(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物、硬化物、カラーフィルタ、及び表示装置について、順に詳細に説明する。
なお、本発明において光には、可視及び非可視領域の波長の電磁波、さらには放射線が含まれ、放射線には、例えばマイクロ波、電子線が含まれる。具体的には、波長5μm以下の電磁波、及び電子線のことをいう。
本発明において(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルの各々を表し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの各々を表す。
本発明において、特に断りのない限り、色度座標x、yは、C光源を使用して測色したJIS Z8701のXYZ表色系におけるものである。
【0015】
I.カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物
本発明に係るカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物は、色材と、アルカリ可溶性樹脂と、光重合性化合物と、光開始剤と、溶剤とを含有し、
前記光開始剤が、下記一般式(1)で表される化合物を含有する。
【0016】
【化2】
(一般式(1)中、R
a及びR
bはそれぞれ独立に、炭素数2以上8以下のアルキル基である。)
【0017】
本発明に係るカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物は、光開始剤として前記一般式(1)で表される化合物を用いることにより、感度が良好であり、乾燥させた際に昇華物が発生しにくい。従来の着色樹脂組成物において、露光前の乾燥時に発生する昇華物は、着色樹脂組成物中の光開始剤に由来すると考えられる。露光前の乾燥時に着色樹脂組成物から昇華物が発生すると、露光前の乾燥工程で使用するホットプレート等の乾燥装置の排気ダクトやチャンバーなどに昇華物が付着して結晶化が進行する場合がある。成長した昇華物の結晶が、露光前の着色樹脂組成物の塗布膜へ落下すると、着色層に黒欠陥等の不良が発生するため、品質劣化の原因となる。また、乾燥装置内で昇華物の結晶化が進行すると、乾燥装置の清掃が困難になるため、乾燥装置の清掃時間増加等による生産効率の低下といった問題も生じる。そのため、感度が高く、乾燥時の昇華物の発生が抑制された着色樹脂組成物が求められている。
本発明に係るカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物は、露光前の乾燥時に昇華物が発生し難いため、本発明に係るカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物を用いて着色層を形成すると、露光前の乾燥工程で使用する乾燥装置内での昇華物の付着が抑制される。そのため、乾燥装置内に付着した昇華物に起因する黒欠陥等の不良を抑制し、更に、乾燥装置の清掃の簡易化により、生産効率を向上することもできる。また、本発明に係るカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物は、感度が良好であるため、高精細なパターン状の着色層を形成可能である。
一方、昇華物を発生しにくい光開始剤は、結晶性が高い傾向がある。そのため、昇華物を発生しにくい光開始剤を含む感光性着色樹脂組成物を硬化させて着色層とした場合、着色層の表面に析出物が生じることがある。着色層の表面に生じた析出物は、透過光で観察される黒欠陥等の問題を引き起こす。本発明者らは、着色層の表面に生じる析出物が、着色樹脂組成物の塗膜を乾燥させた直後に生じるものであり、露光前に生じるものであることを知見した。着色層の表面に生じる析出物は、光開始剤が濃縮し、分離することにより生じるものであると推定される。それに対し、本発明に係るカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物は、着色層を形成した場合に析出物の発生を抑制することができる。特に、光開始剤として、前記一般式(1)で表される化合物と、前記一般式(1)で表される化合物とは異なるその他の光開始剤とを組み合わせて用いると、析出物の発生が抑制されやすい。これは、光開始剤の溶剤溶解性及び溶剤再溶解性が向上し、他の成分との相溶性も良好になりやすいため、光開始剤の分散安定性が向上するためと推定される。また、溶剤溶解性及び溶剤再溶解性、並びに他の成分との相溶性が向上した光開始剤を用いることにより、細線パターンの直線性が向上したり、微小孔のビリツキが抑制されやすくなるという利点もある。
また、本発明に係るカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物は、現像残渣の発生を抑制し易く、着色層をパターニングする際に、同時に着色層に所望の微小孔を形成し易い。高感度な光開始剤を用いて、微小孔を有する着色層を形成する場合、ラジカル発生後、未露光部までラジカルが移動してしまうため、露光部の内部にある未露光部の形状を保ちつつ、かつ未露光部周辺部をビリツキなく硬化させることが困難である。そのため、従来の感光性樹脂組成物では、細線パターンを形成可能な高感度の光開始剤を使用すると、細線パターンの直線性は良好であっても、微小孔を形成することは困難であった。それに対し、本発明のカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物では、光開始剤として前記一般式(1)で表される化合物を用いることにより、着色層に所望の微小孔を形成しやすい。特に、光開始剤と組み合わせて酸化防止剤を用いることにより、より容易に良好な形状の微小孔を形成することができる。本発明のカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物は、着色層に所望の微細な孔を形成しやすいため、例えば、反射型カラーフィルタを形成するために、TFT基板上に着色層を形成し、同時に当該着色層に導通のためのスルーホールを形成する用途にも適している。
【0018】
本発明に係るカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物は、色材と、アルカリ可溶性樹脂と、光重合性化合物と、光開始剤と、溶剤とを含有するものであり、本発明の効果を損なわない範囲で、更に他の成分を含有してもよいものである。
以下、このような本発明の着色樹脂組成物の各成分について、本発明に特徴的な前記光開始剤から順に詳細に説明する。
【0019】
[光開始剤]
<一般式(1)で表される化合物>
本発明に用いられる光開始剤は、前記一般式(1)で表される化合物を含有する。
前記一般式(1)において、R
a及びR
bはそれぞれ独立に、炭素数2以上8以下のアルキル基である。当該アルキル基は、直鎖、分岐鎖、環状、又はこれらの組合せのアルキル基のいずれであってもよい。当該アルキル基としては、例えば、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、シクロペンチル基、メチルシクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロへキシル基、シクロへキシルメチル基、シクロへキシルエチル基等が挙げられる。中でも、乾燥時の昇華物及び析出物の発生を抑制の観点から、直鎖又は分岐アルキル基が好ましく、直鎖アルキル基がより好ましい。また、当該アルキル基の炭素数は、2以上6以下であることが好ましく、3以上5以下であることがより好ましい。
前記一般式(1)中のR
a及びR
bは、互いに同一であっても、異なっていてもよいが、R
a及びR
bが互いに同一であると、合成が容易であり、生産性に優れる点から好ましい。
【0020】
前記一般式(1)で表される化合物の好適な具体例としては、例えば、下記化合物(1−1)を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0022】
前記一般式(1)で表される化合物は、例えば、
フルオレンとクロロ塩化イソブチリルとを、三塩化アルミニウムの存在下で反応させて2−メチル−1−フルオレニル−2−クロロ−1−プロパノンを得るステップ1と、
前記ステップ1で得た2−メチル−1−フルオレニル−2−クロロ−1−プロパノンを、窒素雰囲気下、酸化カルシウムの触媒作用により、ナトリウムメトキシドを用いてエポキシ化した後、更にモルホリンと反応させることにより、2−メチル−1−フルオレニル−2−モルホリノ−1−プロパノンを得るステップ2と、
前記ステップ2で得た2−メチル−1−フルオレニル−2−モルホリノ−1−プロパノンを、臭化テトラブチルアンモニウム(TBAB)の存在下、炭素数2以上8以下の塩化アルキルと反応させることにより、前記一般式(1)で表される化合物を得るステップ3とを有する方法により合成することができる。
なお、前記ステップ3において、2種以上の塩化アルキルを用いることにより、前記一般式(1)中のR
a及びR
bが互いに異なる化合物を得ることができる。
【0024】
<その他の光開始剤>
本発明の着色樹脂組成物は、前記光開始剤が、前記一般式(1)で表される化合物とは異なるその他の光開始剤を更に含有することが、析出物の発生を抑制する点から好ましい。なお、本発明の着色樹脂組成物に用いられる光開始剤には、光重合開始剤の他に連鎖移動剤が含まれる。
前記その他の光開始剤としては、例えば、前記一般式(1)で表される化合物とは異なるα−アミノケトン系光開始剤、オキシムエステル系光開始剤、ビイミダゾール系光開始剤、チオキサントン系光開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤、及びメルカプト系連鎖移動剤等が挙げられる。
前記一般式(1)で表される化合物とは異なるその他の光開始剤は、中でも、析出物の発生が抑制されやすい点又は感度を向上する点、並びに、後述する分散剤としてのグラフト共重合体又は塩型グラフト共重合体と組み合わせて用いた場合に現像残渣の発生を抑制し、耐NMP性を向上する効果に優れる点から、オキシムエステル系光開始剤及びα−アミノケトン系光開始剤からなる群から選択される1種以上を含有することが好ましい。
なお、後述する分散剤としてのグラフト共重合体又は塩型グラフト共重合体と組み合わせて用いた場合に、現像残渣の発生を抑制し、耐NMP性を向上する効果に優れるという観点からは、光開始剤が前記一般式(1)で表される化合物からなることも好ましい。
【0025】
また、析出物の発生を抑制する点又は感度を向上する点から、前記その他の光開始剤の総量100質量%中、オキシムエステル系光開始剤及びα−アミノケトン系光開始剤の合計含有量が、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがより更に好ましい。
【0026】
また、前記その他の光開始剤は、乾燥時の昇華物の発生を抑制する点から、分子量が350以上であることが好ましく、355以上であることがより好ましく、360以上であることがより更に好ましい。前記その他の光開始剤の分子量の上限は、特に限定はされず、通常、1000以下であり、800以下であってもよく、600以下であってもよい。
【0027】
特に限定はされないが、乾燥時の昇華物の発生を抑制する点から、前記その他の光開始剤の総量100質量%中、分子量350以上の光開始剤の合計含有量が、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがより更に好ましい。
【0028】
前記その他の光開始剤として、オキシムエステル系光開始剤を用いる場合は、析出物の発生が抑制されやすくなることに加えて、更に、細線パターンを形成する際に、面内の線幅のばらつきが抑制され易くなる。また、オキシムエステル系光開始剤を用いることにより、現像耐性が向上し、水染み発生抑制効果が高くなる傾向がある。なお、水染みとは、アルカリ現像性を高くする成分を用いると、アルカリ現像後、純水でリンスした後に、水が染みたような跡が発生することをいう。このような水染みは、ポストベーク後に消えるので製品としては問題がないが、現像後にパターニング面の外観検査において、ムラ異常として検出されてしまい、正常品と異常品の区別がつかないという問題が生じる。そのため、外観検査において検査装置の検査感度を下げると、結果として最終的なカラーフィルタ製品の歩留まり低下を引き起こし、問題となる。
当該オキシムエステル系光開始剤としては、乾燥時の昇華物の発生を抑制する点及び析出物の発生を抑制する点から、中でも、芳香環を有するものが好ましく、芳香環を含む縮合環を有するものがより好ましく、カルバゾール骨格、ジフェニルスルフィド骨格又はフルオレン骨格を有するものがより更に好ましい。カルバゾール骨格又はジフェニルスルフィド骨格を有するオキシムエステル系光開始剤は、前記一般式(1)で表される化合物との組み合わせにより感度が向上しやすい点からも好ましい。
【0029】
オキシムエステル系光開始剤としては、例えば、1,2−オクタジオン−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−,2−(o−ベンゾイルオキシム)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(o−アセチルオキシム)、特開2000−80068号公報、特開2001−233842号公報、特表2010−527339号公報、特表2010−527338号公報、特開2013−041153号公報等に記載のオキシムエステル系光開始剤の中から適宜選択できる。カルバゾール骨格を有するオキシムエステル系光開始剤の市販品としては、例えば、イルガキュアOXE−02(BASF製)、アデカアークルズNCI−831(ADEKA社製)、TR−PBG−304(常州強力電子新材料社製)等が挙げられる。ジフェニルスルフィド骨格を有するオキシムエステル系光開始剤の市販品としては、例えば、アデカアークルズNCI−930(ADEKA社製)、TR−PBG−345、TR−PBG−3057(以上、常州強力電子新材料社製)、イルガキュアOXE−01(BASF製)等が挙げられる。フルオレン骨格を有するオキシムエステル系光開始剤の市販品としては、例えば、TR−PBG−365(常州強力電子新材料社製)等が挙げられる。
【0030】
カルバゾール骨格を有するオキシムエステル系光開始剤としては、中でも、析出物の発生を抑制する点、及び感度を向上する点から、下記一般式(2)で表されるオキシムエステル化合物を好適に用いることができる。
【0031】
【化5】
(一般式(2)中、R
cは、チオエーテル結合(−S−)、エーテル結合(−O−)及びカルボニル結合(−CO−)から選択される少なくとも1種の2価の連結基を含んでいてもよい炭素数7以上14以下の炭化水素基であり、R
dは、水素原子又は炭素数1以上4以下の炭化水素基であり、Z
1は、水素原子又はニトロ基である。)
【0032】
一般式(2)において、R
cは、チオエーテル結合(−S−)、エーテル結合(−O−)及びカルボニル結合(−CO−)から選択される少なくとも1種の2価の連結基を含んでいてもよい炭素数7以上14以下の炭化水素基である。
前記R
cにおける炭素数7以上14以下の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられ、中でも、アルキル基、アリール基及びアラルキル基が好ましい。前記アルキル基は直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、直鎖状と環状の組み合わせであっても良い。前記アルキル基としては、例えば、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロヘキシルエチル基、ボルニル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、アダマンチル基、低級アルキル基置換アダマンチル基などを挙げることができる。前記アリール基としては、例えば、フェニル基の水素原子の少なくとも1つが炭素数1以上6以下のアルキル基によって置換された基、ビフェニル基、ナフチル基、並びに、ビフェニル基及びナフチル基の1つ又は2つの水素原子がメチル基又はエチル基によって置換された基などを挙げることができる。前記アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基などを挙げることができる。R
cにおける炭化水素基としては、中でも析出物を抑制しやすい点から、炭素数7以上12以下のアルキル基、アラルキル基、及びアリール基が好ましく、特に、シクロヘキサン等の脂肪族環又はベンゼン等の芳香環と、直鎖又は分岐のアルキル基又はアルキレン基とを含む基が好ましい。
また、前記R
cにおいては、前記炭化水素基が前記2価の連結基を含むことにより、溶剤溶解性や相溶性を向上し、析出物の発生を抑制することができる。前記2価の連結基としては、中でも、溶剤溶解性を向上する点から、チオエーテル結合(−S−)、又はエーテル結合(−O−)であることが好ましく、エーテル結合(−O−)がより好ましい。前記R
cにおいて、前記炭化水素基が前記2価の連結基を含む場合は、前記2価の連結基を介して前記炭化水素基がオキシムエステル基の炭素原子と結合していてもよいし、前記炭化水素基の炭素原子がオキシムエステル基の炭素原子と直接結合していてもよい。前記R
cにおいて、前記炭化水素基が前記2価の連結基を含み、且つ前記炭化水素基の炭素原子がオキシムエステル基の炭素原子と直接結合する場合としては、例えば、前記R
cが、炭化水素基同士を前記2価の連結基で結合した基である場合が挙げられる。炭化水素基同士を前記2価の連結基で結合した基としては、例えば、アルキルチオアルキル基、アリールチオアルキル基等のチオエーテル結合(−S−)を含む構造;メトキシシクロへキシル基等のアルコキシアルキル基、アリールオキシアルキル基等のエーテル結合(−O−)を含む構造;ベンゾイルメチル基、アシルアルキル基等のカルボニル結合(−CO−)を含む構造;等が挙げられる。
【0033】
一般式(2)において、R
dは、水素原子又は炭素数1以上4以下の炭化水素基であり、中でも、析出物の発生を抑制する観点から、炭素数1以上4以下の炭化水素基であることが好ましく、炭素数1以上4以下のアルキル基であることがより好ましく、メチル基又はエチル基であることがより更に好ましい。
【0034】
前記一般式(2)で表されるオキシムエステル化合物としては、例えば、下記化合物(2−1)等を好適に用いることができる。
【0036】
前記化合物(2−1)の市販品としては、例えば、アデカアークルズNCI−831(ADEKA社製)を挙げることができる。
なお、前記一般式(2)で表されるオキシムエステル化合物は、例えば、特許第6119922号を参照して合成できる。
【0037】
ジフェニルスルフィド骨格を有するオキシムエステル系光開始剤としては、中でも、析出物の発生を抑制する点、及び感度を向上する点から、下記一般式(3)で表されるオキシムエステル化合物を好適に用いることができる。
【0038】
【化7】
(一般式(3)中、R
c’は、チオエーテル結合(−S−)、エーテル結合(−O−)及びカルボニル結合(−CO−)から選択される少なくとも1種の2価の連結基を含んでいてもよい炭素数7以上14以下の炭化水素基であり、Z
1’は、水素原子又はニトロ基である。)
【0039】
一般式(3)のR
c’におけるチオエーテル結合(−S−)、エーテル結合(−O−)及びカルボニル結合(−CO−)から選択される少なくとも1種の2価の連結基を含んでいてもよい炭素数7以上14以下の炭化水素基としては、例えば、前記一般式(2)のR
cと同様のものを挙げることができる。また、前記一般式(2)のR
cにおいて好ましいものが、一般式(3)のR
c’においても好ましい。
【0040】
前記一般式(3)で表されるオキシムエステル化合物としては、例えば、下記化合物(3−1)等を好適に用いることができる。
【0042】
前記化合物(3−1)の市販品としては、例えば、TR−PBG−3057(常州強力電子新材料社製)を挙げることができる。
なお、前記一般式(3)で表されるオキシムエステル化合物は、例えば、特表2012―526185号公報を参照して合成できる。
【0043】
フルオレン骨格を有するオキシムエステル系光開始剤としては、中でも、析出物の発生を抑制する点から、下記一般式(4)で表されるオキシムエステル化合物を好適に用いることができる。
【0044】
【化9】
(一般式(4)中、R
c”は、チオエーテル結合(−S−)、エーテル結合(−O−)及びカルボニル結合(−CO−)から選択される少なくとも1種の2価の連結基を含んでいてもよい炭素数7以上14以下の炭化水素基であり、R
e及びR
fはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1以上6以下の炭化水素基であり、Z
1”は、水素原子又はニトロ基である。)
【0045】
一般式(4)のR
c”におけるチオエーテル結合(−S−)、エーテル結合(−O−)及びカルボニル結合(−CO−)から選択される少なくとも1種の2価の連結基を含んでいてもよい炭素数7以上14以下の炭化水素基としては、例えば、前記一般式(2)のR
cと同様のものを挙げることができる。また、前記一般式(2)のR
cにおいて好ましいものが、一般式(4)のR
c”においても好ましい。
【0046】
一般式(4)において、R
e及びR
fはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1以上6以下の炭化水素基であり、中でも、析出物の発生を抑制する観点から、炭素数1以上6以下のアルキル基であることが好ましく、炭素数2以上6以下の直鎖アルキル基であることがより好ましい。
【0047】
前記一般式(4)で表されるオキシムエステル化合物としては、例えば、下記化合物(4−1)等を好適に用いることができる。
【0049】
前記化合物(4−1)の市販品としては、例えば、TR−PBG−365(常州強力電子新材料社製)を挙げることができる。
【0050】
オキシムエステル系光開始剤としては、析出物の発生を抑制する点から、前記一般式(2)で表されるオキシムエステル化合物、前記一般式(3)で表されるオキシムエステル化合物及び前記一般式(4)で表されるオキシムエステル化合物からなる群から選択される1種以上が好ましく、中でも、析出物の発生を抑制し、且つ感度を向上する点から、前記一般式(2)で表されるオキシムエステル化合物及び前記一般式(3)で表されるオキシムエステル化合物からなる群から選択される1種以上がより好ましく、前記化合物(2−1)及び前記化合物(3−1)から選択される1種以上が特に好ましい。
【0051】
前記その他の光開始剤として、前記一般式(1)で表される化合物とは異なるα−アミノケトン系光開始剤を用いる場合は、析出物の発生が抑制されやすくなることに加えて、更に、着色層中の架橋密度が均一になりやすい点から好ましい。
前記α−アミノケトン系光開始剤としては、例えば、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(例えばイルガキュア907、BASF社製)、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン(例えばイルガキュア369、BASF社製)、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン(イルガキュア379EG、BASF社製)等が挙げられる。
α−アミノケトン系光開始剤としては、単独で又は2種以上組み合わせて用いても良く、中でも、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、及び、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノンが、析出物の発生を抑制する点、並びに、残膜率の低下及び微小孔のビリツキを抑制する点から好ましく、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノンが、更に昇華物の発生を抑制する点からより好ましい。
【0052】
ビイミダゾール系光開始剤としては、例えば、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール等を挙げることができる。
ビイミダゾール系光開始剤としては、単独で又は2種以上組み合わせて用いても良い。
【0053】
チオキサントン系光開始剤としては、例えば、2,4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等が挙げられる。
チオキサントン系光開始剤としては、単独で又は2種以上組み合わせて用いても良く、中でも、2,4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントンを用いることが、ラジカル発生の転移が向上する点から好ましい。
【0054】
アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤は、熱による黄変が少ないという性質を有するため、輝度向上に適しているものの、一般的に感度が低く十分な硬化性が得られない場合がある。しかしながら、前記一般式(1)で表される化合物と組み合わせると全体的な塗膜硬化性を向上し、微小孔を形成する際に、孔の端部のビリツキが抑制されて寸法精度が良好な微小孔を形成し易い点から好ましい。
アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤としては、例えば、ベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、2,3,5,6−テトラメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、3,4−ジメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−フェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメチルベンゾイル)−エチルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤としては、単独で又は2種以上組み合わせて用いても良く、中でも、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイドが、塗膜硬化性が向上する点から好ましい。
【0055】
メルカプト系連鎖移動剤は、反応の遅いラジカルからラジカルを受け取り反応を早めるという性質を有し、特に、ビイミダゾール系光開始剤と組み合わせると反応速度を向上する傾向が高い点から好ましい。
メルカプト系連鎖移動剤としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−5−メトキシベンゾチアゾール、2−メルカプト−5−メトキシベンゾイミダゾール、3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸メチル、3−メルカプトプロピオン酸エチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、およびテトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)等が挙げられる。
メルカプト系連鎖移動剤としては、単独で又は2種以上組み合わせて用いても良く、中でも、2−メルカプトベンゾチアゾールが、反応速度が向上する点から好ましい。
【0056】
本発明のカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物において用いられる光開始剤の合計含有量は、本発明の効果が損なわれない限り特に制限はないが、カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物の固形分全量に対して、好ましくは0.1質量%以上12.0質量%以下、さらに好ましくは1.0質量%以上8.0質量%以下の範囲内である。この含有量が上記下限値以上であると十分に光硬化が進み、露光部分が現像時に溶出することを抑制し、一方上記上限値以下であると、得られる着色層の黄変による輝度の低下を抑制できる。
なお、固形分とは、溶剤以外のもの全てであり、液状の多官能モノマー等も含まれる。
【0057】
前記光開始剤が、前記一般式(1)で表される化合物と、前記その他の光開始剤とを含有する場合、光開始剤の総量100質量%中、前記一般式(1)で表される化合物の含有量は、析出物の発生を抑制する点から、10質量%以上98質量%以下であることが好ましく、20質量%以上95質量%以下であることがより好ましく、30質量%以上95質量%以下であることがより更に好ましく、析出物の発生をより抑制する点、及び感度を向上しやすい点から、50質量%以上90質量%以下であることが特に好ましい。
【0058】
[色材]
本発明において、色材は、カラーフィルタの着色層を形成した際に所望の発色が可能なものであればよく、特に限定されず、種々の有機顔料、染料、分散可能な染料、及び無機顔料を、単独で又は2種以上混合して用いることができる。中でも有機顔料は、発色性が高く、耐熱性も高いので、好ましく用いられる。
有機顔料としては、例えばカラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行)においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。
なお、以下においてカラーインデックス名を記載する場合、カラーインデックス名のうち番号のみが異なるものを列挙するときは、当該番号のみを列挙する場合がある。
【0059】
C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、15、16、17、20、24、31、55、60、61、65、71、73、74、81、83、93、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、116、117、119、120、126、127、128、129、138、139、150、151、152、153、154、155、156、166、168、175、185;
C.I.ピグメントオレンジ1、5、13、14、16、17、24、34、36、38、40、43、46、49、51、61、63、64、71、73;
C.I.ピグメントバイオレット1、19、23、29、32、36、38;
C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48:1、48:2、48:3、48:4、49:1、49:2、50:1、52:1、53:1、57、57:1、57:2、58:2、58:4、60:1、63:1、63:2、64:1、81:1、83、88、90:1、97、101、102、104、105、106、108、112、113、114、122、123、144、146、149、150、151、166、168、170、171、172、174、175、176、177、178、179、180、185、187、188、190、193、194、202、206、207、208、209、215、216、220、224、226、242、243、245、254、255、264、265、269、291;
C.I.ピグメントブルー15、15:3、15:4、15:6、60;
C.I.ピグメントグリーン7、36、58、59、62、63;
C.I.ピグメントブラウン23、25;
C.I.ピグメントブラック1、7。
【0060】
前記染料としては、従来公知の染料の中から適宜選択することができる。このような染料としては、例えば、アゾ系染料、金属錯塩アゾ系染料、アントラキノン系染料、トリアリールメタン系染料、キサンテン系染料、シアニン系染料、ナフトキノン系染料、キノンイミン系染料、メチン系染料、フタロシアニン系染料などを挙げることができる。具体的には例えば、C.I.ソルベントイエロー4、14、15、24、82、88、94、98、162、179;
C.I.ソルベントレッド45、49;
C.I.ソルベントオレンジ2、7、11、15、26、56;
C.I.ソルベントブルー35、37、59、67;
C.I.アシッドレッド50、52、289;
C.I.アシッドバイオレット9、30;
C.I.アシッドブルー19;等を挙げることができる。
【0061】
