特許第6817488号(P6817488)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6817488
(24)【登録日】2020年12月28日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】人工知能基盤の脳卒中診断装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20210107BHJP
   A61B 5/055 20060101ALI20210107BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20210107BHJP
【FI】
   A61B6/03 360D
   A61B5/055 380
   G06T7/00 612
【請求項の数】26
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2020-133024(P2020-133024)
(22)【出願日】2020年8月5日
【審査請求日】2020年8月5日
(31)【優先権主張番号】10-2020-0061088
(32)【優先日】2020年5月21日
(33)【優先権主張国】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520110216
【氏名又は名称】ヒューロン カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】キム,ドヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ソン,スー ファ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,スミン
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジン ス
(72)【発明者】
【氏名】リー,ソン ジュン
【審査官】 伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2019−213784(JP,A)
【文献】 国際公開第2019/044081(WO,A1)
【文献】 特開2019−17993(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/03
A61B 5/055
G01T 1/161
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの患者の脳と関連した非−造影(Non−contrast)CT映像を獲得する映像獲得部と、
前記非−造影CT映像を前−処理(Pre−processing)し、前記前−処理された映像に基づいて、前記少なくとも一つの患者が非出血(No hemorrhage)状態であるか、または出血(Hemorrhage)状態であるかを判断する前処理部と、
前記前−処理された映像を正規化し、予めセッティングされた標準マスクテンプレートを利用して関心領域(ROI)を分割及び抽出する映像処理部と、
前記分割及び抽出された関心領域を利用して、前記少なくとも一つの患者の脳大血管(Cerebral Large Vessel)の異常有無を判断する判断部とを含み、
前記少なくとも一つの患者の脳大血管(Cerebral Large Vessel)に異常が存在する場合、
前記判断部は、
前記分割及び抽出された関心領域を利用して、前記少なくとも一つの患者のASPECTSスコアを推定し、
前記推定されたASPECTSスコアが予め指定された数値以上の場合のみに、前記少なくとも一つの患者が機械的血栓除去術を適用することができる患者であると判別することを特徴とする人工知能基盤の脳卒中診断装置。
【請求項2】
前記前処理部は、
前記非−造影CT映像でノイズを除去するノイズフィルター部と、
前記ノイズが除去された非−造影CT映像内に存在する客体内または複数の客体間のイメージを空間的に整列するコ−レジストレーション(Co−registration)を行う登録部と、
前記コ−レジストレーションが行われたCT映像で前記少なくとも一つの患者の脳構造物ではない部分を除去するスカル−ストライピングを行うスカルストライピング部と、
前記スカル−ストライピングが行われたCT映像を利用して前記少なくとも一つの患者が非出血(No hemorrhage)状態であるか、または出血(Hemorrhage)状態であるかを判断する出血分類部とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の人工知能基盤の脳卒中診断装置。
【請求項3】
前記非−造影CT映像がガントリー(Gantry)が傾いて撮影された映像の場合、
前記ノイズフィルター部は、
前記非−造影CT映像の原本に共に格納されるガントリーチルトヘッダー(Gantry Tilt header)情報を利用して前記傾きによる誤謬をリサンプリング動作を通じて復元するチルトコレクション(Tilt correction)機能を行うことを特徴とする、請求項2に記載の人工知能基盤の脳卒中診断装置。
【請求項4】
前記登録部は、
前記非−造影CT映像の撮影時に前記少なくとも一つの患者の動きによる傾き及び脳模様差の少なくともいずれか一つによって誘導される、前記非−造影CT映像内に存在する客体内または複数の客体間のイメージを空間的に整列することを特徴とする、請求項2に記載の人工知能基盤の脳卒中診断装置。
【請求項5】
前記スカルストライピング部は、
脳組織に比べてHounsfield unit(HU)値が相対的に高いスカル(Skull)を基準として、前記CT映像で脳構造物ではない部分を除去することを特徴とする、請求項2に記載の人工知能基盤の脳卒中診断装置。
【請求項6】
前記出血分類部は、出血(Hemorrhage)関連ケースを学習した人工知能モデルに基づいて、前記スカル−ストライピングが行われたCT映像を利用して前記少なくとも一つの患者が非出血(No hemorrhage)状態であるか、または出血(Hemorrhage)状態であるかを判断し、
前記出血分類部の人工知能モデルは、前記少なくとも一つの患者の非−造影CTデータを使用して学習されることを特徴とする、請求項2に記載の人工知能基盤の脳卒中診断装置。
【請求項7】
前記出血分類部は、
前記スカル−ストライピングが行われたCT映像内のIntraparenchymal情報、Intraventricular情報、Subarachnoid情報、Subdural情報及びEpidural情報の少なくともいずれか一つを利用して、前記人工知能モデルが前記出血(Hemorrhage)関連ケースを学習するようにすることを特徴とする、請求項6に記載の人工知能基盤の脳卒中診断装置。
【請求項8】
前記出血分類部は、
前記少なくとも一つの患者の非−造影CTデータの中でそれぞれのデータSliceに対する特徴マップを抽出するためにConvolutional neural network(CNN)神経網を構成し、前記抽出された複数の特徴マップを順次にLong Short−term Memory(LSTM)神経網に適用及び合成することで、前記人工知能モデルを構築することを特徴とする、請求項6に記載の人工知能基盤の脳卒中診断装置。
【請求項9】
前記出血分類部は、
前記出血(Hemorrhage)分類形態と関係なく、前記スカル−ストライピングが行われたCT映像内に予め指定された領域以上の特定ファクター(factor)が存在する場合、前記少なくとも一つの患者が出血(Hemorrhage)状態であると判断することを特徴とする、請求項2に記載の人工知能基盤の脳卒中診断装置。
【請求項10】
前記映像処理部は、
前記標準マスクテンプレートを予めセッティングするテンプレートセッティング部と、
前記前−処理された映像を正規化する映像正規化部と、
前記正規化された映像に前記予めセッティングされた標準マスクテンプレートを適用して、関心領域(ROI)を分割及び抽出する映像処理部とを含み、
前記少なくとも一つの患者が非出血(No hemorrhage)状態であると判断された場合のみに動作することを特徴とする、請求項1に記載の人工知能基盤の脳卒中診断装置。
【請求項11】
前記テンプレートセッティング部は、
複数の正常人と脳疾患患者から獲得された複数の医療映像を収集し、
前記収集された映像に基づいて3次元の正規化映像を生成し、
前記3次元の正規化映像を予め指定された単位ユニットである3次元ボクセルを基盤としてX軸、Y軸及びZ軸のいずれか一つの軸を基準としてSlicingされた2次元の正規化映像を生成し、
前記生成された2次元の正規化映像で分割された関心領域を基盤として前記標準マスクテンプレートを予めセッティングすることを特徴とする、請求項10に記載の人工知能基盤の脳卒中診断装置。
【請求項12】
前記映像正規化部は、
前記前−処理された映像のHounsfield unit(HU)値を変化させることで、前記正規化作業を行うことを特徴とする、請求項10に記載の人工知能基盤の脳卒中診断装置。
【請求項13】
前記判断部は、
前記分割及び抽出された関心領域を利用して、前記少なくとも一つの患者の脳に虚血(Ischemia)が存在するか否かを判断するIschemia分類部と、
前記虚血(Ischemia)が存在する場合、前記少なくとも一つの患者の脳大血管(Cerebral Large Vessel)の異常有無を判断するLarge Vessel Occlusion判断部と、
前記脳大血管(Cerebral Large Vessel)に異常が存在する場合、前記分割及び抽出された関心領域を利用して、前記少なくとも一つの患者のASPECTスコアを推定するASPECTS判断部と、
前記推定されたASPECTスコアが予め指定された数値以上の場合のみに、前記少なくとも一つの患者が機械的血栓除去術を適用することができる患者であると判別するThrombectomy判断部とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の人工知能基盤の脳卒中診断装置。
【請求項14】
前記Ischemia分類部は、
前記分割及び抽出された関心領域の病変有無及び形態分類を学習した人工知能モデルに基づいて、前記虚血(Ischemia)が存在するか否かを判断し、
前記関心領域の病変有無及び形態分類は、
Old infarct(OI)、Recent infarct(RI)、Frank hypodensity(FH)及びEarly ischemic sign(EIS)を利用して行われることを特徴とする、請求項13に記載の人工知能基盤の脳卒中診断装置。
【請求項15】
前記Ischemia分類部は、
前記分割及び抽出された関心領域の少なくともいずれか一領域に、前記Old infarct(OI)、Recent infarct(RI)、Frank hypodensity(FH)及びEarly ischemic sign(EIS)の少なくともいずれか一つが存在する場合、前記虚血(Ischemia)が存在すると判断することを特徴とする、請求項14に記載の人工知能基盤の脳卒中診断装置。
【請求項16】
前記脳大血管(Cerebral Large Vessel)における異常は、大血管閉塞であり、
前記Large Vessel Occlusion判断部は、
前記分割及び抽出された関心領域と関連して、Infra−ganglionic levelでDense MCA signが検出されたか否かに基づいて前記大血管閉塞の可能性が存在するか否かを判断することを特徴とする、請求項13に記載の人工知能基盤の脳卒中診断装置。
【請求項17】
前記Dense MCA signが検出されない場合、
前記Large Vessel Occlusion判断部は、
前記分割及び抽出された関心領域と関連して、前記Infra−ganglionic levelのsequential slice映像の左右両側半球でHounsfield unit(HU)値それぞれの頻度数(frequency)を検出し、
前記検出された両側半球の少なくともいずれか一つのHU値の頻度数が予め指定された基準値以上であるか、前記検出された両側半球のHU値の頻度数差が予め指定された差値以上の場合、前記大血管閉塞が存在すると判断することを特徴とする、請求項16に記載の人工知能基盤の脳卒中診断装置。
【請求項18】
前記ASPECTS判断部は、
前記分割及び抽出された関心領域の病変有無及び形態分類を学習した人工知能モデルに基づいて、前記ASPECTスコアを推定し、
前記関心領域の病変有無及び形態分類は、
Old infarct(OI)、Recent infarct(RI)、Frank hypodensity(FH)及びEarly ischemic sign(EIS)を利用して行われることを特徴とする、請求項13に記載の人工知能基盤の脳卒中診断装置。
【請求項19】
前記ASPECTS判断部は、
前記Old infarct(OI)、Recent infarct(RI)、Frank hypodensity(FH)及びEarly ischemic sign(EIS)の少なくともいずれか一つが検出されればこれを病変として認め、
