【文献】
山 滋,GPS情報,エレクトロニクスライフ,日本,日本放送出版協会,1996年 3月 1日,3月号,pp.18-21
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
コンピュータを用いて、天体上の位置空間を複数の均等なブロックに分割し、ブロックを構成する所定の長さを有する単位グリッドごとに重複することのない固有の識別子を付する位置空間識別方法であって、
前記コンピュータが、
任意の座標原点の設定を受け付ける工程と、
設定を受け付けた座標原点を通過する経線を単位グリッドの一辺の長さで分割し、分割された単位グリッド間の緯度値を算出する工程と、
単位グリッド間の緯度値を天体の経線方向に一周分累積した場合の累積誤差を算出する工程と、
算出された累積誤差に基づいて1単位グリッド当たりの誤差を算出する工程と、
算出された1単位グリッド当たりの誤差に基づいて、1ブロック当たりの基準誤差が累積誤差の1000分の1以下となるよう1ブロックの経線方向に含まれる単位グリッド数を特定する工程と、
特定された単位グリッド数で定まる1ブロックごとに前記座標原点からの基準緯度を順次設定する工程と、
設定を受け付けた座標原点から前記基準緯度ごとの緯線を単位グリッドの一辺の長さで分割し、前記緯線ごとに分割された単位グリッド間の経度値を算出する工程と、
前記緯線ごとの経度値を天体の緯線方向に一周分累積した場合の累積誤差を算出する工程と、
前記緯線ごとに算出された累積誤差に基づいて、前記緯線ごとに1単位グリッド当たりの誤差を算出する工程と、
算出された1単位グリッド当たりの誤差に基づいて、1ブロック当たりの基準誤差が累積誤差の1000分の1以下となるよう前記緯線ごとに1ブロックの緯線方向に含まれる単位グリッド数を特定する工程と、
特定された単位グリッド数で定まる1ブロックごとに、前記緯線ごとの基準経度を順次設定する工程と、
設定された基準緯度と基準経度とに基づいて前記座標原点から順次基準点を特定する工程と、
特定された基準点を頂点としたブロック内に配置されている単位グリッドごとに固有の識別子を付与する工程と
を含むことを特徴とする位置空間識別方法。
前記座標原点から前記基準点で囲まれたブロックを全周にわたって配置した場合に重複が生じる前記座標原点近傍では、重複する単位グリッドに固有の識別子が既に付与されているか否かを判断し、既に付与されていると判断された場合には、既に付与されている固有の識別子を該単位グリッドの識別子として選択することを特徴とする請求項1又は2に記載の位置空間識別方法。
前記基準緯度又は前記基準経度に相当する天体表面上での距離を単位高さとして前記単位グリッドに高さを付加した単位三次元グリッドを構成し、三次元空間における位置空間に対して単位三次元グリッドごとに固有の識別子を付与することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の位置空間識別方法。
天体上の位置空間を複数の均等なブロックに分割し、ブロックを構成する所定の長さを有する単位グリッドごとに重複することのない固有の識別子を付する位置空間識別子付与装置であって、
任意の座標原点の設定を受け付ける座標原点受付手段と、
設定を受け付けた座標原点を通過する経線を単位グリッドの一辺の長さで分割し、分割された単位グリッド間の緯度値を算出する緯度値算出手段と、
単位グリッド間の緯度値を天体の経線方向に一周分累積した場合の累積誤差を算出する緯度値累積誤差算出手段と、
算出された累積誤差に基づいて1単位グリッド当たりの誤差を算出する緯度値グリッド誤差算出手段と、
算出された1単位グリッド当たりの誤差に基づいて、1ブロック当たりの基準誤差が累積誤差の1000分の1以下となるよう1ブロックの経線方向に含まれる単位グリッド数を特定する経線方向グリッド数特定手段と、
特定された単位グリッド数で定まる1ブロックごとに前記座標原点からの基準緯度を順次設定する基準緯度設定手段と、
設定を受け付けた座標原点から前記基準緯度ごとの緯線を単位グリッドの一辺の長さで分割し、前記緯線ごとに分割された単位グリッド間の経度値を算出する経度値算出手段と、
前記緯線ごとの経度値を天体の緯線方向に一周分累積した場合の累積誤差を算出する経度値累積誤差算出手段と、
前記緯線ごとに算出された累積誤差に基づいて、前記緯線ごとに1単位グリッド当たりの誤差を算出する経度値グリッド誤差算出手段と、
算出された1単位グリッド当たりの誤差に基づいて、1ブロック当たりの基準誤差が累積誤差の1000分の1以下となるよう前記緯線ごとに1ブロックの緯線方向に含まれる単位グリッド数を特定する緯線方向グリッド数特定手段と、
特定された単位グリッド数で定まる1ブロックごとに、前記緯線ごとの基準経度を順次設定する基準経度設定手段と、
設定された基準緯度と基準経度とに基づいて前記座標原点から順次基準点を特定する基準点特定手段と、
特定された基準点を頂点としたブロック内に配置されている単位グリッドごとに固有の識別子を付与する識別子付与手段と
を備えることを特徴とする位置空間識別子付与装置。
前記座標原点から前記基準点で囲まれたブロックを全周にわたって配置した場合に重複が生じる前記座標原点近傍では、重複する単位グリッドに固有の識別子が既に付与されているか否かを判断する識別子判断手段と、
該識別子判断手段で既に付与されていると判断された場合には、既に付与されている固有の識別子を該単位グリッドの識別子として選択する識別子選択手段と
