(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0031】
(全体構成)
以下、本発明の実施形態に係る入力装置について説明する。
図1は、本実施形態の入力装置100の概略斜視図である。入力装置100は、一例において、図示しない車両の運転席付近に位置する。入力装置100は、例えば、運転手といった操作者の手により操作される。操作者は、後述の操作部材110を手でつかみ、2次元面内で操作部材110を移動させ、後述の決定動作を行うことにより処理を命じる。処理は、例えば、車両の空調の選択、空調の設定温度の変更、音楽の再生であるが、これらに限定されない。
【0032】
本明細書において、互いに直交するx方向、y方向、及びz方向を規定する。x方向は、互いに逆を向くx1方向とx2方向とを区別せずに表す。y方向は互いに逆を向くy1方向とy2方向とを区別せずに表す。z方向は互いに逆を向くz1方向とz2方向とを区別せずに表す。これらの方向は、相対的な位置関係を説明するために便宜上規定するのであって、実際の使用時の方向を限定するわけではない。構成要素の形状は、「略」という記載があるかないかにかかわらず、本明細書で開示された実施形態の技術思想が実現される限り、記載された表現に基づく厳密な幾何学的な形状に限定されない。
【0033】
図1に示すように、入力装置100は、2次元面内に設定される複数の区域190(
図4)に対応して移動可能に支持された操作部材110と、第1駆動装置111−1と第2駆動装置111−2と第3駆動装置111−3と(以下、区別せずに駆動装置111と呼ぶ場合がある)、第1駆動軸112−1と第2駆動軸112−2と第3駆動軸112−3と(以下、区別せずに駆動軸112と呼ぶ場合がある)、第1ギア113−1と第2ギア113−2と(以下、区別せずにギア113と呼ぶ場合がある)、第1中継部材114−1と第2中継部材114−2と(以下、区別せずに中継部材114と呼ぶ場合がある)、制御装置115とを含む。
【0034】
操作部材110は、z方向に延びた中心軸をもつ円柱であり、xy平面に広がる扁平な円盤である。操作部材110は、図示される形状に限られず、例えば、球形でもよい。
【0035】
第3駆動軸112−3は、z方向に延びた略円柱体であり、z方向に延びた中心軸の周りで回転する。第3駆動軸112−3のz2側端部は、操作部材110のz1側に固定される。操作部材110と第3駆動軸112−3とは、相互に固定されて一体的に動く。第3駆動装置111−3は、第3駆動軸112−3を回転させ、さらに、第3駆動軸112−3の回転を検出する。第3駆動装置111−3は、図示しない筐体により、x方向とy方向とに平行移動可能に支持され、さらに、z方向に移動しないように支持される。操作部材110と第3駆動装置111−3と第3駆動軸112−3とは、一体的に、x方向とy方向とに平行移動する。他の例において、第3駆動装置111−3は、z方向に移動可能に支持されて、入力装置100が第3駆動装置111−3のz方向の移動を検出する検出装置を備えてもよい。
【0036】
第1中継部材114−1は、x方向に延びた2つの直線部とy方向に延びた2つの直線部とにより構成され、xy平面に平行に広がる略長方形の枠状部材である。第1中継部材114−1の内部に第3駆動装置111−3が配置される。第1中継部材114−1は、図示しない筐体により、x方向に平行移動可能に支持され、さらに、z方向とy方向とに移動しないように支持される。
【0037】
第1中継部材114−1の内側におけるx方向の幅は、第3駆動装置111−3のx方向の幅と同程度であるので、第3駆動装置111−3と第1中継部材114−1とは、x方向に一体的に動く。第1中継部材114−1の内側におけるy方向の幅は、第3駆動装置111−3のy方向の幅より大きいので、第3駆動装置111−3のy方向の動きは第1中継部材114−1に伝達されない。
【0038】
第1駆動軸112−1は、y方向に延びた略円柱体であり、y方向に延びた中心軸の周りで回転する。第1駆動装置111−1は、第1駆動軸112−1を回転させ、さらに、第1駆動軸112−1の回転を検出する。第1駆動軸112−1のy2側端部は、第1ギア113−1のy1側に固定される。第1ギア113−1と第1駆動軸112−1とは、y方向に延びた中心軸の周りで一体的に回転する。第1中継部材114−1のz2側の一部に形成されたギア溝が第1ギア113−1とかみ合う。第1中継部材114−1がx方向に動くと、第1ギア113−1が回転する。第1ギア113−1が回転すると、第1中継部材114−1がx方向に動く。
【0039】
第2中継部材114−2は、x方向に延びた2つの直線部とy方向に延びた2つの直線部とにより構成され、xy平面に平行に広がる略長方形の枠状部材である。第2中継部材114−2の内部に第3駆動装置111−3が配置される。第2中継部材114−2は、図示しない筐体により、y方向に平行移動可能に支持され、さらに、z方向とx方向とに移動しないように支持される。
【0040】
