(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6817274
(24)【登録日】2020年12月28日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】ポリエチレン、その製造方法及びこれを用いた分離膜
(51)【国際特許分類】
C08F 110/02 20060101AFI20210107BHJP
C08F 4/654 20060101ALI20210107BHJP
H01M 50/409 20210101ALI20210107BHJP
【FI】
C08F110/02
C08F4/654
H01M2/16 P
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-220834(P2018-220834)
(22)【出願日】2018年11月27日
(65)【公開番号】特開2019-99804(P2019-99804A)
(43)【公開日】2019年6月24日
【審査請求日】2018年11月27日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0161605
(32)【優先日】2017年11月29日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】511123485
【氏名又は名称】ロッテ ケミカル コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、キョン フン
(72)【発明者】
【氏名】ユン、チョン チュ
(72)【発明者】
【氏名】イ、トン フン
【審査官】
堀 洋樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−225919(JP,A)
【文献】
特表2013−514389(JP,A)
【文献】
特開昭60−158205(JP,A)
【文献】
特開2003−212918(JP,A)
【文献】
特開2017−103205(JP,A)
【文献】
特開2010−235926(JP,A)
【文献】
特開2013−227539(JP,A)
【文献】
岡 叡太朗、山形 京,プラスチック材料講座[4] ポリエチレン樹脂,日本,日刊工業新聞社,1969年 8月30日,p.50
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 4/60−4/70
C08F 6/00−246/00;301/00
C08J 9/00−9/42
H01M 2/14−2/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量平均分子量が50万g/mol〜70万g/molで、分子量分布が3〜5であるポリエチレンであって、
前記ポリエチレンは、初期30分間の触媒反応性平均値の50%以上を4時間超過維持する触媒の存在下で重合されたものであり、
前記触媒が、有機カルボン酸エステルを含むマグネシウム化合物にチタン化合物を滴加することによってシードを形成した後、昇温によって触媒粒子を形成し、この触媒粒子に対して70℃〜85℃でエージングを行うことによって製造されたものであるポリエチレン。
【請求項2】
前記ポリエチレンは、示差走査熱量計で測定した溶融転移熱容量が180J/g以下で、平均粒径が80μm〜180μmである、請求項1に記載のポリエチレン。
【請求項3】
初期30分間の触媒反応性の50%以上を4時間超過維持する触媒の存在下でエチレンを重合する段階を含み、
前記触媒が、有機カルボン酸エステルを含むマグネシウム化合物にチタン化合物を滴加することによってシードを形成した後、昇温によって触媒粒子を形成し、この触媒粒子に対して70℃〜85℃でエージングを行うことによって製造されたものである請求項1又は2のポリエチレンの製造方法。
【請求項4】
前記ポリエチレンは、水素投入量を350ppm〜800ppmに調節することによって分子量を調節するものである、請求項3に記載のポリエチレンの製造方法。
【請求項5】
前記触媒は、マグネシウム担体にチタン化合物が担持されたチーグラー・ナッタ系触媒である、請求項3に記載のポリエチレンの製造方法。
【請求項6】
請求項1又は2のポリエチレンを含む分離膜。
【請求項7】
