(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0021】
本発明の第1〜第3実施形態に係るカートリッジ式ベーンポンプ(以下、単に「ベーンポンプ」と称する。)100,200,300は、車両に搭載される流体圧装置(例えば、パワーステアリング装置や変速機等)の流体圧供給源として用いられる。ここでは、作動流体として作動油を用いるベーンポンプ100,200,300について説明するが、作動水等の水溶性代替液を作動流体として用いてもよい。
【0022】
各実施形態の説明において、各部材の面を「上面」又は「下面」と称することがあるが、説明の便宜上、各部材の面をそのように称するだけであり、ベーンポンプ100,200,300の向き及び取付方向を限定するものではない。
【0023】
<第1実施形態>
まず、
図1から
図5を参照して、本発明の第1実施形態に係るベーンポンプ100、及びベーンポンプ100を備えるポンプ装置1000について説明する。
【0024】
図1に示すように、ベーンポンプ100は、駆動シャフト10と、駆動シャフト10に連結されるロータ20と、ロータ20に設けられる複数のベーン30と、ロータ20及びベーン30を収容するカムリング40と、を備える。ロータ20は、駆動源(例えば、エンジン及び電動モータ等)から駆動シャフト10に伝えられる動力によって、駆動シャフト10とともに回転する。
【0025】
以下において、ロータ20の回転中心軸に沿う方向を「軸方向」と称し、ロータ20の回転中心軸を中心とする放射方向を「径方向」と称し、ロータ20の回転中心軸周りの方向を「周方向」と称する。
【0026】
図2は、ロータ20、ベーン30及びカムリング40の平面図である。
図2に示すように、ロータ20には、複数のスリット21が所定の間隔をおいて放射状に形成される。スリット21はロータ20の外周面に開口し、各スリット21にベーン30が径方向に往復動自在に挿入される。
【0027】
ベーン30の先端部31は、カムリング40の内周面40aに対向する。ベーン30の基端部32は、スリット21内に位置し、スリット21とベーン30とによって背圧室22が形成される。
【0028】
ロータ20が回転すると、ベーン30は遠心力によって径方向外側に付勢され、スリット21から突出する。その結果、ベーン30の先端部31がカムリング40の内周面40aに摺接し、ロータ20、隣り合うベーン30、及びカムリング40によって、ポンプ室41が画定される。
【0029】
カムリング40の内周面40aは、略長円形状に形成される。そのため、ロータ20の回転に伴ってベーン30はロータ20に対して径方向に往復動する。ベーン30の往復動に伴って、ポンプ室41は拡張と収縮とを繰り返す。以下において、カムリング40の内周面40aを、「内周カム面40a」とも称する。
【0030】
ベーンポンプ100では、ロータ20が1回転する間に、ベーン30は2往復しポンプ室41は拡張と収縮とを2回繰り返す。つまり、ベーンポンプ100は、ポンプ室41が拡張する2つの拡張領域42a,42cと、ポンプ室41が収縮する2つの収縮領域42b,42dと、を周方向に交互に有する。
【0031】
図1に示すように、ベーンポンプ100は、カムリング40の一方の端面40bに当接するボディ側サイドプレート(サイド部材)50と、カムリング40の他方の端面40cに当接するカバー側サイドプレート56と、を備える。ボディ側サイドプレート50の上面50cは、ロータ20の一方の端面に対向し、カバー側サイドプレート56の下面56bは、ロータ20の他方の端面に対向する。
【0032】
ロータ20及びベーン30は、ボディ側サイドプレート50の上面50c、及びカバー側サイドプレート56の下面56bに摺接する。ボディ側サイドプレート50の上面50c及びカバー側サイドプレート56の下面56bによって、ポンプ室41(
図2参照)が密閉される。
【0033】
ボディ側サイドプレート50には、上面50cに開口するシャフト穴51が形成される。シャフト穴51はロータ20の回転中心軸と同軸に形成され、駆動シャフト10の一端部11がシャフト穴51に挿入される。
【0034】
駆動シャフト10の一端部11の外周面とシャフト穴51の内周面との間には軸受52が設けられる。ボディ側サイドプレート50は、軸受52を介して駆動シャフト10を回転自在に支持する。
【0035】
カバー側サイドプレート56には、軸方向に貫通するシャフト孔57が形成される。シャフト孔57は、ロータ20の回転中心軸と同軸に形成され、駆動シャフト10がシャフト孔57を挿通する。
【0036】
図2及び
図3に示すように、カムリング40、ボディ側サイドプレート50及びカバー側サイドプレート56には、ベーンポンプ100の外部空間とポンプ室41とを連通する吸込ポート43が形成される。吸込ポート43は、拡張領域42a,42cに位置する。ベーンポンプ100の外部の作動油は、ロータ20の回転に伴って吸込ポート43を通じてポンプ室41に吸い込まれる。
【0037】
図1に示すように、ボディ側サイドプレート50には、軸方向に貫通しポンプ室41(
図2参照)とベーンポンプ100の外側空間とを連通する吐出ポート53が形成される。吐出ポート53は、収縮領域42b,42d(
図2参照)に位置する。ポンプ室41内の作動油は、ロータ20の回転に伴って吐出ポート53からベーンポンプ100の外側に吐出される。
【0038】
また、ベーンポンプ100は、不図示のボルトを用いてポンプ装置1000のボディ70に取り付けられるカバー61を備える。カバー61をボディ70に取り付けることによって、カムリング40、ボディ側サイドプレート50及びカバー側サイドプレート56がボディ70に固定される。