前記病変として認められた値を前記ASPECTスコアの推定に反映することを特徴とする、請求項18に記載の人工知能基盤の脳卒中診断装置。
【請求項20】
前記ASPECTS判断部は、
前記Old infarct(OI)、Recent infarct(RI)、Frank hypodensity(FH)及びEarly ischemic sign(EIS)のうちFrank hypodensity(FH)及びEarly ischemic sign(EIS)が検出されればこれを病変として認め、
前記病変として認められた値を前記ASPECTスコアの推定に反映することを特徴とする、請求項18に記載の人工知能基盤の脳卒中診断装置。
【請求項21】
前記分割及び抽出された関心領域は、MCA(Middle cerebral artery)、ACA(Anterior cerebral artery)、PCA(Posterior cerebral artery)及びICA(Internal carotid artery)領域を含み、
前記ASPECTS判断部は、
前記MCA、ACA、PCA及びICA領域上の前記Old infarct(OI)、Recent infarct(RI)、Frank hypodensity(FH)及びEarly ischemic sign(EIS)のうちFrank hypodensity(FH)及びEarly ischemic sign(EIS)が検出されればこれを病変として認め、
前記病変として認められた値を前記ASPECTスコアの推定に反映することを特徴とする、請求項18に記載の人工知能基盤の脳卒中診断装置。
【請求項22】
前記推定されたASPECTスコアが予め指定された数値以上の場合、
前記Thrombectomy判断部は、
前記Ischemia分類部で獲得した情報及び前記Large Vessel Occlusion判断部で獲得した情報を通じて判断された基準が予め指定された基準以上の場合のみに、前記少なくとも一つの患者が機械的血栓除去術を適用することができる患者であると判別することを特徴とする、請求項13に記載の人工知能基盤の脳卒中診断装置。
【請求項23】
前記Thrombectomy判断部は、
前記脳大血管(Cerebral Large Vessel)の異常により検出されるボリューム(Volume)値を学習した人工知能モデルに基づいて、前記少なくとも一つの患者が機械的血栓除去術を適用することができる患者であるか否かを判断することを特徴とする、請求項13に記載の人工知能基盤の脳卒中診断装置。
【請求項24】
前記Thrombectomy判断部は、
前記脳大血管(Cerebral Large Vessel)の異常発生以後から非−造影CT撮影までのAbsolute time、Early ischemic sign(EIS)のボリューム(Volume)及びFrank hypodensity(FH)のボリューム(Volume)を利用して、Tissue clockを算出し、
前記算出されたTissue clockを利用して前記少なくとも一つの患者が機械的血栓除去術を適用することができる患者であるか否かを判断することを特徴とする、請求項13に記載の人工知能基盤の脳卒中診断装置。
【請求項25】
前記少なくとも一つの患者が機械的血栓除去術を適用することができる患者であると判別された場合、
前記少なくとも一つの患者に対する情報を予め指定された外部に伝送する通信部をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の人工知能基盤の脳卒中診断装置。
【請求項26】
前記外部に伝送される情報は、
前記少なくとも一つの患者と関連したElapsed time情報、非−造影CT映像情報、判別結果情報、Tissue clock情報及び前記推定されたASPECTスコア情報を含むことを特徴とする、請求項25に記載の人工知能基盤の脳卒中診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工知能基盤の脳卒中診断装置及び方法に関する。さらに詳しくは、非造影CT映像を基盤として脳卒中患者を分類し、応急大血管閉塞患者を選別することができる人工知能アルゴリズムを利用した脳卒中診断装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
脳疾患、即ち、脳血管疾患は、脳血管が裂ける脳出血、脳血管が血栓などによって塞がる脳梗塞、脳血管が非正常的に脹れ上がる脳動脈瘤などがあり、脳出血と脳梗塞を併せて「脳卒中」という。
【0003】
このような脳疾患を診断するために、超音波診断、脳CT、脳MRI(Magnetic Resonance Imaging)のような非侵襲的技法が利用されている。
【0004】
上記超音波診断方法は、頸動脈超音波診断で頸動脈の粥状動脈硬化症性病変を非侵襲的に容易に診断可能である。また、経頭蓋ドップラー検査(transcranial Doppler)で頭蓋腔内の脳血流を測定して臨床に応用する。
【0005】
前記脳CTを利用する診断方法は、出血性疾患診断に良く、最近発達された技術であり、脳血流状態、脳血管撮影をして脳卒中患者の治療に大きく役立つ。
【0006】
前記脳MRIを利用する診断方法は、脳CTに比べて頭蓋骨による人工陰影影響がないため、脳幹、小脳、側頭葉部位の病巣を詳細に診断することができ、脳梗塞の早期発見、脳血流状態の微細診断が可能であり、かつ脳血管状態を綿密に診断可能であるため、脳組織の状態を診断するのに最適な方法であるといえる。
【0007】
特に、脳卒中(Stroke)は、脳に血液を供給する血管が塞がるか破裂して脳損傷となり、これによる身体障害を発生させる疾患であり、全世界的に最も重要な死亡原因であり、死亡に至らなくても永久的障害を起こす高危険性疾患として分類される。
【0008】
従来、脳卒中は主に老人疾患として認識されていたが、最近では、30、40代でも脳卒中がよく発病するようになり、老年だけでなく、青壮年にも広範囲に発生する非常に危険な疾患として認識されている。
【0009】
このような脳卒中は、脳に血液を供給する血管が塞がって発生する「虚血性脳卒中(ischemic stroke)」と脳への細い血管が裂けながら出血が発生する「出血性脳卒中(cerebral hemorrhage)」の2つの形態に区分されることができる。
【0010】
上記虚血性脳卒中は、全体脳卒中の約80%を占め、虚血性脳卒中の大部分は、凝固された血液固まりである血栓(thrombosis)が脳に酸素と栄養分を供給する血管を塞いで発生する。
【0011】
脳卒中を診断するために多様な検査が開発され、その中でCT(computed tomography)を活用した方法は、比較的早急に検査を進行することができる。
【0012】
そのため、上記CTを活用した検査方法は速く検査が可能であるという長所を有することにより、迅速な対処が必須な脳卒中疾患の特性に適合な検査方法として考えられる。
【0013】
また、出血性脳卒中の場合、出血が発生してから直ちにCTで観察されるため、上記CTは虚血性脳卒中を治療するために、血栓を溶かして塞がれた血管を通す血栓溶解剤の使用に先立ち、必ず脳出血を鑑別する道具として有用に使用される。
【0014】
また、上記CTは、血栓溶解剤の使用以後に脳出血の経過の観察でも重要に使用される。
【0015】
一方、脳卒中を鑑別することができる代表的な指標として、ASPECTスコア(Alberta Stroke Program Early CT Score)が使用されている。
【0016】
前記ASPECTスコアは、Middle cerebral artery(MCA、中大脳動脈)領域を辞書で定義された10個の解剖学的領域に分け、非造影CTに対して早期梗塞標識の存在を評価する(下記の非特許文献1参照)。
【0017】
このような上記ASPECTスコアは、脳卒中患者の状態を診断することができる強力な予測因子として立証された。
【0018】
一方、脳非造影CT映像を基盤として脳梗塞の重症程度をASPECTスコアなどを通じて点数化する場合、臨床医者の領域判断及び解釈によって診断結果に差異が発生するため、診断結果の一貫性を維持し難いという問題点があった。
【0019】
そして、従来技術による脳疾患分析装置は、診断対象者から獲得したCTやMRIなどの医療映像で脳病変のみを検出した後、正規化する方式を適用することにより、各患者の医療映像で抽出される領域が一貫的ではなく互いに異なり、重症程度を点数化する時に誤差が発生する確率が高いという問題点があった。
【0020】
従って、診断対象者から獲得された脳映像で大脳動脈の損傷に脆弱な脳領域を特定し、当該脳領域で脳病変が占める割合に基づいて重症程度を決め、それにより、脳損傷の予後を予測することができる新しい技術の開発が要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】大韓民国特許登録番号10−1992057号(2019年6月24日公告)
【特許文献2】大韓民国特許登録番号10−1754291号(2017年7月6日公告)
【非特許文献】
【0022】
【非特許文献1】Barber PA、Demchuk AM、Zhang J, et al.「Validity and reliability of a quantitative computed tomography score in predicting outcome of hyperacute stroke before thrombolytic therapy:ASPECTS Study Group―Alberta Stroke Programme Early CT Score.」Lancet 2000;355:1670−74 CrossRef Medline
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
一方、虚血性脳卒中の初期兆候の決定及びASPECTスコアへの変換は相当な要因間変動性(interrater variability)を有し、これは、他の要因の中でも後経験によって影響を受ける。
【0024】
即ち、上記ASPECTスコアは、使用者の脳卒中進行程度を0〜10の点数で算定して疾患を評価し、これを通じて、医療陣は使用者の治療方法の決定及び予後予測に活用する主要な指標として使用する。
【0025】
しかし、臨床専門医がASPECTスコアを推定する過程で、使用者の初期兆候、映像の複雑性により、臨床専門医別の経歴及び経験によって推定値が変わることがある。
【0026】
このような点数変動性(scoring variability)は、患者臨床結果に対する意思決定プロセスに否定的な影響を及ぼすという問題点があった。
【0027】
従って、映像処理及びディープラーニング技術を基盤としてASPECTスコアを客観化及び自動化して推定することができる技術の開発が要求されている。
【0028】
即ち、本発明の目的は、上記のような問題点を解決するためのもので、脳非造影CT映像で脳卒中疾病を鑑別する因子であるASPECTスコアを推定するASPECTスコアの推定システム及び方法を提供することにある。
【0029】
本発明の他の目的は、映像処理及びディープラーニング技術を基盤としてASPECTスコアの推定時に点数変動性を減らすことができるASPECTスコアの推定システム及び方法を提供することにある。
【0030】
本発明のさらに他の目的は、推定されたASPECTスコアに対する信頼度を向上させることができるASPECTスコアの推定システム及び方法を提供することにある。
【0031】
さらには、本発明の目的は、全ての被験者の医療映像で大脳動脈の損傷に脆弱な脳領域の一貫した分割のために、テンプレートを利用して正規化過程を行うことができるテンプレートを利用した医療映像処理装置及び方法を提供することにある。
【0032】
本発明のさらに他の目的は、正規化された医療映像で大脳動脈の損傷に脆弱な脳領域を一貫して分割及び抽出することができるテンプレートを利用した医療映像処理装置及び方法を提供することにある。
【0033】
結局、本発明によると、少なくとも一つの患者の脳と関連した非−造影(Non−contrast)CT映像を獲得し、前記非−造影CT映像を前−処理(Pre−processing)し、前記前−処理された映像に基づいて、前記少なくとも一つの患者が非出血(No hemorrhage)状態であるか、または出血(Hemorrhage)状態であるかを判断し、前記前−処理された映像を正規化し、予めセッティングされた標準マスクテンプレートを利用して関心領域(Region Of Interest、ROI)を分割及び抽出し、前記分割及び抽出された関心領域を利用して、前記少なくとも一つの患者の脳に大血管閉塞(Large Vessel Occlusion)の可能性が存在するか否かを判断することができる。
【0034】
