(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6817660
(24)【登録日】2021年1月4日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】飛行型内部探査機
(51)【国際特許分類】
E01D 22/00 20060101AFI20210107BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20210107BHJP
B64C 27/04 20060101ALI20210107BHJP
G01V 3/12 20060101ALI20210107BHJP
B64C 37/00 20060101ALI20210107BHJP
【FI】
E01D22/00 A
B64C39/02
B64C27/04
G01V3/12 A
B64C37/00
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2020-12748(P2020-12748)
(22)【出願日】2020年1月29日
【審査請求日】2020年1月29日
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】394019370
【氏名又は名称】株式会社ウオールナット
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】新 弘治
(72)【発明者】
【氏名】沖安 芳幸
【審査官】
長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】
特開2018−100063(JP,A)
【文献】
特開2015−205681(JP,A)
【文献】
特開2010−187065(JP,A)
【文献】
特開2018−105846(JP,A)
【文献】
特開2019−073160(JP,A)
【文献】
特開2016−211878(JP,A)
【文献】
特開2017−194541(JP,A)
【文献】
特開2018−008647(JP,A)
【文献】
特開2015−223995(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0280359(US,A1)
【文献】
特開2019−82379(JP,A)
【文献】
国際公開第2017/217470(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 22/00
B64C 27/04
B64C 37/00
B64C 39/02
G01V 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
この本体部に対し揚力を付与可能な揚力発生手段と、
検出波を照射し、かつ、その検出波の検査対象物による反射波を取得するアンテナを有し、前記本体部に配置され、前記アンテナから照射される検出波を用いて検査対象物の内部構造を計測する計測装置と、を備え、
前記アンテナは、前記本体部の上部に配置可能であり、
前記計測装置は、前記本体部の上部に前記アンテナが配置され前記アンテナから上方の検査対象物に向かって検出波を照射することでこの検査対象物の内部構造を計測する状態で重心が前記本体部の下部に位置する
ことを特徴とする飛行型内部探査機。
【請求項2】
揚力発生手段は、本体部の周囲に複数配置され、
計測装置は、複数の前記揚力発生手段の内方に位置する
ことを特徴とする請求項1記載の飛行型内部探査機。
【請求項3】
揚力発生手段は、回転翼であり、
計測装置は、少なくとも一部が前記回転翼よりも下方に突出して配置されている
ことを特徴とする請求項1または2記載の飛行型内部探査機。
【請求項4】
アンテナは、本体部に対して上部と下部とのいずれかに選択的に着脱可能である
ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか一記載の飛行型内部探査機。
【請求項5】
本体部の上部に位置し、揚力発生手段による揚力をグリップとして上方の構造部に対して走行可能な走行手段をさらに備える
ことを特徴とする請求項1ないし4いずれか一記載の飛行型内部探査機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象物の内部構造を計測する計測装置を備える飛行型内部探査機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検査対象物であるトンネルあるいは橋梁などの土木構造物の内部調査及び点検においては、地中レーダシステムを用い、コンクリート厚、空洞、鉄筋状況などを調査している。このような調査の際には、高所作業車を用いたり、仮設の足場を用いたりして、人力での計測、あるいは専用治具の設置による計測を実施している。
