(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記給気用フィルタ部を通して前記容器本体の外部の空間から前記基板収納空間へ気体が供給されているときに、前記基板収納空間における容器内陽圧が0.15kpa以上とすることが可能に、前記シール部材は前記開口周縁部と前記蓋体との間をシールする請求項1に記載の基板収納容器。
前記排気用フィルタ部は、気体を前記基板収納空間から前記容器本体の外部の空間へ流通させる排気用の前記通気路の連通と遮断とを切換える弁体と、排気用の前記通気路を遮断する方向へ前記弁体を付勢するバネと、を備え、
前記バネのバネ定数は0.05kgf/mm以下である請求項1又は請求項2に記載の基板収納容器。
前記排気用フィルタ部は、前記基板収納空間から前記容器本体の外部の空間へ向かう一方向のみ気体を流通可能な逆止弁を有している請求項7又は請求項8に記載の基板収納容器。
前記給気用フィルタ部は、前記容器本体の外部の空間から前記基板収納空間へ向かう一方向のみ気体を流通可能な逆止弁を有している請求項7〜請求項12のいずれかに記載の基板収納容器。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、第1実施形態による基板収納容器1について、図面を参照しながら説明する。
図1は、基板収納容器1に複数の基板Wが収納された様子を示す分解斜視図である。
図2は、基板収納容器1の容器本体2を示す上方斜視図である。
図3は、基板収納容器1の容器本体2を示す下方斜視図である。
図4は、基板収納容器1の容器本体2を示す側方断面図である。
なお、
図4においては、便宜上、給気用フィルタ部90、リブ235、及び、トップフランジ236の図示を省略している。
【0024】
ここで、説明の便宜上、後述の容器本体2から蓋体3へ向かう方向(
図1における右上から左下へ向かう方向)を前方向D11と定義し、その反対の方向を後方向D12と定義し、これらをあわせて前後方向D1と定義する。また、後述の下壁24から上壁23へと向かう方向(
図1における上方向)を上方向D21と定義し、その反対の方向を下方向D22と定義し、これらをあわせて上下方向D2と定義する。また、後述する第2側壁26から第1側壁25へと向かう方向(
図1における右下から左上へ向かう方向)を左方向D31と定義し、その反対の方向を右方向D32と定義し、これらをあわせて左右方向D3と定義する。主要な図面には、これらの方向を示す矢印を図示している。
【0025】
また、基板収納容器1に収納される基板W(
図1参照)は、円盤状のシリコンウェーハ、ガラスウェーハ、サファイアウェーハ等であり、産業に用いられる薄いものである。本実施形態における基板Wは、直径300mmのシリコンウェーハである。
【0026】
図1に示すように、基板収納容器1は、上述のようなシリコンウェーハからなる基板Wを収納して、工場内の工程において搬送する工程内容器として用いられたり、陸運手段・空運手段・海運手段等の輸送手段により基板を輸送するための出荷容器として用いられたりするものであり、容器本体2と、蓋体3とから構成される。容器本体2は、側方基板支持部としての基板支持板状部5と、奥側基板支持部6(
図2等参照)とを備えており、蓋体3は、蓋体側基板支持部としての図示しないフロントリテーナを備えている。
【0027】
容器本体2は、一端部に容器本体開口部21が形成され、他端部が閉塞された筒状の壁部20を有する。容器本体2内には基板収納空間27が形成されている。基板収納空間27は、壁部20により取り囲まれて形成されている。壁部20の部分であって基板収納空間27を形成している部分には、基板支持板状部5が設けられている。基板収納空間27には、
図1に示すように、複数の基板Wを収納可能である。
【0028】
基板支持板状部5は、基板収納空間27内において対をなすように壁部20に設けられている。基板支持板状部5は、蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されていないときに、複数の基板Wの縁部に当接することにより、隣接する基板W同士を所定の間隔で離間させて並列させた状態で、複数の基板Wの縁部を支持可能である。基板支持板状部5の奥側には、奥側基板支持部6が基板支持板状部5と一体成形されて設けられている。
【0029】
奥側基板支持部6(
図2等参照)は、基板収納空間27内において後述する図示しないフロントリテーナと対をなすように壁部20に設けられている。奥側基板支持部6は、蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されているときに、複数の基板Wの縁部に当接することにより、複数の基板Wの縁部の後部を支持可能である。
【0030】
蓋体3は、容器本体開口部21を形成する開口周縁部28(
図1等)に対して着脱可能であり、容器本体開口部21を閉塞可能である。図示しないフロントリテーナは、蓋体3の部分であって蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されているときに基板収納空間27に対向する部分に設けられている。図示しないフロントリテーナは、基板収納空間27の内部において奥側基板支持部6と対をなすように配置されている。
【0031】
