特許第6817679号(P6817679)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6817679
(24)【登録日】2021年1月4日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】暖房機および暖房機用のリモコン
(51)【国際特許分類】
   F24H 3/04 20060101AFI20210107BHJP
   F24F 11/56 20180101ALI20210107BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20210107BHJP
【FI】
   F24H3/04 305D
   F24H3/04 305M
   F24F11/56
   H04Q9/00 301Z
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-168568(P2016-168568)
(22)【出願日】2016年8月30日
(65)【公開番号】特開2018-35986(P2018-35986A)
(43)【公開日】2018年3月8日
【審査請求日】2019年6月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清
(74)【代理人】
【識別番号】100155745
【弁理士】
【氏名又は名称】水尻 勝久
(74)【代理人】
【識別番号】100143465
【弁理士】
【氏名又は名称】竹尾 由重
(74)【代理人】
【識別番号】100155756
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 武
(74)【代理人】
【識別番号】100161883
【弁理士】
【氏名又は名称】北出 英敏
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【弁理士】
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162248
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 豊
(72)【発明者】
【氏名】萩原 伸一
【審査官】 岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−241568(JP,A)
【文献】 特開平04−252597(JP,A)
【文献】 特開2008−236595(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 3/04
F24F 11/56
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
暖房機本体と、
暖房機本体に対して操作信号を送信するリモコンと
を備え、
前記リモコンは、
前記暖房機本体を運転停止状態から運転状態にする運転開始操作が可能な第1の操作部と、
前記第1の操作部による操作以外の操作が可能な第2の操作部と
を有しており、
前記リモコンと前記暖房機本体とが所定距離以上離れた位置関係にあると、少なくとも、前記第2の操作部による操作を受け付け、かつ、前記第1の操作部の前記運転開始操作を受け付けないように構成されており、
前記リモコンは、前記第1の操作部による操作がされた場合に出力される操作信号の信号強度が、前記第2の操作部による操作がされた場合に出力される操作信号の信号強度よりも小さくなるように構成されている
ことを特徴とする暖房機。
【請求項2】
前記暖房機本体は前記操作信号に基づいて当該暖房機本体の動作を制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、前記リモコンと前記暖房機本体との距離を測定し、測定した距離が所定値以上であると、前記第1の操作部の操作のうち前記運転開始操作を受け付けず、かつ、前記運転開始操作以外の操作を受け付けるように構成されている
ことを特徴とする請求項1記載の暖房機。
【請求項3】
暖房機本体を無線で操作可能な暖房機用のリモコンであって、
前記暖房機本体を運転停止状態から運転状態にする運転開始操作が可能な第1の操作部と、
前記第1の操作部による操作以外の操作が可能な第2の操作部とを備え、
前記第1の操作部による操作がされた場合に出力する操作信号の強度が、前記第2の操作部による操作がされた場合に出力する操作信号の強度よりも小さくなるように構成されている
