(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0010】
図1は、実施形態に係る発光装置10を示す平面図である。
図2は、
図1のうちの第1部分P1及びその周辺を拡大した図である。
図3は、
図2のA−A断面図である。
図4は、
図2のB−B断面図である。
【0011】
まず、
図1を用いて、発光装置10の概要について説明する。発光装置10は、基板100、発光素子140、第1導電部210及び第2導電部230を備えている。発光素子140は、基板100上に位置しており、第1電極110、有機層120及び第2電極130を含んでいる。第1導電部210は、発光素子140を囲んでいる。第1導電部210は、第1電極110の材料より低抵抗の材料を含んでおり、第1電極110に接続している。第2導電部230は、発光素子140の周囲に位置しており、第2電極130に接続している。
【0012】
図1に示す例において、第2電極130は、発光素子140の縁Eの第1部分P1から電位を供給されている。第1部分P1は、発光素子140(発光領域142)の面積をそれぞれ二等分する複数の仮想線ILの交点Pから最も近くの位置にある。詳細を後述するように、本発明者は、第2電極130が第1部分P1から電位を供給されることで、発光領域142の輝度のばらつきが抑えられることを見出した。
【0013】
なお、第1部分P1は、厳密に、交点Pから最も近くの位置にある必要はない。すなわち、第1部分P1は、交点Pから最も近くの位置から発光素子140の縁Eに沿って僅かだけずれた位置にあってもよい。一例において、第2電極130は、交点Pから最も近くの位置から発光素子140の縁Eに沿って発光素子140の縁Eの全周(La1+La2+Lb1+Lb2)の5%の範囲内の部分から電位を供給されてもよい。
【0014】
図1に示す例において、第1導電部210は、第2導電部230の位置する部分で分断されている。つまり、第1導電部210及び第2導電部230は、いずれも、発光領域142の周囲に沿って配置されている。したがって、発光領域142の外側に向かう方向において、第1導電部210及び第2導電部230を互いにずらして配置する必要がない。したがって、発光領域142の外側から発光素子140に電位を与えるための構造(すなわち、第1導電部210及び第2導電部230)の占める領域を小さくすることができる。ひいては発光装置10に対する発光領域142の割合を大きくすることができる。
【0015】
次に、
図1及び
図2を用いて、発光装置10の平面レイアウトの詳細について説明する。発光装置10は、基板100、発光素子140、第1導電部210、第2導電部230及び封止層300を備えている。
【0016】
図1に示す例において、基板100の形状は、非矩形状である。特に
図1に示す例では、基板100の縁は、発光領域142の縁Eに沿っている。ただし、基板100の形状は、
図1に示す例に限定されるものではない。他の例において、基板100の形状は、発光領域142の形状に沿わずに矩形であってもよい。つまり、この例においては、基板100及び発光領域142のうち発光領域142のみが非矩形状の形状を有するようになる。
【0017】
発光素子140は、単一の発光領域142を含んでおり、発光領域142は、基板100上で面状に延びている。したがって、第1電極110、有機層120及び第2電極130も、基板100上で面状に延びている。
【0018】
発光領域142の形状は、非矩形状である。特に
図1に示す例では、発光領域142の縁Eは、第1辺SD1及び第2辺SD2を有しており、第2辺SD2は第1辺SD1に交わっており、第1辺SD1と第2辺SD2のなす内角αは、180°超である。このような特徴は、通常の矩形及び通常の多角形にはないものである。さらに、他の例において、発光領域142の縁Eは、30°以下の内角を形成するように互いに交わる2辺を有していてもよいし、又は曲線状の部分を含んでいてもよい。
【0019】
第1導電部210は、発光領域142を囲んでおり、発光領域142と重なっていない。第1導電部210が発光領域142と重なっていないことで、発光領域142の光沢が第1導電部210によって損なわれることを抑えることができる。