【0039】
ベーンポンプ100では、カバー61は、カバー側サイドプレート56とは別体に形成され、カバー61の下面61bがカバー側サイドプレート56の上面56cに当接する。カバー61及びカバー側サイドプレート56によってカバー部材60が構成される。
【0040】
カバー61には、軸方向に貫通するシャフト孔66が形成される。シャフト孔66はロータ20の回転中心軸と同軸に形成され、駆動シャフト10がシャフト孔66を挿通する。カバー61は、不図示の軸受を介して駆動シャフト10を回転自在に支持する。
【0041】
カバー61の下面61bには、ダウエルピン46(
図2参照)が圧入されるピン穴(図示省略)が形成される。ダウエルピン46は、カバー側サイドプレート56及びカムリング40のピン孔、及びボディ側サイドプレート50のピン穴に挿入される。ダウエルピン46によって、カムリング40に対するカバー61、カバー側サイドプレート56及びボディ側サイドプレート50の位置決めが行われる。
【0042】
ベーンポンプ100のカムリング40、ボディ側サイドプレート50及びカバー側サイドプレート56は、ボディ70に形成される収容凹部71に収容される。収容凹部71は、ボディ70の上面70aに開口する第1凹部71aと、第1凹部71aの底面に開口する第2凹部71bと、第2凹部71bの底面に開口する第3凹部71cと、から構成される。
【0043】
第1凹部71aの開口は、カバー61の下面61bによって閉塞される。第1凹部71aの内周面は、カムリング40の外周面40d及びカバー側サイドプレート56の外周面56dと間隔を空けて対向する。第1凹部71a、カムリング40及びカバー側サイドプレート56によって、吸込通路73の一部である環状の低圧室72が形成される。
【0044】
低圧室72は、吸込ポート43(
図3参照)を通じてポンプ室41と連通するとともに、ボディ70に形成される吸込通路73を通じて不図示のタンクに連通する。ベーンポンプ100の動作時には、吸込通路73、低圧室72、及び吸込ポート43を通じてポンプ室41にタンク内の作動油が吸い込まれる。
【0045】
第3凹部71cの底面は、ボディ側サイドプレート50の下面50bと間隔を空けて対向する。第3凹部71c及びボディ側サイドプレート50によって、高圧室74が形成される。
【0046】
高圧室74は、吐出ポート53を通じてポンプ室41と連通するとともに、ボディ70に形成される吐出通路75と連通する。ベーンポンプ100の動作時には、ポンプ室41内の作動油が吐出ポート53及び高圧室74を通じて吐出通路75に吐出される。
【0047】
高圧室74は、背圧室22(
図2参照)とも連通し、背圧室22には高圧室74内の作動油が導かれる。そのため、ベーン30は、遠心力だけでなく、背圧室22内の圧力によっても径方向外側に付勢される。
【0048】
ボディ側サイドプレート50の一部は、第2凹部71bの内周面に嵌合する。ボディ側サイドプレート50の下面50bと第2凹部71bの底面との間には、環状のシール部材76が設けられる。シール部材76は、ボディ側サイドプレート50の下面50bと第2凹部71bの底面との隙間を塞ぐ。シール部材76によって、この隙間を通じて作動油が低圧室72と高圧室74との間を行き来するのを防止することができる。
【0049】
カバー61がボディ70に取り付けられた状態では、シール部材76は、ボディ側サイドプレート50とボディ70とによって圧縮され、ボディ側サイドプレート50、カムリング40及びカバー側サイドプレート56をカバー61に向けて付勢する。そのため、カムリング40とボディ側サイドプレート50との間、及びカムリング40とカバー側サイドプレート56との間からポンプ室41(
図2参照)内の作動油が漏出し難い。したがって、ベーンポンプ100の吐出性能を向上させることができる。
【0050】
ベーンポンプ100は、ボディ側サイドプレート50とカバー61とを連結する板バネ(連結部材)80を更に備える。板バネ80によって、カバー61から離れる方向へのボディ側サイドプレート50の移動が制限される。つまり、カバー61がボディ70に取り付けられていない状態でカバー61のみを持ち上げた場合でも、ボディ側サイドプレート50がカバー61から分離されない。したがって、カバー61とボディ側サイドプレート50とを輸送中の振動等でばらけさせることなく移動させることができる。
【0051】
前述のように、ロータ20、ベーン30、カムリング40及びカバー側サイドプレート56は、ボディ側サイドプレート50とカバー61との間に位置する。そのため、ボディ側サイドプレート50とカバー61とが板バネ80によって連結された状態では、ロータ20、ベーン30、カムリング40及びカバー側サイドプレート56がカバー61とボディ側サイドプレート50との間で保持される。
【0052】
ボディ側サイドプレート50と同様に、カバー61がボディ70に取り付けられていない状態でカバー61のみを持ち上げた場合でもロータ20、ベーン30、カムリング40及びカバー側サイドプレート56がカバー61から分離されない。したがって、ベーンポンプ100を輸送中の振動等でばらけさせることなく移動させることができ、またベーンポンプ100をボディ70に取り付けることができ、ベーンポンプ100の取付性を向上させることができる。
【0053】
