【文献】
SULOWSKA, J. et al.,Effect of copper addition on glass transition of silicate-phosphate glasses,Journal of Thermal Analysis and Calorimetry,2012年,Vol.109,pp.705-710
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記材料が、清浄薬試験条件として銅合金の効果のためのEPA試験法の下で、黄色ブドウ球菌の濃度における3超の対数減少を示すことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の材料。
【発明を実施するための形態】
【0015】
これより本出願の好ましい実施の形態が詳細に参照され、その実施例が添付の図面に説明される。本開示のさまざまな態様は、白色又は無色の外観を示す無色の材料に関し、かつ、アメリカ合衆国環境保護庁(EPA)により示される健康良好要件を満たす抗菌性作用に関する。具体的には、本発明の材料は、清浄薬試験条件として銅合金の効果のためのEPA試験法(EPA試験)の下で、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に曝されて2時間以内に99.9%超(又は3以上の対数減少)の殺傷率を示す。いくつかの実施の形態において、本発明の材料は、ASTM5590の下で菌類(例えば、A.pullulans及びA.niger/A.funiculosum)を殺傷する。いくつかの実施の形態において、本発明の材料は、ここに記載されるような阻害試験の領域下でそのような菌類を死滅させる。
【0016】
本明細書において用いられる場合、「抗菌性」なる用語は、細菌、ウイルス及び/又は菌類を含む微生物を死滅させる又はその成長を阻害する材料又は材料表面を意味する。本明細書において用いられるこの用語は、材料又は材料表面がそのような科の全ての種の微生物を死滅させる又はその成長を阻害することを意味するのではなく、そのような科から1つ以上の種の微生物を死滅させる又はその成長を阻害することを意味する。
【0017】
本明細書において用いられる場合、「対数減少」なる用語は、−log(C
a/C
0)を意味し、ここで、C
a=抗菌性表面のコロニー形成単位(CFU)数であり、C
0=抗菌性表面でない対照表面のコロニー形成単位(CFU)数である。例として、3対数減少は、微生物の約99.9%が死滅したことと等しく、5対数減少は、微生物の99.999%が死滅したことと等しい。
【0018】
本開示の第1の態様は、担体、並びに、複数の銅イオン及びZnPT及びトラロピリルのいずれか一方又は両方を含むコ−バイオサイドを含む材料に関する。1つ以上の実施の形態において、本発明の材料は、CIE L
*a
*b
*表色系の下で、無色として特徴付けられてもよい。1つ以上の実施の形態において、材料は、約88〜約100(例えば、約90〜約100、約91〜約100、約92〜約100、約93〜約100、約94〜約100、約88〜約98、約88〜約96、約88〜約95、又は約88〜約94)の範囲内のL
*値を示す。1つ以上の実施の形態において、材料は、約10未満のデルタE値を示し、ここで、デルタE=√(L
*2+a
*2+b
*2)である。1つ以上の実施の形態の物質により示されるデルタE値は、約9未満、約8未満、約7未満、約6未満、約5未満又は約4未満でもよい。いくつかの例において、デルタE値は、約3未満又は2でもよい。本明細書に記載されるL
*、a
*、及びb
*値は、Aイルミナント(タングステン−フィラメント電球を示す)、Bイルミナント(昼光シミュレーティングイルミナントを示す)、Cイルミナント(昼光シミュレーティングイルミナントを示す)、Dイルミナント(自然昼光を示す)、及びFイルミナント(さまざまな種類の蛍光照明を示す)を含む、CIEにより特定される標準イルミナントを使用して垂直入射で測定される。いくつかの実施の形態において、本明細書に記載されるL
*、a
*、及びb
*値は、F2イルミナントのCIE D65の下で測定される。
【0019】
いくつかの実施の形態において、本発明の材料は、層としての表面上における材料の塗布の後に、本明細書に記載されるL
*、a
*、及びb
*値を示す。特定の実施の形態において、生じた層は、本明細書に記載されるL
*、a
*、及びb
*値を示す。そのような実施の形態において、材料は、二酸化チタンを含んでもよく、表面に材料が塗布された後に(例えば、層の形成後約2分間、層の形成後5分間又は層の形成後約10分間以上)本明細書に記載されるL
*、a
*、及びb
*値を示す。いくつかの実施の形態において、層は、経時によってより白色又はより無色になる。いくつかの例において、本明細書に記載されるL
*、a
*、及びb
*値は、層の形成後、約20分後、30分後、45分後、60分後に示される。L
*、a
*、及びb
*値は、空中での乾燥後かつ何らの後処理(例えば紫外線への暴露)をせずに示される。
【0020】
1つ以上の実施の形態において、材料は、化合の直後により白色又はより無色の外観を示す。例えば、いくつかの実施の形態において、1週間以上保存された(表面に塗布されない)材料は、白色及び無色に見えた。
【0021】
1つ以上の実施の形態において、材料は、EPA試験の下で、黄色ブドウ球菌の濃度において3超の対数減少を示す。
【0022】
1つ以上の実施の形態において、材料は、ウイルスを評価するための修正されたJIS Z 2801(2000)試験条件(以下、「ウイルス用修正JIS Z 2801」)下で、マウスノロウイルス(Murine Norovirus)の濃度の2対数減少以上(例えば、4対数減少以上、又は5対数減少以上)を示し得る。ウイルス用修正JIS Z 2801(2000)試験は、本明細書にさらに詳細に記載される。
【0023】
いくつかの実施の形態において、材料は、本明細書に記載される(すなわち、EPA試験、細菌用修正JIS Z 2801試験、及び/又はウイルス用修正JIS Z 2801試験下)対数減少を、1か月以上の期間又は3か月以上の期間示しうる。この1か月の期間又は3か月の期間は、層としての表面への材料の塗布時又は塗布後に開始してもよい。そのようにして、層は本明細書に記載される対数減少を示す。
【0024】
1つ以上の実施の形態において、担体のガロンごとの銅イオン(g)と、ZnPT(g)及びトラロピリル(g)のいずれか一方又は両方との割合は、約0.005〜約12の範囲内(例えば、約0.01〜約12、約0.05〜約12、約0.1〜約12、約0.5〜約12、約1〜約12、約0.005〜約10、約0.005〜約8、約0.005〜約6、約0.005〜約5、約0.005〜約4、約0.005〜約3、又は約0.005〜約2)である。
【0025】
1つ以上の実施の形態において、ZnPTは
、約150mg/ガロン
担体(約39.6mg/L)
〜約40g/ガロン
担体(約10.6g/L)の範囲内で存在する。1つ以上の実施の形態において、材料中のZnPTの量は、約150mg/ガロン〜38g/ガロン、約150mg/ガロン〜36g/ガロン、約150mg/ガロン〜35g/ガロン、約150mg/ガロン〜34g/ガロン、約150mg/ガロン〜30g/ガロン、約150mg/ガロン〜28g/ガロン、約150mg/ガロン〜26g/ガロン、約150mg/ガロン〜24g/ガロン、約150mg/ガロン〜22g/ガロン、約150mg/ガロン〜20g/ガロン、約150mg/ガロン〜15g/ガロン、約150mg/ガロン〜10g/ガロン、約500 mg/ガロン〜40g/ガロン、約1g/ガロン〜40g/ガロン、約2g/ガロン〜40g/ガロン、約4g/ガロン〜40g/ガロン、約5g/ガロン〜40g/ガロン、約6g/ガロン〜40g/ガロン、約8g/ガロン〜40g/ガロン、約10g/ガロン〜40g/ガロン、又は約1g/ガロン〜10g/ガロンの範囲内である。いくつかの実施の形態において、材料は、Zn及びZnPTの両方が材料中に存在するような超過量でZnPTを含む。
【0026】
1つ以上の実施の形態において、トラロピリルは
、約150mg/ガロン
担体(約39.6mg/L)
〜約40g/ガロン
担体(約10.6g/L)の範囲内で存在する。
【0027】
ZnPT及びトラロピリルの両方が使用される場合、ZnPT及びトラロピリルの両方の量が、約
mg/ガロン
〜約 g/ガロン
担体の範囲内で存在する。
【0028】
1つ以上の実施の形態において、材料は、銅含有粒子を含む。銅含有粒子の例は、銅含有ガラス及び亜酸化銅のいずれか一方又は両方を含む。いくつかの例において、銅含有粒子は、銅含有ガラスのみ又は亜酸化銅のみを含む。
【0029】
銅含有ガラスの1つ以上の実施の形態は、Cu種を含む。1つ以上の別の実施の形態では、Cu種は、Cu
1+、Cu
