(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記キャビティーは、上記スライドコアが摺動する周囲には、上記パリソンの位置する方向に張出したキャビティー張出部が形成された請求項1に記載の内蔵部品を有するブロー成形品のブロー成形方法。
上記ブロー成形割型が開いたときに上記パリソンを上記ブロー成形割型に押圧する圧空用金型を設け、上記ブロー成形割型の上記キャビティーの外周面に位置する上記パリソンを上記圧空金型で押圧して、上記パリソンを上記圧空用金型と上記ブロー成形割型で挟持して、上記ブロー成形割型のキャビティーにエア抜き孔を設け、上記ブロー成形割型の上記キャビティーのエア抜き孔から上記パリソンを吸引して上記キャビティーで上記パリソンを賦形した請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の内蔵部品を有するブロー成形品のブロー成形方法。
上記ブロー成形品は、自動車用燃料タンクであり、上記内蔵部品は、上記燃料タンク内部に取付けられて、上記燃料タンクの上壁と下壁に溶着されて保持する支柱部材である請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の内蔵部品を有するブロー成形品のブロー成形方法。
上記ブロー成形割型の間に上記内蔵部品を取付けた上記内蔵部品保持部材をロボットにより挿入する請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の内蔵部品を有するブロー成形品のブロー成形方法。
【背景技術】
【0002】
従来、中空状のブロー成形品、例えば、自動車用等の燃料タンクの構造としては、金属製のものが用いられていたが、近年、車両の軽量化や、錆が発生しないこと、所望の形状に成形しやすいことなどによって中空状の熱可塑性合成樹脂製のものが用いられるようになってきた。
【0003】
熱可塑性合成樹脂製の中空状の製品の製造は、中空体を成形することの容易性からブロー成形方法が多く用いられてきた。ブロー成形方法では、溶融した熱可塑性合成樹脂部材のパリソンを円筒状にして上から押出して、そのパリソンを金型で挟みパリソン中に空気を吹き込み、中空体を製造していた。
【0004】
一方、ブロー成形方法においても、ブロー成形品、例えば、燃料タンクの内部に燃料タンクの上壁と下壁を保持する支柱部材やバルブ類や燃料の流動音を抑制するためのバッフルプレート等の内蔵部品を設けることが求められている場合がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
そこで、ブロー成形品の内部に内蔵部品を設ける場合には、
図16に示すような製造装置を使用している(例えば、特許文献2及び3参照。)。内蔵部品110を内蔵部品保持棒141でブロー成形金型120のキャビティー内に保持して、パリソン8を下降させて、その後、スライドコア126で内蔵部品110を挟持して、ブロー成形金型120を閉じるとともに、ピンチ板135でパリソン8を挟持して、ブロー成形品を成形している。
【0006】
しかし、この場合において、内蔵部品110が大きくなると、
図17に示すように、内蔵部品保持棒241に保持された内蔵部品210をブロー成形金型220で成形するときに、パリソン8内に内蔵部品保持棒241で内蔵部品210を保持して、内蔵部品保持棒241をスライドさせ、内蔵部品210を挿入し、その後、スライドコア226で内蔵部品210を挟持している。
【0007】
また、ブロー成形品が大型化した場合や、内蔵部品が複数個取付ける場合には、
図18と
図19に示すように、パリソン8を2枚に分割して、それぞれのブロー成形割型321のキャビティー322の対向する部分にパリソン8を保持させるものがある(例えば、特許文献4参照。)。
【0008】
この場合には、ブロー成形中子金型330に内蔵部品310を取付けて、2枚のパリソン8の間にブロー成形中子金型330を挿入している。そして、パリソン8をブロー成形割型321のキャビティー322に密着させた後に、内蔵部品310を取付けたスライドシリンダ331をスライドさせて、内蔵部品310をパリソン8の表面に押圧して取付けている。