また、ベーンポンプ100をボディ70から取り外す際には、カバー61をボディ70から離すだけでロータ20、ベーン30、カムリング40、ボディ側サイドプレート50及びカバー側サイドプレート56が収容凹部71から抜き出される。したがって、ベーンポンプ100をボディ70から容易に取り外すことができる。
【0054】
板バネ80は、カムリング40の外周面40d及びカバー側サイドプレート56の外周面56dを跨いでカバー61とボディ側サイドプレート50とに亘って設けられる。そのため、板バネ80を通すための孔をカムリング40及びカバー側サイドプレート56に形成する必要がない。したがって、カムリング40及びカバー側サイドプレート56に、カバー61とボディ側サイドプレート50とを連結するための加工を施す必要がないため、ベーンポンプ100を容易に製造することができる。
【0055】
図4は、ベーンポンプ100の拡大断面図であり、板バネ80の周辺を示す。
図4に示すように、板バネ80は、カバー61に連結される連結部81と、軸方向に沿って延在する延在部82と、ボディ側サイドプレート50を支持する支持部83と、を有する。
【0056】
延在部82は、略板状に形成され、カムリング40の外周面40d及びカバー側サイドプレート56の外周面56dと対向する。連結部81は、延在部82の一方の端部から径方向内向きに突出する。言い換えれば、延在部82は、連結部81から軸方向にボディ側サイドプレート50に向けて延在する。
【0057】
連結部81は、カバー61に形成される穴部62に挿入される。穴部62は、カバー61の下面61bに開口する縦穴62aと、縦穴62aの内周面に開口する横穴62bと、からなる。縦穴62aの開口は、カバー61の下面61bのうちカバー側サイドプレートが当接する領域よりも径方向外側に位置し、カバー側サイドプレート56によって塞がれない。
【0058】
横穴62bは、縦穴62aの中心軸からロータ20の中心軸に向かって形成される。板バネ80の連結部81は、連結部81及び延在部82の一方の端部を縦穴62aに挿入し、その後径方向内側に移動させることによって、横穴62bに挿入される。
【0059】
連結部81が横穴62bに挿入された状態では、連結部81は、横穴62bの内周面62cに載置され、カバー61によって支持される。このように、連結部81は、横穴62bへの挿入によってカバー61に連結される。
【0060】
連結部81の先端は、丸められている。そのため、連結部81を横穴62bに挿入する際に連結部81の先端が横穴62bの開口縁に引っ掛かり難い。したがって、連結部81を容易に横穴62bに挿入することができる。
【0061】
板バネ80の支持部83は、延在部82の他方の端部から径方向内向きに突出し、ボディ側サイドプレート50の外周面50dに形成される溝(凹部)54に挿入される。溝54は、溝54の側面54aが軸方向と交差するように周方向に延在する。支持部83が溝54に挿入された状態では、溝54の側面54aは支持部83と軸方向に対向する。これによって、ボディ側サイドプレート50は支持部83によって支持される。
【0062】
支持部83の先端は、連結部81と同様に、丸められている。そのため、支持部83を溝54に挿入する際に支持部83の先端が溝54の開口縁に引っ掛かり難い。したがって、支持部83を容易に溝54に挿入することができる。
【0063】
図5は、板バネ80によるカバー61とボディ側サイドプレート50との連結を解除した状態を示す断面図である。
図5に示される状態では、板バネ80には外力が作用していない。
【0064】
図5に示すように、延在部82には、連結部81と支持部83との間で支持部83とは反対側に隆起するように屈曲する屈曲部82aが形成される。屈曲部82aは、板バネ80に外力が加えられたときには変形しその外力が取り除かれたときには元の形状に戻るように形成される。
【0065】
連結部81と支持部83との間隔L1は、屈曲部82aの変形に応じて変化する。具体的には、屈曲部82aの屈曲角θが縮小する方向に屈曲部82aが変化するときには、支持部83が連結部81から離れ、間隔L1は拡大する。屈曲部82aの屈曲角θが拡大する方向に屈曲部82aが変化するときには、支持部83が連結部81に近づき、間隔L1は縮小する。
【0066】
間隔L1は、板バネ80に外力が作用していない状態(
図5に示す状態)では、カバー61の横穴62bとボディ側サイドプレート50の溝54との間隔L2よりも小さい。そのため、板バネ80は、カバー61とボディ側サイドプレート50とを連結した状態(
図4に示す状態)では、復元力を発揮し、ボディ側サイドプレート50をカバー61に向けて付勢する。
【0067】
前述のように、カムリング40及びカバー側サイドプレート56は、ボディ側サイドプレート50とカバー61との間に位置する。そのため、板バネ80は、復元力によって、ボディ側サイドプレート50、カムリング40及びカバー側サイドプレート56をカバー61に向けて付勢する。したがって、カムリング40とボディ側サイドプレート50との間、及びカムリング40とカバー側サイドプレート56との間からポンプ室41(
図2参照)内の作動油が漏出するのを防ぐことができ、ベーンポンプ100の吐出性能を向上させることができる。
【0068】
支持部83は、延在部82から径方向内向きに突出する。そのため、支持部83をボディ側サイドプレート50の溝54に挿入して支持部83にボディ側サイドプレート50を載置するだけで、ボディ側サイドプレート50が支持部83によって軸方向に支持される。したがって、ボディ側サイドプレート50とカバー61とを連結する際に特殊な治具を用いて支持部83をボディ側サイドプレート50に固定する必要がなく、ベーンポンプ100を容易に組み立てることができる。
