(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
各楔形切開器具の、前記半径方向外向き切面の全体の長さは、各楔側切開器具の帯状のベース面の全体の長さよりも小さいことを特徴とする、請求項1に記載の医療用バルーンカテーテル。
前記複数の帯状体は、細条であって、横方向において第1端部及び第2端部を有し、当該第1端部及び第2端部は、接着剤で固定されていることを特徴とする、請求項6に記載の医療用バルーンカテーテル。
前記バルーンは、その横方向端部において円錐体を含み、当該円錐体の最大外径は、バルーンの最大外径の約5%よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載の医療用バルーンカテーテル。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1A及び
図1Bは、血管形成バルーン20上に位置するケージ10の実施形態を示す図である。
図1Aは、膨張位置を示しており、
図1Bは、血管形成バルーンがケージ中でどのようにして膨張するかを示す図である。ここでは、最初に、血管形成バルーン及び血管形成施術に先駆けて、ケージ10について説明する。ケージ10は、医療用バルーン及びその他の施術で使用する別のタイプのバルーンとともに使用することができる。
【0027】
ケージ10は、第1リング12、第2リング14、及び複数の帯状体16を有する。各帯状体は、第1リング12及び第2リング14間において、長さ方向に延在している。帯状体及びリングは、単一の材料体からモノリシックに形成することができる。したがって、第1リング及び第2リングは、例えば切断した管の、端切れなどから構成することができる。帯状体及びリングは、分離した材料から構成することもできるし、互いに結合することもできる。
図1A及び
図1Bに示すケージは、5つの帯状体を有しているが、2〜10個の帯状体を有することもできる。
【0028】
図2は、切断された管からなるケージの平面図であるが、当該ケージは、単一の平坦な材料から構成することもできる。材料としては、弾性あるいは半弾性のものを使用することができ、高分子、共重合体、金属、合金及びこれらの組み合わせから構成することができる。帯状体は、典型的には、バルーン20が何回も膨張できるように設計する。同様に、帯状体16は、ケージ10が長さ方向及び軸方向に力が作用して元の位置に戻るように構成する。
【0029】
実施形態において、ケージ10は、バルーン20と分離して組立て、包装し、殺菌し、これによって、医師が、ケージ10を血管形成バルーンなどの医療用バルーン20の周りに位置させることができ、施術をアシストすることができるようになる。
図1Bは、ケージ10内に配置する前の、折りたたまれた状態のバルーン20を示している。折りたたまれたバルーン20は、ケージ10を膨張させることなく、または形を変化させることなく、当該ケージ10内に挿入することができる。ケージ10は、バルーン20を配置し、膨張させる以前に、当該バルーン20を完全に囲むことができる。膨張以前のケージ10は、バルーン20よりも長くすることができる。これによって、装置(例えばバルーン20)が膨張する際に、ケージ10の一端あるいは両端が互いの方に向かって動くようになる。ケージ10は、バルーン20の全体に亘って、自由な状態となっている。ケージ10の一端あるいは両端12,14は、バルーン20に対して固定することもできるし、他の輸送装置の一部に固定することもできる。実施形態において、ケージ10は、膨張したバルーン20の如何なる箇所にも固定されていない。これによって、ケージ10が、バルーン20の膨張を妨害することがない。
【0030】
実施形態において、ケージ10は、薬剤コーティングされた血管形成バルーン20とともに使用することができ、薬剤コーティングを保護することができる。ケージ10は、薬剤の血管に対する早期の接触を防止し、抑制することができる。
図1Bを参照して分かるように、ケージ10は、血管形成バルーン20の膨張以前において、当該血管形成バルーン20にコーティングされた薬剤の全体に亘って位置し、血管に対する当該薬剤の早期接触を防止している。ケージ10は、薬剤コーティングされたバルーン20の表面が、血管に対して最少量の接触で済むように、あるいは実質的に接触しないように放射状にバルーン20を覆っている。バルーン20及びケージ10は、この態様で治療箇所まで進行することができる。図には示していないが、このシステムは、脈管構造内のガイドワイヤを伝って進行することができる。
【0031】
図1Aに示すように、ケージ10は、膨張位置へと移行する。膨張位置において、第1リング12及び第2リング14は近接し、帯状体は膨張して血管形成バルーンの表面が露出する。この位置において、薬剤が血管内に疾患組織と接触するように配置される。
【0032】
現在利用可能なシステムでは、どの程度の薬剤が疾患組織に到達するか予期することは困難である。薬剤が疾患組織にどの程度の量が到達するかを正確に予期することを制限する要素が数多く存在する。例えば、血流は、バルーン20が治療箇所に向けて進むにつれて、バルーン20上の薬剤を希釈する。また、血管内で装置を操縦することにより、バルーン20が、腔内壁に擦られるようになるので、バルーン20が治療箇所に向けて進むにつれて、薬剤の多少量がそぎ落とされるようになる。したがって、ある場合において、ケージ10は、治療箇所へ向けてバルーン20を進めている間において、バルーン20を被覆している薬剤を保護する物理的なバリヤーを提供する。このように、ケージ10は、帯状体の間隔が増大する際には、バルーン20と薬剤被覆とが、バルーン20の膨張の間、血管内を流れる血流に晒されるように使用される。このように、ケージ10は、薬剤が希釈されたり、治療を必要としない身体の箇所を治療したりするのを防止し、削減することができる。見方を変えると、バルーン20上にコーティングすべき薬剤の減量を、薬剤の輸送を制御して行うことができる。
【0033】
実施形態において、折りたたまれたバルーン20は、ケージ10の全体に亘って位置することができる。
図1Aに示すように、ケージ10は、各帯状体の間にスリットを有することができる。見方を変えれば、スリットは、帯状体のそれぞれの間を切断し、帯状体を単一の材料体から分離するために形成することができる。他の実施形態において、スリットは、近接した帯状体間の間隔と等しい。帯状体間の間隔は、レーザカットによって形成できるような非常に小さい量とすることもできるし、帯状体の幅と同程度あるいはそれ以上の大きさとすることもできる。スリットのサイズに依存して、膨張前のバルーン20の表面の露出割合は50%以下であり、25%、10%、5%、1%あるいはそれ以下とすることができる。
【0034】
前述したように、バルーン20の膨張は、第1リング12及び第2リング14を近接させる一方、帯状体16を放射状に離隔させる。帯状体16が膨張位置にあると、バルーン20は、血管に対して露出し、血管と影響しあう。膨張位置において、バルーン20は薬剤や幹細胞、他の治療を血管壁や血管壁の疾患部に輸送し、施すことができる。バルーン20が十分に膨張した後、帯状体で被覆されていないバルーン20の割合は、65%〜99%、75%〜99%、より一般的には80%〜99%、特に一般的には90%〜99%である。
【0035】
ケージ10を利用した薬剤輸送は、血管形成術を行う前、行っている最中、行った後に実施することができる。同時に、ケージは、バルーンの全体を覆う必要はなく、薬剤輸送を制御したりアシストしたりする必要もない。
【0036】
実施形態において、ケージ10は、血管形成施術におけるバルーン20のドッグボーンを防止したり、抑制したりするために用いることができる。このような作用効果は、薬剤輸送に加えて、あるいは薬剤輸送に代えて用いることができる。
図3は、血管形成バルーン20が、血管2内の治療箇所に存在する状態を示す図である。図に示すように、血管形成バルーン20は、膨張した際にドッグボーンを経験する。付着したプラーク4が、バルーン20の膨張を抑制し、最も膨張エネルギーが必要とされるプラーク4の、バルーン20の中心にエネルギーを集中させるよりむしろ、最初に、バルーン20の両端を膨張させるようになる。
【0037】
ドッグボーンを防止するために、
図1Aに示すようなケージ10は、強いてバルーン20の膨張を制限して、最初にバルーン20の中央部を膨張させるようにすることができる。これは、帯状体がリングによって拘束されている端部から最も離隔した、ケージ10の中央部が最も抵抗が少ないことに起因する。これによって、疾患の形態やバルーン20が膨張したことによる動脈の形態とは無関係にバルーン20のドッグボーンを防止し、抑制することができる。
【0038】
ドッグボーンは、通常、プラークが膨張を抑制している血管内で、バルーン20が膨張することによって発生し、バルーン20の両端を最初に膨張させて(抵抗の欠如に起因して)、バルーン20の形状をドッグボーンの形態とする。バルーン20をケージ10で包装し、リングを異なる膨張抵抗を示すように構成することにより、バルーン20の両端は最も抵抗が高い状態となり、バルーン20の中央部が最も抵抗が低い状態となる。したがって、ケージ10は、バルーン20が典型的な疾患領域に相当する中央部において膨張する傾向がある場合に、当該バルーン20の膨張を制御し、制限する。
【0039】
帯状体16の配向パターンは、膨張及びドッグボーンに影響を与える。
図2に戻ると、帯状体16の中央部に位置する短いスリット22は、帯状体16それぞれの剛性を減少させる。これは、ケージ10の中央部の膨張に対する抵抗を減少させるので、ドッグボーンの発生を抑制することができる。
【0040】
ケージは、さらに帯状体上にスパイクすなわち楔形切開器具を有することができる。このスパイクは、第2の施術前あるいは第1の施術中に、血管形成のための道具として使用することができる。例えば、スパイクは、血管形成施術の前あるいは最中に、プラークを切断及び/又はプラークに孔を開けることをアシストする。このことは、薬剤輸送をアシストし、及び/又はドッグボーンを防止することにもなる。ここで述べた実施形態は、ここで述べたその他の利益及び施術同様に、これらの利益をもたらすものであり、これらの施術において用いることができるものである。
【0041】
以下に説明するように、異なる方向及び態様で帯状体上にスパイクを位置させることができる。スパイクは、2012年4月12日発行のシュナイダーらによるUS8,323,243において論じられている任意のものを用いることができ、その全体が参照としてここに取り込まれる。当該文献に記載されたプラーク鋸歯状法やその他の方法にしたがって、スパイク及びケージを用いることができる。
【0042】
ケージ10は、種々の方法で作製することができる。例えば、押出し工程や、管の切断、以下に詳述するようなワイヤ分断などの方法を用いることができる。
図4Aから
図5Bには、ケージの種々の実施形態が示されている。
図4A及び
図5Aは、製造過程にあるケージ10の実施形態を示している。ケージ10は、管上において離隔した複数のスプラインを有する管状体である。実施形態において、管はプレフォームした後に機械加工し、図示のような形状となる。管は、金属やプラスチックからなる。他の実施形態において、管は押出加工した後、図示のような形状となる。例えば、管の長さ方向に離隔した複数のスプライン24を有するプラスチック管を押出し加工によって、作製することができる。ケージ10の断面は、
図4Bから
図4D及び
図5Aに示す。
【0043】
スプライン24を有する管を形成した後は、管の材料部分を除去して、スリットと帯状体を形成する。除去工程の一部、あるいはスリットの形成工程前に、スプラインを異なる形状のスパイクあるいは楔形切開器具として形成することができる。例えば、
図4Bに示すスプライン24を機械加工することにより、
図4C及び
図4Dに示すような楔形切開器具26となる。実施形態において、スプライン24は、付加的なプロセスによって製造することもできるし、付加的な機械加工などを要することなく、図示したような初期の楔形切開器具とすることもできる。
【0044】
図4Eは、ケージの一部を拡大して示す図である。この実施形態では、帯状体16は、複数のスパイクあるいは楔形切開器具26を有して形成されている。実施形態においては、
図4A及び
図4Bの未完成のケージをもとに、管にスリットを形成して互いに近接した帯状体を形成することができる。楔形切開器具26は、延在したチップ及び基材を有するテント状あるいは斧頭状に形成することができる。これらのチップ及び基材は、管の長さ方向に沿って、長さ方向に延在している。楔形切開器具26は、血管形成施術の前あるいはその最中において、プラークを切断し、及び/又はプラークに孔を開けるようにアシストする。楔形切開器具26間の間隔は、機械加工や材料の除去によって形成することができ、帯状体の柔軟性を増大させることができる。楔形切開器具26の間隔は、楔形切開器具26の長さの2倍としているが、他の間隔に設定することもできる。代表的な間隔は、当該間隔と長さが4:1〜3:1の範囲であり、より一般的には、3:1〜1:1の範囲である。
【0045】
