【文献】
グランプリみたいにピックでバトル!中の人って誰がうまいのか?うまい王決定戦![モンスト公式],YouTube [online][video],2018年 6月13日,主に10:09-10:11、13:00-13:02を参照、[2020年6月5日検索],URL, https://www.youtube.com/watch?v=3ZJD2PMYf50
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の一例を例示するものであって、当該実施形態の具体的構成に本発明を限定するものではない。従って、本発明の実施にあたっては、本発明の目的を達成する前提において、適切な具体的構成を採用できる。
【0014】
<ゲームシステム10のハードウェア構成>
図1は、ゲームシステム10のハードウェア構成を示す図である。
ゲームシステム10は、複数のユーザ端末100a、100b、100c、100dと、ゲーム提供サーバ200と、を含むコンピュータネットワークである。なお、以下の説明においてユーザ端末100と称した場合には、ユーザ端末100a、100b、100c及び100dの総称として用いる。
複数のユーザ端末100及びゲーム提供サーバ200は、ネットワーク20を介して互いに通信可能に接続する。ネットワーク20は、インターネット又は移動通信システム等によって構成される。
【0015】
ゲーム提供サーバ200は、後述するゲームサービスを各ユーザ端末100に提供するコンピュータ装置である。ゲーム提供サーバ200は、サーバソフトウェアの稼動に適した汎用コンピュータであることが好ましい。
ゲーム提供サーバ200は、プロセッサ201と、メモリ202と、ストレージ203と、通信インターフェース(以下、通信IF)204と、入出力インターフェース(以下、入出力IF)205と、を備え、これらの構成は通信バスによって互いに電気的に接続される。
【0016】
プロセッサ201は、ストレージ203に記憶されている種々のプログラム(ゲーム進行を制御するためのプログラムを含む)や各種データをメモリ202にロードし、ロードしたプログラムを実行する。
メモリ202は、プロセッサ201が実行するプログラムやプログラムの実行中に生成される各種データを格納するために用いられ、例えば、DRAM等によって構成される。
ストレージ203は、ゲーム進行を制御するためのプログラムやゲームにおいて用いられる各種データを記憶しており、例えば、磁気ディスクドライブ等によって構成される。
通信IF204は、ハードウェア、ファームウェア、通信用ソフトウェア、又はこれらの組み合わせとして実装され、ネットワーク20を介してユーザ端末100と通信可能に構成される。
入出力IF205は、ゲーム提供サーバ200の外部に設けられる不図示の外部装置(例えば、ディスプレイ装置、ポインティングデバイス、スピーカ、マイク等)と電気的に接続可能に構成される。
【0017】
ユーザ端末100は、ゲーム提供サーバ200から提供されるゲームサービスを実行可能なコンピュータ装置である。ユーザ端末100は、据え置き型の通信端末であってもよいし、スマートフォンやタブレット型コンピュータ等のモバイル通信端末であってもよいし、ゲームプレイに適したゲーム装置であってもよい。
ユーザ端末100は、プロセッサ101と、メモリ102と、ストレージ103と、通信IF104と、入出力IF105と、タッチスクリーン106と、を備え、これらの構成は通信バスによって互いに電気的に接続される。
【0018】
プロセッサ101は、ストレージ103に記憶されている種々のプログラムや各種データをメモリ102にロードし、ロードしたプログラムを実行する。
メモリ102は、プロセッサ101が実行するプログラムやプログラムの実行中に生成される各種データを格納するために用いられる。
ストレージ103は、種々のプログラムや各種データを記憶している。
通信IF104は、ネットワーク20を介してゲーム提供サーバ200と通信可能に構成される。
入出力IF105は、ユーザ端末100の外部に設けられる不図示の外部装置と電気的に接続可能に構成される。
タッチスクリーン106は、ユーザに対して種々の表示(静止画像及び動画像)を行うグラフィカルユーザーインターフェイス(表示手段)として機能すると共に、ユーザのタッチ操作を受け付けるタッチパネル(操作入力手段)として機能する。
なお、本実施形態では、表示手段として機能するタッチスクリーン106が、ユーザ端末100の構成の一部であるものとして例示するが、入出力IF105を介して接続可能な外部のディスプレイ装置(不図示)によって表示手段が実現されてもよい。
また、本実施形態では、操作入力手段として機能するタッチスクリーン106が、ユーザ端末100の構成の一部であるものとして例示するが、入出力IF105を介して接続可能な外部のポインティングデバイス(不図示)によって操作入力手段が実現されてもよい。
【0019】
ユーザ端末100は、例えばゲーム提供サーバ200によって提供されるゲームサービスゲームの提供を最初に受ける際に、ユーザのアカウント情報として、ユーザの名前やログインID等を、ユーザに入力させることが望ましい。ユーザ端末100に入力されたユーザのアカウント情報は、ユーザ端末100のストレージ103及びゲーム提供サーバ200のストレージ203に記憶され、ユーザ端末100(プロセッサ101)による処理とゲーム提供サーバ200(プロセッサ201)による処理との対応付けに用いられる。
【0020】
ゲーム提供サーバ200によって提供されるゲームサービスに関していえば、1台のユーザ端末100が、単独でゲーム提供サーバ200と通信することによって、単独でゲームサービスの提供を受けること(以下、ソロプレイと称する場合がある)が可能である。
更に、当該ゲームサービスに関していえば、複数のユーザ端末100が、同期してゲーム提供サーバ200と通信することによって、並行してゲームサービスの提供を受けること(以下、マルチプレイと称する場合がある)が可能である。マルチプレイ可能なユーザ端末100の数は特に制限されないが、例えば最大で4台である。
なお、以下の説明において、ゲーム提供サーバ200が提供するゲームサービスの提供を受けるユーザ(ゲームを行う者)を、プレイヤと称する場合がある。
【0021】
<本実施形態に係るゲームを実現する為の機能的構成>
図2は、本実施形態に係るゲームを実現する為の機能的構成を示すブロック図である。
なお、
図2において図示する機能的構成は、本発明の実施の形態を説明する為に必要なものを例示するものである。従って、
図2に図示した機能的構成に対して、本発明の目的を達成する範囲において、不図示の機能的構成が追加されてもよいし、図示した機能的構成が不図示の機能的構成に置換されてもよいし、図示した機能的構成が省かれてもよい。
【0022】
ゲームシステム10は、ユーザーインターフェイスに係る機能的構成として、ユーザの操作入力を受け付ける操作入力手段110と、ゲームに関する表示を表示する表示手段120と、を有する。
操作入力手段110及び表示手段120は、タッチスクリーン106及びユーザ端末100が備える他のハードウェア構成(プロセッサ101、メモリ102、ストレージ103、通信IF104、入出力IF105)の協働によって実現される。
