(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記入口路は、前記水深計付き時計の平面視で、前記内側の側面と前記外側の側面との間隔が、前記中空管に近づくにしたがって狭くなる形状に形成されている請求項2に記載の水深計付き時計。
前記入口路の内面で、かつ前記開口を通じて視認される部分に、前記入口路から前記中空管に向かう方向を示す指標が表示されている請求項1から4のうちいずれか1項に記載の水深計付き時計。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態1>
<時計の全体構成>
以下、本発明に係る水深計付き時計の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施形態である水深計付き時計100を示す正面から見た写真(平面図)、
図2は
図1に示した時計100におけるケース10及び水深計20を示す図、
図3は
図2におけるI−I線に沿った断面による断面図、
図4は
図2におけるII−II線に沿った断面による断面図であって、ケース10から水深計20を分離した状態を示し、
図5は
図2におけるIII−III線に沿った断面図、
図6は
図2における入口管40の詳細を示す平面図である。
【0012】
図1に示した時計100は、時計の指針を駆動するムーブメント、時刻を表示する文字板60(
図3参照)及び指針から構成される時刻表示部80等を収容したケース10の外周壁の上であって、通常はベゼルが配置される時計100の外周部分に、水深計20を備えている。水深計20は、
図2に示すように円環状に形成されていて、この円環の周方向に沿って延びた、水深計として機能する中空管23を有している。中空管23は、時計100の約2時の方向において閉じた端部から反時計回りに時計100の約3時の位置(「0」の数字31が描かれた始点位置24)まで、時計100の平面視で時刻表示部80を取り囲むように環状であるC字状(円弧状)に形成されている。中空管23は、C字状に形成される間の太さ(断面積S)は均一である。そして、この約3時の始点位置24から時計回りの約2時の閉じた終端位置までの範囲が、水深計20として機能する部分となっている。中空管を含む水深計20はユニット化されている。
【0013】
時計100は、
図2,4に示すように、ケース10の外周壁の上面における時計100の12時の位置と6時の位置にそれぞれ1つずつ丸穴10aが形成されている。一方、水深計20の互いに対角となる2つの位置には、
図4に示すように、各丸穴10aにそれぞれ嵌め合わされる丸凸部20aが形成されている。そして、水深計20の2つの丸凸部20aが、時計100のケース10の各丸穴10aに対応して嵌め合わされて、ケース10と水深計20との取付けの周方向の位置決めがされた状態で、水深計20がケース10に接着される。
【0014】
水深計20は、
図3,4に示すように、円環の半径方向に沿った断面が凹状に形成された上側リング21と、円環の半径方向に沿った断面が凸状に形成された下側リング22とを有している。上側リング21は、無色透明又は有色透明の樹脂で形成されているがガラスであってもよい。下側リング22は、不透明又は半透明の樹脂で形成されているが、ガラス製であってもよい。
【0015】
下側リング22の凸部分22aの高さの寸法は、上側リング21の凹部分21aの深さの寸法よりも短く形成されている。そして、上側リング21と下側リング22は、凹部分21aと凸部分22aとが向かい合う向きで配置され、凹部分21aに凸部分22aが嵌め合わされた状態で、凹部分21aと凸部分22aとの寸法の差により形作られた空洞の部分が、中空管23を形成している。上側リング21と下側リング22とは、この状態で超音波溶着により一体に接合されている。なお、上側リング21と下側リング22とは、超音波溶着の他、接着剤による接着により一体に接合されていてもよい。
【0016】
中空管23の、時計100の約3時の始点位置24は、上側リング21の上面21b(凹部分21aを下向きとした姿勢で上方に向いた面)において、一端が外部に臨んだ開口41を有する入口管40が接続している。入口管40は、開口41から浸入した水を中空管23に導く入口路の一例であり、中空の部分の周囲の全周が面で囲まれた管状に形成されている。
