特許第6817312号(P6817312)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6817312半導体デバイスのゲート・スタック作製方法および半導体デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6817312
(24)【登録日】2020年12月28日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】半導体デバイスのゲート・スタック作製方法および半導体デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/43 20060101AFI20210107BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20210107BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20210107BHJP
   H01L 21/8238 20060101ALI20210107BHJP
   H01L 27/092 20060101ALI20210107BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20210107BHJP
   H01L 29/423 20060101ALI20210107BHJP
   H01L 29/49 20060101ALI20210107BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20210107BHJP
【FI】
   H01L29/62
   H01L29/78 301G
   H01L29/78 301C
   H01L27/092 D
   H01L29/78 617M
   H01L29/78 617J
   H01L29/78 617T
   H01L29/58 G
   H01L21/28 301R
【請求項の数】15
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-535056(P2018-535056)
(86)(22)【出願日】2017年1月6日
(65)【公表番号】特表2019-503584(P2019-503584A)
(43)【公表日】2019年2月7日
(86)【国際出願番号】IB2017050049
(87)【国際公開番号】WO2017122104
(87)【国際公開日】20170720
【審査請求日】2019年6月21日
(31)【優先権主張番号】14/996,563
(32)【優先日】2016年1月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508369618
【氏名又は名称】テセラ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Tessera, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100151987
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 信行
(72)【発明者】
【氏名】バオ、ルーチャン
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナン、シッダールタ
(72)【発明者】
【氏名】クォン、ウノ
(72)【発明者】
【氏名】ナラヤナン、ヴィジェイ
【審査官】 佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2015/0325681(US,A1)
【文献】 特開2013−026466(JP,A)
【文献】 特開2011−003899(JP,A)
【文献】 米国特許第08921171(US,B1)
【文献】 特開2011−029303(JP,A)
【文献】 特開2006−186276(JP,A)
【文献】 特開2012−253352(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/43
H01L 21/28
H01L 21/336
H01L 21/8238
H01L 27/092
H01L 29/423
H01L 29/49
H01L 29/78
H01L 29/786
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスのゲート・スタックを作製する方法であって、
前記デバイスのチャネル領域の上方に第1の誘電体層を形成することと、
