(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基台と、少なくとも一部が操作部とされた操作対象部材と、前記基台上で前記操作対象部材を支持する弾性支持部と、前記操作部が操作されたことを検知する操作検知部と、前記操作対象部材に応答力を与える応答力付与機構と、を有する応答力発生装置において、
前記基台に対する前記操作対象部材の移動方向を一方向に規制する移動方向規制部が設けられ、前記移動方向規制部は、軸部材と、前記軸部材が挿通される軸受け部材と、を有し、前記軸部材と前記軸受け部のいずれか一方が前記基台に支持され、他方が前記操作対象部材に支持されており、
前記応答力付与機構には、前記軸部材と前記軸受け部材に対して、前記軸部材の軸方向に沿う相反する向きの力を与える圧電素子が設けられていることを特徴とする応答力発生装置。
前記軸部材に、前記軸固定部としての固定ブラケットが設けられており、前記固定ブラケットと前記軸受け部材のいずれか一方が、前記操作対象部材に固定され、他方と前記基台との間に前記弾性支持部が設けられている請求項4記載の応答力発生装置。
弾性変形可能な板材で形成された規制支持部材が設けられ、前記規制支持部材に、前記固定ブラケットまたは前記軸受け部材が固定される固定部と、前記固定部から前記面に沿う2方向に延びて前記対向方向へ撓む弾性腕部とが一体に形成されており、それぞれの前記弾性腕部が、前記基台に固定されている請求項5または6記載の応答力発生装置。
前記固定ブラケットまたは前記軸受け部材に調節部が設けられて、前記調節部が、前記基台における前記操作対象部材との対向側とは逆側の背部に現れており、前記調節部を動かすことで、前記規制支持部材と前記基台との固定位置を、前記面に沿う方向へ調節可能である請求項8記載の応答力発生装置。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1ないし
図3に、本発明の実施形態の応答力発生装置1の全体構造が示されている。実施形態の応答力発生装置1は、車載用表示装置として使用される。応答力発生装置1は、Z1方向が前方でZ2方向が後方である。車載用表示装置として使用される場合には、Z1方向が車室内に向けられ、Z2方向が車両の進行方向の前方に向けられる。X1方向が左方向でX2方向が右方向、Y方向が上下方向である。
【0022】
応答力発生装置1は、基台2を有している。基台2は合成樹脂材料や軽金属材料で形成されている。基台2は、車室内の前方のダッシュボードまたはインストルメントパネルの内部または表面に固定される。基台2の上部および左右側部には、前方(Z1方向)へ突出する鍔部3が形成されている。
図8の部分拡大断面図に示すように、基台2の前方側(Z1側)には、前記鍔部3で囲まれた支持空間4が形成されている。
【0023】
基台2の前方には操作対象部材5が配置される。
図3に示すように、操作対象部材5は、矩形状の枠体形状である表示基板6を有し、表示基板6の枠開口部6aの内部に表示パネル7が収められている。表示パネル7は、カラー液晶表示パネルやエレクトロルミネッセンス表示パネルである。
【0024】
操作対象部材5の前側(Z1側)に透光性パネル8が設けられている。透光性パネル8は、基台2の前方のほぼ全領域を覆っている。
図1に示すように、透光性パネル8は中央表示面8aと、左右の湾曲面8bとが一体に形成されている。前記表示基板6と表示パネル7は、前記中央表示面8aの裏側(Z2側)に接着などの手段で固定されている。透光性パネル8は黒色や濃緑色などに着色されており、表示パネル7が動作したときに、その表示画像が中央表示面8aを透過して前方から目視できるようになっている。
【0025】
透光性パネル8の中央表示面8aが操作部となっており、中央表示面8aにタッチセンサが設けられている。タッチセンサは、中央表示面8aにおいて透光性パネル8のZ1側に向く前面またはZ2側に向く背面に設けられた透明な静電センサである。静電センサは、透明基板に複数の透明電極が設けられて構成されており、中央表示面8aに操作者の指が触れると、電極で検知される静電容量が変化し、このときの静電容量の分布の変化により、指が触れた座標位置が検知される。