図示しないフロントリテーナは、蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されているときに、複数の基板Wの縁部に当接することにより複数の基板Wの縁部の前部を支持可能である。図示しないフロントリテーナは、蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されているときに、奥側基板支持部6と協働して複数の基板Wを支持することにより、隣接する基板W同士を所定の間隔で離間させて並列させた状態で保持する。
【0032】
基板収納容器1は、プラスチック材等の樹脂で構成されており、特に説明が無い場合には、その材料の樹脂としては、たとえば、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマーといった熱可塑性樹脂やこれらのアロイ等が上げられる。これらの成形材料の樹脂には、導電性を付与する場合には、カーボン繊維、カーボンパウダー、カーボンナノチューブ、導電性ポリマー等の導電性物質が選択的に添加される。また、剛性を上げるためにガラス繊維や炭素繊維等を添加することも可能である。
【0033】
以下、各部について、詳細に説明する。
図1に示すように、容器本体2の壁部20は、奥壁22と上壁23と下壁24と第1側壁25と第2側壁26とを有する。奥壁22、上壁23、下壁24、第1側壁25、及び第2側壁26は、上述した材料により構成されており、一体成形されて構成されている。
【0034】
第1側壁25と第2側壁26とは対向しており、上壁23と下壁24とは対向している。上壁23の後端、下壁24の後端、第1側壁25の後端、及び第2側壁26の後端は、全て奥壁22に接続されている。上壁23の前端、下壁24の前端、第1側壁25の前端、及び第2側壁26の前端は、略長方形状をした容器本体開口部21を形成する開口周縁部28を構成する。
【0035】
開口周縁部28は、容器本体2の一端部に設けられており、奥壁22は、容器本体2の他端部に位置している。壁部20の外面により形成される容器本体2の外形は箱状である。壁部20の内面、即ち、奥壁22の内面、上壁23の内面、下壁24の内面、第1側壁25の内面、及び第2側壁26の内面は、これらによって取り囲まれた基板収納空間27を形成している。開口周縁部28に形成された容器本体開口部21は、壁部20により取り囲まれて容器本体2の内部に形成された基板収納空間27に連通している。基板収納空間27には、最大で25枚の基板Wを収納可能である。
【0036】
図1に示すように、上壁23及び下壁24の部分であって、開口周縁部28の近傍の部分には、基板収納空間27の外方へ向かって窪んだラッチ係合凹部231A、231B、241A、241Bが形成されている。ラッチ係合凹部231A、231B、241A、241Bは、上壁23及び下壁24の左右両端部近傍に1つずつ、計4つ形成されている。
【0037】
図1に示すように、上壁23の外面においては、リブ235が、上壁23と一体成形されて設けられている。リブ235は、容器本体2の剛性を高める。また、上壁23の中央部には、トップフランジ236が固定される。トップフランジ236は、AMHS(自動ウェーハ搬送システム)、PGV(ウェーハ基板搬送台車)等において基板収納容器1を吊り下げる際に、基板収納容器1において掛けられて吊り下げられる部分となる部材である。
【0038】
図3に示すように、下壁24の四隅には、通気路210(
図4参照)として、2種類の貫通孔である給気孔242と排気孔243(
図1参照)が形成されている。本実施形態においては、下壁24の前部の2箇所の貫通孔は、容器本体2の内部の気体を排出するための排気孔243であり、後部の2箇所の貫通孔は、容器本体2の内部に気体を給気するための給気孔242である。給気孔242としての貫通孔には、給気用フィルタ部90が配置されており、排気孔243としての貫通孔には、排気用フィルタ部90Aが配置されている。従って、給気用フィルタ部90及び排気用フィルタ部90Aの内部の気体の流路は、基板収納空間27と容器本体2の外部の空間とを連通可能な通気路210の一部を構成する。また、給気用フィルタ部90と排気用フィルタ部90Aとは、壁部20に配置されており、給気用フィルタ部90と排気用フィルタ部90Aとにおいては、容器本体2の外部の空間と基板収納空間27との間で気体が通過可能である。
【0039】
基板支持板状部5は、第1側壁25及び第2側壁26にそれぞれ設けられており、左右方向D3において対をなすようにして基板収納空間27内に配置された内装部品である。具体的には、
図4等に示すように、基板支持板状部5は、板部51と板部支持部としての支持壁52とを有している。板部51と支持壁52は、樹脂材料が一体成形されて構成されており、板部51は、支持壁52によって支持されている。
【0040】
板部51は、板状の略弧形状を有している。板部51は、第1側壁25、第2側壁26それぞれに、上下方向D2に25枚ずつ計50枚設けられている。隣接する板部51は、上下方向D2において10mm〜12mm間隔で互いに離間して平行な位置関係で配置されている。なお、最も上に位置する板部51の上方には、もう一枚板部51と平行に板状の部材59が配置されているが、これは、最も上に位置して基板収納空間27内へ挿入される基板Wに対して、当該挿入の際のガイドの役割をする部材である。
【0041】