実施形態において、スプライン24は、材料の管から形成することができる。この場合、ケージ10は、切断、研磨、電気放電加工、あるいは型押しされて、楔形切開器具26を形成するためのスプラインを有するプラスチックの押出し管である。管は、その長さ方向に沿ってスリットを形成することができる。ある場合、帯状体16は離隔して配置され、帯状体16のいくつか又は全ては、スパイクあるいは楔形切開器具26を有する。上述した議論から分かるように、
図4Aから
図5Bに示す実施形態では、5本のスリットが形成され、外周面において点を形成している。
【0046】
実施形態において、血管形成バルーン20のケージ10を作製する方法は、最初に、管の長さ方向に沿って位置する互いに離隔した複数のスプラインを有するプラスチック管を押出す工程を含む。実施形態において、その方法は、複数のスプラインの少なくとも1つのスプラインを切断して、管の周囲に位置する複数のスパイクすなわち楔形切開器具26を形成する。上記方法は、さらに管を切断して長さ方向に延在した複数の帯状体16を形成する工程を含む。各帯状体は、複数の楔形切開器具26の少なくとも1つのスパイクを有する。
【0047】
図6A及び
図6Bは、ケージ10の他の製造方法を示すものである。ワイヤ28を分断あるいは切断し、3つ以上の帯状体を形成する。これらの帯状体は、ケージ10を構成する一部として使用することができる。実施形態において、ワイヤ28は、合金あるいは高分子材料から構成する。レーザ切断や電気放電加工などを含む種々の異なる製造方法を用いることができる。ワイヤ28は、例えば4つに分断することができる。実施形態において、矩形状あるいは他の形状の孔部30をワイヤ28に形成することができ、これによって、楔形切開器具26の間にスペースを形成することができる。ワイヤ28の4つに分断された部分は、ケージ10の帯状体10を形成する。ケージ10は、複数のリングで組み立てることができ、任意の数の帯状体16を含むことができる。ある場合において、ケージ10は、1〜8個以上の帯状体16から組み立てることができる。
個々の帯状体を結合するためのシステム及び方法
【0048】
帯状体16は、数多くの方法で固定してケージ10を構成することができる。ワイヤから帯状体を形成する場合に対して、当該帯状体は、押出し加工によって形成することもできるし、平坦な材料体あるいは管から形成することもできる。例えば、
図2及び
図4A−
図5Bに関連して説明した実施形態を変更して個々の帯状体を提供し、これらを結合してケージを形成することもできる。
【0049】
実施形態において、帯状体は、2以上のリング12,14で結合してケージ10を形成することができる。例えば、ケージ10を構成する個々の帯状体を、その端部においてリングと結合する。
図7に示すように、個々の帯状体16は、その端部においてリング12,14で固定される。ケージ10を構成するに際して、帯状体16をバルーンの周囲に配置する前に、最初に、リング12,14と結合させることもできるし、ケージ10をバルーンの周囲に組み立てることもできる。例えば、1以上の帯状体をリングと結合させる以前に、当該帯状体をバルーンの表面に配設することができる。ケージ10は、バルーン20の一端あるいは両端に永久的に固定することもできるし、バルーンカテーテルに永久的に固定することもできる。実施形態において、リング12,14は、バルーンの一部あるいはバルーンカテーテルの一部に対して帯状体を固定しておくことができる。帯状体16は、バルーン20を配置する以前において、当該バルーンを圧縮状態に保つことができ、膨張後にバルーンを収縮した状態にしておくことができる。
【0050】
リング12,14は、代表的には円形のバンドであるが、卵型、四角形、楕円形、矩形などの任意の形態でもよい。リングは、結合力及び/又は拘束力を生成することができる。リング12,14は、1以上の金属、高分子、共重合体、弾性体、熱可塑性弾性体、接着剤、ハイドロゲルなどを含む任意の数の異なる材料から構成することができる。リングは、剛性を有するものでも、柔軟性を有するものでもよい。
【0051】
ある場合において、リング12,14は、熱収縮材料、あるいは複数の帯状体を結合、捕捉、拘束する弾性を有する材料から構成する。これによって、帯状体16が、その長さ方向に沿った任意の箇所、特にバルーン20の端部で移動したり、ずれたり、傾いたり、捻じれたりするのを防止でき、抑制することができる。リングが弾性、超弾性、あるいは熱的に活性な場合、リングは帯状体の周囲に配設し、帯状体上で収縮させて、バルーン20の外径に対して当該帯状体を拘束させることができる。好ましくは、リング及び帯状体は、バルーンが十分に膨張した状態において、当該バルーンの周囲に位置させ、熱収縮型のリングに熱を加えるようにする。他の実施形態では、熱収縮型のリングをバルーンが収縮した状態において適用する。
【0052】
図1A及び
図1Bで述べたように、ケージは、バルーン上に作用させてスライドさせる。しかしながら、他の実施形態では、バルーンの周囲でケージを組み立てて、ケージデザインを狭小化させることができる。バルーン20の改造において、リングをバルーンカテーテルの一方の側からバルーンカテーテル上に挿入すると、バルーン上にリングを配設した場合に比較し、リングの内径を小さくすることができる。
【0053】
ケージ10のリング12,14は、バルーン20が収縮状態から膨張状態に移行する際にバルーン20を収容するように構成することができる。
図1Bに示すバルーン20を有するケージの形態と同様に、ケージ10の帯状体16は、バルーン20が収縮状態にあるときは、バルーン20と接触している。バルーン20が膨張した際には、各帯状体は、凹状に曲がる(
図1A)。実施形態において、帯状体16は、バルーンの表面と非接触状態であって、結合していない。
【0054】
バルーン20が収縮し始めると、帯状体16の材料特性によって、当該バルーン20が元の位置に戻るようになる。元の位置は、完全に平坦な状態であってもよい。帯状体16が、元の状態に戻ることによって、バルーン20の収縮をさらにアシストするようになる。帯状体が、凹状の状態から平坦な状態に移動すると、帯状体の長さは、膨張時の長さ(“L
e”)から収縮時の長さ(“L
d”)に移行する。このとき、長さL
dは長さL
eよりも長い。帯状体16を長さL
eから長さL
dとなるように、軸方向にまっすぐに伸ばすことによって、バルーン20を延在させ、バルーン20をより完全に収縮させることができる。
【0055】
リング12,14は、種々の形状及び大きさを有し、複数の帯状体を固定することができる。図示した実施形態に関連して以下で述べる内容は、いくつかの例に過ぎない。
【0056】
リング12,14は、数多くの異なる方法で帯状体16に結合している。リングは、例えば、摩擦力によって帯状体16と機械的に接合させることもできるし、超音波溶接、接着剤などによって結合させることもできる。
図8において、リング12,14は、2つの部分からなり、当該リングを反対方向(例えば、時計回り及び反時計回り)に回転させることによって、ケージ10の複数の帯状体16に結合する。リング12,14は、孔部32を有し、当該孔部を通じて帯状体16を挿入し、リングと結合する。特に、非対称の孔部32は、
図6Bに示したような、周期的に離隔した楔形切開器具26を有する帯状体を収容するように構成することができる。
【0057】
図示したように、孔部32は、狭小部33及び拡張部34を有することができる。拡張部34は、楔形切開器具26を収容できるように構成できる一方、狭小部33は、帯状体16の幅方向(すなわち、楔形切開器具26の間の部分)を収容できるように構成できる。帯状体16は、楔形切開器具26を拡張部34に嵌合させることによって、孔部32に挿入することができる。帯状体16は、当該帯状体16が狭小部33に移動するようにリング12,14を回転させることによって、固定することができる。これによって、楔形切開器具26が狭小部33を通過して移動することができなくなるので、リング12,14によって帯状体16が固定されるようになる。上述のように、リング12,14は、ケージ10の一方の端に存在するようにすることができる。また、
図8に示すように、リング12の孔部32及びリング14の孔部32は対向しているので、これら2つのリングを反対方向に回転させることによって、帯状体16の移動を防止する。
【0058】
帯状体16は、種々の形状に形成したリング12,14によって固定することができる。例えば、
図9Aは、帯状体16が、その遠位置で円錐状のリング12によって固定されているケージ10の実施形態である。円錐体の端部は、バルーンカテーテルの遠位置に相当するので、非外傷性の装置端部を提供できる。
【0059】
同様に、
図9Bは、外表面においてスクリュー状に特徴部分を有するテーパーの外径を有するリング12を示す。このスクリューの特徴部分は、末端のリングの外表面に対して、悪い印象を与える場合もあるし、良い印象を与える場合もある。
【0060】
図9Bに示すリング12は、治療の役割を果たすこともできる。テーパー状かつスクリュー状のリングは、バルーン20を狭い病害部に案内し、挿入するのを支援することができる。コイル状の外表面101は、把持機構あるいは穴掘り機構を提供するように構成できる。この特徴は、リングによって操作者が閉塞した病害部(全体的あるいは部分的)にバルーンを案内することを支援し、バルーン20が通行できるようにすることができる。表面101のスクリュー状の特徴部分はその外周面の周囲に形成することもできるし、コークスクリューのようにパターン化することもできる。実施形態において、外表面101のスクリュー状の部分は、マクロ的な大きさのものとすることもできるし、狭小な血管内を進行できるように強調された表面を提供できるようなミクロ的な大きさのものとすることもできる。外表面101の特徴部分は、本来的に機械的なものであるが、潤滑剤のように作用することもできる。潤滑剤としての機能は、親水性、疎水性のコーティングを行うことによってさらに向上する。表面の構造は、より少ないエネルギーで進行できるようなものに変更することができる。実施形態において、このような表面構造は、(ヤマアラシの針などにみられるような)ミクロなスケールを付加したり、(蚊が認知するような)表面粗さを付加したりすることによって実施できる。
【0061】
図9Bに示すリング12は、バルーン表面にらせん状に配設された帯状体16に固定することができる。
図9Aに示す直線状の帯状体16と比較して、テーパー状のリング12と接合した帯状体16は、バルーンの周囲に巻回させることができる。バルーンの近位置では、テーパー状あるいは非テーパー状のリング14を使用できる。接合した帯状体16の形態は、リング12の外表面101の特徴部分と同じパターンとなる。
【0062】
図10及び
図11では、多層リングが論じられている。多層リングは、層間で帯状体を保持するために用いることができる。リングは、少なくとも基層122と上部層121とを有する。
図10及び
図11に見られるように、リング12,14は、非圧縮性の基層122と、熱的あるいは静電的な圧縮性の上部層121を有する。上部層121は、圧縮性の材料から構成することができ、基層122は、非圧縮性の材料から構成することができる。帯状体16は、基層122及び上部層121の間に捕捉される。上部層又は上部層及び基層は、熱収縮材料から作製することができる。実施形態において、リング12,14は、自らがリングを形成するような長さを有する材料から形成する。
【0063】
リングは、基層122が、上部層121より圧縮性あるいは弾性が小さいような複合材の層から形成することができる。上部層121にエネルギーが加わると、上部層が基層との間で帯状体を圧縮して捕捉するまで、その径を収縮させる。例えば、上部層121は、熱収縮材料とすることができる。このようにして、上部層121、基層122及び帯状体16は
図10及び
図11に見られるようなケージ10を形成することができる。実施形態において、帯状体は、バルーン及び/又はバルーンカテーテルとリングによって接合することができる。当該リングは、上部層と同様に、帯状体上に位置する熱収縮材料からなる単一の層から形成することができる。
【0064】
帯状体及びリングは、互いの接合を容易にするためにギザ部を含むことができる。帯状体16は、その一方の面においてギザ部171を含み(
図10参照)、あるいは溝部を形成するギザ部171を含む(
図11参照)ことができる。
図11では、上部層121は、熱収縮材料として示しているが、剛性のリングをギザ部171に嵌合させることもできる。そのような剛性のリングは、単一のあるいは多層のリングの一部とすることができ、基層122は存在してもしていなくてもよい。
【0065】
図12は、リング12,14の他の実施形態を示す図である。ここでは、リング12,14は、複数のギザ部すなわち溝部17を有している。溝部17は、帯状体16を、その遠位置において幅方向に収容できるような大きさの幅を有している。帯状体の端部は、接着剤、機械的結合、リング周囲の熱収縮材料による包装などによって、溝部17内において、リング12,14と接合することができる。実施形態において、
図11の帯状体16が
図12のリング12,14内に配設されて、ギザ部が互いに係合する。
【0066】
図13A−
