(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コネクタ端子は、クギ形状のコンタクトピンから形成されており、該コンタクトピンの前記回路基板との電気的接続部の径は該コンタクトピンの軸部の径よりも大きい請求項3記載のコネクタ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明に係る一実施の形態のコネクタを有するカメラ装置の断面図であり、また、
図2は、本発明に係る一実施の形態のコネクタを有するカメラ装置の要部構成を示す分解斜視図である。本実施の形態では、カメラ装置10の一部としてコネクタ100を備えるものとして説明する。また、本実施の形態では、コネクタ100を有するカメラ装置10に関する方向を、直交座標系(X,Y,Z)を使用して説明する。カメラ装置10では、コネクタ100に対してレンズ等の光学系(ここではレンズ部)が配置される側を前側とし、コネクタ100にケーブルが接続される側を後ろ側とし、光学系(具体的にはレンズ部31)の光軸L方向に沿う方向をZ方向(回路基板11の厚み方向ともいう)、光軸Lに対して直交する方向を、X方向、Y方向とする。
【0014】
カメラ装置10は、例えば、車両の前面、後面、左右側面等を構成する部位に設けられることにより、車両の外部景色を撮像するフロントモニタ、バックモニタ、サイドモニタ等の車載カメラ装置として用いられる。車両は、自動車、列車等の移動装置であることが好ましく、例えば、カメラ装置10は、自動車では、フロントバンパ、リアバンパ、フロントグリル等に設けられる。カメラ装置10は、ケーブルの端部に接続された相手コネクタ50(
図3参照)を介して電源や車室内の表示装置等の外部の電気機器に接続される。ここでは、ケーブルは、同軸ケーブルとして説明し、カメラ装置10から撮像したデジタル信号を出力するものとする。なお、カメラ装置は、アナログ信号を入出力するケーブルを接続できる構成としてもよい。
【0015】
カメラ装置10は、コネクタ100を有するカメラケース15と、撮像素子12が実装された回路基板11と、レンズ部31と、レンズ部31を保持するホルダ部35と、を有する。
【0016】
カメラケース15は、フロントケース13とリアケース14とにより構成されている。フロントケース13及びリアケース14は、ここでは、絶縁性を有する樹脂等により構成される。ここではカメラケースは、正面視正方形状の中空の薄肉の直方体状をなしている。
フロントケース13は、後面側が開口する箱状をなし、前面部の中央部にレンズ孔が穿孔されている。レンズ孔は、フロントケース13内部と前方とを連通して形成され、このレンズ孔にはガスケット(Oリング)33を介してレンズ部31の前部31aが内嵌されている。これにより、フロントケース13はレンズ部31で気密に閉塞された状態となっている。
フロントケース13において、前面側の開口部に臨むレンズ部31の前部31aは、外部光を、カメラケース15内の撮像素子12の受光面上へ導入する。
【0017】
ホルダ部35は、筒状をなしており、フロントケース13内に収容されている。ホルダ部35は、レンズ部(光学系)の外周を囲むホルダ筒部351と、ホルダ筒部の後端側に一体に接合され、後端側から放射方向に突出するホルダフランジ352と、脚部353とを有する。
ホルダ筒部351は、レンズ部31を支持し、ホルダフランジ352を介して、レンズ部31を、フロントケース13に保持させる。レンズ部31の光軸Lは、フロントケース13の軸と一致するように配置されている。
ホルダフランジ352は、その外周面でフロントケース13に固定され、内部の貫通孔にはレンズ部31の後面部31bが、後方に臨むように配置される。
【0018】
脚部353は、ホルダフランジ352の後面から後方に突出して設けられている。ここでは、ホルダフランジ352の外形が、光軸方向と直交する断面形状が矩形状(詳細には正方形状)であるので、ホルダフランジ352の後面の4つの角部に設けられている。
脚部353の後端面は、光軸と直交する面であり、この後端面に回路基板11の一方の面(前側面)が当接し、これにより回路基板11は、光軸と直交して配置されている。
これにより、ホルダ部35は、回路基板11の撮像素子12を、ホルダフランジ352の後面で露出するレンズ部31に対して、光軸方向で、所定間隔(脚部353の前後方向の長さ分)空けて対向させている。なお、脚部353は、回路基板11に、例えば、接着材や樹脂等により固定される。