【0026】
または、タッチセンサが、透光性パネル8のZ1側に向く前面に設けられた透明な抵抗式センサであってもよい。抵抗式センサは、全面に透明電極が形成された透明基板に、同じく全面に透明電極が形成された透明フィルムが重ねられている。抵抗式センサは、透明フィルムのいずれかの箇所が押されると、透明フィルムに形成された透明電極と、透明基板に形成された透明電極とが短絡し、透明電極の縁部に設けられた電極部から短絡部までの抵抗値の変化が検知されて、指が触れた座標位置が判定される。
【0027】
図1と
図2に示すように、応答力発生装置1は、Z1−Z2方向が、操作対象部材5と基台2とが前後に対向する対向方向であり、X−Y平面と平行な平面が、前記対向方向と交差する(直交する)平面である。
【0028】
図3に示すように、操作対象部材5の後面側では、その下方に連結支持板9が設けられている。連結支持板9は、表示パネル7の背部の下部を覆っており、X1側とX2側の端部が、固定ねじ9aによって表示基板6に固定されている。基台2と、操作対象部材5に設けられた連結支持板9との間に、連結機構10a,10bが設けられている。連結機構10aはX1側に設けられ、連結機構10bはX2側に設けられている。連結機構10aには、移動方向規制部20a、ならびに移動方向規制部20aと基台2との間に位置する弾性支持部30aが設けられている。連結機構10bには、移動方向規制部20b、ならびに移動方向規制部20bと基台2との間に位置する弾性支持部30bが設けられている。
【0029】
図4と
図7に示すように、X2側の移動方向規制部20bに、軸部材21bが設けられている。
図5に示すように、X1側の移動方向規制部20aに軸部材21aが向けられている。軸部材21aと軸部材21bのそれぞれの軸中心は、X1−X2方向と平行な同一直線上に位置している。
【0030】
図4に示すように、X2側に設けられた移動方向規制部20bでは、軸部材21bが、軸受け部材22bに、X方向へ摺動自在に挿通されている。軸部材21bのX2側の端部は軸固定部である固定ブラケット23bに保持されて固定されている。なお、軸固定部として、軸部材21bのX2側の端部に、固定ブラケット23bと同じ形状の軸固定部が一体に形成されていてもよい。
図7の断面図に示すように、軸部材21bのX1側の端部にワッシャ25aが固定されており、ワッシャ25aと軸受け部材22bとの弾性挿通部材24が介在し、軸部材21bが弾性挿通部材24の中心穴に挿通されている。弾性挿通部材24は、やや剛性の高いゴム材料で形成されている。弾性挿通部材24はX方向にやや圧縮された状態で、ワッシャ25aと軸受け部材22bとの間に介在している。
【0031】
軸受け部材22bの中間部では、軸部材21bにワッシャ25bが嵌着されており、ワッシャ25bと軸受け部材22bとの間では、軸部材21bの外周側に、圧縮コイルばね26が圧縮された状態で介在している。
【0032】
図4と
図7に示すように、軸受け部材22bと固定ブラケット23bとの間に、応答力付与機構60が設けられている。
図7では応答力付与機構60を簡略化して示しているが、応答力付与機構60は、複数の圧電素子63がX1−X2方向へ積層されて構成されている。圧電素子63には貫通穴64が形成されており、軸部材21bが貫通穴64に挿通されている。
図4に示すように、応答力付与機構60には、圧電素子63を挟む一対の電極部61と、それぞれの電極部61に接続された給電コード62が設けられている。
【0033】
