理をプロセッサ21が実行することによって、プロセッサ21を中枢部分とするコンピュータは決定手段として機能する。そしてウェブサーバ20は、この決定手段を備えた第1の情報処理装置の一例である。
【0064】
またプロセッサ21は、受注データに支払情報を追加する。
支払情報は、支払者コード、合計額及び支払額を互いに関連付けて示すレコードを含む。支払者コードは、注文情報の支払者コードのフィールドに記述されているコードである。合計額は、それに関連付けられた支払者コードが注文情報にて関連付けられている商品の価格の合計額である。また支払額は、それに関連付けられた支払者コードで識別される客が支払う金額である。プロセッサ21は、「サラダ」の価格である「380」と、「グラタン」の価格である「550」の和である「930」を合計額として記述している。プロセッサ21は、入力欄121に支払額が入力されていないときには、合計額をそのまま支払額とする。
【0065】
プロセッサ21は、Act23として受注データを更新し終えたならば、Act18以降の処理を繰り返す。つまりプロセッサ21は、情報端末3での表示を、更新後の受注データに応じた設定画面に更新したのち、Act19−Act22の待受状態に戻る。
【0066】
図9は一例としての設定画面200を示す図である。なお、図9に示される要素のうち、図7に示されるのと同一の要素については、同一の符号を付している。
設定画面200は、図8に示す受注データに基づいてプロセッサ21が生成したものである。設定画面200は、表示欄110,220の内部の表示情報が設定画面100とは異なっている。
【0067】
表示欄110は、設定画面100における表示情報に加えて、「サラダ」及び「グラタン」に関連付けられたチェックボックス111にチェックマークを表している。
【0068】
表示欄120は、表示欄120における表示情報に加えて、文字列「サラダ」「380」「グラタン」「550」「930」「930」を表している。文字列「サラダ」「380」「グラタン」「550」は、編集対象の受注データの注文情報のレコードのうちで、A氏の会員IDが記述された支払者コードのフィールドを含んだレコードに示された品名及び金額である。また文字列「930」「930」は、支払情報にA氏の会員IDに関連付けて含まれる合計額及び支払額である。
【0069】
情報端末3の操作者は、指定した商品の合計額とは異なる金額を支払う場合には、その金額を入力欄121に入力するように情報端末3を操作する。そうするとこの操作結果は、情報端末3からウェブサーバ20へと通知される。このような通知を受けるとプロセッサ21はAct20にてYesと判定し、Act24へと進む。
【0070】
Act24としてプロセッサ21は、支払情報のうちの支払額を、入力欄121に入力された金額に変更するように編集対象の受注データを更新する。具体的には、A氏が入力欄121に「1,000」と入力したならば、支払情報のうちの支払額を、「1,000」に書き替える。なおプロセッサ21は、Act23が行われるのよりも先に入力欄121への金額入力がなされた場合には、Act24として、合計額を「0」、支払額を「1,000」とした支払情報を受注データに追加する。そしてプロセッサ21はこの後、Act18以降の処理を繰り返す。つまりプロセッサ21は、情報端末3での表示を、更新後の受注データに応じた設定画面に更新したのち、Act19−Act22の待受状態に戻る。
【0071】
情報端末3の操作者は、これまでに行った商品の指定及び支払額の入力の全てを取り消したいならば、ボタン130を押下するように情報端末3を操作する。そうするとこの操作結果は、情報端末3からウェブサーバ20へと通知される。このような通知を受けるとプロセッサ21はAct21にてYesと判定し、Act25へと進む。
【0072】
Act25としてプロセッサ21は、受注データを、Act23及びAct24での更新がなされる前の状態に戻す。このためにプロセッサ21は、編集前の受注データの全てをバックアップしておいてもよいし、変更した情報に関する当初の情報のみをバックアップしておいてもよい。そしてプロセッサ21はこの後、Act18以降の処理を繰り返す。つまりプロセッサ21は、情報端末3での表示を、例えば図7に示すような当初の設定画面に更新したのち、Act19−Act22の待受状態に戻る。