【0020】
図1に示す例では、第1導電部210は、発光領域142の縁Eに沿って延伸している。したがって、第1導電部210の外縁も、発光領域142の縁Eに沿うようになっている。ただし、他の例において、第1導電部210は、発光領域142の縁に沿って延伸する必要はなく、発光領域142の縁に沿わずに発光領域142を囲むように延伸していてもよい。
【0021】
第1電極110は、発光領域142の縁Eのうちの第3部分P3及び第4部分P4から電位を供給されている。具体的には、発光素子140(発光領域142)の縁Eは、第2部分P2、第3部分P3及び第4部分P4を含んでいる。第2部分P2は、複数の仮想線ILのうちの第1仮想線IL1と重なっており、第1仮想線IL1は、第1部分P1を通過して発光素子140(発光領域142)の面積を二等分している。第3部分P3は、第1仮想線IL1によって二等分された発光素子140の一方に位置しており、第4部分P4は、第1仮想線IL1によって二等分された発光素子140のもう一方に位置している。さらに、第3部分P3は、発光素子140(発光領域142)の縁Eに沿う方向において、第1部分P1から第2部分P2までの長さ(La1+La2)を二等分する位置にあり(つまり、La1=La2)、第4部分P4は、発光素子140(発光領域142)の縁Eに沿う方向において、第1部分P1から第2部分P2までの長さ(Lb1+Lb2)を二等分する位置にある(つまり、Lb1=Lb2)。詳細を後述するように、本発明者は、第1電極110が第3部分P3及び第4部分P4から電位を供給されることで、発光領域142の輝度のばらつきが抑えられることを見出した。
【0022】
なお、第3部分P3は、厳密に、第1部分P1から第2部分P2までの長さを二等分する位置にある必要はない。すなわち、第3部分P3は、第1部分P1から第2部分P2までの長さを二等分する位置から発光素子140の縁Eに沿って僅かだけずれた位置にあってもよい。一例において、第1電極110は、第1部分P1から第2部分P2までの長さを二等分する位置から発光素子140の縁Eに沿って発光素子140の縁Eの全周(La1+La2+Lb1+Lb2)の10%以下の範囲内の部分から電位を供給されてもよい。
【0023】
同様にして、第4部分P4は、厳密に、第1部分P1から第2部分P2までの長さを二等分する位置にある必要はない。すなわち、第4部分P4は、第1部分P1から第2部分P2までの長さを二等分する位置から発光素子140の縁Eに沿って僅かだけずれた位置にあってもよい。一例において、第1電極110は、第1部分P1から第2部分P2までの長さを二等分する位置から発光素子140の縁Eに沿って発光素子140の縁Eの全周(La1+La2+Lb1+Lb2)の10%以下の範囲内の部分から電位を供給されてもよい。
【0024】
第1導電部210における電圧降下を考慮すると、距離La1、La2、Lb1及びLb2は、ある程度短いことが好ましい。特に、縁Eの全周の長さ(La1+La2+Lb1+Lb2)と、交点Pから第1部分P1までの長さとの積が、輝度のばらつきの大きさと相関しているからである(詳細は、
図19を用いて後述する。)一例において、線Eの全周の長さと、交点Pから第1部分P1までの長さの積が8000mm
2を超えると、輝度のばらつき(輝度のばらつきの定義は、
図12を用いて後述する。)が50%を超える。このため、当該積は、8000mm
2以下、さらに好ましくは5000mm
2以下であればよい。
【0025】
第2電極130は、第1部分P1から電位を供給されている。上述したように、第1部分P1は、発光素子140(発光領域142)の面積をそれぞれ二等分する複数の仮想線ILの交点Pから最も近くの位置にある。なお、
図1に示す例において、交点Pの位置は、発光領域142(発光領域142)の幾何学的重心の位置と重なっている。
【0026】
第2導電部230は、発光領域142の縁Eの第1部分P1の近傍に位置している。したがって、第2電極130は、第2導電部230を介して第1部分P1から電位(例えば、接地電位)を供給されることができる。特に
図1に示す例では、基板100上の第2導電部230の数は1つのみである。
【0027】
