特許第6817287号(P6817287)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6817287キラルジアリール大環状分子及びその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6817287
(24)【登録日】2020年12月28日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】キラルジアリール大環状分子及びその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/529 20060101AFI20210107BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20210107BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20210107BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20210107BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20210107BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20210107BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20210107BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20210107BHJP
   A61P 25/02 20060101ALI20210107BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20210107BHJP
【FI】
   A61K31/529
   A61P43/00 111
   A61P43/00 105
   A61P35/00
   A61P17/06
   A61P19/02
   A61P29/00 101
   A61P7/00
   A61P1/04
   A61P25/02
   A61P35/02
【請求項の数】65
【全頁数】88
(21)【出願番号】特願2018-502668(P2018-502668)
(86)(22)【出願日】2016年7月20日
(65)【公表番号】特表2018-524382(P2018-524382A)
(43)【公表日】2018年8月30日
(86)【国際出願番号】US2016043132
(87)【国際公開番号】WO2017015367
(87)【国際公開日】20170126
【審査請求日】2019年7月19日
(31)【優先権主張番号】62/195,081
(32)【優先日】2015年7月21日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/302,231
(32)【優先日】2016年3月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516221454
【氏名又は名称】ターニング・ポイント・セラピューティクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Turning Point Therapeutics,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】ジンロン・ジーン・ツイ
(72)【発明者】
【氏名】イーシャン・リー
(72)【発明者】
【氏名】エバン・ダブリュー・ロジャーズ
(72)【発明者】
【氏名】ダヨン・ジャイ
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ・デン
(72)【発明者】
【氏名】ジョンドン・ホアン
【審査官】 梅田 隆志
(56)【参考文献】
【文献】 特許第6490713(JP,B2)
【文献】 特表2012−532888(JP,A)
【文献】 特表2015−509534(JP,A)
【文献】 特表2014−521750(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/529
A61P 1/04
A61P 7/00
A61P 17/06
A61P 19/02
A61P 25/02
A61P 29/00
A61P 35/00
A61P 35/02
A61P 43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(7S,13R)−11−フルオロ−7,13−ジメチル−6,7,13,14−テトラヒドロ−1,15−エテノピラゾロ[4,3−f][1,4,8,10]ベンゾキサトリアザシクロトリデシン(benzoxatriazacyclotridecin)−4(5H)−オン、又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含む、患者の疾患を治療するための医薬組成物であって、前記疾患が、ALK、ROS1、TRKA、TRKB、TRKC、JAK1、JAK2、JAK3、SRC、FYN、LYN、YES、FGR、FAK、ARK5、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるチロシンキナーゼによって媒介されるものである、医薬組成物。
【請求項2】
前記疾患が、受容体チロシンキナーゼによって媒介される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記受容体チロシンキナーゼが、ALK、ROS1、TRKA、TRKB及びTRKCからなる群から選択される、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記疾患が、非受容体キナーゼによって媒介される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記非受容体キナーゼが、JAK2、FYN、LYN、YES、FGR、SRC、FAK又はARK5である、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記疾患が、癌、乾癬、関節リウマチ、真性多血症、本態性血小板血症、潰瘍性大腸炎、及び骨髄線維症を伴う骨髄化生並びに疼痛からなる群から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記疾患が癌である、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記疾患がALKによって媒介される癌である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記疾患が、遺伝子改変されたALKによって媒介される癌である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記疾患が、ALK遺伝子によってコードされるタンパク質の断片、及びNPM、EML4、TPR、TFG、ATIC、CLTC1、TPM4、MSN ALO17及びMYH9からなる群から選択される遺伝子によってコードされるタンパク質の断片を含む融合タンパク質によって媒介される癌である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記融合タンパク質が、ALK遺伝子によってコードされるタンパク質の断片及びEML4遺伝子、NPM遺伝子、又はTPR遺伝子によってコードされるタンパク質の断片を含む、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記遺伝子改変されたALKが、EML4−ALK融合タンパク質、NPM−ALK融合タンパク質、又はTPR−ALK融合タンパク質である、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記EML4−ALK融合タンパク質、又はTPR−ALK融合タンパク質が、少なくとも1つの耐性変異を含む、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記EML4−ALK融合タンパク質が、L1196M、G1202R、D1203R、L1152P/R、F1174C/L/V、C1156Y、I1171N、G1123S、S1206Y、G1269S/A、及び1151T挿入からなる群から選択される少なくとも1つの変異を含む、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記TPR−ALK融合タンパク質が、L1196M点変異を含む、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記疾患が、1以上の点変異を有するALKによって媒介される癌である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記疾患が、R1050H、F1174C/I/L/S/V、F1245C/I/L/V、R127L/Q、T1151M、M1166R、I1170N、I1170S、I1171N、I1183T、L1196M、A1200V、L1204F、L1240V、D1270G、Y1278S、R1192P、G1128A、G1286R、及びT1343Iからなる群から選択される1以上の点変異を有するALKによって媒介される癌である、請求項1〜3又は16のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記癌が、ALCL、NSCLC、神経芽腫、炎症性筋線維芽細胞腫瘍、成人の腎細胞癌、小児腎細胞癌、乳癌、結腸腺癌、神経膠芽腫、多形神経膠芽腫及び未分化甲状腺癌からなる群から選択される、請求項8〜17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記疾患がROS1によって媒介される癌である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記疾患が、遺伝子改変されたROS1によって媒介される癌である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記疾患が、ROS1遺伝子によってコードされるタンパク質の断片及びFIG、TPM3、SDC4、SLC34A2、CD74、EZR、及びLRIG3からなる群から選択される遺伝子によってコードされるタンパク質の断片を含む融合タンパク質によって媒介される癌である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記遺伝子改変されたROS1が、CD74−ROS1融合タンパク質、SDC4−ROS1融合タンパク質、又はSLC34A2−ROS1融合タンパク質である、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記CD74−ROS1融合タンパク質、SDC4−ROS1融合タンパク質、又はSLC34A2−ROS1融合タンパク質が、少なくとも1つの耐性変異を含む、請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記CD74−ROS1融合タンパク質がG2032R、L2026M又はD2033N点変異を含む、前記SDC4−ROS1融合タンパク質がG2032R点変異を含む、又はSLC34A2−ROS1融合タンパク質がG2032R点変異を含む、請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記癌が、神経膠芽腫、多形神経膠芽腫、NSCLC、胆管癌、卵巣癌、胃腺癌、結腸直腸癌、炎症性筋線維芽細胞腫瘍、血管肉腫、及び類上皮血管内皮腫からなる群から選択される、請求項19〜24のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記疾患が、TRKA、TRKB、又はTRKCによって媒介される癌である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項27】
前記疾患が、遺伝子改変されたTRKA、TRKB、又はTRKCによって媒介される癌である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項28】
前記疾患が、TRKA遺伝子によってコードされるタンパク質の断片及びTPM3遺伝子又はLMNA遺伝子によってコードされるタンパク質の断片を含む融合タンパク質によって媒介される癌である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記遺伝子改変されたTRKAが、TPM3−TRKA又はLMNA−TRKA融合タンパク質である、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項30】
TPM3−TRKA又はLMNA−TRKA融合タンパク質が、少なくとも1つの耐性変異を含む、請求項29に記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記癌がNSCLCである、請求項7〜30のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記疾患が、JAK1、JAK2又はJAK3によって媒介される癌である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記疾患が、遺伝子改変されたJAK2によって媒介される癌である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項34】
前記疾患が、JAK2遺伝子によってコードされるタンパク質の断片及びTEL又はPCM1遺伝子によってコードされるタンパク質の断片を含む融合タンパク質によって媒介される癌である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項35】
前記遺伝子改変されたJAK2が、TEL−JAK2融合タンパク質、又はPCM−JAK2融合タンパク質である、請求項33に記載の医薬組成物。
【請求項36】
前記遺伝子改変されたJAK2が、V617F点変異を含む、請求項33に記載の医薬組成物。
【請求項37】
患者の疾患を治療するための医薬組成物であって、前記疾患が、SRCによって媒介される癌である、(7S,13R)−11−フルオロ−7,13−ジメチル−6,7,13,14−テトラヒドロ−1,15−エテノピラゾロ[4,3−f][1,4,8,10]ベンゾキサトリアザシクロトリデシン−4(5H)−オン、又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含む、医薬組成物。
【請求項38】
前記癌が、神経膠芽腫、多形神経膠芽腫、NSCLC、胆管癌、肝内胆管癌、結腸直腸癌、甲状腺乳頭癌、スピッツ腫瘍、肉腫、星細胞腫、脳の低グレードの神経膠腫、分泌乳癌、乳腺相似癌、乳癌、急性骨髄性白血病、先天性中胚葉性腎腫、先天性線維肉腫、Ph−様急性リンパ芽球性白血病、結腸腺癌、甲状腺癌、皮膚黒色腫、頭頸部扁平上皮癌及び小児神経膠腫からなる群から選択される、請求項37に記載の医薬組成物。
【請求項39】
患者の疾患を治療するための医薬組成物であって、前記疾患が、TRKA、TRKB又はTRKCによって媒介される疼痛である、(7S,13R)−11−フルオロ−7,13−ジメチル−6,7,13,14−テトラヒドロ−1,15−エテノピラゾロ[4,3−f][1,4,8,10]ベンゾキサトリアザシクロトリデシン−4(5H)−オン、又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含む、医薬組成物。
【請求項40】
前記疾患が、バイパス耐性を示す癌である、請求項1、4又は5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項41】
遺伝子改変されたチロシン又はセリン/スレオニンキナーゼを発現することが以前に示された患者の癌を治療するための医薬組成物であって、(7S,13R)−11−フルオロ−7,13−ジメチル−6,7,13,14−テトラヒドロ−1,15−エテノピラゾロ[4,3−f][1,4,8,10]ベンゾキサトリアザシクロトリデシン−4(5H)−オン、又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含む、前記医薬組成物。
【請求項42】
前記遺伝子改変されたチロシンキナーゼが、遺伝子改変されたALK、遺伝子改変されたROS1、遺伝子改変されたTRK及び遺伝子改変されたJAKからなる群から選択される、請求項41に記載の医薬組成物。
【請求項43】
前記遺伝子改変されたALKが、ALK遺伝子によってコードされるタンパク質の断片並びにNPM、EML4、TPR、TFG、ATIC、CLTC1、TPM4、MSN ALO17及びMYH9からなる群から選択される遺伝子によってコードされるタンパク質の断片を含む融合タンパク質である、請求項42に記載の医薬組成物。
【請求項44】
前記融合タンパク質が、ALK遺伝子によってコードされるタンパク質の断片及びEML4遺伝子、NPM遺伝子、又はTPR遺伝子によってコードされるタンパク質の断片を含む、請求項43に記載の医薬組成物。
【請求項45】
前記遺伝子改変されたALKが、EML4−ALK融合タンパク質、NPM−ALK融合タンパク質、又はTPR−ALK融合タンパク質である、請求項42に記載の医薬組成物。
【請求項46】
前記EML4−ALK融合タンパク質、又はTPR−ALK融合タンパク質が、少なくとも1つの耐性変異を含む、請求項45に記載の医薬組成物。
【請求項47】
前記EML4−ALK融合タンパク質が、L1196M、G1202R、D1203R、L1152P/R、F1174C/L/V、C1156Y、I1171N、G1123S、S1206Y、G1269S/A、及び1151T挿入からなる群から選択される少なくとも1つの変異を含む、請求項45に記載の医薬組成物。
【請求項48】
前記TPR−ALK融合タンパク質が、L1196M点変異を含む、請求項46に記載の医薬組成物。
【請求項49】
前記癌がバイパス耐性機構を示す、請求項41〜48のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項50】
前記バイパス耐性機構がSRCによって媒介される、請求項49に記載の医薬組成物。
【請求項51】
前記癌が、ALCL、NSCLC、神経芽腫、炎症性筋線維芽細胞腫瘍、成人の腎細胞癌、小児腎細胞癌、乳癌、結腸腺癌、神経膠芽腫、多形神経膠芽腫及び未分化甲状腺癌からなる群から選択される、請求項41〜50のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項52】
前記癌がNSCLCである、請求項41〜50のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項53】
前記遺伝子改変されたROS1が、ROS1遺伝子によってコードされるタンパク質の断片及びFIG、TPM3、SDC4、SLC34A2、CD74、EZR、及びLRIG3からなる群から選択される遺伝子によってコードされるタンパク質の断片を含む融合タンパク質である、請求項42に記載の医薬組成物。
【請求項54】
前記遺伝子改変されたROS1が、CD74−ROS1融合タンパク質、SDC4−ROS1融合タンパク質、又はSLC34A2−ROS1融合タンパク質である、請求項53に記載の医薬組成物。
【請求項55】
前記CD74−ROS1融合タンパク質、SDC4−ROS1融合タンパク質、又はSLC34A2−ROS1融合タンパク質が、少なくとも1つの耐性変異を含む、請求項54に記載の医薬組成物。
【請求項56】
前記CD74−ROS1融合タンパク質が、G2032R、L2026M又はD2033N点変異を含む、前記SDC4−ROS1融合タンパク質がG2032R点変異を含む、又はSLC34A2−ROS1融合タンパク質がG2032R点変異を含む、請求項54に記載の医薬組成物。
【請求項57】
前記癌が、神経膠芽腫、多形神経膠芽腫、NSCLC、胆管癌、卵巣癌、胃腺癌、結腸直腸癌、炎症性筋線維芽細胞腫瘍、血管肉腫、及び類上皮血管内皮腫からなる群から選択される、請求項41、42又は53〜56のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項58】
前記癌がNSCLCである、請求項41、42又は53〜57のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項59】
前記遺伝子改変されたTRKが、TRKA遺伝子によってコードされるタンパク質の断片及びTPM3遺伝子又はLMNA遺伝子によってコードされるタンパク質の断片を含む融合タンパク質である、請求項42に記載の医薬組成物。
【請求項60】
前記遺伝子改変されたTRKが、TPM3−TRKA又はLMNA−TRKA融合タンパク質である、請求項42に記載の医薬組成物。
【請求項61】
前記TPM3−TRKA又はLMNA−TRKA融合タンパク質が、少なくとも1つの耐性変異を含む、請求項60に記載の医薬組成物。
【請求項62】
前記癌が、神経膠芽腫、多形神経膠芽腫、NSCLC、胆管癌、肝内胆管癌、結腸直腸癌、甲状腺乳頭癌、スピッツ腫瘍、肉腫、星細胞腫、脳の低グレードの神経膠腫、分泌乳癌、乳腺相似癌、乳癌、急性骨髄性白血病、先天性中胚葉性腎腫、先天性線維肉腫、Ph−様急性リンパ芽球性白血病、結腸腺癌、甲状腺癌、皮膚黒色腫、頭頸部扁平上皮癌及び小児神経膠腫からなる群から選択される、請求項41、42又は59〜61のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項63】
前記癌がNSCLCである、請求項41、42又は59〜62のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項64】
前記遺伝子改変されたJAKが、JAK2遺伝子によってコードされるタンパク質の断片及びTEL又はPCM1遺伝子によってコードされるタンパク質の断片を含む融合タンパク質である、請求項42に記載の医薬組成物。
【請求項65】
前記遺伝子改変されたJAKが、TEL−JAK2融合タンパク質、又はPCM−JAK2融合タンパク質である、請求項42に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づき、2015年7月21日出願の米国仮出願第62/195,081号及び2016年3月2日出願の米国仮出願第62/302,231号の優先権を主張するものであり、その両方は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、哺乳動物の疾患の治療における、特定のジアリール大環状化合物、具体的には、(7S,13R)−11−フルオロ−7,13−ジメチル−6,7,13,14−テトラヒドロ−1,15−エテノピラゾロ[4,3−f][1,4,8,10]ベンゾキサトリアザシクロトリデシン(benzoxatriazacyclotridecin)−4(5H)−オンの使用に関する。本開示はまた、そのような化合物を含む組成物、及び哺乳動物、特にヒトの疾患の治療においてそのような組成物を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
プロテインキナーゼは、細胞成長、増殖及び生存のための重要な調節因子である。遺伝的及びエピジェネティックな変化は、癌細胞内に蓄積すると、悪性プロセスを促進するシグナル伝達経路の異常な活性化をもたらす。(Manning,G.;Whyte,D.B.;Martinez,R.;Hunter,T.;Sudarsanam,S. ヒトゲノムのタンパク質キナーゼ補体(The protein kinase complement of the human genome),Science 2002,298,1912−1934)。これらのシグナル伝達経路の薬理学的阻害は、標的癌治療のための有望な介入の機会を提供する(Sawyers,C. 標的癌療法(Targeted cancer therapy),Nature 2004,432,294−297)。
【0004】
未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)は、白血球チロシンキナーゼ(LTK)と共に、受容体チロシンキナーゼのインスリン受容体(IR)スーパーファミリーに属する。ALKは、主に、中枢神経系及び末梢神経系で発現しており、神経系の正常な発達及び機能における潜在的役割が示唆される(Pulford K.ら Cell Mol.Life Sci.2004,61,2939)。ALKは、1994年に、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)細胞株におけるt(2;5)(p23;q35)染色体転位から生じる融合遺伝子によってコードされる融合タンパク質NPM(ヌクレオフォスミン)−ALKとして最初に発見された(Morris SW.ら Science 1994,263,1281)。20を超える異なるALK転位パートナーが、ALCL(60〜90%の発生率)、炎症性筋線維芽細胞腫瘍(IMT、50〜60%)、非小細胞肺癌(NSCLC、3〜7%)、結腸直腸癌(CRC、0〜2.4%)、乳癌(0〜2.4%)、及びまれな発生率の他の癌腫を含む多くの癌で発見された(Grande E.ら Mol.Cancer Ther.2011,10,569)。ALKの発癌性点変異は、家族性と散発性の両方の神経芽腫症例で発見された(Mosse YP.ら Nature 2008,455,930−935)。融合及び変異型の両方のALKは、高度に発癌性であり、異常なALK遺伝子を有する造血性腫瘍、固形腫瘍、及び間葉系腫瘍の治療のためのALK阻害剤の開発には、かなりの関心と努力を要する(Grande,E.ら Mol.Cancer Ther.2011,10,569−579)。クリゾチニブは、ALK陽性非小細胞肺癌の治療のために米国食品医薬品局により承認された。キナーゼ阻害剤の多くの標的療法と同様に、クリゾチニブの薬剤耐性が約10ヶ月で生じた。薬剤耐性機構には、標的遺伝子の増幅又は過剰発現、二次ミスセンス変異の発生、及び代替シグナル伝達経路の使用(いわゆる「バイパス耐性」)が含まれる。その結果、野生型及び多くの変異型ALKに対してより強力である第二世代のALK阻害剤が開発されてきた。そのような1つの変異は、ゲートキーパー変異ALKL1196Mである。セリチニブは、疾患の進行を示すか、又はクリゾチニブに不耐性であるALK陽性非小細胞肺癌患者の治療のために米国食品医薬品局により承認された。多くの第二世代のALK阻害剤が、臨床試験で検討されてきたが、第二世代のALK阻害剤に耐性を示す新しいALK変異が出現した。例えば、G1202R変異は、クリゾチニブ、セリチニブ、及びアレクチニブに耐性を示す腫瘍に見出されている(Politi K,Clin Cancer Res.2014,20,5576)。主に細胞内チロシンキナーゼドメインからなるALKの新規アイソフォームは、正常組織ではなく、黒色腫の約11%及び他のヒトの癌タイプで散発的に発現することが見出された(Wiesner T.ら Nature 2015,526,453−457)。これらの新しいALKアイソフォームは、複数の発癌性シグナル伝達経路を刺激し、ALK阻害剤に感受性であることから、ALK阻害からの臨床的利益の可能性が示唆される。
【0005】
ALK遺伝子が再配列した非小細胞肺癌は、ALK阻害剤クリゾチニブによる治療に感受性がある。しかしながら、薬剤耐性の出現は、普遍的であり、急速に臨床適用性を制限する。耐性機構には、ALK遺伝子増幅、ALKミスセンス変異の獲得、バイパス経路の活性化、及び上皮間葉転換(EMT)(KatayamaR2012)が含まれる(Katayama R.ら Sci Transl Med.2012,4(120):120ra17)。バイパス及びEMTは、獲得された耐性集団の大部分を構成する。ALK融合陽性患者の30〜40%が、ALK阻害剤治療に対する内因性耐性を有することに留意することは価値がある。ALK再配列NSCLCは、典型的には、転移性表現型としばしば関連し、上皮間葉転換(EMT)表現型と関係する固形の印環細胞パターンによって特徴付けられる腺癌である(Voena C.ら Oncotarget,2016,April 23,8955)。EML4−ALK v3融合遺伝子を有するH2228細胞株は、間葉表現型を示し、E−カドヘリンを直接抑制し、ビメンチン発現及びEMTに関与する他の遺伝子の発現を上方制御する。H2228細胞株は、クリゾチニブ及び他のALK阻害剤に対する内因性耐性を与える。したがって、EMT及び転移を標的にすることができる複合薬理学的ALK阻害剤を開発する必要がある。細胞の生存及び増殖を促進するために、元のドライバーオンコジーン及び二次的バイパストラックが重複して下流のシグナル伝達を維持する場合、バイパス耐性が生じる。例えば、患者由来のALKモデルにおけるALK阻害は、SRC活性を上方制御することが示されている。ALK阻害剤とSrcチロシンキナーゼ阻害剤の組み合わせは、患者由来のALKモデルにおいてインビトロ及びインビボで、下流のシグナル伝達を効果的に抑制することが示され、相乗阻害効果をもたらし、ALK阻害剤に再感作した(Crystal AS,Science.2014,346,1480)。ALKG1202Rを含む幅広い二次的ALK変異に対抗し、Srcシグナル伝達を阻害することができる新たなALK阻害剤の特定が、重要であり、ALK薬剤耐性を効果的に克服し、ALK阻害剤治療に対する応答を維持することが非常に望ましい。
【0006】
ROS1タンパク質は、ALK/LTK及びインスリン受容体キナーゼファミリーに密接関連する受容体チロシンキナーゼである。ヒトROS1キナーゼの正常な生理学的機能は、完全には理解されていないが、ROS1キナーゼの異常な発現及び可変の構成的活性化融合形態は、神経膠芽細胞腫、非小細胞肺癌、胆管癌、卵巣癌、胃腺癌、結腸直腸癌、炎症性筋線維芽細胞腫瘍、血管肉腫、及び類上皮血管内皮腫を含むいくつかの癌で報告されている(Kurtis DD,ら Clin Cancer Res 2013,19(15),1.)。FIG−ROS1融合タンパク質は、ヒト多形神経膠芽腫において2003年に発見されたROS1の第一の融合タンパク質であった(Charest A,ら Genes Chromosomes Cancer 2003,37,58)。TPM3、SDC4、SLC34A2、CD74、EZR、及びLRIG3を含むROS1キナーゼを有するいくつかの融合タンパク質が、ヒト肺癌から報告されており、肺癌におけるROS1キナーゼの発癌性の役割が示唆されている(Takeuchi K,ら Nat.Med.2012,18,378)。23人の胆管癌患者における活性化されたチロシンキナーゼシグナル伝達の調査により、胆管癌患者の8.7%にFIG−ROSキナーゼ融合の存在が確認された(Gu TL,ら PLoS One.2011,6,e15640)。KDELR2、CCDC6、MSN、LIMA1、CLTC、NFκB2、NCOR2、CEP85L、TMEM106B、HLA−A、MYO5A、PPFIBP1、ERC1、PWWP2A、CLIP1、ZCCHC8、SHTN1、TFG、及びYWHAEを含むROS1融合パートナーが、様々なヒト癌からますます報告されている(Uquen A,ら Future Oncol.2016,June 3 印刷前の電子出版)。まとめると、ROS1キナーゼは、異常なROSキナーゼ活性を有する癌に対する有望な分子ベースの標的候補である。ALK/MET/ROS1阻害剤クリゾチニブは、ROS1遺伝子異常について腫瘍が陽性であるNSCLC患者で顕著な有効性を実証した(Shaw AT,ら N Engl J Med 2015,372,683)。ROS1が再配列したと予想される、クリゾチニブに応答した陽性患者は、最終的には、疾患進行を経験した。ROS1G2032R二次変異及びバイパスシグナル伝達は、耐性と関連している(Awad MM,ら N Engl J Med 2013,368,2395)。耐性を克服するために、次世代のROS1阻害剤の開発が望まれている。
【0007】
トロポミオシン関連受容体チロシンキナーゼ(Trk)は、神経成長因子(NGF)ファミリーのニューロトロフィン(NT)に高親和性の受容体である。Trkは、もともと細胞外ドメインでトロポミオシン遺伝子と融合した癌遺伝子としてクローニングされた。TRKファミリーにおける染色体再配列又は変異によって引き起こされる活性化変異が、多くの癌で報告されている(Vaishnavi A,ら Cancer Discov.2015,5,25)。Trkが、疼痛の感覚だけでなく、腫瘍細胞の増殖及び生存のシグナル伝達に重要な役割を果たしているので、Trk受容体キナーゼの阻害剤は、疼痛及び癌治療に利益を提供する可能性がある。
【0008】
