(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】改良型ステレオリソグラフィシステムの斜視図
【
図2】
図1のステレオリソグラフィシステムの立面図
【
図3】
図1のステレオリソグラフィシステムの正面部分切り欠き図
【
図4A】
図1のステレオリソグラフィシステムのタンクの断面斜視図
【
図4B】
図1のステレオリソグラフィシステムのタンク内部の湿潤性材料の表面積の拡大図
【
図5A】
図1のステレオリソグラフィシステムのタンク内部にあってよい湿潤性材料の表面積の代替的な実施形態の拡大図
【
図5B】
図1のステレオリソグラフィシステムのタンク内部にあってよい湿潤性材料の表面積の代替的な実施形態の拡大図
【
図5C】
図1のステレオリソグラフィシステムのタンク内部にあってよい湿潤性材料の表面積の代替的な実施形態の拡大図
【
図5D】
図1のステレオリソグラフィシステムのタンク内部にあってよい湿潤性材料の表面積の代替的な実施形態の拡大図
【
図6A】
図1のステレオリソグラフィシステムのタンクの上面図
【
図6B】
図1のステレオリソグラフィシステムのタンクの上面図
【
図6C】
図1のステレオリソグラフィシステムのタンクの上面図
【
図7】形成されている物体を示す、
図1のステレオリソグラフィシステムの部分切り欠き斜視図
【
図8】樹脂の連続的な硬化によって形成されている物体の中空部を示す、
図1のステレオリソグラフィシステムの部分図
【
図9】樹脂の連続的な硬化によって形成されている物体の中空部を示す、
図1のステレオリソグラフィシステムの別の部分図
【
図10】樹脂の連続的に成層した硬化によって形成される、比較的小さい断面を有する物体の固形部を示す、
図1のステレオリソグラフィシステムの部分図
【
図11】物体がタンクの底部から引き離されると屈曲する湿潤性材料による、樹脂の連続的に成層した硬化によって形成される、比較的小さい断面を有する物体の固形部を示す、
図1のステレオリソグラフィシステムの部分図
【
図12】樹脂の連続的に成層した硬化によって形成される、比較的小さい断面を有する物体の固形部を示す、
図1のステレオリソグラフィシステムの部分図
【
図13】樹脂の連続的に成層した硬化によって形成される、比較的小さい断面を有する物体の固形部を示す、
図1のステレオリソグラフィシステムの別の部分図
【
図14】物体と湿潤性材料との間の間隔によって樹脂の連続的に成層した硬化によって形成される比較的小さい断面を有する物体の固形部を示す、
図1のステレオリソグラフィシステムの部分図
【
図15】物体と湿潤性材料との間の間隔を部分的に充填する樹脂によって、樹脂の連続的に成層した硬化によって形成される、比較的小さい断面を有する物体の固形部を示す、
図1のステレオリソグラフィシステムの部分図
【
図16】物体と湿潤性材料との間の間隔を部分的に充填する樹脂によって、樹脂の連続的に成層した硬化によって形成される、比較的小さい断面を有する物体の固形部を示す、
図1のステレオリソグラフィシステムの部分図
【
図17】樹脂の成層した硬化によって形成される、比較的大きい断面を有する物体の固形部を示す、
図1のステレオリソグラフィシステムの部分図
【
図18】タンクが第1の方向に傾斜している、樹脂の成層した硬化によって形成される、比較的大きい断面を有する物体の固形部を示す、
図1のステレオリソグラフィシステムの部分図
【
図19】タンクが第2の方向に傾斜している、樹脂の成層した硬化によって形成される、比較的大きい断面を有する物体の固形部を示す、
図1のステレオリソグラフィシステムの部分図
【
図20】樹脂の成層した硬化によって形成される、比較的大きい断面を有する物体の固形部を示す、
図1のステレオリソグラフィシステムの部分図
【
図21】樹脂の成層した硬化によって形成される、比較的大きい断面を有する物体の固形部を示す、
図1のステレオリソグラフィシステムの別の部分図
【
図22】
図1のステレオリソグラフィシステムで使用可能であるタンクの第2の実施形態の断面斜視図
【
図23】
図1のステレオリソグラフィシステムで使用可能であるタンクの第3の実施形態の断面斜視図
【
図24】
図1のステレオリソグラフィシステムで使用可能であるタンクの第4の実施形態の断面斜視図
【
図25】
図1のステレオリソグラフィシステムで使用可能であるタンクの第5の実施形態の断面斜視図
【
図26】
図1のステレオリソグラフィシステムで使用可能であるタンクの第6の実施形態の断面斜視図
【
図27】別の改良型ステレオリソグラフィシステムの斜視図
【
図28】
図27のステレオリソグラフィシステムのタンクの断面斜視図
【
図29】
図27のステレオリソグラフィシステムで使用可能であるタンクの第2の実施形態の断面斜視図
【
図30】
図27のステレオリソグラフィシステムで使用可能であるタンクの第2の実施形態の断面斜視図
【
図31】本明細書に開示されたステレオリソグラフィシステムの制御部の論理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面を参照、最初に
図1および
図2を参照すると、改良型ステレオリソグラフィシステム10が示されている。ステレオリソグラフィシステム10は、ステレオリソグラフィシステム10を容易に所望の場所に移動させることを可能にするために、複数のキャスター、例えば、キャスター14および16に装着されるハウジング12を備える。キャスター14および16は、構造および機能が実質的に同一であり、それぞれは、対応するブレーキ、例えば、キャスター14のうちの1つに対して表記されるブレーキ18を有する。ブレーキ18は、地面係合ブレーキであり、ステレオリソグラフィシステム10を所望の場所に固定させることが可能である。ハウジング12は、下部20および上部30を有する。ハウジング12の下部20は、ハウジング12の下部20への進入を可能にしかつ制限するために、ハンドル24およびロック26を備えたドア22を含む。ハウジング12の下部20はまた、ハウジング12の下部20において空気を循環させることができるように、