【0003】
例えば、高所に存在している橋梁の背面のコンクリート内部探査を行う場合、組み立て足場、高所作業車、あるいは、橋梁点検車などによる作業床が必要となる。その作業床は、高所になるほど費用が増加する。
【0004】
また、例えば、法面、あるいはトンネル頂点のコンクリート内部探査を行う場合にも同様に、組み立て足場、あるいは高所作業車などによる作業床が必要となる。
【0005】
そのため、近年、ドローンなどの無人飛行体に搭載した計測装置によりデータを取得することで、作業床を用いないようにする方法が用いられる(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015−223995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般的に、土木構造物の内部調査用の計測装置は、アンテナ、発信機、受信機、PCなどのコントローラ及び記録装置、及び、電源により構成され、重量が比較的大きい。そのため、無人飛行体の上部に計測装置を積載すると、バランスが悪くなり、安定した飛行ができないおそれがある。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、安定して飛行可能な飛行型内部探査機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の飛行型内部探査機は、本体部と、この本体部に対し揚力を付与可能な揚力発生手段と、
検出波を照射し、かつ、その検出波の検査対象物による反射波を取得するアンテナを有し、前記本体部に配置され、
前記アンテナから照射される検出波を用いて検査対象物の内部構造を計測する計測装置と、を備え、
前記アンテナは、前記本体部の上部に配置可能であり、前記計測装置は、前記本体部
の上部に前記アンテナが配置され前記アンテナから上方の検査対象物
に向かって検出波を照射することでこの検査対象物の内部構造を計測する状態で重心が前記本体部の下部に位置するものである。
【0010】
請求項2記載の飛行型内部探査機は、請求項1記載の飛行型内部探査機において、揚力発生手段は、本体部の周囲に複数配置され、計測装置は、複数の前記揚力発生手段の内方に位置するものである。
【0011】
請求項
3記載の飛行型内部探査機は、請求項1
または2記載の飛行型内部探査機において、揚力発生手段は、回転翼であり、計測装置は、少なくとも一部が前記回転翼よりも下方に突出して配置されているものである。
【0012】
請求項
4記載の飛行型内部探査機は、請求項1ないし
3いずれか一記載の飛行型内部探査機において、
アンテナは、本体部の上部と下部とのいずれかに選択的に着脱可能であるものである。
【0013】
請求項
5記載の飛行型内部探査機は、請求項1ないし
4いずれか一記載の飛行型内部探査機において、本体部の上部に位置し、揚力発生手段による揚力をグリップとして上方の構造部に対して走行可能な走行手段をさらに備えるものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の飛行型内部探査機によれば、
アンテナを本体部の上部に配置してアンテナから上方の検査対象物に向かって検出波を照射する際でも、本体部の上方の検査対象物の内部構造を計測する状態で計測装置の重心が本体部の下部に位置するため、安定して飛行可能となる。
【0015】
請求項2記載の飛行型内部探査機によれば、請求項1記載の飛行型内部探査機の効果に加えて、計測装置が本体部の周囲の複数の揚力発生手段の内方に位置するため、安定して飛行可能となる。
【0016】
請求項
3記載の飛行型内部探査機によれば、請求項1
または2記載の飛行型内部探査機の効果に加えて、計測装置の重心を本体部の下部に容易に設定できる。
【0017】
請求項
4記載の飛行型内部探査機によれば、請求項1ないし
3いずれか一記載の飛行型内部探査機の効果に加えて、検査対象の種類に応じてアンテナの位置を本体部の上部または下部に変えることにより、計測装置の重心を本体部の下部に位置させつつ、多様な検査対象を検査できる。
【0018】
請求項
5記載の飛行型内部探査機によれば、請求項1ないし
4いずれか一記載の飛行型内部探査機の効果に加えて、上方の構造部に沿って移動する際には、揚力発生手段による上方向の揚力のみを用いることにより、本体部を構造部に対し前後に傾斜させることなく、簡素な構成で、上方の構造部に対して安定した姿勢に維持しつつ、上方の構造部に沿って移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】(a)は本発明の一実施の形態を模式的に示す飛行型内部探査機のアンテナを本体部の上方に取り付けた状態の側面図、(b)は同上飛行型内部探査機のアンテナを本体部の下方に取り付けた状態の側面図である。