を備えることを特徴とする請求項5又は6に記載の位置空間識別子付与装置。
天体上の位置空間を複数の均等なブロックに分割し、ブロックを構成する所定の長さを有する単位グリッドごとに重複することのない固有の識別子を付する位置空間識別子付与装置を構成するコンピュータで実行することが可能なコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータを、
任意の座標原点の設定を受け付ける座標原点受付手段、
設定を受け付けた座標原点を通過する経線を単位グリッドの一辺の長さで分割し、分割された単位グリッド間の緯度値を算出する緯度値算出手段、
単位グリッド間の緯度値を天体の経線方向に一周分累積した場合の累積誤差を算出する緯度値累積誤差算出手段、
算出された累積誤差に基づいて1単位グリッド当たりの誤差を算出する緯度値グリッド誤差算出手段、
算出された1単位グリッド当たりの誤差に基づいて、1ブロック当たりの基準誤差が累積誤差の1000分の1以下となるよう1ブロックの経線方向に含まれる単位グリッド数を特定する経線方向グリッド数特定手段、
特定された単位グリッド数で定まる1ブロックごとに前記座標原点からの基準緯度を順次設定する基準緯度設定手段、
設定を受け付けた座標原点から前記基準緯度ごとの緯線を単位グリッドの一辺の長さで分割し、前記緯線ごとに分割された単位グリッド間の経度値を算出する経度値算出手段、
前記緯線ごとの経度値を天体の緯線方向に一周分累積した場合の累積誤差を算出する経度値累積誤差算出手段、
前記緯線ごとに算出された累積誤差に基づいて、前記緯線ごとに1単位グリッド当たりの誤差を算出する経度値グリッド誤差算出手段、
算出された1単位グリッド当たりの誤差に基づいて、1ブロック当たりの基準誤差が累積誤差の1000分の1以下となるよう前記緯線ごとに1ブロックの緯線方向に含まれる単位グリッド数を特定する緯線方向グリッド数特定手段、
特定された単位グリッド数で定まる1ブロックごとに、前記緯線ごとの基準経度を順次設定する基準経度設定手段、
設定された基準緯度と基準経度とに基づいて前記座標原点から順次基準点を特定する基準点特定手段、及び
特定された基準点を頂点としたブロック内に配置されている単位グリッドごとに固有の識別子を付与する識別子付与手段
として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1では、緯度経度情報と対応付けた識別子を対応テーブルとして記憶しており、テーブル事態を共有しているユーザ間でしか共通の識別子を用いて緯度経度情報を特定することができない。つまり、異なる対応テーブルを用いる場合には識別子を共通化することができず、緯度経度情報を共有することができないという問題点があった。しかも、識別子に対応付けた緯度経度情報はブロック化することもできるのに対して、ブロックの大きさが統一されているわけでもないので、ブロックサイズの異なるユーザ間では対応テーブル事態が相違することになる。したがって、同じ緯度及び経度であっても、対応付けられる識別子が相違するので、緯度経度情報を共有することができなくなるという問題点もあった。
【0007】
また、緯度経度情報だけではなく、高さ情報を付加することにより、容易に三次元空間の識別子を割り当てるよう拡張することもできる。しかし、三次元空間を識別する場合であっても、上述した問題点は解消しない。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、緯度経度情報、あるいは高さ情報も含まれる場合であっても、個々の位置空間に対して互いに重複することがない固有の識別子を付与することが可能な位置空間識別方法、位置空間識別子付与装置及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明に係る位置空間識別方法は、コンピュータを用いて、天体上の位置空間を複数の均等なブロックに分割し、ブロックを構成する所定の長さを有する単位グリッドごとに重複することのない固有の識別子を付する位置空間識別方法であって、前記コンピュータが、任意の座標原点の設定を受け付ける工程と、設定を受け付けた座標原点を通過する経線を単位グリッドの一辺の長さで分割し、分割された単位グリッド間の緯度値を算出する工程と、単位グリッド間の緯度値を天体の経線方向に一周分累積した場合の累積誤差を算出する工程と、算出された累積誤差に基づいて1単位グリッド当たりの誤差を算出する工程と、算出された1単位グリッド当たりの誤差に基づいて、1ブロック当たりの基準誤差が累積誤差の1000分の1以下となるよう1ブロックの経線方向に含まれる単位グリッド数を特定する工程と、特定された単位グリッド数で定まる1ブロックごとに前記座標原点からの基準緯度を順次設定する工程と、設定を受け付けた座標原点から前記基準緯度ごとの緯線を単位グリッドの一辺の長さで分割し、前記緯線ごとに分割された単位グリッド間の経度値を算出する工程と、前記緯線ごとの経度値を天体の緯線方向に一周分累積した場合の累積誤差を算出する工程と、前記緯線ごとに算出された累積誤差に基づいて、前記緯線ごとに1単位グリッド当たりの誤差を算出する工程と、算出された1単位グリッド当たりの誤差に基づいて、1ブロック当たりの基準誤差が累積誤差の1000分の1以下となるよう前記緯線ごとに1ブロックの緯線方向に含まれる単位グリッド数を特定する工程と、特定された単位グリッド数で定まる1ブロックごとに、前記緯線ごとの基準