第2中継部材114−2の内側におけるy方向の幅は、第3駆動装置111−3のy方向の幅と同程度であるので、第3駆動装置111−3と第2中継部材114−2とは、y方向に一体的に動く。第2中継部材114−2の内側におけるx方向の幅は、第3駆動装置111−3のx方向の幅より大きいので、第3駆動装置111−3のx方向の動きは第2中継部材114−2に伝達されない。
【0041】
第2駆動軸112−2は、x方向に延びた略円柱体であり、x方向に延びた中心軸の周りで回転する。第2駆動装置111−2は、第2駆動軸112−2を回転させ、さらに、第2駆動軸112−2の回転を検出する。第2駆動軸112−2のx2側端部は、第2ギア113−2のx1側に固定される。第2ギア113−2と第2駆動軸112−2とは、x方向に延びた中心軸の周りで一体的に回転する。第2中継部材114−2のz2側の一部に形成されたギア溝が第2ギア113−2とかみ合う。第2中継部材114−2がy方向に動くと、第2ギア113−2が回転する。第2ギア113−2が回転すると、第2中継部材114−2がy方向に動く。
【0042】
すなわち、操作部材110のx方向の直線運動と、第1駆動軸112−1の回転運動とが相互に変換される。操作部材110のy方向の直線運動と、第2駆動軸112−2の回転運動とが相互に変換される。直線運動と回転運動の変換は、本実施形態で例示した構成に限定されない。
【0043】
(駆動装置)
図2は、
図1に示す駆動装置111の概略構成図である。3つの駆動装置111は、同じ構成をもつ。駆動装置111は、回転検出部121とトルクセンサ122と力付与部123とを含む。回転検出部121は、例えば、ロータリーエンコーダーであり駆動軸112の回転量を検出する。トルクセンサ122は、例えば、磁歪式であり、駆動軸112に加わるトルクを検出する。力付与部123は、回転力付与部124と抵抗力付与部125とを含み、駆動軸112に様々な力を印加する。
【0044】
回転力付与部124は、電動モーターである。一例において、回転力付与部124は、外部からの指令に従って、コイルに流れる電流を変化させることにより、永久磁石を搭載した駆動軸112を回転させる。
【0045】
抵抗力付与部125は、伝達部材131とコイルケース132と磁界印加部133と磁気粘性流体134とを含む。伝達部材131は、駆動軸112の周りで、駆動軸112から遠ざかる方向に広がる円盤状部材である。伝達部材131は、駆動軸112に固定され、操作部材110の移動に応じて動く。すなわち、伝達部材131の動きが、操作部材110(
図1)に伝達され、操作部材110(
図1)の動きが伝達部材131に伝達される。
【0046】
コイルケース132は、駆動軸112を囲むように、駆動軸112から離れて配置される。磁界印加部133は、コイルケース132内で、駆動軸112をドーナツ状に囲むように位置するコイルである。磁気粘性流体134が、コイルケース132と伝達部材131との間の隙間に位置し、コイルケース132と伝達部材131との両方に接触する。
【0047】
外部から磁界印加部133に供給される電流の変化に応じて、磁気粘性流体134に印加される磁界が変化する。駆動軸112の延びる方向における磁気粘性流体134を貫く磁界の大きさが変化するのに応じて、磁気粘性流体134内の粒子の結合力が変化する。結合力の変化に応じて、伝達部材131とコイルケース132との間の相対的な動きに対する抵抗力(摩擦力とも呼ばれる)が変化する。
【0048】
操作者は、抵抗力付与部125において生じる摩擦力を、回転に抗する抵抗力として感じる。すなわち、抵抗力付与部125は、磁気粘性流体134と伝達部材131との間の抵抗力を変化させることにより、操作部材110(
図1)に付与される抵抗力を変化させる。
【0049】
(制御装置)
図3は、
図1に示す3つの駆動装置111と制御装置115との構成を示すブロック図である。第1駆動装置111−1〜第3駆動装置111−3の構成要素は、それぞれ、頭に「第1」、「第2」および「第3」を付し、末尾に「−1」、「−2」および「−3」を付して区別する。制御装置115は、記憶装置150と演算処理装置160と表示部170とを含む。
【0050】
(記憶装置)
記憶装置150は、制御プログラム151と接続関係152とノード情報153とを記憶する。制御プログラム151は、演算処理装置160によって読み出されて、演算処理装置160に制御方法の一部を行うための機能、及び他の機能を実装させる。演算処理装置160が種々の機能を実行するとき、記憶装置150は、演算処理装置160に制御されて、適宜必要な情報を記憶する。記憶装置150は、非一時的な有形の記憶媒体である。記憶装置150は、ROM(Read only memory)及びRAM(Random access memory)を含む。記憶装置150は、揮発性または不揮発性の記憶媒体である。記憶装置150は、取り外し可能であってもよく、取り外し不能であってもよい。
【0051】