前記第1の誘電体層の上方に障壁層を形成することと、
前記障壁層の上方に第1のゲート金属層を形成することと、
前記第1のゲート金属層の上方にキャップ層を形成することと、
前記ゲート・スタックのp型電界効果トランジスタ(pFET)領域内の前記第1の誘電体層の一部を露出させるために、前記障壁層と前記第1のゲート金属層と前記キャップ層との一部を除去することと、
前記キャップ層と前記第1の誘電体層との露出部上に第1の窒化物層を堆積させることと、
前記第1の窒化物層上にスカベンジング層を堆積させることと、
前記スカベンジング層上に第2の窒化物層を堆積させることと、
前記第2の窒化物層上にゲート電極材料を堆積させることと
を含む方法。
【請求項2】
前記第1の誘電体層は、酸化物材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記障壁層は金属窒化物材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のゲート金属層は、TiAlCまたはTiAl、Ti、Al、TiAlC、NbAlCを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の窒化物層はTiNまたはTaNを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の窒化物層はTaNを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の窒化物層はTiNを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ゲート電極材料はWを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ゲート・スタックを形成する前に、前記ゲート・スタックに隣接するソース/ドレイン領域を形成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ゲート・スタックを形成する前に、
前記デバイスの前記チャネル領域の上方に犠牲ゲート・スタックを形成することと、
前記犠牲ゲート・スタックの側壁に沿ってスペーサを形成することと、
前記犠牲ゲート・スタックに隣接して前記デバイスのソース/ドレイン領域を形成することと、
前記スペーサの周囲に絶縁材料の層を形成することと、
前記デバイスの前記チャネル領域を露出させるために前記犠牲ゲート・スタックを除去することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
半導体デバイスであって、
前記デバイスのチャネル領域の上方に配置されたゲート・スタックを含み、前記ゲート・スタックは、n型電界効果トランジスタ(nFET)部を含み、前記nFET部は、
基板上に配置された誘電体層と、
前記誘電体層上に配置された障壁層と、
前記障壁層上に配置された第1のゲート金属層と、
前記第1のゲート金属層上に配置されたキャップ層と、
前記キャップ層上に配置された第1の窒化物層と、
前記第1の窒化物層上に配置されたスカベンジング層と、
前記スカベンジング層上に配置された第2の窒化物層と、
前記第2の窒化物層上に配置されたゲート電極と
を含む、半導体デバイス。
【請求項12】
p型電界効果トランジスタ(pFET)部をさらに含み、前記pFET部は、
前記基板上に配置された前記誘電体層と、
前記誘電体層上に配置された前記第1の窒化物層と、
前記第1の窒化物層上に配置された前記スカベンジング層と、
前記スカベンジング層上に配置された前記第2の窒化物層と、
前記第2の窒化物層上に配置された前記ゲート電極と
を含む、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
記誘電体層は酸化物材料を含む、請求項11または12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記障壁層は金属窒化物材料を含む、請求項11または12に記載のデバイス。
【請求項15】
前記ゲート電極はWを含む、請求項11または12に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に半導体デバイスに関し、より具体的には、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(metal-oxide-semiconductor field effect transistor(MOSFET))ゲートに関する。
【背景技術】
【0002】
