特許第6817247号(P6817247)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ロッキード マーティン コーポレイションの特許一覧

<>
  • 特許6817247-無線ファスナグリップゲージ 図000002
  • 特許6817247-無線ファスナグリップゲージ 図000003
  • 特許6817247-無線ファスナグリップゲージ 図000004
  • 特許6817247-無線ファスナグリップゲージ 図000005
  • 特許6817247-無線ファスナグリップゲージ 図000006
  • 特許6817247-無線ファスナグリップゲージ 図000007
  • 特許6817247-無線ファスナグリップゲージ 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6817247
(24)【登録日】2020年12月28日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】無線ファスナグリップゲージ
(51)【国際特許分類】
   G01B 5/02 20060101AFI20210107BHJP
【FI】
   G01B5/02
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-63541(P2018-63541)
(22)【出願日】2018年3月29日
(65)【公開番号】特開2018-185295(P2018-185295A)
(43)【公開日】2018年11月22日
【審査請求日】2020年6月26日
(31)【優先権主張番号】15/472,784
(32)【優先日】2017年3月29日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504019881
【氏名又は名称】ロッキード マーティン コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】LOCKHEED MARTIN CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100171675
【弁理士】
【氏名又は名称】丹澤 一成
(72)【発明者】
【氏名】タイラー マーティン ラップ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ マイケル ホヴァネツ
【審査官】 九鬼 一慶
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2006/0002782(US,A1)
【文献】 米国特許第04892449(US,A)
【文献】 米国特許第02439531(US,A)
【文献】 米国特許第07070375(US,B2)
【文献】 米国特許第05095638(US,A)
【文献】 実開昭59−103203(JP,U)
【文献】 実開平05−066506(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品の開口部に挿入されるように構成された第1の端部を含むピンと、
前記ピンの第2の端部に近接して取り付けられたハウジングと、
前記ピンに摺動可能に係合し、前記ピンが前記部品の前記開口部に挿入された時に前記部品の第1の表面に接触するように構成された停止部と、
前記停止部を前記ハウジングに結合し、前記ピンが前記部品の前記開口部に挿入された時に前記停止部が前記部品の第1の表面に接触すると縮むように構成されたばねと、
前記ピンの前記第1の端部に近接して位置し、前記ピンの挿入中における第1の格納状態と、前記ピンの前記第1の端部が前記部品の前記開口部を通過した時の第2の伸長状態との間で移行するように構成されるとともに、前記第2の伸長状態の時に前記部品の第2の表面に接触するように構成された1又は2以上のフランジと、
前記ピンの軸と実質的に整列する軸を有するように前記ピンに結合された線形変位計測装置と、
前記線形変位計測装置に通信可能に結合され、前記ハウジング内に位置して、前記部品の前記開口部内で使用するファスナのグリップ長を示す値を受信機に通信するように構成された送信機と、
ボタンであって、ユーザが前記ボタンを押すことに応じて、前記1又は2以上のフランジを、第1の格納状態と、第2の伸長状態との間で移行させ、さらに、ユーザが前記ボタンを再度押すことに応じて、前記1又は2以上のフランジを、前記第2の伸長状態と、前記第1の格納状態と同じ状態である第3の格納状態との間で移行させるボタンと、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記線形変位計測装置は、
シリンダと、
前記停止部に結合された第1の端部と前記シリンダに結合された第2の端部とを有して前記シリンダに摺動可能に係合するロッドと、
前記ピンが前記開口部に挿入されたことに応答して前記ロッドが移動した距離を計測するように構成された回路と、
を含み、前記ロッドが移動した前記距離は、前記部品の前記開口部内で使用する前記ファスナの前記グリップ長に相当する、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記1又は2以上のフランジは、1又は2以上のヒンジを用いて前記ピンの外側に取り付けられる、
請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記1又は2以上のフランジは、前記第1の格納状態の時に前記ピンの内部に位置し、
前記1又は2以上のフランジは、前記第2の伸長状態の時に、前記フランジが前記部品の前記第2の表面に接触できるように前記ピンの前記軸に対して垂直に延びるように構成され、
前記装置は、前記1又は2以上のフランジを前記第1の格納状態と前記第2の伸長状態との間で移行させる機構を備える、
請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記送信機が前記部品の前記開口部の前記グリップ長を前記受信機に通信する時点を決定するように構成されたタイマを、さらに備える、
請求項1に記載の装置。
【請求項6】
グリップゲージのピンの第1の端部を部品の開口部に挿入するステップと、
前記グリップゲージの前記ピンに結合された計測装置を用いて行われる計測に基づいて、前記部品の前記開口部内で使用するファスナのグリップ長を求めるステップであって、
前記グリップゲージは、
前記部品の前記開口部に挿入されるように構成された第1の端部を含むピンと、