図4は、記憶装置150に記憶された第1ノード180−1〜第18ノード180−18(以下、区別せずにノード180と呼ぶ場合がある)の例示的な接続関係152を示す図である。接続関係152に含まれる複数のノード180は、18個に限るわけではない。複数のノード180の相互関係は、
図4に示すものに限られない。接続の表現は、
図4に示すものに限られない。
【0052】
複数のノード180が、上位のノード180に接続された1つ以上のノード180と、下位の1つ以上のノード180に接続された1つ以上のノード180と、下位のノード180のいずれにも接続されない1つ以上のノード180とを含む。
【0053】
具体的には、最上位の第1ノード180−1の下位に、第2ノード180−2〜第6ノード180−6が接続される。第3ノード180−3の下位に、第7ノード180−7〜第9ノード180−9が接続される。第4ノード180−4の下位に、第10ノード180−10〜第12ノード180−12が接続される。第8ノード180−8の下位に、第13ノード180−13〜第15ノード180−15が接続される。第9ノード180−9の下位に、第16ノード180−16〜第18ノード180−18が接続される。
【0054】
図3に示すノード情報153は、
図4に示す複数のノード180に対応付けられた情報を示す。例えば、
図4に示す第3ノード180−3の情報は、「オーディオの起動」である。第8ノード180−8の情報は、「テレビの起動」である。第9ノード180−9の情報は、「ラジオの起動」である。第10ノード180−10の情報は、「ラジオの起動」である。第17ノード180−17の情報は、「ラジオの周波数の切り替え」である。
【0055】
図4において、第3ノード180−3が、選択ノード181として例示される。選択ノード181は、複数のノード180から選択され、後述のように操作部材110(
図1)の位置に応じて切り替わる。
【0056】
(演算処理装置)
図3に示す演算処理装置160は、記憶装置150に記憶された制御プログラム151を読み出して実行することにより、力制御部161と区域検出部162とノード選択部163と表示制御部164と決定動作検出部165と実行部166と、として機能する。本実施形態の演算処理装置160は、汎用コンピュータであるが、特定用途向け集積回路(ASIC:Application specific integrated circuits)であってもよく、本実施形態で説明される各機能を実装可能な他の回路であってもよい。
【0057】
表示部170は、例えば、液晶ディスプレイであり、演算処理装置160からの指示に従って種々の画像を表示する。
【0058】
(区域)
図5は、一例における複数の区域190を模式的に表す図である。
図5に示すように、各区域190は、x方向に沿った2辺とy方向に沿った2辺とにより囲まれた略正方形の領域として設定される。すべての区域190が同じ形状をもつ。他の例において、区域190の形状は、他の形状でもよい。x方向に直線的に並んだ7つの区域190が1つの行を形成し、y方向に5つの行が並ぶ。見方を変えると、y方向に直線的に並んだ5つの区域190が1つの列を形成し、x方向に5つの列が並ぶ。合計で35個の区域190が存在する。
【0059】
区域190の位置は、0〜6のx座標と0〜4のy座標とを用いて(x、y)と表記する。
図5において、ある時点での例示的な操作部材110の位置を、模式的に区域190より小さな点で表す。実際の操作部材110の大きさは、区域190より大きくてもよい。y座標の同じ区域190は、同じ層に属する。y座標の小さい区域190は、y座標の大きい区域190より上層にあると表現する。y座標の大きい区域190は、y座標の小さい区域190より下層にあると表現する。
【0060】
操作部材110は、y1方向(第1順方向とも呼ばれる)と、y2方向(第1逆方向とも呼ばれる)と、x1方向(第2順方向とも呼ばれる)と、x2方向(第2逆方向とも呼ばれる)とに移動可能に支持される。互いに逆を向く第1順方向と第1逆方向とは、単に方向を識別するための名称である。互いに逆を向く第2順方向と第2逆方向とは、単に方向を識別するための名称である。第1順方向と第1逆方向との各々が、第2順方向と第2逆方向との両方に交差する。
【0061】
図5において斜線でハッチングした制限区域191は、複数の区域190のうち操作部材110が移動できない範囲を表す。
図5では、代表して1つの制限区域191のみに符号を付しているが、ハッチングしたすべての区域190を制限区域191と呼ぶ。斜線でハッチングされていない許可区域192は、複数の区域190のうち操作部材110が移動できる範囲を表す。
図5では、代表して1つの許可区域192のみに符号を付しているが、ハッチングされていないすべての区域190を許可区域192と呼ぶ。操作部材110の位置に応じて制限区域191と許可区域192とが設定される。例えば、
図5において、座標(3、1)にある操作部材110は、x1方向とx2方向とy1方向とにおいて区域190間の移動が可能であるが、y2方向において区域190間の移動はできない。