【0019】
リアケース14は該リアケース14の相手コネクタ50の嵌合近傍に封止剤にて気密に閉塞されている。
【0020】
回路基板11は、フロントケース13及びリアケース14内に収容されている。回路基板11は、レンズ部31に対して、レンズ部(光学系)31の光軸方向で対向するように配置されている。回路基板11には、一方の面(前側面)側に、レンズ部31と対向してCCD素子等の撮像素子12が実装されている。ここでは、回路基板11は、平面視正方形状に形成されており、撮像素子12は、回路基板11の中央部分に実装されており、レンズ部31の光軸と重なる位置に位置する。撮像素子12の光軸は、平面視した際の回路基板11の中心または中心近傍に位置することが好ましい。この回路基板11には、撮像素子12に関する電源回路や信号処理回路等が形成されている。
【0021】
また、回路基板11は、カメラケース15の内周面から離間して配置されている。回路基板11は、光学系(レンズ部31)の光軸Lと撮像素子12の光軸L1との位置関係を調整するために、カメラケース15において対して、X方向、Y方向及びZ方向に相対的に変位可能となるように支持される。ここでは、回路基板11は、組み付け時では、後述するレセプタクルピン16の付勢力により、ホルダ部35にZ方向で押圧して支持される。これにより、回路基板11は、カメラケース15内で、光軸Lに垂直な平面に沿って2次元に移動できるとともに、光軸L方向や光軸L方向に沿うZ方向(回路基板11の厚み方向とも言える)にも移動させてその位置が調整可能となっている。
回路基板11の他方の面(後側面)に対向して、リアケース14において後側の面を構成する後面部141が配置されている。
【0022】
リアケース14は、後面部141の周縁部から前面側に突出する周壁部を有し、前面側端部で開口する箱状をなしており、前面側の開口で、フロントケース13の後面側の開口(開口部)を閉塞する。例えば、リアケース14と、フロントケース13との開口端面同士は、シール材(図示省略)を介して当接し、接着剤或いはネジ等を介して接合される。これによりフロントケース13とリアケース14とで気密的に一体化されたカメラケースを構成する。
【0023】
図3は、本発明に係る一実施の形態のコネクタの要部構成を示すカメラ装置の部分断面である。また、
図4は、本発明に係る一実施の形態のコネクタの要部構成を示す分解斜視図である。
図3及び
図4に示すカメラ装置10は、リアケース14の後面部141を含むコネクタ100を有する。このコネクタ100を介して、図示しないケーブル(ここでは同軸ケーブル)の端部に接続された相手コネクタ50が嵌合される。
コネクタ100は、カメラケースのリアケース14の一部としても機能する後面部(面状のコネクタハウジング)141と、レセプタクルピン16と、コンタクトピン21と、シェル22と、ハウジング23と、を有する。
レセプタクルピン(回路端子部)16は、回路基板11の他方の面(後側面)側に、レセプタクルハウジング(以下、「レセハウジング」という)17を介して取り付けられている。ここでは、レセプタクルピン16は、複数(例えば3つ)の端子を有している。回路基板11は、レセプタクルピン(回路端子部)16に接触するコンタクトピン21を介して外部からの電力の供給を受け、あるいは外部との間で電気信号の送受信を行うことができる。レセプタクルピン16についての詳細は後述する。
【0024】
レセハウジング17は、回路基板11の後面側の中央部分に配置されており、取り付けられたレセプタクルピン16をそれぞれ支持する。
【0025】
レセハウジング17は、レセプタクルピン16のそれぞれを絶縁する絶縁材料により筒状に形成されており、レセプタクルピン16の一端部を、回路基板11の対応する回路にそれぞれ接続している。ここでは、レセハウジング17は、角筒状に形成されており、開口171の形状が正方形状に形成されている。レセプタクルピン16は、同軸ケーブルの構成に対応して、主に撮像素子12により出力される撮像信号を出力する信号端子としてのレセコンタクトピン16aと、回路基板11のグランド及びシェル22の接点片部22a1に接続されるレセグランドピン16bとを有する。
【0026】
図5は、本発明の一実施の形態に係るコネクタにおける回路端子部(レセコンタクトピン)16とコネクタ端子(コンタクトピン21、シェル22)との接触位置関係を示す図であり、これらの接触部分を、後面部141を外して後方から見た図である。