前記分散可能な染料としては、染料に各種置換基を付与して溶剤に不溶化することにより分散可能となった染料や、溶解度の低い溶剤と組み合わせて用いることにより分散可能となった染料や、溶剤に可溶性の染料をカウンターイオンと塩形成して不溶化(レーキ化)したレーキ色材が挙げられる。このような分散可能な染料と、分散剤とを組み合わせて用いることにより当該染料の分散性や分散安定性を向上することができる。
なお、目安として、10gの溶剤(又は混合溶剤)に対して染料の溶解量が100mg以下であれば、当該溶剤(又は混合溶剤)において、当該染料が分散可能であると判定することができる。
【0062】
前記無機顔料の具体例としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、カーボンブラック等を挙げることができる。
【0063】
赤色着色層を形成する場合に用いる色材としては、中でも、C.I.ピグメントレッド177、254、269、291から選択される1種以上を好ましく用いることができる。
【0064】
緑色着色層を形成する場合に用いる色材としては、C.I.ピグメントグリーン62及びC.I.ピグメントグリーン63から選択される1種以上を好ましく用いることができる。C.I.ピグメントグリーン62及びC.I.ピグメントグリーン63から選択される1種以上を、光開始剤としての前記一般式(1)で表される化合物と組み合わせて用いると、ポストベークによる着色層の輝度の低下を抑制する効果が大きい。これは、C.I.ピグメントグリーン62及びC.I.ピグメントグリーン63が、ポストベーク前後において前記一般式(1)で表される化合物と相互作用するためと推定される。前記一般式(1)で表される化合物は、耐熱性に優れるフルオレン骨格と炭素数2以上8以下のアルキル基を有するため、これらの構造の立体障害により、ポストベーク前後において、C.I.ピグメントグリーン62及びC.I.ピグメントグリーン63の分子の立体構造が維持されやすいため、ポストベーク前後で着色層の輝度が維持されやすいと推定される。
【0065】
緑色着色層を形成する場合に用いる色材としては、下記一般式(i)で表されるポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンも好ましく用いることができる。下記一般式(i)で表されるポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンも、光開始剤としての前記一般式(1)で表される化合物と組み合わせて用いると、ポストベークによる着色層の輝度の低下を抑制する効果が大きい。これは、下記一般式(i)で表されるポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンも、C.I.ピグメントグリーン62及びC.I.ピグメントグリーン63と同様に、ポストベーク前後において前記一般式(1)で表される化合物と相互作用することにより、ポストベーク後も色材分子の立体構造が維持されやすいため、ポストベーク前後で着色層の輝度が維持されやすいと推定される。
【0066】
【化11】
(一般式(i)中、X
1〜X
16はそれぞれ独立に、塩素原子、臭素原子又は水素原子であり、1分子中に含まれる平均塩素原子数が1未満、平均臭素原子数が13超過、且つ、平均水素原子数が2以下である。)
【0067】
前記一般式(i)で表されるポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンは、高輝度化の観点から、質量分析法により測定されるマススペクトルにおいて、m/zが1780以上1820未満における最大イオン強度を、m/zが1820以上1860以下における最大イオン強度で除した値が、1.00以下であることが好ましく、1.00未満であることがより好ましく、0.9以下であることがより更に好ましく、0.85以下であることが特に好ましい。なお、前記値の下限値は、特に限定されず、通常0.50以上である。
【0068】
また、緑色着色層を形成する場合に用いる色材としては、亜鉛フタロシアニン顔料であるC.I.ピグメントグリーン58及びC.I.ピグメントグリーン59から選択される1種以上に、更に黄色色材を組み合わせた緑色色材も好ましく用いることができる。
C.I.ピグメントグリーン58、59等の亜鉛フタロシアニン顔料と組み合わせて用いられる黄色色材としては、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー150、及びC.I.ピグメントイエロー150の誘導体顔料から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
好ましいC.I.ピグメントイエロー150の誘導体顔料としては、例えば、下記一般式(A)で表されるアゾ化合物及びそれの互変異性構造のアゾ化合物のモノ、ジ、トリ及びテトラアニオンからなる群から選択される少なくとも1種のアニオンとCd,Co,Al,Cr,Sn,Pb,Zn,Fe,Ni,Cu及びMnからなる群から選択される少なくとも2種の金属のイオンと、下記一般式(B)で表される化合物とを含む黄色色材が挙げられる。
【0069】
【化12】
(一般式(A)中、R
gはそれぞれ独立して、−OH、−NH
2、−NH−CN、アシルアミノ基、アルキルアミノ基又はアリールアミノ基であり、R
hはそれぞれ独立して、−OH又は−NH
2である。)
【0070】
【化13】
(一般式(B)中、R
jはそれぞれ独立して、水素原子又はアルキル基である。)
【0071】
一般式(A)中のアシルアミノ基におけるアシル基としては、例えば、アルキルカルボニル基、フェニルカルボニル基、アルキルスルホニル基、フェニルスルホニル基、アルキル、フェニル、又はナフチルで置換されていても良いカルバモイル基、アルキル、フェニル、又はナフチルで置換されていても良いスルファモイル基、アルキル、フェニル、又はナフチルで置換されていてもよいグアニル基等が挙げられる。前記アルキル基は炭素数1以上6以下であることが好ましい。また前記アルキル基は、例えばF、Cl、Brなどのハロゲン、−OH、−CN、−NH
2、及び、炭素数1以上6以下のアルコキシ基から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい。また、前記フェニル基及びナフチル基は、例えばF、Cl、Brなどのハロゲン、−OH、−CN、−NH
2、−NO
2、炭素数1以上6以下のアルキル基、及び/又は炭素数1以上6以下のアルコキシ基で置換されていてもよい。
一般式(A)中のアルキルアミノ基におけるアルキル基としては、炭素数1以上6以下であることが好ましい。前記アルキル基は、例えばF、Cl、Brなどのハロゲン、−OH、−CN、−NH
2、及び/又は、炭素数1以上6以下のアルコキシ基で置換されていてもよい。
一般式(A)中のアリールアミノ基におけるアリール基としては、フェニル基、ナフチル基が挙げられ、これらのアリール基は、例えばF、Cl、Brなどのハロゲン、−OH、炭素数1以上6以下のアルキル基、炭素数1以上6以下のアルコキシ基、−NH
2、−NO
2および−CNなどで置換されていてもよい。
【0072】
前記一般式(A)で表されるアゾ化合物及びそれの互変異性構造のアゾ化合物において、R
gとしては、それぞれ独立に、−OH、−NH
2、−NH−CN、又はアルキルアミノであることが、色相の点から好ましく、2つのR
gはそれぞれ同一であっても異なっていても良い。
前記一般式(A)において、2つのR
gは、中でも色相の点から、両方とも−OHである場合、両方とも−NH−CNである場合、又は、1つが−OHで1つが−NH−CNである場合が更に好ましく、両方とも−OHである場合がより更に好ましい。
【0073】
また、前記一般式(A)で表されるアゾ化合物及びそれの互変異性構造のアゾ化合物において、R
hとしては、色相の点から、両方とも−OHである場合がより好ましい。
【0074】
Cd,Co,Al,Cr,Sn,Pb,Zn,Fe,Ni,CuおよびMnからなる群から選択される少なくとも2種の金属としては、中でも、2価又は3価の陽イオンになる金属を少なくとも1種含むことが好ましく、Ni,Cu,およびZnからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、更に、少なくともNiを含むことが好ましい。
更に、Niと、更に、Cd,Co,Al,Cr,Sn,Pb,Zn,Fe,CuおよびMnからなる群から選択される少なくとも1種の金属とを含むことが好ましく、より更に、Niと、更に、Zn,Cu,AlおよびFeからなる群から選択される少なくとも1種の金属とを含むことが好ましい。中でも特に、前記少なくとも2種の金属としては、NiとZnであるか、又は、NiとCuであることが好ましい。
【0075】
C.I.ピグメントイエロー150の誘導体顔料である前記黄色色材において、少なくとも2種の金属の含有割合は適宜調製されれば良い。
中でも、色相の点から、前記黄色色材においては、Niと、更に、Cd,Co,Al,Cr,Sn,Pb,Zn,Fe,CuおよびMnからなる群から選択される少なくとも1種の金属との含有割合は、Ni:その他の前記少なくとも1種金属が97:3〜10:90のモル比で含むことが好ましく、更に、90:10〜10:90のモル比で含むことが好ましい。
中でも、色相の点から、NiとZnとをNi:Znが90:10〜10:90のモル比で含むことが好ましく、80:20〜20:80のモル比で含むことが更に好ましい。
或いは、色相の点から、NiとCuとをNi:Cuが97:3〜10:90のモル比で含むことが好ましく、96:4〜20:80のモル比で含むことが更に好ましい。
【0076】
C.I.ピグメントイエロー150の誘導体顔料である前記黄色色材は、更に、前記特定の金属のイオンとは異なる金属イオンを含んでいても良い。前記黄色色材は、例えば、Li,Cs,Mg,Na,K,Ca,Sr,Ba,およびLaからなる群から選択される少なくとも1種の金属イオンを含んでいても良い。
【0077】
前記黄色色材中に少なくとも2種の金属のイオンを含む態様としては、共通した結晶格子中に少なくとも2種の金属のイオンが含まれる場合と、別の結晶格子中に各々1種ずつの金属のイオンが含まれる結晶が凝集している場合が挙げられる。中でも、共通した結晶格子中に少なくとも2種の金属のイオンが含まれる場合が、よりコントラストが向上する点から好ましい。なお、共通した結晶格子中に少なくとも2種の金属のイオンが含まれる態様か、別の結晶格子中に各々1種ずつの金属のイオンが含まれる結晶が凝集している態様であるかは、例えば特開2014−12838号公報を参照してX線回折法を用いて適宜判断することができる。
【0078】
C.I.ピグメントイエロー150の誘導体顔料である前記黄色色材は、更に下記一般式(B)で表される化合物を含む。前記黄色色材は、前記一般式(A)で表されるアゾ化合物及びそれの互変異性構造のアゾ化合物のアニオンと特定の金属イオンとからなる金属錯体と下記一般式(B)で表される化合物との複合分子を含む。これらの分子間の結合は、例えば分子間相互作用によるか、ルイス酸−塩基相互作用によるか、又は配位結合によって形成され得る。また、ゲスト分子がホスト分子を構成する格子に組み込まれている包接化合物のような構造であっても良い。或いは、2つの物質が共同結晶を形成し、第一の成分の規則的な格子の位置に第二の成分の原子が位置しているような混合置換結晶を形成していても良い。
【0079】
【化14】
(一般式(B)中、R
jはそれぞれ独立して、水素原子又はアルキル基である。)
【0080】
R
jにおけるアルキル基としては、炭素数1以上6以下のアルキル基であることが好ましく、更に炭素数1以上4以下のアルキル基であることが好ましい。当該アルキル基は、−OH基で置換されていても良い。
中でも、R
jは、水素原子であることが好ましい。
【0081】
前記一般式(B)で表される化合物の含有量は、前記一般式(A)で表されるアゾ化合物及びそれの互変異性構造のアゾ化合物の1モルを基準にして、一般的には5モル以上300モル以下であり、10モル以上250モル以下であることが好ましく、更に100モル以上200モル以下であることが好ましい。
【0082】
また、C.I.ピグメントイエロー150の誘導体顔料である前記黄色色材は、更に、尿素および置換尿素、例えばフェニル尿素、ドデシル尿素等、並びにそのアルデヒド、特にホルムアルデヒドとの重縮合物;複素環、例えばバルビツール酸、ベンズイミダゾロン、ベンズイミダゾロン−5−スルホン酸、2,3−ジヒドロキシキノキサリン、2,3−ジヒドロキシキノキサリン−6−スルホン酸、カルバゾール、カルバゾール−3,6−ジスルホン酸、2−ヒドロキシキノリン、2,4−ジヒドロキシキノリン、カプロラクタム、メラミン、6−フェニル−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン、6−メチル−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン、シアヌル酸等を含んでいても良い。
また、前記黄色色材は、更に、水溶性ポリマー、例えばエチレン−プロピレンオキシド−ブロックポリマー、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸、例えばカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチル−およびエチルヒドロキシエチルセルロースのような変性セルロース等を含んでいても良い。
【0083】
C.I.ピグメントイエロー150の誘導体顔料である前記黄色色材は、例えば、特開2014−12838号公報を参照することにより、調製することができる。
【0084】
また、緑色着色層を形成する場合に用いる色材としては、後述する一般式(ii)で表される色材及び一般式(iii)で表される色材からなる群から選択される1種以上を補色として含む緑色色材も、耐熱性及び耐光性の点、並びにカラーフィルタの高輝度化の点から好ましく用いることができる。
【0085】
青色着色層を形成する場合に用いる色材としては、銅フタロシアニン顔料であるC.I.ピグメントブルー15:6に、更にC.I.ピグメントバイオレット23等の紫色色材を組み合わせた青色色材を好ましく用いることができる。
【0086】
また、青色着色層を形成する場合に用いる色材としては、高輝度化の点から、トリアリールメタン系染料、キサンテン系染料、及びシアニン系染料の少なくとも1種を含むことも好ましい。中でも、耐熱性が高い点から、トリアリールメタン系染料及びキサンテン系染料から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、トリアリールメタン系レーキ色材を含むことがより好ましい。前記染料又はレーキ色材を、銅フタロシアニン顔料であるC.I.ピグメントブルー15:6等の有機顔料と組み合わせて用いることも好ましい。
【0087】
前記トリアリールメタン系レーキ色材としては、耐熱性及び耐光性に優れ、カラーフィルタの高輝度化を達成する点から、中でも、トリアリールメタン系塩基性染料と、ポリ酸アニオンとを含むことが好ましく、例えば、下記一般式(ii)で表される色材及び下記一般式(iii)で表される色材からなる群から選択される1種以上を好ましく用いることができ、特に、下記一般式(ii)で表される色材を好ましく用いることができる。
本発明の着色樹脂組成物は、下記一般式(ii)で表される色材及び下記一般式(iii)で表される色材からなる群から選択される1種以上と、光開始剤としての前記一般式(1)で表される化合物とを組み合わせて含むことにより、特に、耐熱性が向上した着色層を形成することができる。これは、光開始剤として感度が良好な前記一般式(1)で表される化合物を用いることにより、着色層の架橋密度が高まり、更に、一般式(ii)で表される色材及び一般式(iii)で表される色材が、ポストベーク前後において前記一般式(1)で表される化合物と相互作用するためと推定される。前記一般式(1)で表される化合物は、耐熱性に優れるフルオレン骨格と炭素数2以上8以下のアルキル基を有するため、これらの構造の立体障害により、一般式(ii)で表される色材及び一般式(iii)で表される色材は、ポストベーク前後において、レーキ化した染料分子会合体が維持されやすいため、ポストベーク前後で着色層の色差が生じにくいと推定される。
【0088】
【化15】
(一般式(ii)中、Aは、Nと直接結合する炭素原子がπ結合を有しないa価の有機基であって、当該有機基は、少なくともNと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基、又は当該脂肪族炭化水素基を有する芳香族基を表し、炭素鎖中にヘテロ原子が含まれていてもよい。B
c−はc価のポリ酸アニオンを表す。R
i〜R
vは各々独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、R
iiとR
iii、R
ivとR
vが結合して環構造を形成してもよい。R
vi及びR
viiは各々独立に、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、ハロゲン原子又はシアノ基を表す。Ar
1は置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。複数あるR
i〜R
vii及びAr
1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
a及びcは2以上の整数、b及びdは1以上の整数を表す。eは0又は1であり、eが0のとき結合は存在しない。f及びgは0以上4以下の整数を表し、f+e及びg+eは0以上4以下である。複数あるe、f及びgはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
【0089】
【化16】
(一般式(iii)中、R
I〜R
VIは各々独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、R
IとR
II、R
IIIとR
IV、R
VとR
VIが結合して環構造を形成してもよい。R
VII及びR
VIIIは各々独立に、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、ハロゲン原子又はシアノ基を表す。Ar
2は置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環基を表し、複数あるR
I〜R
VIII及びAr
2はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。E
m−はm価のポリ酸アニオンを表す。
mは2以上の整数を表す。jは0又は1であり、jが0のとき結合は存在しない。k及びlは0以上4以下の整数を表し、k+j及びl+jは0以上4以下である。複数あるj、k及びlはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
【0090】
前記一般式(ii)で表される色材は、2価以上のアニオンと、2価以上のカチオンとを含むため、当該色材の凝集体においては、アニオンとカチオンが単に1分子対1分子でイオン結合しているのではなく、イオン結合を介して複数の分子が会合する分子会合体を形成し得ることから、見かけの分子量が、従来のレーキ顔料の分子量に比べて格段に増大する。このような分子会合体の形成により固体状態での凝集力がより高まり、熱運動を低下させ、イオン対の解離やカチオン部の分解を抑制でき、従来のレーキ顔料に比べて退色し難いと推定される。
【0091】
前記一般式(ii)におけるAは、N(窒素原子)と直接結合する炭素原子がπ結合を有しないa価の有機基であって、当該有機基は、少なくともNと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基、又は当該脂肪族炭化水素基を有する芳香族基を表し、炭素鎖中にO(酸素原子)、S(硫黄原子)、N(窒素原子)等のヘテロ原子が含まれていてもよいものである。すなわち、当該有機基は、少なくともNと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有し、炭素鎖中にO、S、N等のヘテロ原子が含まれてもよい脂肪族炭化水素基、又は、Nと直接結合する末端に脂肪族炭化水素基を有し、炭素鎖中にO、S、N等のヘテロ原子が含まれてもよい芳香族基を表す。Nと直接結合する炭素原子がπ結合を有しないため、カチオン性の発色部位が有する色調や透過率等の色特性は、連結基Aや他の発色部位の影響を受けず、単量体と同様の色を保持することができる。
【0092】
Aにおいて、少なくともNと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基は、Nと直接結合する末端の炭素原子がπ結合を有しなければ、直鎖、分岐又は環状のいずれであってもよく、末端以外の炭素原子が不飽和結合を有していてもよく、置換基を有していてもよく、炭素鎖中に、O、S、Nが含まれていてもよい。例えば、カルボニル基、カルボキシ基、オキシカルボニル基、アミド基等が含まれていてもよく、水素原子が更にハロゲン原子等に置換されていてもよい。
また、Aにおいて上記脂肪族炭化水素基を有する芳香族基は、少なくともNと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基を有する、単環又は多環芳香族基が挙げられ、置換基を有していてもよく、O、S、Nが含まれる複素環であってもよい。
中でも、骨格の堅牢性の点から、Aは、環状の脂肪族炭化水素基又は芳香族基を含むことが好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基としては、シクロヘキサン、シクロペンタン、ノルボルナン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン、アダマンタンを含む基等が挙げられる。また、芳香族基としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環を含む基等が挙げられる。例えば、Aが2価の有機基の場合、炭素数1以上20以下の直鎖、分岐、又は環状のアルキレン基や、キシリレン基等の炭素数1以上20以下のアルキレン基を2個置換した芳香族基等が挙げられる。
【0093】
本発明においては、堅牢性と、分子運動の自由度を両立して、耐熱性を向上する点から、Aが、2個以上の環状脂肪族炭化水素基を有し、Nと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有し、炭素鎖中にO、S、Nが含まれてもよい脂肪族炭化水素基であることが好ましい。Aは、2個以上のシクロアルキレン基を有し、Nと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有し、炭素鎖中にO、S、Nが含まれてもよい脂肪族炭化水素基であることがより好ましく、中でも、2個以上の環状脂肪族炭化水素基が直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基で連結した構造を有することが更に好ましい。
2個以上ある環状脂肪族炭化水素基は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、例えば、前記環状の脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられ、中でもシクロヘキサン、シクロペンタンが好ましい。
【0094】
本発明においては、耐熱性の点から、中でも、前記Aが、下記一般式(iia)で表される置換基であることが好ましい。
【0095】
【化17】
(一般式(iia)中、R
xiは置換基として炭素数1以上4以下のアルキル基、又は炭素数1以上4以下のアルコキシ基を有してもよい炭素数1以上3以下のアルキレン基を表し、R
xii及びR
xiiiは各々独立に炭素数1以上4以下のアルキル基、又は炭素数1以上4以下のアルコキシ基を表し、pは1以上3以下の整数を、q及びrは各々独立に0以上4以下の整数を表す。R
xi、R
xii、R
xiii及びrが複数ある場合、当該複数あるR
xi、R
xii、R
xiii及びrは互いに同一であっても異なっていてもよい。)
【0096】
堅牢性と、発色部位の熱運動との両立に優れ、耐熱性が向上する点から、R
xiにおける炭素数1以上3以下のアルキレン基であることが好ましい。このようなアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等が挙げられ、中でもメチレン基又はエチレン基が好ましく、メチレン基がより好ましい。
炭素数1以上4以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられ、直鎖状であっても分岐を有していてもよい。
また、炭素数1以上4以下のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基が挙げられ、直鎖状であっても分岐を有していてもよい。
【0097】
R
xii及びR
xiiiにおける、炭素数1以上4以下のアルキル基、及び、炭素数1以上4以下のアルコキシ基は、前記R
xiが有してもよい置換基と同様のものが挙げられる。
【0098】
一般式(iia)において、シクロヘキサン(シクロヘキシレン基)は2個以上4個以下、即ち、pが1以上3以下であることが、耐熱性の点から好ましく、中でもpが1以上2以下であることがより好ましい。
またシクロヘキシレン基が有する置換基R
xii及びR
xiiiの置換数は、特に限定されないが、耐熱性の点から、1個以上3個以下であることが好ましく、1個以上2個以下であることがより好ましい。即ちq及びrが1以上3以下の整数であることが好ましく、q及びrが1以上2以下の整数であることが好ましい。
【0099】
このような連結基Aの好適な具体例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0101】
R
i〜R
vにおけるアルキル基は、特に限定されない。例えば、炭素数1以上20以下の直鎖、分岐状又は環状のアルキル基等が挙げられ、中でも、炭素数が1以上8以下の直鎖又は分岐のアルキル基であることが挙げられ、炭素数が1以上5以下の直鎖又は分岐のアルキル基であることが、輝度及び耐熱性の点から挙げられ、R
i〜R
vにおけるアルキル基がエチル基又はメチル基であることが挙げられる。アルキル基が有してもよい置換基としては、特に限定されないが、例えば、アリール基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基等が挙げられ、置換されたアルキル基としては、ベンジル基のようなアラルキル基等が挙げられる。
R
i〜R
vにおけるアリール基は、特に限定されない。例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。アリール基が有してもよい置換基としては、例えばアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、水酸基等が挙げられる。
中でも化学的安定性の点からR
i〜R
vとしては、各々独立に、水素原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、フェニル基、又は、R
iiとR
iii、R
ivとR
vが結合してピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環を形成していることが好ましい。
【0102】
耐熱性の点からは、R
ii〜R
vのうち少なくとも一つが、置換基を有してもよいシクロアルキル基、又は、置換基を有していてもよいアリール基であることが好ましい。R
ii〜R
vのうち少なくとも一つが、シクロアルキル基、又は、アリール基を有することにより、立体障害による分子間相互作用が低減するため、発色部位の熱に対する影響を抑制できるため、耐熱性に優れていると考えられる。
【0103】
耐熱性の点からは、R
ii〜R
vのうち少なくとも一つが、下記一般式(iib)又は、下記一般式(iic)で表される置換基であることが好ましい。
【0104】
【化19】
(一般式(iib)中、R
xiv、R
xv、及びR
xviは各々独立に水素原子、置換基を有してもよい炭素数1以上4以下のアルキル基、又は置換基を有してもよい炭素数1以上4以下のアルコキシ基を表す。)
【0105】
【化20】
(一般式(iic)中、R
xvii、R
xviii、及びR
xixは各々独立に水素原子、置換基を有してもよい炭素数1以上4以下のアルキル基、又は置換基を有してもよい炭素数1以上4以下のアルコキシ基を表す。)
【0106】
R
xiv、R
xv、R
xvi、R
xvii、R
xviii、及びR
xixにおける炭素数1以上4以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられ、直鎖状であっても分岐を有していてもよい。また、炭素数1以上4以下のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基が挙げられ、直鎖状であっても分岐を有していてもよい。
前記アルキル基及びアルコキシ基が有してもよい置換基としては、ハロゲン原子、水酸基等が挙げられる。
【0107】
前記一般式(iib)で表される置換基を有する場合、耐熱性の点から、R
xiv、R
xv、及びR
xviの少なくとも一つが、置換基を有してもよい炭素数1以上4以下のアルキル基、又は置換基を有してもよい炭素数1以上4以下のアルコキシ基であることが好ましく、R
xiv及びR
xvの少なくとも一つが、置換基を有してもよい炭素数1以上4以下のアルキル基、又は置換基を有してもよい炭素数1以上4以下のアルコキシ基であることがより好ましい。
【0108】
また前記一般式(iic)で表される置換基を有する場合、耐熱性の点から、R
xvii、R
xviii、及びR
xixの少なくとも一つが、置換基を有してもよい炭素数1以上4以下のアルキル基、又は置換基を有してもよい炭素数1以上4以下のアルコキシ基であることが好ましく、R
xvii及びR
xviiiの少なくとも一つが、置換基を有してもよい炭素数1以上4以下のアルキル基、又は置換基を有してもよい炭素数1以上4以下のアルコキシ基であることがより好ましい。
【0109】
一般式(iib)で表される置換基、及び、一般式(iic)で表される置換基の好適な具体例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0111】
R
vi及びR
viiは各々独立に置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、ハロゲン原子又はシアノ基を表す。R
vi及びR
viiにおけるアルキル基としては、特に限定されないが、炭素数が1以上8以下の直鎖、又は分岐を有するアルキル基であることが好ましく、炭素数が1以上4以下のアルキル基であることがより好ましい。炭素数1以上4以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられ、直鎖状であっても分岐を有していてもよい。アルキル基が有してもよい置換基としては、特に限定されないが、例えば、アリール基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基等が挙げられる。
また、R
vi及びR
viiにおけるアルコキシ基としては、特に限定されないが、炭素数が1以上8以下の直鎖、又は分岐を有するアルコキシ基であることが好ましく、炭素数が1以上4以下のアルコキシ基であることがより好ましい。炭素数1以上4以下のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基が挙げられ、直鎖状であっても分岐を有していてもよい。アルコキシ基が有してもよい置換基としては、特に限定されないが、例えば、アリール基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基等が挙げられる。
R
vi及びR
viiにおけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
R
vi及びR
viiの置換数、即ち、f及びgはそれぞれ独立に0以上4以下の整数を表し、中でも0以上2以下であることが好ましく、0以上1以下であることがより好ましい。複数あるf及びgはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
また、R
vi及びR
viiは、トリアリールメタン骨格、又は、キサンテン骨格内の共鳴構造を有する芳香環のいずれの部位に置換されていてもよいが、中でも、−NR
iiR
iii又は−NR
ivR