しかしながら、この場合には、ブロー成形中子金型330にスライドシリンダ331を複数個取付けているため、ブロー成形中子金型330の構造が複雑となり、スライドシリンダ331を制御する工程も複雑となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そのため、本発明は、内蔵部品を有するブロー成形品の成形方法において、内蔵部品をパリソンに容易に取付けることができる、ブロー成形中子金型の構造が簡単な、内蔵部品を有するブロー成形品のブロー成形方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための請求項1の本発明は、ブロー成形金型を使用して、内部に内蔵部品が取付けられるブロー成形品をパリソンから成形するブロー成形方法において、
ブロー成形金型は、パーティングラインで2つに分割して形成されたブロー成形割型と、ブロー成形割型が開いたときにブロー成形割型の間に位置する内蔵部品保持部材を有し、
ブロー成形割型は、開閉面にブロー成形品を形成するキャビティーが形成され、キャビティーには、キャビティー面からパリソンの位置する方向に摺動自在にスライドするスライドコアを有し、
ブロー成形金型をパーティングラインで開き、開かれた両側のブロー成形割型のキャビティーにそれぞれパリソンを移動させ、
2枚のパリソンを2つのブロー成形割型のキャビティーにパリソンを吸引又は押圧してキャビティーでパリソンを賦形するとともに、スライドコアで少なくとも2枚のパリソンの一方の一部をキャビティーの面から離れる方向に突出させ、
ブロー成形割型の間に内蔵部品を取付けた内蔵部品保持部材を挿入し、内蔵部品の一方の先端をスライドコアにより突出された少なくとも一方のパリソンの部分に当接させて溶着させるとともに、内蔵部品の他方の端を他方のパリソンに当接させて溶着し、
内蔵部品保持部材をブロー成形割型の間から取り出し、
ブロー成形割型を閉じる方向に移動させて、スライドコアをブロー成形割型の内部に移動させつつ、ブロー成形割型のキャビティーに密着した2枚のパリソンの周囲を合体させて、内蔵部品をブロー成形品の内部に取付けることを特徴とする内蔵部品を有するブロー成形品のブロー成形方法である。
【0012】
請求項1の本発明では、ブロー成形金型を使用して、内部に内蔵部品が取付けられるブロー成形品をパリソンから成形するブロー成形方法において、ブロー成形金型は、パーティングラインで2つに分割して形成されたブロー成形割型と、ブロー成形割型が開いたときにブロー成形割型の間に位置する内蔵部品保持部材を有する。このため、ブロー成形割型が開いたときにブロー成形割型の間に内蔵部品保持部材で保持された内蔵部品を位置させることができる。
【0013】
ブロー成形割型は、開閉面にブロー成形品を形成するキャビティーが形成され、キャビティーには、キャビティー面からパリソンの位置する方向に摺動自在にスライドするスライドコアを有する。このため、パリソンをキャビティーで賦形してブロー成形品を成形することができるとともに、スライドコアでパリソンにキャビティーの面から離れる方向に突出する突出部を形成することができる。
【0014】
ブロー成形金型をパーティングラインで開き、開かれた両側のブロー成形割型のキャビティーにそれぞれパリソンを移動させ、2枚のパリソンを2つのブロー成形割型のキャビティーにパリソンを吸引又は押圧してキャビティーでパリソンを賦形するとともにとともに、スライドコアで少なくとも2枚のパリソンの一方の一部をキャビティーの面から離れる方向に突出させる。このため、2枚のパリソンをキャビティーに密着させて賦形すると同時に、2枚のパリソンの一方の一部をキャビティーの面から離れる方向に突出させることができる。
【0015】
ブロー成形割型の間に内蔵部品を取付けた内蔵部品保持部材を挿入し、内蔵部品の一方の先端をスライドコアにより突出された少なくとも一方のパリソンの部分に当接させて溶着させるとともに、内蔵部品の他方の端を他方のパリソンに当接させて溶着する。このため、ブロー成形割型が開いた状態で、2枚のパリソンの間に内蔵部品を位置させて、内蔵部品の両端をそれぞれのパリソンに溶着させることができる。
【0016】
