(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前述の欠点を克服することを目的とする。特に、本発明は、超音波集束信号のフェーズドアレイまたは超音波信号の発生器に対する心臓のゾーンの曝露後の心臓組織の機械的損傷および熱的損傷を測定または予期することを可能にする。本発明の一実施形態の特殊性は、組織の損傷を防止するために集束ゾーンと実質的にマージされたまたはそれに近いゾーン内での温度および/またはその変動をモニタすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の主題は、心臓のゾーンをモニタするための方法に関する。この方法は、以下を含む:
− 心臓の心電図の調律の獲得と、
− 標的ゾーンが位置特定された心臓の領域の少なくとも1つの画像の獲得であって、前記少なくとも1つの画像が、イメージングシステムによって心臓の心電図の調律と同期して獲得される、獲得と、
− 標的ゾーン内の集束超音波信号の第1のビームの生成であって、前記ビームがフェーズドアレイによって放出され、前記信号が、集束ゾーンにおいて少なくとも1つのパルスを生成するように同位相で(in phase)構成され、前記少なくとも1つのパルスが心臓の心電図(ECG)の調律と同期され、パルスが、あらかじめ定義された振幅および持続時間を有する、生成と、
− イメージングシステムによる少なくとも1つの画像の獲得からの集束ゾーンの温度の決定と、
− 第1の集束ビームの少なくとも1つのパルスに応答した、集束ゾーン内での組織変形の決定。
【0011】
別の実施形態によれば、本発明は、第1の集束ビームの少なくとも1つのパルスに応答した、集束ゾーン内でキャビテーションのレベルを決定するステップを含む。このステップは、あらかじめ示された組織変形を決定するステップの代わりに実行され得る。さらに、このステップはまた、組織変形の決定と一緒に行われてもよい。後者の場合、2つの測定は、刺激されたゾーンを限定する(qualify)ために確証(corroborate)され得る。
【0012】
そのような方法の利点は、心臓刺激中に適切な振幅および持続時間を生成しながら、超音波信号のビームを較正するために、標的ゾーン内の温度、組織変形および/または電気活動および/またはキャビテーションのレベルなどの特定のパラメータのモニタリングを実行することである。
【0013】
本発明のプロセスの一実施形態の利点は、超音波スラストに結び付けられた温度に関する情報および組織の変位に関する情報を取得することを可能にするMRIイメージングデバイスの使用である。本発明のプロセスは、したがって、機器の単一アイテムを用いて、何らかの損傷の視覚的モニタリングを実行し、集束信号のフェーズドアレイを制御することを可能にする。
【0014】
別の実施形態によれば、エコーグラフシステムなどのイメージングシステムが、集束ゾーンのレベルにおいて、集束ゾーンに隣接するゾーン内で温度情報を取得することを可能にする。
【0015】
一実施形態によれば、モニタリング方法は、以下を含む:
− 少なくとも1つのパルスに応答した集束ゾーン内での電気活動の決定であって、前記少なくとも1つのパルスが1ms以下の持続時間を有する、決定。
【0016】
一実施形態によれば、モニタリング方法は、以下を含む:
− 標的ゾーンの新しい位置を計算するために、フェーズドアレイに結び付けられた基準フレーム内の心臓の呼吸運動を測定し、それから補償パラメータを推論することを可能にする位置決めシステムによる標的ゾーンの位置に対する集束ゾーンの位置の動的制御であって、前記フェーズドアレイが、ビームを標的ゾーンの新しい位置に偏向させるために位相パラメータを各信号に自動的に適用する、動的制御。
【0017】
一実施形態によれば、モニタリング方法は、以下を含む:
− フェーズドアレイの位置および配向を考慮に入れることによって、フェーズドアレイの画像平面内に投影された経肋骨壁(transcostal wall)の画像を、イメージングシステムにより決定すること、
− 経肋骨壁の投影された画像の位置に対するフェーズドアレイの各要素の位置に従って、前記要素をアクティブ化および/または非アクティブ化すること。
【0018】
一実施形態によれば、モニタリング方法は、以下を含む:
− 信号の各々に適用された各位相パラメータの計算に応じて、フェーズドアレイの要素の非アクティブ化およびアクティブ化を動的に制御すること。
【0019】
一実施形態によれば、集束ゾーン内の温度および組織変形が単一イメージングシステムによって決定され、前記イメージングシステムがMRIイメージングシステムであり、MRI画像診断システムによって獲得されるデータによって、超音波信号のビームによって生成された超音波圧力によって誘発された組織の局所的変形および超音波信号のビームによって局所的に生成されたエネルギーによって誘発された局所的な温度上昇を推論することが可能になる。
【0020】
一実施形態によれば、イメージングシステムによって決定された集束ゾーンの位置と位置決めシステムによって決定された標的ゾーンの位置の比較によって、集束ゾーンの位置を標的ゾーンの位置と対応させるようにフェーズドアレイの要素を較正するための少なくとも1つのデータが生成される。
【0021】
一実施形態によれば、位置決めシステムは特に、以下であってよい:
− 位置がイメージング処理から計算されるMRIイメージングシステム、
− または、超音波を放出する少なくとも1つの放出器と、反射波を検出する複数の超音波センサとを備え、位置が三角測量によって決定される、位置決めシステム
のどちらか。
【0022】
この位置決めシステムは有利には、モニタリングプロセスおよび刺激プロセスのために使用される。
【0023】
一実施形態によれば、モニタリング方法は、標的ゾーン内での少なくとも1つの超音波パルスの印加によって誘発される電気的脱分極によって生成される電気活動の測定を含む。
【0024】
一実施形態によれば、モニタリング方法は、以下のうちの少なくとも1つのデータに応じて、パルスの振幅および持続時間の少なくとも1つのレベルを含むパラメータを定義することによって、集束ゾーン内で生成された信号を較正することを含む:
− 集束ゾーン内および/もしくは隣接ゾーン内および/もしくは経肋骨壁の肋骨内の温度設定ポイント、ならびに/または
− 集束ゾーン内の組織変形設定ポイント、ならびに/または
− 集束ゾーン内のキャビテーション設定ポイントのレベル、ならびに/または、
− フェーズドアレイに結び付けられた基準ポイントにおける集束ゾーンの移動の検出、ならびに/または
− 集束ゾーン内の電気活動設定ポイント。
【0025】
一実施形態によれば、集束ビームによって生成され、標的ゾーン内またはその近くで測定される電気活動が、イメージングシステムによって取得された同じ標的ゾーン内の組織変形の測定と相関され、前記相関によって、所与の標的ゾーン心臓組織の機械−電気活動のインジケータを決定することが可能になる。
【0026】
一実施形態によれば、標的ゾーン内での集束超音波信号の第1のビームの生成は、標的ゾーン内での心臓組織の再分極中に少なくとも1つのパルスが生成されるように関与させられる。
【0027】
一実施形態によれば、方法は、複数のパルスを含む第1の集束信号の較正を含み、各パルスは第1の持続時間、振幅を有し、前記信号は標的ゾーン内で持続時間にわたって印加される。
【0028】
一実施形態によれば、モニタリング方法は心臓の異なる標的ゾーン内で実行され、方法は、集束信号のビームの印加後、以下をさらに含む:
− 各標的ゾーンの組織変形、または各標的ゾーンの近くもしくはその中で測定される電気レベル、のどちらかを表す異なる値の読み取りと、
− 各標的ゾーンの電気的応答または変形の回数の読み取りと、
− 各標的ゾーンのための信号の較正であって、前記信号は互いと構成され、時間遅延が応答時間の読み取りに依存する、較正。
【0029】
一実施形態によれば、心臓の少なくとも1つの標的ゾーンは、このゾーン内の組織変形または電気活動またはキャビテーションのレベルが集束ビームの少なくとも1つのパルスの所与の振幅および持続時間および集束ゾーン内の所与の温度に関する所定の閾値よりも小さいとき、「不応答」として示される。
【0030】
本発明のプロセスは、電気刺激方法とも呼ばれる心臓刺激方法にも関する。この電気刺激方法は有利には、モニタリング方法の実施形態を定義する特性を含み得る。特に、2つの方法のために使用される機器のアイテムは同一であってよく、測定されるパラメータおよび構成は類似であってよい。
【0031】
集束超音波信号のビームの生成による心臓の所与のゾーンの心臓刺激のための方法は、以下を含む:
− 心臓の心電図の調律の獲得と、
− 心臓内の標的ゾーンの少なくとも1つの位置の決定と、
− 集束超音波信号のビームの生成であって、心電図の調律と同期して行われ:
− パルスの振幅が、集束ゾーン内で印加される音圧が[2−12MPa]という圧力の第1の範囲に含まれるように構成され、
− パルスの持続時間が、[50μs−50ms]という持続時間の第1の範囲に含まれ、
− 集束ビームの印加の持続時間が50μsを上回る、生成と、
− 位置決めシステムによってリアルタイムで計算される標的ゾーンの位置に対するビームの焦点ゾーンの位置の制御と、
− リアルタイムでのアクティブモニタリングであって:
− 所定の閾値を超過しない、画像の獲得からの集束ゾーン内の温度、
− あらかじめ定義された値の範囲に含まれる各パルス後に測定された集束ゾーン内の、イメージングシステムからのあらかじめ定義された値の範囲に含まれる各パルス後の組織変形、および/または電気活動、および/またはキャビテーションのレベル、
− 集束ビームのパルスの調律との心電図の調律の同期の関係(respect)を保証する同期パラメータのアクティブモニタリング。
【0032】
特に、本発明のプロセスは、値の範囲により一緒にグルーピングされ、熱的損傷および機械的損傷がリアルタイムでモニタされるまたは事前構成によって予期される信号を生成する2つのモードを含む。
【0033】
一実施形態によれば、集束ゾーンZ
F内の温度および組織変形が単一のイメージングシステムによって決定され、前記イメージングシステムは、たとえば、MRIイメージングシステムである。
【0034】
第1の代替実施形態によれば、パルスの振幅は、集束ゾーン内で印加される音圧が、持続時間の第2の範囲[1ms−50ms]に含まれるパルス持続時間にわたって[2−8MPa]という圧力の第2の範囲に含まれるように構成され、前記生成されるパルスは、閾値よりも低い心臓組織の機械的変形の閾値を維持しながら、電気刺激を引き起こし、前記閾値が、組織の収縮または弛緩または弾性の所与の比率に対応するパラメータから計算される。
【0035】
第1の代替実施形態によれば、パルスの振幅は、集束ゾーン内で印加される音圧が、[50μs−1ms]という持続時間の第3の範囲に含まれるパルス持続時間にわたって[6−12MPa]という圧力の第3の範囲に含まれるように構成され、前記生成されるパルスは、温度閾値を下回る温度を標的ゾーン内で局所的に維持しながら、心臓組織内で電気刺激を引き起こす。
【0036】
一実施形態によれば、集束ゾーンに近いゾーンの第2のモニタリングが実行され、前記第2のモニタリングは、リアルタイムで、以下のパラメータのうちの少なくとも1つを測定することを含む:
− 集束ゾーンに隣接する少なくとも1つのゾーンの温度、および/または
− 第1の集束ビームの少なくとも1つのパルスに応答した、集束ゾーンに隣接する少なくとも1つのゾーン内の組織変形、および/または
− 第1の集束ビームの少なくとも1つのパルスに応答した、集束ゾーンに隣接する少なくとも1つのゾーン内の電気活動、および/または
− 第1の集束ビームの少なくとも1つのパルスに応答した、集束ゾーンに隣接する少なくとも1つのゾーン内のキャビテーションのレベル。
【0037】
一実施形態によれば、本発明の刺激方法はあらかじめ、以下を含む:
− 本発明のモニタリングプロセスによる集束ビームの較正