ことを特徴とする暖房機用のリモコン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暖房機および暖房機用のリモコンに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来の暖房機が開示されている。この特許文献1記載の石油ファンヒータは、ケーシングに設けられた操作パネルを有している。操作パネルには運転「入」スイッチが設けられており、この運転「入」スイッチを操作することで、ファンヒータを運転開始させることができる。
【0003】
一般に、暖房機において、運転「入」スイッチの操作をする際には、暖房機の周囲の状況(例えば、ファンヒータであれば温風吹出口を塞いでいないかどうか等)を確認する必要がある。
【0004】
このとき、従来の暖房機にあっては、暖房機に操作パネルが設けられているため、運転開始の操作をしようとするユーザーは、暖房機の近くに移動する必要がある。したがって、ユーザーは、特に意識することなく、暖房機の周囲の状況を把握できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−47656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来の暖房機には、遠隔操作が可能なリモコンが設けられていないが、暖房機本体から離れた場所でも遠隔操作をしたいという要請がある。
【0007】
しかしながら、暖房機本体に対し、単にリモコンを付属しただけであると、使用時において、暖房機本体の周囲の状況を確認しないまま、遠隔操作によって運転開始の操作をしてしまう可能性が予想される。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、リモコンで暖房機本体の運転開始の切替操作をするに当たって、ユーザーに特別に意識を払わせなくても、暖房機本体の周囲の状況を確認させることが可能な暖房機および暖房機用のリモコンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の暖房機は、暖房機本体と、暖房機本体に対して操作信号を送信するリモコンとを備え、前記リモコンは、前記暖房機本体を運転停止状態から運転状態にする運転開始操作が可能な第1の操作部と、前記第1の操作部による操作以外の操作が可能な第2の操作部とを有しており、前記リモコンと前記暖房機本体とが所定距離以上離れた位置関係にあると、少なくとも、前記第2の操作部による操作を受け付け、かつ、前記第1の操作部の前記運転開始操作を受け付けないように構成されていることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、リモコンを操作しようとするユーザーが、暖房機本体の近傍に居ないと、暖房機本体の運転開始操作をすることができないため、ユーザーに特別に意識を払わせなくても、暖房機本体の周囲の状況を確認させることができる。
【0011】
また、この暖房機において、前記リモコンは、前記第1の操作部による操作がされた場合に出力される操作信号の信号強度が、前記第2の操作部による操作がされた場合に出力される信号強度よりも小さくなるように構成されていることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、簡単な構成のリモコンで、暖房機本体から所定距離離れた位置で操作した運転開始操作を受け付けないようにすることができる。
【0013】
また、この暖房機において、前記暖房機本体は前記操作信号に基づいて当該暖房機本体の動作を制御する制御装置を備え、前記制御装置は、前記リモコンと前記暖房機本体との距離を測定し、測定した距離が所定値以上であると、前記第1の操作部の操作のうち前記運転開始操作を受け付けず、かつ、前記運転開始操作以外の操作を受け付けるように構成されていることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、リモコンの第1の操作部のうち、運転状態から運転停止状態に切り替える操作については受け付けることが可能であるため、暖房機本体に対し、リモコンが所定距離以上離れていた場合において、緊急停止が必要となっても、素早く運転停止操作を行うことができる。
【0015】