【0027】
図3〜
図5に示すように、レセハウジング17は、矩形筒状をなしており、外周面と後端面(
図4では上側面)を矩形枠状のシールド18で被覆されている。このシールド18の下端部の脚部18aを回路基板11に実装(ここでは半田により接合)することにより、レセハウジング17は、回路基板11に固定されている。
【0028】
レセプタクルピン16(レセコンタクトピン16a、レセグランドピン16b)は、
図4及び
図5に示すように、それぞれ、回路基板11において対応する回路パターンに半田により接続される基端部161と、弾性変形による付勢力によりコンタクトピン21、シェル22の一端部22a(特に接点片部22a1)をZ方向に付勢しつつ接触する先端部162、168とを有する。なお、レセプタクルピン16のレセコンタクトピン16a、レセグランドピン16bについては、同様の構成については同名称同符号を付して説明する。なお、レセプタクルピン16は、後面部141側(つまり嵌合部143側)で固定されるコンタクトピン21及びシェル22の一端部22a(特に接点片部22a1)Z方向に付勢することにより、回路基板11をホルダ部35に押圧して回路基板11を保持する。
【0029】
ここでは、レセプタクルピン16は、細長板状の導電材料(銅板等)を加工して、両端部をそれぞれ基端部161と先端部162、168として形成される。レセプタクルピン16は、基端部161と先端部162、168との間に、基端部161側から先端部162側に、固定片163と、変形可能な屈曲部164と、弾性変形可能なアーム部166、167が順に連続して形成されている。なお、レセプタクルピン16において、レセコンタクトピン16aと、レセグランドピン16bとは、アーム部166、167及び先端部162、168の形状が異なる。
【0030】
固定片163は、基端部161からZ方向に沿って後方(ここでは後方であるコネクタ側)に向かって、回路基板11に対して立ち上がるように形成されている。固定片163は、枠状のレセハウジング17の周壁部のうちの一壁部内で固定されている。固定片163において後方側の端部には、一壁部の後端面に沿って一壁部の内面に向かって延びる屈曲部164が連続している。
【0031】
屈曲部164には、屈曲部164とともに板バネとして機能するアーム部166、167が、一壁部の下端側(カメラ装置10の前方)へ延びて屈曲し、一壁部の対向壁の上端側(カメラ装置の後方)に向かって突出して形成されている。
【0032】
アーム部166、167の傾斜片の先端部162、168が形成されている。
【0033】
レセコンタクトピン16aは、屈曲部164から連続するアーム部166及び先端部162は二股に分岐して構成されている。
【0034】
レセコンタクトピン16aの先端部162は、アーム部166の傾斜片の延在方向に対して屈曲する屈曲部分でコンタクトピン21にZ方向に沿う方向で変位して押圧しつつ接触可能に形成されている。レセコンタクトピン16aの先端部162において、アーム部166の傾斜片との屈曲部分が、コンタクトピン21の端面である接触面部212に接触する接点部を構成している。
【0035】
また、レセグランドピン16bの先端部168は、アーム部167の傾斜片の延在方向に対して屈曲して設けられ、傾斜片との屈曲部分でシェル22の一端部22a(特に接点片部22a1)にZ方向に沿う方向で変形して押圧しつつ接触可能に形成されている。
【0036】
先端部168の配置位置は、先端部162と同高さレベルでの位置である。
【0037】
このように構成されるレセコンタクトピン16a、レセグランドピン16bの先端部162、168は、アーム部(弾性変形部)166、167により後面部141側に付勢され、回路基板11の厚み方向に変位可能な接点部を有している。
【0038】
また、レセプタクルピン16のうち、レセコンタクトピン16aは、屈曲部164、アーム部166及び先端部162が、レセハウジング17の開口部の略中央に位置するように、レセハウジング17に支持されている。
【0039】
また、先端部162の二股に分岐する分岐片の間に、コンタクトピン21の軸心が位置するように配置される。なお、このコンタクトピン21の軸心が、光学系の光軸と一致するように配置されることが好ましい。
【0040】
また、レセグランドピン16b、16bは、その先端部168、168が、レセコンタクトピン16aの先端部162を、等間隔を空けて挟む位置に位置するように、レセハウジング17に支持されている。