移動方向規制部20bでは、圧縮コイルばね26の弾性力によって、軸部材21bとこれに固定された固定ブラケット23bがX1方向へ付勢されており、軸受け部材22bと固定ブラケット23bとの間に、応答力付与機構60が挟みこまれている。応答力付与機構60の電極部61に通電されると、圧電素子63にX方向への歪が発生し、軸部材21bと固定ブラケット23bに対して、X2方向への相反する向きの力が直接に作用し、この力が応答力となる。軸受け部材22bに対して軸部材21bと固定ブラケット23bをX2方向へ相対的に移動させるときの弾性抵抗は、弾性挿通部材24の弾性係数と圧縮コイルばね26のばね定数とで決められる。この弾性抵抗およびばね定数を大きく設定しておくことで、応答力付与機構60から、軸受け部材22bと固定ブラケット23bに対して、大きな力で且つ衝撃力の高い応答力を与えることが可能となる。
【0034】
図5に示すように、X1側の移動方向規制部20aには、軸部材21aのX1側の端部に固定された固定ブラケット23aと、軸部材21aが挿通される軸受け部材22aとが設けられている。
【0035】
図3と
図4に示すように、X2側では、軸受け部材22bが固定ねじ27bによって連結支持板9に固定されている。
図5に示すように、X1側では、軸受け部材22aが固定ねじ27aによって連結支持板9に固定されている。また、X2側では、固定ブラケット23bと連結支持板9との間に、Y方向に延びる引っ張りコイルばね28bが、初期伸びを与えられて掛けられている。X1では、固定ブラケット23aと連結支持板9との間に、引っ張りコイルばね28aが、初期伸びを与えられて掛けられている。引っ張りコイルばね28a,28bの弾性力によって、軸部材21a,21bと軸受け部材22a,22bとの間でのY方向のがたつきの発生が解消されている。
【0036】
図3と
図4および
図6に示すように、X2側に設けられた弾性支持部30bは、固定ブラケット23bと基台2との間に設けられた弾性介装部材31と、基台2に開口する挿通穴32と、調節ビス33とを有している。
図6に示すように、調節ビス33は、Z2側に位置する調節部33aと、調節部33aからZ1方向に延びる軸部の中間に形成された段差部33bと、段差部33bよりもZ1方向に延びる小径軸部33cと、小径軸部33cのZ1側の先部に形成された雄ねじ部33dを有している。また、調節部33aには、Z2方向に向けて解放された形状の治具操作部33eが形成されている。
【0037】
図6に示すように、弾性介装部材31は、その一部が基台2と固定ブラケット23bとの間に挟まれ、他の部分が挿通穴32の内部に嵌着されている。調節ビス33は、Z2側から、挿通穴32の内部に位置する弾性介装部材31の中心穴に挿入されるが、弾性介装部材31の中心穴と調節ビス33の軸部との間に、調節隙間G1が形成されている。
【0038】
図3と
図5に示すように、X1側に設けられた弾性支持部30aも同様に、弾性介装部材31と、基台2に形成された挿通穴32、および調節ビス33を有しており、その構造は、X2側に設けられた前記弾性支持部30bと同じである。
【0039】
図3と
図4および
図6に示すように、X2側の連結機構10bに規制支持部材40bが設けられ、
図3と
図5に示すように、X1側の連結機構10aに規制支持部材40aが設けられている。X2側の規制支持部材40bとX1側の規制支持部材40aは、対向方向(Z1−Z2方向)と交差する(直交する)X−Y平面に沿う一方向であるX1−X2方向に、間隔を空けて配置されている。
【0040】
規制支持部材40a,40bのそれぞれは、弾性変形可能な金属板(板ばね材料)で形成されている。X2側の規制支持部材40bには固定部41bが、X1側の規制支持部材40aには固定部41aが設けられている。規制支持部材40a,40bのそれぞれには、固定部41a,41bから2方向に延び出る弾性腕部42x,42yが一体に形成されている。弾性腕部42xと弾性腕部42yは、互いに直交する方向に延びている。弾性腕部42xはX方向に延び、弾性腕部42yはY方向に延びている。
【0041】
図3と
図4に示すように、X2側の規制支持部材40bの固定部41bに固定ブラケット23bが、固定ねじ36によって固定されており、
図5に示すように、X1側の規制支持部材40aの固定部41aにも固定ブラケット23aが、固定ねじ36によって固定されている。