また、本発明の暖房機用のリモコンは、暖房機本体を無線で操作可能な暖房機用のリモコンであって、前記暖房機本体を運転停止状態から運転状態にする運転開始操作がが可能な第1の操作部と、前記第1の操作部による操作以外の操作が可能な第2の操作部とを備え、前記第1の操作部による操作がされた場合に出力する操作信号の強度が、前記第2の操作部による操作がされた場合に出力する操作信号の強度よりも小さくなるように構成されていることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、リモコンが、暖房機本体の近傍に位置しないと、暖房機本体の運転開始操作をすることができないため、当該リモコンを操作するユーザーは、特別に意識を払わなくても、暖房機本体の周囲の状況を確認することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の暖房機および暖房機用のリモコンによれば、リモコンで暖房機本体の運転開始の切替操作をするに当たって、ユーザーに特別に意識を払わせなくても、暖房機本体の周囲の状況を確認させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態1の暖房機の斜視図である。
図2】同上の暖房機本体のブロック図である。
図3】同上の暖房機本体の本体操作部の拡大図である。
図4】同上のリモコンの正面図である。
図5】同上の暖房機本体とリモコンとの通信範囲を説明するための説明図である。
図6】本発明の実施形態2の暖房機本体のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について添付図面に基づいて説明する。
【0020】
〔実施形態1〕
本実施形態の暖房機は、図1に示すように、暖房機本体1と、暖房機本体1に対し操作信号を送信可能なリモコン8とを備えている。
【0021】
暖房機本体1は、暖房機の主体を構成する。暖房機本体1は、人や居住空間等に熱を与えるヒータであり、例えば、ファンヒータ等の温風式暖房機,オイルヒータやパネルヒータ等の輻射式暖房機が挙げられる。また、暖房機本体1の熱源は、ガス,石油,または電気等が挙げられるが、特に限られない。本実施形態の暖房機本体1は、ガスファンヒータにより構成されている。
【0022】
暖房機本体1は、図2に示すように、ヒータ装置2と、本体操作部6と、制御装置3と、リモコン信号受信部4と、ハウジング5(図1)とを備えている。ハウジング5は、箱状に形成されており、ヒータ装置2,および制御装置3を内部に収容する。ハウジング5の正面上部には、リモコン信号受信部4が露出するようにして配置されている。また、ハウジング5の正面下部には、温風吹出口51が形成されており、ヒータ装置2から送出される温風が温風吹出口51を介して外部に送り出される。
【0023】
ヒータ装置2は、熱源の供給を受けて熱を発生させる。本実施形態のヒータ装置2は、温風を発生させ、当該温風を温風吹出口51から送り出す。ヒータ装置2は、図2に示すように、対流用ファンモータ21と、室内温度検知装置22と、点火器23と、炎検知装置24と、ガス電磁弁25と、ガス比例弁26とを備えている。なおこれらの構成は、周知の構成であるため、説明を省略する。
【0024】
制御装置3は、本体操作部6による操作に基づき、ヒータ装置2の動作を制御する。制御装置3は、本体操作部6とヒータ装置2とに電気的に接続されている。また、制御装置3には、リモコン信号受信部4が電気的に接続されている。これにより、制御装置3は、リモコン8から出力された信号を、リモコン信号受信部4を介して受信することができる。
【0025】
本体操作部6は、ユーザーが暖房機本体1の動作を指示するための部分であり、ユーザーが操作することにより、制御装置3に操作信号を出力する。本体操作部6は、図1に示すように、ハウジング5の天面に設けられている。
【0026】
図3には本体操作部6の拡大図を示す。本体操作部6は、暖房機本体1の運転開始と運転停止との切替操作が可能な運転切替部61と、暖房機本体1の運転状態の設定や変更を行う設定変更部62とを備えている。
【0027】
運転切替部61は、運転スイッチ611と、おはようタイマースイッチ612と、おやすみタイマースイッチ613とを含む。これらスイッチ611,612,613は、押し操作することで、制御装置3に対し、操作信号を出力するように構成されている。
【0028】
運転スイッチ611は、押し操作することで、運転開始の操作信号と、運転停止の操作信号とを交互に出力することができる。この操作信号を受け取った制御装置3は、当該操作信号に基づき、ヒータ装置2の通常運転または運転停止を実行する。すなわち、運転スイッチ611は、暖房機本体1の通常運転の開始と運転停止とを切り替えることができる。
【0029】