【0041】
コンタクトピン21及び筒状のシェル22は、コネクタ端子に相当し、リアケース14の後面部141に貫設されている。具体的には、コンタクトピン21及び筒状のシェル22は、後方側の端部(軸部先端部214a、他端部22b)をリアケース14の外部へ突出させるとともに前方側の端部(接触面部212、一端部22a)をリアケース14の内部に露出させるように、リアケース14の後面部141に固定されている。
【0042】
ここでは、コンタクトピン21及び筒状のシェル22は、後面部141の中央部分に形成された貫通孔内に配置されている。
【0043】
具体的には、コンタクトピン21の前方側の端部(接触面部212)及び筒状のシェル22の前方側の端部(一端部22a)は、カメラケース内で、回路基板11に取り付けられたレセハウジング17の開口171内に挿入した状態で配置されている。一方、コンタクトピン21の後方側の端部(軸部先端部214a)及びシェル22の後方側の端部(他端部)22bは、後面部141の後側の面(カメラケースの後面面)側に凹状に形成された嵌合部143内で露出した状態で配置されている。
【0044】
コンタクトピン21は、長尺棒状体であり、導電材料からなり導電性を有する。コンタクトピン21は、例えば、銅製ピン、或いは、軟銅等の母材にSnメッキを施した部材である。
【0045】
コンタクトピン21は、レセコンタクトピン16aに面で接触する接触面部212と、接触面部212に一体に設けられ、接触面部212の中心軸(コンタクトピン21の中心軸)を通るように延在する軸部214とを有する。ここでは、軸部214は、接触面部212に対して垂直方向に立設して設けられている。
【0046】
また、
図3〜
図5に示すように、コンタクトピン21の外周面は、延在方向に延びる中心軸方向に垂直な断面において、中心軸から等間隔に位置することが好ましい。コンタクトピン21の外周が、中心軸と等間隔離れた位置に位置すれば、レセコンタクトピン16aが、接触面部212の中心からX軸Y軸のどの方向でズレた位置で接触しても、位置ズレにより発生するインピーダンス変化を、極力同様な変化(同じような値)にすることができる。具体的には、コンタクトピン21を断面円形で形成し、接触面部212を円形とし、円形の接触面部212から垂直に延びる軸部214を接触面部212と同一中心とした円柱状に形成する。これにより、コンタクトピン21の特性インピーダンスを設定し易くなる。
【0047】
また、本実施の形態では、断面円形の接触面部212は、断面円形の軸部214の一端部の外周から放射方向に垂直に張り出したフランジ状に形成されている。
【0048】
コンタクトピン21は、円筒形状のハウジング23の中心孔に挿入(ここでは圧入)されている。
【0049】
ハウジング23は、絶縁材料により構成され、その外周面はシェル22により覆われている。
【0050】
これにより、シェル22内に、ハウジング23を介してコンタクトピン21が内嵌されており、シェル22は、コンタクトピン21に対し絶縁材を介して、コンタクトピン21を囲むように配置され、コンタクトピン21に対する電磁シールドとして機能する。
【0051】
筒状のシェル22は、導電性を有する金属板を加工して形成されている。筒状のシェル22の一端部22aは、中心軸に対して放射方向に張り出すフランジ状部分を有する。一端部22aのフランジ状部分に、放射方向に突出する接点片部22a1が形成されている。接点片部22a1は、レセグランドピン16bに対応する位置に形成される。
なお、
図3に示すように、後面部141の内面の中央部分には、嵌合部143の開口に連続して開口し、且つ、後面部141の内面から突出する枠状部141aが形成されている。
【0052】
シェル22は、後面部141の内側から、枠状部141a内に圧入されており、一端部22aのフランジ状部分で枠状部141aの前端面に係合し、他端部22bをリアケース14の嵌合部143で露出させている。
【0053】
シェル22の一端部22aは、レセハウジング17内に配置され、一端部22aのフランジ状部分における後方側の面は、レセハウジング17の開口面と面一或いは略面一となるように配置されている。また、シェル22の一端部22aの外周縁と、レセハウジング17の開口縁との間には、四方でクリアランスS(
図3参照)が形成されている。
【0054】
嵌合部143は、