前記ピンに摺動可能に係合し、前記ピンが前記部品の前記開口部に挿入された時に前記部品の第1の表面に接触するように構成された停止部と、
前記停止部を前記ピンの第2の端部に近接して取り付けられたハウジングに結合するばねと、
前記ピンの前記第1の端部に近接して位置し、前記部品の第2の表面に接触するように構成された1又は2以上のフランジと、
記計測装置に通信可能に結合され、前記求められたグリップ長を示す前記値を受信機に送信するように構成された送信機と、
ユーザからの入力に応じて、前記1又は2以上のフランジを、第1の格納状態と、第2の伸長状態との間で移行させ、さらに、ユーザからのさらなる入力に応じて、前記1又は2以上のフランジを、前記第2の伸長状態と、前記第1の格納状態と同じ状態である第3の格納状態との間で移行させる機構を備える、ステップと、
前記求められたグリップ長を示す値を受信機に送信するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
前記求められたグリップ長を示す前記値を前記受信機に送信するステップは、前記求められたグリップ長を示す前記値を前記受信機に無線で送信するステップを含む、
請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記計測装置は、線形変位計測装置を含み、該線形変位計測装置は、
シリンダと、
前記停止部に結合された第1の端部と前記シリンダに結合された第2の端部とを有して前記シリンダに摺動可能に係合するロッドと、
を含み、前記方法は、前記ピンが前記開口部に挿入されたことに応答して前記ロッドが移動した距離を計測するステップを含み、前記ロッドが移動した前記距離は、前記グリップ長に相当する、
請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記1又は2以上のフランジは、1又は2以上のヒンジを用いて前記ピンの外側に取り付けられる、
請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記1又は2以上のフランジは、前記第1の格納状態の時に前記ピンの内部に位置し、
前記1又は2以上のフランジは、前記第2の伸長状態の時に、前記フランジが前記部品の前記第2の表面に接触できるように前記ピンに対して垂直に延びるように構成される、
請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記計測装置は、前記送信機が前記部品の前記開口部の前記グリップ長を前記受信機に通信する時点を決定するように構成されたタイマを、さらに備える、
請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に計測ツールに関し、具体的には、無線ファスナグリップゲージに関する。
【背景技術】
【0002】
航空機及びその他の車両の製造では、しばしばファスナを用いて数多くの部品を組み立てることが必要になる。部品が確実に正しく締まるようにするには、取り付けたファスナが適切なグリップ長を有することが重要である。部品が正しく締まっていなければ、間隙又は力の集中域が生じて破砕を引き起こす恐れがある。このことは、特に航空機又はその他の車両の組み立てにおいて厳しい公差を満たす必要がある時に問題となり得る。既存の方法にはいくつかの不備がある。例えば、既存のグリップ長計測法は手動であり、精度にも問題がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の実施形態によれば、従来のグリップ長計測法に関連する不利点及び問題点を低減又は排除することができる。
【0004】
ある実施形態例によれば、装置が開示される。この装置は、ピンと、ハウジングと、停止部と、ばねと、1又は2以上のフランジと、線形変位計測装置と、送信機とを含む。ピンは、部品の開口部に挿入されるように構成された第1の端部を含む。ハウジングは、ピンの第2の端部に近接して取り付けられる。停止部は、ピンに摺動可能に係合し、ピンが部品の開口部に挿入された時に部品の第1の表面に接触するように構成される。ばねは、停止部をハウジングに結合する。ばねは、ピンが部品の開口部に挿入された時に停止部が部品の第1の表面に接触すると縮むように構成される。1又は2以上のフランジは、ピンの第1の端部に近接して位置する。1又は2以上のフランジは、ピンの挿入中における第1の格納状態と、ピンの第1の端部が部品の開口部を通過した時の第2の伸長状態との間で移行するように構成される。1又は2以上のフランジは、第2の伸長状態の時に、部品の第2の表面に接触するように構成される。線形変位計測装置は、その軸がピンの軸と実質的に整列するようにピンに結合される。送信機は、線形変位計測装置に通信可能に結合される。送信機は、ハウジング内に位置して、部品の開口部内で使用するファスナのグリップ長を示す値を受信機に通信するように構成される。
【0005】
別の実施形態例によれば、装置が開示される。この装置は、ピンと、停止部と、ばねと、1又は2以上のフランジと、計測装置と、送信機とを含む。ピンは、部品の開口部に挿入されるように構成された第1の端部を含む。停止部は、ピンに摺動可能に係合し、ピンが部品の開口部に挿入された時に部品の第1の表面に接触するように構成される。ばねは、停止部をハウジングに結合する。1又は2以上のフランジは、ピンの第1の端部に近接して位置する。1又は2以上のフランジは、部品の第2の表面に接触するように構成される。計測装置は、ピンに結合される。送信機は、計測装置に通信可能に結合される。
【0006】
別の実施形態例によれば、方法が開示される。この方法は、グリップゲージのピンの第1の端部を部品の開口部に挿入するステップを含む。この方法は、グリップゲージのピンに結合された計測装置を用いて行われる計測に基づいて、部品の開口部内で使用するファスナのグリップ長を求めるステップを含む。この方法は、求められたグリップ長を示す値を受信機に送信するステップを含む。
【0007】
いくつかの実施形態は、1又は2以上の技術的利点を有することができる。例えば、いくつかの実施形態は、オペレータ間のばらつきに起因する計測の主観性を低減し、装置を操作するのに必要なオペレータの動作回数を抑えるという利点を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、オペレータがピンを挿入するだけでよい。ゲージは、部品を計測して単独でデータを送信できることにより、オペレータがピンを開口部から開口部に単純に動かせばよいという利点を有することができる。当業者には、他の利点も容易に明らかになると考えられる。実施形態によっては、列挙した利点を全く有していないものも、一部又は全部を有することができるものもある。
