(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記袋体の表側と裏側のそれぞれに前記充填部が配置されており、これら充填部は、前記収容領域における前記開口予定部の近傍の部分を間に挟んで互いに表裏に位置している請求項1から4のいずれか一項に記載のシート材容器。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は適宜に省略する。
【0014】
本発明に係るシート材容器の形態は特に限定されず、自立可能な形態であっても良いし、自立せず寝かせて配置することを想定した形態であっても良い。ただし、以下に説明する実施形態の場合、シート材容器100は、底部13にマチ(ガセット)を有しており、自立可能な形態となっている。
【0015】
また、本実施形態において、シート材容器100の各構成要素の位置関係(上下関係等)の説明は、特に断りのない場合は、シート材容器100を
図1のように自立させた状態での位置関係を説明したものである。ただし、この説明における位置関係は、シート材容器100の使用時や製造時の位置関係とは必ずしも一致しない。
なお、シート材容器100の各構成要素の位置関係について、各図に示される位置関係を説明する場合もある。
また、シート材容器100の正面側を前方、シート材容器100の背面側を後方といい、シート材容器100の正面に向かって右側(
図1における右側)を右方、シート材容器100の正面に向かって左側(
図1における左側)を左方という。
なお、本実施形態においては、シート材容器100の正面側に充填材排出部19が配置されている例を示しているが、充填材排出部19はシート材容器100の背面側に配置されていても良い。
【0016】
図1に示すように、本実施形態に係るシート材容器100は、内容物90を収容する収容領域10aを包囲する袋体10を有している。
ここで、内容物90の種類は、特に限定されない。内容物90としては、例えば、洗剤、柔軟剤、シャンプー、リンス、ボディーソープ、飲料、食品などが挙げられる。
また、内容物90は、液体(ペースト状のものを含む)であっても良いし、固体(例えば、粒状のもの(顆粒状のものを含む)、或いは粉状のものなど)であっても良い。
内容物90が液体の場合には、内容物90の粘度は、例えば30℃において1mPa・s以上12万mPa・s以下(B型粘度計で測定。例えば東機産業株式会社製、ビスコメーター TV−10、TVB−10等)、好ましくは1mPa・s以上6万mPa・s以下であることが挙げられる。
【0017】
本実施形態の場合、袋体10が収容領域10aを画定している。したがって、収容領域10aに収容されている内容物90が、袋体10の内面に対して直に接触している。
【0018】
袋体10は、少なくとも2層以上のシート材が相互に積層及び接合された積層シート20どうしが接合されて構成されている。
本実施形態の場合、積層シート20は、2層のシート材(第1シート材21、第2シート材22(
図5(a)、
図5(b)、
図6(a)、
図6(b)、
図7(a)、
図7(b)、
図8(a)、
図8(b)参照))により構成されている。ただし、後述するように、各シート材(第1シート材21、第2シート材22)についても、複数の層構造をなしていても良い。
ここで、積層シート20どうしが接合されているとは、一の積層シート20の一部分どうしが相互に接合されていることであっても良いし、複数の積層シート20どうしが相互に接合されていることであっても良い。本実施形態の場合は、例えば、
図7(a)に示す一枚の積層シート20を用いてシート材容器100が構成されている。このため、一の積層シート20の一部分どうしが相互に接合されて袋体10が構成されている。
積層シート20どうしが接合された部分はシール部25である。
【0019】
袋体10の開口予定部16の近傍には、シート材(第1シート材21、第2シート材22)どうしが部分的に非接合とされた非接合部61が配置されている。
ここで、開口予定部16とは、収容領域10aの内容物90を袋体10の外部に注出するために袋体10に開口26を形成することが予定されている部位である。
袋体10には、開口予定部16に沿って、ハーフカット溝またはミシン目などにより構成された開封案内線(不図示)が形成されていても良いし、開封案内線は形成されていなくても良い。また、開口予定部16に沿って、印刷等により線状の表示が付されていても良い。
いずれの場合にも、開口予定部16に沿って袋体10を破断しやすくするための開封用切欠形状部18が、開口予定部16の近傍に形成されていることが好ましい。
換言すれば、開口予定部16は、開封用切欠形状部18の切り込みの方向(開封用切欠形状部18の深さ方向)に延びる直線状の領域である。開口予定部16は、シール部25において開封用切欠形状部18が形成されている部分(
