(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポリオール成分(A)とポリイソシアネート成分(B)とを含有する原料を反応させてなる軟質ポリウレタンフォームであって、ポリオール成分(A)が、エチレン性不飽和化合物(F)を構成単量体とする重合体微粒子を含むポリマーポリオール(N)及びポリエーテルポリオール(A1)を含有し、以下の(1)〜(4)の全てを満たす軟質ポリウレタンフォーム。
(1)ポリエーテルポリオール(A1)が、水酸基当たりの数平均分子量が750〜2500のポリエーテルポリオール(A11)を含有し、ポリエーテルポリオール(A11)中のエチレンオキシ単位の含有量が(A11)の重量に基づいて20重量%以下である。
(2)ポリエーテルポリオール(A11)全体の総不飽和度の重量平均値が0.022〜0.053meq/gである。
(3)ポリオール成分(A)中の重合体微粒子の含有量がポリオール成分(A)の重量を基準として10〜20重量%である。(4)ポリイソシアネート成分(B)がジフェニルメタンジイソシアネート及びポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネートを含有するポリイソシアネート成分(B1)を含有し、イソシアネート基の含有量が20〜30重量%である。
ポリイソシアネート成分(B)がさらに、ポリエーテルポリオール(b)を含有するポリオール成分(A2)をポリイソシアネートでウレタン変性したイソシアネート基末端プレポリマ−(B2)を含有する請求項1に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
ポリエーテルポリオール(A1)が末端水酸基の1級水酸基比率が40〜90%であるポリエーテルポリオールである請求項1又は2に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
ポリイソシアネート成分(B1)中のジフェニルメタンジイソシアネート(B11)とポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート(B12)が、(B11)/(B12)の重量比で50/50〜85/15である請求項1〜5いずれか1項に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の軟質ポリウレタンフォームは、ポリオール成分(A)とポリイソシアネート成分(B)とを含有する原料を反応させてなる軟質ポリウレタンフォームであって、ポリオール成分(A)が、エチレン性不飽和化合物(F)を構成単量体とする重合体微粒子を含むポリマーポリオール(N)及びポリエーテルポリオール(A1)を含有し、以下の(1)〜(4)の全てを満たす軟質ポリウレタンフォームである。
(1)ポリエーテルポリオール(A1)が、水酸基当たりの数平均分子量が750〜2500のポリエーテルポリオール(A11)を含有し、(A11)中のエチレンオキシ単位の含有量が(A11)の重量に基づいて20重量%以下である。
(2)ポリエーテルポリオール(A11)全体の総不飽和度の重量平均値が0.022〜0.053meq/gである。
(3)ポリオール成分(A)中の重合体微粒子の含有量がポリオール成分(A)の重量を基準として10〜20重量%である。
(4)ポリイソシアネート成分(B)が、ジフェニルメタンジイソシアネート及びポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネートを含有するポリイソシアネート成分(B1)を含有し、イソシアネート基の含有量が20〜30重量%である。
【0009】
ポリエーテルポリオール(A1)は、活性水素基含有化合物(J)にアルキレンオキサイド(K)を開環重合させて得られるものであり、(A1)中には以下のポリエーテルポリオール(A11)を含有する。
ポリエーテルポリオール(A11):(A11)のエチレンオキシ単位の含有量が(A11)の重量を基準として20重量%以下であり、水酸基あたりの数平均分子量が750〜2500であるポリエーテルポリオール
(A1)は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(A11)は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0010】
活性水素基含有化合物(J)としては、1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
活性水素基含有化合物(J)としては、軟質ポリウレタンフォームの成形性の観点から、2〜8価の活性水素基含有化合物が好ましい。
2〜8価の活性水素基含有化合物としては、多価アルコール、多価アルコール以外の多価水酸基含有化合物、アミノ基含有化合物、チオール基含有化合物、リン酸基含有化合物及び2種以上の活性水素基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の活性水素基含有化合物が含まれる。
なお、本発明において、ポリエーテルポリオールの官能基数は、出発物質である活性水素含有化合物(J)の活性水素の数がポリエーテルポリオールの官能基数と同一であるとみなす。
【0011】
多価アルコールとしては、炭素数(以下において、Cと略記することがある)2〜20の2価の脂肪族アルコール、C3〜20の3価の脂肪族アルコール及びC5〜20の4〜8価の脂肪族アルコールが挙げられる。
C2〜20の2価脂肪族アルコールとしては、直鎖又は分岐の脂肪族ジオール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−及び1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール並びにネオペンチルグリコール等)及び脂環式ジオール(シクロヘキサンジオール及びシクロヘキサンジメタノール等)等が挙げられる。