図4と
図6に示すように、X2側の規制支持部材40bの固定部41bの中央部分に雌ねじ穴43が形成されている。同様に、X1側の規制支持部材40aの固定部41aの中央部分にも雌ねじ穴43が形成されている。
【0042】
図6に示すように、X2側の弾性支持部30bと規制支持部材40bとの関係では、調節ビス33がZ2側から挿通穴32内に位置する弾性介装部材31の中心穴に挿入され、調節ビス33の段差部33bが、固定ブラケット23bに突き当てられる。この状態で、調節ビス33の小径軸部33cが固定ブラケット23bに形成された挿通穴23cに挿入され、小径軸部33cの先部の雄ねじ部33dが、規制支持部材40bの固定部41bに形成された雌ねじ穴43に螺着される。調節ビス33を強く締め付けることで、固定ブラケット23bと調節ビス33および規制支持部材40bの固定部41bとが一体に固定される。
【0043】
同様に、
図5に示すX1側の弾性支持部30aと規制支持部材40aとの関係においても、調節ビス33がZ2側から挿通穴32内に位置する弾性介装部材31の中心穴に挿入され、調節ビス33を強く締め付けることで、固定ブラケット23aと調節ビス33および規制支持部材40aの固定部41aとが一体に固定される。
【0044】
X1側に設けられた規制支持部材40aとX2側に設けられた規制支持部材40bは、それぞれの弾性腕部42xの先端部が基台2に固定され、それぞれの弾性腕部42yの先端部が基台2に固定される。
図6に示すように、X2側の弾性腕部42yを固定する固定構造では、固定ねじ53が、基台2に形成された取付け穴54にZ2側から挿入され、固定ねじ53の先部の雄ねじ部53aが、弾性腕部42yの先部に形成された雌ねじ穴46に螺着される。このとき、固定ねじ53の軸部と取付け穴54の内面との間に、調節隙間G2が形成される。
【0045】
図3と
図4に示すように、規制支持部材40bの弾性腕部42xを基台2に固定する固定構造でも、固定ねじ51が、基台2に形成された取付け穴52にZ2側から挿入され、固定ねじ51の先部の雄ねじ部が、弾性腕部42xの先部の雌ねじ穴45に螺着される。そして、固定ねじ51の軸部と取付け穴52の内面との間に、同様に調節隙間G2が形成される。
図5に示すX1側の規制支持部材40bにおいても、基台2の取付け穴54に挿入された固定ねじ53が弾性腕部42yの先部の雌ねじ穴46に螺着され、基台2の取付け穴52に挿入された固定ねじ51が弾性腕部42xの先部の雌ねじ穴45に螺着される。ここでも、固定ねじ53の軸部と取付け穴54との間、および固定ねじ51の軸部と取付け穴52との間に、調節隙間G2が形成される。
【0046】
図2と
図3に示すように、基台2と操作対象部材5との間では、図示上方においてX1側に補助弾性支持部70aが設けられ、X2側に補助弾性支持部70bが設けられている。
図8には、X2側の補助弾性支持部70bの構造が断面図で示されている。
【0047】
図8に示すように、補助弾性支持部70bでは、操作対象部材5の表示基板6の背面にボス71が固定されている。ボス71にはねじ部材72が埋設されており、ねじ部材72に雌ねじ穴73が形成されている。補助弾性支持部70bは、前記ボス71と基台2との間に設けられた弾性介装部材74と、基台2に開口する挿通穴76と、支持ビス75とを有している。支持ビス75は、Z2側に位置する調節部75aと、調節部75aからZ1方向に延びる軸部の中間に形成された段差部75bと、段差部75bよりもZ1方向に延びる雄ねじ部75cを有している。また、調節部75aには、Z2方向に向けて解放された形状の治具操作部75eが形成されている。
【0048】