図2のシール部251)と、シール部25において充填部41を間に挟まずに収容領域10aを介してシール部251と対向している部分(
図2のシール部252)と、の間に延在している。
【0020】
そして、非接合部61におけるシート材どうしの層間に充填物が封入されて充填部41が構成されている。したがって、開口予定部16の近傍に充填部41が配置されている。
ここで、充填材は、流体(気体または液体)、固体(例えば粉粒体、樹脂ペレット等)または半固体(例えば発泡材等)とすることができ、空気などの気体であることが好ましい。
充填部41が開口予定部16の近傍に配置されていることにより、開口予定部16が開口したとき(袋体10に開口26が形成されたとき)に、充填部41がもたらす反撥力によって開口26を開くことができる。よって、シート材容器100からの内容物90の注出がより容易になる。
【0021】
ここで、充填部41が開口予定部16の近傍に配置されているとは、袋体10に開口26が形成されたときに、充填部41の作用によって開口26の面積が広がる程度に、開口予定部16の近くに充填部41が配置されていることを意味する。すなわち、本実施形態に係るシート材容器100に開口26が形成されたときの開口26の面積が、充填部41を有していない点でシート材容器100と相違するシート材容器(以下、比較形態に係るシート材容器)に開口26が形成されたときの開口26の面積よりも大きくなることを意味する。
なお、シート材容器100の底部13にマチが形成されていてシート材容器100が自立可能な形態である場合には、シート材容器100と比較形態に係るシート材容器との開口26の面積の比較試験は、各シート材容器を水平な載置面上に載置した状態で行うことができる。
一方、シート材容器100が自立不能なピロータイプである場合には、シート材容器100と比較形態に係るシート材容器との開口26の面積の比較試験は、例えば、開口26から内容物が飛び出ないような向きで各シート材容器を吊り下げた状態で行うことができる。
ここで、比較形態に係るシート材容器は、例えば、シート材容器100の充填部41から充填物を排出することにより得ることができる。充填部41から充填物を排出する方法としては、後述する充填材排出部19を破断して充填部41内の充填物を排出する方法、又は、シート材容器100の外部から充填部41に針等を突き刺して充填部41を大気開放して充填物を排出する方法などが挙げられる。
【0022】
より詳細には、袋体10の上縁部12においては、積層シート20において袋体10の表裏をそれぞれ構成する部分どうしが直に接合されている。これに対して、袋体10の底部13においては積層シート20の一部分が内側に折り込まれた状態で袋体10の表裏をそれぞれ構成する部分どうしが接合されていることによって、マチが形成されている。
このため、袋体10は、底部13が水平な載置面上に載置された状態で、自立可能となっている。袋体10における上縁部12と底部13との間の部分が胴部11を構成している。
また、このように、袋体10の底部13はマチを有しているのに対して、袋体10の上縁部12はマチを有していないことにより、収容領域10aの内腔断面積は、底部13側から上縁部12側に向かって減少している。すなわち、袋体10の厚み方向において、収容領域10aの内腔領域の寸法が、底部13側から上縁部12側に向かって減少している。
【0023】
このように、袋体10は、底部13と、収容領域10aを間に挟んで底部13とは反対側に位置する上縁部12と、を有し、収容領域10aの内腔断面積が、底部13側から上縁部12側に向かって減少している。更に、
図1に示すように、開口予定部16は、好ましくは上縁部12側(底部13よりも上縁部12の近く)に配置されている。
このような構造のシート材容器100においては、仮に非接合部61を有していない場合には、内容物90の注出時に開口26(
図8(a)、
図8(b)参照)の拡がり具合を十分に確保できなかったり、注出の際に開口26が狭まったりしがちである。
このような事情に対し、本実施形態においては、開口予定部16の近傍に充填部41が配置されていることにより、そのような不具合の発生を抑制できる。
ただし、本発明において、容器本体10における開口予定部16の位置は特に限定されず、例えば、底部13の近傍における袋体10の側部に開口予定部16が配置されていても良い。
【0024】
図2に示すように、開口予定部16と充填部41との最短距離D1は、開口予定部16の長さLの3倍以内であることが好ましい。これにより、充填部41が開口26を開く作用を、より十分に得ることができる。より好ましくは、距離D1は長さL以下とすることができる。
ここで、距離D1及び長さLは、開口予定部16が開口する前の状態(収容領域10aが密封されている状態)において、袋体10を正面視したときの寸法とすることができる。
【0025】