【0017】
上側リング21の上面21bには、
図2に示すように、円環の周方向に沿って並んだ数字31が描かれている。数字31は、時計100の約3時の位置に描かれた「0」から、時計回りに時計100の約9時の位置に配置された「14」まで、「2」、「3」、「4」、「5」、「6」、「7」、「8」、「9」、「10」、「12」が描かれている。また、数字31は、時計100の約9時の位置の「14」から、時計回りに時計100の約12時の位置に配置された「50」まで、「16」、「20」、「25」、「30」、「40」が描かれている。なお、「50」の数字31よりも時計回り方向の先には、「m」の文字32、「Over Dose」の文字33が描かれている。
【0018】
これらの数字31は、水深計20が示す水深[m]を表す数値である。すなわち、時計100を身に着けた使用者が潜水したときに、水深計20として中空管23には入口管40を通じて水が浸入するが、中空管23は一端部が閉じられているため、潜水する以前の状態で中空管23に満たされていた大気圧の空気が閉じ込められた状態となる。中空管23の始点位置の側には、潜水した深さに応じた水圧が作用するが、その水圧と閉じ込められた空気の圧力とが均衡する位置まで水が中空管23に浸入する。
【0019】
したがって、中空管23の長さ方向(時計回り方向)における、浸入した水の位置(水と空気との境界位置。以下、同じ。)は、使用者が潜った水深を簡易に示すものとなる。上側リング21は透明であるため、使用者は、時計100の正面から、中空管23に浸入した水の位置を視認することができる。上述した上側リング21の上面21bの各位置に描かれた数字31は、潜った深さに応じて中空管23に浸入した水の位置にそれぞれ描かれた水深を示す数値である。
【0020】
具体的には、中空管23の「5」の数字31の位置まで水が浸入しているときは、水深が5[m]であることを示し、中空管23の「30」の数字31の位置まで水が浸入しているときは、水深が30[m]であることを示す。なお、水深計20としては、「50」の数字31の描かれた水深50[m]まで機能するものである。
【0021】
上述した各数字31は、上側リング21の上面21bに、対応する数値が凹んで形成され、その凹んだ部分が塗料で埋められている。このように形成された数字31は、上面21bが擦られても凹んだ部分を埋めた塗料が残るため、平らな上面21bに印刷等で単に塗料を付したものに比べて、数字31を視認させるための耐久性が高い。なお、平らな上面21bに印刷等で塗料を付したものを適用してもよい。
【0022】
また、数字31は、上側リング21の上面21bに描かれたものでなく、例えば下側リング22の凸部分22aの上面22b(中空管23の内面を形成している面)に描かれていてもよい。
【0023】
入口管40の開口41は、
図5に示すように、外部に臨んだ面(上面21bに沿った面)内での面積S1が中空管23の始点位置24における断面積Sよりも広く形成されている。
【0024】
入口管40は、上側リング21の上面21bの開口41から中空管23の始点位置24まで延びた中空の管であり、始点位置24において中空管23に接続している。入口管40は、
図5に示すように、時計100の厚さ方向に沿った高さ寸法H1が中空管23の始点位置24に近づくにしたがって徐々に小さくなっている。入口管40を形成する上面(天面)43は中空管23の上面21cに対して傾斜した傾斜面となり、下面42は中空管23の下面22bに対して傾斜した傾斜面となっている。
【0025】
そして、入口管40の高さ寸法H1は、始点位置24において中空管23の高さ寸法Hと一致し、入口管40の上面43は、中空管23の上面(天面)21cと段差なく接続され、入口管40の下面42は、中空管23の下面(凸部分22aの上面22b)と接続されている。
【0026】
なお、入口管40の下面42と中空管23の下面22bとの間には段差45が形成されているが、入口管40の下面42と中空管23の下面22bとは段差45を介して接続されている。また、この段差45は、入口管40から見て、中空管23が内側に突出しているものではないため、入口管40から中空管23に進むときの出っ張りにはならない。この段差45は形成されていなくてもよく、入口管40の下面42と中空管23の下面22bとが段差45を介さずに直接接していてもよい。
