(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記所定速度は、前記傾斜角度が「0」よりも小さい所定の角度の場合、前記傾斜角度が「0」の場合よりも低い、請求項3および5〜7のいずれか一項に記載の自転車用制御装置。
前記所定速度は、前記傾斜角度の絶対値が「0」よりも大きい所定の角度の場合、前記傾斜角度の絶対値が「0」の場合よりも低い、請求項2〜9のいずれか一項に記載の自転車用制御装置。
前記所定速度は、前記傾斜角度の絶対値が「0」よりも大きい場合、前記傾斜角度の絶対値が大きくなるほど低くなる、請求項2〜10のいずれか一項に記載の自転車用制御装置。
前記傾斜角度の絶対値に対応する前記所定速度は、前記傾斜角度が「0」よりも大きい場合と、前記傾斜角度が「0」よりも小さい場合とで少なくとも一部が異なる、請求項10または11に記載の自転車用制御装置。
前記制御部は、前記自転車の押し歩きをアシストする押し歩きモードで前記モータを制御可能であり、前記押し歩きモードにおいて前記自転車の走行速度が、前記所定速度以下の場合に、前記モータに前記自転車の押し歩きをアシストさせる、請求項1〜16のいずれか一項に記載の自転車用制御装置。
前記制御部は、前記自転車に入力される人力駆動力に応じて前記自転車の推進をアシストするアシストモードで前記モータを制御可能であり、前記アシストモードにおいて、前記自転車の走行速度が、前記所定速度以下の場合に、前記モータに前記自転車の推進をアシストさせる、請求項1〜16のいずれか一項に記載の自転車用制御装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
適切な自転車の走行速度はその時々に応じて異なるが、特許文献1の自転車用制御装置ではこの点が考慮されていない。
本発明の目的は、モータを好適に制御が可能な自転車用制御装置およびこの制御装置を含む自転車用駆動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1側面に従う自転車用制御装置の一形態は、自転車の推進をアシストするモータを制御する制御部を含み、前記制御部は、前記自転車の走行速度が所定速度以下の場合に、前記モータに前記自転車の推進をアシストさせ、前記所定速度は、前記自転車の使用環境および前記自転車の姿勢の少なくとも一方に応じて変更される。
上記第1側面に従えば、自転車の使用環境および自転車の姿勢の少なくとも一方に応じてモータを好適に制御できる。
【0006】
前記第1側面に従う第2側面の自転車用制御装置において、前記使用環境は、前記自転車が走行する路面の傾斜角度を含む。
上記第2側面に従えば、路面の傾斜角度に適したモータの制御を行うことができる。
【0007】
前記第2側面に従う第3側面の自転車用制御装置において、前記路面の前記傾斜角度は、前記自転車が走行する方向における水平面に対する傾斜角度を含む。
上記第3側面に従えば、自転車が坂道を走行する場合に路面の傾斜角度に適したモータの制御を行うことができる。
【0008】
前記第1側面に従う第4側面の自転車用制御装置において、前記姿勢は、前記自転車の傾斜角度を含む。
上記第4側面に従えば、自転車の傾斜角度に適したモータの制御を行うことができる。
【0009】
前記第4側面に従う第5側面の自転車用制御装置において、前記自転車の前記傾斜角度は、前記自転車の前後方向の水平面に対する傾斜角度を含む。
上記第5側面に従えば、自転車が坂道を走行する場合に自転車の傾斜角度に適したモータの制御を行うことができる。
【0010】
前記第3または第5側面に従う第6側面の自転車用制御装置において、前記所定速度は、前記傾斜角度が「0」よりも大きい所定の角度の場合、前記傾斜角度が「0」の場合よりも低い。
上記第6側面に従えば、傾斜角度が「0」よりも大きい所定の角度の場合には、傾斜角度が「0」の場合よりも、モータによるアシストを停止させる自転車の走行速度を低くできる。
【0011】
前記第3、第5、または、第6側面に従う第7側面の自転車用制御装置において、前記所定速度は、前記傾斜角度が「0」よりも大きい場合、前記傾斜角度が大きくなるほど低くなる。
上記第7側面に従えば、傾斜角度が「0」よりも大きい場合には、傾斜角度が大きくなるほど、モータによるアシストを停止させる自転車の走行速度を低くできる。
【0012】
前記第3および第5〜第7側面のいずれか一つに従う第8側面の自転車用制御装置において、前記所定速度は、前記傾斜角度が「0」よりも小さい所定の角度の場合、前記傾斜角度が「0」の場合よりも低い。
上記第8側面に従えば、傾斜角度が「0」よりも小さい所定の角度の場合には、傾斜角度が「0」の場合よりも、モータによるアシストを停止させる自転車の走行速度を低くできる。
【0013】
前記第3および第5〜8側面のいずれか一つに従う第9側面の自転車用制御装置において、前記所定速度は、前記傾斜角度が「0」よりも小さい場合、前記傾斜角度が小さくなるほど低くなる。
上記第9側面に従えば、傾斜角度が「0」よりも小さい場合には、傾斜角度が小さくなるほど、モータによるアシストを停止させる自転車の走行速度を低くできる。
【0014】
前記第2〜第9側面のいずれか一つに従う第10側面の自転車用制御装置において、前記所定速度は、前記傾斜角度の絶対値が「0」よりも大きい所定の角度の場合、前記傾斜角度の絶対値が「0」の場合よりも低い。
上記第10側面に従えば、傾斜角度が「0」よりも大きい場合および小さい場合には、傾斜角度が「0」の場合よりも、モータによるアシストを停止させる自転車の走行速度を低くできる。
【0015】
前記第2〜第10側面のいずれか一つに従う第11側面の自転車用制御装置において、前記所定速度は、前記傾斜角度の絶対値が「0」よりも大きい場合、前記傾斜角度の絶対値が大きくなるほど低くなる。
上記第11側面に従えば、傾斜角度が「0」よりも大きい場合には、傾斜角度が大きくなるほど
、モータによるアシストを停止させる自転車の走行速度を低くできる。また、傾斜角度が「0」よりも小さい場合には、傾斜角度が小さくなるほど、モータによるアシストを停止させる自転車の走行速度を低くできる。
【0016】
前記第10または第11側面に従う第12側面の自転車用制御装置において、前記傾斜角度の絶対値に対応する前記所定速度は、前記傾斜角度が「0」よりも大きい場合と、前記傾斜角度が「0」よりも小さい場合とで少なくとも一部が異なる。
上記第12側面に従えば、傾斜角度が「0」よりも大きい場合と、傾斜角度が「0」よ
りも小さい場合とで、それぞれに応じたモータの制御を行うことができる。
【0017】
前記第1〜第12側面のいずれか一つに従う第13側面の自転車用制御装置において、前記使用環境および前記自転車の姿勢の少なくとも一方を検出する検出部をさらに含み、前記制御部は、前記検出部の出力に応じて前記所定速度を変更する。
上記第13側面に従えば、検出部によって制御部は好適に所定速度を変更できる。
【0018】
前記第13側面に従う第14側面の自転車用制御装置において、前記検出部は、前記自転車の傾斜角度を検出する傾斜センサを含む。
上記第14側面に従えば、傾斜センサによって自転車の傾斜角度を好適に検出できる。
【0019】
前記第14側面に従う第15側面の自転車用制御装置において、前記傾斜センサは、前記自転車のピッチ角度を検出する。
上記第15側面に従えば、制御部はピッチ角度に応じたモータの制御を行うことができる。
【0020】
前記第1〜第15側面のいずれか一つに従う第16側面の自転車用制御装置において、前記制御部は、前記自転車の押し歩きをアシストする押し歩きモードで前記モータを制御可能であり、前記押し歩きモードにおいて前記自転車の走行速度が、前記所定速度以下の場合に、前記モータに前記自転車の押し歩きをアシストさせる。