図8に示すように、補助弾性支持部70bでは、支持ビス75がZ2側から挿通穴76内に位置する弾性介装部材74の中心穴に挿入され、支持ビス75の段差部75bが、ボス71に設けられたねじ部材72に突き当てられる。この状態で、支持ビス75の段差部75bからZ1側に延びる雄ねじ部75cが、ねじ部材72に形成された雌ねじ穴73に螺着される。支持ビス75を強く締め付けることで、操作対象部材5の表示基板6と支持ビス75とが一体に固定される。弾性介装部材74の中心穴と、支持ビス75の軸部との間に、調節隙間G3が形成される。X1側に設けられた補助弾性支持部70aにおいても、同様に、支持ビス75が基台2の挿通穴76に挿通され、同じように操作対象部材5の表示基板6に螺着されている。補助弾性支持部70aにおいても、調節隙間G3が設けられている。
【0049】
図6に示すように、固定ブラケット23a,23bを基台2に支持している弾性支持部30a,30bに調節隙間G1が形成され、基台2に調節支持部材40a,40bの弾性腕22xと弾性腕22yを固定するための固定構造にも、調節隙間G2が形成されている。さらに、補助弾性支持部70a,70bに調節隙間G3が形成されている。これらの調節隙間G1,G2,G3によって、基台2に対する、操作対象部材5の相対位置を、X−Y平面と平行な面に沿って調節することが可能である。
【0050】
図3と
図4および
図5に示すように、連結機構10a,10bでは、固定ブラケット23a,23bと軸部材21a,21bとが、軸受け部材22a,22bを介して操作対象部材5に支持されている。
図6に示すように、弾性支持部30a,30bでは、固定ブラケット23a,23bと基台2との間に弾性介装部材31が介在している。また、固定ブラケット23a,23bは規制支持部材40a,40bによっても基台2に支持されている。さらに、
図8に示すように、補助弾性支持部70a,70bでは、操作対象部材5と基台2との間に弾性介装部材74が介在している。
【0051】
この弾性支持構造により、操作対象部材5がZ2方向へ押されると、弾性介装部材31と弾性介装部材74が圧縮変形し、規制支持部材40a,40bの弾性腕部42x,42yが撓み変形して、操作対象部材5が、基台2に接近するようにZ2方向へ移動できる。このとき、弾性介装部材31,74の収縮変形による弾性反発力と弾性腕部42x,42yの撓み変形による弾性反力によって、操作対象部材5に対してZ1方向への操作反力が作用する。操作対象部材5を基台2に接近させるのに必要な力は、弾性介装部材31,74の弾性係数と、弾性腕部42x,42yのばね定数とで決められる。
【0052】
一方で、操作対象部材5を基台2に対してX1−X2方向へ移動させるのに必要な力は、
図7に示すように、移動方向規制部20bにおいて、軸部材21bを付勢している弾性挿通部材24の弾性係数および圧縮コイルばね26のばね定数で決められる。操作対象部材5をZ2方向へ押して移動させるのに要する力は、基台2に対して操作対象部材5をX1−X2方向へ相対的に動かすのに要する力よりも小さいことが好ましい。
【0053】
図3に示すように、操作対象部材5の背部に設けられた表示基板6と、基台2の前面との間に操作検知部81,81が設けられており、操作検知部81は基台2の前面に固定されている。操作検知部81,81はフォースセンサであり、操作対象部材5がZ2方向に押されて動いたときに、フォースセンサが動作させられ、検知出力が得られる。なお、操作検知部として、フォースセンサなどを使用せず、中央表示面8aに設けられたタッチセンサで、接触している指の面積を検知し、その検知面積がしきい値よりも大きくなったときに、操作対象部材5がZ2方向へ向けて押圧操作されたことを検知してもよい。
【0054】
次に、基台2に操作対象部材5を位置決めして取り付ける作業を説明する。
応答力発生装置1の組立方法の概略を説明すると、
図4と
図7に示すように、X2側の連結機構10bでは、固定ブラケット23bに固定された軸部材21bを応答力付与機構60の貫通穴64に挿通し、さらに軸部材21bを軸受け部材22bと圧縮コイルばね26および弾性挿通部材24に挿通し、軸部材21bにワッシャ25a,25bを嵌着させる。そして、固定ブラケット23bと規制支持部材40bとを固定ねじ36で固定する。同様にして、X1側の連結機構10aでは、