図1にのみ示される通気孔28を備える。同様に、ハウジング12の上部30は、ハウジング12の上部30への進入を可能にしかつ制限するために、ハンドル34およびロック36を備えたドア32を含む。この例では、ハウジング12の上部30のドア32は、光学的に透明な窓ガラス38を備える。
【0013】
ここで
図3を参照すると、ハウジング12の下部20内部に配設された放出デバイス40がある。放出デバイスは、樹脂を硬化させるまたは重合させるために使用可能である任意の適した発光デバイスであってよい。放出デバイスの上のハウジング12の上部30内部にタンク42が配設されている。また、ハウジング12の上部30にリニアステージ44がある。リニアステージ44は、タンク42から垂直に離れるように延在し、キャリアプラットフォーム46はリニアステージ44に沿って移動可能である。ここまで説明したようなステレオリソグラフィシステム10は、形成されている物体の底部に物体の断面が形成される「トップダウン」の3次元印刷技術において使用される一般的な従来のステレオリソグラフィシステムである。
【0014】
しかしながら、
図4Aに最も良く示されるように、ステレオリソグラフィシステム10のタンク42は新しい構造を有する。タンク42は、光学的に透明である底壁48を有する。タンク42の底壁48から延在する複数の側壁、例えば側壁50、52、および54がある。タンク42内部のタンク42の底壁48に光学的に透明な湿潤性材料56がある。湿潤性材料56は、湿らすことができる、すなわち、保水力がある任意の材料であってよい。この例では、湿潤性材料56は、メンブレンの形態であり、タンク42の底壁48を覆う。しかしながら、他の例では、湿潤性材料56は、タンク42の底壁48上で塗布または形成されてよい。湿潤性材料56は、1ミリメートル〜4ミリメートルの厚さを有することができる。
【0015】
図4Bは、湿潤性材料56の表面のナノ構造を示す。湿潤性材料56の表面のナノ構造は、湿潤性材料56の表面に沿って間隔があけられた、円錐台の形態の複数の突起部、例えば、突起部58a、58b、および58cを含む。この例では、突起部58a、58b、および58cは、10ミクロン〜20ミクロンのベース直径、および、5ミクロン〜15ミクロンの上面直径を有する。突起部58a、58b、および58cは、この例では、10ミクロン未満の間隔があけられている。湿潤性材料56の表面のナノ構造によって、湿潤性材料56の表面が超疎水性表面になっており、実例である、
図5A〜
図5Dに示されるような代替的な適した形態をとることができる。
図5Bにおいて、湿潤性材料の表面のナノ構造は、円筒状の複数の突起部を含む。
図5Cおよび
図5Dにおいて、湿潤性材料の表面のナノ構造は、花びらのナノ構造のレプリカである。湿潤性材料56の表面のナノ構造は、化学的処置、レーザ彫刻、またはフォトリソグラフィによって調製可能である。湿潤性材料56の表面のナノ構造は、垂直配向面、階層的に構造化された表面、または、これらの組み合わせであってよい。さらに代替的には、例えば、テフロン(登録商標)または別の疎水性材料によって湿潤性材料56の表面のナノ構造を塗布可能であってよい。超疎水性表面を有する従来の「トップダウン」のステレオリソグラフィシステムにおいてシリコーン材料(例えば層)を提供するために、この段落において説明されるのと同じまたは同様のプロセスが使用可能であることは、当業者には理解されるであろう。
【0016】
ここで
図6A〜
図6Cを参照すると、この例では、湿潤性材料56は、定着剤またはシアノアクリレート接着剤などの光学的に透明な接着剤60によってタンク42の(
図6A〜
図6Cには示されない)底壁48に据え付けられる。湿潤性材料56は、
図6Aに示されるように、タンク42の底壁48にその周辺部のみに付着させてよい。これによって、湿潤性材料56は屈曲可能になる。湿潤性材料56は、
図6Bに示されるように、グリッドパターンでタンク42の底壁48に付着させることができる。これによって、湿潤性材料65を画定された部分内部のみで屈曲させることができる。
図6Cに示されるような円形パターン、または線を交差させることによる任意の他の適したパターンにおいて湿潤性材料56を付着させることによって、同様の結果が達成できる。シリコーン材料を画定された部分内部のみで屈曲可能とするように、従来の「トップダウン」のステレオリソグラフィシステムにシリコーン材料(例えば層)を付着させるために、この段落において説明されるのと同じまたは同様のプロセスが使用可能であることは、当業者には理解されるであろう。
【0017】
タンク42は、また、振動子62および64の形態であってよいアクチュエータを備える。この例では、振動子62および64は、超音波トランスデューサ、とりわけ、圧電アクチュエータまたは振動子である。しかしながら、任意の適した振動子が使用可能である。振動子62および64は、この例では垂直配向で使用されるが、他の例では水平配向で使用可能である。振動子62および64は25Hz〜60Hzの周波数で振動することができる。振動子62および64は、必要とされる時にタンク42を傾斜させるように機能する。しかしながら、タンクの両側に配設されるリニアアクチュエータを駆動させるモータなどの任意の適したアクチュエータは、他の例ではタンクを傾斜させるために使用可能である。
【0018】