特に、少なくとも一つの患者の脳に大血管閉塞の可能性が存在する場合、判断部は、分割及び抽出された関心領域を利用して、前記少なくとも一つの患者のASPECTSスコアを推定し、前記推定されたASPECTSスコアが予め指定された数値以上の場合のみに、前記少なくとも一つの患者が機械的血栓除去術(Mechanical Thrombectomy)を適用することができる患者であると判別することを目的とする。
【0035】
なお、本発明の目的は、人工知能を利用した脳卒中の診断方法を通じて患者群及び正常群の選別に活用して臨床試験の成功確率を高める装置、システム及び方法を提供することにある。
【0036】
一方、本発明で達成しようとする技術的課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及しなかったさらに他の技術的課題は、下記の記載から本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に明確に理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0037】
上記技術的課題を達成するための本発明の一様相である人工知能基盤の脳卒中診断装置は、少なくとも一つの患者の脳と関連した非−造影(Non−contrast)CT映像を獲得する映像獲得部と、前記非−造影CT映像を前−処理(Pre−processing)し、前記前−処理された映像に基づいて、前記少なくとも一つの患者が非出血(No hemorrhage)状態であるか、または出血(Hemorrhage)状態であるかを判断する前処理部と、前記前−処理された映像を正規化し、予めセッティングされた標準マスクテンプレートを利用して関心領域(ROI)を分割及び抽出する映像処理部と、前記分割及び抽出された関心領域を利用して、前記少なくとも一つの患者の脳大血管(Cerebral Large Vessel)の異常有無を判断する判断部とを含み、前記少なくとも一つの患者の脳大血管(Cerebral Large Vessel)に異常が存在する場合、前記判断部は、前記分割及び抽出された関心領域を利用して、前記少なくとも一つの患者のASPECTスコアを推定し、前記推定されたASPECTスコアが予め指定された数値以上の場合のみに、前記少なくとも一つの患者が機械的血栓除去術を適用することができる患者であると判別することができる。
【0038】
また、前記前処理部は、前記非−造影CT映像でノイズを除去するノイズフィルター部と、前記ノイズが除去された非−造影CT映像内に存在する客体内または複数の客体間のイメージを空間的に整列するコ−レジストレーション(Co−registration)を行う登録部と、前記コ−レジストレーションが行われたCT映像で前記少なくとも一つの患者の脳構造物ではない部分を除去するスカル−ストライピング(Skull−stripping)を行うスカルストライピング部と、前記スカル−ストライピングが行われたCT映像を利用して前記少なくとも一つの患者が非出血(No hemorrhage)状態であるか、または出血(Hemorrhage)状態であるかを判断する出血分類部とを含むことができる。
【0039】
また、前記非−造影CT映像がガントリー(Gantry)が傾いて撮影された映像の場合、前記ノイズフィルター部は、前記非−造影CT映像の原本に共に格納されるガントリーチルトヘッダー(Gantry Tilt header)情報を利用して前記傾きによる誤謬をリサンプリング動作を通じて復元するチルトコレクション(Tilt correction)機能を行うことができる。
【0040】
また、前記登録部は、前記非−造影CT映像の撮影時に前記少なくとも一つの患者の動きによる傾き及び脳模様差の少なくともいずれか一つによって誘導される、前記非−造影CT映像内に存在する客体内または複数の客体間のイメージを空間的に整列することができる。
【0041】
また、前記スカルストライピング部は、脳組織に比べてHounsfield unit(HU)値が相対的に高いスカル(Skull)を基準として、前記CT映像で脳構造物ではない部分を除去することができる。
【0042】
また、前記出血分類部は、出血(Hemorrhage)関連ケースを学習した人工知能モデルに基づいて、前記スカル−ストライピングが行われた非−造影CT映像を利用して前記少なくとも一つの患者が非出血(No hemorrhage)状態であるか、または出血(Hemorrhage)状態であるかを判断し、前記出血分類部の人工知能モデルは、前記少なくとも一つの患者の非−造影CTデータのボクセル(Voxel)情報を使用して学習されることができる。
【0043】
また、前記出血分類部は、前記スカル−ストライピングが行われた非−造影CT映像内のIntraparenchymal情報、Intraventricular情報、Subarachnoid情報、Subdural情報及びEpidural情報の少なくともいずれか一つを利用して、前記人工知能モデルが前記出血(Hemorrhage)関連ケースを学習することができる。
【0044】
また、前記出血分類部は、前記少なくとも一つの患者の非−造影CTデータの中でそれぞれのデータSliceに対する特徴マップを抽出するためにConvolutional neural network(CNN)神経網を構成し、前記抽出された複数の特徴マップを順次にLong Short−term Memory(LSTM)神経網に適用及び合成することで、前記人工知能モデルを構築することができる。
【0045】
また、前記出血分類部は、前記出血(Hemorrhage)分類形態と関係なく、前記スカル−ストライピングが行われた非−造影CT映像内に予め指定された領域以上の特定ファクター(factor)が存在する場合、前記少なくとも一つの患者が出血(Hemorrhage)状態であると判断することができる。
【0046】
また、前記映像処理部は、前記標準マスクテンプレートを予めセッティングするテンプレートセッティング部と、前記前−処理された映像を正規化する映像正規化部と、前記正規化された映像に前記予めセッティングされた標準マスクテンプレートを適用して、関心領域(ROI)を分割及び抽出する映像処理部とを含み、前記少なくとも一つの患者が非出血(No hemorrhage)状態であると判断された場合のみに動作することができる。
【0047】
また、前記テンプレートセッティング部は、複数の正常人と脳疾患患者から獲得された複数の医療映像を収集し、前記収集された映像に基づいて3次元の正規化映像を生成し、前記3次元の正規化映像を、X軸、Y軸及びZ軸のいずれか一つの軸を基準として、予め指定された単位ユニットである3次元ボクセル情報を利用して2次元の正規化映像を生成し、前記生成された2次元の正規化映像で分割された関心領域を基盤として前記標準マスクテンプレートを予めセッティングすることができる。
【0048】
また、前記映像正規化部は、前記前−処理された映像のHounsfield unit(HU)値を変化させることで、前記正規化作業を行うことができる。
【0049】
また、前記判断部は、前記分割及び抽出された関心領域を利用して、前記少なくとも一つの患者の脳に虚血(Ischemia)が存在するか否かを判断するIschemia分類部と、前記虚血(Ischemia)が存在する場合、前記少なくとも一つの患者の脳大血管(Cerebral Large Vessel)の異常有無を判断するLarge Vessel Occlusion判断部と、前記脳大血管(Cerebral Large Vessel)に異常が存在する場合、前記分割及び抽出された関心領域を利用して、前記少なくとも一つの患者のASPECTSスコアを推定するASPECTS判断部と、前記推定されたASPECTSスコアが予め指定された数値以上の場合のみに、前記少なくとも一つの患者が機械的血栓除去術を適用することができる患者であると判別するThrombectomy判断部とを含むことができる。
【0050】
また、前記Ischemia分類部は、前記分割及び抽出された関心領域の病変有無及び形態分類を学習した人工知能モデルに基づいて、前記虚血(Ischemia)が存在するか否かを判断し、前記関心領域の病変有無及び形態分類は、Old infarct(OI)、Recent infarct(RI)、Frank hypodensity(FH)及びEarly ischemic sign(EIS)を利用して行われることができる。
【0051】
また、前記Ischemia分類部は、前記分割及び抽出された関心領域の少なくともいずれか一領域に、前記Old infarct(OI)、Recent infarct(RI)、Frank hypodensity(FH)及びEarly ischemic sign(EIS)の少なくともいずれか一つが存在する場合、前記虚血(Ischemia)が存在すると判断することができる。
【0052】
また、前記脳大血管(Cerebral Large Vessel)における異常は、大血管閉塞であり、前記Large Vessel Occlusion判断部は、前記分割及び抽出された関心領域と関連して、Infra−ganglionic levelでDense MCA signが検出されたか否かに基づいて前記大血管閉塞が存在するか否かを判断することができる。
【0053】
また、前記Dense MCA signが検出されない場合、前記Large Vessel Occlusion判断部は、前記分割及び抽出された関心領域と関連して、前記Infra−ganglionic levelのsequential slice映像の左右半球のうち一側半球Hounsfield unit(HU)値の頻度数(frequency)を検出し、前記検出された両側半球の少なくともいずれか一つのHU値の頻度数が予め指定された基準値以上であるか、前記検出された両側半球のHU値の頻度数差が予め指定された差値以上の場合、前記脳大血管(Cerebral Large Vessel)に異常が存在すると判断することができる。
【0054】
また、前記ASPECTS判断部は、前記分割及び抽出された関心領域の病変有無及び形態分類を学習した人工知能モデルに基づいて、前記ASPECTSスコアを推定し、前記関心領域の病変有無及び形態分類は、Old infarct(OI)、Recent infarct(RI)、Frank hypodensity(FH)及びEarly ischemic sign(EIS)を利用して行われることができる。
【0055】
また、前記ASPECTS判断部は、前記Old infarct(OI)、Recent infarct(RI)、Frank hypodensity(FH)及びEarly ischemic sign(EIS)の少なくともいずれか一つが検出されればこれを病変として認め、前記病変として認められた値を前記ASPECTSスコアの推定に反映することができる。
【0056】
また、前記ASPECTS判断部は、前記Old infarct(OI)、Recent infarct(RI)、Frank hypodensity(FH)及びEarly ischemic sign(EIS)のうちFrank hypodensity(FH)及びEarly ischemic sign(EIS)が検出されればこれを病変として認め、前記病変として認められた値を前記ASPECTSスコアの推定に反映することができる。
【0057】
また、前記分割及び抽出された関心領域は、MCA(Middle cerebral artery)、ACA(Anterior cerebral artery)、PCA(Posterior cerebral artery)及びICA(Internal carotid artery)領域を含み、前記ASPECTS判断部は、前記MCA、ACA、PCA及びICA領域上の前記Old infarct(OI)、Recent infarct(RI)、Frank hypodensity(FH)及びEarly ischemic sign(EIS)のうちFrank hypodensity(FH)及びEarly ischemic sign(EIS)が検出されればこれを病変として認め、前記病変として認められた値を前記ASPECTスコアの推定に反映することができる。
【0058】
また、前記推定されたASPECTスコアが予め指定された数値以上の場合、前記Thrombectomy判断部は、前記Ischemia分類部で獲得した情報及び前記Large Vessel Occlusion判断部で獲得した情報を通じて判断された基準が予め指定された基準以上の場合のみに、前記少なくとも一つの患者が機械的血栓除去術を適用することができる患者であると判別することができる。
【0059】
また、前記Thrombectomy判断部は、前記脳大血管(Cerebral Large Vessel)の異常により発生する病変の大きさ、ボリューム(Volume)または密度(Density)を検出して学習した人工知能モデルに基づいて、前記少なくとも一つの患者が機械的血栓除去術を適用することができる患者であるか否かを判断することができる。
【0060】