経度を順次設定する工程と、設定された基準緯度と基準経度とに基づいて前記座標原点から順次基準点を特定する工程と、特定された基準点を頂点としたブロック内に配置されている単位グリッドごとに固有の識別子を付与する工程とを含むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る位置空間識別方法は、前記基準緯度ごとの緯線の長さは、緯度値の余弦と赤道長との積となることが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る位置空間識別方法は、前記座標原点から前記基準点で囲まれたブロックを全周にわたって配置した場合に重複が生じる前記座標原点近傍では、重複する単位グリッドに固有の識別子が既に付与されているか否かを判断し、既に付与されていると判断された場合には、既に付与されている固有の識別子を該単位グリッドの識別子として選択することが好ましい。
【0012】
また、本発明に係る位置空間識別方法は、前記基準緯度又は前記基準経度に相当する天体表面上での距離を単位高さとして前記単位グリッドに高さを付加した単位三次元グリッドを構成し、三次元空間における位置空間に対して単位三次元グリッドごとに固有の識別子を付与することが好ましい。
【0013】
次に、上記目的を達成するために本発明に係る位置空間識別子付与装置は、天体上の位置空間を複数の均等なブロックに分割し、ブロックを構成する所定の長さを有する単位グリッドごとに重複することのない固有の識別子を付する位置空間識別子付与装置であって、任意の座標原点の設定を受け付ける座標原点受付手段と、設定を受け付けた座標原点を通過する経線を単位グリッドの一辺の長さで分割し、分割された単位グリッド間の緯度値を算出する緯度値算出手段と、単位グリッド間の緯度値を天体の経線方向に一周分累積した場合の累積誤差を算出する緯度値累積誤差算出手段と、算出された累積誤差に基づいて1単位グリッド当たりの誤差を算出する緯度値グリッド誤差算出手段と、算出された1単位グリッド当たりの誤差に基づいて、1ブロック当たりの基準誤差が累積誤差の1000分の1以下となるよう1ブロックの経線方向に含まれる単位グリッド数を特定する経線方向グリッド数特定手段と、特定された単位グリッド数で定まる1ブロックごとに前記座標原点からの基準緯度を順次設定する基準緯度設定手段と、設定を受け付けた座標原点から前記基準緯度ごとの緯線を単位グリッドの一辺の長さで分割し、前記緯線ごとに分割された単位グリッド間の経度値を算出する経度値算出手段と、前記緯線ごとの経度値を天体の緯線方向に一周分累積した場合の累積誤差を算出する経度値累積誤差算出手段と、前記緯線ごとに算出された累積誤差に基づいて、前記緯線ごとに1単位グリッド当たりの誤差を算出する経度値グリッド誤差算出手段と、算出された1単位グリッド当たりの誤差に基づいて、1ブロック当たりの基準誤差が累積誤差の1000分の1以下となるよう前記緯線ごとに1ブロックの緯線方向に含まれる単位グリッド数を特定する緯線方向グリッド数特定手段と、特定された単位グリッド数で定まる1ブロックごとに、前記緯線ごとの基準経度を順次設定する基準経度設定手段と、設定された基準緯度と基準経度とに基づいて前記座標原点から順次基準点を特定する基準点特定手段と、特定された基準点を頂点としたブロック内に配置されている単位グリッドごとに固有の識別子を付与する識別子付与手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る位置空間識別子付与装置は、前記基準緯度ごとの緯線の長さは、緯度値の余弦と赤道長との積となることが好ましい。
【0015】
また、本発明に係る位置空間識別子付与装置は、前記座標原点から前記基準点で囲まれたブロックを全周にわたって配置した場合に重複が生じる前記座標原点近傍では、重複する単位グリッドに固有の識別子が既に付与されているか否かを判断する識別子判断手段と、該識別子判断手段で既に付与されていると判断された場合には、既に付与されている固有の識別子を該単位グリッドの識別子として選択する識別子選択手段とを備えることが好ましい。
【0016】
また、本発明に係る位置空間識別子付与装置は、前記基準緯度又は前記基準経度に相当する天体表面上での距離を単位高さとして前記単位グリッドに高さを付加した単位三次元グリッドを構成し、前記識別子付与手段は、三次元空間における位置空間に対して単位三次元グリッドごとに固有の識別子を付与することが好ましい。
【0017】
次に、上記目的を達成するために本発明に係るコンピュータプログラムは、天体上の位置空間を複数の均等なブロックに分割し、ブロックを構成する所定の長さを有する単位グリッドごとに重複することのない固有の識別子を付する位置空間識別子付与装置を構成するコンピュータで実行することが可能なコンピュータプログラムであって、前記コンピュータを、任意の座標原点の設定を受け付ける座標原点受付手段、設定を受け付けた座標原点を通過する経線を単位グリッドの一辺の長さで分割し、分割された単位グリッド間の緯度値を算出する緯度値算出手段、単位グリッド間の緯度値を天体の経線方向に一周分累積した場合の累積誤差を算出する緯度値累積誤差算出手段、算出された累積誤差に基づいて1単位グリッド当たりの誤差を算出する緯度値グリッド誤差算出手段、算出された1単位グリッド当たりの誤差に基づいて、1ブロック当たりの基準誤差が累積誤差の1000分の1以下となるよう1ブロックの経線方向に含まれる単