【0069】
板バネ80の屈曲部82aは、支持部83とは反対側に隆起するように屈曲する。そのため、連結部81がカバー61に連結され支持部83がボディ側サイドプレート50の外周面50dに接した状態で屈曲部82aをカムリング40に向けて押すだけで、屈曲部82aが伸びる。その結果、支持部83と連結部81との間隔L1が広がり、支持部83は、ボディ側サイドプレート50の溝54に到達して溝54に挿入される。
【0070】
このように、ベーンポンプ100では、連結部81がカバー61に連結された状態で屈曲部82aをカムリング40に向けて押すだけで支持部83にボディ側サイドプレート50を支持させることができる。したがって、ボディ側サイドプレート50とカバー61とを容易に連結することができ、ベーンポンプ100の組立性が向上する。
【0071】
また、溝54は、ボディ側サイドプレート50の外周面50dに開口する。そのため、支持部83が溝54に挿入された状態で延在部82をカムリング40から引き離すだけで、支持部83が溝54から抜き出される。したがって、板バネ80によるボディ側サイドプレート50とカバー61との連結を容易に解除することができ、ベーンポンプ100を容易に分解することができる。
【0072】
カバー61の横穴62bの内周面62cは、径方向内側に向かうほどボディ側サイドプレート50の溝54に近づくように径方向に対して傾斜する。そのため、板バネ80がボディ側サイドプレート50をカバー61に向けて付勢している状態では、板バネ80の連結部81は横穴62bから抜け難い。したがって、板バネ80がカバー61から脱落するのを防止することができ、ベーンポンプ100の意図しない分解を防止することができる。
【0073】
ボディ側サイドプレート50の溝54の側面54aは、径方向内側に向かうほどカバー61の横穴62bに近づくように径方向に対して傾斜する。そのため、板バネ80がボディ側サイドプレート50をカバー61に向けて付勢している状態では、板バネ80の支持部83は溝54から抜け難い。したがって、板バネ80がボディ側サイドプレート50から脱落するのを防止することができ、ベーンポンプ100の意図しない分解を防止することができる。
【0074】
図1に示すように、板バネ80は、低圧室72に収容される。そのため、板バネ80を収容するための空間を低圧室72とは別にボディ70に形成する必要がない。したがって、ボディ70を小型化することができ、ポンプ装置1000を小型化することができる。
【0075】
板バネ80がボディ側サイドプレート50をカバー61に向けて付勢するので、低圧室72を流れる作動油から力を受けても、板バネ80はボディ側サイドプレート50及びカバー61から外れない。したがって、板バネ80によるボディ側サイドプレート50とカバー61との連結が解除されず、ボディ70からベーンポンプ100を容易に取り外すことができる。
【0076】
次に、ベーンポンプ100の組立方法について説明する。
【0077】
まず、カバー61のピン穴(図示省略)にダウエルピン46を圧入する。その後、カバー側サイドプレート56、カムリング40をこの順にカバー61に重ねる。このとき、ダウエルピン46を、カバー側サイドプレート56及びカムリング40のピン孔に挿入する。
【0078】
次に、ロータ20をカムリング40の内周に収容し駆動シャフト10をロータ20のスプライン穴及びカバー側サイドプレート56のシャフト孔57、カバー61のシャフト孔66に挿入する。ロータ20のスリット21にはベーン30が収容されており、ベーン30の先端部31がカムリング40の内周カム面40aと対向する。
【0079】
次に、ボディ側サイドプレート50をカムリング40に重ねる。このとき、ダウエルピン46がボディ側サイドプレート50のピン穴に挿入され、駆動シャフト10がボディ側サイドプレート50のシャフト穴51に挿入される。
【0080】
次に、板バネ80の連結部81をカバー61の縦穴62a及び横穴62bに挿入する。これによって、連結部81がカバー61に連結される。このとき、板バネ80の屈曲部82aには外力が作用しておらず、支持部83と連結部81との間隔L1は、横穴62bとボディ側サイドプレート50の溝54との間隔L2よりも小さい。
【0081】
次に、板バネ80の屈曲部82aをカムリング40に向けて押す。その結果、支持部83がボディ側サイドプレート50の外周面50dを摺動し、屈曲部82aが伸びる。支持部83と連結部81との間隔L1が広がり、支持部83は、ボディ側サイドプレート50の溝54に到達して溝54に挿入される。その結果、カバー61とボディ側サイドプレート50とが連結され、ベーンポンプ100の組立が完了する。
【0082】
カバー61とボディ側サイドプレート50とが板バネ80によって連結された状態では、カバー61から離れる方向へのボディ側サイドプレート50の移動が制限される。そのため、カバー61の下面61bを下方に向けてカバー61のみを持ち上げた場合でも、カバー側サイドプレート56、ロータ20、ベーン30、カムリング40及びボディ側サイドプレート50は、カバー61から分離されない。したがって、ベーンポンプ100を輸送中の振動等でばらけさせることなく移動させることができ、またベーンポンプ100をボディ70に取り付けることができ、ベーンポンプ100の取付性を向上させることができる。
【0083】
以上の第1実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0084】