vで表されるアミノ基の置換位置を基準にメタ位に置換されていることが好ましい。
【0112】
Ar
1における2価の芳香族基は特に限定されない。Ar
1における芳香族基は、炭素環からなる芳香族炭化水素基の他、複素環基であってもよい。芳香族炭化水素基における芳香族炭化水素としては、ベンゼン環の他、ナフタレン環、テトラリン環、インデン環、フルオレン環、アントラセン環、フェナントレン環等の縮合多環芳香族炭化水素;ビフェニル、ターフェニル、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、スチルベン等の鎖状多環式炭化水素が挙げられる。当該鎖状多環式炭化水素においては、ジフェニルエーテル等のように鎖状骨格中にO、S、Nを有していてもよい。一方、複素環基における複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール等の5員複素環;ピラン、ピロン、ピリジン、ピロン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン等の6員複素環;ベンゾフラン、チオナフテン、インドール、カルバゾール、クマリン、ベンゾ−ピロン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン等の縮合多環式複素環が挙げられる。これらの芳香族基は更に置換基として、アルキル基、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、及び、これらで置換されていても良いフェニル基等を有していてもよい。
【0113】
1分子内に複数あるR
i〜R
vii及びAr
1は、同一であっても異なっていてもよい。R
i〜R
vii及びAr
1の組み合わせにより、所望の色に調整することができる。
【0114】
Aにおける価数aは、カチオンを構成する発色性カチオン部位の数であり、aは2以上の整数である。このレーキ色材においては、カチオンの価数aが2以上であるため、耐熱性に優れており、中でも、カチオンの価数aが3以上であることが好ましい。aの上限は特に限定されないが、製造の容易性の点から、aが4以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましい。
【0115】
一般式(ii)で表される色材のカチオン部は、耐熱性に優れ、加熱時の色変化が抑制され易い点から、分子量が1200以上であることが好ましく、1300以上であることが好ましい。
【0116】
一般式(ii)で表される色材において、アニオン部(B
c−)は、高輝度で耐熱性に優れる点から、c価のポリ酸アニオンであって、2価以上のアニオンである。
【0117】
複数のオキソ酸が縮合したポリ酸アニオンとしては、イソポリ酸アニオン(M
mO
n)
c−であってもヘテロポリ酸アニオン(X
lM
mO
n)
c−であってもよい。上記イオン式中、Xはヘテロ原子、Mはポリ原子、lはヘテロ原子の組成比、mはポリ原子の組成比、nは酸素原子の組成比を表す。ポリ原子Mとしては、例えば、Mo、W、V、Ti、Nb等が挙げられる。またヘテロ原子Xとしては、例えば、Si、P、As、S、Fe、Co等が挙げられる。また、一部にNa
+やH
+等の対カチオンが含まれていてもよい。
中でも、耐熱性に優れる点から、タングステン(W)及びモリブデン(Mo)より選択される1種以上の元素を有するポリ酸であることが好ましい。
このようなポリ酸としては、例えば、イソポリ酸である、タングステン酸イオン[W
10O
32]
4−、モリブデン酸イオン[Mo
6O
19]
2−や、ヘテロポリ酸である、リンタングステン酸イオン[PW
12O
40]
3−、[P
2W
18O
62]
6−、ケイタングステン酸イオン[SiW
12O
40]
4−、リンモリブデン酸イオン[PMo
12O
40]
3−、ケイモリブデン酸イオン[SiMo
12O
40]
4−、リンタングストモリブデン酸イオン[PW
12−sMo
sO
40]
3−(sは1以上11以下の整数)、[P
2W
18−tMo
tO
62]
6−(tは1以上17以下の整数)、ケイタングストモリブデン酸イオン[SiW
12−uMo
uO
40]
4−(uは1以上11以下の整数)等が挙げられる。タングステン(W)及びモリブデン(Mo)の少なくとも1種を含むポリ酸としては、耐熱性の点、及び原料入手の容易さの点から、上記の中でもヘテロポリ酸であることが好ましく、更にリン(P)を含むヘテロポリ酸であることがより好ましい。
さらに、リンタングストモリブデン酸イオン[PW
10Mo
2O
40]
3−、[PW
11Mo
1O
40]
3−、リンタングステン酸イオン[PW
12O
40]
3−、のいずれかであることが耐熱性の点からさらに好ましい。
【0118】
一般式(ii)におけるbはカチオンの数を、dは分子会合体中のアニオンの数を示し、b及びdは1以上の整数を表す。bが2以上の場合、分子会合体中に複数あるカチオンは、1種単独であっても、2種以上が組み合わされていてもよい。また、dが2以上の場合、分子会合体中に複数あるアニオンは、1種単独であっても、2種以上が組み合わされていてもよい。
【0119】
一般式(ii)におけるeは、0又は1の整数であり、eが0のとき結合は存在しない。e=0はトリアリールメタン骨格を表し、e=1はキサンテン骨格を表す。複数あるeは同一であっても異なっていてもよい。本発明に用いられる一般式(ii)で表されるレーキ色材においては、少なくともトリアリールメタン骨格を含むものが好適に用いられる。
なお、一般式(ii)で表されるレーキ色材としては、例えば、国際公開第2012/144520号パンフレット、国際公開第2018/003706号パンフレットを参考にして調製することができる。
【0120】
一方、一般式(iii)中、R
I〜R
VIは各々独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、R
IとR
II、R
IIIとR
IV、R
VとR
VIが結合して環構造を形成してもよいものである。R
I〜R
VIは各々、前述の一般式(ii)のR
i〜R
vと同様であって良い。
一般式(iii)中、R
VII及びR
VIIIは各々独立に、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、ハロゲン原子又はシアノ基を表すが、これらも前述の一般式(ii)のR
vi及びR
viiと同様であって良い。
一般式(iii)中、Ar
2は置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環基を表すが、当該Ar
2は、前述の一般式(ii)のAr
1のうち、芳香族複素環基と同様であって良い。
また、一般式(iii)中、E
m−はm価のポリ酸アニオンを表すが、当該m価のポリ酸アニオンは、前述の一般式(ii)のc価のポリ酸アニオンと同様であって良い。
【0121】
一般式(iii)中、mは、カチオンの数及びアニオンの数を示し、2以上の整数を表す。一般式(iii)中に複数あるカチオンは、1種単独であっても、2種以上が組み合わされていてもよい。また、アニオンについても、1種単独であっても、2種以上が組み合わされていてもよい。
一般式(iii)中、jは0又は1であり、jが0のとき結合は存在しない。一般式(iii)中のjは、前述の一般式(ii)のeと同様であって良い。また、一般式(iii)中のk及びlは、前述の一般式(ii)のf及びgと同様であって良い。
なお、一般式(iii)で表されるレーキ色材としては、例えば、特開2017−16099号公報を参考にして調製することができる。
【0122】
前記一般式(ii)で表される色材及び前記一般式(iii)で表される色材は、調色のための別の色材と組み合わせて用いられてもよい。前記一般式(ii)で表される色材及び前記一般式(iii)で表される色材からなる群から選択される1種以上と組み合わせて用いる色材としては、耐熱性の観点から、有機顔料が好ましく用いられ、中でもフタロシアニン顔料が好ましく用いられる。分散性と保存安定性を向上する点からは、塩基性処理されたフタロシアニン顔料が好ましい。ここで、塩基性処理されたフタロシアニン顔料とは、塩基性化合物に由来する構造を有するフタロシアニン顔料をいう。塩基性化合物に由来する構造を有するフタロシアニン顔料としては、例えば、塩基性部位を有する色材誘導体を含むフタロシアニン顔料が好適なものとして挙げられる。
【0123】
前記フタロシアニン顔料としては、前記一般式(ii)で表される色材及び前記一般式(iii)で表される色材からなる群から選択される1種以上と組み合わせて用いられることから、青色フタロシアニン顔料であることが好ましく、比較的輝度に優れる点から、銅フタロシアニン顔料が好ましい。塩基性処理に用いられる銅フタロシアニン顔料としては、粗製銅フタロシアニン顔料であっても良いし、α型、β型、γ型、ε型などの結晶構造を有する銅フタロシアニン顔料であっても良い。塩基性処理に用いられる銅フタロシアニン顔料としては、中でも、分散安定性に優れる点から、ε型の結晶構造を有する銅フタロシアニン顔料、及びβ型の結晶構造を有する銅フタロシアニン顔料よりなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
【0124】
本発明において塩基性処理には、塩基性部位を有する色材誘導体が好適に用いられる。本発明において、塩基性部位を有するとは、置換基として塩基性基を有する態様、置換基において塩基性化合物が酸と塩形成している態様等が挙げられる。
本発明で色材誘導体が有する塩基性部位としては、例えば、アミノ基、スルホン酸アンモニウム塩、又は、アミノ基を有するスルホンアミド基、アミノ基を有するアミド基、塩基性複素環基等が挙げられる。
本発明で色材誘導体が有する塩基性部位は、色材の水素原子が前記塩基性部位で置換されている態様で含まれていても良いし、色材に連結基を介して前記塩基性部位が置換されている態様で含まれていても良い。色材に連結基を介して前記塩基性部位が置換されている態様としては、例えば、色材に炭素数1以上20以下の炭化水素基が置換され、当該炭化水素基の水素原子が前記塩基性部位で置換されている態様が挙げられる。
【0125】
色材誘導体が有する塩基性部位としては、中でも、酸性分散剤と相互作用しやすい点から、スルホン酸アンモニウム塩、又は、アミノ基を有するスルホンアミド基が好ましく、中でも、前記−SO
2NH−(CH
2)
m−NR
’R
”(ここで、R
’、及びR
”はそれぞれ独立に、水素原子、前記アミノ基で置換されていても良い炭素数1以上30以下の炭化水素基、又は、互いに結合して隣接する窒素原子と共に塩基性複素環を形成したものを示し、mは1以上15以下の整数を示す)で表される基であることが好ましい。
また、色材誘導体が有する塩基性部位は、色材1分子に対して少なくとも1個有すれば良く、特に限定されないが、色材分散性の点から、1個又は2個有することが好ましい。色材誘導体が有する塩基性部位が色材に置換されている位置は特に限定されない。
【0126】
塩基性部位を有する色材誘導体に用いられる色材は、公知の色材を適宜選択して用いることができるが、塩基性処理に用いられるフタロシアニン顔料と吸着し易い構造を有することが好ましく、同一又は類似の色素骨格や、相互作用し易い構造を有することが好ましい。また、塩基性処理に用いられるフタロシアニン顔料に近い色を示すことが好ましい。
塩基性部位を有する色材誘導体としては、中でも青色色材誘導体であることが好ましい。青色色材誘導体に用いられる青色色材は、公知の青色有機顔料、青色染料、及び青色染料の造塩化合物である青色レーキ色材等を用いることができるが、中でも、カラーインデックスで示されるブルー顔料又はシアン顔料と同じ色素骨格を有する色素を用いることが好ましく、中でも、分散性と輝度が向上する点から、フタロシアニン骨格を有する色素を用いることが好ましく、銅フタロシアニンが特に好ましい。
【0127】
塩基性部位を有する色材誘導体は、従来公知の方法により製造することができる。例えば、色材をスルホン化した後に、アンモニアや有機アミンで塩形成させる方法、又は、色材の置換基をスルホンアミド化する方法により製造することができる。
塩基性化合物に由来する構造を有するフタロシアニン顔料として、例えば、塩基性部位を有する色材誘導体を含むフタロシアニン顔料を調製する方法としては、例えば、塩基性部位を有する色材誘導体と、フタロシアニン顔料とを乾式粉砕後、更に塩基性部位を有する色材誘導体を混合する方法が挙げられる。この場合乾式粉砕機としてはボールミル、振動ミル、アトライター等が使用でき、粉砕温度は20℃以上130℃以下で自由に設定できる。
また、塩基性部位を有する色材誘導体を含むフタロシアニン顔料を調製する方法としては、塩基性部位を有する色材誘導体と、フタロシアニン顔料と、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸アンモニウム等の水溶性の無機塩と、グリコール系有機溶剤等の水溶性の有機溶剤を混合し、ソルベントソルトミリング法でニーダータイプの研磨機により混練りする方法等が挙げられる。
色材分散前に予め、塩基性処理されたフタロシアニン顔料を調製乃至準備し、色材を分散することにより、色材分散性を向上することができる。
【0128】
塩基性部位を有する色材誘導体を含むフタロシアニン顔料において、塩基性部位を有する色材誘導体の含有量は、分散性及び保存安定性の点から、フタロシアニン顔料100質量部に対して、0.5質量部以上であることが好ましく、3質量部以上であることがより好ましく、5質量部以上であることが更に好ましく、8質量部以上であることがより更に好ましい。一方、塩基性部位を有する色材誘導体の含有量は、輝度に優れる点から、フタロシアニン顔料100質量部に対して、50質量部以下であることが好ましく、40質量部以下であることがより好ましく、30質量部以下であることが更に好ましい。
なお、塩基性処理されたフタロシアニン顔料であることは、例えば、質量分析、元素分析、表面分析、電位差滴定、及びこれらの組み合わせを用いて適宜分析することができる。
【0129】
また、例えば、カラーフィルタの基板上に、本発明に係るカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物を用いて遮光層のパターンを形成する場合には、インク中に遮光性の高い黒色顔料を配合する。遮光性の高い黒色顔料としては、例えば、カーボンブラックや四三酸化鉄などの無機顔料、或いは、シアニンブラックなどの有機顔料を使用できる。
【0130】
本発明に用いられる色材の平均一次粒径としては、カラーフィルタの着色層とした場合に、所望の発色が可能なものであればよく、特に限定されず、用いる色材の種類によっても異なるが、10nm以上100nm以下の範囲内であることが好ましく、15nm以上60nm以下であることがより好ましい。色材の平均一次粒径が上記範囲であることにより、本発明に係る色材分散液を用いて製造されたカラーフィルタを備えた表示装置を高コントラストで、かつ高品質なものとすることができる。
【0131】
色材の合計含有量は、カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物の固形分全量に対して、3質量%以上65質量%以下、より好ましくは4質量%以上60質量%以下の割合で配合することが好ましい。上記下限値以上であれば、カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物を所定の膜厚(通常は1.0μm以上5.0μm以下)に塗布した際の着色層が充分な色濃度を有する。また、上記上限値以下であれば、保存安定性に優れると共に、充分な硬度や、基板との密着性を有する着色層を得ることができる。特に色材濃度が高い着色層を形成する場合には、色材の合計含有量は、カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物の固形分全量に対して、15質量%以上65質量%以下、より好ましくは25質量%以上60質量%以下の割合で配合することが好ましい。
【0132】
[アルカリ可溶性樹脂]
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂は酸性基を有するものであり、バインダー樹脂として作用し、かつパターン形成する際に用いられるアルカリ現像液に可溶性であるものの中から、適宜選択して使用することができる。
本発明において、アルカリ可溶性樹脂とは、酸価が40mgKOH/g以上であることを目安にすることができる。
本発明における好ましいアルカリ可溶性樹脂は、酸性基、通常カルボキシ基を有する樹脂であり、具体的には、カルボキシ基を有するアクリル系共重合体及びカルボキシ基を有するスチレン−アクリル系共重合体等のアクリル系樹脂、カルボキシ基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられる。これらの中で特に好ましいものは、側鎖にカルボキシ基を有するとともに、さらに側鎖にエチレン性不飽和基等の光重合性官能基を有するものである。光重合性官能基を含有することにより形成される硬化膜の膜強度が向上するからである。また、これらアクリル系共重合体及びスチレン−アクリル系共重合体等のアクリル系樹脂、並びにエポキシアクリレート樹脂は、2種以上混合して使用してもよい。
【0133】
カルボキシ基を有する構成単位を有するアクリル系共重合体、及びカルボキシ基を有するスチレン−アクリル系共重合体等のアクリル系樹脂は、例えば、カルボキシ基含有エチレン性不飽和モノマー、及び必要に応じて共重合可能なその他のモノマーを、公知の方法により(共)重合して得られた(共)重合体である。
カルボキシ基含有エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、アクリル酸ダイマーなどが挙げられる。また、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基を有する単量体と無水マレイン酸や無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物のような環状無水物との付加反応物、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートなども利用できる。また、カルボキシ基の前駆体として無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などの無水物含有モノマーを用いてもよい。中でも、共重合性やコスト、溶解性、ガラス転移温度などの点から(メタ)アクリル酸が特に好ましい。
【0134】
アルカリ可溶性樹脂は、着色層の密着性が優れる点から、更に炭化水素環を有することが好ましい。アルカリ可溶性樹脂に、嵩高い基である炭化水素環を有することにより、得られた着色層の耐溶剤性、特に着色層の膨潤が抑制されるとの知見を得た。作用については未解明であるが、着色層内に嵩高い炭化水素環が含まれることにより、着色層内における分子の動きが抑制される結果、塗膜の強度が高くなり溶剤による膨潤が抑制されるものと推定される。
このような炭化水素環としては、置換基を有していてもよい環状の脂肪族炭化水素環、置換基を有していてもよい芳香族環、及びこれらの組み合わせが挙げられ、炭化水素環がカルボニル基、カルボキシ基、オキシカルボニル基、アミド基等の置換基を有していてもよい。中でも、脂肪族環を含む場合には、着色層の耐熱性や密着性が向上すると共に、得られた着色層の輝度が向上する。
炭化水素環の具体例としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ノルボルナン、トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカン(ジシクロペンタン)、アダマンタン等の脂肪族炭化水素環;ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、フルオレン等の芳香族環;ビフェニル、ターフェニル、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、スチルベン等の鎖状多環や、カルド構造(9,9−ジアリールフルオレン);これらの基の一部が置換基によって置換された基等が挙げられる。
上記置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、水酸基、カルボニル基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0135】
本発明で用いられるアルカリ可溶性樹脂において、カルボキシ基を有する構成単位とは別に、上記炭化水素環を有する構成単位を有するアクリル系共重合体を用いることが、各構成単位量を調整しやすく、上記炭化水素環を有する構成単位量を増加して当該構成単位が有する機能を向上させやすい点から好ましい。
カルボキシ基を有する構成単位と、上記炭化水素環とを有するアクリル系共重合体は、前述の“共重合可能なその他のモノマー”として炭化水素環を有するエチレン性不飽和モノマーを用いることにより調製することができる。
前記一般式(1)で表される化合物と組み合わせる炭化水素環を有するエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、スチレンなどが挙げられ、現像後の着色層の断面形状が加熱処理においても維持される効果が大きい点から、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、スチレンが好ましく、特にスチレンが好ましい。
また、現像残渣の抑制効果の点からは、前記炭化水素環を有するエチレン性不飽和モノマーとしては、マレイミド構造を有するモノマーと、スチレンが好ましく、特にスチレンが好ましい。
【0136】
本発明で用いられるアルカリ可溶性樹脂はまた、側鎖にエチレン性二重結合を有することが好ましい。エチレン性二重結合を有する場合には、カラーフィルタ製造時における樹脂組成物の硬化工程において、当該アルカリ可溶性樹脂同士、乃至、当該アルカリ可溶性樹脂と光重合性化合物等が架橋結合を形成し得る。本発明で用いられる前記一般式(1)で表される化合物と組み合わせることにより、硬化膜の膜強度がより向上して現像耐性が向上し、また、硬化膜の熱収縮が抑制されて基板との密着性に優れるようになる。
アルカリ可溶性樹脂中に、エチレン性二重結合を導入する方法は、従来公知の方法から適宜選択すればよい。例えば、アルカリ可溶性樹脂が有するカルボキシ基に、分子内にエポキシ基とエチレン性二重結合とを併せ持つ化合物、例えばグリシジル(メタ)アクリレート等を付加させ、側鎖にエチレン性二重結合を導入する方法や、水酸基を有する構成単位を共重合体に導入しておいて、分子内にイソシアネート基とエチレン性二重結合とを備えた化合物を付加させ、側鎖にエチレン性二重結合を導入する方法などが挙げられる。
【0137】
本発明のアルカリ可溶性樹脂は、更にメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート等、エステル基を有する構成単位等の他の構成単位を含有していてもよい。エステル基を有する構成単位は、カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物のアルカリ可溶性を抑制する成分として機能するだけでなく、溶剤に対する溶解性、さらには溶剤再溶解性を向上させる成分としても機能する。
【0138】
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂は、カルボキシ基を有する構成単位と、炭化水素環を有する構成単位とを有するアクリル系共重合体及びスチレン−アクリル系共重合体等のアクリル系樹脂であることが好ましく、カルボキシ基を有する構成単位と、炭化水素環を有する構成単位と、エチレン性二重結合を有する構成単位とを有するアクリル系共重合体及びスチレン−アクリル系共重合体等のアクリル系樹脂であることがより好ましい。
【0139】
アルカリ可溶性樹脂は、各構成単位の仕込み量を適宜調整することにより、所望の性能を有するアルカリ可溶性樹脂とすることができる。
カルボキシ基含有エチレン性不飽和モノマーの仕込み量は、良好なパターンが得られる点から、モノマー全量に対して5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。一方、現像後のパターン表面の膜荒れ等を抑制する点から、カルボキシ基含有エチレン性不飽和モノマーの仕込み量は、モノマー全量に対して50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましい。
【0140】
また、アルカリ可溶性樹脂としてより好ましく用いられる、エチレン性二重結合を有する構成単位とを有するアクリル系共重合体及びスチレン−アクリル系共重合体等のアクリル系樹脂において、エポキシ基とエチレン性二重結合とを併せ持つ化合物はカルボキシ基含有エチレン性不飽和モノマーの仕込み量に対して、10質量%以上95質量%以下であることが好ましく、15質量%以上90質量%以下であることがより好ましい。
【0141】
カルボキシ基含有共重合体の好ましい重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1,000以上50,000以下の範囲であり、さらに好ましくは3,000以上20,000以下である。1,000未満では硬化後のバインダー機能が著しく低下する場合があり、50,000を超えるとアルカリ現像液による現像時に、パターン形成が困難となる場合がある。
なお、カルボキシ基含有共重合体の上記重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレンを標準物質とし、THFを溶離液としてショウデックスGPCシステム−21H(Shodex GPC System−21H)により測定することができる。
【0142】
カルボキシ基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂としては、特に限定されるものではないが、エポキシ化合物と不飽和基含有モノカルボン酸との反応物を酸無水物と反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート化合物が適している。
エポキシ化合物、不飽和基含有モノカルボン酸、及び酸無水物は、公知のものの中から適宜選択して用いることができる。カルボキシ基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、それぞれ1種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0143】
アルカリ可溶性樹脂は、現像液に用いるアルカリ水溶液に対する現像性(溶解性)の点から、酸価が50mgKOH/g以上のものを選択して用いることが好ましい。アルカリ可溶性樹脂は、現像液に用いるアルカリ水溶液に対する現像性(溶解性)の点、及び基板への密着性の点から、酸価が70mgKOH/g以上300mgKOH/g以下であることが好ましく、中でも、70mgKOH/g以上280mgKOH/g以下であることが好ましい。
なお、本発明において酸価はJIS K 0070に従って測定することができる。
【0144】
アルカリ可溶性樹脂の側鎖にエチレン性不飽和基を有する場合のエチレン性不飽和結合当量は、本発明で用いられる前記一般式(1)で表される化合物と組み合わせることにより、硬化膜の膜強度が向上して現像耐性が向上し、基板との密着性に優れるといった効果を得る点から、100以上2000以下の範囲であることが好ましく、特に、140以上1500以下の範囲であることが好ましい。該エチレン性不飽和結合当量が、2000以下であれば現像耐性や密着性に優れている。また、100以上であれば、前記カルボキシ基を有する構成単位や、炭化水素環を有する構成単位などの他の構成単位の割合を相対的に増やすことができるため、現像性や耐熱性に優れている。本発明で用いられる前記一般式(1)で表される化合物を前述した含有量と組み合わせて用いることが好ましい。
ここで、エチレン性不飽和結合当量とは、上記アルカリ可溶性樹脂におけるエチレン性不飽和結合1モル当りの重量平均分子量のことであり、下記数式(1)で表される。
【0145】
数式(1)
エチレン性不飽和結合当量(g/mol)=W(g)/M(mol)
(数式(1)中、Wは、アルカリ可溶性樹脂の質量(g)を表し、Mはアルカリ可溶性樹
脂W(g)中に含まれるエチレン性二重結合のモル数(mol)を表す。)
【0146】
上記エチレン性不飽和結合当量は、例えば、JIS K 0070:1992に記載のよう素価の試験方法に準拠して、アルカリ可溶性樹脂1gあたりに含まれるエチレン性二重結合の数を測定することにより算出してもよい。
【0147】
カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物において用いられるアルカリ可溶性樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、その含有量としては特に制限はないが、カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物の固形分全量に対してアルカリ可溶性樹脂は好ましくは5質量%以上60質量%以下、さらに好ましくは10質量%以上40質量%以下の範囲内である。アルカリ可溶性樹脂の含有量が上記下限値以上であると、充分なアカリ現像性が得られ、また、アルカリ可溶性樹脂の含有量が上記上限値以下であると、現像時に膜荒れやパターンの欠けを抑制できる。
【0148】
[光重合性化合物]
カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物において用いられる光重合性化合物は、前記光開始剤によって重合可能なものであればよく、特に限定されず、通常、エチレン性不飽和二重結合を2つ以上有する化合物が好適に用いられ、特にアクリロイル基又はメタクリロイル基を2つ以上有する、多官能(メタ)アクリレートであることが好ましい。
このような多官能(メタ)アクリレートとしては、従来公知のものの中から適宜選択して用いればよい。具体例としては、例えば、特開2013−029832号公報に記載のもの等が挙げられる。
【0149】
これらの多官能(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、本発明のカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物に優れた光硬化性(高感度)が要求される場合には、多官能(メタ)アクリレートが、重合可能な二重結合を3つ(三官能)以上有するものであるものが好ましく、3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類やそれらのジカルボン酸変性物が好ましく、具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのコハク酸変性物、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートのコハク酸変性物、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が好ましい。
【0150】
カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物において用いられる上記光重合性化合物の含有量は、特に制限はないが、カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物の固形分全量に対して光重合性化合物は好ましくは5質量%以上60質量%以下、さらに好ましくは10質量%以上40質量%以下の範囲内である。光重合性化合物の含有量が上記下限値以上であると十分に光硬化が進み、露光部分が現像時の溶出を抑制でき、また、光重合性化合物の含有量が上記上限値以下であるとアルカリ現像性が十分である。
カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物において用いられる上記光重合性化合物の含有量と前記光開始剤との含有割合は、優れた硬化性、残膜率の点、更には、電気信頼性が向上する点から、上記光重合性化合物100質量部に対して、前記光開始剤の合計含有割合が5質量部以上であることが好ましく、更に10質量部以上であることが好ましく、40質量部以下であることが好ましく、更に30質量部以下であることが好ましい。
【0151】
[溶剤]