封止層300は、第1部分P1の近傍で第2導電部230を、第3部分P3の近傍で第1導電部210を、及び第4部分P4の近傍で第1導電部210を露出しながら、発光領域142及び第1導電部210を覆っている。したがって、発光領域142の外側の領域から例えばワイヤ(不図示)を介して第2導電部230に電位を与えることができ、発光領域142の外側の領域から例えばワイヤ(不図示)を介して第3部分P3の近傍において第1導電部210に電位を与えることができ、発光領域142の外側の領域から例えばワイヤ(不図示)を介して第4部分P4の近傍において第1導電部210に電位を与えることができる。さらに、発光領域142の外側の領域から発光素子140(特に、有機層120)を封止することができる。
【0028】
次に、
図3及び
図4を用いて、発光装置10の断面構造の詳細について説明する。発光装置10は、基板100、第1電極110、有機層120、第2電極130、第1導電部210、第2導電部230及び封止層300を備えている。
【0029】
基板100は、第1面102及び第2面104を有している。第1電極110、有機層120、第2電極130、第1導電部210、第2導電部230及び封止層300は、基板100の第1面102側に位置している。特に、第1電極110、有機層120、第2電極130及び封止層300は、基板100の第1面102から順に並んでいる。第2面104は、第1面102の反対側にある。
【0030】
基板100は、透光性を有している。一例において、基板100は、ガラス又は樹脂を含んでいる。
【0031】
第1電極110は、透光性及び導電性を有している。したがって、第1電極110は、シート抵抗が例えば10Ω/□以上50Ω/□以下の高抵抗材料を含んでおり、一例において、酸化物半導体、より具体的には、ITO(Indium Tin Oxide)又はIZO(Indium Zinc Oxide)を含んでいる。
【0032】
有機層120は、有機エレクトロルミネッセンス(EL)により発光することができる。一例において、有機層120は、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、発光層(EML)、電子輸送層(ETL)及び電子注入層(EIL)を含んでいる。この例においては、第1電極110からHIL及びHTLを介してEMLに正孔が注入され、第2電極130からEIL及びETLを介してEMLに電子が注入され、EMLでは正孔及び電子が再結合して、光が発せられる。
【0033】
第2電極130は、遮光性及び導電性を有しており、具体的には、第1電極110に含まれる材料より低抵抗の材料を含んでいる。したがって、第2電極130は、シート抵抗が例えば0.5Ω/□の低抵抗材料を含んでおり、一例において、金属、より具体的には、Al又はAgを含んでいる。
【0034】
第1電極110、有機層120及び第2電極130は、発光素子140を構成している。特に
図3及び
図4に示す例では、発光素子140は、第1電極110、有機層120及び第2電極130を含む積層体として規定されている。
【0035】
図3及び
図4に示す例において、発光装置10は、ボトムエミッションとして機能している。具体的には、有機層120から発せられた光は、第2電極130をほとんど透過することなく、第1電極110及び基板100を透過して基板100の第2面104から出射される。なお、他の例において、発光装置10は、トップエミッションとして機能してもよい。この例においては、発光素子140は、基板100の第1面102から第2電極130、有機層120及び第1電極110の順の積層体を含むようになる。有機層120から発せられた光は、第2電極130をほとんど透過することなく、第1電極110を透過して基板100の第1面102側から出射される。
【0036】
図3に示すように、第1導電部210は、発光領域142の外側で第1電極110に接続している。特に
図3に示す例では、第1電極110は、発光領域142の外側まで延びており、第1導電部210は、発光領域142の外側で第1電極110と重なっている。
【0037】
