特許第6817839号(P6817839)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6817839
(24)【登録日】2021年1月4日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】貨幣処理装置及び貨幣処理システム
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/12 20190101AFI20210107BHJP
   G07D 11/16 20190101ALI20210107BHJP
【FI】
   G07D11/12
   G07D11/16 101C
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-26750(P2017-26750)
(22)【出願日】2017年2月16日
(65)【公開番号】特開2018-132978(P2018-132978A)
(43)【公開日】2018年8月23日
【審査請求日】2019年11月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土井 智博
(72)【発明者】
【氏名】小家 善朗
(72)【発明者】
【氏名】南 武志
(72)【発明者】
【氏名】鳥本 明男
(72)【発明者】
【氏名】山出 拓
【審査官】 木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−186745(JP,A)
【文献】 特開2016−177596(JP,A)
【文献】 特開2015−210708(JP,A)
【文献】 特開2006−323879(JP,A)
【文献】 特開2005−339399(JP,A)
【文献】 特開2014−049036(JP,A)
【文献】 特開2017−194868(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 1/00−13/00
G07F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨幣を収納する収納部及び前記収納部を収容する筐体を有しかつ、前記貨幣に関する処理を行う装置本体と、
前記装置本体において、前記収納部に触れることに関係する可動箇所が動いたことを検知する検知部と、
操作者が操作を行う操作部と、
前記操作者が前記操作部を操作することに応じて、前記装置本体を制御する制御部と、を備え、
前記検知部は、前記装置本体の電源がオフの間に、前記可動箇所が動いたことを検知し、
前記制御部は、前記検知部の検知信号に基づいて、前記装置本体の電源がオフの間に前記可動箇所が動いたときに通知を行う設定と、通知を行わない設定とを切り替えることが可能であり、
前記制御部は、前記装置本体の電源がオフの間に前記可動箇所が動いたと共に、前記通知を行う設定である場合は、前記装置本体を、前記貨幣に関する処理を禁止する禁止モードにすると共に、予め登録した操作者が前記操作部を通じて確認操作を行ったことを受けて、前記禁止モードを解除し、前記装置本体の電源がオフの間に前記可動箇所が動いたと共に、前記通知を行わない設定である場合は、前記貨幣に関する処理を許可し、
前記制御部は、前記装置本体の電源がオフの間に前記可動箇所が動いたときに、前記通知を行う設定である場合は、前記装置本体の電源がオンになったタイミングで、前記予め登録した操作者の確認操作を要求し、前記通知を行わない設定である場合は、可動箇所が動いたという情報を記憶部に記憶させる貨幣処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記確認操作がなく前記禁止モードのまま前記装置本体の電源がオフされた後、前記装置本体の電源が再びオンになったときも、前記予め登録した操作者が確認操作を行うまで、前記禁止モードを継続する請求項に記載の貨幣処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記確認操作があったときに、前記可動箇所が動いたことに関する情報を出力する請求項1又は2に記載の貨幣処理装置。
【請求項4】
前記情報には、前記可動箇所が動いた時に前記装置本体の付近を撮影した監視カメラの画像が含まれている請求項に記載の貨幣処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記確認操作があった後に、前記収納部の精査処理の要否を前記操作者に指定させる請求項1〜のいずれか1項に記載の貨幣処理装置。
【請求項6】
貨幣を収納する収納部及び前記収納部を収容する筐体を含む装置本体と、前記装置本体において、前記収納部に触れることに関係する可動箇所が動いたことを検知する検知部と、前記装置本体を制御する制御部と、を有しかつ、前記貨幣に関する処理を行う貨幣処理装置と、
前記貨幣処理装置に接続されかつ、操作者が操作を行う操作端末と、を備え、
前記検知部は、前記装置本体の電源がオフの間に、前記可動箇所が動いたことを検知し、
前記制御部は、前記検知部の検知信号に基づいて、前記装置本体の電源がオフの間に前記可動箇所が動いたときに通知を行う設定と、通知を行わない設定とを切り替えることが可能であり、
前記制御部は、前記装置本体の電源がオフの間に前記可動箇所が動いたと共に、前記通知を行う設定である場合は、前記装置本体を、前記貨幣に関する処理を禁止する禁止モードにすると共に、予め登録した操作者が前記操作端末を通じて確認操作を行ったことを受けて、前記禁止モードを解除し、前記装置本体の電源がオフの間に前記可動箇所が動いたと共に、前記通知を行わない設定である場合は、前記貨幣に関する処理を許可し、