また、第1側壁25に設けられた25枚の板部51と、第2側壁26に設けられた25枚の板部51とは、互いに左右方向D3において対向する位置関係を有している。また、50枚の板部51、及び、板部51と平行な板状のガイドの役割をする部材59は、下壁24の内面に平行な位置関係を有している。板部51の上面には、凸部511、512が設けられている。板部51に支持された基板Wは、凸部511、512の突出端にのみ接触し、面で板部51に接触しない。
【0042】
支持壁52は、上下方向D2及び略前後方向D1に延びる板状を有している。支持壁52は、
図4に示すように、板部51の長手方向において所定の長さを有しており、板部51の側端縁に接続されている。板状の支持壁52は、板部51の外側端縁に沿って基板収納空間27へ湾曲している。
【0043】
即ち、第1側壁25に設けられた25枚の板部51は、第1側壁25側に設けられた支持壁52に接続されている。同様に、第2側壁26に設けられた25枚の板部51は、第2側壁26側に設けられた支持壁52に接続されている。支持壁52は、第1側壁25、第2側壁26にそれぞれ固定される。
【0044】
このような構成の基板支持板状部5は、複数の基板Wのうちの隣接する基板W同士を、所定の間隔で離間した状態で且つ互いに平行な位置関係とした状態で、複数の基板Wの縁部を支持可能である。
【0045】
図4に示すように、奥側基板支持部6は、奥側端縁支持部60を有している。奥側端縁支持部60は、基板支持板状部5の板部51の後端部に、板部51及び支持壁52と一体成形されて構成されている。従って、側方基板支持部としての基板支持板状部5と、奥側基板支持部6とは、容器本体2の内部において容器本体2に対して固定される結合した1つの内装部品を構成する。なお、奥側基板支持部6は、基板支持板状部5とは別体、即ち、奥側端縁支持部60は、基板支持板状部5の板部51とは別体で構成されていてもよい。
【0046】
奥側端縁支持部60は、基板収納空間27に収納可能な基板Wの一枚毎に対応した個数、具体的には、25個設けられている。第1側壁25及び第2側壁26に配置された奥側端縁支持部60は、前後方向D1において、後述する図示しないフロントリテーナと対をなすような位置関係を有している。基板収納空間27内に基板Wが収納され、蓋体3が閉じられることにより、奥側端縁支持部60は、基板Wの縁部の端縁を挟持して支持する。
【0047】
図2等に示すように、奥壁22は、気体噴出ノズル部としての突出部8を有している。突出部8は、2つで対をなしており、リブ状に容器本体開口部21へ向って突出し、平行に奥壁22の上端部から下端部に至るまで延びている。即ち、突出部8は中空の柱状を有している。突出部8の内部空間は、隔壁部81によって前側の空間と、後側の空間とに区切られている。
【0048】
前側の空間は、気体流出前保持室803を構成し、後側の空間は、基板収納空間27と容器本体2の外部の空間とを連通可能な通気路210(
図4等参照)に連通する気体滞留室801を構成する。
図5は、基板収納容器1の排気用フィルタ部90Aを示す上方分解斜視図である。
図6は、基板収納容器1の排気用フィルタ部90Aを示す下方分解斜視図である。
図7は、基板収納容器1の排気用フィルタ部90Aを示す断面図である。
突出部8は、通気路210に流入した気体を基板収納空間27に供給する複数の開口部802を有する。気体滞留室801は、パージガスが一時的に溜められ加圧されることによって、通気路210と突出部8の開口部802との間において、通気路210からの気体を所定の量で均一に保持可能な気体均一保持部であって、複数の開口部802から均一化された流量でパージガスを流出可能とする気体流量均一化部を構成する気体均一保持部を構成する。
【0049】
通気路210には、気体としての窒素等の不活性ガスあるいは水分を除去(1%以下)したドライエア(以下、パージガスという)等が通過可能である。通気路210は、
図4に示すように、気体流入部211と、水平方向延出部212とを有しており、水平方向延出部212には、気体滞留室801の下端部が接続されている。
【0050】
気体流入部211は、下壁24の後端部に形成され下方向D22へ突出し給気孔242を形成する円筒状の気体供給装置接続部202の内部空間により構成されている。水平方向延出部212は、下壁24の外面(下面)に沿って下壁24の外側において、気体流入部211の上端部から後方向D12(
図4の右方向)へ延びており、下壁24の外面と、下壁24よりも下側に突出している下側流路形成部203との間の空間により構成されている。そして、水平方向延出部212に接続されている気体滞留室801は、前述のように突出部8の後側の空間によって構成されており、水平方向延出部212の後端部から上方向D21へ奥壁22の上端部に至るまで延びている。
【0051】
隔壁部81には、気体滞留室801からパージガスが流入する微小な流入口811が形成されている。流入口811は、多数形成されており、流入口811の総面積は、開口部802の総面積よりも小さい。
【0052】
気体供給装置接続部202の下端部の開口は、給気孔242を構成する。気体供給装置接続部202には、給気用フィルタ部90が固定されている。排気孔243は、下壁24の貫通孔により構成されており、当該貫通孔には、排気用フィルタ部90Aが固定されている。排気用フィルタ部90Aにおいては、給気用フィルタ部90における後述の弁体971とバネ972との上下関係が逆になっており、且つ、弁体971の姿勢の上下関係が逆になっているだけであり、他の構成は共通する。このため、以下の説明では、排気用フィルタ部90Aについてのみ説明し、給気用フィルタ部90についての説明を省略する。