また、本実施形態の場合、袋体10の表側と裏側のそれぞれに充填部41が配置されており、これら充填部41は、収容領域10aにおける開口予定部16の近傍の部分を間に挟んで互いに表裏に位置している(
図5(a)、
図5(b)参照)。これにより、一対の充填部41が互いに接するとともに互いに反力を及ぼし合うようにできるため、充填部41が開口26を開く作用を更に十分に得ることができる。
本実施形態の場合、充填部41は柱状に形成されている。そして、2本の柱状の充填部41が互いに並列に延在している。
なお、本発明は、この例に限らず、袋体10の表裏のいずれか一方にのみ充填部41が設けられていてもよく、この場合も、充填部41によって袋体10の表裏のうち充填部41が設けられている方のシート材が充填部41に沿う形状に変形し当該シート材に張力が作用すること、又は、充填部41が袋体10の表裏を離間させることにより、開口26を開く作用を得ることができる。
【0026】
また、上記のように充填部41は柱状に形成されており、
図2に示すように、積層シート20どうしの接合部(シール部25)と充填部41との開口予定部16の近傍領域における最短距離D2が、充填部41の直径R(円相当径)以下であることが好ましく、充填部41の半径以下としてもよい。これにより、充填部41が、袋体10において充填部41と対向する部分から反力を受けやすくなる結果、充填部41が開口26を開く作用を更に十分に得ることができる。
ここで、距離D2は、袋体10を正面視したときの寸法とすることができる。また、直径Rは、袋体10を正面視したときの充填部41の幅寸法(長手方向に対して直交する幅寸法)とすることができる。
【0027】
より詳細には、
図1に示すように、袋体10は、例えば、正面視において、上下に長尺な矩形状に形成されている。
袋体10の上端側の一隅部には、ノズル部14が配置されている。ノズル部14においては、袋体10の上端側の一隅に向けて収容領域10aが徐々に狭まるような形状にシール部25が形成されている。ただし、ノズル部14において、袋体10の上端側の一隅に向けて収容領域10aが徐々に広がるような形状にシール部25が形成されていても良いし、ノズル部14における収容領域10aがストレート形状であってもよい。
収容領域10aのうち、特にノズル部14と対応する部分は、内容物90を袋体10から注出する際に内容物90が通過する注出流路14aである。ただし、
図5(a)及び
図5(b)に示すように、本実施形態の場合、充填部41が注出流路14a内に向けて内側に膨出しているため、注出流路14aは充填部41によって狭められている。
開口予定部16は、注出流路14aを横断する方向に延在している。
なお、上縁部12において、ノズル部14と隣接する部位には、下方に向けて切り欠かれた形状の切欠形状部15が形成されている。
ノズル部14において、開口予定部16を境界として袋体10の上記一隅側の部分は、袋体10に開口26を形成する際に使用者によって摘ままれる開封タブ17である。なお、袋体10に開口26が形成されることにより、開封タブ17は袋体10から切除される。
【0028】
袋体10の表側の面には、袋体10の左右の縁辺に沿って、それぞれ上下に延在する充填部41、充填部42が配置されている。袋体10の表側の面の下端部には、左右に延在する充填部43が配置されている。これら充填部41、充填部42及び充填部43は、相互に連通している。より詳細には、例えば、充填部41の下端部は充填部43の左端部に連通しており、充填部42の下端部は充填部43の右端部に連通している。
同様に、袋体10の裏側の面においても、袋体10の左右の縁辺に沿って、それぞれ上下に延在する充填部41、充填部42が配置されており、下端部には、左右に延在する充填部43が配置されており、これら充填部41、充填部42及び充填部43は、相互に連通している。
なお、充填部41、42は、それぞれ柱状に形成されている。充填部41、42の長手方向に対して直交する断面形状は、例えば円形又は楕円形となっている。
【0029】
また、
図3に示すように、底部13には、充填部44、44が配置されている。これら充填部44、44は、相互に連通している。これら充填部44、44の総体は、底部13の中央部の周りを囲む環状の形状となっている。
これら充填部44、44のうち、袋体10の正面側の充填部44は、正面側の充填部43と連通しており、袋体10の背面側の充填部44は、背面側の充填部43と連通している。
【0030】
ここで、シート材容器100は、袋体10から突出しているチューブ状の充填材排出部19を有している。充填材排出部19は上記非接合部内の空間に封入される充填材の入口でもある。充填材排出部19の配置は特に限定されないが、例えば、
図1に示すように、上縁部12から上側に突出していることが挙げられる。
この充填材排出部19の内部にも、充填部45が形成されている。