おはようタイマースイッチ612は、押し操作することで、おはようタイマーの設定の操作信号と、おはようタイマーの設定解除の操作信号とを交互に出力することができる。この操作信号を受け取った制御装置3は、当該操作信号に基づき、ヒータ装置2に対し、おはようタイマーの設定、または、おはようタイマーの解除を実行する。すなわち、おはようタイマースイッチ612は、おはようタイマーの設定と、おはようタイマーの解除とを切り替えることができる。おはようタイマーは、運転中に設定されると、暖房機本体1の運転が停止し、予め設定された時刻が到来したら運転を開始する一方、運転停止中に設定されると、予め設定された時刻が到来したら運転を開始する。
【0030】
おやすみタイマースイッチ613は、押し操作することで、おやすみタイマーの設定の操作信号と、おやすみタイマーの設定解除の操作信号とを交互に出力することができる。この操作信号を受け取った制御装置3は、当該操作信号に基づき、ヒータ装置2に対し、おやすみタイマーの設定、または、おやすみタイマーの解除を実行する。すなわち、おやすみタイマースイッチ613は、おやすみタイマーの設定と、おやすみタイマーの解除とを切り替えることができる。おやすみタイマーは、運転中に設定されると、予め設定された時刻が到来したら運転を停止する一方、運転停止中に設定されると、暖房機本体1の運転が開始され、予め設定された時刻が到来したら運転を停止する。
【0031】
設定変更部62は、ロックスイッチ622と、エコスイッチ621と、アップ・ダウンスイッチ623,624とを含む。これらスイッチ622,623,624は、押し操作することで、制御装置3に対し、操作信号を出力するように構成されている。
【0032】
ロックスイッチ622は、押し操作することで、本体操作部6のうち特定の操作を実行させないロック状態(いわゆるチャイルドロック)の操作信号と、これを解除するアンロック状態の操作信号とを交互に出力することができる。
【0033】
エコスイッチ621は、押し操作することで、エコ運転(省エネルギー運転)「入」の操作信号と、エコ運転「切」の操作信号とを交互に出力することができる。
【0034】
アップ・ダウンスイッチ623,624は、上方向を示す印(三角形)が示されたアップスイッチ623と、下方向を示す印(逆三角形)が示されたダウンスイッチ624とを含み、これらを押し操作することで、時間値または温度値の変更を行うことができる。
【0035】
リモコン8は、暖房機本体1に対し、無線通信で通信可能に構成されている。本実施形態のリモコン8と暖房機本体1は、赤外線通信方式で通信可能に構成される。リモコン8は、図4に示すように、運転スイッチ811,おはようタイマースイッチ812,及びおやすみタイマースイッチ813を含むリモコン側運転切替部81(第1の操作部)と、リモコン側運転切替部81以外の操作部(第2の操作部)とで構成されている。本実施形態のリモコン8は、第2の操作部として、エコスイッチ821,アップ・ダウンスイッチ823,824,及びロックスイッチ822を含むリモコン側設定変更部82を備えている。
【0036】
リモコン側運転切替部81は、暖房機本体1を運転停止状態から運転状態にする切替操作が可能な操作部である。本実施形態において、リモコン側運転切替部81は、運転スイッチ811,おはようタイマースイッチ812,及びおやすみタイマースイッチ813の総称であり、これらスイッチ811,912,813は、いずれも、押し操作することで、運転停止状態の暖房機本体1を運転状態に切り替えることができる。
【0037】
運転スイッチ811を押し操作することで、運転スイッチ811は暖房機本体1を運転停止状態から運転開始状態へ切り替えることができる。また、運転スイッチ811は、押し操作することで、暖房機本体1を運転状態から運転停止状態へ切り替えることもできる。
【0038】
おはようタイマースイッチ812は、運転停止状態の暖房機本体1を、設定された時刻に運転開始状態に切り替えることができる。なお、運転中において、おはようタイマースイッチ812が押し操作されると、暖房機本体1は運転停止するが、設定された時刻に運転開始状態に切り替えられるため、おはようタイマースイッチ812は、リモコン側運転切替部81に含まれる。
【0039】
おやすみタイマースイッチ813は、運転停止状態に押し操作することで、暖房機本体1を運転状態に切り替えることができ、その後、設定された時刻に運転停止状態に切り替えられる。なお、おやすみタイマースイッチ813は、設定された時刻に暖房機本体1を運転停止状態に切り替えるタイマースイッチであるが、運転停止状態で押し操作されると、暖房機本体1を運転状態に切り替えるため、リモコン側運転切替部81に含まれる。
【0040】
リモコン側設定変更部82は、暖房機本体1の運転状態の設定や、設定状態の変更指示が可能な操作部60である。本実施形態において、リモコン側設定変更部82は、エコスイッチ821,アップ・ダウンスイッチ823,824,及びロックスイッチ822の総称であり、これらスイッチ821,822,823,824は、いずれも、押し操作することで、暖房機本体1の運転状態の設定、または設定状態の変更を行うことができる。