図7は、ステレオリソグラフィシステム10のタンク42において樹脂70から形成されている物体68を示す。放出デバイス40は、物体68がキャリアプラットフォーム46上で形成されている際に噴射空気または光線72を放出する。放出デバイス40が噴射空気または光線72を放出し、かつ物体68が形成される際に、キャリアプラットフォーム46はタンク42から離れるように上方に移動する。制御部74は、物体が形成されるまたは物体の一部が形成されることに左右されて、噴射空気または光線の継続時間および強度を制御するために使用可能である。物体68は、それに応じて、タンク42における樹脂70の、連続的な、連続的に成層した、または成層した硬化を使用して形成可能である。ステレオリソグラフィシステム10はまた、物体68が形成され、かつ高温が発生する時に、タンク42およびこの内容物、すなわち、湿潤性材料56および樹脂70を冷却するために、冷却ファン76などの冷却デバイスを備えることができる。冷却デバイスは、代替的には、エアナイフまたは別の適した冷却デバイスであってよい。物体68が形成される際の比較的早い速度に起因して、本明細書に開示されるステレオリソグラフィシステム10の動作中に高温が発生する。物体68の断面を形成するように照射することによって樹脂を硬化させるまたは重合させることは、当業者には理解されるであろう。
【0019】
樹脂が硬化すると熱が生じるため、とりわけ、物体68が連続的に形成されている時に、できるだけ熱を放散することが所望される。高い熱伝導率を有する材料からタンク42の底壁48を形成することによって、熱をより迅速に放散させることができ、これによって、蓄積される熱が少なくなることを受けて、物体68の断面のサイズおよび高さを大きくすることが可能になる。さらに、タンク42の底壁48が高い熱伝導率を有する場合、気泡は一般的に、湿潤性材料および/または樹脂に形成されない。湿潤性材料および/または樹脂における気泡の形成は、物体68の形成に悪影響を与える場合がある。
【0020】
それに応じて、高い熱伝導率を有する光学的に透明な材料からタンク42の底壁48を形成することが望ましい。300Kで25W/(m×K)の熱伝導率を有するサファイアガラスは、タンク42の底壁48を形成するために使用可能である。300Kで25W/(m×K)の熱伝導率を有する透明セラミックスピネルも、タンク42の底壁48を形成するために使用可能である。Starphire(商標)など、高い熱伝導率を有する低鉄ガラスも使用可能である。しかしながら、タンク42の底壁48は、25Kで0.20W/(m×K)の熱伝導率を有するアクリルガラス、または、25Kで0.95W/(m×K)の熱伝導率を有するソーダ石灰ガラスもしくはソーダ石灰シリカガラスから形成されてもよい。
【0021】
図8および
図9に示されるように、物体68の中空部78の形成中、制御部74は、噴射空気または光線72の継続時間を減少させ、かつ、噴射空気または光線72の強度を増加させることができる。噴射空気または光線72の継続時間は、中空部78の形成中に減少するが、これは、硬化される表面が小さくなることによって、樹脂を硬化させるまたは重合させるために必要とされる時間が少なくなるからである。しかしながら、噴射空気または光線72の強度は、物体68の形成を加速させるために、中空部78の形成中、増加させるが、物体68の断面は連続的に形成する。
図8および
図9は、タンク42の底壁48における湿潤性材料56と、タンク42における樹脂70から形成される物体68との間の間隙80を示す。間隙80によって物体68は連続的に形成可能であるが、これは、物体68がタンク42の底壁48上に直接形成されないことによって、全体的に、物体68の中空部78の形成中にタンク42の底壁48から物体68をはがすまたは引き離す必要性が排除されるからである。
【0022】
図10〜
図13において示されるように、比較的小さい断面を有する物体68の固形部82の形成中、制御部74は、噴射空気または光線72の継続時間を長くし、かつ、固形部82の形成中、噴射空気または光線72の強度を低下させることができる。噴射空気または光線72の継続時間は、固形部82の形成中長くなるが、これは、硬化される表面積が大きくなることによって、樹脂を硬化させるまたは重合させるための追加の時間が必要とされるからである。噴射空気または光線72の強度は、湿潤性材料56を乾燥させる場合がある過剰熱を最小化するために、固形部82の形成中低下させる。
図10および
図13はまた、タンク42の底壁48における湿潤性材料56と、タンク42における樹脂70から形成される物体68との間の間隙80を示す。間隙80によって物体68を樹脂70の連続的に成層した硬化によって形成させることができるが、これは、物体68がタンク42の底壁48上に直接形成されず、物体68の固形部82の形成中、
図10および
図11に最も良く示されるように、タンク42の底壁48から物体68を容易に引き離すことができるからである。これは、湿潤性材料56が湿潤性材料56の部分84に示されるように画定された部分内で屈曲できることによって、物体68を引き離すために必要される力を低減させることに起因する。これによって、物体68の固形部82の断面を形成するために必要とされる時間は低減する。
【0023】
ここで
図14〜
図17を参照すると、物体68における気泡の形成はまた、物体68の底部88とタンク42の底壁48との間の間隔を樹脂が充填するまで、噴射空気または光線を与えないことによって防止可能である。物体68の形成中、
図14に最も良く示されるように、キャリアプラットフォーム46がタンク42の底壁48から離れるように移動する際に間隙80と物体68の底部88との間には一時的に間隔86がある。間隔86は、
図15および
図16に示されるように、樹脂70によってほぼ瞬間的に充填される。しかしながら、
図15に示されるように、樹脂70が間隔86を完全に充填する前に物体68の断面が形成される場合、間隔86の周りの樹脂が物体68の断面の形成中に硬化されるため、間隔86によって物体68に気泡を形成される。それに応じて、物体68の断面の形成前に、
