(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記脱気器を通過した後の前記三次溶液の酸電気伝導率を計測し、該計測で得た計測値に基づき、前記三次溶液が所定温度まで昇温されるよう前記脱気器に供給する前記第2加熱用蒸気の流量を制御する請求項1に記載の発電プラントの運用方法。
【背景技術】
【0002】
発電プラントでは、ボイラで発生させた蒸気を蒸気タービンに供給して蒸気タービンを高速回転させ、その回転力で発電機を駆動して発電を行っている。蒸気タービンから排出された排蒸気は復水器に流れ、復水器の内部で冷却水(例えば海水)と熱交換することにより冷却されて復水(凝縮)し、昇圧ポンプにより昇圧されてボイラに供給され、再び蒸気になって蒸気タービンに供給される。
【0003】
発電プラントでは復水など給水系内の水質が管理されている(特許文献1〜6参照)。特許文献1〜5では、復水系統から試料液を採取して酸電気伝導率を計測している。酸電気伝導率は、水素イオン形に変換した強酸性陽イオン交換樹脂を通過させた後の復水の電気伝導率を測定したものである。酸電気伝導率を計測することにより、塩類(電解質)の存在を知り、例えば復水器の熱交換器などからの給水系統への海水リークを検出できる。
【0004】
復水系統など給水系内から採取した試料液の酸電気伝導率は、給水中(試料液中)の溶存二酸化炭素(溶存CO
2)の増加により上昇することが知られている。給水中(試料液中)に二酸化炭素(CO
2)が存在すると、二酸化炭素は給水系内の水との間で炭酸水素イオン(HCO
3−)を形成し、揮発性物質と炭酸塩を形成する。炭酸塩は水素イオン形の強酸性イオン交換樹脂層を通過すると炭酸(H
2CO
3)を遊離する。この炭酸による酸電気伝導率を示すことになり、結果として海水がリークしていない場合であっても試料液の酸電気伝導率を上昇させる。揮発性物質としてアンモニア等を用いる場合には、給水のアルカリ性が強くなると、水との炭酸水素イオンの形成が促進されて、溶存CO
2が増加するので、給水中(試料液中)の酸電気伝導率を上昇させることになり、一層に海水リークの判明を阻害することになる。
【0005】
特許文献2〜5では、試料液中の溶存気体である炭酸ガスによる酸電気伝導率への影響を抑制するため、酸電気伝導率計の前に脱気装置を設けて試料液を脱気している。特許文献6では、補給水中に溶存する炭酸ガスを除去した後、該補給水を復水器へと供給している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、給水系統の配管腐食や流れ加速型腐食(FAC)などによる配管減肉の発生等のトラブル抑制のため、排熱回収ボイラ(HRSG)の給水にヒドラジンやリン酸塩などの薬品を注入しているが、環境影響を考慮した対策のために給水へアンモニアを注入して給水pHを高くすることで、ヒドラジンおよびリン酸塩の添加を必要としない水処理方法が増加している。しかしながら、給水のpHが高くなると、補給水に溶存した空気中のCO
2が、給水中で吸収されてCO
2溶解度も上昇する。これにより給水中からCO
2が抜けにくくなり、給水中にCO
2が残存しやすくなる。
【0008】
一方、発電プラントでは、酸電気伝導率の上昇のほか、給水に含まれる炭酸ガス(溶存CO
2)および有機物により、溶存CO
2の高濃縮による影響と思われる配管、ボイラおよびタービン材料の応力腐食割れなどの事象が生じる場合もある。溶存CO
2の高濃縮による問題を未然に防止するには、給水中の溶存CO
2は低いことが好ましい。
【0009】
特許文献2〜5では海水リークの検出精度を上げるために試料液を脱気しているが、給水pHを高くした場合、給水系統内のCO
2を除去していないため、給水中の溶存CO
2が残存する。
【0010】
特許文献6では、補給水を脱気するために、補給水系統に脱気設備を追加する必要があるが、既存のプラント構成の変更は少ない方が好ましい。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、既存のプラントを構成する設備の変更を少なくしながらも、給水系統内での溶存CO
2量を低く抑えられる発電プラントの運用方法およびその制御装置、ならびにそれを備えた発電プラントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の発電プラントの運用方法およびその制御装置、ならびにそれを備えた発電プラントは以下の手段を採用する。
【0013】