キナーゼのヤヌスファミリー(JAK)は、JAK1、JAK2、JAK3及びTYK2を含み、サイトカイン及び成長因子の生理的シグナル伝達に必要な細胞質非受容体チロシンキナーゼである(Quintas−Cardama A.ら,Nat.Rev.Drug Discov.2011,10(2),127)。JAK/STAT経路の異常な制御が、癌(JAK2)及び関節リウマチ(JAK1、JAK3)を含む複数のヒトの病理学的疾患に関与している。JAK2の機能獲得型変異(JAK2V617F)が、MPN患者において高頻度で発見されている(Levine RL,ら Cancer Cell 2005,7,387)。JAK2のJH2シュードキナーゼドメインにおける変異は、構成的キナーゼ活性をもたらす。JAK2V617F変異を含有する細胞は、サイトカイン非依存性増殖能を獲得し、腫瘍になる場合が多く、標的治療としてJAK阻害剤の開発に強力な理論的根拠を提供する。加えて、JAK2/シグナルトランスデューサー及び転写活性化因子3(JAK2/STAT3)の過剰活性が、異常な樹状細胞分化及び癌における免疫抑制骨髄細胞の蓄積につながる異常な樹状細胞分化に関与する(Nefedova Y,ら Cancer Res 2005,65,9525)。Ptenヌル老化腫瘍において、JAK2/STAT3経路が活性化されると、腫瘍成長及び化学療法耐性に寄与する免疫抑制腫瘍の微小環境が確立する(Toso A,ら Cell Reports 2014,9,75)。TEL(ETV6)とJAK2遺伝子の融合(TEL−JAK2)及びPCM1遺伝子とJAK2遺伝子の融合が、白血病患者において見出された(Lacronique V,ら Science 1997,278,5341,1309−12.Reiter A,ら Cancer Res.2005,65,7,2662−7)。JAK2/STAT3シグナル伝達経路がEGFR阻害剤耐性EGFR変異型非小細胞肺癌(NSCLC)細胞で異常に増加されることが報告され、JAK2の阻害は、EGFR依存性NSCLCの治療のためのJAKとEGFR阻害剤の併用療法の使用を指示するEGFR阻害剤に対する獲得耐性を克服する(Gao SP,ら Sci Signal.2016,9(421):ra33)。JAK2/STAT3シグナル伝達は、抗腫瘍免疫を抑制しつつ、増殖、生存、血管新生、腫瘍代謝を含む、腫瘍及びその環境における癌の顕著な特徴を促進する(Buchert M,ら Oncogene,2016,35,939−951)。JAK阻害剤でJAK2/STAT3経路のサイトカイン依存性活性化を阻害すると、薬剤耐性を獲得した他の癌遺伝子による癌細胞のための直交性治療の機会も与えられ得る。JAK2遺伝子の局所的増幅が、9p24増幅腫瘍のグループにおける化学療法後のトリプルネガティブ乳癌(TNBC)で観察され、腫瘍形成及び化学療法耐性における役割が示唆された(Balko JM,ら Sci Transl Med.2016,8(334):ra53)。したがって、JAK2シグナル伝達経路の薬理学的阻害は、抗腫瘍活性を増強するための重要な新しい治療戦略であり得る。c−Srcは、非受容体チロシンキナーゼである。Srcファミリー(SFK)は、ヒトでは8つのメンバー(Src、Fyn、Yes、Lyn、Lck、Hck、Blk及びFgr)を含み、分子量は52〜62kDaである。Src及びそのファミリーメンバーは、多くの種類の癌において脱制御される。Srcは、EGFR、HER2、及びc−Metを含む多くのRTKの主要な下流のトランスデューサーである。Srcシグナル伝達の活性化は、標的化抗内分泌療法、受容体チロシンキナーゼ療法、伝統的な化学療法、及び放射線療法に対する治療耐性の付与に関与している(Zhang S,ら Trends Pharmacol Sci.2012,33,122)。SRCは、DNA合成、受容体代謝回転の調節、アクチン細胞骨格再編成、遊走、接着、浸潤、運動性、及び生存に必要なシグナル伝達経路の関与を含むいくつかの方法で成長因子受容体からのシグナル伝達を促進することができる(Bromann PA,Oncogene 2004,23,7957−7968)。上皮間葉転換(EMT)及び転移の発生などの腫瘍進行に関連する事象において、Src活性を阻害することによって癌細胞の移動を制御する強力な転移抑制因子であるN−myc下流制御遺伝子1(NDRG1)との相互作用を介したSrcの重要な役割が報告されている(Liu W,ら Oncotarget.2015,6:35522−35541)。EGFR阻害剤は、EGFR活性化変異を保有するNSCLC患者の大半で大きな成功を収めているが、EGFR変異を有する患者の一部は、EGFR−TKIに不応性である。EGFR阻害剤に対する耐性が、SRC活性化及び上皮間葉転換(EMT)の誘導に関与することが報告されている。EGFR−TKIに対する一次耐性は、より高レベルのCRIPTO1発現に関連付けられている。CRIPTO1は、SRC及びZEB1を活性化し、マイクロRNA−205(miR−205)下方制御を介してEMTを促進した。したがって、EGFRとSRCの両方を標的化すると、CRIPTO1陽性EGFR変異型NSCLCを有する患者における内因性のEGFR阻害剤耐性が克服され得る(Park,K−S,ら J Clin Invest.2014,124(7):3003−3015)。接着斑キナーゼ(FAK)は、125kDaの非受容体チロシンキナーゼであり、接着、生存、運動性、転移、血管新生、リンパ脈管新生、癌幹細胞機能、腫瘍微小環境及び上皮間葉転換(EMT)において重要な役割を果たしている(Golubovskaya VM,Front Biosci(Landmark Ed).;19:687−706)。核内FAKは、ケモカイン転写、Treg、及び抗腫瘍免疫の回避を調節し、小分子FAKキナーゼ阻害剤VS−4718は、Tregの枯渇を促進し、CD8+T細胞媒介性抗腫瘍応答を促進する(Serrels A,ら Cells 2015,163,160−173)。したがって、FAK阻害剤は、免疫媒介性腫瘍退行を誘発し得る。FAKは、ヒト膵管腺癌(PDAC)で過剰活性され、免疫抑制腫瘍微小環境(TME)と関係する。接着斑キナーゼを標的化すると、マウスモデルにおいて線維性及び免疫抑制PDAC TMEを克服することによって、膵臓癌がチェックポイント免疫療法に応答するようになる(Jiang H,ら Nat Med.2016,Jul 4[印刷前の電子出版])。最近、選択的SRC阻害剤のサラカチニブが、ALK阻害剤耐性細胞株を再感作することができることが報告され、ALK阻害剤耐性の克服におけるSRC阻害の治療的役割が実証された(Crystal AS,ら Science 2014,346,1480−1486)。したがって、SRC/FAK阻害剤は、組み合わせレジメンで、現在の抗癌治療に対する耐性を克服し、転移再発、EMT及び癌治療耐性を防止することにおいて重要な役割を果たしている可能性がある。NAUK1とも呼ばれるAMP活性化プロテインキナーゼファミリーメンバー5(ARK5)は、AMPKの上流制御因子であり、ラパマイシン1(mTORC1)シグナル伝達経路の阻害を介してタンパク質合成を制限する。ARK5は、ミトコンドリア呼吸鎖複合体の発現及び効率的なグルタミン代謝のための呼吸能力を維持する。ARK5は、原発性NSCLC組織及び細胞株の両方で高度に発現しており、NSCLC転移と機能的に関連しており、NSCLC患者の予後不良の予測因子である。ARK5は、NSCLC細胞の遊走及び浸潤を調節し、mTOR経路で重要な役割を果たした(Shi L,ら Br J Cancer.2014,111(12):2316−27)。ARK5が、EMTの誘導を介してHCCでドキソルビシン耐性を与えることが報告された(Xu T,ら Cancer Lett.2016,377(2):140−8)。MYC腫瘍性タンパク質の脱調節発現は、多くのヒト腫瘍と関連している。MYCは、細胞の成長と増殖を促進し、細胞の代謝を変える。ARK5を阻害すると、脱調節MYCを発現する細胞において細胞ATPレベルが崩壊し、MYC駆動型肝細胞癌マウスモデルの生存が延長する(Liu L,ら Nature,2012,483,608−612)。したがって、ARK5阻害剤による細胞エネルギー恒常性の標的化は、MYC発現が脱調節された腫瘍細胞を排除するための有効な治療戦略である。
【0009】
Srcは、多くの種類の癌において脱調節されている非受容体チロシンキナーゼであり、EGFR、HER2、及びc−Metを含む多くのRTKの重要な下流のトランスデューサーである。Srcシグナル伝達の活性化は、標的化抗内分泌療法、受容体チロシンキナーゼ療法、伝統的な化学療法、及び放射線療法に対する治療耐性の付与に関与している(Zhang S,ら Trends Pharmacol Sci.2012,33,122)。Srcの阻害剤は、組合せレジメンで、現在の抗癌療法に対する耐性の克服及び転移の再発防止において重要な役割を果たし得る。Srcファミリーの細胞質チロシンキナーゼ(SFK)(非受容体チロシンキナーゼとしても知られる)は、成長因子及びインテグリンを含む多数の細胞外刺激によって誘導されるシグナル伝達に重要な役割を果たしている。SFK活性の上昇は、ヒト結腸直腸癌(CRC)の80%超に見られ、これは不良の臨床転帰と関連づけられている(Summy JM,ら Cancer Metastasis Rev.2003,22,337−358)。SFKメンバーのYesは、c−Srcと共有されていない、結腸癌の進行に重要な特定の発癌性シグナル伝達経路を制御する(Scancier F.ら PLoS One.2011,6(2):e17237)。WASF2−FGR融合遺伝子が、肺扁平上皮癌、卵巣漿液性嚢胞腺癌、及び皮膚黒色腫に見出された(Stransky N,ら Nature Communications 2014,5,4846)。エストロゲン受容体陽性(ER)乳癌は、ホルモン欠乏に適応し、抗エストロゲン療法に対して耐性になる。SRCファミリーキナーゼ(SFK)LYNの阻害SH2ドメイン中の変異は、アロマターゼ阻害剤レトロゾールによる治療後にも高度に増殖性のままであるER腫瘍に関連していた。LYNは、長期エストロゲン欠乏に耐性を示す複数のER乳癌株において上方制御された(Schwarz LJ,ら J Clin Invest.2014,124,5490−5502)。したがって、LYNの標的化は、ER乳癌のサブセットにおいて抗エストロゲンからの回避を克服する合理的な戦略である。LYNは、去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)において過剰発現しており、AR転写活性を増強し、CRPC進行を加速させることが報告され、Lynキナーゼの標的化は、分子シャペロンHsp90からのAR解離を誘導し、そのユビキチン化及びプロテアソーム分解をもたらした(Zardan A,ら Oncogenesis 2014,3,e115)。Lynチロシンキナーゼは、CRPCの治療のための潜在的な治療標的である。SrcファミリーキナーゼFYNは、神経系のシグナル伝達経路、並びに通常の生理学的条件下でのTリンパ球の発達及び活性化に関与している。Fynの活性化は、メラノーマ、グリア芽細胞腫、扁平上皮癌、前立腺癌及び乳癌を含む様々な癌で観察される(Elias D,ら Pharmacological Research 2015,100,250−254)。Fynは、タモキシフェン耐性乳癌細胞株において上方制御されており、耐性機構において重要な役割を果たしている。末梢T細胞リンパ腫(PTCL)は、予後不良の侵襲性非ホジキンリンパ腫の異種グループである。FYN活性化変異が、PTCLに見出され、活性化FYN変異型対立遺伝子の発現によって形質転換された細胞の成長を促進した。SRCキナーゼ阻害剤は、PTCLの治療に重要な役割を果たし得る(Couronne L,ら Blood 2013,122,811)。
【0010】
ジスコイジンドメイン受容体(DDR)は、マトリックスコラーゲンによって活性化され、増殖、分化、接着、遊走、及び浸潤などの多数の細胞機能に関与している。DDRは、それらの周囲のコラーゲンマトリックスと腫瘍細胞の相互作用を制御することにより、癌の進行において役割を果たしている。DDR1は、p53転写の直接的な標的であり、DDR1の活性化は、p53依存性DNA損傷と関連付けられている。DDR1は、Ras依存的にMAPKカスケードを活性化した。DDR1機能を阻害すると、遺伝毒性ストレスに応答して、カスパーゼ依存性経路を介して野生型p53含有細胞のアポトーシスが増加した(Ongusaha PP,ら EMBO J.2003,22,1289−1301)。DDRは、肺癌(Hammerman PS,ら Cancer Discov.2011,1,78−89)、漿液性および明細胞子宮体癌(Rudd ML,ら BMC Cancer 2014,14,884)、及び急性骨髄性白血病(Tomasson MH,ら Blood 2008,111:4797−4808)において体細胞変異を有するいくつかの主要な活性化チロシンキナーゼのうちの1つとして特定された。進行型のキルステンラット肉腫ウイルス癌遺伝子ホモログ(KRAS)−変異型肺腺癌は、効果的な標的療法の不足のために治療が難しい。DDR1とNotchの両方のシグナル伝達の同時阻害は、KRAS;TP53変異型の患者由来の肺異種移植片(PDX)の退行を誘導し、DDR1とNotchシグナル伝達の組み合わせ阻害が、KRAS変異型肺腺癌患者に効果的な標的化療法であり得ることが示された(Ambrogia C,ら Nature Medicine,2016,22,270−277)。
【0011】
疾患駆動性キナーゼ阻害剤に対する活性を有する化合物、特に、疾患の治療における治療剤として使用するための複数の遺伝的に改変されたキナーゼを含む複数のキナーゼに対する活性を有する化合物を調製することが望ましい。複合薬理学プロファイルを有する新しい化合物はまた、二次変異、バイパスシグナル伝達、EMT、癌の幹細胞性、及び転移を含む主要な癌遺伝子ドライバー並びにそれらの獲得耐性機構を標的化することが望ましい。
【発明の概要】
【0012】
概要
式I
【化1】
(式中、X、X、Z、Z、Z、Z、Z、Z、Z、M、R、R、R、R、R及びRは、本明細書に記載のとおり定義されている)の化合物は、野生型及び変異型ALK(未分化リンパ腫キナーゼ)、野生型及び変異型ROS1(ROS1癌原遺伝子受容体チロシンキナーゼ)、キナーゼのTRKファミリー(トロポミオシン関連受容体チロシンキナーゼ、TRKA/B/C)、キナーゼのヤヌスファミリーのJAK2及びSRC(タンパク質チロシンキナーゼのc−Srcファミリー(SFK))に対する活性を有することが示されている。
【0013】
1つのそのような化合物は、(7S,13R)−11−フルオロ−7,13−ジメチル−6,7,13,14−テトラヒドロ−1,15−エテノピラゾロ[4,3−f][1,4,8,10]ベンゾキサトリアザシクロトリデシン−4(5H)−オン(本明細書では「化合物1」とも呼ばれる)であり、式
【化2】
で表され、野生型及び変異型ALK(未分化リンパ腫キナーゼ)、野生型及び変異型ROS1(ROS1癌原遺伝子受容体チロシンキナーゼ)、キナーゼのTRKファミリー(トロポミオシン関連受容体チロシンキナーゼ、TRKA/B/C)、キナーゼのヤヌスファミリーのJAK2及びSRC(タンパク質チロシンキナーゼのc−Srcファミリー(SFK))に対する活性を示す強力な小分子多標的キナーゼ阻害剤であることが示されている。化合物1は、受容体及び非受容体チロシンキナーゼの阻害を介して薬理学的に媒介される抗腫瘍特性を含む特性を有する。化合物1は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際特許出願第PCT/US2015/012597に開示されている。
【0014】
一態様において、本開示は、患者の疾患を治療する方法であって、治療有効量の式I
【化3】
(式中、
Mは、CR4a又はNであり;
及びXは、独立して、S、S(O)、S(O)、O又はN(R)であり;
は、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、C−C10アリール、−C(O)OR又は−C(O)NRであり;ここで、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル及びC−C10アリールの各水素原子は、独立して、重水素、ハロゲン、−OH、−CN、−OC−Cアルキル、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)、−NHC(O)C−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)C−Cアルキル、−NHC(O)NH、−NHC(O)NHC−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)NH、−N(C−Cアルキル)C(O)NHC−Cアルキル、−NHC(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)N(C−Cアルキル)、−NHC(O)OC−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)OC−Cアルキル、−NHS(O)(C−Cアルキル)、−NHS(O)(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)(C−Cアルキル)、−NHS(O)NH、−NHS(O)NH、−N(C−Cアルキル)S(O)NH、−N(C−Cアルキル)S(O)NH、−NHS(O)NH(C−Cアルキル)、−NHS(O)NH(C−Cアルキル)、−NHS(O)N(C−Cアルキル)、−NHS(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)N(C−Cアルキル)、−COH、−C(O)OC−Cアルキル、−C(O)NH、−C(O)NH(C−Cアルキル)、−C(O)N(C−Cアルキル)、−SC−Cアルキル、−S(O)C−Cアルキル、S(O)−Cアルキル、−S(O)NH(C−Cアルキル)、−S(O)NH(C−Cアルキル)、−S(O)N(C−Cアルキル)、−S(O)N(C−Cアルキル)、−P(C−Cアルキル)、−P(O)(C−Cアルキル)、C−Cシクロアルキル、又は3〜7員のヘテロシクロアルキルで任意に置換されており;
【0015】
及びRの各々は独立して、H、重水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、C−C10アリール、−C(O)OR又は−C(O)NRであり;ここで、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル及びC−C10アリールの各水素原子は、独立して、重水素、ハロゲン、−OH、−CN、−OC−Cアルキル、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)、−NHC(O)C−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)C−Cアルキル、−NHC(O)NH、−NHC(O)NHC−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)NH、−N(C−Cアルキル)C(O)NHC−Cアルキル、−NHC(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)N(C−Cアルキル)、−NHC(O)OC−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)OC−Cアルキル、−NHS(O)(C−Cアルキル)、−NHS(O)(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)(C−Cアルキル)、−NHS(O)NH、−NHS(O)NH、−N(C−Cアルキル)S(O)NH、−N(C−Cアルキル)S(O)NH、−NHS(O)NH(C−Cアルキル)、−NHS(O)NH(C−Cアルキル)、−NHS(O)N(C−Cアルキル)、−NHS(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)N(C−Cアルキル)、−COH、−C(O)OC−Cアルキル、−C(O)NH、−C(O)NH(C−Cアルキル)、−C(O)N(C−Cアルキル)、−SC−Cアルキル、−S(O)C−Cアルキル、S(O)−Cアルキル、−S(O)NH(C−Cアルキル)、−S(O)NH(C−Cアルキル)、−S(O)N(C−Cアルキル)、−S(O)N(C−Cアルキル)、−P(C−Cアルキル)、−P(O)(C−Cアルキル)、C−Cシクロアルキル、又は3〜7員のヘテロシクロアルキルで任意に置換されており;
、R4a及びRは、それぞれ独立して、H、フルオロ、クロロ、ブロモ、C−Cアルキル、−OH、−CN、OC−Cアルキル、−NHC−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)又は−CFであり;
は、H、C−Cアルキル又は3〜7員のヘテロシクロアルキルであり、C−Cアルキル又は3〜7員のヘテロシクロアルキルの各水素原子は、独立して、ハロゲン、−OH、−CN、−OC−Cアルキル、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)、−COH、−CO−Cアルキル、−CONH、−CONH(C−Cアルキル)、−CON(C−Cアルキル)、シクロアルキル、又は単環式ヘテロシクロアルキルで任意に置換されており;
各R及びRは、独立して、H、重水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、3〜7員のヘテロシクロアルキル、C−C10アリール又はヘテロアリールであり;
各Rは、独立して、H、重水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、3〜7員のヘテロシクロアルキル、C−C10アリール、又は単環式若しくは二環式ヘテロアリールであり;ここで、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、3〜7員のヘテロシクロアルキル、C−C10アリール、又は単環式若しくは二環式ヘテロアリールの各水素原子は、独立して、重水素、ハロゲン、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル又は−ORで任意に置換されており;
各Z、Z、Z、Z、Z、Z又はZは、独立して、N、NH、又はC(R10)であり、各R10は、独立して、H、重水素、ハロゲン、C−Cアルキル、−OC−Cアルキル、−OH、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−NH(フェニル)、−NH(ヘテロアリール)、−CN、又は−CFであり;
但し、Z、Z、Z、Z、Z、Z又はZのうちの少なくとも1つは、N又はNHである)
の化合物又はその薬学的に許容される塩を該患者に投与することを含む方法を提供する。
【0016】
別の態様において、本開示は、遺伝子改変されたチロシン又はセリン/スレオニンキナーゼを発現することが以前に示された患者の癌を治療する方法であって、治療有効量の式I
【化4】
(式中、
Mは、CR4a又はNであり;
及びXは、独立して、S、S(O)、S(O)、O又はN(R)であり;
は、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、C−C10アリール、−C(O)OR又は−C(O)NRであり;ここで、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル及びC−C10アリールの各水素原子は、独立して、重水素、ハロゲン、−OH、−CN、−OC−Cアルキル、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)、−NHC(O)C−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)C−Cアルキル、−NHC(O)NH、−NHC(O)NHC−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)NH、−N(C−Cアルキル)C(O)NHC−Cアルキル、−NHC(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)N(C−Cアルキル)、−NHC(O)OC−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)OC−Cアルキル、−NHS(O)(C−Cアルキル)、−NHS(O)(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)(C−Cアルキル)、−NHS(O)NH、−NHS(O)NH、−N(C−Cアルキル)S(O)NH、−N(C−Cアルキル)S(O)NH、−NHS(O)NH(C−Cアルキル)、−NHS(O)NH(C−Cアルキル)、−NHS(O)N(C−Cアルキル)、−NHS(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)N(C−Cアルキル)、−COH、−C(O)OC−Cアルキル、−C(O)NH、−C(O)NH(C−Cアルキル)、−C(O)N(C−Cアルキル)、−SC−Cアルキル、−S(O)C−Cアルキル、S(O)−Cアルキル、−S(O)NH(C−Cアルキル)、−S(O)NH(C−Cアルキル)、−S(O)N(C−Cアルキル)、−S(O)N(C−Cアルキル)、−P(C−Cアルキル)、−P(O)(C−Cアルキル)、C−Cシクロアルキル、又は3〜7員のヘテロシクロアルキルで任意に置換されており;
【0017】
及びRの各々は独立して、H、重水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、C−C10アリール、−C(O)OR又は−C(O)NRであり;ここで、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル及びC−C10アリールの各水素原子は、独立して、重水素、ハロゲン、−OH、−CN、−OC−Cアルキル、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)、−NHC(O)C−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)C−Cアルキル、−NHC(O)NH、−NHC(O)NHC−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)NH、−N(C−Cアルキル)C(O)NHC−Cアルキル、−NHC(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)N(C−Cアルキル)、−NHC(O)OC−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)OC−Cアルキル、−NHS(O)(C−Cアルキル)、−NHS(O)(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)(C−Cアルキル)、−NHS(O)NH、−NHS(O)NH、−N(C−Cアルキル)S(O)NH、−N(C−Cアルキル)S(O)NH、−NHS(O)NH(C−Cアルキル)、−NHS(O)NH(C−Cアルキル)、−NHS(O)N(C−Cアルキル)、−NHS(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)N(C−Cアルキル)、−COH、−C(O)OC−Cアルキル、−C(O)NH、−C(O)NH(C−Cアルキル)、−C(O)N(C−Cアルキル)、−SC−Cアルキル、−S(O)C−Cアルキル、S(O)−Cアルキル、−S(O)NH(C−Cアルキル)、−S(O)NH(C−Cアルキル)、−S(O)N(C−Cアルキル)、−S(O)N(C−Cアルキル)、−P(C−Cアルキル)、−P(O)(C−Cアルキル)、C−Cシクロアルキル、又は3〜7員のヘテロシクロアルキルで任意に置換されており;
、R4a及びRは、それぞれ独立して、H、フルオロ、クロロ、ブロモ、C−Cアルキル、−OH、−CN、OC−Cアルキル、−NHC−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)又は−CFであり;
は、H、C−Cアルキル又は3〜7員のヘテロシクロアルキルであり、C−Cアルキル又は3〜7員のヘテロシクロアルキルの各水素原子は、独立して、ハロゲン、−OH、−CN、−OC−Cアルキル、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)、−COH、−CO−Cアルキル、−CONH、−CONH(C−Cアルキル)、−CON(C−Cアルキル)、シクロアルキル、又は単環式ヘテロシクロアルキルで任意に置換されており;
各R及びRは、独立して、H、重水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、3〜7員のヘテロシクロアルキル、C−C10アリール又はヘテロアリールであり;
各Rは、独立して、H、重水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、3〜7員のヘテロシクロアルキル、C−C10アリール、又は単環式若しくは二環式ヘテロアリールであり;ここで、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、3〜7員のヘテロシクロアルキル、C−C10アリール、又は単環式若しくは二環式ヘテロアリールの各水素原子は、独立して、重水素、ハロゲン、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル又は−ORで任意に置換されており;
各Z、Z、Z、Z、Z、Z又はZは、独立して、N、NH、又はC(R10)であり、各R10は、独立して、H、重水素、ハロゲン、C−Cアルキル、−OC−Cアルキル、−OH、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−NH(フェニル)、−NH(ヘテロアリール)、−CN、又は−CFであり;
但し、Z、Z、Z、Z、Z、Z又はZのうちの少なくとも1つは、N又はNHである)
の化合物又はその薬学的に許容される塩を該患者に投与することを含む方法を提供する。
【0018】
別の態様において、本開示は、患者の癌を治療する方法であって、
i.該患者において遺伝子改変されたチロシン又はセリンスレオニンキナーゼを特定すること、及び
ii.治療有効量の式I
【化5】
(式中、
Mは、CR4a又はNであり;
及びXは、独立して、S、S(O)、S(O)、O又はN(R)であり;
は、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、C−C10アリール、−C(O)OR又は−C(O)NRであり;ここで、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル及びC−C10アリールの各水素原子は、独立して、重水素、ハロゲン、−OH、−CN、−OC−Cアルキル、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)、−NHC(O)C−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)C−Cアルキル、−NHC(O)NH、−NHC(O)NHC−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)NH、−N(C−Cアルキル)C(O)NHC−Cアルキル、−NHC(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)N(C−Cアルキル)、−NHC(O)OC−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)OC−Cアルキル、−NHS(O)(C−Cアルキル)、−NHS(O)(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)(C−Cアルキル)、−NHS(O)NH、−NHS(O)NH、−N(C−Cアルキル)S(O)NH、−N(C−Cアルキル)S(O)NH、−NHS(O)NH(C−Cアルキル)、−NHS(O)NH(C−Cアルキル)、−NHS(O)N(C−Cアルキル)、−NHS(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)N(C−Cアルキル)、−COH、−C(O)OC−Cアルキル、−C(O)NH、−C(O)NH(C−Cアルキル)、−C(O)N(C−Cアルキル)、−SC−Cアルキル、−S(O)C−Cアルキル、S(O)−Cアルキル、−S(O)NH(C−Cアルキル)、−S(O)NH(C−Cアルキル)、−S(O)N(C−Cアルキル)、−S(O)N(C−Cアルキル)、−P(C−Cアルキル)、−P(O)(C−Cアルキル)、C−Cシクロアルキル、又は3〜7員のヘテロシクロアルキルで任意に置換されており;
【0019】
及びRの各々は独立して、H、重水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、C−C10アリール、−C(O)OR又は−C(O)NRであり;ここで、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル及びC−C10アリールの各水素原子は、独立して、重水素、ハロゲン、−OH、−CN、−OC−Cアルキル、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)、−NHC(O)C−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)C−Cアルキル、−NHC(O)NH、−NHC(O)NHC−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)NH、−N(C−Cアルキル)C(O)NHC−Cアルキル、−NHC(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)N(C−Cアルキル)、−NHC(O)OC−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)OC−Cアルキル、−NHS(O)(C−Cアルキル)、−NHS(O)(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)(C−Cアルキル)、−NHS(O)NH、−NHS(O)NH、−N(C−Cアルキル)S(O)NH、−N(C−Cアルキル)S(O)NH、−NHS(O)NH(C−Cアルキル)、−NHS(O)NH(C−Cアルキル)、−NHS(O)N(C−Cアルキル)、−NHS(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)N(C−Cアルキル)、−COH、−C(O)OC−Cアルキル、−C(O)NH、−C(O)NH(C−Cアルキル)、−C(O)N(C−Cアルキル)、−SC−Cアルキル、−S(O)C−Cアルキル、S(O)−Cアルキル、−S(O)NH(C−Cアルキル)、−S(O)NH(C−Cアルキル)、−S(O)N(C−Cアルキル)、−S(O)N(C−Cアルキル)、−P(C−Cアルキル)、−P(O)(C−Cアルキル)、C−Cシクロアルキル、又は3〜7員のヘテロシクロアルキルで任意に置換されており;
、R4a及びRは、それぞれ独立して、H、フルオロ、クロロ、ブロモ、C−Cアルキル、−OH、−CN、OC−Cアルキル、−NHC−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)又は−CFであり;
は、H、C−Cアルキル又は3〜7員のヘテロシクロアルキルであり、C−Cアルキル又は3〜7員のヘテロシクロアルキルの各水素原子は、独立して、ハロゲン、−OH、−CN、−OC−Cアルキル、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)、−COH、−CO−Cアルキル、−CONH、−CONH(C−Cアルキル)、−CON(C−Cアルキル)、シクロアルキル、又は単環式ヘテロシクロアルキルで任意に置換されており;
各R及びRは、独立して、H、重水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、3〜7員のヘテロシクロアルキル、C−C10アリール又はヘテロアリールであり;
各Rは、独立して、H、重水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、3〜7員のヘテロシクロアルキル、C−C10アリール、又は単環式若しくは二環式ヘテロアリールであり;ここで、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、3〜7員のヘテロシクロアルキル、C−C10アリール、又は単環式若しくは二環式ヘテロアリールの各水素原子は、独立して、重水素、ハロゲン、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル又は−ORで任意に置換されており;
各Z、Z、Z、Z、Z、Z又はZは、独立して、N、NH、又はC(R10)であり、各R10は、独立して、H、重水素、ハロゲン、C−Cアルキル、−OC−Cアルキル、−OH、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−NH(フェニル)、−NH(ヘテロアリール)、−CN、又は−CFであり;
但し、Z、Z、Z、Z、Z、Z又はZのうちの少なくとも1つは、N又はNHである)
の化合物又はその薬学的に許容される塩を該患者に投与すること、を含む方法を提供する。
【0020】
別の態様において、本開示は、式I
【化6】
(式中、
Mは、CR4a又はNであり;
及びXは、独立して、S、S(O)、S(O)、O又はN(R)であり;
は、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、C−C10アリール、−C(O)OR又は−C(O)NRであり;ここで、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル及びC−C10アリールの各水素原子は、独立して、重水素、ハロゲン、−OH、−CN、−OC−Cアルキル、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)、−NHC(O)C−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)C−Cアルキル、−NHC(O)NH、−NHC(O)NHC−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)NH、−N(C−Cアルキル)C(O)NHC−Cアルキル、−NHC(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)N(C−Cアルキル)、−NHC(O)OC−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)OC−Cアルキル、−NHS(O)(C−Cアルキル)、−NHS(O)(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)(C−Cアルキル)、−NHS(O)NH、−NHS(O)NH、−N(C−Cアルキル)S(O)NH、−N(C−Cアルキル)S(O)NH、−NHS(O)NH(C−Cアルキル)、−NHS(O)NH(C−Cアルキル)、−NHS(O)N(C−Cアルキル)、−NHS(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)N(C−Cアルキル)、−COH、−C(O)OC−Cアルキル、−C(O)NH、−C(O)NH(C−Cアルキル)、−C(O)N(C−Cアルキル)、−SC−Cアルキル、−S(O)C−Cアルキル、S(O)−Cアルキル、−S(O)NH(C−Cアルキル)、−S(O)NH(C−Cアルキル)、−S(O)N(C−Cアルキル)、−S(O)N(C−Cアルキル)、−P(C−Cアルキル)、−P(O)(C−Cアルキル)、C−Cシクロアルキル、又は3〜7員のヘテロシクロアルキルで任意に置換されており;