【0027】
また、上側リング21の上面21bと入口管40の下面42及び上面43との間には、上面21bに対して直交する垂直面44が形成されているが、この垂直面44は、上面21bと下面42及び上面43との間の部分に製造上生じ得るヒケや面のダレ、欠け等を防ぐ目的で形成されている。仮に、垂直面44が形成されず、上側リング21の上面21bと入口管40の上面43とが交わる部分が尖った形状である場合、この部分が欠けたり、成型時に尖った部分まで樹脂が十分に充填されずにヒケや面のダレの原因となったりする。したがって、このような製造上の問題が生じ得ない場合は、垂直面44を形成する必要はない。
【0028】
入口管40は、
図6に示すように、平面視においても、上側リング21の周方向に直交する方向(上側リング21の半径方向)に沿った幅W1が中空管23の始点位置24に近づくにしたがって徐々に小さくなっていて、入口管40の半径方向の外側の側面46は中空管23の外側の側面21dに対して傾斜した傾斜面となり、内側の側面47は中空管23の内側の側面21eに対して傾斜した傾斜面となっている。
【0029】
なお、外側の側面46は、時計100の平面視で、時刻表示部80に対して入口管40における外周側に位置する側面(時刻表示部80から相対的に遠い側の側面)である。内側の側面47は、時計100の平面視で、時刻表示部80に対して入口管40における内周側(時刻表示部80に相対的に近い側の側面)に位置する側面である。
【0030】
そして、入口管40の平面視での幅W1(外側の側面46と内側の側面47との間隔)は、始点位置24に近づくにしたがって狭くなり、始点位置24において中空管23の幅Wと一致する。そして、始点位置24において、入口管40の外側の側面46は中空管23の外側の側面21dと段差なく接続され、入口管40の内側の側面47は中空管23の内側の側面21eと段差なく接続されている。
【0031】
なお、入口管40の下面42のうち
図6の平面視において開口41の投影される範囲(開口41を通じて視認される部分)には、
図2に示すように、水深計20によって示される深さを意味する「DEPTH」の文字48aと、始点位置24に向いて、後述する清掃用の器具200を挿し入れる向きを意味する横向きの「▲」の記号48bが描かれている。記号48bは、入口管40から中空管23に向かう方向を示す指標である。
【0032】
<清掃用の器具>
図7は、時計100の中空管23に水滴や砂粒等空気以外の異物が残存した場合に、これらを除去するための清掃用の器具の一例である清掃用の器具200を示す外観図である。図示の清掃用の器具200は、注射器型の吸引・噴出器220と、吸引・噴出器220に繋がれた細いチューブ管210とを備えている。吸引・噴出器220は、注射器と同様にピストンを押し込むことで内部の空気を外部に噴出し、ピストンを引くことで内部に空気等を引き込む。チューブ管210は、軟らかい樹脂等で形成された管であり、中空管23に挿入できる程度に外径が細く形成されている。
【0033】
そして、チューブ管210を中空管23に挿し入れた状態で、吸引・噴出器220のピストンを引くことで、中空管23に残存した異物を、チューブ管210や吸引・噴出器220の内部に吸引して除去することができる。また、吸引・噴出器220のピストンを押し込むことで、中空管23の内部を高圧にし、中空管23に残存した小さい異物を、中空管23とチューブ管210との間の隙間を通じて開口41から外部に吹き飛ばして除去することもできる。
【0034】
<作用>
上述した本実施形態1の水深計付き時計100によれば、中空管23に繋がった入口管40の開口41の面積S1が、中空管23の断面積Sよりも広いため、
図5,6に示すように、チューブ管210の先端211を中空管23の始点位置24に直接挿し入れるよりも開口41に挿し入れる方が挿し入れ易い。
【0035】
また、開口41から入口管40に挿し入れられたチューブ管210は、入口管40の内面である各面42,43,46,47が開口41の面に対してそれぞれ傾斜して形成されているため開口41の面に対して入口管40の各面42,43,46,47が直交して構成されているものよりも、開口41に対して直交してチューブ管210の先端211が傾斜した面(例えば下面42)に突き当たっても、チューブ管210がその傾斜した面に倣い易くなる。したがって、チューブ管210が挿し入れられる向きは、その傾斜した面に沿った向きに修正される。