図16に示されるように、間隔86が樹脂70によって実質的に充填されるまで待つことが望ましい。このことは、以下のアルゴリズムを採用するように制御部74をプログラミングすることによって達成可能である。
ステップ1:開始。
ステップ2:
図14に示されるように、物体68をタンク48の底部から離れるように移動させる。
ステップ3:
図15および
図16に示されるように、形成されている物体68の底部88と間隙80との間の間隔86に樹脂が流れ込む際に、一時的に光を放出しない。
ステップ4:
図17に示されるように、形成されている物体68の底部88と間隙80との間の間隔86を樹脂70が充填する際に、形成されている物体68の所望の断面を形成するように樹脂を硬化させるために光を放出する。
ステップ5:ステップ2を繰り返す。
【0024】
図18〜
図21に示されるように、比較的大きい断面を有する物体68の固形部90の形成中、物体68の固形部90を微量分はがすために、タンク42を傾斜させることが望ましい場合がある。
図6A〜
図6Cに示される振動子62および64は、キャリアプラットフォーム46が
図18および
図19に示されるようにタンク42から離れるように移動する間に交互に振動する。これによって、
図20に示されるように、物体68と湿潤性材料56との間の樹脂70の流れを促進させる。物体68の部分の別の断面は次いで、
図21に示されるように形成可能である。キャリアプラットフォーム46は再配置され、物体68が完全に形成されるまでプロセスは繰り返される。
【0025】
振動子62および64は、樹脂70を硬化させるまたは重合させるために光が放出されない時はいつでも作動させることができる。振動子62および64はまた、樹脂70の流れを助長させるために使用可能である。振動子62および64は、タンク42の片側の振動子が上方に振動し、タンクの反対側の振動子が下方に振動するように配置されてよい。振動子62および64は、形成されている物体68の断面に基づいて最も効果的である振動の組み合わせをもたらすために選択的に作動させることができる。
【0026】
図22は、本明細書に開示されるステレオリソグラフィシステム10で使用可能であるタンク110の第2の実施形態を示す。タンク110は、
図4Aに示されるタンク42と実質的に同様である。タンク110は、タンク110内部のタンク110の底壁112における湿潤性材料114と共に光学的に透明な底壁112を有する。しかしながら、タンク110は、この第1の側に配設されるアクチュエータ116、および、この第2の側に配設されるヒンジ機構118を有する。この例では、アクチュエータ116は、タンク110を傾斜させるために、ヒンジ機構118を中心にタンク110を枢動させるモータ駆動のリニアアクチュエータである。
【0027】
図23は、本明細書に開示されるステレオリソグラフィシステム10で使用可能であるタンク120の第3の実施形態を示す。タンク120は、
図4Aに示されるタンク42と実質的に同様である。タンク120は、光学的に透明な底壁122と共に、タンク120内部のタンク120の底壁122における湿潤性材料124を有する。しかしながら、タンク120は、湿潤性材料124と流体連通する貯留槽126をさらに有する。貯留槽126には水があってよく、これは、湿潤性材料を湿らせ続けるために、湿潤性材料124に施されてよい。
【0028】
図24は、本明細書に開示されるステレオリソグラフィシステム10で使用可能であるタンク130の第4の実施形態を示す。特に、タンク140が湿潤性材料から形成される光学的に透明な底壁132を有するということを除いて、タンク130は、
図4Aに示されるタンク42と実質的に同様である。
【0029】
図25は、本明細書に開示されるステレオリソグラフィシステム10で使用可能であるタンク140の第5の実施形態を示す。タンク140は
図4Aに示されるタンク42と実質的に同様である。タンク140は、光学的に透明な底壁142と共に、タンク140内部のタンク140の底壁142における湿潤性材料144を有する。しかしながら、タンク140は、入力導管154と流体連通するポンプ152を含む、閉ループ樹脂再循環および/または樹脂冷却システム150をさらに備える。入力導管154は3つの入力ポート156a、156b、および156cを有し、これによって、入力導管154とタンク140との間の流体連通が可能になる。閉ループ樹脂再循環および/または樹脂冷却システム150はまた、タンク140と出力導管160との間の流体連通を可能にする出力ポート158を含む。出力ポート158とポンプ152との間で出力導管160に沿ってコイル162が配設されている。動作時に、ポンプ152は、出力ポート158を通してタンク140から樹脂を引き出す。樹脂は、出力導管160を通してポンプ152へ流れ、コイル162を通って流れると冷却可能である。ポンプ152は次いで、樹脂を、入力導管154を通して送り出し、かつ入力ポート156a、156b、および156cを通してタンク140内に戻るようにする。樹脂は、樹脂における乱流を最小化するために毎秒約100mmの流量でタンク140に流れ込み、タンク140の底壁142に隣接してタンク140に流れ込む。閉ループ樹脂再循環および/または樹脂冷却システムはまた、従来の「トップダウン」のステレオリソグラフィシステムにおけるタンクで使用可能であることは、当業者には理解されるであろう。
【0030】