また、前記Thrombectomy判断部は、前記脳大血管(Cerebral Large Vessel)異常の発生以後から非−造影CT撮影までのAbsolute timeとEarly ischemic sign(EIS)またはFrank hypodensity(FH)のボリューム(Volume)または密度(Density)を利用して、Tissue clockを算出し、前記算出されたTissue clockを利用して前記少なくとも一つの患者が機械的血栓除去術を適用することができる患者であるか否かを判断することができる。
【0061】
また、前記少なくとも一つの患者が機械的血栓除去術を適用することができる患者であると判別された場合、前記少なくとも一つの患者に対する情報を予め指定された外部に伝送する通信部をさらに含むことができる。
【0062】
前記外部に伝送される情報は、前記少なくとも一つの患者と関連したElapsed time情報、Original非−造影CT情報、判別結果情報、Tissue clock情報及び前記推定されたASPECTスコア情報を含むことができる。
【発明の効果】
【0063】
本発明によるASPECTスコアの推定システム及び方法によると、患者の脳CT映像を利用して脳卒中患者の状態を診断するための客観的指標であるASPECTスコアを推定することができるという効果が得られる。
【0064】
また、本発明によると、迅速な処方を必要とする脳卒中疾患の特性上、専門家間の点数変動性による問題を防止し、医療現場で患者の治療決定を容易にする信頼できる指標として使用することができるという効果が得られる。
【0065】
また、本発明によると、脳CT映像分析を通じた脳卒中ASPECTスコアの推定方式の複雑度及び専門性の要求により発生する専門医の経歴によるスコア値の不正確性を克服することができるという効果が得られる。
【0066】
また、本発明によると、CT映像基盤の脳卒中分析の全過程を自動化して分析過程に必要な人力、時間的及び経済的費用を画期的に減少させることができるという効果が得られる。
【0067】
また、本発明によると、CT、MRIのように脳を撮影した医療映像を正規化し、正規化された医療映像に予めセッティングされた標準マスクテンプレートを適用して大脳動脈損傷に脆弱な脳領域を一貫して分割及び抽出することができるという効果が得られる。
【0068】
また、本発明によると、診断対象の医療映像をテンプレートを通じて正規化した後、正規化されたイメージを基盤として全被験者の医療映像で一貫して関心領域を分割及び抽出することができるという効果が得られる。
【0069】
このように、本発明によると、標準マスクテンプレートを基盤として分割及び抽出された関心領域を通じて脳疾患(脳卒中)を分析及び診断することにより、診断結果に対する精密度及び正確度を極大化することができるという効果が得られる。
【0070】
結局、本発明によると、少なくとも一つの患者の脳と関連した非−造影(Non−contrast)CT映像を獲得し、前記非−造影CT映像を前−処理(Pre−processing)し、前記前−処理された映像に基づいて、前記少なくとも一つの患者が非出血(No hemorrhage)状態であるか、または出血(Hemorrhage)状態であるかを判断し、前記前−処理された映像を正規化し、予めセッティングされた標準マスクテンプレートを利用して関心領域(ROI)を分割及び抽出し、前記分割及び抽出された関心領域を利用して、前記少なくとも一つの患者の脳に大血管閉塞の可能性が存在するか否かを判断することができるという効果が提供される。
【0071】
特に、本発明は、少なくとも一つの患者の脳に大血管閉塞の可能性が存在する場合、判断部は、分割及び抽出された関心領域を利用して、前記少なくとも一つの患者のASPECTスコアを推定し、前記推定されたASPECTスコアが予め指定された数値以上の場合のみに、前記少なくとも一つの患者が機械的血栓除去術を適用することができる患者であると判別することができる。
【0072】
また、薬効能を立証するための臨床試験は、予め予測した期待効果を臨床試験の参加者に対して達成するかの統計的有意性をみることで結果が判定されるが、本発明による脳卒中の診断方法及び装置を適用する場合、正確に新薬が目標とする脳卒中患者のみを臨床試験の対象者に含ませることで、最大限に臨床試験の成功確率を高めることができる。
【0073】
即ち、本発明による人工知能を利用した脳卒中の診断方法を通じて、患者群及び正常群の選別に活用して臨床試験の成功確率を高めるのに活用することができる。
【0074】
一方、本発明で得られる効果は、以上で言及した効果に制限されず、言及しなかったさらに他の効果は、以下の記載から本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に明確に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0075】
図1】本発明と関連して、人工知能基盤の脳卒中診断装置のブロック構成図の一例を示したものである。
図2図1で説明した前処理部のブロック構成図の一例を示したものである。
図3図1で説明した映像処理部のブロック構成図の一例を示したものである。
図4図1で説明した判断部のブロック構成図の一例を示したものである。
図5】本発明が提案する人工知能基盤の脳卒中の診断方法の全体過程を説明するフローチャートの一例を示したものである。
図6図5で説明した過程のうち非−造影CT映像を基盤として前−処理及び出血分類する過程を説明するフローチャートである。
図7図5で説明した過程のうち空間正規化及びセグメンテーション過程を説明するフローチャートである。
図8図7における標準マスクテンプレートを生成して正規化された映像を分割する過程を例示した図面である。
図9図7におけるテンプレートを利用して正規化された医療映像を例示した図面である。
図10図5で説明した過程のうちIschemiaを分類する過程を説明するフローチャートである。
図11図5で説明した過程のうちLarge Vessel Occlusionを判断する過程を説明するフローチャートである。
図12図5で説明した過程のうちASPECスコアの推定方法を段階別に説明するフローチャートである。
図13図5で説明した過程のうち人工知能アルゴリズムに基づいて応急大血管閉塞患者を選別することができる一実施例を説明するフローチャートである。
図14図5で説明した過程のうち人工知能アルゴリズムに基づいて応急大血管閉塞患者を選別することができる他の実施例を説明するフローチャートである。
図15図5で説明した過程のうち人工知能アルゴリズムに基づいて応急大血管閉塞患者を選別することができるさらに他の実施例を説明するフローチャートである。
図16】人工知能を利用した脳卒中の診断方法を通じて患者群及び正常群の選別に活用して臨床試験の成功確率を高める方法を説明する図面である。
【発明を実施するための形態】
【0076】
以下、図面を参照して本発明の好ましい一実施例について説明する。また、以下に説明する実施例は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定せず、本実施形態で説明される構成全体が本発明の解決手段として必須とはいえない。
【0077】
以下では、本発明の好ましい実施例による人工知能基盤の脳卒中診断装置及び方法を添付の図面を参照して詳しく説明する。
【0078】
人工知能基盤の脳卒中診断装置
【0079】
図1は、本発明と関連して人工知能基盤の脳卒中診断装置のブロック構成図の一例を示したものである。
【0080】
本発明による人工知能基盤の脳卒中診断装置1は、映像獲得部10、前処理部20、映像処理部30及び判断部40を含むことができる。
【0081】
先ず、映像獲得部10は、診断しようとする対象の脳を撮影して医療映像を獲得する装置である。
【0082】
ここで映像獲得部10は、脳CT、MRIなどの多様な医療映像を撮影する撮影装備から映像を獲得することができる。
【0083】
代表として、本発明の映像獲得部10は、脳CT映像を獲得することができる。
【0084】
次に、前処理部20は、非造影CT映像を基盤として、人工知能アルゴリズムにより非出血(No hemorrhage)と出血(Hemorrhage)を区分する機能を提供する。
【0085】
また、映像処理部30は、前処理部20から獲得された医療映像を正規化し、予めセッティングされた標準マスクテンプレートを利用して関心領域を分割及び抽出する機能を提供する。
【0086】
また、判断部40は、分割及び抽出された関心領域を分析して大脳動脈の損傷による脳疾患を診断することができる。
【0087】
本発明による判断部40は、分割及び抽出された関心領域の医療映像を基盤として大脳動脈の損傷による脳疾患の重症程度を医療陣が直接点数化し易いようにして医療陣の脳疾患の診断及び予後予測に役に立てられる。
【0088】
以下では、図面を参照して、脳卒中診断装置1の構成要素である前処理部20、映像処理部30及び判断部40の具体的な技術的特徴について説明する。
【0089】
前処理部
【0090】
本発明による前処理部20は、非造影CT映像を基盤として、人工知能アルゴリズムにより非出血(No hemorrhage)と出血(Hemorrhage)を区分する機能を提供する。
【0091】
図2は、図1で説明した前処理部のブロック構成図の一例を示したものである。
【0092】
図2を参照すると、本発明による前処理部20は、ノイズフィルター部21、登録部22、スカルストライピング部23及び出血分類部24を含むことができる。
【0093】
先ず、ノイズフィルター部21は、映像獲得部10から収集された映像におけるノイズを除去する動作を行う。
【0094】
代表として、ノイズフィルター部21は、CT撮影機器の一要素であるガントリー(Gantry)関連のTilt correction機能を行う。
【0095】
一部のHead CTスキャンでは、ガントリー(Gantry)が傾いてイメージスライスが斜めに撮影される場合が頻繁に発生し、ガントリーが傾いて撮影される場合、イメージスライス間のボクセルの距離が正確ではなく、特に3次元の視覚化に問題が発生するおそれがある。
【0096】
従って、本発明によるノイズフィルター部21では、ガントリー(Gantry)が傾いて撮影された映像の場合、DICOM原本映像に共に格納される情報の中で「Gantry/Detector Tilt header」情報を利用して傾きによる誤謬をリサンプリングを通じて復元することができる。
【0097】
このような初期段階におけるGantry tilt correctionを実行することで、分析性能の向上を期待することができる。
【0098】
次に、登録部22は、Co−registration機能を提供する。
【0099】
本発明のCo−registration機能は、解剖学的な構造物の整列のためにイメージを整列することで、CT撮影時に被験者の動きによる傾きや脳模様の差などによる個体内または個体間のイメージを空間的に整列することである。
【0100】
また、スカルストライピング部23は、CT映像で脳構造物ではない部分を除去するための機能を提供するスカル−ストライピング機能を提供する。
【0101】
CT映像においてスカル(Skull)は、脳組織に比べてHounsfield unit(HU)値が相対的に高いため、本発明では、スカルストライピング部23を通じて脳構造物ではない部分を除去した後、分析を進行することで、脳組織の病変分析の容易性を高めることになる。
【0102】
また、出血分類部24は、人工知能(AI)を基盤として出血(Hemorrhage)形態を学習し、分類する機能を提供する。
【0103】
出血分類部24の出血(Hemorrhage)形態の学習は、患者非−造影CTデータのボクセル(voxel)情報を使用することができる。
【0104】
即ち、出血分類部24は、NCCT個別Sliceに対してFeature extractionのためのConvolutional neural network(CNN)神経網を構成し、患者全体のSerial sliceを考慮するためのLong Short−term Memory(LSTM)神経網を合成する形態のAIモデルアーキテクチャーを構築して利用することができる。
【0105】
これに基づいて、出血分類部24は、各患者に対するHemorrhage有無及び陽性患者のHemorrhage形態分類に対してOutputを算出する。
【0106】
他の方法として、本発明による出血分類部24は、出血(Hemorrhage)形態と関係なく、映像内の一定領域以上でHemorrhageを読み取れば、これに基づいてHemorrhage患者に分類する方法を利用することもできる。
【0107】
さらに他の方法として、本発明による出血分類部24は、CT映像内のHemorrhage推定病変を検出し形態を分類するために、Intraparenchymal、Intraventricular、Subarachnoid、Subdural、Epiduralなどを利用することができる。
【0108】
また、本発明では、Hemorrhage陰性患者のID情報リストを判断部40のIschemia分類AIモデルに伝達して、HemorrhageとIschemia分類段階のPre−processing及びData inputを独立して行うこともできる。