前記分離膜はリチウムイオンバッテリー用分離膜である、請求項6に記載のポリエチレンを含む分離膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエチレン、その製造方法及びこれを用いた分離膜に関する。より具体的に、本発明は、高い分子量、狭い分子量分布、低い平均粒径及び速い結晶弛緩特性を有し、機械的物性、加工均一度、シャットダウン特性に優れるので、分離膜の適用に適したポリエチレン、その製造方法及びこれを用いた分離膜に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、二次電池の需要増加に伴い、電池の内部に使用される分離膜の需要も急激に増加している。特に、経済性及び機能性に優れたポリオレフィン樹脂が最も広く使用されているが、このうち、ポリエチレンは、シャットダウン特性に優れ、使用に最も重要な安定性を確保できるという長所を有する。この分野に適用されるポリエチレンは、薄膜フィルム形態の成形品として使用するので、分子量が非常に高くなければならない。また、薄膜形態でも機械的特性に優れなければならなく、成形時、粒度サイズが狭く且つ均一でなければならない。すなわち、分離膜に使用されるポリエチレンは、加工特性が減少しない水準での高い分子量、狭い分子量分布、低い平均粒径を要求する。
【0003】
そこで、平均分子量100万以上の超高分子量ポリエチレン樹脂を分離膜に適用する方案が開発されたことがある。超高分子量ポリエチレンは、耐磨耗性、耐衝撃性、耐候性、耐薬品性、寸法安定性などに非常に優れた特性を有するが、非常に高い分子量によって加工が難しいという短所を有しており、分離膜に適用するには限界を有していた。
【0004】
したがって、加工特性が減少しない水準での高い分子量、狭い分子量分布、低い平均粒径を有するポリエチレンの開発が要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許第2017−0054104号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、高い分子量、狭い分子量分布、低い平均粒径及び速い結晶弛緩特性を有するポリエチレン及びその製造方法を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、機械的物性、加工均一度、シャットダウン特性に優れるので、分離膜成形品の適用に適したポリエチレン及びその製造方法を提供することにある。
【0008】
本発明の更に他の目的は、リチウムイオンバッテリー用分離膜の適用に適したポリエチレン、その製造方法及びこれを用いた分離膜を提供することにある。
【0009】
本発明の更に他の目的は、前記ポリエチレンを含む分離膜を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一つの観点はポリエチレンに関する。前記ポリエチレンは、溶融流動指数が0.4g/10min〜0.6g/10minで、重量平均分子量が50万g/mol〜70万g/molで、分子量分布が3〜5であるポリエチレンであって、前記ポリエチレンは、初期30分の触媒反応性の50%以上を4時間超過維持する触媒の存在下で重合されたものである。
【0011】
具体例において、前記触媒は、マグネシウム担体にチタン化合物が担持されたチーグラー・ナッタ系触媒であってもよい。
【0012】
前記ポリエチレンは、示差走査熱量計で測定した溶融転移熱容量が180J/g以下で、平均粒径が80μm〜180μmであってもよい。
【0013】
具体例において、前記ポリエチレンは、分子量分布が3〜4であってもよい。
【0014】
本発明の前記ポリエチレンの製造方法は、初期30分の触媒反応性の50%以上を4時間超過維持する触媒の存在下でエチレンを重合する段階を含む。
【0015】
具体例において、前記ポリエチレンは、水素投入量を350ppm〜800ppmに調節することによって分子量を調節することを特徴とする。
【0016】
本発明の他の観点は、前記ポリエチレンを含む分離膜に関する。
【0017】
具体例において、前記分離膜はリチウムイオンバッテリー用分離膜であってもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、高い分子量、狭い分子量分布、低い平均粒径及び速い結晶弛緩特性を有し、機械的物性、加工均一度、シャットダウン特性に優れるので、分離膜成形品の適用に適したポリエチレン、その製造方法及びこれを用いた分離膜を提供するという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施例1及び比較例3で使用された触媒の反応性評価を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明のポリエチレンの製造に使用される触媒は、初期30分の触媒反応性の50%以上を4時間超過維持することを特徴とする。前記触媒反応性評価は、80℃、圧力7bar、水素2.2barの条件で触媒10mgを投入し、重合に使用されるエチレンの変化量を測定することによって得ることができる。