C3〜20の3価脂肪族アルコールとしては、脂肪族トリオール(グリセリン及びトリメチロールプロパン等)が挙げられる。
C5〜20の4価の脂肪族アルコールとしては、ペンタエリスリトール、ソルビタン、ジグリセリン、メチルグルコシド及びメチルグルコシドの誘導体等が挙げられる。
C5〜20の5〜8価の多価脂肪族アルコールとしては、脂肪族ポリオール(ソルビトール、マンニトール及びジペンタエリスリトール等)並びに糖類(ショ糖、グルコース、マンノース、フルクトース及びその誘導体)等が挙げられる。
多価アルコールとしては、軟質ポリウレタンフォームの成形性の観点から、C2〜10の2〜8価の脂肪族アルコールが好ましく、さらに好ましくはC2〜10の2〜4価の脂肪族アルコールであり、特に好ましくはC3〜C10の3又は4価の脂肪族アルコールである。
【0012】
多価アルコール以外の多価水酸基含有化合物としては、多価フェノール等が挙げられる。具体的にはヒドロキノン、ビスフェノ―ルA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、1,3,6,8−テトラヒドロキシナフタレン、アントロール、1,4,5,8−テトラヒドロキシアントラセン及び1−ヒドロキシピレン等の多価フェノ―ル;ポリブタジエンポリオール;ひまし油系ポリオール等が挙げられる。
【0013】
アミノ基含有化合物としては、アミン及びアミノアルコール等が含まれる。具体的には、アンモニア;C1〜20のアルキルアミン(ブチルアミン等)及びアニリン等のモノアミン;エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン及びジエチレントリアミン等の直鎖又は分岐脂肪族ポリアミン;ピペラジン及びN−アミノエチルピペラジン等の複素環式ポリアミン;ジシクロヘキシルメタンジアミン及びイソホロンジアミン等の脂環式ポリアミン;フェニレンジアミン、トリレンジアミン及びジフェニルメタンジアミン等の芳香族ポリアミン;トリエタノールアミン等のアルカノールアミン;ジカルボン酸と過剰のポリアミンとの縮合により得られるポリアミドポリアミン;ポリエーテルポリアミン;ヒドラジン(ヒドラジン及びモノアルキルヒドラジン等)、ジヒドラジッド(コハク酸ジヒドラジッド及びテレフタル酸ジヒドラジッド等)、グアニジン(ブチルグアニジン及び1−シアノグアニジン等)等が挙げられる。
【0014】
チオール基含有化合物としては、ポリチオール化合物が含まれる。ポリチオールとしては、2〜8価の多価チオールが挙げられる。具体的にはエタンジチオール及び1、6−ヘキサンジチオール等が挙げられる。
【0015】
リン酸化合物としてはリン酸、亜リン酸及びホスホン酸等が挙げられる。
【0016】
2種以上の活性水素基を有する化合物としては、分子内に2種以上の活性水素基(水酸基、アミノ基、カルボキシル基、チオール基及びリン酸基等)を有する化合物であり、アルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等)、アミノ酸(アスパラギン酸等)及びヒドロキシカルボン酸(クエン酸等)等が挙げられる。
【0017】
活性水素基含有化合物(J)としては、応力緩和の低減の観点から、多価アルコール、アミノ基含有化合物及び2種以上の活性水素基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、さらに好ましくは多価アルコールであり、特に好ましくはエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン及びペンタエリスリトールからなる群より選ばれる少なくとも1種である。
【0018】
アルキレンオキサイド(K)としては、C2〜6のアルキレンオキサイド(以下において、AOと略記することがある)が好ましく用いられ、例えば、エチレンオキサイド(以下において、EOと略記することがある)、1,2−プロピレンオキサイド(以下において、POと略記することがある)、1,3−プロピレオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド及び1,4−ブチレンオキサイド等が挙げられる。
アルキレンオキサイド(K)としては、軟質ポリウレタンフォームの機械物性の観点から、PO、EO及び1,2−ブチレンオキサイドからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、さらに好ましくはPO及び/又はEOである。
本発明において、アルキレンオキサイドを2種以上使用する場合(例えば、PO及びEO)の付加方法としては、ブロック付加であってもランダム付加であってもよく、これらの併用であってもよい。
【0019】
ポリエーテルポリオール(A11)としては、応力緩和の低減の観点から、多価アルコール及び/又はアミノ基含有化合物のAO付加物が好ましく、さらに好ましくはプロピレングリコールのPO付加物、グリセリンのPO付加物、グリセリンのPOEO付加物及びペンタエリスリトールのPOEO付加物からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
【0020】
ポリエーテルポリオール(A11)の重量平均分子量(以下においてMwと略記することがある)は、軟質ポリウレタンフォームの機械物性の観点から、3000〜10000が好ましく、さらに好ましくは5000〜7000である。
なお、Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、後述する条件により測定した値を意味する。