0、及び/又はCu
2+を含みうる。Cu種の総量は約10質量%以上であってよい。しかしながら、以下により詳細に議論されるように、Cu
2+量は最小限であるか、銅含有ガラスがCu
2+を実質的に含まないようにCu
2+量を減少させる。Cu
1+イオンは、銅含有ガラスの表面及び/又は全体の上または中に存在してもよい。いくつかの実施の形態では、Cu
1+イオンは、銅含有ガラスのガラス網目及び/又はガラスマトリックスの中に存在する。Cu
1+イオンがガラス網目中に存在する場合、Cu
1+イオンはガラス網目中の原子に原子的に結合する。Cu
1+イオンがガラスマトリックス中に存在する場合、Cu
1+イオンは、ガラスマトリックス中に分散するCu
1+結晶の形態で存在しうる。いくつかの実施の形態では、Cu
1+結晶は、赤銅鉱(Cu
2O)を含む。このような実施の形態では、Cu
1+結晶が存在する場合、その材料を銅含有ガラスセラミックと称することができ、これは、1つ以上の結晶相がガラス中に導入及び/又は生成される従来のセラミック化プロセスが行われる場合も行われない場合もある、結晶を有する特殊な種類のガラスを称することが意図される。Cu
1+イオンが非結晶形態で存在する場合は、その材料を銅含有ガラスと称してもよい。いくつかの実施の形態において、Cu
1+結晶と、結晶に関連しないCu
1+イオンとの両方が、本明細書に記載の銅含有ガラス中に存在する。
【0030】
1つ以上の実施の形態において、銅含有ガラスは、モルパーセントの単位で、約30〜約70の範囲内のSiO
2、約0〜約20の範囲内のAl
2O
3、約10〜約50の範囲内の銅含有酸化物、約0〜約15の範囲内のCaO、約0〜約15の範囲内のMgO、約0〜約25の範囲内のP
2O
5、約0〜約25の範囲内のB
2O
3、約0〜約20の範囲内のK
2O、約0〜約5の範囲内のZnO、約0〜約20の範囲内のNa
2O、及び/又は約0〜約5の範囲内のFe
2O
3を含むことができるガラス組成物から形成されてもよい。このような実施形態では、銅含有酸化物の量はAl
2O
3の量よりも多い。いくつかの実施の形態において、ガラス組成物は、ある含有量のR
2Oを含んでもよく、Rは、K、Na、Li、Rb、Cs、及びそれらの組合せを含んでもよい。
【0031】
本明細書に記載されるガラス組成物の実施の形態において、SiO
2は、主要なガラス形成性酸化物として機能する。ガラス組成物中に存在するSiO
2の量は、その使用又は用途(例えば、タッチ用途、物品の筐体など)に適した必要な化学的耐久性を示すガラスが得られるのに十分な量であるべきである。SiO
2の上限は、本明細書に記載のガラス組成物の溶融温度を制御するように選択することができる。例えば、過剰のSiO
2によって、200ポアズ(20Pa・s)における溶融温度を、処理中および得られるガラス中に清澄気泡などの欠陥が現れうる、又は発生しうる高温まで上昇させることができる。さらに、ほとんどの酸化物と比較して、SiO
2は、得られるガラスのイオン交換プロセスによって生じる圧縮応力を低下させる。言い換えると、過剰のSiO
2を有するガラス組成物から形成されたガラスは、過剰のSiO
2を有さないガラス組成物から形成されたガラスと同程度まではイオン交換可能とならない場合がある。それに加えて、又はこれとは別に、1つ以上の実施の形態による組成物中に存在するSiO
2は、得られるガラスの破壊前の塑性変形特性を高めることができる。本明細書に記載のガラス組成物から形成されるガラス中のSiO
2含有量が増加すると、ガラスの圧入破壊閾値も増加しうる。
【0032】
1つ以上の実施の形態において、ガラス組成物は、SiO
2を、モルパーセントの単位で、約30〜約70、約30〜約69、約30〜約68、約30〜約67、約30〜約66、約30〜約65、約30〜約64、約30〜約63、約30〜約62、約30〜約61、約30〜約60、約40〜約70、約45〜約70、約46〜約70、約48〜約70、約50〜約70、約41〜約69、約42〜約68、約43〜約67、約44〜約66、約45〜約65、約46〜約64、約47〜約63、約48〜約62、約49〜約61、約50〜約60の範囲内、並びにそれらの間の全ての範囲内及び部分的範囲内の量で含む。
【0033】
1つ以上の実施の形態において、ガラス組成物は、Al
2O
3を、モルパーセントの単位で、約0〜約20、約0〜約19、約0〜約18、約0〜約17、約0〜約16、約0〜約15、約0〜約14、約0〜約13、約0〜約12、約0〜約11、約0〜約10、約0〜約9、約0〜約8、約0〜約7、約0〜約6、約0〜約5、約0〜約4、約0〜約3、約0〜約2、約0〜約1、約0.1〜約1、約0.2〜約1、約0.3〜約1、約0.4〜約1、約0.5〜約1、約0〜約0.5、約0〜約0.4、約0〜約0.3、約0〜約0.2、約0〜約0.1の範囲内、並びにそれらの間の全ての範囲内及び部分的範囲内の量で含む。いくつかの実施の形態において、ガラス組成物はAl
2O
3を実質的に含まない。本明細書において使用される場合、ガラス組成物及び/又は得られるガラスの成分に関する「実質的に含まない」という語句は、その成分が、初期のバッチング中又は続く後処理(例えば、イオン交換プロセス)中にガラス組成物に積極的又は意図的に加えられることはないが、不純物としては存在しうることを意味する。例えば、成分が約0.01モル%未満の量で存在する場合に、ガラス組成物、ガラスがその成分を実質的に含まないと記載されうる。
【0034】
Al
2O
3の量は、ガラス形成性酸化物として機能させるため、及び/又は溶融ガラス組成物の粘度を制御するために調節することができる。理論によって束縛されるものではないが、ガラス組成物中のアルカリ酸化物(R
2O)の濃度がAl
2O
3の濃度以上である場合、アルミニウムイオンは、電荷バランサーとして機能するアルカリイオンを有する四面体配位で見られると考えられる。この四面体配位は、そのようなガラス組成物から形成されたガラスのさまざまな後処理(例えば、イオン交換プロセス)を大幅に向上させる。二価陽イオン酸化物(RO)もさまざまの程度で四面体アルミニウムの電荷のバランスを取ることができる。カルシウム、亜鉛、ストロンチウム、及びバリウムなどの元素は、2つのアルカリイオンと同様の挙動を示すが、マグネシウムイオンの強い電解強度のために、四面体配位のアルミニウムの電荷バランスが十分に取られず、5および6配位したアルミニウムが形成される。一般に、Al
2O
3は、それによって強い網目骨格(すなわち高歪点)が可能となり、同時にアルカリイオンの比較的速い拡散率も可能となるので、イオン交換可能なガラス組成物及び強化されたガラス中で重要な役割を果たすことができる。しかしながら、Al
2O
3の濃度が高すぎる場合、ガラス組成物がより低い液相粘度を示すことがあり、したがって、Al
2O
3濃度を妥当な範囲内で制御しうる。さらに、以下により詳細に議論するように、過剰のAl
2O
3は、所望のCu
1+イオンではなくCu
2+イオンの形成を促進することが分かった。
【0035】
1つ以上の実施の形態において、ガラス組成物は、銅含有酸化物を、モルパーセントの単位で、約10〜約50、約10〜約49、約10〜約48、約10〜約47、約10〜約46、約10〜約45、約10〜約44、約10〜約43、約10〜約42、約10〜約41、約10〜約40、約10〜約39、約10〜約38、約10〜約37、約10〜約36、約10〜約35、約10〜約34、約10〜約33、約10〜約32、約10〜約31、約10〜約30、約10〜約29、約10〜約28、約10〜約27、約10〜約26、約10〜約25、約10〜約24、約10〜約23、約10〜約22、約10〜約21、約10〜約20、約11〜約50、約12〜約50、約13〜約50、約14〜約50、約15〜約50、約16〜約50、約17〜約50、約18〜約50、約19〜約50、約20〜約50、約10〜約30、約11〜約29、約12〜約28、約13〜約27、約14〜約26、約15〜約25、約16〜約24、約17〜約23、約18〜約22、約19〜約21の範囲内、並びにそれらの間の全ての範囲内及び部分的範囲内の量で含む。1つ以上の特定の実施の形態において、銅含有酸化物は、ガラス組成物中に約20モルパーセント、約25モルパーセント、約30モルパーセント、又は約35モルパーセントの量で存在してもよい。銅含有酸化物は、CuO、Cu
2O、及び/又はそれらの組合せを含みうる。
【0036】
本発明のガラス組成物中の銅含有酸化物は、得られるガラス中に存在するCu
1+イオンを形成する。銅は、本発明のガラス組成物及び/又は本発明のガラス組成物を含むガラスの中にCu
0、Cu
1+、及びCu
2+を含むさまざまの形態で存在しうる。Cu
0又はCu
1+の形態の銅は、抗菌活性を提供する。しかしながら、抗菌銅のこれらの状態の形成及び維持は困難であり、多くの場合、既知のガラス組成物中では、所望のCu