【0008】
以下、開示する実施形態、並びにその特徴及び利点をさらに完全に理解できるように、添付図面と併せて以下の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】いくつかの実施形態による装置例を示す図である。
図2】いくつかの実施形態による図1の装置例の別のビューを示す図である。
図3】いくつかの実施形態による、第1の動作段階中の図1の装置例を示す図である。
図4】いくつかの実施形態による、第2の動作段階中の図1の装置例を示す図である。
図5】いくつかの実施形態による、第3の動作段階中の図1の装置例を示す図である。
図6】いくつかの実施形態による、図1の装置例を使用するシステムの概略図である。
図7】いくつかの実施形態による、図1の装置例の利用方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
上述したように、航空機及びその他の車両又は機械の製造工程中には、部品が正しく締まっていることを確実にするために、ドリルで開けた開口部に取り付けられたファスナが適切なグリップ長を有することが重要である。部品が正しく締まっていなければ間隙が生じ、又は力の集中域によって破砕が引き起こされる恐れがある。既存のグリップ長計測法は手動であり、精度にも問題がある。
【0011】
1つの既存の方法は、例えばフックとスライダとで構成された手動ツールである。オペレータは、開口部の裏面にゲージを引っ掛けて、部品の表面までスライダを摺動させる。(オペレータによって読み取られる)スライダの前端部の位置が、必要な長さを示す。別の既存の方法は、スライダに取り付けられたデプスゲージから成る。オペレータは、スライダ機構を引いてフックを露わにする。その後、オペレータは、フックを開口部の裏面に配置し、フックを部品にクランプするためにスライド機構を押して閉じる。
【0012】
上記の方法は、いくつかの不備を伴う。例えば、第1の解決策は完全な手動方法であり、特に各値の範囲の境界にオペレータによるばらつき及び誤った解釈を生じやすい。また、フック留めの動作がゲージの中心ずれ又は表面に対する非垂直性を引き起こすことによって、計測を歪ませてしまう可能性がある。上述した第2の既存の方法は、動作するためにオペレータからの複数の動作及び入力を必要とし、人間工学的設計に乏しいことによって操作が非常に面倒である。第1の方法と同様に、フック留めの動作がゲージの中心ずれ又は表面に対する非垂直性を引き起こすことによって、計測を歪ませてしまう可能性がある。従って、ファスナの必要なグリップ長を計測するための改善された装置、システム及び方法が必要とされている。
【0013】
本開示は、既存の方法に伴うこれらの及びその他の不備に対処することができる様々な実施形態を検討する。1つの実施形態例によれば、装置が開示される。この装置は、ピンと、ハウジングと、停止部と、ばねと、1又は2以上のフランジと、線形変位計測装置と、送信機とを含む。ピンは、部品の開口部に挿入されるように構成された第1の端部を含む。ハウジングは、ピンの第2の端部に近接して取り付けられる。停止部は、ピンに摺動可能に係合し、ピンが部品の開口部に挿入された時に部品の第1の表面に接触するように構成される。ばねは、停止部をハウジングに結合する。ばねは、ピンが部品の開口部に挿入された時に停止部が部品の第1の表面に接触すると縮むように構成される。1又は2以上のフランジは、ピンの第1の端部に近接して位置する。1又は2以上のフランジは、ピンの挿入中における第1の格納状態と、ピンの第1の端部が部品の開口部を通過した時の第2の伸長状態との間で移行するように構成される。1又は2以上のフランジは、第2の伸長状態の時に、部品の第2の表面に接触するように構成される。線形変位計測装置は、その軸がピンの軸と実質的に整列するようにピンに結合される。送信機は、線形変位計測装置に通信可能に結合される。送信機は、ハウジング内に位置して、部品の開口部内で使用するファスナのグリップ長を示す値を受信機に通信するように構成される。
【0014】
別の実施形態例によれば、装置が開示される。この装置は、ピンと、停止部と、ばねと、1又は2以上のフランジと、計測装置と、送信機とを含む。ピンは、部品の開口部に挿入されるように構成された第1の端部を含む。停止部は、ピンに摺動可能に係合し、ピンが部品の開口部に挿入された時に部品の第1の表面に接触するように構成される。ばねは、停止部をハウジングに結合する。1又は2以上のフランジは、ピンの第1の端部に近接して位置する。1又は2以上のフランジは、部品の第2の表面に接触するように構成される。計測装置は、ピンに結合される。送信機は、計測装置に通信可能に結合される。
【0015】
別の実施形態例によれば、方法が開示される。この方法は、グリップゲージのピンの第1の端部を部品の開口部に挿入するステップを含む。この方法は、グリップゲージのピンに結合された計測装置を用いて行われる計測に基づいて、部品の開口部内で使用するファスナのグリップ長を求めるステップを含む。この方法は、求められたグリップ長を受信機に送信するステップを含む。
【0016】
いくつかの実施形態は、1又は2以上の技術的利点を有することができる。例えば、いくつかの実施形態は、オペレータ間のばらつきに起因する計測の主観性を低減し、装置を操作するのに必要なオペレータの動作回数を抑えるという利点を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、オペレータがピンを挿入するだけでよく、その後は、ばね−フランジ機構と(いくつかの実施形態ではタイマを含むことができる)線形変位計測装置とに起因して、装置が部品を計測して単独でデータを送信することにより、オペレータは、ピンを開口部から開口部に単純に動かせばよい。当業者には、他の利点も容易に明らかになると考えられる。実施形態によっては、列挙した利点を全く有していないものも、一部又は全部を有することができるものもある。
【0017】
図1に、いくつかの実施形態による装置例100を示す。装置100は、ピン105と、ハウジング110と、停止部115と、ばね120と、1又は2以上のフランジ125と、計測装置130とを含む。
【0018】
ピン105は、第1の端部135及び第2の端部140を有する。第1の端部135は、ファスナの使用が意図される部品の開口部に挿入されるように構成される。第2の端部140は、ハウジング110に結合される。いくつかの実施形態では、ピン105をハウジング110に取り外し可能に結合することができる。