充填材排出部19の周縁部において、第1シート材21と第2シート材22とが相互に接合(ヒートシール)されて、充填部45は封止されている。
充填部45は、例えば、袋体10の表側の充填部41に対して、充填部46を介して連通している。
【0031】
このように、本実施形態の場合、シート材容器100が備えるすべての充填部41、42、43、44、45、46は相互に連通している。
したがって、袋体10を廃棄する際には、充填材排出部19を破断して充填部45を外気と連通させることにより、充填部45を介して、各充填部41〜46内の充填材(例えば空気)を外部に排出することができ、その状態では袋体10を薄く押しつぶすことができる。
【0032】
なお、本実施形態の場合、充填部41は、開口予定部16の近傍に留まらず、底部13の近傍まで達している。ただし、本発明は、この例に限らず、充填部41は、開口予定部16の近傍にのみ配置されていても良い。
【0033】
また、充填部41によって注出流路14aが狭められてしまうことをなるべく抑制するため、充填部41は、注出流路14aの中心からずれた位置に配置されていることが好ましい。すなわち、
図1において、充填部41は、注出流路14aの中心14bを基準として、左側にずれて配置されている。
【0034】
また、本実施形態の場合、袋体10は、充填部41の他にも充填部(充填部42、充填部43、充填部44、充填部46、充填部45)を有しているが、本発明は、この例に限らず、袋体10は充填部として充填部41のみを有していても良い。
【0035】
ここで、積層シート20を構成する第1シート材21及び第2シート材22の各々の層構成の一例を説明する。
【0036】
第1シート材21は、袋体10の外面側を構成するシート材である。
図6(b)に示すように、第1シート材21は、例えば、第1層31と、第2層32と、第3層33と、第4層34と、をこの順に積層することにより構成されている。
第1層31は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)または延伸ナイロン(ONy)により構成されている。
第2層32は、例えば、一方の面(第1層31側の面)にシリカ及びアルミナが蒸着されたポリエチレンテレフタレートにより構成された透明蒸着PETの層である。
第3層33は、例えば、延伸ナイロンにより構成されている。
第4層34は、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)により構成されている。
これらの層の厚さは、特に限定されないが、一例として、第1層31は12μm、第2層32は12μm、第3層33は15μm、第4層34は40μmとすることができる。
第1層31の主な機能としては、袋体10に光沢感及び印刷適性をもたらすとともに袋体10の剛性を確保することが挙げられる。
第2層32の主な機能としては、ガスバリア性をもたらすことが挙げられる。
第3層33の主な機能としては、耐ピンホール性を確保することが挙げられる。
第4層34の主な機能としては、第2シート材22とのヒートシール性を確保することが挙げられる。
【0037】
また、第2シート材22の層構造としては、第1シート材21と同様の層構造を採用することができる。
ただし、第1シート材21及び第2シート材22を構成する各層の材料は、上記の例に限らない。
また、第2シート材22は、第1シート材21とは異なる層構造を有していても良い。
例えば、第2シート材22の第1層31として、第4層34と同様の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を設けても良い。このような層構成とすることで、
図5(c)のように表側シート部51と裏側シート部52をシール部25にてヒートシールすることが容易となる。
【0038】
第1シート材21と第2シート材22とが相互に積層及び接合(ヒートシール)されることにより、積層シート20が構成されている。
すなわち、第1シート材21の第4層34と第2シート材22の第4層34とが互いに対向する向きで第1シート材21と第2シート材22とが相互に積層される。そして、その状態で第1シート材21と第2シート材22とが相互に加圧され且つ加熱されることによって、第1シート材21の第4層34と第2シート材22の第4層34とが相互にヒートシールされている。これにより、積層シート20が構成されている(
図7(a)、
図7(b)参照)。
【0039】
ここで、第1シート材21と第2シート材22との層間(第1シート材21の第4層34と第2シート材22の第4層34との層間)が部分的に非接合となって非接合部61、62、63、64、65、66が形成されるように、例えば、第1シート材21または第2シート材22のうちの少なくとも一方または両方において、他方に対して対向する面には、部分的に非接着処理が施された非接着部23(