図26は、本明細書に開示されるステレオリソグラフィシステム10で使用可能であるタンク170の第6の実施形態を示す。タンク170は、第1の光学的に透明な底壁172aおよび第2の光学的に透明な底壁172bを有する。タンク170の第1の底壁172aおよびタンク170の第2の底壁172bは間隔があけられており、これらの間に空間173がある。湿潤性材料174は、タンク170内部のタンク170の第1の底壁172aにある。タンク170は、入力導管184と流体連通するポンプ182を含む閉ループ流体冷却システム180をさらに備える。入力導管184は入力ポート186を有し、これによって、入力導管184と、タンク170の第1の底壁172aとタンク170の第2の底壁172bとの間の空間173との間の流体連通が可能になる。閉ループ流体冷却システム180はまた、出力導管190と、タンク170の第1の底壁172aとタンク170の第2の底壁172bとの間の空間173との間の流体連通を可能にする出力ポート188を含む。出力ポート188とポンプ182との間で出力導管190に沿ってコイル192が配設されている。動作時に、ポンプ182は、タンク170の第1の底壁172aとタンク170の第2の底壁172bとの間の空間173に流体を送り出す。流体は空気または水であってよく、これは、タンク170の第1の底壁172aを冷却し、かつ、湿潤性材料174に対する熱損傷を防止するために使用される。流体は次いで、出力ポート188から引き出され、かつ、出力導管190を通してポンプ182へ流れ、コイル192を通って流れると冷却可能である。ポンプ182は次いで、冷却された流体を入力導管184を通して送り出し、かつ、入力ポート186を通してタンク170の第1の底壁172aとタンク170の第2の底壁172bとの間の空間173内に戻るようにする。閉ループ流体冷却システムがまた、従来の「トップダウン」のステレオリソグラフィシステムにおけるタンクで使用可能であることは、当業者には理解されるであろう。
【0031】
図27は、特に、発光デバイス240がタンク220と一体化され、かつ、ステレオリソグラフィシステム210の冷却デバイスがエアナイフ212であるということを除いて、
図7に示されるステレオリソグラフィシステム10と実質的に同一である、別の改良されたステレオリソグラフィシステム210を示す。タンク220は
図28においてより詳細に示され、全体的に、
図4Aに示されるタンク42と同様である。タンク220は、光学的に透明な底壁222と共に、タンク220内部のタンク220の底壁222における湿潤性材料224を有する。しかしながら、タンク220の底壁222は、この周縁部に沿って配設される、複数の発光デバイス、例えば、発光デバイス226および228をさらに含む。発光デバイスは、物体を形成するために連続的な光線をもたらす。タンクの底壁は、改造LCDモニタであってよく、このモニタにおいて、LCDモニタの白色バックライトは、発光デバイスとして機能する紫外線LEDライトと置き換えられる。これによって、白色光でLCDモニタ上に先に投射されたと思われる画像を噴射空気または紫外線放出で連続的に投射させて、画像の形状の物体を形成可能とする。LCDモニタの白色バックライトが、発光デバイスとして機能する紫外線LEDライトと置き換えられる改造LCDモニタがまた、従来の「トップダウン」のステレオリソグラフィシステムにおけるタンクの底壁として使用可能であることは、当業者には理解されるであろう。
【0032】
図29は、本明細書に開示されるステレオリソグラフィシステムで使用可能であるタンク230の第2の実施形態を示す。タンク230は
図4Aに示されるタンク42と実質的に同様である。タンク230は、光学的に透明な底壁232と共に、タンク230内部のタンク230の底壁232における湿潤性材料234を有する。しかしながら、タンク230の底壁232には紫外線有機発光ダイオード(OLED)236がある。紫外線OLEDは、発光デバイスとして機能する。発光デバイスとして機能する紫外線OLEDがまた、従来の「トップダウン」のステレオリソグラフィシステムにおけるタンクで使用可能であることは、当業者には理解されるであろう。
【0033】
図30は、本明細書に開示されるステレオリソグラフィシステム10で使用可能であるタンク240の第3の実施形態を示す。タンク240は、第1の光学的に透明な底壁242a、および発光デバイスとして機能する紫外線有機発光ダイオード(OLED)の形態の第2の底壁242bを有する。タンク240の第1の底壁242aおよびタンク240の第2の底壁242bは、間隔があけられ、これらの間に空間243がある。湿潤性材料244はタンク240内部のタンク240の第1の底壁242aにある。タンク240は、入力導管254と流体連通するポンプ252を含む閉ループ流体冷却システム250をさらに備える。入力導管254は入力ポート256を有し、これによって、入力導管254と、タンク240の第1の底壁242aとタンク240の第2の底壁242bとの間の空間243との間の流体連通が可能になる。閉ループ流体冷却システム250はまた、出力導管260と、タンク240の第1の底壁242aとタンク240の第2の底壁242bとの間の空間243との間の流体連通を可能にする出力ポート258を含む。出力ポート280とポンプ252との間で出力導管260に沿ってコイル262が配設されている。動作時に、ポンプ252は、タンク240の第1の底壁242aとタンク240の第2の底壁242bとの間の空間243に流体を送り出す。流体は空気または水であってよく、これは、タンク240の第1の底壁242aを冷却し、かつ、湿潤性材料244に対する熱損傷を防止するために使用される。流体は次いで、出力ポート258から引き出され、かつ、出力導管260を通してポンプ252へ流れ、コイル262を通って流れると冷却可能である。ポンプ252は次いで、冷却された流体を入力導管254を通して送り出し、かつ、入力ポート256を通して、タンク240の第1の底壁242aとタンク240の第2の底壁242bとの間の空間243内に戻るようにする。閉ループ流体冷却システムがまた、従来の「トップダウン」のステレオリソグラフィシステムにおけるタンクで使用可能であることは、当業者には理解されるであろう。
【0034】
ステレオリソグラフィシステム210はまた、タンクと一体化された発光デバイスを制御する制御部214を備える。
【0035】