【0062】
決定対象区域193は、許可区域192のうち後述の決定動作が検出される区域190として割り当てられる。決定対象区域193は、
図4において下位のノード180をもたない第2ノード180−2と、第5ノード180−5〜第7ノード180−7と、第10ノード180−10〜第18ノード180−18とに対応して割り当てられる。
【0063】
(力制御部)
図3に示す力制御部161は、3つの回転検出部121と3つのトルクセンサ122との出力に基づいて、3つの力付与部123により各駆動軸112(
図2)に印加する力を制御する。操作者の操作により駆動軸112(
図2)が1つの回転方向に回転するときに、回転力付与部124が駆動軸112(
図2)に回転方向の力を印加することにより、操作者は、加速する力を感じる。回転力付与部124が駆動軸112(
図2)に回転方向とは逆方向の力を印加することにより、操作者は、抵抗力を感じる。
【0064】
力制御部161は、また、抵抗力付与部125により駆動軸112(
図2)に加わる抵抗力の大小を変える。電動モーターである回転力付与部124よりも、磁気粘性流体134を用いた抵抗力付与部125の方が、より明確な抵抗力を駆動軸112(
図2)に与えることができる。力制御部161は、回転力付与部124と抵抗力付与部125とを組み合わせて、駆動軸112(
図2)に力を付与する。
【0065】
力制御部161は、各区域190(
図5)内で、各区域190(
図5)の中心に引き込むように操作部材110(
図1)に力を付与する。すなわち、力制御部161は、力付与部123により、操作部材110(
図1)の移動方向が区域190(
図5)から出る方向であるときに、操作部材110(
図1)に対して移動方向とは逆方向の抵抗力を付与する。区域190(
図5)の中心から区域190(
図5)間の境界に近づくほど抵抗力が大きくなる。2つの区域190(
図5)間で操作部材110(
図1)を移動させるのに必要な力は、人の手の力で乗り越えられる程度の大きさである。
【0066】
操作部材110(
図1)のxy平面内における移動に応じて変化する第1回転検出部121−1と第2回転検出部121−2と第1トルクセンサ122−1と第2トルクセンサ122−2との出力は、主として、第1駆動軸112−1(
図1)と第2駆動軸112−2(
図1)とに印加する力を制御するために使用される。操作部材110(
図1)のz軸周りの回転に応じて変化する第3回転検出部121−3と第3トルクセンサ122−3との出力は、主として、第3駆動軸112−3(
図1)に印加する力を制御するために使用される。例えば、操作者が操作部材110(
図1)を回転させると、ダイヤルのメモリ幅に合わせた所定角度で段階的に抵抗力が付与される。
【0067】
(区域検出部)
図3に示す区域検出部162は、第1回転検出部121−1と第1トルクセンサ122−1と第2回転検出部121−2と第2トルクセンサ122−2との出力に基づいて、操作部材110の位置する区域190(
図5)を検出する。
【0068】
(ノード選択部)
図3に示すノード選択部163は、検出された操作部材110の位置する区域190(
図5)に応じて、
図4に示すように、ノード180の1つを選択ノード181として選択する。
【0069】
図4を参照して説明すると、ノード選択部163(
図3)は、操作部材110(
図5)のy1方向への移動に応じて、移動前の選択ノード181の下位に接続された1つのノード180を選択ノード181として選択する。例えば、移動前に第3ノード180−3が選択ノード181である場合、操作部材110(
図5)のy1方向への移動に応じて、第8ノード180−8が選択ノード181として選択される。
【0070】
ノード選択部163(
図3)は、操作部材110(
図5)のy2方向への移動に応じて、移動前の選択ノード181の上位に接続された1つのノード180を選択ノード181として選択する。例えば、移動前に第9ノード180−9が選択ノード181である場合、操作部材110(
図5)のy2方向への移動に応じて、第3ノード180−3が選択ノード181として選択される。
【0071】
ノード選択部163(
図3)は、操作部材110(
図5)のx1方向とx2方向とのいずれか一方への移動に応じて、上位の同じノード180に接続された1つ以上のノード180間で選択ノード181を切り替える。例えば、移動前に第3ノード180−3が選択ノード181である場合、操作部材110のx1方向またはx2方向への移動に応じて、指定された順序に従って、第2ノード180−2〜第6ノード180−6の間で選択ノード181が切り替わる。
【0072】
1つのノード180の下位に複数のノード180が接続されている場合、上位のノード180から下位のノード180のうち予め定められた1つのノード180のみに移動が可能であり、予め定められた同じノード180からのみ上位のノード180に移動可能である。例えば、