前記制御部は、前記装置本体の電源がオフの間に前記可動箇所が動いたときに、前記通知を行う設定である場合は、前記装置本体の電源がオンになったタイミングで、前記予め登録した操作者の確認操作を要求し、前記通知を行わない設定である場合は、可動箇所が動いたという情報を記憶部に記憶させる貨幣処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示する技術は、貨幣処理装置及び貨幣処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、金融機関において用いられる現金処理システムが記載されている。この現金処理システムは、システム電源のオフ中に、現金を収納している収納手段の扉が開けられたことを検知すると共に、システム電源のオフ中に収納手段の扉が開けられていた場合は、システム電源の立ち上げ時に、収納手段の精査を自動的に実行するよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−163631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
システム電源のオフ中に収納手段の扉(つまり、貨幣を収納する収納部に触れることに関係する可動箇所の一つ)が開けられたことは、例えば当該現金処理システムが設置されている金融機関において所定の権限を有している管理者が、知っておくべき事項である。
【0005】
特許文献1に記載された現金処理システムでは、自動的に開始をした精査が終了した後で、扉が開けられていたことが操作者に通知されるよう構成されている。しかしながら、現金処理システムの通知を見た操作者が、管理者に報告するとは限らない。従来のシステムでは、管理者への通知が確実に行われない恐れがある。
【0006】
特に特許文献1に記載された現金処理システムでは、収納手段の精査の後に、電源のオフ中の扉の開情報が、操作者に通知される。システム電源を立ち上げてから、収納手段の精査が終了するまでには長い時間がかかるため、電源のオフ中に収納手段の扉が開いていたとしても、その情報を速やかに管理者に報告することができないという不都合もある。
【0007】
ここに開示する技術はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、貨幣を収納する収納部を備えた貨幣処理装置、及び、貨幣処理システムにおいて、装置本体の電源がオフの間に装置本体の可動箇所が動いた事実を、特定の人に速やかにかつ確実に伝えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ここに開示する貨幣処理装置は、貨幣を収納する収納部及び前記収納部を収容する筐体を有しかつ、前記貨幣に関する処理を行う装置本体と、前記装置本体において、前記収納部に触れることに関係する可動箇所が動いたことを検知する検知部と、操作者が操作を行う操作部と、前記操作者が前記操作部を操作することに応じて、前記装置本体を制御する制御部と、を備え、前記検知部は、前記装置本体の電源がオフの間に、前記可動箇所が動いたことを検知し、前記制御部は、前記検知部の検知信号に基づいて、前記装置本体の電源がオフの間に前記可動箇所が動いたときに通知を行う設定と、通知を行わない設定とを切り替えることが可能であり、前記制御部は、前記装置本体の電源がオフの間に前記可動箇所が動いたと共に、前記通知を行う設定である場合は、前記装置本体を、前記貨幣に関する処理を禁止する禁止モードにすると共に、予め登録した操作者が前記操作部を通じて確認操作を行ったことを受けて、前記禁止モードを解除し、前記装置本体の電源がオフの間に前記可動箇所が動いたと共に、前記通知を行わない設定である場合は、前記貨幣に関する処理を許可する。
【0009】
この構成によると、検知部は、装置本体の電源がオフの間に、装置本体の可動箇所が動いたことを検知する。装置本体の電源がオフの間において、検知部は、例えばバッテリの電力によって可動箇所が動いたことを検知可能にすればよい。
【0010】
ここで、可動箇所は、収納部に触れることに関係する箇所であり、より具体的に、操作者は、収納部に収納している貨幣に触れるためには、当該可動箇所を動かさなければならないような箇所である。例えば筐体の内部を筐体外に開放することができる扉等の開閉部、筐体から外に引き出すことが可能な内部ユニット等が、ここでいう可動箇所に含まれる。また、可動箇所が動くことには、前述した扉が開くことや、ユニットが引き出されること以外にも、筐体から外に引き出した内部ユニットから収納部を取り外すことも、可動箇所が動くことに含まれる。
【0011】
制御部は、装置本体の電源がオフの間に可動箇所が動いたときには、装置本体を、貨幣に関する処理を禁止する禁止モードにする。これにより、装置本体は、実質的に動作しないことになる。尚、禁止モードでは、装置本体の全ての処理を禁止してもよいし、貨幣に関する処理のみを禁止してもよい。
【0012】
制御部はまた、予め登録した操作者が操作部を通じて確認操作を行ったことを受けて、禁止モードを解除する。尚、制御部は、操作者の認証を行うことによって、当該操作者が予め登録した操作者であるか否かを判定すればよい。
【0013】
予め登録した操作者は、例えば所定の権限を有する管理者としてもよい。こうすることで、管理者が操作部を通じて確認操作を行わないと、貨幣処理装置は、貨幣に関する処理をすることができない。従って、装置本体の電源がオフの間に可動箇所が動いたときには、管理者が確認操作を行うことになるから、管理者は、装置本体の電源がオフの間に可動箇所が動いた事実を、速やかにかつ、確実に知ることができる。
【0014】
そして、管理者が確認操作を行えば、禁止モードが解除されるため、貨幣処理装置を動作させることが可能になる。
【0015】
前記制御部は、前記装置本体の電源がオフの間に前記可動箇所が動いたときに、前記通知を行う設定である場合は、前記装置本体の電源がオンになったタイミングで、前記予め登録した操作者の確認操作を要求し、前記通知を行わない設定である場合は、可動箇所が動いたという情報を記憶部に記憶させる。
【0016】
こうすることで、例えば金融機関の店舗の始業に合わせて装置本体の電源をオンにしたときに、装置本体の電源がオフの間に可動箇所が動いていた場合には、前述したように、予め登録した操作者は、その事実を知ることになる。予め登録した操作者は、適切なタイミングで可動箇所が動いた事実を知ることができる。
【0017】
前記制御部は、前記確認操作がなく前記禁止モードのまま前記装置本体の電源がオフされた後、前記装置本体の電源が再びオンになったときも、前記予め登録した操作者が確認操作を行うまで、前記禁止モードを継続する、としてもよい。
【0018】
