(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、通常、給湯器の操作パネル、照明のスイッチ、キッチン備え付けの食洗機の操作パネル等の操作機器や電源コンセントがキッチン付近に設けられている。そのため、キッチンを施工する際には、キッチンを組み立てる等の大工工事の他、電気配線を施す電気工事が必要となる。また、電気配線の挿通路を形成する等の大工工事と電気工事とは、作業者が別であるにも拘わらず、連携して行う必要がある。そのため、作業者の都合によって工期が長くなるおそれがあった。
【0007】
特に、上記特許文献1に開示された対面式キッチンの形成手法では、キッチン本体を組み立てつつ電気配線を施した後、さらに化粧パネルを取り付ける大工工事が必要となり、工期がさらに長くなるおそれがあった。
【0008】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたもので、その目的は、対面式キッチンの施工工期を短縮することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明では、少なくとも背面が化粧材で覆われていないキッチン本体の非化粧面を覆う複数の化粧パネルを備えたパネルユニットにおいて、1つの化粧パネルを電気配線の挿通路が内部に形成された機能パネルで構成することとした。
【0010】
具体的には、第1の発明は、少なくとも背面が化粧材で覆われていないキッチン本体の非化粧面を覆う複数の化粧パネルを備えた対面式キッチン用のパネルユニットであって、
上記複数の化粧パネルには、上記キッチン本体の背面側に順に並べられて該キッチン本体の背面全面を覆う複数の背面パネルが含まれ、隣接する2つの上記背面パネルは、互いの側方端部が接合され、上記複数の
背面パネルのうちの1つは、上記キッチン本体側の表面
のみにおいて両端のみが開口する電気配線の挿通路が内部に形成された機能パネルであることを特徴とするものである。
【0011】
第1の発明では、電気配線の挿通路が内部に形成された機能パネルを、キッチン本体の非化粧面を覆う化粧パネルとして用いることとした。そのため、キッチン本体及びパネルユニットの組み立て時に電気配線用の穴や通路を加工することなく、所定の位置に電気配線の挿通路を確保することができる。また、機能パネルの設置前に挿通路に電気配線又は呼び線を挿通させておけば、機能パネルを設置するだけで電気配線又は呼び線も所定の位置に配することができるため、後に行う配線作業の手間を削減して配線作業を容易に行うことができる。
【0012】
従って、第1の発明によれば、対面式キッチンを施工する際に、施工現場において電気配線の挿通路の加工作業及び配線作業を行う必要がなくなるため、対面式キッチンの施工工期を短縮することができる。
【0013】
また、第1の発明では、機能パネルをキッチン本体の背面側に設けることにより、給湯器の操作パネル、照明のスイッチ、キッチン備え付けの食洗機の操作パネル等の操作機器や電源コンセントを作業者の見やすい位置に取り付けることができる。
【0014】
第2の発明は、第1の発明において、上記挿通路の一端は、上記キッチン本体の上面よりも上方に位置し、上記挿通路の他端は、上記キッチン本体の上面よりも下方に位置していることを特徴とするものである。
【0015】
第2の発明では、挿通路がキッチン本体の上面の上方から下方に亘って形成されているため、キッチン本体の内部に配された電気配線をキッチン本体の上方の位置まで容易に引き出すことができる。そのため、第2の発明によれば、給湯器の操作パネル、照明のスイッチ、キッチン備え付けの食洗機の操作パネル等の操作機器や電源コンセントを容易に機能パネルに取り付けることができる。
【0016】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、上記挿通路は、上記機能パネルに複数形成されていることを特徴とするものである。
【0017】
第3の発明では、複数の電気機器の操作機器や電源コンセントを機能パネルに取り付けることができる。
【0018】
第
4の発明は、第
1乃至第3のいずれか1つの発明において、
上記複数の背面パネルには、上記キッチン本体のコンロの背面側に設けられ
た第1背面パネルと、上記キッチン本体の背面側に設けられ、上記第1背面パネルに隣接す
る第2背面パネルと、上記キッチン本体のシンクの背面側に設けられ、上記第2背面パネルに隣接す
る第3背面パネルと