本発明に用いられる溶剤としては、カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物中の各成分とは反応せず、これらを溶解もしくは分散可能な有機溶剤であればよく、特に限定されない。溶剤は単独もしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
溶剤の具体例としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、N−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、メトキシアルコール、エトキシアルコールなどのアルコール系溶剤;メトキシエトキシエタノール、エトキシエトキシエタノールなどのカルビトール系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシプロピオン酸メチル、メトキシプロピオン酸エチル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチル、ヒドロキシプロピオン酸メチル、ヒドロキシプロピオン酸エチル、n−ブチルアセテート、イソブチルアセテート、酪酸イソブチル、酪酸n−ブチル、乳酸エチル、シクロヘキサノールアセテートなどのエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノンなどのケトン系溶剤;メトキシエチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、エトキシエチルアセテートなどのグリコールエーテルアセテート系溶剤;メトキシエトキシエチルアセテート、エトキシエトキシエチルアセテート、ブチルカルビトールアセテート(BCA)などのカルビトールアセテート系溶剤;プロピレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート等のジアセテート類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル系溶剤;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン性アミド溶剤;γ−ブチロラクトンなどのラクトン系溶剤;テトラヒドロフランなどの環状エーテル系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレンなどの不飽和炭化水素系溶剤;N−ヘプタン、N−ヘキサン、N−オクタンなどの飽和炭化水素系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類などの有機溶剤が挙げられる。これらの溶剤の中ではグリコールエーテルアセテート系溶剤、カルビトールアセテート系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、エステル系溶剤が他の成分の溶解性の点で好適に用いられる。中でも、本発明に用いる溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ブチルカルビトールアセテート(BCA)、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチル、及び、3−メトキシブチルアセテートよりなる群から選択される1種以上であることが、他の成分の溶解性や塗布適性の点から好ましい。
【0152】
本発明に係るカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物において、溶剤の含有量は、着色層を精度良く形成することができる範囲で適宜設定すればよい。該溶剤を含むカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物の全量に対して、通常、55質量%以上95質量%以下の範囲内であることが好ましく、中でも、65質量%以上88質量%以下の範囲内であることがより好ましい。上記溶剤の含有量が、上記範囲内であることにより、塗布性に優れたものとすることができる。
【0153】
[分散剤]
本発明のカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物において、前記色材は、分散剤により溶剤中に分散させて用いられることが好ましい。本発明において分散剤は、従来公知の分散剤の中から適宜選択して用いることができる。分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤を使用できる。界面活性剤の中でも、均一に、微細に分散し得る点から、高分子分散剤が好ましい。
【0154】
高分子分散剤としては、例えば、ポリアクリル酸エステル等の不飽和カルボン酸エステルの(共)重合体類;ポリアクリル酸等の不飽和カルボン酸の(共)重合体の(部分)アミン塩、(部分)アンモニウム塩や(部分)アルキルアミン塩類;水酸基含有ポリアクリル酸エステル等の水酸基含有不飽和カルボン酸エステルの(共)重合体やそれらの変性物;ポリウレタン類;不飽和ポリアミド類;ポリシロキサン類;長鎖ポリアミノアミドリン酸塩類;ポリエチレンイミン誘導体(ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離カルボキシ基含有ポリエステルとの反応により得られるアミドやそれらの塩基);ポリアリルアミン誘導体(ポリアリルアミンと、遊離のカルボキシ基を有するポリエステル、ポリアミド又はエステルとアミドの共縮合物(ポリエステルアミド)の3種の化合物の中から選ばれる1種以上の化合物とを反応させて得られる反応生成物)等が挙げられる。
高分子分散剤が共重合体の場合、ブロック共重合体、グラフト共重合体又はランダム共重合体のいずれであっても良いが、ブロック共重合体及びグラフト共重合体が、分散性の観点から好ましい。
【0155】
高分子分散剤としては、中でも、前記色材を好適に分散でき、分散安定性が良好である点から、主鎖又は側鎖に窒素原子を含み、アミン価を有する高分子分散剤が好ましく、中でも、3級アミンを有する繰り返し単位を含む重合体からなる高分子分散剤が、分散性が良好で塗膜形成時に異物を析出せず、輝度及びコントラストを向上する点から好ましい。
3級アミンを有する繰り返し単位は、前記色材と親和性を有する部位であり、色材に対する吸着部位として機能する。3級アミンを有する繰り返し単位を含む重合体からなる高分子分散剤は、通常、溶剤と親和性を有する部位となる繰り返し単位を含む。3級アミンを有する繰り返し単位を含む重合体としては、中でも、3級アミンを有する繰り返し単位からなるブロック部と、溶剤親和性を有するブロック部とを有するブロック共重合体であることが、耐熱性に優れ、高輝度となる塗膜を形成可能となる点で好ましい。また、3級アミンを有する繰り返し単位を含む重合体としては、後述するグラフト共重合体も好ましい。
【0156】
3級アミンを有する繰り返し単位は、3級アミンを有していれば良く、ブロック共重合体においては、該3級アミンは、ブロックポリマーの側鎖に含まれていても、主鎖を構成するものであっても良い。
中でも、ブロック共重合体としては、側鎖に3級アミンを有する繰り返し単位を有することが好ましく、中でも、主鎖骨格が熱分解し難く、耐熱性が高い点から、下記一般式(I)で表される構造を有することが、より好ましい。
【0157】
【化22】
(一般式(I)中、R
1は水素原子又はメチル基、A
1は2価の連結基、R
2及びR
3は、それぞれ独立して、水素原子、又はヘテロ原子を含んでもよい炭化水素基を表し、R
2及びR
3が互いに結合して環構造を形成してもよい。)
【0158】
一般式(I)において、A
1は、2価の連結基である。2価の連結基としては、例えば、直鎖、分岐又は環状のアルキレン基、水酸基を有する、直鎖、分岐又は環状のアルキレン基、アリーレン基、−CONH−基、−COO−基、−NHCOO−基、エーテル基(−O−基)、チオエーテル基(−S−基)、及びこれらの組み合わせ等が挙げられる。なお、本発明において、2価の連結基の結合の向きは任意である。すなわち、2価の連結基に−CONH−が含まれる場合、−COが主鎖の炭素原子側で−NHが側鎖の窒素原子側であっても良いし、反対に、−NHが主鎖の炭素原子側で−COが側鎖の窒素原子側であっても良い。
中でも、分散性の点から、一般式(I)におけるA
1は、−CONH−基又は−COO−基を含む2価の連結基であることが好ましく、−CONH−基又は−COO−基と、炭素原子数1〜10のアルキレン基とを含む2価の連結基であることがより好ましい。
【0159】
R
2及びR
3における、ヘテロ原子を含んでもよい炭化水素基における炭化水素基は、例えば、アルキル基、アラルキル基、アリール基などが挙げられる。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、アルキル基の炭素原子数は、1〜18が好ましく、中でも、メチル基又はエチル基であることがより好ましい。
アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ビフェニルメチル基等が挙げられる。アラルキル基の炭素原子数は、7〜20が好ましく、更に7〜14が好ましい。
また、アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基等が挙げられる。アリール基の炭素原子数は、6〜24が好ましく、更に6〜12が好ましい。なお、上記好ましい炭素原子数には、置換基の炭素原子数は含まれない。
ヘテロ原子を含む炭化水素基とは、上記炭化水素基中の炭素原子がヘテロ原子で置き換えられた構造を有するか、上記炭化水素基中の水素原子がヘテロ原子を含む置換基で置き換えられた構造を有する。炭化水素基が含んでいてもよいヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子等が挙げられる。
また、炭化水素基中の水素原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子により置換されていてもよい。
【0160】
R
2とR
3が互いに結合して環構造を形成しているとは、R
2とR
3が窒素原子を介して環構造を形成していることをいう。R
2及びR
3が形成する環構造にヘテロ原子が含まれていても良い。環構造は特に限定されないが、例えば、ピロリジン環、ピペリジン環、モルフォリン環等が挙げられる。
【0161】
本発明においては、中でも、R
2とR
3が各々独立に、水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、フェニル基であるか、又は、R
2とR
3が結合してピロリジン環、ピペリジン環、モルフォリン環を形成していることが好ましい。
【0162】
なお、上記一般式(I)で表される構造としては、下記一般式(I’)で表される構造であってもよい。
【0163】
【化23】
(一般式(I’)中、R
1”は、水素原子又はメチル基、A
1’は、2価の連結基、A
1”は、炭素数1以上8以下のアルキレン基、−[CH(R
A1)−CH(R
A2)−O]
x−CH(R
A1)−CH(R
A2)−又は−[(CH
2)
y−O]
z−(CH
2)
y−で示される2価の有機基、R
2’及びR
3’は、それぞれ独立に、置換されていてもよい鎖状又は環状の炭化水素基を表すか、R
2’及びR
3’が互いに結合して環状構造を形成する。R
A1及びR
A2は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。
xは1以上18以下の整数、yは1以上5以下の整数、zは1以上18以下の整数を示す。)
【0164】
上記一般式(I’)の2価の連結基A
1’としては、例えば、炭素数1以上10以下のアルキレン基、アリーレン基、−CONH−基、−COO−基、炭素数1以上10以下のエーテル基(−R’−OR”−:R’及びR”は、各々独立にアルキレン基)及びこれらの組み合わせ等が挙げられる。中でも、得られたポリマーの耐熱性や溶剤として好適に用いられるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に対する溶解性、また比較的安価な材料である点から、A
1’は、−COO−基又は−CONH−基であることが好ましい。
【0165】
上記一般式(I’)の2価の有機基A
1”は、炭素数1以上8以下のアルキレン基、−[CH(R
A1)−CH(R
A2)−O]
x−CH(R
A1)−CH(R
A2)−又は−[(CH
2)
y−O]
z−(CH
2)
y−である。上記炭素数1以上8以下のアルキレン基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、各種ブチレン基、各種ペンチレン基、各種へキシレン基、各種オクチレン基などである。
R
A1及びR
A2は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。
上記A
1”としては、分散性の点から、炭素数1以上8以下のアルキレン基が好ましく、中でも、A
1”がメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基であることが更に好ましく、メチレン基及びエチレン基がより好ましい。
【0166】
上記一般式(I’)のR
2’、R
3’が互いに結合して形成する環状構造としては、例えば5〜7員環の含窒素複素環単環又はこれらが2個縮合してなる縮合環が挙げられる。該含窒素複素環は芳香性を有さないものが好ましく、飽和環であればより好ましい。
【0167】
上記一般式(I)で表される繰り返し単位を誘導するモノマーとしては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のアルキル基置換アミノ基含有(メタ)アクリレート等、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどのアルキル基置換アミノ基含有(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。中でも分散性、及び分散安定性が向上する点でジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドを好ましく用いることができる。
なお、上記一般式(I)で表される構成単位を含む重合体において、上記一般式(I)で表される構成単位は、1種類からなるものであってもよく、2種以上の構成単位を含むものであってもよい。
【0168】
前記3級アミンを有する繰り返し単位からなるブロック部において、一般式(I)で表される構成単位は、3個以上含まれることが好ましい。中でも、分散性、及び分散安定性を向上する点から、3個以上100個以下含むことが好ましく、3個以上50個以下含むことがより好ましく、更に3個以上30個以下含むことがより好ましい。
【0169】
前記3級アミンを有する繰り返し単位からなるブロック部(以下、Aブロックと記載することがある。)と溶剤親和性を有するブロック部(以下、Bブロックと記載することがある。)を有するブロック共重合体における、溶剤親和性を有するブロック部としては、溶剤親和性を良好にし、分散性を向上する点から、前記一般式(I)で表される構成単位を有さず、前記一般式(I)と共重合可能な構成単位を有する溶剤親和性ブロック部を有する。本発明においてブロック共重合体の各ブロックの配置は特に限定されず、例えば、ABブロック共重合体、ABAブロック共重合体、BABブロック共重合体等とすることができる。中でも、分散性に優れる点で、ABブロック共重合体、又はABAブロック共重合体が好ましい。
前記Bブロックは、国際公開第2016/104493号のBブロックと同様であってよい。
【0170】
溶剤親和性のブロック部を構成する構成単位の数は、色材分散性が向上する範囲で適宜調整すればよい。中でも、溶剤親和性部位と色材親和性部位が効果的に作用し、色材の分散性を向上する点から、溶剤親和性のブロック部を構成する構成単位の数は、10以上200以下であることが好ましく、10以上100以下であることがより好ましく、更に10以上70以下であることがより好ましい。
【0171】
溶剤親和性のブロック部は、溶剤親和性部位として機能するように選択されれば良く、溶剤親和性のブロック部を構成する繰り返し単位は1種からなるものであっても良いし、2種以上の繰り返し単位を含んでいてもよい。
本発明の分散剤として用いられるブロック共重合体において、前記一般式(I)で表される構成単位のユニット数mと、溶剤親和性のブロック部を構成する他の構成単位のユニット数nの比率m/nとしては、0.01以上1以下の範囲内であることが好ましく、0.05以上0.7以下の範囲内であることが、色材の分散性、分散安定性の点からより好ましい。
【0172】
また、中でも、本発明において分散剤は、前記一般式(I’)で表される構造を含みアミン価が40mgKOH/g以上120mgKOH/g以下である重合体が、分散性が良好で塗膜形成時に異物を析出せず、輝度及びコントラストを向上する点から好ましい。また、本発明において分散剤としては、前記一般式(I)で表される構造を含みアミン価が40mgKOH/g以上140mgKOH/g以下である塩を形成していない重合体、及び前記一般式(I)で表される構造を含みアミン価が0mgKOH/g以上130mgKOH/g以下である塩型重合体も、分散性が良好で、輝度及びコントラストを向上する点から好ましい。なお、本発明において、3級アミンを有する繰り返し単位を含む重合体中のアミノ基のうちの少なくとも一部と、有機酸化合物やハロゲン化炭化水素とが塩を形成した重合体を、塩型重合体と称することがある。
アミン価が上記範囲内であることにより、粘度の経時安定性や耐熱性に優れると共に、アルカリ現像性や、溶剤再溶解性にも優れている。分散剤のアミン価が高いと、分散性および分散安定性が向上し、また、溶剤溶解性及び溶剤再溶解性が向上し、他の成分との相溶性が良好になり、着色層の細線パターンの直線性が向上したり、微小孔のビリツキが抑制されやすくなる。
なお、塩型重合体のアミン価は、塩形成前の重合体に比べて塩を形成した分だけ値が小さくなる。しかし、塩形成部位は、アミノ基に相当する末端の窒素部位と同様、又はむしろ強化された色材吸着部位となるため、塩形成によって色材分散性や色材分散安定性が向上する傾向がある。また、塩形成部位は、アミノ基と同様に、多すぎると溶剤再溶解性に悪影響を与える。そのため、塩形成前の重合体のアミン価を、色材分散安定性、及び溶剤再溶解性を良好にするための指標とすることができる。
分散剤として用いられる塩を形成していない重合体のアミン価は、中でも、50mgKOH/g以上であることが好ましく、60mgKOH/g以上であることがより好ましく、80mgKOH/g以上であることが更に好ましく、90mgKOH/g以上であることがより更に好ましい。一方、溶剤再溶解性の点から、分散剤として用いられる塩を形成していない重合体のアミン価は、130mgKOH/g以下であることが好ましく、120mgKOH/g以下であることがより好ましく、110mgKOH/g以下であることが更に好ましく、105mgKOH/g以下であることが特に好ましい。
分散剤として用いられる塩型重合体のアミン価は、中でも、10mgKOH/g以上であることが好ましく、20mgKOH/g以上であることがより好ましく、一方、溶剤再溶解性の点から、120mgKOH/g以下であることが好ましく、110mgKOH/g以下であることがより好ましく、105mgKOH/g以下であることが更に好ましい。
アミン価は、試料1g中に含まれるアミン成分を中和するのに要する過塩素酸と当量の水酸化カリウムのmg数をいい、JIS−K7237:1995に定義された方法により測定することができる。当該方法により測定した場合には、分散剤中の有機酸化合物と塩形成しているアミノ基であっても、通常、当該有機酸化合物が解離するため、分散剤として用いられるブロック共重合体そのもののアミン価を測定することができる。
【0173】
なお、塩型重合体のうち、後述する一般式(VI)で表される化合物により塩形成されている塩型グラフト共重合体のアミン価は、JIS K 7237:1995に記載の方法により測定される値とすることができる。一般式(VI)の化合物は、一般式(I)で表される構成単位が有する末端の窒素部位とハロゲン原子側炭化水素が塩を形成するため、当該測定方法によっても塩形成の状態に変化をきたさず、アミン価を測定可能だからである。
一方で、塩型重合体のうち、後述する一般式(V)又は(VII)で表される化合物により塩形成されている塩型グラフト共重合体のアミン価は、塩形成前の重合体のアミン価から、下記のように算出することにより求められる。一般式(V)又は(VII)で表される化合物は、一般式(I)で表される構成単位が有する末端の窒素部位と酸性基が塩を形成するため、このような塩型グラフト共重合体のアミン価を前記JIS K 7237:1995に記載の方法により測定すると、塩形成の状態に変化をきたし、正確な値を測定することができないからである。
まず、前述の方法により、塩形成前の重合体のアミン価を求める。次に、塩型重合体の13C−NMRスペクトルを核磁気共鳴装置を用いて測定し、得られたスペクトルデータのうち、前記一般式(I)で表される構成単位が有する末端の窒素部位において、塩形成されていない窒素原子に隣接する炭素原子ピークと、塩形成されている窒素原子に隣接する炭素原子ピークの積分値の比率より、塩型重合体の、一般式(I)で表される構成単位が有する末端の窒素部位に対する、一般式(V)又は(VII)よりなる群から選択される1種以上の化合物の反応率(塩形成されている末端の窒素部位比率)を測定する。一般式(V)又は(VII)よりなる群から選択される1種以上の化合物が塩形成した一般式(I)で表される構成単位が有する末端の窒素部位は、アミン価が0になったとして、(JIS K 7237:1995に記載の方法により測定される塩形成前重合体のアミン価)×(13C−NMRスペクトルより算出される塩形成されている末端の窒素部位比率(%)/100)により算出される、塩形成により消費したアミン価を、塩形成前の重合体のアミン価から差し引くことにより求められる。
塩型重合体のアミン価={JIS K 7237:1995に記載の方法により測定される塩形成前重合体のアミン価}−{JIS K 7237:1995に記載の方法により測定される塩形成前重合体のアミン価}×{13C−NMRスペクトルより算出される塩形成されている末端の窒素部位比率(%)/100}
【0174】
本発明に用いられる分散剤の酸価は、現像密着性及び溶剤再溶解性を向上する点からは1mgKOH/g未満であってもよいが、現像残渣の抑制効果の点からは、下限としては、1mgKOH/g以上であることが好ましい。中でも、現像残渣の抑制効果がより優れる点から、分散剤の酸価は2mgKOH/g以上であることがより好ましい。また、本発明に用いられる分散剤の酸価は、現像密着性の悪化や溶剤再溶解性の悪化を防止でき、着色層の細線パターンの直線性が向上したり、微小孔のビリツキが抑制されやすくなる点から、分散剤の酸価の上限としては、18mgKOH/g以下であることが好ましい。中でも、現像密着性、及び溶剤再溶解性が良好になる点から、分散剤の酸価は、16mgKOH/g以下であることがより好ましく、14mgKOH/g以下であることがさらにより好ましく、12mgKOH/g以下であることが特に好ましい。
塩型ブロック共重合体又は塩型グラフト共重合体においては、塩形成前の酸価は、現像密着性及び溶剤再溶解性を向上する点からは1mgKOH/g未満であってもよいが、1mgKOH/g以上であることが好ましく、2mgKOH/g以上であることがさらに好ましい。現像残渣の抑制効果が向上するからである。また、塩形成前の酸価の上限としては18mgKOH/g以下であることが好ましいが、16mgKOH/g以下であることがより好ましく、14mgKOH/g以下であることがさらにより好ましく、12mgKOH/g以下であることが特に好ましい。現像密着性、及び溶剤再溶解性が良好になるからである。
酸価は、試料1g中に含まれる酸性成分を中和するために要する水酸化カリウムの質量(mg)を表し、JIS K 0070:1992に記載の方法により測定される値である。
【0175】
また、本発明において、分散剤の水酸基価は、溶剤再溶解性の点からは、120mgKOH/g以下であることが好ましく、60mgKOH/g以下であることがより好ましく、30mgKOH/g以下であることがより更に好ましく、0mgKOH/gであることが好ましい。
一方、分散剤の水酸基価は、現像性の点から、5mgKOH/g以上であることが好ましく、15mgKOH/g以上であることがより好ましい。
なお、本発明において水酸基価は固形分1gから得られるアセチル化物に結合している酢酸を中和するのに必要なKOHの質量(mg)を表し、JIS K 0070:1992に準じ、電位差滴定法によって求めた値をいう。
【0176】
また、本発明において、分散剤のガラス転移温度は、現像密着性が向上する点から、30℃以上であることが好ましい。すなわち、分散剤が、塩形成前ブロック共重合体であっても、塩型ブロック共重合体であっても、そのガラス転移温度は、30℃以上であることが好ましい。分散剤のガラス転移温度が低いと、特に現像液温度(通常23℃程度)に近接し、現像密着性が低下する恐れがある。これは、当該ガラス転移温度が現像液温度に近接すると、現像時に分散剤の運動が大きくなり、その結果、現像密着性が悪化するからと推定される。ガラス転移温度が30℃以上であることによって、現像時の分散剤の分子運動が抑制されることから、現像密着性の低下が抑制されると推定される。
分散剤のガラス転移温度は、現像密着性の点から中でも32℃以上が好ましく、35℃以上がより好ましい。一方、精秤が容易など、使用時の操作性の観点から、200℃以下であることが好ましい。
本発明における分散剤のガラス転移温度は、JIS K7121に準拠し、示差走査熱量測定(DSC)により測定することにより求めることができる。
また、ブロック部及びブロック共重合体のガラス転移温度(Tg)は下記式で計算することができる。
1/Tg=Σ(Xi/Tgi)
ここでは、ブロック部はi=1からnまでのn個のモノマー成分が共重合しているとする。Xiはi番目のモノマーの重量分率(ΣXi=1)、Tgiはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。ただしΣはi=1からnまでの和をとる。なお、各モノマーの単独重合体ガラス転移温度の値(Tgi)は、Polymer Handbook (3rd Edition) (J.Brandrup, E.H.Immergut著 (Wiley-Interscience、1989))の値を採用することができる。
【0177】
色材濃度を高め、分散剤含有量が増加すると、相対的にバインダー量が減少することから、着色樹脂層が現像時に下地基板から剥離し易くなる。分散剤であるブロック共重合体においては、カルボキシ基含有モノマー由来の構成単位を含むBブロックを含み、前記特定の酸価及びガラス転移温度を有することにより、現像密着性が向上する。酸価が高すぎると、現像性に優れるものの、極性が高すぎて却って現像時に剥離が生じ易くなると推定される。
【0178】
本発明に用いる分散剤としては、前記一般式(I’)で表される構造を含みアミン価が40mgKOH/g以上120mgKOH/g以下である重合体であって、且つ、酸価が1mgKOH/g以上18mgKOH/g以下で、ガラス転移温度が30℃以上である分散剤が、色材分散安定性に優れてコントラストを向上し、前記一般式(1)で表される化合物を含む着色樹脂組成物とした際に、現像残渣の発生が抑制されながら、溶剤再溶解性に優れ、更に、高い現像密着性を有する点、更には、形状に優れた微小孔を形成し易く、微小孔のビリツキや現像残渣が抑制されやすくなる点から、から好ましい。
また、本発明に用いる分散剤としては、前記一般式(I)で表される構造を含みアミン価が40mgKOH/g以上140mgKOH/g以下である塩を形成していない重合体であって、且つ、酸価が1mgKOH/g以上18mgKOH/g以下である分散剤、及び前記一般式(I)で表される構造を含みアミン価が0mgKOH/g以上130mgKOH/g以下である塩型重合体であって、且つ、酸価が1mgKOH/g以上18mgKOH/g以下である分散剤も、色材分散安定性に優れてコントラストを向上し、前記一般式(1)で表される化合物を含む着色樹脂組成物とした際に、現像残渣の発生が抑制されながら、溶剤再溶解性に優れる点から好ましい。
【0179】
前記カルボキシ基含有モノマーとしては、一般式(I)で表される構成単位を有するモノマーと共重合可能で、不飽和二重結合とカルボキシ基を含有するモノマーを用いることができる。このようなモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、アクリル酸ダイマーなどが挙げられる。また、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基を有する単量体と無水マレイン酸や無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物のような環状無水物との付加反応物、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートなども利用できる。また、カルボキシ基の前駆体として無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などの酸無水物基含有モノマーを用いてもよい。中でも、共重合性やコスト、溶解性、ガラス転移温度などの点から(メタ)アクリル酸が特に好ましい。
【0180】
塩形成前のブロック共重合体中、カルボキシ基含有モノマー由来の構成単位の含有割合は、ブロック共重合体の酸価が前記特定の酸価の範囲内になるように適宜設定すればよく、特に限定されないが、ブロック共重合体の全構成単位の合計質量に対して、0.05質量%以上4.5質量%以下であることが好ましく、0.07質量%以上3.7質量%以下であることがより好ましい。
カルボキシ基含有モノマー由来の構成単位の含有割合が、前記下限値以上であることより、現像残渣の抑制効果が発現され、前記上限値以下であることより現像密着性の悪化や溶剤再溶解性の悪化を防止できる。
なお、カルボキシ基含有モノマー由来の構成単位は、上記特定の酸価となればよく、1種からなるものであっても良いし、2種以上の構成単位を含んでいてもよい。
【0181】
また、本発明に用いられる分散剤のガラス転移温度を特定の値以上とし、現像密着性が向上する点から、モノマーの単独重合体のガラス転移温度の値(Tgi)が10℃以上であるモノマーを、合計でBブロック中に75質量%以上とすることが好ましく、更に85質量%以上とすることが好ましい。
【0182】
前記ブロック共重合体において、前記Aブロックの構成単位のユニット数mと、前記Bブロックの構成単位のユニット数nの比率m/nとしては、0.05以上1.5以下の範囲内であることが好ましく、0.1以上1.0以下の範囲内であることが、色材の分散性、分散安定性の点からより好ましい。
【0183】
前記ブロック共重合体の重量平均分子量Mwは、特に限定されないが、色材分散性及び分散安定性を良好なものとする点から、1000以上20000以下であることが好ましく、2000以上15000以下であることがより好ましく、更に3000以上12000以下であることがより好ましい。
ここで、重量平均分子量は(Mw)、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレン換算値として求める。なお、ブロック共重合体の原料となるマクロモノマーや塩型ブロック共重合体、グラフト共重合体についても、上記条件で行う。
【0184】
このような3級アミンを有する繰り返し単位からなるブロック部と溶剤親和性を有するブロック部とを有するブロック共重合体の具体例としては、例えば、特許第4911253号公報に記載のブロック共重合体を好適なものとして挙げることができる。
【0185】
上記3級アミンを有する繰り返し単位を含む重合体を分散剤として用いて、前記色材を分散する場合には、色材100質量部に対して、当該3級アミンを有する繰り返し単位を含む重合体の含有量が15質量部以上300質量部以下であることが好ましく、20質量部以上250質量部以下であることがより好ましい。上記範囲内であれば分散性及び分散安定性に優れ、コントラストを向上する効果が高くなる。
【0186】
本発明においては、色材の分散性や分散安定性の点から、前記3級アミンを有する繰り返し単位を含む重合体中のアミノ基のうちの少なくとも一部と、有機酸化合物やハロゲン化炭化水素とが塩を形成した塩型重合体を分散剤として用いても好ましい。