上記第16側面に従えば、押し歩きモードにおいて、制御部は自転車の使用環境および自転車の姿勢の少なくとも一方に応じたモータの制御を行うことができる。
【0021】
前記第1〜第15側面のいずれか一つに従う第17側面の自転車用制御装置において、前記制御部は、前記自転車に入力される人力駆動力に応じて前記自転車の推進をアシストするアシストモードで前記モータを制御可能であり、前記アシストモードにおいて、前記自転車の走行速度が、前記所定速度以下の場合に、前記モータに前記自転車の推進をアシストさせる。
上記第17側面に従えば、アシストモードにおいて、制御部は自転車の使用環境および自転車の姿勢の少なくとも一方に応じたモータの制御を行うことができる。
【0022】
本発明の第18側面に従う自転車用駆動装置の一形態は、前記第16側面の自転車用制御装置と、前記モータと、前記モータの回転力を前記自転車の車輪に伝達可能であり、かつ前記車輪からの回転力が前記モータに伝達可能に構成される伝達機構とを含み、前記制御部は、前記押し歩きモードにおいて前記自転車が下り坂を走行している場合、前記自転車を制動するようにモータを駆動する。
上記第18側面に従えば、押し歩きモードにおいて自転車が下り坂を走行している場合に、制御部はモータによって自転車を制動して、自転車の走行速度を抑制することができる。
【0023】
本発明の第19側面に従う自転車用駆動装置の一形態は、前記第16側面の自転車用制御装置と、前記モータと、前記モータの回転力を前記自転車の車輪に伝達する伝達機構とを含み、前記伝達機構は、前記モータと前記車輪との間の動力伝達経路に、ワンウェイクラッチを含み、前記制御部は、前記押し歩きモードにおいて前記自転車が下り坂を走行している場合、前記モータによる前記自転車の押し歩きのアシストを停止する。
上記第19側面に従えば、押し歩きモードにおいて自転車が下り坂を走行している場合に、モータによるアシストを停止することによって、電力の消費を抑制できる。
【0024】
本発明の第20側面に従う自転車用制御装置の一形態は、自転車の推進をアシストするモータを制御する制御部を含み、前記制御部は、前記モータの回転速度が所定速度以下の場合に、前記モータに前記自転車の推進をアシストさせ、前記所定速度は、前記自転車の使用環境および前記自転車の姿勢の少なくとも一方に応じて変更される。
上記第20側面に従えば、自転車の推進をアシストする場合に、自転車の使用環境および自転車の姿勢の少なくとも一方に応じてモータを好適に制御できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の自転車用制御装置およびこの制御装置を含む自転車用駆動装置は、モータを好適に制御できる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(第1実施形態)
図1を参照して、第1実施形態の自転車用制御装置50および自転車用駆動装置30を搭載する自転車10について説明する。
【0028】
自転車10は、フレーム12、フレーム12に支持される駆動機構14、および、自転車用駆動装置30を備える。
駆動機構14は、クランク16およびペダル18を含む。クランク16は、クランク軸16Aおよびクランクアーム16Bを含む。駆動機構14は、ペダル18に加えられた人力駆動力を後輪WRに伝達する。駆動機構14は、クランク軸16Aにワンウェイクラッチ44Aを介して結合されるフロント回転体20を含む。ワンウェイクラッチ44Aは、クランク16が前転した場合に、フロント回転体20を前転させ、クランク16が後転した場合に、フロント回転体20を後転させないように構成される。ワンウェイクラッチ44Aは、省略されてもよい。フロント回転体20は、スプロケット、プーリーまたはベベルギアを含む。フロント回転体20は、クランク軸16Aにワンウェイクラッチを介さずに結合してもよい。駆動機構14は、例えば、チェーン、ベルト、またはシャフトを介して、クランク16の回転を後輪WRに結合されるリア回転体22に伝達するように構成される。リア回転体22は、スプロケット、プーリーまたはベベルギアを含む。リア回転体22と後輪WRとの間には、ワンウェイクラッチ44Bが設けられている。ワンウェイクラッチ44Bは、リア回転体22が前転した場合に、後輪WRを前転させ、リア回転体22が後転した場合に、
後輪WRを後転させないように構成される。
【0029】
図2に示されるとおり、自転車用駆動装置30は、自転車用制御装置50と、モータ32と、伝達機構34とを含む。
図4に示されるとおり、自転車用駆動装置30は、モータ32の駆動回路36、操作部38、および、バッテリ40をさらに含む。
【0030】
図1に示されるとおり、モータ32および駆動回路36は、同一のハウジング42に収容される。
図4に示される駆動回路36は、バッテリ40からモータ32に供給される電力を制御する。モータ32は、自転車10の推進をアシストする。モータ32は、電気モータを含む。モータ32は、ペダル18から後輪WRまでの人力駆動力の伝達経路に回転を伝達するように設けられる。モータ32は、クランク軸16Aからフロント回転体20までの人力駆動力の伝達経路に結合される。ハウジング42には、モータ32および駆動回路36以外の構成が設けられてもよく、例えばモータ32の回転を減速して出力する減速機が設けられてもよい。
【0031】
図2に示されるとおり、伝達機構34は、モータ32の回転力を自転車10の車輪Wに伝達する。一例では、伝達機構34は、モータ32の回転力を自転車10の後輪WRに伝達する。伝達機構34は、モータ32と車輪Wとの間の動力伝達経路Rに、ワンウェイクラッチ44B,44C含む。ワンウェイクラッチ44Cは、車輪W
を自転車10
が後進する方向に回転させた場合、および、クランク軸16Aを自転車10が前進する方向に回転させた場合にクランク16の回転力によってモータ32が回転しないように設けられる。一例では、ワンウェイクラッチ44Cは、モータ32と出力部46との間に設けられる。出力部46は、クランク軸16Aとフロント回転体20とを連結する。ワンウェイクラッチ44B,44Cの少なくとも一方を省略してもよい。
【0032】
図3に示される操作部38は、ライダーが操作可能である。操作部38は、自転車10のハンドルバー12Hに取り付けられる。操作部38は、自転車用制御装置50の制御部52と通信可能である。操作部38は、制御部52と有線または無線によって通信可能に接続されている。操作部38は、例えばPLC(Power Line Communication)によって制御部52と通信可能である。ライダーによって操作部38が操作されることによって、操作部38は、制御部52に出力信号を送信する。操作部38は、モータ32によるアシストモードを変更するための第1スイッチ38Aおよび第2スイッチ38Bを含む。操作部38は、たとえば操作部材と、操作部材の動きを検出し、第1スイッチ38Aおよび第2スイッチ38Bを構成するセンサと、センサの出力信号に応じて、制御部52と通信を行う電気回路とを含む(いずれも図示略)。
【0033】
図1に示されるバッテリ40は、1または複数のバッテリセルを含むバッテリユニット40A、およびバッテリユニット40Aを支持するバッテリホルダ40Bを含む。バッテリセルは、充電池を含む。バッテリ40は、自転車10に搭載され、バッテリ40と有線で電気的に接続されている他の電気部品、例えば、モータ32および自転車用制御装置50に電力を供給する。
【0034】