つまり、装置本体が、一旦、禁止モードになったときには、装置本体の電源を入れ直しても、禁止モードのままになる。予め登録した操作者が確認操作を行わない限り、制御部は、装置本体の禁止モードを解除しない。禁止モードの解除条件を厳格にすることによって、予め登録した操作者(例えば所定の権限を有する管理者)は、電源オフの間に可動箇所が動いたという事実を確実に知ることができる。
【0019】
前記制御部は、前記確認操作があったときに、前記可動箇所が動いたことに関する情報を出力する、としてもよい。
【0020】
ここで、「可動箇所が動いたことに関する情報」には、装置本体において、どの可動箇所が動いたか、また、可動箇所が動いた日時、等を含めればよい。
【0021】
制御部は、可動箇所が動いたことに関する情報を、例えば表示部に表示したり、プリンタによって印字したりすればよい。確認操作を行った操作者は、可動箇所が動いたことに関する詳細な情報を確認することができる。
【0022】
また、前記情報には、前記可動箇所が動いた時に前記装置本体の付近を撮影した監視カメラの画像が含まれている、としてもよい。
【0023】
こうすることで、確認操作を行った操作者は、可動箇所が動いた時の、装置本体の状況を確認することができる。操作者は、例えば犯罪の有無を確認する上で有用な情報を得ることができる。
【0024】
前記制御部は、前記確認操作があった後に、前記収納部の精査処理の要否を前記操作者に指定させる、としてもよい。
【0025】
こうすることで、確認操作を行った操作者は、可動箇所が動いた事実を知った後で、必要に応じて、収納部の精査処理を実行させることができる。精査処理が不要であれば、精査処理の実行を省略することができるため、例えば金融機関における業務の遂行をスムースにすることができる。また、精査処理が必要であれば、精査処理を実行することによって、収納部の在高を確認することができる。装置本体の電源をオフにする前の収納部の在高と、現在の収納部の在高とを比較することによって、装置本体の電源オフの間に、収納部から貨幣の抜き取り等の不正が行われたか否かを確実に把握することができる。
【0026】
ここに開示する技術はまた、貨幣処理システムに係る。貨幣処理システムは、貨幣を収納する収納部及び前記収納部を収容する筐体を含む装置本体と、前記装置本体において、前記収納部に触れることに関係する可動箇所が動いたことを検知する検知部と、前記装置本体を制御する制御部と、を有しかつ、前記貨幣に関する処理を行う貨幣処理装置と、前記貨幣処理装置に接続されかつ、操作者が操作を行う操作端末と、を備える。前記検知部は、前記装置本体の電源がオフの間に、前記可動箇所が動いたことを検知し、前記制御部は、前記検知部の検知信号に基づいて、前記装置本体の電源がオフの間に前記可動箇所が動いたときに通知を行う設定と、通知を行わない設定とを切り替えることが可能であり、前記制御部は、前記装置本体の電源がオフの間に前記可動箇所が動いたと共に、前記通知を行う設定である場合は、前記装置本体を、前記貨幣に関する処理を禁止する禁止モードにすると共に、予め登録した操作者が前記操作端末を通じて確認操作を行ったことを受けて、前記禁止モードを解除し、前記装置本体の電源がオフの間に前記可動箇所が動いたと共に、前記通知を行わない設定である場合は、前記貨幣に関する処理を許可し、前記制御部は、前記装置本体の電源がオフの間に前記可動箇所が動いたときに、前記通知を行う設定である場合は、前記装置本体の電源がオンになったタイミングで、前記予め登録した操作者の確認操作を要求し、前記通知を行わない設定である場合は、可動箇所が動いたという情報を記憶部に記憶させる
【0027】
この構成によると、検知部は、装置本体の電源がオフの間に、装置本体の可動箇所が動いたことを検知する。制御部は、装置本体の電源がオフの間に可動箇所が動いたときには、装置本体を、貨幣に関する処理を禁止する禁止モードにする。
【0028】
制御部は、予め登録した操作者が操作端末を通じて確認操作を行ったことを受けて、禁止モードを解除する。操作端末は、貨幣処理装置に接続された端末である。操作端末は、貨幣処理装置が設置された場所に存在するとは限らず、貨幣処理装置が設置された場所から離れた場所に存在していてもよい。操作端末は、具体的には、PC、タブレット端末、又はスマートフォン等によって構成してもよい。こうすることで、予め登録した操作者(例えば、所定の権限を有する管理者)は、貨幣処理装置が設置された場所から離れた場所において、操作端末を通じて遠隔で確認操作をすることができる。所定の権限を有する管理者が、貨幣処理装置が設置された場所に不在であっても、貨幣処理装置の禁止モードを解除することができるから、貨幣処理システムの利便性が向上する。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように、前記の貨幣処理装置及び貨幣処理システムによると、装置本体の電源がオフの間に装置本体の可動箇所が動いた事実を、特定の人に速やかにかつ確実に伝えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、貨幣処理システムの構成例を示す図である。
図2図2は、貨幣処理システムの構成例を示すブロック図である。
図3図3は、紙幣処理装置の内部構成例を示す図である。
図4図4は、出納機における監視制御に係る手順を例示するフローチャートである。
図5図5は、管理端末装置のタッチパネルに表示される警告画面を例示する図である。
図6図6は、管理端末装置のタッチパネルに表示される認証画面を例示する図である。
図7図7は、管理端末装置のタッチパネルに表示される開閉監視データの履歴情報を表示する画面を例示する図である。
図8図8は、管理端末装置のタッチパネルに表示される精査処理の実行要否を指定する画面を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、貨幣処理装置及び貨幣処理システムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の説明は、貨幣処理装置及び貨幣処理システムの一例である。図1は、貨幣処理装置としての出納機10を含む貨幣処理システム1の構成例を示している。出納機10は、例えば銀行等の金融機関に設置される。尚、貨幣処理システム1は、出納機10を含むシステムに限定されない。また、貨幣処理装置も、出納機10に限定されない。
【0032】