が含まれ、上記第2背面パネルは、上記機能パネルで構成されていることを特徴とするものである。
【0019】
第
4の発明では、キッチン本体の背面側が第1〜第3背面パネルで覆われることとなる。通常、キッチン本体のコンロとシンクの間には、平坦な作業台が形成され、電気調理機器は、作業台部分で用いられることが多い。このような作業台部分に対応する第2背面パネルを機能パネルで構成し、他背面パネルを機能パネルで構成しないことにより、電気配線が必要となる箇所にのみ機能パネルが配置されることとなる。つまり、電気配線が不要な箇所には配線機能のない背面パネルを設けることにより、パネルユニットにかかるコストを低減することができる。
【0020】
第
5の発明は、第
4の発明において、上記第1背面パネルは、少なくとも上記キッチン本体側の前面が不燃材又は難燃材で構成されたパネルであることを特徴とするものである。
【0021】
第
5の発明では、コンロの背面側に設けられた第1背面パネルは、機能パネルではなく、少なくとも前面が不燃材又は難燃材で構成されたパネルで構成することとしている。これにより、コンロ周辺の防火性能を高めることができる。
【0022】
第
6の発明は、第
5の発明において、上記第1背面パネルは、上端部が天井に取り付けられ、ファンが内蔵された換気フードが取り付けられていることを特徴とするものである。
【0023】
第
6の発明では、コンロの背面側に設けられる少なくとも前面が不燃材又は難燃材で構成された第1背面パネルを、上端部が天井に至る大きさに構成している。このような構成により、対面式キッチンの防火性能を高めることができる。また、第1背面パネルをこのような大きさに構成することにより、上部に換気フードを取り付けることができる。これにより、換気フードの設置に際し、該換気フードを天井から吊り下げるための大掛かりな大工工事を省略することができる。よって、対面式キッチンの施工工期をさらなる短縮を図ることができる。また、天井から吊り下げるアイランドキッチン用の換気フードは、壁付けキッチン用の換気フードに比べて高価であるが、上記構成によれば、壁付けキッチン用の換気フードを用いることができるため、換気フードにかかるコストを低減することもできる。
【0024】
第
7の発明は、第
6の発明において、上記第1背面パネルは、上記キッチン本体に取り付けられる下側パネルと、下端部が該下側パネルの上端部に連結され、上端部が天井に取り付けられる上側パネルとによって構成されていることを特徴とするものである。
【0025】
第
7の発明では、上端部が天井に至る大きさの第1背面パネルを、1枚のパネルで構成するのではなく、2枚のパネルを連結させて用いることとしている。部材が大きすぎると、取り付け時に一人で支持できず、複数人で支持する必要が生じるが、上記構成によれば、第1背面パネルの搬入作業及び施工作業を一人で容易に行うことができる。
【0026】
第
8の発明は、第
6又は第
7の発明において、上記第1背面パネルには、上記換気フードと上記キッチン本体との間に、透明部材又は半透明部材が嵌め込まれた窓が設けられていることを特徴とするものである。
【0027】
第
8の発明によれば、第1背面パネルの換気フードとキッチン本体との間に窓が設けられている。そのため、対面式キッチンで作業する人が、上端部が天井に取り付けられる程、背の高い第1背面パネルの前に立っていても、窓を介して第1背面パネルの向こう側を見渡すことができる。そのため、第1背面パネルによって、コンロ前で作業する人に与える圧迫感を低減することができる。
【0028】
第9の発明は、少なくとも背面が化粧材で覆われていないキッチン本体と、上記キッチン本体の非化粧面を覆う複数の化粧パネルを備えた対面式キッチン用のパネルユニットとを備えた対面式キッチンであって、上記パネルユニットは、第1乃至第8のいずれか1つの発明に係るパネルユニットであることを特徴とするものである。
【0029】
第9の発明によれば、電気配線の挿通路が内部に形成された機能パネルを、キッチン本体の非化粧面を覆う化粧パネルとして用いることにより、従来よりも施工工期の短い対面式キッチンを提供することができる。
【発明の効果】
【0030】
以上説明した如く、本発明によると、対面式キッチンのキッチン本体の非化粧面を覆う複数の化粧パネルを備えたパネルユニットにおいて、1つの化粧パネルを電気配線の挿通路が内部に形成された機能パネルで構成することにより、対面式キッチンの施工工期を短縮することができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0033】