図6(a))が形成されている。非接着部23は、当該部分に非接着剤(糊殺し剤)を塗布して糊殺し状態とすることによって、容易に形成することができる。糊殺し剤としては、感圧接着剤層の接着を防止できるものであれば、いかなるものも使用することができる。糊殺し剤としては、例えば、オフセット印刷、フレキソ印刷、レタープレス印刷(凸版印刷)のそれぞれに使用する印刷用インキ、メジウムインキ、糊殺し専用インキ等を好ましく用いることができる。また、熱硬化型や紫外線硬化型のインキを好ましく用いることができる。なお、本明細書において、接着には粘着も含まれるものとする。
非接着部23の形成範囲が非接合部(非接合部61〜66)となる。また、非接合部(非接合部61〜66)が形成されている部位に充填材が封入されることにより充填部(充填部41〜46)が形成される。
非接合部のうち、非接合部61は充填部41と対応しており、非接合部62は充填部42と対応しており、非接合部63は充填部43と対応しており、非接合部64は充填部44と対応しており、非接合部65は充填部45と対応しており、非接合部66は充填部46と対応している。
【0040】
なお、第1シート材21と第2シート材22との層間に非接合部61〜66を形成する方法は、ここで例示した方法に限らない。例えば、第1シート材21と第2シート材22とをヒートシールする金型において非接合部61〜66と対応する部位に凹部(溝)を形成する方法や、第1シート材21と第2シート材22との層間にヒートシール性を持たない材料により構成されたスペーサ層(例えば、PET等の樹脂層)を介装させる方法などが挙げられる。
【0041】
図7(a)に示すように、積層シート20は、袋体10の表側部分を構成する表側シート部51と、袋体10の裏側部分を構成する裏側シート部52と、底部13を構成する第1底シート部53及び第2底シート部54と、を含んで構成されている。
【0042】
表側シート部51は、例えば、上下方向に細長い矩形状に形成されている。
第1底シート部53は、第2底シート部54とともに底部13を構成する部分である。第1底シート部53及び第2底シート部54は互いに同形状に形成されている。第1底シート部53及び第2底シート部54は、例えば、それぞれ左右方向に長い矩形状の形状に形成されている。第1底シート部53及び第2底シート部54の左右幅寸法は、表側シート部51及び裏側シート部52の左右幅寸法と同等の寸法に設定されている。
図7(a)において、第1底シート部53は表側シート部51の上側に連接されており、第2底シート部54は第1底シート部53の上側に連接されている。
【0043】
更に、
図7(a)において、第2底シート部54の上側には、裏側シート部52が連接されている。
裏側シート部52は、表側シート部51と同様の形状に形成されている。
ただし、表側シート部51と裏側シート部52とのうち、表側シート部51には、充填材排出部19が一体に設けられている。
【0044】
ここで、第1シート材21は第2シート材22よりも一回り大きく形成されており、第2シート材22の周囲に第1シート材21が張り出している。つまり、積層シート20の周縁部において、第1シート材21の第4層34が露出している。
そして、第1シート材21において第2シート材22の周囲に張り出している部分どうしがヒートシールされることで、袋体10が構成されている。
なお、充填材排出部19においては、第1シート材21と第2シート材22とが互いに同寸法に形成されており、第1シート材21が第2シート材22よりも張り出している訳ではない。つまり、第1シート材21の第4層34が非露出となっている。
更に、充填材排出部19の基端側の位置でも、第1シート材21の第4層34が非露出となっている。この部分に対しては、第4層34と同様のヒートシール性の材料により構成されたシーラント層を一方の面に有するシール層24を接着しておく。すなわち、シーラント層が
図7(a)における手前側を向くように、シール層24を接着しておく。これにより、上縁部12をヒートシールすることによってシール層24を裏側シート部52の周縁部と接合し、袋体10を密封状態に形成することができる。
一方、第2シート材22の最内層である第1層31として、最外層である第4層34と同様にヒートシール可能なフィルム(直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)のフィルム)が用いられている場合、第1シート材21と第2シート材22は同じ大きさで形成されており、第2シート材22どうしが袋体10の周縁部で接合されることで、袋体10を密封状態に形成することができる。この場合にはシール層24は不要となる(
図5(c)参照)。
【0045】
積層シート20が、
図7(a)に示す折り曲げ線81及び折り曲げ線82において、それぞれ谷折りされるとともに、折り曲げ線83において山折りされた状態で、ヒートシールされることによって、袋体10が構成されている。