【0021】
ポリエーテルポリオール(A11)の官能基数は、軟質ポリウレタンフォームの成形性及び圧縮永久歪み率の観点から、2〜8が好ましく、さらに好ましくは2〜4であり、特に好ましくは3又は4である。
なお、本発明において、ポリエーテルポリオール(A11)の官能基数(水酸基数と同義である)は、上記活性水素含有化合物(J)の有する活性水素の数と同一であるとみなす。
【0022】
ポリエーテルポリオール(A11)として複数種類用いる場合、ポリエーテルポリオール(A11)の数平均官能基数は、軟質ポリウレタンフォームの成形性及び圧縮永久歪み率の観点から、2〜8が好ましく、さらに好ましくは2〜4であり、特に好ましくは3〜4である。
【0023】
ポリエーテルポリオール(A11)の水酸基あたりの数平均分子量(Mn/水酸基数)は750〜2500であるが、軟質ポリウレタンフォームの機械物性の観点から、1250〜2500が好ましく、さらに好ましくは1500〜2500である。
ポリエーテルポリオール(A11)の水酸基あたりの数平均分子量が上記範囲であることで、軟質ポリウレタンフォームの反発弾性及び伸び率等の機械物性を適度な範囲に調整することができる。
なお、水酸基あたりの数平均分子量は、下記式により算出される。
水酸基あたりの数平均分子量={56100/水酸基価}
【0024】
ポリエーテルポリオール(A11)の水酸基価(mgKOH/g)は、軟質ポリウレタンフォームの耐久性及び反発弾性の観点から、24〜40が好ましく、さらに好ましくは24〜35である。
なお、本発明において、水酸基価(mgKOH/g)は、試料1gを中和するのに相当するKOHのmgであって、”56100/水酸基1個当たりの分子量”を意味する。なお、ここで56100はKOH1モルのmg数を示している。水酸基価の測定方法は、上記定義の値を測定できる方法であれば公知の方法でよく、特に限定されないが、例えばJIS K1557−1に記載の方法が挙げられる。
【0025】
ポリエーテルポリオール(A11)の末端水酸基の1級水酸基比率は、軟質ポリウレタンフォームの硬化性の観点から、40〜90%であることが好ましく、さらに好ましくは70〜90%である
本発明において、末端水酸基の1級水酸基比率は、予め試料をエステル化の前処理をした後に
1H−NMR法により求める。
1H−NMR法の詳細を以下に具体的に説明する。
<試料調整法>
測定試料約30mgを直径5mmの
1H−NMR用試料管に秤量し、約0.5mlの重
水素化溶媒を加え溶解させる。その後、約0.1mlの無水トリフルオロ酢酸を添加し25℃で約5分間放置して、ポリオールをトリフルオロ酢酸エステルとし、分析用試料とする。
ここで重水素化溶媒とは、重水素化クロロホルム、重水素化トルエン、重水素化ジメチルスルホキシド、重水素化ジメチルホルムアミド等であり、試料に溶解させることができる溶媒を適宜選択する。
<NMR測定>
一般的な条件で
1H−NMR測定を行う。
<末端水酸基の1級水酸基比率の計算方法>
1級水酸基の結合したメチレン基由来の信号は4.3ppm付近に観測され、2級水酸基の結合したメチン基由来の信号は5.2ppm付近に観測されるから、末端水酸基の1級水酸基比率は下数式(1)により算出する。
1級水酸基比率(%)=〔r/(r+2s)〕×100 (1)
r:4.3ppm付近の1級水酸基の結合したメチレン基由来の信号の積分値
s:5.2ppm付近の2級水酸基の結合したメチン基由来の信号の積分値
【0026】
ポリエーテルポリオール(A11)中のエチレンオキシ(EOと略記する)単位の含有量がポリエーテルポリオール(A11)の重量を基準として20重量%以下であり、軟質ポリウレタンフォームの成形性及び機械物性の観点から、10〜15重量%であることが好ましい。
EO単位の含有量が上記範囲であることで、軟質ポリウレタンフォームの反発弾性及び伸び率等の機械物性を適度な範囲に調整することができる。
【0027】
ポリエーテルポリオール(A11)全体の総不飽和度の重量平均値は0.022〜0.053meq/gであるが、ヒステリシスロス率の観点から0.03〜0.051meq/gが好ましい。
総不飽和度の重量平均値が0.022meq/g未満であると、ヒステリシスロス率が低くなりすぎる。また、0.053meq/gよりも大きいと、応力緩和が増大する。
総不飽和度は、製造するときに起こる副反応により生成する不飽和基含有生成物に由来するものであり、副反応の起こりやすい触媒(例えば水酸化カリウム等)を触媒として活性水素含有化合物(J)にAO付加することにより大きくすることができ、副反応の起こりにくい触媒(例えば水酸化セシウム等)を触媒として活性水素含有化合物にAO付加することにより小さくすることができる。
【0028】
(A11)全体の総不飽和度の重量平均値は、(A)中に(A11)が1種である場合は(A11)の総不飽和度を意味し、(A)中に(A11)として複数種類含む場合、各ポリエーテルポリオール(A11)の総不飽和度及び各ポリエーテルポリオール(A11)の含有量(重量%)から、下記式によって算出される。
(A11)全体の総不飽和度の重量平均値(meq/g)=[Σ{各(A11)の総不飽和度(meq/g)}×{各(A11)の含有量(重量%)}]×0.01
なお、(A11)の総不飽和度は、無水トリフルオロ酢酸(TFA)でアセチル化処理したポリエーテル及びアセチル化処理をしないポリエーテルをそれぞれ
1H−NMR測定し
、JIS K1557−3:2007に準拠して測定される。
【0029】
本発明のポリオール成分(A)は、ポリエーテルポリオール(A1)以外に、エチレン性不飽和化合物(F)を構成単量体とする重合体微粒子を含むポリマーポリオール(N)を含有する。
この重合体微粒子の含有量は、ポリオール成分(A)の重量を基準として10〜20重量%である。