図13Cは、帯状体16の、リング12,14への保持状態を改良する固定部181を含む帯状体16の例である。固定部181は、大きな表面粗さを有する帯状体16の一部を構成する。固定部181は、リッジ形状すなわち鋸歯状の要素であり、帯状体16を、リング内にはめ込む、すなわちリング上で帯状体を保持する。
【0067】
リング12,14が、高分子材料からなる場合、固定部181は、帯状体16の端部の狭小領域に形成することができ(
図13A及び
図13B参照)、また、帯状体の長さ方向に沿って配設することができる(3以上のリングが用いられるような場合)。固定部181は、
図13Aに示すように、高分子材料に対して、当該高分子材料のガラス転移温度近傍あるいはそれ以上の温度で押し込まれる。これによって、固定部181は、
図13Cに示すように、帯状体16をリング12,14と係合すなわち接合するようにして用いることができる。
【0068】
図13Aにおいて、リング12,14は、固定部181をその本体内に取り込むようにして示されている。
図13Aは、リジッド型の固定部181を有する帯状体16を示している。
図13Bは、固定部181の他の実施形態を示している。固定部181は、リング12,14の幅よりも長く形成されており、ケージ10上に張力を提供するようにデザインされている。
【0069】
リング12,14をゴムや高分子などの弾性材料、金属合金、ばねのような弾性を有するデザインから構成した際は、リング12,14は、ケージ10に対して張力を供給できるように使用することができ、これによって、ケージ10をリラックス状態、すなわちバルーンの収縮状態に戻すようにすることができる。また、帯状体16の楔形切開器具26を有しない部分を最も薄くかつ柔軟にする。これによって、帯状体16の、力が最も作用するバルーン20の端部において柔軟性に富むようにすることができる。
【0070】
図13Dから
図13Fは、リングを構成する弾性材料が、バルーンの膨張の間にケージに張力を供給し、当該張力が解放された際にバルーンの収縮を促進する例を示す図である。
図13Dでは、ケージ10は、バルーン20に近接して配設されている。ケージ10は、リング12,14によって、バルーンに固定された複数の帯状体16から構成されている。リング12,14は、楔形切開器具26が、バルーン20の表面に垂直になるように、帯状体16を直線状に引き下げることができるような弾性材料から形成することができる。“A”は、リング14の近位端を概略的に示す透視図である。図に示すように、リング14は、接着剤23によって、外部カテーテル軸22に固定されている。また、内部ガイドワイヤ軸21が、バルーン20に対して同軸に設けられている。ガイドワイヤ軸21は、カテーテル軸22に対して固定されている。例えば、ガイドワイヤ軸21及びカテーテル軸22の両方をバルーンカテーテルの近位端で図示された2つに分かれたルアーのように、ハブ上の異なるポートに接合することができる。バルーンは、カテーテル軸内部に流体を注入することによって膨張することができる。実施形態において、カテーテル軸22は、図示したようなリング14内で開口するよりもバルーン20の内部で直接開口している。リングは、カテーテル軸22及び/又はバルーン20と接合することができる。
【0071】
図13E及び
図13Fは、バルーン20が膨張し、続いて収縮するときの、バルーン20及びケージ10を示す図である。上述のように、バルーン20が膨張する際は、リング12,14を構成する弾性材料が伸長してケージ10が膨張する。
図13E及び
図13Fに示す実施形態においては、リングは、弾性の高分子材料から構成され、帯状体16は、金属あるいは非弾性の高分子材料から構成することができる。
図13Eに示すように、バルーン20が膨張すると、ケージ10の帯状体16は離隔するように移動し始める。バルーン20が膨張する際、各帯状体16を外方に押出すために、バルーン20上、すなわち伸長によってケージ10上において、放射状かつ外方に向いた(矢印で示すように)力が作用するようになる。バルーン20が膨張する際、リング12,14は張力下にあり、帯状体16は、バルーン20とともに膨張しながら、配列状態を保持できるように伸長する。
【0072】
張力は、バルーン20が収縮するのを助長する。
図13Fに示すように、バルーンが収縮する間、帯状体16に作用する張力は放射状かつ内向きに作用する力を生ぜしめ、帯状体16及びリング12,14が非緊縛の状態に戻るようになる。この力は、帯状体16を引張って平坦にし、カテーテルを引き込むための狭小なプロファイルを提供する。
【0073】
図14Aから
図14Dは、種々の形態のリングとともに帯状体16の実施形態を示す図である。
図14A及び
図14Bに示すように、リングは、バルーン20の首部上の縁部から形成することができ、カテーテルの一部は、当該カテーテルをバルーン20に結合させるために用いることができる。カテーテルは、バルーン20内で膨張した気体あるいは液体の通り道を提供することができる。オーバーモールドや熱収縮などの付加的な要素を、接着剤や高分子材料と同様、結合箇所に適用することができる。これによって、ケージ10を構成する帯状体16の長さ方向に沿って、バルーン20から圧力が漏れるのを防止することができる。
【0074】
図14Aから
図14Dに示すように、帯状体の端部のフック161によって、帯状体は、バルーンの表面に沿って簡単に配列させることができ、帯状体をバルーン20の軸の長さ方向に配向させることができる。フック161は、帯状体16の各端部と一体化することができる。フック161は、バルーン20の首部の外径部(“OD”)から開口部及び首部内部に向けて、当該首部の縁部の周囲を覆うように形成することができる。フック161の端部は、バルーン20の首部の、内径部(“ID”)内に位置する。
【0075】
帯状体16の両端がフック161を有することもできるし、一端がフックを有することもできる。端部は、同様な方法あるいは異なる方法で、バルーンカテーテルと接合することができる。例えば、熱収縮材料を、帯状体及びバルーンの端部を覆うように設けることができる。実施形態において、熱収縮材料は、帯状体及びバルーンの一端の周囲を覆うように設けることもできるし、
図8から
図12に関して説明したように、剛性のリングを、熱収縮層を有していてもよい帯状体及びバルーンの他端に用いることもできる。
【0076】
帯状体は、バルーンの他の部分において、当該バルーンと接合してもよいし、接合しなくてもよい。図に示すように、帯状体16は、バルーンの形状と合致するヒンジあるいは予め曲げられた領域を有することができる。したがって、膨張状態の帯状体は、バルーンの軸と平行な楔形切開器具26を有する主部を備えることができる。この場合、主部からフック161に向けて傾斜部が延在する。傾斜部は、バルーンが膨張した際に所定の角度を有するが、バルーンが収縮した際には、平坦となる。実施形態において、傾斜部間に位置するヒンジは、帯状体を構成する材料の厚さの小さい部分で構成されることになる。
【0077】
図14Aに示すように、帯状体は、フック161によって、分離したリングを用いることなしにバルーンと接合することができる。バルーンは、所定の位置でフックに固定されたカテーテル(例えば1以上の腔を有する延在した管)に接着させることができる。
図14Aでは、簡単のために1つの帯状体を示しているが、2〜5以上の帯状体を用いることができる。
【0078】
図14Cは、バルーン20に接合しているフック161の詳細を示す図である。図から分かるように、バルーンはリングの基層122として機能し、上部層121が示されている。接着剤123は、上部層121をバルーンに固定するようにして示されている。実施形態において、上部層121は、カテーテルの管とすることができる。
【0079】
図14Dは、2つの層121、122からなるリングを示している。2層リングは、熱収縮材料からなる2つの層を含むことができる。
図10及び
図11で述べたように、
図14Dに示すリングは、多層リングであって、基層122は上部層121より圧縮性あるいは柔軟性が低く、さらにエネルギーが上部層に負荷されると、上部層が圧縮されて、帯状体を基層122と上部層121との間に捕捉して、ケージ10を作製するまで、その直径を収縮させる。
【0080】
図14Eは、バルーン20の表面上で帯状体16を固定しているリング12,14の他の実施形態を示す。“A”は、楔形切開器具26が、リング12,14の表面から突出するように、リング12,14をバルーン20に固定した部分を示すものである。下方の帯状体16を示すために、リング12,14の中央部を切り欠いたものである。楔形切開器具26は、種々の方法でリング12,14から突出させることができる。例えば、リング12,14が帯状体16に固定されているときに、リング12,14を構成している材料を切り欠くことによって、突出させることができる。この場合、孔部27を形成する。リング12,14は、予め切り欠いた複数の孔部27を有することができ、これによって、楔形切開器具は、延在することができる。リング12,14は、バルーン20の傾斜と合致するようにして形成することができる。例えば、リングを構成する材料に切れ目29を形成して、熱収縮材料からなるリングがバルーンの形状に沿って収縮するようにすることができる。
【0081】
リング12,14は、バルーン20のテーパー状の部分に合致するように形成することができる。例えば、リングの切り目29は、熱収縮材料からなるリングが、バルーンの形状に沿って収縮できるようにする。
【0082】
上述のように、各帯状体16は、1以上のリングの間に延在するようにできるが、必要に応じて他のリングを用いることができる。例えば、特に長形のバルーンの場合には、3〜10以上のリングを用いることができる。一例として、300mmの長さを有する血管形成バルーン20を、各端部に2つのリング12,14を有するケージ10に嵌合させることもできる。リング12,14に加えて、ケージ10は、リング13あるいはその他の同様な制御要素を有することができ、これによって、バルーン20が動脈壁に向かって膨張した際に、帯状体16の配列と配向とを保持することができる。
【0083】
図15Aに示すように、リング13は、バルーン20の全体の長さの一部とすることができる。リング13のデザインは、バルーン20の長さの1.5倍以下とする。リング13は、バルーン20の長さの1.0〜0.5倍である。より一般的には、リング13の長さは、バルーン20の直径の2.5〜1.5倍であり、代表的には1.5〜0.5倍である。各リング12,13,14は、これらリングの1以上の利点及び機能を奏するために異なる材料から構成することができる。
【0084】
リング13は、バルーン20本体の外表面上に配設することができる。リング13は、帯状体16の位置及び配向を保持できるように、帯状体16の本体を保持するようにデザインすることができる。図から明らかなように、帯状体16は、バルーンの肩部に沿って延在してはいない。したがって、帯状体は、バルーンの軸と平行に延在することができる。
図15Aは、簡単のために1つの帯状体16のみを示しているが、2〜5以上の帯状体を用いることもできる。
【0085】
リング13は、膨張したバルーン20の全体に亘って位置することができ、バルーン20の一端に配設されたリング12,14と異なる特性を有していてもよい。
図15Aに示すように、バルーン20の表面全体に亘って位置するリング13は、バルーン20の端部に位置するリングよりも弾性を高くすることができる。これによって、リングは、膨張したバルーン20及び収縮したバルーン20を収容することができる。バルーン20の外径上で使用されているリングは、各分離した帯状体の2つの端部において配設されている。帯状体16は、接着剤、溶接、摩擦力、その他の方法で、上述したリングと接合されていてもよい。
【0086】
帯状体の列及び/又は帯状体のセグメントを、バルーン20の周囲に配設することができる。帯状体の列は、バルーン20の長さ方向の全体に亘って延在させてもよいし、させなくてもよい。帯状体の列は、ギャップによって分離された直列配置の複数の帯状体を含んでもよい。バルーン上に直列配置の帯状体を配設することにより、より柔軟性を付与することができ、曲がりくねったアナトミーを通る輸送性を改善することができる。
【0087】
前述のように、リング12,13,14は、バルーン20の表面上で帯状体を保持するために用いることができる。リングは、本願明細書で述べたような、数多くの異なる方法で、帯状体と接合することができる。実施形態において、楔形切開器具を有しない帯状体の端部をリングと接合することができるし、楔形切開器具を有する帯状体の端部をリングと接合することもできる。
【0088】
図15Bは、バルーンカテーテルの他の実施形態を示すものである。4つの列が等間隔に配設されている帯状体を有するケージ10を備えるバルーン20が開示されている。各列は、2つの直列配列された帯状体を有する。リング13は近接した帯状体16と接合して、バルーン20の表面にまたがって、帯状体16を適切に固定し、配向させている。リング12,14は、帯状体の端部を押さえつけている。
【0089】
“A”は、ケージ10を伴うバルーン20の遠位置を拡大して示す図である。“A”のハッチングは、装置の異なる箇所を視覚化して描写するためのものである。図に示すように、バルーン20の端部は、複数の帯状体16をバルーン20の表面に固定するためのリング12を有する。バルーン20は、カテーテル19の近傍に配設している。リング12は、熱収縮材料から構成することができる。楔形切開器具は、リングを貫通して延在している。帯状体の配設は、さらに