ここで、折り曲げ線82は、表側シート部51と第1底シート部53との境界であり、折り曲げ線81は、裏側シート部52と第2底シート部54との境界である。
また、折り曲げ線83は、第1底シート部53と第2底シート部54との境界である。
また、谷折りとは、
図7(a)における奥側に向けて凸の折り曲げ方であり、山折りとは、
図7(a)における手前側に向けて凸の折り曲げ方である。
【0046】
積層シート20がこのように折り曲げられた状態では、第1底シート部53と第2底シート部54とが相互に重なり合い、第1底シート部53と表側シート部51の下端部とが相互に重なり合い、第2底シート部54と裏側シート部52の下端部とが相互に重なり合い、且つ、表側シート部51と裏側シート部52とが相互に重なり合う。
【0047】
そして、積層シート20がこのように折り曲げられた状態で積層シート20がヒートシールされることにより、第1底シート部53と表側シート部51の下端部とが相互に接合され、第2底シート部54と裏側シート部52の下端部とが相互に接合され、表側シート部51と裏側シート部52とが相互に接合される。
ここで、表側シート部51において裏側シート部52と接合される部分は、表側シート部51において第1底シート部53と重なる部分を除く部分である。
同様に、裏側シート部52において表側シート部51と接合される部分は、裏側シート部52において第2底シート部54と重なる部分を除く部分である。
【0048】
ここで、
図7(a)に示すように、第1底シート部53及び第2底シート部54の左右両端部には、それぞれ切欠形状部58が形成されている。
このため、上記のように積層シート20が折り曲げられた状態で、表側シート部51(裏側シート部52)において各切欠形状部58と対応する部分は、第1底シート部53及び第2底シート部54を介さずに直に裏側シート部52(表側シート部51)に対して対向する。したがって、上記のように積層シート20がヒートシールされることにより、各切欠形状部58を介して、表側シート部51の下端部と裏側シート部52の下端部とが部分的に相互にヒートシールされている。
【0049】
このように積層シート20がヒートシールされることにより、シール部25が形成されるとともに袋体10が形成されることで、
図4に示す容器用シート200が作製される。
このように、容器用シート200は、内容物90を収容する収容領域10aを包囲する袋体10を有し、袋体10は、少なくとも2層以上のシート材が相互に積層及び接合された積層シート20どうしが接合されて構成され、且つ、袋体10の開口予定部16の近傍に、シート材どうしが部分的に非接合とされた非接合部61が配置されている。
なお、この段階では、袋体10の上縁部12において、
図4において網掛けで示された範囲はヒートシールが施されておらず、未シール部27となっている。よって、容器用シート200の作製後、この未シール部27を介して、収容領域10a内に内容物90を収容できるようになっている。
【0050】
更に、上記のように積層シート20がヒートシールされることによって容器用シート200が作製された後、充填材排出部19から、各非接合部61〜66に対して充填材(例えば空気)が導入される。これにより、各非接合部61〜66が膨らんで充填部41〜46が形成され、袋体10に剛性が付与される。
すなわち、各非接合部61〜66における第1シート材21と第2シート材22との層間に充填材が充填されて充填部41〜46が構成される。
各非接合部61〜66が膨らむことにより、底部13が前後方向に広がるので、胴部11は主に下部が前後方向に広がる(
図3参照)。
ここで、非接合部61に充填材が充填されて該非接合部61が膨らむことにより、袋体10の開口予定部16には、当該開口予定部16が袋体10の表裏の方向に広がる方向の応力が付与される。なぜなら、本実施形態の場合、袋体10の表裏の非接合部61が膨らんで互いに反力を及ぼし合うためである。また、本実施形態とは異なり袋体10の表裏のうち一方にのみ非接合部61が設けられている場合にも、膨らんだ非接合部61が袋体10の表裏のうち他方と互いに反力を及ぼし合ったり、又は、袋体10の表裏のうち非接合部61が設けられている方のシート材が膨らんだ非接合部61に沿う形状に変形し当該シート材の張力が作用したりすることにより、やはり、開口予定部16には、当該開口予定部16が袋体10の表裏の方向に広がる方向の応力が付与される。そして、開口予定部16が開口したときには、袋体10に予め付与されている応力の作用によって、開口26を拡大することができる。
【0051】
また、各充填部41〜46が構成された後、充填材排出部19におけるいずれかの部位(一例として、充填材排出部19の先端)に位置する封止部19aが適宜の方法で封止される(つまり、各充填部41〜46が封止されて、各充填部41〜46に充填材が封入される)。これにより、各充填部41〜46からの充填材の漏洩が規制される。