本発明は、熱源からの熱によって蒸気を発生させるボイラと、前記ボイラの蒸気により作動する蒸気タービンと、前記蒸気タービンの排気を復水する復水器と、前記ボイラと前記蒸気タービンと前記復水器とを繋ぐ系統と、を備えた発電プラントの運転方法であって、前記復水器内を減圧し、前記復水器に二酸化炭素が溶存した補給水を供給し、前記復水器内の水を一次溶液として排出し、前記一次溶液を、第1加熱用蒸気との熱交換により加熱して二次溶液とし、前記補給水の供給に合わせて、前記二次溶液の一部を三次溶液として再循環ラインに導いて、所定期間、前記復水器に再循環させる発電プラントの運用方法を提供する。
【0014】
復水器内は減圧されており、これにより復水器内のガスは抽気される。よって、復水の一部(三次溶液)を復水器に再循環させることで、復水中の溶存CO
2が除去される機会を増やすことができる。
【0015】
補給水には大気由来のCO
2が溶存しているため、補給水を供給すると復水器(給水系統)内でのCO
2量が増加することが懸念される。本願では、発電プラントの起動時に限らず、補給水の供給に合わせて復水の一部を再循環させることで、復水器(給水系統)内でCO
2量が増加するそばからCO
2を除去し、復水の溶存CO
2量の増加を抑制できる。
【0016】
CO
2の溶解度は、液温が高くなるにつれて低下する。そのため、一次溶液よりも温度を高くした三次溶液を復水器に再循環させて、復水器内の温度を上昇させることで、復水の溶存CO
2の除去効率が向上する。
【0017】
上記発
明において、前記再循環ラインに脱気器を設け、該脱気器に第2加熱用蒸気を供給し、前記脱気器で前記三次溶液を脱気および加熱した後、前記復水器に再循環さ
せる。
【0018】
脱気器を用いて脱気することで、復水が1回再循環する間に除去できる溶存CO
2量を増やすことができる。脱気器に第2加熱用蒸気を供給することで復水(三次溶液)の温度は更に高くなり、復水器での復水の溶存CO
2の除去効率がさらに向上する。
【0019】
上記発明の一態様において、前記脱気器を通過した後の前記三次溶液の酸電気伝導率を計測し、該計測で得た計測値に基づき、前記三次溶液が所定温度まで昇温されるよう前記脱気器に供給する前記第2加熱用蒸気の流量を制御することができる。
【0020】
酸電気伝導率を計測することで、三次溶液の溶存CO
2量がわかる、これにより、供給する第2加熱用蒸気の流量調整が容易となるし、無駄なエネルギー消費を抑え、溶存CO
2の除去効率も向上させることができる。
【0021】
上記発明
において、前記脱気器を通過した後の前記三次溶液の酸電気伝導率を計測し、該計測で得た計測値を予めデータベースに蓄積しておいた前記一次溶液の標準酸電気伝導率データと比較し、前記計測値が前記標準酸電気伝導率データよりも高い場合に、前記三次溶液の再循環を継続し、前記計測値が前記標準酸電気伝導率データ以下となった場合に、前記三次溶液の再循環を停止
する。
【0022】
標準酸電気伝導率データは、定常時の復水の酸電気伝導率を示す。再循環時間を最小限にして、より確実に給水系統を補給水供給前の状態に戻すまたは給水中の溶存CO
2量が低い状態にすることできる。
【0023】
上記発明に一態様において、前記復水にアンモニア溶液を供給し、前記系統内を流れる系統水がアルカリ性を示す所定のpH範囲とするのが好ましい。
【0024】
系統水のpHが高くすることで、ヒドラジンおよびリン酸塩の添加を必要とせずに給水系統での腐食を抑制できる。
【0025】
上記発明に一態様において、前記加熱により前記三次溶液の温度を30℃以上とした後、前記復水器に再循環させるのが好ましい。
【0026】
復水(三次溶液)を昇温させると、CO
2の溶解度が低下する。CO
2の溶解度が低くなる温度とした後に復水(三次溶液)を復水器に循環させることで、復水器でのCO
2の脱気効率が向上する。三次溶液の温度は、好ましくは40℃から80℃の間とする。
【0027】
また、本発明は、熱源からの熱によって蒸気を発生させるボイラと、前記ボイラの蒸気により作動する蒸気タービンと、前記蒸気タービンの排気を復水する復水器と、前記復水器に補給水を供給する補給水供給部と、前記復水器の内部を減圧する減圧装置と、前記ボイラと前記復水器とをつなぐ給水ラインと、前記給水ラインの途中に設置され、第1加熱用蒸気により前記復水器で凝縮された復水を加熱する熱交換器と、前記熱交換器の下流側にある前記給水ラインと前記復水器とをつなぎ、前記復水を前記復水器に再循環させる再循環ラインと、前記再循環ラインに設けられた再循環流量調整弁と、備えた発電プラントを制御する制御装置であって、前記補給水供給部に設置されて前記復水器に供給される補給水の流量を計測する補給水流量計を有し、前記補給水流量計の計測により得られ補給水流量計測値を示す計測信号
F0を受信する受信部と、前記計測信号