中でも、3級アミンを有する繰り返し単位を含む重合体がブロック共重合体であって、前記有機酸化合物がフェニルホスホン酸やフェニルホスフィン酸等の酸性有機リン化合物であることが、色材の分散性及び分散安定性に優れる点から好ましい。このような分散剤に用いられる有機酸化合物の具体例としては、例えば、特開2012−236882号公報等に記載の有機酸化合物が好適なものとして挙げられる。
また、前記ハロゲン化炭化水素としては、臭化アリル、塩化ベンジル等のハロゲン化アリル及びハロゲン化アラルキルの少なくとも1種であることが、色材の分散性及び分散安定性に優れる点から好ましい。
【0187】
また、高分子分散剤としては、現像残渣の発生を抑制でき、更に、カラーフィルタの配向膜作製に溶剤として用いられるN−メチルピロリドン(NMP)に対する耐性(耐NMP性)を向上できる点から、前記一般式(I)で表される構成単位と下記一般式(II)で表される構成単位とを有するグラフト共重合体、並びに、当該グラフト共重合体の当該一般式(I)で表される構成単位が有する窒素部位の少なくとも一部と有機酸化合物及びハロゲン化炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも1種とが塩を形成した塩型グラフト共重合体の少なくとも1種も好ましい。
【0188】
【化24】
(一般式(II)中、R
1’は水素原子又はメチル基、A
2は直接結合又は2価の連結基、Polymerはポリマー鎖を表し、当該ポリマー鎖の構成単位には、下記一般式(III)で表される構成単位及び下記一般式(III’)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種の構成単位が含まれる。)
【0189】
【化25】
(一般式(III)中、R
4は水素原子又はメチル基、A
3は2価の連結基、R
5はエチレン基又はプロピレン基、R
6は、水素原子、又は炭化水素基であり、sは3以上80以下の数を表す。
一般式(III’)中、R
4’は水素原子又はメチル基、A
3’は2価の連結基、R
7は炭素数が1〜10のアルキレン基、R
8は炭素数が3〜7のアルキレン基、R
9は、水素原子、又は炭化水素基であり、tは1以上40以下の数を表す。)
【0190】
前記特定のグラフト共重合体は、グラフトしているポリマー鎖の構成単位に、ポリエチレンオキシド鎖、ポリプロピレンオキシド鎖又はエステル鎖を有する構成単位が含まれる。前記特定のグラフト共重合体は、グラフトしている複数のポリマー鎖が分散剤の溶剤親和性部となるため、分散剤の溶剤親和性部の比表面積が大きくなることから、溶剤の塗膜への侵入や色材への到達を抑制することができると推定される。前記特定のグラフト共重合体は、グラフトしているポリマー鎖の構成単位に、ポリエチレンオキシド鎖、ポリプロピレンオキシド鎖又はエステル鎖を有する構成単位が含まれることにより、これらの構成単位に含まれる酸素原子が感光性着色樹脂組成物中に含まれるアルカリ可溶性樹脂のカルボキシル基等の酸性基と、水素結合によって相互作用することによって、溶剤(NMP)の硬化塗膜内への侵入を、より抑制することができると推定される。更に、本発明の感光性着色樹脂組成物は、光開始剤として含有する前記一般式(1)で表される化合物の露光前乾燥時における昇華が抑制されることにより、本発明の感光性着色樹脂組成物の乾燥塗膜においては、残留した前記一般式(1)で表される化合物と前記特定のグラフト共重合体により高性能に分散された色材を含み、緻密な塗膜が形成されると予想される。これらの相乗効果により、前記特定のグラフト共重合体と、光開始剤としての前記一般式(1)で表される化合物とを組み合わせて含む本発明の感光性着色樹脂組成物の硬化物は、カラーフィルタの配向膜作製に溶剤として用いられるN−メチルピロリドン(NMP)に対する耐性(耐NMP性)を向上することができると推定される。
更に、本発明の感光性着色樹脂組成物は、前記特定のグラフト共重合体を含有することにより、現像残渣の発生が抑制される。前記特定のグラフト共重合体は、ポリエチレンオキシド鎖、ポリプロピレンオキシド鎖又はエステル鎖に含まれる酸素原子が、感光性樹脂組成物中に含まれるアルカリ可溶性樹脂のカルボキシ基等のOHやCHと、水素結合によって相互作用することによって、現像時にアルカリ可溶性樹脂のみが溶解し、色材と分散剤が残渣として残りにくいと考えられる。一方で、ポリエチレンオキシド鎖、ポリプロピレンオキシド鎖又はエステル鎖の繰り返し単位数が大きくなりすぎると、却って、現像残渣抑制効果は向上しにくい。これは、ポリエチレンオキシド鎖、ポリプロピレンオキシド鎖又はエステル鎖の繰り返し単位数が大きくなりすぎると、アルカリ現像液との親和力が、色材吸着力より過剰に大きくなり、グラフト共重合体のみがアルカリ現像液に溶解し、色材が基板上に取り残されるためではないかと推定される。
【0191】
グラフト共重合体の主鎖を構成する前記一般式(I)で表される構成単位は、塩基性を有し、色材に対する吸着部位として機能する。
グラフト共重合体の主鎖を構成する前記一般式(I)で表される構成単位については、前記ブロック共重合体における前記一般式(I)で表される構成単位と同様であるので、ここでは省略する。
なお、グラフト共重合体において、一般式(I)で表される構成単位は、1種類からなるものであってもよく、2種以上の構成単位を含むものであってもよい。
【0192】
(一般式(II)で表される構成単位)
前記グラフト共重合体は、特定のポリマー鎖を有する前記一般式(II)で表される構成単位を有することにより、溶剤親和性が良好になり、色材の分散性及び分散安定性が良好なものとなる。また、前記グラフト共重合体は、前記一般式(II)で表される構成単位に前記一般式(III)で表される構成単位及び前記一般式(III’)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種の構成単位が含まれることから、前述のように、感光性樹脂組成物の現像時間の短縮化、及び感光性着色樹脂組成物の硬化物の耐溶剤性が良好になる。
【0193】
前記一般式(II)において、A
2は、直接結合又は2価の連結基である。A
2における2価の連結基としては、エチレン性不飽和二重結合由来の炭素原子とポリマー鎖を連結可能であれば、特に制限はない。A
2における2価の連結基としては、例えば、前記A
1における2価の連結基と同様のものが挙げられる。
中でも、分散性の点から、一般式(II)におけるA
2は、−CONH−基又は−COO−基を含む2価の連結基であることが好ましく、−CONH−基又は−COO−基と、炭素原子数1〜10のアルキレン基とを含む2価の連結基であることがより好ましい。
【0194】
前記一般式(II)において、Polymerは、ポリマー鎖を表し、当該ポリマー鎖の構成単位には前記一般式(III)で表される構成単位及び前記一般式(III’)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種の構成単位が含まれる。
前記一般式(III)中、R
4は水素原子又はメチル基、A
3は2価の連結基、R
5はエチレン基又はプロピレン基、R
6は、水素原子、又は炭化水素基であり、sは3以上80以下の数を表す。
【0195】
A
3の2価の連結基としては、例えば、前記A
1における2価の連結基と同様のものが挙げられる。中でも、カラーフィルタ用途に使用される有機溶剤への溶解性の点から、一般式(III)におけるA
3は、−CONH−基又は−COO−基を含む2価の連結基であることが好ましく、−CONH−基又は−COO−基であることがより好ましい。
【0196】
前記sは、エチレンオキシド鎖又はプロピレンオキシド鎖の繰り返し単位数を表し、3以上の数を表すが、中でも水染み発生抑制の点から、19以上であることが好ましく、21以上であることがより好ましい。感光性樹脂組成物の硬化膜の水染みの原因としては、硬化膜内への吸水が挙げられる。硬化膜中のアルカリ可溶性樹脂はカルボキシ基等の酸性基を有しているため吸水しやすい。また、当該酸性基が、現像時にアルカリ現像液に典型的に含まれるアルカリ金属と金属塩を形成することにより吸水性がより高まると考えられる。ポリエチレンオキシド鎖又はポリプロピレンオキシド鎖に含まれる酸素原子は、アルカリ金属などの金属と錯生成することで捕捉可能である。ポリエチレンオキシド鎖又はポリプロピレンオキシド鎖の繰り返し単位数が大きくなるにつれて、錯生成定数は増加し、金属分子の捕捉能が増加するため、アルカリ可溶性樹脂のアルカリ金属塩形成を抑制し、硬化膜内への吸水が抑制できると推測される。また、ポリエチレンオキシド鎖又はポリプロピレンオキシド鎖に含まれる酸素原子は、感光性樹脂組成物中に含まれるアルカリ可溶性樹脂のカルボキシ基等の酸性基と、水素結合によって相互作用することによって、酸性基のアルカリ金属塩形成を抑制し、硬化膜内への吸水が抑制できると推測される。
前記sが19以上の場合には、
図4に示されるように、前記グラフト共重合体110は、一般式(I)で表される構成単位111と一般式(II)で表される構成単位112とを有する主鎖部分113を含有し、前記一般式(I)で表される構成単位111が有する窒素部位の少なくとも一部と有機酸化合物及びハロゲン化炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも1種114とが塩を形成していても良く、前記一般式(II)で表される構成単位112はポリマー鎖115において、特定の繰り返し数を有するポリエチレンオキシド鎖又はポリプロピレンオキシド鎖117を含む一般式(III)で表される構成単位116が含まれる。本発明に用いられる特定のグラフト共重合体においては、このようにグラフトしているポリマー鎖115の構成単位に、特定の繰り返し数を有するポリエチレンオキシド鎖又はポリプロピレンオキシド鎖を有する構成単位116が含まれ、グラフトしているポリマー鎖115自体が枝分かれ構造を有する。その結果、分散剤の金属捕捉部の比表面積が大きくなることと相俟って、ポリエチレンオキシド鎖又はポリプロピレンオキシド鎖に含まれる酸素原子による金属捕捉の作用が顕著になり、吸水抑制効果が向上し、吸水による水染み発生が抑制できると推定される。これらの硬化膜内への吸水抑制作用によって、吸水による水染みの発生を抑制できると推測される。
一方、sの上限値は80以下であるが、カラーフィルタ用途に使用される有機溶剤への溶解性の点から、50以下であることが好ましい。
【0197】
R
6における炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アリール基、及び、アラルキル基やアルキル置換アリール基等のこれらの組み合わせが挙げられる。
前記炭素数1〜18のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−ノニル基、n−ラウリル基、n−ステアリル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ボルニル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、アダマンチル基、低級アルキル基置換アダマンチル基などを挙げることができる。アルキル基の炭素数は、1〜12が好ましく、更に1〜6が好ましい。
前記炭素数2〜18のアルケニル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。このようなアルケニル基としては、例えばビニル基、アリル基、プロペニル基などを挙げることができる。アルケニル基の二重結合の位置には限定はないが、得られたポリマーの反応性の点からは、アルケニル基の末端に二重結合があることが好ましい。アルケニル基の炭素数は、2〜12が好ましく、更に2〜8が好ましい。
アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基等が挙げられる。アリール基の炭素数は、6〜24が好ましく、更に6〜12が好ましい。
また、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ビフェニルメチル基等が挙げられ、更に置換基を有していてもよい。アラルキル基の炭素数は、7〜20が好ましく、更に7〜14が好ましい。
また、前記アリール基やアラルキル基等の芳香環には、置換基として炭素数1〜30の直鎖状、分岐状のアルキル基が結合していても良い。
【0198】
R
6における炭化水素基としては、中でも、分散安定性の点から、炭素数1〜18のアルキル基、アルキル基が置換されていても良い炭素数6〜12のアリール基、及び、アルキル基が置換されていても良い炭素数7〜14のアラルキル基からなる群から選択される1種以上であることが好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−ノニル基、n−ラウリル基、n−ステアリル基、アルキル基が置換されていても良いフェニル基及びベンジル基からなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
【0199】
また、前記一般式(III’)中、A
3’の2価の連結基としては、例えば、前記A
1における2価の連結基と同様のものが挙げられる。中でも、カラーフィルタ用途に使用される有機溶剤への溶解性の点から、一般式(III’)におけるA
3’は、−CONH−基又は−COO−基を含む2価の連結基であることが好ましく、−CONH−基又は−COO−基であることがより好ましい。
前記一般式(III’)において、R
7は炭素数が1〜10のアルキレン基であるが、中でも炭素数が2〜8のアルキレン基であることが、溶剤再溶解性の点から好ましい。
R
8は炭素数が3〜7のアルキレン基であるが、中でも炭素数が3〜5のアルキレン基、更に炭素数が5のアルキレン基であることが基材密着性の点から好ましい。
R
9は、水素原子、又は炭化水素基であり、前記R
9における炭化水素基としては、前記R
6における炭化水素基と同様であって良い。
【0200】
前記一般式(III’)における前記tはエステル鎖の繰り返し単位数を表し、1以上の数を表すが、中でも現像時間の短縮化、及び優れた耐溶剤性を同時に満たす点から、2以上であることが好ましく、更に3以上であることが好ましい。
一方、tの上限値は40以下であるが、カラーフィルタ用途に使用される有機溶剤への溶解性の点から、20以下であることが好ましい。
【0201】
前記ポリマー鎖において、前記一般式(III)で表される構成単位及び下記一般式(III’)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種の構成単位は、1種単独でも良いが、2種以上混合されていても良い。
前記ポリマー鎖において、前記一般式(III)で表される構成単位が含まれることが、酸素原子による溶剤親和性部の作用がより顕著になる点から好ましい。
【0202】
中でも、本発明の感光性着色樹脂組成物の耐NMP性及び現像残渣抑制効果を向上する点から、前記一般式(II)で表される構成単位中のポリマー鎖の構成単位に、sが19以上80以下の前記一般式(III)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種と、sが3以上10以下の前記一般式(III)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種とを組み合わせて含有することがより好ましく、sが19以上50以下の前記一般式(III)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種と、sが3以上8以下の前記一般式(III)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種とを組み合わせて含有することがよりさらに好ましい。
【0203】
前記一般式(II)で表される構成単位中のポリマー鎖の構成単位に、sが19以上80以下の前記一般式(III)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種を含有する場合、sが19以上80以下の前記一般式(III)で表される構成単位の合計割合は、前記ポリマー鎖の全構成単位を100質量%とした時に、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、4質量%以上であることがより更に好ましく、一方で、75質量%以下であることが好ましく、65質量%以下であることがより好ましく、50質量%以下であることがより更に好ましい。sが19以上80以下の前記一般式(III)で表される構成単位の合計割合が前記範囲内であると、本発明の感光性着色樹脂組成物の耐NMP性及び現像残渣抑制効果が向上しやすい。
【0204】
前記一般式(II)で表される構成単位中のポリマー鎖の構成単位に、sが19以上80以下の前記一般式(III)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種と、sが3以上10以下の前記一般式(III)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種とを組み合わせて含有する場合、sが3以上10以下の前記一般式(III)で表される構成単位の合計割合は、前記ポリマー鎖の全構成単位を100質量%とした時に、20質量%以上であることが好ましい。一方で、溶剤再溶解性の点から、前記ポリマー鎖において、sが3以上10以下の前記一般式(III)で表される構成単位の合計割合は、当該ポリマー鎖の全構成単位を100質量%とした時に、80質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましい。
また、前記ポリマー鎖において、sが19以上80以下の前記一般式(III)で表される構成単位と、sが3以上10以下の前記一般式(III)で表される構成単位との混合割合は、現像残渣抑制効果向上の点から、sが19以上80以下の前記一般式(III)で表される構成単位と、sが3以上10以下の前記一般式(III)で表される構成単位との合計を100質量部とした時に、sが19以上80以下の前記一般式(III)で表される構成単位の合計が3質量部以上であることが好ましく、6質量部以上であることがより好ましく、80質量部以下であることが好ましく、60質量部以下であることがより好ましい。
【0205】
分散安定性、高コントラスト化、現像時間の短縮化、及び優れた耐溶剤性を同時に満たす点から、前記ポリマー鎖の全構成単位を100質量%とした時に、前記一般式(III)で表される構成単位及び前記一般式(III’)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種の構成単位の合計割合は、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、4質量%以上であることがより更に好ましい。前記一般式(III)で表される構成単位及び前記一般式(III’)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種の構成単位の合計割合は、溶剤再溶解性の点から、前記ポリマー鎖の全構成単位を100質量%とした時に、80質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましく、60質量%以下であることがより更に好ましい。
【0206】
前記グラフト共重合体の前記一般式(II)で表される構成単位中のポリマー鎖の構成単位には、更に、前記一般式(III)で表される構成単位及び前記一般式(III’)で表される構成単位とは異なる下記一般式(IV)で表される構成単位とが含まれることが、色材の分散性及び分散安定性の点から好ましい。
【0207】
【化26】
(一般式(IV)中、R
4”は水素原子又はメチル基、A
4は2価の連結基、R
10は、水素原子、又はヘテロ原子を含んでもよい炭化水素基である。)
【0208】
A
4の2価の連結基としては、例えば、前記A
1における2価の連結基と同様のものが挙げられる。中でも、カラーフィルタ用途に使用される有機溶剤への溶解性の点から、一般式(IV)におけるA
4は、−CONH−基又は−COO−基を含む2価の連結基であることが好ましく、−CONH−基又は−COO−基であることがより好ましい。
【0209】
R
10における、ヘテロ原子を含んでもよい炭化水素基における炭化水素基は、例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、及びアラルキル基やアルキル置換アリール基等のこれらの組み合わせが挙げられる。R
10における、ヘテロ原子を含んでもよい炭化水素基における炭化水素基としては、前記R
6における炭化水素基と同様のものが挙げられる。
【0210】
炭化水素基が含んでいてもよいヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子等が挙げられる。ヘテロ原子を含んでもよい炭化水素基としては、例えば、炭化水素基の炭素鎖中に、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−、−S−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−OCO−NH−、−NH−COO−、−NH−CO−NH−、−NH−O−、−O−NH−等の連結基が含まれる構造が挙げられる。
また、当該炭化水素基は、前記グラフト共重合体の分散性能等を妨げない範囲で、置換基を有しても良く、置換基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、エポキシ基、イソシアネート基、チオール基等が挙げられる。
【0211】
また、R
10におけるヘテロ原子を含んでもよい炭化水素基としては、炭化水素基においてヘテロ原子を含む連結基を介して末端にアルケニル基等の重合性基が付加された構造であっても良い。例えば、一般式(IV)で表される構成単位が(メタ)アクリル酸由来の構成単位にグリシジル(メタ)アクリレートを反応させたような構造であっても良い。すなわち、一般式(IV)における−A
4−R
10の構造が、−COO−CH
2CH(OH)CH
2−OCO−CR=CH
2(ここで、Rは水素原子又はメチル基)で示される構造であっても良い。また、一般式(IV)で表される構成単位がヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位に2−イソシアナトアルキル(メタ)アクリレートを反応させたような構造であっても良い。すなわち、一般式(IV)におけるR
10が、−R’−OCONH−R”−OCO−CR=CH
2(ここで、R’及びR”はそれぞれ独立にアルキレン基、Rは水素原子又はメチル基)で示される構造であっても良い。
【0212】
一般式(IV)で表される構成単位を誘導するモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、2−メタクリロイルオキシエチルサクシネート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、エチレンオキシド鎖の繰り返し単位数が19未満のメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート及びポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート等由来の構成単位を有するものが好ましい。しかしながら、これらに限定されるものではない。
【0213】
本発明において、前記R
10としては、中でも、後述する有機溶剤との溶解性に優れたものを用いることが好ましく、色材分散液に使用する有機溶剤に合わせて適宜選択されれば良い。具体的には、例えば前記有機溶剤が、色材分散液の有機溶剤として一般的に使用されているエーテルアルコールアセテート系、エーテル系、エステル系、アルコール系などの有機溶剤を用いる場合には、メチル基、エチル基、イソブチル基、n−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ベンジル基、シクロヘキシル基、ジシクロペンタニル基、ヒドロキシエチル基、フェノキシエチル基、アダマンチル基、メトキシポリエチレングリコール基、メトキシポリプロピレングリコール基、ポリエチレングリコール基等が好ましい。
【0214】
前記ポリマー鎖において、前記一般式(IV)で表される構成単位は、1種単独でも良いが、2種以上混合されていても良い。
色材の分散性及び分散安定性の点から、前記ポリマー鎖において、前記一般式(IV)で表される構成単位の合計割合は、当該ポリマー鎖の全構成単位を100質量%とした時に、25質量%以上であることが好ましく、35質量%以上であることがより好ましい。一方で、分散安定性、高コントラスト化、現像時間の短縮化、及び優れた耐溶剤性を同時に満たす点から、前記ポリマー鎖において、前記一般式(IV)で表される構成単位の合計割合は、当該ポリマー鎖の全構成単位を100質量%とした時に、99質量%以下であることが好ましく、98質量%以下であることがより好ましい。
【0215】
前記グラフト共重合体の前記一般式(II)で表される構成単位中のポリマー鎖の構成単位には、前記一般式(III)で表される構成単位、前記一般式(III’)で表される構成単位、前記一般式(IV)で表される構成単位の他に、その他の構成単位を含んでいても良い。
その他の構成単位としては、前記一般式(III)で表される構成単位を誘導するモノマーや前記一般式(III’)で表される構成単位を誘導するモノマーや前記一般式(IV)で表される構成単位を誘導するモノマーと共重合可能な不飽和二重結合を有する単量体由来の構成単位を挙げることができる。
その他の構成単位を誘導するモノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類等が挙げられる。
【0216】
前記グラフト共重合体の前記一般式(II)で表される構成単位中のポリマー鎖において、その他の構成単位の合計割合は、本発明の効果の点から、当該ポリマー鎖の全構成単位を100質量%とした時に、30質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
【0217】
Polymerにおけるポリマー鎖の重量平均分子量Mwは、色材の分散性及び分散安定性の点から、2000以上であることが好ましく、3000以上であることがより好ましく、4000以上であることがより更に好ましく、15000以下であることがより好ましく、12000以下であることがより更に好ましい。
前記範囲であることにより、分散剤としての十分な立体反発効果を保持できるとともに、分散剤の溶剤親和性部の比表面積が大きくなることによる、ポリエチレンオキシド鎖、ポリプロピレンオキシド鎖、又はエステル鎖に含まれる酸素原子による相互作用が顕著になり、現像残渣抑制効果の向上、現像時間の短縮化、耐溶剤性の向上の作用を良好にすることができる。
【0218】
また、Polymerにおけるポリマー鎖は、目安として、組み合わせて用いられる有機溶剤に対して、23℃における溶解度が20(g/100g溶剤)以上であることが好ましい。
当該ポリマー鎖の溶解性は、グラフト共重合体を調製する際のポリマー鎖を導入する原料が前記溶解度を有することを目安にすることができる。例えば、グラフト共重合体にポリマー鎖を導入するために、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含む重合性オリゴマー(マクロモノマー)を用いる場合、当該重合性オリゴマーが前記溶解度を有すれば良い。また、エチレン性不飽和二重結合を有する基を含むモノマーにより共重合体が形成された後に、共重合体中に含まれる反応性基と反応可能な反応性基を含むポリマー鎖を用いて、ポリマー鎖を導入する場合、当該反応性基を含むポリマー鎖が前記溶解度を有すれば良い。
【0219】
前記グラフト共重合体において、前記一般式(I)で表される構成単位は、3〜60質量%の割合で含まれていることが好ましく、6〜45質量%がより好ましく、9〜30質量%がさらに好ましい。グラフト共重合体中の一般式(I)で表される構成単位が前記範囲内にあれば、グラフト共重合体中の色材との親和性部の割合が適切になり、かつ有機溶剤に対する溶解性の低下を抑制できるので、色材に対する吸着性が良好となり、優れた分散性、及び分散安定性が得られる。
一方、前記グラフト共重合体において、前記一般式(II)で表される構成単位は、40〜97質量%の割合で含まれていることが好ましく、55〜94質量%がより好ましく、70〜91質量%がさらに好ましい。グラフト共重合体中の一般式(II)で表される構成単位が前記範囲内にあれば、グラフト共重合体中の溶剤親和性部の割合が適切になって、分散剤としての十分な立体反発効果を保持できるとともに、分散剤の溶剤親和性部の比表面積が大きくなることによる、ポリエチレンオキシド鎖、ポリプロピレンオキシド鎖、又はエステル鎖に含まれる酸素原子による相互作用が顕著になり、現像時間の短縮化、耐溶剤性の向上の作用を良好にすることができる。
【0220】
本発明に用いられる前記グラフト共重合体は、本発明の効果が損なわれない範囲内で、前記一般式(I)で表される構成単位及び前記一般式(II)で表される構成単位以外に、更に他の構成単位を有していても良い。他の構成単位としては、前記一般式(I)で表される構成単位を誘導するエチレン性不飽和二重結合含有モノマー等と共重合可能な、エチレン性不飽和二重結合含有モノマーを適宜選択して共重合し、他の構成単位を導入することができる。
前記一般式(I)で表される構成単位と共重合されている他の構成単位としては、例えば、前記一般式(IV)で表される構成単位や、前記一般式(II)で表される構成単位のポリマー鎖の構成単位に、前記一般式(III)で表される構成単位及び前記一般式(III’)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種の構成単位が含まれず、前記一般式(IV)で表される構成単位が含まれるような、前記一般式(II)で表される構成単位とは異なるポリマー鎖を有する構成単位等が挙げられる。
なお、前記構成単位の含有割合は、製造時には、グラフト共重合体を合成する際の、前記一般式(I)で表される構成単位、前記一般式(II)で表される構成単位、及び前記一般式(III)で表される構成単位、前記一般式(III’)で表される構成単位等を誘導するモノマーの仕込み量から算出される。
【0221】
また、前記グラフト共重合体の重量平均分子量Mwは、分散性及び分散安定性の点から、4000以上であることが好ましく、6000以上であることがより好ましく、8000以上であることがより更に好ましい。一方、溶剤再溶解性の点から、50000以下であることが好ましく、30000以下であることがより好ましい。
なお、本発明において重量平均分子量Mwは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定された値である。測定は、東ソー製のHLC−8120GPCを用い、溶出溶剤を0.01モル/リットルの臭化リチウムを添加したN−メチルピロリドンとし、校正曲線用ポリスチレンスタンダードをMw377400、210500、96000、50400、20650、10850、5460、2930、1300、580(以上、Polymer Laboratories製 Easi PS−2シリーズ)及びMw1090000(東ソー製)とし、測定カラムをTSK−GEL ALPHA−M×2本(東ソー製)として行われたものである。
【0222】
本発明において、前記グラフト共重合体の製造方法としては、前記一般式(I)で表される構成単位と、前記一般式(II)で表される構成単位とを有するグラフト共重合体を製造することができる方法であればよく、特に限定されない。前記一般式(I)で表される構成単位と前記一般式(II)で表される構成単位とを有するグラフト共重合体を製造する場合、例えば、下記一般式(Ia)で表されるモノマーと、前記ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基からなる重合性オリゴマー(マクロモノマー)とを共重合成分として含有して共重合し、グラフト共重合体を製造する方法が挙げられる。
必要に応じて更にその他のモノマーも用い、公知の重合手段を用いてグラフト共重合体を製造することができる。
【0223】
【化27】
(一般式(Ia)中、R
1、A
1、R
2及びR
3は、一般式(I)と同様である。)
【0224】