【0073】
情報端末3の操作者は、これまでに行った商品の指定及び支払額の入力により自己の分担条件を設定し終えたならば、ボタン140を押下するように情報端末3を操作する。そうするとこの操作結果は、情報端末3からウェブサーバ20へと通知される。このような通知を受けるとプロセッサ21はAct22にてYesと判定し、Act11の待受状態に戻る。かくして、この時点で補助記憶デバイス23に記憶されている受注データが有効なものとして確定される。
【0074】
さて、A氏に続いてB氏が情報端末3を用いてウェブサーバ20にアクセスすると、プロセッサ21は、図6に示す処理を上述と同様に実行する。このとき、ログインするのはB氏であるから、プロセッサ21は、Act16として、B氏の会員コードである「ID2」を支払者コードとしてセットする。そしてプロセッサ21は、B氏による商品の指定に応じては、Act23として指定された商品に関連付けて「ID2」を受注データに含める。またプロセッサ21は、Act23又はAct24を最初に実行する際には、支払情報に、支払者コードとして「ID2」を記述したレコードを追加する。
【0075】
図10図8に示す受注データを、B氏による指示に応じて更新したのちの受注データを示す図である。
【0076】
図10は、B氏が「ピザ」及び「ジュース」を指定するとともに、支払額として「1,000」を入力した場合である。このため、品名「ピザ」及び「ジュース」に関連付けて「ID2」がそれぞれ記述されている。また、「ピザ」及び「ジュース」の価格である「480」と「320」との和である「800」と、入力された支払額「1,000」とを「ID2」に関連付けたレコードが支払情報に追加されている。
【0077】
さらに続いてC氏が情報端末3を用いてウェブサーバ20にアクセスすると、プロセッサ21は、やはり図6に示す処理を上述と同様に実施する。なお、上記のB氏によるアクセスの場合も同様であるが、プロセッサ21はAct18において表示する設定画面は、既に他者により指定済みの商品と、まだ指定されていない商品と、現在の操作者により指定された商品とを、それぞれ区別可能に示すものとする。
【0078】
図11は受注データが図10に示す状態にあるときに、C氏の情報端末3に表示される最初の設定画面300を示す図である。なお、図11に示される要素のうち、図7に示されるのと同一の要素については、同一の符号を付している。
【0079】
設定画面300では表示欄110において、他者により指定済みの商品の商品名に関連付けられたチェックボックス112と、チェックマークとを破線により表すことにより、他者により指定済みであることが区別されている。
【0080】
またプロセッサ21は、未指定である最後の1つの商品が指定されたことに応じて移行する図6中のAct23としては、情報端末3の操作者に関する支払額を、注文情報に示された商品の総額から、支払情報に示された他者の支払額の和を差し引いた金額とする。
【0081】
図12図10に示す受注データを、C氏による指示に応じて更新したのちの受注データを示す図である。
図12は、C氏が「スパゲッティ」「コーヒー」及び「ケーキ」を指定し、支払額を入力していない状態を示している。このため、品名「スパゲッティ」「コーヒー」及び「ケーキ」に関連付けて「ID3」がそれぞれ記述されている。また支払者コード「ID3」を含んだレコードが支払情報に追加されている。当該支払情報のうちの支払額は、注文情報に示された全ての商品に対して支払者コードが記述されていることから、合計額の「1,550」ではなく、「1,280」となっている。これは、注文情報に示された商品の総額である「3,280」から、支払情報に示された他者の支払額「1,000」と「1,000」との和である「2,000」を差し引いた金額である。
【0082】
図13は受注データが図12に示す状態にあるときに、C氏の情報端末3に表示される設定画面400を示す図である。なお、図9に示される要素のうち、図7に示されるのと同一の要素については、同一の符号を付している。