図4の第4ノード180−4から第11ノード180−11に移動できるが、第4ノード180−4から第10ノード180−10と第12ノード180−12とには直接移動できない。すなわち、ノード180間の接続は概念的な接続であり、移動の可能性を直接表すとは限らない。
【0073】
(表示制御部)
図3に示す表示制御部164は、表示部170に表示される画像を生成することにより、視認可能な表示を制御する。
図6は、
図5に示す位置に操作部材110があるときに、表示部170に表示される画像の一例である。
【0074】
図6に示すように、第2ノード180−2〜第5ノード180−5は、常に表示される。選択ノード181の上位に接続されたノード180の下位に接続されたすべてのノード180(
図6の例では、第2ノード180−2〜第6ノード180−6)と、選択ノード181の下位に接続されたノード180(
図6の例では、第10ノード180−10〜第12ノード180−12)とを示す画像が生成される。
【0075】
図4に示す接続関係152において、上位の1つのノード180に下位の複数のノード180が接続される場合、
図6に示す画像において、上位のノード180は、何れか1つの下位のノード180に接続されるように表示される。下位のノード180は、横方向に一列に並べて表示され、隣接する下位のノード180は線で結ばれる。画像において、選択ノード181は、他のノード180から識別可能に表現される。例えば、選択ノード181は、二重丸で表現される。他の例において、選択ノード181は、色を変えて強調表示される。
【0076】
図6に示す画像に表示される各ノード180に対応して、
図5に示す1つの区域190が割り当てられる。操作部材110の移動に伴って割り当ては変化する。
【0077】
(決定動作検出部)
図3に示す決定動作検出部165は、操作部材110(
図1)の決定動作を検出する。
図5を参照して説明すると、決定動作は、区域190が並ぶ2次元面に平行な方向である決定方向に向かう操作部材110の動きである。本実施形態における決定方向は、y1方向である。すべての決定対象区域193における決定方向は、同じ方向、すなわちy1方向である。
【0078】
決定動作検出部165は、複数の区域190のうち決定対象区域193に位置する操作部材110の、決定方向(y1方向)に向かう動きを決定動作として検出する。例えば、座標(4、1)におけるy1方向への操作部材110の押圧による動きが、決定動作として検出される。すべての区域190において、決定方向が同じである。押圧の程度は予め設定され、区域190から出ない程度であってもよく、区域190を移動する程度であってもよい。
【0079】
決定対象区域193から決定方向に動くときに操作部材110に印加される抵抗力は、決定動作を伴わずに区域190間を移動するときに操作部材110に印加される抵抗力と異なる。決定動作を伴わない動きは、決定対象区域193以外の区域190から他の区域190へ向けた動きと、決定対象区域193から決定方向以外の方向の動きとを含む。決定対象区域193から決定方向に動くときに操作部材110に印加される抵抗力は、決定動作を伴わずに区域190間を移動するときに操作部材110に印加される抵抗力より大きい。
【0080】
力制御部161(
図3)は、力付与部123(
図3)により、制限区域191に隣接した区域190から制限区域191に向けて操作部材110が移動するときに、制限区域191に隣接した区域190から操作部材110が出るのを阻止する抵抗力を操作部材110に印加する。すなわち、ハッチングされていない許可区域192からハッチングされた制限区域191に向けて操作部材110が押圧されるとき、人の手の力では乗り越えられない程度の抵抗力が操作部材110に加わる。制限区域191に向けて操作部材110が押圧されるとき、磁気粘性流体134(
図2)を用いた抵抗力付与部125(
図2)を使用して抵抗力を発生させることにより、区域190の境界を意識できるような明確な抵抗力を操作部材110に与えることができる。
【0081】
(実行部)
図3に示す実行部166は、区域検出部162により検出された区域190と決定動作検出部165により検出された決定動作とに基づいて、操作部材110の位置する区域190に対応した処理を実行する。実行部166は、ノード情報153に記憶された、選択ノード181に対応付けられた情報に基づいて処理を実行する。例えば、
図5に示す座標(5、1)において決定動作が行われると、座標(5、1)に対応した
図6に示す第6ノード180−6の情報に基づいて処理が実行される。第6ノード180−6に対応付けられた情報は、例えば、「空調の起動」である。
【0082】
図3に示す実行部166は、第3回転検出部121−3と第3トルクセンサ122−3との出力に基づいて、操作部材110(
図1)の回転を検出し、例えば、回転量に応じて空調の温度を変化させる。誤操作を防ぐため、操作部材110(
図1)がxy平面に沿って移動している間、操作部材110(
図1)が回転しないように固く固定されてもよい。
【0083】
(動作例)