図31は、本明細書に開示されたステレオリソグラフィシステムの制御部の論理を示すフローチャートである。最良のアリゴリズムを実行する時、制御部は、物体が、樹脂の連続的な、連続的に成層した、または成層した硬化によって形成されるべきかどうかを判断する。
【0036】
湿潤性材料
湿潤性材料56は、ヒドロゲル、例えばシリコーンヒドロゲル、または、任意の他の適した湿潤性材料であってよく、これによって、
図21〜
図29に示されるように、タンク42において、湿潤性材料56と樹脂との間の界面での間隙80または「不感帯」が生じる。間隙80によって、タンク42における、湿潤性材料56と樹脂との間の反発作用の分子間力が生じ得る、および/または、樹脂および水は混和しないため、間隙80によって湿潤性材料56および樹脂を分離する水の層が生じ得る。湿潤性材料56と樹脂との間の分離は、グリセリンは樹脂と混和しないためグリセリンを湿潤性材料56に加えることによって改良可能である。湿潤性材料56と樹脂との間の分離は、紫外線抑制剤およびグリセリンを湿潤性材料56に加えることによって、さらに改良できる。紫外線抑制剤およびグリセリンを加えることによって、湿潤性材料56との間の界面における樹脂の非常に薄い層の硬化を防止する。
【0037】
湿潤性材料56におけるグリセリンおよび紫外線抑制剤の濃度は、使用される樹脂のタイプに左右される。湿潤性材料56におけるグリセリンの濃度は、ヒドロゲルベースの湿潤性材料に対して1容量%と低く、グリセリンゲルベースの湿潤性材料に対して95容量%と高いものである場合がある。湿潤性材料56における紫外線抑制剤の濃度は、0.5容量%〜25容量%とすることができる。より多くの光開始剤を含有する高反応性樹脂が必要とするグリセリンおよび紫外線抑制剤は多くなる場合があるが、より少ない光開始剤を含有する低反応性樹脂が必要とするグリセリンおよび紫外線抑制剤は少なくてよい。
【0038】
ヒドロゲルベースの湿潤性材料
湿潤性材料56において使用されるヒドロゲルは、任意の手段によって調製されてよいが、以下の一般的な手段が典型的である。
【0039】
ポリ(アクリル酸)ヒドロゲルは、アクリル酸および/またはこの塩と、水溶性架橋剤、例えばメチレンビスアクリルアミドとの溶液で、10%〜70%の濃度の水溶液で、および、抑制剤としてメトキシヒドロキノン(MHC)を使用して、調製されてよい。これによって、乾燥かつ重合させて保管できる結晶質のゲル弾性生成物をもたらすことができる。
【0040】
超吸水性ヒドロゲルは、モノマーとしてのアクリルアミドと、脱イオン水において希釈された架橋剤としてのビスアクリルアミドとの混合液として調製されてよい。
【0041】
ポリエチレングリコールヒドロゲルは、ラジカル発生剤(紫外線抑制剤)を使用してポリエチレングリコールアクリレートを架橋後、抑制剤として多量のヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)を使用してヒドロゲルを安定させることによって、調製可能である。
【0042】
物理的に架橋したヒドロゲルは、分子のらせん形状が形成されるまで、溶液中のカッパカラギーナンを温めることによって調製されてよい。塩を含有する溶液(Na+、K+)の追加の使用によって、安定的なゲルを形成するために凝集したさらなるらせんがもたらされることになる。
【0043】
アルギン酸ナトリウムヒドロゲルは、1重量%の塩化カルシウムの混合液に注ぎ込まれた2重量%のアルギ酸ナトリウムの混合液として調製されてよい。
【0044】
パターン化ポリ(エチレングリコール)ベースのヒドロゲルは、光開始剤として2、2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンによる水溶液中にポリ(エチレングリコール)を溶解することによって調製されてよい。フォトリソグラフィ技術は、所望のパターンを得るために紫外線硬化プロセス中に使用される。
【0045】
PEGDA冷結乾燥ゲルは、凍結乾燥PEGDAを水および光開始剤と混合することによって調製され、かつ、紫外線(365nm)にさらしてヒドロゲル構造を形成することができる。
【0046】
ポリビニルピロリドンベースのヒドロゲルは、特有の用途に必要とされるように、ポリビニルピロリドンを過酸化水素と混合することによって、かつ、架橋してゲル構造を形成するために紫外線(254nm)を使用することによって、調製されてよい。
【0047】
コラーゲン/HEMAヒドロゲルは、HEMAモノマー、過硫酸アンモニウム、および、メタ重亜硫酸ナトリウムと混合したコラーゲン溶液を使用することによって、調製されてよい。
【0048】
ポリヒドロキシエチルメタクリレートヒドロゲルは、SucMA、架橋剤としてトリプロピレングリコールジアクリレートを使用したヒドロキシエチルメタクリレート、および、ラジカル開始剤としての過硫酸アンモニウムおよびメタ重亜硫酸ナトリウムを混合することによって、調製されてよい。
【0049】
ポリヒドロキシエチルメタクリレートヒドロゲルは、熱重合によって調製されてもよい。ヒドロキシエチルメタクリレートは、架橋剤としてトリメチルプロパントリメタクリレート、および、ラジカル開始剤として過酸化ベンゾイルで重合可能である。この混合液は、次いで、ヒドロゲルの特性に従ってある期間にわたって75℃まで温められる。
【0050】
上述されたヒドロゲル、および、20%〜50%の濃縮過酸化水素を使用して、40ml〜60mlのヒドロゲルと60ml〜80mlの過酸化水素との混合液を使用して湿潤性材料を調製可能である。上述されたヒドロゲルは、ヒドロゲルおよびペルフルオロカーボンの混合液を使用して湿潤性材料を調製するために使用されてもよい。これによって、重合を抑制する表面層を有する酸素を豊富に含む湿潤性材料をもたらすことができる。
【0051】
上述されたヒドロゲルは、水素供与体および脱酸素剤を合わせたヒドロゲルの混合液を使用して湿潤性材料を調製するために使用されてもよい。ヒドロゲルの特有の例は以下に提供される。