F0に基づき前記再循環ラインに導く復水の流量および導入時間を決定する決定部と、前記補給水の供給に合わせて前記決定部で決定された流量で前記復水が前記再循環ラインに導かれるよう前記再循環流量調整弁の開度を調整する開度指令信号を出す指令部と、を備えている発電プラントの制御装置を提供する。
【0028】
上記発明の一態様において、前記発電プラントが、前記再循環ラインに設けられた脱気器と、前記脱気器に接続され、途中に加熱用蒸気流量調整弁を有し、前記脱気器に第2加熱用蒸気を供給する加熱用蒸気ラインと、を備え、前記制御装置は、前記脱気器を通過した後の復水の酸電気伝導率を計測する第1計測器を有し、前記受信部は前記第1計測器で得た酸電気伝導率計測値を示す計測信号
cc0を受信し、前記決定部は
前記受信部が受信した前記第1計測器で得た酸電気伝導率計測値を示す前記計測信号
cc0に基づき前記脱気器に供給する前記第2加熱用蒸気の流量および時間を決定し、前記指令部は、前記決定部で決定された流量および時間で前記第2加熱用蒸気が供給されるよう開度指令信号を出して前記加熱用蒸気流量調整弁の開度を調整する。
【0029】
上記発
明において、前記発電プラントが、前記再循環ラインに設けられた脱気
器を備え、前記制御装置は
前記脱気器を通過した後の復水の酸電気伝導率を計測する第2計測器を有し、判定部を備え、前記判定部は、前記復水の標準酸電気伝導率データが格納されたデータベースと、前記第2計測器で得た酸電気伝導率計測値を示す計測信号
cc1と前記標準酸電気伝導率データとを比較して、
前記第2計測器で得た酸電気伝導率計測値を示す前記計測信号
cc1が前記標準酸電気伝導率データ以下である場合に、前記復水の再循環を停止すると判定する比較判定部と、を有し、前記指令部は、前記比較判定部の決定に従い開度指令信号を出して前記再循環流量調整弁を閉じる。
【0030】
上記発明に一態様において、前記補給水供給部に設けられた補給水流量調整弁と、前記復水器に接続され、復水だまりの水位を検知する復水レベル計と、前記受信部が受信した
前記復水レベル計からの計測信号
Lが閾値
Lを下回ったかどうか判定する判定部とを有し、前記指令部は、
前記受信部が受信した前記復水レベル計からの前記計測信号
Lが前記閾値
Lを下回った場合、前記補給水が前記復水器に供給されるよう前記補給水流量調整弁に開度指令信号を送り、
該補給水流量調整弁の開度を調整することが好ましい。
【0031】
上記発明一態様において、前記判定部は、前記受信部が受信した
前記第1計測器で得た酸電気伝導率計測値を示す計測信号
cc0が閾値
cc0を上回ったかどうか判定し、前記判定部の判定結果を受け、
前記受信部が受信した前記第1計測器で得た酸電気伝導率計測値を示す前記計測信号
cc0が閾値
cc0を上回った場合、酸電気伝導率高を知らせる信号を出力する報知部を更に備え
る。
【0032】
また、本発明は、上記制御装置を備えたガスタービンコンバインドサイクルプラントを提供する。
【発明の効果】
【0033】
本発明は、補給水の供給に合わせて復水の一部を復水器に再循環させることで補給による給水系統内での溶存CO
2量の増加を抑制できる。再循環ラインや脱気器は、従来、起動時の脱気用に使用されていた設備を利用できるため、既存のプラント構成を大きく変えることなく、溶存CO
2量を低く抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に、本発明に係る発電プラントの運用方法およびその制御装置、ならびにそれを備えた発電プラントの一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0036】
〔第1実施形態〕
図1に、本実施形態例に係る発電プラントの概略系統図を示す。
図1の発電プラントは、ガスタービンコンバインドサイクルプラント(GTCC)である。GTCCは、ガスタービン1、排熱回収ボイラ2、蒸気タービン6、復水器8、および制御装置70(
図4参照)を備えている。
【0037】
ガスタービン1からの排気ガスは、排熱回収ボイラ2に送られるようになっている。排熱回収ボイラ2は、高圧過熱ユニット3、中圧過熱ユニット4及び低圧過熱ユニット5を備えている。排熱回収ボイラ2内では高圧過熱ユニット3、中圧過熱ユニット4及び低圧過熱ユニット5を介して蒸気を発生させ、発生した蒸気を蒸気タービン6に送って蒸気タービン6で回転駆動に変換する仕事をするようになっている。蒸気タービン6の排気は、復水器8で凝縮される。復水は、復水ポンプ9により給水ライン7(給水系統)を介して排熱回収ボイラ2に導入される。
【0038】
高圧過熱ユニット3は、高圧過熱器11、高圧ドラム12、高圧蒸発器13及び高圧節炭器14を有している。高圧ドラム12の水は排熱回収ボイラ2内に配された高圧蒸発器13で過熱循環され、高圧ドラム12内で高圧蒸気を発生する。高圧ドラム12で発生した高圧蒸気は排熱回収ボイラ2内に配された高圧過熱器11で過熱されて蒸気タービン6に導入される。