(貨幣処理システムの構成例)
貨幣処理システム1は、前述したように出納機10と、出納機10に対してネットワーク704を介して接続された上位端末である管理コンピュータ700とを備えている。管理コンピュータ700には、図1に例示するように、タブレット端末701や、スマートフォン702のような携帯端末が通信可能に接続される。管理コンピュータ700、タブレット端末701、及びスマートフォン702はそれぞれ、操作端末の一例である。
【0033】
ネットワーク704にはまた、金融機関に設置されたオートキャッシャー705が、窓口端末706を介して接続されている。窓口端末706は、例えばPCによって構成される。オートキャッシャー705は、金融機関の窓口に設置され、テラーが窓口端末706を操作することに応じて、現金を入金したり、現金を出金したりするよう構成されている。
【0034】
ネットワーク704にはさらに、出納機10の付近を撮影する監視カメラ707が接続されている。監視カメラ707が撮影した画像は、ネットワーク704を介して、管理コンピュータ700に記録される。尚、監視カメラ707は、出納機10の電源ON/OFF状態にかかわらず、出納機10の周辺を監視するものとする。
【0035】
図2は、貨幣処理システム1の機能構成を例示するブロック図である。出納機10は、紙幣の処理を行う紙幣処理装置100と、硬貨の処理を行う硬貨処理装置200と、種々の伝票を発行するプリンタ400と、操作者に対するヒューマンインターフェース部分であると共に、紙幣処理装置100、硬貨処理装置200及びプリンタ400の制御を行う管理端末装置500と、を含んで構成されている。
【0036】
紙幣処理装置100は、バラ紙幣の入出金処理を実行可能に構成されている。また、紙幣処理装置100は、帯封紙幣の作成や、帯封紙幣の出金処理を実行可能に構成されている。紙幣処理装置100の構成の詳細は後述する。
【0037】
硬貨処理装置200は、バラ硬貨の入出金処理を実行可能に構成されている。また、硬貨処理装置200は、包装硬貨の作成や、包装硬貨の出金処理を実行可能に構成されている。
【0038】
プリンタ400は、硬貨処理装置200の上面に配設されており、後述する管理端末装置500の端末制御部502から出力された制御信号に基づいて、種々の情報が印字された伝票を発行する。
【0039】
管理端末装置500は、出納機10へ情報を入力する操作部でありかつ、出納機10の情報を出力する表示部でもある。具体的に、管理端末装置500は、硬貨処理装置200の上面に設けられたタッチパネル501を備えて構成されている。このタッチパネル501は、図2に示すように、表示部と操作部とが一体化した構成を有しており、種々の情報が配置された画面を表示すると共に、操作者による手入力に基づいて、出納機10を操作するように構成されている。
【0040】
管理端末装置500は、例えば周知のマイクロコンピュータをベースとした端末制御部502を備えている。端末制御部502には、第1通信部505を介して、紙幣処理装置100、及び、硬貨処理装置200が接続されている。端末制御部502は、紙幣処理装置100、及び、硬貨処理装置200に制御信号を出力する。紙幣処理装置100、及び、硬貨処理装置200はそれぞれ、端末制御部502からの制御信号に従って動作する。
【0041】
端末制御部502にはまた、前記のタッチパネル501、操作者のIDカードのID情報を読み取るよう構成されたカードリーダ504、プリンタ400、第2通信部506及び記憶部503が、信号の送受信可能に接続されている。
【0042】
第2通信部506は、ネットワーク704に接続されている。端末制御部502は、第2通信部506及びネットワーク704を介して、管理コンピュータ700に接続されている。端末制御部502はまた、第2通信部506及びネットワーク704を介して、窓口端末706及びオートキャッシャー705に接続されている。
【0043】
記憶部503は、出納機10における紙幣や硬貨の在高等の情報を記憶する在高管理データと、詳細は後述するが、紙幣処理装置100及び硬貨処理装置200の可動箇所が動いたことに関する情報を記憶する開閉監視データと、を少なくとも記憶している。可動箇所は、後述するように開閉する開閉部分等であり、可動箇所が動いたことは、開閉部分等が開閉することに相当する。そこで、以下においては、可動箇所が動いたことを、「開閉」と呼ぶ場合がある。また、記憶部503には、所定の権限を有する管理者を特定する操作者情報が予め登録(記録)されており、後述する認証操作時に照合される。
【0044】
(紙幣処理装置の構成例)
図3は、紙幣処理装置100の内部構成を例示している。紙幣処理装置100は、前述したように、バラ紙幣の入出金処理を実行可能である。また、紙幣処理装置100は、帯封紙幣(紙幣束ともいう)の作成や、帯封紙幣の出金処理を実行可能である。帯封紙幣は、所定枚数(例えば100枚)のバラ紙幣から作成される。
【0045】
紙幣処理装置100は、バラ紙幣を入金するための投入部14、バラ紙幣を出金するためのバラ紙幣投出部24、及び、帯封紙幣を出金するための帯封紙幣投出部48をそれぞれ有している。詳細な図示は省略するが、投入部14は筐体12の外部に開口しており、操作者は投入部14の内部にバラ紙幣の束を投入することができる。一方、バラ紙幣投出部24及び帯封紙幣投出部48にはそれぞれシャッター24a,48aが設けられている。シャッター24a,48aが開いてバラ紙幣投出部24や帯封紙幣投出部48が開口すると、操作者はバラ紙幣投出部24に集積されているバラ紙幣や帯封紙幣投出部48に集積されている帯封紙幣を取り出すことができる。なお、バラ紙幣投出部24は、バラ紙幣の出金処理における出金部として機能するとともに、入金処理時において識別できなかったバラ紙幣や正常ではないと識別されたバラ紙幣を排出するための入金リジェクト部としても機能する。
【0046】
また、バラ紙幣投出部24の下方には、バラ紙幣の出金処理において、バラ紙幣投出部24から出金すべきではないと判断されたバラ紙幣が集積される出金リジェクト部26が設けられている。出金リジェクト部26の前カバーは、通常、閉鎖されており、出金リジェクト部26の内部にアクセスすることができない。所定の権限を有する管理者が操作をすることによって前カバーが開放され、出金リジェクト部26の内部のリジェクト紙幣を回収することができる。出金リジェクト部26は、紙幣を収納する収納部の一例であり、出金リジェクト部26の前カバーは、収納部に触れることに関係する可動箇所の一例である。