【0019】
ピン105は、いずれかの好適な形状及び寸法を有することができ、ピン105の形状及び寸法は、装置100の異なる実装に従って変化することができる。例えば、いくつかの実施形態では、ピン105が、計測する開口部の特定の直径に合わせたサイズを有する。別の例として、いくつかの実施形態では、ピン105を、異なるサイズの開口部と共に使用されるように設計することができ、ピン105の直径を、ピン105と共に使用できる最も小さな開口部の直径よりもわずかに小さくすることができる。いくつかの実施形態では、ピン105が、挿入先の開口部の形状及び寸法に対応する形状及び寸法を有することができる。これにより、ピン105を部品の開口部の内外に移動させる際のピンの動きを有利に制限することができ、これによってオペレータ間におけるピン105の移動量のばらつきに起因する計測差を防ぐことができる。ピン105は、あらゆる好適な材料によって形成することができる。具体例として、ピン105は、金属(例えば、アルミニウム)、ゴム、プラスチック(例えば、デルリン(登録商標))、他のいずれかの好適な材料、又はいずれかの好適な材料の組み合わせによって形成することができる。
【0020】
ピン105には、停止部115が摺動可能に係合する。停止部115は、ばね120及び計測装置130に結合される。停止部115は、ピン105を部品の開口部に挿入した時に部品の第1の表面に接触するように構成される。停止部115は、あらゆる好適な寸法を有することができ、あらゆる好適な材料で形成することができる。停止部115を形成する寸法及び材料は、装置100の異なる実装に従って変化することができる。具体例として、停止部115は、ゴムで形成することができる。
【0021】
ばね120は、停止部115をハウジング110に結合する。ばね120は、その静止状態において伸長する。いくつかの実施形態では、ばね120が、その静止状態において、停止部115がピン105の第1の端部135と実質的に同じ位置に配置されるように伸長することができる。換言すれば、ばね120は、その静止位置にある時に、ピン105と実質的に同様の長さを有することができる。ばね120は、ピン105を部品の開口部に挿入した時に停止部115が部品の第1の表面に接触すると縮むように構成される。
【0022】
ピン105の第1の端部135に近接して、1又は2以上のフランジ125が配置される。1又は2以上のフランジ125は、ピンの挿入中における第1の格納状態と、ピン105の第1の端部135が部品の開口部を通過した時の第2の伸長状態との間で移行するように構成される。以下でさらに詳細に説明するように、1又は2以上のフランジ125は、第2の伸長状態の時に部品の第2の表面に接触するように構成される。いくつかの実施形態では、1又は2以上のフランジ125が、1又は2以上のヒンジを用いてピン105の外側に取り付けられる。いくつかの実施形態では、これらのヒンジを双方向ばね付勢ヒンジとすることができる。
【0023】
いくつかの実施形態では、1又は2以上のフランジ125が、第1の格納状態の時にピン105の内部に位置する。このようなシナリオでは、1又は2以上のフランジ125を、第2の伸長状態の時に部品の第2の表面に接触できるように、ピン105の軸190に対して実質的に垂直に延びるように構成することができる。以下で図2に関連してさらに詳細に説明するように、いくつかの実施形態では、装置100が、1又は2以上のフランジ125を第1の格納状態と第2の伸長状態との間で移行させる機構をさらに含むことができる。
【0024】
計測装置130は、部品の開口部内で使用するファスナのグリップ長を求めるいずれかの好適な計測装置とすることができる。例えば、いくつかの実施形態では、計測装置130を線形変位計測装置とすることができる。別の例として、いくつかの実施形態では、計測装置130を容量式変位センサとすることができる。本明細書で使用するファスナのグリップ長とは、ファスナの頭部からねじ山の開始位置までの長さを意味する。いくつかの実施形態では、部品の開口部の深さに少なくとも部分的に基づいてグリップ長を求めることができる。いくつかの実施形態では、グリップ長が、部品の第1の表面から開口部を通じて部品の第2の表面に至るまでの距離を計測してスタック厚値を取得することに由来することができる。このスタック厚値のさらなる精緻化を行って、グリップ長を取得することができる。いくつかの実施形態では、この精緻化を、計測装置130(例えば、回路175)に関連するソフトウェア、処理回路145、又は装置110から受け取られたデータに作用する別の要素(例えば、以下で図6に関連して説明する受信ユニット605)によって行うことができる。
【0025】
図1の実施形態例では、計測装置130が線形変位計測装置である。線形変位計測装置130は、シリンダ165と、ロッド170と、回路175とを含む。ロッド170は、停止部115に結合された第1の端部180と、シリンダ165に結合された第2の端部185とを有する。ロッド170は、シリンダ165に摺動可能に係合する。いくつかの実施形態では、線形変位計測装置(又は、より一般的には計測装置130)を、計測装置130の軸195がピン105の軸190と平行になるように配向することができる。
【0026】
回路175は、部品の開口部にピン105が挿入されたことに応答してロッド170が移動した距離を計測するように構成される。回路175は、ロッド170がシリンダ165に対して移動した距離を、部品の開口部内で使用するファスナのグリップ長の計測値に変換するように構成することができる。
【0027】
ピン105の第2の端部140に近接して、ハウジング110が取り付けられる。ハウジング110は、あらゆる好適な材料によって形成することができ、あらゆる好適な形状を有することができる。例えば、ハウジング110は、金属、プラスチック、他のいずれかの好適な材料、又はいずれかの好適な材料の組み合わせによって形成することができる。ハウジング110は、あらゆる好適な構成要素を含むことができる。図1の実施形態例では、ハウジング110が、処理回路145と、送信機150と、受信機155と、1又は2以上のメモリデバイス160とを含む。いくつかの例では、送信機150が無線である。いくつかの実施形態では、送信機150の機能と受信機155の機能とをトランシーバ内で組み合わせることができる。処理回路145、送信機150、受信機155及び1又は2以上のメモリデバイス160のうちの1つ又は2つ以上は、計測装置130に、或いは図1に示す実施形態例に関してさらに具体的に言えば、線形変位計測装置の回路175に通信可能に結合することができる。送信機150は、部品の開口部内で使用するファスナの求められたグリップ長を示す値を送信するように構成することができる。処理回路145、送信機150、受信機155及び1又は2以上のメモリデバイス160については、以下で図6に関連してさらに詳細に説明する。