MOSFETは、電子信号の増幅または切り換えのために使用されるトランジスタである。MOSFETはソースとドレインと金属酸化物ゲート電極とを有する。金属ゲートは、MOSFETの入力抵抗を比較的高くする絶縁材料、例えば二酸化ケイ素またはガラスの薄膜層によって、主半導体nチャネルまたはpチャネルから電気的に絶縁される。ゲート電圧は、ドレインからソースまでの経路が開回路(「オフ」)であるか抵抗経路(「オン」)であるかを制御する。
【0003】
n型電界効果トランジスタ(nFET)とp型電界効果トランジスタ(pFET)とは、相補型MOSFETの2つの種類である。nFETは、電流キャリヤとして電子を使用し、n型にドープされたソースおよびドレインの接合部を有する。pFETは、電流キャリヤとして正孔を使用し、p型にドープされたソースおよびドレインの接合部を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体デバイスのゲート・スタック作製方法および半導体デバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によると、半導体デバイスのゲート・スタックを作製する方法が、前記デバイスのチャネル領域の上方に第1の誘電体層を形成することと、前記第1の誘電体層の上方に障壁層を形成することと、前記障壁層の上方に第1のゲート金属層を形成することと、前記第1のゲート金属層の上方にキャップ層を形成することと、前記ゲート・スタックのp型電界効果トランジスタ(pFET)領域内の前記第1の誘電体層の一部を露出させるために、前記障壁層と前記第1のゲート金属層と前記キャップ層との一部を除去することと、前記キャップ層と前記第1の誘電体層の露出部上に第1の窒化物層を堆積させることと、前記第1の窒化物層上にスカベンジング層を堆積させることと、前記スカベンジング層上に第2の窒化物層を堆積させることと、前記第2の窒化物層上にゲート電極材料を堆積させることとを含む。
【0006】
本発明の別の一態様によると、半導体デバイスが、前記デバイスのチャネル領域の上方に配置されたゲート・スタックを含み、前記ゲート・スタックは、n型電界効果トランジスタ(nFET)部を含み、前記nFET部は、基板上に配置された誘電体層と、前記誘電体層上に配置された障壁層と、前記障壁層上に配置された第1のゲート金属層と、前記第1のゲート金属層上に配置されたキャップ層と、前記キャップ層上に配置された第1の窒化物層と、前記第1の窒化物層上に配置されたスカベンジング層と、前記スカベンジング層上に配置された第2の窒化物層と、前記第2の窒化物層上に配置されたゲート電極とを含む。
【0007】
本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら例示のためにのみ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】例示のFETデバイスのゲート・スタックを形成する例示の方法を示す図であって、基板上に配置された半導体フィンを有する基板の上面図である。
図2】例示のFETデバイスのゲート・スタックを形成する例示の方法を示す図であって、図1の線A−Aに沿ったフィンおよび基板の切断図である。
図3】例示のFETデバイスのゲート・スタックを形成する例示の方法を示す図であって、ゲート・スタックの幅(長手方向)に沿った切断図である。
図4】例示のFETデバイスのゲート・スタックを形成する例示の方法を示す図であって、酸化物層の上方に堆積させた障壁層を示す図である。
図5】例示のFETデバイスのゲート・スタックを形成する例示の方法を示す図であって、nFETゲート金属の層の堆積後の、結果として得られる構造を示す図である。
図6】例示のFETデバイスのゲート・スタックを形成する例示の方法を示す図であって、例えばTiNなどの窒化物金属を含み得るキャップ層の形成後の結果として得られる構造を示す図である。
図7】例示のFETデバイスのゲート・スタックを形成する例示の方法を示す図であって、障壁層とゲート金属とキャップ層との一部を除去するパターン形成およびエッチング・プロセス後の、結果として得られる構造を示す図である。
図8】例示のFETデバイスのゲート・スタックを形成する例示の方法を示す図であって、窒化物層の形成を示す図である。
図9】例示のFETデバイスのゲート・スタックを形成する例示の方法を示す図であって、スカベンジング層の堆積を示す図である。
図10】例示のFETデバイスのゲート・スタックを形成する例示の方法を示す図であって、PWF層の堆積後の、結果として得られる構造を示す図である。
図11】例示のFETデバイスのゲート・スタックを形成する例示の方法を示す図であって、PWF層の露出部の上方へのゲート電極の堆積後の、結果として得られる構造を示す図である。