【
図2】同上飛行型内部探査機によるトンネルの検査の一例を模式的に示す説明図である。
【
図3】同上飛行型内部探査機による橋梁の検査の一例を模式的に示す説明図である。
【
図4】同上飛行型内部探査機による法面の検査の一例を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0021】
図1(a)及び
図1(b)において、10は飛行型内部探査機(以下、単に探査機10という)を示す。探査機10は、ドローン、あるいはUAV(Unmanned Aerial Vehicle)などと呼ばれる無人飛行体である。探査機10は、本体部12を備えている。本体部12には、本体部12に対して揚力を付与する揚力発生手段13が設けられている。揚力発生手段13は、探査機10に作用する重力と釣り合う揚力を付与することにより、探査機10を浮遊(ホバリング)させる機能を有する。揚力発生手段13は、一例として上下方向に沿って回転軸を有してモータにより回転駆動される回転翼(水平回転翼)であり、回転によって本体部12に対して揚力を付与する。揚力発生手段13は、複数設けられている。揚力発生手段13は、好ましくは本体部12の周囲に均等または略均等に配置されている。つまり、本実施の形態の探査機10は、回転翼機である。
【0022】
本実施の形態において、揚力発生手段13は、本体部12に形成された腕部14に取り付けられている。腕部14は、本体部12から水平方向に沿って延びている。腕部14は、本体部12の上下方向の中央部より下方に位置している。本実施の形態において、腕部14は、本体部12の下部に位置している。
【0023】
また、本実施の形態において、本体部12には、計測装置16が取り付けられている。計測装置16は、例えばレーダ探査機である。計測装置16は、板状のアンテナ(放射板)16aを有する。アンテナ16aは、本実施の形態において、検査対象に向けて検出波を照射するとともに、その反射波をアンテナ16aの位置で検出することで、トンネルなどの土木構造物(人工構造物)である検査対象IT1の天井面などのコンクリート内部の空隙G(
図2)の有無や厚み、橋梁などの検査対象IT2の内部の鉄筋(
図3)、あるいは、切土や盛土などの検査対象IT3の法面S(
図4)などを調査するための、レーダアンテナ装置である。アンテナ16aは、計測装置16の全構成重量の1/10〜1/5程度の軽量のものである。アンテナ16aは、本体部12の上部に配置される。好ましくは、アンテナ16aは、検査対象に応じて、本体部12に対して上部と下部とに選択的に着脱可能に配置される。つまり、アンテナ16aは、探査機10に対して上方を検査する際には、本体部12に対して上部に配置され、探査機10に対して下方を検査する際には、本体部12に対して下部に配置される。そのため、アンテナ16aを着脱可能な上部取付部と下部取付部とが、本体部12の上部と下部とにそれぞれ配置されていることが好ましい。上部取付部と下部取付部とは、揚力発生手段13、または、腕部14に対し、上方と下方とに位置することが好ましい。例えば、上部取付部と下部取付部とは、揚力発生手段13、または、腕部14の、上下方向の中央部に対して上方と下方とに位置することが好ましい。
図1(a)には、アンテナ16aが本体部12に対して上部に位置する例が図示されている。
【0024】
計測装置16は、探査機10の遠隔操作用の信号を送受信する送信機及び受信機を備えている。また、計測装置16は、揚力発生手段13などの動作を制御する制御部及びアンテナ16aにより計測されたデータなどを記憶する記憶部の機能を有するコンピュータ(PC)を備えている。さらに、計測装置16は、探査機10の動力源となる電源部である電池(バッテリ)を備えている。本実施の形態において、これら送信機及び受信機、コンピュータ、及び、電池は、アンテナ16aとは別体のユニット16bを構成している。このユニット16bは、アンテナ16aの4倍〜10倍程度の重量を有する重量物である。すなわち、ユニット16bは、アンテナ16aよりも重く構成されている。ユニット16bは、重心が本体部12の下部に位置している。好ましくは、ユニット16bは、重心が揚力発生手段13、または、腕部14の上下方向の中央部に対して下方に位置するように本体部12に取り付けられている。より好ましくは、ユニット16bは、重心が揚力発生手段13、または、腕部14よりも下方に位置するように本体部12に取り付けられている。また、ユニット16bは、本体部12の下部に配置される。ユニット16bは、揚力発生手段13、または、腕部14に対し、少なくとも一部が下方に突出して配置される。好ましくは、ユニット16bは、揚力発生手段13、または、腕部14の、上下方向の中央部に対して下方に突出して配置される。より好ましくは、ユニット16bは、揚力発生手段13、または、腕部14よりも下方にて本体部12に配置される。そのため、計測装置16は、重心が本体部12の下部に位置する。好ましくは、計測装置16は、重心が揚力発生手段13、または、腕部14よりも下方に位置する。なお、ユニット16bは、送信機及び受信機、コンピュータ、及び電池以外の任意の構成を含んでいてもよい。