内蔵部品保持部材をブロー成形割型の間から取り出し、ブロー成形割型を閉じる方向に移動させて、スライドコアをブロー成形割型の内部に移動させつつ、ブロー成形割型のキャビティーに密着した2枚のパリソンの周囲を合体させて、内蔵部品をブロー成形品の内部に取付ける。このため、2枚のパリソンに内蔵部品を保持させつつ、ブロー成形割型を閉じて、2枚のパリソンの周囲を合体させて、内蔵部品を内部に取付けられたブロー成形品を成形することができる。
【0017】
請求項2の本発明は、キャビティーは、スライドコアが摺動する周囲には、パリソンの位置する方向に張出したキャビティー張出部が形成された内蔵部品を有するブロー成形品のブロー成形方法である。
【0018】
請求項2の本発明では、キャビティーは、スライドコアが摺動する周囲には、パリソンの位置する方向に張出したキャビティー張出部が形成されている。このため、内蔵部品を取付けた部分のブロー成形品の外壁に段差勾配を設けることができ、パリソンにブロー成形品の内部方向に突出する突出部を形成することにより、パリソンが伸ばされた部分を段差勾配に当接させて、パリソンに皺が入らないようにすることができる。
【0019】
請求項3の本発明は、スライドコアの摺動は、ラックピニオン又はバネにより行われる内蔵部品を有するブロー成形品のブロー成形方法である。
【0020】
請求項3の本発明では、スライドコアの摺動は、ラックピニオン又はバネにより行われるため、ブロー成形割型が閉じる動作につれて、スライドコアをブロー成形割型の内部に円滑に後退させることができる。
【0021】
請求項4の本発明は、パリソンは、ブロー成形割型に真空吸引で吸引される内蔵部品を有するブロー成形品のブロー成形方法である。
【0022】
請求項4の本発明では、パリソンは、ブロー成形割型に真空吸引で吸引されるため、パリソンは、ブロー成形割型のキャビティー面に密着して、キャビティー面の形状に賦形されることができる。
【0023】
請求項5の本発明は、ブロー成形割型が開いたときにパリソンをブロー成形割型に押圧する圧空用金型を設け、ブロー成形割型のキャビティーの外周面に位置するパリソンを圧空金型で押圧して、パリソンを圧空用金型とブロー成形割型で挟持して、ブロー成形割型のキャビティーにエア抜き孔を設け、ブロー成形割型のキャビティーのエア抜き孔からパリソンを吸引してキャビティーでパリソンを賦形した内蔵部品を有するブロー成形品のブロー成形方法である。
【0024】
請求項5の本発明では、ブロー成形割型が開いたときにパリソンをブロー成形割型に押圧する圧空用金型を設け、ブロー成形割型のキャビティーの外周面に位置するパリソンを圧空金型で押圧して、パリソンを圧空用金型とブロー成形割型で挟持して、ブロー成形割型のキャビティーにエア抜き孔を設け、ブロー成形割型のキャビティーのエア抜き孔からパリソンを吸引してキャビティーでパリソンを賦形した。このため、圧空用金型でパリソンの周囲を押圧することによりパリソンをブロー成形割型密着させて、空気漏れを防止して、エア抜き孔からパリソンを吸引して、パリソンをキャビティー面に一層強く密着させることができ、キャビティーに沿ってパリソンを確実に賦形することができる。
【0025】
請求項6の本発明は、ブロー成形品は、自動車用燃料タンクであり、内蔵部品は、燃料タンク内部に取付けられて、燃料タンクの上壁と下壁に溶着されて保持する支柱部材である内蔵部品を有するブロー成形品のブロー成形方法である。
【0026】
請求項6の本発明では、ブロー成形品は、自動車用燃料タンクであり、内蔵部品は、燃料タンク内部に取付けられて、燃料タンクの上壁と下壁に溶着されて保持する支柱部材である。このため、燃料タンクの剛性を増加させて、燃料タンクの内圧の増減による燃料タンクの上壁と下壁の膨張と収縮を支柱部材で防止することができる。
【0027】
請求項7の本発明は、ブロー成形割型の間に内蔵部品を取付けた内蔵部品保持部材をロボットにより挿入する内蔵部品を有するブロー成形品のブロー成形方法である。
【0028】
請求項7の本発明では、ブロー成形割型の間に内蔵部品を取付けた内蔵部品保持部材をロボットにより挿入するため、ブロー成形割型の開閉に応じて確実に、自動的に、内蔵部品を2枚のパリソンの間に挿入することができる。
【発明の効果】
【0029】