− 前記較正は、以下のパラメータを決定することを可能にする:
− 集束ゾーン内で印加される音圧が[2−12MPa]という圧力の第1の範囲に含まれるように構成されたパルスの振幅、
− 50μsを上回る期間にわたっての集束ビームの印加の持続時間。
【0038】
一例によれば、パルスの持続時間は、[50μs−50ms]という持続時間の第1の範囲G
D1に含まれる。
【0039】
一実施形態によれば、刺激方法は、以下を含む:
− MRIイメージングシステムによって獲得される複数の画像の分析による1つまたは複数の標的ゾーンの空間内での位置の決定と、
− 標的ゾーン上で経時的に集束されるビームの制御。
【0040】
一実施形態によれば、刺激方法は、以下を含む:
− 超音波プローブによる信号の分析による標的ゾーンの空間内での位置の決定と、
− 標的ゾーン上で経時的に集束されるビームの制御。
【0041】
一実施形態によれば、刺激方法は、以下を含む:
− プローブが標的ゾーン(Z
C)の近くに位置決めされる心臓へと導入された心腔内カテーテルによる信号の分析による標的ゾーン(Z
C)の空間内での位置の決定と、
− 標的ゾーン(Z
C)上での経時的な集束ビーム(F
US)の制御。
【0042】
一実施形態によれば、刺激方法は、心耳の再同期または心室の再同期のために適用される。この目的のために、刺激方法は、以下を含む:
− 心臓の心電図の調律を示す、心臓の心電図の獲得と、
− 超音波信号の較正されたビームが生成される1つまたは複数の標的ゾーンの決定と、
− 心臓の心電図の調律との集束ビームの各パルスの同期であって、各パルスは、心室または心耳の電気的分極の終了と脱分極の開始との間に生成される、同期。
【0043】
一実施形態によれば、刺激方法は、心臓細動の生成に適用される。この目的のために、刺激方法は、以下を含む:
− 心臓の心電図の調律を示す、心臓の心室の心電図の獲得と、
− 超音波信号の較正されたビームが生成される少なくとも1つの標的ゾーンの決定と、
− 心臓組織がその間に分極される経時的な集束ビームの各パルスの同期と、
− 心室細動または心耳細動の生成を確認するように、標的ゾーンの電気的応答の、およびECGの分析。
【0044】
一実施形態によれば、刺激方法は、期外収縮を生成するゾーンの検出に適用される。この目的のために、刺激方法は、以下を含む:
− 心臓の心電図の調律を示す、心臓の心電図の獲得であって、前記心電図が、心電図の識別された時間に生じる期外収縮の存在を含む、獲得と、
− 超音波信号の較正されたビームが生成される少なくとも1つの標的ゾーンの決定と、
− 心臓の心電図の識別された時間との集束ビームの各パルスの同期と、
− 標的ゾーンが期外収縮の発生部であるかどうかを識別するようなやり方での電気的応答または組織変形の分析。
【0045】
一実施形態によれば、刺激方法は、心周波数の変更に適用される。この目的のために、刺激方法は、以下を含む:
− 心臓の心電図の調律を示す、心臓の心電図の獲得と、
− 超音波信号の較正されたビームが生成される複数の標的ゾーンの決定と、
− 心調律を集束ビームのパルスと同期させるように、パルスの周波数が心電図の周波数と異なる集束信号のビームの生成。
【0046】
本発明の別の主題は、超音波心臓刺激システムに関し、以下を含む:
− 心電図の獲得のために心臓の電気活動を測定するための手段と、
− 標的ゾーン内の集束超音波信号のビームを生成するための手段であって、前記信号が、心臓のゾーン内で電気刺激を生成するなどのために較正され、前記ビーム生成が心電図の第1の選択された時間と同期される、生成するための手段と、
− 標的ゾーン内の集束超音波信号の前記ビームを制御するように集束ビームを生成するための手段を位置決めするための手段に結合された標的ゾーンを位置特定するための手段であって、集束信号のビームを生成するための手段と同期された前記位置特定手段と、
− 標的ゾーン内の温度および組織変形をリアルタイムで追従することが可能な同じモニタリングの手段であって、心電図の調律と同期して測定を行う前記モニタリングのための手段。
【0047】
一実施形態によれば、位置決めシステムおよび温度をモニタするための手段は単一のMRIイメージングシステムである。
【0048】
本発明のシステムは、本発明のモニタリングプロセスおよび刺激プロセスのステップを実施することを可能にする。
【0049】
最後に、本発明は、緊急事態に応答する携帯心臓刺激デバイスに関する。この携帯デバイスは、有利には、本発明のモニタリングプロセスにより事前較正され得る。
【0050】
携帯超音波心臓刺激デバイスは、患者の皮膚と接触して固定されることを意図されている。携帯超音波心臓刺激デバイスは、超音波信号の発生器であることが必要な場合、少なくとも心拍周波数を示す心臓活動の測定を可能にする電気システムを備え、機械的影響のセンサは、心臓の収縮の存在を測定することを可能にし、前記携帯デバイスは、電気システムによって獲得される心周波数と同期される超音波信号の少なくとも1つのパルス列を定義する少なくとも1つの事前構成を備える、前記デバイスは超音波信号の発生器をアクティブ化させるための手段を備える。
【0051】
本発明の他の特性および利点は、添付の図を参照しながら以下の詳細な説明を読めば、より明らかになるであろう:
【発明を実施するための形態】
【0053】
定義および原理の紹介
図1は、本発明のプロセスの一実施形態の一般的な動作図を表す。
図1のシステムは、順に説明される機器の異なるアイテムを表す。
【0054】
説明の残りの部分では、「振幅」および「音圧」という用語は普通に(indifferently)使用される。
【0055】
「パルス」は、信号のレベルにおいて、特定の持続時間にわたっての放出として解釈されてもよいが、この信号によって局所的に誘発された現象として解釈されてもよい。誘発された現象は、超音波放射力から生じる局所的な超音波スラストに対応する。この後者のスラストは、心臓組織に機械的スラストを直接的に及ぼすことが可能である。
【0056】
フェーズドアレイRES_USは、1つまたは複数の集束ゾーン内で1つまたは複数の集束ビームを生成することを可能にする。各集束ゾーンは、たとえば、フェーズドアレイに対して設定ポイントを動的に生成する位置決めシステムSYS_POSによって、所定の位置に制御される。
【0057】
「集束ビーム」は、その周波数特性および位相特性が集束ゾーン内で建設的干渉またはコヒーレント干渉を生成することを可能にするフェーズドアレイの異なる要素から来る信号のセットを指す。
【0058】
フェーズドアレイは、実施形態によれば、フェーズドアレイの各要素の位相の特定の構成のおかげで、心臓内で1つまたは複数の集束ゾーンを定義することを可能にする。異なる集束ゾーンは、フェーズドアレイの異なる要素の信号を異なる点で干渉させることによって取得される。
【0059】
本発明のプロセスは、集束ビームの印加中に、またはその結果として生じる、組織変形ACQ_DEF、温度ACQ_T、電気活動ACQ_AE、または心収縮ACQ_CONTRACTの存在などのモニタリングパラメータの測定を実行することを可能にする。さらに、本発明のプロセスは、集束ゾーン内またはその近くでのキャビテーションの現象の代表的レベルACQ_CAV、ならびに標的ゾーンの位置または変位ACQ_POSの測定値を測定することを可能にする。
【0060】
「組織変形」および「組織変位」という用語は、心臓組織上で超音波スラストの生成によって引き起こされる影響を説明において説明するために普通に使用される。
【0061】
「集束ゾーン」と呼ばれる1つまたは複数の点における集束ビームの位置の制御は、「標的ゾーン」と呼ばれる位置設定ポイントによって実行される。
【0062】
標的ゾーン内で集束ビームを制御するための機構は、有利には、ECGの獲得のおかげで位置決めシステムとビームのアレイとの間で同期して実行され、これによって、機器の異なるアイテムに共通の時間基準が構成される。
【0063】
本発明のプロセスは、心臓の呼吸運動および/または収縮によって引き起こされる標的ゾーンZ
Cの位置設定ポイントの変位のパラメータを考慮することを可能にする。次いで、フェーズドアレイに設定ポイントを適合させるために、位置決め手段に結合されたコンピュータによって、新しい標的位置が計算される。本発明のプロセスによれば、フェーズドアレイは、ビームを偏向させ標的ゾーンZ
Cの新しい位置に集束点Z
Fを制御するためにアレイの要素によって放出される各信号において位相パラメータを生成することが可能である。
【0064】
そのうえ、呼吸現象は別として、心臓の収縮運動が、特にECGのQRS複合体の間に存在する。標的ゾーン上に集束されたゾーンの制御において心臓の収縮運動を無視することが可能であるように、集束ビームは、以下のどちらかであってよい:
− ECG上で視認可能なQRS複合体の出現中に中断される、
− または、QRS複合体の出現中に心臓の変位を補償するために第2の偏向変更の適用によって完了される。
【0065】
本発明は、モニタリングプロセス中または刺激プロセス中に2つの解決策を実施することを可能にする。
【0066】
一実施形態によれば、放出器は、集束ゾーン内で信号を放出する単一の放出器を含み得る。
【0067】
ECGの獲得
ACQ_ECGと示される第1のステップは、SYS_ELEC_1と示される第1の電気システムからの患者または動物の、ECGと示される心電図の獲得を含む。一実施形態によれば、心電図は、心周波数とも呼ばれる心拍調律を獲得することを可能にし、心拍調律は、AFF_1と示されるディスプレイ上に表示される。
【0068】
一実施形態によれば、ECGの獲得は、患者または動物の身体の表面上に電極を留置することによって実行される。この解決策によって、非侵襲的な様式で心臓の電気活動を測定することが可能になる。一代替実施形態によれば、ECGは、電極のレイアウトおよび位置決めの知られているモダリティにより12誘導または16誘導を使用して獲得されてもよい。
【0069】
一実施形態によれば、特定のカテーテルが、局所的な電気活動の測定のために心臓の腔内に位置決めされる。この場合、本発明のプロセスは、電気カテーテルおよびECGを取得することを可能にするデバイスによって獲得された電気活動を比較することも可能にする。この手段は、
図1ではSYS_ELEC_2と示されている。
【0070】
適用の同期
その表示とは別に、ECGは、機器の異なるアイテムを一緒に同期させるために、本発明のプロセスにより使用される。機器の異なるアイテムの同期は、心臓の1つまたは複数の領域内で同期される動作を生成することを可能にする。
【0071】
同期される動作は特に、以下を含む:
− 弾道(ballistic):すなわち、標的ゾーンZ
Cの位置に対する、もしくはビームの放出の弾道または停止の制御におけるたとえば心臓の収縮の周波数を考慮することによる、集束ゾーンZ
Fの位置の制御。この同期は、心臓の移動ならびに必要ならば経肋骨壁の回避を考慮する、および/または
− モニタリング:すなわち、ビームの生成中の、またはその結果として生じる、特定のモニタリングパラメータの測定。
【0072】
ビームの同期
一実施形態では、心臓の標的ゾーン内での集束超音波信号のビームの生成GEN F
USおよび画像の獲得ACQ IMGは、ECGと同期される。フェーズドアレイの視点から「同期される」ことは、超音波ビームの生成GEN F
USがECGの決定された時間にトリガされることを意味するために行われる。この同期は、心臓組織の分極の状態を考慮に入れることによって心臓のゾーン内で所望の生理学的影響を引き起こすことを可能にする。超音波ビームF
USのパルスが定期的に生成されるとき、ECGとのパルスの同期は、各放出において心臓組織の分極の同じ状態で刺激を引き起こすことを可能にする。
【0073】
ECGおよびフェーズドアレイの同期は、したがって、想定された印加により心臓のゾーンに対するビームの所望の影響を取得するように構成される。すなわち、集束ビームの生成は、特殊な場合によれば、心室または心耳の脱分極または再分極に対応する時間窓内で生成される。