【0041】
エコスイッチ821は、暖房機本体1が通常運転中において押し操作することで、通常運転中の暖房機本体1の運転状態を、省エネモードに切り替えることができる。また、エコスイッチ821は、暖房機本体1が省エネモード中に押し操作することで、通常運転に切り替えることができる。
【0042】
アップ・ダウンスイッチ823,824は、上方向を示す印(三角形)が示されたアップスイッチ823と、下方向を示す印(逆三角形)が示されたダウンスイッチ824とを含み、これらを押し操作することで、目標温度値の変更や、タイマー時間の変更を行うことができる。
【0043】
ロックスイッチ822は、押し操作することで、本体操作部6の特定のスイッチのロック状態とアンロック状態とを切り替えることができる。
【0044】
リモコン側運転切替部81またはリモコン側設定変更部82を操作すると、リモコン8からその操作信号が出力される。リモコン8から出力された操作信号を受け取った制御装置3は、本体操作部6から出力された操作信号を受け取った場合と同じように、ヒータ装置2を制御する。
【0045】
ここで、本実施形態のリモコン8は、リモコン側運転切替部81による操作がされた場合に出力される操作信号(以下、運転信号という)の信号強度が、リモコン側設定変更部82による操作がされた場合に出力される操作信号(以下、設定信号という)の信号強度よりも小さく(弱く)設定されている。
【0046】
特に、運転信号の信号強度は、図5に示すように、暖房機本体1とリモコン8とが、所定距離以上離れると、リモコン8からの操作指令を、暖房機本体1が実行できなくなるような強度に設定されている。このリモコン8と暖房機本体1との所定の距離については、リモコン8を操作するユーザーが暖房機本体1を視界に入れることができる距離に設定されており、この所定距離としては、1.5〜2.5mが好ましく、より好ましくは、1.75〜2.25mであり、2m前後を閾値として設定される。本実施形態においては、2m以上離れると、リモコン8の操作信号を暖房機本体1が受け付けることができないように設定されている。
【0047】
一方、設定信号の信号強度については、運転信号の信号強度よりも大きく(強く)設定されており、暖房機本体1とリモコン8とが所定距離以上離れていても、リモコン8からの操作指令を、暖房機本体1が実行することができる。本実施形態において、設定信号の信号強度は、送信器の最大の出力値に設定されている。
【0048】
すなわち、本実施形態の暖房機は、リモコン8と暖房機本体1とが所定距離離れた位置関係にあると、リモコン側設定変更部82による操作を受け付けるが、リモコン側運転切替部81による操作を受け付けないように構成されている。
【0049】
このため、本実施形態の暖房機によれば、リモコン8を操作しようとするユーザーが暖房機本体1の近傍に居ないと、暖房機本体1の運転を開始させることができない。したがって、ユーザーは特別に意識を払わなくても、暖房機本体1の周囲の状況を確認することになる。この結果、例えば、暖房機本体1の温風吹出口51が衣類や紙類で覆われていたり、暖房機本体1の上に加熱が厳禁とされるスプレー缶等が載置されていたり、あるいは、暖房機本体1の温風吹出口51のすぐ前に、幼児や老人が居たりする場合に、暖房機本体1を運転開始させてしまうのを防ぐことができる。
【0050】
〔実施形態2〕
次に、実施形態2について図6に基づいて説明する。なお、本実施形態は実施形態1と大部分において同じであるため、同じ部分においては同符号を付して説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0051】
本実施形態の暖房機は、暖房機本体1に対し、リモコン8が所定距離以上離れた状態で、第1の操作部が操作されても、当該操作を受け付けないように構成された点では実施形態1の暖房機と同じであるが、暖房機本体1の制御装置3が、暖房機本体1とリモコン8との距離を検知可能に構成された点で実施形態1とは異なっている。なお、各種操作部が操作されたときの動作については、実施形態1の暖房機と同じである。
【0052】
本実施形態のリモコン8は、暖房機本体1のリモコン信号受信部4に対し、Bluetooth(登録商標)による通信方式で、双方向に通信可能に接続される。リモコン8は、暖房機本体1とペアリングされており、暖房機本体1に対し、一定時間ごとにペアリング信号を出力する。
【0053】
制御装置3は、図6に示すように、リモコン信号受信部4に接続された信号強度測定部31と、比較・判定部32と、ヒータ装置制御部33とを備えている。