【0047】
投入部14には、投入されたバラ紙幣を一枚ずつ繰り出すための繰出部16が設けられている。繰出部16により投入部14から繰り出されたバラ紙幣は、搬送部18により筐体12内で搬送される。搬送部18には識別部20が設けられており、搬送部18により搬送されるバラ紙幣は識別部20によりその金種、真偽、表裏、正損、新旧、搬送状態等が識別される。また、搬送部18には表裏反転部22が設けられており、識別部20により識別されたバラ紙幣は表裏反転部22によりその表裏が揃うように反転させられる。
【0048】
搬送部18には、入金一時保留部30、一括バラ紙幣収納部32及び複数(図3では三つ)の金種別バラ紙幣収納部34がそれぞれ接続されている。入金一時保留部30、一括バラ紙幣収納部32及び各金種別バラ紙幣収納部34にはそれぞれ、上下方向に移動可能となっているステージ30a,32a,34aが設けられており、ステージ30a,32a,34a上でバラ紙幣が積層状態で集積される。ここで、一括バラ紙幣収納部32には、各金種別バラ紙幣収納部34に割り当てられていない金種のバラ紙幣や、対応する金種別バラ紙幣収納部34に入りきらなかったオーバーフロー紙幣等が収納される。また、各金種別バラ紙幣収納部34には、それぞれ予め設定された特定の金種のバラ紙幣が収納される。
【0049】
入金一時保留部30の上端部の近傍には紙幣繰出部30bが設けられており、バラ紙幣は紙幣繰出部30bにより、入金一時保留部30から一枚ずつ搬送部18に繰り出され、また、搬送部18から入金一時保留部30に一枚ずつ繰り入れられる。一括バラ紙幣収納部32の上端部の近傍には紙幣繰入部32bが設けられており、バラ紙幣は紙幣繰入部32bにより、搬送部18から一括バラ紙幣収納部32に一枚ずつ繰り入れられる。各金種別バラ紙幣収納部34の上端部の近傍にはそれぞれ紙幣繰出部34bが設けられており、バラ紙幣は紙幣繰出部34bにより、各金種別バラ紙幣収納部34から一枚ずつ搬送部18に繰り出され、また、搬送部18から各金種別バラ紙幣収納部34に一枚ずつ繰り入れられる。バラ紙幣の出金処理が行われる際には、各金種別バラ紙幣収納部34から繰り出されたバラ紙幣が搬送部18により識別部20に送られ、識別部20により識別された後にバラ紙幣投出部24に送られる。入金一時保留部30、一括バラ紙幣収納部32、及び金種別バラ紙幣収納部34はそれぞれ、紙幣を収納する収納部の一例である。
【0050】
筐体12の下部には下部扉12aが設けられており、操作者は、下部扉12aを開くことにより入金一時保留部30の内部にアクセスできる。また、入金一時保留部30、一括バラ紙幣収納部32及び各金種別バラ紙幣収納部34は、筐体12から前方に(図3における左方向に)引き出し可能となっている引出ユニット13に収容されている。操作者は、下部扉12aごと引出ユニット13を前方に引き出し、一括バラ紙幣収納部32や各金種別バラ紙幣収納部34を引出ユニット13から取り外したり、引出ユニット13に装着したりできる。下部扉12a及び引出ユニット13はそれぞれ、収納部に触れることに関係する可動箇所の一例である。
【0051】
また、搬送部18には複数(図3では二つ)の集積部40が接続されており、搬送部18から送られたバラ紙幣は、集積部40に積層状態で集積される。また、所定枚数(例えば100枚)のバラ紙幣からなる紙幣束に帯封紙を巻くことにより帯封紙幣を作成する帯封ユニット42が、集積部40の前方に設けられている。
【0052】
帯封ユニット42の近傍にはアーム機構44が設けられている。アーム機構44は、集積部40、及び、帯封ユニット42の間で移動可能となっている。
【0053】
帯封紙幣揚送部46には、図3における上下方向に移動可能となっているステージ46aが設けられている。
【0054】
帯封処理が行われる際に、アーム機構44は、集積部40に集積された所定枚数のバラ紙幣を上下一対のアーム部により保持して、帯封ユニット42に移動する。帯封ユニット42において、アーム機構44に保持された所定枚数のバラ紙幣の外周面に帯封紙が巻かれる。帯封処理が行われた後、アーム機構44は帯封ユニット42から帯封紙幣揚送部46に移動して、ステージ46a上に帯封紙幣を受け渡す。このような動作を繰り返すことにより、複数の帯封紙幣を帯封紙幣揚送部46のステージ46a上に集積させる。
【0055】
そして、アーム機構44からステージ46a上に1または複数の帯封紙幣が受け渡された後、ステージ46aが上方向に移動して帯封紙幣投出部48の下端と同じレベルに達する。この状態でシャッター48aが開くと、操作者は帯封紙幣投出部48の内部にアクセスしてステージ46a上に集積されている帯封紙幣を取り出すことができる。また、ステージ46aがさらに上昇すると、ステージ46a上に集積されている帯封紙幣を帯封紙幣搬送部60に受け渡す、又は、帯封紙幣搬送部60から帯封紙幣をステージ46a上に集積させることができる。
【0056】
前述した投入部14、バラ紙幣投出部24、出金リジェクト部26、搬送部18、識別部20、表裏反転部22、二つの集積部40、帯封ユニット42、アーム機構44及び帯封紙幣揚送部46の一部は、中間ユニット19を構成している。中間ユニット19は、図示は省略するが、筐体12から前方に引き出し可能に構成されている。例えば紙幣のジャム等が発生したときに、操作者は、中間ユニット19を前方に引き出すことによって、中間ユニット19に含まれる各部にアクセスすることができ、ジャム紙幣を取り出すことができる。中間ユニット19は、収納部に触れることに関係する可動箇所の一例である。
【0057】
筐体12の内部における上部領域には、複数(図3では四つ)の帯封紙幣収納部70が設けられている。各帯封紙幣収納部70の内部にはそれぞれ、上下方向に移動可能であるステージ70aが設けられている。帯封ユニット42により作成された帯封紙幣は、帯封紙幣収納部70の上端部に設けられた開口からステージ70a上、又は、ステージ70a上に集積済みの帯封紙幣の上に積層状態で集積される。各帯封紙幣収納部70から帯封紙幣を出す場合には、ステージ70aが上昇して、各帯封紙幣収納部70の開口から帯封紙幣が上方に出される。各帯封紙幣収納部70には、それぞれ予め設定された特定の金種の帯封紙幣が収納される。ただし、複数の帯封紙幣収納部70のうち少なくとも一つは、金種が異なる帯封紙幣を混合状態で収納するようにしてもよい。