【0023】
ゲームシステム10は、ゲーム制御に係る機能的構成として、プレイヤ管理手段210と、ゲーム進行制御手段220と、オブジェクト配置手段230と、操作処理手段240と、移動制御手段250と、衝突判定手段260と、プレイヤ攻撃処理手段270と、敵攻撃処理手段280と、表示制御手段290と、を有する。
プレイヤ管理手段210、ゲーム進行制御手段220、オブジェクト配置手段230、操作処理手段240、移動制御手段250、衝突判定手段260、プレイヤ攻撃処理手段270、敵攻撃処理手段280及び表示制御手段290は、ユーザ端末100のハードウェア構成とゲーム提供サーバ200のハードウェア構成のうち一方によって又は双方の協働によって実現される。言い換えれば、ここで列挙した各機能的構成は、ユーザ端末100単体のハードウェア構成によって実現されてもよいし、ゲーム提供サーバ200単体のハードウェア構成によって実現されてもよいし、ユーザ端末100とゲーム提供サーバ200のハードウェア構成の協働によって実現されてもよい。
【0024】
<本実施形態に係るゲームの進行>
以下、本実施形態に係るゲームの進行に沿って、
図2に図示した各機能的構成について説明する。
【0025】
(1−1)プレイヤによる操作対象となるオブジェクトについて
プレイヤ管理手段210は、各プレイヤのアカウント情報に対応付けて、プレイヤによる操作対象となるオブジェクト(以下、操作対象オブジェクト)を管理している。
本実施形態における操作対象オブジェクトは、円形状のボールを摸したものであり、それぞれにキャラクターが対応付けられている。
なお、本発明の実施における操作対象オブジェクトは、その形状や種類は特に制限されず、キャラクター(人物含む)、ボールやバット等のスポーツ用具、車や飛行機等の乗り物など、本発明を適用するゲームの内容に応じて、適宜変更可能である。
【0026】
プレイヤは、或る条件を充足した場合(例えば、アカウント情報を作成した場合や各ステージをクリアした場合等)の特典として操作対象オブジェクトを獲得することができる。そして、プレイヤが獲得した操作対象オブジェクトは、当該プレイヤのアカウント情報に対応付けてプレイヤ管理手段210によって管理される。
なお、以下の説明において、プレイヤ管理手段210がプレイヤのアカウント情報に対応付けて操作対象オブジェクト管理していることを、「プレイヤが操作対象オブジェクトを保有している」と表現する場合がある。
【0027】
それぞれの操作対象オブジェクトには、固有のパラメータが割り当てられており、そのパラメータがゲーム制御に係る種々の処理に用いられる。
パラメータの一つであるヒットポイントは、敵からの攻撃によるダメージ処理においてプレイヤが耐えられるダメージ量の計算等に用いられるものである。
パラメータの一つである攻撃力は、プレイヤの攻撃によるダメージ処理において敵に与えるダメージ量の計算等に用いられるものである。
パラメータの一つであるスピードは、プレイヤによる操作に基づいて操作対象オブジェクトが移動する際の移動制御処理の計算等に用いられるものである。
パラメータの一つであるレベルは、ゲームの進行によって得られる経験値が所定値を超えた場合に上昇する(レベルアップする)ものであり、その操作対象オブジェクトのレベルが上昇するほど当該操作対象オブジェクトのヒットポイント、攻撃力、スピードがそれぞれ上昇するようになっている。
なお、ここで説明した各パラメータは、操作対象オブジェクトに割り当てられているパラメータを例示するものであり、説明していない他のパラメータが割り当てられてもよい。
【0028】
プレイヤは、ゲームに用いる操作対象オブジェクトを選択することができる。この際、操作入力手段110は、プレイヤによる操作入力を受け付け、操作処理手段240は、受け付けた操作入力に基づいて操作対象オブジェクトを特定し、プレイヤ管理手段210は、特定された操作対象オブジェクトを、ゲームに用いる操作対象オブジェクトとして管理する。
なお、操作対象オブジェクトを選択するタイミングは、プレイするステージを選択するより事前であることが好ましいが、本発明の実施においては必ずしもこの態様に限られない。
【0029】
ゲームに用いる操作対象オブジェクトの数は、特に制限されないが、本実施形態に係るゲームにおいては4つであるものとして説明する。
ソロプレイである場合には、単独のプレイヤ(1台のユーザ端末100)から受け付けた選択処理によって、4つの操作対象オブジェクトが選択される。この場合に選択可能な操作対象オブジェクトは、自己が保有している操作対象オブジェクトに限られてもよいし、他のプレイヤが保有している操作対象オブジェクトの中から選択することができてもよい。
マルチプレイである場合には、複数のプレイヤ(複数のユーザ端末100)から受け付けた選択処理によって、4つの操作対象オブジェクトが選択される。例えば、4人のプレイヤ(4台のユーザ端末100)によってマルチプレイが行われる場合は、各プレイヤが1つずつ操作対象オブジェクトを選択してもよい。この場合に選択可能な操作対象オブジェクトは、自己が保有している操作対象オブジェクトに限られてもよいし、他のプレイヤが保有している操作対象オブジェクトの中から選択することができてもよい。
【0030】
(1−2)ステージの構成について
プレイヤは、プレイするステージを選択して、選択したステージのクリアを目指すゲームを行う。
ここでステージとは、ゲーム内における仮想空間の単位を表すものであり、複数のマップからなる。本実施形態の説明では、ステージが本発明の「仮想ステージ」に相当するものとし、マップが本発明の「仮想空間」に相当するものとして説明する。
しかしながら、仮想空間は、ゲーム内においてオブジェクトが配置可能な空間であれば足り、本発明の実施において呼称は特に制限されず、それぞれ他の呼称(例えば、面、フロア、コース、エリア、フィールド等)に置換されてもよい。
【0031】
図3は、或るステージS1の構成を表す概念図である。
ステージS1は、第一マップM1、第二マップM2、第三マップM3及び第四マップM4からなる構成になっている。
第一マップM1、第二マップM2、第三マップM3及び第四マップM4が、一つずつ表示領域に収まる大きさで表示手段120に表示されるようになっており、ゲーム進行制御手段220は、第一マップM1、第二マップM2、第三マップM3、第四マップM4の順にゲームを進行させる。
【0032】
なお、説明の便宜上、第一マップM1、第二マップM2、第三マップM3及び第四マップM4が連続して繋がることによってステージS1を構成しているかのように図示しているが、ゲーム制御上は個々のマップデータを個別に読み出して表示手段120に表示させてもよいし、複数のマップデータを一括りに読み出して表示手段120に表示させてもよい。
【0033】
(1−3)第一マップM1について
図4は、ステージS1に係るゲームの開始時における第一マップM1を示す図である。
このタイミング(ステージS1に係るゲームの開始時)において、オブジェクト配置手段230は、敵オブジェクトE1、敵オブジェクトE2、敵オブジェクトE3及び壁オブジェクトW1を配置する。