ブロー成形割型のキャビティーには、キャビティー面からパリソンの位置する方向に摺動自在にスライドするスライドコアを有するため、パリソンをキャビティーで賦形してブロー成形品を成形することができるとともに、スライドコアでパリソンにブロー成形品の内部方向に突出する突出部を形成することができる。
【0030】
ブロー成形割型の間に内蔵部品を取付けた内蔵部品保持部材を挿入し、内蔵部品の一方の先端をスライドコアにより突出された少なくとも一方のパリソンの部分に当接させて溶着させるとともに、内蔵部品の他方の端を他方のパリソンに当接させて溶着するため、ブロー成形割型が開いた状態で、内蔵部品の両端を2枚のパリソンの間に内蔵部品を位置させて、内蔵部品の両端をそれぞれのパリソンに溶着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の実施の形態で使用するブロー成形装置がブロー成形品を製造する工程の断面図であり、ブロー成形金型が開いて、2枚のパリソンがブロー成形金型内に入った状態を示す断面図である。
【
図2】本発明の実施の形態で使用するブロー成形装置がブロー成形品を製造する工程の断面図であり、ブロー成形金型が開いて、2枚のパリソンの間に圧空用金型が挿入された状態を示す断面図である。
【
図3】本発明の実施の形態で使用するブロー成形装置がブロー成形品を製造する工程の断面図であり、圧空用金型がパリソンをブロー成形割型の型面に押圧した状態を示す断面図である。
【
図4】本発明の実施の形態で使用するブロー成形装置がブロー成形品を製造する工程の断面図であり、ブロー成形中子金型の圧空用金型がパリソンをブロー成形割型の型面に押圧して、パリソンをブロー成形割型のキャビティー面に吸引及び押圧した状態を示す断面図である。
【
図5】本発明の実施の形態で使用するブロー成形装置がブロー成形品を製造する工程の断面図であり、パリソンがブロー成形割型のキャビティーに吸引及び押圧され、圧空用金型がブロー成形割型の間から取出された状態を示す断面図である。
【
図6】本発明の実施の形態で使用するブロー成形装置がブロー成形品を製造する工程の断面図であり、ブロー成形割型の間に内蔵部品を取付けた内蔵部品保持部材が挿入された状態を示す断面図である。
【
図7】本発明の実施の形態で使用するブロー成形装置がブロー成形品を製造する工程の断面図であり、ブロー成形金型を若干閉じて、内蔵部品をパリソンに溶着した状態を示す断面図である。
【
図8】本発明の実施の形態で使用するブロー成形装置がブロー成形品を製造する工程の断面図であり、ブロー成形割型を閉じて、2枚のパリソンを融着させて、ブロー成形をした状態を示す断面図である。
【
図9】本発明の実施の形態で使用するブロー成形装置がブロー成形品を製造する工程の断面図であり、ブロー成形割型を開いて、ブロー成形品を取出す状態を示す断面図である。
【
図10】本発明の実施の形態で使用するブロー成形装置がブロー成形品を製造する工程の断面図であり、キャビティー面にキャビティー張出部と段差勾配を設け、ブロー成形割型のスライドコアがキャビティー面から突出して、パリソンに支持部材の一端が溶着された状態を示すスライドコアの部分の拡大断面図である。
【
図11】本発明の実施の形態で使用するブロー成形装置がブロー成形品を製造する工程の断面図であり、キャビティー面にキャビティー張出部と段差勾配を設け、ブロー成形割型のスライドコアがブロー成形割型の内部に後退して、パリソンに支持部材の一端が溶着された状態を示すスライドコアの部分の拡大断面図である。
【
図12】本発明の実施の形態で使用するブロー成形装置がブロー成形品を製造する工程の断面図であり、キャビティー面にキャビティー張出部と段差勾配を設け、燃料タンクの内部に支柱部材を取付ける工程を示す断面図である。
【
図13】本発明の実施の他の形態で使用するブロー成形装置がブロー成形品を製造する工程の断面図であり、ブロー成形金型が開いて、2枚のパリソンの間にブロー成形中子金型が挿入された状態を示す断面図である。
【
図14】本発明の実施の他の形態で使用するブロー成形装置がブロー成形品を製造する工程の断面図であり、三次元中枠がパリソンをブロー成形割型の型面に押圧した状態を示す断面図である。
【
図15】本発明の実施の形態で成形される燃料タンク斜視図である。
【
図16】従来のブロー成形装置のスライドコアと駆動制御ピンがブロー成形品を製造する装置の斜視図である。