エチレン性不飽和化合物(F)としては、スチレン(以下において、Stと略記することがある)、アクリロニトリル(以下において、ACNと略記することがある)、その他のエチレン性不飽和化合物(f)等が使用できる。
エチレン性不飽和化合物(F)としては、St及び/又はACNを必須成分とすることが好ましく、さらに好ましくはACNを必須成分とすることである。
【0030】
(F)中のStの含有量(重量%)は、軟質ポリウレタンフォームの硬さの観点から、(F)の合計重量を基準に0〜51が好ましく、さらに好ましくは9〜49、次にさらに好ましくは18〜43、最も好ましくは22〜34である。
【0031】
ACNの含有量(重量%)は、軟質ポリウレタンフォームの硬さの観点から、(F)の合計重量を基準に49〜100が好ましく、さらに好ましくは51〜91、次にさらに好ましくは57〜82、最も好ましくは66〜78である。
【0032】
StとACNとの重量比(St/ACN)は、軟質ポリウレタンフォームの硬さの観点から、0/100〜51/49が好ましく、さらに好ましくは43/57〜18/82、最も好ましくは22/78〜34/66である。
【0033】
その他のエチレン性不飽和化合物(f)としては、C2以上かつ数平均分子量{以下においてMnと略記する。また、Mnの測定はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による。}1,000未満のもので、St及び/又はACNと共重合可能なものであれば特に制限はなく、下記に示す1官能のもの{不飽和ニトリル(f1)、芳香環含有モノマー(f2)、(メタ)アクリル酸エステル(f3)、α−アルケニル基含有化合物のポリオキシアルキレンエーテル及び水酸基を有する不飽和エステルのAO付加物(f4)並びにその他のエチレン性不飽和モノマー(f5)}及び多官能モノマー(f6)等が使用できる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0034】
(f1)としてはメタクリロニトリル等が挙げられる。
(f2)としてはα−メチルスチレン、ヒドロキシスチレン及びクロルスチレン等が挙げられる。
(f3)としては、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート及びドコシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(アルキル基がC1〜24);ヒドロキシポリオキシアルキレン(アルキレン基がC2〜8)モノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステル及び/又はメタアクリル酸エステルを意味する。以下における(メタ)アクリル酸及び(メタ)アリル等についても同様の表記法を用いる。
【0035】
(f4)のα−アルケニル基含有化合物の(ポリ)オキシアルキレンエーテルとしては、C3〜24の不飽和アルコールのAO付加物が挙げられ、不飽和アルコールとしては、末端不飽和アルコールが好ましく用いられる。末端不飽和アルコールとしては、アリルアルコール、2−ブテン−1−オール、3−ブテン−2−オール、3−ブテン−1−オール及び1−ヘキセン−3−オール等が挙げられる。
水酸基を有する不飽和エステルのAO付加物としては、C3〜24の水酸基を有する不飽和エステルのAO付加物が挙げられ、水酸基を有する不飽和化合物エステルとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0036】
上記AOとしては、C2〜12のものが挙げられ、例えばEO、PO、BO、テトラヒドロフラン(以下THFと略記)並びにこれらの2種以上の併用(ランダム付加及び/又はブロック付加)が挙げられる。AOとしては、分散安定性及び粘度の観点から、好ましくはPO及び/又はEOである。
AOの付加モル数は、分散安定性及び粘度の観点から、1〜9が好ましく、さらに好ましくは1〜6、次にさらに好ましくは1〜3である。
【0037】
その他のエチレン性不飽和モノマー(f5) としては、C2〜24のエチレン性不飽
和モノマーが好ましく、(メタ)アクリル酸等のビニル基含有カルボン酸;エチレン及びプロピレン等の脂肪族炭化水素モノマー;パーフルオロオクチルエチルメタクリレート及びパーフルオロオクチルエチルアクリレート等のフッ素含有ビニルモノマー;ジアミノエチルメタクリレート及びモルホリノエチルメタクリレート等の窒素含有ビニルモノマー;ビニル変性シリコーン;ノルボルネン、シクロペンタジエン及びノルボルナジエン等の環状オレフィン及び環状ジエン;等が挙げられる。
【0038】
多官能モノマー(f6)としては、C8〜40の多官能モノマーが好ましく、ジビニルベンゼン、エチレンジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキサイドグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル及びトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0039】
(f1)〜(f6)のうち、ポリオール成分(A)の粘度並びに軟質ポリウレタンフォームの物性の観点から、(f3)、(f4)及び(f6)が好ましく、さらに好ましくは(f4)及び(f6)、特に好ましくは末端不飽和アルコールのPO及び/又はEO付加物並びに2官能モノマー、最も好ましくはアリルアルコールのPO付加物及びジビニルベンゼンである。
【0040】
重合体微粒子は、エチレン性不飽和化合物(F)を構成単量体とする重合体微粒子であることが好ましいが、軟質ポリウレタンフォームの硬さの観点から、ポリオール成分(G)中で、エチレン性不飽和化合物(F)を、ラジカル重合開始剤及び分散剤の存在下で重合させて製造した重合体微粒子を含むポリマーポリオール(N)であることがさらに好ましい。