位グリッド数を特定する経線方向グリッド数特定手段、特定された単位グリッド数で定まる1ブロックごとに前記座標原点からの基準緯度を順次設定する基準緯度設定手段、設定を受け付けた座標原点から前記基準緯度ごとの緯線を単位グリッドの一辺の長さで分割し、前記緯線ごとに分割された単位グリッド間の経度値を算出する経度値算出手段、前記緯線ごとの経度値を天体の緯線方向に一周分累積した場合の累積誤差を算出する経度値累積誤差算出手段、前記緯線ごとに算出された累積誤差に基づいて、前記緯線ごとに1単位グリッド当たりの誤差を算出する経度値グリッド誤差算出手段、算出された1単位グリッド当たりの誤差に基づいて、1ブロック当たりの基準誤差が累積誤差の1000分の1以下となるよう前記緯線ごとに1ブロックの緯線方向に含まれる単位グリッド数を特定する緯線方向グリッド数特定手段、特定された単位グリッド数で定まる1ブロックごとに、前記緯線ごとの基準経度を順次設定する基準経度設定手段、設定された基準緯度と基準経度とに基づいて前記座標原点から順次基準点を特定する基準点特定手段、及び特定された基準点を頂点としたブロック内に配置されている単位グリッドごとに固有の識別子を付与する識別子付与手段として機能させることを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係るコンピュータプログラムは、前記基準緯度ごとの緯線の長さは、緯度値の余弦と赤道長との積となることが好ましい。
【0019】
また、本発明に係るコンピュータプログラムは、前記コンピュータを、前記座標原点から前記基準点で囲まれたブロックを全周にわたって配置した場合に重複が生じる前記座標原点近傍では、重複する単位グリッドに固有の識別子が既に付与されているか否かを判断する識別子判断手段、及び該識別子判断手段で既に付与されていると判断された場合には、既に付与されている固有の識別子を該単位グリッドの識別子として選択する識別子選択手段として機能させることが好ましい。
【0020】
また、本発明に係るコンピュータプログラムは、前記基準緯度又は前記基準経度に相当する天体表面上での距離を単位高さとして前記単位グリッドに高さを付加した単位三次元グリッドを構成し、前記識別子付与手段を、三次元空間における位置空間に対して単位三次元グリッドごとに固有の識別子を付与する手段として機能させることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
上記発明によれば、例えば地球のように真の球体ではない天体であっても、基準となる座標原点からブロックの誤差が緯線又は経線全体の累積誤差の1000分の1以下になるように基準点間の距離が決定されるので、座標原点が共通であれば一意に基準点間距離が決まり、基準点で囲まれた位置空間に重複しない固有の識別子を付与することが可能となる。したがって、天体上のすべての位置空間について互いに重複しない固有の識別子を付与することができる。言い換えれば、緯度、経度(あるいは高さも含めて)同一である位置空間については、必ず固有の識別子が共通であるようにできるので、位置情報を用いる複数のアプリケーション間でのデータの受け渡しが容易となり、システムのレスポンスの向上を図ることも可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態に係る位置空間識別子付与装置及び該位置空間識別子付与装置を用いた位置空間識別方法について、図面に基づいて具体的に説明する。以下の実施の形態は、特許請求の範囲に記載された発明を限定するものではなく、実施の形態の中で説明されている特徴的事項の組み合わせの全てが解決手段の必須事項であるとは限らないことは言うまでもない。
【0024】
また、本発明は多くの異なる態様にて実施することが可能であり、実施の形態の記載内容に限定して解釈されるべきものではない。実施の形態を通じて同じ要素には同一の符号を付している。
【0025】
以下の実施の形態では、コンピュータシステムにコンピュータプログラムを導入した位置空間識別子付与装置について説明するが、当業者であれば明らかな通り、本発明はその一部をコンピュータで実行することが可能なコンピュータプログラムとして実施することができる。したがって、本発明は、天体上の位置空間を複数の均等なブロックに分割し、ブロックを構成する所定の長さを有する単位グリッドごとに重複することのない固有の識別子を付与する位置空間識別子付与装置というハードウェアとしての実施の形態、ソフトウェアとしての実施の形態、又はソフトウェアとハードウェアとの組み合わせの実施の形態をとることができる。コンピュータプログラムは、ハードディスク、DVD、CD、光記憶装置、磁気記憶装置等の任意のコンピュータで読み取ることが可能な記録媒体に記録することができる。
【0026】
本発明の実施の形態によれば、例えば地球のように真の球体ではない天体であっても、基準となる座標原点からブロックの誤差が緯線又は経線全体の累積誤差の1000分の1以下になるように基準点間の距離が決定されるので、座標原点が共通であれば一意に基準点間距離が決まり、基準点で囲まれた位置空間に重複しない固有の識別子を付与することが可能となる。したがって、天体上のすべての位置空間について互いに重複しない固有の識別子を付与することができる。言い換えれば、緯度、経度(あるいは高さも含めて)が同一である位置空間については、必ず固有の識別子が共通であるようにできるので、位置情報を用いる複数のアプリケーション間でのデータの受け渡しが容易となり、システムのレスポンスの向上を図ることも可能となる。
