特許第6817275号(P6817275)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6817275
(24)【登録日】2020年12月28日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】冷却機能を備える回転子
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/19 20060101AFI20210107BHJP
   H02K 1/32 20060101ALI20210107BHJP
   H02K 15/02 20060101ALI20210107BHJP
   H02K 15/12 20060101ALI20210107BHJP
【FI】
   H02K9/19 B
   H02K1/32 Z
   H02K15/02 K
   H02K15/12 A
【請求項の数】16
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-221011(P2018-221011)
(22)【出願日】2018年11月27日
(65)【公開番号】特開2019-106875(P2019-106875A)
(43)【公開日】2019年6月27日
【審査請求日】2018年11月29日
(31)【優先権主張番号】10 2017 129 212.8
(32)【優先日】2017年12月8日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510238096
【氏名又は名称】ドクター エンジニール ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100098914
【弁理士】
【氏名又は名称】岡島 伸行
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ベレンデス
(72)【発明者】
【氏名】ベルンハルト ヴィーデマン
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン エーヒスレン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ダヴィド シュミッツ−ヒェーブシュ
【審査官】 小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/086228(WO,A1)
【文献】 特公昭37−005309(JP,B1)
【文献】 特開昭56−110459(JP,A)
【文献】 特開昭60−087643(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 9/19
H02K 1/32
H02K 15/02
H02K 15/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機(10)のための回転子(20)であって、シャフト(30)と、前記シャフト(30)に接続された回転子積層コア(34)とを有し、前記回転子(20)内において、クーラントダクト(40)は、クーラントが前記クーラントダクト(40)を通って流れることを可能にするように形成され、前記クーラントダクト(40)は、少なくとも前記回転子積層コア(34)内の領域において前記回転子(20)の軸方向に延びる第1の部分(41)を有し、および前記回転子積層コア(34)は、外周面(38)にスリーブ(50)を有し、前記スリーブ(50)はガラス繊維複合材料または炭素繊維複合材料から形成されており、前記回転子積層コア(34)の前記外周面(38)でのクーラント(45)の漏れを回避する、回転子(20)。
【請求項2】
前記スリーブ(50)は、前記外周面(38)において前記回転子(20)を流体封止する、請求項1に記載の回転子。
【請求項3】
前記スリーブ(50)と前記回転子積層コア(34)との間で接着接続がなされている、請求項1または2に記載の回転子。
【請求項4】
クーラント入口(47)およびクーラント出口(48)を有し、前記クーラント入口(47)および前記クーラント出口(48)は、前記回転子(20)の同じ軸方向側部(21)に形成されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の回転子。
【請求項5】
磁石(36)を有し、ポケット(35)であって、その中に前記磁石(36)が配置されている、ポケット(35)は、前記回転子積層コア(34)に設けられている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の回転子。
【請求項6】