【
図17】従来の他のブロー成形装置のブロー成形品を製造する工程の断面図であり、パリソンがブロー成形金型内に入った状態を示す断面図である。
【
図18】従来の他のブロー成形装置のブロー成形品を製造する工程の断面図であり、2枚のパリソンの間に内蔵部品を取付けたブロー成形中子金型が入った状態を示す断面図である。
【
図19】従来の他のブロー成形装置のブロー成形品を製造する工程の断面図であり、2枚のパリソンの間にブロー成形中子金型が入り、ブロー成形中子金型の内蔵部品をスライドさせて、パリソンに押圧する状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の実施の形態の内部に内蔵部品である支柱部材11が取付けられるブロー成形品のブロー成形方法について、ブロー成形品である自動車用の燃料タンク1を製造するブロー成形方法を例にとり、
図1〜
図15に基づき説明する。本発明は、支柱部材11を有する燃料タンク1の成形方法を例にとり説明するが、内蔵部品を有する他のブロー成形品のブロー成形方法についても使用することができる。
【0033】
図15は、本発明の実施の形態のブロー成形方法により製造された燃料タンク1の斜視図である。
本発明の実施の形態において、ブロー成形装置で製造される燃料タンク1は、
図15に示すように、その燃料タンク1に燃料ポンプ(図示せず)等を出し入れするためにポンプユニット取付孔4が上面に形成されている。また、燃料タンク1の側面又は上面には、インレットパイプ(図示せず)から燃料を注入する燃料注入孔5が形成されている。
【0034】
また、燃料タンク1の周囲には外周リブ2が全周に亘り形成されており、外周リブ2のコーナー部等の所定箇所には、数箇所に亘り取付用孔3が形成され、取付用孔3と車体をボルト締めすることにより、燃料タンク1を車体に取付けている。
さらに、燃料タンク1の上面には、内部の燃料蒸気を回収するホース等を接続する各所の取付孔6が形成されている。
【0035】
本実施の形態において成形される燃料タンク1は、後述するブロー成形の製造装置で製造されるが、燃料タンク1の外壁は、ブロー成形で形成され、その外壁は、1層又は多層で形成され、多層の場合は、例えば、外側から順に表皮層、外部本体層、外部接着剤層、バリヤ層、内部接着剤層及び内部本体層から形成されている。
【0036】
燃料タンク1の内部には、例えば、燃料タンク1の補強のための柱である支柱部材11や、燃料の波うちを防止して、波うち音の発生を防止することができるための仕切り板や、燃料ポンプ、キャニスター等を取付ける箱状物等が内蔵部品として取付けられている。
内蔵部品は、ポリアセタール、高密度ポリエチレン(HDPE)等の耐燃料油性の熱可塑性合成樹脂で形成することができる。これにより燃料タンク1の強度を向上させることができるとともに、燃料タンク1の内部に取付けられても、燃料油による膨潤等で剛性が低下することがない。
【0037】
本発明の実施の形態であるブロー成形方法について、ブロー成形方法に使用するブロー成形装置について説明する。
本発明の実施の形態であるにブロー成形方法に使用するブロー成形装置は、パリソン8を押出するダイコア(図示せず)と、パリソン8を保持するパリソン保持部材50と、ブロー成形品を成形するブロー成形金型20と内蔵部品を保持する内蔵部品保持部材30から構成されている。
【0038】
ダイコアから押出されたパリソン8は、縦方向に2枚に切断されて、切断されたパリソン8は、先端をパリソン保持部材50で保持されて、ブロー成形金型20まで移動される。
なお、パリソン8は、2枚に切断されることなく、別々にシート状に押出されて、ブロー成形金型20まで移動させることができる。
【0039】
図1に示すように、ブロー成形金型20は、パーティングラインで2つに分割して形成されたブロー成形割型21を有し、開閉面にブロー成形品である燃料タンク1を形成するブロー成形割型21のキャビティー22が形成されている。キャビティー22には、パリソン8の位置する方向にキャビティー22面から突出するように摺動可能にスライドコア25が取付けられている。
【0040】
図1及び