図15Cで明確になっている。
図15Cでは、一対の帯状体16が、どのようにして直列配置されているかが示されており、帯状体16がバルーン20の全体にまたがっていることを示している。
【0090】
柔軟性を改善するために、ケージ10は、
図15B及び
図15Cに示すよりも多くの帯状体16からなる列を有することもできる。
図15Dから
図15Eは、5つの帯状体が、バルーン20の表面で直列配置されている例を示すものである。前述したように、帯状体16は、複数のリング13でバルーン20の表面に固定することができる。“A”は、直列配置された2つの帯状体間のギャップを示すために、リング13を切り欠いたものである。
図14Eに関連して説明したように、楔形切開器具は、種々の方法でリング13を貫通して突出することができる。例えば、楔形切開器具の形状を、当該楔形切開器具が、リング13の材料を貫通するようにできる。また、リング13が複数の孔部を有し、楔形切開器具が当該孔部を貫通するようにできる。
【0091】
列状に配設された複数の帯状体を有することに加えて、列を構成する帯状体間のギャップを調整して柔軟性を調整することができる。シータ方向の直線的配列(角度ずれ)及び帯状体16の間のスペース配列(ギャップ)の設定を容易にするためには、製造工程及び道具の選定において、相対的に大きな許容誤差が必要とされる。ギャップの許容誤差は±5mmであり、角度ずれは±25°である。また、ギャップの許容誤差は±3mmであり、角度ずれは±10°である。また、ギャップの許容誤差は±2mmであり、角度ずれは±5°である。より大きな曲部を有するケージデザインの場合は、所定の間隔で離隔した、直線的に連続な周期配列の帯状体とすることができる。これによって、バルーンが曲げ性を制御して少ない応力で解剖学的空間を提供することができ、全体のシステムにおける効果的なプッシャビリティを可能とすることができる。
【0092】
ここで示されている帯状体16は、平坦な底面を有する。これによって、帯状体16をバルーンの表面上に設置して、楔形切開器具の向きを維持しやすくなる。また、バルーン20の表面上で帯状体16が回転移動するのを防止できる。
【0093】
このような帯状体及びリングの形態は、3つの特徴ある作用効果を奏する。1番目として、バルーン表面に対する楔形切開器具の垂直性、2番目として、バルーン上での帯状体の平坦性及び目立たないような高さ、そしてそれらに起因して、楔形切開器具を移動させた際の損傷した組織への接触防止、3番目として、バルーンの収縮をアシストする、あるいはバルーンの収縮に対する負荷を小さくすることである。これらの特徴を実行するために、帯状体は、典型的には平坦な底面を有し、その一端において、リングでバルーンに結合している。また、帯状体は折りたたまれて、楔形切開器具が組織と接触するのを制限し、リングが楔形切開器具を覆うように形成されている際に、楔形切開器具は、リングを突き破る。楔形切開器具の大多数は、血管壁を貫通するような高さを有している。リングは、帯状体の端と端とを引張ることによって、あるいは放射状に圧力を負荷することによって、バルーンを収縮させる力を生成するようにデザインすることができるが、リングは、帯状体の動きを制限することによって、帯状体を支持するようにデザインすることができ、楔形切開器具の配向性を促進し、帯状体がバルーンから離隔するのを防止することができる。これらの機能的な特性に寄与するデザイン的な特徴は、楔形切開器具の配向性を安定化させることができる平坦な底面を有し、バルーンに接して存在するように十分に薄い、すなわち折りたたまれたバルーン中に含まれるような十分に薄い帯状体を有することである。楔形切開器具間にスペースを設けることは、リングを当該スペースに配設することができる。帯状体の楔形切開器具を有しない部分は最も薄くなっている。当該箇所は、リングを帯状体に結合させるために大きくすることができる。帯状体は、バルーンの端部で最も柔軟にすることができる。この部分は、カテーテルが移動する際に、最も力が大きくなる箇所である。その他の利益及び利点についても提供することができる。
【0094】
リング12,13,14は、種々の方法で帯状体と接合することができる。
図16Aから
図16Cは、帯状体16に固定されたリング12,13,14の例である。
図16Aは、バルーンの周囲を材料で包装し、当該包装材料で1以上のリングを固定するものである。
図16Bでは、リング12,13,14が各帯状体の一部を包装するものである。これによって、
図10に示された方法と同じ方法で帯状体を固定することができる。
図10では、各リングが、上部層及び基層を有し、これで帯状体16の一部を包装するものである。
図16Cでは、剛性のリング12,13,14がバルーンの一部に接合されている。帯状体の一部をリングに固定することもできる。
【0095】
リング12,13,14の一部あるいは全体を熱収縮材料から構成することができる。熱収縮材料は、エネルギー照射による架橋結合する押出し管として形成することができる。この管は伸長し、あるいは所望の厚さに形成される。管は伸長されて、柔軟かつミクロ的に薄い管壁とすることができるし、厚い管壁を有する剛性の高い管とすることもできるし、それらの中間のものとすることもできる。架橋結合によって直径が決定され、その収縮率は、2:1〜10:1である。熱収縮は、典型的には半径方向において生じるが、長さ方向において生じてもよい。
【0096】
熱収縮材料は、ポリオレフィン、(フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化ポリビニリデン(PVDF)(例えばKYNAR)を含む)フッ素ポリマー、ポリ塩化ビニル(PVC)、ネオプレン、シリコーン、エラストマー、合成ゴム、フッ素ポリマーエラストマー(例えば、VITON)から製造することができる。バルーンとともに膨張するような柔軟な材料が望ましい場合は、ポリオレフィン、熱収縮材料は、シリコーン、エラストマー、VITON(合成ゴム及びフッ素ポリマーエラストマー)の1以上を含むことができる。
【0097】
管状の熱収縮材料は、帯状体16上をスライドさせることができる。このような管材の収縮率は、3:1以上(例えば、3.5:1、4:1、4.5:1、5:1、6:1など)に設定する。これによって、バルーンの変形やその他の特性変化を防止した状態で、ゆっくりと熱収縮を行うことができる。このような材料は、バルーンの直径の範囲内(例えば約0.5mm程度の半順応性バルーンに代表されるような)で、当該バルーンの形状に沿うような十分な柔軟性を有する。熱収縮材料は、接着剤やその他のコーティングを有していてもよく、これによって、熱収縮材料とバルーンとの結合を行ってもよい。熱収縮材料は、薄膜とすることができる。また、熱収縮材料は、管材とする代わりに、シート状あるいは多層シート状としてもよい。
【0098】
ケージを有するバルーンカテーテルの使用方法は、膨張したバルーンの周囲に帯状体を配設する工程を含む。帯状体は、楔形切開器具を有してもよい。帯状体は、バルーンの周囲に等間隔で配設することができる。帯状体は最初に長さ方向に延在することができ、例えば、2〜6列の列状に連続的に配設することができる。各列は、2〜6の帯状体を有する。帯状体は、バルーンに対して接着剤で永久的に接合することもできるし、一時的に接合することもできる。熱収縮材料は、リングとして、帯状体の端部周囲に配設することができる。熱収縮材料からなるリングは、バルーンの周囲に配設された多層の帯状体の端部に結合することもできるし、覆うようにすることもできる。熱収縮材料からなるリングは、連続的に列をなすように配設された、隣接する帯状体の端部に結合することもできるし、覆うようにすることもできる。熱が負荷されると、熱収縮材料は収縮する。バルーンは収縮させて、使用前の準備として殺菌することができる。
【0099】
図17は、ケージ10の詳細を示す図である。実施形態において、帯状体16は、ばねゾーンからなるセクション34を有する。帯状体のばね領域は、複数の利益をもたらす。例えば、ばね領域34は、ケージ10の柔軟性を増大させることができる。ケージ10の柔軟性が増大することにより、ケージ10はより簡単に曲がりくねった血管内を通過することができる。ばね領域34は、楔形切開器具の基材として機能し、楔形切開器具が所望の方向を向いたまま保持できるようになる。
【0100】
実施形態において、ばね領域34は、バルーン20の表面と相互干渉することができ、楔形切開器具26が、外方に向かって突出するように帯状体を位置させることを助長することができる。また、楔形切開器具が、望ましくない程度に曲がったり、位置を変化させたりしないようにすることもできる。実施形態において、ばね領域34は、バルーンの膨張後において再び折りたたむことをアシストする利益を提供することができる。ばねは、バルーン20に対して機械的な張力を負荷することができ、バルーン20を圧縮した状態とすることができ、圧縮サイクルにおいてバルーン20を圧縮するリングの補助をすることができる。
【0101】
ばね領域34は、波状の形態をしており、直線領域36と結合している。楔形切開器具は、直線領域に位置することができる。他の実施形態において、ばね領域は、正弦波の形態とすることもできる。
図18に示されているように、ばね領域は、遠位置に比較して近位置で大きな振幅を有している。周期が、遠位置の直線領域に向かい、ばね領域に沿って増大する一方、振幅を減少させることができる。実施形態において、ばね領域の一端は、ばね領域の他端よりも振幅を大きくすることができる。実施形態において、ばね領域は、対称とすることができる。
【0102】
図18は、ばね領域34及び直線領域36を利用したケージ10の種々の実施形態を示す。任意の数の異なるパターンを用いることができる。
図19は、直線領域36上における楔形切開器具の詳細を示す図である。
【0103】
ここで開示したシステム及び方法においては、動脈や静脈などの血管内腔を含む、体腔内にケージや楔形切開器具を配置することができる。動脈は、例えば、冠状動脈、末梢血管、頸動脈、脳動脈などを含む。また、例えば、腸骨、大腿骨、表在性腸骨、その他の末梢脈管構造などを含む。本システムは、呼吸器系、消化器系、尿管系、生殖器系、リンパ系、聴覚系、視覚系、内分泌系などの腔内あるいは輸送管内で用いることができる。1以上のシステムにおいて鋸歯を形成するための装置は、僅かに異なった形態を取ることができる。使用位置と関係なく、本システムを用いることができるし、本システムは、スパイク(ここでは、楔形切開器具、スプライン上の鋸歯要素、膨張機構を含む)を含むことができ、カテーテル状の装置に取り付けて(バルーンのように)スパイクの特徴部の直径を増減できる。
【0104】
図20は、帯状体300上の楔形切開器具200を拡大して詳細に示す図である。楔形切開器具200は、帯状に対向する基面202(ここでは境界面と呼ぶ)を有する。楔形切開器具200の基面202は、楔形切開器具200が外方に突出しており、楔形切開器具とバルーンとの間の界面で、帯状体の表面と直接的に連続した基面として定義できる。帯状体は、スプライン300あるいはその他の帯状体構造とすることができる。実施形態において、基面202は、鋭角な端部を保持できるような固い材料からなり、その幅は相対的に狭小である。実施形態において、好ましい材料は、ロックウェルCスケール硬さが52から64のマルテンサイトステンレスであるが、ポリオレフィン、(フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化ポリビニリデン(PVDF)(例えばKYNAR)を含む)フッ素ポリマー、ポリ塩化ビニル(PVC)、ネオプレン、シリコーン、エラストマー、合成ゴム、フッ素ポリマーエラストマー(例えば、VITON)あるいはこれらの組み合わせなどの、高分子あるいは共重合体から製造することができる。なお、高分子あるいは共重合体は、上記材料に限定されるものではない。帯状体の幅は、0.008インチ以下、0.010インチ以下、0.012インチ以下とすることができる。ある場合において、その幅は、0.006から0.020インチの間、あるいは0.004から0.030インチの間とすることができる。帯状体300は、バルーンの長さ方向に沿って位置するが、バルーンの長軸から立ち上がって90°になるように位置することもでき、さらには、異なるピッチでらせん状に位置することもできる。実施形態において、帯状体300の高さは、0.004から0.010インチの間とすることができ、0.004から0.010インチ、さらには0.002から0.020インチの間とすることができる。
【0105】
図20おいて、楔形切開器具200は、放射状に外方に向いた面204(ここでは、非境界面と呼ぶ)を有することができる。この面は、第1端部206(例えば近位置)から第2端部208(例えば遠位置)に亘る楔形切開器具200の上部面を画定し、身体の組織、プラーク、あるいはその他の構造部に接触するように構成することができる。さらに、前面210、後面212、対向する側面214,216が示されている。実施形態において、側面214,216は、帯状体の長軸に垂直上方に延在し、面204は、側面214及び216間において、直線、曲線又は他で説明するように、側面あるいは側面軸に対して所定の角度を有するような形態で延在している。帯状体すなわちスプライン300は非境界面302を有する。非境界面302は、楔形切開器具200の側面(例えば304)及び底面303と同様に、帯状の対向面すなわち境界面202と同じ幅を有することができる。