図5は、操作部材110が座標(3、1)に位置するときの、制限区域191(ハッチング有り)と許可区域192(ハッチングなし)とを示す図である。座標(4、1)は、決定対象区域193である。
図6は、選択ノード181が第4ノード180−4であるときに、表示部170に表示される画像である。選択ノード181である第4ノード180−4の下位に接続されたノード180が表示される。
【0084】
図5に示すようにx方向に並んだ座標(1、1)から座標(5、1)までの5つの区域190が、順に、
図6に示す第2ノード180−2〜第6ノード180−6に対応する。
図5に示すようにx方向に並んだ座標(2、2)から座標(4、2)までの3つの区域190が、順に、
図6に示す第10ノード180−10〜第12ノード180−12に対応する。
【0085】
図7は、
図5に示す操作部材110が座標(2、1)に移動した後の、制限区域191(ハッチング有り)と許可区域192(ハッチングなし)とを示す図である。座標(1、1)は、決定対象区域193である。
図8は、選択ノード181が第3ノード180−3であるときに、表示部170に表示される画像である。
図8に示す画像では、
図6に示すような第4ノード180−4の下位に接続されたノード180は消え、第3ノード180−3の下位に接続されたノード180が表示される。
【0086】
第3ノード180−3が属する層(
図7におけるy1の層)における区域190(
図7)と、ノード180(
図8)との対応関係は、
図5と
図6とにおける対応関係と同じである。座標(2、1)の1つ下層の対応関係は変更される。
図7に示すようにx方向に並んだ座標(1、2)から座標(3、2)までの3つの区域190が、順に、
図8に示す第7ノード180−7〜第9ノード180−9に対応する。
【0087】
図9は、
図7に示す操作部材110が座標(2、2)に移動した後の、制限区域191(ハッチング有り)と許可区域192(ハッチングなし)とを示す図である。座標(1、2)は、決定対象区域193である。
図10は、選択ノード181が第8ノード180−8であるときに、表示部170に表示される画像である。
図10に示す画像では、
図8に示すノード180に加えて、第8ノード180−8の下位に接続されたノード180が表示される。
【0088】
第3ノード180−3が属する層(
図9におけるy1の層)と第8ノード180−8が属する層(
図9におけるy2の層)とにおける区域190(
図9)と、ノード180(
図10)との対応関係は、
図7と
図8とにおける対応関係と同じである。座標(2、2)の1つ下層の対応関係は変更される。
図9に示すようにx方向に並んだ座標(1、3)から座標(3、3)までの3つの区域190が、順に、
図10に示す第13ノード180−13〜第15ノード180−15に対応する。
【0089】
図11は、
図9に示す操作部材110が座標(3、2)に移動した後の、制限区域191(ハッチング有り)と許可区域192(ハッチングなし)とを示す図である。座標(3、3)は、決定対象区域193である。
図12は、選択ノード181が第9ノード180−9であるときに、表示部170に表示される画像である。
図12に示す画像では、
図10に示すような第8ノード180−8の下位に接続されたノード180は消え、第9ノード180−9の下位に接続されたノード180が表示される。
【0090】
第3ノード180−3が属する層(
図11におけるy1の層)と第9ノード180−9が属する層(
図11におけるy2の層)とにおける区域190(
図11)と、ノード180(
図12)との対応関係は、
図9と
図10とにおける対応関係と同じである。座標(3、2)の1つ下層の対応関係は変更される。
図11に示すようにx方向に並んだ座標(2、3)から座標(4、3)までの3つの区域190が、順に、
図12に示す第16ノード180−16〜第18ノード180−18に対応する。
【0091】
図13は、
図11に示す操作部材110が座標(3、3)に移動した後の、制限区域191(ハッチング有り)と許可区域192(ハッチングなし)とを示す図である。座標(2、3)と座標(3、3)と座標(4、3)とは、決定対象区域193である。
図14は、選択ノード181が第17ノード180−17であるときの、表示部170に表示される画像である。第17ノード180−17の下位には他のノード180が接続されないので、
図14に示すノード180は、
図12に示すノード180と同じである。すべての層において区域190(
図13)と、ノード180(
図14)との対応関係は、
図11と
図12とにおける対応関係と同じである。
【0092】
図13に示すように操作部材110が座標(3、3)に存在する場合に、さらに、決定動作、すなわち、y1方向に向けた操作部材110の押圧(例えば、区域190を出ない程度のわずかな動き、区域190を移動する動きなど予め規定された動き)が実行されると、
図14に示す第17ノード180−17に対応した情報に基づいて処理が実行される。なお、座標(3、3)の区域190に対して決定方向に隣接した座標(3、4)の区域190は、制限区域191とされてもよい。