【0036】
入口管40の各面42,43,46,47は、始点位置24において中空管23に対して断面積を狭める段差がなく接続するように中空管23の各面22b,21c,21d,21eに対してそれぞれ傾斜している。これにより、入口管40を進むチューブ管210の先端211はいずれかの面42,43,46,47に接触してチューブ管210の進む向きが適宜修正されながら、中空管23の始点位置24に向けて進む。したがって、時計100は、チューブ管210を中空管23の内部にスムーズに案内させることができる。
【0037】
また、入口管40の各面42,43,46,47は、チューブ管210の先端211が引っかかる凸状部がなく、平坦面に形成されているため、入口管40を進むチューブ管210の先端211は、それぞれの面42,43,46,47に阻まれずに始点位置24に向けて進むことができる。仮に、入口管40の各面42,43,46,47に、始点位置24に向かう途中に凹んだ形状の段差部(入口管40の断面積を広げる形状の段部)が形成されていても、入口管40を進むチューブ管210の先端211は、それぞれの面42,43,46,47に阻まれずに始点位置24に向けて進むことができる。
【0038】
本実施形態の時計100は、入口管40の下面42のうち
図6の平面視において開口41の投影される範囲に、始点位置24に向いて記号48b(「▲」)が描かれているため、開口41からチューブ管210を始点位置24に向けて挿し入れる向きを、使用者に視認させることができる。
【0039】
本実施形態の時計100は、水深計20が時計100の外周部分に形成されているため、他の部分に形成されているものよりも、中空管23の長さを長く確保することができる。そして、中空管23がその外周部分において、C字状に延びて形成されているため、長い長さに対応して、より深い深さまでの水深を表示して指示することができる。
【0040】
本実施形態の時計100は、水深計20がユニット化され、ケース10に対して固着されている。つまり、時計100は、水深計20をケース10に固着する前の状態で、時計100の防水性が担保されている。したがって、時計100は、水深計20の有無で一般的に用いられている防水の構造を変える必要がない。また、仮に、下側リング22をケース10に螺着(ねじ溝に沿ったねじ込みでの装着)して着脱することで分離可能にした構造にするなど、水深計20を時計100から取り外した状態にできるようにすることで、時計100や水深計20のメンテナンスを容易にしたり、水深計20を他の水深計と交換するのを容易にしたりすることができる。このように、本発明に係る水深計付き時計は、水深計が時計本体から分離可能であるものにも適用することができる。
【0041】
<変形例>
上述した実施形態の水深計付き時計100は、清掃用の器具として、注射器型の吸引・噴出器220とチューブ管210とが組み合わされた清掃用の器具200を用いるのに適したものとして説明したが、本発明に係る水深計付き時計は、この形態の清掃用の器具200を用いるものに限定されない。例えば、吸引・噴出器220としては、注射器型でなくてもよいし、吸引のみや噴出のみのものであってもよい。
【0042】
また、中空管23に挿入して内部の異物を除去する清掃用の器具として、ストロー用の細長いブラシ(ワイヤの先端部にブラシ毛が設けられたもの)などを用いた場合にも、チューブ管210と同様に、そのブラシを中空管23の内部にスムーズに案内させることができる。
【0043】
また、実施形態の水深計付き時計100は、中空管23が矩形状の断面を有するものであるが、断面形状は矩形に限らず、角丸の矩形、円形であってもよいし、楕円形であってもよいし、三角形やその他の多角形等であってもよい。入口管40の断面形状についても、中空管23の形状に対応させて、角丸の矩形、円形であってもよいし、楕円形であってもよいし、三角形やその他の多角形等であってもよい。なお、入口管40の断面形状は、中空管23に接続される部分(例えば、始点位置24)において、中空管23の内面が入口管40の内面よりも内側に出っ張ってさえいなければ、中空管23の断面形状と異なる形状を適用することもできる。