【0028】
いくつかの実施形態では、ハウジング110が、図1に示す構成要素以外のさらなる構成要素を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、ハウジング110が、計測の完了時にオペレータに表示を行う表示灯(LED照明など)を含むことができる。別の例として、いくつかの実施形態では、ハウジング110が、ディスプレイ(例えば、デジタル表示装置又は表示灯)を含むことができる。デジタル表示装置は、例えば部品内で使用されるファスナの求められたグリップ長を表示することができる。表示灯は、計測装置130が正常な計測値を取得したかどうかについての表示を行うことができる。
【0029】
図1の例では、ハウジング110内に処理回路145、送信機150、受信機155及び1又は2以上のメモリデバイス160を示しているが、本開示の検討では他の構成も可能である。例えば、いくつかの実施形態では、ピン105を中空とすることができ、上述した処理回路145、送信機150、受信機155、1又は2以上のメモリデバイス160及びさらなる構成要素をピン105の内部に含めることができる。
【0030】
動作時には、装置100を使用するオペレータが、ピン105の第1の端部135を部品の開口部に挿入する。ピン105の第1の端部135が開口部に挿入されると、停止部115が部品の第1の表面に接触する。この動作段階では、1又は2以上のフランジ125は第1の格納状態にある。ピン105は、さらに開口部内に挿入されると、ばね120によって部品の第1の表面に押し付けられたままの停止部115内を摺動する。具体的に言えば、停止部115が部品の第1の表面に接触して静止している間にピン105が移動することによって(停止部115に力を加えて部品の第1の表面との接触を維持させる)ばね120の圧縮が引き起こされる。停止部115が部品の第1の表面に接触して静止している間にピン105が移動すると、ロッド170も計測装置130のシリンダ165内に移動するようになる。
【0031】
ピン105が部品の開口部を通過する時には、1又は2以上のフランジ125は第1の格納状態にある。ピン105の第1の端部135が部品の開口部から抜け出ると、1又は2以上のフランジ125が第2の伸長状態に移行して部品の第2の表面に接触する。この時点で、装置100のオペレータは装置100を解放することができ、ばね120によって加えられる力により、部品の第1の表面における停止部115と部品の第2の表面における1又は2以上のフランジ125との間の圧迫作用に起因して装置100が部品をクランプするようになる。計測装置130(すなわち、図1の実施形態例では線形変位計測装置130)は、ピン105を開口部に挿入した時のシリンダ165に対するロッド170の移動量に基づいて、部品の開口部内で使用するファスナのグリップ長を計測する。
【0032】
いくつかの実施形態では、装置100がタイマを含むことができる。このようなシナリオでは、一定時間が経過して(例えば、タイマが満了して)計測装置130がグリップ長の不変の計測値を読み取った後に、この計測値が(例えば、1又は2以上のメモリデバイス160に)自動的に記録され、(以下で図6に関連してさらに詳細に説明するように)送信機150によって受信機に向けて送信される。いくつかの例では、ディスプレイが、(例えば、計測値のデジタル表示を表示し、又は正常な計測を示す表示灯を点灯させることによって)正常な計測が行われたかどうかを示すこともできる。その後、オペレータは、開口部からピン105を取り出すことができる。ピン105を取り出す際には、1又は2以上のフランジ125を(例えば、ピン105を開口部から引き抜く際に外向きに折り畳むことによって、又はピン105内に格納することによって)第2の伸長状態から第3の格納状態に移行させる。1又は2以上のフランジ125が第1の格納状態においてピン105内に存在するいくつかの実施形態では、第3の格納状態を第1の格納状態と同じ状態にすることができる。
【0033】
図2に、いくつかの実施形態による図1の装置100の別のビューを示す。具体的に言えば、図2には、装置100と、ピン105の第1の端部135の拡大図とを示す。図2の例に示すように、装置100は、フランジ125A及び125Bを含む。上述したように、フランジ125A及び125Bは、ピン105の挿入中における第1の格納状態と、ピン105の第1の端部135が部品の開口部から抜け出した時の第2の伸長状態とを繰り返すように構成することができる。図2の例には、第2の伸長状態のフランジ125A及び125Bを示す。
【0034】
フランジ125は、ピン105にあらゆる好適な形で結合することができる。例えば、いくつかの実施形態では、以下で図3に関連してさらに詳細に説明するように、ヒンジを用いてフランジ125A及び125Bの各々をピン105に結合することができる。別の例として、図2の例に示すように、フランジ125A及び125Bは、第1の格納状態の時にはピン105の内部に位置することができ、第2の伸長状態の時には、部品の第2の表面に接触できるように、ピン105の軸190に対して実質的に垂直に延びるように構成することができる。
【0035】
図2の例では、装置100が、フランジ125A及び125Bを第1の格納状態から第2の伸長状態に、並びに第2の伸長状態から第1の格納状態に移行させる機構205を含む。機構205は、あらゆる好適な機構とすることができる。例えば、機構205は、最初に押された時に1又は2以上のフランジ125を第1の格納状態から第2の伸長状態に移行させるボタンとすることができる。(以下で図5に関連してさらに詳細に説明するような)いくつかの実施形態では、2回目にボタンを押すと、1又は2以上のフランジ125を第1の格納状態と同じ第3の格納状態に移行させることができる。
【0036】
図3に、いくつかの実施形態による第1の動作段階中の装置100を示す。具体的に言えば、図3には、部品305内で使用するファスナのグリップ長を計測する初期段階における装置100のピン105の第1の端部135を示す。部品305は、第1の表面310及び第2の表面315を有する。部品305の開口部320は、部品305を第1の表面310から第2の表面315に貫通する。