図10に示すように、スライドコア25は、ブロー成形割型21に設けられたスライド穴24を摺動自在に取付けられている。スライドコア25の摺動は、ラックピニオン又はバネにより行うことができる。このため、ブロー成形割型21が閉じる動作につれて、スライドコア25をブロー成形割型21の内部であるスライド穴24に円滑に後退させることができる。
本実施の形態では、スライドコア25は、ブロー成形割型21の一方側にのみ設けたが、両側のブロー成形割型21の両方に設けてもよい。
【0041】
なお、
図10〜
図12は、ブロー成形割型21のキャビティー22にスライドコア取付部28を取付けて、スライドコア取付部28のスライドコア25が摺動する周囲に、パリソン8の位置する方向に張出したキャビティー張出部26とキャビティー勾配段差27を形成した形態である。この場合は、内蔵部品である支柱部材11を取付けた部分の燃料タンク1の外壁に段差勾配を設けることができ、パリソン8に燃料タンク1の内部方向に突出する突出部を形成することにより、パリソン8が伸ばされた部分をキャビティー勾配段差27に当接させて、パリソン8に皺が入らないようにすることができる。なお、スライドコア取付部28には、空気を吸引するエア抜き孔29が設けられている。
【0042】
さらに、上述するように、ブロー成形割型21が開いたときにブロー成形割型21の間に移動する圧空用金型40と支柱部材11を保持する内蔵部品保持部材30を設けている。なお、圧空用金型40は、パリソン8をキャビティー22面に吸着することができれば、省略することもできる。
【0043】
圧空用金型40は、
図2に示すように、2個のブロー成形割型21に対向するように2個の金型で形成されている。2個の圧空用金型40は、上端を圧空用金型保持部材42で相互に固定されるように、保持されている。下端は、圧空用金型補強ブロック43で保持されている。
【0044】
これによって、後述するように、圧空用金型保持部材42と圧空用金型補強ブロック43により、2個の圧空用金型40で2個のパリソン8をそれぞれ両側のブロー成形割型21に押圧して、パリソン8を挟持するとともに、パリソン8をブロー成形割型21のキャビティー22に押圧するための高圧空気の反力に抗して、2個のパリソン8を挟持し続けて、同時に賦形することができる。
【0045】
2個の圧空用金型40は、
図2に示すように、板状に形成することができる。パリソン8の周囲をブロー成形割型21のキャビティー22の外周付近に押圧することができれば、板状ではなく、他の形状を有することができる。また、パリソン8と対向する圧空用金型40の中心部分は、パリソン8が接触しないように、凹部を設けることができる。
【0046】
また、圧空用金型40の代わりに、
図13と
図14に示すように、ブロー成形中子金型70を使用することができる。
ブロー成形中子金型70は、ブロー成形中子金型70の両側の面にそれぞれパリソン8をブロー成形割型21のキャビティー22の外周面23に押圧する押圧枠部材である三次元中枠71と、パリソン8をブロー成形割型21のキャビティー22の外周面に密着させて、気密的に押圧する中子金型気密押部材である第1中子金型気密押部材73と第2中子金型気密押部材75を設けている。このため、パリソン8を中子金型気密押部材でブロー成形割型21の外周面23に気密的に保持して、ブロー成形前にパリソンを賦形することができる。
【0047】
図6に示すように、内蔵部品保持部材30は、ブロー成形割型21に対向する両側の面に内蔵部品である支柱部材11を取付ける部品保持部31を有する。内蔵部品保持部材30には、支柱部材11を取付ける部品保持部31を複数個設けることができる。この場合は、複数の支柱部材11を同時に取付けることができるとともに、大きな内蔵部品の場合でも、複数の支柱部材11を部品保持部31で保持することにより容易にパリソン8内に取付けることができる。
【0048】
また、内蔵部品保持部材30は、ロボットアーム60に取付けられている。ロボットアーム60は、支柱部材11が取付けられた内蔵部品保持部材30を2個のブロー成形割型21の間に搬入し、支柱部材11をパリソン8に取付後は、内蔵部品保持部材30を2個のブロー成形割型21の間から取り出すことができる。
【0049】
次に、
図1〜
図12に基づき、本発明の実施の形態である内蔵部品である支柱部材11を有するブロー成形品である燃料タンク1のブロー成形方法を説明する。