図12】ゲート・スタックの代替実施形態を形成する別の例示の方法を示す図であって、nFET部とpFET部とを有するゲート・スタックの形成を示す図である。
図13】ゲート・スタックの代替実施形態を形成する別の例示の方法を示す図であって、リソグラフィ・パターン形成およびエッチング・プロセス後の、結果として得られる構造を示す図である。
図14】ゲート・スタックの代替実施形態を形成する別の例示の方法を示す図であって、スカベンジング層の堆積を示す図である。
図15】ゲート・スタックの代替実施形態を形成する別の例示の方法を示す図であって、PWF層の堆積後の、結果として得られる構造を示す図である。
図16】ゲート・スタックの別の代替実施形態を形成する別の例示の方法を示す図であって、nFET部とpFET部とを有するゲート・スタックの形成を示す図である。
図17】ゲート・スタックの別の代替実施形態を形成する別の例示の方法を示す図であって、リソグラフィ・パターン形成およびエッチング・プロセス後の、結果として得られる構造を示す図である。
図18】ゲート・スタックの別の代替実施形態を形成する別の例示の方法を示す図であって、酸化物層の上方に堆積させる障壁層の堆積を示す図である。
図19】ゲート・スタックの別の代替実施形態を形成する別の例示の方法を示す図であって、nFET部とpFET部における障壁層の上方のゲート金属の堆積を示す図である。
図20】ゲート・スタックの別の代替実施形態を形成する別の例示の方法を示す図であって、ゲート金属層の上方へのPWF層の堆積後の、結果として得られる構造を示す図である。
図21】ゲート・スタックの別の代替実施形態を形成する別の例示の方法を示す図であって、nFET部とpFET部とを有するゲート・スタックの形成を示す図である。
図22】ゲート・スタックの別の代替実施形態を形成する別の例示の方法を示す図であって、キャップ層とスカベンジング層との露出部を除去するリソグラフィ・パターン形成およびエッチング・プロセス後の、結果として得られる構造体を示す図である。
図23】ゲート・スタックの別の代替実施形態を形成する別の例示の方法を示す図であって、ゲート金属層の堆積後の、結果として得られる構造を示す図である。
図24】ゲート・スタックの別の代替実施形態を形成する別の例示の方法を示す図であって、ゲート金属層の上方へのPWF層の堆積後の、結果として得られる構造を示す図である。
図25】フィンFETデバイスの例示の実施形態の上面図を示す図である。
図26図25の線B−Bに沿ったフィン上のゲート・スタックの切断図を示す図である。
図27図25の線C−Cに沿ったフィン上のゲート・スタックの切断図を示す図である。
図28図1ないし図11において上述した半導体デバイスを形成する例示の方法のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書に記載の方法および実施形態は、MOSFETデバイスにおける堅牢な調整可能nFETゲート・スタックを提供する。FETデバイスでは、例えばTiNおよびTaNなどの金属窒化物が、pFETデバイスにおける所望の閾値電圧(Vt)を実現するためのゲート・スタックにおける良好な仕事関数材料を提供する。FETデバイスのスケールが縮小し続けるのに従い、性能目標を達成するためにフィンFETなどのマルチゲート・デバイスが使用されている。FETデバイスのVtのばらつきを低減し、Vtを制御するように仕事関数金属の均一な層を堆積させるために、原子層堆積(ALD)が使用される。ALDを使用する置換金属ゲート作製プロセスにおいて、仕事関数金属の特性を変化させることはより困難になっている。
【0010】
置換金属ゲート作製プロセスにおけるサーマル・バジェットに対する高k誘電材料における酸素空乏の反応のため、未処理のTiNまたはTaNをpFETデバイスの仕事関数金属として使用すると、pVtが安定しなくなり、Vtの制御が困難になることが、実験によりわかっている。
【0011】
nFETデバイスの性能および信頼性は、Dまたは高圧アニーリング・プロセスを使用して改良することができる。しかし、pFETが例えばTiNなどの従来の仕事関数金属を含む場合、このプロセスは不安定なpVtにつながる可能性がある。
【0012】
本明細書に記載の方法および実施形態は、例えばTiNおよびTaNなどの単一の金属窒化物層とは異なり、pVtを規定し、調整するための比較的弱い酸素スカベンジ・スタックを備えるゲート・スタックを提供する。この弱い酸素スカベンジ・スタックは、堆積または一体化により形成することができ、例えばTiNまたはTaNなどの障壁層と、TiAlC、TiAl、Al、Ti、NbAlおよびTaAlCなどの強い酸素スカベンジ材料とを含み得る。
【0013】