0又はCu
1+イオンの代わりにCu
2+イオンが形成される。
【0037】
1つ以上の実施の形態では、銅含有酸化物の量は、ガラス組成物中のAl
2O
3の量よりも多い。理論によって束縛されるものではないが、ガラス組成物中で銅含有酸化物とAl
2O
3とがほぼ同量であれば、赤銅鉱(Cu
2O)の代わりに黒銅鉱(CuO)が形成されると考えられる。黒銅鉱が存在すると、Cu
1+量が減少してCu
2+が有利となり、そのため抗菌活性が低下する。さらに、銅含有酸化物の量がAl
2O
3の量とほぼ同じ場合、アルミニウムは4配位に存在することが好ましく、ガラス組成物中及び得られるガラス中の銅は、電荷のバランスが維持されるようにCu
2+形態のままとなる。銅含有酸化物の量がAl
2O
3の量を超えると、少なくとも一部の銅は、Cu
2+状態ではなくCu
1+状態で残存することができ、したがってCu
1+イオンの存在が増加すると考えられる。
【0038】
1つ以上の実施の形態のガラス組成物は、P
2O
5を、モルパーセントの単位で、約0〜約25、約0〜約22、約0〜約20、約0〜約18、約0〜約16、約0〜約15、約0〜約14、約0〜約13、約0〜約12、約0〜約11、約0〜約10、約0〜約9、約0〜約8、約0〜約7、約0〜約6、約0〜約5、約0〜約4、約0〜約3、約0〜約2、約0〜約1、約0.1〜約1、約0.2〜約1、約0.3〜約1、約0.4〜約1、約0.5〜約1、約0〜約0.5、約0〜約0.4、約0〜約0.3、約0〜約0.2、約0〜約0.1の範囲内、並びにそれらの間の全ての範囲内及び部分的範囲内で含む。いくつかの実施の形態では、ガラス組成物は、約10モルパーセント又は約5モルパーセントのP
2O
5を含み、別の場合にはP
2O
5を実質的に含まなくてよい。
【0039】
1つ以上の実施の形態では、P
2O
5は、ガラス中の耐久性のより低い相または分解性相の少なくとも一部を形成する。ガラスの分解性相と抗菌活性との間の関係については、本明細書でより詳細に議論される。1つ以上の実施の形態では、形成中のガラス組成物及び/又はガラスの結晶化を制御するために、P
2O
5の量を調節してもよい。例えば、P
2O
5の量が約5モル%以下、又はさらには10モル%以下に限定される場合、結晶化を最小限にしたり、均一になるように制御したりすることができる。しかしながら、いくつかの実施の形態では、ガラス組成物及び/又はガラスの結晶化の量又は均一性が重要でない場合があり、したがって、ガラス組成物中に使用されるP
2O
5の量が10モル%を超える場合がある。
【0040】
1つ以上の実施の形態では、ガラス中に耐久性のより低い相または分解性相を形成するP
2O
5の傾向にもかかわらず、ガラスの所望の損傷耐性に基づいてガラス組成物中のP
2O
5の量を調節することができる。理論によって束縛されるものではないが、P
2O
5はSiO
2に対して溶融粘度を低下させることができる。場合によっては、P
2O
5は、ジルコン破壊粘度(すなわち、ジルコンが破壊してZrO
2を形成するときの粘度)の抑制を促進すると考えられ、この点に関してSiO
2よりも有効となりうる。ガラスがイオン交換プロセスによって化学強化される場合、網目形成体と特徴付けられることもある他の成分(例えば、SiO
2及び/又はB
2O
3)と比較すると、P
2O
5は拡散率を改善してイオン交換時間を短縮することができる。
【0041】
1つ以上の実施の形態のガラス組成物は、B
2O
3を、モルパーセントの単位で、約0〜約25、約0〜約22、約0〜約20、約0〜約18、約0〜約16、約0〜約15、約0〜約14、約0〜約13、約0〜約12、約0〜約11、約0〜約10、約0〜約9、約0〜約8、約0〜約7、約0〜約6、約0〜約5、約0〜約4、約0〜約3、約0〜約2、約0〜約1、約0.1〜約1、約0.2〜約1、約0.3〜約1、約0.4〜約1、約0.5〜約1、約0〜約0.5、約0〜約0.4、約0〜約0.3、約0〜約0.2、約0〜約0.1の範囲内、並びにそれらの間の全ての範囲内及び部分的範囲内の量で含む。いくつかの実施の形態では、ガラス組成物は、例えば、約10モルパーセント又は約5モルパーセントであってよい、非ゼロ量のB
2O
3を含む。ある実施形態のガラス組成物は、B
2O
3を実質的に含まなくてよい。
【0042】
1つ以上の実施の形態では、B
2O
3は、ガラス組成物から形成されたガラス中に耐久性のより低い相または分解性相を形成する。ガラスの分解性相と抗菌活性との間の関係は、本明細書でより詳細に議論される。理論によって束縛されるものではないが、ガラス中に耐久性のより低い相または分解性相を形成するB
2O
3の傾向にもかかわらず、ガラス組成物中にB
2O
3が含まれることで、そのようなガラス組成物を含むガラス中に損傷耐性が付与されると考えられる。1つ以上の実施の形態のガラス組成物は、1種類以上のアルカリ酸化物(R
2O)(例えば、Li
2O、Na
2O、K
2O、Rb
2O、及び/又はCs
2O)を含む。いくつかの実施の形態では、アルカリ酸化物は、そのようなガラス組成物の溶融温度及び/又は液相線温度を変化させる。1つ以上の実施の形態では、低い溶融温度及び/又は低い液相線温度を示す組成物を得るために、アルカリ酸化物の量を調節することができる。理論によって束縛されるものではないが、アルカリ酸化物を加えることで、そのようなガラス組成物を含む抗菌性ガラスの熱膨張係数(CTE)の増加及び/又は化学的耐久性の低下が生じうる。場合によっては、これらの特性は、アルカリ酸化物を加えることによって大幅に変化させることができる。
【0043】
いくつかの実施の形態では、より大きなアルカリイオン(例えば、K
+)とのイオン交換、例えば銅含有ガラスからのより小さなアルカリイオンと、そのようなより大きなアルカリイオンを含有する溶融塩浴からのより大きなアルカリイオンとの交換、を促進するために、少量のアルカリ酸化物(Li
2O及びNa
2Oなど)の存在が必要となるイオン交換プロセスによって、本明細書に開示される銅含有ガラスを化学強化してもよい。一般に、3つの種類のイオン交換を行うことができる。そのようなイオン交換の1つは、Na
+とLi
+の交換を含み、これによって深い層深さが得られるが圧縮応力は小さくなる。別のそのようなイオン交換は、K
+とLi
+の交換を含み、これによって小さい層深さが得られるが比較的大きな圧縮応力が得られる。第3のそのようなイオン交換は、K
+とNa
+の交換を含み、これによって中間の層深さ及び圧縮応力が得られる。圧縮応力は銅含有ガラスから交換されるアルカリイオンの数に比例するので、ガラス組成物中の小さなアルカリ酸化物が十分に高濃度であることが、そのようなガラス組成物を含む銅含有ガラス中に大きな圧縮応力を発生させるのに必要となり得る。
【0044】
1つ以上の実施の形態では、ガラス組成物は、K
2Oを、モルパーセントの単位で、約0〜約20、約0〜約18、約0〜約16、約0〜約15、約0〜約14、約0〜約13、約0〜約12、約0〜約11、約0〜約10、約0〜約9、約0〜約8、約0〜約7、約0〜約6、約0〜約5、約0〜約4、約0〜約3、約0〜約2、約0〜約1、約0.1〜約1、約0.2〜約1、約0.3〜約1、約0.4〜約1、約0.5〜約1、約0〜約0.5、約0〜約0.4、約0〜約0.3、約0〜約0.2、約0〜約0.1の範囲内、並びにそれらの間の全ての範囲内及び部分的範囲内の量で含む。いくつかの実施の形態では、ガラス組成物は、非ゼロ量のK
2Oを含み、あるいは、ガラス組成物は、本明細書において定義されるようにK
2Oを実質的に含まなくてもよい。イオン交換の促進に加えて、利用可能な場合、1つ以上の実施の形態では、K
2Oは、ガラス組成物から形成されるガラス中に耐久性のより低い相又は分解性相を形成することもできる。ガラスの分解性相と抗菌活性との間の関係は、本明細書でより詳細に議論される。
【0045】
1つ以上の実施の形態において、ガラス組成物は、Na
2Oを、モルパーセントの単位で、約0〜約20、約0〜約18、約0〜約16、約0〜約15、約0〜約14、約0〜約13、約0〜約12、約0〜約11、約0〜約10、約0〜約9、約0〜約8、約0〜約7、約0〜約6、約0〜約5、約0〜約4、約0〜約3、約0〜約2、約0〜約1、約0.1〜約1、約0.2〜約1、約0.3〜約1、約0.4〜約1、約0.5〜約1、約0〜約0.5、約0〜約0.4、約0〜約0.3、約0〜約0.2、約0〜約0.1の範囲内、並びにそれらの間の全ての範囲内及び部分的範囲内の量で含む。いくつかの実施の形態では、ガラス組成物は、非ゼロ量Na
2Oを含み、あるいは、ガラス組成物は、本明細書において定義されるようにNa
2Oを実質的に含まなくてもよい。
【0046】