図4に示されるとおり、自転車用制御装置50は、制御部52を含む。一例では、自転車用制御装置50は、記憶部54、トルクセンサ56、クランク回転センサ58、車速センサ60、および、検出部62をさらに含むことが好ましい。
【0035】
トルクセンサ56は、人力駆動力TAに応じた信号を出力する。トルクセンサ56は、ペダル18を介して駆動機構14に入力される人力駆動力TAを検出する。トルクセンサ56は、クランク軸16Aからフロント回転体20までの間の人力駆動力TAの伝達経路に設けられてもよく、クランク軸16Aまたはフロント回転体20に設けられてもよく、クランクアーム16Bまたはペダル18に設けられてもよい。トルクセンサ56は、例えば、歪センサ、磁歪センサ、光学センサ、および、圧力センサなどを用いて実現することができ、クランクアーム16Bまたはペダル18に加えられる人力駆動力TAに応じた信号を出力するセンサであれば、いずれのセンサを採用することもできる。
【0036】
クランク回転センサ58は、クランク16の回転角度CAを検出する。クランク回転センサ58は、自転車10のフレーム12またはモータ32のハウジング42に取り付けられる。クランク回転センサ58は、第1磁石M1の磁界を検出する第1素子58Aと、第2磁石M2との位置関係に応じた信号を出力する第2素子58Bとを含む。第1磁石M1は、クランク軸16Aまたはクランクアーム16Bに設けられ、クランク軸16Aに同軸に配置される。第1磁石M1は、環状の磁石であって、周方向に複数の磁極が交互に並んで配置されている。第1素子58Aは、フレーム12に対するクランク16の回転角度を検出する。第1素子58Aは、クランク16が1回転するとき、360度を同極の磁極の数で割った角度を1周期とした信号を出力する。クランク回転センサ58が検出可能なクランク16の回転角度の最小値は、180度以下であり、好ましくは15度であり、さらに好ましくは、6度である。第2磁石M2は、クランク軸16Aまたはクランクアーム16Bに設けられる。第2素子58Bは、フレーム12に対するクランク16の基準角度(例えば、クランク16の上死点または下死点)を検出する。第2素子58Bは、クランク軸16Aの1回転を1周期とした信号を出力する。
【0037】
クランク回転センサ58は、第1素子58Aおよび第2素子58Bに代えて、磁界の強度に応じた信号を出力する磁気センサを含んで構成されてもよい。この場合、第1磁石M1および第2磁石M2に代えて、その周方向に磁界の強度が変化する環状の磁石を、クランク軸16Aと同軸にクランク軸16Aに設ける。磁界の強度に応じた信号を出力する磁気センサを用いることによって、1つのセンサで、クランク16の回転速度Nおよびクランク16の回転角度を検出することができ、構成および組立を簡略化することができる。クランク回転センサ58は、クランク16の回転角度CAに加えて、クランク16の回転速度Nを検出することもできる。クランク16の回転速度Nは、第1素子58Aの出力、第2素子58Bの出力、および、磁気センサの出力のいずれを用いて検出してもよい。
【0038】
車速センサ60は、車輪Wの回転速度を検出する。車速センサ60は、有線または無線によって制御部52と電気的に接続されている。
図1に示されるとおり、車速センサ60は、フレーム12のチェーンステイに取り付けられる。車速センサ60は、後輪WRに取り付けられる磁石Mと車速センサ60との相対位置の変化に応じた信号を制御部52に出力する。車速センサ60は、リードスイッチを構成する磁性体リード、または、ホール素子を含むことが好ましい。
【0039】
図4に示す検出部62は、使用環境および自転車10の姿勢の少なくとも一方を検出する。姿勢は、自転車10の傾斜角度DAを含む。自転車10の傾斜角度DAは、自転車10の前後方向の水平面に対する傾斜角度DAを含む。検出部62は、自転車10の傾斜角度DAを検出する傾斜センサ62Aを含む。傾斜センサ62Aは、自転車10のピッチ角度を検出する。傾斜センサ62Aは、自転車10のロール角度およびヨー角度も検出可能に構成されることが好ましい。傾斜センサ62Aは、フレーム12(
図1参照)またはモータ32が設けられるハウジング42に設けられる。ハウジング42は、クランク16を回転可能に支持し、フレーム12に取り付けられている。傾斜センサ62Aは、有線または無線によって制御部52と通信可能に接続されている。傾斜センサ62Aは、3軸のジャイロセンサ62Bおよび3軸の加速度センサ62Cの少なくとも一方を含む。傾斜センサ62Aの出力は、3軸のそれぞれの姿勢角度、および、3軸のそれぞれの加速度の情報を含む。なお、3軸の姿勢角度は、ピッチ角度、ロール角度、および、ヨー角度である。ジャイロセンサ62Bの3軸と、加速度センサ62Cの3軸とは一致することが好ましい。傾斜センサ62Aは、
図1の自転車10の左右方向とピッチ角度の軸の延びる方向とが略一致するようにフレーム12またはハウジング42に取り付けられることが好ましい。
【0040】
制御部52は、予め定められる制御プログラムを実行する演算処理装置を含む。演算処理装置は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。制御部52は、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。制御部52は、さらにタイマを含む。記憶部54には、各種の制御プログラムおよび各種の制御処理に用いられる情報が記憶される。記憶部54は、例えば不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。制御部52および記憶部54は、たとえばハウジング42に収容される。
【0041】
制御部52は、車速センサ60の出力に基づいて自転車10の走行速度Vを演算する。
制御部52は、少なくとも傾斜センサ62Aの出力に基づいて自転車10の傾斜角度DAを演算する。傾斜角度DAは、自転車10の左右方向に延びる軸まわりの自転車10の前後方向の傾斜角度である。すなわち、傾斜角度DAは、自転車10のピッチ角度である。傾斜角度DAは、自転車10が水平な場所に設置されるときに「0」度になるように設定されている。このため、傾斜角度DAは、自転車10の走行路面の勾配と相関する。
【0042】
制御部52は、ジャイロセンサ62Bの出力からピッチ角度、ロール角度、および、ヨー角度を演算する。制御部52は、加速度センサ62C
の出力から自転車10の前後方向についての第1加速度ベクトルを演算する。制御部52は、車速センサ60の出力から第2加速度ベクトルを演算する。制御部52は、第1加速度ベクトルおよび第2加速度ベクトルに基づいて、ピッチ角度、ロール角度、および、ヨー角度を補正し、ピッチ角度、ロール角度、および、ヨー角度に含まれる誤差を低減する。具体的には、制御部52は、第1加速度ベクトルと第2加速度ベクトルとの差分に基づいてピッチ角度、ロール角度、および、ヨー角度のそれぞれの補正角度を演算する。制御部52は、補正角度をピッチ角度、ロール角度、および、ヨー角度に加算する。制御部52は、補正されたピッチ角度、ロール角度、ヨー角度、および、自転車10の傾斜角度の初期値に基づいて傾斜角度DAを演算する。なお、傾斜センサ62Aが自転車10の左右方向とピッチ角度の軸の延びる方向とが略一致するように自転車10に取り付けられている場合、ピッチ角度、ロール角度、および、自転車10の傾斜角度の初期値に基づいて傾斜角度DAを演算することができる。また、傾斜センサ62Aが自転車10の左右方向とピッチ角度の軸の延びる方向とが略一致し、かつ、自転車10の前後方向とロール角度の軸とが略一致するように自転車10に取り付けられている場合、ピッチ角度および自転車10の傾斜角度の初期値に基づいて傾斜角度DAを演算することができる。