特許請求の範囲および本明細書の解釈のために、以下の定義および略語を使用する。本明細書で使用する「備える(comprises)、備えている(comprising)」、「含む(includes)、含んでいる(including)」、「有する、(has)、有している(having)」、「含有する(contains)または含有している(containing)」という用語またはこれらの用語のその他の変化形は、非排他的包含をカバーすることを意図している。例えば、列挙されている要素を含む組成、混合物、プロセス、方法、物品または装置は、必ずしもそれらの要素のみには限定されず、明示的に列挙されていない他の要素、またはそのような組成、混合物、プロセス、方法、物品または装置に固有のその他の要素を含み得る。
【0014】
本明細書で使用する、要素または構成要素の前の冠詞「a」および「an」は、その要素または構成要素のインスタンス(すなわち出現)数に関して非制限的であることを意図している。したがって、「a」または「an」は、1つまたは少なくとも1つを含むものと解釈すべきであり、要素または構成要素の単数形は、数字が明らかに単数を示していない限り、複数も含む。
【0015】
本明細書で使用する「発明」または「本発明」という用語は、非限定的用語であり、特定の発明の単一の態様を指すことを意図したものではなく、本明細書および特許請求の範囲に記載されているすべての可能な態様を含む。
【0016】
本明細書で使用する、採用されている本発明の成分、構成要素または反応物質の数量を修飾する「約(about)」という用語は、例えば、濃縮物または溶液を作製するために使用される典型的な測定および液体処理手順によって発生する可能性のある数量の変動を指す。また、変動は、測定手順における不注意による誤り、構成要素を作製するため、または方法を実行するめに採用した成分の製造、供給源または純度の相違などによっても発生することがある。一態様では、「約」という用語は、記載されている数値の10%以内を意味する。別の態様では、「約」という用語は、記載されている数値の5%以内を意味する。さらに別の態様では、「約」という用語は、記載されている数値の10、9、8、7、6、5、4、3、2または1%以内を意味する。
【0017】
また、層、領域または基板など、ある要素が別の要素の「上に(on)」または「上方に(over)」あると言う場合、その要素は、その別の要素の直上にあってよく、または介在要素が存在してもよいものと理解されたい。それに対して、ある要素が別の要素の「直上」または「直接上方に」あるという場合、介在要素は存在せず、その要素は別の要素と接触している。
【0018】
また、ある要素が別の要素に「接続される」または「結合される」という場合、その要素はその別の要素に直接接続または結合されることができ、または介在要素が存在してもよい。それに対して、ある要素が別の要素に「直接接続される」または「直接結合される」という場合、介在要素は存在しない。
【0019】
図1ないし図11に、例示のFETデバイスのゲート・スタックを形成する例示の方法を示す。
【0020】
図1は、基板102上に配置された半導体フィン112および114を備えた基板102の上面図を示す。図の実施形態では、基板102およびフィン112および114上に予めパターン形成された犠牲ゲート・スタック(図示せず)の除去後にフィン112および114のチャネル領域が露出している。犠牲ゲート・スタックの周囲にスペーサ材料104が形成されている。スペーサ材料104の周囲には、例えば酸化物またはその他の誘電材料などの絶縁材料が形成されている。図の実施形態では、フィン112は完成デバイスのチャネル領域とソース/ドレイン領域とを部分的に画定することになる。フィン112は、nFETデバイスを部分的に画定することとなり、フィン114はpFETデバイスを部分的に画定することになる。ゲート・スタック(後述)は、nFET部108とpFET部110の2つの部分に分割される。適合するフィン材料の非限定的な例としては、Si(シリコン)、ひずみSi、SiC(炭化ケイ素)、Ge(ゲルマニウム)SiGe(シリコンゲルマニウム)、SiGeC(シリコンゲルマニウム炭素)、Si合金、Ge合金、GaAs(ガリウムヒ素)、InAs(インジウムヒ素)、InP(リン化インジウム)、またはこれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0021】
図の実施形態では、フィン112および114は、セミコンダクタ・オン・インシュレータ(semiconductor on insulator(SOI))基板を使用することができるように絶縁層を含む基板102上に配置される。例示の代替実施形態は、バルク半導体基板上にフィンを形成してもよい。