【0041】
ラジカル重合開始剤としては、アゾ化合物及び過酸化物等が使用できる。
【0042】
分散剤としては、Mnが1,000以上(好ましくは1,000〜10,000)のもの、例えばポリマーポリオールの製造で使用されている公知の分散剤{特開2005−162791号公報、特開2004−002800号公報(対応米国特許出願:US2005/245724 A1)に記載のもの}等を使用することができる。
【0043】
重合体微粒子の体積平均粒子径は、ポリオール成分(A)の粘度並びにポリウレタン物性の観点から0.1〜1.5μmが好ましく、さらに好ましくは0.25〜1.2μm、次にさらに好ましくは0.3〜1.1μm、特に好ましくは0.4〜0.9μmである。体積平均粒子径は下記方法により測定される。
【0044】
<体積平均粒子径>
50mlのガラス製ビーカーにメタノール30mlを入れ、ポリオール成分(A)又はポリマーポリオール(N)を約2mg投入し、長径2cm、短径0.5cmのスターラーピースを用いてマグネチックスターラーで400rpm×3分間撹拌、混合して均一液とする。混合後、5分間以内に測定セルに投入し、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置[型番:LA−750、(株)堀場製作所製]を用いて体積基準による体積平均粒子径を測定する。
【0045】
重合体微粒子の形状は特に限定なく、球状、回転楕円体状及び平板状等いずれの形状でもよいが、軟質ポリウレタンフォームの機械物性の観点から、球状が好ましい。
【0046】
ポリオール成分(A)中の重合体微粒子の含有量は、(A)の重量を基準として10〜20重量%である。ポリオール成分(A)中の重合体微粒子の含有量が20重量%より大きい場合、応力緩和が増大し、10重量%より小さい場合、軟質ポリウレタンフォームの硬さが十分に発現できない。
ポリオール成分(A)中の重合体微粒子の含有量は、軟質ポリウレタンフォームの機械物性及びポリオール成分(A)中の重合体微粒子の凝集防止の観点から、ポリオール成分(A)の重量を基準として10〜18重量%が好ましく、さらに好ましくは12〜16重量%である。
ポリオール成分(A)中の重合体微粒子の含有量は、下記の方法で測定される。
【0047】
<重合体微粒子の含有量>
SUS製遠心分離用50ml遠沈管に、ポリオール成分(A)約5gを精秤し、ポリマーポリオール重量(W1)とする。メタノール15gを加えて希釈する。冷却遠心分離機[型番:GRX−220、トミー精工(株)製]を用いて、18,000rpm×60分間、20℃にて遠心分離する。上澄み液をガラス製ピペットを用いて除去する。残留沈降物にメタノール15gを加えて希釈し、上記と同様に遠心分離して上澄み液を除去する操作を、さらに3回繰り返す。遠沈管内の残留沈降物を2,666〜3,999Pa(20〜30torr)で60℃×60分間減圧乾燥し、乾燥した沈降物を重量測定し、該重量を(W2)とする。次式で算出した値を、重合体微粒子の含有量(重量%)とする。
重合体微粒子の含有量(重量%)=(W2)×100/(W1)
【0048】
ポリオール成分(A)中のポリエーテルポリオール(A11)の含有量は、応力緩和の低減の観点から、ポリエーテルポリオール(A11)及び重合体微粒子の合計重量を基準として、75〜90重量%であることが好ましく、80〜90重量%がさらに好ましく、84〜88重量%が特に好ましい。
【0049】
ポリエーテルポリオール(A1)としては、上記(A11)以外のポリエーテルポリオールを含有してもよい。
【0050】
また、ポリオール成分(A)中には、ポリエーテルポリオール(A1)及び重合体微粒子以外に、オキシアルキレン基を有しないその他のポリオール(A2)を含有していてもよい。
【0051】
その他のポリオール(A2)としては、多価アルコール(A21)及びポリエステルポリオール(A22)等が挙げられる。
【0052】
多価アルコール(A21)としては、上述の活性水素含有化合物(J)のうち多価アルコールとして挙げたものが好ましく含まれ、軟質ポリウレタンフォームの機械物性の観点から、さらに好ましくはC2〜10の2〜8価脂肪族アルコールであり、次にさらに好ましくはC3〜C10の3又は4価脂肪族アルコールであり、特に好ましくはグリセリンである。
【0053】
ポリエステルポリオール(A22)としては、前記の多価アルコール(A21)及び/又はポリエーテルポリオール(A1)と、前記ポリカルボン酸、ポリカルボン酸の酸無水物及びポリカルボン酸の低級アルキル(アルキル基はC1〜4)エステル等のエステル形成性誘導体(アジピン酸、セバシン酸、無水マレイン酸、無水フタル酸及びテレフタル酸ジメチル等)との縮合反応物、前記カルボン酸無水物のAO付加物;該縮合反応物のAO付加物;ポリラクトンポリオール[前記多価アルコールを開始剤としてラクトン(C4〜10のものが含まれ、例えばε−カプロラクトン及びδ−バレロラクトン等)を開環重合させることにより得られるもの等];ポリカーボネートポリオール[前記多価アルコールとアルキレンカーボネート(エチレンカーボネート等)との反応物等]等が挙げられる。
【0054】
ポリエステルポリオール(A22)の具体例としては、ポリ(1,4−ブタンジオールアジぺート)、ポリ(1,4−ブタンジオールテレフタレート)、ポリ(エチレングリコールテレフタレート)、ポリ(ジエチレングリコールテレフタレート)、ポリε−カプロラクトンポリオール、等が挙げられる。