【0074】
イメージングの同期
少なくとも1つの画像の獲得ACQ IMに関して、それはまた、ECGと優先的に同期される。すなわち、ECGの所与の時間に画像が獲得される。ECGに関する画像の獲得の時間は、オペレータによって設定されてもよいし、設定ポイント同期に応じて自動的に推論されてもよい。
【0075】
画像の獲得
ACQ IMGと示される第2のステップは、IMGと示されるイメージングシステムによる心臓の領域の少なくとも1つの画像の獲得を含み、イメージングシステム内には、ACQ_Z
Cと示される標的ゾーンZ
Cが位置特定される。
【0076】
一実施形態によれば、画像の獲得は、MRIイメージングシステムによって実行される。原子の磁性に基づいて、MRIイメージングシステムは、原子核に磁場を印加し、次いで前記原子核を無線周波数によって刺激することにある。次いで、緩和フェーズ中に放出され、電磁センサによって収集された信号から、画像の再構成が可能である。
【0077】
有利には、コンピュータK1と結合されたMRIイメージングシステムは、以下を可能にする:
− 標的ゾーンZ
Cの位置を集束信号のフェーズドアレイを制御するための設定ポイントとして定義する、標的ゾーンZ
Cの位置はまた、別の位置決め機器によって定義されてもよいし、そのような機器に送られてよい、
− 集束ゾーンに近いまたはその中での組織変形および/または組織変形の変動を推論する、このモードにおけるMRIは、より一般にはMRI−ARFIとして知られている、MRI−ARFIは、識別されたゾーン内の温度の上昇の後で組織の硬度または弾性を測定することを可能にする、
− 集束ゾーンに近いまたはその中の温度および/または温度の変動を推論する、このモードにおけるMRIは、より一般にはMRI−Tとして知られている、
− ビームの偏向のパラメータを考慮に入れることによって、骨壁の損傷を引き起こすことが可能なフェーズドアレイの要素をアクティブ化または非アクティブ化するために、フェーズドアレイの画像平面内での患者の経肋骨壁の投影を決定する。
【0078】
別の実施形態によれば、本発明は、超音波イメージングシステムによる画像の獲得を含む。このシステムは、MRIイメージングシステムに加えて使用されてもよいし、その代理として組織変位測定のために使用されてもよい。心エコー法と呼ばれる超音波イメージングシステムは、体内での音波の放出に基づく。前記波は、遭遇される解剖学的構造のタイプにより異なるように反射される。放出される波のエコーに対応する収集される信号は、患者または動物の解剖学的構造の一部の画像を再構成することを可能にする。
【0079】
別の実施形態によれば、画像の獲得は、X線イメージングシステムによって実行される。このイメージングシステムは、組織に対するX線の放出に基づく。組織によるX線の減衰の測定は、たとえば心臓などの解剖学的構造の2Dまたは3Dで画像を再構成することを可能にする。このシステムは、MRIイメージングシステムに加えて使用されてもよいし、その代理として弾道測定、すなわち集束ゾーンの位置のために使用されてもよい。標的ゾーンZ
Cは、イメージングシステムから潜在的に定義され得る。
【0080】
別の実施形態によれば、画像の獲得は、断層シンチグラフィと呼ばれるポジトロン放出型イメージングシステム(TEP)によって実行される。このイメージングシステムは、身体に少量注入された放射性物質によって放出されるガンマ放射線の検出に基づいており、それによって、たとえば心臓などの特定の器官の断面における画像を獲得することが可能になる。このシステムは、MRIイメージングシステムに加えて使用されてもよいし、その代理として弾道測定、すなわち集束ゾーンおよび/または標的ゾーンの位置のために使用されてもよい。標的ゾーンZ
Cは、イメージングシステムから潜在的に定義され得る。
【0081】
イメージングシステムは、必要とされる場合、診査される器官の可視化を改善するように、注入または摂取された造影剤と結合され得る。
【0082】
位置決めシステム
位置決めシステムは、さまざまな機能を果たすために本発明のプロセスの実行中に使用される:
− 第1の機能は、到達されることが望まれる標的ゾーンZ
Cの位置を定義することである。この目的のために、一例によれば、位置決めシステムは、獲得された画像ACQ_IMG上で、識別された標的ゾーンZ
Cの位置を回復するために、イメージングシステムに結合され得る。
− 第2の機能は、本発明のプロセスの機能を実現する各デバイスまたはシステムの弾道を較正することである。したがって、イメージングシステムおよびフェーズドアレイは、位置決めシステムを用いて所定の位置に較正され得る。
− 第3の機能は、標的ゾーンZ
Cの位置に対する集束ゾーンZ
Fの位置の制御である。そうするために、ビームが正確に偏向されるように、設定ポイントがフェーズドアレイに対して生成される。
− 第4の機能は、フェーズドアレイの平面内での経肋骨壁の投影された位置により、フェーズドアレイの要素のアクティブ化または非アクティブ化の設定ポイントを生成することである。この機能は、イメージングシステムによってフェーズドアレイに対して直接的に保証され得る。位置決めシステムの使用は、画像の獲得時間によって制限される必要もなく制御の速度を改善することを可能にし得る。後者の場合、経肋骨壁の投影された画像の位置の計算は、位置決めシステム内で記憶されてよく、患者の位置の変化は、基準位置から計算され得る。
【0083】
一実施形態によれば、位置決めシステムは、体外の超音波センサと、超音波信号の放出が反射されセンサによって検出される体外の放出器とを備える。心臓の所与の位置ACQ_POSは、三角測量によって取得され得る。信号の4つのセンサは、心臓内のゾーンの位置の良好な精度を取得することを可能にする。この解決策の利点は、空間内の位置の制御は、イメージングシステムの使用によるよりも早い可能性があることである。実際、この解決策によって、獲得および処理するために必要とされるデータが少なくなる。受容体は、3D空間のライン上の変動を獲得する。
【0084】
一代替実施形態によれば、放出器は、位置決めシステムに専用の放出器である。別の代替実施形態によれば、放出器はたとえば、特に開始位置の較正を確立するために、フェーズドアレイの要素であってよい。
【0085】
フェーズドアレイの受容体が使用され得る。測定の精度を改善するために、位置決めシステムに専用の超音波センサが好ましい。
【0086】
別の実施形態では、位置決めシステムは、皮膚上に位置決めされたセンサによって実現される。集束ゾーンZ
Fまたは標的ゾーンZ
Cの位置がイメージングシステムIMGから決定されるとき、例示的な一実施形態によれば、その位置は、画像処理から自動的に認識され得る。このために、画像のピクセルに対するパラメータの変動に基づいたインジケータが、心臓の特定のゾーンを自動的に認識するために生成され得る。別の例示的な実施形態によれば、標的ゾーンZ
Cは、マウスまたはグラフィックポインタを使用する画像処理ツールによって認識され得る。標的ゾーンZ
Cはまた、たとえばフェーズドアレイを案内するように構成されたソフトウェアからの、二次元画像または三次元画像の空間座標の定義によって指定され得る。
【0087】
一実施形態によれば、標的ゾーンZ
Cの位置は、心臓の心室または心耳へと導入され1つもしくは複数の超音波位置センサまたは1つもしくは複数の電磁位置センサとそれぞれ結合された超音波プローブまたは電磁プローブを含む心腔内カテーテルを使用して、決定され得る。したがって、前記位置決めシステムは、MRIイメージングシステムまたは少なくとも1つの超音波プローブまたは少なくとも1つの心腔内センサと関連付けられ得る。一実施形態によれば、超音波プローブによって、集束ビームの位置を制御するために標的ゾーンZ
Cを、したがって集束ゾーンZ
Fを定義することが可能になる。このシステムは、MRIイメージングシステムに加えて使用されてもよいし、その代理として組織変位測定のために使用されてもよい。
【0088】
位置決めシステムは、所定の位置における制御のためにフェーズドアレイRES_USまたは超音波信号の発生器に送られる標的ゾーンZ
Cの位置を定義することを可能にする。第二に、および潜在的に、位置決めシステムは、標的ゾーンの位置設定ポイントとの差をそれから推論するために、集束ゾーンZ
Fの位置を回復することが可能である。したがって、位置決めシステムは、コンピュータ内で実施される機能によってイメージングシステム内で統合されてもよいし、イメージングシステムの外部にあり、獲得された画像からデータを抽出するためにそれと関連付けられてもよい。
【0089】
一実施形態によれば、本発明のプロセスは、1つまたは複数の標的ゾーンZ
Cを識別することを可能にする。このステップは、先に説明されたように、集束ゾーンZ
Fの制御の異なる機能を果たすことを可能にする。
【0090】
本発明のプロセスの可能な機能は、組織変形のパラメータおよび/または温度の変動のパラメータを決定するために、心臓刺激前後の標的ゾーンZ
Cまたはそれに近いゾーンのイメージングデータの比較を含む。実際、画像の比較が実行されるとき、本発明のプロセスは、画像内の値の勾配、すなわち、たとえば心臓組織の変位を変換する変動および/または温度の変動を識別することを可能にする。これは、イメージングシステムがMRIイメージングシステムであるとき、およびそのシステムがコンピュータK1に結合されるとき、特に当てはまる。磁場の印加後、後者は、組織の変位に対する値と温度の変動に対する値とを含むデフェージングパラメータを推論することを可能にする。コンピュータK1は、特にモニタリングパラメータに対する画像処理演算を行うことを可能にする。
【0091】
フェーズドアレイ、信号の発生器
GEN F
USと示される第3のステップは
、標的ゾーンZ
C内で集束される集束超音波信号F
USの1つまたは複数のビームの生成を含む。
【0092】
治療用超音波プローブは、標的心臓領域と同一線上にプローブを直接的に位置特定することを可能にする3D機械的位置決めシステムに取り付けられる。フェーズドアレイ技術のおかげで、超音波ビームは、ショットゾーンの微調整のために焦点の本来の位置の周りに電子的に偏向され得る。これは、各ショット間に管理された時間遅延を用いていくつかの異なるゾーンを刺激するために、心臓の異なる領域を容易に標的とすることを可能にする。
【0093】
例示的な一実施形態によれば、256の要素を有するフェーズドアレイが、1MHzにおける中心周波数とともに使用され得る。幾何学的焦点は13cmに構成される。
【0094】
一実施形態では、集束超音波信号F
USのフェーズドアレイRES_USは、要素トランスデューサなどの要素のセットを含む。フェーズドアレイRES_USの構成は、要素のアクティブ化または非アクティブ化、および生成されるビームの偏向を案内することを可能にする各信号の位相のパラメータ化を可能にする。したがって、ビームの焦点の位置は、所与の偏向を定義する各信号の位相のパラメータ化によって決定される。
【0095】
フェーズドアレイの構成は、肋骨または他の器官などの、フェーズドアレイRES_USの要素と心臓との間の障害物を考慮することを可能にする。したがって、障害物を回避しながら1つまたは複数のビームの生成を構成することが可能である。これは、たとえば、患者の肋骨を損傷しないことを可能にする。本発明の刺激方法は特に、アレイRES_USが、心臓に最も近い胸郭に面して位置決めされるときに効率的である。この構成では、放出された超音波の骨壁内での吸収によって熱傷が誘発可能であるので、本発明のプロセスは、肋骨に超音波を照射する(insonify)ことを回避するためにフェーズドアレイRES_USの構成を確立することを可能にする。
【0096】
この構成は、集束ビームの較正中または心臓の少なくとも1つのゾーンの刺激の動作中に実現され得る。ビームの偏向は、標的ゾーンの変位を誘発する呼吸運動または心臓の収縮を補償するように制御され得る。標的ゾーンの新しい位置は、先に詳述されたように、位置決めシステムのおかげで、このゾーンの変位の推定によって決定され得る。