前記クーラントダクト(40)は、前記シャフト(30)内の領域において延びる第2の部分(42)を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の回転子。
【請求項7】
前記スリーブ(50)は、電気的に非伝導性である材料から形成されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の回転子。
【請求項8】
前記スリーブ(50)は、磁気的に非伝導性である材料から形成されている、請求項7に記載の回転子。
【請求項9】
第1のバランスディスク(61、62)は、前記回転子積層コア(34)の第1の軸方向側部(21)に設けられており、前記クーラントダクト(40)は、前記第1のバランスディスク(61、62)を通って延在する第3の部分(43;44)を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の回転子。
【請求項10】
前記スリーブ(50)は、少なくとも前記第1のバランスディスク(61)の領域内まで、好ましくはまた少なくとも前記第2のバランスディスク(62)の領域内まで軸方向に延在する、請求項9に記載の回転子。
【請求項11】
第2のバランスディスク(61;62)は、前記第1の軸方向側部(21)と反対側の前記回転子積層コア(34)の第2の軸方向側部(22)に設けられており、前記クーラントダクト(40)は、前記第2のバランスディスク(61、62)を通って延在する第4の部分(43;44)を有する、請求項9または10に記載の回転子。
【請求項12】
固定子(12)と、請求項1〜11のいずれか一項に記載の回転子(20)とを有する電動機(10)。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の回転子(20)を製造するための方法であって、ガラス繊維または炭素繊維を有する材料(72)と樹脂(78)とが前記回転子積層コア(34)に被着され、および次いで、前記スリーブ(50)を製造するために前記樹脂(78)が硬化されるステップを含む方法。
【請求項14】
前記ガラス繊維または炭素繊維を有する材料(72)は、最初に被着され、および前記ガラス繊維または炭素繊維を有する材料(72)は、次いで前記樹脂(78)が含浸される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ガラス繊維または炭素繊維を有する材料(72)は、前記回転子積層コア(34)上へ巻回または編組される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ガラス繊維または炭素繊維を有する材料(72)および前記樹脂(78)は、予め含浸された材料(72、78)として一緒に被着される、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機のための冷却機能を備える回転子およびそのような回転子を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(特許文献1)には、冷却ダクトを備える電動機であって、冷却ダクトは、内部回転子のシャフトから冷却ダクトを介して外方向にエアギャップおよび外部固定子の領域内へ延在し、かつ外部固定子から外部固定子ハウジングの接続部を介して戻るように案内されて冷却回路を形成する、電動機が示されている。
【0003】
(特許文献2)には、冷却ダクトを備える内部回転子モータであって、クーラントは、シャフト端部の回転継手を介して供給および排出される、内部回転子モータが示されている。
【0004】
(特許文献3)には、内部回転子を備える電動機であって、シャフトは、一方の軸方向側部に流体入口および流体出口を有する、電動機が示されている。
【0005】
(特許文献4)には、基体と、積層コアと、積層コアの外側に取り付けられた磁石とを備える内部回転子が示されている。炭素繊維強化プラスチックから形成されたバンドが磁石の周りに取り付けられている。
【0006】
(特許文献5)には、外部固定子および内部回転子を備える電動機であって、スリーブは、離隔のために外部固定子の内側に固定されている、電動機が示されている。
【0007】
(特許文献6)には、外部固定子および内部回転子を備える電動機が示されている。内部回転子は、シャフトおよび積層コアを有し、およびスリーブは、シャフトと積層コアとの間に設けられ、かつシャフトのクーラントダクトを画成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2013/0313928A1号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0461905A2号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102011052085A1号明細書