《実施形態1》
実施形態1では、本発明の実施形態の一例として、
図1に示すように、背面側に化粧が施されていない壁付式キッチン用のキッチン本体2に、本発明に係るパネルユニット10を適用したアイランドタイプの対面式キッチン1について説明する。
【0034】
〈キッチン本体〉
また、
図1に示すように、キッチン本体2は、フロアキャビネット3とワークトップ4とを備えている。キッチン本体2は、壁付式キッチン用に設計されたシステムキッチンである。そのため、キッチン本体2は、前面は化粧材で構成されるものの、背面は化粧材で構成されず、フロアキャビネット3の裏板が露出している。また、キッチン本体2は、側面も化粧材で構成されず、フロアキャビネット3の側板が露出している。ワークトップ4には、コンロ5とシンク6とが設けられている。ワークトップ4のコンロ5とシンク6との間の部分は、作業台7に構成されている。
【0035】
〈パネルユニット〉
図1〜
図3に示すように、パネルユニット10は、第1背面パネル11と、第2背面パネル12と、第3背面パネル13と、第1サイドパネル14と、第2サイドパネル15とを備えている。パネルユニット10の各パネル11〜15は、表面が化粧材で構成された化粧パネルで構成されている。
【0036】
第1〜第3背面パネル11〜13は、キッチン本体2の背面側に設けられている。第1背面パネル11は、キッチン本体2のコンロ5が設けられる一端部側に設けられ、キッチン本体2のシンク6が設けられる他端部に向かって、第2背面パネル12,第3背面パネル13の順に並んでいる。第1〜第3背面パネル11〜13は、キッチン本体2のワークトップ4の上面から200〜300mm程度上方に突出するように設けられている。第1〜第3背面パネル11〜13により、キッチン本体2の背面全面が覆われる。
【0037】
第1背面パネル11は、化粧材で構成された表面のうち、キッチン本体2側の前面となる面が、不燃材によって構成されている。このように、キッチン本体2のコンロ5に対応する位置に設けられる第1背面パネル11は、キッチン本体2側の前面が不燃材で構成された不燃性を有するパネルで構成されている。本実施形態では、第1背面パネル11は、900mm×1100mmの大きさに形成されている。
【0038】
第2背面パネル12は、600mm×1100mmの大きさに形成されている。第2背面パネル12は、内部に電気配線の挿通路30が複数(本実施形態1では、2つ)形成されている。挿通路30は、両端30a,30bが、第2背面パネル12のキッチン本体2側の前面(表面)において開口している。挿通路30の上端30aは、キッチン本体2の上面(ワークトップ4の上面)よりも上方に位置し、挿通路30の下端30bは、キッチン本体2の上面よりも下方に位置している。挿通路30は、第2背面パネル12の内部に穴を形成することによって形成されていてもよく、形成した穴に配管部材を埋め込むことによって形成されていてもよい。挿通路30の上端30aの開口は、電源コンセント、給湯器の操作パネル、照明スイッチ等を設置できるように、95mm角に形成されている。
【0039】
このように、キッチン本体2において作業台7に対応する位置に設けられる第2背面パネル12は、キッチン本体2側の前面において両端30a,30bが開口する電気配線の挿通路30が内部に形成された機能パネルに構成されている。
【0040】
なお、本実施形態では、第2背面パネル12の挿通路30の上端30aの開口部分には、第1パネル81と第2パネル82とが設けられている。第1パネル81には、電源コンセント81aと照明スイッチ81bとが形成され、第2パネル82は、給湯器の操作パネルである。各挿通路30には、第1パネル81と第2パネル82とに接続される電気配線が挿通されている。
【0041】
第2背面パネル12の側方端部は、これに隣り合う第1背面パネル11の側方端部に接合されている。具体的には、第1背面パネル11及び第2背面パネル12の互いに接合される側方端部には、それぞれ対応する上下方向に延びる溝11a,12aが形成されている。この両溝11a,12aに別材で構成した実20aを嵌め込んで接着することにより、第2背面パネル12の側方端部は、第1背面パネル11の側方端部に接合されている。
【0042】
なお、第2背面パネル12と第1背面パネル11との接合構造は、いかなるものであってもよい。第2背面パネル12の側方端部に雄実を形成し、第1背面パネル11の側方端部に雌実を形成し、雄実と雌実を嵌合させることにより、第2背面パネル12の側方端部を第1背面パネル11の側方端部に接合するように構成してもよく、雄実と雌実を逆に形成してもよい。