図3に示すように、後面部141を貫通する開口を有し、この開口にシェル22が嵌合されている。嵌合部143は、後面側では凹状に形成されており、ケーブルの端部に接続される相手コネクタ50の凸状の被嵌合部52と嵌合する。
【0055】
嵌合部143の開口縁部には、開口部を囲むようにパッキン材60が取りつけられており、相手コネクタ50との嵌合時において、電気的接続部分の気密性を向上させている。
【0056】
相手コネクタ50は、後面部141の円形の後面に当接する当接部51に、被嵌合部52を突設している。被嵌合部52は円筒状をなしており、被嵌合部52内には、同軸ケーブルの中心導体に接続される相手コンタクトピン54と、相手コンタクトピン54を囲む筒状の相手シェル56とが配設されている。
【0057】
相手コンタクトピン54は、細長筒状の導電材料により構成され、例えば、銅製ピン、或いは、軟銅等の母材にSnメッキを施した筒状部材である。
【0058】
相手コンタクトピン54は、一端部側で同軸ケーブルの中心導体に接続され、且つ、他端部側が被嵌合部52内で突設されており、コンタクトピン21が挿入されて外嵌し電気的に接続する。
【0059】
相手シェル56は、導電性を有する金属により形成されている。相手シェル56は、一端部側で、ケーブルの導体(ここで同軸ケーブルの外部導体(網組み銅線))に接続されている。
【0060】
相手シェル56は、被嵌合部52内で、相手コンタクトピン54を中心として等間隔で配置されており、且つ、シェル22と嵌合して電気的に接続される。相手シェル56は、ここでは、被嵌合部52の内周面に沿って配設され、シェル22と外嵌する。
【0061】
このように構成されたカメラ装置10と、相手コネクタ50とを嵌合して接続することによって、回路端子としてのレセプタクルピン16と、コンタクト端子であるコンタクトピン21、シェル22とが接触し電気的に接続される。これにより、相手コネクタ50に接続されるケーブルを介して、カメラ装置10は、外部機器と接続される。
【0062】
ここで、レセコンタクトピン16a、レセグランドピン16bと、コンタクトピン21、シェル22の一端部22a(特にフランジ状部分の接点片部22a1)との位置関係について詳細に説明する。
【0063】
図5に示すように、コンタクトピン21は、軸心を、レンズ系の光軸L、ひいては回路基板11の中央部に実装された撮像素子12の光軸L1(
図1参照)と一致するように配置されていることが望ましい。
【0064】
また、レセコンタクトピン16aにおける先端部162の接点部も同様に、回路基板11の中央部に実装された撮像素子12の光軸L1上に位置するように配置されることが好ましく、ひいては先端部162の接点部はレンズ系の光軸Lと略中心で重なるように配置されることが好ましい。
【0065】
これにより、コンタクトピン21の接触面部212は、その中心で、レセコンタクトピン16aと接触するように、レセコンタクトピン16aの先端部162の接触領域よりもXY軸方向に広い領域を有する。回路基板11のXY方向の可動域は、それぞれの方向でクリアランス2S分変位可能となっている。ここでは
図3及び
図5に示すように、軸部214の断面形状と重なるようにレセコンタクトピン16aの先端部162が配置され、先端部162の接点部がコンタクトピン21の中央に位置するように配置されている。
【0066】
また、シェル22の一端部22aは、
図5に示すように、接点片部22a1のXY方向の中心部でレセグランドピン16bの先端部168が接触する位置に配置されるように構成されている。
【0067】
このように構成されるカメラ装置10では、ホルダ部35、ガスケット33を介してレンズ部31が装着されたフロントケース13と、コンタクトピン21、シェル22、ハウジング23を有するリアケース14とを、撮像素子12とレセプタクルピン16とを有する回路基板11を挟んで組み付ける。
【0068】
また、回路基板11は、コンタクトピン21、シェル22に接触しつつコンタクトピン21、シェル22を付勢するレセプタクルピン16を介して、コンタクトピン21、シェル22に電気的に接続される。また、回路基板11は、フロントケース13とリアケース14からなるカメラケース15(
図1参照)内において、レセプタクルピン16の付勢力により、カメラケース15内において、前側(具体的にはホルダ部35の脚部353)に押し付けられる。更に、回路基板11は、レセプタクルピン16とコンタクトピン21、シェル22との電気的な接続により、コンタクトピン21、シェル22に接続される外部機器に電気的に接続される。