【0109】
以後、出血分類部24の人工知能アルゴリズムによって非出血(No hemorrhage)状態と出血(Hemorrhage)状態が区分されることができる。
【0110】
映像処理部
【0111】
本発明による映像処理部30は、前処理部20から獲得された医療映像を正規化し、予めセッティングされた標準マスクテンプレートを利用して関心領域を分割及び抽出する医療映像処理装置を言う。
【0112】
図3は、図1で説明した映像処理部のブロック構成図の一例を示したものである。
【0113】
図3を参照すると、本発明による映像処理部30は、テンプレートセッティング部31、映像正規化部32及び関心領域抽出部33を含むことができる。
【0114】
先ず、テンプレートセッティング部31は、医療映像で関心領域を分割及び抽出するための標準マスクテンプレート(Mask Template)をセッティングする。
【0115】
テンプレートセッティング部31は、前処理部20から複数の正常人と脳疾患患者から獲得された複数の医療映像を収集し、2次元と3次元の正規化映像を生成し、3次元の正規化映像を基盤としてボクセル(Voxel)設定により特定軸を基準としてSlicingして2次元の正規化映像を生成する。
【0116】
本発明は、診断対象の医療映像で関心領域を分割及び抽出するに先立ち、複数の正常人と脳疾患患者から獲得された複数の医療映像で関心領域を抽出し、診断対象の脳疾患を診断するための関心領域の標準マスクテンプレートを生成する。
【0117】
ここで、テンプレートセッティング部31は、3次元の正規化映像のX軸、Y軸、Z軸を基準として予め設定された単位、例えばmm単位でボクセルを設定して2次元の正規化映像を生成することができる。
【0118】
そして、テンプレートセッティング部31は、生成された2次元の正規化映像で関心領域を分割し、複数の正規化映像で分割された関心領域を基盤として標準マスクテンプレートを生成する。
【0119】
次に、映像正規化部32は、診断対象の医療映像を正規化する機能を提供する。
【0120】
例えば、映像正規化部32は、診断対象の原本医療映像に不正規バイアスを訂正し(Non−uniform bias correction)、空間的整列(Spatial align)を通じて登録(Co−registration)し、標準定位空間(Standard stereotaxic space)を適用して空間的正規化(Spatial normalization)を行う過程を通じて映像を正規化することができる。
【0121】
もちろん、本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく、医療映像を多様な方式で正規化することができる。
【0122】
また、関心領域抽出部33は、正規化された医療映像に標準マスクテンプレートを適用して関心領域を分割及び抽出する機能を提供する。
【0123】
関心領域抽出部33は、Anterior/Middle/Posterior cerebral artery(ACA、MCA、PCA)関連のterritory映像を選別し、左右各半球でACA、MCA、PCA territory関連の脳構造物を分割することで、関心領域を分割及び抽出する。
【0124】
このように分割及び抽出された関心領域を含む医療映像は、判断部40に伝達される。
【0125】
判断部
【0126】
判断部40は、分割及び抽出された関心領域を分析して大脳動脈の損傷による脳疾患を診断することができる。即ち、本発明による判断部40は、分割及び抽出された関心領域の医療映像を基盤として、大脳動脈の損傷による脳疾患の重症程度を医療陣が直接点数化し易いようにして医療陣の脳疾患の診断及び予後予測に役立てられる。
【0127】
図4は、図1で説明した判断部のブロック構成図の一例を示したものである。
【0128】
図4を参照すると、本発明による判断部40は、Ischemia分類部41、Large Vessel Occlusion判断部43、ASPECTS判断部44及びMechanical Thrombectomy判断部45を含むことができる。
【0129】
先ず、Ischemia分類部41は、関心領域抽出部33により、正規化された医療映像に標準マスクテンプレートを適用して分割及び抽出された関心領域の伝達を受けて非出血(No hemorrhage)である患者に虚血(Ischemia)が存在するか否かを判断するようになる。
【0130】
本発明によるIschemia分類部41は、人工知能を利用して分割された領域の病変有無を判別して形態を分類する方法を使用することができる。
【0131】
即ち、本発明によるIschemia分類部41は、Old infarct(OI)/Recent infarct(RI)/Frank hypodensity(FH)/Early ischemic sign(EIS)と関連して、各分割領域の病変有無及び形態分類を独立して行うことができる。
【0132】
以後、Ischemia分類部41は、脳の左右各半球が分割された領域でFH/EISのみをAcute病変として判別し、一領域でもAcute病変が存在すれば非出血(No hemorrhage)である患者に虚血(Ischemia)が存在すると判定する。
【0133】
非出血(No hemorrhage)である患者に虚血(Ischemia)が存在する場合、Large Vessel Occlusion判断部43は、大血管閉塞患者であるか否かを判別する。
【0134】
大血管閉塞可能性の存在有無は、Infra−ganglionic levelでDense MCA signが検出されたか否かで判別が可能である。
【0135】
一方、大血管閉塞が発生したにもかかわらず、間欠的にDense MCA signが検出されないケースが発生し得る。
【0136】
従って、本発明では、Dense MCA signが検出されない場合にも、Large Vessel Occlusion判断部43が、Infra−ganglionic levelのsequential slice映像で左右半球Hounsfield unit(HU)値の頻度数(frequency)差を導出することで、上記問題点を補完することができる。
【0137】
即ち、本発明によるLarge Vessel Occlusion判断部43は、前記検出された両側半球の少なくともいずれか一つのHU値の頻度数が予め指定された基準値以上であるか、前記検出された両側半球のHU値の頻度数差が予め指定された差値以上の場合、前記大血管閉塞が存在すると判断することができる。
【0138】
もし、大血管閉塞患者ではない場合は、保存的治療過程が進行されるが、大血管閉塞患者の場合は、機械的血栓除去術が適用可能な患者であるか否かの判断が要求される。
【0139】
機械的血栓除去術が適用されることができる患者であるか否かの判断は、ASPECTS判断部44とMechanical Thrombectomy判断部45を通じて行われることができる。
【0140】
優先的に、ASPECTS判断部44は、関心領域抽出部33により、正規化された医療映像に標準マスクテンプレートを適用して分割及び抽出された関心領域の伝達を受けてASPECTスコアを計算する。
【0141】
ASPECTS判断部44は、病変検出及び形態分類を通じてASPECTスコアを計算することができる。
【0142】
代表的な病変検出及び形態分類は、Old infarct(OI)/Recent infarct(RI)/Frank hypodensity(FH)/Early ischemic sign(EIS)等が挙げられる。
【0143】
この時、人工知能(AI)アルゴリズムを適用して、OI/RI/FH/EISのいずれか一つでも検出されれば病変として認めるConventional ASPECTS算出方法が適用されることができる。
【0144】
この時、病変として認められた値をASPECTスコアの推定に反映して点数を差引することができる。
【0145】
また、本発明では、人工知能(AI)アルゴリズムを適用して、FH/EIS検出のみを病変として認めるModified ASPECTS方法が適用されることができる。
【0146】
この時、病変として認められた値をASPECTスコアの推定に反映して点数を差引することができる。
【0147】
また、本発明では、人工知能(AI)アルゴリズムを適用して、ACA、PCA、ICA関連領域を追加し、FH/EIS検出のみを病変として認めるExtended ASPECTS算出方法が適用されることもできる。
【0148】
一般的にASPECTSを算出する領域は、MCA(Middle cerebral artery)Territoryが対象となるが、本発明ではこれをACA(Anterior cerebral artery)、PCA(Posterior cerebral artery)及びICA(Internal carotid artery)領域まで拡張し、ASPECTS判断部44は、前記MCA、ACA、PCA及びICA領域上の前記Old infarct(OI)、Recent infarct(RI)、Frank hypodensity(FH)及びEarly ischemic sign(EIS)のうちFrank hypodensity(FH)及びEarly ischemic sign(EIS)が検出されればこれを病変として認め、病変として認められた値を前記ASPECTSスコアの推定に反映することができる。
【0149】
また、Mechanical Thrombectomy判断部45は、前記ASPECTS判断部44から伝達されたASPECTスコアを利用して機械的血栓除去術を適用することができる患者であるか否かを判断する。
【0150】
大血管閉塞の可能性が存在する患者の場合、ASPECTS判断部44から伝達されたASPECTSスコアを利用して、スコアが特定基準より低ければ回復確率が薄いため、Mechanical Thrombectomy判断部45は、機械的血栓除去術を適用することができないと判断し、保存的治療を進行する。
【0151】
しかし、大血管閉塞患者の場合でも、ASPECTS判断部44から伝達されたASPECTスコアが予め指定された数値以上であれば、回復可能性が存在するため、機械的血栓除去術を適用することができる患者であると判断する。
【0152】
機械的血栓除去術を適用することができる患者であると判別されれば、当該患者と関連した多様な情報は3次病院に伝達されることができる。
【0153】
3次病院への情報伝達は図示されていないが、通信部を通じて行われることができ、通信部は、近距離通信または遠距離通信を通じて、当該情報を予め指定された外部(例えば、病院など)に伝送することができる。
【0154】
ここで利用されることができる遠距離通信技術としては、WLAN(Wireless LAN)(Wi−Fi)、Wibro(Wireless broadband)、Wimax(World Interoperability for Microwave Access)、HSDPA(High Speed Downlink Packet Access)などが利用されることができる。
【0155】
また、近距離通信(short range communication)の技術としては、ブルートゥース(Bluetooth)、RFID(Radio Frequency Identification)、赤外線通信(IrDA、infrared Data Association)、UWB(Ultra−Wideband)、ZigBeeなどが利用されることができる。
【0156】
人工知能基盤の脳卒中の診断及び分類方法
【0157】
図5は、本発明が提案する人工知能基盤の脳卒中の診断方法の全体過程を説明するフローチャートの一例を示したものである。
【0158】
図5を参照すると、最も先に、映像獲得部10が非−造影(Non−contrast)CT映像を獲得する段階(S10)が行われる。
【0159】
以後、前処理部20が前−処理及び出血分類動作を行う(S20)。
【0160】
前記前−処理及び出血分類段階(S21)は、ノイズフィルター部21がノイズを除去する段階(S21)、登録部22、Co−registration機能を行う段階(S22)、スカルストライピング部23がスカル−ストライピング機能を行う段階(S23)及び出血分類部24が人工知能(AI)を基盤として出血(Hemorrhage)形態を学習し、学習モデルに基づいて人工知能アルゴリズムによって非出血(No hemorrhage)状態(S30)と出血(Hemorrhage)状態(S130)を区分する段階(S24)を含むことができる。
【0161】
S20段階の具体的な内容は、図6を参照して後述する。
【0162】
S20段階以後、学習モデルに基づいて人工知能アルゴリズムによって非出血(No hemorrhage)状態(S30)と出血(Hemorrhage)状態(S130)が区分され、非出血(No hemorrhage)状態(S30)の場合は、空間正規化(Spatial normalization)及びセグメンテーション(Segmentation)段階(S40)が進行される。
【0163】