【0043】
制御部52は、モータ32を制御する。制御部52は、自転車10の走行速度Vが所定速度VX以下の場合に、モータ32に自転車10の推進をアシストさせる。制御部52は、自転車10に入力される人力駆動力TAに応じて自転車10の推進をアシストするアシストモードでモータ32を制御可能である。制御部52は、自転車10の押し歩きをアシストする押し歩きモードでモータ32を制御可能である。制御部52は、操作部38の操作および各種センサの出力の少なくとも一方に応じて、アシストモードと押し歩きモードとを切り替える。
【0044】
所定速度VXは、アシストモードに適合した所定速度VX1および押し歩きモードに適合した所定速度VX2を含む。制御部52は、アシストモードにおいて、自転車10の走行速度Vが、所定速度VX1以下の場合に、モータ32に自転車10の推進をアシストさせる。所定速度VX1は、一例では時速25kmである。制御部52は、押し歩きモードにおいて自転車10の走行速度Vが、所定速度VX2以下の場合に、モータ32に自転車10の押し歩きをアシストさせる。
【0045】
アシストモードでは、制御部52は、人力駆動力TAに応じてモータ32を駆動する。アシストモードは、人力駆動力TAに対するモータ32の出力の比率(以下、「アシスト比」)の異なる複数のアシストモードおよびモータ32を駆動させないオフモードを含む。制御部52は、オフモードで
図3に示す操作部38の第1スイッチ38Aが操作されると、アシスト比の最も低いアシストモードに切り替える。制御部52は、アシストモードで、操作部38の第1スイッチ38Aが操作されると、アシスト比が一段階高いモードに切り替える。制御部52は、アシスト比が最も高いアシストモードの場合に、操作部38の第1スイッチ38Aが操作されると、アシスト比が最も高いアシストモードを維持する。制御部52は、オフモードで操作部38の第2スイッチ38Bが操作されると、アシストモードから押し歩きモードに切り替える。制御部52は、アシストモードで、操作部38の第2スイッチ38Bが操作されると、アシスト比が一段階低いモードに切り替える。制御部52は、アシスト比が最も低いアシストモードで、操作部38の第2スイッチ38Bが操作されると、オフモードに切り替える。アシストモードは、1つのアシストモードとオフモードとを含む構成としてもよく、1つのアシストモードのみを含む構成としてもよい。制御部52は、オフモードを除くアシストモードで、操作部38の第2スイッチ38Bが所定時間以上操作されると、押し歩きモードに切り替えてもよい。ハンドルバー12Hには図示しない表示装置が設けられ
、複数のアシストモードおよび押し歩きモードのうち、現在選択されている動作モードを表示する。
【0046】
押し歩きモードでは、制御部52は、自転車10の押し歩きをアシストするようにモータ32を駆動可能である。押し歩きモードは、モータ32を駆動させない待機モードおよびモータ32を駆動する駆動モードを含む。制御部52は、押し歩きモードにおいてクランク16に人力駆動力TAが入力されていない状態で、モータ32を駆動可能である。制御部52は、アシストモードから押し歩きモードに切り替えると、待機モードになる。制御部52は、待機モードで第2スイッチ38Bが操作されると、待機モードから駆動モードに切り替える。制御部52は、各種センサからの入力に応じてモータ32の駆動を停止する必要がなければ、または、第1スイッチ38Aが操作されなければ、押し歩きモードにおいて第2スイッチ38Bが押し続けられる間は、駆動モードを維持し、モータ32を駆動する。各種センサは、車速センサ60、トルクセンサ56、および、クランク回転センサ58を含む。制御部52は、第2スイッチ38Bが操作されて駆動モードが維持されている状態で、第2スイッチ38Bの操作が解除されると、駆動モードを待機モードに切り替える。制御部52は、第2スイッチ38Bが操作されて駆動モードが維持されている状態で、各種センサからの入力に応じてモータ32の駆動を停止する必要があると、または、第1スイッチ38Aが操作されると、駆動モードを待機モードに切り替える。第2スイッチ38Bを操作している状態で駆動モードが待機モードに切り替わった場合、第2スイッチ38Bの操作が一旦解除されて、再び操作されると、制御部52は再び待機モードから駆動モードに切り替えることができる。押し歩きモードでは、制御部52は、車速センサ60によって検出される自転車10の走行速度Vが、所定速度VX2を超えると、モータ32の駆動を停止する必要があると判定する。押し歩きモードでは、制御部52は、トルクセンサ56によって検出される人力駆動力TAが、予め定める値以上になると、モータ32の駆動を停止する必要があると判定する。押し歩きモードでは、制御部52は、クランク回転センサ58によって、クランク16の回転が検出されると、モータ32の駆動を停止する必要があると判定する。押し歩きモードでは、トルクセンサ56によって検出される人力駆動力TAに基づいてモータ32の駆動を停止する制御、および、クランク回転センサ58によって検出されるクランク16の回転に基づいてモータ32の駆動を停止する制御の少なくとも一方を省略することもできる。
【0047】
図5を参照して、アシストモードと押し歩きモードとを切り替える切替制御について説明する。制御部52は、第1スイッチ38Aまたは第2スイッチ38Bが操作されると、アシストモードと押し歩きモードとを切り替えることができる。自転車用制御装置50の電源がオン
の場合に、切替制御は繰り返し実行される。自転車用制御装置50の電源がオフになると、切替制御は停止される。
【0048】
制御部52は、ステップS11において、現在のモードがアシストモードか否かを判定する。制御部52は、アシストモードであると判定した場合、ステップS12に移行する。制御部52は、ステップS12において、押し歩きモードへの切り替え操作が行われたか否かを判定する。具体的には、制御部52は、アシストモードのオフモードにおいて、操作部38の第2スイッチ38Bが操作された場合、押し歩きモードへの切り替え操作が行われたと判定する。制御部52は、オフモードを除くいずれかのアシストモードにおいて、操作部38の第2スイッチ38Bが所定時間以上操作された場合、押し歩きモードへの切り替え操作が行われたと判定してもよい。
【0049】
制御部52は、押し歩きモードへの切り替え操作が行われていないと判定した場合、処理を終了する。制御部52は、押し歩きモードへの切り替え操作が行われたと判定した場合、ステップS13において、アシストモードから押し歩きモードに切り替え、処理を終了する。
【0050】
制御部52は、ステップS11においてアシストモードではない、すなわち押し歩きモードであると判定した場合、ステップS14に移行し、アシストモードへの切り替え操作が行われたか否かを判定する。具体的には、制御部52は、押し歩きモードの待機モードにおいて、操作部38の第1スイッチ38Aが操作された場合、アシストモードへの切り替え操作が行われたと判定する。制御部52は、押し歩きモードの待機モードにおいて、操作部38の第1スイッチ38Aが所定時間以上操作された場合、アシストモードへの切り替え操作が行われたと判定してもよい。制御部52は、アシストモードへの切り替え操作が行われていないと判定した場合、処理を終了する。制御部52は、アシストモードへの切り替え操作が行われたと判定した場合、ステップS15において、押し歩きモードからアシストモードに切り替え、処理を終了する。
【0051】