続いて、オブジェクト配置手段230は、ステージS1に係るゲームに用いる為にプレイヤに選択された4つの操作対象オブジェクトSA、操作対象オブジェクトSB、操作対象オブジェクトSC及び操作対象オブジェクトSDを、第一マップM1内に配置する。
表示制御手段290は、仮想空間(第一マップM1)及びオブジェクト配置手段230によって仮想空間に配置されるオブジェクトを、表示手段120に表示させる。
【0034】
操作対象オブジェクトSA、操作対象オブジェクトSB、操作対象オブジェクトSC及び操作対象オブジェクトSDは、プレイヤの操作対象となるオブジェクトであり、プレイヤは到来したターンごとに一つずつ操作することができる。
本実施形態におけるターンの到来順は、操作対象オブジェクトSA、操作対象オブジェクトSB、操作対象オブジェクトSC、操作対象オブジェクトSDの順に繰り返されるものとする。
【0035】
なお、本発明の実施において、操作対象オブジェクトに対する操作は必ずしもターン制である必要はない。例えば、マルチプレイである場合、複数のプレイヤが任意のタイミングで操作対象オブジェクトを操作可能であってもよい。
【0036】
敵オブジェクトE1、敵オブジェクトE2及び敵オブジェクトE3は、プレイヤからの攻撃対象となるオブジェクトであり、それぞれにヒットポイントが割り当てられている。割り当てられているヒットポイントが零になると、その敵オブジェクトは撃破されて、第一マップM1から消失する。
【0037】
壁オブジェクトW1は、操作対象オブジェクトの移動の障害物となるオブジェクトであり、操作対象オブジェクトは壁オブジェクトW1が配置されている領域に侵入することがない。
また、不図示ではあるが、第一マップM1の四方の縁の外側のそれぞれに壁オブジェクトが配置される為、操作対象オブジェクトは第一マップM1の外側領域に逸脱することがない。
【0038】
以上説明したように、本実施形態に係るゲームは、仮想空間(マップ)内に複数のオブジェクト(操作対象オブジェクト、敵オブジェクト、壁オブジェクト)が配置されて行われるものであると言える。
なお、本実施形態における仮想空間は二次元空間であるためオブジェクトも二次元とするが、仮想空間が三次元空間である場合にはオブジェクトも三次元にしてもよい。
【0039】
図4に図示するとおり、第一マップM1の下部には、プレイヤのヒットポイントを示すHPゲージH1が表示される。HPゲージH1は、第一マップM1を除く他のマップ(第二マップM2、第三マップM3、第四マップM4)でも表示される。
なお、プレイヤに与えられるヒットポイントの初期値は、原則としてプレイヤによって選択された操作対象オブジェクトに割り当てられているヒットポイントの総計であるが、アイテムの使用等によって当該初期値が変化する場合があってもよい。
【0040】
図5は、操作対象オブジェクトSAを操作するターンが到来した場合の第一マップM1を示す図である。
このターンにおいて、プレイヤが、操作対象オブジェクトSAが表示されている領域をタッチしたまま或る向き(
図5においては図面上の左下向き)に操作対象オブジェクトSAを引っ張るように操作すると、その逆向き(
図5においては図面上の右上向き)に矢印表示AAが表示される。
ゲーム制御上は、操作入力手段110が検知したプレイヤのタッチ位置が表示手段120における操作対象オブジェクトSAの表示領域と重複すると、操作処理手段240が操作対象オブジェクトSAを対象とする操作の受け付け中である旨を検知する。そして、表示制御手段290が、プレイヤによるタッチ位置が操作対象オブジェクトSAの表示位置から移動した方向とは逆向き(180度反対の向き)を指し示す矢印表示AAを表示手段120に表示させることによって
図5のような表示が実現される。
【0041】
図6は、
図5に図示した状態においてプレイヤがタッチスクリーン106から手を離した場合の第一マップM1を示す図である。なお、
図6に図示される一点鎖線の矢印は、操作対象オブジェクトSAが実際に移動する向き表しており、表示手段120に表示されるものではない。
この場合、
図5において矢印表示AAが示していた向き(矢印D1の向き)に、操作対象オブジェクトSAが移動する。
【0042】
矢印D1の向きに移動した操作対象オブジェクトSAは、敵オブジェクトE3に衝突して反射し、矢印D2の向きに移動する。操作対象オブジェクトSAと敵オブジェクトE3との衝突の有無については、衝突判定手段260によって判定される。敵オブジェクトE3は、表示手段120における表示上は刺々しい不揃いな輪郭を有しているように見えるが、衝突判定手段260による判定上は略円形の衝突判定領域(不図示)が与えられており、敵オブジェクトE3に衝突した操作対象オブジェクトSAは不規則に反射することはない。
【0043】
移動した操作対象オブジェクトSAは、敵オブジェクトE3に衝突した時、プレイヤ攻撃処理手段270が操作対象オブジェクトSAに割り当てられている攻撃力に基づいてダメージ量を計算し、計算したダメージ量を敵オブジェクトE3に与える。
【0044】
矢印D2の向きに移動した操作対象オブジェクトSAは、第一マップM1の右側の縁の壁オブジェクト(不図示)に衝突して反射し、矢印D3の向きに移動する。
矢印D3の向きに移動した操作対象オブジェクトSAは、操作対象オブジェクトSCに衝突して反射し、矢印D4の向きに移動する。このとき、操作対象オブジェクトSAと衝突した操作対象オブジェクトSCも、衝突の反動で矢印D5の向きに移動する。
【0045】
操作対象オブジェクトSAが移動している期間には、移動制御処理が繰り返し実行されており、操作対象オブジェクトSAの移動速度が徐々に減速するように制御される。
操作対象オブジェクトに関する移動速度の制御については、後述する<操作対象オブジェクトの速度演算処理>において、詳細に説明する。
【0046】
以上、説明したように、プレイヤの操作によって移動を開始した操作対象オブジェクトSAは、その移動速度が零になるまで(停止するまで)、移動先で各オブジェクトに衝突すると反射を繰り返す。
なお、
図5を用いて説明した上記の一連の流れを実現する為のゲーム制御処理(衝突判定手段260による判定処理やプレイヤ攻撃処理手段270によるダメージ量の計算も含む)については、後述する<移動制御処理の処理手順>において詳細に説明する。
【0047】
操作対象オブジェクトSAの移動が停止すると、操作対象オブジェクトSAのターンは終了し、敵オブジェクトが攻撃するターンになる。敵オブジェクトによる攻撃のダメージ量は、敵攻撃処理手段280によって計算される。
なお、敵オブジェクトが攻撃するターンは、各操作対象オブジェクトのターンの間に必ずしも到来する必要はなく、その一部については省かれてもよい。
【0048】
(1−4)或るマップから次のマップへの移行について
第一マップM1から第二マップM2に移行する為の条件として、本実施形態では、第一マップM1に配置された敵オブジェクトの全て(敵オブジェクトE1、敵オブジェクトE2及び敵オブジェクトE3)を撃破することが定められている。ゲーム進行制御手段220は、当該条件の充足の有無を判定して、充足された場合に第一マップM1から第二マップM2に移行させる。