【0044】
また、実施形態の水深計付き時計100は、中空管23の始点位置24を、「0」の数字31が描かれた位置としているが、始点位置24に「0」の数字31やその他の文字・記号が描かれていなくてもよい。また、始点位置24に数字31やその他の文字・記号が描かれている場合に、その数字31や文字・記号が始点位置24に厳密に一致していなくてもよい。水深計20は、通常はある程度の深さ(数[m])以上に潜ったときに、その水深を確認するものとして用いられることが多く、1,2[m]程度の極浅い水深を極めて正確に指示する必要は無く、したがって、始点位置24に対して水深0[m]を示す数字31や文字・記号が多少ずれた位置に描かれていてもよい。
【0045】
また、実施形態の水深計付き時計100は、入口管40の下面42、上面43、外側の側面46及び内側の側面47という全ての面が、中空管23の対応する面22b.21c,21d,21eに対して傾斜して形成されているが、これら入口管40の全ての面42,43,46,47が傾斜している必要はない。すなわち、入口管40の少なくとも一部の面だけ(例えば、外側の側面46のみ、下面42のみ、又は外側の側面46と下面42等)が傾斜していてもよく、この場合であっても、入口管40の全ての面42,43,46,47が傾斜していないものに比べて、上述したチューブ管210の先端211を傾斜した面に当てることにより中空管23に挿し入れ易くなり、チューブ管210をスムーズに案内させることができる効果を発揮する。
【0046】
なお、本実施形態の時計100のように、中空管23が時計100の外周部分に配置されたリング状に形成されたものであるときは特に、少なくとも入口管40の外側の側面46を傾斜した面とすることで、チューブ管210を中空管23まで案内し易い。
【0047】
また、入口管40の下面42や上面43の傾斜の程度を小さくするか、又は傾斜させない面に形成して、入口管40の開口41を、上側リング21の上面21bではなく外周面21fに形成することもできる。
図8,9,10はそれぞれ、入口管40の開口41が、上側リング21の外周面21fに形成された水深計20を示す図である。なお、
図8は開口41が矩形であり、
図9は開口41が角丸の矩形であり、
図10は開口41が楕円形である。本実施形態の時計100は、
図8,9,10に示すように、入口管40の下面42や上面43の傾斜の程度を小さくすることで、入口管40の下面42及び上面43を形成する部分の板厚を厚くして強度を確保し、入口管40の開口41を、上側リング21の外周面21fに形成してもよい。
【0048】
実施形態の水深計付き時計100は、入口管40の下面42、上面43、外側の側面46及び内側の側面47という傾斜した面が全て平面であるが、傾斜した面は平面でなく曲面であってもよい。
【0049】
図11は開口41の縁に、面取り41aが形成されている水深計20を示す
図6相当の平面図、
図12は開口41の縁に、上方に凸となる枠41bが形成されている水深計20を示す
図6相当の平面図である。上述した実施形態の水深計付き時計100は、開口41の縁に、
図11に示すように面取り41aが施されていてもよい。また、開口41の縁に、
図12に示すように上方に凸となる枠41bが形成されていてもよい。これら面取り41aや枠41bが形成されていることにより、開口41が装飾された印象を与え、外観品質を向上させることができる。
【0050】
図13は入口管40の上方(上側リング21の上面21b)と外側の側方(上側リング21の外周面21f)とにまたがって形成された開口41を示す平面図及び側面図である。なお、時計100の時刻表示部を基準とした場合、時刻表示部を正面から視認して向かう方向が下方であり、その反対方向が上方である。
【0051】
上述した実施形態の時計100は、入口管40が、水深計20の上側リング21の上面21b(
図5参照)のみにおいて開口41を有するように形成されたものであるが、入口管40の開口41が、