【0021】
及びRの各々は独立して、H、重水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、C−C10アリール、−C(O)OR又は−C(O)NRであり;ここで、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル及びC−C10アリールの各水素原子は、独立して、重水素、ハロゲン、−OH、−CN、−OC−Cアルキル、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)、−NHC(O)C−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)C−Cアルキル、−NHC(O)NH、−NHC(O)NHC−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)NH、−N(C−Cアルキル)C(O)NHC−Cアルキル、−NHC(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)N(C−Cアルキル)、−NHC(O)OC−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)OC−Cアルキル、−NHS(O)(C−Cアルキル)、−NHS(O)(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)(C−Cアルキル)、−NHS(O)NH、−NHS(O)NH、−N(C−Cアルキル)S(O)NH、−N(C−Cアルキル)S(O)NH、−NHS(O)NH(C−Cアルキル)、−NHS(O)NH(C−Cアルキル)、−NHS(O)N(C−Cアルキル)、−NHS(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)N(C−Cアルキル)、−COH、−C(O)OC−Cアルキル、−C(O)NH、−C(O)NH(C−Cアルキル)、−C(O)N(C−Cアルキル)、−SC−Cアルキル、−S(O)C−Cアルキル、S(O)−Cアルキル、−S(O)NH(C−Cアルキル)、−S(O)NH(C−Cアルキル)、−S(O)N(C−Cアルキル)、−S(O)N(C−Cアルキル)、−P(C−Cアルキル)、−P(O)(C−Cアルキル)、C−Cシクロアルキル、又は3〜7員のヘテロシクロアルキルで任意に置換されており;
、R4a及びRは、それぞれ独立して、H、フルオロ、クロロ、ブロモ、C−Cアルキル、−OH、−CN、OC−Cアルキル、−NHC−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)又は−CFであり;
は、H、C−Cアルキル又は3〜7員のヘテロシクロアルキルであり、C−Cアルキル又は3〜7員のヘテロシクロアルキルの各水素原子は、独立して、ハロゲン、−OH、−CN、−OC−Cアルキル、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)、−COH、−CO−Cアルキル、−CONH、−CONH(C−Cアルキル)、−CON(C−Cアルキル)、シクロアルキル、又は単環式ヘテロシクロアルキルで任意に置換されており;
各R及びRは、独立して、H、重水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、3〜7員のヘテロシクロアルキル、C−C10アリール又はヘテロアリールであり;
各Rは、独立して、H、重水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、3〜7員のヘテロシクロアルキル、C−C10アリール、又は単環式若しくは二環式ヘテロアリールであり;ここで、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、3〜7員のヘテロシクロアルキル、C−C10アリール、又は単環式若しくは二環式ヘテロアリールの各水素原子は、独立して、重水素、ハロゲン、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル又は−ORで任意に置換されており;
各Z、Z、Z、Z、Z、Z又はZは、独立して、N、NH、又はC(R10)であり、各R10は、独立して、H、重水素、ハロゲン、C−Cアルキル、−OC−Cアルキル、−OH、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−NH(フェニル)、−NH(ヘテロアリール)、−CN、又は−CFであり;
但し、Z、Z、Z、Z、Z、Z又はZのうちの少なくとも1つは、N又はNHである)
の化合物又はその薬学的に許容される塩での治療のための患者を特定する方法であって、遺伝子改変されたチロシン又はセリン/スレオニンキナーゼによって媒介される癌を有する患者を診断することを含む方法を提供する。
【0022】
別の態様において、本開示は、患者の疾患の治療のための薬剤の調製における式I
【化7】
(式中、
Mは、CR4a又はNであり;
及びXは、独立して、S、S(O)、S(O)、O又はN(R)であり;
は、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、C−C10アリール、−C(O)OR又は−C(O)NRであり;ここで、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル及びC−C10アリールの各水素原子は、独立して、重水素、ハロゲン、−OH、−CN、−OC−Cアルキル、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)、−NHC(O)C−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)C−Cアルキル、−NHC(O)NH、−NHC(O)NHC−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)NH、−N(C−Cアルキル)C(O)NHC−Cアルキル、−NHC(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)N(C−Cアルキル)、−NHC(O)OC−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)OC−Cアルキル、−NHS(O)(C−Cアルキル)、−NHS(O)(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)(C−Cアルキル)、−NHS(O)NH、−NHS(O)NH、−N(C−Cアルキル)S(O)NH、−N(C−Cアルキル)S(O)NH、−NHS(O)NH(C−Cアルキル)、−NHS(O)NH(C−Cアルキル)、−NHS(O)N(C−Cアルキル)、−NHS(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)N(C−Cアルキル)、−COH、−C(O)OC−Cアルキル、−C(O)NH、−C(O)NH(C−Cアルキル)、−C(O)N(C−Cアルキル)、−SC−Cアルキル、−S(O)C−Cアルキル、S(O)−Cアルキル、−S(O)NH(C−Cアルキル)、−S(O)NH(C−Cアルキル)、−S(O)N(C−Cアルキル)、−S(O)N(C−Cアルキル)、−P(C−Cアルキル)、−P(O)(C−Cアルキル)、C−Cシクロアルキル、又は3〜7員のヘテロシクロアルキルで任意に置換されており;
【0023】
及びRの各々は独立して、H、重水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、C−C10アリール、−C(O)OR又は−C(O)NRであり;ここで、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル及びC−C10アリールの各水素原子は、独立して、重水素、ハロゲン、−OH、−CN、−OC−Cアルキル、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)、−NHC(O)C−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)C−Cアルキル、−NHC(O)NH、−NHC(O)NHC−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)NH、−N(C−Cアルキル)C(O)NHC−Cアルキル、−NHC(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)N(C−Cアルキル)、−NHC(O)OC−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)OC−Cアルキル、−NHS(O)(C−Cアルキル)、−NHS(O)(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)(C−Cアルキル)、−NHS(O)NH、−NHS(O)NH、−N(C−Cアルキル)S(O)NH、−N(C−Cアルキル)S(O)NH、−NHS(O)NH(C−Cアルキル)、−NHS(O)NH(C−Cアルキル)、−NHS(O)N(C−Cアルキル)、−NHS(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)N(C−Cアルキル)、−COH、−C(O)OC−Cアルキル、−C(O)NH、−C(O)NH(C−Cアルキル)、−C(O)N(C−Cアルキル)、−SC−Cアルキル、−S(O)C−Cアルキル、S(O)−Cアルキル、−S(O)NH(C−Cアルキル)、−S(O)NH(C−Cアルキル)、−S(O)N(C−Cアルキル)、−S(O)N(C−Cアルキル)、−P(C−Cアルキル)、−P(O)(C−Cアルキル)、C−Cシクロアルキル、又は3〜7員のヘテロシクロアルキルで任意に置換されており;
、R4a及びRは、それぞれ独立して、H、フルオロ、クロロ、ブロモ、C−Cアルキル、−OH、−CN、OC−Cアルキル、−NHC−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)又は−CFであり;
は、H、C−Cアルキル又は3〜7員のヘテロシクロアルキルであり、C−Cアルキル又は3〜7員のヘテロシクロアルキルの各水素原子は、独立して、ハロゲン、−OH、−CN、−OC−Cアルキル、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)、−COH、−CO−Cアルキル、−CONH、−CONH(C−Cアルキル)、−CON(C−Cアルキル)、シクロアルキル、又は単環式ヘテロシクロアルキルで任意に置換されており;
各R及びRは、独立して、H、重水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、3〜7員のヘテロシクロアルキル、C−C10アリール又はヘテロアリールであり;
各Rは、独立して、H、重水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、3〜7員のヘテロシクロアルキル、C−C10アリール、又は単環式若しくは二環式ヘテロアリールであり;ここで、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、3〜7員のヘテロシクロアルキル、C−C10アリール、又は単環式若しくは二環式ヘテロアリールの各水素原子は、独立して、重水素、ハロゲン、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル又は−ORで任意に置換されており;
各Z、Z、Z、Z、Z、Z又はZは、独立して、N、NH、又はC(R10)であり、各R10は、独立して、H、重水素、ハロゲン、C−Cアルキル、−OC−Cアルキル、−OH、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−NH(フェニル)、−NH(ヘテロアリール)、−CN、又は−CFであり;
但し、Z、Z、Z、Z、Z、Z又はZのうちの少なくとも1つは、N又はNHである)
の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0024】
別の態様において、本開示は、患者の癌を治療するための式I
【化8】
(式中、
Mは、CR4a又はNであり;
及びXは、独立して、S、S(O)、S(O)、O又はN(R)であり;
は、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、C−C10アリール、−C(O)OR又は−C(O)NRであり;ここで、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル及びC−C10アリールの各水素原子は、独立して、重水素、ハロゲン、−OH、−CN、−OC−Cアルキル、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)、−NHC(O)C−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)C−Cアルキル、−NHC(O)NH、−NHC(O)NHC−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)NH、−N(C−Cアルキル)C(O)NHC−Cアルキル、−NHC(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)N(C−Cアルキル)、−NHC(O)OC−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)OC−Cアルキル、−NHS(O)(C−Cアルキル)、−NHS(O)(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)(C−Cアルキル)、−NHS(O)NH、−NHS(O)NH、−N(C−Cアルキル)S(O)NH、−N(C−Cアルキル)S(O)NH、−NHS(O)NH(C−Cアルキル)、−NHS(O)NH(C−Cアルキル)、−NHS(O)N(C−Cアルキル)、−NHS(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)N(C−Cアルキル)、−COH、−C(O)OC−Cアルキル、−C(O)NH、−C(O)NH(C−Cアルキル)、−C(O)N(C−Cアルキル)、−SC−Cアルキル、−S(O)C−Cアルキル、S(O)−Cアルキル、−S(O)NH(C−Cアルキル)、−S(O)NH(C−Cアルキル)、−S(O)N(C−Cアルキル)、−S(O)N(C−Cアルキル)、−P(C−Cアルキル)、−P(O)(C−Cアルキル)、C−Cシクロアルキル、又は3〜7員のヘテロシクロアルキルで任意に置換されており;
【0025】
及びRの各々は独立して、H、重水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、C−C10アリール、−C(O)OR又は−C(O)NRであり;ここで、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル及びC−C10アリールの各水素原子は、独立して、重水素、ハロゲン、−OH、−CN、−OC−Cアルキル、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)、−NHC(O)C−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)C−Cアルキル、−NHC(O)NH、−NHC(O)NHC−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)NH、−N(C−Cアルキル)C(O)NHC−Cアルキル、−NHC(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)N(C−Cアルキル)、−NHC(O)OC−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)OC−Cアルキル、−NHS(O)(C−Cアルキル)、−NHS(O)(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)(C−Cアルキル)、−NHS(O)NH、−NHS(O)NH、−N(C−Cアルキル)S(O)NH、−N(C−Cアルキル)S(O)NH、−NHS(O)NH(C−Cアルキル)、−NHS(O)NH(C−Cアルキル)、−NHS(O)N(C−Cアルキル)、−NHS(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)N(C−Cアルキル)、−COH、−C(O)OC−Cアルキル、−C(O)NH、−C(O)NH(C−Cアルキル)、−C(O)N(C−Cアルキル)、−SC−Cアルキル、−S(O)C−Cアルキル、S(O)−Cアルキル、−S(O)NH(C−Cアルキル)、−S(O)NH(C−Cアルキル)、−S(O)N(C−Cアルキル)、−S(O)N(C−Cアルキル)、−P(C−Cアルキル)、−P(O)(C−Cアルキル)、C−Cシクロアルキル、又は3〜7員のヘテロシクロアルキルで任意に置換されており;
、R4a及びRは、それぞれ独立して、H、フルオロ、クロロ、ブロモ、C−Cアルキル、−OH、−CN、OC−Cアルキル、−NHC−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)又は−CFであり;
は、H、C−Cアルキル又は3〜7員のヘテロシクロアルキルであり、C−Cアルキル又は3〜7員のヘテロシクロアルキルの各水素原子は、独立して、ハロゲン、−OH、−CN、−OC−Cアルキル、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)、−COH、−CO−Cアルキル、−CONH、−CONH(C−Cアルキル)、−CON(C−Cアルキル)、シクロアルキル、又は単環式ヘテロシクロアルキルで任意に置換されており;
各R及びRは、独立して、H、重水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、3〜7員のヘテロシクロアルキル、C−C10アリール又はヘテロアリールであり;
各Rは、独立して、H、重水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、3〜7員のヘテロシクロアルキル、C−C10アリール、又は単環式若しくは二環式ヘテロアリールであり;ここで、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、3〜7員のヘテロシクロアルキル、C−C10アリール、又は単環式若しくは二環式ヘテロアリールの各水素原子は、独立して、重水素、ハロゲン、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル又は−ORで任意に置換されており;
各Z、Z、Z、Z、Z、Z又はZは、独立して、N、NH、又はC(R10)であり、各R10は、独立して、H、重水素、ハロゲン、C−Cアルキル、−OC−Cアルキル、−OH、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−NH(フェニル)、−NH(ヘテロアリール)、−CN、又は−CFであり;
但し、Z、Z、Z、Z、Z、Z又はZのうちの少なくとも1つは、N又はNHである)
の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0026】
別の態様において、本開示は、患者の疼痛を治療するための式I
【化9】
(式中、
Mは、CR4a又はNであり;
及びXは、独立して、S、S(O)、S(O)、O又はN(R)であり;
は、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、C−C10アリール、−C(O)OR又は−C(O)NRであり;ここで、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル及びC−C10アリールの各水素原子は、独立して、重水素、ハロゲン、−OH、−CN、−OC−Cアルキル、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)、−NHC(O)C−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)C−Cアルキル、−NHC(O)NH、−NHC(O)NHC−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)NH、−N(C−Cアルキル)C(O)NHC−Cアルキル、−NHC(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)N(C−Cアルキル)、−NHC(O)OC−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)OC−Cアルキル、−NHS(O)(C−Cアルキル)、−NHS(O)(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)(C−Cアルキル)、−NHS(O)NH、−NHS(O)NH、−N(C−Cアルキル)S(O)NH、−N(C−Cアルキル)S(O)NH、−NHS(O)NH(C−Cアルキル)、−NHS(O)NH(C−Cアルキル)、−NHS(O)N(C−Cアルキル)、−NHS(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)N(C−Cアルキル)、−COH、−C(O)OC−Cアルキル、−C(O)NH、−C(O)NH(C−Cアルキル)、−C(O)N(C−Cアルキル)、−SC−Cアルキル、−S(O)C−Cアルキル、S(O)−Cアルキル、−S(O)NH(C−Cアルキル)、−S(O)NH(C−Cアルキル)、−S(O)N(C−Cアルキル)、−S(O)N(C−Cアルキル)、−P(C−Cアルキル)、−P(O)(C−Cアルキル)、C−Cシクロアルキル、又は3〜7員のヘテロシクロアルキルで任意に置換されており;
【0027】
及びRの各々は独立して、H、重水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、C−C10アリール、−C(O)OR又は−C(O)NRであり;ここで、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル及びC−C10アリールの各水素原子は、独立して、重水素、ハロゲン、−OH、−CN、−OC−Cアルキル、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)、−NHC(O)C−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)C−Cアルキル、−NHC(O)NH、−NHC(O)NHC−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)NH、−N(C−Cアルキル)C(O)NHC−Cアルキル、−NHC(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)N(C−Cアルキル)、−NHC(O)OC−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)OC−Cアルキル、−NHS(O)(C−Cアルキル)、−NHS(O)(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)(C−Cアルキル)、−NHS(O)NH、−NHS(O)NH、−N(C−Cアルキル)S(O)NH、−N(C−Cアルキル)S(O)NH、−NHS(O)NH(C−Cアルキル)、−NHS(O)NH(C−Cアルキル)、−NHS(O)N(C−Cアルキル)、−NHS(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)N(C−Cアルキル)、−COH、−C(O)OC−Cアルキル、−C(O)NH、−C(O)NH(C−Cアルキル)、−C(O)N(C−Cアルキル)、−SC−Cアルキル、−S(O)C−Cアルキル、S(O)−Cアルキル、−S(O)NH(C−Cアルキル)、−S(O)NH(C−Cアルキル)、−S(O)N(C−Cアルキル)、−S(O)N(C−Cアルキル)、−P(C−Cアルキル)、−P(O)(C−Cアルキル)、C−Cシクロアルキル、又は3〜7員のヘテロシクロアルキルで任意に置換されており;
、R4a及びRは、それぞれ独立して、H、フルオロ、クロロ、ブロモ、C−Cアルキル、−OH、−CN、OC−Cアルキル、−NHC−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)又は−CFであり;
は、H、C−Cアルキル又は3〜7員のヘテロシクロアルキルであり、C−Cアルキル又は3〜7員のヘテロシクロアルキルの各水素原子は、独立して、ハロゲン、−OH、−CN、−OC−Cアルキル、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)、−COH、−CO−Cアルキル、−CONH、−CONH(C−Cアルキル)、−CON(C−Cアルキル)、シクロアルキル、又は単環式ヘテロシクロアルキルで任意に置換されており;
各R及びRは、独立して、H、重水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、3〜7員のヘテロシクロアルキル、C−C10アリール又はヘテロアリールであり;
各Rは、独立して、H、重水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、3〜7員のヘテロシクロアルキル、C−C10アリール、又は単環式若しくは二環式ヘテロアリールであり;ここで、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、3〜7員のヘテロシクロアルキル、C−C10アリール、又は単環式若しくは二環式ヘテロアリールの各水素原子は、独立して、重水素、ハロゲン、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル又は−ORで任意に置換されており;
各Z、Z、Z、Z、Z、Z又はZは、独立して、N、NH、又はC(R10)であり、各R10は、独立して、H、重水素、ハロゲン、C−Cアルキル、−OC−Cアルキル、−OH、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−NH(フェニル)、−NH(ヘテロアリール)、−CN、又は−CFであり;
但し、Z、Z、Z、Z、Z、Z又はZのうちの少なくとも1つは、N又はNHである)
の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0028】
別の態様において、本開示は、遺伝子改変されたチロシン又はセリン/スレオニンキナーゼを発現することが以前に示された患者の癌を治療するための式I
【化10】
(式中、
Mは、CR4a又はNであり;
及びXは、独立して、S、S(O)、S(O)、O又はN(R)であり;
は、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、C−C10アリール、−C(O)OR又は−C(O)NRであり;ここで、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル及びC−C10アリールの各水素原子は、独立して、重水素、ハロゲン、−OH、−CN、−OC−Cアルキル、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)、−NHC(O)C−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)C−Cアルキル、−NHC(O)NH、−NHC(O)NHC−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)NH、−N(C−Cアルキル)C(O)NHC−Cアルキル、−NHC(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)N(C−Cアルキル)、−NHC(O)OC−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)OC−Cアルキル、−NHS(O)(C−Cアルキル)、−NHS(O)(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)(C−Cアルキル)、−NHS(O)NH、−NHS(O)NH、−N(C−Cアルキル)S(O)NH、−N(C−Cアルキル)S(O)NH、−NHS(O)NH(C−Cアルキル)、−NHS(O)NH(C−Cアルキル)、−NHS(O)N(C−Cアルキル)、−NHS(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)N(C−Cアルキル)、−COH、−C(O)OC−Cアルキル、−C(O)NH、−C(O)NH(C−Cアルキル)、−C(O)N(C−Cアルキル)、−SC−Cアルキル、−S(O)C−Cアルキル、S(O)−Cアルキル、−S(O)NH(C−Cアルキル)、−S(O)NH(C−Cアルキル)、−S(O)N(C−Cアルキル)、−S(O)N(C−Cアルキル)、−P(C−Cアルキル)、−P(O)(C−Cアルキル)、C−Cシクロアルキル、又は3〜7員のヘテロシクロアルキルで任意に置換されており;
【0029】
及びRの各々は独立して、H、重水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、C−C10アリール、−C(O)OR又は−C(O)NRであり;ここで、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル及びC−C10アリールの各水素原子は、独立して、重水素、ハロゲン、−OH、−CN、−OC−Cアルキル、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)、−NHC(O)C−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)C−Cアルキル、−NHC(O)NH、−NHC(O)NHC−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)NH、−N(C−Cアルキル)C(O)NHC−Cアルキル、−NHC(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)N(C−Cアルキル)、−NHC(O)OC−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)OC−Cアルキル、−NHS(O)(C−Cアルキル)、−NHS(O)(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)(C−Cアルキル)、−NHS(O)NH、−NHS(O)NH、−N(C−Cアルキル)S(O)NH、−N(C−Cアルキル)S(O)NH、−NHS(O)NH(C−Cアルキル)、−NHS(O)NH(C−Cアルキル)、−NHS(O)N(C−Cアルキル)、−NHS(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)N(C−Cアルキル)、−COH、−C(O)OC−Cアルキル、−C(O)NH、−C(O)NH(C−Cアルキル)、−C(O)N(C−Cアルキル)、−SC−Cアルキル、−S(O)C−Cアルキル、S(O)−Cアルキル、−S(O)NH(C−Cアルキル)、−S(O)NH(C−Cアルキル)、−S(O)N(C−Cアルキル)、−S(O)N(C−Cアルキル)、−P(C−Cアルキル)、−P(O)(C−Cアルキル)、C−Cシクロアルキル、又は3〜7員のヘテロシクロアルキルで任意に置換されており;
、R4a及びRは、それぞれ独立して、H、フルオロ、クロロ、ブロモ、C−Cアルキル、−OH、−CN、OC−Cアルキル、−NHC−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)又は−CFであり;
は、H、C−Cアルキル又は3〜7員のヘテロシクロアルキルであり、C−Cアルキル又は3〜7員のヘテロシクロアルキルの各水素原子は、独立して、ハロゲン、−OH、−CN、−OC−Cアルキル、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)、−COH、−CO−Cアルキル、−CONH、−CONH(C−Cアルキル)、−CON(C−Cアルキル)、シクロアルキル、又は単環式ヘテロシクロアルキルで任意に置換されており;
各R及びRは、独立して、H、重水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、3〜7員のヘテロシクロアルキル、C−C10アリール又はヘテロアリールであり;
各Rは、独立して、H、重水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、3〜7員のヘテロシクロアルキル、C−C10アリール、又は単環式若しくは二環式ヘテロアリールであり;ここで、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、3〜7員のヘテロシクロアルキル、C−C10アリール、又は単環式若しくは二環式ヘテロアリールの各水素原子は、独立して、重水素、ハロゲン、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル又は−ORで任意に置換されており;
各Z、Z、Z、Z、Z、Z又はZは、独立して、N、NH、又はC(R10)であり、各R10は、独立して、H、重水素、ハロゲン、C−Cアルキル、−OC−Cアルキル、−OH、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−NH(フェニル)、−NH(ヘテロアリール)、−CN、又は−CFであり;
但し、Z、Z、Z、Z、Z、Z又はZのうちの少なくとも1つは、N又はNHである)
の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0030】
別の態様において、本開示は、患者の癌を治療するための式I
【化11】
(式中、
Mは、CR4a又はNであり;
及びXは、独立して、S、S(O)、S(O)、O又はN(R)であり;
は、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、C−C10アリール、−C(O)OR又は−C(O)NRであり;ここで、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル及びC−C10アリールの各水素原子は、独立して、重水素、ハロゲン、−OH、−CN、−OC−Cアルキル、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)、−NHC(O)C−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)C−Cアルキル、−NHC(O)NH、−NHC(O)NHC−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)NH、−N(C−Cアルキル)C(O)NHC−Cアルキル、−NHC(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)N(C−Cアルキル)、−NHC(O)OC−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)OC−Cアルキル、−NHS(O)(C−Cアルキル)、−NHS(O)(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)(C−Cアルキル)、−NHS(O)NH、−NHS(O)NH、−N(C−Cアルキル)S(O)NH、−N(C−Cアルキル)S(O)NH、−NHS(O)NH(C−Cアルキル)、−NHS(O)NH(C−Cアルキル)、−NHS(O)N(C−Cアルキル)、−NHS(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)N(C−Cアルキル)、−COH、−C(O)OC−Cアルキル、−C(O)NH、−C(O)NH(C−Cアルキル)、−C(O)N(C−Cアルキル)、−SC−Cアルキル、−S(O)C−Cアルキル、S(O)−Cアルキル、−S(O)NH(C−Cアルキル)、−S(O)NH(C−Cアルキル)、−S(O)N(C−Cアルキル)、−S(O)N(C−Cアルキル)、−P(C−Cアルキル)、−P(O)(C−Cアルキル)、C−Cシクロアルキル、又は3〜7員のヘテロシクロアルキルで任意に置換されており;