こうして、シート材容器100が作製される。
【0052】
なお、各充填部41〜46の内部における圧力は、特に限定されないが、大気圧よりも高圧であることが好ましく、例えば、ゲージ圧で10kPa以上500kPa以下とすることができる。
ここで、封止部19aを封止する方法としては、例えば、第1シート材21と第2シート材22とにおいて封止部19aを構成する部分の互いの対向面に、それぞれ上記のシール層24と同様のシール層を接着しておき、これらシール層24どうしをヒートシールにより接合する方法が挙げられる。
【0053】
更に、未シール部27から収容領域10a内に内容物90が充填された後、未シール部27(例えば、袋体10の上縁部12の一部分)がヒートシールされることで、内容物90入りのシート材容器100、すなわちシート剤容器詰め品が得られる。
このように、本実施形態に係るシート材容器詰め品は、本実施形態に係るシート材容器100と、収容領域10aに収容された内容物90と、を備えている。
【0054】
なお、各充填部41〜46に充填物を封入するタイミングと、収容領域10aに内容物90を収容させるタイミングとの前後関係は、特に限定されない。各充填部に充填物を封入した後で収容領域10aに内容物90を収容させても良いし、収容領域10aに内容物90を収容させた後で各充填部に充填物を封入しても良いし、各充填部への充填物の封入と収容領域10aへの内容物90の収容とを同時に(並行して)行っても良い。
【0055】
以上のような実施形態によれば、シート材容器100は、内容物90を収容する収容領域10aを包囲する袋体10を有し、袋体10は、少なくとも2層以上のシート材(第1シート材21、第2シート材22)が相互に積層及び接合された積層シート20どうしが接合されて構成され、且つ、袋体10の開口予定部16の近傍に、シート材どうしが部分的に非接合とされた非接合部61が配置され、非接合部61におけるシート材どうしの層間に充填物が封入されて充填部41が構成されている。
これにより、開口予定部16が開口したときに、充填部41によって開口26を拡大することができるため、シート材容器100からの内容物90の注出がより容易になる。
【0056】
<変形例1>
図9(a)は変形例1に係るシート材容器100のノズル部14近傍を示す正面図であり、
図9(b)は変形例1に係るシート材容器100の開口26近傍を示す斜視図である。
本変形例の場合、積層シート20どうしの接合部であるシール部25と充填部41との間に間隙48があり、当該間隙48は当該充填部41に沿って直線状に延在している。そして、開口予定部16が開口する前の状態及び後の状態のそれぞれにおいて、間隙48の延長上の位置に積層シート20どうしの接合部(シール部25)の一部分25aが存在する。つまり、
図9(a)に示すように開口26が形成される前の状態のとき、及び、
図9(b)に示すように開口26が形成された後の状態のときのそれぞれにおいて、間隙48の延長上の位置にシール部25の一部分25aが存在する。
【0057】
すなわち、
図9(a)に示すように、間隙48の延長上の位置に、一部分25aを含むシール部25が存在しており、開口予定部16は、間隙48を基準として一部分25aよりも遠くにおいて、該間隙48の延長線に対して交差して配置されている。
このため、開口予定部16に沿って袋体10が破断されて開口26が形成されたときに、一部分25aは、開封タブ17とともに切除されずに、袋体10における開封タブ17以外の部分と一体に残留する。
【0058】
本変形例によれば、開口26から内容物を注出する際に、間隙48を通して流れる内容物の液だれが生じてしまうことを抑制できる。すなわち、間隙48を通して流れる内容物の流れを一部分25aによって迂回させる又は遮断することによって、液だれの発生を抑制することができる。
【0059】
<変形例2>
図10は変形例2に係るシート材容器の断面図であり、
図5(a)に相当する位置での断面を示す。
本変形例の場合、積層シート20どうしの接合部であるシール部25と充填部41とが相互に隙間無く隣接して配置されている。
【0060】
本変形例の場合、上記の変形例1において説明したような間隙48が実質的に存在しない。このため、間隙48を通して流れる内容物の液だれが生じないようにできる。また、充填部41がシール部25に対してより近接することによって、充填部41による開口26の拡大作用が更に向上する。
【0061】
<変形例3>
図11は変形例3に係るシート材容器100のノズル部14近傍を示す図である。
本変形の場合、充填部41における開口予定部16側の端部は、開口予定部16から遠ざかるにつれて充填部41が収容領域10aの内方側に迫り出すように傾斜したテーパー部41aとなっている。