【0053】
図5、
図6に示すように、排気用フィルタ部90Aは、フィルタハウジング91、フィルタリング95、通気膜96、逆止弁部材97、密着パッド98、Oリング99を有している。フィルタハウジング91は、上部第1ハウジング92と下部第1ハウジング93とからなり、上部第1ハウジング92と下部第1ハウジング93の間に通気膜96が狭持されている。上部第1ハウジング92と下部第1ハウジング93は、超音波により溶着固定されている。
【0054】
排気用フィルタ部90Aは、容器本体2の下壁24に、上部第1ハウジング92が収納空間27側になるように配置されている。排気用フィルタ部90Aは、下壁24に取り付けられることに限られない。排気用フィルタ部90Aは、下壁24以外の壁部、蓋体に取り付けても良く、下壁と蓋体との両方に取り付けても良い。
【0055】
排気用フィルタ部90Aの収納空間27側に配置される上部第1ハウジング92には、
図5に示すように、収納空間側開口921が形成され、排気用フィルタ部90Aの収納容器1の外部の空間側には、
図6に示すように、フィルタリング95において収納空間外側開口951が形成されている。これらの開口は排気用フィルタ部90Aの内部に形成された通気空間(上部通気空間922、下部通気空間933)を介して、収納容器1の内部と外部の空間を連通させている。収納空間外側開口951は、後述のパージガスを通気空間へ供給するパージポートのガス流通路よりも、はるかに大径に構成されている。これにより、通気膜96の膜有効総面積が、後述の値となるように十分に広く確保されるとともに、基板収納空間27の容器内陽圧を受ける後述の弁体971の上面の面積が広く構成され、広い面積で弁体971の上面が容器内陽圧を受けることが可能とされる。
【0056】
上記構成により、排気用フィルタ部90Aは、通気膜96を通して容器本体2の外部の空間から収納空間27への方向(以下、「収納空間27の内側方向」と定義する)、あるいは収納空間27から容器本体2の外部の空間への方向(以下、「収納空間27の外側方向」と定義する)に気体を通過可能である。その際、通気膜96は、気体に含まれるパーティクル等を通過することを阻止し、気体のろ過を行う。
【0057】
通気膜96は、加圧式ろ過装置を用いて500mLのIPAが98kPaの圧力下で排気フィルタ膜有効総面積13.8cm
2の試料を通過するのに要する時間を測定するIPA Flow法で、15sec以下の流量性能を有しており、本実施形態では、4sec〜10secの流量性能を有している。流量性能が15secを超える場合には、十分な量のパージガスを、通気膜96を介して排気用フィルタ部90Aから排出することができないためである。上部通気空間922及び収納空間側開口921により通気膜96を気体が流通して通過できる膜有効総面積は、200mm
2以上となるように、上部通気空間922及び収納空間側開口921が形成されており、本実施形態における膜有効総面積は、450mm
2である。膜有効総面積が、200mm
2未満では、十分な量のパージガスを、通気膜96を介して排気用フィルタ部90Aから排出することができないためである。
【0058】
図5等に示すように、上部第1ハウジング92には、収納空間側開口921に連通した上部通気空間922が設けられている。下部第1ハウジング93には、ネジ部934が形成されている。ネジ部934は、略環状筒形状を有しており、ネジ部934の外周面には、ネジ935が形成されている。ネジ部934の上端部は、ネジ部934の内径が小さくなっており、これにより段部が形成され、ネジ部934の内面であってこの段部における水平な面は、平坦面により構成される密着面9341(
図7参照)を有している。下部第1ハウジング93には、上部通気空間922と接続されネジ部934により形成された下部通気空間933が形成されている。よって、上部通気空間922と下部通気空間933とにより構成される通気路により、排気用フィルタ部90Aの収納空間側開口921(
図7参照)と収納空間外側開口951を連通する通気空間が形成されている。
【0059】
逆止弁部材97は、弁体971と、弁体971を一定方向に付勢するためのバネ972とにより構成されている。弁体971は、下部第1ハウジング93の内部における通気空間に、収納空間27の外側方向に配置されている。バネ972は、弁体971とフィルタリング95との間に配置されており、フィルタリング95に対して弁体971を収納空間27の内側方向であって上方向に付勢する圧縮バネを構成する。弁体971は、通気路を流通する気体の圧力で開閉可能である。即ち、円筒形状を有する弁体971の周面には、
図5等に示すように、弁体971の半径方向外方向へ突出する弁体周面凸部9713が複数設けられている。弁体周面凸部9713は、弁体971の周方向において、円弧形状を有すると共に、側方視で長方形状を有する。弁体周面凸部9713の突出端面は、ネジ部934の内周面に当接する。弁体971の周面であって、弁体周面凸部9713が設けられていない部分9714や切欠きが形成されている部分9716は、ネジ部934の内周面に当接せず、ネジ部934の内周面との間に、通気路を形成する。弁体971は、通気路を流通するパージガス等の気体により下方向へ押圧されると、ネジ部934の密着面9341から離間して、弁体971が開くことができるように、バネ972のバネ定数が設定されている。気体の押圧力が弁体971に作用していないときには、バネ972の付勢力により弁体971は閉じた状態とされる。