【0031】
及びRの各々は独立して、H、重水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、C−C10アリール、−C(O)OR又は−C(O)NRであり;ここで、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル及びC−C10アリールの各水素原子は、独立して、重水素、ハロゲン、−OH、−CN、−OC−Cアルキル、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)、−NHC(O)C−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)C−Cアルキル、−NHC(O)NH、−NHC(O)NHC−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)NH、−N(C−Cアルキル)C(O)NHC−Cアルキル、−NHC(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)N(C−Cアルキル)、−NHC(O)OC−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)OC−Cアルキル、−NHS(O)(C−Cアルキル)、−NHS(O)(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)(C−Cアルキル)、−NHS(O)NH、−NHS(O)NH、−N(C−Cアルキル)S(O)NH、−N(C−Cアルキル)S(O)NH、−NHS(O)NH(C−Cアルキル)、−NHS(O)NH(C−Cアルキル)、−NHS(O)N(C−Cアルキル)、−NHS(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)N(C−Cアルキル)、−COH、−C(O)OC−Cアルキル、−C(O)NH、−C(O)NH(C−Cアルキル)、−C(O)N(C−Cアルキル)、−SC−Cアルキル、−S(O)C−Cアルキル、S(O)−Cアルキル、−S(O)NH(C−Cアルキル)、−S(O)NH(C−Cアルキル)、−S(O)N(C−Cアルキル)、−S(O)N(C−Cアルキル)、−P(C−Cアルキル)、−P(O)(C−Cアルキル)、C−Cシクロアルキル、又は3〜7員のヘテロシクロアルキルで任意に置換されており;
、R4a及びRは、それぞれ独立して、H、フルオロ、クロロ、ブロモ、C−Cアルキル、−OH、−CN、OC−Cアルキル、−NHC−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)又は−CFであり;
は、H、C−Cアルキル又は3〜7員のヘテロシクロアルキルであり、C−Cアルキル又は3〜7員のヘテロシクロアルキルの各水素原子は、独立して、ハロゲン、−OH、−CN、−OC−Cアルキル、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)、−COH、−CO−Cアルキル、−CONH、−CONH(C−Cアルキル)、−CON(C−Cアルキル)、シクロアルキル、又は単環式ヘテロシクロアルキルで任意に置換されており;
各R及びRは、独立して、H、重水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、3〜7員のヘテロシクロアルキル、C−C10アリール又はヘテロアリールであり;
各Rは、独立して、H、重水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、3〜7員のヘテロシクロアルキル、C−C10アリール、又は単環式若しくは二環式ヘテロアリールであり;ここで、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、3〜7員のヘテロシクロアルキル、C−C10アリール、又は単環式若しくは二環式ヘテロアリールの各水素原子は、独立して、重水素、ハロゲン、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル又は−ORで任意に置換されており;
各Z、Z、Z、Z、Z、Z又はZは、独立して、N、NH、又はC(R10)であり、各R10は、独立して、H、重水素、ハロゲン、C−Cアルキル、−OC−Cアルキル、−OH、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−NH(フェニル)、−NH(ヘテロアリール)、−CN、又は−CFであり;
但し、Z、Z、Z、Z、Z、Z又はZのうちの少なくとも1つは、N又はNHである)
の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用であって、該患者は以前に癌治療薬で治療され、該癌治療薬に耐性を示すようになった癌を治療するための使用を提供する。
【0032】
別の態様において、本開示は、遺伝子改変されたチロシン又はセリン/スレオニンキナーゼを発現することが以前に示された患者の癌を治療するための式I
【化12】
(式中、
Mは、CR4a又はNであり;
及びXは、独立して、S、S(O)、S(O)、O又はN(R)であり;
は、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、C−C10アリール、−C(O)OR又は−C(O)NRであり;ここで、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル及びC−C10アリールの各水素原子は、独立して、重水素、ハロゲン、−OH、−CN、−OC−Cアルキル、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)、−NHC(O)C−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)C−Cアルキル、−NHC(O)NH、−NHC(O)NHC−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)NH、−N(C−Cアルキル)C(O)NHC−Cアルキル、−NHC(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)N(C−Cアルキル)、−NHC(O)OC−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)OC−Cアルキル、−NHS(O)(C−Cアルキル)、−NHS(O)(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)(C−Cアルキル)、−NHS(O)NH、−NHS(O)NH、−N(C−Cアルキル)S(O)NH、−N(C−Cアルキル)S(O)NH、−NHS(O)NH(C−Cアルキル)、−NHS(O)NH(C−Cアルキル)、−NHS(O)N(C−Cアルキル)、−NHS(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)N(C−Cアルキル)、−COH、−C(O)OC−Cアルキル、−C(O)NH、−C(O)NH(C−Cアルキル)、−C(O)N(C−Cアルキル)、−SC−Cアルキル、−S(O)C−Cアルキル、S(O)−Cアルキル、−S(O)NH(C−Cアルキル)、−S(O)NH(C−Cアルキル)、−S(O)N(C−Cアルキル)、−S(O)N(C−Cアルキル)、−P(C−Cアルキル)、−P(O)(C−Cアルキル)、C−Cシクロアルキル、又は3〜7員のヘテロシクロアルキルで任意に置換されており;
【0033】
及びRの各々は独立して、H、重水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、C−C10アリール、−C(O)OR又は−C(O)NRであり;ここで、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル及びC−C10アリールの各水素原子は、独立して、重水素、ハロゲン、−OH、−CN、−OC−Cアルキル、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)、−NHC(O)C−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)C−Cアルキル、−NHC(O)NH、−NHC(O)NHC−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)NH、−N(C−Cアルキル)C(O)NHC−Cアルキル、−NHC(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)N(C−Cアルキル)、−NHC(O)OC−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)C(O)OC−Cアルキル、−NHS(O)(C−Cアルキル)、−NHS(O)(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)(C−Cアルキル)、−NHS(O)NH、−NHS(O)NH、−N(C−Cアルキル)S(O)NH、−N(C−Cアルキル)S(O)NH、−NHS(O)NH(C−Cアルキル)、−NHS(O)NH(C−Cアルキル)、−NHS(O)N(C−Cアルキル)、−NHS(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)S(O)N(C−Cアルキル)、−COH、−C(O)OC−Cアルキル、−C(O)NH、−C(O)NH(C−Cアルキル)、−C(O)N(C−Cアルキル)、−SC−Cアルキル、−S(O)C−Cアルキル、S(O)−Cアルキル、−S(O)NH(C−Cアルキル)、−S(O)NH(C−Cアルキル)、−S(O)N(C−Cアルキル)、−S(O)N(C−Cアルキル)、−P(C−Cアルキル)、−P(O)(C−Cアルキル)、C−Cシクロアルキル、又は3〜7員のヘテロシクロアルキルで任意に置換されており;
、R4a及びRは、それぞれ独立して、H、フルオロ、クロロ、ブロモ、C−Cアルキル、−OH、−CN、OC−Cアルキル、−NHC−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)又は−CFであり;
は、H、C−Cアルキル又は3〜7員のヘテロシクロアルキルであり、C−Cアルキル又は3〜7員のヘテロシクロアルキルの各水素原子は、独立して、ハロゲン、−OH、−CN、−OC−Cアルキル、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)、−COH、−CO−Cアルキル、−CONH、−CONH(C−Cアルキル)、−CON(C−Cアルキル)、シクロアルキル、又は単環式ヘテロシクロアルキルで任意に置換されており;
各R及びRは、独立して、H、重水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、3〜7員のヘテロシクロアルキル、C−C10アリール又はヘテロアリールであり;
各Rは、独立して、H、重水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、3〜7員のヘテロシクロアルキル、C−C10アリール、又は単環式若しくは二環式ヘテロアリールであり;ここで、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、3〜7員のヘテロシクロアルキル、C−C10アリール、又は単環式若しくは二環式ヘテロアリールの各水素原子は、独立して、重水素、ハロゲン、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル又は−ORで任意に置換されており;
各Z、Z、Z、Z、Z、Z又はZは、独立して、N、NH、又はC(R10)であり、各R10は、独立して、H、重水素、ハロゲン、C−Cアルキル、−OC−Cアルキル、−OH、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−NH(フェニル)、−NH(ヘテロアリール)、−CN、又は−CFであり;
但し、Z、Z、Z、Z、Z、Z又はZのうちの少なくとも1つは、N又はNHである)
の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用であって、該患者は以前に癌治療薬で治療され、該癌治療薬に耐性を示すようになった癌を治療するための使用を提供する。
【0034】
上記の態様のいくつかの実施形態において、該化合物は、(7S,13R)−11−フルオロ−7,13−ジメチル−6,7,13,14−テトラヒドロ−1,15−エテノピラゾロ[4,3−f][1,4,8,10]ベンゾキサトリアザシクロトリデシン−4(5H)−オン、又はその薬学的に許容される塩である。
【0035】
いくつかの実施形態において、該疾患は、ALK、ROS1、TRKA、TRKB、TRKC、JAK2、SRC、FAK、ARK5、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるチロシン又はセリン/スレオニンキナーゼによって媒介される。いくつかの実施形態において、該疾患は、受容体チロシンキナーゼによって媒介される。いくつかの実施形態において、該受容体チロシンキナーゼは、ALK、ROS1、TRKA、TRKB及びTRKCからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、該受容体チロシンキナーゼは、ALK、ROS1、TRKA、TRKB及びTRKCからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、該疾患は、非受容体キナーゼによって媒介される。いくつかの実施形態において、該非受容体キナーゼは、JAK2、FYN、LYN、YES、FGR、SRC、FAKまたはARK5である。いくつかの実施形態において、該非受容体キナーゼは、JAK2、SRC、FAK又はARK5である。いくつかの実施形態において、該疾患は、非受容体チロシンキナーゼによって媒介される。いくつかの実施形態において、該非受容体チロシンキナーゼは、JAK2、SRC又はFAKある。いくつかの実施形態において、該疾患は、非受容体セリン/スレオニンキナーゼによって媒介される。いくつかの実施形態において、該非受容体セリン/スレオニンキナーゼはARK5ある。いくつかの実施形態において、該疾患は、タンパク質チロシンキナーゼによって媒介される。いくつかの実施形態において、該タンパク質チロシンキナーゼはTXKである。いくつかの実施形態において、該疾患は、ジスコイジンドメイン受容体によって媒介される。いくつかの実施形態において、該ジスコイジンドメイン受容体は、DDR1である。いくつかの実施形態において、該疾患は、癌、乾癬、関節リウマチ、真性多血症、本態性血小板血症、潰瘍性大腸炎、及び骨髄線維症を伴う骨髄化生並びに疼痛からなる群から選択される。
【0036】
いくつかの実施形態において、該疾患又は癌は、ALKによって媒介される癌である。いくつかの実施形態において、該疾患又は癌は、遺伝子改変されたALKによって媒介される癌である。いくつかの実施形態において、該疾患又は癌は、ALK遺伝子によってコードされるタンパク質の断片及びタンパク質の二量体化又はオリゴマー化を促進するようにコイルドコイル相互作用を形成するタンパク質の断片を含む融合タンパク質によって媒介される癌である。いくつかの実施形態において、該疾患又は癌は、ALK遺伝子によってコードされるタンパク質の断片、及びNPM、EML4、TPR、TFG、ATIC、CLTC1、TPM4、MSN ALO17及びMYH9からなる群から選択される遺伝子によってコードされるタンパク質の断片を含む融合タンパク質によって媒介される癌である。いくつかの実施形態において、該融合タンパク質は、ALK遺伝子によってコードされるタンパク質の断片及びEML4遺伝子によってコードされるタンパク質の断片を含む。いくつかの実施形態において、遺伝子改変されたALKは、EML4−ALK融合タンパク質である。いくつかの実施形態において、該EML4−ALK融合タンパク質は、野生型タンパク質である。いくつかの実施形態において、該EML4−ALK融合タンパク質は、少なくとも1つの耐性変異を含む。いくつかの実施形態において、該EML4−ALK融合タンパク質は、L1196M、G1202R、D1203R、L1152P/R、F1174C/L/V、C1156Y、I1171N、G1123S、S1206Y、G1269S/A、及び1151T挿入からなる群から選択される少なくとも1つの変異を含む。
【0037】
いくつかの実施形態において、該融合タンパク質は、ALK遺伝子によってコードされるタンパク質の断片及びNPM遺伝子によってコードされるタンパク質の断片を含む。いくつかの実施形態において、遺伝子改変されたALKは、NPM−ALK融合タンパク質である。いくつかの実施形態において、該融合タンパク質は、ALK遺伝子によってコードされるタンパク質の断片及びTPR遺伝子によってコードされるタンパク質の断片を含む。いくつかの実施形態において、遺伝子改変されたALKは、TPR−ALK融合タンパク質である。いくつかの実施形態において、該TPR−ALK融合タンパク質は、野生型タンパク質である。いくつかの実施形態において、該TPR−ALK融合タンパク質は、少なくとも1つの耐性変異を含む。いくつかの実施形態において、該TPR−ALK融合タンパク質は、L1196M点変異を含む。
【0038】
いくつかの実施形態において、該疾患又は癌は、ALKによって媒介される癌である。いくつかの実施形態において、該疾患又は癌は、遺伝子改変されたALKによって媒介される癌である。いくつかの実施形態において、該疾患又は癌は、1以上の点変異を有するALKによって媒介される癌である。いくつかの実施形態において、該疾患又は癌は、R1050H、F1174C/I/L/S/V、F1245C/I/L/V、R127L/Q、T1151M、M1166R、I1170N、I1170S、I1171N、I1183T、L1196M、A1200V、L1204F、L1240V、D1270G、Y1278S、R1192P、G1128A、G1286R、及びT1343Iからなる群から選択される1以上の点変異を有するALKによって媒介される癌である。いくつかの実施形態において、該点変異はF1174での変異である。いくつかの実施形態において、該点変異は、F1245でのALKの変異である。いくつかの実施形態において、該点変異は、R1275でのALKの変異である。
【0039】
いくつかの実施形態において、該疾患又は癌は、ROS1によって媒介される癌である。いくつかの実施形態において、該疾患又は癌は、遺伝子改変されたROS1によって媒介される癌である。いくつかの実施形態において、該疾患又は癌は、ROS1遺伝子によってコードされるタンパク質の断片及びタンパク質の二量体化又はオリゴマー化を促進するようにコイルドコイル相互作用を形成するタンパク質の断片を含む融合タンパク質によって媒介される癌である。いくつかの実施形態において、該疾患又は癌は、ROS1遺伝子によってコードされるタンパク質の断片及びFIG、TPM3、SDC4、SLC34A2、CD74、EZR、及びLRIG3からなる群から選択される遺伝子によってコードされるタンパク質の断片を含む融合タンパク質によって媒介される癌である。いくつかの実施形態において、該融合タンパク質は、ROS1遺伝子によってコードされるタンパク質の断片及びCD74遺伝子によってコードされるタンパク質の断片を含む。いくつかの実施形態において、遺伝子改変されたROS1は、CD74−ROS1融合タンパク質である。いくつかの実施形態において、該CD74−ROS1融合タンパク質は、野生型タンパク質である。いくつかの実施形態において、該CD74−ROS1融合タンパク質は、少なくとも1つの耐性変異を含む。いくつかの実施形態において、該CD74−ROS1融合タンパク質は、G2032R点変異を含む。いくつかの実施形態において、該CD74−ROS1融合タンパク質は、L2026M点変異を含む。いくつかの実施形態において、該CD74−ROS1融合タンパク質は、D2033N点変異を含む。いくつかの実施形態において、遺伝子改変されたROS1は、SDC4−ROS1融合タンパク質である。いくつかの実施形態において、該SDC4−ROS1融合タンパク質は、野生型タンパク質である。いくつかの実施形態において、該SDC4−ROS1融合タンパク質は、少なくとも1つの耐性変異を含む。いくつかの実施形態において、該SDC4−ROS1融合タンパク質は、G2032R点変異を含む。いくつかの実施形態において、遺伝子改変されたROS1は、SLC34A2−ROS1融合タンパク質である。いくつかの実施形態において、該SLC34A2−ROS1融合タンパク質は、野生型タンパク質である。いくつかの実施形態において、該SLC34A2−ROS1融合タンパク質は、少なくとも1つの耐性変異を含む。いくつかの実施形態において、該SLC34A2−ROS1融合タンパク質は、G2032R点変異を含む。
【0040】
いくつかの実施形態において、該疾患又は癌は、TRKAによって媒介される癌である。いくつかの実施形態において、該疾患又は癌は、遺伝子改変されたTRKAによって媒介される癌である。いくつかの実施形態において、該疾患又は癌は、TRKA遺伝子によってコードされるタンパク質の断片及びタンパク質の二量体化又はオリゴマー化を促進するようにコイルドコイル相互作用を形成するタンパク質の断片を含む融合タンパク質によって媒介される癌である。いくつかの実施形態において、該疾患又は癌は、TRKA遺伝子によってコードされるタンパク質の断片及びTPM3遺伝子によってコードされるタンパク質の断片を含む融合タンパク質によって媒介される癌である。いくつかの実施形態において、遺伝子改変されたTRKAは、該TPM3−TRKA融合タンパク質である。いくつかの実施形態において、該TPM3−TRKA融合タンパク質は、野生型タンパク質である。いくつかの実施形態において、該TPM3−TRKA融合タンパク質は、少なくとも1つの耐性変異を含む。
【0041】
いくつかの実施形態において、該疾患又は癌は、TRKA遺伝子によってコードされるタンパク質の断片及びLMNA遺伝子によってコードされるタンパク質の断片を含む融合タンパク質によって媒介される癌である。いくつかの実施形態において、遺伝子改変されたTRKAは、LMNA−TRKA融合タンパク質である。いくつかの実施形態において、該LMNA−TRKA融合タンパク質は、野生型タンパク質である。いくつかの実施形態において、該LMNA−TRKA融合タンパク質は、少なくとも1つの耐性変異を含む。いくつかの実施形態において、該LMNA−TRKA融合タンパク質は、野生型タンパク質である。いくつかの実施形態において、該LMNA−TRKA融合タンパク質は、G595R点変異を含む少なくとも1つの耐性変異を含む。
【0042】
いくつかの実施形態において、該疾患又は癌は、TRKBによって媒介される癌である。いくつかの実施形態において、該疾患又は癌は、遺伝子改変されたTRKBによって媒介される癌である。いくつかの実施形態において、該疾患又は癌は、TRKB遺伝子によってコードされるタンパク質の断片、及びタンパク質の二量体化又はオリゴマー化を促進するようにコイルドコイル相互作用を形成するタンパク質の断片を含む融合タンパク質によって媒介される癌である。いくつかの実施形態において、該疾患又は癌は、TRKB遺伝子によってコードされるタンパク質の断片及びQKI遺伝子又はTEL遺伝子によってコードされるタンパク質の断片を含む融合タンパク質によって媒介される癌である。いくつかの実施形態において、該疾患又は癌は、TRKB遺伝子によってコードされるタンパク質の断片及びQKI遺伝子によってコードされるタンパク質の断片を含む融合タンパク質によって媒介される癌である。いくつかの実施形態において、該疾患又は癌は、TRKB遺伝子によってコードされるタンパク質の断片及びTEL遺伝子によってコードされるタンパク質の断片を含む融合タンパク質によって媒介される癌である。いくつかの実施形態において、遺伝子改変されたTRKBは、QKI−TRKB又はTEL−TRKB融合タンパク質である。いくつかの実施形態において、遺伝子改変されたTRKBは、TEL−TRKB融合タンパク質である。いくつかの実施形態において、遺伝子改変されたTRKBは、QKI−TRKB融合タンパク質である。いくつかの実施形態において、該QKI−TRKB又はTEL−TRKB融合タンパク質は、野生型タンパク質である。いくつかの実施形態において、該QKI−TRKB融合タンパク質は、野生型タンパク質である。いくつかの実施形態において、該TEL−TRKB融合タンパク質は、野生型タンパク質である。いくつかの実施形態において、該QKI−TRKB又はTEL−TRKB融合タンパク質は、少なくとも1つの耐性変異を含む。いくつかの実施形態において、該QKI−TRKB融合タンパク質は、少なくとも1つの耐性変異を含む。いくつかの実施形態において、該TEL−TRKB融合タンパク質は、少なくとも1つの耐性変異を含む。いくつかの実施形態において、該TEL−TRKB融合タンパク質は、G639R点変異を含む。
【0043】
いくつかの実施形態において、該疾患又は癌は、TRKCによって媒介される癌である。いくつかの実施形態において、該疾患又は癌は、遺伝子改変されたTRKCによって媒介される癌である。いくつかの実施形態において、該疾患又は癌は、TRKC遺伝子によってコードされるタンパク質の断片、及びタンパク質の二量体化又はオリゴマー化を促進するようにコイルドコイル相互作用を形成するタンパク質の断片を含む融合タンパク質によって媒介される癌である。いくつかの実施形態において、該疾患又は癌は、TRKC遺伝子によってコードされるタンパク質の断片及びETV6遺伝子によってコードされるタンパク質の断片を含む融合タンパク質によって媒介される癌である。いくつかの実施形態において、遺伝子改変されたTRKCは、ETV6−TRKC融合タンパク質である。いくつかの実施形態において、該ETV6−TRKC融合タンパク質は、野生型タンパク質である。いくつかの実施形態において、該ETV6−TRKC融合タンパク質は、少なくとも1つの耐性変異を含む。いくつかの実施形態において、該ETV6−TRKC融合タンパク質は、G623R点変異を含む。
【0044】
いくつかの実施形態において、該疾患又は癌は、JAK1、JAK2又はJAK3によって媒介される癌である。いくつかの実施形態において、該疾患又は癌は、遺伝子改変されたJAK2によって媒介される癌である。いくつかの実施形態において、該疾患又は癌は、JAK2遺伝子によってコードされるタンパク質の断片、及びタンパク質の二量体化又はオリゴマー化を促進するようにコイルドコイル相互作用を形成するタンパク質の断片を含む融合タンパク質によって媒介される癌である。いくつかの実施形態において、該疾患又は癌は、JAK2遺伝子によってコードされるタンパク質の断片及びTEL又はPCM1遺伝子によってコードされるタンパク質の断片を含む融合タンパク質によって媒介される癌である。いくつかの実施形態において、遺伝子改変されたJAK2は、TEL−JAK2融合タンパク質である。いくつかの実施形態において、遺伝子改変されたJAK2は、PCM1−JAK2融合タンパク質である。いくつかの実施形態において、該疾患又は癌は、JAK2の点変異(複数可)によって媒介される癌である。いくつかの実施形態において、遺伝子改変されたJAK2は、JAK2V617F変異を有する。
【0045】
いくつかの実施形態において、該疾患は疼痛である。いくつかの実施形態において、該疾患は、TRKA、TRKB又はTRKCによって媒介される疼痛である。いくつかの実施形態において、該疼痛は、TRKAによって媒介される。いくつかの実施形態において、該疼痛は、TRKBによって媒介される。いくつかの実施形態において、該疼痛は、TRKCによって媒介される。いくつかの実施形態において、該疾患は、乾癬、関節リウマチ、真性多血症、本態性血小板血症、潰瘍性大腸炎、及び骨髄線維症を伴う骨髄化生からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、該疾患又は癌は、バイパス耐性を示す癌である。
【0046】
いくつかの実施形態において、該疾患又は癌は、FGRによって媒介される癌である。いくつかの実施形態において、該疾患又は癌は、遺伝子改変されたFGRによって媒介される癌である。いくつかの実施形態において、該融合タンパク質は、FGR遺伝子によってコードされるタンパク質の断片及びWASF2遺伝子によってコードされるタンパク質の断片を含む。いくつかの実施形態において、遺伝子改変されたFGRは、WASF2−FGR融合タンパク質である。いくつかの実施形態において、該WASF2−FGR融合タンパク質は、野生型タンパク質である。いくつかの実施形態において、該WASF2−FGR融合タンパク質は、少なくとも1つの耐性変異を含む。
【0047】
いくつかの実施形態において、該癌は、ALCL、NSCLC、神経芽腫、炎症性筋線維芽細胞腫瘍、成人の腎細胞癌、小児腎細胞癌、乳癌、結腸腺癌、神経膠芽腫、多形神経膠芽腫及び未分化甲状腺癌からなる群から選択される。
【0048】
いくつかの実施形態において、該癌は、神経膠芽腫、多形神経膠芽腫、NSCLC、胆管癌、卵巣癌、胃腺癌、結腸直腸癌、炎症性筋線維芽細胞腫瘍、血管肉腫、及び類上皮血管内皮腫からなる群から選択される。
【0049】
いくつかの実施形態において、該癌は、神経膠芽腫、多形神経膠芽腫、NSCLC、胆管癌、肝内胆管癌、結腸直腸癌、甲状腺乳頭癌、スピッツ腫瘍、肉腫、星細胞腫、脳の低グレードの神経膠腫、分泌乳癌、乳腺相似癌(mammary analogue carcinoma)、乳癌、急性骨髄性白血病、先天性中胚葉性腎腫、先天性線維肉腫、Ph−様急性リンパ芽球性白血病、結腸腺癌、甲状腺癌、皮膚黒色腫、頭頸部扁平上皮癌及び小児神経膠腫からなる群から選択される。
【0050】
いくつかの実施形態において、該癌は、NSCLC、神経芽腫、乳癌、結腸癌及び前立腺癌からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、該癌はNSCLCである。いくつかの実施形態において、該癌は神経芽腫である。いくつかの実施形態において、該癌は結腸直腸癌である。
【0051】
いくつかの実施形態において、該患者は、癌治療薬で以前に治療されている。いくつかの実施形態において、該患者は、癌治療薬で以前に治療されており、該癌は該癌治療薬に対する耐性を発症した。いくつかの実施形態において、該耐性は一次内因性耐性である。いくつかの実施形態において、該耐性は、変異(複数可)からの獲得耐性である。いくつかの実施形態において、該耐性はバイパス耐性である。いくつかの実施形態において、該耐性はEMTベース耐性である。
【0052】
本開示のさらなる実施形態、特徴、及び利点は、以下の発明を実施するための形態から、及び本開示の実践を通して明らかとなるであろう。本開示の化合物は、以下の列挙された条項のいずれかの中の実施形態として記載され得る。本明細書に記載の実施形態のいずれかは、実施形態が互いに矛盾しない程度に本明細書に記載の任意の他の実施形態に関連して使用することができることを理解されたい。
【0053】
1.患者の疾患を治療する方法であって、治療有効量の(7S,13R)−11−フルオロ−7,13−ジメチル−6,7,13,14−テトラヒドロ−1,15−エテノピラゾロ[4,3−f][1,4,8,10]ベンゾキサトリアザシクロトリデシン−4(5H)−オン、又はその薬学的に許容される塩を該患者へ投与することを含む、前記方法。
【0054】
2.該疾患が、ALK、ROS1、TRKA、TRKB、TRKC、JAK2、SRC、FYN、LYN、YES、FGR、FAK、及びARK5、及びこれらの組み合わせ;又はALK、ROS1、TRKA、TRKB、TRKC、JAK2、SRC、FAK、及びARK5、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるチロシン又はセリン/スレオニンキナーゼによって媒介される、条項1に記載の方法。
【0055】
3.該疾患が、受容体チロシンキナーゼによって媒介される、条項1に記載の方法。
【0056】
4.該受容体チロシンキナーゼが、ALK、ROS1、TRKA、TRKB及びTRKCからなる群から選択される、条項3に記載の方法。
【0057】
5.該疾患が、非受容体キナーゼによって媒介される、条項1に記載の方法。
【0058】
6.該非受容体キナーゼが、非受容体チロシンキナーゼJAK2、FYN、LYN、YES、FGR、SRC若しくはFAKを含むJAK2、FYN、LYN、YES、FGR、SRC、FAK若しくはARK5、又は非受容体セリン/スレオニンキナーゼARK5である、条項5に記載の方法。
【0059】
7.該疾患が、癌、乾癬、関節リウマチ、真性多血症、本態性血小板血症、潰瘍性大腸炎、及び骨髄線維症を伴う骨髄化生並びに疼痛からなる群から選択される、条項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【0060】
8.該疾患が癌である、条項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【0061】
9.該疾患がALKによって媒介される癌である、条項1〜4、7又は8のいずれか一項に記載の方法。
【0062】
10.該疾患が、遺伝子改変されたALKによって媒介される癌である、条項1〜4、7又は8のいずれか一項に記載の方法。
【0063】
11.該疾患が、ALK遺伝子によってコードされるタンパク質の断片、並びにNPM、EML4、TPR、TFG、ATIC、CLTC1、TPM4、MSN ALO17及びMYH9からなる群から選択される遺伝子よってコードされるタンパク質の断片を含む融合タンパク質によって媒介される癌である、条項1〜4、7又は8のいずれか一項に記載の方法。
【0064】
12.該融合タンパク質が、ALK遺伝子によってコードされるタンパク質の断片及びEML4遺伝子によってコードされるタンパク質の断片を含む、条項11に記載の方法。
【0065】
13.遺伝子改変されたALKが、EML4−ALK融合タンパク質である、条項10に記載の方法。
【0066】
14.該EML4−ALK融合タンパク質が、野生型タンパク質である、条項13に記載の方法。
【0067】
15.該EML4−ALK融合タンパク質が、少なくとも1つの耐性変異を含む、条項13に記載の方法。
【0068】
16.該EML4−ALK融合タンパク質が、L1196M、G1202R、D1203R、L1152P/R、F1174C/L/V、C1156Y、I1171N、G1123S、S1206Y、G1269S/A、及び1151T挿入からなる群から選択される少なくとも1つの変異を含む、条項13に記載の方法。
【0069】
17.該変異がL1196Mである、条項16に記載の方法。
【0070】
18.該変異がG1202Rである、条項16に記載の方法。
【0071】
19.該変異がL1152Pである、条項16に記載の方法。
【0072】
20.該変異がF1174Cである、条項16に記載の方法。
【0073】
21.該変異がC1156Yである、条項16に記載の方法。
【0074】
22.該変異がI1171Nである、条項16に記載の方法。
【0075】
23.該変異がG1269Sである、条項16に記載の方法。
【0076】
24.該変異が1151T挿入である、条項16に記載の方法。
【0077】
25.該融合タンパク質が、ALK遺伝子によってコードされるタンパク質の断片及びNPM遺伝子によってコードされるタンパク質の断片を含む、条項11に記載の方法。