制御部52は、検出部62の出力に応じて所定速度VX2を変更する。所定速度VX2は、自転車10の使用環境および自転車10の姿勢の少なくとも一方に応じて変更される。使用環境は、自転車10が走行する路面の傾斜角度DAを含む。路面の傾斜角度DAは、自転車10が走行する方向における水平面に対する傾斜角度DAを含む。記憶部54は、傾斜角度DAと所定速度VX2との関係を規定した情報を記憶している。傾斜角度DAと所定速度VX2との関係を規定した情報は、例えばマップ、テーブル、または、関数を用いた関係式を含む。制御部52は、検出部62の出力と、記憶部54に記憶されている傾斜角度DAと所定速度VX2との関係を規定した情報とに応じて、所定速度VX2を設定する。記憶部54には、複数のマップ、複数のテーブル、または、複数の関係式が記憶されていてもよい。この場合、制御部52は、所定速度VX2を設定する場合、傾斜角度DAまたは他の条件に応じて、複数のマップ、複数のテーブル、または、複数の関係式から1つを選択してもよい。別の例では、ユーザが操作部38または外部の装置等を介して、複数のマップ、複数のテーブル、または、複数の関係式から1つを予め選択できるようにしてもよい。
【0052】
所定速度VX2は、傾斜角度DAが「0」よりも大きい所定の角度の場合、傾斜角度DAが「0」の場合よりも低い。所定速度VX2は、傾斜角度DAが「0」よりも大きい場合、傾斜角度DAが大きくなるほど低くなる。表1は、傾斜角度DAと所定速度VX2との関係を規定したテーブルの第1例を示す。表1において、傾斜角度DAが「0」よりも大きい所定の角度は、2度以上の任意の値を含む。
【0054】
所定速度VX2は、傾斜角度DAが「0」よりも小さい所定の角度の場合、傾斜角度DAが「0」の場合よりも低い。所定速度VX2は、傾斜角度DAが「0」よりも小さい場合、傾斜角度DAが小さくなるほど低くなる。表2は、傾斜角度DAと所定速度VX2との関係を規定したテーブルの第2例を示す。表3は、傾斜角度DAと所定速度VX2との関係を規定したテーブルの第3例を示す。表2および表3において傾斜角度DAが「0」よりも小さい所定の角度は、−2度未満の任意の値を含む。
【0057】
所定速度VX2は、傾斜角度DAの絶対値が「0」よりも大きい所定の角度の場合、傾斜角度DAの絶対値が「0」の場合よりも低い。所定速度VX2は、傾斜角度DAの絶対値が「0」よりも大きい場合、傾斜角度DAの絶対値が大きくなるほど低くなる。
図6および
図7は、傾斜角度DAと所定速度VX2との関係を規定したマップの一例である。
図6のマップは、表1と表2とを組み合わせたテーブルと対応する。
図7のマップは、表1と表3とを組み合わせたテーブルと対応する。
図6では、傾斜角度DAが「0」よりも大きくても、傾斜角度DAが「0」よりも小さくても、傾斜角度DAが−8度から+8度までの範囲において傾斜角度DAの絶対値が等しい場合、傾斜角度DAの境界値を除いて、所定速度VX2は等しい。
図7では、傾斜角度DAの絶対値に対応する所定速度VX2は、傾斜角度DAが「0」よりも大きい場合と、傾斜角度DAが「0」よりも小さい場合とで少なくとも一部が異なる。
図6および
図7において、傾斜角度DAの絶対値が「0」よりも大きい所定の角度は、2度以上の任意の値、および、−2度未満の任意の値を含む。
【0058】
制御部52は、押し歩きモードにおいて自転車10が下り坂を走行している場合、モータ32による自転車10の押し歩きのアシストを停止してもよい。一例では、制御部52は、押し歩きモードにおいて自転車10が下り坂を走行している場合、所定速度VX2を「0」に設定することによってモータ32の駆動を停止し、自転車10の押し歩きのアシストを停止する。
【0059】
図8を参照して、押し歩きモードでのモータ32の駆動制御について説明する。制御部52は、押し歩きモードの間、所定周期ごとに駆動制御を実行する。制御部52は、少なくとも1つの所定条件が成立すると駆動制御を停止する。所定条件は、押し歩きモードからアシストモードに変更した場合、自転車用制御装置50の電源がオンからオフになった場合、および、自転車10の走行速度Vが所定速度VX2を超えた場合の少なくとも1つにおいて成立する。所定条件は、トルクセンサ56によって検出される人力駆動力TAが、予め定める値以上になった場合、および、クランク回転センサ58によって、クランク16の回転が検出された場合の少なくとも一方において成立するようにしてもよい。
【0060】
制御部52は、ステップS21において押し歩きモードでのモータ32の駆動の開始要求があるか否かを判定する。制御部52は、例えば、
図4の切替制御において押し歩きモードに切り替えられている状態で、操作部38の第2スイッチ38Bが操作された場合、かつ、人力駆動力TAが入力されていない場合、モータ32の駆動の開始要求があると判定する。制御部52は、モータ32の駆動の開始要求があると判定するまでステップS21の処理を所定周期ごとに繰り返す。
【0061】
制御部52は、ステップS21において押し歩きモードでのモータ32の駆動の開始要求があると判定した場合、ステップS22に移行し、傾斜角度DAを取得し、ステップS23に移行する。制御部52は、ステップS23において、ステップS22で取得した傾斜角度DAに応じて所定速度VX2を設定する。
【0062】
制御部52は、ステップS23において所定速度VX2を設定した後、ステップS24に移行する。制御部52は、ステップS24において、モータ32の駆動を開始し、ステップS25に移行する。制御部52は、自転車10の走行速度Vが、ステップS23で設定した所定速度VX2になるようにモータ32を駆動する。
【0063】
制御部52は、ステップS25において傾斜角度DAを取得し、ステップS26においてステップS25で取得した傾斜角度DAが所定角度DAX未満か否かを判定する。所定角度DAXは、負の値である。所定角度DAXは、例えば−8度である。所定角度DAXは、勾配の大きな下り坂と対応する。制御部52は、傾斜角度DAが所定角度DAXより大きい場合には、ステップS25で取得した傾斜角度DAを用いて、ステップS23と同様に所定速度VX2を再び設定し、ステップS29に移行する。制御部52は、傾斜角度DAが所定角度DAX未満の場合には、ステップS28で所定速度VX2を「0」に設定し、ステップS29に移行する。
【0064】
制御部52は、ステップS29において押し歩きモードでのモータ32の駆動の停止要求があるか否かを判定する。制御部52は、少なくとも1つの停止条件が成立すると、モータ32の駆動の停止要求があると判定する。停止条件は、押し歩きモードからアシストモードに変更した場合、および自転車10の走行速度Vが所定速度VX2を超えた場合の少なくとも一方において成立する。停止条件は、トルクセンサ56によって検出される人力駆動力TAが、予め定める値以上になった場合、およびクランク回転センサ58によって、クランク16の回転が検出された場合の少なくとも一方においても成立するようにしてもよい。制御部52は、モータ32の駆動の停止要求がないと判定した場合には、ステップS25に移行し、ステップS25,S26,S27,S29の処理、または、ステップS25,S26,S28,S29の処理を繰り返す。制御部52は、ステップS29でモータ32の駆動の停止要求があると判定した場合、ステップS30においてモータ32の駆動を停止し、処理を終了して所定周期後に再びステップS21からの処理を開始する。
【0065】
自転車用制御装置50は、ユーザが上り坂または下り坂で自転車10を押し歩きする場合、平坦な路面で自転車10を押し歩きする場合よりも自転車10の走行速度Vを低減することによって、ユーザの歩行速度に対する自転車10の走行速度Vを好適な範囲にすることができる。
【0066】
(第2実施形態)
図4、
図9、および、