【0039】
中圧過熱ユニット4は、中圧過熱器21、中圧ドラム22、中圧蒸発器23及び中圧節炭器24を有している。中圧ドラム22の水は排熱回収ボイラ2内に配された中圧蒸発器23で過熱循環され、中圧ドラム22内で中圧蒸気を発生する。中圧ドラム22で発生した中圧蒸気は中圧過熱器21を通って再熱器25に導入され、再熱器25で再熱されて蒸気タービン6に導入される。中圧過熱器21からの蒸気の一部はガスタービン1の高温部(燃焼器や翼等)の冷却用としてガスタービン1側に導入されることもある。
【0040】
低圧過熱ユニット5は、低圧過熱器31、低圧ドラム32、低圧蒸発器33及び低圧節炭器34を有している。低圧ドラム32の水は排熱回収ボイラ2内に配された低圧蒸発器33で過熱循環され、低圧ドラム32内で低圧蒸気を発生する。低圧ドラム32で発生した低圧蒸気は低圧過熱器31を通って蒸気タービン6に導入される。
【0041】
低圧ドラム32には、復水器8からの復水が低圧節炭器34を介して給水される。低圧節炭器34の出口側には、給水の一部を高圧ドラム12及び中圧ドラム22につながる給水ライン41が接続されている。
【0042】
給水ライン41からは、高圧給水ポンプ42により高圧節炭器14を介して高圧ドラム12に給水が行われ、中圧給水ポンプ43により中圧節炭器24を介して中圧ドラム22に給水が行われる。即ち、排熱回収ボイラ2では、低圧ドラム32、中圧ドラム22及び高圧ドラム12に並行に給水が行われるようになっている。ここで、蒸気タービン6への蒸気供給については、低圧ドラム32が低圧側ユニットのドラムであり、中圧ドラム22及び高圧ドラム12が高圧側ユニットのドラムである。
【0043】
給水ライン41は、途中で分岐して給水ライン7へと接続される分岐ライン44を備えている。分岐ライン44には低圧節炭器循環ポンプ45が設けられている。分岐ライン44は、低圧節炭器を通過することで加熱された水の一部を低圧節炭器循環ポンプ45により給水ライン7へと戻すことで給水ライン7の水を加熱することができる。
【0044】
図1の排熱回収ボイラ2内の各機器の配置は一例であり、節炭器や過熱器の台数や配置はガスタービン1の性能等により適宜変更されるものである。
【0045】
図2に、
図1の復水器8およびその周辺構成を説明する系統図を示す。
復水器8は、復水器本体8aおよび冷却装置8bを備えている。復水器本体8aは、蒸気タービン6からの排蒸気が入るための排蒸気入口と、冷却装置8bにより凝縮された復水を排出する復水出口とを有している。冷却装置8bは、復水器本体8a内を通過する排蒸気を冷却して復水を生成するものである。冷却装置8bは、例えば、復水器本体8a内に冷却水を循環させる冷却管および冷却水循環ポンプ等である。
【0046】
復水器本体8aには、復水器8内に補給水を供給するための補給水供給部50と、復水器本体8a内を減圧する減圧装置51と、復水器本体8a内の復水だまりの水位を検知する復水レベル計Lとが接続されている。
【0047】
補給水供給部50は、補給水タンク50aと、補給水供給ライン50bと、補給水供給ライン50bの途中に設置された補給水ポンプ50cと、補給水流量計50dと、補給水流量調整弁50eと、を有している。
【0048】
補給水タンク50aには、純水による補給水が収容されている。補給水タンク50aは、大気と接触するため、補給水には外気由来のCO
2が溶存する。補給水タンク50aは、補給水供給ライン50bにより復水器本体8aに接続されている。補給水ポンプ50cは、補給水を復水器本体8aへと送り出すことができる。補給水流量計50dは、補給水供給ライン50bを流れる補給水の流量を計測できる。補給水流量調整弁50eは、補給水供給ライン50bを流れる補給水の流量を調整できる。
【0049】
減圧装置51は、復水器本体8aに接続された排気ライン51aと、排気ライン51aに接続された空気抽気器51bとを有している。減圧装置51は、復水器本体8a内を所定の真空度に維持することができる。空気抽気器51bは真空ポンプ等である。所定の真空度とは、例えば、絶対圧で、730mmHg〜710mmHg程度である。
【0050】
復水器8の復水出口には給水ライン7が接続されている。給水ライン7には復水ポンプ9および熱交換器(グランド蒸気復水器)52が設置されている。復水ポンプ9は、復水器本体8aの復水だまりから復水を汲み出すポンプである。
【0051】
復水器8内の復水を復水ポンプ9で一次溶液として給水ライン7に排出する。復水(一次溶液)は、熱交換(グランド蒸気復水器)52でグランド蒸気(第1加熱用蒸気)により加熱して二次溶液とする。復水(二次溶液)は復水(二次溶液)の一部を三次溶液として再循環ライン53により復水器8に再循環させる。