【0037】
部品305の開口部320にピン105を挿入して第2の表面315に向かって移動させると、停止部115が第1の表面310に接触する。ピン105は、停止部115に摺動可能に係合しているので、停止部115が第1の表面310に接触したままの間に部品305の開口部320を通じて第2の表面315に向かって移動する。これによってばね120が縮み、停止部115に力が加わって停止部115が第1の表面310に押し付けられるようになる。
【0038】
図3の例に示すように、ピン105が部品305の開口部320を通過している時には、フランジ125は第1の格納状態にある。図3の実施形態例では、フランジ125が、ヒンジ325を使用してピン105に取り付けられ、第1の格納状態ではピン105にぴったりとくっついて、ピン105の軸190と実質的に平行に配向される。上述したように、いくつかの実施形態では、フランジ125が、第1の格納状態の時にピン105の内部に位置することもできる。
【0039】
図4に、いくつかの実施形態による第2の動作段階中の装置100を示す。具体的に言えば、図4には、ピン105の第1の端部135が部品305の開口部320から抜け出た後の装置100を示す。図4の実施形態例に示すように、ピン105が部品305の開口部320を通過すると、フランジ125は、第1の格納状態から第2の伸長状態に移行する。フランジ125は、第2の伸長状態ではピン105の軸190に対して実質的に垂直に延びて部品305の第2の表面315に接触する。
【0040】
上述したように、ピン105が部品305の開口部320を通過する際に停止部115が部品305の第1の表面310に接触すると、ばね120が縮む。フランジ125が第2の伸長状態に入って部品305の第2の表面315に接触すると、ばね115によって加えられる力により、装置100が停止部115とフランジ125との間に部品305をクランプするようになる。この時点で、計測装置130は、部品305の開口部320内で使用するファスナのグリップ長を計測することができる。上述したように、いくつかの実施形態では、計測装置130を線形変位計測装置とすることができる。このようなシナリオでは、計測装置130の回路175が、シリンダ165に対するロッド170の移動量に基づいてグリップ長を求めることができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、計測装置130が、ハウジング110内の処理回路(例えば、図1に関連して上述した処理回路145)に計測情報を送信することができる。処理回路は、送信機155を利用して、開口部320内で使用するファスナのグリップ長の計測値を示す値(例えば、実際の計測値、又はそのいずれかの好適な表示)を別の構成要素(例えば、送信機155と無線通信する受信機)に送信することができる。いくつかの実施形態では、計測装置130が、(例えば、計測装置130に関連するタイマによって測定される)一定期間にわたってグリップ長の一貫した計測値を読み取るまで、グリップ長の計測値を処理回路145に提供するのを待機することができる。この期間は、あらゆる好適な期間とすることができる。例えば、いくつかの実施形態では、この期間を0.5秒とすることができる。いくつかの例では、タイマの満了時に自動的に計測情報を提供することもできる。これには、装置100のオペレータ側のさらなる動作が不要になり得るという利点がある。
【0042】
いくつかの例では、装置100が、グリップ長の計測値を正常に読み取った後に、装置100のオペレータに表示を行うことができる。この表示は、あらゆる好適な形で行うことができる。一例として、この表示は、グリップ長の計測値が正常に取得されたかどうかを示すLED照明とすることができる(例えば、緑色のLED照明が正常な計測を示すことができる)。別の例として、この表示は、グリップ長の計測値が正常に取得された旨を装置100のオペレータに示す可聴信号(例えば、ビープ音)とすることもできる。
【0043】
図5に、いくつかの実施形態による第3の動作段階中の装置100を示す。具体的に言えば、図5には、部品305の開口部320から取り出し中のピン105を示す。図5に示す動作段階は、例えば部品305の開口部320内で使用するファスナのグリップ長の正常な計測値が取得された後に行うことができる。
【0044】
図5の例に示すように、ピン105が部品305の開口部320から抜け出る際には、図示のフランジ125は第3の格納状態にある。図5の実施形態例では、フランジ125が、ヒンジ325を用いてピン105に取り付けられている。ピン105を部品305の開口部320から取り出す際には、フランジ125が第3の格納状態に移行する。第3の格納状態では、フランジ125が、部品305の第2の表面315に向かってピン105の軸190に対して実質的に平行に配向される。これには、ピン105を部品305の開口部320から容易に取り出すことができるという利点がある。
【0045】
いくつかの実施形態では、フランジ125が、第3の格納状態の時にピン105の内部に位置することもできる。オペレータは、図2に関連して上述した第1の格納状態から第2の伸長状態への移行と同様に、上述した機構205などの機構を用いてフランジ125を第2の伸長状態から第3の格納状態に移行させることができる。例えば、機構205がボタンである実施形態では、フランジ125を第2の伸長状態から第3の格納状態に移行させるために、オペレータが2回目のボタンを押すことができる(図2に関連して上述したように、第1の格納状態から第2の伸長状態に移行させるためにボタンを押した時が1回目である)。このようなシナリオでは、第3の格納状態が第1の格納状態と同じになり得る。
【0046】
図6は、いくつかの実施形態による、図1の装置例を使用するシステムの概略図である。システム600は、装置100と受信ユニット605とを含む。装置100は、ハウジング110と計測装置130とを含む。図6の実施形態例では、ハウジング110が、処理回路145と、送信機150と、受信機155と、1又は2以上のメモリデバイス160と、アンテナ610と、ディスプレイ615とを含む。計測装置130は、タイマ620を含む。上述したように、いくつかの実施形態では、送信機150の機能と受信機155の機能とを組み合わせてトランシーバにすることもできる。いくつかの例では、ハウジング110が受信機155を含まないこともある。
【0047】