【0054】
信号強度測定部31は、リモコン信号受信部4から入力された操作信号の信号強度を測定する。信号強度測定部31は、リモコン信号受信部4が受け取ったペアリング信号の信号強度を測定する。信号強度測定部31は、例えば、ペアリング信号のRSSI(Received Signal Strength Indicator)値を測定し、信号強度を数値化する。信号強度測定部31は、ペアリング信号の信号強度情報と、入力された操作信号とを比較・判定部32に出力する。
【0055】
比較・判定部32は、暖房機本体1とリモコン8とが所定距離(例えば、2m)以上離れているか否かを判定し、所定距離以上離れていると判定した場合、第1の操作部による操作信号のうち運転開始操作の操作信号を受け付けないように判断する。ここで、制御装置3のメモリには、暖房機本体1とリモコン8の間の距離に対応するRSSI値(以下、所定の閾値という)が予め記録されている。比較・判定部32は、この所定の閾値をメモリより取得した上で、入力されたペアリング信号の信号強度情報と当該閾値とを比較し、入力されたペアリング信号の信号強度情報が、所定の閾値以下であるか否かを判定する。ペアリング信号の信号強度情報が、所定の閾値以下である場合、比較・判定部32は、リモコン8と暖房機本体1とが所定距離以上離れていると判定する。そして、比較・判定部32は、このとき入力された操作信号が、第1の操作部のうち、運転停止状態から運転開始状態に切り替える操作信号(つまり、運転開始操作の操作信号)である場合には、当該操作信号を受け付けないように処理する。
【0056】
一方、入力されたペアリング信号の信号強度情報が、所定の閾値よりも大きい場合、比較・判定部32は、暖房機本体1に対し、リモコン8が所定距離より近く位置していると判定するため、入力された操作信号を、ヒータ装置制御部33に出力する。
【0057】
また、比較・判定部32は、入力された操作信号が第2の操作部による操作信号である場合や、運転状態から運転停止状態に切り替える操作信号(例えば、運転スイッチ811を押し操作して、運転停止させる操作信号や、おはようタイマーを解除する操作信号や、おやすみタイマーを解除する操作信号等)である場合、ペアリング信号の信号強度によらず、当該操作信号をヒータ装置制御部33に出力する。
【0058】
ヒータ装置制御部33は、入力された操作信号に基づいてヒータ装置2を動作させるように制御する。
【0059】
このように、本実施形態の暖房機の制御装置3は、リモコン8と暖房機本体1との距離を測定し、測定した距離が所定値以上であると、第1の操作部のうち、運転開始操作を受け付けず、かつ、この運転開始操作以外の操作を受け付けるように制御する。このため、本実施形態の暖房機によっても、リモコン8を操作しようとするユーザーが、暖房機本体1の近傍に居ないと、暖房機本体1を運転状態に切り替えることができない。また、本実施形態の暖房機は、リモコン8の第1の操作部のうち、運転状態から運転停止状態に切り替える操作については受け付けることができるため、暖房機本体1に対し、リモコン8が所定距離以上離れていた場合において、緊急停止が必要となっても、素早く運転停止操作を行うことができる。
【0060】
〔応用〕
上記実施形態において、暖房機本体1とリモコン8との所定距離については、2mと例示したが、これに限定されず、リモコン8から暖房機本体1の周囲が適切に把握できる位置であれば、適宜設定されてもよい。
【0061】
上記実施形態のリモコン8において、第1の操作部は、おはようタイマースイッチ812とおやすみタイマースイッチ813とを含んでいたが、リモコン8に、おはようタイマースイッチ812とおやすみタイマースイッチ813はなくてもよい。また、暖房機本体1として、おはようタイマーとおやすみタイマーとがない暖房機本体であってもよい。
【0062】
実施形態2の暖房機本体1とリモコン8とは、Bluetooth(登録商標)により通信可能であったが、例えば、Wi-Fi方式により通信可能であってもよい。この場合、操作信号の通信強度を測定し、これに基づいて、暖房機本体1とリモコン8との距離を判定すればよい。
【0063】
その他、上記実施形態の構成は、本発明の主旨を逸脱しない範囲であれば、適宜設計変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0064】
1 暖房機本体
3 制御装置
8 リモコン
81 リモコン側運転切替部(第1の操作部)
82 リモコン側設定変更部(第2の操作部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6