なお、当該条件は一具体例であって、或るマップから次のマップに移行する為の条件については、適宜変更可能である。例えば、当該条件として、所定ターン以内に敵オブジェクトの全てを撃破することが定められてもよいし、特定の敵オブジェクトを撃破することが定められてもよいし、特定の敵オブジェクトのヒットポイントを所定値以下にすることが定められてもよい。
【0049】
図7は、第一マップM1に配置された敵オブジェクトの全てを撃破した場合の第一マップM1を示す図である。
図8は、第一マップM1から移行した時の第二マップM2を示す図である。
図7と
図8を比べれば明らかであるように、第一マップM1から移行した時の第二マップM2における各操作対象オブジェクトの配置(第二マップM2の開始時における各操作対象オブジェクトの配置)は、第一マップM1に配置された敵オブジェクトの全てを撃破した場合における各操作対象オブジェクトの配置(第一マップM1の最終時における各操作対象オブジェクトの配置)に基づいて定められる為、原則として同じ位置になる。
但し、第一マップM1の最終時における各操作対象オブジェクトの位置に対して、第二マップM2に対して予め定められている他のオブジェクト(敵オブジェクトE4、敵オブジェクトE5、敵オブジェクトE6及び壁オブジェクトW2)の位置が重複している場合、オブジェクト配置手段230は、他のオブジェクトの配置を優先して配置する為、各操作対象オブジェクトの配置が他のオブジェクトと重複しない位置まで移動する結果となる。
【0050】
また、
図7と
図8を比べれば明らかであるように、第二マップM2の開始時におけるHPゲージH1が示す値は、第一マップM1の最終時におけるHPゲージH1が示す値が反映される為、同じ値になる。但し、第一マップM1から第二マップM2に移行する際の特典として、HPゲージH1が示す値は増えてもよい(プレイヤのヒットポイントが回復してもよい)。
【0051】
(1−5)ボス敵オブジェクトとステージクリアについて
図9は、第二マップM2から移行した時の第三マップM3を示す図である。
図10は、第三マップM3から移行した時の第四マップM4を示す図である。
オブジェクト配置手段230は、第三マップM3内に、各操作対象オブジェクトの他に、壁オブジェクトW3、敵オブジェクトE7、敵オブジェクトE8及びボス敵オブジェクトB1を配置する。
また、オブジェクト配置手段230は、第四マップM4内に、各操作対象オブジェクトの他に、壁オブジェクトW4、敵オブジェクトE9、敵オブジェクトE10及びボス敵オブジェクトB1を配置する。
双方の配置を比較すれば明らかであるように、第三マップM3と第四マップM4は双方においてボス敵オブジェクトB1が配置される。
【0052】
ボス敵オブジェクトB1は、通常の敵オブジェクトに比べてヒットポイントが高く割り当てられている為、通常の敵オブジェクトに比べて撃破しがたくなっている。
ボス敵オブジェクトB1のヒットポイントは、第三マップM3及び第四マップM4の上部に位置するHPゲージH2に表示される。
第三マップM3から第四マップM4に移行する為の条件(本発明の所定条件に相当するもの)には、第三マップM3において表示されているHPゲージH2が左端まで減ること(1本分のゲージが無くなること)が定められている。ゲーム進行制御手段220は、当該条件の充足の有無を判定して、充足された場合に第三マップM3から第四マップM4に移行させる。
最後のマップである第四マップM4をクリアする為のクリア条件には、第四マップM4において表示されているHPゲージH2が左端まで減ること(第三マップM3のゲージと合わせて2本分のゲージが無くなり、ボス敵オブジェクトB1のヒットポイントが零になること)が定められている。
ゲーム進行制御手段220は、当該クリア条件の充足の有無を判定して、充足された場合には第四マップM4を終えて、ステージS1のクリアとする。即ち、ゲーム進行制御手段220は、本発明に係るクリア判定手段として機能する。
【0053】
図11は、操作対象オブジェクトSCを操作するターンが到来した場合の第四マップM4を示す図である。なお、
図11に示す状態では、既に敵オブジェクトE9及び敵オブジェクトE10は撃破されている。
このターンにおいて、プレイヤが、操作対象オブジェクトSCが表示されている領域をタッチしたまま或る向き(
図11においては図面上の左下向き)に操作対象オブジェクトSCを引っ張るように操作すると、その逆向き(
図11においては図面上の右上向き)に矢印表示ACが表示される。
ゲーム制御上は、操作入力手段110が検知したプレイヤのタッチ位置が表示手段120における操作対象オブジェクトSCの表示領域と重複すると、操作処理手段240が操作対象オブジェクトSCを対象とする操作の受け付け中である旨を検知する。そして、表示制御手段290が、プレイヤによるタッチ位置が操作対象オブジェクトSCの表示位置から移動した方向とは逆向き(180度反対の向き)を指し示す矢印表示ACを表示手段120に表示させることによって
図11のような表示が実現される。
【0054】
図12は、
図11に図示した状態においてプレイヤがタッチスクリーン106から手を離した場合の第四マップM4を示す図である。なお、
図12に図示される一点鎖線の矢印D6は、操作対象オブジェクトSCが移動する向き表している。
この場合、
図11において矢印表示ACが示していた向き(矢印D6の向き)に、操作対象オブジェクトSAが移動する。
矢印D6の向きに移動した操作対象オブジェクトSAは、ボス敵オブジェクトB1に衝突する。この衝突時においてプレイヤ攻撃処理手段270が計算したダメージ量がボス敵オブジェクトB1のヒットポイントを減らした結果として、ボス敵オブジェクトB1のヒットポイントが零になってボス敵オブジェクトB1が撃破されたものとする。
【0055】
図13は、
図12に図示した状態の後における第四マップM4を示す図である。なお、
図13に図示される一点鎖線の矢印D7は、操作対象オブジェクトSCが移動する向き表している。
ここで、表示制御手段290は、ボス敵オブジェクトB1が撃破された旨を示す表示(以下、ボス撃破表示)、具体的にはボス敵オブジェクトB1を歪ませた表示を、表示手段120に表示させる。言い換えれば、表示制御手段290は、仮想空間においてクリア条件を充足した場合(ボス敵オブジェクトB1のヒットポイントが零になった場合)において、当該クリア条件を充足した以後に特定表示(ボス撃破表示)を表示手段120に表示させる。
【0056】
図13に図示するように、プレイヤの操作に基づいて操作対象オブジェクトが第四マップM4を移動している期間は、ボス敵オブジェクトB1を撃破した後も継続するので、その移動期間とボス撃破表示が表示されている期間は重複しうる。仮に、操作対象オブジェクトの移動が長々と続くと、ボス撃破表示の視認性を阻害し、ボス敵を撃破したこと(クリア条件を充足したこと)によって得られるプレイヤの興趣を損ねかねない。
しかしながら、上記のような状況において、移動制御手段250は、ボス敵オブジェクトB1を撃破する前より後において、操作対象オブジェクトSCの移動速度をより大きく減速させるので、ボス撃破表示の表示期間において操作対象オブジェクトは直ぐに停止する。
従って、上記のよう状況においてプレイヤの視点を円滑にボス撃破表示に向けることができ、プレイヤの興趣を損ねるリスクの低減を図ることができる。