図6の実施形態例では、計測装置130が、ハウジング110内の処理回路145に通信可能に結合される。図6では、計測装置130の1又は2以上の構成要素をハウジング110の外部に位置するものとして示しているが、いくつかの実施形態では、これらの構成要素をハウジング110に含めることもできる。例えば、いくつかの実施形態では、上述した回路175をハウジング110に含めることができる。また、装置100は、図1図5に関連して上述した装置100の様々な追加要素を含むこともできる。
【0048】
受信ユニット605は、アンテナ615と、処理回路645と、送信機650と、受信機655と、1又は2以上のメモリデバイス660とを含む。いくつかの実施形態では、受信ユニット605が送信機650を含まないこともある。受信ユニット605は、図6に示す要素以外の別の要素を含むこともできる。例えば、いくつかの実施形態では、受信ユニット605が、入力装置(例えば、キーボード、タッチ画面又はその他の好適な入力装置)とディスプレイ装置とを含むことができる。
【0049】
処理回路145は、以下に限定するわけではないが、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、特定用途向け命令セットプロセッサ及び/又は状態機械を含む、計測装置130、送信機150、受信機155(又は、場合によってはトランシーバ)、1又は2以上のメモリデバイス160、ディスプレイ615及びタイマ620のうちの1つ又は2つ以上に通信可能に結合して装置100の1又は2以上の動作を制御するいずれかの電子回路とすることができる。処理回路145は、8ビット、16ビット、32ビット、64ビット、又はその他のいずれかの好適なアーキテクチャとすることができる。処理回路145は、算術演算及び論理演算を実行する算術論理演算ユニット(ALU)と、ALUにオペランドを提供してALU演算の結果を記憶するプロセッサレジスタと、1又は2以上のメモリデバイス160からの命令をフェッチし、ALU、レジスタ及び他の構成要素の協調演算を指示することによってこれらの命令を実行する制御ユニットとを含むことができる。処理回路145は、情報の制御及び処理を行うように動作する他のハードウェア及びソフトウェアを含むこともできる。処理回路145は、1又は2以上のメモリデバイス160に記憶された、本明細書で説明した機能のいずれかを実行するソフトウェアを実行する。処理回路145は、計測装置130、送信機150、受信機155及び1又は2以上のメモリデバイス160が受け取った、又はこれらの構成要素から受け取られた情報を処理することによって、装置100の1又は2以上の動作を制御する。処理回路145は、プログラムマブル論理装置、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、いずれかの好適な処理装置、又はこれらのいずれかの好適な組み合わせとすることができる。処理回路145は、単一の処理装置に限定されず、複数の処理装置を含むこともできる。
【0050】
送信機150及び受信機155(又は、いくつかの実施形態ではトランシーバ)は、装置100から受信ユニット605への無線信号の送信、及び装置100における受信ユニット605からの無線信号の受信をそれぞれ容易にすることができる。送信機150及び受信機155は、それぞれ情報の送信及び受信を行うあらゆる好適な装置とすることができる。いくつかの例では、送信機150及び受信機155が、好適な情報処理の実行、受信ユニット605に加えて他の装置との通信、又はこれらのいずれかの組み合わせを行うことができる。例えば、送信機150は、ファスナのグリップ長の求められた計測値を示す値(例えば、求められた計測値又はそのいずれかの好適な表示)を、受信ユニット605及び/又は他のいずれかの好適な構成要素などのコンピュータ装置に送信することができる。受信機155は、受信ユニット605及び/又は他のいずれかの好適な構成要素からデータを受け取ることができる。送信機150及び受信機155は、LAN、WAN又は他の通信システムを介して通信して装置100が他の構成要素と情報を交換できるようにする、プロトコル変換能力及びデータ処理能力を含むあらゆる好適なハードウェア及び/又はソフトウェアを含むことができる。
【0051】
送信機150は、計測装置130に通信可能に結合することができる。送信機150は、部品の開口部内で使用するファスナの求められたグリップ長を示す値を受信ユニット605に通信するように構成される。
【0052】
1又は2以上のメモリデバイス160は、データ(例えば、求められたグリップ長の計測値)、業務ソフトウェア、又は処理回路145のための他の情報を恒久的に又は一時的に記憶することができる。1又は2以上のメモリデバイス160は、情報を記憶するのに適した揮発性又は不揮発性のローカル装置又は遠隔装置のうちのいずれか1つ又はこれらの組み合わせを含むことができる。例えば、1又は2以上のメモリデバイス160は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、磁気記憶装置、光学記憶装置又は他のいずれかの好適な情報記憶装置、或いはこれらの装置の組み合わせを含むことができる。ソフトウェアは、コンピュータ可読記憶媒体に具体化されるいずれかの好適な命令セット、ロジック又はコードを表す。例えば、ソフトウェアは、メモリ120、ディスク、コンパクトディスク(CD)又はフラッシュドライブに具体化することができる。特定の実施形態では、ソフトウェアが、本明細書で説明した装置100の機能のうちの1つ又は2つ以上を実行するための、処理回路145が実行できるアプリケーションを含むことができる。
【0053】
ディスプレイ615は、あらゆる好適なディスプレイとすることができる。例えば、いくつかの実施形態では、ディスプレイ615を、デジタル表示装置又は表示灯(例えば、LED照明)とすることができる。いくつかの例では、ディスプレイ615が、(例えば、計測値のデジタル表示を表示し、又は正常な計測を示す表示灯を点灯させることによって)正常な計測が行われたかどうかを示すことができる。表示は、あらゆる好適な形で行うことができる。一例として、この表示は、グリップ長の計測値が正常に取得されたかどうかを示すLED照明とすることができる(例えば、緑色のLED照明が正常な計測を示すことができる)。いくつかの実施形態では、装置100が、装置100のオペレータに可聴表示を行うハードウェア又はソフトウェアのいずれかの好適な組み合わせを含むことができる。例えば、この表示は、グリップ長の計測値が正常に取得された旨を装置100のオペレータに示す可聴信号(例えば、ビープ音)とすることができる。