第1導電部210は、遮光性及び導電性を有しており、具体的には、第1電極110に含まれる材料より低抵抗の材料を含んでいる。つまり、第1導電部210は、第1電極110の補助電極として機能することができる。したがって、第2電極130は、シート抵抗が例えば1Ω/□以上2Ω/□以下の材料を含んでおり、一例において、金属、より具体的には、Al、Mo又はCrを含んでいる。
【0038】
図4に示すように、第2導電部230は、発光領域142の外側で第2電極130に接続している。特に
図4に示す例では、第2電極130は、発光領域142の外側まで延びており、発光領域142の外側で第2導電部230に接している。
【0039】
第2導電部230は、遮光性及び導電性を有している。第2導電部230に含まれる材料のシート抵抗は、第2電極130に含まれる材料のシート抵抗より高くてもよいし、又は低くてもよい。第2導電部230は、シート抵抗が例えば1Ω/□以上2Ω/□以下の材料を含んでおり、一例において、金属、より具体的には、Al、Mo又はCrを含んでいる。
【0040】
第2導電部230は、第1導電部210と同一のプロセスで形成されてもよいし、又は第1導電部210と異なるプロセスで形成されてもよい。第2導電部230が第1導電部210と同一プロセスで形成される場合、第2導電部230は、第1導電部210に含まれる材料と同一の材料を含むようになり、かつ、第2導電部230の厚さは、第1導電部210の厚さと実質的に等しくなる。
【0041】
封止層300は、第2導電部230を露出しながら、発光領域142及び第1導電部210を覆っている。封止層300は、水蒸気透過率及び酸素透過率の低い材料を含んでおり、一例において、無機層、より具体的には、SiN
x、SiON、SiO
x、Al
2O
3、又はTiO
2を含んでいる。したがって、水蒸気及び酸素が有機層120に入り込むことを抑えることができる。
【0042】
次に、
図1を用いて、発光領域142の輝度のばらつきが抑えられる理由について説明する。
【0043】
本発明者は、発光領域142内における第1電極110と第2電極130の間の電位差分布を可能な限り一様にするための構造について検討した。具体的には、発光領域142の輝度のばらつきは、第1電極110と第2電極130の間の電位差分布に起因して生じる。したがって、発光領域142の輝度のばらつきを抑えるためには、第1電極110と第2電極130の間の電位差分布が可能な限り一様であることが望ましい。
【0044】
本発明者は、発光領域142内における第1電極110と第2電極130の間の電位差分布を可能な限り一様にするため、高抵抗材料を含む電極、すなわち、第1電極110内の電位分布を一様にするための構造について検討した。第1電極110のシート抵抗は高い。したがって、発光領域142の外側から第1電極110に電圧を印加しても、第1電極110の電位は、電圧降下によって、発光領域142の内側部分において、発光領域142の縁Eの近傍部分よりも低くなる。本発明者は、このような電位分布を抑えるため、低抵抗材料を含む導電部、すなわち、第1導電部210によって発光領域142の周囲を囲むことで、第1電極110内の電位分布を一様にすることを試みた。
【0045】
本発明者は、第1導電部210によって発光領域142の周囲を囲んでも、第1電極110の電位が交点Pにおいて低くなることを見出した。交点Pは、発光素子140の縁Eのいずれの部分からもある程度離れた位置にある。このことが、第1電極110の電位が交点Pにおいて低くなることの原因になっている可能性がある。
【0046】
本発明者は、交点Pにおける第1電極110の電位が低くても、第1電極110と第2電極130の間の電位差分布を可能な限り一様にすることが可能な構造について検討した。その結果、本発明者は、交点Pの近傍における第2電極130の電位を可能な限り低くすること、すなわち、第2電極130が第1部分P1から電位を供給されるようにすることを想起した。第1部分P1は、発光素子140(発光領域142)の縁Eの中で、交点Pから最も近くの位置にある。したがって、第2電極130が第1部分P1から電位を供給されるようにすることで、交点Pにおける第2電極130の電位を低くすることができる。したがって、交点Pにおける第1電極110の電位が低くても、発光領域142内における第1電極110と第2電極130の間の電位差分布を一様にすることができる。
【0047】