【0025】
本実施の形態において、ユニット16bには、アンテナ16aを取り付ける下部取付部が形成されている。つまり、
図1(b)に示される例では、ユニット16bにアンテナ16aを取り付けることで、アンテナ16aが本体部12に対して下部に配置される。好ましくは、下部取付部は、アンテナ16aによる検出波の照射角度を調整する照射角度調整手段17を備えている。照射角度調整手段17は、回動機構及びモータなどを有し、例えばアンテナ16aによる検出波の照射角度を回動により調整可能となっている。これに限らず、照射角度調整手段17は、アンテナ16aの角度を調整する任意の構成としてよい。
【0026】
なお、本体部12に対して上部に取り付けるアンテナ16aと下部に取り付けるアンテナ16aとは、同一のものでもよいし、本体部12に対して上部に取り付けるための上部用アンテナと、本体部12に対して下部に取り付けるための下部用アンテナと、を別個に備えていてもよい。
【0027】
また、計測装置16は、アンテナ16a、ユニット16bとは別個に、カメラを備えていてもよい。カメラは、検査対象を撮像するものである。カメラは、静止画を撮像してもよいし、動画を撮像してもよい。カメラは、通常の光学カメラでもよいし、赤外線カメラなどでもよい。本実施の形態において、カメラは、小型のものであり、アンテナ16aと同等の重さ、あるいはアンテナ16aより軽量である。カメラは、本体部12の任意の位置に取り付けられていてよい。好ましくは、カメラは、本体部12に対し着脱可能となっている。
【0028】
また、計測装置16のコンピュータに備えられる制御部は、
図2ないし
図4に示す操作員POにより、所定のコントローラCから送信された操作信号を受信機で受信し、その受信した操作信号に応じて、揚力発生手段13及び計測装置16の動作を制御する。すなわち、探査機10は、操作員POにより遠隔操作される。コントローラCは、制御部と無線通信可能とすることが好ましいが、これに限らず、制御部と有線通信するように構成されていてもよい。なお、操作員POは、トンネルの内部や橋梁の下部などの暗所を調査する場合、通常、作業補助員PAとともに調査を実施する。作業補助員PAは、例えば探査機10及び検査対象IT1,IT2を照明することで操作員POによる探査機10の操作を補助する。
【0029】
また、
図1(a)及び
図1(b)に示すように、本体部12には、脚部18が形成されている。脚部18は、探査機10の着地時に地面に対して接地する部分である。脚部18は、本体部12から下方へと延びている。脚部18は、計測装置16よりも下方に延びている。つまり、脚部18の下端部は、計測装置16の重心及び下端部よりも下方にある。本実施の形態において、脚部18は、計測装置16のユニット16bよりも下方に延びて位置する。
【0030】
さらに、本体部12には、好ましくは本体部12または探査機10を走行可能とする走行手段20が設けられている。走行手段20は、一例として、水平方向に沿って回転軸を有してモータにより回転駆動される駆動輪である。走行手段20は、本体部12の上部に位置する。走行手段20は、揚力発生手段13による上方向に向かう揚力によって上方の土木構造物に押圧される力をグリップとして、探査機10を上方の土木構造物に沿って走行可能とする。なお、走行手段20は、オムニホイールやメカナムホイールなどの駆動輪を用いてもよいし、無限軌道などの駆動輪も含むものとする。走行手段20は、本体部12に対して上部に取り付けられるアンテナ16a(上部用アンテナ)に一体的に配置されていてもよい。
【0031】
そして、探査機10は、検査対象に応じて、アンテナ16aを本体部12の上部、または、下部に取り付ける。例えば、
図2、あるいは
図3に示すように、探査機10によって検査対象IT1,IT2の下方から検査をする場合には、アンテナ16aを本体部12に対して上部に取り付け、
図4に示すように、探査機10によって検査対象IT3の上方から検査をする場合には、アンテナ16aを本体部12に対して下部に取り付ける。