【0027】
図1は、本発明の実施の形態に係る位置空間識別子付与装置の構成を模式的に示すブロック図である。本実施の形態に係る位置空間識別子付与装置1は、ユーザが所持して携帯することが可能な携帯型端末装置であっても良いし、携帯型端末装置とデータ通信することが可能に接続されたサーバ等の固定されたコンピュータであっても良い。携帯型端末装置である場合、GPS等によりユーザの現在位置を取得し、現在位置に対する識別子を容易に特定することができる。
【0028】
本実施の形態に係る位置空間識別子付与装置1は、少なくともCPU(中央演算装置)11、メモリ12、記憶装置13、I/Oインタフェース14、ビデオインタフェース15、可搬型メモリドライブ16、通信インタフェース17及び上述したハードウェアを接続する内部バス18で構成されている。
【0029】
CPU11は、内部バス18を介して位置空間識別子付与装置1の上述したようなハードウェア各部と接続されており、上述したハードウェア各部の動作を制御するとともに、記憶装置13に記憶されているコンピュータプログラム100に従って、種々のソフトウェア的機能を実行する。メモリ12は、SRAM、SDRAM等の揮発性メモリで構成され、コンピュータプログラム100の実行時にロードモジュールが展開され、コンピュータプログラム100の実行時に発生する一時的なデータ等を記憶する。
【0030】
記憶装置13は、内蔵される固定型記憶装置(ハードディスク)、ROM等で構成されている。記憶装置13に記憶されたコンピュータプログラム100は、プログラム及びデータ等の情報を記録したDVD、CD−ROM、USBメモリ、SDカード等の可搬型記録媒体90から、可搬型メモリドライブ16によりダウンロードされ、実行時には記憶装置13からメモリ12へ展開して実行される。もちろん、通信インタフェース17を介して接続されている外部コンピュータからダウンロードされたコンピュータプログラムであっても良い。
【0031】
記憶装置13は、識別子記憶部131を備えていても良い。識別子記憶部131は、付与された識別子と対応付けて、位置空間を示す8個の頂点の座標値(緯度、経度、高さ)及び位置空間に関する情報を記憶する。ここで、「位置空間に関する情報」とは、位置空間を形成する8つの頂点の座標値(緯度、経度、高さ)だけでなく、その位置空間を利用するのに役立つ各種の情報、例えば該位置空間に店舗が存在するなら店舗に関する情報(営業時間、新商品、売れ筋商品等に関する情報)等を含む広い概念である。これにより、毎回識別子をキー情報として検索処理を実行することなく必要な情報を取得することができ、頻繁に使用される識別子については、検索処理のレスポンスの向上が見込まれる。
【0032】
通信インタフェース17は内部バス18に接続されており、インターネット、LAN、WAN等の外部のネットワークに接続されることにより、外部コンピュータ等とデータ送受信を行うことが可能となっている。
【0033】
I/Oインタフェース14は、キーボード、マウス等の入力装置と接続され、データの入力を受け付ける。本実施の形態では、位置空間識別子付与装置1を構成するのが可搬可能な携帯型の端末装置(スマートフォン、タブレット等)であることを前提として説明しているので、入力装置はタッチディスプレイ21としている。ビデオインタフェース15は、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ等の表示装置と接続されている。本実施の形態ではタッチディスプレイ21と接続され、例えば自分が存在する位置を地図情報に表示するとともに、識別子として位置空間IDを表示する。
【0034】
まず、本実施の形態における単位グリッドの概念を定義する。
図2は、本発明の実施の形態に係る位置空間識別子付与装置1の単位グリッドの概念図である。
【0035】
図2において、単位グリッドとは、天体上に位置する4頂点で構成される任意の四角形として定義される。具体的には、例えば単位グリッド中の任意の頂点(lat , lng )、そして緯度方向の辺の長さδlat 、経度方向の辺の長さδlng で単位グリッドの位置と大きさを特定している。本実施の形態では、緯度方向の辺の長さδlat 、及び経度方向の辺の長さδlng をそれぞれl(m)としている。
【0036】
単位グリッドごとに、天体上の誤差は生じている。なぜなら、単位グリッドの頂点は平面上の座標であるのに対して、天体上の座標は球面上の座標だからである。そこで、本実施の形態では、単位グリッドと天体とのスケール差に着目し、単位グリッドの集合体であるブロックごとに誤差を有効桁数の範囲内で吸収するよう工夫することにより、天体上の位置空間を互いに重複することなく分割できるようにしている。
【0037】
図3は、本発明の実施の形態に係る位置空間識別子付与装置1の機能ブロック図である。
図3において、位置空間識別子付与装置1の座標原点受付部101は、任意の座標原点の設定、例えば(緯度0度、経度0度)を座標原点として設定を受け付ける。座標原点が共通でありさえすれば、本発明では位置空間を識別する識別子である位置空間IDを共通化することができる。したがって、座標原点を標準化することで、位置空間IDに対して緯度、経度、あるいは高さも含めて一義的に特定することができる。
【0038】