【実施例1】
【0052】
ヒドロゲルベースの湿潤性材料は、1容量%の寒天培地、25容量%のグリセリン、0.5容量%のヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)、1容量%のゲルマンII、72.5容量%の脱イオン水を含むことができる。
【0053】
脱イオン水は、混合タンクに加えられることで、良好な渦を確保し、次いで、ヒドロキノンモノメチルエーテル、グリセリン、ゲルマンII、および寒天培地がゆっくりと加えられる。少なくとも4時間の混合が行われる。
【0054】
ヒドロゲルを流し込む調製は、所望の容量の混合液を95℃まで加熱し、5分間、または混合液が均質になるまで、温度を95℃で保持することによって行われる。混合液は金型に注ぎ込まれ、24時間〜48時間の凝固が可能である。
【0055】
寒天培地の濃度を増加することで、ヒドロゲルのより良い機械的強度を達成することができる。
【0056】
グリセリンの濃度を変化させることで、より良い機械的強度を達成する、または、より良い耐熱性を達成することができる。
【0057】
ヒドロキノンモノメチルエーテルの濃度を変化させることで、印刷プロセス中の樹脂重合のさらなる抑制を達成して、その結果として、間隙または「不感帯」を小さくするまたは大きくすることができる。
【実施例2】
【0058】
ヒドロゲルベースの湿潤性材料は、1容量%の寒天培地、25容量%のグリセリン、0.5容量%のヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)、1容量%のゲルマンII、脱イオン水において希釈された72.5%容量の15%濃縮過酸化水素を含むことができる。
【0059】
脱イオン水は、混合タンクに加えられることで、良好な渦を確保し、次いで、ヒドロキノンモノメチルエーテル、グリセリン、ゲルマンII、および寒天培地がゆっくりと加えられる。少なくとも4時間の混合が行われる。濃縮過酸化水素は、混合液を加熱して流し込む直前に加えられる。
【0060】
ヒドロゲルを流し込む調製は、所望の容量の混合液を95℃まで加熱し、5分間、または混合液が均質になるまで、温度を95℃で保持することによって行われる。混合液は金型に注ぎ込まれ、24時間〜48時間の凝固が可能である。
【0061】
過酸化水素の濃度を変化させることで、印刷プロセス中の樹脂重合の抑制を高めることができる。
【実施例3】
【0062】
ヒドロゲルベースの湿潤性材料は、1〜2容量%の寒天培地、25容量%のグリセリン、0.5容量%のヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)、1容量%のゲルマンII、0.4〜2容量%のポリビニルアルコール(PVA)、69.5〜72.1容量%の脱イオン水を含むことができる。
【0063】
脱イオン水は、混合タンクに加えられることで、良好な渦を確保し、次いで、ヒドロキノンモノメチルエーテル、グリセリン、ゲルマンII、寒天培地、およびポリビニルアルコールがゆっくりと加えられる。少なくとも4時間の混合が行われる。
【0064】
ヒドロゲルを流し込む調製は、所望の容量の混合液を95℃まで加熱し、5分間、または混合液が均質になるまで、温度を95℃で保持する。混合液は金型に注ぎ込まれ、24時間〜48時間の凝固が可能である。
【0065】
ポリビニルアルコールの濃度を変化させることで、機械的強度を改良することができる。
【0066】
脱イオン水において希釈された濃縮過酸化水素を混合液に加えることで、印刷プロセス中の樹脂重合の抑制を高めることができる。
【実施例4】
【0067】
ヒドロゲルベースの湿潤性材料は、N、N、N’、N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)および、酸化剤、例えば過硫酸アンモニウム(APS)から成る促進剤溶液を使用して調整されたポリエチレングリコールジアクリレート(PEGDA)を含むことができる。
【0068】
ポリエチレングリコールジアクリレートは、5%〜30%の既知濃度で促進剤溶液に加えられる。この溶液は、N、N、N’、N’−テトラメチルエチレンジアミンと10〜50ミリモルの蒸留水とを混合することによって調製される。過硫酸アンモニウム溶液は、過硫酸アンモニウムを蒸留水に加えることによって、10〜50ミリモルの濃度で調製される。この反応は、およそ37℃の温度で2〜3時間持ち越される。
【0069】
このヒドロゲルベースの湿潤性材料の変化は、蒸留水を過酸化水素で置換することによってなされてよい。
【実施例5】
【0070】
ヒドロゲルベースの湿潤性材料は、重合を達成するための光開始剤、例えば、Irgacure(登録商標)819フェニルビス(2、4、6−トリメチルベンゾイル)−ホスフィンオキシド、Irgacure(登録商標)651(2、2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン)、Irgacure(登録商標)2959(1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン)、または、光開始剤の効果的な波長を考慮する任意の他の適した光開始剤を使用して、紫外線重合によって調製されるポリエチレングリコールジアクリレート(PEGDA)を含むことができる。
【0071】
ポリエチレングリコールジアクリレート/蒸留水/光開始剤の混合は、5%〜30%の終末濃度までの既知量のポリエチレングリコールジアクリレートと光開始剤(0.05〜2.0%)とを混合することによって、達成される。光開始剤は、ポリエチレングリコールジアクリレートに加えられた後、65℃まで加熱される間、光開始剤が完全に溶解しかつ均質になるまで撹拌する。ポリエチレングリコールジアクリレートおよび光開始剤の混合は、蒸留水を加えることによって最終容量まで行われ、この混合物が完全に溶解されるまで撹拌される。この最終溶液が10〜20分間紫外線光源にさらされることで、ヒドロゲルを形成する。生じたヒドロゲルは、いずれの未反応の化学物質も除去するために、水で軽くすすがれる。