1つ以上の実施の形態において、ガラス組成物は、アルカリ土類酸化物及び/又はZnOなどの1種類以上の二価陽イオン酸化物を含んでもよい。このような二価陽イオン酸化物は、ガラス組成物の溶融挙動を改善するために含まれてもよい。イオン交換性能に関して、二価陽イオンの存在は、アルカリ移動度を低下させる機能を果たすことがあり、したがって、より大きな二価陽イオン酸化物が使用される場合、イオン交換性能に対して悪影響が生じることがある。さらに、より小さな二価陽イオン酸化物は、一般に、より大きな二価陽イオン酸化物よりも、イオン交換されたガラス中での圧縮応力の発生が促進される。したがって、MgO及びZnOなどの二価陽イオン酸化物は、改善された応力緩和に関して利点を得ることができ、同時に、アルカリ拡散率に対する悪影響を最小限にすることができる。
【0047】
1つ以上の実施の形態では、ガラス組成物は、CaOを、モルパーセントの単位で、約0〜約15、約0〜約14、約0〜約13、約0〜約12、約0〜約11、約0〜約10、約0〜約9、約0〜約8、約0〜約7、約0〜約6、約0〜約5、約0〜約4、約0〜約3、約0〜約2、約0〜約1、約0.1〜約1、約0.2〜約1、約0.3〜約1、約0.4〜約1、約0.5〜約1、約0〜約0.5、約0〜約0.4、約0〜約0.3、約0〜約0.2、約0〜約0.1の範囲内、並びにそれらの間の全ての範囲内及び部分的範囲内の量で含む。いくつかの実施の形態では、ガラス組成物はCaOを実質的に含まない。
【0048】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、MgOを、モルパーセントの単位で、約0〜約15、約0〜約14、約0〜約13、約0〜約12、約0〜約11、約0〜約10、約0〜約9、約0〜約8、約0〜約7、約0〜約6、約0〜約5、約0〜約4、約0〜約3、約0〜約2、約0〜約1、約0.1〜約1、約0.2〜約1、約0.3〜約1、約0.4〜約1、約0.5〜約1、約0〜約0.5、約0〜約0.4、約0〜約0.3、約0〜約0.2、約0〜約0.1の範囲内、並びにそれらの間の全ての範囲内及び部分的範囲内の量で含む。いくつかの実施の形態では、ガラス組成物はMgOを実質的に含まない。
【0049】
1つ以上の実施の形態のガラス組成物は、ZnOを、モルパーセントの単位で、約0〜約5、約0〜約4、約0〜約3、約0〜約2、約0〜約1、約0.1〜約1、約0.2〜約1、約0.3〜約1、約0.4〜約1、約0.5〜約1、約0〜約0.5、約0〜約0.4、約0〜約0.3、約0〜約0.2、約0〜約0.1の範囲内、並びにそれらの間の全ての範囲内及び部分的範囲内の量で含むことができる。いくつかの実施形態では、ガラス組成物はZnOを実質的に含まない。
【0050】
1つ以上の実施の形態のガラス組成物は、Fe
2O
3を、モルパーセントの単位で、約0〜約5、約0〜約4、約0〜約3、約0〜約2、約0〜約1、約0.1〜約1、約0.2〜約1、約0.3〜約1、約0.4〜約1、約0.5〜約1、約0〜約0.5、約0〜約0.4、約0〜約0.3、約0〜約0.2、約0〜約0.1の範囲内、並びにそれらの間の全ての範囲内及び部分的範囲内で含むことができる。いくつかの実施の形態では、ガラス組成物はFe
2O
3を実質的に含まない。
【0051】
1つ以上の実施の形態では、ガラス組成物は、1種類以上の着色剤を含んでもよい。このような着色剤の例としては、NiO、TiO
2、Fe
2O
3、Cr
2O
3、Co
3O
4、及びその他の既知の着色剤が挙げられる。いくつかの実施の形態では、1種類以上の着色剤は、最大約10モル%の範囲内の量で存在することができる。場合によっては、1種類以上の着色剤は、約0.01モル%〜約10モル%、約1モル%〜約10モル%、約2モル%〜約10モル%、約5モル%〜約10モル%、約0.01モル%〜約8モル%、又は約0.01モル%〜約5モル%の範囲内の量で存在することができる。
【0052】
1つ以上の実施の形態では、ガラス組成物は、1種類以上の核剤を含むことができる。代表的な核剤としては、TiO
2、ZrO
2、及び当該技術分野において既知の他の核剤が挙げられる。ガラス組成物は、1種類以上の異なる核剤を含んでもよい。ガラス組成物の核剤含有量は、約0.01モル%〜約1モル%の範囲内であってよい。場合によっては、核剤含有量は、約0.01モル%〜約0.9モル%、約0.01モル%〜約0.8モル%、約0.01モル%〜約0.7モル%、約0.01モル%〜約0.6モル%、約0.01モル%〜約0.5モル%、約0.05モル%〜約1モル%、約0.1モル%〜約1モル%、約0.2モル%〜約1モル%、約0.3モル%〜約1モル%、又は約0.4モル%〜約1モル%の範囲内、並びにそれらの間の全ての範囲内及び部分的範囲内であってよい。
【0053】
本発明のガラス組成物から形成された銅含有ガラスは、複数のCu
1+イオンを含んでもよい。いくつかの実施の形態では、このようなCu
1+イオンは、ガラス網目の一部を形成し、ガラス改質剤として特徴付けることができる。理論によって束縛されるものではないが、Cu
1+イオンがガラス網目の一部となる場合、典型的なガラス形成プロセス中、溶融ガラスの冷却ステップが速すぎるため、銅含有酸化物(例えば、CuO及び/又はCu
2O)が結晶化できない場合があると考えられる。したがって、Cu
1+は非晶質状態で残存し、ガラス網目の一部を形成する。場合によっては、Cu
1+イオンの総量は、結晶相中又はガラスマトリックス中のいずれに存在する場合でも、最大40モル%、最大50モル%、又は最大60モル%など、より多くなりうる。
【0054】
1つ以上の実施の形態では、本明細書に開示されるガラス組成物から形成された銅含有ガラスは、Cu
1+結晶としてガラスマトリックス中に分散されるCu
1+イオンを含む。1つ以上の実施の形態では、Cu
1+結晶は赤銅鉱の形態で存在することができる。銅含有ガラス中に存在する赤銅鉱は、ガラスマトリックスまたはガラス相とは異なる相を形成しうる。別の実施の形態では、赤銅鉱は、1つ以上のガラス相(例えば、本明細書に記載の耐久性相)の一部を形成したり、それらと関連したりすることができる。Cu
1+結晶の平均主要寸法は、約5マイクロメートル(μm)以下、4マイクロメートル(μm)以下、3マイクロメートル(μm)以下、2マイクロメートル(μm)以下、約1.9マイクロメートル(μm)以下、約1.8マイクロメートル(μm)以下、約1.7マイクロメートル(μm)以下、約1.6マイクロメートル(μm)以下、約1.5マイクロメートル(μm)以下、約1.4マイクロメートル(μm)以下、約1.3マイクロメートル(μm)以下、約1.2マイクロメートル(μm)以下、約1.1マイクロメートル以下、1マイクロメートル以下、約0.9マイクロメートル(μm)以下、約0.8マイクロメートル(μm)以下、約0.7マイクロメートル(μm)以下、約0.6マイクロメートル(μm)以下、約0.5マイクロメートル(μm)以下、約0.4マイクロメートル(μm)以下、約0.3マイクロメートル(μm)以下、約0.2マイクロメートル(μm)以下、約0.1マイクロメートル(μm)以下、約0.05マイクロメートル(μm)以下、並びにそれらの間の全ての範囲及び部分的範囲となりうる。本明細書に使用され、語句「平均主要寸法」と関連する場合、「平均」なる単語は、平均値を意味し、「主要寸法」なる単語は、SEMによって測定される粒子の最大寸法である。いくつかの実施の形態では、赤銅鉱相は、銅含有ガラス中に、銅含有ガラスの少なくとも約10質量%、少なくとも約15質量%、少なくとも約20質量%、少なくとも約25質量%、並びにそれらの間の全ての範囲及び部分的範囲の量で存在することができる。
【0055】
いくつかの実施の形態では、銅含有ガラスは、約70質量%以上のCu
1+、及び約30質量%以下のCu
2+を含みうる。Cu
2+イオンは、黒銅鉱形態中、及び/又はさらにはガラス中(すなわち、結晶相としてではなく)に存在しうる。
【0056】
いくつかの実施の形態では、銅含有ガラス中の質量%でのCuの総量は、約10〜約30、約15〜約25、約11〜約30、約12〜約30、約13〜約30、約14〜約30、約15〜約30、約16〜約30、約17〜約30、約18〜約30、約19〜約30、約20〜約30、約10〜約29、約10〜約28、約10〜約27、約10〜約26、約10〜約25、約10〜約24、約10〜約23、約10〜約22、約10〜約21、約10〜約20、約16〜約24、約17〜約23、約18〜約22、約19〜約21の範囲内、並びにそれらの間の全ての範囲内及び部分的範囲内となることができる。1つ以上の実施の形態では、銅含有ガラス中のCu
1+イオンの総量Cuに対する比は、約0.5以上、0.55以上、0.6以上、0.65以上、0.7以上、0.75以上、0.8以上、0.85以上、0.9以上、又はさらには1以上、並びにそれらの間の全ての範囲及び部分的範囲である。Cu量及びCu
1+イオンの全Cuに対する比は、当該技術分野において既知の誘導結合プラズマ(ICP)技術によって特定することができる。
【0057】
いくつかの実施の形態では、銅含有ガラスは、Cu