【0032】
操作員POは、コントローラCを操作して操作信号を送信し、操作信号を受信機で受信した探査機10は、操作信号を処理し、この操作信号に基づいて制御部が揚力発生手段13を制御して、揚力発生手段13により生じる推進力を利用し、前後、左右、上下に移動し、所望の位置で検査対象を計測装置16によって非破壊に計測し、その計測したデータを解析することで、検査対象の欠陥の有無などを判定する。また、
図4に示すように、アンテナ16aを照射角度調整手段17に取り付けている場合には、操作員POは、アンテナ16aによる検出波の照射角度もコントローラCの操作により調整可能である。
【0033】
このとき、計測装置16の重心が本体部12の下部に位置するため、探査機10が安定して飛行可能となる。そのため、探査機10を遠隔操作しやすくなるとともに、計測装置16を安定的に検査対象に向けやすく、計測装置16により取得するデータの精度を高めることができる。
【0034】
計測装置16の少なくとも一部を、回転翼である揚力発生手段13よりも下方に突出して配置することで、計測装置16の重心を本体部12の下部に容易に設定できる。特に、本実施の形態では、計測装置16の重量の大部分を担うユニット16bの少なくとも一部を揚力発生手段13よりも下方に突出して配置することで、計測装置16の重心を本体部12の下部に容易かつ確実に設定できる。
【0035】
アンテナ16aを、本体部12に対して上部と下部とのいずれかに選択的に着脱可能とすることで、検査対象の種類に応じてアンテナ16aの位置を本体部12に対して上部または下部に変えることにより、計測装置16の重心を本体部12の下部に位置させつつ、多様な検査対象を検査できる。すなわち、アンテナ16aの重量は、計測装置16の全構成重量の1/10〜1/5程度であるため、アンテナ16aを本体部12に対して上部に取り付けた場合でも計測装置16の重心が本体部12の上部に位置することがない。
【0036】
本体部12の上部に、揚力発生手段13による揚力をグリップとして上方の土木構造物などの構造部に対して走行可能な走行手段20を備えることで、上方の構造部に沿って移動する際には、前後や左右の揚力発生手段13の揚力差、例えば回転翼の回転速度差により生じる前後方向や左右方向の推進力を用いず、揚力発生手段13による上方向の揚力のみを用いることにより、前後方向や左右方向の推進力は基本的に走行手段20によって生じさせる。このため、例えば回転翼の回転速度差によって探査機10を構造部に沿って移動させる従来の場合のように、本体部12を構造部に対し前後に傾斜させることなく、簡素な構成で、上方の構造部に対して安定した姿勢に維持しつつ、上方の構造部に沿って移動させることができる。そのため、計測装置16を安定的に検査対象に向けることができ、計測装置16により取得するデータの精度を高めることができる。
【0037】
また、走行手段20を、本体部12に対して上部に取り付けられるアンテナ16aに配置することで、探査機10の上方を検査する場合には、アンテナ16aを本体部12に対して上部に取り付けることで、走行手段20を同時に本体部12の上部に容易に配置できるとともに、探査機10の下方を検査する場合には、走行手段20は基本的に不要となるから、本体部12に対して上部に取り付けられるアンテナ16aを取り外すことで、走行手段20も容易に取り外すことができる。
【0038】
なお、上記の一実施の形態においては、送信機、受信機、制御部、記憶部、及び、電源部がユニット16bとして構成されたが、これらは互いに別個に備えられていてもよいし、これらのうちの任意の複数がユニット16bを構成するようにしてもよい。
【0039】
上方取付部と下方取付部とは、本体部12に対して上部または下部にアンテナ16aを配置できれば、本体部12やユニット16bに形成されているものに限らない。
【0040】
また、計測装置16は、その重心が本体部12の下部、揚力発生手段13の下方、または、腕部14の下方に位置するように本体部12に配置されていれば、計測装置16を構成する各部の本体部12における配置は問わない。
【符号の説明】
【0041】
10 飛行型内部探査機
12 本体部
13 揚力発生手段
16 計測装置
16a アンテナ
20 走行手段
【要約】
【課題】安定して飛行可能な飛行型内部探査機を提供する。
【解決手段】飛行型内部探査機10は、本体部12を備える。飛行型内部探査機10は、本体部12に対し揚力を付与可能な揚力発生手段13を備える。飛行型内部探査機10は、本体部12に配置され、検出波を用いて検査対象物の内部構造を計測する計測装置16を備える。飛行型内部探査機10は、計測装置16の重心が本体部12の下部に位置するため、安定して飛行可能となる。
【選択図】
図1