図10を参照して、第2実施形態の自転車用駆動装置30Aについて説明する。第2実施形態の自転車用駆動装置30Aは、ワンウェイクラッチ44B,44Cが省略されている点以外では、第1実施形態の自転車用駆動装置30と同様であるので、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0067】
第2実施形態の自転車用駆動装置30Aは、自転車用制御装置50と、モータ32と、伝達機構34Aとを含む。自転車用駆動装置30Aは、
図4に示すモータ32の駆動回路36、操作部38、および、バッテリ40をさらに含む。
【0068】
図9に示されるとおり、伝達機構34Aは、モータ32の回転力を自転車10の車輪Wに伝達する。伝達機構34Aは、モータ32の回転力を自転車10の車輪Wに伝達可能であり、かつ車輪Wからの回転力がモータ32に伝達可能に構成される。一例では、伝達機構34Aは、モータ32の回転力を自転車10の後輪WRに伝達可能であり、かつ後輪WRからの回転力がモータ32に伝達可能に構成される。第2実施形態では、伝達機構34Aの出力部46から後輪WRの間にもワンウェイクラッチは設けられない。
【0069】
制御部52(
図4参照)は、押し歩きモードにおいて自転車10が下り坂を走行している場合、自転車10を制動するようにモータ32を駆動する。
図10を参照して、押し歩きモードでのモータ32の駆動制御について説明する。制御部52は、押し歩きモードの間、所定周期ごとに駆動制御を実行する。制御部52は、少なくとも1つの所定条件が成立すると駆動制御を停止する。所定条件は、押し歩きモードからアシストモードに変更した場合、自転車用制御装置50の電源がオンからオフになった場合、および、自転車10の走行速度Vが所定速度VX2を超えた場合の少なくとも1つにおいて成立する。所定条件は、トルクセンサ56によって検出される人力駆動力TAが、予め定める値以上になった場合、および、クランク回転センサ58によって、クランク16の回転が検出された場合の少なくとも一方において成立するようにしてもよい。
【0070】
制御部52は、
図8のステップS21、ステップS22、ステップS23、および、ステップS24と同様の処理を行った後、ステップS25に移行する。制御部52は、ステップS25において傾斜角度DAを取得し、ステップS26においてステップS25で取得した傾斜角度DAが所定角度DAX以下か否かを判定する。制御部52は、傾斜角度DAが所定角度DAXより大きい場合には、ステップS25で取得した傾斜角度DAを用いて、ステップS23と同様に所定速度VX2を再び設定し、ステップS29に移行する。制御部52は、傾斜角度DAが所定角度DAX以下の場合には、ステップS31でモータ32の制動制御を実行し、ステップS29に移行する。具体的には、制御部52は、自転車10の走行速度Vが所定速度VX2となるようにモータ32を制御する。モータ32の制動制御によって自転車10の走行速度Vが減速される。制御部52は、モータ32をブレーキとして機能させる。制御部52は、モータ32に回生制動をさせてもよく、この場合、バッテリ40に電力を蓄積することができる。
【0071】
制御部52は、ステップS29において押し歩きモードでのモータ32の駆動の停止要求があるか否かを判定する。制御部52は、モータ32の駆動の停止要求がないと判定した場合には、ステップS25に戻り、ステップS25,S26,S27,S29の処理、または、ステップS25,S26,S31,S29の処理を繰り返す。制御部52は、ステップS29でモータ32の駆動の停止要求があると判定した場合、ステップS30においてモータ32の駆動を停止し、処理を終了して所定周期後に再びステップS21からの処理を開始する。
【0072】
(第3実施形態)
図4、
図11、および、
図12を参照して、第3実施形態の自転車
用制
御装置50について説明する。第3実施形態の自転車用制御装置50は、アシストモードで傾斜角度DAに基づいて所定速度VX1が変更される点以外では、第1実施形態の自転車用制御装置50と同様であるので、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0073】
制御部52は、検出部62の出力に応じて所定速度VX1を変更する。所定速度VX1は、自転車10の使用環境および自転車10の姿勢の少なくとも一方に応じて変更される。使用環境は、自転車10が走行する路面の傾斜角度DAを含む。路面の傾斜角度DAは、自転車10が走行する方向における水平面に対する傾斜角度DAを含む。記憶部54は、傾斜角度DAと所定速度VX1との関係を規定した情報を記憶している。傾斜角度DAと所定速度VX1との関係を規定した情報は、たとえばマップ、テーブル、または、関数を用いた関係式を含む。制御部52は、検出部62の出力と、記憶部54に記憶されている傾斜角度DAと所定速度VX1との関係を規定した情報とに応じて、所定速度VX1を設定する。
【0074】
所定速度VX1は、傾斜角度DAが「0」よりも大きい場合、一定の値に設定されている。所定速度VX1は、傾斜角度DAが「0」よりも大きい場合、傾斜角度DAが「0」の場合と等しい。所定速度VX1は、傾斜角度DAが「0」よりも小さい所定の角度の場合、傾斜角度DAが「0」の場合よりも低い。所定速度VX1は、傾斜角度DAが「0」よりも小さい場合、傾斜角度DAが小さくなるほど低くなる。表4は、傾斜角度DAと所定速度VX1との関係を規定したテーブルの第1例を示す。
図11は、傾斜角度DAと所定速度VX1との関係を規定したマップの一例である。
図11のマップは、表4と対応する。
図11では、傾斜角度DAの絶対値に対応する所定速度VX1は、傾斜角度DAが「0」よりも大きい場合と、傾斜角度DAが「0」よりも小さい場合とで異なる。
【0075】
制御部52は、アシストモードにおいて自転車10が下り坂を走行している場合、モータ32による自転車10の推進のアシストを停止してもよい。一例では、制御部52は、傾斜角度DAが「0」よりも小さい場合、所定速度VX1を「0」に設定することによってモータ32の駆動を停止し、自転車10の推進のアシストを停止する。
【0077】
図12を参照して、アシストモードでのモータ32の駆動制御について説明する。制御部52は、オフモードを除くアシストモード間、所定周期ごとに駆動制御を実行する。制御部52は、少なくとも1つの所定条件が成立すると駆動制御を停止する。所定条件は、オフモード以外のアシストモードからオフモードに変更した場合、アシストモードから押し歩きモードに変更した場合、自転車用制御装置50の電源がオンからオフになった場合、および、自転車10の走行速度Vが所定速度VX1を超えた場合の少なくとも1つにおいて成立する。所定条件は、クランク回転センサ58によって、クランク16の回転が停止したことが検出された場合、および、人力駆動力TAが予め定める値未満になった場合の少なくとも一方において成立するようにしてもよい。
【0078】
制御部52は、ステップS41においてアシストモードでのモータ32の駆動の開始要求があるか否かを判定する。制御部52は、例えば、
図4の切替制御においてオフモード以外のアシストモードに切り替えられている状態で、予め定める値以上の人力駆動力TAが入力されている場合、モータ32の駆動の開始要求があると判定する。制御部52は、モータ32の駆動の開始要求があると判定するまでステップS41の処理を所定周期ごとに繰り返す。
【0079】
制御部52は、ステップS41においてアシストモードでのモータ32の駆動の開始要求があると判定した場合、ステップS42に移行し、傾斜角度DAを取得し、ステップS43に移行する。制御部52は、ステップS43において、ステップS42で取得した傾斜角度DAに応じて所定速度VX1を設定する。