【0106】
図21は、楔形切開器具の限定されない実施形態の概略構成図である。実施形態において、放射状に外方に向いた面(例えば第1端部206及び第2端部208間の、放射状に外方に向いた面204)の長さL
Uは、帯状の対向面(
図20における帯状の対向面202)の全体長さL
Bから約30%、約20%、約10%短い。実施形態において、長さL
Uは、長さL
Bの約50%から約20%とすることができ、ある場合には、長さL
Bと同程度とすることができる。放射状に外方に向いた面の幅W
Uは、帯状の対向面の幅W
Bと等しいか、それよりも小さい。典型的には、幅W
Bの10%、20%、30%、40%、50%以下、あるいは20%から50%の間とすることができる。また、ある場合には、幅W
Bの50%、60%、70%、75%、80%まで増大させることもできる。したがって、面202の両端において、面202の幅W
Bから面204の幅W
Uに向かう勾配を画定する90°以下の角度θが形成される。実施形態において、面204の幅W
Uは両端において一定とすることができるし、面204の長さL
Uに沿って、例えば第1側面から第1側面と第2側面との間の点あるいは部分に向かって減少する、または近位置及び遠位置間の点あるいは部分から遠位置に向かって増大するように変化させることもできる。実施形態において、近位置及び遠位置間の相対的に中央に位置する部分は一定の幅を有し、中央部分を囲む横方向に位置する部分は、テーパー状の幅を有するようにすることができる。
【0107】
面204の幅W
Uは尖って狭小化しているが、面202の幅W
Bから面204の幅W
Uに対する勾配は、
図22A(二等辺三角形に似た端面)及び
図22B(等角図)に示すように、一定の角度θで傾斜しているが、二重、三重あるいはそれ以上の異なる複数の角度(例えば、第1部分の第1の角度、第2部分の第1角度よりも小さいあるいは大きい第2角度、ある場合には、第3部分の第1角度よりも小さいあるいは大きく、第2角度よりも小さいあるいは大きい第3角度)で傾斜してもよい。
図22Cは楔形切開器具の端面図であり、
図22Dは楔形切開器具の等角図である。楔形切開器具は、基面202から面204に向けて複数の異なる勾配を有している。ここでは、基面と当該基面と交差する勾配面との角度θ1よりも、その上方の水平面と勾配面との角度θ2が大きくなっている(換言すれば、基面からの第1勾配S1が、その上方の第2勾配よりも急ではない)。
図22E及び
図22Fは、角度θ2が角度θ1よりも小さい(換言すれば、基面からの第1勾配S1が、その上方の第2勾配よりも急である)ことを除いて、
図22C及び
図22Dと同様の図である。
【0108】
また、異なる高さで段部を有することもできる。この場合、幅は高さとともに狭小化する。複数の段部を有する場合、ステンレスのリールを尖らせる方法では作製方法が制限される。
【0109】
放射状に外方に向いた面(例えば、
図20における面204)の高さは、側面206から側面208までの長さあるいは幅と同じにすることができる。実施形態において、面204の高さは、第1端部206から第2端部208に向けて変化するようにすることができる。面204が変化するとき、当該面は、楔形切開器具、スパイクあるいは鋸歯状のように立設した特徴部となる。第1端部206及び第2端部208間の面204の長さ方向に沿う立設した特徴部の中間点は、面204の最も高い点となるが、最も高い点は、中間点からずれてもよいし、複数存在してもよい。楔形切開器具200の面204の、第1端部206及び第2端部208と、帯状体300の非境界面302との高さの最大変化は、楔
形切開器具200の全体の高さの約80%未満、約70%未満、約60%未満、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、約10%未満とすることができる。
【0110】
実施形態において、帯状体300は、表面が粗い、あるいは繊維質の裏面を有し、これによって、下方に位置するバルーンの外表面との密着性を助長することができる。帯状体は、四角形状、矩形状、底面の幅が上面の幅のおおよそ又は少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%の幅を有する台形状など所望の形状とすることができる。実施形態において、帯状体300の上部面の1/3から1/2が楔形切開器具で覆われ、2/3から1/2が楔形切開器具で覆われていないようにすることができる。
【0111】
図21において、面204を上方から見た場合、面204の一端から他端に向けて延在するような直線とすることができる(例えば、面204の幅W
Uは点となる)。これは、明確な幅を有しない砥石すなわち“剃刀のような鋭利化”された端面に等しい。実施形態において、上方から見た図は、矩形状の僅かにぼやけたような非鋭利な面として見える場合もある(例えば、210Bあるいは210Cが上部面であって、その面上に存在する物体を切り払うような場合)。このとき、面204の幅W
Uは帯状体の対向面の幅W
Bより小さく、対向面302から面204に向けた勾配と直接相関するようになる。実施形態において、上面すなわち面204は、直線状とすることもできるし、平坦な矩形状とすることもできるし、曲面あるいは盛り上がったような面(2次元的にみると、矩形状あるいは四角形状)とすることができる。あるいは、ピラミッド型、楔形、台形、その他の多角形状とすることができる。
【0112】
実施形態において、非鋭利な面の場合、例えば、約1nm以上、約5nm以上、約10nm以上、約50nm以上、約100nm以上、約500nm以上、約1μm以上、約2μm以上、約5μm以上、約10μm以上とすることができる。楔形切開器具の面が非鋭利であると、例えば、鋸歯やギザ部、微穿孔を形成することができ、管腔壁全体を切ることがないという利点を有する。実施形態において、楔形切開器具の面は非鋭利な幅を有する。
【0113】
楔形切開器具の形状は、
図21A−Gに示したものに限定されず、多くの形態を取ることができる。例えば、
図21Aは、端部206から端部208に向けて鋭利な面204を有する帯状体300から立設した楔形切開器具を示している。
図21B及び
図21Cは、面204の両端部が面取りされた部分780を有し、鋭利な中間点782に向けて傾斜している、あるいは長さ781の端部を有する楔形切開器具を示している。傾斜は直線状の傾斜とすることもできるし、
図21Dに示すように、曲面状の傾斜とすることもできる。
図21Bに示すように、楔
形切開器具は、高さ方向かつ第1側面から中間点781に向けて幅が減少してなる、極小/無視可能な幅の面204の側面部分に形成された部分780を有する。この部分780は、その後、幅を増大させ、中間点781から第2側面に向けて幅が減少する。
図21Cは、中間点が単一の鋭利な頂点である点を除き、
図21Bに示す図と同様である。
【0114】
図21Dは、半径方向外方に向いたアディアズド面785を有する楔形切開器具を示す図であり、当該面は、第1曲面長さに沿って端部から高さが上昇するとともに、第1端部から中心点786のような中間領域に向けて幅が減少している。その後、第2曲面長さに沿い、第2端部に向けて高さが減少し、幅が増大する。
【0115】
図21Eから
図21Gは、鋭利な点あるいは端部を含まず、非鋭利な面204を有する楔
形切開器具の例を示すものである(例えば、鋭利な端部の幅よりも大きな幅を有するような場合)。
図21Eは、面204が、長さ方向に沿って完全に非鋭利である点を除き、
図21Bと同様な楔
形切開器具を示すものである。
図21Fは、面204が、長さ方向に沿って完全に非鋭利である点を除き、
図21Cと同様な楔
形切開器具を示すものである。
図21Gは、面204が、長さ方向に沿って完全に非鋭利である点を除き、
図21Dと同様な楔
形切開器具を示すものである。
【0116】
図21Bから
図21Gの共通点は、面204の幅が、側面において広く、中間点あるいは中央部で狭小あるいは小さい幅を有することである。面204の高さは、一端側から他端側に向けて弓型あるいは変化するようになっており、例えば、側面から見たとき、中央部で最も高く、端部で最も低くなる。面204の最狭小化部分あるいは最薄部分(最小の幅)は、バルーンの長軸と沿ったあるいは沿うことのない、帯状体の長軸に沿って存在することができる。
【0117】
狭小点あるいは狭小部分は、面204の長さ方向の中間点に対して対称である必要はなく、当該中点に対して非対称とすることもできる。
【0118】
楔
形切開器具とは独立に、いくつかの実施形態は、所定の長さ及び幅、面204、端面あるいはチップを有する境界面202すなわち帯状体(例えば、スパイクが取り付けられる帯状体、スプライン、バルーン、鋳型要素)を有することによって特徴づけられる。境界面202の幅は、帯状体300の幅の約90%以下、約85%以下、約80%以下、約75%以下、約70%以下、約65%以下、約60%以下、約55%以下、約50%以下、約45%以下、約40%以下、約35%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、あるいはこれらの任意の2つの数字の間の範囲とすることができる。楔
形切開器具の境界面202の幅は、固定あるいは一定、又は可変とすることができる。
【0119】
楔
形切開器具は、異なる大きさ及び形状とすることができる。実施形態において、楔
形切開器具は、帯状体の箇所において、0.10インチ、0.09インチ、0.08インチ、0.07インチ、0.06インチ、0.05インチ、0.04インチ、0.03インチ、0.02インチ、0.01インチの長さ、あるいはこれら数値の任意の2つの値の範囲、すなわち0.01インチから0.06インチ、あるいは0.01インチから0.04インチの長さとすることができる。実施形態において、楔
形切開器具は、帯状体に対する境界面202から図った際の高さが、約0.05インチ以下、約0.04インチ以下、約0.03インチ以下、約0.025インチ以下、約0.02インチ以下、約0.015インチ以下、約0.01インチ以下、約0.005インチ以下、あるいは約0.005インチから約0.025インチの間、約0.01インチから約0.025インチの間、約0.005インチから約0.015インチの間とすることができる。
【0120】
実施形態において、楔
形切開器具のベース面は、約25mm以下、約20mm以下、約15mm以下、約14mm以下、約13mm以下、約12mm以下、約11mm以下、約10mm以下、約9mm以下、約8mm以下、約7mm以下、約6mm以下、約5mm以下、約4mm以下、約3mm以下、約2mm以下、約1mm以下、あるいはこれら数値の任意の2つ以上の範囲とすることができる。実施形態において、楔
形切開器具のベース面は2mm、2.5mm、3mm、約1mmから約5mm、約1.5mmから約3.5mmの長さとすることができる。楔
形切開器具は、規則的あるいは不規則的に分離して配設することができ、装置の柔軟性を増大させることができる。例えば、楔
形切開器具を、長さ方向に配置した場合、隣接する楔
形切開器具の間隔を、ベース長さの2倍から10倍とすることができる。実施形態において、約2.5mmのベース長さを有する楔
形切開器具は、5mmの離隔スペースあるいは25mmの離隔スペースを有することができる。実施形態において、楔
形切開器具は、最初にベース長さの約1−4倍の第1間隔比とし、後にベース長さの約8−10倍の第2間隔比とすることができる。例えば、ベース長さ2.5mmの楔
形切開器具の第1グループは、5mmの離隔スペースとし、その後、20mmの離隔スペースとすることができる。第2グループは、第1グループと同じ大きさ、形状及び離隔スペースとすることもできるし、異なるようにすることもできる。
【0121】
ベース面(境界面202)に対する面204の位置は、常に中央に位置するあるいは対称でなくてもよい。換言すれば、面204の中間点は、ベース面の中間点よりもずれていてもよい。
図23A−B及び
図24は、スパイクの他の例として、面204が非対称な場合を示している。非対称な面204は、ベース面の全体に亘ってその中心がずれている。この形態においては、ベース面の端部の一端のみが高さ方向に傾斜した端部440を有しており、
図23Aに示すように、他端442は90°角RAで、ベース面444に対して垂直となっている。また、幅方向の一端あるいは両端、及び/又は長さ方向の一端あるいは両端における半径方向外方に向いた面は、面取りされ、あるいは傾斜を有し、あるいは曲率半径を有するようにしてもよい。半径方向外方に向いた面は、ベース面から上方に突出した領域のみに制限することができる。当該面は、鋭利なライン状(砥石状)とすることもできるし、既に述べたように、非鋭利状とすることもできる。
図23C及び
図23Dは、楔
形切開器具の全体積あるいは実質的に全体積が、帯状体の幅方向に存在している場合を示している。その存在割合は、帯状体の幅あるいは表面積の約70%以下、約60%以下、約50%以下、約40%以下、約30%以下とすることができ、この結果、楔