このような空間正規化及びセグメンテーション段階(S40)は、3次元の正規化映像生成段階(S41)、ボクセルの設定、2次元の正規化映像の生成段階(S42)、関心領域の分割、マスクテンプレートの生成段階(S43)、複数の医療映像の収集及び正規化段階(S44)、マスクテンプレートの適用、関心領域の分割及び抽出段階(S45)を通じて行われることができる。
【0164】
S40段階の具体的な内容は図7を参照して後述する。
【0165】
前記空間正規化及びセグメンテーション段階(S40)以後、正規化された医療映像に標準マスクテンプレートを適用して分割及び抽出された関心領域に基づいてIschemiaを分類する過程(S50)が進行される。
【0166】
S50段階において、Ischemia分類部41は、関心領域抽出部33によって、正規化された医療映像に標準マスクテンプレートを適用して分割及び抽出された関心領域の伝達を受けて非出血(No hemorrhage)である患者に虚血(Ischemia)が存在するか否かを判断するようになる。
【0167】
S50段階の具体的な内容は、図10を参照して後述する。
【0168】
もし、S50段階で非出血(No hemorrhage)である患者に虚血(Ischemia)が存在しなければ保存的治療段階(S120)が進行される。
【0169】
しかし、S50段階で非出血(No hemorrhage)である患者に虚血(Ischemia)が存在すると判断(S70)されれば、Large Vessel Occlusion判断部43は、大血管閉塞患者であるか否かを判別するようになる(S90)。
【0170】
S90段階の大血管閉塞が発生したか否かは、Infra−ganglionic levelでDense MCA signが検出されたか否かで判別可能である。
【0171】
一方、大血管閉塞が発生されたにもかかわらず、間欠的にDense MCA signが検出されないケースが発生することがある。
【0172】
従って、本発明では、Dense MCA signが検出されない場合にも、Large Vessel Occlusion判断部43が、Infra−ganglionic levelのsequential slice映像で左右半球Hounsfield unit(HU)値の頻度数(frequency)差を導出することで、上記問題点を補完することができる。
【0173】
即ち、本発明によるLarge Vessel Occlusion判断部43は、前記検出された両側半球の少なくともいずれか一つのHU値の頻度数が予め指定された基準値以上であるか、前記検出された両側半球のHU値の頻度数差が予め指定された差値以上の場合、前記大血管閉塞が存在すると判断することができる。
【0174】
S90段階の具体的な内容は、図11を参照して後述する。
【0175】
もし、大血管閉塞患者ではない場合は、保存的治療過程が進行(S120)されるが、大血管閉塞患者の場合は、機械的血栓除去術が適用されることができる患者であるか否かの判断が要求される。
【0176】
従って、機械的血栓除去術が適用されることができる患者であるか否かの判断のために、S90段階以後には、ASPECTスコアを推定する段階(S100)が行われる。
【0177】
S100段階と関連して、ASPECTS判断部44は、関心領域抽出部33により、正規化された医療映像に標準マスクテンプレートを適用して分割及び抽出された関心領域の伝達を受けてASPECTスコアを計算する。
【0178】
S100段階の具体的な内容は、図12を参照して後述する。
【0179】
S100段階以後、Mechanical Thrombectomy判断部45は、前記ASPECTS判断部44から伝達されたASPECTSスコアを利用して機械的血栓除去術を適用することができる患者であるか否かを判断する(S110)。
【0180】
S110段階において大血管閉塞患者の場合、ASPECTS判断部44から伝達されたASPECTスコアを利用して、スコアが特定基準より低ければ回復確率が薄いため、Mechanical Thrombectomy判断部45は、機械的血栓除去術を適用することができないと判断し、保存的治療を進行する(S120)。
【0181】
しかし、大血管閉塞患者の場合でも、ASPECTS判断部44から伝達されたASPECTスコアが特定基準以上であれば回復可能性が存在するため、機械的血栓除去術を適用することができる患者であると判断し、機械的血栓除去術を適用することができる患者であると判別されれば、当該患者と関連した多様な情報は、3次病院に伝達されることができる(S140)。
【0182】
3次病院に伝達される情報は、Elapsed time、非−造影CT映像、判別結果及びTissue clock情報、Conventional ASPECTS情報、Modified ASPECTS情報及びExtended ASPECTS情報の少なくともいずれか一つになることができる。
【0183】
以下では、図5を通じて説明した人工知能基盤の脳卒中の診断方法の全体過程の各段階を図面を参照して具体的に説明する。
【0184】
前処理及び出血分類の過程
【0185】
図6は、図5で説明した過程のうち非造影CT映像を基盤として前処理及び出血分類する過程を説明するフローチャートである。
【0186】
図6を参照すると、先ず、非造影CT映像を獲得し(S10)、これに基づいて、前処理部20のノイズフィルター部21が映像獲得部10から収集された映像におけるノイズを除去する動作が行われる(S21)。
【0187】
S21段階において、ノイズフィルター部21は、CT撮影機器の一要素であるガントリー(Gantry)関連のTilt correction機能を行うことができる。
【0188】
HeadCTスキャンではガントリー(Gantry)が傾いてイメージスライスが斜めに撮影される場合が頻繁に発生し、ガントリーが傾いて撮影される場合、イメージスライス間のボクセルの距離が正確ではなく、特に3次元の視覚化に問題が発生することがあるため、S21段階では、ガントリー(Gantry)が傾いて撮影された映像の場合、DICOM原本映像に共に格納される情報のうち「Gantry/Detector Tilt header」情報を利用して傾きによる誤謬をリサンプリングを通じて復元することができる。
【0189】
CT映像に含まれたノイズは、脳の主要特徴を獲得するための前処理段階に含まれた各段階の正確度を劣らせる要因になるため、除去が必要であり、S21段階では、映像全体にガウシアンぼかし(Gaussian Blur)をコンボリューション(Convolution)して映像に含まれたノイズを除去することができる。
【0190】
このようなS21段階におけるGantry tilt correctionを実行することで、分析性能の向上を期待することができる。
【0191】
次に、登録部22は、Co−registration機能を行う(S22)。
【0192】
S22段階において、登録部22は、解剖学的な構造物の整列のためにイメージを整列するもので、CT撮影時に被験者の動きによる傾きや脳模様の差などによる個体内または個体間のイメージを空間的に整列する。
【0193】
S22段階以後、スカルストライピング部23は、CT映像で脳構造物ではない部分を除去するための機能を提供するスカル−ストライピング機能を行う(S23)。
【0194】
即ち、CT映像においてスカル(Skull)は、脳組織に比べてHounsfield unit(HU)値が相対的に高いため、S23段階を通じて、脳構造物ではない部分を除去してから分析を進行することで、脳組織の病変分析の容易さを高めるようになる。
【0195】
S23段階以後、出血分類部24は、人工知能(AI)を基盤として出血(Hemorrhage)形態を学習し、学習モデルに基づいて人工知能アルゴリズムによって非出血(No hemorrhage)状態(S30)と出血(Hemorrhage)状態(S130)を区分することができる(S24)。
【0196】
S24段階において、出血分類部24の出血(Hemorrhage)形態学習は、非−造影CTの個別slice映像に対してFeature extractionのためのConvolutional neural network(CNN)神経網を構成し、患者全体のSerial sliceを考慮するためのLong Short−term Memory(LSTM)神経網を合成する形態のAIモデルアーキテクチャーを構築して利用することができ、これに基づいて、出血分類部24は、各患者に対するHemorrhage有無及び陽性患者のHemorrhage形態分類についてOutputを算出する。
【0197】
他の方法として、本発明による出血分類部24は、出血(Hemorrhage)形態と関係なく、映像内の一定領域以上でHemorrhageを読み取れば、これに基づいてHemorrhage患者に分類する方法を利用することもできる。
【0198】
さらに他の方法として、本発明による出血分類部24は、CT映像内のHemorrhage推定病変を検出して形態を分類するために、Intraparenchymal、Intraventricular、Subarachnoid、Subdural、Epiduralなどを利用することができる。
【0199】
空間正規化及びセグメンテーション過程
【0200】
図7は、図5で説明した過程のうち空間正規化及びセグメンテーション過程を説明するフローチャートである。
【0201】
図7を参照すると、非出血(No hemorrhage)であると判断(S30)された以後に、空間正規化(Spatial normalization)及びセグメンテーション(Segmentation)段階(S40)が進行される。
【0202】
図7に基づいて、空間正規化及びセグメンテーション段階(S40)について具体的に説明する。
【0203】
最初に、テンプレートセッティング部31は、前処理部20から複数の正常人と脳疾患患者から獲得された複数の医療映像を収集し、3次元の正規化映像を生成する(S41)。
【0204】
以後、テンプレートセッティング部313は、3次元の正規化映像を基盤としてボクセル(Voxel)設定を通じて2次元の正規化映像を生成する(S42)。
【0205】
S42段階において、テンプレートセッティング部31は、3次元の正規化映像のX軸、Y軸、Z軸を基準として予め設定された単位、例えばmm単位でボクセルを設定して2次元の正規化映像を生成することができる。
【0206】
即ち、前記3次元の正規化映像を予め指定された単位ユニットである3次元ボクセルの設定によりX軸、Y軸及びZ軸のいずれか一つの軸を基準としてSlicingされた2次元の正規化映像を生成することが可能である。
【0207】
正規化映像は3次元であり、ボクセルも3次元であるが、X軸、Y軸及びZ軸のいずれか一つの軸を基準軸として設定し、ボクセルを利用して正規化映像を表現すると、2次元に変換された正規化映像が生成されることができる。
【0208】
S42段階以後、テンプレートセッティング部31は、生成された2次元の正規化映像で関心領域を分割し、複数の正規化映像で分割された関心領域を基盤として標準マスクテンプレートを生成する(S43)。
【0209】
図8は、図7における標準マスクテンプレートを生成して正規化された映像を分割する過程を例示した図面である。
【0210】
図8の(a)には、複数の医療映像が例示されており、図8の(b)と(c)には、それぞれ医療映像で抽出された関心領域と、セッティングされた標準マスクテンプレートが例示されており、図8の(d)と(e)には、それぞれ医療映像処理装置に入力される正規化された医療映像と分割及び抽出された関心領域が例示されている。
【0211】
本発明は、診断対象の医療映像で関心領域を分割及び抽出するのに先立ち、図8の(a)に図示されたように、複数の正常人と脳疾患患者から獲得された複数の医療映像で関心領域を抽出し(図8の(b))、診断対象の脳疾患を診断するための関心領域の標準マスクテンプレートを生成する(図8の(c))。
【0212】
ここで、テンプレートセッティング部31は、3次元の正規化映像のX軸、Y軸、Z軸を基準として予め設定された単位、例えばmm単位でボクセルを設定して2次元の正規化映像を生成することができる。
【0213】
そして、テンプレートセッティング部31は、生成された2次元の正規化映像で関心領域を分割し、複数の正規化映像で分割された関心領域を基盤として標準マスクテンプレートを生成する。
【0214】
再び図7に戻り、映像正規化部32は、前処理部20から獲得された診断対象の医療映像を正規化する(S44)。
【0215】
S44段階と関連して、図9の(a)には、医療映像処理装置に入力される原本医療映像が例示されており、図9の(b)には、テンプレートを通じて正規化されたイメージが例示されている。
【0216】
映像正規化部30は、図9の(a)に図示された診断対象の原本医療映像に不正規バイアスを訂正し(Non−uniform bias correction)、空間的整列(Spatial align)を通じて登録(Co−registration)し、標準定位空間(standard stereotaxic space)に適用して空間的正規化(spatial normalization)を行う過程を通じて、図9の(b)に図示されたように医療映像を正規化することができる。