ポリエステルポリオール(A22)の中では、難燃性の観点から、芳香族ポリエステルポリオール(A21)が好ましく、さらに好ましくは芳香族ポリエステルジオールであり、特に好ましくはテレフタル酸又はテレフタル酸の低級アルキル(炭素数1〜4)エステルと炭素数2〜20の脂肪族ジオール(特にジエチレングリコール)との縮合反応物である。
ポリエステルポリオール(A22)の数平均分子量(以下、Mnと略記する)は、軟質ポリウレタンフォームの機械物性の観点から、好ましくは150〜3,000であり、さらに好ましくは200〜2,500であり、特に好ましくは250〜1,500である。
なお、ポリエステルポリオール(A32)におけるMnは、後述する活性水素価から換算した分子量である。
【0055】
ポリオール成分(A)中のその他のポリオール(A2)の含有量は、軟質ポリウレタンフォームの機械物性の観点から、(A)の重量を基準として、0〜6重量%が好ましく、さらに好ましくは0.1〜4重量%である。
【0056】
本発明において、ポリオール成分(A)は、上記ポリオール成分(G)中でエチレン性不飽和化合物(F)を重合して製造した重合体微粒子を含有するポリマーポリオール(N)をそのままポリオール成分(A)としてもよく、数種類のポリマーポリオール(N)を混合したものをポリオール成分(A)としてもよく、ポリマーポリオール(N)に、ポリエーテルポリオール(A1)及び/又はその他のポリオール(A3)を混合してポリオール成分(A)としてもよい。
【0057】
ポリオール成分(A)の粘度(mPa・s)は、作業性の観点から、3000mPa・s以下が好ましく、さらに好ましくは2600mPa・s以下、最も好ましくは2200mPa・s以下である。
なお、ポリオール成分(A)の粘度は、ブルックフィールド型粘度計を用いて、25℃でJIS K1557−5:2007記載の方法により測定される。
【0058】
本発明において、ポリイソシアネート成分(B)は、ジフェニルメタンジイソシアネート(以下においてMDI、又はピュアMDIと略記する)及びポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート(以下においてPoly−MDIと略記する)を含有するポリイソシアネート成分(B1)を含有し、イソシアネート基の含有量(以下においてNCO含有量と略記することがある)が20〜30重量%である
【0059】
MDIとしては、4,4−、2,2’−又は2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等が挙げられる。なお、MDIは融点38℃で、常温で固体結晶であり、単独では軟質ウレタンフォームの製造には使いづらい。
一方、Poly−MDIは、ベンゼン環とイソシアネート基とを3つ以上ずつ含む多核体と、市販のPoly−MDIに含まれる少量の不純物(イソシアネート2量体、メチル化物、塩素化物、カルボジイミド及びウレトンイミン化合物)からなるものが含まれる。常温では液体である。
【0060】
ポリイソシアネート成分(B)のイソシアネート基の含有量が20重量%未満であると、ヒステリシスロス率を適度な範囲に調整することができない。また、30重量%より多いと、応力緩和を低減することができない。
ポリイソシアネート成分(B)において、イソシアネート基の含有量は、適度なヒステリシスロス率及び応力緩和の低減の観点から、20〜30重量%が好ましく、さらに好ましくは24〜29重量%である。
イソシアネート基の含有量(重量%)は、例えば、JISK1603−1に準拠して測定される。
【0061】
ポリイソシアネート成分(B1)としては、MDI(B11)とPoly−MDI(B12)を併用することが必要で、適度なヒステリシスロス率と応力緩和の低減の両立の観点から、好ましくは (B11)/(B12)の重量比で50/50〜85/15で、さらに好ましくは60/40〜80/20である。
【0062】
ポリイソシアネート成分(B)は、さらに、ポリエーテルポリオール(b)を含有するポリオール成分(A2)をポリイソシアネートでウレタン変性したイソシアネート末端プレポリマ−(B2)を含有するのが好ましい。
イソシアネート末端ウレタン変性ポリイソシアネートは1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0063】
ポリエーテルポリオール(b)としては、エチレングリコールのEOPO付加物、プロピレングリコールEOPO付加物及びグリセリンのEOPO付加物等が挙げられる。
ポリエーテルポリオール(b)中のEO単位の含有量は、軟質ポリウレタンフォームの成形性の観点から、ポリエーテルポリオール(b)の重量を基準として、10〜20重量%が好ましく、さらに好ましくは12〜16重量%である。
ポリエーテルポリオール(b)の重量平均分子量は、軟質ポリウレタンフォームの成形性及び適度なヒステリシスロス率と応力緩和の低減の両立の観点から、2000〜8000が好ましく、さらに好ましくは3000〜7000である。
ポリエーテルポリオール(b)の官能基数は、軟質ポリウレタンフォームの成形性及び適度なヒステリシスロス率と応力緩和の低減の両立の観点から、2〜8が好ましく、さらに好ましくは3〜6である。
【0064】
本発明の軟質ポリウレタンフォームは、ポリオール成分(A)とポリイソシアネート成分(B)とを含有する原料を反応させてなる軟質ポリウレタンフォームであるが、必要によりさらに原料中に触媒(C)を含有していてもよい。つまり、ポリオール成分(A)とポリイソシアネート成分(B)を反応させる際に、触媒(C)を含む原料中で反応させて軟質ポリウレタンフォームを製造してもよい。