ブロー成形金型20まで移動したダイコアから押出された2枚のパリソン8は、
図1に示すように、ブロー成形金型20がパーティングラインで分割して形成されたブロー成形割型21が左右に開いた状態の間に、それぞれ左右のブロー成形割型21のキャビティー22に対向して位置する。一方のブロー成形割型21のキャビティー22面に形成されたスライド穴24からスライドコア25がパリソン8の方向に突出している。パリソン8は、上部と下部をパリソン保持部材50で挟持されて、保持されている。
なお、上述のように、パリソン8をキャビティー22面に吸着することができる場合には、圧空用金型40を省略することができる。
【0050】
次に、
図2に示すように、2枚のパリソン8の間に圧空用金型40を挿入する。圧空用金型40は、ブロー成形機に取付けられたスライドレール(図示せず)の上をスライドして移動することができる。圧空用金型40は、
図2に示すように、ブロー成形割型21のキャビティー22に対向するように2個の板状の金型で形成されている。
【0051】
2個の圧空用金型40は、上端を圧空用金型保持部材42でブロー成形割型21と対向するように保持され、下端は、圧空用金型補強ブロック43で保持されている。2個の圧空用金型40のブロー成形割型21のキャビティー22に対向する面は、圧空用金型パリソン側面41を形成する。圧空用金型パリソン側面とブロー成形割型21のキャビティー22の間にパリソン8が位置している。
【0052】
次に、
図3に示すように、ブロー成形割型21が圧空用金型40の方向に移動して、圧空用金型40の圧空用金型パリソン側面41の周囲がパリソン8を押圧して、ブロー成形割型21のキャビティー22の外周面にパリソン8を密着させる。このとき、両側の圧空用金型40は、圧空用金型保持部材42と圧空用金型補強ブロック43で保持されているため、両側の圧空用金型40が両側のパリソン8の周囲をそれぞれ強く押圧して、圧空用金型40でパリソン8をブロー成形割型21のキャビティー22に気密的に取付けることができる。
【0053】
次に、
図4に示すように、圧空用金型40の圧空用金型パリソン側面41でパリソン8をブロー成形割型21に押圧したまま、ブロー成形割型21のキャビティー22に設けたエア抜き孔から
図4の矢印に示すように、空気を吸引して、パリソン8をキャビティー22の面に吸引してキャビティー22の面でパリソン8を賦形する。
なお、
図10に示すスライドコア取付部28にエア抜き孔29を設けた場合には、エア抜き孔29から空気を吸引する。
【0054】
そのとき、同時に、圧空用金型40の圧空用金型パリソン側面41から、
図4の矢印に示すように、高圧空気を噴出して、パリソン8をさらにキャビティー22に押圧することができる。圧空用金型40は、圧空用金型保持部材42と圧空用金型補強ブロック43で強く保持されているため、高圧空気の反力で圧空用金型40はパリソン8から離れることが無く、高圧空気が漏れることを防止できる。
【0055】
パリソン8をキャビティー22の面に吸引して賦形することと、高圧空気でパリソン8を押圧して賦形することは、両方行ってもよいが、パリソン8の賦形が十分であれば、一方のみを行うこともできる。
このとき、
図4と
図10に示すように、パリソン8は、スライドコア25に当接する部分は、スライドコア25に押し上げられて、キャビティー22面から離れる方向、即ち、ブロー成形後に燃料タンク1となる内部方向に突出している。
【0056】
その後、
図5に示すように、ブロー成形割型21を開いて、圧空用金型40をブロー成形割型21の間から移動させる。そうすると、2個のブロー成形割型21に取付けられて賦形されたパリソン8が向き合うことになる。このとき、スライドコア25によりパリソン8の一部が突出している。
【0057】
次に、
図6に示すように、パリソン8が取付けられた2個のブロー成形割型21の間に支柱部材11が取付けられた内蔵部品保持部材30がロボットアーム60により挿入される。そうすると、支柱部材11の溶着面は、2個のブロー成形割型21に取付けられたパリソン8の被溶着面と向き合うことができる。
【0058】
次に、
図7と