【0043】
第3背面パネル13は、600mm×1100mmの大きさに形成されている。なお、本実施形態では、第3背面パネル13として、600mm幅のパネルを用いているが、第3背面パネル13として、600mm幅、750mm幅及び900mm幅の3種類の幅の化粧パネルを用意し、キッチン本体2の幅に応じて適した幅の化粧パネルを用いる。このように、第3背面パネル13として3種の幅の化粧パネルを用意することにより、2100mm幅、2250mm幅、2400mm幅のシステムキッチンにパネルユニット10を適用することが可能になる。
【0044】
第3背面パネル13の側方端部は、これに隣り合う第2背面パネル12の側方端部に接合されている。具体的には、第2背面パネル12及び第3背面パネル13の互いに接合される側方端部には、それぞれ対応する上下方向に延びる溝11b,12bが形成されている。この両溝11b,12bに別材で構成した実20bを嵌め込んで接着することにより、第3背面パネル13の側方端部は、第2背面パネル12の側方端部に接合されている。
【0045】
なお、第3背面パネル13と第2背面パネル12との接合構造は、いかなるものであってもよい。第3背面パネル13の側方端部に雄実を形成し、第2背面パネル12の側方端部に雌実を形成し、雄実と雌実を嵌合させることにより、第3背面パネル13の側方端部を第2背面パネル12の側方端部に接合するように構成してもよく、雄実と雌実を逆に形成してもよい。
【0046】
第1〜第3背面パネル11〜13は、それぞれフロアキャビネット3にビス等によって固定されている。また、本実施形態1では、第1〜第3背面パネル11〜13は、下端部が、キッチン本体2の背面側の床に固定されたC型チャンネル等のパネル支持部材16に固定されている。
【0047】
第1〜第3背面パネル11〜13には、該第1〜第3背面パネル11〜13の上端面を覆う笠木17が取り付けられている。
【0048】
第1及び第2サイドパネル14,15は、キッチン本体2の側方に設けられている。第1サイドパネル14は、キッチン本体2のコンロ5が設けられる一端部側に設けられ、第2サイドパネル15は、キッチン本体2のシンク6が設けられる他端部側に設けられている。第1サイドパネル14により、キッチン本体2のコンロ5側の側面全面が覆われ、第2サイドパネル15により、キッチン本体2のシンク6側の側面全面が覆われる。
【0049】
第1サイドパネル14と第2サイドパネル15とは、左右反転形状に形成されている。第1及び第2サイドパネル14,15は、第1〜第3背面パネル11〜13と同様に、キッチン本体2のワークトップ4の上面から上方に突出するように設けられている。本実施形態では、第1及び第2サイドパネル14,15は、後端部の高さが第1〜第3背面パネル11〜13の高さ(1100mm)に等しく、後端部から前方へ向かう程、高さが低くなるように形成されている。また、第1及び第2サイドパネル14,15は、キッチン本体2の奥行き650mmに対し、710mm幅に形成されている。
【0050】
第1サイドパネル14の後端部は、第1背面パネル11の一端側の側方端部に、略垂直に接合されている。具体的には、互いに接合される第1サイドパネル14の後端部と第1背面パネル11の側方端部には、それぞれ対応する上下方向に延びる溝14c,11cが形成されている。この両溝14c,11cに別材で構成した実20cを嵌め込んで接着することにより、第1サイドパネル14の後端部は、第1背面パネル11の側方端部に接合されている。
【0051】
なお、第1サイドパネル14と第1背面パネル11との接合構造は、いかなるものであってもよい。別材で構成していた実20cが、第1サイドパネル14又は第1背面パネル11と一体に形成されるものであってもよい。
【0052】
第2サイドパネル15の後端部は、第3背面パネル13の他端側の側方端部に、略垂直に接合されている。具体的には、互いに接合される第2サイドパネル15の後端部と第3背面パネル13の側方端部には、それぞれ対応する上下方向に延びる溝15d,13dが形成されている。この両溝15d,13dに別材で構成した実20dを嵌め込んで接着することにより、第2サイドパネル15の後端部は、第3背面パネル13の側方端部に接合されている。
【0053】
なお、第2サイドパネル15と第3背面パネル13との接合構造は、いかなるものであってもよい。別材で構成していた実20dが、第2サイドパネル15又は第3背面パネル13と一体に形成されるものであってもよい。