【0080】
制御部52は、ステップS43において所定速度VX1を設定した後、ステップS
44に移行する。制御部52は、ステップS44において、モータ32の駆動を開始し、ステップS45に移行する。制御部52は、自転車10の走行速度Vが、ステップS43で設定した所定速度VX1になるまでは、人力駆動力TAに応じてモータ32を駆動する。
【0081】
制御部52は、ステップS45において傾斜角度DAを取得し、ステップS46においてステップS45で取得した傾斜角度DAが所定角度DAY未満か否かを判定する。所定角度DAYは、負の値である。所定角度DAYは、例えば−8度である。所定角度DAYは、勾配の大きな下り坂と対応する。制御部52は、傾斜角度DAが所定角度DAYより大きい場合には、ステップS45で取得した傾斜角度DAを用いて、ステップS43と同様に所定速度VX1を再び設定し、ステップS49に移行する。制御部52は、傾斜角度DAが所定角度DAY未満の場合には、ステップS48で所定速度VX1を「0」に設定し、ステップS49に移行する。
【0082】
制御部52は、ステップS49においてアシストモードでのモータ32の駆動の停止要求があるか否かを判定する。制御部52は、少なくとも1つの停止条件が成立すると、モータ32の駆動の停止要求があると判定する。停止条件は、オフモードに変更した場合、アシストモードから押し歩きモードに変更した場合、自転車10の走行速度Vが所定速度VX1を超えた場合の少なくとも1つにおいて成立する。停止条件は、トルクセンサ56によって検出される人力駆動力TAが、予め定める値未満になった場合、および、クランク回転センサ58によって、クランク16の回転の停止が検出された場合の少なくとも一方においても成立するようにしてもよい。制御部52は、モータ32の駆動の停止要求がないと判定した場合には、ステップS45に戻り、ステップS45,S46,S47,S49の処理、または、ステップS45,S46,S48,S49の処理を繰り返す。制御部52は、ステップS49でモータ32の駆動の停止要求があると判定した場合、ステップS50においてモータ32の駆動を停止し、処理を終了して所定周期後に再びステップS41からの処理を開始する。
【0083】
(変形例)
上記実施形態に関する説明は、本発明に従う自転車用制御装置およびこの制御装置を含む自転車用駆動装置が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従う自転車用制御装置およびこの制御装置を含む自転車用駆動装置は、例えば以下に示される上記実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変形例において、実施形態の形態と共通する部分については、実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0084】
・制御部52が押し歩きモードでモータ32を駆動させる場合、傾斜角度DAが「0」よりも小さい場合には、所定速度VX2を一定の値にしてもよい。
図8および
図10のステップS23およびステップS26の少なくとも一方において、傾斜角度DAが「0」よりも大きい場合にのみ、傾斜角度DAに応じて所定速度VX2の設定を行ってもよい。ステップS23およびステップS26によって所定速度VX2が設定されない場合、制御部52は予め記憶部54に記憶されている基準の所定速度VX2を超えないようにモータ32を制御する。
【0085】
・制御部52が押し歩きモードでモータ32を駆動させる場合、傾斜角度DAが「0」よりも大きい場合には、所定速度VX2を一定の値にしてもよい。
図8および
図10のステップS23およびステップS26の少なくとも一方において、傾斜角度DAが「0」よりも小さい場合にのみ、傾斜角度DAに応じて所定速度VX2の設定を行ってもよい。ステップS23およびステップS26によって所定速度VX2が設定されない場合、制御部52は予め記憶部54に記憶されている基準の所定速度VX2を超えないようにモータ32を制御する。
【0086】
・制御部52が押し歩きモードでモータ32を駆動させる場合、ピッチ角度ではなくロール角度に基づいて所定速度VX2を変更してもよい。表5は、押し歩きモードでのロール角度を含む傾斜角度DAの絶対値と所定速度VX2との関係を規定したテーブルの一例を示す。所定速度VX2は、傾斜角度DAの絶対値が「0」よりも大きい所定の角度の場合、傾斜角度DAの絶対値が「0」の場合よりも低い。所定速度VX2は、傾斜角度DAの絶対値が「0」よりも大きい場合、傾斜角度DAの絶対値が大きくなるほど低くなることが好ましい。傾斜角度DAの絶対値が予め定める値以下の場合に、所定速度VX2を一定の第1速度とし、傾斜角度DAの絶対値が予め定める値よりも大きい場合に、所定速度VX2を一定の第2速度としてもよい。自転車10のロール角度が「0」よりも大きい場合の一例として、バンク角を有する斜面を含む山道や、カーブを走行している場合が挙げられる。斜面のバンク角は、自転車10の使用環境と対応する。バンク角を有する斜面やカーブを走行する際の自転車10の水平面に対するロール角度は、自転車10の姿勢と対応する。このような場合、ユーザは平坦な路面を走行する場合よりも歩行速度が低下するため、傾斜角度DAの絶対値が大きくなるほど所定速度VX2を低くすることによってユーザビリティに貢献できる。
【0088】
・第3実施形態において、押し歩きモードでは、制御部52は、傾斜角度DAに応じて所定速度VX2を変更しないように構成してもよい。
【0089】
・第3実施形態において、アシストモードでモータ32を駆動させるとき、傾斜角度DAが「0」より小さい場合には、所定速度VX1を一定の値にしてもよい。
・第3実施形態において、アシストモードでモータ32を駆動させるとき、傾斜角度DAが「0」より大きい場合には、傾斜角度DAが大きくなるほど高くなるように、所定速度VX1を変更してもよい。
【0090】
・第3実施形態において、アシストモードでモータ32を駆動させるとき、ピッチ角度ではなくロール角度に基づいて所定速度VX1を変更してもよい。表6は、アシストモードでのロール角度を含む傾斜角度DAの絶対値と所定速度VX1との関係を規定したテーブルの一例を示す。所定速度VX1は、傾斜角度DAの絶対値が「0」よりも大きい所定の角度の場合、傾斜角度DAの絶対値が「0」の場合よりも低い。所定速度VX1は、傾斜角度DAの絶対値が「0」よりも大きい場合、傾斜角度DAの絶対値が大きくなるほど低くなる。表6において傾斜角度DAの絶対値が「0」よりも大きい所定の角度は、−10度未満の任意の値または10度より大きい任意の値を含む。傾斜角度DAの絶対値が予め定める値以下の場合に、所定速度VX1を一定の第3速度とし、傾斜角度DAの絶対値が予め定める値よりも大きい場合に、所定速度VX1を一定の第4速度としてもよい。一例では、第4速度は、「0」を含み、第3速度は、第4速度よりも大きい値を含む。第4速度が「0」の場合、所定速度VX1に第4速度が設定されることによって、モータ32の駆動は停止される。予め定める値は、所定の角度の絶対値よりも大きいことが好ましい。自転車10のロール角度が「0」よりも大きい場合の一例として、バンク角を有する斜面を含む山道や、カーブを走行している場合が挙げられる。このような場合、平坦な路面を走行する場合よりも自転車の走行速度Vが低下するため、傾斜角度DAの絶対値が大きくなるほど所定速度VX1を低くすることによってユーザビリティに貢献できる。この変形例では、検出部62は、1または2方向の傾斜角度DAを検出するようにしてもよい。1または2方向の傾斜角度DAは、ピッチ角度、ロール角度、および、ヨー角度のうちの少なくともロール角度を含む。この場合、傾斜センサ62Aのジャイロセンサ62Bを1軸または2軸のジャイロセンサ62Bに変更し、加速度センサ62Cも1軸または2軸の加速度センサ62Cに変更することもできる。