ベーンポンプ100では、板バネ80によってボディ側サイドプレート50とカバー61とが連結されるので、ロータ20、ベーン30、カムリング40及びカバー側サイドプレート56がカバー61とボディ側サイドプレート50との間で保持される。したがって、ベーンポンプ100を輸送中の振動等でばらけさせることなく移動させることができ、またベーンポンプ100をポンプ装置1000のボディ70に取り付けることができ、ベーンポンプ100の組立性を向上させることができる。
【0085】
ベーンポンプ100では、板バネ80は、カムリング40の外周面40d及びカバー側サイドプレート56の外周面56dを跨いでカバー61とボディ側サイドプレート50とに亘って設けられる。そのため、板バネ80を通すための孔をカムリング40及びカバー側サイドプレート56に形成する必要がない。したがって、カムリング40及びカバー側サイドプレート56に、カバー61とボディ側サイドプレート50とを連結するための加工を施す必要がないため、ベーンポンプ100を容易に製造することができる。
【0086】
また、ベーンポンプ100では、ボディ側サイドプレート50、カムリング40及びカバー側サイドプレート56が板バネ80によってカバー61に向けて付勢される。そのため、カムリング40とボディ側サイドプレート50との間、及びカムリング40とカバー側サイドプレート56との間からポンプ室41内の作動油が漏出し難い。したがって、ベーンポンプ100の吐出性能を向上させることができる。
【0087】
また、ベーンポンプ100では、板バネ80の延在部82は、ロータ20の軸方向に延在し、板バネ80の支持部83は、径方向内側に延在部82から突出する。ボディ側サイドプレート50をロータ20の軸方向に支持部83に支持させる際には、ボディ側サイドプレート50を支持部83に載置するだけでよく、特殊な治具を用いる必要がない。したがって、ボディ側サイドプレート50とカバー61とを容易に連結することができ、ベーンポンプ100を容易に組み立てることができる。
【0088】
また、ベーンポンプ100では、板バネ80の屈曲部82aは、支持部83とは反対側に隆起するように屈曲する。そのため、連結部81がカバー61に連結された状態で屈曲部82aをカムリング40に向けて押すだけで、支持部83がボディ側サイドプレート50の外周面50dを摺動してボディ側サイドプレート50の溝54に挿入される。したがって、ボディ側サイドプレート50とカバー61とを容易に連結することができ、ベーンポンプ100の組立性が向上する。
【0089】
また、ベーンポンプ100では、溝54は、ボディ側サイドプレート50の外周面50dに開口する。そのため、支持部83が溝54に挿入された状態で延在部82をカムリング40から引き離すだけで、支持部83が溝54から抜き出される。したがって、板バネ80によるボディ側サイドプレート50とカバー61との連結を容易に解除することができ、ベーンポンプ100を容易に分解することができる。
【0090】
また、ポンプ装置1000では、板バネ80がボディ70とカムリング40との間に形成される低圧室72に収容されるので、板バネ80を収容するための空間をボディ70に別に形成する必要がない。したがって、ボディ70を小型化することができ、ポンプ装置1000を小型化することができる。
【0091】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係るベーンポンプ200について、
図6から
図9を参照して説明する。ベーンポンプ100と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。また、ベーンポンプ200を備えるポンプ装置の断面図は、ベーンポンプ100の断面図(
図1参照)と略同じなので、ここではその図示を省略する。
【0092】
図6に示すように、ベーンポンプ200は、ボディ側サイドプレート50とカバー61とを連結する連結ワイヤ(連結部材)280を備える。つまり、ベーンポンプ200では、ボディ側サイドプレート50とカバー61とは、ベーンポンプ100の板バネ80(
図4等参照)に代えて、連結ワイヤ280によって連結される。
【0093】
図6及び
図7に示すように、連結ワイヤ280は、ボディ側サイドプレート50に連結される一対の連結部281と、軸方向に沿って延在する一対の延在部282と、カバー61を支持する支持部283と、を有する。一対の連結部281は、ボディ側サイドプレート50の外周面50dに開口する一対の穴254に回動自在に挿入される。なお、
図5から
図9では、一対の穴254の一方のみが示されている。
【0094】
一対の延在部282は、カムリング40の外周面40d及びカバー側サイドプレート56の外周面56dと対向する。一対の連結部281は、一対の延在部282から径方向内向きに突出する。言い換えれば、一対の延在部282は、一対の連結部281から軸方向にカバー61に向けて延在する。
【0095】
連結ワイヤ280の支持部283は、一対の延在部282間に亘って形成され、一対の延在部282どうしを接続する。支持部283は、一対の連結部281に外力が加えられたときには変形しその外力が取り除かれたときには元の形状に戻るように形成される。
【0096】
支持部283の変形によって、一対の延在部282どうしの間隔、及び一対の連結部281どうしの間隔が変化する。一対の連結部281どうしの間隔を変化させることによって、ボディ側サイドプレート50の一対の穴254への一対の連結部281の挿入、及びボディ側サイドプレート50の一対の穴254からの一対の連結部281の抜き出しが可能になる。