形切開器具は、帯状体の前側あるいは後側に位置がずれた状態となる。
【0122】
図24は、半径方向外方に向く面204が、ベース面202から異なる高さ(第1端部206の高さ24H1から第2端部208の高さ24H2まで増大する)を有する場合の実施形態を示すものである。この実施形態では、端部プロファイルが、端部206及び208で所定の曲率半径を有して丸みを帯びている。ここでは、ベース面202から測った場合に高さ24H1が小さい方の端部206の曲率半径は大きく、ベース面202から測った場合に高さ24H2が大きい方の端部208の曲率半径は小さい。
【0123】
実施形態において、半径方向外方に向く面204が、輸送装置の外部に位置し、及び/又は管腔壁に接触することができ、動脈中を移動する際に、血管壁を擦って傷をつける可能性がある場合、ここで述べた楔
形切開器具は、血管の外傷を削減することを含む、装置の輸送を助長する独自の利点を提供する。これは、非鋭利な面204を有する楔
形切開器具で実現することができる。
【0124】
また、理論的に制限されるものではないが、ある種の形状が組織内により効果的に侵入することができる。例えば、面取りされた、あるいは丸い形状の半径方向外方に向く端部は、より少ない力で血管内に入ることができる(組織に侵入するに際して高い圧力が要求されない)。一方、実効的なマイクロ流路を保持して組織をもろくし、最小の血管外傷及び細胞傷の状態で血管の膨張を可能にする。
【0125】
また、バルーンの膨張と関連して、プラークを切断したり、切れ目を入れたりなどの血管形成術あるいはその他の施術に際して、バルーン上に刃や鋭利な端部、切れ目形成ワイヤなどを形成する先の提案がある一方、当該先の提案では、ここで開示したシステムや方法で除去される問題や不利益も残存する。血管形成中にプラークなどの管腔壁を切断したり、切れ目を入れたりすることは、高い圧力下で行う必要があり、このような高圧での作業は、血管に対して大きな傷を負わせる結果となる。切断用の刃、エッジ、切れ目形成ワイヤは、血管形成バルーンを膨張させると同時に血管壁内に侵入させ、プラークを膨らませる。この工程の間、切断用の刃、エッジ、切れ目形成ワイヤは、血管壁内に斜めの角度で侵入させ、プラークに傷をつけ、切開するようにする。一方、楔形切開器具を、プラーク内において低い圧力で膨張させ、正確なマイクロ流路、鋸歯、ギザ部を半径外方に形成して、血管壁のプラーク、あるいはその他の部位に正確なギザ部、劈開線あるいは劈開面を形成する。楔
形切開器具の半径方向外方に向いた面は、プラークあるいは、狭小領域の他の管腔面に侵入させて、当該プラークあるいは管腔面を切開する。
【0126】
楔形切開器具は、一連の鋸歯を血管の疾患部(ある場合は非完全に)へ侵入させるようにデザインする。楔形切開器具は、より効果的かつやさしく血管腔を膨張させて穿孔を形成する。穿孔は、薬剤の流路となる。薬剤は、ここで開示された装置とともに組み込まれた、あるいはここで開示した装置に続いて用いられる装置上の、薬剤がコーティングされたバルーンを用いることによって輸送することができる。実施形態において、楔形切開器具は、帯状体から分離可能とすることができ、薬剤輸送のための1以上の薬剤でコーティング、あるいは、これら薬剤を注入して用いることができる。
【0127】
スプライン、すなわち帯状体の剛性を減少させるために、
図25及び
図26に示すように、スプライン上に一連のレリーフを付加することができる。レリーフは、材料の一部を除去するなど、種々の異なる方法で形成することができ、より柔軟な帯状体を有する楔形切開器具を提供することができる。レリーフは、スプラインの、楔形切開器具のベース面、すなわち楔形切開器具が直接隣接して配置された面と反対側の面において形成することができ、あるいは両方の面に形成することができる。レリーフは、スプラインの側面に形成することができ、スプラインのベース面において開口を形成することもできる。このように、スプラインの上面、底面、側面及び開口の任意の組み合わせが、スプラインに付加されてレリーフを構成することができる。
【0128】
実施形態においては、
図25及び
図26に示すように、帯状体300は、その上面、底面、中央部、非中央部において、円形、矩形、直線、三角、台形あるいはそれらの組み合わせからなる孔形状、スリット形状のレリーフを有する(
図25及び
図26参照)。帯状体は、支持ベースインフラを提供し、楔形切開器具を正確に配向させるために柔軟であり、かつバルーンの動きに追従する。
【0129】
図25及び
図26に示すレリーフホールは、特にバルーンに基づく薬剤の流路を提供するようにデザインされており、当該薬剤は、その内部を移動する。また、表面に形成されたひずみを伴うレリーフは、装置の曲がりくねった腔内の移動性を向上させる。
図25A−Cは、楔形切開器具200の境界面と反対側の、帯状体300の下面500上のレリーフ502の実施形態を示すものである。
図25Aは、レリーフ502が、おおよそ楔形切開器具200の境界面の長さ分だけ規則的に離隔した実施形態を示すものである。
図25Bは、レリーフ502が、楔形切開器具200の境界面の長さの50%以下だけ規則的に離隔した実施形態を示すものである。
図25Cは、レリーフ502が、楔形切開器具200の境界面の長さの50%以下だけ規則的に離隔しており、楔形切開器具の下側にグループをなし、楔形切開器具間のスペースには存在しない実施形態を示すものである。他の実施形態では、楔形切開器具間のスペース下側のみにグループをなして楔形切開器具が存在し、楔形切開器具の下側には存在しないようにしてもよい。
【0130】
図25D−25Eは、レリーフ502’が、楔形切開器具間の帯状体の上面(境界面すなわち上面302)に存在する実施形態である。
図25D及び
図25Eは、レリーフが、楔形切開器具間の帯状体の上面302において凹部を形成し、
図25Dでは、緩やかな曲面を有しており、
図25Eでは、比較的四角形状あるいは矩形状の曲面を有する。この曲面は、丸いエッジ部を有していてもよいし、有していなくてもよい。
図25Fは、
図25C及び
図25Dの実施形態で見られたように、2つの異なるレリーフ502の組み合わせである。所望の臨床結果に依存して、他の組み合わせも可能である。
図25G及び
図25Hは、帯状体300の前面304及び/又は後面のレリーフを示す実施形態である。
図25Gは、ピラミッド型のレリーフ502を有する一方、
図25Hは、鋭角なレリーフ502を有する。レリーフは、楔形切開器具から軸方向に離隔して形成することもできるし、楔形切開器具とともに軸方向に沿って形成することもできる。
図25I及び
図25Jは、レリーフ502が、垂直方向に配向した貫通チャネル(
図25I)あるいは水平方向に配向した貫通チャネル(
図25J)の形態を有する実施形態を示すものである。これらの貫通チャネルは、楔形切開器具から軸方向に離隔させることもできるし、その他の形態を取ることもできる。実施形態において、レリーフは、帯状体の長軸に対して傾斜するようにすることができる。
図25Kは、レリーフ502が、前面及び/又は後面、境界面、及び/又はその他の位置に溝の形態で形成した場合の実施形態である。
【0131】
帯状体から材料を除去する際には、帯状体は、そのベース面すなわち結合面に沿ってタブを有することが好ましい。タブは、材料除去の際に、長い帯状体の振動やずれを制御することができる。材料除去が終了すると、タブは除去される。実施形態において、タブは帯状体のベース面に固定されるように、はめ込みを有することができる。実施形態において、はめ込みレリーフは、タブとして機能することができ、例えば、原料としての同一のシートから複数の帯状体をレーザカットによって形成する場合に有利である。レーザカットされる原料の近接領域上あるいは当該領域に接合した補足的な凸部は、帯状体のはめ込みレリーフに嵌合させて、レーザカット中に、帯状体の正確な配置を維持するようにすることができる。これによって、レーザカット中に、帯状体の位置を保持することができ、レーザバイブレーションによる帯状体の移動や配置ミスを防止することができる。このような帯状体の移動や配置ミスは、製品収率の減少をもたらす。実施形態において、製造安定化のためのレリーフは、はめ込み式である必要はなく、ベース面から外方に向けて突出したような形態でもよい。実施形態において、これらのタブは、バルーンの外表面との接合に先駆けて、レーザカットあるいはその他の方法で除去し、バルーンの意図しない破裂を防止することができる。
図25L及び
図25Mは、楔形切開器具200を有する帯状体300の製造工程を示す図である。タブ580は、原料581をレーザカットすることによって形成でき、原料581の近接領域においてその一端が結合されている。また、他端は、例えば、帯状体300の下面のはめ込みレリーフ502にはめ込まれている。はめ込みレリーフ502は、例えば
図25A−25Kで説明したような、任意の形状のパターンとすることができる。実施形態において、はめ込みレリーフ502は、楔形切開器具200の下方に示されている。
図25Mにおいては、原料581に対して帯状体300を固定しておく必要がない場合、続く製造工程において、セグメント588及び589に切断されたタブ580が示されている。帯状体300は、バルーンその他の装置に取り付けるために分離することができる。はめ込みを形成することによってタブを除去することができ、バルーンやその他の膨張装置と帯状体とを接合する際に邪魔になる帯状体の下方に存在する材料の量を最小化することができる。
【0132】
実施形態において、バルーンは、狭小な幅のひだ状とすることができ、これによって、狭小な直径の導入シースを通じて装置の輸送をすることができるようになる。バルーンが一旦収縮すると、後に膨張する際のバルーンの輪郭は、元のひだ状の直径よりも大きくなる。このように新たに形成された輪郭は、帯状体が、動脈壁に傷を付け、あるいは導入シースなどの補助的な装置の開口部に引っかかる場合がある。傾斜を有する要素は、このような潜在的な問題に対処することができる。
【0133】
図25Nは、帯状体300の一端あるいは両端333に配設された接着剤あるいはその他の材料の傾斜部680を示す図である。接着剤は、帯状体の下方位置(例えば、帯状体300の下面など)に配設して、帯状体300をバルーンに接続するようにできる。傾斜部680は、帯状体300よりも相対的に柔軟性を有する材料(例えば、接着剤)などから構成するとき、柔軟性を有するバルーンと、半剛性の帯状体300間の実効的な柔軟性の界面とすることができる。傾斜部680は、バルーン表面から帯状体の端部に緩やかに傾斜するようにデザインすることができる。接着剤の傾斜部680は、施術中に、帯状体を保持するとともに、帯状体が補助的な装置と接触するのを保護することができる。
【0134】
実施形態において、バルーンに適用することができる形態は、円錐状の傾斜部である。円錐状の傾斜部は、種々の方法で作製することができる。円錐状の傾斜部は、例えば、6mmのバルーンあるいは5.5mmのバルーンのような比較的大きなバルーンに適用することで、5mmのバルーンに対して従来公知の方法を用いて作製できる。
図25Oは、円錐状の傾斜部を示す一例を示す図である。円錐体970は、バルーン960の外径よりも少なくとも約5%、約10%、約15%、約20%大きな外径、あるいは約5〜約20%の範囲で大きな外径を有する。相対的に大きな円錐体970は、バルーンとの間にリップ972を形成してバルーン960を十分に固定する。リップ972は、バルーンを収縮させて導入カテーテルから引き抜く際に、バルーンを傷つけてしまうような金属帯状体の端部の存在割合を低減させることができる。
【0135】
図25Pに示す実施形態において、円錐体970に沿って軌条980が形成されている。この軌条980は、支持構造体あるいは剛性の構造体として機能し、バルーン960が導入カテーテルを通じて導入される際に、当該バルーン960が破壊しないようにアシストする。実施形態において、軌条980は、帯状体の長軸に沿って配向あるいは配列させることができ、円錐体を導入体から導入する際に、帯状体をバルーンの中央部に押し込む機能を向上させる。
【0136】
実施形態において、帯状体と接合させるために、本願明細書で説明したバルーンの中央部を凹ませることができる。バルーン表面上に一連の凹部を形成することができ、この凹部は、帯状体を配設するに十分な幅と長さとを有するように構成できる。凹部の深さは、帯状体がバルーンの引き抜きの際に、導入体の遠位置の開口部で帯状体が固定されるような深さとする。
【0137】
スプライン内あるいはスプライン上に貫通孔あるいはマイクロチャネルを形成することにより、例えば1以上の薬剤、ナノ粒子、及び/又は幹細胞のような治療剤を、バルーン表面からキャピラリーあるいは拡散を通じて内腔表面の疾患部に提供し、又は、バルーンの押圧力を利用し、マイクロチャネルを通じて、当該疾患部に提供できるような構成とすることができる。また、マイクロチャネルすなわち変更した表面は、配設すべき、かつ疾患部に輸送する間に、保護すべき、薬剤、ナノ粒子、幹細胞あるいはその他の治療薬を貯蔵する役割を有する。実施形態において、薬剤は任意の薬剤とすることができる。薬剤は、治療すべき疾患に依存し、その物理的性質を考慮して、本発明の方法及び装置において適切に使用できるものであって、特に限定はされないが、抗再狭窄薬、増殖促進剤、抗増殖剤、抗炎症剤、抗悪性腫瘍薬、有糸分裂阻害薬、抗血小板薬、抗凝血性剤、抗フィブリン、抗トロンビン、細胞増殖阻害薬、抗生剤、抗酵素剤、代謝拮抗性剤、血管原性剤、細胞保護剤、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アンジオテンシンII型レセプター拮抗剤、及び/又は心保護剤などを挙げることができる。