図5に示すように、固定ブラケット23aに固定された軸部材21aを軸受け部材22aに挿通させ、固定ブラケット23aと規制支持部材40aとを固定ねじ36で固定する。
【0055】
そして、軸受け部材22aを固定ねじ27aで操作対象部材5の背部に設けられた連結板部9に固定し、軸受け部材22bを固定ねじ27bで連結板部9に固定する。さらに、固定ブラケット23aと連結支持板9との間に引っ張りコイルばね28aを装着し、固定ブラケット23bと連結支持板9との間に引っ張りコイルばね28bを装着する。
【0056】
操作対象部材5の背部に連結機構10a,10bが取り付けられた状態で、基台2の前方に操作対象部材5を設置する。このとき、
図6に示すように、弾性支持部30a,30bでは、固定ブラケット23a,23bと基台2との間に弾性介装部材31を介在させる。調節ビス33を、Z2側から基台2に装着された弾性介装部材31の中心穴に挿入し、調節ビス33の段差部33bを固定ブラケット23a,23bに突き当て、小径軸部33cを、固定ブラケット23a,23bの挿通穴23cに挿入し、小径軸部33cの先部の雄ねじ部33dを、規制支持部材40a,40bの固定部41a,41bに形成された雌ねじ穴43に螺着させ、強く締め付ける。このとき、固定ブラケット23a,23bと基台2との間で、弾性介装部材31を少しだけ圧縮させた状態としておく。
【0057】
図8に示すように、補助弾性支持部70a,70bでは、操作対象部材5の表示基板6に設けられたボス71と基台2との間に弾性介装部材74を介装させ、Z2側から、支持ビス75を基台2に装着された弾性介装部材74の中心穴に挿入する。支持ビス75の段差部75bをボス71の先端面に突き当て、段差部75bよりも先部の雄ねじ部75cをねじ部材72に形成された雌ねじ穴73に螺着させ、強く締め付ける。このときも、ボス71と基台2との間で、弾性介装部材74を少しだけ圧縮させた状態としておく。
【0058】
次に、
図6に示すように、基台2に形成された取付け穴54に、固定ねじ53をZ2側から挿入し、固定ねじ53の雄ねじ部53aを、規制支持部材40bの弾性腕部42yの先部に形成された雌ねじ穴46に螺着する。同様にして、固定ねじ51を取付け穴52に挿入し、先部の雄ねじ部を規制支持部材40bの弾性腕部42xの先部に形成された雌ねじ穴45に螺着する。X1側に設けられた規制支持部材40aにおいても同様に、弾性腕部42yの先部の雌ねじ穴46に固定ねじ53を螺着し、弾性腕部42xの先部の雄ねじ穴45に固定ねじ51を螺着する。
【0059】
X1側の固定ねじ51,53とX2側の固定ねじ51,53を完全に締め付けない状態とし、
図2に示すように、弾性支持部30a,30bにおいて基台2の背部に現れている調節ビス33の調節部33aに形成されている治具操作部33eと、補助弾性支持部70a,70bにおいて、支持ビス75の調節部75aに形成された治具操作部75eに治具を挿入する。そして、
図6に示す調節隙間G1,G2と、
図7に示す調節隙間G3の範囲内で、調節ビス33と支持ビス75の少なくとも一方を、X−Y平面と平行な平面内で移動させる。
【0060】
この調節で、基台2と操作対象部材5をX−Y平面内で互いに位置合わせすることができる。調節が完了したのちに、X1側とX2側のそれぞれに設けられた固定ねじ51,53を締め付けて、規制支持部材40a,40bのそれぞれの弾性腕部42yの先部および弾性腕部42xの先部を基台2に固定する。
【0061】
次に、応答力発生装置1の動作を説明する。
車載用表示装置として使用される応答力発生装置1では、操作対象部材5の操作部である中央表示面8aに表示された画像を参照しながら、中央表示面8aのいずれかの箇所に操作者の指を触れさせると、タッチセンサからの座標検知出力によって、指が画像のどの部分に触れたかが判別される。
【0062】
その指で、中央表示面8aを後方(Z2方向)に押すと、その押圧操作力が、軸受け部材22a,22bから軸部材21a,21bを経て固定ブラケット23a,23bに作用し、
図6の断面図に示すように、弾性支持部30a,30bにおいて、弾性介装部材31が圧縮変形させられる。