【0022】
初期30分の触媒反応性の50%以上が4時間以下である触媒を用いて製造されたポリエチレンの場合、分子量分布が広くなり、加工性には優れるが、均一度が減少するという短所を有する。具体例において、前記触媒は、マグネシウム担体にチタン化合物が担持されたチーグラー・ナッタ系触媒であってもよい。
【0023】
一具体例によると、前記触媒は、有機カルボン酸エステルを含むマグネシウム化合物にチタン化合物を滴加することによってシード(seed)を形成した後、昇温によって触媒粒子を形成し、この触媒粒子に対して70℃〜85℃でエージングを行うことによって製造することができる。
【0024】
前記チタン化合物の例としては、TiCl
4、TiBr
4及びTiI
4などの四ハロゲン化チタン、Ti(OCH
3)Cl
3、Ti(On−C
4H
9)Cl
3及びTi(OCH
5)Br
3などの三ハロゲン化アルコキシチタン、Ti(OCH
3)
2Cl
2、Ti(OC
2H
5)
2Cl
2及びTi(OC
2H
2)
2Br
2などの二ハロゲン化二アルコキシチタン、Ti(OCH
3)
3Cl、Ti(OC
2H
5)
3Cl、Ti(On−C
4H
9)
3Cl及びTi(OC
2H
5)
3Brなどの一ハロゲン化三アルコキシチタン、Ti(OCH
3)
4、Ti(OC
2H
5)
4及びTi(On−C
4H
9)
4などの四アルコキシチタンを挙げることができる。これらのうち、前記チタン化合物は、特に四ハロゲン化チタンであることが好ましい。
【0025】
チタン化合物の濃度を調節する混合剤として使用される炭化水素溶媒は、チタン化合物との反応性が全くない不活性溶媒でなければならなく、このような炭化水素溶媒の例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン及びケロシンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン及びシクロオクタンなどの脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン及びシメンなどの芳香族炭化水素を挙げることができる。
【0026】
電子供与体として有機カルボン酸エステルを含むマグネシウム化合物は、マグネシウム化合物と有機カルボン酸エステルを適切な炭化水素溶媒中で反応させることによって得ることができる。均一な粒径を有する触媒を得るためには、マグネシウム化合物を適切な溶解剤を用いて溶かした後、有機カルボン酸エステルを処理する方法を選んでもよい。このときに使用可能なマグネシウム化合物の例としては、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム及びフッ化マグネシウムなどのハロゲン化マグネシウム;エトキシマグネシウム、イソプロピルマグネシウム、ブトキシマグネシウム及びオクトキシマグネシウムなどのアルコキシマグネシウム;メトキシマグネシウムクロリド、エトキシマグネシウムクロリドなどのアルコキシマグネシウムクロリド;フェノキシマグネシウム、メチルフェノキシマグネシウムなどのアリルオキシマグネシウム;フェノキシマグネシウムクロリド、メチルフェノキシマグネシウムクロリドなどのアリルオキシマグネシウムクロリドを挙げることができる。これらのマグネシウム化合物は、単独で使用されてもよく、2種以上の混合物として使用されてもよい。特に、好ましいマグネシウム化合物としてはハロゲン化マグネシウムを挙げることができる。
【0027】
マグネシウム化合物と有機カルボン酸エステルとの反応時の反応温度は、使用される炭化水素溶媒の種類に応じて差があるが、一般に、50℃以上、好ましくは70℃〜200℃程度であることが適切である。反応時間は10分〜5時間、好ましくは30分〜3時間程度であることが適切である。マグネシウム化合物と有機カルボン酸エステルとの間の反応モル比は、マグネシウム化合物中のマグネシウム1モル当たり有機カルボン酸エステル0.01モル〜1モル、好ましくは0.05モル比〜0.5モル程度であることが適切である。適切な溶解剤によってマグネシウム化合物を溶解させた場合は、有機カルボン酸エステルの種類に応じて最終的に得られる固体触媒の粒径を少しずつ変化させてもよい。
【0028】