【0092】
・第3実施形態において、第1実施形態の
図8に示す押し歩きモードでのモータ32の駆動制御をさらに実行してもよい。また、第3実施形態の伝達機構34を第2実施形態の伝達機構34Aに変更して、第2実施形態の
図10に示す押し歩きモードでのモータ32の駆動制御をさらに実行してもよい。
【0093】
・第2実施形態の自転車用駆動装置30Aにおいて、
図10に示す押し歩きモードでのモータ32の駆動制御に代えて、第1実施形態の
図8に示す押し歩きモードでのモータ32の駆動制御を実行してもよい。
【0094】
・第1実施形態の自転車用駆動装置30において、
図8に示す押し歩きモードでのモータ32の駆動制御に代えて、第2実施形態の
図10に示す押し歩きモードでのモータ32の駆動制御を実行してもよい。
【0095】
・第1および第2実施形態において、制御部52は、押し歩きモードでモータ32の回転速度が所定速度VX3以下の場合に、モータ32に自転車10の推進をアシストさせるようにしてもよい。自転車用制御装置50は、モータ32の回転速度を検出する回転センサをさらに含む。制御部52は、回転センサからの信号に応じて、モータ32の回転速度を定義する。所定速度VX3は、自転車10の使用環境および自転車の姿勢の少なくとも一方に応じて変更される。モータ32の回転速度は、自転車10の走行速度Vに比例するので、自転車10の走行速度Vに変えて、モータ32の回転速度を制御パラメータとして用いることができる。制御部52が実行する制御は、
図8および
図10のフローチャートにおいて、自転車の車速と所定速度VX1とを比較する処理を、モータ32の回転速度と所定速度VX3とを比較する処理に置き換えればよいので、その説明を省略する。自転車10のモータ32から後輪WRまでの動力伝達経路Rにおいて変速機を備える場合には、変速機、変速操作装置または変速ケーブルに現在の変速ステージを検出する検出センサを設けたり、車速センサ60とクランク回転センサ58からの信号とに応じて変速比を制御部52が演算したりする。記憶部54には、各変速ステージおよび各変速比に対応する所定速度VX3
が記憶され、制御部52は、変速ステージを検出する検出センサ、または、演算した変速比に対応する所定速度VX3を設定する。
【0096】
・第3実施形態において、制御部52は、アシストモードでモータ32の回転速度が所定速度VX4以下の場合に、モータ32に自転車10の推進をアシストさせるようにしてもよい。自転車用制御装置50は、モータ32の回転速度を検出する回転センサをさらに含む。制御部52は、回転センサからの信号に応じて、モータ32の回転速度を定義する。所定速度VX4は、自転車10の使用環境および自転車の姿勢の少なくとも一方に応じて変更される。所定速度VX4は、例えば表4の所定速度VX1に、モータ32から後輪WRまでの動力伝達経路Rにおける変速比を逆算した値が設定される。この変形例では、例えば、制御部52は
図13に示すモータの駆動制御を実行する。
図13に示すステップS41、S42,S44,S45,S46,S49,S50では、
図12に示すステップS41、S42,S44,S45,S46,S49,S50と同様の処理が行われる。
図13のモータの駆動制御では、ステップS43に代えてステップS51の処理が実行され、ステップS47に代えてステップS52の処理が実行され、ステップS48に代えてステップS53の処理が実行される。制御部52は、ステップS51において、傾斜角度DAに応じて所定速度VX4を設定する。制御部52は、ステップS52に
おいて、傾斜角度DAに応じて所定速度VX4を設定する。制御部52は、ステップS53において、所定速度VX4を「0」に設定する。ステップS53の処理によって、路面が下り坂である場合にモータ32によるアシストは停止される。
【0097】
・第1実施形態のモータ32の駆動制御に用いられる表2を、表7に変更することができる。この場合、傾斜角度DAの絶対値に対応す
る所定速度VX2は、傾斜角度DAが「0」よりも大きい場合と、傾斜角度DAが「0」よりも小さい場合とで等しい。
【0099】
・制御部52は、傾斜角度DAに変えてまたは加えて、傾斜角度DA以外の使用環境に基づいて所定速度VX1,VX2,VX3,VX4を変更するようにしてもよい。傾斜角度DA以外の使用環境は、気温または照度を含む。この場合、検出部62は、気温および照度の少なくとも一方を検出するセンサを含むようにしてもよい。例えば、制御部52は、気温が低くなると、所定速度VX1,VX2,VX3,VX4を低くする。例えば、制御部52は、気温が低いほど所定速度VX1,VX2,VX3,VX4を低くする。気温が低い場合には、路面が凍結しているおそれがある。気温に応じて所定速度VX1,VX2,VX3,VX4を変更することによってユーザビリティに貢献できる。例えば、制御部52は、照度が低くなると所定速度VX1,VX2,VX3,VX4を低くする。例えば、制御部52は、照度が低いほど所定速度VX1,VX2,VX3,VX4を低くする。照度が低い場合には、進路が見えにくくなるおそれがある。自転車10の周囲の照度に応じて所定速度VX1,VX2,VX3,VX4を変更することによってユーザビリティに貢献できる。
【0100】
・第1〜第3実施形態において、検出部62は、1または2方向の傾斜角度DAを検出するようにしてもよい。1または2方向の傾斜角度DAは、ピッチ角度、ロール角度、および、ヨー角度のうちの少なくともピッチ角度を含む。この場合、傾斜センサ62Aのジャイロセンサ62Bを1軸または2軸のジャイロセンサ62Bに変更し、加速度センサ62Cも1軸または2軸の加速度センサ62Cに変更することもできる。
【0101】
・検出部62は、傾斜センサ62Aに変えてまたは加えて、GPS(global positioning system)受信機を含むようにしてもよい。この場合、制御部52は、GPS受信機によって受信した信号とインターネット等を経由して読み込んだ地図データまたは予め記憶部54に記憶されている地図データとを比較して、路面の傾斜角度DAを演算する。
【0102】
・検出部62は、傾斜センサ62Aに変えてまたは加えて、スマートフォン等の外部の携帯型通信装置からの情報を受信する受信部を含むようにしてもよい。この場合、検出部62は、携帯型通信装置から携帯型通信装置が取得した自転車10の使用環境および自転車10の姿勢の少なくとも一方に関する情報を受信する。自転車10を運転するユーザが携帯型通信装置を所持している場合には、携帯型通信装置の傾斜角度に基づいて自転車10の傾斜角度DAを演算することもできる。
【0103】
・上記携帯型通信装置からの情報を受信する変形例において、携帯型通信装置が検出した自転車の使用環境および自転車の姿勢の少なくとも一方に応じて所定速度VX1,VX2,VX3,VX4を設定し、設定した所定速度VX1,VX2,VX3
,VX4を制御部52に送信するようにしてもよい。この場合、制御部52は、受信した所定速度VX1,VX2,VX3,VX4に基づいてモータ32を制御する。
【0104】
・各実施形態のモータ32を自転車10のフレーム12、後輪WR、または、前輪WFに設けてもよい。モータ32を前輪WFに設ける場合、モータ32は、前輪WFのハブに設けられ、前輪WFに回転を伝達するように設けられる。モータ32を後輪WRに設ける場合、モータ32は、後輪WRのハブに設けられ、後輪WRに回転を伝達するように設けられる。