【0060】
逆止弁部材97のバネ972のばね定数は、0.05kgf/mm以下であり、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリアセタールのいずれか少なくとも1つにより構成される、比較的耐久性の高い樹脂である高性能熱可塑性樹脂が成形されて構成され、本実施形態においては、逆止弁部材97のバネ972のばね定数は、0.005kgf/mmであり、バネ972は、ポリエーテルエーテルケトンが成形されて構成されている。逆止弁部材97のバネ972のばね定数が、0.05kgf/mmを超えると、逆止弁部材97の弁体971が開きにくくなり、十分な量のパージガスを、排気用フィルタ部90Aを通して排出することができなくなるためである。
【0061】
フィルタリング95は、収納空間27の外側方向の端部が小径に構成された略円筒形状を有している。フィルタリング95の内径面には、下部第1ハウジング93のネジ935と係合するネジ953が設けられている。
【0062】
フィルタリング95をネジ部934にねじ込むことで、ネジ部934の先端(下端)と、フィルタリング95の、収納空間27の外側方向の底面954とが、当接し合い密着することで、ネジ部934の内側に形成された通気路の気密性は確保される。
【0063】
フィルタリング95の外部の収納空間27の外側方向の先端部(
図5における下端部)は、密着パッド98を装着するための溝956を有している。密着パッド98は、収納空間外側開口951と同軸的な位置関係を有する環状に形成されており、フィルタリング95の、収納空間27の外側方向の先端部(
図7におけるフィルタリング95の最下端)と、密着パッド98の外側方向の先端部の表面(
図7における密着パッド98の最下面)とは、上下方向において、ほぼ同一の位置関係を有している。密着パッド98の、収納空間27の外側方向の先端部(
図7における密着パッド98の最下面)は、後述のパージポート(気体注入ポート)と密着する密封面981を構成する。また、密着パッド98が装着されている状態の溝956には、密着パッド98の一部が下方に窪んで形成された凹部958により、溝956を構成する空間955が形成されている。密着パッド98は、図示しないパージポートと密封面981との間の気体漏れを防止する。
【0064】
排気用フィルタ部90Aの下壁24への固定は、下部第1ハウジング93の側面に形成された溝に装着されたOリング99を介して行われる。排気用フィルタ部90Aが下壁24に固定される際には、排気用フィルタ部90Aと下壁24の気体供給装置接続部202との間にOリング99が用いられて、下壁24の気体供給装置接続部202と下部第1ハウジング93との間がシールされる。
【0065】
フィルタハウジング91、フィルタリング95の材料としては、アウトガス発生量が少ない、ポリカーボネートが用いられる。フィルタハウジング91、フィルタリング95の材料としてポリカーボネート以外には、所定のアウトガス発生量以下の熱可塑性樹脂であればよく、例えば、シクロオレフィンポリマーやポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトンなどの樹脂を用いることができる。また、密着パッド98の材料としては、弾性部材としてポリオレフィンエラストマーを用いた。密着パッド98の材料としてポリオレフィンエラストマー以外には、ポリブチレンテレフタレートやポリエチレン等の樹脂やポリエチレンエラストマー等のエラストマー、シリコンゴムやフッ素ゴム等のゴム材を用いることができる。
【0066】
図8は、基板収納容器1の蓋体3を示す断面図である。
蓋体3は、
図1等に示すように、容器本体2の開口周縁部28の形状と略一致する略長方形状を有している。蓋体3は容器本体2の開口周縁部28に対して着脱可能であり、開口周縁部28に蓋体3が装着されることにより、蓋体3は、容器本体開口部21を閉塞可能である。蓋体3の内面(
図1に示す蓋体3の裏側の面)であって、蓋体3が容器本体開口部21を閉塞しているときの開口周縁部28のすぐ後方向D12の位置に形成された段差の部分の面(シール面281)に対向する面には、環状のシール部材4が取り付けられている。シール部材4は、弾性変形可能なポリエステル系、ポリオレフィン系など各種熱可塑性エラストマー、フッ素ゴム製、シリコンゴム製等により構成されている。シール部材4は、蓋体3の外周縁部を一周するように配置されている。
【0067】
蓋体3が開口周縁部28に装着されたときに、シール部材4は、シール面281と蓋体3の内面とにより挟まれて弾性変形し、蓋体3は、容器本体開口部21を密閉した状態で閉塞する。開口周縁部28から蓋体3が取り外されることにより、容器本体2内の基板収納空間27に対して、基板Wを出し入れ可能となる。
【0068】
図9は、基板収納容器1のシール部材4を示す斜視図である。
図10は、基板収納容器1のシール部材4を示す側面図である。
より具体的には、シール部材4は、
図8〜
図10に示すように、基部41と、基部側部42と、容器当接先端部43とを有している。基部41、基部側部42、及び、容器当接先端部43は、フッ素ゴムにより一体成形されて構成されている。基部41は、シール部材取付部303の環状溝304に嵌め込まれて固定されている。
【0069】
基部側部42は、