【0097】
標的ゾーンZ
Cは、心臓の基準フレーム内の領域を画定し、したがって、地上(terrestrial)基準フレーム内で動くことが可能である。したがって、フェーズドアレイは、呼吸運動または心臓の収縮によって誘発される心臓の移動を補償しなければならない。これは、標的位置Z
Cに対する集束位置Z
Fの制御のおかげで達成される。
【0098】
特に、一実施形態によれば、ビームの偏向は、心臓の呼吸運動の補償のパラメータに対して制御される。実際、呼吸運動は、心周期全体を通して標的ゾーンZ
Cの変位を生成し、本発明のプロセスの実行中に優先的に補償される。
【0099】
任意選択で、改善された一実施形態によれば、ビームの偏向は、QRS複合体中に生じる心臓の収縮運動の補償のパラメータに対して制御され得る。代替物は、たとえば刺激方法中に熱傷を回避するために、または標的ゾーンZ
Cに関連するゾーンを刺激するために、QRS複合体の出現中にビームを自動的にオフにすることである。この場合、ビームの消失は、収縮の出現の瞬間とビームの消失の瞬間が同期されるように、ECGの調律に対して制御される。
【0100】
一実施形態では、集束超音波信号F
USのビームは、標的ゾーンZ
C内で心臓組織を刺激するように、このゾーン上でパルスを生成するように構成される。本発明のプロセスは、前記ゾーン内またはその近くで、電気的応答および/または組織変形および/または温度および/またはキャビテーションのレベルを観察することを可能にする。刺激が単一の標的ゾーンZ
C上で実行されるとき、それは、たとえば、前記ゾーンの電気活動を試験することを可能にする。
【0101】
フェーズドアレイRES_USはまた、イメージングシステムIMGとともに集束ゾーンZ
Fの位置を較正するための超音波位置決めデバイスとして使用されてもよい。他の適用例が可能であり、以下で説明される。
【0102】
マルチビーム
一実施形態では、フェーズドアレイRES_USは、複数の集束ビームを生成し、したがって、いくつかの標的ゾーンZ
C内で複数のパルスを生成するように、同位相で構成される。次いで、前記ゾーンを刺激して、前記ゾーンの電気的応答および/または変形および/または温度および/またはキャビテーションのレベルを観察し、したがって、応答の比較を潜在的に実行することが可能である。刺激が複数の標的ゾーンZ
C上で実行されるとき、それは、たとえば、刺激動作をスケジュールするために異なるゾーン内の信号のレベルを較正することを可能にする。別の例によれば、同時に関与させられるマルチポイント刺激は、心室もしくは心耳の再同期の動作を実行するまたは心拍周波数を変更することを可能にする。他の適用例も可能である。
【0103】
信号の定義
すべての実施形態では、集束超音波信号F
USのビームは、心臓組織への機械的損傷および/または熱的損傷のレベルをモニタするように、構成された振幅で、構成された持続時間にわたって生成される。
【0104】
心臓刺激適用例の範囲内で、最良の刺激および組織への最小の損傷を可能にする構成が求められる。本発明のモニタリングプロセスによる信号の較正は、信号が1つまたは複数の最適化されたビームを定義する刺激フェーズを準備するために実行され得る。最適化は、集束ビームのパルスの振幅、持続時間、および繰返しを較正することによって実行される。較正は、異なる基準に依存する:年齢、患者の肥満、心臓の大きさ、心臓組織の厚さ、心筋、刺激されるゾーンなど。信号の較正は、したがって、効率的な刺激を定義するようにビームを適合させることを可能にする。
【0105】
一実施形態では、超音波信号のフェーズドアレイは、要素トランスデューサなどの要素のセットを含む。フェーズドアレイの構成は、要素のアクティブ化または非アクティブ化を可能にし、各信号の位相のパラメータ化は、ビームの偏向を案内することを可能にする。したがって、ビームの焦点の位置は、所与の偏向を定義する各信号の位相のパラメータ化によって決定される。
【0106】
フェーズドアレイの構成は、肋骨または他の器官などの、アレイの要素と心臓との間の障害物を考慮することを可能にする。したがって、障害物を回避しながら1つまたは複数のビームの生成を構成することが可能である。これは、たとえば、患者の肋骨を損傷しないことを可能にする。本発明の刺激方法は特に、アレイが、心臓に最も近い胸郭に面して位置決めされるときに効率的である。この構成では、本発明のプロセスは、放出された超音波の骨壁内での吸収によって誘発されるいかなる熱傷も回避するように肋骨に超音波を照射することを回避するために、フェーズドアレイの構成を確立することを可能にする。
【0107】
この構成は、集束ビームの較正中または心臓の少なくとも1つのゾーンの刺激の動作中に実現され得る。
【0108】
本発明のプロセスは、以下のために使用され得る心臓刺激の2つのモードを構成することを可能にする:
− 特にパルスを生成することによって、および関連付けられた応答を分析することによって、特定の印加に対する観察で信号を較正する、
− または、パルス列の生成によって生理学的影響を取得するために標的ゾーンを直接的に刺激する、のどちらか。
【0109】
第1の実施形態では、1つまたは複数のパルスの振幅は第1の所与の振幅閾値よりも小さく、パルスまたは前記パルスの持続時間は所与の持続時間閾値よりも長い。
【0110】
この第1の実施形態は特に、機械的損傷が組織内で生じないことを保証するためにモニタしながら心臓の1つまたは複数のゾーンを刺激するために有利である。この実施形態は、標的ゾーンZ
Cの制御された加熱を可能にし、それにもかかわらず熱的損傷を引き起こすことはない。熱的損傷は、ビームの印加の持続時間をモニタすることによって制限される。この第1の実施形態は、より詳細には、
図6Aに表されたパルスに関する。
【0111】
第2の実施形態では、1つまたは複数のパルスの振幅は第2の所与の振幅閾値を上回り、パルスの持続時間は所与の第2の持続時間閾値よりも短い。
【0112】
この第2の実施形態は特に、熱的損傷が組織内で生じないことを保証するためにモニタしながら心臓の1つまたはいくつかのゾーンを刺激するために有利である。パルスは、十分に短い場合はゾーンの加熱を引き起こさないことにより、熱的損傷は生じない。第1の実施形態においてよりも大きな振幅のパルスを用いて発生できる機械的損傷に対して、応力が緩和される、すなわち、超音波ビームによって生成される放射力の強度は、第1の実施形態の強度よりも大きい。この場合、本発明のモニタリングプロセスは、パルスが集束ゾーンまたは隣接ゾーンの組織の機械的損傷を生成しない振幅閾値を決定することを可能にする。
【0113】
この第1の実施形態は、より詳細には、
図6Bに表されたパルスに関する。
【0114】
例示的な一実施形態によれば、第1の振幅閾値は第2の振幅閾値:A
destruと同一であり、第1の持続時間閾値は第2の持続時間閾値:T
destruと同一である。閾値は、それぞれ温度における単一閾値T
destruおよび振幅における単一閾値A
destruが表されている
図4および
図5A、
図5Bに表されている。
【0115】
一実施形態によれば、本発明のプロセスは、器官すなわち心臓への超音波造影剤の注入のステップを含む。
【0116】
第1の実施形態によれば、超音波造影剤は、超音波ビームを視覚化し、超音波イメージングシステムを使用する治療を採り入れることを可能にする。この実施形態によれば、超音波造影剤は、MRI画像の視覚化を改善するために造影剤が使用されるのと同じやり方で、超音波イメージングデバイスと組み合わせて使用され得る。この使用法によって、たとえば健康なゾーンおよび病理学的ゾーンを検出することが可能になる。
【0117】
第2の実施形態によれば、超音波造影剤が、集束超音波ビームの作用に有利である(favor)ために使用され得る。造影剤が存在することによって、信号が微小気泡の生成によって集束されるとき、キャビテーションの現象の出現を改善することが可能になる。この現象の出現は有利にされるので、結果は、集束ゾーン内での組織の刺激に有利である音響信号の振幅の最大値の閾値を減少させることである。このコンテキストでは、造影剤は、心臓のゾーンを刺激するために使用される超音波信号のレベルの最小閾値を減少させることを可能にする。したがって、超音波造影剤は、超音波造影剤を用いずにより高いパワーを用いる結果に等しい結果を取得しながら、ビーム発生器によって放出されるパワーレベルを減少させることを可能にする。
【0118】
この解決策の関心は、放出されたパワーレベルを減少させ、したがって、超音波パルスによって応力を加えられる組織の損傷のリスクを減少させることである。別の関心は、ビームの放出によって他の器官または骨に対して引き起こされる損傷を減少させることである。
【0119】
使用可能なデバイスは、たとえば、Braccoから指定された「SonoVue」である。
【0120】
超音波造影剤の投与は、広範囲の値にわたって注入され得る。ブタ心臓に対して実行される試験によって、超音波造影剤が使用されたときより低い音圧パワーレベルを用いて刺激の生成の改善を検証することが可能になった。これらのデータは、ヒトで取得可能な桁と同じ桁である。一例として、SonoVueの0.03または0.20ml/kgからに及ぶ注入が、集束ビームの印加による組織の刺激の影響の改善の影響を取得するために使用され得る。0.1ml/kgの値は、80msよりも短いパルス期間にわたって2から15MPaの振幅を発生させる集束される音響信号を用いて行われた試験による最終的結果に至る。
【0121】
この試験では、消失(terminal elimination)半減期は12分であった(2から33分に及ぶ)。
【0122】
超音波造影剤の使用は、数百MPaから数MPaに及ぶ集束ゾーン内の刺激を生成するために必要とされるパワーレベルの減少を取得することを可能にする。取得される利得は、投与された超音波造影剤の量、造影剤の投与後にビームが放出された期間、および患者または動物に固有の器官の生理学的データに依存する。
【0123】
別の利点は、超音波造影剤の影響はビームのパルスの持続時間に無関係であるということであり、これは、すなわち、同じパワーレベルを用いて、造影剤が影響をもたらす期間全体を通じて生成される異なるパルスにわたって、共通動作手順を保証する。
【0124】
温度のモニタリング
本発明のプロセスは、較正動作または刺激動作中に心臓の1つまたは複数のゾーンをモニタするために、そのゾーン内の温度ACQ_Tなどの特定のパラメータをモニタすることを可能にする。ディスプレイAFF_2は、一実施形態では、断面内で、スライスまたは3Dゾーン内で、心臓またはその少なくとも1つの特定の領域の温度を視覚化することを可能にする。
【0125】
図1は、その画像の表示が獲得される機器の異なるアイテムの表示をプールする単一ディスプレイAFF_2を表す。別の実施形態によれば、本発明のプロセスにおいて、異なるディスプレイが使用され、機器の各アイテムに専用であってよい。
【0126】
K1と示されるコンピュータは、心臓の特定のゾーン内の温度を推論するために、MRIなどのイメージングIMGによって獲得されるデータを抽出することを可能にする。標的ゾーンまたは集束ゾーンの位置の抽出は、このゾーン内またはその近くで温度を識別するために実行され得る。たとえば、コンピュータK1は、獲得される画像のデータの分析によって温度の変動を計算し、変動が温度閾値を超過するゾーンを自動的に識別することが可能である。したがって、集束ゾーンの位置は、MRI内で獲得された画像のデータの処理によって自動的に推論され得る。
【0127】
温度変動がスクリーン上で視認可能であるとき、カラーコードは、オペレータが著しい温度上昇を避ける助けとなり得る。
【0128】
第1の実施形態によれば、温度のモニタリングは、刺激動作中に使用される集束ビームを較正するために本発明のモニタリングプロセスの実行中に実行され得る。
【0129】