【0052】
熱交換器(グランド蒸気復水器)52は、復水温度を20℃〜50℃程度の幅で昇温させられる加熱媒体により復水を加熱するものである。本実施形態の熱交換器52はグランド蒸気復水器52として以降説明する。
【0053】
グランド蒸気復水器52は、蒸気タービン6の軸シールとなる蒸気タービングランド抽気部の圧力を大気圧よりも少し低い圧力に保って、蒸気タービンのグランド端からグランド蒸気が大気中に漏れるのを防ぐとともに、グランドからの漏れ蒸気(タービングランド蒸気(第1加熱用蒸気))を抽気し、冷却水として復水を利用することにより復水へ熱回収を行う熱交換器である。復水ポンプ9の出口の復水温度は、グランド蒸気復水器52で復水へ熱回収を行うことにより、例えばグランド蒸気復水器52の前後において20℃から50℃へと昇温される。
【0054】
グランド蒸気復水器52後流の給水ライン7には、復水の一部(三次溶液)を復水器8へと再循環させるための再循環ライン53の一端が接続されている。再循環ライン53の他端は、復水器8の接続部8cに接続されている。
【0055】
図3に、再循環ライン53と復水器8との接続部8cの構造を説明する図を示す。接続部8cは、フラッシュボックス構造となっている。接続部8cは、復水器本体8aの外壁に向けて開口した第1開口54、復水器本体8aの外壁に設けられた第2開口55および第3開口56を備えている。第1開口54に再循環ライン53の他端が嵌合され接合されている。第2開口55および第3開口56は、それぞれ第1開口54を挟んで重力方向上側と重力方向下側に配置されている。接続部8cは、第2開口55および第3開口56により復水器本体8aの内部と連通されている。再循環ライン53から接続部8cへと再循環された蒸気と復水は、フラッシュボックス内でガスと液体に分かれ、第2開口55は蒸気を含むガスが通過し、第3開口56は液体としてドレンが通過する。
【0056】
ここで、発電プラントの運転時、復水器本体8a内部は常温・減圧環境となり、再循環ライン53内は復水器本体8a内部よりも高温・高圧環境となる。再循環ライン53を介して循環された復水(三次溶液)は、圧力差により接続部8cでガス(蒸気含む)とドレンに分離される。ガスは重力方向上側に配置された第2開口55から復水器本体8a内部に導かれる。ドレンは重力方向下側に配置された第3開口56から復水器本体8a内部に導かれる。これにより、再循環ライン53を介して循環された復水(三次溶液)に含まれる溶存CO
2量の一部がフラッシュボックス内で圧力低下時にガスとして放出されるため、第2開口55からガスに含まれるCO
2は減圧装置51により系外へと排気される。これにより、復水へと再循環されるドレン中の溶存CO
2量を低減することができ、この再循環ライン53の運用を継続することで、復水器8中の復水全体中の溶存CO
2量を低減することができる。
【0057】
再循環ライン53には、再循環流量調整弁(第1流量調整弁58)の他に、脱気器57、第2流量調整弁59が設けられても良い。
【0058】
脱気器57は、再循環させる復水(三次溶液)に溶存する酸素あるいは炭酸ガスなどの非凝縮性ガスを分離除去するものである。脱気器57には、例えば、複数のトレイを備えたトレイ式またはスプレートレイ式が採用され得る。脱気器57に供給される蒸気は、脱気に必要な熱量があればよい。脱気器57は、発電プラントの通常運転時に利用することが好ましいが、必ずしも利用しなくてもよい。
【0059】
第1流量調整弁58は、再循環ライン53に導かれる復水(三次溶液)の流量を調整できる。第2流量調整弁59は、脱気器57を通過した後の復水(三次溶液)の流量を調整できる。
【0060】
復水ポンプ9とグランド蒸気復水器52との間の給水ライン7には、酸電気伝導率計(第1計測器)60が接続されている。酸電気伝導率計60は、水素イオン型に変換した強酸性陽イオン交換樹脂層を通過した後の電気伝導率を測定する計測器であり、復水の酸電気伝導率を計測する。これにより、復水器8の復水器本体8a内に冷却水として海水を循環させる際に、冷却管の一部などから復水中へ海水が混入する海水リークの発生を検出できる。酸電気伝導率計60は復水器8内の復水だまりの溶液の酸電気伝導率を計測できるように配置されてもよい。
【0061】
制御装置70は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等である。
【0062】
制御装置70は、補給水の供給するタイミングに合わせて、再循環ライン53を介して復水器8に復水の一部を所定期間で再循環させるよう、再循環ライン53に導く復水(三次溶液)の流量を制御する。制御装置70は、第1流量制御弁の開閉前後で排熱回収ボイラへの給水流量が所定量維持されるよう復水ポンプ9の吐出量を制御する。制御装置70は、補給水に溶存して補給水の供給とともに復水器8内の復水へと供給されたCO