【0078】
26.遺伝子改変されたALKが、NPM−ALK融合タンパク質である、条項10に記載の方法。
【0079】
27.該融合タンパク質が、ALK遺伝子によってコードされるタンパク質の断片及びTPR遺伝子によってコードされるタンパク質の断片を含む、条項11に記載の方法。
【0080】
28.遺伝子改変されたALKが、TPR−ALK融合タンパク質である、条項10に記載の方法。
【0081】
29.該TPR−ALK融合タンパク質が、野生型タンパク質である、条項28に記載の方法。
【0082】
30.該TPR−ALK融合タンパク質が、少なくとも1つの耐性変異を含む、条項28に記載の方法。
【0083】
31.該TPR−ALK融合タンパク質が、L1196M点変異を含む、条項28に記載の方法。
【0084】
32.該疾患が、1以上の点変異を有するALKによって媒介される癌である、条項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【0085】
33.該疾患が、R1050H、F1174C/I/L/S/V、F1245C/I/L/V、R127L/Q、T1151M、M1166R、I1170N、I1170S、I1171N、I1183T、L1196M、A1200V、L1204F、L1240V、D1270G、Y1278S、R1192P、G1128A、G1286R、及びT1343Iからなる群から選択される1以上の点変異を有するALKによって媒介される癌である、条項1〜4又は32のいずれか一項に記載の方法。
【0086】
34.該点変異が、F1174でのALKの変異である、条項1〜4、32又は33項のいずれか一項に記載の方法。
【0087】
35.該点変異が、F1245でのALKの変異である、条項1〜4、32又は33項のいずれか一項に記載の方法。
【0088】
36.該点変異が、R1275でのALKの変異である、条項1〜4、32又は33項のいずれか一項に記載の方法。
【0089】
37.該癌が、ALCL、NSCLC、神経芽腫、炎症性筋線維芽細胞腫瘍、成人の腎細胞癌、小児腎細胞癌、乳癌、結腸腺癌、神経膠芽腫、多形神経膠芽腫及び未分化甲状腺癌からなる群から選択される、条項9〜36のいずれか一項に記載の方法。
【0090】
38.該癌がNSCLCである、条項9〜37のいずれか一項に記載の方法。
【0091】
39.該疾患がROS1によって媒介される癌である、条項1〜4、7又は8のいずれか一項に記載の方法。
【0092】
40.該疾患が、遺伝子改変されたROS1によって媒介される癌である、条項1〜4、7又は8のいずれか一項に記載の方法。
【0093】
41.該疾患が、ROS1遺伝子によってコードされるタンパク質の断片及びFIG、TPM3、SDC4、SLC34A2、CD74、EZR、及びLRIG3からなる群から選択される遺伝子によってコードされるタンパク質の断片を含む融合タンパク質によって媒介される癌である、条項1〜4、7又は8のいずれか一項に記載の方法。
【0094】
42.該融合タンパク質が、ROS1遺伝子によってコードされるタンパク質の断片及びCD74遺伝子によってコードされるタンパク質の断片を含む、条項41に記載の方法。
【0095】
43.該遺伝子改変されたROS1が、CD74−ROS1融合タンパク質である、条項40に記載の方法。
【0096】
44.該CD74−ROS1融合タンパク質が、野生型タンパク質である、条項43に記載の方法。
【0097】
45.該CD74−ROS1融合タンパク質が、少なくとも1つの耐性変異を含む、条項43に記載の方法。
【0098】
46.該CD74−ROS1融合タンパク質が、G2032R、L2026M又はD2033N点変異を含む、条項43に記載の方法。
【0099】
47.該遺伝子改変されたROS1が、SDC4−ROS1融合タンパク質である、条項40に記載の方法。
【0100】
48.該SDC4−ROS1融合タンパク質が、野生型タンパク質である、条項47に記載の方法。
【0101】
49.該SDC4−ROS1融合タンパク質が、少なくとも1つの耐性変異を含む、条項47に記載の方法。
【0102】
50.該SDC4−ROS1融合タンパク質が、G2032R点変異を含む、条項47に記載の方法。
【0103】
51.該遺伝子改変されたROS1が、SLC34A2−ROS1融合タンパク質である、条項40に記載の方法。
【0104】
52.該SLC34A2−ROS1融合タンパク質が、野生型タンパク質である、条項51に記載の方法。
【0105】
53.該SLC34A2−ROS1融合タンパク質が、少なくとも1つの耐性変異を含む、条項51に記載の方法。
【0106】
54.該SLC34A2−ROS1融合タンパク質が、G2032R点変異を含む、条項51に記載の方法。
【0107】
55.該癌が、神経膠芽腫、多形神経膠芽腫、NSCLC、胆管癌、卵巣癌、胃腺癌、結腸直腸癌、炎症性筋線維芽細胞腫瘍、血管肉腫、及び類上皮血管内皮腫からなる群から選択される、条項1〜4、7、8、又は39〜54のいずれか一項に記載の方法。
【0108】
56.該癌がNSCLCである、条項1〜4、7、8、又は39〜55のいずれか一項に記載の方法。
【0109】
57.該疾患が、TRKAによって媒介される癌である、条項1〜4、7又は8のいずれか一項に記載の方法。
【0110】
58.該疾患が、遺伝子改変されたTRKAによって媒介される癌である、条項1〜4、7又は8のいずれか一項に記載の方法。
【0111】
59.該疾患が、TRKA遺伝子によってコードされるタンパク質の断片及びTPM3遺伝子又はLMNA遺伝子によってコードされるタンパク質の断片を含む融合タンパク質によって媒介される癌である、条項1〜4、7又は8のいずれか一項に記載の方法。
【0112】
60.該遺伝子改変されたTRKAが、TPM3−TRKA又はLMNA−TRKA融合タンパク質である、条項58に記載の方法。
【0113】
61.該TPM3−TRKA又はLMNA−TRKA融合タンパク質が、野生型タンパク質である、条項60に記載の方法。
【0114】
62.該TPM3−TRKA又はLMNA−TRKA融合タンパク質が、G595R点変異を含むLMNA−TRKA融合タンパク質を含めて、少なくとも1つの耐性変異を含む、条項60に記載の方法。
【0115】
63.該疾患が、TRKBによって媒介される癌である、条項1〜4、7又は8のいずれか一項に記載の方法。
【0116】
64.該疾患が、QKI−TRKB又はG639R点変異を含むTEL−TRKBを含むTEL−TRKBを含めて、遺伝子改変されたTRKBによって媒介される癌である、条項1〜4、7又は8のいずれか一項に記載の方法。
【0117】
65.該疾患が、TRKCによって媒介される癌である、条項1〜4、7又は8のいずれか一項に記載の方法。
【0118】
66.該疾患が、ETV6−TRKC融合タンパク質、遺伝子改変されたETV6−TRKC融合タンパク質、G326R点変異を含むETV6−TRKC融合タンパク質を含めて、遺伝子改変されたTRKCによって媒介される癌である、条項1〜4、7又は8のいずれか一項に記載の方法。
【0119】
67.該癌が、神経膠芽腫、多形神経膠芽腫、NSCLC、胆管癌、肝内胆管癌、結腸直腸癌、甲状腺乳頭癌、スピッツ腫瘍、肉腫、星細胞腫、脳の低グレードの神経膠腫、分泌乳癌、乳腺相似癌、乳癌、急性骨髄性白血病、先天性中胚葉性腎腫、先天性線維肉腫、Ph−様急性リンパ芽球性白血病、結腸腺癌、甲状腺癌、皮膚黒色腫、頭頸部扁平上皮癌及び小児神経膠腫からなる群から選択される、条項1〜4、7、8、又は57〜66のいずれか一項に記載の方法。
【0120】
68.該癌がNSCLCである、条項1〜4、7、8又は57〜67のいずれか一項に記載の方法。
【0121】
69.該癌が結腸直腸癌である、条項1〜4、7、8又は57〜67のいずれか一項に記載の方法。
【0122】
70.該疾患が、JAK1、JAK2又はJAK3によって媒介される癌である、条項1〜4、7又は8のいずれか一項に記載の方法。
【0123】
71.該疾患が、遺伝子改変されたJAK2によって媒介される癌である、条項1〜4、7又は8のいずれか一項に記載の方法。
【0124】
72.該疾患が、JAK2遺伝子によってコードされるタンパク質の断片及びTEL又はPCM1遺伝子によってコードされるタンパク質の断片を含む融合タンパク質によって媒介される癌である、条項1〜4、7又は8のいずれか一項に記載の方法。
【0125】
73.該遺伝子改変されたJAK2が、TEL−JAK2融合タンパク質である、条項71に記載の方法。
【0126】
74.該遺伝子改変されたJAK2が、PCM1−JAK2融合タンパク質である、条項71に記載の方法。
【0127】
75.該遺伝子改変されたJAK2が、V617F点変異を含む、条項71に記載の方法。
【0128】
76.該疾患が、SRCによって媒介される癌である、条項1〜4、7又は8のいずれか一項に記載の方法。
【0129】
77.該癌が、神経膠芽腫、多形神経膠芽腫、NSCLC、胆管癌、肝内胆管癌、結腸直腸癌、甲状腺乳頭癌、スピッツ腫瘍、肉腫、星細胞腫、脳の低グレードの神経膠腫、分泌乳癌、乳腺相似癌、乳癌、急性骨髄性白血病、先天性中胚葉性腎腫、先天性線維肉腫、Ph−様急性リンパ芽球性白血病、結腸腺癌、甲状腺癌、皮膚黒色腫、頭頸部扁平上皮癌及び小児神経膠腫からなる群から選択される、条項76に記載の方法。
【0130】
78.該疾患が疼痛である、条項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【0131】
79.該疾患が、TRKA、TRKB又はTRKCによって媒介される疼痛である、条項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【0132】
80.該疼痛がTRKAによって媒介される、条項79に記載の方法。
【0133】
81.該疼痛がTRKBによって媒介される、条項79に記載の方法。
【0134】
82.該疼痛がTRKCによって媒介される、条項79に記載の方法。
【0135】
83.該疾患が、乾癬、関節リウマチ、真性多血症、本態性血小板血症、潰瘍性大腸炎、及び骨髄線維症を伴う骨髄化生からなる群から選択される、条項1〜3、5又は6のいずれか一項に記載の方法。
【0136】
84.該疾患が、バイパス耐性を示す癌である、条項1、5、6又は8のいずれか一項に記載の方法。
【0137】
85.遺伝子改変されたチロシン又はセリン/スレオニンキナーゼを発現することが以前に示された患者の癌を治療する方法であって、治療有効量の(7S,13R)−11−フルオロ−7,13−ジメチル−6,7,13,14−テトラヒドロ−1,15−エテノピラゾロ[4,3−f][1,4,8,10]ベンゾキサトリアザシクロトリデシン(benzoxatriazacyclotridecin)−4(5H)−オン、又はその薬学的に許容される塩を該患者に投与することを含む、前記方法。
【0138】
86.該遺伝子改変されたチロシンキナーゼが、遺伝子改変されたALK、遺伝子改変されたROS1、遺伝子改変されたTRK及び遺伝子改変されたJAKからなる群から選択される、条項85に記載の方法。
【0139】
87.該遺伝子改変されたALKが、ALK遺伝子によってコードされるタンパク質の断片並びにNPM、EML4、TPR、TFG、ATIC、CLTC1、TPM4、MSN ALO17及びMYH9からなる群から選択される遺伝子によってコードされるタンパク質の断片を含む融合タンパク質である、条項86に記載の方法。
【0140】
88.該融合タンパク質が、ALK遺伝子によってコードされるタンパク質の断片及びEML4遺伝子によってコードされるタンパク質の断片を含む、条項87に記載の方法。
【0141】
89.該遺伝子改変されたALKが、EML4−ALK融合タンパク質である、条項86に記載の方法。
【0142】
90.該EML4−ALK融合タンパク質が、野生型タンパク質である、条項89に記載の方法。
【0143】
91.該EML4−ALK融合タンパク質が、少なくとも1つの耐性変異を含む、条項89に記載の方法。
【0144】
92.該EML4−ALK融合タンパク質が、L1196M、G1202R、D1203R、L1152P/R、F1174C/L/V、C1156Y、I1171N、G1123S、S1206Y、G1269S/A、及び1151T挿入からなる群から選択される少なくとも1つの変異を含む、条項89に記載の方法。
【0145】
93.該融合タンパク質が、ALK遺伝子によってコードされるタンパク質の断片及びNPM遺伝子によってコードされるタンパク質の断片を含む、条項87に記載の方法。
【0146】
94.該遺伝子改変されたALKが、NPM−ALK融合タンパク質である、条項86に記載の方法。
【0147】
95.該融合タンパク質が、ALK遺伝子によってコードされるタンパク質の断片及びTPR遺伝子によってコードされるタンパク質の断片を含む、条項87に記載の方法。
【0148】
96.該遺伝子改変されたALKが、TPR−ALK融合タンパク質である、条項86に記載の方法。
【0149】
97.該TPR−ALK融合タンパク質が、野生型タンパク質である、条項96に記載の方法。
【0150】
98.該TPR−ALK融合タンパク質が、少なくとも1つの耐性変異を含む、条項96に記載の方法。
【0151】
99.該TPR−ALK融合タンパク質が、L1196M点変異を含む、条項98に記載の方法。
【0152】
100.該癌がバイパス耐性機構を示す、条項85〜99のいずれか一項に記載の方法。
【0153】
101.該バイパス耐性機構が、SRCによって媒介される、条項100に記載の方法。
【0154】
102.該癌が、ALCL、NSCLC、神経芽腫、炎症性筋線維芽細胞腫瘍、成人の腎細胞癌、小児腎細胞癌、乳癌、結腸腺癌、神経膠芽腫、多形神経膠芽腫及び未分化甲状腺癌からなる群から選択される、条項85〜101のいずれか一項に記載の方法。
【0155】
103.該癌がNSCLCである、条項85〜102のいずれか一項に記載の方法。
【0156】
104.該遺伝子改変されたROS1が、ROS1遺伝子によってコードされるタンパク質の断片及びFIG、TPM3、SDC4、SLC34A2、CD74、EZR、及びLRIG3からなる群から選択される遺伝子によってコードされるタンパク質の断片を含む融合タンパク質である、条項86に記載の方法。
【0157】
105.該融合タンパク質が、ROS1遺伝子によってコードされるタンパク質の断片及びCD74遺伝子によってコードされるタンパク質の断片を含む、条項104に記載の方法。
【0158】
106.該遺伝子改変されたROS1が、CD74−ROS1融合タンパク質である、条項104に記載の方法。
【0159】
107.該CD74−ROS1融合タンパク質が、野生型タンパク質である、条項106に記載の方法。
【0160】
108.該CD74−ROS1融合タンパク質が、少なくとも1つの耐性変異を含む、条項106に記載の方法。
【0161】
109.該CD74−ROS1融合タンパク質が、G2032R、L2026M又はD2033N点変異を含む、条項106に記載の方法。
【0162】
110.該遺伝子改変されたROS1が、SDC4−ROS1融合タンパク質である、条項105に記載の方法。
【0163】
111.該SDC4−ROS1融合タンパク質が、野生型タンパク質である、条項110に記載の方法。
【0164】
112.該SDC4−ROS1融合タンパク質が、少なくとも1つの耐性変異を含む、条項110に記載の方法。
【0165】
113.該SDC4−ROS1融合タンパク質が、G2032R点変異を含む、条項110に記載の方法。
【0166】
114.該遺伝子改変されたROS1が、SLC34A2−ROS1融合タンパク質である、条項105に記載の方法。
【0167】
115.該SLC34A2−ROS1融合タンパク質が、野生型タンパク質である、条項114に記載の方法。
【0168】
116.該SLC34A2−ROS1融合タンパク質が、少なくとも1つの耐性変異を含む、条項114に記載の方法。
【0169】
117.該SLC34A2−ROS1融合タンパク質が、G2032R点変異を含む、条項114に記載の方法。
【0170】
118.該癌が、神経膠芽腫、多形神経膠芽腫、NSCLC、胆管癌、卵巣癌、胃腺癌、結腸直腸癌、炎症性筋線維芽細胞腫瘍、血管肉腫、及び類上皮血管内皮腫からなる群から選択される、条項85、86又は104〜117のいずれか一項に記載の方法。
【0171】
119.該癌がNSCLCである、条項85、86又は104〜118のいずれか一項に記載の方法。
【0172】
120.該遺伝子改変されたTRKが、TRKA遺伝子によってコードされるタンパク質の断片及びTPM3遺伝子又はLMNA遺伝子によってコードされるタンパク質の断片を含む融合タンパク質である、条項86に記載の方法。
【0173】
121.該遺伝子改変されたTRKが、TPM3−TRKA又はLMNA−TRKA融合タンパク質である、条項86に記載の方法。
【0174】
122.該TPM3−TRKA又はLMNA−TRKA融合タンパク質が、野生型タンパク質である、条項121に記載の方法。
【0175】
123.該TPM3−TRKA又はLMNA−TRKA融合タンパク質が、少なくとも1つの耐性変異を含む、条項121に記載の方法。
【0176】
124.該癌が、神経膠芽腫、多形神経膠芽腫、NSCLC、胆管癌、肝内胆管癌、結腸直腸癌、甲状腺乳頭癌、スピッツ腫瘍、肉腫、星細胞腫、脳の低グレードの神経膠腫、分泌乳癌、乳腺相似癌、乳癌、急性骨髄性白血病、先天性中胚葉性腎腫、先天性線維肉腫、Ph−様急性リンパ芽球性白血病、結腸腺癌、甲状腺癌、皮膚黒色腫、頭頸部扁平上皮癌及び小児神経膠腫からなる群から選択される、条項86、87又は120〜123のいずれか一項に記載の方法。
【0177】
125.該癌がNSCLCである、条項85、86又は120〜123のいずれか一項に記載の方法。
【0178】
126.該癌が結腸直腸癌である、条項79、80又は120〜123のいずれか一項に記載の方法。
【0179】
127.該遺伝子改変されたJAKが、JAK2遺伝子によってコードされるタンパク質の断片及びTEL又はPCM1遺伝子によってコードされるタンパク質の断片を含む融合タンパク質である、条項86に記載の方法。
【0180】
128.該遺伝子改変されたJAKが、TEL−JAK2融合タンパク質である、条項86に記載の方法。
【0181】
129.該遺伝子改変されたJAKが、PCM1−JAK2融合タンパク質である、条項86に記載の方法。
【0182】
130.患者の癌を治療する方法であって、
i.該患者において遺伝子改変されたチロシン又はセリン/スレオニンキナーゼを特定すること、及び
ii.治療有効量の(7S,13R)−11−フルオロ−7,13−ジメチル−6,7,13,14−テトラヒドロ−1,15−エテノピラゾロ[4,3−f][1,4,8,10]ベンゾキサトリアザシクロトリデシン−4(5H)−オン、又はその薬学的に許容される塩を該患者へ投与することを含む、前記方法。
【0183】
131.特定する工程が、FISH、IHC、PCR及び遺伝子配列決定からなる群から選択される試験に患者試料を供することを含む、条項130に記載の方法。
【0184】
132.(7S,13R)−11−フルオロ−7,13−ジメチル−6,7,13,14−テトラヒドロ−1,15−エテノピラゾロ[4,3−f][1,4,8,10]ベンゾキサトリアザシクロトリデシン−4(5H)−オン、又はその薬学的に許容される塩での治療のための患者を特定する方法であって、遺伝子改変されたチロシン又はセリン/スレオニンキナーゼによって媒介される癌を有する患者を診断することを含む、前記方法。
【0185】
133.該診断が、FISH、IHC、PCR及び遺伝子配列決定からなる群から選択される生物学的試験又は生物学的アッセイに患者試料を供することを含む、条項132に記載の方法。
【0186】
134.該患者が、癌治療薬で以前に治療されている、条項1〜133のいずれか一項に記載の方法。
【0187】
135.該患者が癌治療薬で以前に治療されており、該癌が該癌治療薬に対する耐性を発症している、条項1〜134のいずれか一項に記載の方法。
【0188】
136.該耐性が獲得耐性である、条項129に記載の方法。
【0189】
137.該耐性がバイパス耐性である、条項129に記載の方法。
【0190】
138.患者の疾患の治療のための薬剤の調製における(7S,13R)−11−フルオロ−7,13−ジメチル−6,7,13,14−テトラヒドロ−1,15−エテノピラゾロ[4,3−f][1,4,8,10]ベンゾキサトリアザシクロトリデシン−4(5H)−オン、又はその薬学的に許容される塩の使用。
【0191】
139.患者の癌を治療するための(7S,13R)−11−フルオロ−7,13−ジメチル−6,7,13,14−テトラヒドロ−1,15−エテノピラゾロ[4,3−f][1,4,8,10]ベンゾキサトリアザシクロトリデシン−4(5H)−オン、又はその薬学的に許容される塩の使用。
【0192】
140.患者の疼痛を治療するための(7S,13R)−11−フルオロ−7,13−ジメチル−6,7,13,14−テトラヒドロ−1,15−エテノピラゾロ[4,3−f][1,4,8,10]ベンゾキサトリアザシクロトリデシン−4(5H)−オン、又はその薬学的に許容される塩の使用。
【0193】
141.遺伝子改変されたチロシン又はセリン/スレオニンキナーゼを発現することが以前に示された患者の癌を治療するための(7S,13R)−11−フルオロ−7,13−ジメチル−6,7,13,14−テトラヒドロ−1,15−エテノピラゾロ[4,3−f][1,4,8,10]ベンゾキサトリアザシクロトリデシン−4(5H)−オン、又はその薬学的に許容される塩の使用。
【0194】
142.患者の癌を治療するための(7S,13R)−11−フルオロ−7,13−ジメチル−6,7,13,14−テトラヒドロ−1,15−エテノピラゾロ[4,3−f][1,4,8,10]ベンゾキサトリアザシクロトリデシン−4(5H)−オン、又はその薬学的に許容される塩の使用であって、該患者が癌治療薬で以前に治療されており、該癌が該癌治療薬に対する耐性を発症している、前記使用。
【0195】
143.遺伝子改変されたチロシン又はセリン/スレオニンキナーゼを発現することが以前に示された患者の癌を治療するための(7S,13R)−11−フルオロ−7,13−ジメチル−6,7,13,14−テトラヒドロ−1,15−エテノピラゾロ[4,3−f][1,4,8,10]ベンゾキサトリアザシクロトリデシン−4(5H)−オン、又はその薬学的に許容される塩の使用であって、該患者が癌治療薬で以前に治療されており、該癌が該癌治療薬に対して耐性を発症している、前記使用。
【図面の簡単な説明】
【0196】
図1】Karpas−299細胞のアポトーシスに対する化合物1の効果を示す。図1Aは、48時間、様々な濃度の化合物1でインキュベートした後のKarpas−299細胞のアポトーシスを示す。図1Bは、Karpas−299細胞を収集し、溶解し、SDS−PAGEによって分析し、PARP及びアクチン抗体を用いて免疫ブロットした結果を示す。
図2】HCC78及びHT−1080細胞における創傷治癒に対する化合物1の効果を示す。
図3】化合物1がEGFR発現を下方制御することを実証するゲルを示す。図3Aは、0nM、30nM、100nM、300nM及び1000nMで化合物1に4時間暴露した後の結果を示す。図3Aは、0nM、30nM、100nM、300nM及び1000nMで化合物1に24時間暴露した後の結果を示す。
図4】CD44発現の下方制御を示さないクリゾチニブを用いた同じ実験と比較して、化合物1がCD44発現を下方制御することを実証するゲルを示す。図4Aは、0nM、30nM、100nM、300nM及び1000nMで化合物1に曝露した後の結果を示す。図4Aは、0nM、30nM、100nM、300nM及び1000nMでクリゾチニブへ曝露した後の結果を示す。
図5】インビボモデルのKarpas−299における腫瘍成長に対する様々な用量(〇)対照、(■)15mg/kg、(●)50mg/kgでの化合物1の効果を示す。
図6】様々な用量(〇)対照、(■)15mg/kg、(●)50mg/kgでの化合物1の投与後のインビボモデルのKarpas−299における動物の体重の安定性を示す。
図7】インビボモデルのNIH3T3 EML4−ALK WTにおける腫瘍成長に対する様々な用量(〇)対照、(■)15mg/kg、(●)50mg/kgの化合物1の効果を示す。
図8】様々な用量(〇)対照、(■)15mg/kg、(●)50mg/kgでの化合物1の投与後のインビボモデルのNIH3T3 EML4−ALK WTにおける動物の体重の安定性を示す。
図9】インビボモデルのNIH3T3 SDC4−ROS1 WTにおける腫瘍成長に対する様々な用量(〇)対照、(■)15mg/kg、(●)50mg/kgの化合物1の効果を示す。
図10】インビボモデルのKM12における腫瘍成長に対する様々な用量(〇)対照、(■)15mg/kg、(●)75mg/kgの化合物1の効果を示す。
図11】様々な用量(〇)対照、(■)15mg/kg、(●)75mg/kgでの化合物1の投与後のインビボモデルのKM12における動物の体重の安定性を示す。
図12】インビボモデルのKarpas−299における化合物1によるNPM−ALKリン酸化の阻害を示す。
図13】インビボモデルのKM12における腫瘍成長に対する様々な用量(〇)対照、(■)1mg/kg、(●)3mg/kg、(▲)15mg/kgの化合物1の効果を示す。
図14】様々な用量(〇)対照、(■)1mg/kg、(●)3mg/kg、(▲)15mg/kgでの化合物1の投与後のインビボモデルのKM12における動物の体重の安定性を示す。
図15】インビボモデルのBa/F3 EML4−ALK WTにおける腫瘍成長に対する様々な用量(〇)対照、(■)15mg/kg、(●)75mg/kgの化合物1の効果を示す。
図16】様々な用量(〇)対照、(■)15mg/kg、(●)75mg/kgでの化合物1の投与後のインビボモデルのBa/F3 EML4−ALK WTにおける動物の体重の安定性を示す。
図17】インビボモデルのBa/F3 EML4−ALK G1202Rにおける腫瘍成長に対する様々な用量(〇)対照、(■)15mg/kg、(●)75mg/kgの化合物1の効果を示す。
図18】様々な用量(〇)対照、(■)15mg/kg、(●)75mg/kgでの化合物1の投与後のインビボモデルのBa/F3 EML4−ALK G1202Rにおける動物の体重の安定性を示す。
図19】インビボモデルのBa/F3 CD74−ROS1 WTにおける腫瘍成長に対する様々な用量(〇)対照、(■)15mg/kg、(●)75mg/kgの化合物1の効果を示す。
図20】様々な用量(〇)対照、(■)15mg/kg、(●)75mg/kgでの化合物1の投与後のインビボモデルのBa/F3 CD74−ROS1 WTにおける動物の体重の安定性を示す。
図21】インビボモデルのBa/F3 CD74−ROS1 G2032Rにおける腫瘍成長に対する様々な用量(〇)対照、(■)15mg/kg、(●)75mg/kgの化合物1の効果を示す。
図22】様々な用量(〇)対照、(■)15mg/kg、(●)75mg/kgでの化合物1の投与後のインビボモデルのBa/F3 CD74−ROS1 G2032Rにおける動物の体重の安定性を示す。
図23】インビボモデルのNIH3T3 LMNA−TRKA WTにおける腫瘍成長に対する様々な用量(〇)対照、(■)3mg/kg、(●)15mg/kgの化合物1の効果を示す。
図24】様々な用量(〇)対照、(■)3mg/kg、(●)15mg/kgでの化合物1の投与後のインビボモデルのNIH3T3 LMNA−TRKA WTにおける動物の体重の安定性を示す。
図25】インビボモデルのNIH3T3 LMNA−TRKA G595Rにおける腫瘍成長に対する様々な用量(〇)対照、(■)3mg/kg、(●)15mg/kg、(▲)60mg/kgの化合物1の効果を示す。
図26】様々な用量(〇)対照、(■)3mg/kg、(●)15mg/kg、(▲)60mg/kgでの化合物1の投与後のインビボモデルのNIH3T3 LMNA−TRKA G595Rにおける動物の体重の安定性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0197】
本開示をさらに説明する前に、本開示は、記載された特定の実施形態に限定されるものではなく、もちろん変化し得ることを理解されたい。本開示の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるので、本明細書で使用する用語は、特定の態様のみを説明する目的のためのものであり、限定することを意図するものではないことも理解されたい。
【0198】
特に定義しない限り、本明細書で使用する全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で言及する全ての特許、出願、公開された出願及び他の刊行物は、その全体が参照により組み込まれる。この節に記載の定義は、参照により本明細書に組み込まれる特許、出願、又は他の刊行物に記載の定義に反するか、又はそうでなければ矛盾する場合は、この節に記載の定義が、参照により本明細書に組み込まれる定義に優先する。
【0199】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する単数形「1つ(a)」「1つ(an)」及び「その」は、文脈が明確に指示しない限り、複数の対象を含む。さらに、特許請求の範囲は、任意の要素を除外することができることに留意されたい。このように、この説明は、特許請求の要素の列挙、又は「負」の制限の使用に関連して、「単に」及び「のみ」などの排他的用語の使用のための前提として役割を果たすことを意図する。
【0200】
本明細書で使用する用語「含む(including)」、「含有する」及び「含む(comprising)」は、そのオープンで非限定的な意味で使用される。
【0201】
より簡潔な説明を提供するために、本明細書に示す量的表現のいくつかは、用語「約」により修飾されない。用語「約」が明示的に用いられるか否かに拘わらず、本明細書に示す全ての量は、実際の所定値を指すことを意味し、そのような所与値の実験条件及び/又は測定条件による同等物及び近似を含めて、当業者に基づいて合理的に推測されるそのような所定値の近似を指すことを意味すると理解されたい。収率が百分率で与えられているときはいつでも、特定の化学量論的条件下で得ることができる同じ実体の最大量に対して収率が与えられるため、そのような収率は実体の質量を指す。異なる指示がない限り、百分率で与えられる濃度は質量比を指す。
【0202】
特に記載のない限り、本実施形態の方法及び技術は、当技術分野で周知の、かつ本明細書を通して引用及び議論される様々な一般的で、より具体的な参考文献に記載されている従来の方法に従って一般的に行われる。例えば、Loudon、有機化学、第4版、New York:Oxford University Press,2002,pp.360−361,1084−1085;Smith及びMarch,マーチ有機化学(March’s Advanced Organic Chemistry):反応、機構、及び構造(Reactions,Mechanisms,and Structure)、第5版、Wiley−Interscience,2001を参照されたい。
【0203】
定義
本明細書で使用する用語「アルキル」は、任意に分岐しており、1〜20個の炭素原子を含有する炭素原子の鎖を含む。さらに、特定の実施形態において、アルキルは、都合よくC〜C12、C〜C10、C〜C、C〜C、C〜C、C〜C、及びC〜Cを含む限定された長さのものであり得ることが理解されるであろう。例示的には、C〜C、C〜C、C〜C、及びC〜Cなどを含むそのような特定の限定された長さのアルキル基は、「低級アルキル」と呼ばれることもあり得る。例示的なアルキル基には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、及びオクチルなどが含まれるが、これらに限定されない。アルキルは、置換又は非置換であり得る。典型的な置換基には、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環式、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、シアノ、ハロ、カルボニル、オキソ(=O)、チオカルボニル、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、C−カルボキシ、O−カルボキシ、ニトロ、及びアミノ、又は本明細書で提供される様々な実施形態に記載のものが含まれる。「アルキル」は、上記に提供したものなどの他の基と組み合わせて、官能化アルキル基を形成することができることが理解されるであろう。一例として、「カルボキシ」基と本明細書に記載の「アルキル」基の組み合わせは、「カルボキシアルキル」基と呼ぶことができる。他の非限定的な例としては、ヒドロキシアルキル、及びアミノアルキルなどが挙げられる。
【0204】
本明細書で使用する用語「アルケニル」は、任意に分岐しており、2〜20個の炭素原子を含有する炭素原子の鎖を含み、また少なくとも1つの炭素−炭素二重結合(すなわち、C=C)を含む。特定の実施形態において、アルケニルは、都合よく、C〜C12、C〜C、C〜C、C〜C、C〜C、及びC〜Cを含む限定された長さのものであり得ることが理解されるであろう。例示的には、C〜C、C〜C、C〜C、及びC〜Cを含むそのような特定の限定された長さのアルケニル基は、「低級アルケニル」と呼ばれ得る。アルケニルは、アルキルについて記載した通り、若しくは本明細書に提供する様々な実施形態に記載した通り、非置換であるか又は置換され得る。例示的なアルケニル基には、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−、2−、又は3−ブテニルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0205】
本明細書で使用する用語「アルキニル」は、任意に分岐しており、2〜20個の炭素原子を含有する炭素原子の鎖を含み、また少なくとも1つの炭素−炭素三重結合(すなわち、C≡C)を含む。特定の実施形態において、アルキニルは、都合よく、C〜C12、C〜C、C〜C、C〜C、C〜C、及びC〜Cを含む限定された長さのものであり得ることが理解されるであろう。例示的には、C〜C、C〜C、C〜C、及びC〜Cを含むそのような特定の限定された長さのアルキニル基は、「低級アルキニル」と呼ばれ得る。アルケニルは、アルキルについて記載した通り、若しくは本明細書に提供する様々な実施形態に記載した通り、非置換であるか又は置換され得る。例示的なアルケニル基には、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−、2−、又は3−ブチニルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0206】
本明細書で使用する用語「アリール」は、完全に共役したπ電子系を有する6〜12個の炭素原子の全炭素単環式又は縮合環多環式基を指す。特定の実施形態において、アリールは、都合よく、C〜C10アリールなどの限られたサイズであり得ることが理解されるであろう。例示的なアリール基には、フェニル、ナフタレニル及びアントラセニルが含まれるが、これらに限定されない。アリール基は、アルキルについて記載した通り、若しくは本明細書に提供する様々な実施形態に記載した通り、非置換であるか又は置換され得る。
【0207】
本明細書で使用する用語「シクロアルキル」は、全炭素5員/6員又は6員/6員の縮合二環式環又は多環式縮合環(「縮合」環系は系中の各環が系内の他の各環と隣接炭素原子対を共有することを意味する)基を含む3〜15員の全炭素単環式環を指し、環の1以上が1以上の二重結合を含有してよいが、シクロアルキルは、完全に共役したπ電子系を含有しない。特定の実施形態において、シクロアルキルは、都合よく、C〜C13、C〜C、C〜C及びC〜Cなどの限られたサイズであり得ることが理解されるであろう。例示的なシクロアルキル基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、アダマンチル、ノルボルニル、ノルボルネニル、及び9H−フルオレン−9−イルなどが含まれるが、これらに限定されない。グラフィカル表示した例示的なシクロアルキル基の例としては、適切に結合された部分の形態の以下の実体が挙げられる。
【化13】
【0208】