【0072】
この調製法を変えるのは、前述される同じ比率を使用して、蒸留水の代わりに過酸化水素を使用して達成される。
【実施例6】
【0073】
ヒドロゲルベースの湿潤性材料は、重合を達成するための光開始剤、例えば、Irgacure(登録商標)819フェニルビス(2、4、6−トリメチルベンゾイル)−ホスフィンオキシド、Irgacure(登録商標)651(2、2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン)、Irgacure(登録商標)2959(1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン)、または、光開始剤の効果的な波長を考慮し、かつ70%の濃度のエタノールに溶解された任意の他の適した光開始剤を使用する手段によって、紫外線重合によって調製されるポリエチレングリコールジアクリレート(PEGDA)を含むことができる。
【0074】
5%〜20%の濃度のエタノール/光開始剤の溶液は、エタノール中に光開始剤を溶解することによって調製される。溶液は、光開始剤が溶解されるまで、撹拌されかつ60℃まで加熱されなければならない。光開始剤が溶解されると、温度はおよそ60℃で維持されなければならない。ポリエチレングリコールジアクリレート(5%〜30%)/蒸留されたH
2O溶液は、既知量のポリエチレングリコールジアクリレートを蒸留水内に加えることによって調製される。混合液は、完全に均質になるまで撹拌される。エタノールおよび光開始剤は次いで、1〜5容量%の濃度でポリエチレングリコールジアクリレート/蒸留されたH
2O溶液に加えられ、かつ、完全に均質になるまで撹拌される。最終溶液は、10〜20分間紫外線光源にさらされる。生じたヒドロゲルは、蒸留水を使用して軽く洗浄される。
【0075】
この調合物はまた、蒸留水の代わりに混合液を調製するための過酸化水素を使用して達成可能である。
【実施例7】
【0076】
ヒドロゲルベースの湿潤性材料は、アクリルアミド(AAm)、N、N’−メチレンビスアクリルアミド(MBAAm)、過硫酸アンモニウム(APS)、およびN、N、N’、N’−テトラメチルエチレンジアミン(TEMED)を含む。
【0077】
5〜25w/v%の濃度の過硫酸アンモニウム溶液が調製される。5〜20w/v%の濃度のアクリルアミド、および0.005〜0.020w/v%の濃度のN’−メチレンビスアクリルアミドは、乾燥したフラスコ内で混合される。次いで、対応する量の蒸留水が所望の濃度に達するまで加えられる。生じた溶液は、全ての反応物が完全に溶解されるまで、撹拌プレートにおいて、磁気棒を使用して低速で撹拌される。過硫酸アンモニウム溶液(0.100〜2.0v/v%)およびN、N、N’、N’−テトラメチルエチレンジアミン(0.020〜1.0v/v%)は次いで、重合を開始するために加えられる。該溶液は、全ての成分を混合するために手動で5〜7回優しく撹拌され、すぐに金型に注ぎ込まれる。120〜180分間の反応温度で重合が生じる。生じたヒドロゲルは、3日間蒸留水に浸漬されるが、この水を6〜8時間ごとに変えていずれの未反応モノマーも除去する。
【0078】
モノマー溶液から酸素を取り除くために、真空ポンプが使用可能である。これは、アクリルアミドおよびN、N’−メチレンビスアクリルアミドの撹拌中に溶解したいずれの酸素も除去するためのものである。
【実施例8】
【0079】
高親水性構造を有するポリアクリルアミドヒドロゲルは、重合反応中にポリエチレングリコールジアクリレート(PEGDA)を使用することによって得られる。ヒドロゲルは、以下の反応物、つまり、ポリエチレングリコールジアクリレート、アクリルアミド、N、N’−メチレンビスアクリルアミド(MBAAm)、N、N、N’、N’−テトラメチルエチレンジアミン(TEMED)、および過硫酸アンモニウム(APS)を使用して合成される。
【0080】
0.0020〜0.100モルの濃度の既知量の過硫酸アンモニウム溶液は、蒸留水を使用して調整される。0.10〜0.50モルのN、N、N’、N’−テトラメチルエチレンジアミンの溶液も調製される。過硫酸アンモニウム溶液およびN、N、N’、N’−テトラメチルエチレンジアミン溶液はレドックス開始剤系となる。反応物は、以下の濃度、つまり、5%〜30%のアクリルアミド、5%〜30%の過硫酸アンモニウム溶液、および1.0%〜5.0%のN、N’−メチレンビスアクリルアミドで蒸留水中に溶解された。ポリエチレングリコールジアクリレート(2〜30w/v%)は次いで、モノマー溶液中に溶解され、完全に溶解されるまでゆっくり撹拌される。ポリエチレングリコールジアクリレートが溶解されると、N、N’、N’−テトラメチルエチレンジアミン溶液は、5〜20v/v%の濃度で加えられ、5〜8回手動で撹拌される。該溶液は次いで、すぐに金型に注ぎ込まれ、20時間重合が行われた。重合が完了すると、生じたヒドロゲルは、蒸留水に浸水させていずれの未反応モノマーも除去し、水は3日間6〜8時間ごとに変えられた。
【0081】
モノマー溶液から酸素を取り除くために、真空ポンプが使用可能である。
【0082】
グリセリンベースの湿潤性材料
グリセリンベースのゲルは、用途の熱的要件に従って変化させるグリセリンのwt%でグリセリンの水溶液中に調製可能である。湿潤性材料は、樹脂をはじき、かつ高温に耐えることができるグリセリンゲルであってよい。
【0083】
上記の詳細の多くが例示としてのみ提供され、本発明の範囲を限定することは意図されず、本発明は特許請求の範囲を参照して判断される。