緯度値算出部102は、設定を受け付けた座標原点を通過する経線を単位グリッドの一辺の長さで分割し、分割された単位グリッド間の緯度値を算出する。ここで、単位グリッドとは、一定の辺の長さl(m)を有する正方領域を意味しており、単位グリッド間の緯度値とは、単位グリッドの上辺と下辺との間の緯度の差分を意味している。
【0039】
本実施の形態では、単位グリッドをl(m)四方の正方形と仮定した場合、四捨五入の関数Round(a,b)を用いて1(m)当たりの緯度値を(式1)で算出する。なお、関数Round(a、b)は、aの値を小数点以下の桁数bで四捨五入する関数を意味する。
【0041】
(式1)において、Rは、有効桁数、言い換えれば許容誤差の桁数を、θは、経線に沿った1(m)当たりの緯度値を、それぞれ示している。
図4は、本発明の実施の形態に係る位置空間識別子付与装置1の緯度値算出の説明図である。
【0042】
天体を球体と仮定した場合に、球体の中心点Oから経線上の任意の点を仰ぐ仰角を緯度値θとしている。通常、緯度は、赤道線(緯線)LO
0 を基準として緯線LO
i への仰角として求めるが、(式1)では、経線LA
0 の経線長をLp (m)として1(m)当たりの緯度値θを求めている。
【0043】
図3に戻って、緯度値累積誤差算出部103は、単位グリッド間の緯度値を天体の経線方向に一周分累積した場合の累積誤差を算出する。単位グリッド間の緯度値には、当然のことながら誤差が含まれるので、経線LA
0 に沿って天体一周分の誤差を累積して累積誤差を算出している。累積誤差Elat は、(式2)に示すように算出される。
【0045】
(式2)において、n
θは、経線に沿って配置される単位グリッドの個数を意味しており、単位グリッドの一辺の長さlに応じて変化する。(式2)の但し書きの式により整数化した値である。
【0046】
緯度値グリッド誤差算出部104は、算出された累積誤差に基づいて1単位グリッド当たりの誤差Elat (g)を算出する。具体的には、累積誤差Elat を経線に沿って配置される単位グリッドの個数n
θで除算し、(式3)のように求めることができる。
【0048】
経線方向グリッド数特定部105は、算出された1単位グリッド当たりの誤差Elat (g)に基づいて、1ブロック当たりの基準誤差が累積誤差の有効桁数の範囲内、例えば1000分の1(10
-3)以下となるよう1ブロックの経線方向に含まれる単位グリッド数Nを特定する。有効桁数がRである場合の1ブロックの経線方向に含まれる単位グリッド数Nは、(式4)で求めることができる。なお、(式4)において、‘0.5’は補正値であり、演算処理の発散を未然に回避している。また、(式4)は、算出される単位グリッド数の範囲で最大の整数Nを求めることを意味している。
【0050】
基準緯度設定部106は、特定された単位グリッド数Nで定まる1ブロックごとに座標原点からの基準緯度を順次設定する。すなわち、N個の単位グリッド数でブロックを特定し、ブロック単位で基準緯度を順次設定する。つまり、基準緯度θi (i=0、1、2、3、4、・・・、Round(n
θ/N、0))は、(式5)で求めることができる。
【0052】
経度値算出部107は、設定を受け付けた座標原点から基準緯度ごとの緯線を単位グリッドの一辺の長さで分割し、緯線ごとに分割された単位グリッド間の経度値φ
i を(式6)のように算出する。つまり、地球等の天体は球体であるので、緯線の長さは緯度に応じて相違する。そこで、座標原点から基準緯度ごとに緯線長を算出し、それぞれの緯線長に基づいて経度値をそれぞれ算出する。
【0054】
図5は、本発明の実施の形態に係る位置空間識別子付与装置1の経度値算出の説明図である。
図5に示すように、経度値φは、赤道線(緯線)LO
0 に対しては座標原点を通る経線LA
0 から経度値を求める対象となる経線LA
i までの角度φとして求める。ただし、天体を球体と仮定した場合、緯線は緯度値に応じて緯線長が相違する。したがって、赤道線LO
0 上で経度値φ
0 を求めるのと同様に、基準緯度ごとに定まる緯線LO
i 上で経度値φ
i を求めれば良い。この作業を基準緯度ごとに定まるすべての緯線について行う。
【0055】
図3に戻って、経度値累積誤差算出部108は、緯線ごとの経度値を天体の緯線方向に一周分累積した場合の累積誤差を算出する。経度値には、当然のことながら誤差が含まれるので、それぞれ経度値φ
i を求めた緯線LOi に沿って天体一周分の誤差を累積して累積誤差を算出している。累積誤差Elng_i は、(式7)に示すように算出される。
【0057】
(式7)において、n
φ_iは、それぞれの緯線に沿って配置される単位グリッドの個数を意味しており、単位グリッドの一辺の長さlに応じて変化する。(式7)の但し書きの式により整数化した値である。
【0058】
経度値グリッド誤差算出部109は、緯線ごとに算出された累積誤差に基づいて、緯線ごとに1単位グリッド当たりの誤差Elng_i (g)を算出する。具体的には、累積誤差Elng_i を経線に沿って配置される単位グリッドの個数n
φ_iで除算し、(式8)のように求めることができる。
【0060】
緯線方向グリッド数特定部110は、算出された1単位グリッド当たりの誤差Elng_i (g)に基づいて、1ブロック当たりの基準誤差が累積誤差の有効桁数の範囲内、例えば1000分の1(10