また、前記一般式(I)で表される構成単位と前記一般式(II)で表される構成単位とを有するグラフト共重合体を製造する場合、前記一般式(Ia)で表されるモノマーとその他のエチレン性不飽和二重結合を有する基を含むモノマーとを付加重合して共重合体が形成された後に、共重合体中に含まれる反応性基と反応可能な反応性基を含むポリマー鎖を用いて、ポリマー鎖を導入しても良い。具体的には例えば、アルコキシ基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、水素結合形成基等の置換基を有する共重合体を合成した後に、当該置換基と反応する官能基を含むポリマー鎖とを反応させて、ポリマー鎖を導入したものであっても良い。
例えば、側鎖にグリシジル基を有する共重合体に、末端にカルボキシル基を有するポリマー鎖を反応させたり、側鎖にイソシアネート基を有する共重合体に、末端にヒドロキシ基を有するポリマー鎖を反応させたりして、ポリマー鎖を導入することができる。
なお、前記重合においては、重合に一般的に用いられる添加剤、例えば重合開始剤、分散安定剤、連鎖移動剤などを用いてもよい。
【0225】
前記グラフト共重合体は、色材分散性を向上する点から、前記一般式(I)で表される構成単位が有する窒素部位の少なくとも一部と、有機酸化合物及びハロゲン化炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも1種とが塩を形成した塩型グラフト共重合体であってもよい。
前記有機酸化合物としては、中でも、下記一般式(V)で表される化合物及び下記一般式(VII)で表される化合物が好ましく、前記ハロゲン化炭化水素としては、中でも、下記一般式(VI)で表される化合物が好ましい。すなわち、前記有機酸化合物及びハロゲン化炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも1種としては、下記一般式(V)〜(VII)よりなる群から選択される1種以上の化合物を好ましく用いることができる。
【0226】
【化28】
(一般式(V)において、R
11は、炭素数1〜20の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基、ビニル基、置換基を有してもよいフェニル基又はベンジル基、或いは−O−R
15を表し、R
15は、炭素数1〜20の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基、ビニル基、置換基を有してもよいフェニル基又はベンジル基、或いは炭素数1〜4のアルキレン基を介した(メタ)アクリロイル基を表す。一般式(VI)において、R
12、R
12’、及びR
12”はそれぞれ独立に、水素原子、酸性基又はそのエステル基、置換基を有してもよい炭素数1〜20の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基、置換基を有してもよいビニル基、置換基を有してもよいフェニル基又はベンジル基、或いは−O−R
16を表し、R
16は、置換基を有してもよい炭素数1〜20の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基、置換基を有してもよいビニル基、置換基を有してもよいフェニル基又はベンジル基、或いは炭素数1〜4のアルキレン基を介した(メタ)アクリロイル基を表し、Xは、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を表す。一般式(VII)において、R
13及びR
14はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、炭素数1〜20の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基、ビニル基、置換基を有してもよいフェニル基又はベンジル基、或いは−O−R
15を表し、R
15は、炭素数1〜20の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基、ビニル基、置換基を有してもよいフェニル基又はベンジル基、或いは炭素数1〜4のアルキレン基を介した(メタ)アクリロイル基を表す。但し、R
c及びR
dの少なくとも一つは炭素原子を含む。)
【0227】
前記一般式(V)〜(VII)において、R
11、R
12、R
12’、R
12”、R
13、R
14、R
15、及びR
16における炭素数1〜20の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基としては、直鎖又は分岐鎖のいずれでも良く、また、環状構造を含んでいても良く、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、ドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、テトラデシル基、オクタデシル基などが挙げられる。好ましくは、炭素数1〜15の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基が挙げられ、更に好ましくは炭素数1〜8の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基が挙げられる。
また、R
11、R
13、R
14、及びR
15において、置換基を有してもよいフェニル基又はベンジル基の置換基としては、例えば、炭素原子数が1〜5のアルキル基、アシル基、アシルオキシ基等が挙げられる。
【0228】
R
12、R
12’、R
12”、及びR
16において、置換基を有してもよいフェニル基又はベンジル基の置換基としては、例えば、酸性基又はそのエステル基、炭素原子数が1〜5のアルキル基、アシル基、アシルオキシ基等が挙げられる。
また、R
12、R
12’、R
12”、及びR
16において、置換基を有してもよい炭素数1〜20の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基、或いはビニル基の置換基としては、酸性基又はそのエステル基、フェニル基、アシル基、アシルオキシ基等が挙げられる。
R
12、R
12’、R
12”、及びR
16において酸性基とは、水中でプロトンを放出し酸性を示す基のことをいう。酸性基の具体例としては、カルボキシ基(−COOH)、スルホ基(−SO
3H)、ホスホノ基(−P(=O)(OH)
2)、ホスフィニコ基(>P(=O)(OH))、ボロン酸基(−B(OH)
2)、ボリン酸基(>BOH)等が挙げられ、カルボキシラト基(−COO
−)等のように水素原子が解離したアニオンであってもよく、更に、ナトリウムイオンやカリウムイオン等のアルカリ金属イオンと塩形成した酸性塩であってもよい。
また、酸性基のエステル基としては、カルボン酸エステル(−COOR)、スルホン酸エステル(−SO
3R)、リン酸エステル(−P(=O)(OR)
2)、(>P(=O)(OR))、ボロン酸エステル(−B(OR)
2)、ボリン酸エステル(>BOR)等が挙げられる。中でも、酸性基のエステル基としては、カルボン酸エステル(−COOR)であることが分散性及び分散安定性の点から好ましい。なお、Rは炭化水素基であり、特に限定されないが、分散性及び分散安定性の点から、中でも炭素原子数1〜5のアルキル基であることが好ましく、メチル基又はエチル基であることがより好ましい。
【0229】
前記一般式(VI)の化合物は、分散性、分散安定性、アルカリ現像性、及び現像残渣抑制効果の点から、カルボキシ基、ボロン酸基、ボリン酸基、これらのアニオン、並びにこれらのアルカリ金属塩、及びこれらのエステルより選択される1種以上の官能基を有することが好ましく、中でも、カルボキシ基、カルボキシラト基、カルボン酸塩基、及びカルボン酸エステルより選択される官能基を有することがより好ましい。
前記一般式(VI)の化合物が酸性基及びそのエステル基(以下、酸性基等という)を有する場合、当該化合物が有する酸性基等側、及び、ハロゲン原子側炭化水素のいずれもが末端の窒素部位と塩形成し得るが、末端の窒素部位と酸性基等とが塩形成した場合に比べて、末端の窒素部位とハロゲン原子側炭化水素とが安定して塩形成するものと推定される。そして、安定して存在する塩形成部位に色材が吸着することにより分散性及び分散安定性が向上するものと推定される。
【0230】
前記一般式(VI)の化合物が前記酸性基等を有する場合、前記酸性基等を2個以上有していてもよい。前記酸性基等を2個以上有する場合、複数ある前記酸性基等は同一であってもよく、異なっていてもよい。前記一般式(VI)の化合物が有する前記酸性基等の数は1〜3個であることが好ましく、1〜2個であることがより好ましく、1個であることが更により好ましい。
【0231】
前記一般式(V)においてR
11、前記一般式(VI)においてR
12、R
12’、及びR
12”の少なくとも1つ、並びに、前記一般式(VII)においてR
13及びR
14の少なくとも1つが芳香族環を有する場合には、後述する色材の骨格との間の親和性が向上し、色材の分散性及び分散安定性が優れたものとなり、コントラストに優れた着色組成物を得ることができる点から好ましい。
【0232】
前記一般式(V)〜(VII)よりなる群から選択される1種以上の化合物の分子量は、色材分散性向上の点から、1000以下であることが好ましく、中でも50〜800であることが好ましく、更に50〜400であることが好ましく、より更に80〜350であることが好ましく、100〜330であることが最も好ましい。
【0233】
前記一般式(V)で表される化合物としては、例えば、ベンゼンスルホン酸、ビニルスルホン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、モノメチル硫酸、モノエチル硫酸、モノn−プロピル硫酸等が挙げられる。なお、p−トルエンスルホン酸一水和物のような水和物を用いても良い。前記一般式(VI)で表される化合物としては、例えば、メチルクロライド、メチルブロマイド、エチルクロライド、エチルブロマイド、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、n−ブチルクロライド、ヘキシルクロライド、オクチルクロライド、ドデシルクロライド、テトラデシルクロライド、ヘキサデシルクロライド、フェネチルクロライド、ベンジルクロライド、ベンジルブロミド、ベンジルヨーダイド、クロロベンゼン、α−クロロフェニル酢酸、α−ブロモフェニル酢酸、α−ヨードフェニル酢酸、4−クロロメチル安息香酸、4−ブロモメチル安息香酸、4−ヨードフェニル安息香酸、クロロ酢酸、ブロモ酢酸、ヨード酢酸、α−ブロモフェニル酢酸メチル、3−(ブロモメチル)フェニルボロン酸、等が挙げられる。前記一般式(VII)で表される化合物としては、例えば、モノブチルリン酸、ジブチルリン酸、メチルリン酸、ジベンジルリン酸、ジフェニルリン酸、フェニルホスフィン酸、フェニルホスホン酸、ジメタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート等が挙げられる。
分散安定性が特に優れる点から、フェニルホスフィン酸、フェニルホスホン酸、ジメタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ジブチルリン酸、メチルクロライド、メチルブロマイド、ヨウ化メチル、ベンジルクロライド、ベンジルブロミド、ビニルスルホン酸、及びp−トルエンスルホン酸一水和物よりなる群から選択される1種以上が好ましく、中でも、フェニルホスフィン酸、フェニルホスホン酸、ベンジルクロライド、ベンジルブロミド、及びp−トルエンスルホン酸一水和物よりなる群から選択される1種以上を用いることが好ましい。
また、前記特定のグラフト共重合体との組み合わせにより現像残渣の抑制効果が向上する点から、酸性基及びそのエステル基を有する一般式(VI)で表される化合物も好適に用いられ、中でも、α−クロロフェニル酢酸、α−ブロモフェニル酢酸、α−ヨードフェニル酢酸、4−クロロメチル安息香酸、4−ブロモメチル安息香酸、及び4−ヨードフェニル安息香酸よりなる群から選択される1種以上も好適に用いられる。
【0234】
塩型グラフト共重合体において、有機酸化合物及びハロゲン化炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも1種の含有量は、一般式(I)で表される構成単位が有する末端の窒素部位と塩形成しているものであることから、一般式(I)で表される構成単位が有する末端の窒素部位に対して、有機酸化合物及びハロゲン化炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも1種の合計を0.01モル以上とすることが好ましく、0.05モル以上とすることがより好ましく、0.1モル以上とすることがさらに好ましく、0.2モル以上とすることが特に好ましい。上記下限値以上であると、塩形成による色材分散性向上の効果が得られやすい。同様に、1モル以下とすることが好ましく、0.8モル以下とすることがより好ましく、0.7モル以下とすることがさらに好ましく、0.6モル以下とすることが特に好ましい。上記上限値以下であると現像密着性や溶剤再溶解性に優れたものとすることができる。
なお、有機酸化合物及びハロゲン化炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも1種は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。2種以上を組み合わせる場合は、その合計の含有量が上記範囲内であることが好ましい。
【0235】
塩型グラフト共重合体の調製方法としては、塩形成前のグラフト共重合体を溶解乃至分散した溶剤中に、前記有機酸化合物及びハロゲン化炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも1種を添加し、攪拌、更に必要により加熱する方法などが挙げられる。
なお、グラフト共重合体の当該一般式(I)で表される構成単位が有する末端の窒素部位と、前記有機酸化合物及びハロゲン化炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも1種とが塩を形成していること、及びその割合は、例えばNMR等、公知の手法により確認することができる。
【0236】
分散剤における共重合体中の各構成単位の含有割合(モル%)は、製造時には原料の仕込み量から求めることができ、また、NMR等の分析装置を用いて測定することができる。また、分散剤の構造は、NMR、各種質量分析等を用いて測定することができる。また、分散剤を必要に応じて熱分解等により分解し、得られた分解物について、高速液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフ質量分析計、NMR、元素分析、XPS/ESCA及びTOF−SIMS等を用いて求めることができる。
【0237】
分散剤を用いる場合の含有量としては、色材を均一に分散することができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物の固形分全量に対して1質量%以上40質量%以下で用いることができる。更に、カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物の固形分全量に対して2質量%以上30質量%以下で配合するのが好ましく、特に3質量%以上25質量%以下の割合で配合するのが好ましい。上記下限値以上であれば、色材の分散性及び分散安定性に優れ、カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物の保存安定性により優れている。また、上記上限値以下であれば、現像性が良好なものとなる。特に色材濃度が高い着色層を形成する場合には、分散剤の含有量は、カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物の固形分全量に対して、2質量%以上25質量%以下、より好ましくは3質量%以上20質量%以下の割合で配合することが好ましい。
【0238】
[酸化防止剤]
本発明に係るカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物は、更に酸化防止剤を含むものであってもよい。本発明に係るカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物は、前記一般式(1)で表される化合物と組み合わせて酸化防止剤を含むことにより、耐熱性を向上することができ、露光及びポストベーク後の輝度低下を抑制できるため輝度を向上することができ、また、硬化膜に微小孔を形成する際に硬化性を損なうことなく微小孔内の過度なラジカル連鎖反応を制御できるため、所望の形状の微小孔をより容易に形成することができる。
本発明に用いられる酸化防止剤としては、特に限定されず、従来公知のものの中から適宜選択すればよい。酸化防止剤の具体例としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、ヒドラジン系酸化防止剤等が挙げられ、耐熱性の点及び微小孔の形状を良好にする点から、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を用いることが好ましい。
【0239】
ヒンダードフェノール系酸化防止剤とは、少なくとも1つのフェノール構造を含有し、当該フェノール構造の水酸基の2位と6位の少なくとも1つに炭素原子数4以上の置換基が置換されている構造を有する酸化防止剤を意味する。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤の具体例としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート](商品名:イルガノックス1010、BASF製)、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート(商品名:イルガノックス3114、BASF製)、2,4,6−トリス(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジル)メシチレン(商品名:イルガノックス1330、BASF製)、6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−2,4−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン(商品名:イルガノックス565、BASF製)、2,2’−チオジエチルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート](商品名:イルガノックス1035、BASF製)、1,2−ビス[3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)プロピオニル]ヒドラジン(商品名:イルガノックスMD1024、BASF製)、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)プロピオン酸オクチル(商品名:イルガノックス1135、BASF製)、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール(商品名:イルガノックス1520L、BASF製)、N,N’−ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンアミド](商品名:イルガノックス1098、BASF製)、1,6−ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート](商品名:イルガノックス259、BASF製)、1−ジメチル−2−[(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(商品名:ADK STAB AO−80、アデカ製)、ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンゼンプロピオン酸)エチレンビス(オキシエチレン)(商品名:イルガノックス245、BASF製)、1,3,5−トリス[[4−(1,1−ジメチルエチル)−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルフェニル]メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン(商品名:イルガノックス1790、BASF製)、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)(商品名:スミライザーMDP−S、住友化学製)、6,6’−チオビス(2−tert−ブチル−4−メチルフェノール)(商品名:イルガノックス1081、BASF製)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチル(商品名:イルガモド195、BASF製)、アクリル酸2−tert−ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルベンジル)フェニル(商品名:スミライザーGM、住友化学製)、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)(商品名:スミライザーWX−R、住友化学製)、6,6'−ジ−tert−ブチル−4,4'−ブチリデンジ−m−クレゾール(商品名:アデカスタブ AO−40、ADEKA製)等が挙げられる。その他ヒンダードフェノール構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
【0240】
酸化防止剤を用いる場合、酸化防止剤の含有量としては、特に限定されるものではないが、例えば、カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物の固形分全量に対して0.1質量%以上20質量%以下とすることができ、中でも、0.2質量%以上10質量%以下であることが好ましく、特に0.3質量%以上5質量%以下であることが、前記光開始剤との併用効果を十分に発揮させる点から好ましい。
【0241】
また、本発明のカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物は、更に酸化防止剤を含む場合は、前記光開始剤との併用効果を十分に発揮させる点から、光開始剤の合計100質量部に対して、酸化防止剤の含有量は10質量部以上であることが好ましく、20質量部以上であることがより好ましく、30質量部以上であることが更に好ましい。
一方で、適度な感度維持の点から、光開始剤の合計100質量部に対して、酸化防止剤の含有量は300質量部以下であることが好ましく、200質量部以下であることがより好ましい。
【0242】
[任意添加成分]
カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物には、必要に応じて各種添加剤を含むものであってもよい。添加剤としては、例えば、重合停止剤、連鎖移動剤、レベリング剤、可塑剤、界面活性剤、消泡剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、密着促進剤等などが挙げられる。
界面活性剤及び可塑剤の具体例としては、例えば、特開2013−029832号公報に記載のものが挙げられる。
【0243】
本発明に用いられる色材の質量(P)と、当該色材以外の固形分の質量(V)との比(以下、「P/V比」ということがある)は、カラーフィルタの着色層とした場合に、所望の発色が可能であればよく、特に限定されないが、0.05以上1.00以下の範囲内であることが好ましく、0.10以上0.80以下の範囲内であることがより好ましく、0.15以上0.75以下の範囲内であることがさらに好ましく、0.20以上0.70以下の範囲内であることが特に好ましい。当該P/V比が上記範囲であることにより、所望の発色が可能な着色層が形成可能なカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物とすることができ、さらに上記カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物中において、均一に分散することができる。
【0244】
赤色着色樹脂組成物とする場合には、所望の発色の観点から、P/V比は0.50以上であることが好ましく、更に0.60以上であることが好ましく、より更に0.74以上であることが好ましい。また、1.0以下であることが好ましい。
緑色着色樹脂組成物とする場合には、所望の発色の観点から、P/V比は0.46以上であることが好ましく、更に0.56以上であることが好ましく、より更に0.68以上であることが好ましい。また、1.0以下であることが好ましい。
青色着色樹脂組成物とする場合には、所望の発色の観点から、P/V比は0.24以上であることが好ましく、更に0.34以上であることが好ましく、より更に0.41以上であることが好ましい。また、1.0以下であることが好ましい。それぞれ、上記下限値以上であれば、カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物の色濃度を高くすることができ、カラーフィルタ画素をより高演色、より低膜厚なものとすることができる。また、それぞれ上限値以下であれば保存安定性に優れると共に、充分な硬度や、基板との密着性を有する着色層を得ることができる。
【0245】
<カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物の製造方法>
本発明のカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物の製造方法は、色材と、アルカリ可溶性樹脂と、光重合性化合物と、光開始剤と、溶剤と、好ましくは分散剤と、酸化防止剤と、所望により用いられる各種添加成分とを含有し、色材が分散剤により溶剤中に均一に分散されうる方法であることがコントラストを向上する点から好ましく、公知の混合手段を用いて混合することにより、調製することができる。
当該樹脂組成物の調製方法としては、例えば、(1)まず溶剤中に、色材と、分散剤とを添加して色材分散液を調製し、当該分散液に、アルカリ可溶性樹脂と、光重合性化合物と、光開始剤と、所望により用いられる各種添加成分を混合する方法;(2)溶剤中に、色材と、分散剤と、アルカリ可溶性樹脂と、光重合性化合物と、光開始剤と、所望により用いられる各種添加成分とを同時に投入し混合する方法;(3)溶剤中に、分散剤と、アルカリ可溶性樹脂と、光重合性化合物と、光開始剤と、所望により用いられる各種添加成分とを添加し、混合したのち、色材を加えて分散する方法;(4)溶剤中に、色材と、分散剤と、アルカリ可溶性樹脂とを添加して色材分散液を調製し、当該分散液に、更にアルカリ可溶性樹脂と、溶剤と、光重合性化合物と、光開始剤と、所望により用いられる各種添加成分を添加し、混合する方法;などを挙げることができる。
これらの方法の中で、上記(1)及び(4)の方法が、色材の凝集を効果的に防ぎ、均一に分散させ得る点から好ましい。
【0246】
色材分散液を調製する方法は、従来公知の分散方法の中から適宜選択して用いることができる。例えば、(1)予め、分散剤を溶剤に混合、撹拌し、分散剤溶液を調製し、次いで必要に応じて有機酸化合物を混合して分散剤が有するアミノ基と有機酸化合物とを塩形成させる。これを色材と必要に応じてその他の成分を混合し、公知の攪拌機または分散機を用いて分散させる方法;(2)分散剤を溶剤に混合、撹拌し、分散剤溶液を調製し、次いで、色材及び必要に応じて有機酸化合物と、更に必要に応じてその他の成分を混合し、公知の攪拌機または分散機を用いて分散させる方法;(3)分散剤を溶剤に混合、攪拌し、分散剤溶液を調整し、次いで、色材及び必要に応じてその他の成分を混合し、公知の攪拌機または分散機を用いて分散液としたのちに、必要に応じて有機酸化合物を添加する方法などが挙げられる。
【0247】
分散処理を行うための分散機としては、2本ロール、3本ロール等のロールミル、ボールミル、振動ボールミル等のボールミル、ペイントコンディショナー、連続ディスク型ビーズミル、連続アニュラー型ビーズミル等のビーズミルが挙げられる。ビーズミルの好ましい分散条件として、使用するビーズ径は0.03mm以上2.00mm以下が好ましく、より好ましくは0.10mm以上1.0mm以下である。
【0248】
II.硬化物
本発明に係る硬化物は、前記本発明に係るカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物の硬化物である。
本発明に係る硬化物は、例えば、前記本発明に係るカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物の塗膜を形成し、該塗膜を乾燥させたのち、露光、及び必要に応じて現像することにより得ることができる。塗膜の形成、露光、及び現像の方法としては、例えば、後述する本発明に係るカラーフィルタが備える着色層の形成において用いられる方法と同様の方法とすることができる。
本発明に係る硬化物は、昇華物の発生が抑制されたものであり、また、析出物及び現像残渣の発生が抑制されやすく、高精細なパターニングや、所望の微小孔の形成が可能なものであり、カラーフィルタの着色層として好適に用いられる。
【0249】
III.カラーフィルタ
本発明に係るカラーフィルタは、基板と、当該基板上に設けられた着色層とを少なくとも備えるカラーフィルタであって、前記着色層の少なくとも1つが、前記本発明に係るカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物の硬化物である。
【0250】
このような本発明に係るカラーフィルタについて、図を参照しながら説明する。
図1は、本発明のカラーフィルタの一例を示す概略断面図である。
図1によれば、本発明のカラーフィルタ10は、基板1と、遮光部2と、着色層3とを有している。
【0251】
(着色層)
本発明のカラーフィルタに用いられる着色層は、少なくとも1つが、前記本発明に係るカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物の硬化物である。
着色層は、通常、後述する基板上の遮光部の開口部に形成され、通常3色以上の着色パターンから構成される。
また、当該着色層の配列としては、特に限定されず、例えば、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の一般的な配列とすることができる。また、着色層の幅、面積等は任意に設定することができる。
当該着色層の厚みは、塗布方法、カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物の固形分濃度や粘度等を調整することにより、適宜制御されるが、通常、1μm以上5μm以下の範囲であることが好ましい。
【0252】
前記着色層は、例えば、下記の方法により形成することができる。
まず、前述した本発明のカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物を、スプレーコート法、ディップコート法、バーコート法、ロールコート法、スピンコート法、ダイコート法などの塗布手段を用いて後述する基板上に塗布して、ウェット塗膜を形成させる。なかでもスピンコート法、ダイコート法を好ましく用いることができる。
次いで、ホットプレートやオーブンなどを用いて、該ウェット塗膜を加熱乾燥させたのち、これに、所定のパターンのマスクを介して露光し、アルカリ可溶性樹脂及び光重合性化合物等を光重合反応させて硬化塗膜とする。露光に使用される光源としては、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプなどの紫外線、電子線等が挙げられる。露光量は、使用する光源や塗膜の厚みなどによって適宜調整される。
また、露光後に重合反応を促進させるために、加熱処理を行ってもよい。加熱条件は、使用するカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物中の各成分の配合割合や、塗膜の厚み等によって適宜選択される。
【0253】
次に、現像液を用いて現像処理し、未露光部分を溶解、除去することにより、所望のパターンで塗膜が形成される。現像液としては、通常、水や水溶性溶剤にアルカリを溶解させた溶液が用いられる。このアルカリ溶液には、界面活性剤などを適量添加してもよい。
また、現像方法は一般的な方法を採用することができる。