本発明者は、発光領域142内における第1電極110と第2電極130の間の電位差分布をさらに一様にするための構造について検討した。その結果、本発明者は、第1電極110がいずれの位置から電位を供給されるべきかを最適化することの必要性を想起した。具体的には、第1導電部210のシート抵抗は、第1電極110のシート抵抗より低いものの、ゼロではない。したがって、第1導電部210の延伸方向に沿う方向において電圧降下が生じている。したがって、第1電極110がいずれの位置から電位を供給されるべきか、すなわち、第1導電部210のいずれの位置に電位を供給すべきかを最適化する必要がある。
【0048】
本発明者は、交点P及びその周辺における第1電極110と第2電極130の間の電位差が小さくなるように、第1電極110に電位を供給する必要があることを見出した。具体的には、第2電極130は、第1部分P1から電位を供給されている。つまり、交点P及びその周辺における第2電極130の電位は低くなっている。したがって、第1電極110に電位を供給する方法を最適化することで、交点P及びその周辺における第1電極110と第2電極130の間の電位差が小さくする必要がある。
【0049】
本発明者は、交点P及びその周辺における第1電極110と第2電極130の間の電位差を小さくすることが可能な構造について検討した。その結果、本発明者は、第1電極110が第3部分P3及び第4部分P4から電位を供給されるようにすることを想起した。具体的には、第3部分P3は、第1部分P1及び第2部分P2のいずれからもある程度離れた位置にある。したがって、第3部分P3から第1電極110が電位を供給されると、第1導電部210の電圧降下によって第1部分P1及び第2部分P2のそれぞれにおける第1電極110の電位は低くなる。同様にして、第4部分P4は、第1部分P1及び第2部分P2のいずれからもある程度離れた位置にある。したがって、第4部分P4から第1電極110が電位を供給されると、第1導電部210の電圧降下によって第1部分P1及び第2部分P2のそれぞれにおける電位は低くなる。したがって、交点P及びその周辺における第1電極110と第2電極130の間の電位差が小さくなる。
【0050】
図5は、
図2の第1の変形例を示す図である。
図6は、
図5のC−C断面図である。
【0051】
図5に示す例において、第2導電部230は、第1導電部210によって囲まれた領域の外側に位置している。したがって、
図5に示す例では、第2導電部230を分断する必要がない。
【0052】
図6に示す例において、第1導電部210は、絶縁層400によって覆われている。第2電極130は、第1導電部210上で絶縁層400を覆って第1導電部210の外側まで延びており、第1導電部210の外側で第2導電部230に接続している。つまり、第1導電部210と第2電極130の短絡が絶縁層400によって防止されている。
【0053】
図5及び
図6に示す例においても、第2電極130は、第2導電部230を介して電位を供給されることができ、より具体的には、第1部分P1から電位を供給されることができる。
【0054】
図7は、
図2の第2の変形例を示す図である。
【0055】
図7に示す例では、発光領域142の縁Eに沿って第1部分P1から距離Gの範囲内に第1導電部210が位置していない。したがって、第1部分P1の周辺における第1電極110の電位を低くすることができる。
図17を用いて後述するように、第1部分P1の近傍における第1電極110の電位が高いと、第1部分P1の近傍の輝度が高くなって発光領域142の輝度の一様性が損なわれることがある。このような場合、
図7に示すように、発光領域142の縁Eに沿って第1部分P1から距離Gの範囲内に第1導電部210を設けていないことによって、第1部分P1の近傍における第1電極110の電位を低くすることができる。
【0056】
さらに、
図7に示す例では、発光領域142の縁Eに沿って第1導電部210と第2導電部230の間にダミー導電部212が位置している。ダミー導電部212は、第1導電部210と第2導電部230の間の隙間が目立つことを防ぐために設けられている。特に、ダミー導電部212は、第1電極110及び第2電極130のいずれにも接続していない。つまり、ダミー導電部212は、発光素子140に電位を与えるための導電部として機能していない。