本変形例によれば、充填部41の端部にテーパー部41aが形成されていることにより、充填部41を配置することによって注出流路14aが狭くなってしまうことを抑制でき、注出流路14aを介したよりスムーズな注出が可能となる。
【0062】
<変形例4>
図12は変形例4に係るシート材容器100を示す図である。
上記の実施形態及び各変形例においては、袋体10の角部にノズル部14が配置されている例を説明したが、本変形例の場合、袋体10の一の縁辺部72の中央部にノズル部14が配置されており、縁辺部72におけるノズル部14の両側にそれぞれ肩部72aが配置されている。
一例として、本変形例に係るシート材容器100は、自立可能なスタンディングパウチであり、縁辺部72は上縁部であり、収容領域10aを間に挟んで縁辺部72に対して対向している端部73は、底部である。
【0063】
本変形例においても、袋体10の開口予定部16の近傍に、シート材どうしが部分的に非接合とされた非接合部61が配置され、非接合部61におけるシート材どうしの層間に充填物が封入されて充填部41が構成されている。
充填部41は、少なくとも1つ設けられていればよいが、例えば、
図12におけるノズル部14の左右両端部と対応する位置にそれぞれ配置されている。また、充填部41は、袋体10の表側と裏側の少なくとも一方に設けられていればよいが、例えば、上記の実施形態と同様に、袋体10の表側と裏側の両方にそれぞれ充填部41を設けることができる。
したがって、例えば、
図12におけるノズル部14の左端部に対応する位置において、袋体10の表側と裏側にそれぞれ充填部41を配置することができ、
図12におけるノズル部14の右端部に対応する位置においても、袋体10の表側と裏側にそれぞれ充填部41を配置することができる。
【0064】
本変形例においても、開口予定部16が開口したときに、その開口を充填部41によって拡大することができ、上記と同様に内容物の注出が容易となる。
【0065】
本発明は上記の実施形態及び各変形例に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。
【0066】
例えば、上記においては、シート材容器100がスタンディングパウチである例を説明したが、本発明のシート材容器は、寝かせて配置することを想定した形態のもの(いわゆるピロータイプのもの)であっても良い。
【0067】
また、上記の実施形態及び各変形例は、内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。
【0068】
上記実施形態は、以下の技術思想を包含する。
<1>内容物を収容する収容領域を包囲する袋体を有し、
前記袋体は、少なくとも2層以上のシート材が相互に積層及び接合された積層シートどうしが接合されて構成され、
且つ、
前記袋体の開口予定部の近傍に、前記シート材どうしが部分的に非接合とされた非接合部が配置され、
前記非接合部における前記シート材どうしの層間に充填物が封入されて充填部が構成されているシート材容器。
<2>前記袋体は、底部と、前記収容領域を間に挟んで前記底部とは反対側に位置する上縁部と、を有し、
前記収容領域の内腔断面積が、前記底部側から前記上縁部側に向かって減少しており、
前記開口予定部は前記上縁部側に配置されている<1>に記載のシート材容器
<3>前記開口予定部と前記充填部との最短距離が、前記開口予定部が開口したときの開口幅の3倍以内である<1>又は<2>に記載のシート材容器。
<4>前記袋体の表側と裏側のそれぞれに前記充填部が配置されており、これら充填部は、前記収容領域における前記開口予定部の近傍の部分を間に挟んで互いに表裏に位置している<1>から<3>のいずれか一項に記載のシート材容器。
<5>前記充填部は柱状に形成されており、
前記積層シートどうしの接合部と前記充填部との前記開口予定部の近傍領域における最短距離が、前記充填部の直径以下である<1>から<4>のいずれか一項に記載のシート材容器。
<6>前記積層シートどうしの接合部と前記充填部とが相互に隙間無く隣接して配置されている<5>に記載のシート材容器。
<7>前記積層シートどうしの接合部と前記充填部との間に間隙があり、当該間隙は当該充填部に沿って直線状に延在しており、
前記開口予定部が開口する前の状態及び後の状態のそれぞれにおいて、前記間隙の延長上の位置に前記積層シートどうしの接合部の一部分が存在する<5>に記載のシート材容器。
<8><1>から<7>のいずれか一項に記載のシート材容器と、
前記収容領域に収容された内容物と、
を備えるシート材容器詰め品。
<9>内容物を収容する収容領域を包囲する袋体を有し、
前記袋体は、少なくとも2層以上のシート材が相互に積層及び接合された積層シートどうしが接合されて構成され、
且つ、
前記袋体の開口予定部の近傍に、前記シート材どうしが部分的に非接合とされた非接合部が配置されている容器用シート。