【0022】
図2は、図1の線A−Aに沿った、フィン112および114と基板102との切断図を示す。
【0023】
図3は、ゲートを通り、ゲートに対して平行な、ゲート・スタックの幅(長手方向)に沿った切断図を示す。簡略化のため、フィン112および114は、例示のゲート・スタックの形成をよりよく示すようにこれらの図面から省かれている。フィンFETデバイスの作製では、ゲート・スタックの各層がフィン112および114のチャネル領域の上方に沿うように配置される。本明細書に記載の実施形態は、フィンFETデバイスまたはその他のマルチゲート・デバイスには限定されず、例えばプレーナFETデバイス、ナノワイヤ・デバイス、トンネル・デバイスなどを作製するためにも使用可能である。そのようなプレーナFETデバイスの作製方式では、基板102は半導体材料を含み、ゲート・スタックは基板102上に同様にして形成されることになる。
【0024】
図3では、置換金属ゲートの形成を開始するために、例えばSiOまたはHfOを含み得る酸化物(誘電体)層302は、デバイスのチャネル領域の上方と、基板の一部の上とに堆積させ、アニールする。酸化物層302は、10ないし100オングストロームの厚さを有する。酸化物層302は、例えば、高アスペクト比プラズマ(high aspect ratio plasma(HARP))、高温酸化膜(high temperature oxide(HTO))、高密度プラズマ(high density plasma(HDP))、または原子層堆積(atomic layer deposition(ALD))プロセス、またはこれらの任意の組み合わせによって堆積させることができる。本明細書に記載の誘電体層302およびその後続の各層は、(上述の)フィン112の上方に沿うようにだけでなく、(図1の)スペーサ材料104の側壁にも沿うように、チャネル領域の上方に形成される。同様に、後に形成される層は、その前の層の外形に沿う。
【0025】
例示の方法では、pFETスタックの形成の前にnFETスタックが形成される。nFETスタックは強い酸素スカベンジ・スタックを含み、後で形成されるpFETスタックは弱い酸素スカベンジ・スタックを含む。
【0026】
単一の金属層を使用する場合のnFETの強い酸素スカベンジ・スタックとpFETとの1つの相違点は、金属酸化物を形成するためのエンタルピー変化が、nFETの方がpFETよりもはるかに高いことである。例えば、nFETにはAlが使用され、pFETにはNiが使用される。一方、酸素スカベンジ・スタックは同じ材料および同じ構造で形成することができるが、異なる膜厚または異なる膜組成とすることができる。例えば、TiN/TiAl/TiNスタックが、酸素スカベンジ・スタックとして使用される。これらの層が、TiAlの厚さ以外は同様である場合、TiAlをより厚くすることによってより強い酸素スカベンジ・スタックが形成されるが、TiAlをより薄くすると弱い酸素スカベンジ・スタックが形成される。一方、TiAlの厚さと最上部のTiNの厚さとが同じである場合、最下部のTiNの相違によって、より薄い最下部TiNを使用してより強い酸素スカベンジ・スタックを形成することができ、より厚い最下部TiNを使用してより弱い酸素スカベンジ・スタックを形成することができる。
【0027】
図4を参照すると、酸化物層302の上方に障壁層402が形成される。障壁層402は、金属窒化物と金属炭化物、例えばTiN、TaN、TiC、TaCを含んでよく、例えば原子層堆積プロセスによって形成されてよい。
【0028】
図5に、例えばALDプロセスを使用して、障壁層402の上方に例えばTiAlCまたはTiAl、Ti、Al、NbAlCなどのnFETゲート金属502の層を堆積させた後の、結果として得られる構造を示す。
【0029】
図6に、例えばTiNなどの窒化物材料を含み得るキャップ層602の形成後の、結果として得られる構造を示す。
【0030】
図7に、ゲート・スタックのpFET部110から、障壁層402とゲート金属層502とキャップ層602との一部を除去するパターン形成およびエッチング・プロセス後の、結果として得られる構造を示す。エッチング・プロセスは、例えば、酸化物層302の一部を露出させる反応性イオン・エッチングなどの、任意の適合するエッチング・プロセスまたはプロセスの組み合わせを含み得る。
【0031】
図8に、例えば、酸化物層302の露出部上とキャップ層602上とに窒化物層802を堆積させるALDプロセスを使用する、窒化物層802の形成を示す。窒化物層802は、例えばTiNまたはTaNとすることができる。
【0032】