【0057】
なお、ボス敵オブジェクトB1に対して与えられている衝突判定領域は、ボス敵オブジェクトB1のヒットポイントが零になると共に消失し、ボス撃破表示の表示領域に対して操作対象オブジェクトが侵入可能であってもよい。
或いは、当該衝突判定領域は、ボス敵オブジェクトB1のヒットポイントが零になった後もボス撃破表示中は残存し、ボス撃破表示の表示領域に対して操作対象オブジェクトが侵入不能であってもよい。
【0058】
本発明の実施において、特定表示(例えば、ボス撃破表示)はクリア条件の充足以後に表示されるものであれば足り、クリア条件を充足したタイミングで特定表示が表示され始めてもよいし、クリア条件を充足してから時間が経過してから特定表示が表示され始めてもよい。
特定表示に相当しうる表示の変形例としては、例えば、ボス敵オブジェクトを撃破した際に得られる特典を示す表示、ステージクリアを示す表示、ステージクリア後のリザルト表示等が挙げられる。
【0059】
本実施形態では、仮想ステージ(ステージS1)に含まれる最後の仮想空間である第四マップM4におけるクリア条件を充足した場合に、特定表示(ボス撃破表示)が表示手段120に表示されるものとしたが、本発明の実施はこの実施形態に限られない。
例えば、複数の仮想空間を含む仮想ステージが存在しない場合であっても、単独の仮想空間におけるクリア条件の充足に応じて、特定表示が表示手段120に表示されてもよい。
或いは、ステージクリアとなるクリア条件が、仮想ステージの途中の仮想空間において達成する構成になっており、最後の仮想空間がエキストラ扱いである場合、クリア条件を達成した仮想空間において特定表示が表示手段120に表示されてもよい。
【0060】
本実施形態では、クリア条件である「ボス敵オブジェクトB1のヒットポイントが零になること(ボス敵オブジェクトB1を撃破すること)」と内容的に関係している表示(ボス敵オブジェクトB1を歪ませた表示)を特定表示に相当するものとして説明したが、内容的にクリア条件と関わりがないものを特定表示に相当するものと解してもよい。
例えば、操作対象オブジェクトに対応付けられているキャラクターに関連する表示、クリアしたステージとは別のステージの内容に関連する表示等が挙げられる。
【0061】
また、クリア条件の充足後に、操作対象オブジェクトが所定速度以下(例えば停止)になった場合に、ゲームクリアに係る演出(ゲームクリア演出)を開始してもよい。この場合には、クリア条件の充足後に操作対象オブジェクトを減速させない場合に比べて、本実施形態では、クリア条件を充足したタイミングから、ゲームクリア演出を開始するまでのプレイヤの待機時間を減少させることができる。これにより、プレイヤがクリア条件を充足してから、ゲームクリア演出を開始するまでの時間を短縮させ、ゲームに係る演出を省略することなしに、ゲームのテンポを向上させることができる。
【0062】
<移動制御処理の処理手順>
続いて、移動制御処理の処理手順について説明する。
図14は、移動制御処理の処理手順を示すフローチャートである。
ここで移動制御処理とは、プレイヤによる操作に基づいて操作対象オブジェクトの移動が開始されてから停止するまでの期間において行われる処理のうち、主に移動制御手段250によって実行される処理である。但し、移動制御手段250と他の機能的構成との協働によって実行される処理についても、移動制御処理の一部として解しうる。
【0063】
図14に図示する移動制御処理は、1フレームごとに繰り返し行われる。本発明の実施において、1秒あたりのフレーム数は特に制限されないが、例えば30フレームとすると、移動制御処理は1/30秒ごとに繰り返されることになる。
移動制御処理の実行間隔は、上記の周期より長くてもよいし、短くてもよい。また、必ずしも全てのフレームで移動制御処理が実行される必要はなく、例えば特定の割り込み処理が生じる場合、その処理の実行中においては移動制御処理の実行が制限されてもよい。
【0064】
ステップS102において、移動制御手段250は、プレイヤの操作に基づいて操作対象オブジェクトの移動が当該フレームにおいて開始されたか否かを判定する。
ステップS102の条件を充足しない場合、ステップS104に進む。
ステップS102の条件を充足する場合、ステップS122に進む。
【0065】
ステップS104において、移動制御手段250は、今回のターンで操作された操作対象オブジェクトが当該フレームにおいて他のオブジェクトと衝突したか否か(衝突判定手段260による判定が肯定されるか否定されるか)を判定する。
ステップS104の条件を充足しない場合、ステップS106に進む。
ステップS104の条件を充足する場合、ステップS114に進む。
【0066】
ステップS106において、移動制御手段250は、当該フレームがボス敵オブジェクトの撃破より後であるか否かを判定する。
ステップS106の条件を充足しない場合、ステップS108に進む。
ステップS106の条件を充足する場合、ステップS112に進む。
【0067】
ステップS108において、移動制御手段250は、通常の速度演算処理を実行し、ステップS110に進む。
ステップS112において、移動制御手段250は、ボス敵撃破後の速度演算処理を実行し、ステップS110に進む。
ステップS110において、表示制御手段290は、ステップS108の速度演算処理又はステップS112の演算結果を反映した表示を生成し、生成した表示を表示手段120に表示させる。
なお、ステップS108の速度演算処理及びステップS112の速度演算処理については、後述する<操作対象オブジェクトの速度演算処理>において詳細に説明する。
【0068】
ステップS114において、移動制御手段250は、衝突前における操作対象オブジェクトの移動ベクトルと、衝突したオブジェクトの衝突面の角度と、に基づいて、衝突後における操作対象オブジェクトの移動ベクトルを導出する演算処理を実行し、ステップS116に進む。
ステップS116において、移動制御手段250は、衝突時の速度演算処理を実行し、ステップS118に進む。
【0069】
ステップS118において、プレイヤ攻撃処理手段270は、衝突したオブジェクトが敵オブジェクトであるか否かを判定する。
ステップS118の条件を充足する場合、ステップS120に進み、プレイヤ攻撃処理手段270は、衝突した敵オブジェクトに与えるダメージ量を、操作対象オブジェクトに割り当てられている攻撃力に基づいて計算する演算処理を実行して、ステップS110に進む。
ステップS118の条件を充足しない場合、ステップS120の処理を行わずに、ステップS110に進む。
【0070】
ステップS110において、表示制御手段290は、ステップS114のベクトル演算処理及びステップS116の速度演算処理、更にステップS118の条件を充足する場合にはステップS120のプレイヤ攻撃処理の演算結果を反映した表示を生成し、生成した表示を表示手段120に表示させる。
なお、ステップS116の速度演算処理についても、後述する<操作対象オブジェクトの速度演算処理>において詳細に説明する。
【0071】