【特許文献4】独国特許第102007006986B3号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2003/0230950A1号明細書
【特許文献6】欧州特許出願公開第2658099A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、新規の回転子およびそのような回転子を製造するための新規の方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、請求項1および請求項13の主題によって達成される。
【0011】
電動機のための回転子は、シャフトと、シャフトに接続された回転子積層コアとを有し、前記回転子内において、クーラントダクトは、クーラントがクーラントダクトを通って流れることを可能にするように形成されている。クーラントダクトは、少なくとも回転子積層コア内の領域において延びる第1の部分を有し、および回転子積層コアは、外周面にスリーブを有して、回転子積層コアの外周面でのクーラントの漏れを回避する。
【0012】
スリーブにより、外周面の領域でのクーラントの漏れが低減または防止され得る。回転子積層コアは、基本的にダクトの形成に好適である。しかし、耐性および環境条件に応じて、回転子積層コアにより、回転子積層体間の領域へのクーラントの望ましくない流れがもたらされ得る。スリーブにより、外周面の領域での漏れに対処することができる。
【0013】
好ましい実施形態によれば、回転子は、内部回転子として設計され、および固定子は、外部固定子として設計される。内部回転子の場合、クーラントダクトの構成が単純である。
【0014】
好ましい実施形態によれば、スリーブは、外周面において回転子を流体封止する。封止により、外周面における漏れが特に容易に防止される。
【0015】
好ましい実施形態によれば、スリーブは、ガラス繊維複合材料または炭素繊維複合材料から形成されている。ガラス繊維複合材料は、通常、非電気的であり、かつしたがって磁界が変化する領域によく適している。上記の2つの材料は、良好な機械的特性を有する。
【0016】
好ましい実施形態によれば、スリーブと回転子積層コアとの間で接着接続がなされている。これにより、軸方向における外周面でのクーラントの流れがより良好に防止され、および/または遠心力の作用によってスリーブが所定位置に保持されかつ安定され得る。
【0017】
好ましい実施形態によれば、回転子は、クーラント入口およびクーラント出口を有し、クーラント入口およびクーラント出口は、回転子の同じ軸方向側部に形成されている。同じ軸方向側部への形成により、クーラントの供給および排出が容易になり、他方の軸方向側部が出力のために空けられる。
【0018】
好ましい実施形態によれば、回転子は、磁石を有し、ポケットであって、その中に磁石が配置されている、ポケットは、回転子積層コアに設けられている。そのような構成により、回転子積層コアによって磁石を予め保持することができる。
【0019】
磁束を方向付ける役割を果たす回転子積層コアの凹部が冷却ダクトとして使用され得る。必要に応じて、代替としてまたは追加として、回転子積層コアの別の領域に冷却ダクトが設けられ得る。
【0020】
好ましい実施形態によれば、クーラントダクトは、シャフト内の領域において延びる第2の部分を有する。冷却ダクトのためのシャフトの使用により、回転子積層コアの凹部の数が減少され、より高い安定性が得られる。
【0021】
好ましい実施形態によれば、スリーブは、電気的に非伝導性であり、かつ磁気的に非伝導性である材料から形成されている。これにより、磁束が変化する際の渦電流および渦電流損のリスクが低減される。
【0022】
好ましい実施形態によれば、第1のバランスディスクは、回転子積層コアの第1の軸方向側部に設けられており、クーラントダクトは、第1のバランスディスクを通って延在する第3の部分を有する。クーラントダクトの一部のためのバランスディスクの使用により、積層コア内でのクーラントダクトの単純な幾何形状が実現される。また、追加の構成要素は必要ない。
【0023】
好ましい実施形態によれば、スリーブは、第1のバランスディスクの領域内まで軸方向に延在する。これにより、回転子積層コアとバランスディスクとの間の領域での封止の改良も可能になる。
【0024】
好ましい実施形態によれば、スリーブはまた、第2のバランスディスクの領域内まで軸方向に延在する。これにより、回転子積層コアとバランスディスクとの間の領域での封止の改良が可能になる。
【0025】
好ましい実施形態によれば、第2のバランスディスクは、第1の軸方向側部と反対側の回転子積層コアの第2の軸方向側部に設けられており、クーラントダクトは、第2のバランスディスクを通って延在する第4の部分を有する。