図13に示すように、入力欄121には、C氏の意思とは関係なく上記のように決められた支払額が表示されている。プロセッサ21は、この状態においては入力欄121への支払額の入力を情報端末3に受け付けなくさせるか、あるいは入力欄121への支払額の入力に応じての図6中のAct24として受注データの更新を行わないようにする。ただし、支払額は、後述する決済における支払額として採用されるものではなく、全ての支払者の支払額の総計が、注文情報に示された商品全ての代金の額と相違することを許容することもできる。そこでこの場合には、プロセッサ21は、図13に示す入力欄121における支払額の入力を有効として図6中のAct24を行ってもよい。
【0083】
A氏、B氏、C氏は、飲食店から退店するならば、いずれか一人の代表者が、他者から、その者の支払額を受け取った上で、オーダ伝票を持ってチェックアウトカウンタに移動し、店員に会計を要求する。店員は、POS端末14を操作し、A氏、B氏、C氏からなるグループの飲食に係る代金を、ステーション12が記憶している受注データに基づいて一括で決済する。そしてPOS端末14は、決済を完了すると、当該決済に関する決済データをステーション12に通知する。決済データは、例えば適用した決済方法及び決済が完了した日時などを示す。また決済データは、例えば現金決済が適用されたのであるならば、預金額及び釣銭額などを含む。ステーション12は、決済の対象となった受注データと、上記の通知された決済データとを関連付けた取引データとして、内蔵又は外付けされた記憶デバイスに保存する。このような処理は、既存の同種の店舗システムにて行われているのと同様な処理である。また、ステーション12及びPOS端末14の動作も、既存のステーション及びPOS端末により行われている動作と、基本的には同様であってよい。ただしステーション12は、決済が完了すると、決済通知を、店舗コード及び注文番号の通知を伴ってウェブサーバ20に対して行う。
【0084】
またステーション12は、上記の代表者が電子レシートサービスの利用を希望する場合には、レシートサーバ30に対してレシート登録を要求する。なお、当該要求に際してステーション12は、上記の取引データと、代表者の会員IDとをレシートサーバ30に通知する。当該要求のためのステーション12での情報処理は、電子レシートサービスに対応した既存のステーション12で行われているものと同様であってよい。なお、当該要求は、POS端末14が、ステーション12及び通信ネットワーク2を介して行ってもよい。あるいは、POS端末14がステーション12を介することなしに通信ネットワーク2を介した通信を行えるようにしておき、POS端末14が通信ネットワーク2を介してレシートサーバ30に対する要求を直接的に行ってもよい。
【0085】
図14はウェブサーバ20におけるプロセッサ21が実行する情報処理の手順を示すフローチャートである。ウェブサーバ20が通常の動作状態にあるとき、プロセッサ21は、ウェブサーバアプリ23aに基づいて、図5及び図6に示す処理とは別に当該情報処理を常時実行する。
【0086】
Act31としてプロセッサ21は、決済通知がなされるのを待ち受ける。
プロセッサ21は、上述のようにステーション12から決済通知がなされると、Act31にてYesと判定し、Act32へと進む。
【0087】
Act32としてプロセッサ21は、分担管理領域23bに記憶されている受注データの中から、決済通知とともに通知される店舗コード及び注文番号を含む1つを選択する。以下、ここで選択した受注データを選択受注データと称する。
【0088】
Act33としてプロセッサ21は、選択受注データに基づいて、支払者別データを生成する。プロセッサ21は、選択受注データに支払者コードとして含まれている会員コードのそれぞれについて、1つずつの支払者別データを生成する。
【0089】
図15は支払者別データの1つを示す図である。
図15に示す支払者別データは、図12に示す受注データから会員コード「ID1」に関して生成されたものである。
【0090】
支払者別データは、1つの会員コードに、上記の選択した受注データに含まれている注文番号及び店舗コードなどの管理情報と、注文情報及び支払情報とを関連付けたものである。
具体的にはプロセッサ21は、次のようにして図12に示す受注データから図15に示す支払者別データを生成する。
【0091】