2+よりも多い量のCu
1+及び/又はCu
0を示しうる。例えば、ガラス中のCu
1+、Cu
2+、及びCu
0の総量に基づくと、Cu
1+及びCu
0を合わせたパーセント値は、約50%〜約99.9%、約50%〜約99%、約50%〜約95%、約50%〜約90%、約55%〜約99.9%、約60%〜約99.9%、約65%〜約99.9%、約70%〜約99.9%、約75%〜約99.9%、約80%〜約99.9%、約85%〜約99.9%、約90%〜約99.9%、約95%〜約99.9%の範囲内、並びにそれらの間の全ての範囲内及び部分的範囲内となりうる。Cu
1+、Cu
2+、及びCu
0の相対量は、当該技術分野において既知のX線フォトルミネッセンス分光法(XPS)技術を用いて特定することができる。銅含有ガラスは、少なくとも第1の相及び第2の相を含む。1つ以上の実施の形態において、銅含有ガラスは、2つ以上の相を含むことができ、それらの相は、浸出液との相互作用に耐えるための特定の相中の原子結合の性質に基づいて異なる。特に、1つ以上の実施の形態の銅含有ガラスは、分解性相と記載できる第1の相と、耐久性相と記載できる第2の相とを含むことができる。語句「第1の相」及び「分解性相」は同義で使用することができる。語句「第2の相」及び「耐久性相」は同義で使用することができる。本明細書において使用される場合、用語「耐久性」は、浸出液との相互作用中および相互作用後に無傷のままとなる耐久性相の原子結合の傾向を意味する。本明細書において使用される場合、用語「分解性」は、1種類以上の浸出液との相互作用中および相互作用後に破壊される分解性相の原子結合の傾向を意味する。1つ以上の実施の形態では、耐久性相はSiO
2を含み、分解性相はB
2O
3、P
2O
5、及びR
2O(式中、Rは、K、Na、Li、Rb、及びCsのいずれか1つ以上を含むことができる)の少なくとも1つを含む。理論によって束縛されるものではないが、分解性相の成分(すなわち、B
2O
3、P
2O
5、及び/又はR
2O)は、浸出液とより容易に相互作用し、これらの成分同士の間の結合、及びこれらの成分と銅含有ガラス中の別の成分との間の結合は、浸出液との相互作用中および相互作用後により容易に破壊されると考えられる。浸出液としては、水、酸、又はその他の同様の材料を挙げることができる。1つ以上の実施の形態では、分解性相は分解に1週間以上、1か月以上、3か月以上、又はさらには6か月以上耐える。いくつかの実施の形態では、寿命は、特定の期間にわたる抗菌効果の維持として特徴付けることができる。
【0058】
1つ以上の実施の形態では、耐久性相は、分解性相の量よりも多い重量基準の量で存在する。場合によっては、分解性相は島を形成し、耐久性相は島(すなわち耐久性相)を取り囲む海を形成する。1つ以上の実施の形態では、耐久性相および分解性相のいずれか一方または両方が赤銅鉱を含んでもよい。そのような実施の形態における赤銅鉱は、それぞれの相中または両方の相中に分散しうる。
【0059】
いくつかの実施の形態では、銅含有ガラスのさらなる熱処理なしに相分離が起こる。いくつかの実施の形態では、相分離は、溶融中に起こる場合があり、ガラス組成物を最高約1600℃又は1650℃及びそれらを含む温度で溶融させる場合に生じうる。ガラスを冷却すると、相分離が維持される。
【0060】
銅含有ガラスは、シートとして提供してもよく、又は、粒子状(中空又は固体でもよい)、繊維状などの別の形状を有してもよい。1つ以上の実施の形態では、銅含有ガラスは、表面と、約5ナノメートル(nm)以下の深さで表面から銅含有ガラス中に伸長する表面部分とを含む。表面部分は、複数の銅イオンを含んでもよく、複数の銅イオンの少なくとも75%がCu
1+イオンを含む。例えば、場合によっては、表面部分中の複数の銅イオンの少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または少なくとも約99.9%がCu
1+イオンを含む。いくつかの実施の形態では、表面部分中の複数の銅イオンの25%以下(例えば、20%以下、15%以下、12%以下、10%以下、又は8%以下)がCu
2+イオンを含む。例えば、場合によっては、表面部分中の複数の銅イオンの20%以下、15%以下、10%以下、5%以下、2%以下、1%以下、0.5%以下、又は0.01%以下がCu
2+イオンを含む。いくつかの実施の形態では、銅含有ガラス中のCu
1+イオンの表面濃度が制御される。場合によっては、約4ppm以上のCu
1+イオン濃度を銅含有ガラスの表面上で提供することができる。
【0061】
1つ以上の実施の形態の銅含有ガラスは、EPA試験下で、黄色ブドウ球菌、エンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes)、緑膿菌(Pseudomomas aeruginosa)、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Methicillin Resistant Staphylococcus aureus)、及び大腸菌(E. coli)の少なくとも1つの濃度の2対数減少以上(例えば、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、並びにそれらの間の全ての範囲及び部分的範囲)を示しうる。場合によっては、銅含有ガラスは、EPA試験下で、黄色ブドウ球菌、エンテロバクター・アエロゲネス、緑膿菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、及び大腸菌の少なくとも1つの濃度の少なくとも4対数減少、5対数減少、又はさらには6対数減少を示す。
【0062】
1つ以上の実施の形態による本明細書に記載のガラスは、JIS Z 2801(2000)試験条件下で、黄色ブドウ球菌、エンテロバクター・アエロゲネス、緑膿菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、及び大腸菌の少なくとも1つの濃度の4対数減少以上(た例えば、5対数減少以上)を示しうる。本明細書に記載のガラスの1つ以上の実施の形態は、細菌用修正JIS Z 2801試験の下で、黄色ブドウ球菌、エンテロバクター・アエロゲネス、緑膿菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、及び大腸菌の少なくとも1つの濃度の4対数減少以上(例えば、5対数減少以上)をも示す。本明細書において使用される場合、細菌用修正JIS Z 2801試験は、約38パーセントから約42パーセントの湿度でガラス又は物品を約23℃から約37℃の温度に約6時間加熱することを含む修正された条件で標準のJIS Z 2801(2000)試験下で細菌を評価することを含む。
【0063】
本明細書に記載の1つ以上の実施の形態では、銅含有ガラスは、ウイルス用修正JIS Z 2801試験下でマウスノロウイルスにおいて2対数減少以上、3対数減少以上、4対数減少以上、又は5対数減少以上を示す。ウイルス用JIS Z 2801(2000)試験は、以下の手順を含む。試験される各材料(例えば、1つ以上の実施の形態の物品又はガラス、対照材料、並びに任意の比較用ガラス又は物品)に対して、材料の3つの試料(個別の滅菌ペトリ皿中に入れられる)のそれぞれに、試験ウイルスの20μLのアリコート(抗菌活性が測定される場合)、又は試験ウイルスを有する、もしくは有さない5%ウシ胎児血清の有機汚物負荷を含む試験媒体(細胞毒性が測定される場合)を接種する。次に接種材料をフィルムで覆い、試験ウイルス及び/又は試験媒体がフィルム上に広がるがフィルム端部を越えて広がらないように、フィルムを押し下げる。各試料に接種したときに曝露時間を開始する。接種した試料を相対湿度42%で室温(約20℃)に設定した調整室に2時間入れる。対照試料に関する曝露時間は以下に議論される。2時間の曝露時間の後、滅菌鉗子を用いてフィルムを持ち上げ、試験ウイルス及び/又は試験媒体の2.00mLのアリコートを個別に、材料の各試料上、及び各試料を覆うために使用したフィルムの下側(すなわち試料に露出するフィルムの側)にピペットで移す。各試料の表面を、個別に滅菌プラスチック製セルスクレーパーですくい取り、試験ウイルス又は試験媒体を収集する。試験ウイルス及び/又は試験媒体を(10
−2希釈で)収集し、ボルテックス型ミキサーを用いて混合し、連続10倍希釈液を調製する。次に、希釈液の抗菌活性及び/又は細胞毒性の分析を行う。
【0064】
ウイルス用修正JIS Z 2801試験のための抗菌活性試験用の対照試料(「ゼロ時間ウイルス対照」とも称される)を調製するために、3つの対照試料(個別の滅菌ペトリ皿中に入れられる)に、試験ウイルスの20μLのアリコートをそれぞれ接種する。接種直後に、試験ウイルスの2.00mLのアリコートをピペットで対照試料上に移す。各試料の表面を個別に滅菌プラスチック製セルスクレーパーですくい取り、試験ウイルスを収集する。試験ウイルスを(10