【0054】
−対面式キッチンの組立手順の一例−
まず、キッチン本体2の背面側の床にC型チャンネル等のパネル支持部材16を固定する。そして、第1背面パネル11及び第1サイドパネル14を設置する。
【0055】
まず、第1背面パネル11を設置する。第1背面パネル11を設置位置に配置し、下端部を上記パネル支持部材16に固定する。第1背面パネル11の設置後、第1サイドパネル14を設置する。第1サイドパネル14は、後端部を第1背面パネル11の側方端部に接合する。
【0056】
第1背面パネル11及び第1サイドパネル14の設置後、残りの背面パネル12,13を、第2背面パネル12、第3背面パネル13の順に設置する。具体的には、第2背面パネル12の側方端部を、第1背面パネル11の側方端部に接合し、さらに、第2背面パネル12の下端部を上記パネル支持部材16に固定する。第2背面パネル12の設置後、第3背面パネル13を設置する。第3背面パネル13の側方端部を、第2背面パネル12の側方端部に接合し、さらに、第3背面パネル13の下端部を上記パネル支持部材16に固定する。
【0057】
ここで、第2背面パネル12を設置する際には、第1及び第2パネル81,82を取り付け、各挿通路30に第1及び第2パネル81,82にそれぞれ接続される電気配線を挿通させておく。なお、第1及び第2パネル81,82を取り付けずに、各挿通路30に呼び線を挿通させておいてもよい。この場合、第2背面パネル12の設置後に呼び線を用いて電気配線を各挿通路30に挿通させ、第1及び第2パネル81,82と接続し、該第1及び第2パネル81,82を第2背面パネル12に取り付けることとなる。
【0058】
第1〜第3背面パネル11〜13及び第1サイドパネル14の設置後、キッチン本体2のフロアキャビネット3を組み立てる。そして、フロアキャビネット3と第1〜第3背面パネル11〜13及び第1サイドパネル14をそれぞれビス等で固定する。
【0059】
フロアキャビネット3の組立後、第2サイドパネル15を設置する。第2サイドパネル15は、後端部を第3背面パネル13の側方端部に接合し、ビス等でフロアキャビネット3に固定する。
【0060】
第2サイドパネル15の設置後、ワークトップ4をフロアキャビネット3の上部に取り付ける。
【0061】
以上の手順により、対面式キッチン1が組み立てられる。
【0062】
−実施形態1の効果−
本実施形態1では、電気配線の挿通路30が内部に形成された第2背面パネル12(機能パネル)を、キッチン本体2の非化粧面を覆う化粧パネルとして用いることとした。そのため、キッチン本体2及びパネルユニット10の組み立て時に電気配線用の穴や通路を加工することなく、所定の位置に電気配線の挿通路30を確保することができる。また、第2背面パネル12の設置前に挿通路30に電気配線又は呼び線を挿通させておけば、第2背面パネル12を設置するだけで電気配線又は呼び線も所定の位置に配することができるため、後に行う配線作業の手間を削減して配線作業を容易に行うことができる。
【0063】
従って、本実施形態1によれば、対面式キッチン1を施工する際に、施工現場において電気配線の挿通路30の加工作業及び配線作業を行う必要がなくなるため、対面式キッチン1の施工工期を短縮することができる。
【0064】
また、本実施形態1では、第2背面パネル12に設けられた挿通路30が、キッチン本体2の上面の上方から下方に亘って形成されている。そのため、キッチン本体2の内部に配された電気配線をキッチン本体2の上方の位置まで容易に引き出すことができる。よって、本実施形態1によれば、給湯器の操作パネル、照明のスイッチ、キッチン備え付けの食洗機の操作パネル等の操作機器や電源コンセントを容易に機能パネルに取り付けることができる。
【0065】
また、本実施形態1では、第2背面パネル12に電気配線の挿通路30が複数形成されている。そのため、複数の電気機器の操作機器(照明スイッチ81b、給湯器の操作パネル82)や電源コンセント81aを機能パネルに取り付けることができる。
【0066】
また、本実施形態1では、機能パネルである第2背面パネル12をキッチン本体2の背面側に設けることにより、給湯器の操作パネル、照明のスイッチ、キッチン備え付けの食洗機の操作パネル等の操作機器や電源コンセントを作業者の見やすい位置に取り付けることができる。
【0067】