図8に示すように、補助弾性支持部70a,70bにおいても、表示基板6に設けられたボス71によって弾性介装部材74が圧縮変形させられ、操作対象部材5がZ2方向へ移動させられる。
【0063】
操作対象部材5がZ2方向へ移動する力で、
図3に示す操作検知部(フォースセンサ)81が押され、操作検知部81が動作すると、中央表示面8aが押圧操作されたことが検知される。このとき、図示しない本体制御部では、タッチセンサの検知出力と操作検知部81の検知出力から、さらに中央表示面8aに表示されている画像の画像信号から、どのような操作が行われたかを判別し、意図した操作に基づく処理動作が開始される。
【0064】
操作者の指で中央表示面8aが押されたときに指に感じる操作反力は、弾性支持部30a,30bに設けられた弾性介装部材31の圧縮変形時の弾性係数、および補助弾性支持部70a,70bに設けられた弾性介装部材74の圧縮時の弾性係数、さらには規制支持部材40a,40bの弾性腕部42x,42yの撓み変形のばね定数で決められる。
【0065】
操作検知部81によって操作対象部材5がZ2方向へ押されたことが検知されると、本体制御部から応答力を発生するための動作指令が出され、応答力付与機構60の給電コード62から電極部61に駆動電圧が与えられ、圧電素子63がX方向への歪を発生する。応答力付与機構60は、移動方向規制部20bの固定ブラケット23bと軸受け部材22bとの間に挟まれているため、圧電素子63の歪によって、固定ブラケット23bと軸受け部材22bに対し、X方向への相反する向きの力が与えられる。この力が、応答力として操作対象部材5に与えられる。このときの応答力は、操作対象部材5をX1−X2方向へ一周期で往復動作させる単発の力であり、あるいはX1−X2方向へ複数周期で往復動作させる振動力である。
【0066】
移動方向規制部20a,20bでは、操作対象部材5に固定された軸受け部材22a,22bが、X1−X2方向に延びる軸部材21a,21bに摺動自在に支持されているため、操作対象部材5の基台2に対する相対動作がX1−X2方向に規制される。また、移動方向規制部20a,20bでは、固定ブラケット23a,23bが規制支持部材40a,40bに固定されており、規制支持部材40a,40bにおいて交差する方向(直交する方向)に延びる弾性腕部42x,42yが基台2に固定されている。弾性腕部42x,42yは、その板面が、応答力の作用方向であるX1−X2方向とほぼ平行に向けられて、弾性腕部42x,42yのX1−X2方向への剛性が高くなっている。そのため、固定ブラケット23a,23bは、押圧操作方向であるZ1−Z2方向へ動きやすいが、X−Y平面の面方向には動きにくくなっている。したがって、応答力付与機構60から応答力が作用したときに、操作対象部材5はX1−X2方向にのみ動作できるようになる。
【0067】
操作者の指で操作対象部材5の中央表示面8aがZ2方向へ押されたときに、中央表示面8aから指に作用する応答力が、押圧操作方向と交差する(直交する)X1−X2方向であるため、表示画面から指で応答力を感じやすくなる。特に、応答力発生装置1が車載用表示装置として使用される場合には、車体振動によって表示画面が前後方向(Z1−Z2方向)へ常に揺れているために、X−Y平面と平行な面内の一方向へ応答力を作用させることで、操作者の指に応答力を効果的に感じさせることが可能になる。
【0068】
また、応答力付与機構60は圧電素子63を有し、圧電素子63のX方向の歪によって応答力を発生しているため、振幅は小さくても大きな力の応答力を発生させることができる。また、圧電素子63は、駆動電圧の変化に対する応答性が速いため、大きな加速度の応答力を発生することができ、操作対象部材5の中央表示面8aから操作者の指に対して、衝撃的な応答力を感じさせることができる。
【0069】