−2希釈で)収集し、ボルテックス型ミキサーを用いて混合し、連続10倍希釈液を調製した。希釈液の抗菌活性の分析を行う。
【0065】
ウイルス用修正JIS Z 2801試験のための細胞毒性用の対照試料(「2時間対照ウイルス」とも称される)を調製するために、1つの対照試料(個別の滅菌ペトリ皿に入れられる)に、試験ウイルスは有さずに有機汚物負荷(5%ウシ胎児血清)を含有する試験媒体の20μLのアリコートを接種する。接種材料をフィルムで覆い、試験媒体がフィルム上に広がるがフィルム端部を越えて広がらないように、フィルムを押し下げる。各試料に接種するときに曝露時間を開始する。対照試料を相対湿度42%で室温(20℃)に設定した調整室に2時間曝露時間の間入れる。この曝露時間の後、滅菌鉗子を用いてフィルムを持ち上げ、試験媒体のアリコートを個別に、各対照試料上、及びフィルムの下側(すなわち試料に露出するフィルムの側)にピペットで移す。各試料の表面を、個別に滅菌プラスチック製セルスクレーパーですくい取り、試験媒体を収集する。試験媒体を(10
−2希釈で)収集し、ボルテックス型ミキサーを用いて混合し、連続10倍希釈液を調製した。希釈液の細胞毒性の分析を行った。
【0066】
1つ以上の実施の形態の銅含有ガラスは、本明細書に記載の対数減少を長期間示すことができる。言い換えると、銅含有ガラスは、長時間の又は持続性の抗菌効果を示すことができる。例えば、いくつかの実施の形態では、銅含有ガラスは、銅含有ガラスの形成後、又は銅含有ガラスを担体(例えば、ポリマー、モノマー、結合剤、溶媒など)と組み合わせた後に、EPA試験、JIS Z 2801(2000)試験条件、細菌用修正JIS Z 2801、及び/又はウイルス用修正JIS Z 2801の試験下で、最大1か月、最大3か月、最大6か月、又は最大12か月の間、本明細書に記載の対数減少を示すことができる。これらの期間は、銅含有ガラスを形成した時点、もしくは担体と組み合わせた時点、又はそれらの後に開始することができる。
【0067】
いくつかの実施の形態において、本明細書に記載の材料は、ASTM5590の下で菌類(例えば、A.pullulans及びA.niger/A.funiculosum)を死滅させる。いくつかの実施の形態において、本明細書に記載の材料は、本明細書に記載されるように、阻害試験の領域下でそのような菌類を死滅させる。
【0068】
1つ以上の実施の形態の銅含有ガラスは、本明細書に記載の担体と組み合わせると防腐機能を示すことができる。このような実施の形態において、銅含有ガラスによって、担体中のさまざまの汚染物の死滅もしくは除去、又は増殖の減少が可能となる。汚染物としては、菌類、細菌、ウイルス、及びそれらの組合せが挙げられる。
【0069】
1つ以上の実施の形態では、本明細書に記載の銅含有ガラス及び/又は材料は、浸出液に曝露又は接触すると銅イオンを浸出する。1つ以上の実施の形態では、銅含有ガラスは、水を含む浸出液に曝露すると銅イオンのみを浸出する。
【0070】
1つ以上の実施の形態では、本明細書に記載の銅含有ガラス及び/又は物品は、調整可能な抗菌活性放出を有することができる。ガラス及び/又は材料の抗菌活性は、抗菌性ガラスと水などの浸出液との間の接触によって生じ得、浸出液によって、Cu
1+イオンが銅含有ガラスから放出される。この作用は水溶性と記載することができ、この水溶性を調整することでCu
1+イオンの放出を制御することができる。
【0071】
いくつかの実施の形態では、Cu
1+イオンが、ガラス網目中に配置される、及び/又はガラス網目中の原子と原子結合を形成する場合、水又は水分によってそれらの結合が破壊され、Cu
1+イオンは放出が可能になり、ガラス又はガラスセラミックの表面上に露出しうる。
【0072】
1つ以上の実施の形態では、銅含有ガラスは、ソーダ石灰ケイ酸塩などのガラス組成物の溶融に典型的に使用される低コストの溶融タンク中での形成を用いて形成することができる。当該技術分野において既知の形成方法を用いて、銅含有ガラスからシートを形成することができる。例えば、形成方法の例としては、フロートガラス法、並びにフュージョンドロー及びスロットドローなどのダウンドロー法が挙げられる。
【0073】
形成後、銅含有粒子は、シートに成形することができ、所望の最終用途のための成形、研磨、又はその他の処理が可能である。場合によっては、銅含有ガラスを粉砕して、粉末又は粒子の形態にしてもよい。別の実施の形態では、粒子状の銅含有ガラスを別の材料又は担体と組み合わせて、さまざまの最終用途用の物品にすることができる。銅含有ガラスとそのような別の材料又は担体との組合せは、射出成形、押出成形、又はコーティングに適している場合があるし、または延伸して繊維にすることもできる。
【0074】
1つ以上の実施の形態において、銅含有粒子は、亜酸化銅を含んでもよい。粒子中の亜酸化銅の量は、最大100%でもよい。言い換えれば、亜酸化銅粒子は、ガラス又はガラス網目を排除しうる。
【0075】
1つ以上の実施の形態において、銅含有粒子は、約0.1マイクロメートル(μm)〜約10マイクロメートル(μm)、約0.1マイクロメートル(μm)〜約9マイクロメートル(μm)、約0.1マイクロメートル(μm)〜約8マイクロメートル(μm)、約0.1マイクロメートル(μm)〜約7マイクロメートル(μm)、約0.1マイクロメートル(μm)〜約6マイクロメートル(μm)、約0.5マイクロメートル(μm)〜約10マイクロメートル(μm)、約0.75マイクロメートル(μm)〜約10マイクロメートル(μm)、約1マイクロメートル(μm)〜約10マイクロメートル(μm)、約2マイクロメートル(μm)〜約10マイクロメートル(μm)、約3マイクロメートル(μm)〜約10マイクロメートル(μm)、約3マイクロメートル(μm)〜約6マイクロメートル(μm)、約3.5マイクロメートル(μm)〜約5.5マイクロメートル(μm)、約4マイクロメートル(μm)〜約5マイクロメートル(μm)の範囲内、並びにそれらの間の全ての範囲内及び部分的範囲内の直径を有してもよい。本明細書で用いられる場合、「直径」なる用語は、粒子の最長寸法を称する。粒子状銅含有ガラスは、実質的に球状であってよいし、不規則な形状を有してもよい。この粒子は、溶媒中に提供することができ、その後、他の点では本明細書に記載されるように担体中に分散させることができる。
【0076】
1つ以上の実施の形態において、銅含有粒子は、約20g/ガロン(約5.28g/L)以下の量で存在する。場合によっては、銅含有粒子は、約3.5g/ガロン〜約20g/ガロン、約4g/ガロン〜約20g/ガロン、約5g/ガロン〜約20g/ガロン、約6g/ガロン〜約20g/ガロン、約8g/ガロン〜約20g/ガロン、約10g/ガロン〜約20g/ガロン、約3.5g/ガロン〜約18g/ガロン、約3.5g/ガロン〜約16g/ガロン、約3.5g/ガロン〜約15g/ガロン、約3.5g/ガロン〜約14g/ガロン、約3.5g/ガロン〜約12g/ガロン、約3.5g/ガロン〜約10g/ガロン、又は約1g/ガロン〜約4g/ガロンの範囲内の量で存在する。
【0077】
上記のように、銅含有粒子とZn−PTとの組合せにより、相乗的な抗菌効果が示され、生じる材料の色を(特に担体が塗料の場合)最小限にする濃度でCu−ガラスを使用することが可能となる。さらに、この組合せにより、材料を層として表面に塗布した場合に抗菌性能が改良され、強い抗菌活性が示される。理論によって束縛されるものではないが、そのような相乗効果は、CuとのZnPTのトランスキレート化によるCuPTの形成に一部原因があると考えられ、CuPTは、海洋生物にとってZnPTよりも毒性であることが示されてきた。ピリチオンは、菌類における膜輸送の一般的阻害剤であり、一次プロトンポンプにおける直接の又は間接の効果を介して膜輸送を阻害すると考えられる。
【0078】
さらに、銅イオンとZnPTとの組合せにより、強い抗菌性能及び無色性を維持しながら、材料中のバイオサイド負荷をより低くすることが可能になると考えられる。例えば、以下の実施例に示されるように、1ガロンの担体ごとに4gの銅含有ガラス粒子及び1ガロンの担体ごとに10gのZnPTを含む材料は、1ガロンの担体ごとに20gのZnPTを超える改良された抗菌性能を示す。
【0079】
対照的に、銀を用いて同じレベルの抗菌活性を達成するためには、より多くの量の銀が必要とされる。さらに、銀は速やかに浸出し、したがって、抗菌性能の持続性を低減する。さらに、水分(例えば、雨)が銀の全てを材料の外に素早く浸出させるので、銀は外部の用途に使用できない。
【0080】
1つ以上の実施の形態において、担体としては、本明細書に記載のようなポリマー、モノマー、結合剤、溶媒、又はそれらの組合せを挙げることができる。特定の実施の形態において、担体は、表面(内表面又は外表面を含みうる)への塗布のために使用される塗料である。