これにより、回路基板11に対してコネクタ100は、回路基板11をXYZ軸方向に移動(フローティング)自在に保持しつつ電気的に接続するフローティング機能を有する位置状態にあり、カメラ装置10を組み付けた後、撮像素子12の光軸L1とレンズ部31の光軸Lとを一致させるために回路基板11をXYZ方向に変位させても、その変位に追従して確実な接触状態を維持できる。
【0069】
図6は、本発明に係る一実施の形態のコネクタを備えるカメラ装置において回路基板11を変位させた状態を示す断面図である。
図7及び
図8は、本発明に係る一実施の形態のコネクタを備えるカメラ装置において回路基板11を変位させた状態の要部構成を示す断面図である。
図6では、回路基板11をZ方向で−方向(−のフローティング方向)に変位させた状態を示す。具体的には、回路基板11を、
図1に示す光軸方向(ここではZ方向)の位置よりも後面部141側(相手コネクタ側)に変位(Mより短いNの長さ分、ここではN=1/2M変位)させている。このように、回路基板11をZ軸−方向(コンタクトピン21側への方向)に変位しても、回路基板11のレセコンタクトピン16aは、先端部162の接点部でコンタクトピン21の接触面部212を摺動するとともにアーム部166の弾性変形により、接触面部212に確実に接触している。
【0070】
図7では、回路基板11をX軸とZ方向でそれぞれ+方向(+のフローティング方向)に変位させた状態を示す。このように、回路基板11をX軸+方向(図中右方向)及びZ軸+方向(コンタクトピン21側への方向)に変位しても、回路基板11のレセコンタクトピン16aは、先端部162の接点部でコンタクトピン21の接触面部212を摺動するとともにアーム部166の弾性変形により、接触面部212に確実に接触している。
【0071】
また、
図8では、回路基板11をX軸+方向(フローティング方向)に変位させた状態を示す。このように、回路基板11をX軸+方向(図中右方向)に変位しても、回路基板11のレセコンタクトピン16aは、先端部162の接点部でコンタクトピン21の接触面部212に確実に接触している。このように、回路基板11を変位させて、レンズ部31の光軸Lと、撮像素子12の光軸L1との位置を調整した後、ホルダ部35の脚部353と、回路基板11とを接着剤或いは樹脂等により固定してもよい。
【0072】
なお、本実施の形態のコネクタ100におけるコンタクトピン21の外径はどのような外径でもよいが、外径により、特性インピーダンスが異なる。
【0073】
特性インターフェースは、簡易インピーダンス式に適用して算出できる。
【0074】
図9は、コンタクトピンの特性インピーダンスの説明に供する図であり、
図9Aは、簡易インピーダンス式の説明に供する図であり、
図9B及び
図9Cは、コンタクトピンの形状の一例を示す図である。
【0075】
図9Aを用いた簡易インピーダンス式を下記式1で示す。
【0077】
本実施の形態のコンタクトピン21のような
図9Bに示すクギ形状のコンタクトピン21Aの特性インピーダンスの一例は、上記式1で示す簡易インピーダンス式に、ピン径(軸部214の外径)d=0.5mm、外部導体内径D=2.9mm、絶縁体誘電率ε=3.7を適用して算出できる。なお、接触面部の外径はd=1.3mmとする。すると、特性インピーダンスは54.8Ωとなる。また、
図9Cに示すように、コンタクトピン21Aの接触面部212の外径と同様の外形の軸部214Aで構成したコンタクトピン21Bの特性インピーダンスの一例は、ピン径(軸部214Aの外径)d=1.3mm、外部導体内径D=2.9mm、絶縁体誘電率ε=3.7を適用して算出する。すると、特性インピーダンスは25.0Ωとなった。
一般的に、信号が伝送される同軸ケーブルのインピーダンスが約50Ωであるため、
図9Bの形状にすることによって伝送ロスを極力減衰させることが出来る。
【0078】
なお、本実施の形態では、一本のコンタクトピン21を介して、カメラケース内でフローティング機構により支持される回路基板11に、同軸ケーブルを電気的に接続する構成としたが、
図10に示すように2本以上のコンタクトピン21Cを有するコネクタとしてもよい。
【0079】
図10は、本発明に係る一実施の形態のコネクタの変形例の要部構成を示す模式図である。
図10では、矩形枠状のシェル22C内に、複数本(ここでは6本)のコンタクトピン21Cが、実施の形態のカメラ装置10(
図3参照)でのコンタクトピン21の取付構造と同様の構造でリアケース14の後面部141に取りつけられる。