プロセッサ21は、選択受注データに含まれる注文情報に支払者コードとして記述されている会員コードの1つとして「ID1」を取得する。プロセッサ21は、選択受注データに含まれる注文情報から、会員コード「ID1」を支払者コードとして含むレコードを抽出する。プロセッサ21は、抽出したレコードのそれぞれから支払者コードを省いたレコードの集合として、新たな注文情報を生成する。プロセッサ21は、選択受注データに含まれる支払情報に含まれ、かつ会員コード「ID1」支払者コードとして含んだレコードを抽出する。プロセッサ21は、抽出したレコードから支払者コードを省いたものとして新たな支払情報を生成する。そしてプロセッサは、会員コード「ID1」に、選択受注データに含まれている注文番号及び店舗コードなどの管理情報と、上記の新たに生成した注文情報及び支払情報とを関連付けたデータとして、会員コード「ID1」に関する支払者別データを生成する。
プロセッサ21は、会員コード「ID2」及び「ID3」についても、同様にして支払者別データを生成する。
かくして支払者別データのうちの注文情報は、同一の支払者が代金を支払うものとして決定されているアイテムとしての商品のリストである支払者別リストを示す。
【0092】
Act34としてプロセッサ21は、レシートサーバ30に対して、上記のように生成した支払者別データの全ての通知を伴って、通信ネットワーク4を介してレシート登録を要求する。具体的にはプロセッサ21は、支払者別データの全てを含んだ登録要求情報を、レシートサーバ30に対して通信インタフェース24から送信させる。かくしてウェブサーバアプリ23aに基づく情報処理をプロセッサ21が実行することによって、プロセッサ21を中枢部分とするコンピュータによる制御の下での通信インタフェース24の動作により、送信手段としての機能が実現される。この後、プロセッサ21は、Act31へと戻り、次に決済通知がなされるのを待ち受ける。
【0093】
そして上記のようにウェブサーバ20から、又は前述のようにステーション12から、レシート登録の要求がなされると、レシートサーバ30においては、登録要求情報を通信インタフェース34が受信する。かくして通信インタフェース34は、受信手段として機能する。
【0094】
図16はレシートサーバ30におけるプロセッサ31が実行する情報処理の手順を示すフローチャートである。レシートサーバ30が通常の動作状態にあるとき、プロセッサ31は、レシートサーバアプリ33aに基づいて当該情報処理を常時実行する。
【0095】
Act41としてプロセッサ31は、レシート登録が要求されるのを待ち受ける。そして通信インタフェース34が上記のように登録要求情報を受信したならばYesと判定し、Act42へと進む。
Act42としてプロセッサ31は、当該要求に関して支払者別データが通知されているか否かを確認する。そして当該要求がウェブサーバ20によりなされたものであり、支払者別データが通知されているならばYesと判定し、Act43へと進む。
【0096】
Act43としてプロセッサ31は、通知された支払者別データに示された情報を反映するように、分担管理データベース33cを更新する。つまり分担管理データベース33cは、支払者別データに示された情報を蓄積したものとなる。支払者別データのうちの注文情報は、同一の支払者が代金を支払うものとして決定されているアイテムとしての商品のリストである支払者別リストを示す。かくして補助記憶デバイス33のうちの分担管理データベース33cを記憶する領域は、第1の記憶デバイスとして機能する。そしてレシートサーバアプリ33aに基づく情報処理をプロセッサ31が実行することによって、プロセッサ31を中枢部分とするコンピュータは第1の記憶制御手段として機能する。
【0097】
一方、プロセッサ31は、レシート登録の要求がステーション12によりなされたものであり、支払者別データが通知されていないならば、Act42にてNoと判定し、Act44へと進む。つまり、プロセッサ31は、ステーション12からの要求であって、取引データ及び会員IDが通知されているのならば、Act44へと進む。
【0098】