【0026】
電動機は、固定子と、それに対応する回転子とを有する。
【0027】
回転子を製造するための方法は、以下のステップ:
ガラス繊維または炭素繊維を有する材料と樹脂とが回転子積層コアに被着され、および次いで、スリーブを製造するために樹脂が硬化されるステップ
を含む。
【0028】
そのような回転子積層コアへのスリーブの製造により、スリーブと回転子積層コアとの間のより良好な接続がもたらされる。
【0029】
好ましい実施形態によれば、ガラス繊維または炭素繊維を有する材料は、最初に被着され、およびガラス繊維または炭素繊維を有する材料は、次いで樹脂が含浸される。ガラス繊維または炭素繊維を有する材料は、樹脂が塗布される前に良好に加工され得、特に良好に編組または巻回され得る。
【0030】
好ましい実施形態によれば、ガラス繊維または炭素繊維を有する材料は、回転子積層コア上へ巻回または編組される。これにより、安定した構造が得られる。
【0031】
好ましい実施形態によれば、ガラス繊維または炭素繊維を有する材料および樹脂は、予め含浸された材料として一緒に被着される。これにより、単純な製造および機械類の経費の節約が可能になる。
【0032】
ガラス繊維および炭素繊維について述べているが、好ましい実施形態では、任意の所望の繊維を使用することができる。
【0033】
本発明のさらなる詳細および有利な改良形態は、以下に述べて図面に示す例示的な実施形態(これは、本発明を限定するものと理解されるべきではない)およびまた従属請求項から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】冷却型回転子を備える電動機の縦断面図を示す。
図2図1の電動機の横断面図を示す。
図3図1の回転子の概略構成の縦断面図を示す。
図4図1の回転子を製造するための方法の概略図を示す。
図5図1の回転子を硬化させるためのチャンバを示す。
図6図1の回転子の製造中に樹脂を塗布するためのデバイスの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1に、固定子12および回転子20を備える電動機10を示す。回転子20は、内部回転子として設計されている。また、固定子12は、外部固定子として設計されている。しかし、同様に回転子を外部回転子として設計し、かつ固定子を外部固定子として設計することも可能である。回転子20は、シャフト30と、シャフト30に接続された回転子積層コア34とを有する。回転子20内において、クーラントダクト40は、クーラントがクーラントダクト40を通って流れることを可能にするように形成されている。これにより、回転子20の冷却が可能になる。これは、特に電気自動車の駆動に使用されるような強力な電動機の場合に有利である。クーラントダクト40は、クーラント入口47と、クーラント出口48と、シャフト30内の領域においてまたはシャフト30内において完全に延びる部分42と、少なくとも回転子積層コア34内の領域において延びる部分41とを有する。
【0036】
回転子積層コア34は、外周面38にスリーブ50を有する。スリーブ50は、電動機10の磁気的空隙39内に設けられている。磁気的空隙39は、固定子12と回転子20との間の磁気的に弱い伝導性の領域または磁気的に非伝導性の領域である。
【0037】
第1のバランスディスク61は、回転子積層コア34の第1の軸方向側部21に設けられている。また、第2のバランスディスク62は、第1の軸方向側部21と反対側の回転子積層コア34の第2の軸方向側部22に設けられている。クーラントダクト40は、好ましくは、第1のバランスディスク61を通って延在する第3の部分43と、第2のバランスディスク62を通って延在する第4の部分44とを有する。
【0038】
スリーブ50は、好ましくは、第1のバランスディスク61および/または第2のバランスディスク62の領域内まで軸方向に延在する。これにより、回転子積層コア34とバランスディスク61、62との間の移行領域における封止も可能になる。
【0039】
例示的な実施形態では、固定子12内に回転子20を回転可能に取り付けるために、2つの転がり軸受の形態で軸受機構14が設けられている。
【0040】
スリーブ50は、好ましくは、外周面38において回転子20を流体封止する。クーラントダクト40は、回転子積層コア34の内部の部分41内、例えばボア内において延びる。それにもかかわらず、クーラント45は、回転子積層コア34の2つの隣接する積層体間でクーラントダクト40から漏れる可能性がある。スリーブ50により、外周面38でのクーラント45の漏れが低減または回避され得る。
【0041】