図13に示すように、上側リング21の上面21bと上側リング21の外周面21fとにまたがって形成されていてもよい。このように上面21bと外周面21fとにまたがって形成された開口41は、上面21bにのみ形成された開口41よりも広い面積で形成することができるため、チューブ管210を、入口管40に、一層挿し入れ易くすることができる。
【0052】
また、入口管40の幅W1が、中空管23に近づくにしたがって狭くなる形状であるため、チューブ管210が、入口管40の幅方向の一方の側面(例えば、外側の側面46)側に偏って挿入された場合であっても、中空管23に近づくにしたがって、チューブ管210を入口管40の幅方向の中央に導くことができる。これにより、チューブ管210を中空管23に一層導き易くすることができる。
【0053】
実施形態の時計100は、水深計20がユニット化されてケース10に固着されているが、水深計20がケース10の外周壁の一部として形成されていてもよい。
【0054】
また、水深計20は、C字状の中空管23を有するものでなくてもよく、中空管23は例えば直線状に延びたものであってもよい。この場合、例えば、直線状に延びた棒状の水深計20は、ケース10に隣接して時計100の9時側の側部で、12時側から6時側に向かう方向に平行に、ケース10に固着又は着脱可能に設けることができる。同様に、直線状に延びた棒状の水深計20は、ケース10に隣接して、時計100の3時側の側部で12時側から6時側に向かう方向に平行に配置したり、時計100の12時側又は6時側の側部で3時側から9時側に向かう方向に平行に配置することができる。
【0055】
さらに、直線状に延びた棒状の水深計20の別の例として、風防ガラス12と文字板60(
図2参照)との間の空間において、時計100の12時の位置と6時の位置とを結ぶ直線に沿って設けられてもよい。この場合、入口管40の開口41が時計100の外部に臨むように、水深計20が配置される必要がある。
【0056】
なお、水深計20が、風防ガラス12と文字板60(
図2参照)との間の空間に配置されるものでは、文字板60の外周縁付近に見返しリングを配置し、この見返しリングに水深計20の両端が支持されてもよい。
【0057】
<参考例>
図14は、時計100の側面(上側リング21の外周面21f等。以下、同じ。)において外部に臨んだ開口41を有し、開口41から、水深計20として機能するC字状に形成された中空管23の始点位置24に、中空管23の接線方向に延びた入口管40を備えた水深計20を示す平面図及び側面図である。
【0058】
上述した実施形態の水深計付き時計100は、入口管40の少なくとも一部の面が傾斜して形成されているものであるが
、本発明の実施形態ではない参考例としては、図14に示すように、時計100の側面である上側リング21の外周面21fにおいて外部に臨んだ開口41を有し、開口41から、水深計20として機能するC字状に形成された中空管23の始点位置24に、中空管23の接線方向に延びた入口管40を備えたものであってもよい。
【0059】
なお、上述し
た参考例では、中空管23の始点位置24はC字状の管の一方の端部に位置しているため、中空管23の接線方向は、始点位置24における接線方向となる。ここで、仮に、中空管23が、C字状の管の一端部に短い長さの直線状の管が一体に形成されていて、水深計として機能する中空管23が、そのC字状の管と直線状の管とで構成される場合、中空管23の始点位置24は、その直線状の管の他端(C字状の管と接続された側の端とは反対側の端)に位置する。この場合、中空管23の始点位置24における接線方向は、直線状の管を延長した方向となる。
【0060】
さらに、中空管23は、風防ガラス12と文字板60との間の空間(時計100の厚さ方向における空間)において、時計100の時刻12時の位置と時刻6時の位置とを結ぶ直線に沿って設けられてもよい。この場合、開口41は、時計100の時刻12時の位置又は時刻6時の位置において、上側リング21の外周面21fの外部に臨むように構成される。
【0061】
なお、水深計20が、風防ガラス12と文字板60との間の空間に配置されるものでは、水深計20の両端は文字板60の外周縁付近に配置されることがある見返しリングに、水深計20の両端が支持されてもよい。
【0062】