第2の実施形態によれば、温度のモニタリングは、治療適用のために刺激方法の実行中に実行され得る。この場合、「アクティブモニタリング」という用語が使用される。このアクティブモニタリングは特に、標的ゾーンならびに標的ゾーンに隣接するゾーンの加熱を追跡することを可能にする。
【0130】
電気活動のモニタリング
一実施形態では、ACQ_AEと示される電気活動の測定は、集束ゾーン内またはその近くで超音波刺激の効率を確認するように、組織変形および/または温度および/またはキャビテーションのレベルの測定に加えて、集束超音波信号のビームの生成GEN F
US中および/またはその後で実行され得る。電気活動ACQ_AEは、カテーテルから局所的に測定されてもよいし、ECGを取得することを可能にする電気システムから局所的に測定されてもよい。
【0131】
集束ゾーン内またはその近くで電気的応答時間および/または電気活動のレベルは、SYS_ELEC_2と示され
図1に表される専用電気機器から測定され得る。それは、局所的な電気活動のレベルを変換する信号を獲得するACQ_AEことを可能にする。コンピュータK2はシステムに追加され得る。それは、電気活動のレベルを基準レベルと比較することによって、または電気活動のレベルの値を組織変形ACQ_DEFの測定値と調和させるために、本発明の一実施形態の実施を可能にする。値のこれらの相関/比較は、
図1の機能COMPによって表される。状態のメッセージVERIF_2は、比較の結果で終わることを可能にする。別の実施形態によれば、コンピュータK2によって実現される機能は、コンピュータK1によって保証され得る。
【0132】
一実施形態によれば、電気活動のレベルは、心臓の領域:心室または心耳へと導入された電気カテーテルから測定され得る。
【0133】
他の実施形態によれば、集束ゾーン内またはその近くで電気活動を局所的に測定することを可能にする機器の他のアイテムが使用されてよい。
【0134】
標的ゾーン内の局所的な電気活動ACQ_AEが、たとえば電極を使用して取得されるECGからモニタおよび推論され得ることに留意されたい。この後者の特別の場合、
図1の電気システムSYS_ELEC_1およびSYS_ELEC_2は、機器の単一アイテムのみを形成し得る。特に、刺激が本発明の刺激プロセスによって生成されるとき、および心室または心耳の全体的脱分極が生じるとき、刺激方法によって誘発される電気活動は、ピークの存在によってECG上で視認可能である。この場合、電気カテーテルは、ECGから推論された電気活動の測定値を相関させるため、またはより正確な測定値を取得するために潜在的に使用され得る。
【0135】
一実施形態では、パルスが、心臓組織の再分極中に心臓の標的ゾーンZ
C内に印加される。心臓の標的ゾーンZ
C内でパルスによって誘発される心臓の電気活動および/または組織変形および/またはキャビテーションのレベルおよび/または温度の測定が実行される。電気的応答、測定された変形および/または温度および/またはキャビテーションのレベルに応じて、超音波信号F
USのビームの較正が実行される。パルスの振幅および持続時間の異なる値は、温度が閾値を局所的に超えないことをモニタしながら構成されてよく、その閾値を超過すると、組織の損傷が生じ得る。
【0136】
心臓再同期のための適用例では、このモニタリングは、良好な電気的応答性質を有するプローブの留置の位置を決定することを可能にする。プローブは、心筋の壁の上に固定され、患者の心臓の複数のポイントで心臓パルスを生成することが意図されている。それによって生成されるパルスは、心臓の心室または心耳の同期を保証する。
【0137】
心臓組織の変形または集束ゾーンの電気活動が集束ビームF
USの少なくとも1つのパルスの所与の振幅および持続時間にわたって所定の閾値よりも小さいとき、集束ゾーンは「不応答」と考えられる。
【0138】
第1のモニタリングにより、集束ゾーンが不応答と考えられるとき、本発明のモニタリングプロセスは、たとえば、持続時間および振幅において、第2の較正測定を実行するように新しい集束ビームを調節することを可能にする。
【0139】
この場合、集束ビームを較正するためのプロセスは、集束ゾーン内に印加された新しいビームにより組織を損傷することを回避するために、特に温度の変動を考慮する新しい集束ビームを定義することを可能にする。
【0140】
アブレーション動作に続く第2のモニタリングにより、集束ゾーンが不応答と考えられるとき、モニタリングプロセスは、たとえば、不整脈を生成するゾーンのアブレーションが成功したことを確認することを可能にする。
【0141】
測定された組織変形のレベルに応じて生成される電気活動の理論レベルを推論することが可能である。したがって、本発明の一実施形態によれば、電気活動は組織変形測定から推論され得るので、モニタリングおよび刺激プロセスは、電気活動の測定を必要としない。したがって、本発明のプロセスは有利には、非侵襲性であり得る。
【0142】
較正プロセスは、所与の集束ゾーン内の集束ビームの印加中に測定される電気活動のレベルと組織変位のレベルとの間の対応ルールを確立することを可能にする較正のステップを含み得る。この較正は、このゾーン内の温度に対する応答も考慮し得る。
【0143】
刺激方法中に、この較正は、組織の変形のレベルを一意に測定し、誘発される電気活動を推論することを可能にする。
【0144】
組織の変形、または組織の弾性に固有の特性の測定値が小さいまたはゼロさえであるとき、電気活動が生成されないことを推論することが可能である。
【0145】
心収縮のモニタリング
最後に、本発明の刺激方法は、心収縮の存在の確認のステップを含み得る。機械的収縮の確認は、心臓の収縮を測定するために、血圧プローブによって、たとえば心臓パルスの測定によって、または大動脈内プローブによって、実行され得る。機械的収縮を測定するためのこの機器は、
図1ではCAP_CONTRACTと示され、測定はACQ_CONTRACTと示される。
【0146】
心収縮のモニタリングは特に、たとえば緊急サービス車両に統合されたモバイルデバイスまたは携帯デバイスを用いた本発明のプロセスの適用にとって興味深い。この実施形態における本発明の携帯デバイスは、イメージングシステムを備えない。逆に、モバイルデバイスは、患者に適用される1つまたは複数の刺激が実際に生理学的影響を生じたことを確認するために心臓の収縮の存在を測定することを可能にする。
【0147】
図2は、心臓のECGのシーケンスの一例を示す。表される心電図のシーケンスは、心筋の2つの収縮1および2を含む。
【0148】
時間20で始まる波Pは心耳の脱分極に対応し、時間21で始まる、心室の脱分極を含むQRS複合体、QRS複合体とマージされた心耳の再分極が続き、最後に、T波が、時間13における心室の再分極に対応する。
【0149】
キャビテーションのモニタリング
一実施形態によれば、本発明のモニタリングプロセスならびに刺激プロセスは、集束ゾーン内のキャビテーションのレベルを計算するステップを含む。キャビテーションの現象は、放出された超音波の振動によって生成された集束領域内の気泡の発生の現象に基づく。
【0150】
発生し得る2つのキャビテーションは区別され得る:
− 安定キャビテーション。集束ゾーン内またはその近くでの気泡の発生の現象に対応する。気泡は潜在的に、組織の変位に有利である。
− 慣性キャビテーション。安定キャビテーションの連続である。気泡が蒸発または破裂し、これによって、組織の損傷が発生可能であるが、ゾーンを刺激することもできる。慣性キャビテーションの現象は、局所的に特定の閾値を超えた陰圧の生成によって生じる。
【0151】
キャビテーションの現象は、キャビテーションのレベルを測定するためのデバイスによって決定され得る。例示的な一実施形態によれば、そのデバイスは、
図1ではSYS_CAVと示される、集束ゾーン内またはその近くでのキャビテーションのレベルACQ_CAVの検出のための超音波デバイスであってよい。このデバイスは、1つまたはいくつかの超音波のセンサと、集束ゾーン内またはその近くで反射される超音波のスペクトル分析ACQ_USを実行するコンピュータとを備える。
【0152】
一実施形態によれば、コンピュータK1は、機器の異なるアイテムによって実行された、キャビテーションのレベルACQ_CAV、組織変形ACQ_DEF、温度ACQ_Tのさまざまな測定値を集中化させることを可能にする。測定値は、閾値と潜在的に比較される。これらの測定値のあらかじめ定義された閾値が超過されたことにより、アラームがリアルタイムで生成され得る。ディスプレイAFF_2は、これらの値および機器の異なるアイテムによって獲得された画像を表示することを潜在的に可能にする。
【0153】
別の実施形態によれば、機器の各アイテムは、専用コンピュータおよび専用ディスプレイに結合され得る。
【0154】
スペクトルが大きく広がるほど、すなわち、集束ゾーン内またはその近くのノイズが多いほど、重要と決定されるキャビテーションの現象が多い。閾値は、異なる心臓適用例に関する刺激のために特に使用される信号の振幅および持続時間の値を較正するために、本発明のモニタリングプロセスから定義および決定され得る。
【0155】
一実施形態によれば、刺激方法の実行中に実行されるモニタリングは、キャビテーションの現象の重要性を表すレベルをリアルタイムで検出する。刺激方法は、測定されるレベルを動的に考慮し得る:
− 高レベルが高すぎる場合、1つもしくは複数のビームを停止するため、
− または、パルス持続時間振幅設定ポイントによって焦点で生成される圧力のレベルを自動的に構成するため。
【0156】
標的ゾーン内のキャビテーションの現象は、本発明のプロセスによっても測定され得る:
− この現象によって本質的に生成される組織変形の外挿によって、
− または、先に指定されたように、反射された信号のスペクトル分析によって、体外の超音波センサによって、
− または、標的ゾーンの近くに位置決めされた心腔内超音波センサによって。
【0157】
前記の実施形態と組み合わせ可能な別の実施形態によれば、キャビテーションのレベルの測定値は第1の閾値と比較され、組織変形の測定値は第2の閾値と比較される。
【0158】
キャビテーションのレベルが第1の閾値を超過するとき、損傷の第1のリスクが識別される。組織変形の測定値が第2の閾値を超過するとき、損傷の第2のリスクが識別される。2つのリスクを考慮することを可能にするアルゴリズムによって、たとえば放出される超音波信号を自動的に中断することによって、較正手順または刺激手順を停止するための設定ポイントを生成することが可能になり得る。関心は、心臓のゾーンを刺激するまたはリスクの検出を改善することを目的として介入を左右する安全性手順を強化することである。
【0159】
最後に、別の関心は、2つの異なる手段による二重リスク評価に基づいて経時的に二重インジケータを取得する可能性にある。実際、キャビテーションのレベルを測定する超音波センサは、毎秒10から5000の間の信号を獲得し得るが、たとえばMRIを使用する組織変形センサは、毎秒0.5から10の信号の獲得リフレッシュレートを必要とすることになる。したがって、キャビテーションのレベルの第1の測定を実行することを可能にする計算手段を備えるシステムを利用可能とすることが可能であり、第1のリスクが識別されたとき、変形のレベルの進展の検出が、識別される第1のリスクの検出に成功した時間枠において分析され得る。したがって、可能な限り早く集束信号の中断を引き起こすことが可能である。
【0160】
そのうえ、キャビテーションのレベルの第1の超過は、それでも第2の閾値が超過されることなく組織変形の進展を分析することにつながり得る。その場合、その分析は、変形する組織の傾向に関したものであり、第2の所与の閾値の超過に関するものではない。したがって、本発明のプロセスのおかげで、可能な限り早く信号の生成を中断することが可能である。
【0161】
一代替形態によれば、キャビテーションのレベルの測定値は、もはや組織変形の測定値と相関されず、集束ゾーン内またはその近くでの電気活動と相関される。後者の場合、同じ処理が、特に経時的に機器の異なるアイテムによる信号の分析に関して、これらの2つの測定値に適用され得る。