触媒(C)としては、ウレタン化反応を促進する触媒を使用でき、3級アミン{トリエチレンジアミン、N−エチルモルフォリン、ジエチルエタノールアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ジアミノビシクロオクタン、1,2−ジメチルイミダゾール、1−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−ウンデセン−7、ビス(N,N−ジメチルアミノ−2−エチル)エーテル及びN,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン等}、及び/又はカルボン酸金属塩(酢酸カリウム、オクチル酸カリウム、オクチル酸第一スズ、ジラウリル酸ジブチル第二スズ及びオクチル酸鉛等)等が挙げられる。
触媒(C)の使用量は、反発弾性の観点から、軟質ウレタンフォーム製造時に使用するポリオール成分(A)の重量に基づいて、0.01〜5.0重量%が好ましく、さらに好ましくは0.05〜2.0重量%である。
【0065】
本発明の軟質ポリウレタンフォームは、ポリオール成分(A)とポリイソシアネート成分(B)とを含有する原料を反応させてなる軟質ポリウレタンフォームであるが、必要によりさらに原料中に発泡剤(E)を含有していてもよい。つまり、ポリオール成分(A)とポリイソシアネート成分(B)を反応させる際に、発泡剤(E)を含む原料中で反応させて軟質ポリウレタンフォームを製造してもよい。
発泡剤(E)としては、水、液化炭酸ガス及び沸点が−5〜70℃の低沸点化合物が含まれる。(E)は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
低沸点化合物には、水素原子含有ハロゲン化炭化水素及び低沸点炭化水素等が含まれる。 水素原子含有ハロゲン化炭化水素及び低沸点炭化水素の具体例としては、塩化メチレン、HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)(HCFC−123、HCFC−141b及びHCFC−142b等);HFC(ハイドロフルオロカーボン)(HFC−152a、HFC−356mff、HFC−236ea、HFC−245ca、HFC−245fa及びHFC−365mfc等)、ブタン、ペンタン及びシクロペンタン等が挙げられる。
【0066】
発泡剤(E)としては、軟質ポリウレタンフォームの成形性の観点から、水及び低沸点化合物が好ましく、さらに好ましくは水である。
【0067】
発泡剤(E)として、水の使用量は、反発弾性の観点から、軟質ポリウレタンフォーム製造時に使用するポリオール成分(A)の重量に基づいて、1.0〜8.0重量%が好ましく、さらに好ましくは1.5〜4.0重量%である。
低沸点化合物の使用量は、成形不良の観点から、ポリオール成分(A)の重量に基づいて、30重量%以下が好ましく、さらに好ましくは5〜25重量%である。
液化炭酸ガスは、ポリオール成分(A)の重量に基づいて、30重量%以下が好ましく、さらに好ましくは1〜25重量%である。
【0068】
本発明の軟質ポリウレタンフォームには、必要により、さらに原料中に整泡剤(D)を含んでもよい。つまり、ポリオール成分(A)とポリイソシアネート成分(B)を反応させる際に、整泡剤(D)を含む原料中で反応させて軟質ポリウレタンフォームを製造してもよい。
整泡剤(D)としては、一般的にポリウレタンフォームの製造に用いられるものを使用でき、ジメチルシロキサン系整泡剤[東レ・ダウコーニング(株)製の「SRX−253」、「PRX−607」等]及びポリエーテル変性ジメチルシロキサン系整泡剤[東レ・ダウコーニング(株)製の「SZ−1142」、「SF−2904」、「SRX−294A」、「SH−193」、「SZ−1720」、「SZ−1675t」、「SF−2936F」、「SF−2904」、日本ユニカー(株)製の「L−540」、「L−3601」、及びEVONIK社製「B4900」、「B8742LF2」、「B8715LF2」等]等が挙げられる。
整泡剤(D)の使用量は、反発弾性の観点から、ポリオール成分(A)の重量に基づいて、0.3〜5.0重量%が好ましく、さらに好ましくは0.4〜3.0重量%である。
【0069】
本発明の軟質ポリウレタンフォームには、必要により、さらに原料中に以下に述べるその他の助剤を含有していてもよい。
その他の助剤としては、着色剤(染料及び顔料)、可塑剤(フタル酸エステル及びアジピン酸エステル等)、有機充填剤(合成短繊維、熱可塑性又は熱硬化性樹脂からなる中空微小球等)、難燃剤(リン酸エステル及びハロゲン化リン酸エステル等)、老化防止剤(トリアゾール及びベンゾフェノン等)、酸化防止剤(ヒンダードフェノール及びヒンダードアミン等)等の公知の補助成分が挙げられる。
【0070】
これら助剤の添加量としては、ポリオール成分(A)の重量に基づいて、着色剤は、1重量%以下が好ましい。可塑剤は、10重量%以下が好ましく、さらに好ましくは5重量%以下である。有機充填剤は、50重量%以下が好ましく、さらに好ましくは30重量%以下である。難燃剤は、30重量%以下が好ましく、さらに好ましくは2〜20重量%である。老化防止剤は、1重量%以下が好ましく、さらに好ましくは0.01〜0.5重量部である。酸化防止剤は、1重量%以下が好ましく、さらに好ましくは0.01〜0.5重量%である。
【0071】
本発明の軟質ポリウレタンフォームを製造する際に用いるポリイソシアネート成分(B)のイソシアネート指数(インデックス)[(NCO基/活性水素原子含有基)の当量比×100]は、反発弾性の観点から、70〜120が好ましく、さらに好ましくは75〜115、特に好ましくは80〜110である。
【0072】
本発明の軟質ポリウレタンフォームを得るための製造方法の具体例の一例を示せば、下記の通りである。
まず、ポリオール成分(A)、触媒(C)、発泡剤(E)、並びに必要により整泡剤(D)及びその他の助剤を所定量混合する。