2相当量が給水系統内から除去されるよう復水(三次溶液)の導入流量(再循環流量)および導入時間を決定し、復水の再循環を制御する。
【0063】
図4に、制御装置70の機能ブロック図を示す。
制御装置70は、受信部71、決定部72、指令部73、判定部74および報知部75を備えている。
【0064】
受信部71は、補給水流量計50d、復水レベル計Lおよび第1酸電気伝導率計60で計測された各計測値を示す計測信号と、復水ポンプ9の吐出量の吐出信号を受信する。
【0065】
決定部72は、受信部71が受信した補給水流量計50dからの計測信号
F0に基づき復水ポンプ9の吐出量および再循環ライン53に導かれる復水(三次溶液)の導入流量および導入時間を決定する。
【0066】
指令部73は、決定部72で定められた流量の復水(三次溶液)が再循環ライン53に流れるよう第1流量調整弁58に開度指令信号を送る。開度指令信号を受けた第1流量調整弁58は、決定部72で決定された導入時間の間、その開度が調整される。また、指令部73は、決定部72で定められた吐出量となるよう復水ポンプ9に吐出指令信号を送る。吐出指令信号を受けた復水ポンプ9では、決定部72で決定された復水の導入時間の間、適宜吐出量が調整される。
【0067】
判定部74は、受信部71が受信した復水レベル計Lからの計測信号
Lが閾値
Lを下回ったかどうか判定する。計測信号
Lが閾値
Lを下回った場合、指令部73が補給水流量調整弁50eに開度指令信号を送り、補給水が復水器8に供給されるよう補給水流量調整弁50eの開度を調整する。
【0068】
判定部74は、受信部71が受信した第1酸電気伝導率計60からの計測信号
cc0が閾値
cc0を上回ったかどうか判定する。計測信号
cc0が閾値
cc0を上回った場合、報知部75が酸電気伝導率高を知らせる信号を出力する。
【0069】
補給水は、ボイラ2への給水ライン7に不足分の水を追加するものであり、常時または間欠的に復水器8へと供給される。復水の再循環ライン53を介した復水器8への復水の一部の再循環は、補給水の供給に合わせて実施する。
【0070】
図5に、補給水を常時補給する場合の補給水流量(F0)と復水の再循環流量(F2)とを示す。同図において、縦軸は流量(t/h)、横軸は時間である。
図5(a)は補給水流量の時間推移、
図5(b)は再循環流量の時間推移である。ボイラ水の連続ブローや蒸気を使用する等、常時補給する場合、供給する補給水流量(F0)は給水流量(復水ポンプ9の吐出流量(F1))の0.1%〜30%、好ましくは10%〜25%で供給する。復水(三次溶液)である再循環流量(F2)は補給水の供給流量により設定され、所定期間は連続となる。例えば、補給水給流量(F0)と同量を再循環してもよい。この場合は復水(三次溶液)である再循環流量(F2)は、復水ポンプ9の吐出流量の0.1%〜30%で再循環させる。
【0071】
図6に、補給水を間欠補給する場合の補給水流量(F0)と再循環流量(F2)とを示す。同図において、縦軸は流量(t/h)、横軸は時間である。
図6(a)は補給水流量の時間推移、
図6(b)は再循環流量の時間推移である。間欠補給での連続ブローは、ボイラ水質(給水系統の水質)を見ながら実施する。例えばボイラ水質に基準を設け、該基準をはずれたら補給水を供給して連続ブローする。連続ブローは、例えば、供給する補給水流量(F0)は給水流量(復水ポンプ9の吐出流量(F1))の0.1%〜30%を、週に1回、所定時間t0で実施してもよい。復水(三次溶液)としての再循環流量(F2)は、補給水流量(F0)により設定され、例えば、補給水流量(F0)と同量を再循環してもよい。
【0072】
給水を間欠補給する場合も復水(三次溶液)の再循環は、補給水の供給に合わせて実施する。さらに間欠補給の場合、補給水の供給を停止した後、所定期間として所定時間t1(継続時間)の間、復水の再循環を継続する。そうすることで次の補給までの間に、補給水に溶存して補給水の供給とともに復水器8内の復水に供給されたCO
2相当量を脱気して給水系統内からの除去を完了させることができる。
【0073】
継続時間t1は、給水が給水系統(復水器8→排熱回収ボイラ2→蒸気タービン6→復水器8)を一回循環する一巡時間t2に基づいて設定する。一巡時間t2は、式(1)から導き出せる。
t2=(給水系統の保有水量/給水流量F1)・・・(1)
【0074】
継続時間t1は、一巡時間t2の1〜3倍とすると良い。補給水に溶存して供給されたCO
2は、復水器8に供給された後、復水だまりで復水中に拡散する。一方、再循環ライン53で循環された復水(三次溶液)に含まれる溶存CO