このときに使用可能な有機カルボン酸エステルの例としては、メチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート、ビニルアセテート、プロピルアセテート、イソブチルアセテート、t−ブチルアセテート、オクチルアセテート、シクロヘキシルアセテート、エチルプロピオネート、メチルブチレート、エチルバレレート、エチルピルベート、エチルピバレート、メチルクロロアセテート、エチルジクロロアセテート、メチルメタクリレート、エチルクロトネート、メチルシクロヘキシルカルボキシレート、メチルベンゾエート、エチルベンゾエート、プロピルベンゾエート、ブチルベンゾエート、オクチルベンゾエート、シクロヘキシルベンゾエート、フェニルベンゾエート、メチルアニセート、エチルアニセート、エチルエトキシベンゾエート、モノメチルフタレート、モノエチルフタレート、ジメチルフタレート、メチルエチルフタレート、モノイソブチルフタレート、ジエチルフタレート、エチルイソブチルフタレート、ジ−n−プロピルフタレート、ジイソプロピルフタレート、ジ−n−ブチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−n−ヘプチルフタレート、ジ−n−エチルヘキシルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジネオペンチルフタレート、ジデシルフタレート、ベンジルブチルフタレート、ジフェニルフタレート、ジエチルナフタレンジカルボキシレート及びジブチルナフタレンジカルボキシレートなどを挙げることができる。
【0029】
マグネシウム化合物と有機カルボン酸エステルとの反応は、適切な炭化水素溶媒中で行われることが効果的である。このとき、炭化水素溶媒は、反応には全く参加しなく、単純な分散剤としての役割のみを行えるように選ばれなければならない。使用可能な例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン及びケロシンなどの脂環族炭化水素を挙げることができる。上述したように均一な粒径を有する触媒を得るためには、適切な溶解剤を用いてマグネシウム化合物を溶かした後で次の反応に用いる方法を選んでもよい。適切な溶解剤としては、アルコール、有機カルボン酸、アルデヒド、アミンなどを挙げることができる。溶解反応温度及び時間は使用される溶解剤の種類に応じて変わるが、一般に、温度は80℃〜200℃で、時間は30分〜3時間程度であることが適切である。溶解剤の使用量も種類に応じて差があるが、一般に、マグネシウム化合物中のマグネシウム1モル当たり溶解剤0.1モル以上、好ましくは1モル以上であることが適切である。
【0030】
溶解剤の具体的な例において、アルコール類としては、2−メチルペンタノール、2−エチルブタノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、デカノール、ドデカノール及びテトラデシルアルコールなどの脂肪族アルコール類、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノールなどの脂環族アルコール、ベンジルアルコール、メチルベンジルアルコールなどの芳香族アルコールを挙げることができ、有機カルボン酸類としては、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸及びオクタン酸を挙げることができ、アルデヒド類としては、カプリルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド及びオクチルアルデヒドを挙げることができ、アミン類としては、ヘプチルアミン、オクチルアミン、デシルアミン及び2−エチルヘキシルアミンを挙げることができる。
【0031】
以上の方法によって得られ、上述した特性を有する触媒は、ほぼ球状の粒子を示し、比表面積が100m
2/g〜1,000m
2/g程度を示す。また、固体触媒粒子はほぼ均一なサイズを示し、その平均粒径は1μm〜15μm程度、例えば、3μm〜10μm程度である。また、初期30分間の反応性を基準にして、その値の50%以上を4時間以上維持することができる。
【0032】
また、本発明のポリエチレン分離膜は、リチウムイオンバッテリー用分離膜として使用されてもよく、この場合、さらに有利な特性を具現することができる。
【0033】
本発明のポリエチレンの製造方法は、前記触媒の存在下でエチレンを重合する段階を含む。具体例において、本発明のポリエチレンは、前記触媒と助触媒とを混合し、反応器の温度を昇温させた後、水素を投入し、エチレンを付加して重合させることによって製造され得る。具体例において、前記ポリエチレンは、水素投入量を調節することによって分子量を調節することができる。具体例において、水素投入量は350ppm〜800ppm、例えば、400ppm〜750ppmであってもよい。前記範囲で分離膜に適した分子量を得ることができる。他の例において、水素投入量は450ppm〜500ppmであってもよい。