【0138】
抗増殖剤としては、特に限定されないが、アクチノマイシン、タキソール、ドセタキセル、パクリタキセル、シロリムス(ラパマイシン)、バイオリムスA9(バイオセンサーインターナショナル、シンガポール)、デフォロリムス、AP23572(アリアッド製薬)、タクロリムス、テムシロシムス、ピメクロリムス、ゾタロリムス(ABT−578)、40−O−(2−ハイドロキシ)エチル−ラパミシン(エヴァロリムス)、40−O−(3−ヒドロキシプロピル)ラパミシン(ラパミシンの構造的誘導体)、40−O−[2−(2−ヒドロキシ)エトキシ]エチル−ラパミシン(ラパミシンの構造的誘導体)、40−O−テトラゾイル−ラパミシン(ラパミシンの構造的誘導体)、40−O−テトラゾイルラパミシン、40−エピ−(N−1−テトラゾイル)−ラパミシン、及びプルフェニドンなどを挙げることができる。
【0139】
抗炎症剤としては、ステロイド系及び非ステロイド系の双方を含むことができるが、クロベタゾール、アウクロフェナック、アルクロメタゾーンジプロピオネート、アルゲストンアセトフェニド、α−アミラーゼ、アムシナファル、アムシナファイド、アンフェナクナトリウム、塩酸アミプリローズ、アナキンラ、アニオラック、アニトラザフェン、アパゾーン、バルサラジド二ナトリウム、ベンダザック、ベノキサプロフェン、塩酸ベンジダミン、ブロメライン、ブロペラモール、ブデソニド、カルプロフェン、シクロプロフェン、シンタゾーン、クリプロフェン、クレベタゾールプロピオネート、クロベラゾーンブチラート、クロピラック、クロチカゾーンプロピオネート、コルメタゾーンアセテート、コルトドキソン、デフラザコート、デソニド、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン、デキサメタゾンジプロピオネート、デキサメタゾンアセテート、デキサメタゾンフォスフェート、モメンタゾン、コーチゾン、コーチゾンアセテート、ハイドロコーチゾン、プレドニゾン、プレドニゾンアセテート、ベタメタゾン、ベタメタゾンアセテート、ジクロフェナックリン、ジクロフェナックナトリウム、ジフロラゾンジアセテート、ジフルミドンナトリウム、ジフルニサル、ジフルドプレドナート、ジフタロン、ジメチルスルフォキシド、ドロシノニド、エンドリゾン、エンリモマッブ、エノリカムナトリウム、エピリゾール、エトドラック、エトフェナメート、フェリビナク、フェナモル、フェンブフェン、フェンクロフェナック、フェンクロラク、フェンドザール、フェンピパロン、フェンチアザク、フラザロン、フルアザコート、フルフェナム酸、フルミゾール、フルニソリドアセテート、フルニキシン、フルニキシンメグルミン、フルコーチンブチル、フルオロメトロンアセテート、フルクアゾン、フルルビプロフェン、フルルビプロフェン、フルエトフェン、フルチカゾンプロピオネート、フラプロフェン、フロブフェン、ハルシノニド、ハロベタゾールプロピオネート、ハロプレドンアセテート、イブフェナック、イブプロフェン、イブプロフェンアルミニウム、イブプロフェンピコノール、イロニダップ、インドメタシン、インドメタシンナトリウム、インドプロフェン、インドクソール、イントラゾル、イソフルプレドンアセテート、イソキセパック、イソキシカム、ケトプロフェン、塩酸ロフェミゾル、ロモキシカム、ロテプレドノールエタボン酸エステル、メクロフェナム酸ナトリウム、メクロフェナム酸、メクロリゾーンジブチラート、メファナム酸、メサラミン、メサクラゾン、メチルプレドニゾロンスルプタネート、モニフルメート、ナブメトン、ナプロキセン、ナプロキセンナトリウム、ナプロキソール、ミマゾン、オルサラジンナトリウム、オルゴテイン、オルパノキシン、オキサプロジン、オキシフェンブタゾン、塩酸パラニライン、ペントサンポリ硫酸ナトリウム、フェンブタゾングリセリン酸ナトリウム、ピルフェニドン、ピロキシカム、ピロキシカム桂皮酸、ピロキシカムオラミン、ピルプロフェン、プレドナザート、ピルフェロン、プロドリック酸、プロクアゾン、プロキサゾル、クエン酸ピロキサゾール、ロメキソロン、サルコレックス、サルナサジン、塩化サングイナリウム、セクラゾーン、セルメタシン、スドキシカム、スリンダック、スプロフェン、タルメタシン、タルニフルメート、タロサレート、テブフェロン、テニダップ、テニダップナトリウム、テノキシカム、テシカム、テシミド、テトリダミン、ティオピナック、チクソコルトールピバル酸エステル、トルメチン、トルメチンナトリウム、トリコロニド、トリフルミデート、ジドメタシン、ゾメピラックナトリウム、アスピリン(アセチルサリチル酸)、サリチル酸、副腎皮質ステロイド、グルココルチコイド、タクロリムス、ピメクロリムスなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0140】
抗悪性腫瘍薬及び有糸分裂阻害薬としては、パクリタキセル、ドセタキシル、アザチオプリン、ビンクリスチン、ビンバラスチン、フルオロウラシル、塩酸ドキソルビシン、マイトマシンなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0141】
抗血小板薬、抗凝血性剤、抗フィブリン、抗トロンビンとしては、ヘパリン、ヘパリンナトリウム、低分子量ヘパリン、ヘパリノイド、ヒルジン、アルガトロバン、フォルスコリン、バピプロスト、プロスタリシン、プロスタリシンデキストラン、D−フェニルアラニン−プロ−アルギニン−クロロメチルケトン、ジピラダモル、グリコプロテイン、IIb/IIIa血小板膜レセプターアンタゴニスト抗体、組換体ヒルジン、トロンビン、ANGIOMAX(登録商標、バイオゲンから製造されるビバリルジン)、ニフェジピンなどのカルシウムチャネル遮断薬、魚油(オメガ3脂肪酸)、ヒスタミン遮断薬、ロバスタチン、特に血小板由来増殖因子受容体などのモノクロラル遮断薬、ニトロプルシド、ホスホジエステラーゼ阻害薬、プロスタグランジン阻害薬、スラミン、セロトニン遮断薬、ステロイド、チオプロテーゼ遮断薬、トリアゾロピリミジン、一酸化窒素、一酸化窒素ドナー、スーパーオキサイドジスムターゼ、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシ(4−アミノ−TEMPO)などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0142】
細胞増殖阻害薬としては、アンジオペプチン、カプトプリル、シラザプリル、リシノプリルなどのアンジオペプチン変換酵素阻害薬、ニフェジピンなどのカルシウムチャネル遮断薬、コルチシン、線維芽細胞増殖因子(FGF)拮抗薬、魚油(オメガ3脂肪酸)、ヒスタミン遮断薬、ロバスタチン、特に血小板由来増殖因子受容体などのモノクロラル遮断薬、ニトロプルシド、ホスホジエステラーゼ阻害薬、プロスタグランジン阻害薬、スラミン、セロトニン遮断薬、ステロイド、チオプロテーゼ遮断薬、トリアゾロピリミジン、一酸化窒素などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0143】
アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤としては、キナプリル、ペリンドプリル、ラミプリル、カプトプリル、ベナゼプリル、トランドラプリル、フォシノプリル、モエキシプリル、エナラプリルなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0144】
アンジオテンシンII型レセプター拮抗剤としては、イルベサルタン及びロサルタンなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0145】
他の治療薬としては、内皮細胞に働きかけるα−インターフェロン、デキサメタゾン、DNAと結合してその書き換えを阻止するアンチセンス分子、リボザイム、抗体、核内受容体リガンドエストラジオールやレチノイドなどの核内受容体、チアゾリジンジオン(グリタゾン)、酵素、接着性ペプチド、血液凝固因子遮断薬、ストレプトキナーゼや組織プラスミノーゲンアクチベーターなどの血液融解剤、免疫性抗原、ホルモン及び成長因子、遺伝子治療に用いる、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボジン、レトロウイルスベクターなどのオリゴヌクレオチド、抗ウィルス薬、ディウレチクスなどを挙げることができる。
【0146】
実施形態においては、所望する治療結果に基づいて、上述した薬剤及び治療薬の任意の2以上を組み合わせて用いることができる。
【0147】
薬剤、ナノ粒子、幹細胞、その他の治療薬をレリーフ孔のような特定の領域に配設するには、例えば、MICRO−PENNING(ニューヨークのハネオイファールズのMICROPENテクノロジー社)などの直接書き込み工程を用いる。一般に、“直接書き込み”なる文言は、静止したパターン生成装置をコンピュータによって動作制御する方法であって、流動性の材料を所定の表面上に所望のパターンで塗布するものである。MICRO−PENNINGは、フローベースの微細な塗布技術であって、印刷すべき材料が、シリンジ及びペン先を通って、高精度に押出されるものである。ペン先は、材料の表面には接触するが、基板表面には接触せずに、所定の箇所に所定の量を正確に配設することができる。
【0148】
図26は、楔
形切開器具200の境界面と反対側に位置する帯状体300の下面に形成されたレリーフ502を伴う細条体500の実施形態を示す図であり、隣接する楔
形切開器具200間には、比較的大きな開口503が形成されており、帯状体300が下方に位置するバルーンと結合しやすいように構成されている。このことは、例えば、2016年5月12日に公開されたWO2016/073490に記載されており、その内容は参照としてここに取り込まれるものである。開口503は、治療結果に依存して、卵型、円形、その他の形態とすることができる。
【0149】
実施形態において、帯状体の長軸は、バルーンに沿って配向することができ、互いに離隔することができる。帯状体は、バルーンの長さ全体を完全に覆うものではなく、例えば、80mmの長さのバルーンは、76.6mmの長さの帯状体を有することができる。帯状体の長さは、動作するバルーン長さと同じにすることができる一方、当該動作バルーンの長さよりも短くすることができ、バルーンが破裂する圧力に到達した際に、バルーンが収縮できるようになる。帯状体の長さは、バルーン全体の長さの約15%以下、約10%以下、約9%以下、約8%以下、約7%以下、約6%以下、約5%以下、約4%以下、約3%以下、約2%以下、約1%以下、あるいは約2%から約8%の間、約3%から約6%の間、約4%から約5%の間で短くすることができる。バルーンの長さは、円錐体の長さを含まない。
【0150】
実施形態において、帯状体の一部、例えば帯状体のベースは、(その下面が、バルーンの外表面と接合するように)粗面化することができる。
【0151】
スパイク(例えば、鋸歯状要素あるいは楔
形切開器具)は、多くの異なる方法で種々の形状に作製することができる。製造方法においては、1以上の加算的な、あるいは減算的な方法を用いることができる。付加的な方法としては、例えば、高エネルギー蒸着、レーザ化学蒸着、セルフアセンブリ技術、高分子/金属3D印刷、選択的レーザ焼結、粉体印刷、その他のリソグラフィ技術を挙げることができるが、その他の方法を用いてもよい。また、減算的な方法としては、エッチング、CNCミリング、レーザ切断、ウォータージェト、放電加工を挙げることができるが、その他の方法を用いてもよい。
【0152】
実施形態において、ロックウェルCスケール硬さ(HRC)が約52から約64の300シリーズあるいは400シリーズのマルテンサイトステンレス鋼のリールを用いて製造することができるが、その他の材料を用いることもできる。このリールは、その一端あるいは両端が砥がれている。実施形態において、このステンレス鋼は、約0.007インチから約0.015インチの厚さ、約0.25インチから約0.75インチの幅とすることができるが、約0.005インチから約0.020インチの厚さ、約0.15インチから約1インチの幅とすることもできる。リールの厚さ及び幅の許容範囲は、それぞれ約0.020インチ以上及び約1インチ以上である。鋭利な部分は、単一の角度を有していてもよいし、2以上の角度を有していてもよい(例えば、
図21及び
図22参照)。実施形態において、鋭利な部分の角度が、
図21に示すように、その境界面から非境界面の高さまでの勾配として測定される場合、その角度は、例えば75°以上とすることができる。一方、鋭利な部分が、複数の角度から構成されている場合、その先端の角度は75°以下とすることができる。鋭利な端部が斜面側に移動する場合、その角度は、70°以上、75°以上、80°以上、85°以上、90°以上とすることができる。鋭利な端部に加えて、実施形態においては、分離した付加的な端部を、帯状体の非境界面の先端に形成することができ、その高さは、上記鋭利な端部よりも短く、大きな角度を有する。非境界面先端の幅W