2量の一部はフラッシュボックス内で圧力低下時にガスとして放出して第2開口55から減圧装置51により系外へと排気し、復水(三次溶液)のドレン中の溶存CO
2量を低減して、再循環ライン53の復水(三次溶液)は、復水器8に供給された後、復水だまりで復水中に拡散する。従い、継続時間t1を一巡時間t2よりも長くすることで、復水だまり中に拡散して希釈する状況を補って溶存CO
2量を低減し脱気できる。
【0075】
(計算例)
仮に、復水ポンプの給水流量F1:400t/h、給水系内の保有水量160tとして、補給水流量F0:10t/h(水流量F1の2.5%)、再循環流量F2:10t/h(補給水流量F0と同一)で、一巡時間t2の1倍で再循環させる場合、継続時間t1は、24分となる。
【0076】
復水の再循環の継続時間t1の一巡時間t2に対する倍数(回数)は、給水系統の構成、補給水の水質状況に応じて適宜設定されうる。例えば、モニターする手法として、第1酸電気伝導率計60で復水の酸電気伝導率を計測し、得られた計測値(計測信号
cc0)に応じて判断する。具体的には、補給水の給水を行っていない通常運転時の第1酸電気伝導率計60の計測値を事前に入手しておき、計測値(計測信号
cc0)がこの通常運転時のレベルに低減したことを確認するなどして、適宜設定してもよい。
【0077】
〔第2実施形態〕
図7に、本実施形態に係る発電プラントの復水器8およびその周辺構成を説明する系統図を示す。本実施形態に係る発電プラントは、脱気器57に加熱用蒸気(第2加熱用蒸気)を供給する機構および制御装置80を備える点が第1実施形態と異なる。第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0078】
本実施形態によれば、グランド蒸気復水器52により加熱した復水の一部(三次溶液)を、再循環ライン53を介して復水器8に再循環させることで、復水器8内での復水温度が上昇する。復水の温度が上がると、CO
2の溶解度は低下するため、溶存したCO
2を脱気器57で脱気し除去しやすくなり、復水器8でのCO
2の脱気効率が向上する。
【0079】
脱気器57には、加熱用蒸気を供給する加熱用蒸気ライン86が接続されている。加熱用蒸気ライン86は、加熱用蒸気流量調整弁87を備えている。加熱用蒸気は、脱気器57に導かれた復水(三次溶液)を昇温できる熱量を有する。加熱用蒸気は、排熱回収ボイラ2からの蒸気(例えば低圧蒸気)等である。
【0080】
図8に、CO
2の溶解度と温度との関係を示す。同図において、横軸は温度(℃)、縦軸はCO
2の溶解度(wt%)である。
図8によれば、再循環させる復水の温度を30℃から40℃に上げると、溶解度は約20%低下する。
図8によれば、循環させる復水の温度を40℃から80℃まで上げると、溶解度は更に約36%低下する。すなわち、再循環させる復水の温度を30℃から80℃まで上げると、溶解度は約1/2以下に低下することができる。
【0081】
本実施形態によれば、脱気器57でCO
2の溶解度低下を利用して脱気することで、更に復水中の溶存CO
2量を低減することができる。
【0082】
再循環ライン53には、第2酸電気伝導率計(第2計測器)88が接続されている。第2酸電気伝導率計88は、脱気器57を通過した復水(三次溶液)の酸電気伝導率(計測信号
cc1)を計測できる。
【0083】
制御装置80は、第1実施形態の制御装置70での制御に加え、第2加熱用蒸気の供給流量を制御する。第2加熱用蒸気の供給は、補給水の供給に合わせて開始する。第2加熱用蒸気の供給量は、まず、補給水流量(F0)に応じて設定する。次に、第2酸電気伝導率計88の計測値(計測信号
cc1)に基づき、第2加熱用蒸気の供給流量を調整する。
【0084】
例えば、第2酸電気伝導率計88の計測値(計測信号
cc1)が、補給水の給水を行っていない通常運転時に入手している第2酸電気伝導率計88の計測値のレベルに低減したことを確認し、第2加熱用蒸気の供給を停止してもよい。また、補給水を補給水流量(F0)で連続ブローする所定時間t0に対して、補給水の供給を停止した後、第2酸電気伝導率計88の計測値のレベルが低減する時間をもとに、復水の再循環を継続する所定時間t1(継続時間)を判断する。ここで時間t1が時間t0より長くなる状況に応じて、第2加熱用蒸気の供給流量を調整して再循環させる復水の温度を変更しもよい。
【0085】
図9に、制御装置80の機能ブロック図を示す。制御装置80の受信部81は、第2酸電気伝導率計88で得た計測値
cc1を示す計測信号
cc1を受信する。決定部82は、受信部81が受信した計測信号