また、本実施形態1では、キッチン本体2の背面側が第1〜第3背面パネル11〜13で覆われることとなる。通常、キッチン本体2のコンロ5とシンク6の間には、平坦な作業台7が形成され、電気調理機器は、作業台7部分で用いられることが多い。このような作業台7部分に対応する第2背面パネル12を機能パネルで構成し、他背面パネルを機能パネルで構成しないことにより、電気配線が必要となる箇所にのみ機能パネルが配置されることとなる。つまり、電気配線が不要な箇所には配線機能のない背面パネルを設けることにより、パネルユニット10にかかるコストを低減することができる。
【0068】
また、本実施形態1では、コンロ5の背面側に設けられた第1背面パネル11は、機能パネルではなく、少なくとも前面が不燃材で構成された不燃性を有するパネルで構成することとしている。これにより、コンロ5周辺の防火性能を高めることができる。
【0069】
また、本実施形態1によれば、電気配線の挿通路30が内部に形成された機能パネルを、キッチン本体2の非化粧面を覆う化粧パネルとして用いることにより、従来よりも施工工期の短い対面式キッチン1を提供することができる。
【0070】
《実施形態2》
実施形態2では、本発明の実施形態の一例として、
図5に示すように、背面側に化粧が施されていない壁付式キッチン用のキッチン本体2に、本発明に係るパネルユニット10を適用したペニンシュラタイプの対面式キッチン1について説明する。なお、以下では、実施形態1と異なる部分についてのみ説明する。
【0071】
[パネルユニット]
図5に示すように、実施形態2では、対面式キッチン1が、キッチン本体2のコンロ5が設けられる一端部側の側面が、壁Wに当接するペニンシュラタイプの対面式キッチンに構成されている。そのため、実施形態2では、パネルユニット10は、第1サイドパネル14を備えず、第1背面パネル11と、第2背面パネル12と、第3背面パネル13と、サイドパネル15とを備えている。
【0072】
また、実施形態2では、第1背面パネル11が、下側パネル11Aと上側パネル11Bの2枚のパネルで構成されている。下側パネル11Aと上側パネル11Bとは、大きさが異なるのみで同様に構成されている。下側パネル11Aと上側パネル11Bとは、化粧材で構成された表面のうち、キッチン本体2側の前面となる面が、不燃材によって構成されている。このように、キッチン本体2のコンロ5に対応する位置に設けられる第1背面パネル11は、キッチン本体2側の前面が不燃材で構成された不燃性を有するパネルで構成されている。
【0073】
下側パネル11A及び上側パネル11Bは、900mm幅に形成されている。下側パネル11Aの高さは、第2背面パネル12及び第3背面パネル13の高さと同じ高さ(1100mm)である。上側パネル11Bは、高さが下側パネル11Aより高く、1300mmとなるように形成されている。上側パネル11Bは、設置現場の天井高さに応じて、第1背面パネル11が、床から天井に亘って設けられるように、施工時にカットされる。また、上側パネル11Bには、前面側に換気フード70が取り付けられる。
【0074】
下側パネル11Aの上端部と上側パネル11Bの下端部とは、本実加工が施され、雄実と雌実とを嵌め合わせることによって接合されている。なお、下側パネル11Aの上端部と上側パネル11Bの下端部との接合構造は、いかなるものであってもよく、例えば、下側パネル11Aの上端面及び上側パネル11Bの下端面のそれぞれに対応する溝を設け、この両溝に嵌まる実を形成し、実を両溝に嵌め込んで接合する雇い実継ぎ等によって接合されていてもよい。
【0075】
第2背面パネル12及び第3背面パネル13は、実施形態1と同様に構成されている。
【0076】
第1背面パネル11の下側パネル11A、第2背面パネル12及び第3背面パネル13は、それぞれフロアキャビネット3にビス等によって固定されると共に、下端部が、キッチン本体2の背面側の床に固定されたC型チャンネル等のパネル支持部材16に固定されている。一方、第1背面パネル11の上側パネル11Bは、上述のように、下端部が下側パネル11Aの上端部に接合されると共に、上端部が、キッチン本体2の背面側の天井に固定されたC型チャンネル等のパネル支持部材18に固定されている。
【0077】
第1背面パネル11の上側パネル11Bには、壁Wに当接する側面とは逆側の側面を覆う笠木19が取り付けられている。また、実施形態1において第1〜第3背面パネル11〜13の上端面を覆っていた笠木17は、実施形態1よりも長さが短く形成され、第2及び第3背面パネル12,13の上端面を覆っている。
【0078】