図8に示すように、蓋体3の周方向に直交する断面では、蓋体3の内面301に沿って蓋体3の中心から周縁302へ向う方向へ、基部41の後端部(
図8における右端部)から延びている。基部側部42の延出端部は、容器当接先端部43に接続されている。即ち、基部側部42は、基部41と容器当接先端部43とを連結し、弾性変形することにより、蓋体3の周方向に直交する断面において、基部41に対して容器当接先端部43を揺動可能である。
【0070】
容器当接先端部43は、
図8に示すように、基部側部42の端部から、蓋体3の外方へ向かうにつれて後方向(
図8の右方向)へ向かうように傾斜して延びている。容器当接先端部43が延びる方向における容器当接先端部43の長さは、通常の基板収納容器の容器当接先端部の長さと同等に形成されている。また、基部側部42及び容器当接先端部43の厚さは、通常の基板収納容器の基部側部及び容器当接先端部の厚さの約2倍程度に厚く構成されている。これにより、蓋体3と開口周縁部28との間のシール部材4によるシール性が高められており、蓋体3と開口周縁部28との間からパージガスが漏れることが抑えられる。この結果、シール部材4による高いシール性により、基板収納空間27へパージガスを給気したときに、基板収納空間27の容器内陽圧を、0.15kpa以上になるまで上昇させることが可能である。基板収納空間27の容器内陽圧が、0.15kpa未満では、逆止弁部材97の弁体971を開きにくくなり、十分な量のパージガスを、排気用フィルタ部90Aを通して排出することができなくなるためである。
【0071】
蓋体3においては、ラッチ機構が設けられている。ラッチ機構は、蓋体3の左右両端部近傍に設けられており、
図1に示すように、蓋体3の上辺から上方向D21へ突出可能な2つの上側ラッチ部32Aと、蓋体3の下辺から下方向D22へ突出可能な2つの下側ラッチ部32Bと、を備えている。2つの上側ラッチ部32Aは、蓋体3の上辺の左右両端近傍に配置されており、2つの下側ラッチ部32Bは、蓋体3の下辺の左右両端近傍に配置されている。
【0072】
蓋体3の外面においては操作部33が設けられている。操作部33を蓋体3の前側から操作することにより、上側ラッチ部32A、下側ラッチ部32Bを蓋体3の上辺、下辺から突出させることができ、また、上辺、下辺から突出させない状態とすることができる。上側ラッチ部32Aが蓋体3の上辺から上方向D21へ突出して、容器本体2のラッチ係合凹部231A、231Bに係合し、且つ、下側ラッチ部32Bが蓋体3の下辺から下方向D22へ突出して、容器本体2のラッチ係合凹部241A、241Bに係合することにより、蓋体3は、容器本体2の開口周縁部28に固定される。
【0073】
蓋体3の内側においては、基板収納空間27の外方へ窪んだ凹部(図示せず)が形成されている。凹部(図示せず)及び凹部の外側の蓋体3の部分には、フロントリテーナ(図示せず)が固定されて設けられている。
【0074】
フロントリテーナ(図示せず)は、フロントリテーナ基板受け部(図示せず)を有している。フロントリテーナ基板受け部(図示せず)は、左右方向D3に所定の間隔で離間して対をなすようにして2つずつ配置されている。このように対をなすようにして2つずつ配置されたフロントリテーナ基板受け部は、上下方向D2に25対並列した状態で設けられている。基板収納空間27内に基板Wが収納され、蓋体3が閉じられることにより、フロントリテーナ基板受け部は、基板Wの縁部の端縁を挟持して支持する。
【0075】
上述のような基板収納容器1において、パージガスによるガスパージ(気体の置換)は以下のとおりに行われる。先ず、気体供給装置接続部202(
図4参照)に設けられた給気用フィルタ部90(
図3等参照)を、気体としてのパージガスを供給する図示しない気体供給装置の給気ノズルに接続させる。次に、気体供給装置の給気ノズルから通気路210へパージガスを毎分22L(リットル)以下で供給する。これによりパージガスは、通気路210の気体流入部211、水平方向延出部212を通り、気体滞留室801の下端部から気体滞留室801の内部へ流入し、気体滞留室801の上端部へ向って勢いよく流れる。そして、パージガスは、気体滞留室801において一次的に溜められて圧力が高まると、次に、隔壁部81の流入口811から気体流出前保持室803へ流入する。
【0076】
この際、流入口811は小さいため、パージガスは、流入口811から弱い勢いで気体流出前保持室803へ流入する。そしてパージガスは、気体流出前保持室803に一次的に溜められる。そして、このように一次的に溜められ加圧されたパージガスは、徐々に開口部802から基板収納空間27へ流出する。基板収納空間27の容器内陽圧は、基板収納空間27へ流出したパージガスにより上昇する。
【0077】
また、この際、シール部材4による高いシール性により、基板収納空間27へ流出したパージガスにより、基板収納空間27の容器内陽圧は、0.15kpa以上になるまで上昇を続ける。この上昇中に、排気用フィルタ部90Aの弁体971は、バネ972の付勢力に抗して下方向へ押下げられて開き、収納空間外側開口951から排気され始める。
【0078】
また、排気用フィルタ部90Aのバネ972のばね定数は、0.05kgf/mm以下であり、本実施形態においては、逆止弁部材97のバネ972のばね定数は、0.005kgf/mmとされているため、パージガスは、弁体971を容易に開くことができ、基板収納空間27から流出する。このため、パージガスを毎分22L以下で供給しているときに、基板収納空間27へ供給されたパージガスの50%以上が、排気用フィルタ部90Aから排気される。