【0054】
計測装置130は、タイマ620を用いて、計測情報を送信すべき時点を決定することができる。いくつかの実施形態では、計測装置130が、(例えば、計測装置130に関連するタイマによって測定される)一定期間にわたってグリップ長の一貫した計測値を読み取るまで、グリップ長の計測値を処理回路145に提供するのを待機することができる。この期間は、あらゆる好適な期間とすることができる。例えば、いくつかの実施形態では、この期間を0.5秒とすることができる。いくつかの例では、タイマ620の満了時に自動的に計測情報を提供することもできる。
【0055】
受信ユニット605の処理回路645、送信機650、受信機655及び1又は2以上のメモリデバイス660は、上述した処理回路145、送信機150、受信機155及び1又は2以上のメモリデバイス160と同様の特徴を有することができる。例えば、これらの受信ユニット605の構成要素は、装置100に関して上述したハードウェア/ソフトウェアのいずれかを用いて実装することができる。従って、簡潔にするために相違点のみを説明する。
【0056】
図6の実施形態例では、処理回路645が、送信機650、受信機655(又は、いくつかの例ではトランシーバ)及び1又は2以上のメモリデバイス660に通信可能に結合して、受信ユニット605の1又は2以上の動作を制御する。処理回路645は、1又は2以上のメモリデバイス660に記憶された、上述した受信ユニット605の機能のいずれかを実行するソフトウェアを実行する。処理回路645は、送信機650、受信機655及び1又は2以上のメモリデバイス660が受け取った、又はこれらの構成要素から受け取られた情報を処理することによって、受信ユニット605の1又は2以上の動作を制御する。
【0057】
送信機650及び受信機655(又は、いくつかの実施形態ではトランシーバ)は、受信ユニット605から装置100への無線信号の送信、及び受信ユニット605における装置100からの無線信号の受信をそれぞれ容易にすることができる。いくつかの実施形態では、受信機655が、ファスナのグリップ長の計測値を示す値(例えば、実際の計測値又はそのいずれかの好適な表示)を装置100から受け取ることができる。
【0058】
1又は2以上のメモリデバイス660は、データ(例えば、受け取ったグリップ長の計測値)、業務ソフトウェア、又は処理回路645のための他の情報を恒久的に又は一時的に記憶することができる。
【0059】
図7は、いくつかの実施形態による方法700のフロー図である。方法700は、ステップ704から開始して、グリップゲージのピンの第1の端部を部品の開口部に挿入する。いくつかの実施形態では、グリップゲージが、部品の開口部に挿入されるように構成された第1の端部を有するピンと、ピンに摺動可能に係合し、ピンが部品の開口部に挿入された時に部品の第1の表面に接触するように構成された停止部と、停止部をハウジングに結合するばねと、ピンの第1の端部に近接して位置し、部品の第2の表面に接触するように構成された1又は2以上のフランジと、線形変位計測装置と通信可能に結合され、求められたグリップ長を示す値を受信機に送信するように構成された送信機とを含むことができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、グリップゲージが、ピンの第1の端部に近接して位置する1又は2以上のフランジを含むことができる。1又は2以上のフランジは、部品の第2の表面に接触するように構成することができるとともに、ピンの挿入中における第1の格納状態と、ピンの第1の端部が部品の開口部を通過した時の第2の伸長状態との間で移行するように構成することができる。いくつかの実施形態では、1又は2以上のフランジを、1又は2以上のヒンジを用いてピンの外側に取り付けることができる。いくつかの実施形態では、1又は2以上のフランジが、第1の格納状態の時にはピンの内部に位置することができ、第2の伸長状態の時には、1又は2以上のフランジを部品の第2の表面に接触できるようにピンに対して垂直に延びるように構成することができる。この方法は、1又は2以上のフランジを第1の格納状態と第2の伸長状態との間で移行させるステップを含むことができる。
【0061】
ステップ708において、グリップゲージのピンに結合された計測装置を用いて行われる計測に基づいて、部品の開口部内で使用するファスナのグリップ長を求める。いくつかの実施形態では、計測装置が、線形変位計測装置を含むことができる。線形変位計測装置は、シリンダと、停止部に結合された第1の端部及びシリンダに結合された第2の端部を有する、シリンダに摺動可能に係合するロッドとを含むことができる。方法は、ピンが開口部に挿入されたことに応答してロッドが移動した距離を計測するステップを含むことができ、ロッドが移動した距離はグリップ長に相当する。
【0062】
ステップ712において、求められたグリップ長を示すものを受信機に送信する。いくつかの実施形態では、求められたグリップ長を受信機に送信するステップが、求められたグリップ長を受信機に無線で送信するステップを含むことができる。
【0063】
本明細書で説明したシステム及び装置には、本開示の範囲から逸脱することなく修正、追加又は省略を行うことができる。システム及び装置の構成要素は、一体化することも、又は分離することもできる。さらに、システム及び装置の動作は、さらに多くの構成要素、さらに少ない構成要素又は他の構成要素によって実行することもできる。また、システム及び装置の動作は、ソフトウェア、ハードウェア及び/又はその他のロジックを含むあらゆる好適なロジックを用いて実行することができる。本文書で使用した「各(each)」という用語は、集合の各要素、又は集合の部分集合の各要素を意味する。
【0064】
本明細書で説明した方法には、本開示の範囲から逸脱することなく修正、追加又は省略を行うことができる。方法は、さらに多くのステップ、さらに少ないステップ又は他のステップを含むこともできる。また、ステップは、あらゆる好適な順序で実行することができる。
【0065】
いくつかの実施形態に関して本開示を説明したが、当業者には、これらの実施形態の修正例及び置換例が明らかであろう。従って、上述した実施形態の説明は、本開示を制約するものではない。以下の特許請求の範囲に定められる本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の変更例、置換例及び修正例も可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7