-3)以下となるよう緯線ごとに1ブロックの緯線方向に含まれる単位グリッド数Ni を特定する。有効桁数がRである場合の1ブロックの経線方向に含まれる単位グリッド数Ni は、(式9)で求めることができる。なお、(式9)において、‘0.5’は補正値であり、演算処理の発散を未然に回避している。また、(式9)は、算出される単位グリッド数の範囲で最大の整数Ni を緯線ごとに求めることを意味している。
【0062】
基準経度設定部111は、特定された単位グリッド数Ni で定まる1ブロックごとに座標原点からの基準経度を順次設定する。すなわち、Ni 個の単位グリッド数でブロックを特定し、ブロック単位で基準経度を順次設定する。つまり、基準経度φj (i=0、1、2、3、4、・・・、Round(n
θ/N、0)、j=0、1、2、3、4、・・・、Round(n
φ_i/N
φ_i、0))は、(式10)で求めることができる。
【0064】
基準点特定部112は、設定された基準緯度と基準経度とに基づいて座標原点から順次基準点を特定する。
図6は、本発明の実施の形態に係る位置空間識別子付与装置1の基準点の特定方法の説明図である。
【0065】
図6に示すように、座標原点Pの座標値を(θ
0 、φ
0 )とすると、経線方向には(式5)に示す緯度値θがブロック単位で変化する点が基準点となる。例えば経度値φ
0 上の基準点は、座標原点Pから順に(θ
1 、φ
0 )、(θ
2 、φ
0 )、・・・となる。
【0066】
一方、緯線方向には(式10)に示す経度値φがブロック単位で変化する点が基準点となる。例えば経度値φ
0 上の基準点は、座標原点Pから順に(θ
0 、φ
1 )、(θ
0 、φ
2 )、・・・となる。
【0067】
図3に戻って、識別子付与部113は、特定された基準点を頂点としたブロック内に配置されている単位グリッドごとに固有の識別子を付与する。
図6でのブロック61を構成する単位グリッド62ごとにそれぞれ互いに異なる識別子、例えばグリッドIDを付与する。
【0068】
このように基準点を特定することで、座標原点が標準化されていれば、基準点も必ず同一となる。したがって、例えばどの機関で作成された地図情報であっても、基準点自体を容易に統一することができ、共通の識別子を付与することが可能となる。
【0069】
図7及び
図8は、本発明の実施の形態に係る位置空間識別子付与装置1の位置空間に対する固有の識別子の付与処理の手順を示すフローチャートである。まず
図7において、本実施の形態に係る位置空間識別子付与装置1のCPU11は、任意の座標原点の設定、例えば(緯度0度、経度0度)を座標原点として設定を受け付ける(ステップS701)。座標原点が共通でありさえすれば、本発明では位置空間を識別する識別子である位置空間IDを共通化することができる。したがって、座標原点を標準化することで、位置空間IDに対して緯度、経度、あるいは高さも含めて一義的に特定することができる。
【0070】
CPU11は、設定を受け付けた座標原点を通過する経線を単位グリッドの一辺の長さで分割し、分割された単位グリッド間の緯度値を算出する(ステップS702)。CPU11は、単位グリッド間の緯度値を天体の経線方向に一周分累積した場合の累積誤差を算出する(ステップS703)。
【0071】
CPU11は、算出された累積誤差に基づいて1単位グリッド当たりの誤差Elat (g)を算出し(ステップS704)、1ブロック当たりの基準誤差が累積誤差の有効桁数の範囲外、例えば1000分の1(10
-3)以下となるよう1ブロックの経線方向に含まれる単位グリッド数Nを特定する(ステップS705)。累積誤差の有効桁数の範囲を外れるよう1ブロック当たりの単位グリッド数Nを特定しているので、生じている1ブロック当たりの基準誤差は生じていないとみなすことができる。
【0072】
CPU11は、特定された単位グリッド数Nで定まる1ブロックごとに座標原点からの基準緯度を順次設定する(ステップS706)。具体的には、N個の単位グリッド数で1ブロックが構成されるので、座標原点からブロックごとに基準緯度を順次設定することで、ブロックごとの経線方向の基準点を設定することができる。
【0073】
図8において、CPU11は、設定を受け付けた座標原点から基準緯度ごとの緯線を単位グリッドの一辺の長さで分割し、緯線ごとに分割された単位グリッド間の経度値を算出する(ステップS801)。つまり、地球等の天体は球体であるので、緯線の長さは緯度に応じて相違する。そこで、座標原点から基準緯度ごとに緯線長を算出し、それぞれの緯線長に基づいて経度値をそれぞれ算出する。
【0074】
CPU11は、緯線ごとの経度値を天体の緯線方向に一周分累積した場合の累積誤差を、緯線ごとに算出する(ステップS802)。CPU11は、緯線ごとに算出された累積誤差に基づいて、緯線ごとに1単位グリッド当たりの誤差を算出する(ステップS803)。
【0075】
CPU11は、算出された1単位グリッド当たりの誤差に基づいて、緯線ごとに、1ブロック当たりの基準誤差が累積誤差の有効桁数の範囲内、例えば1000分の1(10
-3)以下となるよう1ブロックの緯線方向に含まれる単位グリッド数を特定する(ステップS804)。
【0076】
CPU11は、特定された単位グリッド数で定まる1ブロックごとに座標原点からの基準経度を順次設定する(ステップS805)。具体的には、緯線ごとにNi 個の単位グリッド数で1ブロックが構成されるので、座標原点及び座標原点を通る経線と各緯線との交点からブロックごとに、緯線ごとの基準経度を順次設定することで、ブロックごとの緯線方向の基準点を緯線ごとに設定することができる。
【0077】