本明細書で使用する用語「ヘテロシクロアルキル」は、少なくとも1個の環原子が、窒素、酸素又は硫黄などのヘテロ原子であり、残りの環原子が炭素原子である、3〜12個の環原子の環(複数可)を有する単環式基又は縮合環基を指す。ヘテロシクロアルキルは、任意に1個、2個、3個又は4個のヘテロ原子を含有してよい。ヘテロシクロアルキルはまた、窒素との二重結合(例えば、C=N又はN=N)を含む複数の二重結合の1つを有してよいが、完全共役のπ電子系を含有しない。特定の実施形態において、ヘテロシクロアルキルは、都合よく、3〜7員のヘテロシクロアルキル、及び5〜7員のヘテロシクロアルキなどの限られたサイズであり得ることが理解されるであろう。ヘテロシクロアルキルは、アルキルについて記載した通り、若しくは本明細書に提供する様々な実施形態に記載した通り、非置換であるか又は置換され得る。例示的なヘテロシクロアルキル基には、オキシラニル、チアナリル(thianaryl)、アゼチジニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、1,4-ジオキサニル、モルホリニル、1,4−ジチアニル、ピペラジニル、オキセパニル、3,4−ジヒドロ−2H−ピラニル、5,6−ジヒドロ−2H−ピラニル、2H−ピラニル、及び1,2,3,4−テトラヒドロピリジニルが含まれるが、これらに限定されない。グラフィカル表示した例示的なヘテロシクロアルキル基の例としては、適切に結合された部分の形態の以下の実体が挙げられる。
【化14】
【0209】
本明細書で使用する用語「ヘテロアリール」は、窒素、酸素及び硫黄から選択される1個、2個、3個又は4個の環ヘテロ原子を含有し、残りの環原子が炭素原子であり、完全に共役したπ電子系も有する5〜12個の環原子の単環式又は縮合環基を指す。特定の実施形態において、ヘテロアリールは、都合よく、3〜7員のヘテロアリール、及び5〜7員のヘテロアリールなどの限られたサイズであり得ることが理解されるであろう。ヘテロアリールは、アルキルについて記載した通り、若しくは本明細書に提供する様々な実施形態に記載した通り、非置換であるか又は置換され得る。例示的なヘテロアリール基には、ピロリル、フラニル、チオフェニル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、キノリニル、イソキノリニル、プリニル、テトラゾリル、トリアジニル、ピラジニル、テトラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、チエニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンズイソチアゾリル及びカルバゾリルなどが含まれるが、これらに限定されない。グラフィカル表示した例示的なヘテロアリール基の例としては、適切に結合された部分の形態の以下の実体が挙げられる。
【化15】
【0210】
本明細書で使用する「ヒドロキシ」又は「ヒドロキシル」は、−OH基を指す。
【0211】
本明細書で使用する「アルコキシ」は、−O−(アルキル)又は−O−(非置換シクロアルキル)基の両方を指す。代表例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、及びシクロヘキシルオキシなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0212】
本明細書で使用する用語「アリールオキシ」は、−O−アリール、又は−O−ヘテロアリール基を指す。代表例としては、フェノキシ、ピリジニルオキシ、フラニルオキシ、チエニルオキシ、ピリミジニルオキシ、及びピラジニルオキシなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0213】
本明細書で使用する「メルカプト」は、−SH基を指す。
【0214】
本明細書で使用する「アルキルチオ」は、−S−(アルキル)又は−S−(非置換シクロアルキル)基を指す。代表例としては、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオ、シクロプロピルチオ、シクロブチルチオ、シクロペンチルチオ、及びシクロヘキシルチオなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0215】
本明細書で使用する「アリールチオ」は、−S−アリール又は−S−ヘテロアリール基を指す。代表例としては、フェニルチオ、ピリジニルチオ、フラニルチオ、チエニルチオ、及びピリミジニルチオなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0216】
本明細書で使用する「ハロ」又は「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を指す。
【0217】
本明細書で使用する「シアノ」は−CN基を指す。
【0218】
用語「オキソ」は、カルボニル酸素を表す。例えば、オキソで置換されたシクロペンチルはシクロペンタノンである。
【0219】
用語「置換された」は、特定の基又は部分が1以上の置換基を有することを意味する。用語「非置換」は、特定の基が置換基を持たないことを意味する。用語「置換」を用いて構造系を説明する場合、置換は、系上の任意の原子価許容位置に起こることを意味する。いくつかの実施形態において、「置換」は、特定の基又は部分が、1個、2個、又は3個の置換基を有することを意味する。他の実施形態において、「置換」は、特定の基又は部分が1個又は2個の置換基を有することを意味する。さらに他の実施形態において、「置換」は、特定の基又は部分が1個の置換基を有することを意味する。
【0220】
本明細書で使用する「任意の」又は「任意に」は、続いて記載される事象又は状況が生じてもよいが、生じる必要がないことを意味し、その説明には、その事象又は状況が生じる場合及び生じない場合が含まれることを意味する。例えば、「C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル、3〜7員のヘテロシクロアルキル、C〜C10アリール、又は単環式若しくは二環式ヘテロアリールの各水素原子は、独立して、C〜Cアルキルと任意に置換されている」とは、アルキルは存在するが、各アルキル基の水素原子の置換によってC〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル、3〜7員のヘテロシクロアルキル、C〜C10アリール、又は単環式若しくは二環式ヘテロアリールのいずれかの上に存在する必要がないことを意味し、その説明は、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル、3〜7員のヘテロシクロアルキル、C〜C10アリール、又は単環式若しくは二環式ヘテロアリールがアルキル基で置換されている状況、及びC〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル、3〜7員のヘテロシクロアルキル、C〜C10アリール、又は単環式若しくは二環式ヘテロアリールがアルキル基で置換されていない状況を含む。
【0221】
本明細書で使用する「独立して」は、続いて記載される事象又は状況が他の同様の事象又は状況に対して独自に読まれるべきであることを意味する。例えば、いくつかの等価な水素基がその状況で記載された別の基で任意に置換されている状況で、「独立して、任意に」の使用は、基上の水素原子の各場合が別の基で置換されてよいことを意味し、水素原子のそれぞれを置換する基は同じでも異なっていてもよい。あるいは、例えば、基の全てが可能性のセットから選択することができる複数の基が存在する場合、「独立して」の使用は、基のそれぞれが任意の他の基とは別々の可能性のセットから選択することができることを意味し、その状況の中で選択される基は同一であっても、又は異なっていてもよい。
【0222】
本明細書で使用する用語「薬学的に許容される塩」は、医薬品に使用することができるイオンに対抗する塩を指す。一般に、S.M.Bergeら、「薬学的塩(Pharmaceutical Salts)」、J.Pharm.Sci.,1977,66,1−19を参照されたい。好ましい薬学的に許容される塩は、薬理学的に有効で、過度の毒性、刺激、又はアレルギー反応なしに対象の組織と接触するのに適するものである。本明細書に記載の化合物は、十分に酸性の基、十分に塩基性の基、両方のタイプの官能基、又は各種類の複数を保有してよく、したがって、幾種類かの無機塩基又は有機塩基、並びに無機酸及び有機酸と反応して、薬学的に許容される塩を形成する。このような塩には、以下のものが含まれる:
【0223】
(1)塩酸、臭化水素酸、硝酸、リン酸、硫酸、及び過塩素酸などの無機酸と親化合物の遊離塩基との反応、又は酢酸、シュウ酸、(D)若しくは(L)リンゴ酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸若しくはマロン酸などの有機酸と親化合物の遊離塩基との反応により得ることができる酸付加塩;又は
【0224】
(2)親化合物に存在する酸性プロトンが、金属イオン、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、若しくはアルミニウムイオンによって置換されるか、又はエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリメタミン、及びN−メチルグルカミンなどの有機塩基と配位する時に形成される塩。
【0225】
薬学的に許容される塩は、当業者に周知であり、任意のそのような薬学的に許容される塩は、本明細書に記載の実施形態と関連して企図され得る。薬学的に許容される塩の例としては、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオン酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン−1,4−ジオエート、ヘキシン−1,6−ジオエート、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、安息香酸メチル、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、スルホン酸塩、メチルスルホン酸塩、プロピルスルホン酸塩、ベシル酸塩、キシレンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、γ−ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、及びマンデル酸塩が挙げられる。他の適切な薬学的に許容される塩のリストは、レミントンの薬学、第17版、Mack Publishing Company、ペンシルバニア州イーストン、1985の中に見出される。
【0226】
塩基性窒素を含有する式Iの化合物については、薬学的に許容される塩は、当技術分野で利用可能な任意の適切な方法、例えば、塩酸、臭化水素、硫酸、スルファミン酸、硝酸、ホウ酸、及びリン酸などの無機酸での遊離塩基の処理、又は酢酸、フェニル酢酸、プロピオン酸、ステアリン酸、乳酸、アスコルビン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、イセチオン酸、コハク酸、吉草酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸、オレイン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ピラノシジル酸、例えば、グルクロン酸若しくはガラクツロン酸、アルファ−ヒドロキシ酸、例えば、マンデル酸、クエン酸、若しくは酒石酸、アミノ酸、例えば、アスパラギン酸若しくはグルタミン酸、芳香族酸、例えば、安息香酸、2−アセトキシ安息香酸、ナフトエ酸、若しくは桂皮酸、スルホン酸、例えば、ラウリルスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、若しくはエタンスルホン酸、又は本明細書の実施例として挙げたものなどの任意の酸の適合性混合物、並びにこの科学技術における技術の通常レベルの観点から代替物若しくは許容される置換基と見なされる任意の他の酸並びにその混合物などの有機酸での遊離塩基の処理によって調製することができる。
【0227】
本開示はまた、式Iの化合物の薬学的に許容されるプロドラッグ、及びそのような薬学的に許容されるプロドラッグを用いる治療方法に関する。用語「プロドラッグ」は、対象への投与後に、加溶媒分解又は酵素的切断などの化学的又は生理学的プロセスを介して、又は生理学的条件下で、インビボで化合物を生じる(例えば、生理学的pHにされると、プロドラッグは式Iの化合物に変換される)指定された化合物の前駆体を意味する。「薬学的に許容されるプロドラッグ」は、非毒性で、生物学的に許容でき、かつそうでなければ対象への投与に生物学的に適するプロドラッグである。適切なプロドラッグ誘導体の選択及び調製についての例示的な手順は、「プロドラッグの設計」、H.Bundgaard編集,Elsevier、1985に記載されている。
【0228】
本開示はまた、式Iの化合の薬学的に活性のある代謝物、及び本開示の方法におけるそのような代謝物の使用に関する。「薬学的に活性のある代謝物」は、式Iの化合物又はその塩の、体内における薬理学的に活性のある代謝産物を意味する。化合物のプロドラッグ及び活性代謝物は、当技術分野で公知又は利用可能な通常の技術を用いて決定することができる。例えば、Bertoliniら、J.Med.Chem.1997,40,2011−2016;Shanら、J.Pharm.Sci.1997,86(7),765−767;Bagshawe,Drug Dev.Res.1995,34,220−230;Bodor,Adv.Drug Res.1984,13,255−331;Bundgaard,プロドラッグの設計(Design of Prodrugs)(Elsevier Press,1985);並びにLarsen,プロドラッグの設計及び応用、薬物の設計と開発(Design and Application of Prodrugs,Drug Design and Development)(Krogsgaard−Larsenら編集,Harwood Academic Publishers,1991)を参照されたい。
【0229】
本明細書に示される任意の式は、その構造式の化合物並びに特定の変形又は形態を表すことが意図される。例えば、本明細書に与えられる式は、ラセミ体、又は1以上の鏡像異性体、ジアステレオマー、若しくは幾何異性体、又はそれらの混合物を含むことが意図される。さらに、本明細書に与えられる任意の式は、そのような化合物の水和物、溶媒和物、若しくは多形体、又はそれらの混合物も指すことが意図される。
【0230】
本明細書で使用する用語「遺伝子改変された」は、遺伝子によってコードされるタンパク質配列に変化をもたらすことができる遺伝子を構成するDNA配列における永久的な変化を指す。本明細書に記載される「遺伝子改変」された遺伝子は、DNA配列、及び/又はDNA配列によってコードされるタンパク質配列に、サイズ範囲が例えば、1つのヌクレオチドの中に変化を有する(別名、単一ヌクレオチド多型、SNP又は点変異)、複数のヌクレオチド多型の中に変化を有する(MNP)、及び遺伝子融合などの複数の遺伝子を含む染色体の大きなセグメントの中に変化を有することができる。遺伝子融合の例としては、EML4−ALKなどの、1以上の遺伝子をコードする染色体DNAの一部が再配列して、DNA配列中の通常は関連しない2つの遺伝子が融合する染色体逆位の結果であるもの(例えば、Soda,M.ら,Nature,2007,448,561−567を参照されたい)、TMPRSS2−ERGなどの、染色体のDNA配列の一部が欠失して、DNA配列中の通常は関連しない2つの遺伝子が融合するDNA配列中の欠失の結果(中間部欠損)であるもの(例えば、Yu J.ら,Cancer Cell,2010,17,5,443−54を参照されたい)、又はBCR−ABLなどの、染色体DNAの一部が同じ若しくは異なる染色体にスプライシング及び挿入され、DNA配列中の通常は関連しない2つの遺伝子が融合する転位の結果であるもの(例えば、Advani,A.S.ら、Leukemia Research,2002,26,8,713−720を参照されたい)が挙げられるが、これらに限定されない。当業者は、そのような遺伝子融合を、遺伝子融合が生じた個体に依存する複数の変異型の中で見つけることができること、かつそのような変異型の各々が、本明細書に記載の方法によって企図されることを容易に理解するであろう。
【0231】
「遺伝子改変された」遺伝子、若しくはそのような遺伝子によりコードされるタンパク質は、親から継承することができ、時には生殖細胞変異と呼ばれる遺伝的変異として生じ得るか、又は「遺伝子改変された」遺伝子、若しくはそのような遺伝子によってコードされるタンパク質は、人生の中のいくつかの時点で生じる獲得(若しくは体細胞)変異として生じ得る。場合によって、「遺伝子改変された」遺伝子は、デノボ(新規)変異として記載することができ、かつ遺伝性又は体細胞性のいずれかであり得る。さらに、「遺伝子改変」は、SNP(又は点変異)及び転位などの本明細書に記載のDNA配列中の変化の2以上が同時に患者で生じ得る状況を指すことができることが理解されるであろう。そのような状況は、キナーゼ阻害剤で治療されている患者が、治療の有効性を低下させるDNA配列中の変異を発症し得る、いわゆる「獲得耐性」から生じるが、単なる「獲得耐性」の結果ではない。そのような獲得耐性変異の非限定的な例としては、EML4−ALK遺伝子融合に生じる点変異L1196M、G1202R、L1152P、F1174C、C1156Y、I1171N、G1269S、及び1151T挿入が挙げられる。
【0232】
本明細書で使用する用語「内因性耐性」とは、薬物治療、特に化学療法治療に対する疾患細胞、特に癌細胞の既存の耐性を指す。内因性耐性は、単一の薬物、構造的に関連する薬物の小グループ、又は異なる化学構造のいくつかの薬物に対する細胞の耐性(いわゆる「多剤耐性」又は「MDR」)をもたらすことができることが理解されるであろう(Monti,E.2007.癌細胞及び腫瘍における内因性多剤耐性の分子決定(Molecular Determinants of Intrinsic Multidrug Resistance in Cancer Cells and Tumors),B.Teicher(編),癌の薬剤耐性(Cancer Drug Resistance)(pp.241−260).Totowa,New Jersey:Humana Press Inc.)。内因性耐性が、1以上の宿主関連要因及び/又は細胞の遺伝的構成の結果であり得ることが理解されるであろう。このような要因には、免疫調節;改変されたADME又は薬物誘発性副作用に対する低い耐性による薬物の最適な血清レベルを達成し損なう薬理遺伝学的要因;腫瘍部位への薬物のアクセスの制限;及び微小環境の合図が含まれるが、これらに限定されない。そのような遺伝的構成要因には、薬物トランスポーターの発現の変化;薬物標的(複数可)の質的変化;薬物標的(複数可)の定量的変化;細胞内薬物処理/代謝の変化;DNA修復活性の変化、及びアポトーシス経路の変化が含まれるが、これらに限定されない(Gottesman,M.M.,Annu.Rev.Med.,2002,53,516−527)。
【0233】
本明細書で使用する用語「治療有効量」は、治療される疾患若しくは障害の症状の軽減を含む、患者における生物学的若しくは医学的応答を誘発する活性化合物又は医薬品の量を指す。一態様では、治療有効量は、疾患若しくは症状を治療又は軽減することができる量である。任意の特定の患者のための特定の治療有効用量レベルは、治療される障害及び障害の重症度;使用される特定の化合物の活性;使用される特定の組成物;患者の年齢、体重、一般的健康状態、性別及び食事;投与時間、投与経路、及び使用される特定の化合物の排泄速度;治療期間;並びに使用される特定の化合物と組み合わせて又は同時に使用される薬物などの要因を含む様々な要因に依存する。例示的な用量は、1日約0.1mg〜1g、又は1日約1mg〜50mg、又は1日約50〜250mg、又は1日約250mg〜1gの範囲である。総用量は、単一又は分割用量単位(例えば、1日2回、1日3回、1日4回)で与えられ得る。
【0234】
本明細書で使用する用語「疾患」には、癌、疼痛、乾癬、関節リウマチ、真性多血症、本態性血小板血症、潰瘍性大腸炎、及び骨髄線維症を伴う骨髄化生が含まれるが、これらに限定されない
【0235】
本明細書で使用する用語「癌」には、ALCL、NSCLC、神経芽腫、炎症性筋線維芽細胞腫瘍、成人の腎細胞癌、小児腎細胞癌、乳癌、ER乳癌、結腸腺癌、神経膠芽腫、多形神経膠芽腫、未分化甲状腺癌、胆管癌、卵巣癌、胃腺癌、結腸直腸癌、炎症性筋線維芽細胞腫瘍、血管肉腫、類上皮血管内皮腫、肝内胆管癌、甲状腺乳頭癌、スピッツ腫瘍、肉腫、星細胞腫、脳の低グレードの神経膠腫、分泌乳癌、乳腺相似癌、急性骨髄性白血病、先天性中胚葉性腎腫、先天性線維肉腫、Ph−様急性リンパ芽球性白血病、甲状腺癌、皮膚黒色腫、頭頸部扁平上皮癌、小児神経膠腫CML、前立腺癌、肺扁平上皮癌、卵巣漿液性嚢胞腺癌、皮膚黒色腫、去勢抵抗性前立腺癌、ホジキンリンパ腫、及び漿液性および明細胞子宮内膜癌が含まれるが、これらに限定されない。
【0236】
実施形態
いくつかの実施形態において、本明細書に記載する方法は、疾患の治療であって、治療を必要とする患者に、ALK、ROS1、TRK、JAK及びSRCからなる群から選択される少なくとも1つのチロシンキナーゼに対して活性を有する治療有効量の化合物を投与することを含む治療に関する。いくつかの実施形態において、該化合物は、ALK、ROS1、TRKA、TRKB、TRKC、JAK2、SRC、FAK及びARK5からなる群から選択される少なくとも1つのチロシン又はセリン/スレオニンキナーゼに対して活性を有する。いくつかの実施形態において、該化合物は、ALK、ROS1、TRKA、TRKB、TRKC、JAK2、SRC、FAK及びARK5からなる群から選択される少なくとも2つのチロシン又はセリン/スレオニンキナーゼに対して活性を有する。いくつかの実施形態において、チロシン又はセリン/スレオニンキナーゼのうちの少なくとも1つ、又は少なくとも2つは、遺伝的に改変されている。いくつかの実施形態において、該化合物は、式I
【化16】
(式中、X、X、Z、Z、Z、Z、Z、Z、Z、M、R、R、R、R、R及びRは、本明細書に記載の通りに定義されている)
のもの又はその薬学的に許容される塩である。
【0237】
該疾患は、式Iの化合物がそれに対する活性を有する、本明細書に記載のチロシンキナーゼに関連するいくつかの疾患のいずれかであり得ることが理解されるであろう。例えば、本明細書に記載の方法は、癌、疼痛、乾癬、関節リウマチ、真性多血症、本態性血小板血症、潰瘍性大腸炎、及び骨髄線維症を伴う骨髄化生などの疾患の治療に使用することができる。該疾患は、本明細書に記載のチロシンキナーゼの活性に関連する任意の疾患であり得ることが理解されるであろう。さらに、該疾患は、ALK、ROS1、TRKA、TRKB、TRKC、JAK2、SRC、FAK及びARK5からなる群から選択される遺伝子改変されたチロシン又はセリン/スレオニンキナーゼに関連する任意の疾患であり得ることが理解されるであろう。さらに、該疾患は、JAK2、SRC、FAK又はARK5の上方制御に関連する任意の疾患であり得ることが理解されるであろう。いくつかの実施形態において、該疾患は、チロシンキナーゼによって媒介されるか、又はチロシンキナーゼに関連する癌である。いくつかの実施形態において、該疾患は、セリン/スレオニンキナーゼによって媒介されるか、又はセリン/スレオニンキナーゼに関連する癌である。いくつかの実施形態において、該疾患は、遺伝子改変チロシンキナーゼによって媒介されるか、又は遺伝子改変チロシンキナーゼに関連する癌である。いくつかの実施形態において、該疾患は、遺伝子改変セリン/スレオニンキナーゼによって媒介されるか、又は遺伝子改変セリン/スレオニンキナーゼに関連する癌である。いくつかの実施形態において、該疾患は、JAK2、SRC、FAK又はARK5の上方制御によって媒介されるか、又はJAK2、SRC、FAK又はARK5の上方制御に関連する癌である。いくつかの実施形態において、該疾患は、ALK、ROS1、TRKA、TRKB、TRKC、JAK2、SRC及びFAKからなる群から選択される遺伝子改変チロシンキナーゼによって媒介されるか、又は遺伝子改変チロシンキナーゼに関連する癌である。いくつかの実施形態において、該疾患は、ARK5などの遺伝子改変セリン/スレオニンキナーゼによって媒介されるか、又は遺伝子改変セリン/スレオニンキナーゼに関連する癌である。
【0238】
該癌は、ALK、ROS1、TRKA、TRKB、TRKC及びJAK2からなる群から選択される遺伝子改変チロシンキナーゼによって媒介されるか、又は遺伝子改変チロシンキナーゼに関連するか、又はJAK2、SRC、FAK若しくはARK5の上方制御によって媒介されるか、又はそれらの上方制御に関連する任意の癌であり得、ALCL、NSCLC、神経芽腫、炎症性筋線維芽細胞腫瘍、成人の腎細胞癌、小児腎細胞癌、乳癌、結腸腺癌、神経膠芽腫、多形神経膠芽腫、未分化甲状腺癌、胆管癌、卵巣癌、胃癌、結腸直腸癌、炎症性筋線維芽細胞腫瘍、血管肉腫、類上皮血管内皮腫、肝内胆管癌、甲状腺乳頭癌、スピッツ腫瘍、肉腫、星細胞腫、脳の低グレードの神経膠腫、分泌乳癌、乳腺相似癌、急性骨髄性白血病、先天性中胚葉性腎腫、先天性線維肉腫、Ph−様急性リンパ芽球性白血病、甲状腺癌、皮膚黒色腫、頭頸部扁平上皮癌及び小児神経膠腫CML、及び前立腺癌を含むが、これらに限定されないことが理解されるであろう。いくつかの実施形態において、該癌はNSCLCである。いくつかの実施形態において、該癌は結腸直腸癌である。いくつかの実施形態において、該癌は神経芽腫である。
【0239】
いくつかの実施形態において、本開示は、1以上の治療剤で前治療を受けた患者の疾患を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態において、該患者は、1以上の化学療法剤で以前に治療された。さらに他の実施形態において、該患者は、1以上の化学療法剤で以前に治療され、治療に対する獲得耐性を発症した。さらに他の実施形態において、該患者は、1以上の化学療法剤で以前に治療され、治療に対するバイパス耐性を発症した。さらに他の実施形態において、該患者は、1以上の化学療法剤で以前に治療され、SRC又はJAK2によって調節される治療に対するバイパス耐性を発症した。
【0240】
本明細書に記載の化合物の1以上を用いた治療の前に該患者を治療することができる他の化学療法剤には、キナーゼ阻害剤、アドレノコルチコイド及びコルチコステロイド、アルキル化剤、ペプチド及びペプチド模倣シグナル伝達阻害剤、抗アンドロゲン、抗エストロゲン、アンドロゲン、アクラマイシン及びアクラマイシン誘導体、エストロゲン、代謝拮抗剤、白金化合物、アマニチン、植物アルカロイド、マイトマイシン、ディスコデルモリド、微小管阻害剤、エポチロン、炎症剤及び炎症促進剤、プリン類似体、ピリミジン類似体、カンプトテシン及びドラスタチンが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の1以上の化合物を用いた治療の前に該患者が受け取る化学療法剤は、アファチニブ、アキシチニブ、アレクチニブ、ボスチニブ、ブリガチニブ、カボザンチニブ、セリチニブ、クリゾチニブ、ダブラフェニブ、ダサチニブ、エルロチニブ、エベロリムス、ゲフィチニブ、イブルチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、レンバチニブ、ニロチニブ、ニンテダニブ、パルボシクリブ、パゾパニブ、ポナチニブ、レゴラフェニブ、ルキソリチニブ、シロリムス、ソラフェニブ、スニチニブ、トファシチニブ、テムシロリムス、トラメチニブ、バンデタニブ、ベムラフェニブ、メトトレキセート、ブスルファン、カルボプラチン、クロラムブシル、シスプラチン、タモキシフェン、タキソール、パクリタキセル、ドセタキセル、シトシンアラビノシド、シクロホスファミド、ダウノマイシン、リゾキシン、プレドニゾン、ヒドロキシ尿素、テニポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、エリブリン、カンプトテシン、イリノテカン、ゲルダナマイシン、エストラムスチン及びノコダゾールのうちの1以上であり得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、アファチニブ、アレクチニブ、アキシチニブ、ボスチニブ、ブリガチニブ、カボザンチニブ、セリチニブ、クリゾチニブ、ダブラフェニブ、ダサチニブ、エルロチニブ、エベロリムス、ゲフィチニブ、イブルチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、レンバチニブ、ニロチニブ、ニンテダニブ、パルボシクリブ、パゾパニブ、ポナチニブ、レゴラフェニブ、ルキソリチニブ、シロリムス、ソラフェニブ、スニチニブ、トファシチニブ、テムシロリムス、トラメチニブ、バンデタニブ、及びベムラフェニブからなる群から選択されるキナーゼ阻害剤で以前に治療された患者の治療を提供する。いくつかの実施形態において、該患者は、クリゾチニブで以前に治療された。
【0241】
医薬組成物
治療目的では、本明細書に記載の化合物を含む医薬組成物は、さらに、1以上の薬学的に許容される賦形剤を含んでよい。薬学的に許容される賦形剤は、非毒性であり、そうでなければ対象への投与に生物学的に適する物質である。そのような賦形剤は、本明細書に記載の化合物の投与を容易にし、有効成分と適合性がある。薬学的に許容される賦形剤の例としては、安定剤、滑剤、界面活性剤、希釈剤、抗酸化剤、結合剤、着色剤、増量剤、乳化剤、又は味覚改質剤が挙げられる。好ましい実施形態において、本発明による医薬組成物は滅菌組成物である。医薬組成物は、当業者に公知の配合技術を用いて調製することができるか、又は当業者に利用可能になり得る。
【0242】
滅菌組成物も、本発明によって企図され、そのような組成物を管理する国又は地方の規制と一致する組成物を含む。
【0243】
本明細書に記載の医薬組成物及び化合物は、適切な薬学的溶媒若しくは担体に溶液、エマルジョン、懸濁液、又は分散液として、又は様々な剤形を調製するための当技術分野で公知の従来の方法に従って固体担体と一緒の丸剤、錠剤、トローチ剤、坐剤、サシェ剤、糖衣錠、顆粒剤、散剤、再構成のための粉末、若しくはカプセルとして製剤化することができる。本発明の医薬組成物は、経口、非経口、直腸、経鼻、局所又は眼経路など、又は吸入により、送達に適切な経路によって投与することができる。好ましくは、該組成物は、静脈内又は経口投与用に製剤化される。
【0244】
経口投与については、本発明の化合物は、錠剤又はカプセルなどの固体形態で、又は溶液、エマルジョン、若しくは懸濁液として提供することができる。経口組成物を調製するために、本発明の化合物は、例えば、1日約0.1mg〜1g、又は1日約1mg〜50mg、又は1日約50〜250mg、又は1日約250mg〜1gの投与量をもたらすように製剤化することができる。経口錠剤は、希釈剤、崩壊剤、結合剤、滑剤、甘味剤、香味剤、着色剤及び防腐剤などの適合性のある薬学的に許容される賦形剤と混合した有効成分(複数可)を含んでよい。適切な不活性充填剤には、炭酸ナトリウム及び炭酸カルシウム、リン酸ナトリウム及びリン酸カルシウム、ラクトース、澱粉、糖、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、マンニトール、及びソルビトールなどが含まれる。代表的な液体経口賦形剤には、エタノール、グリセロール、及び水などが含まれる。澱粉、ポリビニルピロリドン(PVP)、デンプングリコール酸ナトリウム、微結晶性セルロース、及びアルギン酸が、代表的な崩壊剤である。結合剤には、デンプン及びゼラチンが含まれ得る。滑剤は、存在する場合、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、又はタルクであってよい。所望であれば、該錠剤は、胃腸管での吸収を遅延させるためにグリセリルモノステアレート又はグリセリルジステアレートなどの材料でコーティングしてよく、又は腸溶コーティングでコーティングしてもよい。
【0245】
経口投与用のカプセル剤には、硬ゼラチンカプセル及び軟ゼラチンカプセルが含まれる。硬ゼラチンカプセルを調製するために、有効成分(複数可)は、固体、半固体、又は液体の希釈剤と混合することができる。軟ゼラチンカプセルは、水、落花生油又はオリーブ油、流動パラフィン、短鎖脂肪酸のモノグリセリドとジグリセリドの混合物、ポリエチレングリコール400、又はプロピレングリコールなどの油と有効成分を混合することによって調製することができる。
【0246】
経口投与用の液体は、懸濁液、溶液、エマルジョン、又はシロップ剤の形態であってもよく、又は凍結乾燥されるか、又は使用前に水若しくは他の適当なビヒクルで再構成するための乾燥製品として提供してもよい。そのような液体組成物は、必要に応じて、懸濁剤(例えば、ソルビトール、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及びステアリン酸アルミニウムゲルなど);非水性ビヒクル、例えば、油(例えば、アーモンド油又は分別ヤシ油)、プロピレングリコール、エチルアルコール、又は水;防腐剤(例えば、メチル若しくはプロピルp−ヒドロキシベンゾエート又はソルビン酸);レシチンなどの湿潤剤;所望であれば、香味剤又は着色剤などの薬学的に許容される賦形剤を含有してよい。
【0247】
静脈内、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、又は皮下経路を含む非経口使用については、本発明の薬剤は、適切なpH及び等張性に緩衝化した滅菌水性溶液若しくは懸濁液、又は非経口的に許容される油で提供することができる。適切な水性ビヒクルには、リンゲル液及び等張塩化ナトリウムが含まれる。そのような形態は、アンプル又は使い捨て注射器具などの単位用量形態、適切な用量を引き出すことができるバイアルなどの複数回用量形態、又は注射製剤を調製するために用いることができる固体形態又は事前濃縮物で提示することができる。薬剤の例示的な輸液用量は、数分から数日の範囲の期間にわたって医薬担体と混合された約1〜1000μg/kg/分の範囲である。
【0248】
鼻腔、吸入、又は経口投与については、本発明の医薬組成物は、例えば、適切な担体を含有するスプレー製剤を使用して投与することができる。本発明の組成物は、坐剤として直腸投与用に製剤化することができる。
【0249】
局所適用については、本発明の化合物は、好ましくは、局所投与に適するクリーム又は軟膏又は同様のビヒクルとして製剤化される。局所投与については、本発明の化合物は、ビヒクルへの薬物の約0.1%〜約10%の濃度で医薬担体と混合してよい。本発明の薬剤を投与する別の様式は、経皮送達を達成するためにパッチ製剤を利用することができる。
【0250】
本明細書に示すいかなる式も、化合物の非標識形態及び同位体標識形態を表すことを意図している。同位体標識化合物は、1個の以上の原子が選択された原子質量又は質量数を有する原子によって置き換えられていること以外は、本明細書に示す式で示される構造を有する。本開示の化合物に組み込むことができる同位体の例としては、それぞれH、H、11C、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、36Cl、及び125Iなどの水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、塩素、及びヨウ素の同位体が挙げられる。そのような同位体標識化合物は、代謝研究(好ましくは、14Cを用いた)、反応速度研究(例えば、H若しくはHを用いた)、薬物若しくは物質の組織分布アッセイを含む検出技術又はイメージング技術[陽電子放出断層撮影(PET)若しくは単一光子放射断層撮影(SPECT)など]、又は患者の放射線治療において有用である。さらに、重水素(すなわち、H)などのより重い同位体との置換は、より大きな代謝安定性、例えば、インビボ半減期の延長又は必要投与量の減少から生じる特定の治療上の利点を与えることができる。同位体標識された本開示の化合物及びそのプロドラッグは、一般的に、以下に記載のスキーム又は実施例及び調製に開示されている手順を行うことにより、非同位体標識試薬と容易に入手可能な同位体標識試薬を置換することによって調製することができる。
【0251】
薬物の組合せ