現像処理後は、通常、現像液の洗浄、カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物の硬化塗膜の乾燥が行われ、着色層が形成される。なお、現像処理後に、塗膜を十分に硬化させるために加熱処理を行ってもよい。加熱条件としては特に限定はなく、塗膜の用途に応じて適宜選択される。
【0254】
また、本発明に係るカラーフィルタの用途に応じて、前記現像処理の際に、前記着色層に微小孔を形成してもよい。本発明においては、上述したカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物を用いることから、着色層に所望の微小孔を容易に形成することができる。前記微小孔の形状は、用途に応じて適宜選択され、特に限定されないが、本発明においては、例えば、10μm×10μm〜30μm×30μm程度の大きさの微小孔を形成することができる。また、微小孔の形状は特に限定されず、例えば、円形、楕円形、多角形等が挙げられる。
着色層に微小孔を形成する方法としては、例えば、着色層を形成する際に用いるフォトマスクとして、細線パターンを形成可能なパターンフォトマスクの開口パターン内に、微小孔を形成するための微小なマスクを配置したパターンフォトマスクを用いる方法が挙げられる。
【0255】
(遮光部)
本発明のカラーフィルタにおける遮光部は、後述する基板上にパターン状に形成されるものであって、一般的なカラーフィルタに遮光部として用いられるものと同様とすることができる。
前記遮光部のパターン形状としては、特に限定されず、例えば、ストライプ状、マトリクス状等の形状が挙げられる。遮光部は、スパッタリング法、真空蒸着法等によるクロム等の金属薄膜であっても良い。或いは、遮光部は、樹脂バインダー中にカーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子を含有させた樹脂層であってもよい。遮光性粒子を含有させた樹脂層の場合には、感光性レジストを用いて現像によりパターニングする方法、遮光性粒子を含有するインクジェットインクを用いてパターニングする方法、感光性レジストを熱転写する方法等がある。
【0256】
遮光部の膜厚としては、金属薄膜の場合は0.2μm以上0.4μm以下程度で設定され、黒色顔料をバインダー樹脂中に分散又は溶解させたものである場合は0.5μm以上2μm以下程度で設定される。
【0257】
(基板)
基板としては、後述する透明基板、シリコン基板、及び、透明基板又はシリコン基板上にアルミニウム、銀、銀/銅/パラジウム合金薄膜などを形成したものが用いられる。これらの基板上には、別のカラーフィルタ層、樹脂層、TFT等のトランジスタ、回路等が形成されていてもよい。
【0258】
本発明のカラーフィルタにおける透明基板としては、可視光に対して透明な基材であればよく、特に限定されず、一般的なカラーフィルタに用いられる透明基板を使用することができる。具体的には、石英ガラス、無アルカリガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジッド材、あるいは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板、フレキシブルガラス等の可撓性を有する透明なフレキシブル材が挙げられる。
当該透明基板の厚みは、特に限定されるものではないが、本発明のカラーフィルタの用途に応じて、例えば100μm以上1mm以下程度のものを使用することができる。
なお、本発明のカラーフィルタは、上記基板、遮光部及び着色層以外にも、例えば、オーバーコート層や透明電極層、さらには配向膜や配向突起、柱状スペーサ等が形成されたものであってもよい。
【0259】
IV.表示装置
本発明に係る表示装置は、前記本発明に係るカラーフィルタを有することを特徴とする。本発明において表示装置の構成は特に限定されず、従来公知の表示装置の中から適宜選択することができ、例えば、液晶表示装置や、有機発光表示装置などが挙げられる。
【0260】
[液晶表示装置]
本発明に係る液晶表示装置は、前述した本発明に係るカラーフィルタと、対向基板と、前記カラーフィルタと前記対向基板との間に形成された液晶層とを有する。
このような本発明の液晶表示装置について、図を参照しながら説明する。
図2は、本発明の液晶表示装置の一例を示す概略図である。
図2に例示するように本発明の液晶表示装置40は、カラーフィルタ10と、TFTアレイ基板等を有する対向基板20と、上記カラーフィルタ10と上記対向基板20との間に形成された液晶層30とを有している。
なお、本発明の液晶表示装置は、この
図2に示される構成に限定されるものではなく、一般的にカラーフィルタが用いられた液晶表示装置として公知の構成とすることができる。
【0261】
本発明の液晶表示装置の駆動方式としては、特に限定はなく一般的に液晶表示装置に用いられている駆動方式を採用することができる。このような駆動方式としては、例えば、TN方式、IPS方式、OCB方式、及びMVA方式等を挙げることができる。本発明においてはこれらのいずれの方式であっても好適に用いることができる。
また、対向基板としては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて適宜選択して用いることができる。
さらに、液晶層を構成する液晶としては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて、誘電異方性の異なる各種液晶、及びこれらの混合物を用いることができる。
【0262】
液晶層の形成方法としては、一般に液晶セルの作製方法として用いられる方法を使用することができ、例えば、真空注入方式や液晶滴下方式等が挙げられる。前記方法によって液晶層を形成後、液晶セルを常温まで徐冷することにより、封入された液晶を配向させることができる。
【0263】
[有機発光表示装置]
本発明に係る有機発光表示装置は、前述した本発明に係るカラーフィルタと、有機発光体とを有する。
このような本発明の有機発光表示装置について、図を参照しながら説明する。
図3は、本発明の有機発光表示装置の一例を示す概略図である。
図3に例示するように本発明の有機発光表示装置100は、カラーフィルタ10と、有機発光体80とを有している。カラーフィルタ10と、有機発光体80との間に、有機保護層50や無機酸化膜60を有していても良い。
【0264】
有機発光体80の積層方法としては、例えば、カラーフィルタ上面へ透明陽極71、正孔注入層72、正孔輸送層73、発光層74、電子注入層75、および陰極76を逐次形成していく方法や、別基板上へ形成した有機発光体80を無機酸化膜60上に貼り合わせる方法などが挙げられる。有機発光体80における、透明陽極71、正孔注入層72、正孔輸送層73、発光層74、電子注入層75、および陰極76、その他の構成は、公知のものを適宜用いることができる。このようにして作製された有機発光表示装置100は、例えば、パッシブ駆動方式の有機ELディスプレイにもアクティブ駆動方式の有機ELディスプレイにも適用可能である。
なお、本発明の有機発光表示装置は、この
図3に示される構成に限定されるものではなく、一般的にカラーフィルタが用いられた有機発光表示装置として公知の構成とすることができる。
【実施例】
【0265】
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。
得られた化合物の構造は、核磁気共鳴装置(ブルカー・バイオスピン社、AVANCEIII HD500MHz)を用いて測定した1H−及び13C−NMRスペクトル、液体クロマトグラフ質量分析装置(島津製作所社、LC−30A、ブルカー・ダルトニクス社、micrOTOFQ2)を用いた質量分析、並びに、MALDI−TOF/MSにより確認した。
【0266】
(合成例1:化合物Aの合成)
フルオレン35.5g、ジクロロメタン120g、及びクロロ塩化イソブチリル30.1gを混合し、−5℃以上0℃以下の温度になるまで冷却した後、三塩化アルミニウムを10回に分けて添加し、10℃で6時間反応させた。得られた反応液を、塩酸50gと氷150gとの混合物に注ぎ、そこへ更にジクロロメタン150gを加えて3時間撹拌した。その後、分液して得た有機相を濃縮し、メタノール150gを加えて固相が生じたら、冷却して結晶化させ、ろ過、乾燥し、2−メチル−1−フルオレニル−2−クロロ−1−プロパノンを得た。
250mLの三口フラスコに、得られた2−メチル−1−フルオレニル−2−クロロ−1−プロパノン27gを投入し、更に酸化カルシウム1.76g、及びナトリウムメトキシド7.0gを加え、68℃で6時間反応させてエポキシ化を行った。その後、50℃まで冷却してからモルホリン68gを加えて14時間反応させた。その後、活性炭による脱色、及びろ過を行い、更にトルエン及びメタノールの混合溶媒を用いて還流し、2−メチル−1−フルオレニル−2−モルホリノ−1−プロパノンを得た。
得られた2−メチル−1−フルオレニル−2−モルホリノ−1−プロパノン20g、臭化テトラブチルアンモニウム(TBAB)0.6g、及びクロロブタン34gを混合し、78℃まで昇温して、50%NaOH水溶液72gを滴下し、82℃で4時間反応を維持した。その後、温度を下げ、水50g及びトルエン58gを加え、0.5時間撹拌した。得られた有機相を活性炭により脱色し、ろ過した後、更にトルエン及びメタノールの混合溶媒を用いて結晶化させ、析出物をろ過、乾燥することにより、下記化合物Aを得た。なお、下記化合物Aの分子量は433.63である。
【0267】
【化29】
【0268】
(合成例2:化合物Bの合成)
(1)中間体B1の合成
500mlの四口フラスコ中に、ジフェニルチオエーテル0.2molと、粉砕したAlCl
3 0.22molと、ジクロロエタン150mlとを投入して攪拌し、アルゴンガスを流して氷浴で冷却して温度が0℃まで低下した時に、シクロヘキシル塩化プロピオニル0.22molとジクロロエタン42gからなる溶液を滴下し始め、温度を10℃以下に調整しながら約1.5時間かけて添加した。温度を15℃に上昇して、引き続き2時間攪拌した後、反応液を排出した。
氷400gと濃塩酸65mlとを配合した希塩酸中に、攪拌下で反応液を徐々に投入した後、分液漏斗で下層を分液し、上層を50mlのジクロロエタンで抽出した後、抽出液と下層液とを合わせた。その後、NaHCO
3 10gと水200gとを配合したNaHCO
3溶液で洗浄し、更にpH値が中性を呈するまで200mlの水で3回洗浄し、60gの無水MgSO
4で乾燥して水分を除去した後、回転蒸発によりジクロロエタンを蒸発させた。回転蒸発瓶中に残った固体粉末を石油エーテル200mlに入れ、吸引ろ過を行い、更に150mlの無水エタノールに投入して加熱し、還流した。その後室温まで冷却し、更に氷で2時間冷却し、吸引ろ過した後、50℃のオーブン中で2時間乾燥することにより、下記中間体B1を得た。
【0269】
【化30】
【0270】
(2)中間体B2の合成
500mlの四口フラスコに、前記中間体B1 42gと、テトラヒドロフラン400gと、濃塩酸200gと、亜硝酸イソアミル24.2gとを投入して、常温で5時間攪拌した後、反応液を排出した。
反応液を大ビーカーに入れ、水1000mlを加えて攪拌した後、一晩静置することにより分層し、黄色の粘稠状液体を得た。粘稠状液体をジクロロエタンで抽出し、50gの無水MgSO
4を投入して乾燥した後、吸引ろ過を行い、ろ液を回転蒸発させて溶剤を除去し、油状粘稠物を得た。続いて、該粘稠物を石油エーテル150mlに入れ、攪拌、析出し、吸引ろ過を行って、白色粉末状固体を得た。その後、60℃で5時間乾燥して、下記中間体B2を得た。
【0271】
【化31】
【0272】
(3)化合物Bの合成
1000mlの四口フラスコ中に、前記中間体B2 34gと、ジクロロエタン350mlと、トリエチルアミン12.7gとを投入して攪拌し、氷浴で冷却して、温度が0℃まで低下した時に酢酸クロリド15.7gとジクロロエタン15gからなる溶液を滴下し始め、約1.5時間かけて添加した。引き続いて1時間攪拌した後、冷水500mlを滴下し、分液漏斗で分層した。5%NaHCO
3溶液200mlで1回洗い、更にpH値が中性を呈するまで200ml水で2回洗い、その後、濃塩酸20gと水400mlとを配合した希塩酸で一1回洗い、続いて200ml水で3回洗った後、100gの無水MgSO
4で乾燥し、溶剤を回転蒸発させて除去し、粘稠状液体を得た。該粘稠状液体に適量のメタノールを投入して析出した白色固体を、ろ過、乾燥して、下記化合物Bを得た。なお、下記化合物Bの分子量は395.51である。
【0273】
【化32】
【0274】
化合物Cとしては、下記化学式で表される化合物Cを用いた。なお、下記化合物Cの分子量は503.55である。
【0275】
【化33】
【0276】
(合成例3:化合物Dの合成)
(1)中間体D1の合成
フルオレン0.60mol、水酸化カリウム2.4mol及びよう化カリウム0.06molを窒素雰囲気下で無水ジメチルスルホキシド500mlに溶解させて15℃で維持し、ブロモブタン1.33molを2時間で徐々に加えて反応物を15℃で1時間撹拌した。 その後反応物に蒸溜水2Lを加えて30分程度撹拌した後、ジクロロメタン2Lで生成物を抽出して、抽出した有機層を蒸溜水2Lで2回洗った。次いで、回収した有機層を無水MgSO
4で乾燥し、溶媒を減圧蒸溜して得た生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒;エチルアセテート:n−ヘキサン=1:20)で精製することにより、下記中間体D1を得た。
【0277】
【化34】
【0278】
(2)中間体D2の合成
前記中間体D1(0.11mol)をジクロロメタン500mlに溶解させて−5℃まで冷却した後、AlCl
3 0.13molを徐々に加え、反応物の温度が昇温されないように、ジクロロメタン15mlとシクロヘキシル塩化プロピオニル0.13molからなる溶液を1時間で徐々に滴下し、−5℃で1時間撹拌した。 その後反応物を氷水500mlに徐々に注いで30分間撹拌した後、有機層を蒸溜水200mLで洗った。次いで、回収した有機層を減圧蒸溜して得た生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒;エチルアセテート:n−ヘキサン=1:4)で精製することにより、下記中間体D2を得た。
【0279】
【化35】
【0280】
(3)中間体D3の合成
前記中間体D2(0.042mol)をテトラヒドロフラン(THF)200mlに溶解させ、1,4−ジオキサンに溶解された4N HCl 25mlと亜硝酸イソブチル0.063molを順に加えて反応物を25℃で6時間撹拌した。 その後反応溶液にエチルアセテート200mlを加えて30分間撹拌して有機層を分離した後、蒸溜水200mlで洗った。次いで、回収した有機層を無水MgSO
4で乾燥し、溶媒を減圧蒸溜して得た生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒;エチルアセテート:n−ヘキサン=1:4)で精製することにより、下記中間体D3を得た。
【0281】
【化36】
【0282】
(4)化合物Dの合成
前記中間体D3(0.056mol)を窒素雰囲気下でN−メチル−2−ピロリジノン(NMP)200mlに溶解させて−5℃で維持し、トリエチルアミン0.068molを加えて反応溶液を30分間撹拌した。その後、アセチルクロリド0.068molとN−メチル−2−ピロリジノン10mlからなる溶液を30分間で徐々に加え、反応物が昇温されないように30分間撹拌した。その後蒸溜水200mlを反応物に徐々に加えて30分間撹拌して有機層を分離した。次いで、回収した有機層を無水MgSO
4で乾燥し、溶媒を減圧蒸溜して得た生成物を、エタノール1Lを使用して再結晶した後乾燥することにより、下記化合物Dを得た。なお、下記化合物Dの分子量は487.67である。
【0283】
【化37】
【0284】
化合物Eとしては、下記化学式で表される化合物Eを用いた。なお、下記化合物Eの分子量は569.60である。
【0285】
【化38】
【0286】
(合成例4:化合物Fの合成)
(1)中間体F1の合成
合成例3の(1)において、ブロモブタンに代えて同モルのブロモエタンを用い、シリカゲルカラムクロマトグラフィによる精製を行わなかった以外は、合成例3の(1)と同様にして、下記中間体F1を得た。
【0287】
【化39】
【0288】
(2)中間体F2の合成
合成例3の(2)において、中間体D1に代えて同モルの前記中間体F1を用い、シクロヘキシル塩化プロピオニルに代えて同モルの塩化プロピオニルを用いた以外は、合成例3の(2)と同様にして、下記中間体F2を得た。
【0289】
【化40】
【0290】
(3)中間体F3の合成
合成例3の(3)において、中間体D2に代えて同モルの前記中間体F2を用い、シリカゲルカラムクロマトグラフィに代えて、エチルアセテート:n−ヘキサン(1:6)の混合溶媒を使用して再結晶した後乾燥することにより精製した以外は、合成例3の(3)と同様にして、下記中間体F3を得た。
【0291】
【化41】
【0292】
(4)化合物Fの合成
合成例3の(4)において、中間体D3に代えて同モルの前記中間体F3を用いた以外は、合成例3の(4)と同様にして、下記化合物Fを得た。なお、下記化合物Fの分子量は349.42である。
【0293】
【化42】
【0294】
(合成例5:分散剤(ブロック共重合体A)の製造)
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた500mL丸底4口セパラブルフラスコにTHF250質量部、塩化リチウム0.6質量部を加え、充分に窒素置換を行った。反応フラスコを−60℃まで冷却した後、ブチルリチウム4.9質量部(15質量%ヘキサン溶液)、ジイソプロピルアミン1.1質量部、イソ酪酸メチル1.0質量部をシリンジを用いて注入した。Bブロック用モノマーのメタクリル酸1−エトキシエチル(EEMA)2.2質量部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)18.7質量部、メタクリル酸2−エチルヘキシル(EHMA)12.8質量部、メタクリル酸n−ブチル(BMA)13.7質量部、メタクリル酸ベンジル(BzMA)9.5質量部、メタクリル酸メチル(MMA)17.5質量部を、添加用ロートを用いて60分かけて滴下した。30分後、Aブロック用モノマーであるメタクリル酸ジメチルアミノエチル(DMMA)26.7質量部を20分かけて滴下した。30分間反応させた後、メタノール1.5質量部を加えて反応を停止させた。得られた前駆体ブロック共重合体THF溶液はヘキサン中で再沈殿させ、ろ過、真空乾燥により精製を行い、PGMEAで希釈し固形分30質量%溶液とした。水を32.5質量部加え、100℃に昇温し7時間反応させ、EEMA由来の構成単位を脱保護しメタクリル酸(MAA)由来の構成単位とした。得られたブロック共重合体PGMEA溶液はヘキサン中で再沈殿させ、ろ過、真空乾燥により精製を行い、一般式(I)で表される構成単位を含むAブロックとカルボキシ基含有モノマー由来の構成単位を含み親溶剤性を有するBブロックとを含むブロック共重合体A(酸価 8mgKOH/g、Tg38℃)を得た。このようにして得られたブロック共重合体Aを、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)にて確認したところ、重量平均分子量Mwは7730であった。また、アミン価は95mgKOH/gであった。
【0295】
(合成例6:アルカリ可溶性樹脂A溶液の合成)
スチレン40質量部、MMA15質量部、MAA25質量部、及びアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)3質量部の混合液を、PGMEA150質量部を入れた重合槽中に、窒素気流下、100℃で、3時間かけて滴下した。滴下終了後、更に100℃で、3時間加熱し、重合体溶液を得た。この重合体溶液の重量平均分子量は、7000であった。
次に、得られた重合体溶液に、グリシジルメタクリレート(GMA)20質量部、トリエチルアミン0.2質量部、及びp−メトキシフェノール0.05質量部を添加し、110℃で10時間加熱し、反応溶液中に、空気をバブリングさせた。得られたアルカリ可溶性樹脂Aは、スチレンとMMA、MAAの共重合により形成された主鎖にGMAを用いてエチレン性二重結合を有する側鎖を導入した樹脂であり、固形分42.6質量%、酸価74mgKOH/g、重量平均分子量12000であった。なお、重量平均分子量は、ポリスチレンを標準物質とし、THFを溶離液としてショウデックスGPCシステム−21H(Shodex GPC System−21H)により測定した。また酸価は、JIS K 0070に基づいて測定した。
【0296】
(合成例7:レーキ色材1の合成)
(1)中間体1の合成
特開2018−3013号公報に記載の中間体A−2、中間体B−1、及び化合物1−3の製造方法を参照して、下記化学式(a)で示される中間体1を得た(収率87%)。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS(ESI) (m/z):677(+)、2価
・元素分析値:CHN実測値 (81.81%、7.31%、5.85%);理論値(81.77%、7.36%、5.90%)
【0297】
【化43】
【0298】
(2)レーキ色材1の合成
関東化学製12タングストリン酸・n水和物2.59g(0.76mmol)をメタノール40mL、水40mLの混合液に加熱溶解させ、前記中間体1 1.6g(1.
19mmol)を加え、1時間攪拌した。沈殿物を濾取し、水で洗浄した。得られた沈殿物を減圧乾燥して下記化学式(b)で示されるレーキ色材1を(収率95%)得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・31P NMR(d−dmso、ppm)δ−15.15
・MS(MALDI) (m/z):1355(M
+)、2879(MH
2−)
・元素分析値:CHN実測値 (35.55%、3.24%、2.61%);理論値(3
5.61%、3.20%、2.57%)
・蛍光X線分析:MoW実測比 (0%、100%);理論値(0%、100%)
【0299】
【化44】
【0300】
(合成例8:顔料Gの合成)
塩化スルフリル(和光純薬(株)製)270g、無水塩化アルミニウム(関東化学(株)製)315g、塩化ナトリウム(東京化成(株)製)43g、臭素43gを混合し、混合物を得た。一方で、フタロニトリル、アンモニア、塩化亜鉛を原料として亜鉛フタロシアニンを製造し、亜鉛フタロシアニン65gを上記混合物に加えた。これに臭素(和光純薬(株)製)407gを滴下して加え、22時間かけて80℃まで昇温し、臭素72gを滴下した。その後、3時間かけて130℃まで昇温し、反応混合物を水に取り出し、ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン粗顔料を析出させた。この水性スラリーをろ過し、60℃の湯洗浄を行った後、水に再解膠した。得られたスラリーを再度ろ過し、60℃の水洗浄を行った後、90℃で乾燥させ、173gのポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン粗顔料を得た。このポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン粗顔料3g、粉砕した塩化ナトリウム30g、ジエチレングリコール3gを双腕型ニーダーに仕込み、100℃で8時間混練した。混練後80℃の水300gに取り出し、1時間攪拌後、ろ過、水洗、乾燥、粉砕し、ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料を得た。得られたポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料の構造をMALDI−TOF/MSにより確認した結果、1分子中に含まれる平均塩素原子数が0超過0.1未満、平均臭素原子数が14.3、且つ、平均水素原子数が1.7であった。なお、前記平均臭素原子数及び平均水素原子数は、JIS Z8401:1999の規則Bに従い、小数点以下第1位に丸めた値である。
また、得られたポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料を質量分析した結果、m/z1780以上1820未満の範囲における最大イオン強度を、m/z1820以上1860以下の範囲における最大イオン強度で除した値は0.71であった。その時の遅延時間(Delay time)は310ns、m/z1820以上1860以下のピークの分解能値(Resolving Power Value)は42004であった。
【0301】
(合成例9:Azo誘導体1の合成)
550gの蒸留水の中に、23.1gのジアゾバルビツール酸および19.2gのバルビツール酸を導入した。次いで、水酸化カリウム水溶液を用いてアゾバルビツール酸(0.3モル)となるように調整し、750gの蒸留水と混合した。5gの30%の塩酸を滴下により添加した。その後、38.7gのメラミンを導入した。次いで、0.39モルの塩化ニッケル溶液と0.21モルの塩化亜鉛溶液を混合して添加し、80℃の温度で8時間撹拌した。濾過により顔料を単離し、洗浄し、120℃で乾燥させ、乳鉢で磨砕し、Azo誘導体1(Ni:Zn=65:35(モル比)のazo顔料)を得た。
【0302】
(
参考例1)
(1)色材分散液1の製造
分散剤として合成例5のブロック共重合体Aを5.1質量部、色材としてC.I.ピグメントブルー15:6(商品名 FASTOGEN BLUE A510、DIC(株)製)11.6質量部及びC.I.ピグメントバイオレット23(商品名 Hostaperm Violet RL−NF、クラリアント社製)1.4質量部、合成例6で得られたアルカリ可溶性樹脂A溶液を固形分換算で5.1質量部、PGMEAを76.8質量部、粒径2.0mmジルコニアビーズ100質量部をマヨネーズビンに入れ、予備解砕としてペイントシェーカー(浅田鉄工(株)製)にて1時間振とうし、次いで粒径2.0mmジルコニアビーズを取り出し、粒径0.1mmのジルコニアビーズ200質量部を加えて、同様に本解砕としてペイントシェーカーにて4時間分散を行い、色材分散液1を得た。
【0303】
(2)カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物1の製造
上記(1)で得られた色材分散液1を286.1質量部、合成例6で得られたアルカリ可溶性樹脂A溶液を固形分換算で8.6質量部、光重合性化合物(商品名アロニックスM−520D、東亞合成(株)社製)を18.2質量部、光開始剤として合成例1で得られた化合物Aを5.1質量部、PGMEAを42.2質量部加え、カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物1を得た。
【0304】
(
参考例2〜15)
参考例1において、色材を表1に示される種類で用いた以外は、
参考例1と同様にして、カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物2〜15を得た。
なお、各実施例
、各参考例及び各比較例で、色材分散液に添加する色材の合計量は13質量部とした。
参考例4では、色材として、C.I.ピグメントブルー15:6を4.0質量部、及びレーキ色材1を9.0質量部用いた。
参考例12では、色材として、C.I.ピグメントグリーン58を5.0質量部、及びC.I.ピグメントイエロー138を8.0質量部用いた。
参考例13では、色材として、C.I.ピグメントグリーン58を5.0質量部、及び合成例9で得たAzo誘導体1を8.0質量部用いた。
参考例14では、色材として、C.I.ピグメントグリーン59を5.0質量部、及びC.I.ピグメントイエロー138を8.0質量部用いた。
参考例15では、色材として、C.I.ピグメントグリーン59を5.0質量部、及び合成例9で得たAzo誘導体1を8.0質量部用いた。
【0305】
(
参考例16〜19)
参考例1において、光開始剤及び色材を表1に示される種類及び量で用い、更に、着色樹脂組成物に、酸化防止剤としてビスフェノール系酸化防止剤(アデカスタブ AO−40、ADEKA製)2.0質量部を加えた以外は、
参考例1と同様にして、カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物16〜19を得た。
なお、
参考例17において、色材の配合は
参考例1と同様にし、
参考例16、18、19において、色材の配合は
参考例4と同様にした。
また、各
参考例及び各比較例で、着色樹脂組成物に添加する光開始剤の合計量は5.1質量部とした。
表1及び表2に記載されている光開始剤の割合(%)は、光開始剤の総量100質量%中の割合(質量%)を意味する。例えば実施例18では、化合物Aを2.55質量部(50質量%)、Irg907を2.55質量部(50質量%)用いた。
【0306】
(比較例1〜2)
実施例1において、光開始剤として、合成例1で得られた化合物A 5.1質量部の代わりに、表1に示す光開始剤5.1質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較着色樹脂組成物1〜2を得た。
【0307】
なお、実施例18及び比較例1で光開始剤として用いたIrg907は、α−アミノケトン系光開始剤(商品名 イルガキュア907、BASF製、分子量279.40)であり、下記化学式(c)で表される化合物である。
【0308】
【化45】
【0309】
(実施例20〜49)
実施例1において、光開始剤を表2に示される種類及び量で用いた以外は、実施例1と同様にして、カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物20〜49を得た。
【0310】
実施例38〜43で光開始剤として用いたIrg369は、α−アミノケトン系光開始剤(商品名 イルガキュア369、BASF製、分子量366.50)であり、下記化学式(d)で表される化合物である。
【0311】
【化46】
【0312】
実施例44、45で光開始剤として用いたOXE−01は、オキシムエステル系光開始剤(商品名 イルガキュアOXE−01、BASF製、分子量445.57)であり、下記化学式(e)で表される化合物である。
【0313】
【化47】
【0314】
実施例46、47で光開始剤として用いたOXE−02は、オキシムエステル系光開始剤(商品名 イルガキュアOXE−02、BASF製、分子量412.48)であり、下記化学式(f)で表される化合物である。
【0315】
【化48】
【0316】
[評価]
<昇華性>
各実施例及び各比較例で得られた感光性着色樹脂組成物を、5cm角のガラス基板(NHテクノグラス(株)社製、「NA35」)の片面全体に、スピンコーターを用いて、加熱乾燥後の膜厚が2.5μmとなるように塗布し、到達圧力を40Paとして減圧乾燥することにより塗膜を形成した。当該塗膜が片面に形成されたガラス基板を、ガラス基板側がホットプレートと接するようにホットプレート上に配置し、前記塗膜表面から0.7mm離れた位置に、前記塗膜全体を覆うように、上面のガラス基板(10cm角)を配置した。ホットプレート、ガラス基板、感光性着色樹脂組成物の塗膜、及び上面のガラス基板がこの順に配置された状態で、前記ホットプレートを100℃に加熱して10分間保持することにより、前記塗膜を加熱乾燥した。加熱乾燥後、上面のガラス基板の表面を目視及び光学顕微鏡(倍率100倍)で観察し、下記評価基準により評価した。なお、各実施例及び各比較例で、それぞれ10個のサンプルについて評価を行った。上面のガラス基板への昇華物の付着が最も多かったものについての評価結果を表1又は表2に示す。
(昇華性評価基準)
◎:上面のガラス基板への昇華物の付着が、目視観察及び顕微鏡観察のいずれによっても観察されなかった
○:上面のガラス基板への昇華物の付着が、目視観察によっては観察されなかったが、顕微鏡観察によっては観察された
×:上面のガラス基板への昇華物の付着が、目視観察及び顕微鏡観察の両方で観察された
【0317】
<光学特性>
各実施例及び各比較例で得られた感光性着色樹脂組成物を、ガラス基板(NHテクノグラス(株)社製、「NA35」)上に、スピンコーターを用いて塗布し、到達圧力を40Paとして減圧乾燥した後、ホットプレートを用いて100℃で10分間乾燥し、ガラス基板上に塗膜を形成した。フォトマスクを介さずに超高圧水銀灯を用いて60mJ/cm
2の紫外線を全面照射し、露光後塗膜を形成した。次いで、0.05質量%水酸化カリウム水溶液を現像液としてスピン現像し、現像液に60秒間接液させた後に純水で洗浄することで現像処理し現像後塗膜を形成した。その後、230℃のクリーンオーブンで25分間ポストベークし、色度座標のyが表1又は表2に示す値となるように硬化塗膜(着色層)を形成した。着色層の色度(x、y)及び輝度(Y)をオリンパス(株)社製「顕微分光測定装置OSP−SP200」を用いて測定した。