Act44としてプロセッサ31は、通知された取引データに示された情報を、通知された会員IDに関する電子レシートの情報として持つように電子レシートデータベース33bを更新する。つまり電子レシートデータベース33bは、取引の内容及び決済の状況のように取引毎のレシートに表すべき情報を蓄積したものとなる。ここで、取引データは上述の通り、グループでの注文商品のリストを含む。つまり、取引データは、1件の取引の対象となる複数のアイテムとしての商品のリストである取引リストを示す。かくして補助記憶デバイス33のうちの電子レシートデータベース33bを記憶する領域は、決済者を識別する会員IDに関連付けて取引リストを記憶する第2の記憶デバイスとして機能する。そしてレシートサーバアプリ33aに基づく情報処理をプロセッサ31が実行することによって、プロセッサ31を中枢部分とするコンピュータは第2の記憶制御手段として機能する。
【0099】
プロセッサ31は、Act43又はAct44での更新を終えたならば、Act41の待受状態に戻り、次のレシート登録の要求がなされるのを待ち受ける。
【0100】
なおプロセッサ31は、情報端末3又はその他の任意の情報端末からの会員による要求に応じて、電子レシートデータベース33bに基づき、過去の取引の内容及び決済状況を表した電子レシートデータ生成する。そしてプロセッサ31は、当該電子レシートデータを、要求元の情報端末に対して通信インタフェース34から送信させる。これは例えば、既存のレシートサーバに備えられたプロセッサが、周知の電子レシートサービスを提供するために実現しているのと同様な処理であってよい。プロセッサ31は、電子レシートデータには、1件の取引の対象となる複数のアイテムとしての商品のリストである取引リストを少なくとも含める。かくしてレシートサーバアプリ33aに基づく情報処理をプロセッサ31が実行することによって、プロセッサ31を中枢部分とするコンピュータによる制御の下での通信インタフェース34の動作により、第2の出力手段としての機能が実現される。
【0101】
これに加えてプロセッサ31は、情報端末3又はその他の任意の情報端末からの会員による要求に応じて、分担管理データベース33cに基づき、過去の支払分担に係る会員の支払状況を表した支払状況データを生成する。そしてプロセッサ31は、当該支払状況データを、要求元の情報端末に対して通信インタフェース34から送信させる。なおプロセッサ31は、この支払状況データには、会員が代金を支払った商品のリストを少なくとも含める。かくしてレシートサーバアプリ33aに基づく情報処理をプロセッサ31が実行することによって、プロセッサ31を中枢部分とするコンピュータによる制御の下での通信インタフェース34の動作により、第1の出力手段としての機能が実現される。そしてレシートサーバ30は、第1の記憶制御手段及び第1の出力手段を備えた第2の情報処理装置の一例である。
【0102】
以上のように販売データ管理システム1によれば、会員は、支払状況データに基づいて、複数の支払人が属するグループで一括決済した取引に関して、会員自身がどのような支払を行ったのかを、電子レシートサービスを利用して事後に確認することが可能となる。
【0103】
また販売データ管理システム1によれば、レシートサーバ30においては、電子レシートデータベース33bと分担管理データベース33cとにより、取引に関する内容及び決済状況と、支払分担に係る支払状況とを、それぞれ区別して管理している。従って、支払の証明として利用できる電子レシートデータと、支払の証明として利用できない支払状況データとを明確に区別できる。
【0104】
また販売データ管理システム1によれば、1人の支払人が代金の支払いをする商品を特定していながらも、それらの商品の価格の合計金額とは異なる支払額を設定可能としている。これにより、複数の支払人の間で、例えば端数分などについての支払額の調整を行った場合に、その様子を会員が事後確認することが可能である。
【0105】