cc1に基づき加熱用蒸気の供給流量および供給時間を決定する。指令部83は、決定部82で定められた流量の加熱用蒸気が加熱用蒸気ライン86に流れるよう加熱用蒸気流量調整弁87に開度指令信号を送る。開度指令信号を受けた加熱用蒸気流量調整弁87は、決定部82で決定された供給時間の間、その開度が調整される。
【0086】
加熱用蒸気を脱気器57に供給することで、再循環する復水(三次溶液)の温度をさらに上げることができる。また加熱用蒸気の供給流量の調整により、三次溶液の温度を制御できる。温度が上がることで、CO
2の溶解度が下がるため、CO
2の脱気効率が向上する。それにより、復水の再循環の継続時間t1の一巡時間t2に対する倍数(循環回数)を減らし継続時間t1を短縮できる。本実施形態は、一回の循環でCO
2の脱気量を大きくできるため、補給水を間欠補給する場合、特に補給頻度が多い場合(例えば数時間に1回程度の補給)に好適である。
【0087】
〔第3実施形態〕
本実施形態は、第2実施形態の変形例である。本実施形態において制御装置80は、第2実施形態の制御に加え、復水の再循環の停止を制御する。
【0088】
図10に本実施形態に係る制御装置の部分ブロック図を示す。本実施形態の制御装置80の判定部84は、復水の標準酸電気伝導率データが格納されたデータベース84aと、標準酸電気伝導率データと第2酸電気伝導率計88で得た計測値
cc1を示す計測信号
cc1とを比較し、その結果に応じて復水の再循環の停止を判定する比較判定部84bとを備えている。
【0089】
データベース84aには、第1酸電気伝導率計60で得られた計測値
cc0を示す計測信号
cc0が蓄積される。データベース84aは、蓄積された計測信号
cc0に基づき算出された標準酸電気伝導率データを格納している。標準酸電気伝導率データは、補給水を供給および復水の再循環を実施していない期間にデータベース84aに蓄積された第1酸電気伝導率計60の計測値の平均、または、該平均に許容できる範囲をプラスした閾値である。標準酸電気伝導率データ算出のための計測信号
cc0の蓄積期間は、例えば1カ月程度とすればよい。また、近日中の計測信号
cc0を蓄積することで、本実施形態に係る発電プラントの経時的変化があったとしても、適切な判断を行うことができる。
【0090】
図11に、本実施形態に係る制御に関するフロー図を示す。比較判定部84bは受信部81で受信した計測信号
cc1と標準酸電気伝導率データとを比較する(S1)。比較した結果、計測信号
cc1が標準酸電気伝導率データよりも高い場合に復水の循環を継続すると判定し、計測信号
cc1が標準酸電気伝導率データ以下である場合に、前記復水の再循環を停止すると判定する(S2)。比較判定部84bが停止判定した場合、指令部83は、該判定に従い第1流量制御弁58を閉じる開度司令信号を出して、第1流量制御弁を閉じる(S3)。
【0091】
標準酸電気伝導率データを利用することで、復水の再循環の継続時間t1の判断基準をより信頼性の高いものとし、再循環の継続時間t1を最小限にして、より確実に給水系統を補給水供給前の状態に戻すまたは給水中の溶存CO
2量が低い状態にすることできる。
【0092】
上記第1実施形態〜第3実施形態によれば、第1酸電気伝導率計60、第2酸電気伝導率計88、熱交換器52、脱気器57、第1流量制御弁58、加熱用蒸気ライン86、加熱用蒸気流量調整弁87、補給水流量計50d等の既存の発電プラントの構成を利用し、その制御などを変更することで、給水系統内での溶存CO
2量の増加を抑制できる。
【0093】
従来は、排熱回収ボイラ2の給水系統にヒドラジンやリン酸塩などの薬品を注入して配管腐食や流れ加速型腐食(FAC)などによる配管減肉の発生等を抑制しているが、上記実施形態では環境影響を考慮した対策のためにヒドラジンおよびリン酸塩の添加を必要としないよう、給水へアンモニアを注入して給水pHを高くすることで対応する。
【0094】
復水器8から復水ポンプ9で給水ライン7へつながる系統内にアンモニア溶液を供給して系統水の所定pH範囲を、排熱回収ボイラ2の運転用pH範囲のアルカリ性とし、保管時には運転用pH範囲と同等、もしくは更にpH範囲を上昇させる。
【0095】
運転用pH範囲としては、実験データなどから例えば下限を9.5から10の範囲の数値としている。ここで、給水系統のpHが高くなると、復水中のCO
2溶解度も上昇し、補給水に溶存した空気中のCO
2が、アルカリ性となった給水中で一層に吸収されて、復水器8の復水たまりの溶存CO
2量が一旦増加する。
【0096】
この場合においても、上記第1実施形態〜第3実施形態によれば、補給水の供給に合せて既存の発電プラントの構成を利用し、その制御などを変更することで、給水系統内での溶存CO
2量の脱気を促進するので、復水中の溶存CO
2量の増加を抑制できる。