【0217】
S44段階以後、関心領域抽出部33は、正規化された医療映像に標準マスクテンプレートを適用して関心領域のみを分割及び抽出する(S45)。
【0218】
即ち、関心領域抽出部33は、図8の(d)に図示された正規化された医療映像に標準マスクテンプレートを適用することで、図8の(e)のように、関心領域のみを分割及び抽出する。
【0219】
S45段階において、関心領域抽出部33は、Anterior/Middle/Posterior cerebral artery(ACA、MCA、PCA)関連のTerritory映像を選別し、左右各半球でACA、MCA、PCA Territory関連の脳構造物を分割することで、関心領域を分割及び抽出することができる。
【0220】
このように分割及び抽出された関心領域を含む医療映像は、脳疾患分析装置13に伝達される。
【0221】
これにより、判断部40は、分割及び抽出された関心領域の医療映像を基盤として大脳動脈の損傷に脆弱な脳領域を精密に観察及び点数化することができ、これを通じて脳疾患の重症程度及び予後を予測することができる。
【0222】
前述した、空間正規化及びセグメンテーション段階(S40)を通じて、本発明は、脳を撮影した医療映像を正規化し、正規化された医療映像に予めセッティングされた標準マスクテンプレートを適用して脳疾患診断のために必要な領域、即ち、大脳動脈損傷と関連した関心領域を分割及び抽出することで、テンプレートを通じて正規化されたイメージを基盤として全被験者の医療映像で一貫して関心領域を分割することができ、分割及び抽出された関心領域を通じて脳疾患を分析及び診断することにより、精密度及び正確度を極大化することができる。
【0223】
前記空間正規化及びセグメンテーション段階(S40)以後、正規化された医療映像に標準マスクテンプレートを適用して分割及び抽出された関心領域に基づいてIschemiaを分類する過程(S50)が進行される。
【0224】
Ischemiaを分類する過程
【0225】
Ischemia分類部41は、関心領域抽出部33により、正規化された医療映像に標準マスクテンプレートを適用して分割及び抽出された関心領域の伝達を受けて非出血(No hemorrhage)である患者に虚血(Ischemia)が存在するか否かを判断するようになる。
【0226】
図10は、図5で説明した過程のうちIschemiaを分類する過程(S50)を説明するフローチャートである。
【0227】
図10を参照すると、本発明によるIschemia分類部41は、人工知能を利用して分割された領域の病変有無を判別して形態を分類する方法を使用することができる。
【0228】
先ず、本発明によるIschemia分類部41は、Old infarct(OI)/Recent infarct(RI)/Frank hypodensity(FH)/Early ischemic sign(EIS)と関連して、各分割領域の病変有無及び形態分類を独立して行うことができる(S51)。
【0229】
以後、Ischemia分類部41は、脳左右各半球の分割された領域でFH/EISのみをAcute病変であると判別する(S52)。
【0230】
また、Ischemia分類部41は、一領域でもAcute病変が存在すれば非出血(No hemorrhage)である患者に虚血(Ischemia)が存在すると判定するようになる(S53)。
【0231】
もし、S53段階において非出血(No hemorrhage)である患者に虚血(Ischemia)が存在しなければ保存的治療段階(S120)が進行される。
【0232】
Large Vessel Occlusionを判断する過程
【0233】
図11は、図5で説明した過程のうちLarge Vessel Occlusionを判断する過程を説明するフローチャートである。
【0234】
S90段階では、最初に、Dense MCA signが検出されたか否かを判断する段階(S91)が進行される。
【0235】
もし、Dense MCA signが検出される場合、大血管閉塞が発生したとみなす。
【0236】
一方、大血管閉塞が発生したにもかかわらず、間欠的にDense MCA signが検出されないケースが発生することがある。
【0237】
従って、本発明では、Dense MCA signが検出されない場合でも、Large Vessel Occlusion判断部43が、Infra−ganglionic levelのsequential slice映像で左右半球Hounsfield unit(HU)値の頻度数(frequency)差を導出することで、上記問題点を補完することができる。
【0238】
即ち、図11を参照すると、先ず、Large Vessel Occlusion判断部43は、Infra−ganglionic levelのsequential slice映像の左右半球のうち一側半球Hounsfield unit(HU)値のそれぞれの頻度数(frequency)を検出する(S92)。
【0239】
以後、Large Vessel Occlusion判断部43は、前記検出された両側半球の少なくともいずれか一つのHU値の頻度数が予め指定された基準値以上であるか、前記検出された両側半球のHU値の頻度数差が予め指定された差値以上の場合、前記大血管閉塞が存在すると判断することができる(S93)。
【0240】
もし、大血管閉塞患者ではない場合は、保存的治療過程が進行(S120)されるが、大血管閉塞患者の場合は、機械的血栓除去術が適用されることができる患者であるか否かの判断が要求される。
【0241】
機械的血栓除去術が適用されることができる患者であるか否かの判断のために、S90段階以後は、ASPECTスコアを推定する段階(S100)が行われる。
【0242】
ASPECTスコアの推定過程
【0243】
ASPECTS判断部44は、関心領域抽出部33により、正規化された医療映像に標準マスクテンプレートを適用して分割及び抽出された関心領域の伝達を受けてASPECTスコアを計算する。
【0244】
図12は、図5で説明した過程のうちASPECTスコアの推定方法を段階別に説明するフローチャートである。
【0245】
図12を参照すると、ASPECTS判断部44は、最初に、正規化された医療映像に標準マスクテンプレートを適用して分割及び抽出された関心領域の医療映像を基盤として、人工知能を利用して各分割された領域の病変有無を判別し、形態を分類する段階(S101)を行う。
【0246】
ここで、代表的な病変検出及び形態分類は、Old infarct(OI)/Recent infarct(RI)/Frank hypodensity(FH)/Early ischemic sign(EIS)等が挙げられる。
【0247】
以後、ASPECTS判断部44は、病変有無及び複数の形態の少なくともいずれか一つを利用する複数のASPECTスコアの判断方式のいずれか一つを適用してASPECTスコアを判断する段階(S102)を行う。
【0248】
S102段階において、ASPECTS判断部44は、病変検出及び形態分類を通じてASPECTスコアを計算することができる。
【0249】
この時、人工知能(AI)アルゴリズムを適用して、OI/RI/FH/EISのいずれか一つでも検出されれば病変として認めるConventional ASPECTS算出方法が適用されることができる。
【0250】
また、本発明では、人工知能(AI)アルゴリズムを適用して、FH/EIS検出のみを病変として認めるModified ASPECTS方法が適用されることができる。
また、本発明では、人工知能(AI)アルゴリズムを適用して、ACA、PCA、ICA関連領域を追加し、FH/EIS検出のみを病変として認めるExtended ASPECTS算出方法が適用されることもできる。
【0251】
S102段階以後、判断されたASPECTスコアに基づいて、脳疾患の重症程度を判断する段階(S103)が進行される。
【0252】
S100段階以後、Mechanical Thrombectomy判断部45は、前記ASPECTS判断部44から伝達されたASPECTスコアを利用して機械的血栓除去術を適用することができる患者であるか否かを判断する(S110)。
【0253】
人工知能アルゴリズムに基づいて応急大血管閉塞患者を選別する過程
【0254】
S110段階と関連して、大血管閉塞患者の場合、ASPECTS判断部44から伝達されたASPECTスコアを利用して、スコアが特定基準より低ければ回復確率が薄いため、Mechanical Thrombectomy判断部45は、機械的血栓除去術を適用することができないと判断し、保存的治療を進行する(S120)。
【0255】
しかし、大血管閉塞患者の場合でも、ASPECTS判断部44から伝達されたASPECTSスコアが予め指定された数値以上であれば、回復可能性が存在するため、機械的血栓除去術を適用することができる患者であると判断し、機械的血栓除去術を適用することができる患者であると判別されれば、当該患者と関連した多様な情報は3次病院に伝達されることができる(S140)。
【0256】
3次病院に伝達される情報は、Elapsed time、非−造影CT映像、判別結果及びTissue clock情報、Conventional ASPECTS情報、Modified ASPECTS情報及びExtended ASPECTS情報の少なくともいずれか一つになることができる。
【0257】
以下では、Mechanical Thrombectomy判断部45がASPECTスコアを利用して機械的血栓除去術を適用することができる患者であるか否かを判断する具体的な方法について説明する。
【0258】
第1実施例
【0259】
図13は、図5で説明した過程のうち人工知能アルゴリズムに基づいて応急大血管閉塞患者を選別することができる一実施例を説明するフローチャートである。
【0260】
図13を参照すると、Mechanical Thrombectomy判断部45は、Multi numeric data基盤のregression構造のAIモデルを構成する段階(S111)を行う。
【0261】
以後、Mechanical Thrombectomy判断部45は、Infra−ganglionic levelでDense MCA signが検出された患者の場合、AIモデルに基づいて、先行されたELVO(Emergent large vessel occlusion)段階(S90)とIschemia分類段階(S70)のOutputとS100段階を通じて判断されたASPECTスコアを基盤として手術要否を判別することができる(S112)。
【0262】
即ち、推定されたASPECTスコアが予め指定された数値以上の場合でも、Thrombectomy判断部45は、前記Ischemia分類部41で獲得した情報及び前記Large Vessel Occlusion判断部で獲得した情報を通じて判断された基準が予め指定された基準以上の場合のみに、前記少なくとも一つの患者が機械的血栓除去術を適用することができる患者であると判別することができる。
【0263】
第2実施例
【0264】
図14は、図5で説明した過程のうち人工知能アルゴリズムに基づいて応急大血管閉塞患者を選別することができる他の実施例を説明するフローチャートである。
【0265】
図14を参照すると、Mechanical Thrombectomy判断部45は、人工知能(AI)を通じてEmergent large vessel occlusion(ELVO)による病変(Early ischemic sign、Frank hypodensity)のVolumeを検出する段階(S113)を行うことができる。
【0266】
以後、Mechanical Thrombectomy判断部45は、検出された病変のVolumeを機械学習(Machine learning−logistic regression)することができる(S114)。
【0267】
また、Mechanical Thrombectomy判断部45は、機械学習されたモデル及びASPECTスコアを基盤としてMechanical thrombectomy手術要否を判別する(S115)。
【0268】
即ち、大血管閉塞によって検出されるVolume値を学習した人工知能モデルに基づいて、前記少なくとも一つの患者が機械的血栓除去術を適用することができる患者であるか否かを判断することができる。
【0269】
第3実施例
【0270】
図15は、図5で説明した過程のうち人工知能アルゴリズムに基づいて応急大血管閉塞患者を選別することができるさらに他の実施例を説明するフローチャートである。
【0271】
図15を参照すると、Mechanical Thrombectomy判断部45は、LVO(large vessel occlusion)発生後に非−造影CT撮影までのAbsolute timeとEarly ischemic sign、Frank hypodensityのVolumeを収集する段階(S116)を行う。