【0093】
(入力装置制御方法)
図15は、
図1に示す入力装置100(
図1)が実行する入力装置制御方法を説明するためのフロー図である。
図15の説明において、例示として
図13を参照するが、操作部110の位置は他の位置でもよい。まず、
図15に示すステップ201において、区域検出部162(
図3)は、操作部材110(
図13)の位置する区域190(
図13)を検出する。
図13の例では、座標(3、3)の区域190である。
【0094】
次に、
図15に示すステップ202において、決定動作検出部165(
図3)は、操作部材110(
図13)が決定対象区域193(
図13)に位置するか否かを判定する。
図13の例では、操作部材110が決定対象区域193に位置する。
図15に示すステップ202において、決定対象区域193(
図13)に位置すると判定された場合、ステップ203において、決定動作検出部165(
図3)は、操作部材110(
図13)が決定対象区域193(
図13)から決定方向(すなわち、y1方向)に向けて動いたか判定する。
【0095】
ステップ202において、操作部材110(
図13)が決定対象区域193(
図13)に位置しないと判定された場合、または、ステップ203において、操作部材110(
図13)が決定対象区域193(
図13)から決定方向に向けて動いたのではないと判定された場合、ステップ204において、ノード選択部163(
図3)は、区域190(
図13)間の移動に応じて、選択ノード181(
図13)を変更する。変更方法は、
図5〜
図14を参照して説明されるとおりである。ステップ204の後、本方法が終了する。
【0096】
ステップ203において、操作部材110(
図13)が決定対象区域193(
図13)から決定方向に向けて動いたと判定された場合、ステップ205において、決定動作検出部165(
図3)は、決定動作が行われたと判定する。ステップ205の後、ステップ206において、実行部166(
図3)は、ノード情報153(
図3)に記憶された選択ノード181(
図14)に対応付けられた情報に基づいて各種の処理を実行する。
【0097】
例えば、
図13に示す座標(3、3)において決定動作が実行されると、
図14に示す第17ノード180−17に対応付けられた情報に基づいて、処理が実行される。例えば、第17ノード180−17に対応付けられた「ラジオの周波数の切り替え」が実行される。ステップ206の後、本方法が終了する。入力装置制御方法は、繰り返し実行される。
【0098】
(まとめ)
本実施形態は、2次元面内に設定される複数の区域190に対応して移動可能に支持された操作部材110と、操作部材110の位置する区域190を検出する区域検出部162と、操作部材110の決定動作を検出する決定動作検出部165と、区域検出部162により検出された区域190と決定動作検出部165により検出された決定動作とに基づいて、操作部材110の位置する区域190に対応した処理を実行する実行部166とを備え、決定動作が、2次元面に平行な方向である決定方向(y1方向)に向かう操作部材110の動きである、入力装置100である。
【0099】
この構成によれば、区域190への操作部材110の移動とは別に決定動作が行われたときに、操作部材110の位置する区域190に対応した処理が実行されるので、決定動作を必要としない場合に比べると、意図せず処理が実行されることを防ぎやすい。2次元面内における操作により決定動作が行われるので、決定動作のために別のスイッチを用意する場合に比べて、構造および操作が簡単である。また、2次元面内に沿った移動以外の操作を必要とする場合に比べて構造および操作が簡単である。
【0100】
好適には本実施形態の入力装置100において、複数の区域190が、決定動作の区域190として割り当てられた複数の決定対象区域193を含み、すべての決定対象区域193における決定方向が同じである。
【0101】
この構成によれば、すべての決定対象区域193において決定方向が同じなので、決定方向が決定対象区域193ごとに異なる場合に比べて、操作が単純であり、意図しない操作を簡単に防ぐことができる。
【0102】
好適には本実施形態の入力装置100は、操作部材110に力を付与する力付与部123をさらに備え、力付与部123は、操作部材110の移動方向が区域190から出る方向であるときに、操作部材110に対して移動方向とは逆方向の抵抗力を付与する。
【0103】
この構成によれば、抵抗力が付与されない場合に比べて、操作部材110を区域190単位で明確に移動させることができ、意図しない操作を簡単に防ぐことができる。
【0104】
好適には本実施形態の入力装置100において、決定方向に動くときに操作部材110に印加される抵抗力は、区域190間を移動するときに操作部材110に印加される抵抗力と異なる。
【0105】
この構成によれば、決定動作と区域190間の移動とで操作者が感じる抵抗力の大きさが異なるので、意図しない操作を防ぎやすい。