【0058】
各帯封紙幣収納部70の上方には、帯封紙幣の搬送を行う帯封紙幣搬送部60が設けられている。帯封紙幣搬送部60は、複数の突起60aが等間隔で設けられた循環ベルト60bを有しており、この循環ベルト60bは図3における時計回りの方向及び反時計回りの方向の両方向に循環移動可能である。帯封紙幣搬送部60によって搬送される帯封紙幣は、循環ベルト60bの下面に沿って突起60aにより引っ掛けられた状態で左右いずれかの方向に移動する。また、帯封紙幣揚送部46の上端と帯封紙幣収納部70との間に識別部62が設けられている。識別部62は、搬送される帯封紙幣の金種を、例えばその最下面の紙幣の撮像画像から識別する。識別部62はまた、帯封紙幣の紙幣や結束帯の状態、例えば破れや汚れの有無等を識別する。なお、図3の構成では識別部62は搬送路の下側に設けているが、例えば搬送路の上側に設けてもよいし、搬送路の上下に設けてもよい。搬送路の上側に設けた場合には、識別部62は、搬送される帯封紙幣の金種をその最上面の紙幣の撮像画像から識別する。
【0059】
前述した帯封紙幣投出部48、帯封紙幣揚送部46の一部、帯封紙幣搬送部60、識別部62、及び帯封紙幣収納部70は上部ユニット110を構成している。上部ユニット110は、図示は省略するが、筐体12から前方へ引き出し可能に構成されている。そして、引き出された状態で、その上端を覆う蓋部(帯封紙幣搬送部60の一部を含む)を持ち上げることが可能に構成されており、操作者は、蓋部を持ち上げることによって、上部ユニット110の内部にアクセスすることができる。帯封紙幣収納部70は紙幣を収納する収納部の一例であり、かつ、上部ユニット110、及び、その蓋部は、収納部に触れることに関係する可動箇所の一例である。
【0060】
紙幣処理装置100はまた、図2に示すように、可動箇所が動いたことを検知する検知部としてのセンサ101を備えている。センサ101は、図3に示すように、上部ユニット110の蓋部が持ち上げられたことを検知するセンサ101aと、中間ユニット19が筐体12から引き出されたことを検知するセンサ101bと、出金リジェクト部26の前カバーが開放されたことを検知するセンサ101cと、下部扉12aが開いたことを検知するセンサ101dと、上部ユニット110が筐体12から引き出されたことを検知するセンサ101eと、引出ユニット13が筐体12から引き出されたことを検知するセンサ101fを含んでいる。紙幣処理装置100は、センサ101の検知信号に基づいて、出納機10の電源がオフの間に、前述した可動箇所が動いたことを検知する監視制御部103と、出納機10の電源がオフの間に、センサ101及び監視制御部103に対して電力を供給するバッテリ102と、を備えている。監視制御部103は、可動箇所が動いたときに、そのことに関係する情報を記憶するメモリを有している。
【0061】
硬貨処理装置200の内部構成の詳細な説明は省略するが、硬貨を収容する収納部を備えている。硬貨処理装置200はまた、紙幣処理装置100と同様に、収納部に触れることに関係する可動箇所を複数、備えていると共に、図2に示すように、それぞれの可動箇所が動いたことを検知するセンサ201と、センサ201の検知信号に基づいて、出納機10の電源がオフの間に、可動箇所が動いたことを検知する監視制御部203と、出納機10の電源がオフの間に、センサ201及び監視制御部203に対して電力を供給するバッテリ202と、を備えている。監視制御部203は、可動箇所が動いたときに、そのことに関係する情報を記憶するメモリを有している。
【0062】
(出納機の監視制御)
出納機10は、電源がオフの間に、紙幣処理装置100及び硬貨処理装置200の可動部分が動いたか否かを監視すると共に、紙幣処理装置100及び硬貨処理装置200の可動部分が、電源がオフの間に動いたときには、その情報を記憶し、出納機10の電源がオンになったタイミングで、操作者に通知をするよう構成されている。ここで、出納機10は、電源のオフ中に、紙幣処理装置100及び硬貨処理装置200の可動部分が動いた事実を、所定の権限を有する管理者に確実に知らせるために、当該管理者の確認操作がなければ、貨幣の処理に関する動作を行うことができないよう構成されている。
【0063】
出納機10はまた、通知を行う設定と、通知を行わない設定とを切り替えることが可能に構成されている。通知を行わない設定では、仮に電源のオフ中に、紙幣処理装置100及び硬貨処理装置200の可動箇所が動いたとしても、そのことは通知されないが、可動箇所が動いたという情報は、開閉監視データとして、出納機10の記憶部503に記憶される。
【0064】
紙幣処理装置100は、出納機10の電源がオフになった後は、バッテリ102の電力を使いながら、センサ101は可動箇所の監視をする。そして、監視制御部103は、センサ101の検知信号に基づいて、いずれかの可動箇所が動いたときには、当該可動箇所に関する情報、及び、可動箇所が動いた日時等の情報を、メモリに記憶する。
【0065】
硬貨処理装置200も同様に、出納機10の電源がオフになった後は、バッテリ202の電力を使いながら、センサ201は可動箇所の監視をする。そして、監視制御部203は、センサ201の検知信号に基づいて、いずれかの可動箇所が動いたときには、当該可動箇所に関する情報、及び、可動箇所が動いた日時等の情報を、メモリに記憶する。
【0066】
次に、図4に示すフローチャートと、図5〜8に示す画面構成例とを参照しながら、出納機10の監視制御について説明をする。
【0067】
先ず、スタート後のステップS1では、出納機10の電源がオフからオンになったか否かを判定する。オンにならないときにはステップS1が繰り返される。出納機10の電源がオンになれば、ステップS1からステップS2に進む。例えば金融機関の店舗の始業に合わせて、出納機10の電源はオフからオンになる。
【0068】