【0081】
本明細書に記載される実施の形態に使用されるポリマーとしては、熱可塑性ポリマー、ポリオレフィン、硬化ポリマー、紫外線又はUV硬化ポリマー、ポリマーエマルジョン、溶剤系ポリマー、及びそれらの組合せを挙げることができる。適切なポリマーの例としては、以下を含むがこれに限定されない:熱可塑性プラスチック、例えばポリスチレン(PS)、高衝撃PS、ポリカーボネート(PC)、ナイロン(場合によりポリアミド(PA)と称される)、ポリ(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)(ABS)、PC−ABSブレンド、ポリブチレンテレフタレート(PBT)及びPBTコポリマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びPETコポリマー、ポリオレフィン(PO)、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、環状ポリオレフィン(環状PO)、変性ポリフェニレンオキシド(mPPO)、ポリビニルクロライド(PVC)、アクリルポリマー、例えばポリメタクリル酸メチル(PMMA)、熱可塑性エラストマー(TPE)、熱可塑性ウレタン(TPU)、ポリエーテルイミド(PEl)、並びにこれらのポリマーの互いのブレンド。適切な射出成形可能な熱硬化性ポリマーとしては、エポキシ、アクリル系、スチレン系、フェノール系、メラミン、ウレタン、ポリエステル、及びシリコーン樹脂が挙げられる。別の実施の形態では、ポリマーは、溶媒中に溶解させたり、溶媒中の別個の相として分散させたりしてもよく、ラテックス(合成ゴムまたは天然ゴムの水エマルジョンである)などのポリマーエマルジョン又は重合によって得られるプラスチックを形成し、特にコーティング(塗料として)及び接着剤として使用される。ポリマーは、フッ素化シラン、あるいはその他の低摩擦材料又は減摩材料を含むことができる。ポリマーは、衝撃改質剤、難燃剤、UV抑制剤、帯電防止剤、離型剤、ガラス、金属、又は炭素繊維あるいは粒子(スフィアを含む)、タルク、クレー、又はマイカなどの充填剤、及び着色剤を含有してもよい。モノマーの具体例としては、触媒硬化性モノマー、熱硬化性モノマー、放射線硬化性モノマー、及びそれらの組合せが挙げられる。
【0082】
加工性、機械的性質、及び本明細書に記載の担体と銅含有ガラス(使用可能な任意の充填剤及び/又は添加剤を含む)との間の相互作用を改良するために、処理剤/加工助剤を本明細書に記載の物品中に含めることができる。例示的な処理剤/加工助剤としては、固体又は液体の材料を挙げることができる。処理剤/加工助剤によって、押出成形のさまざまの利点を得ることができ、処理剤/加工助剤としてはシリコーン系油、ワックス、及び流動性フルオロポリマーを挙げることができる。別の実施の形態では、処理剤/加工助剤としては、相溶化剤/カップリング剤、例えば、機械的及び熱的性質を改良するためにポリマー複合材料の処理に典型的に使用されるオルガノ−シラン/シロキサンなどの有機ケイ素化合物を挙げることができる。このような相溶化剤/カップリング剤は、ガラスの表面改質に使用することができ、(3−アクリロキシ−プロピル)トリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリ−エトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、及びビニルトリメトキシシランを含みうる。
【0083】
いくつかの実施の形態において、本明細書に記載の材料は、着色及びその他の目的で加えることもできる典型的には金属系無機物質である顔料などの充填剤を含むことができ、例えば、アルミニウム顔料、銅顔料、コバルト顔料、マンガン顔料、鉄顔料、チタン顔料、スズ顔料、クレイアース顔料(天然に形成された酸化鉄)、炭素顔料、アンチモン顔料、バリウム顔料、及び亜鉛顔料を含んでもよい。
【0084】
本明細書に記載のように、本明細書に記載の銅含有ガラスを担体と組み合わせた後、その組合せ又は生じた材料を所望の物品に形成する又は表面に塗布することができる。材料が塗料を含む場合、塗料は層として表面に塗布してもよい。本明細書に記載の材料を使用して形成しうるそのような物品の例としては、電子デバイスの筐体(例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット、ビデオプレーヤー、情報端末装置、ラップトップコンピュータなど)、建築構造(例えば、カウンタートップまたは壁)、器具(例えば、クックトップ、冷蔵庫、および食器洗浄機の扉など)、情報表示装置(例えば、ホワイトボード)、及び自動車部品(例えば、ダッシュボードパネル、フロントガラス、窓部品など)が挙げられる。
【0085】
本明細書に記載の材料は、着色のための顔料を含むことができる。したがって、そのような材料から作製されるコーティング又は層は、担体の色、担体混合物、及び粒子充填量に応じて、さまざまの色を示しうる。さらに、本明細書に記載の材料及び/又はコーティングは、ASTM D4541によって測定される塗料密着性に対する悪影響を示さない。場合によっては、本発明の材料又はコーティングの下にある基板に対する密着性は、基板の皮膜引張強さよりも高かった。言い換えると、試験中、コーティング又は層と基板との間の密着性は、コーティングが基板表面から分離する前に下にある基板が破壊されるほど強かった。例えば、基板が木材を含む場合、コーティング又は層と基板との間の密着力は、ASTM D4541によって測定した場合に約300psi(2.07MPa)以上、400psi(2.76MPa)以上、500psi(3.45MPa)以上、又は600psi(4.14MPa)以上、並びにそれらの間の全ての範囲及び部分的範囲となりうる。場合によっては、本発明の材料は、コーティング又は層として基板に塗布した場合、ASTM D4400によって測定して約3以上、約5以上、7以上、8以上、9以上、10以上、11以上、12以上、13以上、14以上、又はさらには15以上の抗垂れ指数(anti-sag index)値を示す。
【0086】
本発明の材料及び/又はコーティングは、家庭用途及び商業用途における使用に十分な耐久性を示すことができる。特に、本発明の材料は、コーティング又は層として基板に塗布した場合に、ASTM D4213によって測定して、約4以上、5以上、6以上、7以上並びにそれらの間の全ての範囲及び部分的範囲の耐擦性を示す。
【0087】
1つ以上の実施の形態では、本発明の材料/又はコーティングは、湿気に対して抵抗性となりうる。例えば、材料及び/又はコーティングを最大約95%の相対湿度の環境に24時間曝露した後、材料及び/又はコーティングは抗菌活性において変化を示さない。
【0088】
本発明の材料の1つ以上の実施の形態は、銅含有ガラス及び担体を含んでもよく、材料が汚染物の存在又は成長に対して抵抗性又は保護を示すような充填レベルの銅含有ガラスを有する。汚染物としては、菌類、細菌、ウイルス、及びそれらの組合せが挙げられる。場合によっては、塗料、ワニスなどの材料中の汚染物の存在又は成長によって、材料の色が変化する場合があるし、材料の完全性が低下し、材料のさまざまの性質に悪影響が生じる場合がある。銅含有ガラスの最小使用量(例えば、約5質量%以下、約4質量%以下、約3質量%以下、約2質量%以下、又は約1質量%以下)を担体に含めることによって、汚染物を排除したり減少させたりすることができる。場合によっては、汚染物が排除される又は減少する場合には、担体配合物は特定の成分を含む必要がない。したがって、本明細書に記載の物品の1つ以上の実施の形態に使用される担体配合物は、銅含有ガラスを含まない既知の材料の場合に従来可能であったよりも自由度を高めかつ種類を増やすことができる。
【実施例】
【0089】
以下の実施例によってさまざまの実施の形態がさらに明らかとなるであろう。
【0090】
実施例1
ASTM 5590の下で菌類成長の制御を評価するために、例1A−1Fを調製した。例1A−1Fは、表1に示される組成物を含んだ。例1B−1Fで使用される銅含有ガラス粒子は、45モル%のSiO
2、35モル%のCuO、7.5モル%のK
2O、7.5モル%のB
2O
3、及び5モル%のP
2O
5の組成を含んだ。
【0091】
【表1】
【0092】
例1A−1Fの塗料を、同じ基板上に塗布し、当該菌類の懸濁液と直接接触させることにより、A.pullulans(かび)又はA.niger/A.funiculosum(白かび)に暴露した。摂取された試料を、30℃/飽和湿度で密封された湿潤環境に配置し、28日間インキュベートした。抗菌能力を、塗料上の菌類の成長の割合の視覚評価により特定してもよい。観察された成長の割合に基づいて、数値スコアを各物質に割り当てる:0=成長なし、1=わずかな成長(10%未満)、2=小成長(10〜30%)、3=中成長(30〜60%)、4=大成長(60%〜完全被覆)。表2は、3週間後の結果を示す。