ステップS122において、移動制御手段250は、移動を開始する操作対象オブジェクトの移動ベクトルを、操作処理手段240によって検知されたタッチ操作の移動の向きに基づいて、その逆向き(表示手段120に表示した矢印表示の向き)にする演算処理を実行し、ステップS124に進む。
ステップS124において、移動制御手段250は、移動を開始する操作対象オブジェクトの移動開始時における速度(初速)を計算する速度演算処理を実行し、ステップS110に進む。
ステップS110において、表示制御手段290は、ステップS122のベクトル演算処理及びステップS124の速度演算処理の演算結果を反映した表示を生成し、生成した表示を表示手段120に表示させる。
なお、ステップS124の速度演算処理についても、後述する<操作対象オブジェクトの速度演算処理>において詳細に説明する。
【0072】
以上説明したように、移動制御手段250は、仮想空間内において移動可能なオブジェクトの移動を制御するものと言える。
より詳細には、移動制御手段250は、プレイヤの操作に基づいて操作対象オブジェクトの移動を開始させてから停止させるまでの期間において、少なくとも操作対象オブジェクトの速度演算処理を繰り返し(周期的に)行うものと言える。但し、移動制御手段250による処理を制限するような特定の割り込み処理が発生しないことを前提とする。
【0073】
<操作対象オブジェクトの速度演算処理>
移動開始時における操作対象オブジェクトの初速に係る速度演算処理(ステップS124の速度演算処理)は、当該操作対象オブジェクトに割り当てられているスピードに基づいて計算される。
また、当該速度演算処理は、スピード以外の要因(例えば、プレイヤが操作対象オブジェクトを引っ張った距離、プレイヤがタッチスクリーン106から手を離すタイミングの良否、スピードを増強するアイテムの使用の有無、現在のマップと操作対象オブジェクトとの相性等)も反映させて、操作対象オブジェクトの初速を計算してもよい。
【0074】
ゲーム内の単位フレームtにおける操作対象オブジェクトの速度を|v
t|(スカラー値)とすると、通常の速度演算処理(ステップS108の速度演算処理)は、次式によって表される。なお、次式のαが上述した所定係数に相当するものである。
【数1】
【0075】
αの値は、そのマップに依存して定まるものであり、原則として零より大きく1より小さい。但し、αの値は、例えば加速するアイテムやギミックの影響により、例外的に1より大きくなる場合がある。
【0076】
一方、衝突時の速度演算処理(ステップS116の速度演算処理)は、次式によって表される。なお、次式のα
objも上述した所定係数に相当するものである。
【数2】
【0077】
ここでα
objの値は、衝突したオブジェクトの種別に依存して定まるものであり、原則として零より大きく1より小さい点については上記のαと共通している。但し、α
objの値は、衝突すると操作対象オブジェクトを加速させるオブジェクトについては、例外的に1より大きい値が定められている。
【0078】
更に、ボス敵撃破後の速度演算処理(ステップS112の速度演算処理)は、次式によって表される。なお、次式のα
finも上述した所定係数に相当するものである。
【数3】
【0079】
以上のように、α、α
obj及びα
finは、いずれも操作対象オブジェクトの移動速度を計算する速度演算処理に用いられる所定係数である。そして、移動制御手段250は、プレイヤによる操作対象となる操作対象オブジェクトの移動制御処理(速度演算処理)に所定係数を用いるものであり、これらの所定係数を変化させることによって、操作対象オブジェクトの移動速度を調整可能になっている。
この移動制御処理(速度演算処理)に係る所定係数は、乗算されるものである為、その値が小さいほど、当該移動制御処理によって操作対象オブジェクトの移動速度が大きく減速することになる。
【0080】
ここでα
finの値は、各ステージにおいて共通して定められているものであり、例外なく零より大きく1より小さい。また、α
finの値は、原則としてαの値及びα
objの値のいずれよりも十分に小さい値が定められている。即ち、αとα
objの差分に比べて、αとα
finの差分やα
objとα
finの差分が大きくなっている。
従って、ボス敵を撃破した後の期間については、操作対象オブジェクトが移動している他の期間に比べて、より大きく減速することになる。
換言すれば、仮想空間(ステージ最後のマップ)においてクリア条件を充足した場合において、移動制御手段250が、当該クリア条件を充足するタイミングの前に実行される移動制御処理に用いる所定係数と当該タイミングより後に実行される移動制御処理に用いる所定係数とを変化させることによって、当該タイミングの前より後において操作対象オブジェクトの移動速度をより大きく減速させるものと言える。
【0081】
移動制御手段250が上記のような減速処理を行うことにより、操作対象オブジェクトが素早く停止することになるので、クリア条件を充足した後のゲームの進行についてテンポアップを図ることができる。
【0082】
また、ボス敵オブジェクトに対して定められているα
objの値に限って言えば、原則としてαの値より小さくなっている為、ボス敵オブジェクトの衝突時における速度演算処理は、通常の速度演算処理に比べて、より大きく減速するような傾向になっている。
上述したように、α
finの値は、原則としてαの値及びα
objの値のいずれよりも小さい為、ボス敵オブジェクトを撃破する前後(クリア条件を充足するタイミングの前後)における移動制御処理(速度演算処理)は、次のような特徴を有するものと整理することができる。
(イ)移動制御手段250は、仮想空間においてクリア条件を充足するより前のタイミングである第一タイミング(通常の速度演算処理が実行されるタイミング)と、当該クリア条件を充足したタイミングである第二タイミング(衝突時の速度演算処理が実行されるタイミング)と、当該クリア条件を充足するより後のタイミングである第三タイミング(ボス敵撃破後の速度演算処理が実行されるタイミング)と、において移動制御処理を実行可能である。
(ロ)第一タイミングに実行される移動制御処理に用いられる所定係数α、第二タイミングに実行される移動制御処理に用いられる所定係数α
obj、第三タイミングに実行される移動制御処理に用いられる所定係数α
fin、の順に小さくなる。
上記の(イ)及び(ロ)に示す特徴を有することによって、ボス敵オブジェクトを撃破する前後において、操作対象オブジェクトは段階的に減速する程度が強まるので、より素早く停止することになる。従って、ゲーム進行のテンポアップを図る効果を強めることができる。
【0083】
また、上記の(ロ)のような大小関係になっているので、ボス敵オブジェクトを撃破した場合(第四マップM4におけるクリア条件を充足した場合)には、他のマップから次のマップに移行する場合に比べて、操作対象オブジェクトの移動速度が大きく減速するものと言える。
より詳細には、最後の仮想空間(第四マップM4)におけるクリア条件を充足した場合には、移動制御手段250が当該クリア条件を充足したタイミングの前後で所定係数を変化させることによって、当該クリア条件を充足する前より後において操作対象オブジェクトの移動速度がより大きく減速する。更に、当該タイミングの前後における操作対象オブジェクトの移動速度の減速が、最後の仮想空間を除く他の仮想空間に定められる所定条件(次のマップに移行する為の条件)を充足したタイミングの前後における操作対象オブジェクトの移動速度の減速に比べて大きいものと言える。