【0106】
好適には本実施形態の入力装置100において、決定対象区域193から決定方向に動くときに操作部材110に印加される抵抗力は、区域190間を移動するときに操作部材110に印加される抵抗力より大きい。
【0107】
この構成によれば、区域190間の移動時に操作者が感じる力よりも、決定動作時に操作者が感じる力の方が大きいので、区域190間の移動と間違えて決定動作が行われることを防ぐことができる。
【0108】
好適には本実施形態の入力装置100において、複数の区域190が、制限区域191を含み、力付与部123は、制限区域191に隣接した区域190から制限区域191に向けて操作部材110が移動するときに、制限区域191に隣接した区域190から操作部材110が出るのを阻止する抵抗力を操作部材110に印加する。
【0109】
この構成によれば、規制方向に向けて操作部材110が区域190から出ることを抵抗力により阻止するので、操作者が操作部材110を区域190に沿って正確に移動させることができる。
【0110】
好適には本実施形態の入力装置100は、操作部材110の移動に応じて動く伝達部材131をさらに備え、力付与部123が、抵抗力付与部125を含み、抵抗力付与部125が、伝達部材131に接触した磁気粘性流体134と、磁気粘性流体134に磁界を印加する磁界印加部133と、を含み、抵抗力付与部125が、磁気粘性流体134と伝達部材131との間の抵抗力を変化させることにより、操作部材110に付与する抵抗力を変化させる。
【0111】
この構成によれば、電気的に抵抗力を精密に変化させることができるので、意図しない操作を防ぐための抵抗力をより正確に付与することができる。特に、電動モーターの回転だけで抵抗力を付与する場合に比べて、明確な抵抗力を付与することができる。そのため、操作者に区域190の区切りを明確に感じさせることができる。
【0112】
好適には本実施形態の入力装置100は、複数のノード180間の接続関係152と複数のノード180の各々に対応付けられた情報とを記憶した記憶装置150と、検出された操作部材110の位置に応じて複数のノード180の1つを選択ノード181として選択するノード選択部163とを備え、操作部材110が、第1順方向(y1方向)と第1逆方向(y2方向)と第2順方向(x1方向)と第2逆方向(x2方向)とに移動可能に支持され、第1順方向と第1逆方向とが、互いに逆を向き、第2順方向と第2逆方向とが、互いに逆を向き、第1順方向と第1逆方向との各々が、第2順方向と第2逆方向との両方に交差し、複数のノード180が、上位のノード180に接続された1つ以上のノード180を含み、複数のノード180が、下位のノード180に接続された1つ以上のノード180と、下位のノード180のいずれにも接続されない1つ以上のノード180と、を含み、ノード選択部163は、操作部材110の第1順方向への移動に応じて、移動前の選択ノード181の下位に接続された1つのノード180を選択ノード181として選択し、ノード選択部163は、操作部材110の第1逆方向への移動に応じて、移動前の選択ノード181の上位に接続された1つのノード180を選択ノード181として選択し、ノード選択部163は、操作部材110の第2順方向と第2逆方向とのいずれか一方への移動に応じて、上位の同じノード180に接続された1つ以上のノード180間で選択ノード181を切り替え、第1順方向が、決定方向であり、実行部166が、選択ノード181に対応付けられた情報に基づいて処理を実行する。
【0113】
この構成によれば、上位から下位へのノード180の移動方向が決定方向と同じであるので、操作者が直感的に操作することができる。そのため、意図しない操作を簡単に防ぐことができる。
【0114】
好適には本実施形態の入力装置100は、視認可能な表示を制御する表示制御部164をさらに備え、表示制御部164が、選択ノード181の上位に接続されたノード180の下位に接続されたすべてのノード180と、選択ノード181の下位に接続されたノード180とを示す画像を生成し、表示制御部164が、画像において選択ノード181を他のノード180から識別可能に表現する。
【0115】
この構成によれば、操作者が、選択ノード181に近接したノード180を示した画像を確認しながら選択ノード181を選択できるので、操作者の意図しない操作を簡単に防ぐことができる。
【0116】
好適には本実施形態の入力装置100は、操作部材110を回転可能に支持する駆動軸112と、駆動軸112の回転状態を検出する回転検出部121と、をさらに備える。
【0117】
この構成によれば、2次元面内における操作部材110の移動に加えて、操作部材110の回転によっても入力が可能であるので、素早く多様な入力が可能である。
【0118】
本発明は上述した実施形態には限定されない。すなわち、当業者は、本発明の技術的範囲またはその均等の範囲内において、上述した実施形態の構成要素に関し、様々な変更、コンビネーション、サブコンビネーション、並びに代替を行ってもよい。