【0034】
前記助触媒としては、一般に分子中に1個以上のM−C結合(Mは、周期律表上のI〜III族金属)を有する物質が使用されてもよい。前記助触媒の具体的な例としては、トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム、トリイソプレニルアルミニウムなどのトリアルケニルアルミニウム、ジエチルアルミニウムエトキシド及びジブチルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド、エチルアルミニウムエトキシド及びジブチルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド、エチルアルミニウムセスキクロリド及びブチルアルミニウムセスキクロリドなどのアルキルアルミニウムセスキクロリド、ジメチルアルミニウムヒドリド及びジブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド、エチルアルミニウムジヒドリド及びプロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリド、エチルアルミニウムエトキシクロリド、エチルアルミニウムブトキシクロリド及びエチルアルミニウムエトキシブロミドなどのアルキルアルミニウムアルコキシハライドを挙げることができる。
【0035】
製造されたポリエチレンは、溶融流動指数が0.4g/10min〜0.6g/10minで、重量平均分子量が50万g/mol〜70万g/molで、分子量分布が3〜5であってもよい。例えば、前記ポリエチレンは、溶融流動指数が0.40g/mol、0.41g/mol、0.42g/mol、0.43g/mol、0.44g/mol、0.45g/mol、0.46g/mol、0.47g/mol、0.48g/mol、0.49g/mol、0.50g/mol、0.51g/mol、0.52g/mol、0.53g/mol、0.54g/mol、0.55g/mol、0.56g/mol、0.57g/mol、0.58g/mol、0.59g/mol又は0.60g/molであってもよい。特に、本発明の触媒で製造したポリエチレンは、成形品の均一特性のみならず、熱容量が180J/g以内に維持されるので、素材が熱を受けた場合に速い結晶弛緩特性が表れ、シャットダウン特性が増加する。
【0036】
以下、本発明の好適な実施例を通じて本発明の構成及び作用をさらに詳細に説明する。但し、これは、本発明の好適な例示として提示されたものであって、如何なる意味でも、これによって本発明が制限されると解釈してはならない。
【0037】
ここに記載していない内容は、この技術分野で熟練した者であれば十分に技術的に類推可能であるので、それについての説明は省略する。
【実施例】
【0038】
<実施例1>
担体及び触媒の製造方法は下記の通りである。まず、SUS撹拌機及びオイル循環ヒーターが装着された2リットルサイズの耐圧用ガラス反応器を用いて窒素雰囲気下で塩化マグネシウム90g、デカン387ml、エチルヘキサノール502mlを投入し、これを80℃で300rpmの回転速度で撹拌した。マグネシウム化合物を完全に溶解させるために135℃に昇温させ、均質な溶液になったら、1時間の熟成過程を経てエチルベンゾエート溶液27mlを30分間投入した。投入後、135℃で1時間熟成させ、反応器の温度を25℃に下げることによってマグネシウム化合物溶液を製造した。
【0039】
80℃のデカン(Decane)に2−エチル−1−ヘキサノール(2−ethyl−1−hexanol)を投入し、これを140℃に昇温させて十分に溶融させた後、20℃に冷却し、DIBP(diisobutyl phthalate)を投入することによって溶液を製造する。次の段階で、−15℃のヘキサン及びTiCl
4を投入した状態で初期製造溶液をゆっくり滴加するとシードが形成される。温度を74℃まで昇温させると、サイズが大きくなりながら触媒粒子が形成される。その後、74℃で2時間エージングを行った後、40℃に冷却し、ヘキサンウォッシングを5回実施することによって未反応物及び残留チタン(Ti)を除去する。
【0040】
触媒反応性評価は、2Lサイズの反応器を用いて80℃、圧力7bar、水素2.2barの条件で触媒10mgを投入し、重合に使用されるエチレンの変化量を測定する。UTO SYSTEM DATA Dather IIプログラムを用いてグラフ積算を行い、エチレンの流量は、BROOKS会社の質量流量計である5850Eを用いて測定し、これを
図1に示した。
図1に示したように、使用された触媒は、初期(30分)反応性の50%以上を4時間超過維持する特性を示すことを確認することができる。