CPU11は、設定された基準緯度と基準経度とに基づいて座標原点から順次基準点を特定する(ステップS806)。CPU11は、特定された基準点を頂点としたブロック内に配置されている単位グリッドごとに固有の識別子を付与する(ステップS807)。
【0078】
なお、
図6からもわかるように、基準点の座標値には、緯度方向のブロック単位での誤差64及び経度方向のブロック単位での誤差63が含まれている。つまり、基準点を特定する段階で、無視できる大きさの誤差になるように1ブロックに含まれる単位グリッド数を定めている。
【0079】
このように天体の経線上、あるいは緯線上にブロックを並べて配置すると、一周した場合に重なる部分が生じうる。そこで、本実施の形態に係る位置空間識別子付与装置1では、座標原点近傍では、重複する単位グリッドが存在する可能性があるので、固有の識別子が既に付与されているか否かを判断し、付与されていると判断された場合には、既に付与されている固有の識別子を該単位グリッドの識別子として選択する。
【0080】
図9は、本発明の実施の形態に係る位置空間識別子付与装置1の識別子付与部113の機能ブロック図である。
図9に示すように、識別子付与部113は、識別子判断部114及び識別子選択部115を備えている。
【0081】
識別子判断部114は、座標原点から基準点で囲まれたブロックを全周にわたって配置した場合に重複が生じる座標原点近傍において、重複する単位グリッドに固有の識別子が既に付与されているか否かを判断する。
【0082】
識別子選択部115は、識別子判断部114において既に付与されていると判断された場合に、既に付与されている固有の識別子を該単位グリッドの識別子として選択する。これにより、グリッドに重複が生じた場合であっても固有の識別子を付与することができる。
【0083】
以上のように本実施の形態によれば、例えば地球のように真の球体ではない天体であっても、基準となる座標原点からブロックの誤差が緯線又は経線全体の累積誤差の1000分の1以下になるように基準点間の距離が決定されるので、座標原点が共通であれば一意に基準点間距離が決まり、基準点で囲まれた位置空間に重複しない固有の識別子を付与することが可能となる。したがって、天体上のすべての位置空間について互いに重複しない固有の識別子を付与することができる。言い換えれば、緯度、経度(あるいは高さも含めて)同一である位置空間については、必ず固有の識別子が共通であるようにできるので、位置情報を用いる複数のアプリケーション間でのデータの受け渡しが容易となり、システムのレスポンスの向上を図ることも可能となる。
【0084】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内であれば多種の変更、改良等が可能である。例えば上述した実施例では、天体の地面を基準として地面上において区分された位置について識別子を付与している。しかし、特にこれに限定されるものではなく、高さ方向の情報を付加することで、空間についても同様に固有の識別子を付与することも可能となる。
【0085】
例えば単位高さとして上述した方法で算出した基準緯度又は基準経度に相当する天体表面上での距離を採用することにより、高さ方向にも基準点を設定することができる。
図10は、本発明の実施の形態に係る位置空間識別子付与装置1の基準点で定まる三次元ブロックの例示図である。
【0086】
図10に示すように、基準緯度に対応する長さ91と基準経度に対応する長さ92とで、座標原点Pを基準として天体上の地面に基準点が設定されている。基準点を頂点とした四角形の上方に基準緯度に対応する長さ91又は基準経度に対応する長さ92と同じ高さに新たな基準点を設定する。高さ方向に順次基準点を設定していき、8頂点で囲まれた直方領域を三次元ブロック93として定義する。
【0087】
三次元ブロック93内に、一辺l(m)の正方領域である単位三次元グリッド94を配置することにより、単位三次元グリッド94に位置ごとに識別子を付与することができる。すなわち、識別子付与部113は、三次元空間における位置空間に対して単位三次元グリッド94ごとに固有の識別子を付与することができ、天体上の位置空間すべてに対して、固有の識別子を付与することが可能となる。
【0088】
また、付与された識別子を都度、累積的に記憶する識別子記憶部131を備えることが好ましい。識別子記憶部131には、付与された識別子と対応付けて、位置空間を示す8個の頂点の緯度、経度、高さに関する情報が記憶されている。これにより、一度識別子が付与された位置空間については再度識別子を付与するべく演算処理を実行する必要がなく、頻繁に使用される位置空間については、識別子単位であらゆる情報処理を実行することができ、レスポンスの向上が見込まれる。
座標原点を通過する経線を単位グリッドの一辺の長さで分割し、単位グリッド間の緯度値を算出する。単位グリッド間の緯度値を天体の経線方向に一周分累積した場合の累積誤差を算出し、算出された累積誤差に基づいて1単位グリッド当たりの誤差を算出する。1ブロック当たりの基準誤差が累積誤差の1000分の1以下となるよう1ブロックの経線方向に含まれる単位グリッド数を特定して基準緯度を設定する。設定された基準緯度に基づいて定まる緯線ごとに同様の演算処理により基準経度を設定し、設定された基準緯度と基準経度とに基づいて座標原点から順次基準点を特定し、基準点を頂点としたブロック内に配置されている単位グリッドごとに固有の識別子を付与する。