これにより、プレイヤの注目度が高くなる傾向にある最後の仮想空間のクリア時(ステージクリアの際)において、特定表示(ボス撃破表示)の視認性を阻害するような操作対象オブジェクトの移動を抑制することができる。
【0084】
また、上記の(ロ)のような大小関係になっているので、他の仮想空間に定められる所定条件を充足したタイミング(次のマップに移行したタイミング)の前後における操作対象オブジェクトの移動速度の減速が、最後の仮想空間におけるクリア条件を充足したタイミング(ボス敵オブジェクトのヒットポイントが零になったタイミング)における操作対象オブジェクトの移動速度の減速に比べて小さいものと言える。
このように、次のマップへの移行時における減速処理は、最後のマップのクリア時における減速処理に比べて程度が小さいので、次のマップの開始時における操作対象オブジェクトの配置に対する影響が小さく、マップ間の移行時におけるゲームの連続性を担保することができる。
【0085】
<ゲーム提供サーバ200について>
これまで説明してきたように、本実施形態に係るゲームシステム10は、複数のコンピュータ装置(ユーザ端末100及びゲーム提供サーバ200)が協働し、
図2に図示した機能的構成を実現することによって構成される。
【0086】
仮に、ゲーム提供サーバ200が、少なくともゲーム進行制御手段220と移動制御手段250とを備える構成とした場合、ゲーム提供サーバ200は以下のような特徴を備えるものと言える。
ゲーム提供サーバ200は、仮想空間内に複数のオブジェクトが配置されて行われるゲームに係るゲームサービスを提供する。
ゲーム提供サーバ200は、仮想空間内において移動可能なオブジェクトの移動を制御する移動制御手段(移動制御手段250)と、仮想空間をクリアする為の条件であるクリア条件の充足の有無を判定するクリア判定手段(ゲーム進行制御手段220)と、を備える。
移動制御手段は、プレイヤによる操作対象となる操作対象オブジェクトの移動制御処理に所定係数を用いるものである。
ゲーム提供サーバ200は、仮想空間においてクリア条件を充足した場合において、移動制御手段が当該クリア条件を充足するタイミングの前に実行される移動制御処理に用いる所定係数と当該タイミングより後に実行される移動制御処理に用いる所定係数とを変化させることによって、当該タイミングの前より後において操作対象オブジェクトの移動速度がより大きく減速することを特徴とする。
【0087】
また、ゲーム提供サーバ200のストレージ203に記憶されているゲームの進行を制御する為のプログラム(以下、ゲームプログラム)については、以下のような特徴を有するものと言える。
当該ゲームプログラムは、仮想空間内に複数のオブジェクトが配置されて行われるゲームの制御をコンピュータ(ゲーム提供サーバ200)に実行させる為のものである。
当該ゲームプログラムは、仮想空間内において移動可能なオブジェクトの移動を制御する移動制御処理と、仮想空間をクリアする為の条件であるクリア条件の充足の有無を判定するクリア判定処理と、をコンピュータに実行させる。
当該ゲームプログラムは、プレイヤによる操作対象となる操作対象オブジェクトの移動制御処理に所定係数を用いるものである。
当該ゲームプログラムは、仮想空間においてクリア条件を充足した場合において、当該クリア条件を充足するタイミングの前に実行される移動制御処理に用いる所定係数と当該タイミングより後に実行される移動制御処理に用いる所定係数とを変化させることによって、当該タイミングの前より後において操作対象オブジェクトの移動速度をより大きく減速させることを特徴とする。
【0088】
<本発明の変形例について>
ここまで各図を用いて説明される実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。
【0089】
上記の実施形態に係るゲームプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納される形態によって、上記の実施形態に係る各種処理が提供されてもよい。
ここで、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフラッシュメモリやROMやRAMのような磁気メディア、CD−ROMやDVD−ROM等の光媒体で提供されてもよい。
【0090】
上記の実施形態に係るゲームは、本発明の実施の一具体例に関するものであり、その態様はこれに限られない。
例えば、アクションゲーム、シューティングゲーム、パズルゲーム、ロールプレイングゲーム、スポーツゲーム等、多様な種類のゲームに対して、本発明を適用してもよい。
【0091】
上記の実施形態における「クリア条件」は、ボス敵オブジェクトのヒットポイントが零になること(ボス敵オブジェクトを撃破すること)であったが、本発明の実施においては仮想空間をクリアする為のものであれば特に内容は制限されない。
例えば、格闘アクションゲームであれば対戦相手を撃破することであってもよいし、サッカーゲームであれば対戦チームに勝利することであってもよいし、ゴルフゲームであればゴルフボールがカップインすることであってもよい。
【0092】
上記の実施形態では、所定係数を用いる演算処理が、操作対象オブジェクトの移動速度を計算するものについて言及したが、本発明の実施はこれに限られない。
例えば、所定係数は、操作対象オブジェクトの移動制御に係る演算処理に用いられるものであれば足り、操作対象オブジェクトの移動距離を計算する演算に用いられるものであってもよいし、操作対象オブジェクトの移動向き(ベクトル)を計算する演算に用いられるものであってもよい。
【0093】
上記の実施形態では、移動制御処理に係る所定係数の値が小さいほど、当該移動制御処理によって操作対象オブジェクトの移動速度が大きく減速するものとして説明したが、本発明の実施はこれに限られない。
例えば、移動制御処理に係る所定係数が摩擦係数を摸した概念である場合、所定係数の値が大きいほど、当該移動制御処理によって操作対象オブジェクトの移動速度が大きく減速することになる。
【0094】
上記の実施形態では、仮想空間のクリア条件(特にステージ最後の仮想空間のクリア条件)を充足した場合に、クリア条件を充足するタイミングの前後で移動制御処理に係る所定係数を変化させることによって、操作対象オブジェクトの移動速度を減速させる処理について言及したが、別の条件に基づいて同様の減速処理を行ってもよい。
例えば、或る仮想空間から次の仮想空間に移行する為の条件(本発明の所定条件に相当するもの)の充足を条件として、当該条件を充足するタイミングの前後で移動制御処理に係る所定係数を変化させることによって、操作対象オブジェクトの移動速度を減速させてもよい。なお、この変形例による操作対象オブジェクトの移動速度の減速は、クリア条件を充足した場合の操作対象オブジェクトの移動速度の減速に比べて小さいことが好ましい。