【0318】
<感度>
前記光学特性評価を行った着色層を形成する際に、着色層について、露光後の膜厚(E)及び現像後の膜厚(D)を触針式プロファイラP−16(KLA−Tencor社製)で測定し、現像後膜厚(D)/露光後の膜厚(E)×100を残膜率(%)として算出し、下記評価基準により評価した。なお、残膜率が高いほど、感光性着色樹脂組成物は高感度であり、残膜率が90%以上であると実使用に適した範囲である。
(感度評価基準)
◎◎:残膜率が98%以上
◎:残膜率が95%以上98%未満
○:残膜率が90%以上95%未満
×:残膜率が90%未満
【0319】
<析出>
前記光学特性評価を行った着色層について、着色層の表面の1cm×1cmの範囲を光学顕微鏡(倍率100倍)で観察し、当該範囲内に存在する析出物の個数を数えた。着色層表面の任意の10箇所において、同様に1cm×1cmの範囲内にある析出物の個数を数え、10箇所での析出物の平均個数を、単位面積当たりの析出物の平均個数とし、下記評価基準により評価した。なお、光学顕微鏡(倍率100倍)で観察したときに異物として認識されるものを析出物とした。
(析出評価基準)
◎◎:析出物が全く観察されない
◎:単位面積当たりの析出物の平均個数が0.1個未満
○:単位面積当たりの析出物の平均個数が0.1個以上0.2個未満
△:単位面積当たりの析出物の平均個数が0.2個以上0.3個未満
×:単位面積当たりの析出物の平均個数が0.3個以上
【0320】
<現像残渣>
各実施例及び各比較例で得られた感光性着色樹脂組成物を、ガラス基板(NHテクノグラス(株)社製、「NA35」)上に、スピンコーターを用いて硬化塗膜が厚さ3.0μmとなるように塗布し、到達圧力を40Paとして減圧乾燥した後、ホットプレートを用いて100℃で10分間乾燥し、ガラス基板上に塗膜を形成した。この塗膜に、開口寸法90μm×300μmの独立細線内の中央に20μm×20μmのクロムマスクを配置したパターンフォトマスク(クロムマスク)を介して、超高圧水銀灯を用いて40mJ/cm
2の紫外線で露光することにより、ガラス基板上に露光後塗膜を形成した。次いで、0.05質量%水酸化カリウム水溶液を現像液としてスピン現像し、現像液に60秒間接液させた後に純水で洗浄することで現像処理し、微小孔を有する独立細線パターン状の塗膜を得た。その後、230℃のクリーンオーブンで25分間ポストベークすることにより、微小孔を有する独立細線パターン状の着色層を形成した。得られた着色層を光学顕微鏡(倍率100倍)により観察し、下記評価基準により、微小孔内部の現像残渣について評価した。なお、微小孔内部の現像残渣が少ないほど、所望の微小孔を形成し易い。
(現像残渣評価基準)
◎◎:光学顕微鏡による観察で着色層に形成された微小孔内部に着色が観察されず、微小孔周縁部にも透明物が観察されない
◎:光学顕微鏡による観察で着色層に形成された微小孔内部に着色が観察されないが、微小孔周縁部に一部透明物が観察される
○:光学顕微鏡による観察で着色層に形成された微小孔内部に着色が観察されないが、微小孔周縁部に着色した残渣が観察される
△:光学顕微鏡による観察で着色層に形成された微小孔内部に着色が観察されないが、微小孔内部に一部透明物が観察される
×:光学顕微鏡による観察で着色層に形成された微小孔内部に着色した残渣が観察される
【0321】
表中の略称は以下の通りである。
・Irg907 :α−アミノケトン系光開始剤(イルガキュア907、BASF製)
・Irg369 :α−アミノケトン系光開始剤(イルガキュア369、BASF製)
・OXE01 :オキシムエステル系光開始剤(商品名 イルガキュアOXE−01、BASF製)
・OXE02 :オキシムエステル系光開始剤(商品名 イルガキュアOXE−02、BASF製)
・B15:6 :C.I.ピグメントブルー15:6(商品名 FASTOGEN BLUE A510、DIC(株)製)
・V23 :C.I.ピグメントバイオレット23(商品名 Hostaperm Violet RL−NF、クラリアント社製)
・R254 :C.I.ピグメントレッド254(商品名 Hostaperm Red D2B−COF LV3781、クラリアント社製)
・R291 :C.I.ピグメントレッド291
・R269 :C.I.ピグメントレッド269
・R177 :C.I.ピグメントレッド177(商品名 クロモフタルレッドA2B、BASF社製)
・G62 :C.I.ピグメントグリーン62
・G63 :C.I.ピグメントグリーン63
・G58 :C.I.ピグメントグリーン58(商品名 FASTOGEN GREEN A110、DIC(株)製)
・G59 :C.I.ピグメントグリーン59(商品名 FASTOGEN GREEN C100、DIC(株)製)
・Y138 :C.I.ピグメントグリーン59(商品名 クロモファインエロー6206EC、大日精化工業製)
・AO−40 :ビスフェノール系酸化防止剤(アデカスタブ AO−40、ADEKA製)
【0322】
【表1】
【0323】
【表2】
【0324】
<結果のまとめ>
表の結果から、光開始剤として前記一般式(1)で表される化合物を含有する実施例
又は参考例1〜49の感光性着色樹脂組成物は、塗膜乾燥直後の昇華物の発生が抑制されており、露光前の乾燥時の昇華物の発生が抑制されたことが示された。また、実施例
又は参考例1〜49の感光性着色樹脂組成物は、着色層を形成した際の残膜率が高く、感度が良好であった。
中でも、
参考例1〜17、
実施例20〜49の感光性着色樹脂組成物は、乾燥時の昇華物の発生が特に抑制されていた。
参考例16〜19の感光性着色樹脂組成物は、更に酸化防止剤を含むため、着色層内に形成した微小孔内部における現像残渣が特に抑制されていた。
また、実施例
又は参考例18〜49の感光性着色樹脂組成物は、光開始剤として、前記一般式(1)で表される化合物と、その他の光開始剤とを組み合わせて含むため、析出物の発生がより抑制されていた。中でも、実施例
又は参考例18〜47の感光性着色樹脂組成物は、その他の光開始剤として、オキシムエステル系光開始剤又はα−アミノケトン系光開始剤を用いたため、析出物の発生を抑制する効果、感度向上効果、又はこれら両方の効果に優れていた。
実施例20〜31、44〜47の感光性着色樹脂組成物は、その他の光開始剤として、カルバゾール骨格又はジフェニルスルフィド骨格を有するオキシムエステル系光開始剤を用いたため、特に感度が向上しており、乾燥時の昇華物の発生も抑制されやすかった。
実施例20〜43の感光性着色樹脂組成物は、その他の光開始剤として、前記一般式(3)で表されるオキシムエステル化合物である化合物B、前記一般式(2)で表されるオキシムエステル化合物である化合物C、前記一般式(4)で表されるオキシムエステル化合物である化合物D、又は好ましいα−アミノケトン系光開始剤であるIrg369を用いたため、乾燥時の昇華物の発生が抑制されやすく、且つ、析出物の発生も特に抑制されやすかった。その他の光開始剤として、前記一般式(3)で表されるオキシムエステル化合物である化合物B又は前記一般式(2)で表されるオキシムエステル化合物である化合物Cを用いた実施例20〜31の感光性着色樹脂組成物は、更に、感度も向上していた。中でも、光開始剤の総量100質量%中、前記一般式(1)で表される化合物の割合を50質量%以上90質量%以下とした実施例22、23、28、29の感光性着色樹脂組成物は、感度がより向上しており、且つ、析出物の発生を抑制する効果も特に優れていた。
一方、比較例1、2の比較感光性着色樹脂組成物は、光開始剤として、前記一般式(1)で表される化合物を含有しないため、乾燥時の昇華物の発生が抑制されなかった。
【0325】
<化合物Aの有無による耐熱性変化>
参考例3、4で得られた感光性着色樹脂組成物を用いて、上記光学特性の評価の際と同様にして着色層を形成した。着色層を形成する際に、現像後塗膜のL、a、b(L
0、a
0、b
0)、及びポストベーク後のL、a、b(L
1、a
1、b
1)を測定し、ポストベーク前後の色差(ΔEab)を下記式より算出した。
ΔEab={(L
1−L
0)
2+(a
1−a
0)
2+(b
1−b
0)
2}
1/2
なお、色度は、オリンパス(株)社製「顕微分光測定装置OSP−SP200」を用いて測定した。光源はC光源を用いた。耐熱性評価として
一方で、
参考例3、4において、光開始剤として、合成例1で得られた化合物Aに代えて、Irg907を用いた以外は、
参考例3、4と同様にして、光開始剤のみが異なる比較用樹脂組成物3’、4’をそれぞれ製造した(比較例3’、4’)。比較用樹脂組成物3’、4’についても、上記と同様にして着色層を形成し、現像後塗膜のL、a、b(L
0、a
0、b
0)、及びポストベーク後のL、a、b(L
1、a
1、b
1)を測定し、耐熱性評価としてポストベーク前後の色差(ΔEab)を算出した。
参考例3、4で得られた感光性着色樹脂組成物におけるΔEab(ΔEab1)を、各
参考例に対応する比較例3’、4’におけるΔEab(ΔEab2)から差し引いて、ΔEab差(ΔEab2−ΔEab1)を算出し、下記評価基準により、化合物Aの有無による耐熱性変化を評価した。評価結果を表3に示す。
(化合物Aの有無による耐熱性変化評価基準)
◎:ΔEab差が1以上
○:ΔEab差が0.5以上1未満
△:ΔEab差が0以上0.5未満
【0326】
【表3】
【0327】
前記一般式(ii)で表される色材であるレーキ色材1を用いて青色着色層を形成した
参考例3、4と比較例3’、4’とを比べると、光開始剤として化合物Aを用いた
参考例3、4では、光開始剤として化合物Aを用いなかった比較例3’、4’に比べ、ポストベーク前後での色差ΔEabが顕著に減少していた。これにより、光開始剤として前記一般式(1)で表される化合物を含む本発明の感光性着色樹脂組成物において、色材として前記一般式(ii)で表される色材を用いると、耐熱性が向上した着色層を形成できることが明らかにされた。なお、前記一般式(iii)で表される色材は、上述したように、前記一般式(1)で表される化合物との相互作用においては前記一般式(ii)で表される色材と同様の挙動を示すと推定されるため、本発明の感光性着色樹脂組成物において、色材として前記一般式(iii)で表される色材を用いても、耐熱性が向上した着色層を形成できると推定される。
【0328】
<化合物Aの有無による輝度変化>
参考例9、10、11で得られた感光性着色樹脂組成物を用いて、上記光学特性の評価の際と同様にして着色層を形成し、現像後塗膜の輝度(Y
0)とポストベーク後の輝度(Y
1)を測定し、ポストベーク前後の輝度差(ΔY)を下記式より算出した。
ΔY=Y
0−Y
1
なお、輝度は、オリンパス(株)社製「顕微分光測定装置OSP−SP200」を用いて測定した。光源はC光源を用いた。
一方で、
参考例9、10、11において、光開始剤として、合成例1で得られた化合物Aに代えて、Irg907を用いた以外は、
参考例9、10、11と同様にして、光開始剤のみが異なる比較用樹脂組成物9’、10’、11’をそれぞれ製造した(比較例9’、10’、11’)。比較用樹脂組成物9’、10’、11’についても、上記と同様にして着色層を形成し、現像後塗膜の輝度(Y
0)とポストベーク後の輝度(Y
1)を測定し、ポストベーク前後の輝度差(ΔY)を算出した。
比較例9’、10’、11’の着色層の輝度差(ΔY2)から、各々対応する
参考例9、10、11の着色層の輝度差(ΔY1)を差し引いて、ΔY差(ΔY2−ΔY1)を算出し、下記評価基準により、化合物Aの有無による輝度変化を評価した。評価結果を表4に示す。
(化合物Aの有無による輝度変化評価基準)
◎:ΔY差が0.5以上
○:ΔY差が0.1以上0.5未満
△:ΔY差が0.1未満
【0329】
【表4】
【0330】
C.I.ピグメントグリーン62、C.I.ピグメントグリーン63又は一般式(i)で表されるポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンである顔料Gを用いて緑色着色層を形成した
参考例9、10、11と比較例9’、10’、11’とを比べると、光開始剤として化合物Aを用いた
参考例9、10、11では、光開始剤として化合物Aを用いなかった比較例9’、10’、11’に比べ、ポストベーク前後での輝度差ΔYが顕著に減少していた。これにより、光開始剤として前記一般式(1)で表される化合物を含む本発明の感光性着色樹脂組成物において、色材として、C.I.ピグメントグリーン62及びC.I.ピグメントグリーン63から選択される1種以上、又は前記一般式(i)で表されるポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンを用いると、ポストベークによる輝度の低下が抑制された着色層を形成できることが明らかにされた。
【0331】
(合成例10:マクロモノマーAの製造)
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)70.0質量部を仕込み、窒素気流下攪拌しながら、温度90℃に加温した。一般式(III)で表される構成単位を誘導する、PEG鎖を有するモノマー(Evonik製、商品名:VISIOMER MPEG 1005 MA W、一般式(III)中のR
4はCH
3、A
3はCOO、R
5はエチレン基、R
6はCH
3、s=22)1.0質量部、メタクリル酸メチル(MMA)99.0質量部、メルカプトエタノール4.0質量部、PGMEA30質量部、α,α’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1.0質量部の混合溶液を1.5時間かけて滴下し、さらに3時間反応した。次に、窒素気流を止めて、この反応溶液を80℃に冷却し、カレンズMOI(昭和電工(株)社製)8.74質量部、ジラウリン酸ジオクチルすず0.125g、p−メトキシフェノール0.125質量部、及びPGMEA30質量部を加えて3時間攪拌することで、マクロモノマーAの50%溶液を得た。得られたマクロモノマーAを、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)にて、N−メチルピロリドン、0.01モル/L臭化リチウム添加/ポリスチレン標準の条件で確認したところ、重量平均分子量(Mw)4500、分子量分布(Mw/Mn)1.6であった。
【0332】
(合成例11〜20:マクロモノマーB〜Mの製造)
合成例10のマクロモノマーAの製造において、モノマーとして一般式(III)で表される構成単位を誘導するモノマー1.0質量部とMMA99.0質量部を用いる代わりに、表5に示すようにモノマーの種類及び質量比の少なくとも一方を変更して用いた以外は、合成例10と同様にして、マクロモノマーB〜Mを製造した。得られたマクロモノマーの重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を表5に示す。
【0333】
(合成例21:マクロモノマーNの製造)
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、PGMEA30.0質量部を仕込み、窒素気流下攪拌しながら、温度90℃に加温した。MMA25.0質量部、カプロラクトン変性ヒドロキシエチルメタクリレート(商品名;プラクセルFM5、株式会社ダイセル製、カプロラクトン鎖繰り返し数t=5)(PCL−FM5)75.0質量部、メルカプトプロピオン酸7.0質量部、AIBN1.0質量部の混合溶液を1.5時間かけて滴下し、さらに3時間反応した。冷却後、この反応溶液をテトラヒドロフラン(THF)200質量部で希釈し、ヘキサン3000質量部で再沈澱することで、白色粉末106.0質量部を得た。次に、この白色粉末50.0質量部に、PGMEA50.0質量部、グリシジルメタクリレート(GMA)3.7質量部、N,N−ジメチルドデシルアミン0.15質量部及びp−メトキシフェノール0.1質量部を加え、空気バブリングを行いながら110℃にて、24時間攪拌した。冷却後、この反応溶液を、ヘキサン3000質量部で再沈澱することで、マクロモノマーNを52.0質量部得た。
得られたマクロモノマーの重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を表5に示す。
【0334】
(合成例22〜23:マクロモノマーO〜Pの製造)
合成例10のマクロモノマーAの製造において、モノマーとして一般式(III)で表される構成単位を誘導するモノマー1.0質量部とMMA99.0質量部を用いる代わりに、表5に示すようにモノマーの種類及び質量比の少なくとも一方を変更して用いた以外は、合成例10と同様にして、マクロモノマーO〜Pを製造した。得られたマクロモノマーの重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を表5に示す。
【0335】
マクロモノマーQとしては、PEG鎖を有するモノマーとして、日油製の商品名:ブレンマーPME−4000(PEG鎖の繰り返し数s=90)を準備した。
【0336】
【表5】
なお、表中の略号は以下の通りである。
PEG鎖を有するモノマー(s=30);日油製、商品名:ブレンマーPSE−1300、一般式(III)中のR
4はCH3、A
3はCOO、R
5はエチレン基、R
6はC
18H
37、PEG鎖の繰り返し数s=30
PEG鎖を有するモノマー(s=45);Evonik製、商品名:VISIOMER MPEG 2005 MA W、一般式(III)中のR
4はCH
3、A
3はCOO、R
5はエチレン基、R
6はCH
3、PEG鎖の繰り返し数s=45
PEG鎖を有するモノマー(s=17);Evonik製、商品名:VISIOMER MPEG 750 MA W、PEG鎖の繰り返し数s=17
PEG鎖を有するモノマー(s=9);日油製、商品名:ブレンマーPME−400、PEG鎖の繰り返し数s=9
PEG鎖を有するモノマー(s=3);東京化成工業製、商品名:トリエチレングリコールモノエチルエーテルメタクリレート、PEG鎖の繰り返し数s=3
カプロラクトン変性ヒドロキシエチルメタクリレート(t=5);株式会社ダイセル製、商品名:プラクセルFM5、カプロラクトン鎖繰り返し数t=5
PEG鎖を有するモノマー(s=90);日油製、商品名:ブレンマーPME−4000、PEG鎖の繰り返し数s=90
BMA;n−ブチルメタクリレート
2−EHMA;2−エチルヘキシルメタクリレート
BzMA;ベンジルメタクリレート
【0337】
(製造例1:グラフト共重合体Aの製造)
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、PGMEA63.1質量部を仕込み、窒素気流下攪拌しながら、温度85℃に加温した。合成例10のマクロモノマーA溶液141質量部(有効固形分70.5質量部)、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル(DMMA)29.5質量部、n−ドデシルメルカプタン1.24質量部、PGMEA49.4質量部、AIBN1.0質量部の混合溶液を1.5時間かけて滴下し、3時間加熱攪拌したのち、AIBN0.10質量部 、PGMEA6.0質量部の混合液を10分かけて滴下し、さらに同温で1時間熟成することで、グラフト共重合体Aの35.0質量%溶液を得た。得られたグラフト共重合体Aは、GPC測定の結果、重量平均分子量(Mw)10000であった。なおアミン価は105mgKOH/gであった。
【0338】
(製造例2〜15:グラフト共重合体B〜Qの製造)
製造例1において、マクロモノマーA有効固形分70.5質量部とDMMA29.5質量部とを用いる代わりに、表6に示すように、マクロモノマーの種類及びマクロモノマーとDMMAの質量比を変更した以外は、製造例1と同様にして、グラフト共重合体B〜Qを製造した。得られたグラフト共重合体B〜Qの重量平均分子量(Mw)及び変性前アミン価を表6に示す。
【0339】
【表6】
【0340】
(調製例1:アルカリ可溶性樹脂Bの調製)
重合槽に、PGMEAを300質量部仕込み、窒素雰囲気下で100℃に昇温した後、メタクリル酸2−フェノキシエチル(PhEMA)90質量部、MMA54質量部、メタクリル酸(MAA)36質量部及びパーブチルO(日油株式会社製)6質量部、連鎖移動剤(n−ドデシルメルカプタン)2質量部を1.5時間かけて連続的に滴下した。その後、100℃を保持して反応を続け、上記主鎖形成用混合物の滴下終了から2時間後に重合禁止剤として、p−メトキシフェノール0.1質量部を添加して重合を停止した。
次に、空気を吹き込みながら、エポキシ基含有化合物としてメタクリル酸グリシジル(GMA)20質量部を添加して、110℃に昇温した後、トリエチルアミン0.8質量部を添加して110℃で15時間付加反応させ、アルカリ可溶性樹脂B溶液(重量平均分子量(Mw)8500、酸価75mgKOH/g、固形分40質量%)を得た。なお、重量平均分子量及び酸価は、アルカリ可溶性樹脂Aと同様の方法により測定した。
【0341】
(実施例50)
(1)色材分散液50の製造
分散剤として製造例1のグラフト共重合体Aを9.29質量部、色材としてC.I.ピグメントブルー15:6(商品名 FASTOGEN BLUE A510、DIC(株)製)を11.7質量部、C.I.ピグメントバイオレット23(商品名 Hostaperm Violet RL−NF、クラリアント社製)を1.3質量部、調製例1で得られたアルカリ可溶性樹脂B溶液を14.63質量部(固形分換算で5.85質量部)、PGMEAを63.09質量部、粒径2.0mmジルコニアビーズ100質量部をマヨネーズビンに入れ、予備解砕としてペイントシェーカー(浅田鉄工(株)製)にて1時間振とうし、次いで粒径2.0mmジルコニアビーズを取り出し、粒径0.1mmのジルコニアビーズ200質量部を加えて、同様に本解砕としてペイントシェーカーにて4時間分散を行い、色材分散液50を得た。
【0342】
(2)カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物1の製造
上記(1)で得られた色材分散液50を9.77質量部、調製例1で得られたアルカリ可溶性樹脂B溶液を0.28質量部(固形分換算で0.11質量部)、光重合性化合物(商品名アロニックスM−403、東亞合成(株)社製)を0.99質量部、光開始剤として合成例1で得られた化合物Aを0.12質量部、フッ素系界面活性剤(商品名メガファックR−08MH、DIC(株)製)を0.07質量部、PGMEAを8.73質量部加え、カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物50を得た。
【0343】
(実施例
又は参考例51〜74、比較例3、4)
実施例50において、分散剤として、製造例1で得られたグラフト共重合体Aに代えて、製造例2〜15で得られたグラフト共重合体B〜Q又は合成例5で得られたブロック共重合体Aを表7に従って用い、更に、実施例58〜65においては、光開始剤として、合成例1で得られた化合物A 0.12質量部に代えて、表7に従って2種類の光開始剤を0.06質量部ずつ用い、比較例3〜4においては、光開始剤として、合成例1で得られた化合物A 0.12質量部に代えて、Irg907(商品名 イルガキュア907、BASF製、分子量279.40)0.12質量部を用いた以外は、実施例50と同様にして、実施例
又は参考例51〜74のカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物51〜74、及び比較例3〜4の比較着色樹脂組成物3〜4を得た。
【0344】
(実施例75)
実施例50において、色材として、C.I.ピグメントブルー15:6を11.7質量部及びC.I.ピグメントバイオレット23を1.3質量部に代えて、C.I.ピグメントレッド254(商品名 Hostaperm Red D2B−COF LV3781、クラリアント社製)を13.0質量部用いた以外は、実施例50と同様にして、実施例75のカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物75を得た。
【0345】
(実施例
又は参考例76〜99、比較例5〜6)
実施例75において、分散剤として、製造例1で得られたグラフト共重合体Aに代えて、製造例2〜15で得られたグラフト共重合体B〜Q又は合成例5で得られたブロック共重合体Aを表8に従って用い、更に、実施例83〜90においては、光開始剤として、合成例1で得られた化合物A 0.12質量部に代えて、表8に従って2種類の光開始剤を0.06質量部ずつ用い、比較例5〜6においては、光開始剤として、合成例1で得られた化合物A 0.12質量部に代えて、Irg907(商品名 イルガキュア907、BASF製、分子量279.40)0.12質量部を用いた以外は、実施例75と同様にして、実施例
又は参考例76〜99のカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物76〜99、及び比較例5〜6の比較着色樹脂組成物5〜6を得た。
【0346】
(実施例100)
実施例50において、色材として、C.I.ピグメントブルー15:6を11.7質量部、及びC.I.ピグメントバイオレット23を1.3質量部に代えて、C.I.ピグメントグリーン59(商品名 FASTOGEN GREEN C100、DIC(株)製)を9.10質量部、及びC.I.ピグメントイエロー150(LEVASCREEN YELLOW TP LXS 51084、山陽色素(株)製))を3.90質量部用いた以外は、実施例50と同様にして、実施例100のカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物100を得た。
【0347】
(実施例
又は参考例101〜124、比較例7〜8)
実施例100において、分散剤として、製造例1で得られたグラフト共重合体Aに代えて、製造例2〜15で得られたグラフト共重合体B〜Q又は合成例5で得られたブロック共重合体Aを表9に従って用い、更に、実施例108〜115においては、光開始剤として、合成例1で得られた化合物A 0.12質量部に代えて、表9に従って2種類の光開始剤を0.06質量部ずつ用い、比較例7〜8においては、光開始剤として、合成例1で得られた化合物A 0.12質量部に代えて、Irg907(商品名 イルガキュア907、BASF製、分子量279.40)0.12質量部を用いた以外は、実施例100と同様にして、実施例
又は参考例101〜124のカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物101〜124、及び比較例7〜8の比較着色樹脂組成物7〜8を得た。
【0348】
[評価]
<耐溶剤性(耐NMP性)評価>
表7〜9に示す各実施例及び各比較例で得られた感光性着色樹脂組成物を、それぞれガラス基板(NHテクノグラス(株)社製、「NA35」)上に、スピンコーターを用いてポストベーク後に厚さ2.0μmの着色層を形成する膜厚で塗布した後、ホットプレートを用いて80℃で3分間乾燥することにより、ガラス基板上に着色層を形成した。この着色層に超高圧水銀灯を用いて60mJ/cm
2の紫外線を照射した。
次に、当該着色基板を230℃のクリーンオーブンで30分間ポストベークし、着色基板を作成した。得られた着色基板の膜厚を測定した後、NMPに30分間浸漬した後、風乾し、再び膜厚を測定した。なお、膜厚測定には、触針式段差膜厚計「P−15Tencor」(Instruments製)を用いた。
(耐NMP性評価基準)
◎◎◎:NMP浸漬時間60分の条件にしたときの、NMP浸漬前後の膜厚の変化率が2%未満
◎◎:NMP浸漬前後の膜厚の変化率が2%未満
◎:NMP浸漬前後の膜厚の変化率が2%以上5%未満
△:NMP浸漬前後の膜厚の変化率が5%以上8%未満
×:NMP浸漬前後の膜厚の変化率が8%以上
評価結果が◎であれば耐NMP性は良好であり、評価結果が◎◎、更に◎◎◎であれば耐NMP性に優れている。
【0349】
また、表7〜9に示す各実施例及び各比較例で得られた感光性着色樹脂組成物について、上述した昇華性及び現像残渣の評価も行った。
【0350】
【表7】
【0351】
【表8】
【0352】
【表9】
【0353】
[結果のまとめ]
表7に示す実施例50〜70、表8に示す実施例75〜95、及び表9に示す実施例100〜120は、光開始剤として、前記一般式(1)で表される化合物を用い、分散剤として、前記一般式(I)で表される構成単位と前記一般式(II)で表される構成単位とを有するグラフト共重合体又は塩型グラフト共重合体を用いた。これらの実施例は、分散剤として、グラフト鎖の構造が前記一般式(II)で特定するポリマー鎖とは異なるグラフト共重合体又は塩型グラフト共重合体を用いた表7に示す
参考例71〜73、表8に示す
参考例96〜98、及び表9に示す
参考例121〜123と比べると、現像残渣の発生が抑制され、耐NMP性が向上していた。これにより、本発明のカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物において、分散剤として、前記一般式(I)で表される構成単位と前記一般式(II)で表される構成単位とを有するグラフト共重合体又は塩型グラフト共重合体を用いると、現像残渣が抑制され、耐NMP性に優れた感光性着色樹脂組成物が得られることが明らかにされた。
また、光開始剤として、前記一般式(1)で表される化合物のみを用いた、又は、前記一般式(1)で表される化合物と、オキシムエステル系光開始剤及びα−アミノケトン系光開始剤からなる群から選択される1種以上とを組み合わせて用い、且つ、分散剤として、グラフト共重合体H又はグラフト共重合体Kを用いた表7に示す実施例57〜63及び65〜66、表8に示す実施例82〜88及び90〜91、及び表9に示す実施例107〜113及び115〜116は、現像残渣抑制効果及び耐NMP性向上効果に特に優れていた。これにより、光開始剤として、前記一般式(1)で表される化合物を用い、更にその他の光開始剤を含む場合は、オキシムエステル系光開始剤及びα−アミノケトン系光開始剤からなる群から選択される1種以上を用い、分散剤としては、グラフト共重合体H及びグラフト共重合体Kのような、前記一般式(II)で表される構成単位中のポリマー鎖の構成単位に、sが19以上80以下の前記一般式(III)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種と、sが3以上10以下の前記一般式(III)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種とを組み合わせて含有するグラフト共重合体又は塩型グラフト共重合体を用いた場合は、現像残渣を抑制し、耐NMP性を向上する効果が顕著であることが明らかにされた。なお、光開始剤として、前記一般式(1)で表される化合物と、前記化合物Eとを組み合わせて用いた表7に示す実施例64、表8に示す実施例89、及び表9に示す実施例114においては、前記化合物Eにより感度が低下したため、耐NMP性が向上しにくかったと考えられる。
一方、光開始剤として、Irg907のみを用いた表7に示す比較例3、4、表8に示す比較例5、6、表9に示す比較例7、8をそれぞれ対比すると、分散剤として、ブロック共重合体を用いた場合に比べ、前記特定のグラフト共重合体を用いた場合は、現像残渣が抑制されているものの、耐NMP性は向上していなかった。これにより、分散剤として、前記一般式(I)で表される構成単位と前記一般式(II)で表される構成単位とを有し、前記一般式(II)で表される構成単位中のポリマー鎖の構成単位に、sが19以上80以下の前記一般式(III)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種と、sが3以上10以下の前記一般式(III)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種とを組み合わせて含有するグラフト共重合体又は塩型グラフト共重合体を用いることにより、耐NMP性が顕著に向上する効果が得られるのは、光開始剤として、前記一般式(1)で表される化合物のみを用いた場合、及び、前記一般式(1)で表される化合物と、その他の光開始剤としてオキシムエステル系光開始剤及びα−アミノケトン系光開始剤からなる群から選択される1種以上とを用いた場合に特有の効果であることが明らかにされた。
色材と、アルカリ可溶性樹脂と、光重合性化合物と、光開始剤と、溶剤とを含有し、前記光開始剤が、下記一般式(1)で表される化合物を含有する、カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物を提供する。