スリーブ50は、好ましくは、ガラス繊維複合材料、すなわちガラス繊維を有する材料から形成されている。ガラス繊維複合材料は、好ましくは、良好な封止性を実現するためにさらに樹脂を有する。
【0042】
特に好ましくは、スリーブ50と回転子積層コア34との間に接着接続が存在する。そのような接着接続は、例えば、ガラス繊維複合材料が樹脂で回転子積層コア34上に硬化されることによって達成され得る。これにより、回転子積層コア34とスリーブ50との間において、化学的な接着を伴う接着接続が得られる。
【0043】
スリーブ50は、好ましくは、電気的に非伝導性であり、かつ磁気的に非伝導性である材料から形成されている。それにより、スリーブ50内での渦電流の発生が低減または完全に回避される。
【0044】
図2に、固定子12および回転子20を備える電動機10を横断面で示す。例示的な実施形態では、磁石36のためのポケット35が設けられる。また、複数のクーラントダクト40の部分41が設けられる。これらの部分41は、例示的な実施形態では、磁石36の側方に配置され、かつ回転子積層コア34を通って延在する。クーラントダクト40の部分41は、好ましくは、回転子積層コア34を通って軸方向に延びるが、例えば湾曲を有するなど、異なって延び得る。
【0045】
図3に、回転子20の概略構成を縦断面で示す。回転軸線33の左側のみが示されている。
【0046】
例示的な実施形態では、シャフト30は、内側の第1のシャフト部品31と外側の第2のシャフト部品32との2部品で形成されている。これにより、シャフト30内のクーラントダクト40の部分42の形成が容易になる。
【0047】
クーラント入口47およびクーラント出口48への流体連通を可能にするために、シャフト30には、第1の軸方向側部21に回転継手49が設けられている。
【0048】
シャフト30において、第2の軸方向側部22で出力が行われ得る。
【0049】
図4に、ガラス繊維を有する材料72を好ましくは編組形状で回転子20に被着する編組機71を示す。樹脂78を有する槽74が設けられている。樹脂78は、2つのローラ75、76により、ガラス繊維を有する材料72に塗布される。これは、ガラス繊維を有する材料72の含浸と呼ばれる。
【0050】
含浸されたガラス繊維を有する材料72を分離するために、分離デバイス81が設けられている。
【0051】
次いで、例えば、ロボット84によって回転子20を取り出して、硬化させることができる。
【0052】
図5に、含浸されたガラス繊維を有する材料72を硬化するためのチャンバ86を示す。回転子20がチャンバ86内に位置決めされ、かつ次いで高温および高圧にさらされる。これにより、樹脂78が硬化され、したがってスリーブ50の繊維複合材料が製造される。
【0053】
図6に、樹脂を塗布するためのローラ75、76と共に槽74を通る横断面を示す。回転子20の回転によって塗布が行われる。
【0054】
回転子を製造することができるいくつかの方法がある。1つの好ましい方法は、以下のステップ:
ガラス繊維を有する材料72と樹脂78とが回転子積層コア34に被着され、および次いで、スリーブを製造するために樹脂78が硬化されるステップ
を含む。
【0055】
好ましくは、ガラス繊維を有する材料72は、最初に被着され、およびガラス繊維を有する材料72は、次いで樹脂78が含浸される。特に、ガラス繊維を有する材料72の編組みは、樹脂78のない状態でより容易に可能である。
【0056】
ガラス繊維を有する材料72は、好ましくは、回転子積層コア34上に巻回または編組される。これにより、安定した構造が得られる。
【0057】
ガラス繊維を有する材料72および樹脂78は、好ましくは、予め含浸された材料72、78として一緒に被着される。そのような予め含浸された材料72、78は、プリプレグまたは事前含浸繊維とも称される。
【0058】
上記の方法は、スリーブ50と回転子積層コアとの間で接着接続をなすことができるという利点を有する。これにより、回転子積層コア34の外周面38でのクーラントの流れが低減または好ましくは防止される。
【0059】
当然のことながら、本発明の範囲内で様々な変形形態および修正形態が可能である。
【0060】
回転子冷却に加えて、図1にダクトで示されるように固定子冷却も行われ得る。
【符号の説明】
【0061】
10 電動機
12 固定子
20 回転子
21 第1の軸方向側部
22 第2の軸方向側部
30 シャフト
34 回転子積層コア
35 ポケット
36 磁石
38 外周面
40 クーラントダクト
41 第1の部分
42 第2の部分
43、44 第3および第4の部分
45 クーラント
47 クーラント入口
48 クーラント出口
50 スリーブ
61、62 第1および第2のバランスディスク
72 ガラス繊維または炭素繊維を有する材料
78 樹脂
図1
図2
図3
図4
図5
図6