また販売データ管理システム1によれば、支払者コードとしてIPアドレスを用いることにより、商品の支払い分担の指定に関しては、会員以外でも行うことを可能としている。このため、会員ではない支払人が含まれる場合であっても、商品毎の支払者を明らかとすることができ、商品の支払い分担の指定を適切かつ容易とすることができる。すなわち、商品の支払い分担の指定を会員しか行えないこととすると、非会員の支払人が含まれる場合には、その支払人が代金を支払う商品に関しては最後まで支払人が特定されないこととなる。このような状況では、商品の指定漏れが生じる恐れがあり、正確性が低下するし、当該指定漏れを防止するためには会員が注意深く支払分担の指定を行わなければならないために、その作業が面倒なものとなる。これに対して販売データ管理システム1によれば、全ての支払人が支払分担の指定を行ったのちに、指定されていない商品があれば、それは指定漏れの商品であることが分かる。その場合は、その商品の指定を支払人の誰かが改めて行えば、指定漏れの無い状態で支払分担の様子を管理できる。
【0106】
この実施形態は、次のような種々の変形実施が可能である。
飲食店で提供される商品以外の任意のアイテムについてのリストを処理対象としてもよい。そしてアイテムは、物品等の有体なものには限らず、サービス等の無体なものであってもよい。
【0107】
支払者別データを取引データと同様に扱うことが許容されるならば、プロセッサ31は、支払者データに基づいて電子レシートデータを生成し、要求元の情報端末へと送信してもよい。そしてこの場合には、電子レシートデータベース33bと分担管理データベース33cとを統合してもよい。
【0108】
ウェブサーバ20の機能と、レシートサーバ30の機能とを、単一のサーバ装置において実現してもよい。
【0109】
電子レシートデータベース33b及び分担管理データベース33cは、別々の記憶デバイスに設けられてもよい。また電子レシートデータベース33b及び分担管理データベース33cの少なくとも一方は、レシートサーバ30に外付けされた記憶デバイスに設けられてもよい。
【0110】
プロセッサ21又はプロセッサ31が行う前述した情報処理の一部は省略してもよい。例えば、プロセッサ21は、Act13及びAct17を行わないようにし、会員のみによる指示に応じて受注データを更新してもよい。
【0111】
ウェブサーバ20にアクセスするためのURLは、上記実施形態とは別の任意の形態で客に提示されてもよい。例えばオーダ伝票とは別に、2次元コードを表した伝票をプリントアウトしてもよい。また、飲食店のテーブルに備え付けられたテーブル端末の表示器に、2次元コードを表示させてもよい。また、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)、あるいはNFC(near field communication)などを用いて、テーブル等に備えたアンテナ又はタグなどから、上記のURLを無線通信により情報端末3へと与えてもよい。
【0112】
制御処理によりプロセッサ21又はプロセッサ31が実現する各機能は、その一部または全てをロジック回路などのようなプログラムに基づかない情報処理を実行するハードウェアにより実現することも可能である。また上記の各機能のそれぞれは、上記のロジック回路などのハードウェアにソフトウェア制御を組み合わせて実現することも可能である。
【0113】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0114】
1…販売データ管理システム、2…通信ネットワーク、3…情報端末、4…通信ネットワーク、10…店舗システム、11…ハンディ端末、12…ステーション、13…伝票プリンタ、14…POS端末、15…LAN、16…無線アクセスポイント、20…ウェブサーバ、21…プロセッサ、22…メインメモリ、23…補助記憶デバイス、23a…ウェブサーバアプリ、23b…分担管理領域、24…通信インタフェース、25…伝送システム、30…レシートサーバ、31…プロセッサ、32…メインメモリ、33…補助記憶デバイス、33a…レシートサーバアプリ、33b…電子レシートデータベース、33c…分担管理データベース、34…通信インタフェース、35…伝送システム、100…設定画面。
図1
図2
図3
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図5
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図8
図9
図10
図11
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