【0097】
ベーンポンプ200のカバー61は、ボディ70の上面70a(
図1参照)に接触する本体部263と、ボディ70の第1凹部71aの内周面に嵌合する嵌合部264と、嵌合部264の外径よりも小さい外径を有する小径部265と、を有する。嵌合部264は、本体部263から軸方向に突出する。嵌合部264の外周面には、Oリング(図示省略)を収容するための環状溝264aが形成される。
【0098】
小径部265は、嵌合部264から本体部263とは反対側に軸方向に突出する。小径部265の先端面には、カバー側サイドプレート56が当接する。小径部265の外周面には、周方向に延在する溝(凹部)265aが形成される。溝265aには、連結ワイヤ280の支持部283が挿入される。
【0099】
支持部283は、カバー61の溝265aに対応して弧状に形成され、一対の連結部281の回動に伴って溝265aに挿入される。溝265aの側面は支持部283と軸方向に対向する。これによって、カバー61は支持部283によって支持される。
【0100】
連結ワイヤ280は、ベーンポンプ100の板バネ80(
図4等参照)と同様に、低圧室72(
図1参照)に収容される。そのため、連結ワイヤ280を収容するための空間を低圧室72とは別にボディ70に形成する必要がない。したがって、ボディ70を小型化することができ、ベーンポンプ200を備えるポンプ装置を小型化することができる。
【0101】
次に、ベーンポンプ200の組立方法について説明する。カバー61にカバー側サイドプレート56、カムリング40及びボディ側サイドプレート50を重ねる手順については、ベーンポンプ100の組立方法と略同じであるため、ここではその説明を省略する。
【0102】
カバー61にカバー側サイドプレート56、カムリング40及びボディ側サイドプレート50を重ねたところで、連結ワイヤ280の一対の連結部281をボディ側サイドプレート50の一対の穴254に挿入する。
【0103】
具体的には、まず、連結ワイヤ280の一対の連結部281に外力を加えて、一対の連結部281間の間隔がボディ側サイドプレート50の外径よりも大きくなるように支持部283を変形させる。その後、一対の連結部281を一対の穴254の近傍に移動させる。一対の連結部281から外力を取り除いて支持部283を元の形状に戻すことによって、一対の連結部281が一対の穴254に挿入され、ボディ側サイドプレート50に連結される(
図8参照)。
【0104】
一対の連結部281は、ボディ側サイドプレート50をカムリング40に重ねる前にボディ側サイドプレート50の一対の穴254に挿入されてもよい。
【0105】
次に、支持部283をカバー61の溝265aに近づけるように一対の連結部281を、回動させる(
図9参照)。支持部283は、カバー61の溝265aに挿入され、カバー61が支持部283によって支持される。その結果、カバー61とボディ側サイドプレート50とが連結され、ベーンポンプ200の組立が完了する。
【0106】
以上の第2実施形態によれば、第1実施形態が奏する効果に加え、以下に示す効果を奏する。
【0107】
ベーンポンプ200では、一対の連結部281を回動させるだけで、カバー61が支持部283によって支持された状態と、その支持が解除された状態と、が切り換えられる。したがって、ボディ側サイドプレート50とカバー61とが連結ワイヤ280により連結された状態と、その連結が解除された状態と、を容易に切り換えることができ、ベーンポンプ200の組立及び分解が容易になる。
【0108】
連結ワイヤ280は、ベーンポンプ100の板バネ80(
図4等参照)と同様に、ボディ側サイドプレート50、カムリング40及びカバー側サイドプレート56をカバー61に向けて付勢するように形成されていてもよい。
【0109】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係るベーンポンプ300について、
図10及び
図11を参照して説明する。ベーンポンプ100と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。また、ベーンポンプ300を備えるポンプ装置の断面図は、ベーンポンプ100の断面図(
図1参照)と略同じなので、ここではその図示を省略する。
【0110】
図10に示すように、ベーンポンプ300は、ボディ側サイドプレート50とカバー61とを連結する連結ピン(連結部材)380を備える。つまり、ベーンポンプ300では、ボディ側サイドプレート50とカバー61とは、ベーンポンプ100の板バネ80(
図4等参照)に代えて、連結ピン380によって連結される。
【0111】
連結ピン380によって、カバー61から離れる方向へのボディ側サイドプレート50の移動が制限される。そのため、カバー61の下面61bを下方に向けてカバー61のみを持ち上げた場合でも、カバー側サイドプレート56、ロータ20、ベーン30、カムリング40及びボディ側サイドプレート50は、カバー61から分離されない。したがって、ベーンポンプ100を輸送中の振動等によりばらけさせることなく移動させることができ、またベーンポンプ100をボディ70(
図1参照)に取り付けることができ、ベーンポンプ100の取付性を向上させることができる。
【0112】
また、ベーンポンプ300をボディ70から取り外す際には、カバー61をボディ70(
図1参照)から離すだけでロータ20、ベーン30、カムリング40、ボディ側サイドプレート50及びカバー側サイドプレート56が収容凹部71(