応答力付与機構60は、軸部材21bに固定された軸固定部である固定ブラケット23bと軸受け部材22bとの間に挟まれているため、応答力付与機構60に設けられた圧電素子63の歪により、軸部材21bと軸受け部材22bに対して直接に力を与えることができる。そのため、圧電素子63の歪で発生する力の作用線と軸部材21bの軸中心とを接近させることができ、操作対象部材5をX1−X2方向へ動作させるときに、軸部材21bと軸受け部材22bとの間に、いわゆるスティックスリップが生じるのを抑制でき、軸部材21bと軸受け部材22bとの摩擦を低減でき、前記歪により、操作対象部材5を大きな加速度で一方向へ動作させることが可能になる。
【0070】
特に、実施形態の応答力発生装置1では、応答力付与機構60の圧電素子63に貫通穴64が形成され、軸部材21bが貫通穴64に挿通されているため、圧電素子63による力の作用線と軸部材21bの軸中心とをほぼ一致させることができる。そのため、応答力付与機構60により、操作対象部材5を、低摩擦にて、動作させることが可能である。
【0071】
中央表示面8aを指で押したときの反力は、弾性支持部30a,30bに設けられた弾性介装部材31の弾性係数と、補助弾性支持部70a,70bに設けられた弾性介装部材74の弾性係数と、さらに規制支持部材40a,40bの弾性腕部42x,42yのばね定数で決められる。また、応答力付与機構60で操作対象部材5をX1−X2方向へ動かすときの抵抗力は、移動方向規制部20aに設けられた弾性挿通部材24と圧縮コイルばね26の弾性係数で決められる。
【0072】
操作者が指で中央表示面8aを押したときは比較的弱い力でも操作対象部材5がZ2方向へ移動できることが好ましい。一方で、応答力付与機構60から操作対象部材5に切れの良い衝撃的な強い力を与えるためには、操作対象部材5をX1−X2方向へ動かすときの弾性抵抗が大きい方がよい。よって、操作対象部材5をZ2方向へ動かすのに要する力よりも、操作対象部材5をX1−X2方向へ動かすのに要する力の方が大きいことが好ましい。
【0073】
この応答力発生装置1は、操作者が指で中央表示面8aを押したときの操作反力と、操作対象部材5をX1−X2方向へ動かすときの弾性抵抗を個別に最適となるように設定することが可能である。
【0074】
以下、本発明の変形例を説明する。
実施形態の応答力発生装置1は、応答力付与機構60において圧電素子63に貫通穴64が形成され、貫通穴64の内部に軸部材21bが挿入されている。ただし、この構造に代えて、圧電素子63に貫通穴64を設けず、圧電素子63を軸部材21bと並べるように配置し、圧電素子63を固定ブラケット23bと軸受け部材22bとの間に挟まれるように配置してもよい。この構造でも、圧電素子63の力の作用線と、軸部材21bの軸中心を接近させることができ、圧電素子の歪によって、軸部材21bと軸受け部材22bに対して低摩擦で強い力を直接に与えることができる。
【0075】
また、移動方向規制部20a,20bの構造として、実施形態とは逆に、固定ブラケット23a,23bが操作対象部材5の連結支持板9に固定されて、軸受け部材22a,22bが弾性介装部材31を介して基台2に支持され、規制支持部材40a,40bの固定部41a,41bに軸受け部材22a,22bが固定されてもよい。この場合に、調節ビス33は軸受け部材22a,22bに固定される。
【0076】
また、移動方向規制部20a,20bの軸部材21a,21bの延びる方向は、X−Y平面と平行な面内であればどの向きでもよく、例えばY方向であってもよい。
【0077】
実施形態では、2か所の移動方向規制部20a,20bのそれぞれに軸部材21a,21bが別々に設けられているが、1本の軸部材を使用し、この軸部材の両側部に固定ブラケットと軸受け部材を設けてもよい。この場合には、少なくとも一方の軸受け部材と固定ブラケット(軸固定部)との間に応答力付与機構60の圧電素子63が挟まれた構造となる。
【0078】
なお、前記実施形態は、操作対象部材5が車載用表示装置であるが、操作対象部材はこれに限られるものではなく、例えば自動車の車室内に設けられたインストルメントパネルの一部が、静電容量式センサを備えた操作対象部材であってもよい。