図9に、窒化物層802の上方への、例えばTiAlCまたはTiAl、Ti、Al、TiAlC、NbAlCを含み得るスカベンジング層902の堆積を示す。スカベンジング層902と窒化物層802とは、弱い酸素スカベンジ・スタックを画定する。
【0033】
図10に、スカベンジング層902の上方にpFET仕事関数(PWF)金属層1002を堆積させた後の、結果として得られる構造を示す。PWF層1002は、例えば原子層堆積プロセスによって形成し得る、例えばTiNまたはTaN材料を含む。
【0034】
図11に、PWF層1002の露出部の上方にゲート電極1102を堆積させた後の、結果として得られる構造を示す。ゲート電極1102は、例えば、比較的低温の充填堆積プロセスの後に、化学機械研磨(CMP)などの平坦化プロセスを使用して形成されたタングステンを含み得る。
【0035】
図11に、nFET部108とpFET部110とを含むゲート・スタック1100の例示の一実施形態を示す。
【0036】
図12ないし図15に、ゲート・スタックの代替実施形態を形成する別の例示の方法を示す。
【0037】
図12に、nFET部108とpFET部110とを有するゲート・スタックの形成を示す。ゲート・スタックの作製は、基板またはフィン上への酸化物(誘電体)層302の堆積から始まり、酸化物層302上に窒化物層802が堆積される。窒化物層802の上方に、例えばTiAlCまたはTiAl、Ti、Al、TiAlC、NbAlCなどのnFETゲート金属502の層を堆積させ、ゲート金属502の上方に例えばTiNを含み得るキャップ層602を堆積させる。
【0038】
図13に、pFET部110の窒化物層802を露出させるためにpFET部110からキャップ層602とゲート金属502との露出部を除去する、リソグラフィ・パターン形成および例えば反応性イオン・エッチングなどのエッチング・プロセス後の、結果として得られる構造を示す。
【0039】
図14に、pFET部における窒化物層802の上方とnFET部108におけるキャップ層602の上方への、例えばTiAlCまたはTiAl、Ti、Al、TiAlC、NbAlCを含み得るスカベンジング層902の堆積を示す。
【0040】
図15に、スカベンジング層902の上方にPWF層1002を堆積させた後の、結果として得られる構造を示す。PWF層1002を堆積させた後、上述と同様にしてPWF層1002の上方にゲート電極1102を形成し、例えば化学機械研磨などの適合する平坦化プロセスを使用して平坦化する。
【0041】
図15に、nFET部108とpFET部110とを含むゲート・スタック1500の例示の一実施形態を示す。
【0042】
図16ないし図20に、ゲート・スタックの別の代替実施形態を形成する別の例示の方法を示す。
【0043】
図16に、nFET部108とpFET部110とを有するゲート・スタックの形成を示す。この例示のゲート・スタックの作製は、基板またはフィン上への酸化物(誘電体)層302の堆積から始まり、酸化物層302上に窒化物層802を堆積させる。例えばTiAlCまたはTiAl、Ti、Al、TiAlC、NbAlCを含み得るスカベンジング層902を、窒化物層802の上方に堆積させる。例えばTiNを含み得るキャップ層602を、スカベンジング層902の上方に堆積させる。
【0044】
図17に、nFET部108における酸化物層302の一部を露出させる、ゲート・スタックのnFET部108からキャップ層602とスカベンジング層902と窒化物層802との露出部分を除去するリソグラフィ・パターン形成およびエッチング・プロセス後の、結果として得られる構造を示す。
【0045】
図18に、nFET部108における酸化物層302とpFET領域110におけるキャップ層602との上方に堆積させる障壁層402の堆積を示す。
【0046】
図19に、nFET部108とpFET部110とにおける障壁層402の上方へのゲート金属502の堆積を示す。
【0047】
図20に、ゲート金属層502の上方へのPWF層1002の堆積後の、結果として得られる構造を示す。PWF層1002の形成後に、上述と同様にしてPWF層1002の上方にゲート電極1102が形成され、例えば化学機械研磨などの適合する平坦化プロセスを使用して平坦化される。
【0048】
図20は、nFET部108とpFET部110とを含むゲート・スタック2000の別の例示の代替実施形態を示す。
【0049】
図21ないし図24に、ゲート・スタックの別の代替実施形態を形成する別の例示の方法を示す。
【0050】