【0041】
ポリエチレンの細部重合条件は下記の通りである。N
2に置換した2リットルのオートクレーブ(Autoclave)反応器に溶媒としてヘキサン(1,000ml)を充填させた後、ヘキサン内の水分を除去し、助触媒としてトリエチルアルミニウム(TEAL)(2ml、2mmol)を投入する。触媒(1g)をデカン(Decane)(100ml)で希釈し、スラリー触媒(1cc)を投入する。反応器のバルブを閉め、反応器の温度を80℃に昇温させる。このとき、反応器の温度が70℃に到逹したらH
2を投入し、80℃でエチレンを一定に投入した。反応時間は合計2時間であって、反応器の圧力は8.0barに維持させた。反応が完了すると、反応器の温度を常温まで下げた。反応器内の温度が30℃以下に下がると、ベントバルブをゆっくり開けて、反応器内の圧力を常圧に下げた。反応器内の圧力が常圧になると、反応器を解体することによって生成物(PE)を収得した。サンプル内のヘキサンを除去するためにフィルターペーパー(Filter Paper)を用いてろ過を進行し、ヘキサンが除去された残りのポリエチレン部分のみを回収し、真空オーブンで60℃で1時間乾燥させた。水素投入量を調節することによって、表1に該当する素材を得ることができた。分子量の調節を目的として、水素投入量は450ppmに調節した。
【0042】
<比較例1>
実施例1の触媒を用いてポリエチレンを重合するとき、水素投入量を250ppmに調節したことを除いては実施例1と同一に実験した。
【0043】
<比較例2>
実施例1の触媒を用いてポリエチレンを重合するとき、水素投入量を830ppmに調節したことを除いては実施例1と同一に実験した。
【0044】
<比較例3>
20℃でヘキサン溶液に固体の塩化マグネシウムを投入してスラリー状態に作った後、エタノールを投入することによってスウェリングを行った。その後、DEAC(diethylaluminum chloride)を投入し、マグネシウムと結合されているエタノールを除去し、その位置にTiCl
4を投入して担持させた。洗浄は、実施例1の触媒と同一に実施した。触媒評価は、80℃、圧力7bar、水素2.2barの条件で触媒10mgを投入し、重合に使用されるエチレンの減少量を測定して記録し、これを
図1に示した。触媒は、初期(30分)反応性の50%以上を1.5時間未満に維持する特性を示したことを確認することができた。
【0045】
製造された触媒を用いてポリエチレンを重合し、分子量の調節を目的として、水素投入量は250ppmに調節した。
【0046】
<比較例4>
比較例3の触媒を用いてポリエチレンを重合するとき、水素投入量を450ppmに調節したことを除いては実施例1と同一に実験した。
【0047】
<比較例5>
比較例3の触媒を用いてポリエチレンを重合するとき、水素投入量を830ppmに調節したことを除いては実施例1と同一に実験した。
【0048】
<物性測定方法>
(1)溶融流動指数(g/10min):ASTMD1238を基準にして190℃、
21.6kgで測定した。
【0049】
(2)重量平均分子量及び分子量分布:分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromoatography;GPC)を用いて測定し、分子量分布は、重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)を用いて計算した。
【0050】
(3)平均粒径(μm):レーザー分光法(Laser scattering)を用いて測定した。
【0051】
(4)熱容量:示差走査熱量計(Differential scanning calorimetry;DSC)を用いて測定し、200℃、昇温速度10℃/minでの3−ステップ分析結果を使用した。
【0052】
(5)見掛け密度 :ASTM D1895を基準にして測定した。
【0053】
【表1】
【0054】
前記表1から、実施例1は、分離膜に最適化された分子量分布、平均粒径、熱容量を有する高い分子量のポリエチレンを製造できることが分かる。
【0055】
以上、本発明の各実施例を説明したが、本発明は前記各実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で製造可能であって、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想や必須的な特徴を変更せずとも他の具体的な形態で実施可能であることを理解できるだろう。そのため、以上で記述した各実施例は、全ての面で例示的なものであって、限定的なものではないことを理解すべきである。