【0162】
アルゴリズムはまた、2つの閾値が超過されるとき、超音波信号の中断の発生を一意に可能にし得、第1の閾値はキャビテーションのレベルに関し、第2の閾値は、たとえば、組織の変形に関する。この他のオプションは、測定値を、たとえばMRIまたは超音波デバイスなどの測定装置の誤差とみなすことを可能にする。
【0163】
したがって、本発明のプロセスは、そのような動作中に損傷を引き起こすことを回避するためにゾーンの刺激をモニタするための異なる方策を定義することを可能にする。第1の方策は、最大安全度を保証することに相当し得る。この場合、閾値の単一超過は、信号のビームの中断を引き起こすことを可能にする。第2の方策は、測定誤差の除去を保証することに相当する。この場合、プロセスは、機器の異なるアイテムの測定値の2つの閾値が超過された場合に損傷が生じることを確認することを可能にする。
【0164】
機器の異なるアイテムを用いて測定される量に対応する複数の測定にプロセスが適用されることに留意されたい。
【0165】
したがって、3つのタイプの信号の相関は、3つの閾値に対する比較を行うことによって実行され得る。たとえば、キャビテーションのレベルは第1の閾値と比較され、組織変形は第2の閾値と比較され、電気活動は第3の閾値と比較される。モニタリング方策は、3つのうち2つの閾値を超過すれば、超音波信号の中断を引き起こすのに十分であるというものであり得る。この解決策は、安全性の増加(3つのうち2つの装置がリスクを検出した)と測定誤差を考慮すること(3つのうち1つの装置が何も検出しない)の折り合いをつけることを可能にする。他の可能性は、最大安全性に有利である構成が望ましいかどうか:少なくとも1つの閾値が超過されることが、チームの中断につながる、に応じて決められてもよいし、測定誤差が考慮される構成が望ましいかどうか:ビームの中断をもたらすためには、3つの閾値が超過されなければならない、に応じて決められてもよい。
【0166】
組織変位のモニタリング
超音波信号のビームの生成GEN F
USは、集束ゾーンZ
F内と、おそらくこのゾーンのかなり近くで、組織の変位によって、局所化された超音波スラストを生成することを可能にする。
【0167】
超音波スラストは、このスラストの生成に結び付けられたまたは結び付けられていない二次的現象を伴い得る。第1の現象は、集束ポイントにおいてビームによって誘発される分子の擾乱(molecular agitation)に結び付けられる。第2の現象は、集束ビームによって誘発されるキャビテーションに結び付けられる。
【0168】
キャビテーションの現象が、集束ゾーン内またはその近くでの微小気泡の発生の背後にあり、これは、以下ができる:
− 組織の収縮によって誘発される組織の変位の影響または電気活動の伝播を改善する、安定キャビテーションという用語が使用される、
− または、特定の閾値を超える局所的に陰圧の生成によって組織を破壊する、のどちらか。陰圧閾値を超えると、気泡の破壊すなわち気泡の蒸発は、したがって、組織内で病変を作り出し、この場合、慣性キャビテーションという用語が使用される。
【0169】
本発明のプロセスは、超音波信号の構成により、組織の破壊を回避するために、有利にはキャビテーションの影響を制御することによって、組織の変位を生成することが可能である。
【0170】
1つの関心は、超音波放射力が電気活動を誘発できることに加えて、キャビテーションの現象によって、組織に加えられる機械的応力が誘発され得ることである。
【0171】
短い持続時間のパルスに対応する所与の閾値よりも短い持続時間にわたってパルスが生成されるとき、集束ゾーンの加熱を最小にしながら電気活動を誘発することが可能である。
【0172】
組織の変位は、MRIイメージングシステムなどのイメージングシステムのおかげで取得され得る。この場合、利点は、機器の単一アイテムが、標的ゾーンおよび集束ゾーンの位置、ならびに温度および組織の変位の変動の定量化を取得することを可能にすることである。
【0173】
温度の変化によるデフェージングと局所的な変位によるデフェージングとの固有の差のおかげで可能である、単一MRIイメージング機器によって温度および組織の変形の測定が実行されるとき、これらの2つの影響は同時に弁別および測定され得る。この解決策は、したがって、使用される機器のアイテムの数ならびに組織変形データおよび温度データを同じ獲得から推論するように実施するための計算の単純化の視点から有利である。
【0174】
したがって、機器のこれらの2つのアイテムの結合は、単一獲得方法による心臓組織の温度および変位に同時に追従することを可能にする。
【0175】
最後に、組織変形の測定は、たとえば、凝固壊死が終了したことを記録するために、モニタリングプロセス中に標的ゾーン内に組織の弾性のレベルを較正することを可能にする。さらに、モニタリングプロセスによって、アブレーションが成功したことを確認することが可能になるとき、アブレーション中の弾性のレベルとあらかじめ実行された測定との比較によって、到達するべきレベルに応じてアブレーションされるゾーンの比率を定量化することが可能になる。
【0176】
組織変形は、先に規定したように、MRIイメージングシステムから測定され得る。他のイメージングシステムによって、組織の変形または弾性をモニタすることが可能になるとき、他のイメージングシステムが使用されてよい。別の実施形態によれば、組織変形は、組織変形を測定する集束ゾーン(Z
F)の近くに導入された超音波プローブを備えるカテーテルによって測定され得る。任意選択で、圧力プローブを備えるカテーテルが、組織変形を推論するために集束ゾーンの近くで使用され得る。
【0177】
一実施形態によれば、温度変動の測定に関して、コンピュータK1は、位置設定ポイントを回復することによって標的ゾーンの位置を、または画像処理によって集束ゾーンZ
Fの位置を回復することを可能にする。ステップVERIF_1は、位置決めシステムSYS_POSによるイメージングデータIMGの回復を可能にする。したがって、組織の変位の変動は、回復された位置に対して制御された領域内で自動的に計算され得る。コンピュータは、パラメータの他の計算のために使用されるコンピュータまたは組織変形の測定に専用のコンピュータと同じであってよい。組織の弾性の測定値は、組織の変位/変形から推論され得る。
【0178】
さらに、
図1では、ステップVERIF_1はまた、イメージングシステムIMGと位置決めシステムSYS_POSとの間の弾道の較正をモニタするステップを指し得る。このモニタリングは、1つのアイテム機器によって評価された空間内のポイントの位置が実際に、機器の別のアイテムによって評価された空間内のポイントの位置に対応することを確認することにある。
【0179】
別の実施形態によれば、温度測定および変形測定は、機器の異なるアイテムによって実行される。温度測定は、たとえば、MRIイメージングシステムによって実行されてよく、組織変形測定は、超音波イメージングシステムによって実行されてよい。
【0180】
イメージングシステムが使用されるとき、ディスプレイAFF_2によって獲得された画像の2D断面もしくは3Dスライスまたは3D画像の領域上で局所的に組織変形ACQ_DEFを視覚化することが可能である。ディスプレイは、考慮された心臓の領域の温度を視覚化することを可能にするディスプレイまたは専用ディスプレイと同じであってよい。
【0181】
適用例/ECGとの同期
適用例に応じて、超音波による刺激は、心耳および/もしくは心室の脱分極中または心耳および/もしくは心室の再分極のいずれかで実行される。
【0182】
この同期を実行するために、集束超音波信号F
USのビームは、所望の生理学的影響に応じて、心臓組織の再分極中または脱分極中に刺激が実行される時間窓を選択するように心臓のECGの調律と同期される。
【0183】
たとえば、較正中の刺激の適用は、弾道のモニタリングに関する。弾道のモニタリングによって、標的ゾーンの位置が実際に集束ゾーンの位置に対応することを保証することが可能になる。実際、心臓のゾーンの刺激を実行するためにシステムを使用する前の、機器の異なるアイテムの位置の較正は、プロセスの精度の増加をもたらす。したがって、弾道の較正は、フェーズドアレイの位置決めシステム、制御のために使用されるたとえばイメージングシステムまたは位置プローブを較正することを可能にする。
【0184】
弾道の較正に関する適用例では、本発明のプロセスは、期外収縮を誘発しないように心耳および/または心室の脱分極後に集束ゾーンの刺激を生成することを可能にする。本発明の較正プロセスは、したがって、心拍動の正確な瞬間に集束ビームを生成するようにECGとのフェーズドアレイの同期を含む。
【0185】
心室再同期または心耳再同期などの他の刺激適用例によれば、フェーズドアレイは、心周期の別の瞬間に、ECGと同期される。この場合、実行されることが望まれる適用例にしたがって、刺激は、心耳および/または心室の再分極後に実行される。したがって、ECGは、所望の生理学的影響により心臓組織を所望の瞬間に刺激するためにフェーズドアレイを同期させることを可能にする。
【0186】
細動の生成または期外収縮の生成などの適用例では、刺激はまた、心耳および/または心室の再分極中に実行される。心臓細動の生成では、刺激は有利には、ECGのT波の間に生成される。
【0187】
図3Aは、心臓の標的ゾーンZ
Cをモニタするために、前記ゾーン内における、振幅A
1および持続時間D
1の超音波信号F
USのビームのパルスを表す図であり
、総適用持続時間はD
SIGNALと指定される。本発明のモニタリングプロセスによって、較正パルスから、組織の損傷を引き起こすことなく電気刺激の閾値を定義することが可能になる。
【0188】
心臓の標的ゾーンZ
Cの刺激のためのパルスの振幅A
iおよび持続時間D
iは、優先的に機械的損傷を、または優先的に熱的損傷を最小にするように選ばれる。
【0189】
図3Bは、心臓の少なくとも1つの標的ゾーンZ
Cの刺激のための、前記ゾーン内でのパルスの連続を含む集束ビームの生成を表す。パルスは、あらかじめ定義された標的ゾーンの位置に対して制御された心臓の領域内で印加される。
【0190】
図3Bの信号は、持続時間D
2にわたって振幅A
2を有し、時間間隔D
iによって分離され、印加の総持続時間はD
SIGNALと指定される。信号の振幅は、パスカル単位で示される、集束ゾーン内で誘発される音圧のレベルを表し得る。別の代表的な実施形態によれば、信号A
2の振幅は、集束ゾーンZ
F内でコヒーレントな様式で再構成(recompose)された超音波ビームの振幅を表し得る。集束ゾーン内で再構成される超音波ビームの振幅と、集束ゾーン内でビームによって誘発される音圧は、これらの概念の一方または他方が
図3Bの信号を説明するために普通に引き合いに出され得るように結び付けられる。
【0191】
第1の実施形態では、パルスは、集束ゾーンZ
F内の音圧A
2が、持続時間範囲[1−50ms]に含まれるパルスの持続時間D
2にわたって[2−8MPa]という圧力範囲に含まれるように構成される。生成されたパルスは、患者または動物のECGと同期される。値のこれらの範囲は、閾値よりも低い心臓組織の機械的損傷の閾値を維持しながら電気刺激を引き起こすために特に有利である。前記閾値は、収縮もしくは弛緩の所与の比率または組織の弾性に対応するパラメータから計算される。
【0192】
第2の実施形態では、パルスは、集束ゾーンZ
F内の音圧A
2が、持続時間範囲[50μs−1ms]に含まれるパルス持続時間D
2にわたって[8−12MPa]という圧力範囲に含まれるように構成される。
【0193】
値のこれらの範囲は、たとえば温度閾値であってもよい閾値よりも低い心臓組織の熱的損傷の閾値を維持しながら電気刺激を引き起こすために特に有利である。そうするために、温度のモニタリングは、パルスの生成中に発生し得る可能な熱的損傷をモニタすることを可能にする。たとえばMRIのおかげで、局所的に測定される温度は、発生し得る熱的損傷のリスクを示し得る。