【0079】
次に、本実施形態による基板収納容器を用いて、気体供給装置の給気ノズルから通気路210へパージガスを供給する量の値を様々に変えた場合において、排気用フィルタ部90Aからの排出量を調べる試験を行った。そして、当該排出量を記録するとともに、注入量に対してどのぐらいの比率で排出されるかについての値である排出率を記録した。試験の結果は、表1及び
図11、
図12に示すとおりである。
図11は、基板収納容器1における排気用フィルタ部90Aから排出されるパージガスの排出量を示すグラフである。
図12は、基板収納容器1における排気用フィルタ部90Aから排出されるパージガスの排出量に対する、給気用フィルタ部90から吸気されるパージガスの注入量の比率である排出率を示すグラフである。
【表1】
【0080】
図11に示すように、パージガスの注入量を多くしてゆくと、それに伴い、パージガスの排出量も増加してゆく。しかし、排出量は、注入量に比例しておらず、毎分22L(リットル)前後の量から注入量を増加させても、ほとんど増加しない。従って、排出率については、
図12に示すように、注入量が少ないときには、90%近い値を得ることができるが、注入量を多くしてゆくと値が小さくなる。そして、注入量を毎分22L(リットル)を超える注入量とすると、排出率は50%を下回ることが分かる。
【0081】
このように排出率が50%未満となると、シール部材4のシール性が高いにもかかわらず、蓋体3と容器本体2との間からパージガスが漏れ出し、設備の汚染や人的被害が発生する恐れがある。従って、気体供給装置の給気ノズルから通気路210へパージガスを毎分22L(リットル)以下で供給しているときに、排出率が50%以上となる基板収納容器が、パージガスの漏れ出しによる設備の汚染や人的被害の発生を防ぐためには好ましく、また、現実的なパージガスの供給量に対して、好ましい排出率を得ることができることが、この実験から分かる。
【0082】
上記構成の本実施形態に係る基板収納容器1によれば、以下のような効果を得ることができる。
前述のように、基板収納容器1は、一端部に容器本体開口部21が形成された開口周縁部28を有し、他端部が閉塞された筒状の壁部20を備え、壁部20の内面によって、複数の基板Wを収納可能であり容器本体開口部21に連通する基板収納空間27が形成された容器本体2と、容器本体開口部21に対して着脱可能であり、容器本体開口部21を閉塞可能な蓋体3と、蓋体3に取り付けられ、蓋体3及び開口周縁部28に当接可能であり、開口周縁部28と蓋体3との間に介在して開口周縁部28及び蓋体3に密着して当接することにより、蓋体3と共に容器本体開口部21を閉塞するシール部材4と、基板収納空間27と容器本体2の外部の空間とを連通可能な通気路210と、通気路210に配置されたフィルタである通気膜96と、通気路210を形成するフィルタハウジング91と、を有し、容器本体2に配置され、通気膜96を通して容器本体2の外部の空間と基板収納空間27との間で気体としてのパージガスが通過可能な給気用フィルタ部90、排気用フィルタ部90Aとを備えている。
給気用フィルタ部90を通して容器本体2の外部の空間から基板収納空間27へ供給される気体の供給量が毎分22L以下の場合に、基板収納空間27へ供給された気体の50%以上の気体を排気用フィルタ部90Aから排気可能に、基板収納空間27の気密性が高められている。
【0083】
上記構成により、給気用フィルタ部90を介して基板収納空間27へ供給されるパージガスの供給量が毎分22L以下で排気率50%以上を実現することが可能となる。この結果、蓋体3に取り付けられているシール部材4からパージガスが漏れ出すことを抑えることができ、設備の汚染や人的被害が発生することを防止することが可能となる。
【0084】
また、給気用フィルタ部90を通して容器本体2の外部の空間から基板収納空間27へ気体が供給されているときに、基板収納空間27における容器内陽圧が0.15kpa以上とすることが可能に、シール部材4は開口周縁部28と蓋体3との間をシールする。
【0085】
上記構成により、基板収納空間27における容器内陽圧が0.15kpa以上と適度に高い圧力とすることが可能であるため、排気用フィルタ部90Aの弁体971を開くことが容易となり、容易に排気量を確保することが可能となる。
【0086】
また、排気用フィルタ部90Aは、気体としてのパージガスを基板収納空間27から容器本体2の外部の空間へ流通させる排気用の通気路210の連通と遮断とを切換える弁体971と、排気用の通気路210を遮断する方向へ弁体971を付勢するバネ972と、を備えている。バネ972のバネ定数は0.05kgf/mm以下である。上記構成により、弁体971を容易に開くことが可能となり、容易に排気量を確保することが可能となる。
【0087】
また、フィルタとしての通気膜96は、気体としてのパージガスを基板収納空間27から容器本体2の外部の空間へ流通させる排気用の通気路に設けられ、通気路を上流側と下流側とに仕切る。通気膜96において気体が流通可能な排気フィルタ膜有効総面積は200mm
2以上である。上記構成により、排気フィルタ膜有効総面積を十分に確保することが可能となり、通気膜96を通過するパージガスの流量を確保することが可能となる。この結果、容易に排気量を確保することが可能となる。
【0088】