図12(a)に示すように、両側のブロー成形割型21を内蔵部品保持部材30の方向に移動させて、ブロー成形割型21のキャビティー22に密着したパリソン8の表面に内蔵部品保持部材30に取付けられた支柱部材11を押圧する。このとき、パリソン8の一部は、スライドコア25により押し上げられて突出している。
図10に示す形態においても、パリソン8の一部は、スライドコア25により押し上げられて突出している。
【0059】
支柱部材11の一方の先端をスライドコア25により突出された少なくとも一方のパリソン8の部分に当接させて溶着させるとともに、支柱部材11の他方の端を他方のパリソン8に当接させて溶着する。これにより、ブロー成形割型21が開いた状態で、支柱部材11の両端を2枚のパリソン8の間に位置させて、支柱部材11の両端をそれぞれのパリソン8に溶着させることができる。
【0060】
次に、
図8と
図12(b)に示すように、ブロー成形割型21の間から内蔵部品保持部材30を取出すとともに、2個のブロー成形割型21を密着させる。
そして2個のブロー成形割型21が互いに合体する方向に移動するにつれて、スライドコア25は、ブロー成形割型21の内部であるスライド穴24に移動する。このとき、スライドコア25は、ラックピニオン又はバネに支えられているため、ブロー成形割型21が閉じる動作につれて、スライドコア25をブロー成形割型21のスライド穴24に円滑に後退させることができる。
【0061】
2個のブロー成形割型21が互いに合体すると、2枚のパリソン8の周囲は合体して、支柱部材11を燃料タンク1の内部に取付けた、ブロー成形品である燃料タンク1を成形することができる。賦形されたパリソン8の周囲は加熱されているため、パリソン8の周囲同士が融着して、内蔵部品を内部に有するブロー成形品である燃料タンク1が成形される。
【0062】
このとき、ブロー成形割型21のキャビティー22のスライドコア25が摺動する周囲には、
図10と
図11に示す形態では、パリソン8の位置する方向に張出したキャビティー張出部26と、キャビティー段差勾配27が形成されている。このため、支柱部材11を取付けた部分のパリソン8に段差勾配を設けることができ、パリソン8に燃料タンク1の内部方向に突出する突出部を形成することにより、パリソン8が伸ばされた部分をキャビティー段差勾配27に当接させて、パリソン8に皺が入らないようにすることができる。
【0063】
次に、
図9と
図12(c)に示すように、ブロー成形割型21を開いて、ブロー成形割型21のキャビティー22で賦形された2枚のパリソン8が合体した燃料タンク1を取出す。
燃料タンク1のフランジ部の融着した部分の余分な部分を切除して外周リブ2を形成し、内蔵部品が取付けられた燃料タンク1とする。
【0064】
また、三次元中枠71を有するブロー成形中子金型70を使用する場合は、
図13に示すように、2枚のパリソン8の間にブロー成形中子金型70を挿入する。ブロー成形中子金型70は、その両側に、三次元中枠71、第1中子金型気密押部材73と第2中子金型気密押部材75が設けられている。
【0065】
三次元中枠71は、スライドシリンダ72によりパリソン8の方向にスライド可能に取付けられている。さらに、三次元中枠71の上部と下部にはガイドピン71aがブロー成形割型21の方向に向けて取付けられている。ブロー成形割型21には、ガイドピン71aが挿入されるガイドピン孔29aが形成されている。
【0066】
次に、
図14に示すように、スライドシリンダ72により三次元中枠71がパリソン8を押圧して、ブロー成形割型21のキャビティー22の外周面にパリソン8を密着させる。このとき、三次元中枠71に取付けられたガイドピン71aがブロー成形割型21のガイドピン孔29aに挿入されて、三次元中枠71がパリソン8を押圧する位置が安定する。ブロー成形割型21も
図14の矢印に示す方向に移動して、ブロー成形中子金型70に近接することができる。
【0067】
三次元中枠71は、ブロー成形割型21の割面のキャビティー22の外周の凹凸に沿って三次元的に屈曲して形成することが好ましい。この場合には、三次元中枠71によりパリソン8をブロー成形割型21の割面に気密的に押圧して、保持することができ、パリソン8をキャビティー22の面に近接させることができる。
パリソン8を賦形したのちは、圧空用金型40を使用した場合と同様である。