【0194】
したがって、パルスは、標的ゾーン(Z
C)内で局所的に温度を温度閾値(T
MAX)よりも低く維持しながら心臓組織内で電気刺激を引き起こすために生成される。
【0195】
一実施形態によれば、持続時間D
3は有利には、200msよりも長い。一実施形態によれば、持続時間D
3は有利には、QT間隔に含まれる。一構成によれば、パルスは、各心拍周期で生成される。他の構成によれば、いくつかの心拍動周期は、各パルスの生成を分離し得る。
【0196】
すべての実施形態において、集束ゾーンに隣接するゾーンのアクティブモニタリングが、標的ゾーンZ
Cに隣接するゾーンを損傷しないように、電気活動の測定および/または組織変形の測定および/またはキャビテーションのレベルの測定および/または心臓の標的ゾーンZ
Cに隣接するゾーンの温度の測定によって実行され得る。
【0197】
すべての実施形態では、刺激方法は、たとえば信号のパルスおよびイメージングシステムによって実行され得る、弾道のモニタリングを含み得る。刺激方法中のこのモニタリングによって、較正プロセス中に較正された位置の較正が適切に維持されることを確認することが可能になり得る。この場合、モニタリングは、集束ゾーンZ
Fと標的ゾーンZ
Cが合併されているまたはかなり近いという確認を含む。
【0198】
図4は、心臓の標的ゾーンZ
C内での超音波信号F
USのビームのパルス42、43の振幅および持続時間による、前記ゾーンのレベルにおける温度の進展40、41、組織の変形47、47、およびキャビテーションの現象48に対応する図を表す。集束ビームを定義する値の想定範囲により、2つの特殊な場合が表されている。
【0199】
表されている曲線は、特定の臨界点を示す。逆に、プロットの形状は、試験中に取得された曲線上に正確に表されていない。
【0200】
組織変形47、47’およびキャビテーションの現象48、48’は、同じグラフ44および45に表されている。
【0201】
第1の特殊な場合によれば、心臓の標的ゾーンZ
C内に印加されるパルス42は、[1ms;50ms]の間に含まれる持続時間D
1にわたって[2MPa;8MPa]の間に含まれる振幅A
1を有する。[4MPa;8MPa]という振幅値の範囲によって、組織の熱的および機械的な破壊影響を著しく制限しながら心臓組織の刺激を取得することが可能になる。
【0202】
持続時間D
1の終了時に、T
mes_1と示される標的ゾーンZ
Cの測定温度23は、心臓組織が熱傷によって損傷され得る最高温度T
MAXに近い。心臓組織の変形47が観察され得る。有利には、較正プロセスによって、T
maxが超過されないパルスの持続時間の値D
1を評価することが可能になる。
【0203】
この第1の特殊な場合では、
図5Aおよび
図5Bのグラフ51において、集束ゾーンの組織に対して局所的に熱的損傷52が生じる確率PROB_DT および機械的損傷が生じる確率PROB_DMが、所与の振幅A
1の間のパルスの印加の持続時間D
1に応じて表されている。
【0204】
曲線52は、パルスの持続時間D
1が長いほど、熱的損傷52の発生の確率が高いことを示す。
【0205】
D
DTと示される持続時間閾値が示されており、この閾値を超えると、パルス42が、熱的損傷を引き起こすことが可能な加熱をもたらす。この閾値持続時間D
DTは、所与のパルス振幅に対して計算される。熱的損傷52が制限される持続時間の値の範囲PDが表されている。
【0206】
図5Bに表されている同じグラフは、持続時間D
1が所与のパルス振幅のための閾値持続時間よりも短い例示的な場合を表す。この場合、熱的損傷は無視できるほどであり、またはゼロでさえある。
【0207】
したがって、パルスの印加の持続時間は、局所的な温度の増加が組織の熱的損傷を引き起こす閾値持続時間を超過しないように較正され得る。この局所的な温度は、MRIなどのイメージングシステムのおかげで測定され得る。標的ゾーンZ
Cの位置を回復するコンピュータは、集束ゾーンZ
F内またはその近くで局所的な温度または温度の変動などのデータをMRIから抽出し得る。
【0208】
特殊な場合の第1の利点は、ビームの超音波スラストによって誘発される組織の変形を生成しながら熱的損傷をモニタすることができることである。局所的に加えられる組織に対する超音波スラストは、器官内で伝播する組織の収縮の影響によって取得される心室または心耳の全体的脱分極の発生に有利になり得る。
【0209】
この特殊な場合の第2の利点は、集束ゾーン内またはその近くで超音波スラストの振幅が閾値よりも小さい集束ビームを生成することである。この閾値は、
図4および
図5に示されている:「A
destru」。閾値A
destruは、組織上でそれを超えると機械的損傷が生じる、集束ビームの超音波スラストの振幅閾値に相当する。機械的損傷は、局所的に微小気泡の生成に有利であるキャビテーションの現象の結果であり、この微小気泡はスラストの影響下で破壊される。後者は、破壊中に組織を損傷する。
【0210】
したがって、この第1の特殊な場合は、心臓組織の機械的損傷を引き起こさないようにパルスの振幅が管理され、その持続時間も熱的損傷を引き起こさないように管理される、集束ビームを作成することを可能にする。
【0211】
第2の特殊な場合によれば、心臓の標的ゾーンZ
C内に印加されるパルス43は、[50μs;1ms]の間に含まれる持続時間D
1にわたって[8MPa;12MPa]の間に含まれる振幅A
1を有する。
【0212】
持続時間D
1の終了時に、標的ゾーンの測定温度23’Z
C T
mes_2は
、最高温度T
MAXによって特に示される臨界温度閾値よりも低い。そのようなパルスの場合が
図5Bに表されている。パルスは短い持続時間、すなわち1ms未満であり、組織は加熱する時間がほとんどない。刺激は本質的に、キャビテーションの現象によって引き起こされる。超音波スラストによって生成される組織の変形47’は、1ms未満では小さい。
【0213】
この特殊な場合は、組織の熱的損傷がないという視点から興味深く、組織の熱的損傷は、1ms未満のパルスの持続時間では発生することができない。ゾーン59内でT
destruを超えて延びる曲線52’の一部は、持続時間D
DTを超過するであろうパルス43を考慮することによって表されている。この特殊な場合では、熱的損傷が生じるであろう。グラフ54において、T
destruの前は、
図5Aおよび
図5Bの熱的損傷52’は無視できるほどであり、ゼロですらあることに留意されたい。
【0214】
この特殊な場合では、非常に短い持続時間にわたって超音波スラストが生成されるということにより、組織の粘弾性は、組織が刺激に対する機械的応答を生成することを可能にしない。
【0215】
図5Aでは、示された範囲内での振幅が高い場合、キャビテーションの現象48’が一意に観察される、すなわち、微小気泡の生成が心臓組織に対して機械的影響を及ぼす。
図4では、キャビテーションの現象を表す曲線48、48’がパルスの振幅A1、A1’のレベルに依存することが観察され得る。実際、曲線48と48’を比較することによって、
図4の右側でのキャビテーションの現象48’は、
図4の左側で表されるような振幅A
1よりもパルスの振幅A1’が大きいとき、より重要である。
【0216】
図5Aは、グラフ54において、パルスの振幅のレベルが閾値A
destruを上回るとき集束ビームの印加中またはその後に機械的損傷が生じる確率PROB_DMを表す曲線55を表す。この確率PROB_DMは、
図5Aおよび
図5Bの曲線55で示されるように、集束ビームの振幅の増加とともに増加することに留意されたい。組織の損傷は本質的に、この例示的な場合では、慣性キャビテーションの現象に結び付けられる:微小気泡が爆発または蒸発し、心臓組織内で病変を作り出す。この現象は、次いで、機械的損傷を伴う。非常に短い期間にわたってビームを印加しても、集束ゾーン内の組織の温度の上昇は可能にならない。
【0217】
図5に表される、機械的損傷55が最小または無視できるほどですらある、集束ビームの振幅の範囲PAが存在する。有利な場合が
図5Bに示されており、
図5では、機械的損傷55は非常に低いレベルに維持される。
【0218】
振幅が振幅閾値A
destruよりも小さい集束ビームの生成によって、慣性キャビテーションの現象42に結び付けられた機械的損傷を制限することが可能になる。
【0219】
この第2の特殊な場合では、本発明のプロセスは、慣性キャビテーションの破壊現象(この現象は機械的損傷を引き起こすことができる)を回避することを可能にする値の範囲内に振幅があるいわゆる「短い」パルスを生成することを可能にする。したがって、この短いパルスは、それを超えると心臓組織の熱的損傷が生じ得る持続時間よりも短い持続時間を有する。
【0220】
第2の特殊な場合に結び付けられた利点は、キャビテーションが1つまたはいくつかの標的ゾーンに適用されると、キャビテーションの現象が心室または心耳の全体的脱分極につながり得ることである。この第2の特殊な場合は、たとえば
図5Bの右側に表されるなどのパルスを用いて、損傷を引き起こすことなく心臓を電気的に刺激することを可能にする。したがって、パルスの持続時間および振幅はモニタされ、心臓の刺激のために1つまたは複数の集束ビームを定義するように構成される。
【0221】
すべての実施形態において、標的ゾーンZ
Cまたはそのすぐ近くでの組織変形および温度の測定は、単一のイメージングシステムによって実行され得る。上記で規定したように、一実施形態によれば、前記イメージングシステムはMRIイメージングシステムであってよい。別の実施形態によれば、たとえばMRIイメージングシステムおよび超音波イメージングシステムなどの機器の2つの異なるアイテムが、集束ゾーン内またはその近くでの温度および変形を決定するために組み合わされてよい。
【0222】
組織に生じ得る熱的損傷は、たとえば、高熱タイプまたは凝固タイプである。
【0223】
機械的損傷は、キャビテーションの現象によって誘発されるとき、たとえば、以下であり得る。揮発、蒸発、または気泡の破裂が、組織内で病変を引き起こす。
【0224】
図6Aは、持続時間D
4のパルスの列を含む標的ゾーン内に印加される第1の集束ビーム50を表す。
【0225】
この実施形態によれば、パルスの振幅A
4は、機械的損傷および熱的損傷を制限しながら標的ゾーンZ
Cを刺激するように、値の範囲[1ms−50ms]に含まれる持続時間D
4に対する値の範囲[2MPa;8MPa]に含まれる。したがって、心室または心耳の再分極を誘発可能な電気活動の生成は、組織に適用される超音波スラストに結び付けられ、組織は収縮する。
【0226】
図6Bは、持続時間D
4のパルスの列を含む標的ゾーン内に印加される第2の集束ビーム51を表す。
【0227】
この実施形態によれば、パルスの振幅A
4は、機械的損傷および熱的損傷を制限しながら標的ゾーンZ
Cを刺激するように、値の範囲[50μs−1ms]に含まれる持続時間D
4に対する値の範囲[8MPa;12MPa]に含まれる。この場合、心室または心耳の再分極を誘発することが可能な電気活動の生成は、したがって、微小気泡によって組織が収縮することが可能になるキャビテーションの現象に結び付けられる。
【0228】
実行された試験によれば、以下の構成によって、事例の90%で心臓の組織の刺激で終わることが可能になった。これらの試験では、各刺激は、集束ゾーン内および/またはその近くでいかなる熱的損傷または機械的損傷も引き起こさなかった:
− 第1の構成は、1msのパルス持続時間に対して、音響信号の正の振幅が6MPaである集束ゾーン内での圧力レベルを生成することを可能にし、音響信号の対応する負の振幅は4MPaであった。パルスの音圧および持続時間の数値は、この例では、公称値から10%変動し得る。
− 第2の構成は、50μから1msのパルス持続時間に対して、音響信号の正の振幅が10MPaである集束ゾーン内での圧力レベルを生成することを可能にし、音響信号の対応する負の振幅は6MPaであった。音圧の数値は、この例では、公称値から10%変動し得る。