Uは、当該先端の半径として表すことができる。先端の幅は、0.01インチあるいは0.005インチより小さい場合は、血管の疾病部に侵入できる幅であり、その表面積が最小化されて、血管との接触がより小さくなるので、侵入に際して要求されるエネルギーを減少させることができる。カルシウム床などの比較的固い表面に非境界面先端を侵入させるように構成する場合は、境界面から離隔した位置を鈍角あるいは当該位置の先端部分を除去して、その先端を広角化する(
図21のW
U参照)。この広角化した先端は、固い組織表面に侵入する際に、負荷をその広い面の全体に亘って分散させ、先端の変形を防止する。リールが鋭利にされた後、そのリールは所定の長さにスタンプ成形される。実施形態において、リールが硬化された後、所定の長さにスタンプ成形される。スタンプ成形とは無関係に、先端の刃状部分は、不働態化され、例えばHRC45の硬度を有するように硬化される。典型的には、約HRC58から約HRC62にまで硬化される。この硬化された刃状部材は、レーザカット、スタンプ成形、放電加工、あるいはその他の金属成形技術を用いて、スパイク、鋸歯あるいは楔形切開器具とする。鋸歯要素は、リールから加工して、硬化し、不働態化させる。先端部を鋭利にしない場合は、先端部の鋭利加工の工程が、例えば楔形切開器具の製造工程から省かれる。また、鋭利な先端部から0.0001インチから0.003インチの距離、あるいは0.0001インチから0.0005インチの距離を除去して、
図21に示すような平坦な面を形成することもできる。先の鋭利な先端部に残存している最も厚さの薄い部分が、帯状体の非境界面となる。
【0153】
実施形態において、帯状体を接合させる方法が開示されている。この方法は、製造及び使用において、帯状体を効果的に保持すること、垂直配向、及び構造安定性を提供する加工工程を含む。境界面は、均一なポリウレタン層を形成する、制御された浸漬工程を経て、当該ポリウレタンなどの高分子をコーティングする。被膜は乾燥した後、3あるいは4本の帯状体を、帯状体配列機構すなわち治具を使って配列し、医療用のシアノアクリレートで接着して所定の方向に配列する。帯状体の数は、例えば1から8本の間で変化させることができ、典型的には、バルーンの折り目の数と関連させて決定するが、バルーンの折り目の数よりも少なくすることもできるし、帯状体の配列周期も非連続とすることができる。帯状体がバルーンの表面と結合されると、単一あるいは多層の上部コート層、すなわち保持層が、金属分断引掻き要素、すなわち楔形切開器具上に配設され、帯状体を保持し、バルーンを楔形切開器具から保護する。実施形態において、上記コート層は、制御された浸漬工程を経て帯状体にコーティングを行ったのと同様の方法で行うことができ、これによって、ウレタンあるいはポリウレタンからなる1以上の均一な層を形成することができる。上記保持層を硬化した後は、親水性あるいはその他のコーティングを行って、バルーンの摩擦を低減し、バルーンの輸送性及び回収性を増大させることができる。外周面のスリップコーティングによって、装置の挿脱の際における力を低減することができるので、バルーンの機能性を増大させることができる。
【0154】
図27は、帯状体及び楔形切開器具を、バルーンの外方面に動作可能に接合させた際の断面図である。薄い(例えば、0.0001インチから0.0009インチ)、すなわちバルーンの直径が増大しないような約0.001インチ以下の厚さの高分子層を、バルーンの外側を覆うベースコート(層270A)として用いることができる。ベースコート270Aは、楔形切開器具のバルーン表面への界面結合層として機能する。層270Aは、他の層と同じあるいは同様の高分子材料から構成することができ、バルーン表面と化学的、機械的あるいは電磁的に結合する。ベースコート層270Aは、バルーン外表面と楔形切開器具との界面応力を低減するように構成できる。2つの表面の界面は、接着剤層270E及び楔形切開器具200をポリマーマトリックス中で挟み込むことができ、バルーンが膨張する際のバルーンの応力から独立分離させることができる。ベースコート層270Aは、例えば、ウレタンやポリウレタンから構成することができるが、その他の材料から構成することもできる。実施形態において、コーティングは、シリコーン、及び、例えばビニルポリマーの分子鎖及び非架橋のハイドロゲルなどのハイドロゲル高分子を含む親水性コーティングなどを含むことができる。ポリエチレンオキサイド(PEO)はハイドロゲルの一例である。ビニルポリマーの一例としては、ネオペンチルグリコールジアクリレート(NPG)を挙げることができる。上記層のコーティングは、バルーンをポリマー浴中に、その挿脱時間を制御して1回あるいは複数回浸漬させることにより、行うことができる。また、上記層のコーティングは、表面イオン帯電法などの、よく知られた実用的なセルフアセンブリを用いた、単一層のセルフアセンブリを通じて、オングストローム単位の層を形成することができる。
【0155】
図27において、楔形切開器具及びベースコート層との間の結合層270Eは薄く(0.0001から0.0005インチ)とするが、0.001インチと厚くすることもできる。このように厚く形成してもバルーンの外径を増大させることはない。接着剤層270Eは、シアノアクリレートあるいはその他の材料から構成することができる。これらの材料は、ベースコート層270Aと楔形切開器具との接合面との間に、化学的、機械的あるいは電磁気学的な結合を付与する。接着剤層270Eは、楔形切開器具をバルーンに接合するための機能層としてみることができ、楔形切開器具とバルーン外表面とを接合する唯一の層である。この接着剤層270Eは、1以上の接着製品とすることができる。接着剤層270Eは、低い粘度を有する単一の接着剤であって、楔形切開器具の接合面とベースコートとの界面に沿って、接着剤のウィッキングを可能とするものである。接着剤は即時に乾くので、最小の硬化時間で連続した層として形成することができる。また、より粘性の高い接着剤を帯状体の底面の両端に形成する、あるいは、非接着で非結合部分を有するように楔形切開器具とベース層との間に周期的に形成することもできる。また、1以上の接着剤を用いることもできる。例えば、より粘性の高い接着剤を楔形切開器具の両端に形成し、非結合部分のいくつか、あるいは全てにウィッキング接着剤を形成することもできる。実施形態において、2以上の保持層(
図27では、2つの層)270B及び270Cを、楔形切開器具同様に、ベース層270A上に形成することができる。高分子保持層は、ベース層270Aと保持層270B及び270Cとが効果的に接合するような特性を有するベース層と同様の大きさを有することができる。保持層は、ベース層と同様な厚さを有することができる一方、ベース層よりも僅かに厚い層とすることも有益である。ベース層及び/又は保持層が厚くなると、破裂抵抗を増大させ、バルーンの、楔形切開器具に対する、あるいは身体に残存したインプラントの鋭利な端部や、血管内のひどく石灰化した疾患部の鋭利な端部に対する耐性を増大させることができる。実施形態においては、バルーン及び/又は楔形切開器具を覆う保持層上に、滑層270Dが形成されている。種々の親水性コーティングが利用でき、これによって、摩擦を低減することができるとともに、曲がりくねった狭い解剖学的な特徴部分の中におけるバルーンの案内性を向上させることができる。バルーンの表面は、親水性コーティングでその全体を覆うようにすることもできるが、バルーンが収縮してひだ状となった後にコーティングすることができる。したがって、輸送中に露出した表面のみが親水性コーティングで覆われることになる。代表的な親水性コートの厚さは、数ミクロンであり、約10オングストロームと薄くすることもできる。
【0156】
実施形態において、接着剤は、バルーンと帯状体とに別々に塗布し、その後、両者を結合することもできる。バルーンの表面に沿って楔形切開器具を正確に配置するためにテンプレートを用いることもできる。
【0157】
保持層270B及び270Cは、ベース層と保持層とが効果的に接合するような特性を有するベース層と同様のものとすることができる。保持層は、ベース層と同様の厚さとすることができ、また、ベース層より、約20%以下、約15%以下、約10%以下、約5%以下の厚さを有するように、僅かに厚い層とすることも有益である。ベース層及び/又は保持層が厚くなると、破裂抵抗を増大させ、バルーンの、楔形切開器具に対する、あるいは身体に残存したインプラントの鋭利な端部や、血管内のひどく石灰化した疾患部の鋭利な端部に対する耐性を増大させることができる。複数の保持層270B及び270Cは、同一の、あるいは異なる材料から構成することができる。
【0158】
種々の親水性コーティングが利用でき、これによって、摩擦を低減することができるとともに、曲がりくねった狭い解剖学的な特徴部分の中におけるバルーンの案内性を向上させることができる。実施形態においては、
図27の270Dが親水性の滑層である。バルーンの表面は、親水性コーティングでその全体を覆うようにすることもできるが、バルーンが収縮してひだ状となった後にコーティングすることができる。したがって、輸送中に露出した表面のみが親水性コーティングで覆われることになる。代表的な親水性コートの厚さは、数ミクロンであり、約10オングストロームと薄くすることもできる。
【0159】
楔形切開器具、帯状体、カプセルの高さは、血管形成バルーンなどの医療用バルーン、あるいは医療用バルーンの一部などの膨張性部材、又はその他の膨張性部材とともに使用するケージとみなすことができる。キーホール、すなわちカテーテルベースの手術においては、バルーンをその膨張した際の直径の一部にまで折りたためることが好ましい。したがって、バルーン及びケージは、折りたたまれたバルーンが、実効的に使用できるような輪郭を有するように折りたたまれる。ケージは、バルーンを破裂しないように、あるいは
図28に示すように、輸送中に腔内の内膜に傷を付けないようにスパイクを配向させることができるように折り曲げる。
図28は、複数のひだ1002、帯状体300及びひだ間に位置する楔形切開器具200を有するバルーン1000を示す図である。この場合、複数の楔形切開器具200を有する単一の帯状体300が、2つのひだ1002間に位置する。ひだは、スパイク及びスプラインが効果的に配向するようにデザインされている。これらのひだは、プリーツウェッジを有しており、当該プリーツウェッジは、バルーン上で閉塞する際に、それらの間に位置するバルーンにひだを形成することができるようになっている。スプラインがバルクであること、ウェッジヘッドの接触面積及び潜在的な損傷を最小化することに起因して、プリーツウェッジは、ウェッジヘッドの長さ方向に形成されたポケットを有するようになっている。このポケットは、スプラインをポケット内に配設し、プリーツウェッジに接触するのを制限している。このポケットは、スプライン及びスパイクの配向を助長する機能を有し、スプライン及びスパイクが、オーバーフォールディングなどのように、バルーンと接触するのを制限し、バルーンと垂直に配向するなどのように、装置の輸送中に血管の内膜に引掻き傷を付けてしまうことを制限する。そのようなスパイクの配向は、
図28に示すように、バルーン表面に対する接線方向である。
【0160】
上述した教示に基づいて、種々の変更、改造、デザイン変更はもちろん可能である。したがって、添付した特許請求の範囲の範疇において、ここで述べた以外のことを実行できることは当然に理解すべきことである。上述した実施形態の特徴及び態様のコンビネーション及びサブコンビネーションも、本発明に含まれる。また、1つの実施形態に関連した特別な特徴、態様、方法、性質、特性、量、特質、要素などは、ここで述べたその他の実施形態において使用できるものである。したがって、開示した実施形態の種々の特徴及び態様は、互いに結合し、あるいは置換して開示した発明の変形モードを形成できると理解すべきである。したがって、ここで開示した発明の範疇は、上述した特別な実施形態によって限定されるべきではない。また、発明は、種々の変更や選択を受けやすいが、その特別な実施例が図面において示され、詳細に述べられたものである。しかしながら、本発明は、開示された特別な形態及び方法に限定されるべきではないことは当然に理解されるべきことであり、本発明は、述べられた種々の実施形態及び添付した特許請求の範囲の精神及び範疇の、全ての変更、等価物、変形を含むものである。ここで開示した方法は、引用の順序にしたがって実施される必要はない。ここで開示された方法は、医師によって執り行われる行動を含むが、明示的あるいは含蓄的に、第三者によって執り行われる行動も含む。ここで開示された範囲は、任意の範囲を含み、全てが重複した範囲を含み、サブレンジ、及びこれらの組み合わせを含む。“〜まで”、“少なくとも”、“以上”、“以下”、“間”などの文言は、引用した数値を含む。ここで使用した“おおよそ”、“約”、“実質的に”の文言の後の数字は、引用した数字を含み(例えば、約10%=10%)、所望の機能を遂行し、所望の結果を達成するための数値に近い数値を代表するものである。例えば、“おおよそ”、“約”、“実質的に”は、その数値の10%以下の範囲、5%以下の範囲、1%以下の範囲、0.1%以下の範囲、0.01%以下の範囲にも言及している。