【0057】
ダミー導電部212は、第1導電部210の材料及び第2導電部230の材料と同じ材料を含むようにすることができる。この場合、ダミー導電部212が第1導電部210及び第2導電部230に対して目立つことを防ぐことができる。
【0058】
図8は、発光装置10の詳細の一例を示す平面図である。説明のため、
図8には、基板100及び封止層300(
図1から
図4)は示していない。
【0059】
図8に示す例において、発光装置10の発光領域142は、アルファベットの「G」の形状を有している。したがって、発光素子140(発光領域142)の幾何学的重心Cは、発光素子140(発光領域142)が設けられていない領域に位置するようになる。
【0060】
図8に示す例において、複数の仮想線ILの交点Pは、
図1から
図4に示した例と同様にして決定することができる。ただし、
図8に示す例では、交点Pの位置は、発光素子140(発光領域142)の幾何学的重心Cの位置と重なっていない。これは、上述したように、アルファベットの「G」の形状における幾何学的重心Cは発光素子140(発光領域142)が設けられていない領域に位置するためである。つまり、交点Pの位置が発光素子140(発光領域142)の幾何学重心の位置と重なるか否かは、発光素子140(発光領域142)の形状に依存している。
【0061】
図8に示す例においても、第1部分P1、第2部分P2、第3部分P3及び第4部分P4は、
図1から
図4を用いて説明した例と同様の方法で決定することができる。
図8に示す例においても、
図1から
図4に示した例と同様にして、発光素子140の輝度のばらつきを抑えることができる。
【0062】
以上、本実施形態によれば、発光素子140の輝度のばらつきを抑えることができる。
【実施例】
【0063】
図9は、実施例1のシミュレーションに係る発光装置10を示す図である。
図10は、実施例2のシミュレーションに係る発光装置10を示す図である。
図11は、実施例3のシミュレーションに係る発光装置10を示す図である。
【0064】
図9に示すように、実施例1に係る発光素子140(発光領域142)は、アルファベットの「G」の形状を有している。
【0065】
図10に示すように、実施例2に係る発光素子140(発光領域142)は、ハートの形状を有している。
【0066】
図11に示すように、実施例3に係る発光素子140(発光領域142)は、星の形状を有している。
【0067】
図9から
図11までのいずれにおいても、発光素子140(発光領域142)の形状は、80mm×80mmの矩形に収まるようになっている。
【0068】
図9から
図11までのいずれにおいても、第1部分P1、第3部分P3及び第4部分P4は、
図1から
図4を用いて説明した例と同様の方法で決定した。
【0069】
図12は、実施例1に係る発光装置10(
図9)の発光領域142の輝度分布のシミュレーション結果を示す図である。
図13は、実施例2に係る発光装置10(
図10)の発光領域142の輝度分布のシミュレーション結果を示す図である。
図14は、実施例3に係る発光装置10(
図11)の発光領域142の輝度分布のシミュレーション結果を示す図である。
【0070】
図12においては、第1部分P1(
図9)の近傍における輝度が高かった。
図13及び
図14においては、第1部分P1(
図10及び
図11)の近傍における輝度だけでなく、第3部分P3(
図10及び
図11)の近傍及び第4部分P4(
図10及び
図11)の近傍における輝度も高かった。
【0071】
図12から
図14に示す例において、以下の式で定義される輝度のばらつきV(%)を算出した。
V=(Lmax−Lmin)/Lmean×100
ただし、Lmaxは、輝度の最大値を示し、Lminは、輝度の最小値を示し、Lmeanは、輝度の平均値を示す。
図12、
図13及び
図14のそれぞれにおけるばらつきVは、それぞれ、42.52%、34.52%及び17.08%であった。
【0072】
図15は、第1部分P1の位置のずれと輝度のばらつきVの関係を示すグラフである。
【0073】