【0229】
超音波造影剤が使用されるとき、音圧閾値の低下は、集束ゾーン内での集束信号のパワーの減少によって得られ得る。数百MPaから数MPaの低下は、以下のものに応じて取得され得る:
− 造影剤の投与のモード
− その量
− 患者の生理学的データ、または
− 造影剤の投与後にビームが生成される期間。
【0230】
心臓刺激の適用
本発明によるプロセスは、心臓刺激を必要とするさまざまな適用例により使用されてよい。
【0231】
さらに、心臓刺激方法は、治療適用以外の目的に適用され得る。一例として、心臓刺激方法は、心臓の領域内での組織変形を分析することによって、この領域を電気的にマッピングするために適用されてよい。別の適用例は、心臓の領域内のキャビテーションの現象の分析に関する。他の適用例も可能である。
【0232】
第1の適用例は、心臓再同期に関する。その場合、超音波信号のビームの各パルスはECGの調律と同期され、各パルスは、心室または心耳の脱分極の開始と再分極の終了との間に生成される。
【0233】
左心室と右心室を再同期させることが求められるとき、第1の実施形態は、関係する心室の再分極中に心室の標的ゾーン内での少なくとも1つの集束ビームのパラメータ化と、2つの心室の脱同期オフセットを考慮することとを含む。したがって、刺激は、電気活動を生成し、それによって2つの心室間で同期された新しいQRS複合体を発生させ得る。
【0234】
第2の実施形態は、少なくとも心室の各々において集束ビームを発生させるためにフェーズドアレイのパラメータ化を含む。この場合、2つのビームが2つの心室の再分極中に生成されるが、心室の脱同期を補償する持続時間によって分離される。
【0235】
心耳の再同期の同じプロセスは、心耳の再分極の期間中に1つまたはいくつかの集束ビームを生成することによって適用され得る。
【0236】
心室または心耳の再同期を引き起こす心臓の刺激は、
図4から
図6Bで説明された2つの特殊な場合のうちの1つにおいて定義されるような1つまたは複数のパルスによって生成され得る。
【0237】
本発明の刺激方法は、心室または心耳の恒久的な再同期を保証するためにパルスを生成する心臓に固定された電極またはプローブの留置をシミュレートすることを可能にする。本適用例は特に、心臓の表面に固定されるインプラントプローブを受け入れることが可能な心臓のゾーンの検出のために有利である。インプラントプローブは特に、同様に皮膚下にインプラントされた構成要素からパルスを生成するために心室脱同期または心耳脱同期の検出に役立つ。現在のインプラント型デバイスの識別されている問題は、プローブが不応答ゾーン上に固定されることがあることである。
【0238】
したがって、本発明の刺激方法は、ゾーンを最終的に設定する前に、刺激に反応するゾーンを選択することを可能にする。
【0239】
本発明のプロセスの適用は、たとえば心臓再同期後に心臓が適切に機能することをモニタすることを可能にする。この目的のために、イメージングシステム、たとえばMRIは、たとえば心臓によって駆出される血液の割合を測定することによって、心機能の改善を測定することを可能にする。
【0240】
刺激プロセスの第2の適用例は、心耳細動または心室細動の生成に関する。集束ビームの各パルスは、特にT波の生成の瞬間に心臓組織が分極される期間にわたって同期される。細動を引き起こす刺激は、
図4から
図6Bで説明された2つの特殊な場合のうちの1つにおいて定義されるように、1つまたは複数のパルスによって生成され得る。
【0241】
第3の適用例は、心臓不整脈を生成する心臓の1つまたは複数の特定のゾーンの検出に関する。不整脈が形成されると、不整脈が出現する時間をECG上で位置特定することが可能であり、この時間はT
Fと示される。次いで、各パルスが、ECG上で決定された識別された時間T
Fと同期される。次いで、刺激方法が心臓の異なるゾーンにおいて実行される。集束ビームの生成の結果として生じる電気的応答の分析によって、標的ゾーンが、期外収縮を生成するゾーンに相当するかどうかを決定することが可能である。段階的に、異なる標的ゾーン内での異なる刺激の適用によって、期外収縮を生成するゾーンを識別することが可能である。ECGの分析によって、逆調節(deregulation)が明らかになり、刺激されたゾーンが不整脈を引き起こすことを確認することを電気的に可能にし得る。期外収縮を生成するゾーンの検出を可能にする刺激は、組織の熱的損傷および機械的損傷を監視し、避けるように、
図4から
図6Bで説明される2つの特殊な場合のうちの1つにおいて定義されたような1つまたは複数のパルスによって生成され得る。
【0242】
第4の適用例は、心臓の1つまたは複数の電気的に不応答なゾーンの検出に関する。たとえば、本発明の刺激方法は、アブレーションされた部分、熱傷した部分、もしくは壊死した部分が不応答ゾーンであることを確認するために、または不応答ゾーンが正確にもはや存在しないことを確認するために、心臓のゾーンのアブレーションの後適用され得る。たとえば電気カテーテルによる電気的応答の分析は、局所的に電気活動を推論することを可能にする。パルスの持続時間が1msを上回るとき、これは第1の特殊な場合のパルスに相当するが、組織の変形と電気活動との間の対応表が使用されてよい。この後者の場合、電気カテーテルは、MRIなどの、組織の変位を視覚化することを可能にするイメージングに加えて使用されない限り、必要でない。
【0243】
第5の適用例は、本発明のプロセスによって生成される少なくとも1つの心臓刺激からの心拍周波数の変更の適用例に関する。この適用例は、医学分野では「ペーシング」とも呼ばれる。
【0244】
この場合、プロセスが、心調律の周波数を増加させるために使用され得る。次いで、超音波信号のビームの各パルスが、心調律を集束ビームのパルスと同期させるように、ECG上で決定された周波数と異なる周波数で放出される。
図4から
図6Bに示される2つの特殊な場合のうちの1つは特に、所与の時間期間にわたって連続したパルス列によって使用され得る。この適用例は、心臓マッサージの代理とすることができる。
【0245】
システム−概要
本発明は、前述の適用例のうちの1つのための集束ビームの較正のためのモニタリングプロセスまたは刺激方法を実施することを可能にする、
図1で説明されるシステムなどのシステムに関する。最後に、本発明のシステムはモジュール式であり、本発明の刺激を制御する問題を解決するために異なるやり方で使用されてよいことに留意されたい。
【0246】
第1の構成によれば、MRIを使用するイメージングシステムIMGは、心臓の2D断面または3D断面において画像を生成することを可能にする。標的ゾーンの位置は、画像、特に集束ビームの印加に関する画像の、一部分の生成を制御することのみを可能にし得る。したがって、このゾーンを含む画像スライス上で集束ゾーンを視覚的に監視することが可能である。
【0247】
1つの事例によれば、MRIイメージングシステムは、標的ゾーン内またはその近くで、温度の変動を局所的に決定するように構成され、このモードはMR−Tとして知られている。MRIイメージングシステムは、標的ゾーン内またはその近くで、組織変位の変動を局所的に決定するようにも構成されてよく、このモードはMR−ARFIとして知られている。2つのモードMR−TおよびMR−ARFIは、同じ適用例において構成されるように互換性を持つ。
【0248】
別の事例によれば、温度モニタリングが、前述のようにMRIイメージングシステムを使用して実行され、組織変形のモニタリングが、たとえば、心臓へと導入され局所的な圧力を測定するカテーテルによって実行される。組織変形は、超音波イメージングシステムからも推論され得る。
【0249】
位置決めシステムは、画像上のポイントの定義から、標的位置の心臓の基準フレーム内の座標の決定によって、設計され得る。次いで、標的ゾーンのこの位置は、集束ビームの生成のためにフェーズドアレイRES_USに送られ、それによって、この位置に対して、集束ビームが動的および自動的に制御される。
【0250】
一実施形態によれば、システムは、たとえば先に詳述された超音波デバイスによってキャビテーションのレベルを測定するためのデバイスSYS_CAVを備える。
【0251】
一構成によれば、ECGは、たとえば患者の上に位置決めされた電極を使用して獲得される。ECGは、心周波数を再現することを可能にする他の任意の知られている手段によっても獲得され得る。
【0252】
心臓の電気活動を獲得するための単一システムは、本発明のプロセスによって生成される刺激によるECGおよび電気的応答を決定するために使用され得る。
【0253】
携帯心臓刺激デバイス
最後に、特定のモードは、
図4から
図6Bに示される2つの特殊な場合で説明される構成などの信号の所定の構成を備える携帯デバイスに関する。このデバイスは、
図7に示されている。このデバイスは、超音波信号の発生器RES_USを備え、この発生器は、集束ビームを形成する単一の信号または複数の信号を生成することができる。ビームが単一信号のみからなる場合、ビームは集束されることに留意されたい。ビームは、放出器から特定の距離のところに焦点を合わせるように事前構成される。
図1に示される発生器RES_USに留意されたいが、この実施形態では、超音波信号の発生器は必ずしもフェーズドアレイでない。一実施形態によれば、複数の焦点距離は、異なる構成、たとえば2から20cmの間に含まれる異なる距離を定義し得る。
【0254】
デバイスは、少なくとも心拍周波数を決定するために電気的手段SYS_ELEC_1を備える。改善された一実施形態によれば、電気的手段SYS_ELEC_1によって、完全なECGを決定することが可能になる。
【0255】
デバイスは、皮膚の表面に固定されるように設計される。患者の大きさに応じて、焦点距離がオペレータによって決定される。デバイスは、所与の特殊な場合によりビームをアクティブ化するための手段を備え、ビーム生成は、決定されると、心周波数およびECGと同期される。心周波数が一意に使用されるとき、心臓組織の再分極の瞬間が、心室および/または心耳の再分極に対応する時間窓を評価することを可能にするデバイスのコンピュータから計算される。心周波数が利用できないとき、これは心停止に相当するが、デバイスは、心周波数またはECGと同期せず、集束ビームの生成を可能にする。
【0256】
一実施形態によれば、ビームのさまざまな事前構成がデバイス内に存在する。
【0257】
例示的な一実施形態では、第1の特殊な場合に相当する3ビーム構成を備える第1の実施形態が存在する(特殊な場合6Aに相当する、いわゆる長いパルス、いわゆる小さい振幅)。
【0258】
第1の構成はパルスの放出を備え、第2の構成は3つのパルスの放出を備え、第3の構成は6つのパルスの放出を備える。
【0259】
第2の特殊な場合に相当する3ビーム構成を備える第2の実施形態では(特殊な場合6Bに相当する、いわゆる短いパルス、いわゆる大きい振幅)。
【0260】
第1の構成は1つのパルスの放出を備え、第2の構成は3つのパルスの放出を備え、第3の構成は6つのパルスの放出を備える。
【0261】
本発明のデバイスは、センサをさらに備え、心臓の機械的収縮が存在することを検出することを可能にする。
【0262】
一例として、血圧センサは、心臓の収縮が起こったことを検出することを可能にする。このセンサは、心臓パルスを測定するために手首に位置決めされてもよいし、心拍の存在を検出するために胸部に位置決めされてもよい。
【0263】
したがって、本発明は、緊急事態で使用され得る事前構成された携帯デバイスに関する。たとえば、これは、緊急サービス車両に搭載されて搬送されてもよいし、心事故が誰かに起こり得るエリア内に設置されてもよい。
【0264】
この搭載デバイスは、その大きさを制限することが望まれるとき、必ずしもイメージングシステムを備えない。イメージングシステムは、デバイスの製造中の信号の事前構成中に使用され得る。