或いは、所定の確率で当選する抽選(例えば、乱数抽選等)に当選することを条件として、当該条件を充足するタイミングの前後で移動制御処理に係る所定係数を変化させることによって、操作対象オブジェクトの移動速度を減速させてもよい。
または、仮想空間の途中で発生する条件(例えば、所定領域に操作対象オブジェクトが侵入した場合や所定オブジェクトに操作対象オブジェクトが衝突した場合等)を契機として、当該条件が発生したタイミングの前後で移動制御処理に係る所定係数を変化させることによって、操作対象オブジェクトの移動速度を減速させてもよい。
【0095】
上記の実施形態では、敵オブジェクトにダメージを与える方法として、操作対象オブジェクトを衝突させることについて言及したが、本発明の実施はこれに限られない。
例えば、操作した操作対象オブジェクトが、他の操作対象オブジェクトに対して衝突した場合に、その操作対象オブジェクトのスキルが発動して敵オブジェクトにダメージを与えてもよい。
【0096】
また、上記の実施形態では、クリア条件の充足後に、操作対象オブジェクトを、クリア条件の充足前よりも大きく減速させる例について説明したが、クリア条件の充足後に、操作対象オブジェクトをクリア条件の充足前によりも大きく加速させるようにしても構わない。こうすることで、例えば、操作対象オブジェクトが所定の位置に到達した後にゲームのクリア演出を開始するゲームにおいては、操作対象オブジェクトが所定の位置に到達するまでの時間を短縮することができ、ゲームのテンポを向上させることが可能となる。
【0097】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)仮想空間内に複数のオブジェクトが配置されて行われるゲームを制御するゲームシステムであって、前記仮想空間内において移動可能な前記オブジェクトの移動を制御する移動制御手段と、前記仮想空間をクリアする為の条件であるクリア条件の充足の有無を判定するクリア判定手段と、を備え、前記移動制御手段は、プレイヤによる操作対象となる操作対象オブジェクトの移動制御処理に所定係数を用いるものであり、前記仮想空間において前記クリア条件を充足した場合において、前記移動制御手段が当該クリア条件を充足するタイミングの前に実行される前記移動制御処理に用いる前記所定係数と当該タイミングより後に実行される前記移動制御処理に用いる前記所定係数とを変化させることによって、当該タイミングの前より後において前記操作対象オブジェクトの移動速度をより大きく減速させるゲームシステム。
(2)(1)に記載のゲームシステムであって、前記仮想空間及び当該仮想空間に配置される前記オブジェクトを表示手段に表示させ、前記仮想空間において前記クリア条件を充足した場合において、当該クリア条件を充足した以後に特定表示を前記表示手段に表示させる表示制御手段を備え、プレイヤの操作に基づいて前記操作対象オブジェクトが前記仮想空間を移動している期間及び前記特定表示が表示されている期間が重複しうるゲームシステム。
(3)(2)に記載のゲームシステムであって、複数の前記仮想空間を含む仮想ステージを有しており、前記仮想ステージは、一の前記仮想空間に定められる所定条件を充足した場合に次の前記仮想空間に移行可能となり、且つ、一の前記仮想ステージに含まれる最後の前記仮想空間における前記クリア条件を充足した場合に前記仮想ステージがクリアになる構成になっており、前記特定表示は、前記最後の仮想空間における前記クリア条件を充足した場合に前記表示手段に表示されるものであり、前記最後の仮想空間における前記クリア条件を充足した場合には、前記最後の仮想空間を除く他の前記仮想空間に定められる前記所定条件を充足した場合に比べて前記操作対象オブジェクトの移動速度が大きく減速するゲームシステム。
(4)(3)に記載のゲームシステムであって、前記他の仮想空間に定められる前記所定条件を充足すると、当該他の仮想空間の最終時における前記操作対象オブジェクトの配置に基づいて、次の前記仮想空間の開始時における前記操作対象オブジェクトの配置が定まり、前記他の仮想空間に定められる前記所定条件を充足したタイミングの前後における前記操作対象オブジェクトの移動速度の減速が、前記最後の仮想空間における前記クリア条件を充足したタイミングにおける前記操作対象オブジェクトの移動速度の減速に比べて小さいゲームシステム。
(5)(1)から(4)のいずれか一つに記載のゲームシステムであって、前記移動制御処理に用いられる前記所定係数が小さいほど、当該移動制御処理によって前記操作対象オブジェクトの移動速度が大きく減速し、前記移動制御手段は、前記仮想空間において前記クリア条件を充足するより前のタイミングである第一タイミングと、当該クリア条件を充足したタイミングである第二タイミングと、当該クリア条件を充足するより後のタイミングである第三タイミングと、において前記移動制御処理を実行可能であり、前記第一タイミングに実行される前記移動制御処理に用いられる前記所定係数、前記第二タイミングに実行される前記移動制御処理に用いられる前記所定係数、前記第三タイミングに実行される前記移動制御処理に用いられる前記所定係数、の順に小さくなるゲームシステム。
(6)(1)から(5)のいずれか一つに記載のゲームシステムであって、前記移動制御処理は、前記操作対象オブジェクトの移動速度を計算する速度演算処理を含み、前記所定係数は、前記速度演算処理に用いられるものであり、前記移動制御手段は、プレイヤの操作に基づいて前記操作対象オブジェクトの移動を開始させてから停止させるまでの期間において、少なくとも前記速度演算処理を繰り返し行うゲームシステム。
(7)仮想空間内に複数のオブジェクトが配置されて行われるゲームに係るゲームサービスを提供するゲーム提供サーバであって、前記仮想空間内において移動可能な前記オブジェクトの移動を制御する移動制御手段と、前記仮想空間をクリアする為の条件であるクリア条件の充足の有無を判定するクリア判定手段と、を備え、前記移動制御手段は、プレイヤによる操作対象となる操作対象オブジェクトの移動制御処理に所定係数を用いるものであり、前記仮想空間において前記クリア条件を充足した場合において、前記移動制御手段が当該クリア条件を充足するタイミングの前に実行される前記移動制御処理に用いる前記所定係数と当該タイミングより後に実行される前記移動制御処理に用いる前記所定係数とを変化させることによって、当該タイミングの前より後において前記操作対象オブジェクトの移動速度をより大きく減速させるゲーム提供サーバ。
(8)仮想空間内に複数のオブジェクトが配置されて行われるゲームの制御をコンピュータに実行させる為のゲームプログラムであって、前記仮想空間内において移動可能な前記オブジェクトの移動を制御する移動制御処理と、前記仮想空間をクリアする為の条件であるクリア条件の充足の有無を判定するクリア判定処理と、を前記コンピュータに実行させ、プレイヤによる操作対象となる操作対象オブジェクトの前記移動制御処理に所定係数を用いるものであり、前記仮想空間において前記クリア条件を充足した場合において、当該クリア条件を充足するタイミングの前に実行される前記移動制御処理に用いる前記所定係数と当該タイミングより後に実行される前記移動制御処理に用いる前記所定係数とを変化させることによって、当該タイミングの前より後において前記操作対象オブジェクトの移動速度をより大きく減速させるゲームプログラム。