ステップS2では、確認フラグがオンであるか否かを判定する。確認フラグは、後述するが、電源がオフの間に、紙幣処理装置100又は硬貨処理装置200における、いずれかの可動箇所が動いていた場合に、紙幣処理装置100又は硬貨処理装置200からの開閉監視データを受けてオンになり(ステップS5)、予め登録をした操作者が、そのことについての確認操作を行ったときにオフになる(ステップS10)。ステップS2において、確認フラグがオンであるときは、後述するように、紙幣処理装置100又は硬貨処理装置200の電源がオフの間に、いずれかの可動箇所が動いていたにも関わらず、予め登録をした操作者が、そのことについての確認操作を行っていないことを示す。確認フラグがオフであれば(ステップS2でNO)、ステップS3に進み、確認フラグがオンであれば(ステップS2でYES)、ステップS7に進む。
【0069】
ステップS3において、管理端末装置500の端末制御部502は、紙幣処理装置100及び硬貨処理装置200に対し、電源がオフの間に、いずれかの可動箇所が動いた情報がメモリに記憶されているかを確認する(つまり、開閉監視データのチェック)。
【0070】
続くステップS4で端末制御部502は、開閉監視データが記憶されているか否か(つまり、電源がオフの間に、いずれかの可動箇所が動いたか否か)を判断し、記憶されているときにはステップS5に進み、記憶されていないときには、ステップS16に進む。端末制御部502は、開閉監視データを紙幣処理装置100及び/又は硬貨処理装置200から受けて、記憶部503の開閉監視データに保存する。
【0071】
紙幣処理装置100及び/又は硬貨処理装置200から開閉監視データを受けた後のステップS5においては、確認フラグをオンにする。続くステップS6において、端末制御部502は、監視情報の通知が必要な設定になっているか否かを判定する。不要であるときには、ステップS6からステップS16に進む。この場合、前述したように、操作者に対する通知は行われない。但し、開閉監視データは、記憶部503に記憶されているため、予め登録した操作者が、タッチパネル501を通じて所定の操作を行えば、開閉監視データを確認することができる。
【0072】
監視情報の通知が必要な設定であるときには、ステップS6からステップS7に進む。ステップS7では、権限者に承認を要求する。具体的に、端末制御部502は、図5に例示するような警告画面D1を、タッチパネル501に表示する。警告画面D1には、電源オフの間に可動箇所が動いたこと(つまり、扉が開いた可能性があること)が記載されている。操作者が「確認」ボタンをタッチすると、端末制御部502は、タッチパネル501に、図6に例示する認証画面D2を表示する。
【0073】
認証画面D2では、予め登録した操作者が認証操作を行う。予め登録した操作者は、金融機関において、所定の権限を有する管理者(例えば出納責任者)としてもよい。認証画面D2において認証が行われると、図4のフローにおけるステップS8の判定がYESになり、フローは、ステップS8からステップS9に進む。尚、ステップS8において、予め登録した操作者は、カードリーダ504を利用して認証を行ってもよい。
【0074】
ここで、図4のフローから明らかなように、予め登録した操作者の認証が行われなければ、フローは進まない。出納機10は、紙幣や硬貨の処理が実質的に禁止された状態になる。つまり、端末制御部502は、出納機10の電源がオフの間に、紙幣処理装置100又は硬貨処理装置200の可動箇所が動いたときには、出納機10を、貨幣に関する処理を禁止する禁止モードにする。この構成により、出納機10の電源がオフの間に可動箇所が動いたときには、管理者が確認操作を行うことになるから、管理者は、可動箇所が動いた事実を、速やかにかつ、確実に知ることができる。
【0075】
ステップS9では、端末制御部502は、タッチパネル501に、記憶部503に記憶している開閉監視データの履歴情報を表示する。例えば図7に示すように、タッチパネル501には、電源がオフの間に開けられた箇所と、開けられた日時の情報とが表形式で表示された履歴画面D3が表示される。予め登録された操作者は、タッチパネル501に表示された情報を見ることによって、詳細な情報を確認することができる。図7に例示する履歴画面D3は、現金に触れたか否か(触れた可能性があるか否か)の情報も含んでいる。
【0076】
尚、端末制御部502は、履歴画面D3において、いずれかの項目(行)が選択されると、監視カメラ707が、当該日時に出納機10の付近を撮影した画像を、タッチパネル501に表示してもよい。例えば管理コンピュータ700は、管理端末装置500から、日時の指定を受けたときに、記憶している映像データのなかから、指定された日時の映像データを、管理端末装置500に送信してもよい。管理端末装置500は、管理コンピュータ700からの映像データを受けて、タッチパネル501に表示すればよい。尚、管理コンピュータ700から映像データを受けた後、管理端末装置500の記憶部503に映像データを記憶してもよい。
【0077】
また、紙幣処理装置100や硬貨処理装置200が、操作者の映像を撮影する監視カメラを内蔵していてもよい。撮影した映像データは、管理端末装置500の記憶部503に記憶すればよい。
【0078】
また、開閉監視データの履歴情報は、タッチパネル501に表示する代わりに、プリンタ400によって印字してもよい。さらに、開閉監視データの履歴情報は、タッチパネル501に表示すると共に、プリンタ400によって印字してもよい。
【0079】
開閉監視データを表示した後のステップS10で、端末制御部502は、ステップS5でオンにした確認フラグをオフにする。従って、ステップS8において予め登録をした操作者の確認操作が行われずに、出納機10の電源をオフにした後、出納機10の電源を再びオンにしたとしても、確認フラグはオンのままであるから、フローは、ステップS2からステップS7に進むことになる。このように、確認フラグが一旦オンになれば、予め登録をした操作者(つまり、所定の権限を有する管理者)が確認操作を行わないと、確認フラグがオフにならない。これにより、管理者は、電源オフ中に、紙幣処理装置100又は硬貨処理装置200における可動箇所が動いたという事実を、必ず知ることができる。
【0080】