サイドパネル15は、実施形態1の第2サイドパネル15と同様に構成され、この第2サイドパネル15と同様に、後端部が第3背面パネル13の側方端部に接合される。
【0079】
−実施形態2の効果−
以上の構成により、実施形態2においても、実施形態1と同様の効果を奏する。
【0080】
また、本実施形態2では、キッチン本体2のコンロ5の背面側に設けられる前面が不燃材で構成された第1背面パネル11を、上端部が天井に至る大きさに構成することとした。このような構成により、対面式キッチン1の防火性能を高めることができる。また、第1背面パネル11をこのような大きさに構成することにより、上部に換気フード70を取り付けることができる。これにより、換気フード70の設置に際し、該換気フード70を天井から吊り下げるための大掛かりな大工工事を省略することができる。よって、対面式キッチン1の施工工期をさらなる短縮を図ることができる。また、天井から吊り下げるアイランドキッチン用の換気フードは、壁付けキッチン用の換気フードに比べて高価であるが、上記構成によれば、壁付けキッチン用の換気フードを用いることができるため、換気フード70にかかるコストを低減することもできる。
【0081】
また、本実施形態2では、上端部が天井に至る大きさの第1背面パネル11を、1枚のパネルで構成するのではなく、2枚のパネル11A,11Bを連結させて用いることとしている。部材が大きすぎると、取り付け時に一人で支持できず、複数人で支持する必要が生じるが、上記構成によれば、第1背面パネル11の搬入作業及び施工作業を一人で容易に行うことができる。
【0082】
−実施形態2の変形例1−
実施形態2の変形例1は、第1背面パネル11に窓80を設けたものである。窓80は、第1背面パネル11の換気フード70とキッチン本体2との間の高さ位置に設けられている。
【0083】
具体的には、
図6に示すように、変形例1では、窓80は、第1背面パネル11の下側パネル11Aと上側パネル11Bとの間に設けられている。また、下側パネル11Aは、実施形態2と同様に構成され、上側パネル11Bは、実施形態2よりも高さが低いパネルで構成されている。窓80は、下側パネル11A及び上側パネル11Bと同様の900mm幅に形成され、下端部が下側パネル11Aの上端部に接合され、上端部が上側パネル11Bの上端部に接合されている。
【0084】
なお、窓80の下端部及び上端部と下側パネル11A及び上側パネル11Bとの接合構造は、いかなるものであってもよく、各接合部に本実加工を施して接合してもよく、雇い実を介して接合してもよい。
【0085】
また、
図6では、窓80の一例として、6つの開口部を有する窓枠に、透明のガラス部材が嵌め込まれた格子窓を例示しているが、窓80は、透明又は半透明の部材が嵌め込まれたものであればいかなる形状のものであってもよい。
【0086】
以上のような構成により、本変形例1によれば、第1背面パネル11の換気フード70とキッチン本体2との間に窓80が設けられている。そのため、対面式キッチン1で作業する人が、上端部が天井に取り付けられる程、背の高い第1背面パネル11の前に立っていても、窓80を介して第1背面パネル11の向こう側を見渡すことができる。そのため、第1背面パネル11によって、コンロ5前で作業する人に与える圧迫感を低減することができる。
【0087】
−実施形態2の変形例2−
実施形態2の変形例2は、変形例1と同様に、第1背面パネル11に窓80を設けたものである。窓80は、第1背面パネル11の換気フード70とキッチン本体2との間の高さ位置に設けられている。
【0088】
具体的には、
図7に示すように、変形例2では、窓80は、第1背面パネル11の上側パネル11Bに形成されている。具体的には、窓80は、上側パネル11Bの換気フード70とキッチン本体2との間の高さ位置に形成された矩形状の開口に固定されている。つまり、変形例2では、上側パネル11Bの一部分が窓80に構成されている。
【0089】
なお、
図7では、窓80の一例として、矩形状の窓枠に、透明のガラス部材が嵌め込まれた窓を例示しているが、窓80は、透明又は半透明の部材が嵌め込まれたものであればいかなる形状のものであってもよい。
【0090】
以上のような構成により、本変形例2によっても、変形例1と同様に、第1背面パネル11の換気フード70とキッチン本体2との間に窓80が設けられている。そのため、対面式キッチン1で作業する人が、上端部が天井に取り付けられる程、背の高い第1背面パネル11の前に立っていても、窓80を介して第1背面パネル11の向こう側を見渡すことができる。そのため、第1背面パネル11によって、コンロ5前で作業する人に与える圧迫感を低減することができる。