本明細書に記載の化合物は、本明細書に記載の疾患及び障害の治療において、1以上の追加の有効成分と組み合わせた医薬組成物又は方法において使用することができる。さらに、追加の有効成分は、意図した疾患標的のための治療薬の悪影響を緩和する他の治療薬又は薬剤を含む。そのような組合せは、効力を増加させるか、他の疾患症状を改善するか、1以上の副作用を低減するか、又は本発明の化合物の必要な用量を減少させるのに役立ち得る。追加の有効成分は、本発明の化合物とは別々の医薬組成物で投与され得るか、又は本発明の化合物と共に単一の医薬組成物中に含めてもよい。追加の有効成分は、本発明の化合物の投与と同時に、本発明の化合物の投与の前又は後に投与することができる。
【0252】
追加の有効成分を含む併用剤は、疾患に関連する別の標的に対して活性のあるものを含めて、本明細書に記載の疾患及び障害を治療するのに有効であることが知られているか、又は発見されたものである。例えば、本発明の組成物及び製剤、並びに治療方法は、さらに、他の薬物又は医薬品、例えば、標的疾患又は関連症状若しくは状態の治療に有用であるか、又は緩和する他の活性薬剤を含むことができる。
【0253】
本明細書に記載の方法と組み合わせて使用するのに適する他の化学療法剤には、キナーゼ阻害剤、アドレノコルチコイド及びコルチコステロイド、アルキル化剤、ペプチド及びペプチド模倣シグナル伝達阻害剤、抗アンドロゲン、抗エストロゲン、アンドロゲン、アクラマイシン及びアクラマイシン誘導体、エストロゲン、代謝拮抗剤、白金化合物、アマニチン、植物アルカロイド、マイトマイシン、ディスコデルモリド、微小管阻害剤、エポチロン、炎症剤及び炎症促進剤、プリン類似体、ピリミジン類似体、カンプトテシン及びドラスタチンが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法で併用治療に適する化学療法剤には、アファチニブ、アレクチニブ、アキシチニブ、ボスチニブ、ブリガチニブ、カボザンチニブ、セリチニブ、クリゾチニブ、ダブラフェニブ、ダサチニブ、エルロチニブ、エベロリムス、ゲフィチニブ、イブルチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、レンバチニブ、ニロチニブ、ニンテダニブ、パルボシクリブ、パゾパニブ、ポナチニブ、レゴラフェニブ、ルキソリチニブ、シロリムス、ソラフェニブ、スニチニブ、トファシチニブ、テムシロリムス、トラメチニブ、バンデタニブ、ベムラフェニブ、メトトレキセート、ブスルファン、カルボプラチン、クロラムブシル、シスプラチン、タモキシフェン、タキソール、パクリタキセル、ドセタキセル、シトシンアラビノシド、シクロホスファミド、ダウノマイシン、リゾキシン、プレドニゾン、ヒドロキシ尿素、テニポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、エリブリン、カンプトテシン、イリノテカン、ゲルダナマイシン、エストラムスチン及びノコダゾールのうちの1以上が含まれるが、これらに限定されない。本明細書に記載の方法で併用治療に適する化学療法剤には、アファチニブ、アレクチニブ、アキシチニブ、ボスチニブ、ブリガチニブ、カボザンチニブ、セリチニブ、クリゾチニブ、ダブラフェニブ、ダサチニブ、エルロチニブ、エベロリムス、ゲフィチニブ、イブルチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、レンバチニブ、ニロチニブ、ニンテダニブ、パルボシクリブ、パゾパニブ、ポナチニブ、レゴラフェニブ、ルキソリチニブ、シロリムス、ソラフェニブ、スニチニブ、トファシチニブ、テムシロリムス、トラメチニブ、バンデタニブ及びベムラフェニブからなる群から選択される1以上のキナーゼ阻害剤が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、該患者は、クリゾチニブで以前に治療された。疼痛の適応症の場合、適切な併用剤には、NSAIDなどの抗炎症剤が含まれる。本発明の医薬組成物は、そのような活性剤のうちの1以上をさらに含むことができ、治療方法は、さらに、有効量のそのような活性剤のうちの1以上を投与することを含むことができる。
【0254】
診断試験
いくつかの実施形態において、本開示は、遺伝子融合体などの遺伝子改変されたチロシン又はセリン/スレオニンキナーゼを有するものとして以前に特定された患者の疾患を治療するための方法を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、遺伝子融合体などの遺伝子改変されたチロシン又はセリン/スレオニンキナーゼを有するものとして以前に特定された患者の癌を治療するための方法を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、患者の疾患を治療する方法であって、(i)該患者において遺伝子改変さチロシン又はセリン/スレオニンキナーゼを特定すること、及び(ii)該患者に、そのような疾患の治療に有用な治療有効量の化合物を投与すること、を含む方法を提供する。
【0255】
遺伝子改変されたチロシン又はセリンスレオニンキナーゼを有するものとして患者を診断又は特定することは、当業者に公知のいくつかの診断試験によって達成することができることが理解されるであろう。例えば、そのような診断試験には、蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH)、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、免疫組織化学(IHC)、全ゲノム配列決定、及び次世代シークエンシングなどが含まれるが、これらに限定されない。また、当技術分野で公知であり、本開示に関連した患者の診断又は患者の特定に適用できる方法のいずれかは、対象が遺伝子改変されたチロシン又はセリンスレオニンキナーゼを有するか否かを決定するために使用することができる改変試料を提供するために、直接的な改変、合成又は直接的な非共有結合により物質の1つの状態から別の状態に生体試料を変換することを含むことが理解されるであろう。いくつかの実施形態において、患者の疾患状態に関する「診断」又は「特定」は、患者から得られた生体試料に、FISH、PCR又はIHCなどの診断試験を適用することを意味する。
【0256】
FISHは、人の細胞に遺伝物質を「マッピングする」試験であることが理解されるであろう。この試験は、特定の遺伝子又は遺伝子の部分を視覚化するために使用することができる。FISHは、配列相補性の高い染色体の部分のみに結合する蛍光プローブを使用する細胞遺伝学的技術である。そのようなFISH試験は、当技術分野で公知の任意の方法によって遺伝子改変されたチロシン又はセリン/スレオニンキナーゼを有する患者を特定するために使用することができ、そのような試験は、治療のための患者の事前の特定、又は治療のための患者の同時特定の手段のいずれかとして、本明細書に記載の方法と組み合わせて使用することができる。
【0257】
IHCは、生体組織中の抗原に特異的に結合する抗体の原理を利用して、組織切片の細胞において抗原(例えば、タンパク質)を検出するプロセスを指すことが理解されるであろう。免疫組織化学染色は、癌性腫瘍に見られるものなどの異常細胞の診断に広く使用される。特異的分子マーカーは、増殖又は細胞死(アポトーシス)などの特定の細胞事象に特有である。抗体−抗原相互作用を可視化することは、いくつかの方法で達成することができる。最も一般的な例において、抗体は、発色反応を触媒することができるペルオキシダーゼなどの酵素にコンジュゲートされる。あるいは、抗体は、フルオレセイン又はローダミンなどの蛍光団にタグ付けすることもできる。そのようなIHC試験は、当技術分野で公知の任意の方法によって、遺伝子改変されたチロシン又はセリン/スレオニンキナーゼを有する患者を特定するために使用することができ、そのような試験は、治療のための患者の事前の特定、又は治療のための患者の同時特定の手段のいずれかとして、本明細書に記載の方法と組み合わせて使用することができる。
【0258】
PCRは、数桁にわたってDNAの断片の1コピー又は数コピーを増幅し、特定のDNA配列の数千〜数百万コピーを生成するために使用される分子生物学技術を指すことが理解されるであろう。そのようなPCR試験は、当技術分野で公知の任意の方法によって、遺伝子改変されたチロシン又はセリン/スレオニンキナーゼを有する患者を特定するために使用することができ、そのような試験は、治療のための患者の事前の特定、又は治療のための患者の同時特定の手段のいずれかとして、本明細書に記載の方法と組み合わせて使用することができる。
【0259】
全ゲノム配列決定又は次世代シークエンシングは、生物のゲノムの完全なDNA配列を一度に決定するプロセスを指すことが理解されるであろう。これは、生物の染色体DNA及びミトコンドリアに含有されるDNAの全ての塩基配列決定を伴う。そのような全ゲノム配列決定試験は、当技術分野で公知の任意の方法によって遺伝子改変されたチロシン又はセリン/スレオニンキナーゼを有する患者を特定するために使用することができ、そのような試験は、治療のための患者の事前の特定、又は治療のための患者の同時特定の手段のいずれかとして、本明細書に記載の方法と組み合わせて使用することができる
【0260】
実施例
以下に提供する実施例及び調製物は、さらに、本開示の実施形態の特定の態様を説明し、例示する。本開示の範囲は、以下の実施例の範囲によって決して限定されないことを理解されたい。
【0261】
略語
本明細書に記載の実施例は、当業者に公知の以下の略号で記載されるものを含むが、これらに限定されない材料を使用する。
【表1】
【0262】
化合物1の合成
化合物1を、以下の合成スキームに従って調製した。
【化17】
【0263】
実施例1:5−クロロピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキシレート(1a)の調製
工程1:エチル5−オキソ−4H−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキシレート(1−2)の調製
DMF(3.2L)中のエチル5−アミノ−1H−ピラゾール−4−カルボキシレート(Sigma−Aldrich、150.00g、1.08mmol)及びエチル(E)−3−エトキシプロパ−2−エノエート(Sigma−Aldrich、292.16g、2.03mol)の混合物に、N下、20℃で一度にCsCO(656.77g,2.02mol)を添加した。この混合物を6時間110℃で撹拌した。TLC(PE:EtOAc=1:1)は、反応が完了したことを示した。この混合物を20℃に冷却し、セライトパッドを通して濾過した。フィルターケーキを酢酸エチル(3×30mL)で洗浄した。濾液をHO(2L)に加え、pH=4にHOAcで酸性化した。得られた沈殿物を濾過して、白色固体として1−2(173.00g、834.98mmol、86.36%の収率)を得た:H NMR(400MHz,DMSO−d)δ8.54(d,J=7.91Hz,1H),8.12(s,1H),6.13(d,J=7.91Hz,1H),4.27(q,J=7.11Hz,2H),1.28(t,J=7.09Hz,3H)。
【0264】
工程2:5−クロロピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキシレート(1)の調製
MeCN(1.6L)中の1−2(158.00g、762.59mmol)の混合物に、N下、20℃でPOCl(584.64g、3.81mol)を加えた。この混合物を2時間100℃で撹拌した。TLC(PE:EA=1:1)は、反応が完了したことを示した。この混合物を20℃に冷却し、0℃で少しずつ氷水(5000mL)に注ぎ、20分間撹拌した。沈殿物を濾過し、乾燥させ、白色固体として1a(110.00g、487.52mmol、63.93%の収率)を得た:H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ9.33(d,J=7.28Hz,1H),8.66(s,1H),7.41(d,J=7.15Hz,1H),4.31(q,J=7.15Hz,2H),1.32(t,J=7.09Hz,3H)。
【0265】
実施例2:(R)−2−(1−アミノエチル)―4−フルオロフェノール(2)の調製
工程1:(R)−N−(5−フルオロ−2−ヒドロキシベンジリデン)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド(2−2)の調製
DCM(2.00L)中の(R)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド(Sigma−Aldrich、150.00g、1.24mol、1.00当量)及び5−フルオロ−2−ヒドロキシベンズアルデヒド(2−1)(Sigma−Aldrich、173.74g、1.24mol、1.00当量)の溶液に、CsCO(646.43g、1.98mol、1.60当量)を添加した。混合物を16時間、16℃で撹拌した。TLC(PE:EtOAc=5:1)は、反応が完了したことを示した。反応混合物を0℃でHO(1000mL)の添加によりクエンチし、次いで、EtOAC(500mL×4)で抽出した。合わせた有機層をブライン(1000mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、2−2(230.00g、945.33mmol、76.24%の収率)を得た。H NMR(CDCl,400MHz)δ8.64(s,1H),7.22−7.11(m,2H),7.03−6.95(m,1H),1.28(s,9H)。
【0266】
工程2:(R)−N−((R)−1−(5−フルオロ−2−ヒドロキシフェニル)エチル)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド(2−3R)の調製
THF(2.5L)中の(R)−N−(5−フルオロ−2−ヒドロキシベンジリデン)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド(2−2)(200.00g、822.03mmol、1.00当量)の溶液に、−65℃、N下で30分かけてMeMgBr(490.09g、4.11mol、5.00当量)を滴加した。次いで、混合物を周囲温度に温め、18時間撹拌した。TLC(PE:EtOAc=1:1)は、反応が2つのジアステレオマーを生成して完了したことを示した。反応混合物を、0℃でHO(2L)の添加によりクエンチし、混合物をEtOAC(500mL×3)で抽出した。合わせた有機層を、ブライン(500mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、残留物を得た。残留物をカラムクロマトグラフィー(SiO、石油エーテル/酢酸エチル=50/1〜1:1)により精製し、(R)−N−((R)−1−(5−フルオロ−2−ヒドロキシフェニル)エチル)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド(2−3R)(125g、上部、Rf:0.5を有する極性の低いスポット、PE:EA=1:1)を得た。H NMR(CDCl,400MHz)δ:9.17(s,1H),6.68(dd,J=3.0,8.8Hz,1H),6.47(dt,J=3.0,8.4Hz,1H),6.31(dd,J=4.8,8.8Hz,1H),5.11(d,J=8.0Hz,1H),4.28(quin,J=7.2Hz,1H),1.43(d,J=6.8Hz,3H),1.20(s,9H)。
【0267】
工程3:(R)−2−(1−アミノエチル)―4−フルオロフェノール(2)の調製
HCl/ジオキサン(1.5L、4N)中の(R)−N−((R)−1−(5−フルオロ−2−ヒドロキシフェニル)エチル)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド(2−3R)(125g、481.99mmol、1.00当量)の溶液を、周囲温度で2時間撹拌した。TLC(PE:EtOAc=2:1)は反応が完了したことを示した。混合物を濾過し、白色固体として(R)−2−(1−アミノエチル)−4−フルオロフェノール(2)HCl塩(85g、443.56mmol、90.03%の収率)を得た。H NMR(d−DMSO,400MHz)δ10.24(s,1H),8.48(br.S.,3H),7.31(dd,J=2.9,9.7Hz,1H),7.05−6.99(m,1H),6.98−6.93(m,1H),4.59−4.45(m,1H),1.46(d,J=6.8Hz,3H)。
【0268】
実施例3:(7S,13R)−11−フルオロ−7,13−ジメチル−6,7,13,14−テトラヒドロ−1,15−エテノピラゾロ[4,3−f][1,4,8,10]ベンゾキサトリアザシクロトリデシン−4(5H)−オン(化合物1)の調製
工程1:エチル(R)−5−((1−(5−フルオロ−2−ヒドロキシフェニル)エチル)アミノ)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキシレート(3)の調製
n−BuOH(2L)中の(R)−2−(1−アミノエチル)−4−フルオロフェノール(2)(85g、443.56mmol、1.00当量)及びエチル5−クロロピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキシレート(1a)(100.08g、443.56mmol、1.00当量)の溶液に、DIEA(343.96g、2.66mol、6.00当量)を添加した。混合物を2時間120℃で撹拌した。TLC(PE:EtOAc)=1:1)は反応が完了したことを示した。反応混合物を、16℃で、HO(500mL)で希釈し、EtOAc(500mL×3)で抽出した。合わせた有機層を、ブライン(500mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させた、濾過し、減圧下で濃縮して、残留物を得た。残留物をカラムクロマトグラフィー(SiO、石油エーテル/酢酸エチル=10/1〜1:3)により精製し、白色固体としてエチル(R)−5−((1−(5−フルオロ−2−ヒドロキシフェニル)エチル)アミノ)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキシレート(3)(122g、349.34mmol、78.76%の収率、ee>99%純度)を得た。H NMR(CDCl,400MHz)δ9.28(br.S.,1H),8.26(s,1H),8.14(d,J=7.5Hz,1H),6.95−6.89(m,2H),6.87−6.80(m,1H),6.18(d,J=7.5Hz,1H),5.98(d,J=8.3Hz,1H),5.71−5.54(m,1H),4.50−4.35(m,2H),1.60(d,J=6.8Hz,3H),1.42(t,J=7.2Hz,3H)。
【0269】
工程2:エチル5−(((R)−1−(2−(((S)−1−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)プロパン−2−イル)オキシ)−5−フルオロフェニル)エチル)アミノ)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキシレート(4)の調製
エチル(R)−5−((1−(5−フルオロ−2−ヒドロキシフェニル)エチル)アミノ)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキシレート(3)(10.00g、29.04mmol)及びtert−ブチル(R)−(2−ヒドロキシプロピル)カルバメート(Combi−Blocks、7.63g、43.56mmol)の混合物は、DCM/トルエンから乾燥させた共沸混合物であり、次いで、DCM(11.62mL)に再溶解した。この溶液にPPh(11.43g、43.56mmol)を添加し、出発物質が完全に溶解するまで混合物を攪拌した。この溶液に、混合しながら5分間かけてDEAD(8.81g、43.56mmol)を添加した。反応物を3時間撹拌した。反応混合物をDCM(125mL)で希釈し、その後、NaOH水溶液(2M、100mL)を添加した。混合物を12時間激しく撹拌し、層を分離した。水層をさらにDCM(3×50mL)で抽出した。合わせた抽出物を、ブライン(50mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(Teledyne ISCO system、シリカ(330g)、ヘキサン中の0〜40%酢酸エチル)を用いて精製し、エチル5−(((R)−1−(2−(((S)−1−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)プロパン−2−イル)オキシ)−5−フルオロフェニル)エチル)アミノ)−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキシレート(4)(8.88g、60.9%の収率)を得た。LC−MS m/z 502.2(M+H)H NMR(400MHz,クロロホルム−d)δ8.24(s,1H),8.21(d,J=7.6Hz,1H),7.04(d,J=8.4Hz,1H),6.87(d,J=6.0Hz,2H),6.13(d,J=7.2Hz,1H),5.91(br.s.,1H),4.58(d,J=3.6Hz,1H),4.43−4.28(m,2H),3.52−3.34(m,2H),1.54(d,J=6.8Hz,3H),1.47−1.36(m,12H),1.30(d,J=6.4Hz,3H)。
【0270】
工程3:5−(((R)−1−(2−(((S)−1−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)プロパン−2−イル)オキシ)−5−フルオロフェニル)エチル)アミノ)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボン酸(5)の調製
メタノール(65mL)及びTHF(20mL)中のエチル5−(((R)−1−(2−(((S)−1−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)プロパン−2−イル)オキシ)−5−フルオロフェニル)エチル)アミノ)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキシレート(4)(6.98g、13.92mmol、1当量)の溶液に、LiOH(2M、47.9mL、95.8mmol)を添加した。この混合物を、3時間、70℃で加熱し、周囲温度に冷却し、次いで、水性HCl(2M、95.8mL)でクエンチし、pH<5に調整した。反応混合物をCHCl(3×50mL)で抽出し、NaSO上で乾燥させた。濾過、蒸発、及び高真空乾燥の後、白色固体の5−(((R)−1−(2−(((S)−1−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)プロパン−2−イル)オキシ)−5−フルオロフェニル)エチル)アミノ)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボン酸(5)を得て、さらに精製することなく次の工程で使用した。LC−MS m/z 474.2(M+H)
【0271】
工程4:5−(((R)−1−(2−(((S)−1−アミノプロパン−2−イル)オキシ)−5−フルオロフェニル)エチル)アミノ)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボン酸(6)の調製
CHCl(130mL)中の5−(((R)−1−(2−(((S)−1−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)プロパン−2−イル)オキシ)−5−フルオロフェニル)エチル)アミノ)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボン酸(5)(6.59g、13.92mmol)の溶液に、ジオキサン中のHCl(4M、30.4mL)を添加した。LC−MSによって反応が完了したことが示されるまで、室温で2時間攪拌し続けた。反応混合物を濃縮し、高真空乾燥させ、白色固体として化合物6を得、さらに精製することなく次の工程で使用した。LC−MS m/z 374.2(M+H)
【0272】
工程5:(7S,13R)−11−フルオロ−7,13−ジメチル−6,7,13,14−テトラヒドロ−1,15−エテノピラゾロ[4,3−f][1,4,8,10]ベンゾキサトリアザシクロトリデシン−4(5H)−オン(化合物1)の調製
5−(((R)−1−(2−(((S)−1−アミノプロパン−2−イル)オキシ)−5−フルオロフェニル)エチル)アミノ)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボン酸(6)(5.20g、13.93mmol)をDMF(75mL)に溶解し、溶液Aを作製した。DMF(150mL)及びDCM(350mL)中のヒューニッヒ塩基(DIPEA)(14.40g、111.4mmol)の溶液に、順次、溶液A(25mL)及び全量の三分の一のFDPP(5.62g、14.63mmol)を添加した。反応物を1時間撹拌し、LC−MSは、カップリング反応の完了を示した。同じプロセスを2回以上繰り返した。最終溶液を63時間(又はLC−MSによって反応が完了したことが示されるまで)周囲温度で撹拌した。反応を水性のNaCO溶液(2M、150mL)の添加によりクエンチし、混合物を15分間撹拌し、DCM(3×150mL)で抽出した。合わせた抽出物をNaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(Teledyne ISCO system、シリカ(220g)、ジクロロメタン中0〜7.5%のメタノール)で精製し、白色固体として(7S,13R)−11−フルオロ−7,13−ジメチル−6,7,13,14−テトラヒドロ−1,15−エテノピラゾロ[4,3−f][1,4,8,10]ベンゾキサトリアザシクロトリデシン−4(5H)−オン(化合物1)(4.38g、12.33mmol、88.5%の収率)を得た。LC−MS:m/z[M+H]356.2。H NMR(500MHz,DMSO−d6)δppm 9.82(dd,J=8.02,2.29Hz,1H),8.81(d,J=6.87Hz,1H),8.58(d,J=7.45Hz,1H),8.04(s,1H),7.12(dd,J=9.45,3.15Hz,1H),6.99−7.05(m,1H),6.94−6.99(m,1H),6.36(d,J=7.45Hz,1H),5.53(m,1H),4.45−4.52(m,1H),3.90(ddd,J=13.46,8.31,4.01Hz,1H),3.10−3.17(m,1H),1.46(d,J=6.30Hz,3H),1.44(d,J=7.45Hz,3H)。
【0273】
インビトロアッセイ
材料及び方法
キナーゼ結合アッセイ法
キナーゼ結合アッセイを、一般的なKINOMEscan Kプロトコルを使用してDiscoveRxで行った(Fabian,M.A.ら,「臨床キナーゼ阻害剤についての低分子−キナーゼ相互作用マップ(A small molecule−kinase interaction map for clinical kinase inhibitors)」、Nat.Biotechnol.2005,23(3):329−36)。ほとんどのアッセイについて、キナーゼタグT7ファージ株を、BL21株由来の大腸菌宿主で調製した。大腸菌を、対数期まで増殖させ、T7ファージに感染させ、溶解するまで32℃で振盪しながらインキュベートした。可溶化液を遠心分離し、濾過して、細胞破片を除去した。残りのキナーゼを、HEK−293細胞で産生させ、その後、qPCR検出のためのDNAでタグ付けした。ストレプトアビジン被覆磁気ビーズを、室温で30分間、ビオチン化小分子リガンドで処理し、キナーゼアッセイのための親和性樹脂を作製した。リガンド結合ビーズを、過剰のビオチンでブロックし、非結合リガンドを除去し、非特異的結合を低減するためにブロッキング緩衝液(SeaBlock(Pierce)、1% BSA、0.05% Tween20、1mM DTT)で洗浄した。1×結合緩衝液(20% SeaBlock、0.17×PBS、0.05% Tween20、6mM DTT)中にキナーゼ、リガンド結合親和性ビーズ、及び試験化合物を組み合わせることによって、結合反応を構築した。全ての反応を、0.135mLの最終体積で、ポリスチレン96ウェルプレート中で行った。アッセイプレートを1時間振盪しながら室温でインキュベートし、親和性ビーズを洗浄緩衝液(1×PBS、0.05% Tween20)で洗浄した。次いで、ビーズを溶出緩衝液(1×PBS、0.05% Tween20、0.5μΜ 非ビオチン化親和性リガンド)に再懸濁し、30分間振盪しながら室温でインキュベートした。溶出液中のキナーゼ濃度を、qPCRによって測定した。
【0274】
結合定数(Ks)を、ヒル式:反応=バックグラウンド+(シグナル−バックグラウンド)/(1+(Kdヒル勾配/用量ヒル勾配))を用いて、標準的な用量応答曲線を用いて計算した。ヒル勾配は−1に設定した。曲線を、レーベンバーグ・マルカートアルゴリズムと非線形最小二乗フィットを用いて適合させた。
【0275】
生化学的キナーゼアッセイ法
生化学的なキナーゼアッセイを、参考文献(Anastassiadis T.ら、Nat Biotechnol.2011,29,1039)に記載の手順に従って、Reaction Biology Corporation(www.reactionbiology.com,Malvern,PA)で行った。必要な補因子と共に特異的キナーゼ/基質対を反応緩衝液;20mM Hepes pH7.5、10mM MgCl、1mMのEGTA、0.02% Brij35、0.02mg/ml BSA、0.1mM NaVO、2mM DTT、1% DMSOで調製した(個々のキナーゼ反応成分についての具体的な詳細は、補足表2を参照されたい)。化合物を反応中に移し、約20分後、10μΜの最終濃度になるまでATP(Sigma、St.Louis MO)及び33P ATP(Perkin Elmer,Waltham MA)の混合物を添加した。反応を室温で120分間行い、その後、P81イオン交換濾紙(Whatman社、Piscataway,NJ)上に反応物をスポッティングした。0.75%のリン酸で濾紙を徹底的に洗浄することにより、未結合リンを除去した。不活性酵素を含有する対照反応に由来するバックグラウンドを差し引いた後、ビヒクル(ジメチルスルホキシド)反応と比較して、試験試料中の残りのキナーゼ活性の割合としてキナーゼ活性データを表した。IC50値及び曲線フィットは、Prism(GraphPadソフトウェア)を使用して得た。
【0276】
細胞株及び細胞培養:
ヒト肺癌細胞株NCI−H2228をATCCから入手した。細胞株293T、NIH3T3、Ba/F3、及びHCC78は、DSMZから購入した。Karpas−299細胞株はSigmaから購入した。KM12細胞株はNCIから入手した。
【0277】
NIH3T3を、10%ウシ胎児血清及び100U/mLのペニシリン/ストレプトマイシンを補充したDMEM培地中で維持した。HCC78、Karpas−299及びH2228を、100U/mLのペニシリン/ストレプトマイシンと共に10%ウシ胎児血清を補充したRPMI−1640中で維持した。Ba/F3細胞を、10%ウシ胎児血清、WIHI−3B骨髄単球IL−3分泌細胞からの10%(体積/体積)馴化培地及び100U/mLのペニシリン/ストレプトマイシンを補充したRPMI−1640中で維持した。Ba/F3安定細胞株を、10%ウシ胎児血清、100U/mLのペニシリン、及び0.5μg/mLのピューロマイシン溶液を補充したRPMI−1640中で維持した。
【0278】
クローニング及びBa/F3又はNIH3T3の安定細胞株の作製
EML4−ALK遺伝子(変異型1)を、GenScript社で合成し、pCDH−CMV−MCS−EF1−ピューロプラスミド(System Biosciences社)にクローニングした。EML4−ALKの点変異のG1202R、L1196M、L1152P、F1174C、C1156Y、I1171N、G1269S、及び1151T挿入を、GenScript社でPCRによって作製し、配列決定によって確認した。EML4−ALK野生型又は変異型を含有するレンチウイルスでBa/F3細胞に形質導入することによって、Ba/F3−EML4−ALK野生型及び変異型を作製した。安定細胞株をピューロマイシン処理により選択し、その後IL−3を中止した。簡潔に述べると、8μg/mLのプロタミン硫酸塩の存在下で、レンチウイルス上清で5×10個のBa/F3細胞に形質導入した。その後、形質導入細胞を、10%FBSを加えたIL3含有培地RPMI1640の存在下で、1μg/mLのピューロマイシンで選択した。選択の10〜12日後に、生存細胞を、さらに、IL3非依存性増殖について選択した。
【0279】
SDC4−ROS1野生型、CD74−ROS1野生型、及びそれらのG2032R変異遺伝子を、Genscript社で合成し、pCDH−CMV−MCS−EF1−ピューロプラスミド(System Biosciences社)にクローニングし、配列決定によって確認した。融合遺伝子を含有するレンチウイルスでBa/F3細胞に形質導入することによって、Ba/F3 SDC4−ROS1、CD74−ROS1及び対応するG2032R変異型を作製した。安定細胞株をピューロマイシン処理により選択し、その後IL−3を中止した。簡潔に述べると、8μg/mLのプロタミン硫酸塩の存在下で、レンチウイルス上清で5×10個のBa/F3細胞に形質導入した。その後、形質導入細胞を、10%FBSを加えたIL3含有培地RPMI1640の存在下で、1μg/mLのピューロマイシンで選択した。選択の10〜12日後に、生存細胞を、さらに、IL3非依存性増殖について選択した。
【0280】
Ba/F3 TPR−ALK及びBa/F3 TPR−ALK L1196M細胞株を、Advanced Cellular Dynamics社で作製し、そこで細胞増殖アッセイを行った。ACDパネル自体は、共通リンパ系細胞株(マウスBa/F3細胞)中で個々に発現する92種の固有のキナーゼから構成されている。各細胞株は、生存について、組換えキナーゼ活性に依存している。
【0281】
SDC4−ROS1 L2026M及びD2033N変異遺伝子を、GenScript社で合成し、pCDH−CMV−MCS−EF1−ピューロプラスミド(System Biosciences社)にクローニングし、配列決定によって確認した。融合遺伝子を含有するレンチウイルスでBa/F3細胞に形質導入することによって、Ba/F3 CD74−ROS1 L2026M及びD2033N変異型を作製した。安定細胞株をピューロマイシン処理により選択し、その後IL−3を中止した。簡潔に述べると、8μg/mLのプロタミン硫酸塩の存在下で、レンチウイルス上清で5×10個のBa/F3細胞に形質導入した。その後、形質導入細胞を、10%FBSを加えたIL3含有培地RPMI1640の存在下で、1μg/mLのピューロマイシンで選択した。選択の10〜12日後に、生存細胞を、さらに、IL3非依存性増殖について選択した。
【0282】
LMNA−TRKA野生型、及びそのG595R変異遺伝子を、GenScript社で合成し、pCDH−CMV−MCS−EF1−ピューロプラスミド(System Biosciences社)にクローニングし、配列決定によって確認した。融合遺伝子を含有するレンチウイルスでBa/F3細胞に形質導入することによって、Ba/F3 LMNA−TRKA及び対応するG595R変異型を作製した。安定細胞株をピューロマイシン処理により選択し、その後IL−3を中止した。簡潔に述べると、8μg/mLのプロタミン硫酸塩の存在下で、レンチウイルス上清で5×10個のBa/F3細胞に形質導入した。その後、形質導入細胞を、10%FBSを加えたIL3含有培地RPMI1640の存在下で、1μg/mLのピューロマイシンで選択した。選択の10〜12日後に、生存細胞を、さらに、IL3非依存性増殖について選択した。
【0283】
TEL−TRKB(ETV6−TRKBとも命名された)野生型及びそのG639R変異遺伝子を、GenScript社で合成し、pCDH−CMV−MCS−EF1−ピューロプラスミド(System Biosciences社)にクローニングし、配列決定によって確認した。融合遺伝子を含有するレンチウイルスでBa/F3細胞に形質導入することによって、Ba/F3 TEL−TRKB及び対応するG639R変異型を作製した。安定細胞株をピューロマイシン処理により選択し、その後IL−3を中止した。簡潔に述べると、8μg/mLのプロタミン硫酸塩の存在下で、レンチウイルス上清で5×10個のBa/F3細胞に形質導入した。その後、形質導入細胞を、10%FBSを加えたIL3含有培地RPMI1640の存在下で、1μg/mLのピューロマイシンで選択した。選択の10〜12日後に、生存細胞を、さらに、IL3非依存性増殖について選択した。