図21は、上述の図16と類似しており、nFET部108とpFET部110とを有するゲート・スタックの形成を示す。この例示のゲート・スタックの作製は、基板またはフィン上への酸化物(誘電体)層302の堆積から始まり、酸化物層302上に窒化物層802を堆積させる。例えば、TiAlCまたはTiAl、Ti、Al、TiAlC、NbAlCを含み得るスカベンジング層902を、窒化物層802の上方に堆積させる。例えばTiNを含み得るキャップ層602を、スカベンジング層902の上方に堆積させる。
【0051】
図22に、ゲート・スタックのnFET部108から、キャップ層602とスカベンジング層902との露出部を除去するリソグラフィ・パターン形成およびエッチング・プロセス後の、結果として得られる構造を示す。エッチング・プロセスは、ゲート・スタックのnFET部108における窒化物層802を露出させる。
【0052】
図23に、ゲート・スタックのnFET部108における窒化物層802の上方とpFET部110におけるキャップ層602の上方へのゲート金属層502の堆積後の、結果として得られる構造を示す。
【0053】
図24に、ゲート金属層502の上方へのPWF層1002の堆積後の、結果として得られる構造を示す。PWF層1002の堆積に続いて、上述と同様にしてPWF層1002の上方にゲート電極1102が形成され、例えば化学機械研磨などの適合する平坦化プロセスを使用して平坦化される。
【0054】
図24は、nFET部108とpFET部110とを含むゲート・スタック2400の別の例示の代替実施形態を示す。
【0055】
図25に、フィンFETデバイスの例示の実施形態の上面図を示す。なお、フィン112および114は基板102上に配置されている。ゲート・スタック2400は、フィン112および114のチャネル領域の上方に配置されている。フィン112および114は、例えばイオン注入プロセスまたはエピタキシャル成長プロセスによって形成することができるソース/ドレイン領域2502を含む。図25に示す例示の実施形態は、ゲート・スタック2400を含むが、フィン112および114の上方に上述のようなゲート・スタック1100、1500または2000のいずれでも形成することができる。代替として、ゲート・スタック1100、1500、2000または2400は、半導体基板によって部分的に画定し得るソース領域およびドレイン領域を有するプレーナFETを形成するために、半導体基板上に形成することができる。
【0056】
図26図25の線B−Bに沿った、フィン112上のゲート・スタック2400の切断図を示す。図27に、図25の線C−Cに沿った、フィン114上のゲート・スタック2400の切断図を示す。
【0057】
図28に、図1ないし図11における上述の半導体デバイスを形成する例示の方法のブロック図を示す。図28を参照すると、ブロック2802で、デバイスのチャネル領域の上方に第1の誘電体層を形成する。ブロック2804で、第1の誘電体層の上方に障壁層を形成する。ブロック2806で、障壁層の上方に第1のゲート金属層を形成する。ブロック2808で、第1の金属層の上方にキャップ層を形成する。ブロック2810で、ゲート・スタックのp型電界効果トランジスタ(pFET)領域における第1の誘電体層の一部を露出させるために、障壁層と第1のゲート金属層とキャップ層との一部を除去する。ブロック2812で、キャップ層と第1の誘電体層との露出部上に、第1の窒化物層を堆積させる。ブロック2814で、第1の窒化物層上にスカベンジング層を堆積させる。ブロック2816で、スカベンジング層上に第2の窒化物層を堆積させる。ブロック2818で、第2の窒化物層上にゲート電極材料を堆積させる。
【0058】
本明細書に記載の方法および実施形態は、例えばTiNおよびTaNなどの単一の金属窒化物層とは異なり、pVtを規定し、調整するために比較的弱い酸素スカベンジ・スタックを備えたゲート・スタックを提供する。この弱い酸素スカベンジ・スタックは、堆積または一体化によって形成することができ、例えば、TiNまたはTaNなどの障壁層と、TiAlCまたはTiAl、Ti、Al、TiAlC、NbAlCなどの強い酸素スカベンジ材料とを含み得る。
【0059】
本発明の様々な実施形態の説明は例示のために示したものであり、網羅的であること、または開示している実施形態に限定することを意図したものではない。当業者には、記載されている実施形態の範囲および思想から逸脱することなく多くの変更および変形が明らかであろう。本明細書で使用されている用語は、実施形態の原理、実用化、または市場に見られる技術の技術的改良を最もよく説明するため、または、他の当業者が本明細書に開示されている実施形態を理解することができるようにするために選定されたものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
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図28