【0080】
また、これらコンタクトピン21Cのそれぞれの接触面部は、フローティング機構により支持される回路基板に取り付けたレセプタクルピン16と同様の端子によりZ方向に沿って押圧した状態で当接する。
【0081】
本実施の形態のカメラ装置10においては、一端部で、相手コネクタ50の相手コンタクトピン54に接合するコンタクトピン21が、その他端部の端面(接触面部212)で、回路端子であるレセコンタクトピン16aと直接Z方向に押し付け合う状態で電気的に接続する。このため、カメラケース内にハーネス、FFC、FPC等の収容スペースを確保する必要はなく、変位可能な回路基板11のレセコンタクトピン16a(回路端子部)とコンタクトピン(コネクタ端子)21とを簡易な構成で好適に接続でき、更に全体的に小型薄型の構成になる。
【0082】
このように、本実施の形態によれば、ケーブルに接続される棒状のコンタクトピン(コネクタ端子)21の接触面部(端面)212が、変位可能な回路基板11に取り付けられたレセプタクルピン16(具体的には、レセコンタクトピン16a(回路端子))に、回路基板11の厚み方向で当接して、レセコンタクトピン16a(回路端子)を弾性変形させている。これにより、回路基板11の厚み方向と直交する方向とともに回路基板11の厚み方向にも回路基板11を変位させつつ、回路基板11の回路端子(レセプタクルピン16)とコネクタ端子(コンタクトピン21)とを簡易な構成で安定して好適に電気的に接続でき、更に全体的に小型薄型の構成にとなり小型化軽量化を図ることができる。
【0083】
すなわち、ケーブルの端部を形成するケーブル端子(特に相手コンタクトピン54)と、カメラ装置10の回路基板11の回路端子であるレセコンタクトピン16aとが、コンタクトピン21のみを介して簡易な構成で電気的に接続されている。
【0084】
例えば、光学系(レンズ部31)の光軸Lと撮像素子12の光軸L1の調整するために、撮像素子12を実装する回路基板11をコンタクトピン21に対して変位させても、回路基板11側のレセプタクルピン16は、コンタクトピン21、シェル22の一端部22a(特に、接点片部22a1)のそれぞれに、Z方向に押し付けられつつXY方向に摺動できる。本実施の形態では、カメラケース15内で、回路基板11は、コンタクトピン21、シェル22に接触するレセプタクルピン16のZ方向(ここでは光軸L方向といってもよい)に沿った弾性変形により、XY方向(光軸Lと直交する方向)に移動可能で、光学系の光軸Lに沿う方向でレンズ部31側(具体的にはホルダ部35)に押し付けられて位置決めされた状態となっている。
【0085】
これにより、回路基板11とケーブルとが常に電気的に接続された状態を安定して保持できる。
【0086】
また、この構造によれば、1枚の回路基板11のみで、フローティングする回路基板11をX軸Y軸といった光軸と直交する方向に移動自在であることは勿論のこと、Z方向にも変位させつつ、回路基板11のレセプタクルピン16と、コネクタ側のコネクタ端子とを電気的に好適に接続できる。また、レセコンタクトピン16aは、回路基板11に実装される撮像素子12の光軸L1と一致する位置に先端部(接点部)162を配置し、レセコンタクトピン16aの先端部(接点162)の周囲に、レセグランドピン16bの先端部(接点部)168を配置している。詳細には、コンタクトピン21に接触して信号を伝送するレセコンタクトピン16aのアーム部166を2分割構造とし、シェル22の接点片部22a1を直径方向2か所に配置して、その2箇所でレセグランドピン16bと接触する構成としている。これにより、信号端子(コンタクトピン21、レセコンタクトピン16a)及びグランド端子(シェル22、レセグランドピン16b)が安定的に接続される。更に、中央に信号を伝送するためのレセコンタクトピン16a、その周囲に2か所レセグランドピン16b配設することによってノイズにも強い構成となる。
【0087】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0088】
以上、本発明の実施の形態について説明した。なお、以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されない。つまり、上記装置の構成や各部分の形状についての説明は一例であり、本発明の範囲においてこれらの例に対する様々な変更や追加が可能であることは明らかである。