なお、入口管40の下面42は中空管23の下面22bに段差なく接続し、入口管40の上面43は中空管23の上面21cに段差なく接続し、入口管40の外側の側面46は中空管23の外側の側面21dに段差なく接続し、入口管40の内側の側面47は中空管23の内側の側面21eに段差なく接続している。また、入口管40の断面積S2は、中空管23の断面積Sと同じに形成されている。
【0063】
なお、入口管40の内面は、入口管40に接続される中空管23の断面輪郭が、開口41まで遮られずに投影される形状に形成されていれば、入口管40の断面積S2は開口41に向かって大きくなるように変化してもよい。入口管40の断面積S2が中空管23の断面積Sと同じ場合も、入口管40に接続する中空管23の断面輪郭が開口41まで遮られずに投影されるという前述の条件を満たす。
【0064】
このように構成され
た参考例の水深計付き時計100によれば、入口管40が、中空管23から真っ直ぐに延びる方向を遮らずに開口41まで延びているため、チューブ管210が入口管40の内部で曲がらずに、中空管23までスムーズに案内させることができる。
【0065】
また、入口管40の断面積S2が中空管23の断面積Sと同じ場合は、入口管40と中空管23は、断面積S2(太さ)が一定の一直線の管になるため、簡単に形成することができる。
【0066】
また、
図14に示したように、時計100の平面視において中空管23が時刻表示部80(
図1参照)を囲み、開口41が時計100の側面である上側リング21の外周面21fに形成されているものでは、中空管23が時刻表示部80の外側に配置されていないものに比べて中空管23の長さが長く、かつ中空管23や入口管40を単純な形状にすることができるため、チューブ管210を中空管23の内部にスムーズに案内させることができる。
【0067】
また、水深計付き時計100は、中空管23の端部(始点位置24)がそのまま開口41に位置している場合は、上述した入口管40を有するものでなくてもよい。この場合は、中空管23の端部に始点位置24があるため、始点位置24が開口41に位置することとなり、チューブ管210を中空管23の内部にスムーズに案内させることができる。
【0068】
なお、入口管40の開口41の縁については、実施形態1と同様に、面取り41a(
図11参照)が形成されていてもよいし、枠41b(
図12参照)が形成されていてもよい。また、入口管40の断面形状についても、中空管23の形状に対応させて、角丸の矩形、円形であってもよいし、楕円形であってもよいし、三角形やその他の多角形等であってもよい。
【0069】
さらに、入口管40の下面42,上面43,外側の側面46,内側の側面47と、中空管23の下面22b,上面21c,外側の側面21d,内側の側面21eとの間に段差があっても、その形状が中空管23側の方が凹んだ段差であれば、チューブ管210を中空管23の内部にスムーズに案内することができる。
【0070】
同様に、入口管40の下面42,上面43,外側の側面46,内側の側面47に段差があっても、入口管40から中空管23に向かう方向に凹んだ段差であれば、チューブ管210を中空管23の内部にスムーズに案内することができる。
【0071】
また、上述した各実施形態及び変形例は、開口41から浸入する水を中空管23まで導く入口路として、周囲の全周が面で囲まれた管状の入口管40の例を示したが、本発明に係る水深計付き時計における入口路は、管状でなくてもよい。例えば、その入口路としては、
図6において入口管40における外側の側面46を有していない通路や、
図5において、上面43が垂直方向に向くことにより管状を形成しない通路でもよい。これらの入口路であっても、例えば実施形態1において、入口路の少なくとも一部に傾斜面が形成されてさえいれば、その傾斜面を利用してチューブ管210を中空管23の内部にスムーズに案内することができ、本発明に係る水深計付き時計の一例となる。
【0072】
また、上述した実施形態1及び変形例は、開口41の面積S1が、中空管23の始点位置24における断面積Sよりも広い例を示したが、清掃用の器具200における中空管23内への挿入部が、中空管23の太さよりも十分に細い場合は、開口41の面積S1が中空管23の始点位置24における断面積Sよりも広くなくてもよい。この場合は、開口41の面積S1は、清掃用の器具200における中空管23内への挿入部が容易に挿入可能な面積であればよい。