図1参照)から抜き出される。したがって、ベーンポンプ300をボディ70から容易に取り外すことができる。
【0113】
連結ピン380は、カムリング40の外周面40d及びカバー側サイドプレート56の外周面56dを跨いでカバー61とボディ側サイドプレート50とに亘って設けられる。そのため、連結ピン380を通すための孔をカムリング40及びカバー側サイドプレート56に形成する必要がない。したがって、カムリング40及びカバー側サイドプレート56に、カバー61とボディ側サイドプレート50とを連結するための加工を施す必要がないため、ベーンポンプ300を容易に製造することができる。
【0114】
連結ピン380は、ベーンポンプ100の板バネ80(
図4等参照)と同様に、低圧室72(
図1参照)に収容される。そのため、連結ピン380を収容するための空間を低圧室72とは別にボディ70に形成する必要がない。したがって、ボディ70を小型化することができ、ベーンポンプ300を備えるポンプ装置を小型化することができる。
【0115】
図11に示すように、連結ピン380は、軸方向に沿って延在する延在部382と、ボディ側サイドプレート50を支持する支持部383と、を有する。延在部382は、棒状に形成され、延在部382の一方の端部381が、カバー61の下面61bに開口する穴362に圧入される。つまり、延在部382の一方の端部381が、カバー61に連結される連結部として機能する。
【0116】
連結ピン380の支持部383は、延在部382の他方の端部に設けられ、円板状に形成される。支持部383の外径は、延在部382の外径よりも大きく、支持部383は延在部382と交差する方向に延在部382から突出する。
【0117】
ボディ側サイドプレート50には、外周面50dから径方向外側に突出する突部354が形成される。突部354には、軸方向に貫通する孔355が形成される。突部354の孔355には、連結ピン380の延在部382が挿通される。
【0118】
延在部382が突部354の孔355に挿通された状態では、突部354の下面354bが支持部383と軸方向に対向する。これによって、ボディ側サイドプレート50は支持部383によって支持される。
【0119】
次に、ベーンポンプ300の組立方法について説明する。カバー61にカバー側サイドプレート56、カムリング40及びボディ側サイドプレート50を重ねる手順については、ベーンポンプ100の組立方法と略同じであるため、ここではその説明を省略する。
【0120】
カバー61にカバー側サイドプレート56、カムリング40及びボディ側サイドプレート50を重ねたところで、連結ピン380の延在部382をボディ側サイドプレート50の突部354の孔355に挿通する。
【0121】
次に、延在部382の一方の端部381をカバー61の穴362に圧入する。その結果、延在部382の一方の端部381がカバー61に連結される。その結果、突部354が支持部383によって支持され、カバー61とボディ側サイドプレート50とが連結される。
【0122】
以上の手順により、ベーンポンプ300の組立が完了する。
【0123】
以上の第3実施形態によれば、第1実施形態が奏する効果に加え、以下に示す効果を奏する。
【0124】
ベーンポンプ300では、連結ピン380の一方の端部381がカバー61の穴362に圧入されるので、連結ピン380の一方の端部381がカバー61の穴362から抜け難い。したがって、連結ピン380がカバー61から脱落するのを防止することができ、ベーンポンプ300の意図しない分解を防止することができる。
【0125】
以下、本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
【0126】
本実施形態は、流体圧装置のボディ70に取り付けられるカートリッジ式ベーンポンプ100,200,300に係る。カートリッジ式ベーンポンプ100,200,300は、回転駆動されるロータ20と、ロータ20の径方向に往復動自在にロータ20に設けられる複数のベーン30と、複数のベーン30が摺接する内周カム面40aを有するカムリング40と、ロータ20及びカムリング40の一方の端面40bに当接するボディ側サイドプレート50と、ロータ20及びカムリング40の他方の端面40cに当接し、ボディ70に取り付けられるカバー部材60と、カムリング40の外周面40dを跨いでボディ側サイドプレート50とカバー部材60とに亘って設けられ、ボディ側サイドプレート50とカバー部材60とを連結する板バネ80、連結ワイヤ280、及び連結ピン380と、を備える。
【0127】
この構成では、板バネ80、連結ワイヤ280、及び連結ピン380によってボディ側サイドプレート50とカバー部材60とが連結されるので、ロータ20、ベーン30、カムリング40がカバー部材60とボディ側サイドプレート50との間で保持される。したがって、カートリッジ式ベーンポンプ100,200,300を輸送中の振動等でばらけさせることなく移動させることができ、また、カートリッジ式ベーンポンプ100,200,300をボディ70に取り付けることができ、カートリッジ式ベーンポンプ100,200,300の取付性を向上させることができる。
【0128】
また、本実施形態では、板バネ80は、カムリング40及びボディ側サイドプレート50をカバー部材60に向けて付勢する。
【0129】
この構成では、カムリング40及びボディ側サイドプレート50が板バネ80によってカバー部材60に向けて付勢されるので、カムリング40とボディ側サイドプレート50との間、及びカムリング40とカバー部材60との間からカムリング40の内側の作動油が漏出し難い。したがって、カートリッジ式ベーンポンプ100の吐出性能を向上させることができる。