図15に示すグラフにおいて、横軸のずれは、第1部分P1が、交点Pから最も近くの位置から発光素子140の縁Eに沿ってどれだけの距離ずれたかを示す。つまり、横軸のゼロは、第1部分P1が交点Pから最も近くの位置にあることを示す。
【0074】
図15に示すように、実施例1、実施例2及び実施例3のいずれにおいても、輝度のばらつきVは、横軸がゼロにおいて最小となっており、横軸のずれが大きくなるほど増加している。この結果は、輝度のばらつきVを抑えるための最適な第1部分P1の位置は、交点Pから最も近くの位置であることを示唆している。
【0075】
図16は、第3部分P3及び第4部分P4の位置のずれと輝度のばらつきVの関係を示すグラフである。
【0076】
図16に示すグラフにおいて、横軸のずれは、第3部分P3及び第4部分P4が、発光領域142の縁Eに沿う方向において第1部分P1から第2部分P2までの長さを二等分する位置から発光素子140の縁Eに沿ってどれだけの距離ずれたかを示す。つまり、横軸のゼロは、第3部分P3及び第4部分P4が、第1部分P1から第2部分P2までの長さを二等分する位置にあることを示す。
【0077】
図16に示すように、実施例1、実施例2及び実施例3のいずれにおいても、輝度のばらつきVは、横軸がゼロにおいて最小となっており、横軸のずれが大きくなるほど増加している。この結果は、輝度のばらつきVを抑えるための最適な第3部分P3及び第4部分P4の位置は、発光領域142の縁Eに沿う方向において第1部分P1から第2部分P2までの長さを二等分する位置であることを示唆している。
【0078】
図17は、
図7に示した距離Gと輝度のばらつきVの関係を示すグラフである。
図18は、
図17における実施例1について距離Gが15mmの場合の発光領域142の輝度分布のシミュレーション結果を示す図である。
【0079】
図17に示すように、実施例1においては、輝度のばらつきVは、距離Gにつき15mm以下の範囲において、距離Gが大きくなるにつれて減少した。特に距離Gが15mm(
図18)のとき、実施例1の発光領域142の輝度のばらつきVは、23.42%であった。実施例2においては、輝度のばらつきVは、距離Gにつき5mm以下の範囲において、距離Gが大きくなるにつれて増加した。実施例3においては、輝度のばらつきVは、距離Gにつき10mm以下の範囲において、距離Gの大きさにかかわらずほとんど一定であった。
【0080】
図17に示す結果は、第1部分P1の近傍における第1電極110の電位が高いことによって第1部分P1の近傍の輝度が高い場合は、距離Gを増加させることで輝度のばらつきVを有効に抑えることができることを示唆している。具体的には、
図9及び
図12に示すように、実施例1においては、発光領域142の輝度分布は、第1部分P1の近傍において最大となっている。この結果は、第1部分P1の近傍における第1電極110の電位が高いことを示唆している。これに対して、
図10及び
図13に示すように、実施例2においては、第1部分P1の近傍における輝度は、第3部分P3及び第4部分P4の近傍における輝度より低くなっている。この結果は、第1部分P1の近傍における第1電極110の電位がある程度抑えられていることを示唆している。これらの結果より、第1部分P1の近傍における第1電極110の電位が高いことによって第1部分P1の近傍の輝度が高い場合は、距離Gを増加させることで輝度のばらつきVを有効に抑えることができるといえる。
【0081】
図19は、発光領域142の縁Eの全周の長さと、交点Pから第1部分P1までの長さと、の積に対する輝度のばらつきVを示すグラフである。
【0082】
実施例1及び実施例2において、上記積が8000mm
2を超えると、輝度のばらつきVが50%を超えている。実施例1及び実施例2のこの結果は、当該積が8000mm
2以下であることが好ましいことを示唆している。
【0083】
実施例1及び実施例3において、上記積が5000mm
2以下となると、輝度のばらつきVが30%を下回る。実施例1及び実施例3のこの結果は、当該積が5000mm
2以下であることがさらに好ましいことを示唆している。
【0084】
以上、図面を参照して実施形態及び実施例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。