【0284】
TEL−TRKC(ETV6−TRKCとも命名された)野生型及びそのG623R変異遺伝子を、GenScript社で合成し、pCDH−CMV−MCS−EF1−ピューロプラスミド(System Biosciences社)にクローニングし、配列決定によって確認した。融合遺伝子を含有するレンチウイルスでBa/F3細胞に形質導入することによって、Ba/F3 TEL−TRKC及び対応するG623R変異型を作製した。安定細胞株をピューロマイシン処理により選択し、その後IL−3を中止した。簡潔に述べると、8μg/mLのプロタミン硫酸塩の存在下で、レンチウイルス上清で5×10個のBa/F3細胞に形質導入した。その後、形質導入細胞を、10%FBSを加えたIL3含有培地RPMI1640の存在下で、1μg/mLのピューロマイシンで選択した。選択の10〜12日後に、生存細胞を、さらに、IL3非依存性増殖について選択した。
【0285】
EML4−ALK野生型及びG1202R変異遺伝子、SDC4−ROS1野生型、CD74−ROS1野生型及びそのG2032R変異遺伝子を含有するレンチウイルスで細胞に形質導入することによって、NIH3T3 ALK又はROS1安定細胞株を作製した。その後、形質導入細胞を1μg/mLのピューロマイシンで選択した。
【0286】
それぞれ、CD74−ROS1 L2026M及びD2033N変異遺伝子、LMNA−TRKA野生型及びG595R変異遺伝子、TEL−TRKB野生型及びG639R変異遺伝子、TEL−TRKB野生型及びG623R変異遺伝子を含有するレンチウイルスで細胞に形質導入することによって、NIH3T3 ROS1、又はTRKA、又はTRKB、又はTRKC安定細胞株を作製した。その後、形質導入細胞を1μG/mLのピューロマイシンを用いて選択した。
【0287】
細胞増殖アッセイ:
1ウェルあたり2000個の細胞を24時間、384ウェル白色プレートに播種し、次いで、化合物で72時間(37℃、5%CO)処理した。製造会社のプロトコルに従って、CellTiter−GloルシフェラーゼベースのATP検出アッセイ(Promega)を用いて細胞増殖を測定した。GraphPad Prismソフトウェア(GraphPad社、San Diego,CA)を用いてIC50の決定を行った。
【0288】
Ba/F3 TPR−ALK及びBa/F3 TPR−ALK L1196M細胞株の細胞増殖アッセイを、Advanced Cellular Dynamics社で行った。キナーゼ活性の阻害は、細胞死をもたらし、それを、CellTiter−Glo(Promega)を用いてATP濃度を介して監視した。細胞株を、10%ウシ胎児血清及び抗生物質を含有するRPMI−1640培地中で維持した。対数増殖期の細胞を採取し、5,000個の細胞を50μLの増殖培地で384ウェルプレートの各ウェルに分配した。親細胞(のみ)を、細胞の増殖及び生存を支持するために10ng/mLのIL−3の存在下で播種した。50ナノリットルの希釈化合物を二重に、適切なウェルに添加し、細胞を5%COの加湿雰囲気中37℃で48時間培養した。15μLのCellTiter−Gloを添加し、発光を測定することにより生存率を決定し、秒あたりのカウントで測定した相対光単位(RLU)として報告する。
【0289】
細胞キナーゼリン酸化アッセイのための免疫ブロット
NSCLC細胞株H2228(内因性EML4−ALK融合遺伝子を保有する)、HCC78細胞(内因性SLC34A2−ROS1融合遺伝子を保有する)、Karpas−299細胞(内因性NPM−ALK融合遺伝子を保有する)又はSET−2(内因性JAK2V617F活性化変異を保有する)をRPMI培地で培養し、KM12(内因性TPM3−TRKA融合遺伝子を保有する)細胞株をDMEM培地で培養し、両方に10%ウシ胎児血清及び100U/mLのペニシリン/ストレプトマイシンを補充した。上述した通り、ALK又はROS1(WT又は変異型)を安定に発現するBa/F3及びNIH3T3細胞を培養した。ウェルあたり50万個の細胞を24時間、24ウェルプレートに播種し、次いで、4時間化合物で処理した。細胞を処理した後に回収し、10mM EDTA、1×Haltプロテアーゼ及びホスファターゼ阻害剤(Thermo Scientific)を補充したRIPA緩衝液(50mMトリス、pH7.4、150mM NaCl、1% NP−40、0.5%デオキシコール酸、0.1% SDS)に溶解した。タンパク質溶解物(約20μg)を、4〜12% ボルトビス−トリスプレキャストゲル上にMES泳動バッファー(Life Technologies)を用いて分離し、トランスブロットターボトランスファーシステム(Bio−Rad)を用いてニトロセルロース膜に転写し、リン酸化ALK Y1604(Cell Signaling Technology)、総ALK(Cell Signaling Technology)、リン酸化されたROS1及び総ROS1(Cell Signaling Technology)、リン酸化TRK A/B(Cell Signaling Technology))、総TRKA抗体(Santa Cruz Biotechnogy)、リン酸化STAT3及びSTAT5、総STAT3及びSTAT5(Cell Signaling Technology)、リン酸化AKT(Cell Signaling Technology)、総AKT(Cell Signaling Technology)、リン酸化ERK(Cell Signaling Technology)、総ERK(Cell Signaling Technology)及びチューブリン(Sigma)を標的とする抗体を用いて検出した。抗体は、典型的には、穏やかに振盪しながら4℃で一晩インキュベートし、洗浄した後に、適切なHRP結合二次抗体とインキュベートした。膜を、室温で5分間、化学発光基質(SuperSignal West Femto,Thermo Scientific)とインキュベートした。化学発光画像を、C−DiGitイメージングシステム(LI−COR Biosciences)で取得した。化学発光バンドの相対密度を、LICOR社のImage Studio Digitsを介して定量した。半分の阻害濃度(IC50)値を、GraphPad Prismソフトウェア(GraphPad社、San Diego,CA)を介して非線形回帰分析を使用して計算する。
【0290】
NSCLC細胞株H2228(内因性EML4−ALK融合遺伝子を保有する)を、10%ウシ胎児血清及び100U/mLのペニシリン/ストレプトマイシンを補充したRPMI培地で培養した。上述した通り、ROS1、又はTRKA、又はTRKB、又はTRKC(WT又は変異型)を安定に発現するBa/F3及びNIH3T3細胞を培養した。ウェルあたり50万個の細胞を24時間、24ウェルプレートに播種し、次いで、4時間化合物で処理した。細胞を処理した後に回収し、10mM EDTA、1×Haltプロテアーゼ及びホスファターゼ阻害剤(Thermo Scientific)を補充したRIPA緩衝液(50mMトリス、pH7.4、150mM NaCl、1% NP−40、0.5%デオキシコール酸、0.1% SDS)に溶解した。タンパク質溶解物(約20μg)を、4〜12% ボルトビス−トリスプレキャストゲル上にMES泳動バッファー(Life Technologies)を用いて分離し、トランスブロットターボトランスファーシステム(Bio−Rad)を用いてニトロセルロース膜に転写し、リン酸化ROS1及び総ROS1(Cell Signaling Technology)、リン酸化TRK A/B(Cell Signaling Technology)、総TRKA抗体(Santa Cruz Biotechnogy)、リン酸化SRC Y416(Cell Signaling Technology)、総SRC(Cell Signaling Technology)、リン酸化FAK Y576/577(Cell Signaling Technology)、総FAK(Cell Signaling Technology)、リン酸化パキシリンY118(Cell Signaling Technology)、総パキシリン(Cell Signaling Technology)、リン酸化EGFR及び総EGFR、CD44、並びにチューブリン(Sigma)を標的とする抗体を用いて検出した。抗体を、典型的には、穏やかに振盪しながら4℃で一晩インキュベートし、洗浄した後に、適切なHRP結合二次抗体とインキュベートした。膜を、室温で5分間、化学発光基質(SuperSignal West Femto,Thermo Scientific)とインキュベートした。化学発光画像を、C−DiGitイメージングシステム(LI−COR Biosciences)で取得した。化学発光バンドの相対密度を、LICOR社のImage Studio Digitsを介して定量した。半分の阻害濃度(IC50)値を、GraphPad Prismソフトウェア(GraphPad社、San Diego,CA)を介して非線形回帰分析を使用して計算する。
【0291】
アポトーシス/カスパーゼ活性アッセイ
Karpas−299細胞を、10%ウシ胎児血清及び抗生物質を補充したRPMI培地で維持した。ウェル当たり50万個の細胞を12ウェルプレートに播種し、様々な濃度の化合物を導入し、48時間インキュベートした。次いで、細胞を回収し、Haltプロテアーゼ及びホスファターゼ阻害剤(Thermo Scientific)を補充した溶解バッファー(20mM HEPES、150mM NaCl、10mM KCl、5mM EDTA、1% NP40)に溶解した。カスパーゼアッセイのために、約20μgの細胞溶解物を、20μlのカスパーゼ−3 glo試薬(Promega)と共にインキュベートし、37℃で20分間のインキュベーション後に、発光の放出によって酵素活性を測定した。ウェスタンブロッティングのために、細胞溶解物を、沸騰させ、抗カスパーゼ−3(Cell Signaling Technology)、抗PARP(Cell Signaling Technology)、又は抗アクチン(Cell Signaling Technology)抗体を用いるSDS−PAGE/免疫ブロットによって分析した。抗体は、典型的には、穏やかに振盪しながら4℃で一晩インキュベートし、その後、洗浄して、適切なHRP結合二次抗体とインキュベートした。膜を、室温で5分間、化学発光基質(SuperSignal West Femto,Thermo Scientific)とインキュベートし、化学発光画像を、C−DiGitイメージングシステム(LI−COR Biosciences)で取得した。
【0292】
ひっかき傷治癒アッセイ
10%ウシ胎児血清及び抗生物質を補充したRPMI培地中のHT1080又はHCC78細胞を、24ウェルプレートに播種した。12〜24時間後、コンフルエントな細胞単層を、滅菌ピペットチップで穏やかに掻き取り、傷を形成した。プレートを新鮮な培地で洗浄し、細胞を、培地単独又は様々な濃度の化合物を含む培地でインキュベートした。12〜24時間後、細胞単層の再シール形成を監視するために、EVOS FL顕微鏡(Life Technology)にプレートをよって調べ、記録した。
【0293】
インビボ方法
細胞株
細胞株を、5%COを含む加湿雰囲気中、37℃で、10%ウシ胎児血清(Thermo Scientific社)を有するDMEM又はRPMI−1640培地(Corning社)で、標準的な技術を用いて培養した。移植のために、細胞を回収し、2分間250gで遠心分離することによってペレット化した。細胞を、一度洗浄し、必要に応じて50%マトリゲル(v/v)と共に無血清培地に再懸濁した。
【0294】
免疫低下マウスにおける皮下異種移植片モデル
メス無胸腺ヌードマウス及びSCID/ベージュマウス(5〜8週齢)をチャールズリバー研究所(Charles River Laboratory)から入手し、齧歯類用固形飼料及び水を自由に摂取できる状態で、HEPAフィルター付き換気ラック上でInnovive社製IVC使い捨てケージの中で飼育した。100μLの無血清培地中で500万個の細胞をマウスの右脇腹領域に皮下移植した。Karpas299細胞をSCID/ベージュマウスに移植した。KM12細胞、NIH3T3 EML4−ALK野生型変異細胞、及びNIH3T3 SCD4−ROS1野生型変異細胞を、それぞれ無胸腺ヌードマウスに移植した。KM12を除く全てのモデルに、培地中50%マトリゲル(Corning社)を移植した。腫瘍サイズ及び体重を指定日に測定した。腫瘍の大きさを電子ノギスで測定し、長さ×幅×0.5の積として腫瘍体積を計算した。腫瘍体積が約100〜200mmに達したときに、腫瘍サイズによりマウスを治療群に無作為化し、決定した投与量で化合物1を経口投与した(1日2回)。
【0295】
メス無胸腺ヌードマウス及びSCID/ベージュマウス(5〜8週齢)をチャールズリバー研究所から入手し、齧歯類用固形飼料及び水を自由に摂取できる状態で、HEPAフィルター付き換気ラック上でInnovive社製IVC使い捨てケージの中で飼育した。100μLの無血清培地中で500万個の細胞をマウスの右脇腹領域に皮下移植した。Ba/F3 EML4−ALK野生型及びG1202R変異細胞、Ba/F3 CD74−ROS1野生型及びG2032R変異細胞をSCID/ベージュマウスに移植した。NIH3T3 CD74−ROS1 G2032変異細胞、NIH3T3 LMNA−TRKA野生型及びG595R変異型細胞を、それぞれ無胸腺ヌードマウスに移植した。全てのモデルに、培地中50%マトリゲル(Corning社)を移植した。腫瘍サイズ及び体重を指定日に測定した。腫瘍の大きさを電子ノギスで測定し、長さ×幅×0.5の積として腫瘍体積を計算した。腫瘍体積が約100〜200mmに達したときに、腫瘍サイズによりマウスを治療群に無作為化し、決定した投与量で化合物1を経口投与した(1日2回)。
【0296】
インビボでの薬力学的研究のための腫瘍の処理及び免疫ブロッティング
異種移植片腫瘍を保有するマウスを人道的に安楽死させ、腫瘍を切除し、液体窒素で急速凍結し、−80℃で保存した。凍結腫瘍試料を4℃で、1×細胞溶解緩衝液(Cell Signaling Technology)で処理し、タンパク質を抽出した。3容量のタンパク質溶解物に1容量の4×LDS試料緩衝液(Life Technologies社)を添加することにより、SDSローディング試料を調製した。腫瘍SDSタンパク質試料を、SDS−PAGEによって処理し、ウサギ抗リン酸化ALK及びマウス抗アクチン抗体(Cell Signaling Technology)を用いて免疫ブロットした。免疫ブロットからのシグナルを、LI−COR社製C−DiGitブロットスキャナーにより検出し、イメージスタジオDigitソフトウェア(LI−COR)を用いてシグナル強度を定量した。
【0297】
データ及び結果:
実施例4a:キナーゼ結合親和性及び化合物1の酵素キナーゼ活性
化合物1のキナーゼ結合親和性を、DiscoveRxで460個のキナーゼのパネルをスクリーニングし、その後、ヒットについてKを決定した。化合物1は、ALK、ROS1、TRKA/B/C、JAK2、SRC、FAK及びARK5(表1)との強い結合親和性を実証した。さらに、10μMのATP濃度で化合物1の酵素キナーゼ阻害活性をReaction Biologyで決定し、IC50の結果を表1にまとめた。
表1
【表2】
【0298】
実施例4b:化合物1の酵素キナーゼ活性
化合物1のキナーゼ結合親和性をDiscoveRxで460個のキナーゼのパネルをスクリーニングした。化合物1のキナーゼヒットを、さらに、Reaction Biologyで10μΜのATP濃度を用いて再結合酵素キナーゼ阻害アッセイで確認し、IC50の結果を表1bにまとめた。
【表3】
【0299】
実施例5:ALK変異のパネルに対する化合物1の活性の評価
化合物1を、Reaction Biology社で10μΜのATP濃度での酵素キナーゼアッセイにおけるALK耐性変異に対して評価した。結果を表2にまとめた。野生型及び変異型のALK並びに野生型及び変異型のROS1間で化合物1による強力な阻害を観察した。
【表4】
【0300】
実施例6:ALK、ROS1、TRKA又はJAK2の発癌性融合又は変異遺伝子を有する主要細胞株における化合物1での強力な細胞増殖阻害
ALK融合体は、NPM−ALK融合遺伝子を保有するリンパ腫細胞株Karpas−299、EML4−ALK融合遺伝子を保有する非小細胞肺癌細胞株H2228、SLC34A2−ROS1融合遺伝子を保有する非小細胞肺癌細胞株HCC78、TPM3−TRKA融合遺伝子を保有する結腸直腸癌細胞株KM12、及びJAK2V617F変異を保有する白血病細胞株SET−2を含む複数の癌の種類並びに癌細胞株における主要な悪性ドライバーである。これらの細胞株に対する化合物1の抗増殖活性を評価し、結果を表3にまとめた。
【0301】
実施例7:遺伝子操作したBa/F3細胞株におけるALK遺伝子変異のパネルに対する化合物1活性の評価
さらに、本発明者らは、野生型のEML4−ALK融合遺伝子及び変異型EML4−ALKを発現するように操作されたBa/F3細胞を用いた。Ba/F3細胞の増殖は、インターロイキン(IL−3)に依存している。EML4−ALK遺伝子の異所性発現と共に、Ba/F3細胞の増殖は、IL−3非依存性になり、発癌性融合ALKのキナーゼ活性に依存する。化合物1は、野生型及び変異型EML4−ALKの遺伝子操作された発現により様々なBa/F3細胞株の細胞増殖を強力に阻害し、その結果を表3にまとめた。
【0302】
Ba/F3 TPR−ALK及びBa/F3 TPR−ALK L1196M細胞株の細胞増殖の阻害を、Advanced Cellular Dynamicsで行った。化合物1は、両方の細胞株において強力な阻害を示した(表3)。
【0303】
実施例8:遺伝子操作したBa/F3細胞株におけるROS1に対する化合物1の活性の評価
発癌性SDC4−ROS1、SDC4−ROS1G2032R、CD74−ROS1、及びCD74−ROS1G2032Rの融合遺伝子をそれぞれ発現するように、Ba/F3細胞を遺伝子操作した。融合ROS1遺伝子を有するように遺伝子操作したBa/F3細胞を使用して、野生型及び変異型ROS1融合遺伝子に対する化合物1の阻害活性を調べた。細胞増殖阻害の結果を表3にまとめた。
【0304】
それぞれ発癌性CD74−ROS1L2026M、及びCD74−ROS1D2033Nの融合遺伝子を発現するように、Ba/F3細胞を遺伝子操作した。融合ROS1遺伝子を有するように遺伝子操作したBa/F3細胞を使用して、化合物1の阻害活性を調べた。細胞増殖阻害の結果を表3にまとめた。
【0305】
それぞれ発癌性LMNA−TRKA及びLMNA−TRKAG595Rの融合遺伝子を発現するように、Ba/F3細胞を遺伝子操作した。融合TRKA遺伝子を有するように操作したBa/F3細胞を使用して、化合物1の阻害活性を調べた。細胞増殖阻害の結果を表3にまとめた。
【0306】
それぞれ発癌性TEL−TRKB(ETV6−TRKBとも命名されている)及びTEL−TRKBG639Rの融合遺伝子を発現するように、Ba/F3細胞を遺伝子操作した。融合TRKB遺伝子を有するように遺伝子操作したBa/F3細胞を使用して、化合物1の阻害活性を調べた。細胞増殖阻害の結果を表3にまとめた。
【0307】
それぞれ発癌性TEL−TRKC(ETV6−TRKCとも命名されている)、及びTEL−TRKCG623Rの融合遺伝子を発現するように、Ba/F3細胞を遺伝子操作した。融合TRKC遺伝子を有するように遺伝子操作したBa/F3細胞を使用して、化合物1の阻害活性を調べた。細胞増殖阻害の結果を表3にまとめた。
【表5】
【0308】
実施例9:細胞における化合物1の作用機構
ALK、ROS1、TRKA及びSRCに対する化合物1の薬力学的阻害活性、並びに細胞内の対応する下流のシグナル伝達を評価し、その結果を表4にまとめた。化合物1は、NPM−ALK融合遺伝子を保有するKarpas−299細胞株において約1〜3nMのIC50で、ALKの自己リン酸化並びに下流のSTAT3及びAKTのリン酸化を抑制した。化合物1は、SLC34A2−ROS1融合遺伝子を保有するHCC78細胞株において約1〜3nMのIC50で、ROS1の自己リン酸化並びに下流のSTAT3及びAKTのリン酸化を阻害した。化合物1は、TPM3−TRKA融合遺伝子を保有するKM12細胞株において約0.3nMのIC50で、TRKAの自己リン酸化並びに下流のAKT及びERKのリン酸化を阻害した。化合物1は、JAK2 V617F変異を保有するSET−2細胞株において約158nMのIC50でSTAT5のリン酸化を阻害した。化合物1は、野生型又はG1202R変異型EML4−ALK v1融合遺伝子をコードするように遺伝子操作したBa/F3安定細胞株において20〜30nMのIC50で、ALKの自己リン酸化を阻害した。化合物1は、野生型又はG2032R変異型CD74−ROS1又はSDC4−ROS1融合遺伝子をコードするように遺伝子操作したBa/F3安定細胞株において、ROS1の自己リン酸化を阻害した。細胞内でのTRKA、TRKB、TRKC、及びFAKシグナル伝達に対する化合物1の薬力学阻害活性を評価し、その結果を表4aにまとめた。化合物1は、EML4−ALK融合遺伝子を保有し、SRC及びFAKシグナル伝達が上方制御されたNCI−H2228細胞株において約103nMのIC50で、FAKのリン酸化並びにSRC基質パキシリンのリン酸化を阻害した。化合物1は、L2026M、又はD2033N変異型CD74−ROS1融合遺伝子をコードするように遺伝子操作したBa/F3において、ROS1の自己リン酸化を阻害した。化合物1は、野生型又はG595R変異型LMNA−TRKA融合遺伝子をコードするように遺伝子操作したNIH3T3安定細胞株においてTRKAの自己リン酸化を阻害した。化合物1は、野生型又はETV6−TRKB融合遺伝子とも命名されたG639R変異型TEL−TRKBをコードするように遺伝子操作したNIH3T3安定細胞株においてTRKBの自己リン酸化を阻害した。
【表6】
【0309】
化合物1は、アポトーシスKarpas−299細胞の数を増加させた。化合物1での処理の48時間後に、Karpas−299細胞を、溶解し、カスパーゼ3/7の切断カスパーゼ3gloアッセイ又はウェスタンブロットアッセイにおけるPARPで評価した。その結果を図1に示した。
【0310】
化合物1は、スクラッチ創傷治癒アッセイで12時間処理した後のHCC78又はHT1080細胞遊走を阻害した。その結果を図2に示した。
【0311】
化合物1は、H2228細胞においてEGFR発現を下方制御する
SRCキナーゼ活性の活性化は、RTK発現レベルを上方制御し、バイパスシグナル伝達経路の耐性をもたらす。SRCの阻害は、RTKの下方制御をもたらす。図3に示す通り、化合物1は、用量及び時間依存的にEGFR発現を下方制御する。
【0312】
化合物1は、H2228細胞においてEGFR発現を下方制御する
CD44は、癌幹細胞性のバイオマーカーである。高発現レベルのCD44が、H2228細胞で発見された。図4に示す通り、化合物1は、処理の48時間後に濃度依存的にH2228細胞におけるCD44発現レベルを抑制し、化合物1が、癌幹細胞性を阻害する可能性があることが示された。
【0313】
インビボ研究
異種移植腫瘍モデルにおける化合物1の抗腫瘍効果
化合物1の抗腫瘍効果を、ALK、ROS1又はTRKAの調節不全が関与する癌集団を表すいくつかの腫瘍異種移植モデルにおいて評価した。
【0314】
実施例10:Karpas−299ALCLモデル
Karpas−299細胞におけるNPM−ALK融合遺伝子は、腫瘍成長のドライバーとして証明されている。Karpas−299腫瘍(平均腫瘍サイズ160mm)を担持するSCID/ベージュマウスに、1日2回、7日間、化合物1を経口投与した(図5)。対照群のマウスにはビヒクルのみを与えた。腫瘍体積(TMV)を、指定日にノギスで測定し、図5に平均値±semで示す。Anは、繰り返しのある2元配置分散分析、その後の事後解析によって決定される通り、平均TMVが、対照群のそれと比較して治療群において有意に低いことを意味する(p<0.05)。TMV治療群 治療の最後の日≧TMV治療群 治療の最初の日の時に、腫瘍成長阻害(TGI)を、100%×{1−[(TMV治療群 治療の最後の日−TMV治療群 治療の最初の日)/(TMV対照群 治療の最後の日−TMV対照群 治療の最初の日)]}として計算した。TMV治療群 治療の最後の日<TMV治療群 治療の最初の日の場合は、腫瘍退縮(REG)を、100%×(1−TMV治療群 治療の最後の日/TMV治療群 治療の最初の日)として計算した。この研究では、化合物1は、1日2回、15mg/kg及び50mg/kgの投与量でそれぞれ腫瘍成長を59%及び94%阻害する能力を示した。加えて、50mg/kgの治療群の8匹中4匹のマウスが腫瘍退縮を示した。マウスの体重をそのマウスの指定日に測定し、化合物1の治療群には体重減少が観察されなかった(図6)。
【0315】
実施例11:NIH3T3 EML4−ALK野生型(WT)モデル
NIH3T3 EML4−ALK WT腫瘍(平均腫瘍サイズ120mm)を担持する無胸腺ヌードマウスに、1日2回、12日間、化合物1を経口投与した(図7)。対照群のマウスにはビヒクルのみを与えた。腫瘍体積を指定日にノギスで測定し、図7に平均値±semで示す。Anは、繰り返しのある2元配置分散分析、その後の事後解析によって決定される通り、平均腫瘍体積が、対照群のそれと比較して治療群において有意に低いことを意味する(p<0.05)。この研究では、1日2回の50mg/kgでの化合物1の治療が41%の腫瘍退縮をもたらし、8匹中8匹のマウスが腫瘍退縮を示した。1日2回の15mg/kgの投与量での化合物1は、90%のTGIで腫瘍成長を阻害する能力を示し、8匹中2匹のマウスが腫瘍退縮を示した。マウスの体重をそのマウスの指定日に測定し、化合物1の治療群には体重減少が観察されなかった(図8)。
【0316】
実施例12:NIH3T3 SDC4−ROS1 WTモデル
SDC4−ROS1融合遺伝子は、NSCLCにおける腫瘍進行のためのドライバーであると考えられる。NIH3T3 SDC4−ROS1 WT腫瘍(平均腫瘍サイズ100mm)を担持する無胸腺ヌードマウスに、1日2回、26日間、化合物1を経口投与した(図9)。対照群のマウスにはビヒクルのみを与えた。腫瘍体積を指定日にノギスで測定し、図9に平均値±semで示す。Anは、繰り返しのある2元配置分散分析、その後の事後解析によって決定される通り、平均腫瘍体積が、対照群のそれと比較して治療群において有意に低いことを意味する(p<0.05)。この研究では、50mg/kgでの化合物1の治療が69%の腫瘍退縮をもたらし、7匹中7匹のマウスが腫瘍退縮を示した。15mg/kgの化合物1の群のマウスも39%の腫瘍退縮を実証し、この群の8匹中7匹のマウスが腫瘍退縮を示した。
【0317】
実施例13:KM12結腸直腸癌モデル
TPM3−TRKAの異常な活性は、KM12モデルにおける腫瘍成長のための基礎となるドライバーと考えられる。KM12腫瘍(平均腫瘍サイズ100mm)を担持する無胸腺ヌードマウスに、1日2回、7日間、化合物1を経口投与した(図10)。腫瘍体積を指定日にノギスで測定し、図10に平均値±semで示す。Anは、繰り返しのある2元配置分散分析、その後の事後解析によって決定される通り、平均腫瘍体積が、対照群のそれと比較して治療群において有意に低いことを意味する(p<0.05)。この研究では、15mg/kg及び75mg/kgの投与量での化合物1が、それぞれ13%及び11%腫瘍退縮をもたらした。15mg/kgの群では、8匹中8匹のマウスが腫瘍退縮を示した。75mg/kgの群では、8匹中5匹のマウスが腫瘍退縮を示した。ビヒクル対照のそれと比較して、化合物1で治療したマウスにおいて体重の減少は観察されなかった(図11)。
【0318】
実施例14:化合物1の経口投与後の抗腫瘍効果とALK阻害の関係
ALKリン酸化の阻害に対する化合物1の効果を評価するために、反復投与試験における化合物1(7日間、1日2回、15mg/kg又は50mg/kg)の最終投与後3時間又は12時間のいずれかに、Karpas299腫瘍を摘出した。ALKリン酸化のレベルを、イメージスタジオDigitソフトウェアによるシグナルの定量化と組み合わせて、免疫ブロット法によって決定した。ALKリン酸化を阻害する化合物1の能力を、図12に示した。50mg/kgの用量で、ALKリン酸化は、化合物1の経口投与後3時間の時点で対照レベルの5%未満まで減少し、投与後12時間の時点で対照レベルの約10%に維持された。このリン酸化阻害のレベルは、94%のTGIに相当する。15mg/kgの用量で、ALKリン酸化は、経口投与後3時間の時点で対照レベルの10%未満まで減少し、投与後12時間の時点で対照レベルの約21%に維持された。このALKリン酸化のレベルは、59%のTGIに相当する。これらの結果は、NPM−ALK依存性腫瘍モデルにおけるALKの阻害、化合物1の標的と抗腫瘍効果の程度との間の関係を支持する。
【0319】
実施例15:KM12結腸直腸癌モデルにおける用量依存性の研究
KM12結腸直腸癌モデルにおける腫瘍阻害に対する化合物1の用量依存効果を調べるために、KM12腫瘍(平均腫瘍サイズ125mm)を担持する無胸腺ヌードマウスに、15mg/kg以下の投与量で、1日2回、7日間、化合物1を経口投与した(図13)。腫瘍体積を指定日にノギスで測定し、図13に平均値±semで示す。Anは、繰り返しのある2元配置分散分析、その後の事後解析によって決定される通り、平均腫瘍体積が、対照群のそれと比較して治療群において有意に低いことを意味する(p<0.05)。この研究では、化合物1が、用量依存的に腫瘍成長を阻害した。15mg/kgの投与量の化合物1での治療が1%腫瘍退縮をもたらし、10匹中5匹のマウスが腫瘍退縮を示した。3mg/kgの投与量での化合物1は、91%のTGIで腫瘍成長を阻害する能力を示し、10匹中2匹のマウスが腫瘍退縮を示した。1mg/kgの投与量での化合物1は、77%のTGIで腫瘍成長を阻害する能力を示した。ビヒクル対照のそれと比較して、化合物1で治療したマウスにおいて体重の減少は観察されなかった(図14)。
【0320】
実施例16:Ba/F3 EML4−ALK WTモデル
Ba/F3 EML4−ALK WT腫瘍(平均腫瘍サイズ190mm)を担持するSCID/ベージュマウスに、1日2回、14日間、化合物1を経口投与した(図15)。対照群のマウスにはビヒクルのみを与えた。腫瘍体積を指定日にノギスで測定し、図15に平均値±semで示す。Anは、繰り返しのある2元配置分散分析、その後の事後解析によって決定される通り、平均腫瘍体積が、対照群のそれと比較して治療群において有意に低いことを意味する(p<0.05)。この研究では、75mg/kgの化合物1での治療が、54%腫瘍退縮をもたらし、8匹中6匹のマウスが腫瘍退縮を示した。1日2回の15mg/kgの投与量での化合物1は、74%のTGIで腫瘍成長を阻害する能力を示した。マウスの体重を指定日に測定し、化合物1の治療群において体重の減少は観察されなかった(図16)。
【0321】
実施例17:Ba/F3 EML4−ALK G1202Rモデル
薬剤耐性溶媒フロント変異を含有する腫瘍の成長阻害に対する化合物1の効果を調べるために、Ba/F3 EML4−ALK G1202R腫瘍(平均腫瘍サイズ210mm)を担持するSCID/ベージュマウスに、1日2回、17日間、化合物1を経口投与した(図17)。対照群のマウスにはビヒクルのみを与えた。腫瘍体積を指定日にノギスで測定し、図17に平均値±semで示す。Anは、繰り返しのある2元配置分散分析、その後の事後解析によって決定される通り、平均腫瘍体積が、対照群のそれと比較して治療群において有意に低いことを意味する(p<0.05)。この研究では、75mg/kgの化合物1での治療が、99%のTGIで腫瘍成長阻害をもたらした。この群では、8匹中4匹のマウスが腫瘍退縮を示した。15mg/kgの投与量での化合物1は、56%のTGIで腫瘍成長を阻害する能力を示した。マウスの体重を指定日に測定し、化合物1の治療群において体重の減少は観察されなかった(図18)。
【0322】
実施例18:Ba/F3 CD74−ROS1 WTモデル
CD74−ROS1融合遺伝子は、NSCLCにおける腫瘍進行のドライバーの1つとして考えられている。Ba/F3 CD74−ROS1 WT腫瘍(平均腫瘍サイズ200mm)を担持するSCID/ベージュマウスに、1日2回、12日間、化合物1を経口投与した(図19)。対照群のマウスにはビヒクルのみを与えた。腫瘍体積を指定日にノギスで測定し、図19に平均値±semで示す。Anは、繰り返しのある2元配置分散分析、その後の事後解析によって決定される通り、平均腫瘍体積が、対照群のそれと比較して治療群において有意に低いことを意味する(p<0.05)。この研究では、75mg/kgの化合物1での治療が、100%の腫瘍退縮をもたらし、8匹中8匹のマウスが完全な腫瘍退縮を示した。15mg/kgの化合物1群のマウスも、97%の腫瘍退縮を示し、この群の8匹中8匹のマウスが腫瘍退縮を示した。マウスの体重を指定日に測定し、化合物1の治療群において体重の減少は観察されなかった(図20)。
【0323】
実施例19:Ba/F3 CD74−ROS1 G2032Rモデル
薬剤耐性溶媒フロント変異を含有する腫瘍の成長阻害に対する化合物1の効果を調べるために、Ba/F3 CD74−ROS1 G2032R腫瘍(平均腫瘍サイズ210mm)を担持するSCID/ベージュマウスに、1日2回、11日間、化合物1を経口投与した(図21)。対照群のマウスにはビヒクルのみを与えた。腫瘍体積を指定日にノギスで測定し、図21に平均値±semで示す。Anは、繰り返しのある2元配置分散分析、その後の事後解析によって決定される通り、平均腫瘍体積が、対照群のそれと比較して治療群において有意に低いことを意味する(p<0.05)。この研究では、75mg/kgの化合物1での治療が、100%の腫瘍退縮をもたらし、8匹中8匹のマウスが完全な腫瘍退縮を示した。1日2回の15mg/kgの投与量での化合物1は、99%のTGIで腫瘍成長を阻害する能力を示し、この群の8匹中2匹のマウスが腫瘍退縮を示した。マウスの体重を指定日に測定し、化合物1の治療群において体重の減少は観察されなかった(図22)。
【0324】
実施例20:NIH3T3 LMNA−TRKA WTモデル
LMNA−TRKA融合遺伝子は、結腸直腸癌における腫瘍進行のドライバーの1つと考えられている。NIH3T3 LMNA−TRKA WT腫瘍(平均腫瘍サイズ240mm)を担持する無胸腺ヌードマウスに、1日2回、5日間、化合物1を経口投与した(図23)。腫瘍体積を指定日にノギスで測定し、図23に平均値±semで示す。Anは、繰り返しのある2元配置分散分析、その後の事後解析によって決定される通り、平均腫瘍体積が、対照群のそれと比較して治療群において有意に低いことを意味する(p<0.05)。この研究では、15mg/kgの投与量の化合物1での治療が、28%腫瘍退縮をもたらし、8匹中7匹のマウスが腫瘍退縮を示した。3mg/kgの投与量での化合物1は、100%のTGIで腫瘍成長を阻害する能力を示し、8匹中3匹のマウスが腫瘍退縮を示した。ビヒクル対照と比較して、化合物1で治療したマウスにおいて体重の減少は観察されなかった(図24)。
【0325】
実施例21:NIH3T3 LMNA−TRKA G595Rモデル
薬剤耐性溶媒フロント変異を含有する腫瘍の成長阻害に対する化合物1の効果を調べるために、NIH3T3 LMNA−TRKA G595R腫瘍(平均腫瘍サイズ230mm)を担持する無胸腺ヌードマウスに、1日2回、5日間、化合物1を経口投与した(図25)。対照群のマウスにはビヒクルのみを与えた。腫瘍体積を指定日にノギスで測定し、図25に平均値±semで示す。Anは、繰り返しのある2元配置分散分析、その後の事後解析によって決定される通り、平均腫瘍体積が、対照群のそれと比較して治療群において有意に低いことを意味する(p<0.05)。この研究では、60mg/kgの化合物1での治療が、23%腫瘍退縮をもたらし、10匹中10匹のマウスが腫瘍退縮を示した。15mg/kgの投与量での化合物1は、97%のTGIで腫瘍成長を阻害する能力を示し、8匹中3匹のマウスが腫瘍退縮を示した。3mg/kgの投与量での化合物1は、56%のTGIで腫瘍成長を阻害する能力を示した。マウスの体重を指定日に測定し、化合物1の治療群において体重の減少は観察されなかった(図26)。
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