【0130】
また、本実施形態は、板バネ80、連結ワイヤ280、及び連結ピン380は、ボディ側サイドプレート50及びカバー部材60の一方に連結される連結部81,281,381と、連結部81,281,381からロータ20の軸方向にボディ側サイドプレート50及びカバー部材60の他方に向けて延在する延在部82,282,382と、延在部82,282,382と交差する方向に延在部82,282,382から突出しボディ側サイドプレート50及びカバー部材60の他方を支持する支持部83,283,383と、を有する。
【0131】
この構成では、延在部82,282,382はロータ20の軸方向に延在し、支持部83,283,383は、延在部82,282,382と交差する方向に延在部82,282,382から突出する。ボディ側サイドプレート50及びカバー部材60の他方をロータ20の軸方向に支持部83,283,383に支持させる際には、ボディ側サイドプレート50及びカバー部材60の他方を支持部83,283,383に載置するだけでよく、特殊な治具を用いる必要がない。したがって、ボディ側サイドプレート50とカバー部材60とを容易に連結することができ、カートリッジ式ベーンポンプ100,200,300を容易に組み立てることができる。
【0132】
また、本実施形態では、ボディ側サイドプレート50は、その外周面50dに開口する溝54を有し、溝54への支持部83の挿入によって支持部83に支持され、延在部82には、支持部83が溝54から抜き出された状態において支持部83と連結部81との間で支持部83とは反対側に隆起するように屈曲する屈曲部82aが形成される。
【0133】
この構成では、延在部82の屈曲部82aが支持部83とは反対側に隆起するように屈曲する。そのため、連結部81がボディ側サイドプレート50に連結された状態で屈曲部82aをカムリング40に向けて押すだけで、支持部83がボディ側サイドプレート50の外周面50dを摺動してボディ側サイドプレート50の溝54に挿入される。したがって、ボディ側サイドプレート50とカバー部材60とを容易に連結することができ、カートリッジ式ベーンポンプ100の組立性が向上する。また、溝54は、ボディ側サイドプレート50の外周面50dに開口する。そのため、延在部82をカムリング40から引き離すだけで、支持部83が溝54から抜き出される。したがって、板バネ80によるボディ側サイドプレート50とカバー部材60との連結を容易に解除することができ、カートリッジ式ベーンポンプ100を容易に分解することができる。
【0134】
また、本実施形態では、ボディ側サイドプレート50は、外周面50dに開口する一対の穴254を有し、一対の連結部281は、穴254に回動自在に挿入され、カバー部材60の外周面には、周方向に延在する溝265aが形成され、支持部283は、一対の連結部281の回動に伴って溝265aに挿入される。
【0135】
この構成では、支持部283は、一対の連結部281の回動に伴って溝265aに挿入されてカバー部材60を支持する。そのため、連結部281を回動させるだけで、カバー部材60が支持部283によって支持された状態と、その支持が解除された状態と、が切り換えられる。したがって、ボディ側サイドプレート50とカバー部材60とが連結ワイヤ280により連結された状態と、その連結が解除された状態と、を容易に切り換えることができ、カートリッジ式ベーンポンプ200の組立及び分解が容易になる。
【0136】
また、本実施形態では、ポンプ装置1000は、カートリッジ式ベーンポンプ100,200,300と、カートリッジ式ベーンポンプ100,200,300を収容するボディ70と、ボディ70とカートリッジ式ベーンポンプ100,200,300の外周との間に形成されカートリッジ式ベーンポンプ100,200,300の吸込ポート43と連通する吸込通路73である低圧室72と、を備え、板バネ80、連結ワイヤ280、及び連結ピン380は、低圧室72に収容される。
【0137】
この構成では、板バネ80、連結ワイヤ280、及び連結ピン380がボディ70とカートリッジ式ベーンポンプ100,200,300の外周との間に形成される低圧室72に収容されるので、板バネ80、連結ワイヤ280、及び連結ピン380を設けるための収容空間をボディ70に別に形成する必要がない。したがって、ボディ70を小型化することができ、ポンプ装置1000を小型化することができる。
【0138】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0139】
(1)上記実施形態では、平衡型のベーンポンプ100,200,300について説明した。しかし、本発明は、非平衡型のベーンポンプにも適用可能である。
【0140】
(2)上記実施形態では、カバー部材60は、別々に形成されるカバー61とカバー側サイドプレート56とからなる。カバー61とカバー側サイドプレート56とが一体的に形成されカバー部材60が1つの一体品として形成されていてもよい。また、カバー側サイドプレート56がなく、カバー61がカムリング40に当接していてもよい。
【0141】
(3)上記のベーンポンプ100では、板バネ80がカバー61とボディ側サイドプレート50とを連結した状態(
図4に示す状態)においても、延在部82が屈曲している。板バネ80がカバー61とボディ側サイドプレート50とを連結した状態では、延在部82は屈曲していなくても(屈曲角θが0度であっても)よい。