また、フィルタとしての通気膜96は、加圧式ろ過装置を用いて500mLのIPAが98kPaの圧力下で排気フィルタ膜有効総面積13.8cm
2の試料を通過するのに要する時間を測定するIPA Flow法で、15sec以下の流量性能を有する。上記構成により、十分な流量性能を確保することが可能となり、排気用フィルタ部90Aの通気膜96を通過するパージガスの流量を確保することが可能となる。この結果、容易に排気量を確保することが可能となる。
【0089】
本発明は、上述した実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲に記載された技術的範囲において変形が可能である。
【0090】
例えば、基板収納容器において、給気用フィルタ部、排気用フィルタ部の構成を様々に変えることにより、給気用フィルタ部を通して容器本体の外部の空間から基板収納空間へ供給される気体の供給量が毎分22L以下の場合に、基板収納空間へ供給された気体の50%以上の気体を排気用フィルタ部から排気可能としてもよい。
【0091】
具体的には、例えば、排気用フィルタ部の流量性能を、給気用フィルタ部の流量性能よりも高い構成としてもよい。流量性能としては、加圧式ろ過装置を用いて500mLのIPAが98kPaの圧力下で排気フィルタ膜有効総面積13.8cm
2の試料を通過するのに要する時間を測定するIPA Flow法で測定された流量性能の値を用いる。より好ましくは、排気用フィルタ部の流量性能は、給気用フィルタ部の流量性能の5倍以上であることが好ましい。これにより、排気用フィルタ部の流量性能を十分に担保することが可能となり、確実に、給気用フィルタ部を通して容器本体の外部の空間から基板収納空間へ供給される気体の供給量が毎分22L以下の場合に、基板収納空間へ供給された気体の50%以上の気体を排気用フィルタ部から排気可能とすることができる。この結果、基板収納空間に注入されたパージガスを適切な場所に回収することが可能とり、安全な作業環境を維持することが可能となる。
【0092】
上記流量性能については、例えば、給気用フィルタ部、排気用フィルタ部がそれぞれ有している通気膜により構成されるフィルタの流量性能を所定の値に設定することにより得られる。即ち、具体的には、排気用フィルタ部の通気膜の流量性能を、給気用フィルタ部の通気膜の流量性能よりも高い構成とする。
【0093】
また、本実施形態のように、排気用フィルタ部が逆止弁(例えば、逆止弁部材97)を有している場合には、排気用フィルタ部はフィルタ(通気膜)を備えていなくてもよい。この場合、排気用フィルタ部はフィルタを構成する通気膜を有していないが、説明の便宜上「排気用フィルタ部」と言うこととする。これにより、排気用フィルタ部の流量性能は、給気用フィルタ部の流量性能よりも高く構成される。これにより、排気用フィルタ部の構成を簡単にすることが可能となる。
【0094】
また、給気用フィルタ部を通して容器本体の外部の空間から基板収納空間へ供給される気体の供給量が毎分22L以下の場合に、基板収納空間へ供給された気体の50%以上の気体を排気用フィルタ部から排気可能とするために、例えば、フィルタ(通気膜)において気体が流通可能なフィルタ膜有効総面積については、給気用フィルタ部よりも排気用フィルタ部の方が大きい構成としてもよい。具体的には、例えば、排気用フィルタ部のフィルタ膜有効総面積は、200mm
2〜1000mm
2であり、給気用フィルタ部のフィルタ膜有効総面積は、150mm
2〜750mm
2である。これにより、給気用フィルタ部を通して容器本体の外部の空間から基板収納空間へ供給される気体の供給量が毎分22L以下の場合に、基板収納空間へ供給された気体の50%以上の気体を排気用フィルタ部から排気可能とすることができる。この構成と、前述の、排気用フィルタ部のフィルタ(通気膜)の流量性能を給気用フィルタ部のフィルタ(通気膜)の流量性能よりも高くする構成とを組み合わせてもよいし、この構成を単独で用いてもよい。
【0095】
また、排気用フィルタ部、給気用フィルタ部がそれぞれフィルタ(通気膜)を有している場合には、排気用フィルタ部、給気用フィルタ部の少なくともいずれかが、逆止弁を有していなくてもよい。具体的には、例えば、本実施形態において給気用フィルタ部90、排気用フィルタ部90Aが備えていた逆止弁部材97を、給気用フィルタ部、排気用フィルタ部の少なくともいずれかが、備えていない構成としてもよい。これにより、排気用フィルタ部の構成を簡単にすることが可能となる。
【0096】
また、容器本体及び蓋体の形状、容器本体に収納可能な基板Wの枚数や寸法は、本実施形態における容器本体2及び蓋体3の形状、容器本体2に収納可能な基板Wの枚数や寸法に限定されない。また、本実施形態における基板Wは、直径300mmのシリコンウェーハであったが、この値に限定されない。
【0097】
また、奥側基板支持部は、本実施形態では奥側基板支持部6により構成されたが、この構成に限定されない。例えば、容器本体に一体成形されて構成されたリアリテーナによって、奥側基板支持部が構成されてもよい。
【0098】
また、本実施形態においては、下壁24の前部に2つの排気用フィルタ部90Aが設けられ、下壁24の後部に2つの給気用フィルタ部90が設けられたが、この構成に限定されない。例えば、下壁24の後部に2つの排気用フィルタ部90Aが設けられ、下壁24の前部に2つの給気用フィルタ部90が設けられてもよい。また、排気用フィルタ部と給気用フィルタ部とが2つずつ設けられていなくてもよい。