【0272】
以後、Mechanical Thrombectomy判断部45は、収集された情報に基づいてTissue clockを算出する(S117)。
【0273】
また、Mechanical Thrombectomy判断部45は、Tissue clockとASPECTスコアを基盤としてMechanical thrombectomy手術要否及び可用時間を判別する(S118)。
【0274】
前述したように、機械的血栓除去術を適用することができる患者であると判別されれば、当該患者と関連した多様な情報は3次病院に伝達されることができる(S140)。
【0275】
3次病院に伝達される情報は、Elapsed time、非−造影CT映像、判別結果及びTissue clock情報、Conventional ASPECTS情報、Modified ASPECTS情報及びExtended ASPECTS情報の少なくともいずれか一つになることができる。
【0276】
人工知能を利用した脳卒中の診断方法を通じて患者群及び正常群の選別に活用して臨床試験の成功確率を高める方法
【0277】
前述した本発明による脳卒中の診断方法及び装置を、患者群及び正常群の選別に活用して臨床試験の成功確率を高めることができる。
【0278】
即ち、本発明は、人工知能を利用した脳卒中の診断方法を通じて患者群及び正常群の選別に活用して臨床試験の成功確率を高める装置、システム及び方法を提供することができる。
【0279】
薬効能を立証するための臨床試験は、予め予測した期待効果を臨床試験の参加者に対して達成するかの統計的有意性をみることで結果が判定されるが、本発明による脳卒中の診断方法及び装置を適用する場合、正確に新薬が目標とする脳卒中患者のみを臨床試験の対象者に含ませることで、最大限に臨床試験の成功確率を高めることができる。
【0280】
先ず、既存新薬の臨床試験の問題点について先決的に説明する。
【0281】
薬効能を立証するための臨床試験は、予め予測した期待効果を臨床試験の参加者に対して達成するかの統計的有意性をみることで結果が判定される。
【0282】
一方、脳卒中の場合、薬効能による症状の好転有無の測定を問診による方法を通じて行わなければならず、これはデータの尺度が細密ではないという問題点がある。
【0283】
従って、統計的有意性を立証するためには、投薬の前と後、または偽物薬群と比べて評価尺度の数値が統計的に有意に上昇される必要があり、予測上昇数値が比較的大きいほど目標対象者数も少なくなり、統計的有意性の達成可能性が上昇する。
【0284】
この時、予測上昇数値が小さければ、それだけ目標対象者数も増えて、統計立証難易度が上昇する。
【0285】
結局、脳卒中の評価尺度で一段階の上昇自体が非常に難しいため、臨床試験の通過可能性が非常に低いという問題点が発生する。
【0286】
本発明では、このような問題点を解消するために、正確に新薬が目標とする脳卒中患者のみを臨床試験の対象者に含ませることで、最大限に臨床試験の成功確率を高めるようとする。
【0287】
中枢神経系薬物の新薬開発過程で重要な失敗要因の一つは、正確な対象者の選別及び薬物反応群の選別の難点である。
【0288】
中枢神経系薬物の場合、特に偽薬に対する反応割合が高くて、対象者群の異質性を低くし、薬物反応性を予測することができるバイオマーカーを設定することが成功率を高めるのに重要な戦略となる。
【0289】
また、脳卒中の場合、確診に長期間が所要されるため(約3ヶ月)、選別検査が難しく、新薬が目標とする脳卒中患者のみを臨床試験の対象者に含ませることが非常に難しいという問題点がある。
【0290】
従って、本発明が提案する人工知能を利用した脳卒中の診断方法を通じて患者群及び正常群の選別に活用して臨床試験の成功確率を高めるのに活用することができる。
【0291】
図16は、人工知能を利用した脳卒中の診断方法を通じて患者群及び正常群の選別に活用して臨床試験の成功確率を高める方法を説明する図面である。
【0292】
図16を参照すると、最初に、薬効能を立証するための臨床試験の実験候補群を募集する段階(S1)が進行される。
【0293】
以後、映像獲得部10が非−造影(Non−contrast)CT映像を獲得する段階(S10)、前処理部20が前−処理及び出血分類動作を行う段階(S20)、学習モデルに基づいて人工知能アルゴリズムによって非出血(No hemorrhage)状態(S30)と出血(Hemorrhage)状態(S130)が区分され、非出血(No hemorrhage)状態(S30)の場合は、空間正規化(Spatial normalization)及びセグメンテーション(Segmentation)段階(S40)、正規化された医療映像に標準マスクテンプレートを適用して分割及び抽出された関心領域に基づいてIschemiaを分類する過程(S50)、非出血(No hemorrhage)である患者に虚血(Ischemia)が存在すると判断(S70)されれば、Large Vessel Occlusion判断部43は、大血管閉塞患者であるか否かを判別する段階(S90)、機械的血栓除去術が適用されることができる患者であるか否かの判断のために、S90段階以後は、ASPECTスコアを推定する段階(S100)、Mechanical Thrombectomy判断部45は、前記ASPECTS判断部44から伝達されたASPECTSスコアを利用して機械的血栓除去術を適用することができる患者であるか否かを判断する段階(S110)などが行われる。
【0294】
前記S10〜S110段階は、図5図15で具体的に説明したため、明細書の簡明化のために繰り返した説明は省略する。
【0295】
S110段階を通じて診断結果が導出された以後、診断結果に基づいて、複数の実験候補群を実際の脳卒中患者群と正常患者群に区分する段階(S210)が進行されることができる。
【0296】
この時、実際の脳卒中患者群に分類された対象のみに基づいて、臨床試験を進行する段階(S220)及び臨床試験結果に基づいて薬効能を立証する段階(S230)を通じて、正確に新薬が目標とする脳卒中患者のみを臨床試験の対象者に含ませることで、最大限に臨床試験の成功確率を高めることができる。
【0297】
結局、本発明による人工知能を利用した脳卒中の診断方法を通じて、患者群及び正常群の選別に活用して臨床試験の成功確率を高めるのに活用することができる。
【0298】
前述したS1段階〜S230段階は、脳卒中診断装置1独自で行われることもでき、別途のサーバー(図示せず)を設けるか、別途の中央管理装置(図示せず)を設けて、脳卒中診断装置1と共に全体動作を行うように適用されることもできる。
【0299】
本発明による効果
【0300】
本発明によるASPECTスコアの推定システム及び方法によると、患者の脳CT映像を利用して脳卒中患者の状態を診断するための客観的指標であるASPECTスコアを推定することができるという効果が得られる。
【0301】
また、本発明によると、迅速な処方を必要とする脳卒中疾患の特性上、専門家間の点数変動性による問題を防止し、医療現場で患者の治療決定を容易にする信頼できる指標として使用することができるという効果が得られる。
【0302】
また、本発明によると、脳CT映像分析を通じた脳卒中ASPECTスコアの推定方式の複雑度及び専門性の要求により発生する専門医の経歴によるスコア値の不正確性を克服することができるという効果が得られる。
【0303】
また、本発明によると、CT映像基盤の脳卒中分析の全過程を自動化して分析過程に必要な人力、時間的及び経済的費用を画期的に減少させることができるという効果が得られる。
【0304】
また、本発明によると、CT、MRIのように脳を撮影した医療映像を正規化し、正規化された医療映像に予めセッティングされた標準マスクテンプレートを適用して大脳動脈損傷に脆弱な脳領域を一貫して分割及び抽出することができるという効果が得られる。
【0305】
また、本発明によると、診断対象の医療映像をテンプレートを通じて正規化した後、正規化されたイメージを基盤として全被験者の医療映像で一貫して関心領域を分割及び抽出することができるという効果が得られる。
【0306】
このように、本発明によると、標準マスクテンプレートを基盤として分割及び抽出された関心領域を通じて脳疾患(脳卒中)を分析及び診断することにより、診断結果に対する精密度及び正確度を極大化することができるという効果が得られる。
【0307】
また、薬効能を立証するための臨床試験は、予め予測した期待効果を臨床試験の参加者に対して達成するかの統計的有意性をみることで結果が判定されるが、本発明による脳卒中の診断方法及び装置を適用する場合、正確に新薬が目標とする脳卒中患者のみを臨床試験の対象者に含ませることで、最大限に臨床試験の成功確率を高めることができる。
【0308】
即ち、本発明による人工知能を利用した脳卒中の診断方法を通じて、患者群及び正常群の選別に活用して臨床試験の成功確率を高めるのに活用することができる。
【0309】
一方、本発明で得られる効果は、以上で言及した効果に制限されず、言及しなかったさらに他の効果は、以下の記載から本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に明確に理解できるであろう。
【0310】
上述した本発明の実施例は、多様な手段を通じて具現されることができる。例えば、本発明の実施例は、ハードウェア、ファームウエア(firmware)、ソフトウェアまたはそれらの結合などによって具現されることができる。
【0311】
ハードウェアによる具現の場合、本発明の実施例による方法は、一つまたはそれ以上のASICs(Application Specific Integrated Circuits)、DSPs(Digital Signal Processors)、DSPDs(Digital Signal Processing Devices)、PLDs(Programmable Logic Devices)、FPGAs(Field Programmable Gate Arrays)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサなどによって具現されることができる。
【0312】
ファームウエアやソフトウェアによる具現の場合、本発明の実施例による方法は、以上で説明された機能または動作を行うモジュール、手続きまたは関数などの形態に具現されることができる。ソフトウェアコードはメモリーユニットに格納されてプロセッサによって駆動されることができる。上記メモリーユニットは前記プロセッサの内部または外部に位置し、既に公知された多様な手段によって前記プロセッサとデータを取り交わすことができる。
【0313】
上述したように開示された本発明の好ましい実施例に対する詳細な説明は、当業者が本発明を具現して実施できるように提供された。上記では本発明の好ましい実施例を参照して説明したが、当該技術分野の熟練した当業者は、本発明の領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正及び変更可能なことが理解できるであろう。例えば、当業者は、上述した実施例に記載された各構成を互いに組み合わせる方式で利用することができる。従って、本発明は、ここで表れた実施形態に制限しようとするものではなく、ここで開示された原理及び新規な特徴と一致する最も広範囲を付与しようとするものである。
【0314】
本発明は、本発明の精神及び必須特徴から逸脱しない範囲で他の特定の形態に具体化されることができる。従って、上記の詳細な説明は、全ての面で制限的に解釈されてはならず、例示的なものとして考慮されるべきである。本発明の範囲は、添付の請求項の合理的解釈によって決定されるべきであり、本発明の等価的範囲内における全ての変更は、本発明の範囲に含まれる。本発明はここで表れた実施形態に制限されるものではなく、ここで開示された原理及び新規な特徴と一致する最も広範囲を付与しようとするものである。また、特許請求の範囲で明示的な引用関係のない請求項を結合して実施例を構成するか出願後の補正によって新しい請求項として含むことができる。
【要約】      (修正有)
【課題】CT映像から、応急大血管閉塞患者を選別することができる人工知能アルゴリズムを利用した脳卒中診断装置及び方法を提供する。
【解決手段】患者の脳と関連したCT映像を獲得する映像獲得部S10と、CT映像を前処理し、患者が非出血状態であるか、出血状態であるかを判断する前処理部S20と、前処理された映像を正規化し、標準マスクテンプレートを利用して関心領域を分割及び抽出する映像処理部S40と、分割及び抽出された関心領域を利用して、患者の脳大血管の異常有無を判断する判断部S90とを含み、患者の脳大血管に異常が存在する場合、判断部は、分割及び抽出された関心領域を利用して、患者のASPECTスコアS100を推定し、推定されたASPECTスコアが予め指定された数値以上の場合のみに、患者が機械的血栓除去術S110を適用することができる患者であると判別する。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16