【0091】
−実施形態2の変形例3−
実施形態2の変形例3は、変形例1と同様に、第1背面パネル11に窓80を設けたものである。窓80は、第1背面パネル11の換気フード70とキッチン本体2との間の高さ位置に設けられている。
【0092】
具体的には、
図8に示すように、変形例3では、窓80は、第1背面パネル11の上側パネル11Bに形成されている。具体的には、変形例3では、上側パネル11BがL字形状に形成されるように、上側パネル11Bの下部で第2背面パネル12寄りの位置に矩形状の切欠きが形成され、この切欠きに窓80が固定されている。なお、切欠きは、コンロ5前で作業する人の前に窓80が配置されるように、上側パネル11Bの幅方向において、第2背面パネル12側の一端から他端へ向かって幅方向の中央を越えた位置まで延びている。このように、変形例3においても、変形例2と同様に、上側パネル11Bの一部分が窓80に構成されている。
【0093】
なお、
図8では、窓80の一例として、矩形状の窓枠に、透明のガラス部材が嵌め込まれた窓を例示しているが、窓80は、透明又は半透明の部材が嵌め込まれたものであればいかなる形状のものであってもよい。
【0094】
以上のような構成により、本変形例3によっても、変形例1,2と同様に、第1背面パネル11の換気フード70とキッチン本体2との間に窓80が設けられている。そのため、対面式キッチン1で作業する人が、上端部が天井に取り付けられる程、背の高い第1背面パネル11の前に立っていても、窓80を介して第1背面パネル11の向こう側を見渡すことができる。そのため、第1背面パネル11によって、コンロ5前で作業する人に与える圧迫感を低減することができる。
【0095】
《その他の実施形態》
上記実施形態1では、パネルユニット10は、第1〜第3背面パネル11〜13と、第1及び第2サイドパネル14,15とを備え、実施形態2では、パネルユニット10は、第1〜第3背面パネル11〜13と、サイドパネル15とを備えていた。しかしながら、本発明に係るパネルユニット10は、キッチン本体2の非化粧面を覆う複数の化粧パネルを備え、複数の化粧パネルのうちの1つが、上記実施形態1,2の第2背面パネル12のような機能パネルに構成されるものであればいかなる構成であってもよい。そのため、キッチン本体2の非化粧面が背面のみである場合、パネルユニット10は、第1〜第3背面パネル11〜13のみで構成されていてもよい。
【0096】
また、上記実施形態1,2では、パネルユニット10は、3枚の背面パネル11〜13を備えていたが、背面パネルの枚数は、これに限られない。そのため、パネルユニット10は、2枚の背面パネルを備えるものであってもよく、4枚以上の背面パネルを備えるものであってもよい。
【0097】
また、上記実施形態1,2では、第2背面パネル12が、キッチン本体2側の表面において両端が開口する電気配線の挿通路30が内部に形成された機能パネルに構成されていた。しかしながら、本発明に係るパネルユニット10は、キッチン本体2の非化粧面を覆う複数の化粧パネルの1つが機能パネルに構成されていればよく、第2サイドパネル15(実施形態2ではサイドパネル15)や、第3背面パネル13が機能パネルに構成されていてもよい。
【0098】
また、上記実施形態1,2では、第2背面パネル12に、2つの挿通路30が形成されていたが、挿通路30の数はこれに限定されない。第2背面パネル12に形成する挿通路30の数は、1つでも3つ以上であってもよい。
【0099】
また、上記実施形態1,2では、第1背面パネル11は、前面が不燃材で構成されていたが、前面だけでなく、基材が不燃材で構成されたものであってもよい。また、第1背面パネル11は、前面が難燃材で構成された難燃性を有するパネルであってもよい。さらに、第1背面パネル11は、前面だけでなく、基材も難燃材で構成されたものであってもよい。
【0100】
また、上記実施形態2では、第1背面パネル11を、下側パネル11Aと上側パネル11Bの2枚のパネルで構成していたが、第1背面パネル11は、1枚のパネルで構成されていてもよい。
【0101】
さらに、上記実施形態2の変形例2,3では、第1背面パネル11を、下側パネル11Aと上側パネル11Bの2枚のパネルで構成し、上側パネル11Bに窓80を形成していたが、上述ように、第1背面パネル11を1枚のパネルで構成し、この1枚のパネルに開口又は切欠きを形成して該開口又は切欠きに窓80を設けることとしてもよい。