ステップS10で確認フラグがオフになった後のステップS11では、端末制御部502は、タッチパネル501に、精査処理の実行要否を指定する画面D4を表示する。操作者が、精査処理の実行を指示したときには、ステップS11からステップS12に進んで、出納機10は精査処理を実行する。このときに精査処理の対象となる収納部は、開閉監視データに基づいて、何者かに触れられた可能がある収納部に限定してもよいし(部分精査処理)、紙幣処理装置100又は硬貨処理装置200の全ての収納部を、精査処理の対象としてもよい(全精査処理)。精査処理を実行することによって、収納部の在高を確認することができる。
【0081】
一方、画面D4において精査処理の実行が指示されなかったときには、フローは、ステップS11からステップS16に進む。所定の権限を有する管理者が精査処理は不要と判断すれば、精査処理の実行を省略することによって、金融機関における業務の遂行をスムースにすることができる。この場合は、業務終了後等に精査処理を行うことが望ましい。
【0082】
ここで、バラ紙幣についての精査処理は、入金一時保留部30を用い、入金一時保留部30と、一括バラ紙幣収納部32又は金種別バラ紙幣収納部34との間で、バラ紙幣が往復する間に、識別部20がバラ紙幣の識別及び計数を行うことにより、実行される。また、帯封紙幣についての精査処理は、帯封紙幣揚送部46を用い、帯封紙幣揚送部46と帯封紙幣収納部70との間で帯封紙幣が往復する間に、識別部62が帯封紙幣の識別及び計数を行うことにより、実行される。さらに、バラ硬貨についての精査処理は、収納部に収納しているバラ硬貨を全て、出金経路を使って硬貨処理装置200の機外に出金すると共に、出金したバラ硬貨を硬貨処理装置200に再投入することにより、実行される。加えて、包装硬貨についての精査処理は、包装硬貨の収納部に収納されている包装硬貨を、センサが検知することにより、実行される。
【0083】
精査処理が終了した後のステップS13では、精査処理の結果、在高異常があったか否かを判定する。つまり、精査処理を行う前に記憶されている在高と、精査処理の結果とが一致するか否かを判定する。精査処理を行う前に記憶されている在高と、精査処理の結果とを比較することによって、出納機10の電源オフの間に、収納部から貨幣の抜き取り等の不正が行われたか否かを確実に把握することができる。精査処理を行う前に記憶されている在高と、精査処理の結果とが一致することにより、在高異常がないときには、ステップS13からステップS16に進む。また、精査処理を行う前に記憶されている在高と、精査処理の結果とが一致せずに、在高異常があるときには、ステップS13からステップS14に進み、所定の異常解析処理を行う。具体的に、端末制御部502は、精査結果が一致しない旨をタッチパネル501に表示すると共に、精査結果の詳細を、タッチパネル501に表示する。また、操作者の要求操作に応じて、端末制御部502は、監視カメラ707が撮影した映像を、タッチパネル501に表示してもよい。操作者は、例えば犯罪の有無を確認する上で有用な情報を得ることができる。操作者は、在高異常に関する所定の操作を行う。
【0084】
ステップS14の後のステップS15で、操作者が待機指示の操作を行えば、フローは、ステップS15からステップS16に進む。ステップS16において、端末制御部502は、タッチパネル501に、メニュー画面を表示する。図示は省略するが、メニュー画面には、「入金」や「出金」等のボタンを含み、操作者は、所望の処理を選択することができる。つまり、端末制御部502は、出納機10の禁止モードを解除し、出納機10は、貨幣の処理を含む、通常の動作を行う。
【0085】
尚、前記の構成では、電源オフ中に、紙幣処理装置100又は硬貨処理装置200の可動箇所が動いていたときには、出納機10のタッチパネル501にその旨を表示すると共に、所定の権限を有する管理者が、タッチパネル501を操作するよう構成している。これとは異なり、管理端末装置500の端末制御部502は、図4のフローのステップS7において、貨幣処理システム1のタブレット端末701や、スマートフォン702等の操作端末、又は、管理コンピュータ700に、図5の警告画面D1に対応する画面を表示すると共に、所定の権限を有する管理者は、タブレット端末701や、スマートフォン702等の操作端末、又は、管理コンピュータ700を操作するよう構成してもよい。こうすることで、管理者は、遠隔で確認操作を行うことができる。例えば管理者が外出や出張等の理由で、出納機10が設置されている店舗に不在であっても、管理者は、電源オフ中に可動箇所が動いた事実を知ることができる上に、確認操作を行うことによって、出納機10の禁止モードを解除することができる。また、出納機10が設置されている店舗が小規模店舗であって、当該店舗に管理者が常駐していないようなケースにおいても、管理者は、電源オフ中に、出納機10の可動箇所が動いたという事実を知ることができると共に、そのことに対する確認操作を行うことができるから、貨幣処理システム1の利便性が向上する。
【0086】
また、出納機10は、紙幣処理装置100及び硬貨処理装置200のみを含む構成に限らず、出納機10は、その他の貨幣を収納する収納部を含む装置を備えるようにしてもよい。
【0087】
さらに、ここに開示する技術は、出納機10及び貨幣処理システム1へ適用することに限定されず、様々な装置及びシステムにおいて、そのセキュリティ性を高めるために、適用することができる。例えば図1に示すシステムにおいては、オートキャッシャー705についても同様に、電源オフ中に可動箇所の監視を行うと共に、電源オフ中に可動箇所が動いたときには、例えば窓口端末706において所定の権限を有する管理者の確認操作が必要に構成してもよい。
【符号の説明】
【0088】
1 貨幣処理システム
10 出納機(貨幣処理装置)
12a 下部扉(可動箇所)
13 引出ユニット(可動箇所)
19 中間ユニット(可動箇所)
100 紙幣処理装置(装置本体)
110 上部ユニット(可動箇所)
26 出金リジェクト部(収納部)
30 入金一時保留部(収納部)
32 一括バラ紙幣収納部(収納部)
34 金種別バラ紙幣収納部(収納部)
70 帯封紙幣収納部(収納部)
200 硬貨処理装置(装置本体)
101 センサ(検知部)
501 タッチパネル(操作部)
502 端末制御部(制御部)
701 タブレット端末(操作端末)
702 スマートフォン(操作端末)
707 監視カメラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8