【0093】
【表2】
【0094】
表2に示されるように、ZnPT及び銅イオンの両方を含む塗料は、優れた能力を示した。
【0095】
菌類の成長を阻害するのに必要なZnPT及び銅含有ガラスの量を評価した。銅含有ガラスは、例1A−1Fで使用されるのと同じ組成を有した。
図1及び2に示されるように、ZnPT及び銅含有ガラスの組合せは、ZnPT単独よりも少ない量で菌類の成長を阻害する。
図1は、かびの成長を低下させるのにわずか1g/ガロン(約0.264g/L)のZnPT及び銅含有ガラスが必要であることを示す(10g/ガロン(約2.64g/L)のZnPT単独に対して)。
図2は、白かびの成長を低下させるのにわずか10g/ガロン(約2.64g/L)のZnPT及び銅含有ガラスが必要であることを示す(100g/ガロン(約2.64g/L)のZnPT単独に対して)。
【0096】
実施例3
ZnPT及び銅含有ガラスを含む塗料の色を評価した。例3A−3Dは、実施例1で使用したのと同じ、バイオサイドを有しない対照塗料Aを含んだ。例3Aは、ZnPT又は銅含有ガラスの粒子を何ら含まなかった。例3B−3Dはそれぞれ、1g/ガロン(約0.264g/L)、5g/ガロン(約1.32g/L)、及び10g/ガロン(約2.64g/L)の銅含有ガラス粒子を含んだ。例3A−3Dはいずれも、ZnPTを含まなかった。表3に示されるように、最大10g/ガロン(約2.64g/L)の濃度において最小限の色変化が観察された。表3中のデルタEは、例3Aの色座標に関する。詳細には、例3B−3Dのそれぞれについて、式:√((L
*−L
*例3A)
2+(a
*−a
*例3A)
2+(b
*−b
*例3A)
2)を用いてデルタEを特定した。
【0097】
【表3】
【0098】
実施例4
Kirby−Bauer抗菌試験(KB試験又はディスク拡散感受性試験)に基づいて得られる黄色ブドウ球菌の阻害試験の領域を用いて、抗菌能力を評価した。KB試験は抗生物質含浸ウエハを用いて、細菌が抗生物質により影響を受けるか否かを試験する。実施例1において、コ−バイオサイドを含有する着色紙基板を、あらかじめA.pullulans(かび)又はA.niger/A.funiculosum(白かび)を広げた寒天プレート上に配置する。各プレートを、37℃で一晩インキュベートする。バイオサイドが細菌の成長を停止する又は細菌を死滅させると、基板の周りに細菌が見えるほど成長していない領域が現れる;この領域は、阻害の領域と称される。この領域のサイズは、細菌の成長の停止においてバイオサイドがいかに効果的かに依存する。より低い濃度のバイオサイドが成長を停止させるのに十分であるので、より強いバイオサイドはより大きい領域を生じる。
【0099】
例4A−4Eを、同じバイオサイドを有しない塗料を用いて調製した。比較例4Aは、ZnPT又は銅含有ガラス粒子を含まなかった。比較例4Bは、15mg/ガロンのZnPTを含んだが、銅含有ガラス粒子は含まなかった。比較例4Cは、実施例1で用いられたのと同じ銅含有ガラス粒子を10g/ガロン(約2.64g/L)含んだが、ZnPTを含まなかった。実施例4D及び4Eは、15mg/ガロン(3.96mg/L)のZnPT、及び、実施例1で用いられたのと同じ銅含有ガラス粒子をそれぞれ4g/ガロン(約1.06g/L)及び10g/ガロン(約2.64g/L)含んだ。
図3に示されるように、実施例4D及び4Eは、阻害試験の領域下で、比較例4A−4Cよりも良好に機能した。
【0100】
本発明の意図及び範囲から逸脱することなくさまざまの修正及び変形が可能なことは当業者には明らかであろう。
【0101】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0102】
実施形態1
担体;及び
複数の銅含有粒子、並びに、ZnPT及びトラロピリルのいずれか一方又は両方を含むコ−バイオサイド
を含む材料であって、
1ガロンの担体ごとの前記銅含有粒子(g)、並びに、ZnPT及びトラロピリルのいずれか一方又は両方(g)の割合が、約0.005〜約12の範囲内である、
材料。
【0103】
実施形態2
前記ZnPT及びトラロピリルのいずれか一方又は両方が
、約150mg/ガロン
担体(39.6mg/L)
〜約40g/ガロン
担体(約10.6g/L)の範囲内で存在する、実施形態1に記載の材料。
【0104】
実施形態3
さらにZnを含む、実施形態1又は2に記載の材料。
【0105】
実施形態4
前記銅含有粒子が、銅含有ガラス及び亜酸化銅のいずれか一方又は両方を含む、実施形態1〜3のいずれかに記載の材料。
【0106】
実施形態5
前記銅含有粒子は、約20g/ガロン(約5.28g/L)以下の量で存在する、実施形態4に記載の材料。
【0107】
実施形態6
前記銅含有ガラスは、複数のCu
1+イオンを含みかつB
2O
3、P
2O
5、及びR
2Oの少なくとも1つを含む、赤銅鉱相を含む、実施形態4又は5に記載の材料。
【0108】
実施形態7
40モル%超のSiO
2を含むガラス相をさらに含む、実施形態6に記載の材料。
【0109】
実施形態8
前記赤銅鉱相が、前記ガラス相中に分散される、実施形態7に記載の材料。
【0110】
実施形態9
前記赤銅鉱相及びガラス相のいずれか一方又は両方が、Cu
1+を含む、実施形態7又は8に記載の材料。
【0111】
実施形態10
前記赤銅鉱相が、約5マイクロメートル(μm)以下の平均主要寸法を有する結晶を含む、実施形態6〜9のいずれかに記載の材料。
【0112】
実施形態11
前記赤銅鉱相が、分解性でありかつ水の存在下で浸出する、実施形態6〜10のいずれかに記載の材料。
【0113】
実施形態12
前記担体が、ポリマー、モノマー、結合剤又は溶媒を含む、実施形態1〜11のいずれかに記載の材料。
【0114】
実施形態13
前記担体が塗料を含む、実施形態1〜12のいずれかに記載の材料。
【0115】
実施形態14
前記材料が、清浄薬試験条件として銅合金の効果のためのEPA試験法の下で、黄色ブドウ球菌の濃度における3超の対数減少を示す、実施形態1〜14のいずれかに記載の材料。
【0116】
実施形態15
担体;及び
複数の銅イオン、並びに、ZnPT及びトラロピリルのいずれか一方又は両方を含むコ−バイオサイド
を含む塗料であって、
前記塗料が層として表面に塗布された後、前記層が、CIE L
*a
*b系において、約94〜約100の範囲内のL
*値、及び約5未満のデルタE値を示し、デルタE=√(L
*2+a
*2+b
*2)であり、
前記層が、ASTM 5590の下で、かび又は白かびの成長を示さない、
塗料。
【0117】
実施形態16
前記ZnPT及びトラロピリルのいずれか一方又は両方が、約150mg/ガロン
担体(39.6mg/L)
〜約40g/ガロン
担体(約10.6g/L)の範囲内で存在する、実施形態15に記載の塗料。
【0118】
実施形態17
さらにZnを含む、実施形態15又は16に記載の塗料。
【0119】
実施形態18
銅含有粒子をさらに含み、該銅含有粒子が、銅含有ガラス及び亜酸化銅のいずれか一方又は両方を含む、実施形態15〜17のいずれかに記載の塗料。
【0120】
実施形態19
前記銅含有粒子は、約20g/ガロン(5.28g/L)以下の量で存在する、実施形態18に記載の塗料。
【0121】
実施形態20
前記銅含有ガラスは、複数のCu
1+イオンを含みかつB
2O
3、P
2O
5、及びR
2Oの少なくとも1つを含む、赤銅鉱相を含む、実施形態18又は19に記載の塗料。
【0122】
実施形態21
40モル%超のSiO
2を含むガラス相をさらに含む、実施形態20に記載の塗料。
【0123】
実施形態22
前記ガラス相が、前記赤銅鉱相が存在する質量の量で存在する、実施形態21に記載の塗料。
【0124】
実施形態23
前記赤銅鉱相が、前記ガラス相中に分散される、実施形態20〜22のいずれかに記載の塗料。
【0125】
実施形態24
前記赤銅鉱相及びガラス相のいずれか一方又は両方が、Cu
1+を含む、実施形態21に記載の塗料。
【0126】
実施形態25
前記赤銅鉱相が、約5マイクロメートル(μm)以下の平均主要寸法を有する結晶を含む、実施形態20〜24のいずれかに記載の塗料。
【0127】
実施形態26
前記赤銅鉱相が、分解性でありかつ水の存在下で浸出する、実施形態20〜25のいずれかに記載の塗料。
【0128】
実施形態27
前記担体が、ポリマー、モノマー、結合剤又は溶媒を含む、実施形態15〜26のいずれかに記載の塗料。
【0129】
実施形態28
前記担体が塗料を含む、実施形態15〜27のいずれかに記載の塗料。
【0130】
実施形態29
前記塗料が、清浄薬試験条件として銅合金の効果のためのEPA試験法の下で、黄色ブドウ球菌の濃度における3超の対数減少を示す、実施形態15〜28のいずれかに記載の塗料。