次いでポリウレタンフォーム発泡機又は攪拌機を使用して、この混合物とポリイソシアネート成分(B)とを急速混合する。得られた混合液(発泡原液)を連続発泡して軟質ポリウレタンフォームを得ることができる。また、密閉型又は開放型のモールド(金属製又は樹脂製)に注入し、ウレタン化反応を行わせ、所定時間硬化後、脱型して軟質ポリウレタンフォームを得ることもできる。
【0073】
本発明の軟質ポリウレタンフォームは、自動車等の車両座席用クッション、家具や寝具用枕、寝具用マットレス、衣料用等に使用でき、特に自動車等の車両座席用クッション材として好ましく用いることができる。
【実施例】
【0074】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。なお、以下において、部は重量部を意味する。
【0075】
製造例1 <ポリマーポリオール(N−1)の製造>
ペンタエリスリトールに水酸化カリウムを触媒として用いてPOを付加し、次いでEOをブロック付加し、官能基数4、水酸基あたりの数平均分子量1753、水酸基価32mgKOH/g、末端EO単位の含有量12重量%、末端水酸基の1級水酸基率75%、不飽和度0.08meq/gのポリエーテルポリオール(A11−3)を得た。
グリセリンに水酸化カリウムを触媒として用いてPOを付加し、次いでEOをブロック付加し、官能基数3、水酸基あたりの数平均分子量1650、水酸基価34mgKOH/g、末端EO単位の含有量14重量%、末端水酸基の1級水酸基率82%、不飽和度0.07meq/gのポリエーテルポリオール(A11−4)を得た。
ポリエーテルポリオール(A11−3)とポリエーテルポリオール(A11−4)の混合物(重量比:20/80)中で、スチレンとアクリロニトリル(重量比:30/70)を共重合させた重合体微粒子を含むポリマーポリオール(N−1)を得た。重合体微粒子の含有量33.5重量%、重合体微粒子の体積平均粒子径0.4μmであった。
【0076】
製造例2 <ポリマーポリオール(N−2)の製造>
ペンタエリスリトールに水酸化セシウムを触媒として用いてPOを付加し、次いでEOをブロック付加し、官能基数4、水酸基あたりの数平均分子量1753、水酸基価32mgKOH/g、末端EO単位の含有量12重量%、末端水酸基の1級水酸基率75%、不飽和度0.03meq/gのポリエーテルポリオール(A11−5)を得た。
グリセリンに水酸化カリウムを触媒として用いてPOを付加し、次いでEOをブロック付加し、官能基数3、水酸基あたりの数平均分子量1650、水酸基価34mgKOH/g、末端EO単位の含有量14重量%、末端水酸基の1級水酸基率82%、不飽和度0.07meq/gのポリエーテルポリオール(A11−4)を得た。
ポリエーテルポリオール(A11−5)とポリエーテルポリオール(A11−4)の混合物(重量比:20/80)中で、スチレンとアクリロニトリル(重量比:30/70)を共重合させた重合体微粒子を含むポリマーポリオール(N−2)を得た。
重合体微粒子の含有量33.5重量%、重合体微粒子の体積平均粒子径0.4μmであった。
【0077】
製造例3 <イソシアネート末端プレポリマー(B2−1)の製造>
攪拌機、温度計、冷却器及び窒素ガス導入管のついた容量18Lの反応器に、グリセリンに水酸化カリウムを触媒として用いてPOを付加し、次いでEOを付加させてポリエーテルポリオール(b−1)を得た。
得られた(b−1)(水酸基価28mgKOH/g、末端EO単位の含有量16重量%、末端水酸基の1級水酸基率85%、不飽和度0.08meq/g)を9150重量部仕込み、40℃まで昇温した後、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI、NCO含有量=33.6重量%、東ソー株式会社製「ミリオネート MT」)を2335g仕込み、100℃まで昇温を行った。
温度を維持したまま攪拌羽根で均一に混合しながら1時間ウレタン化反応を行い、末端イソシアネート基のウレタンプレポリマー(B2−1)を得た。
【0078】
製造例4 <イソシアネート(B−1)の製造>
製造例3で得られたイソシアネート末端ウレタンプレポリマー(B2−1)3450重量部と、「コロネート 1331」(MDIとPoly−MDIが重量比で76/24の混合物、NCO含有量=32.3重量%、東ソー株式会社製)を11550重量部を容器に仕込み、30分間攪拌後、イソシアネート(B−1)(NCO基の含有量25.9重量%)を得た。
【0079】
製造例5 <イソシアネート(B−2)の製造>
製造例3で得られたイソシアネート末端ウレタンプレポリマー(B2−1)9110重量部と、「コロネート 1331」(MDIとPoly−MDIが重量比で76/2
4の混合物、NCO含有量=32.3重量%、東ソー株式会社製)を11550重量部を容器に仕込み、30分間攪拌後、イソシアネート(B−2)(NCO基の含有量20.2重量%)を得た。
【0080】
製造例6<イソシアネート(B−3)の製造>
製造例3で得られたイソシアネート末端ウレタンプレポリマー(B2−1)1160重量部と、「コロネート 1331」(MDIとPoly−MDIが重量比で76/2
4の混合物、NCO含有量=32.3重量%、東ソー株式会社製)を11550重量部を容器に仕込み、30分間攪拌後、イソシアネート(B−3)(NCO基の含有量29.8重量%)を得た。
【0081】
比較製造例1 <イソシアネート(B’−1)の製造>
製造例3で得られたイソシアネート末端ウレタンプレポリマー578重量部と、「コロネート 1331」(MDIとPoly−MDIが重量比で76/2
4の混合物、NCO含有量=32.3重量%、東ソー株式会社製)を11550重量部を容器に仕込み、30分間攪拌後、イソシアネート(B’−1)(NCO基の含有量31.0重量%)を得た。
【0082】
比較製造例2 <イソシアネート(B’−2)の製造>
製造例3で得られたイソシアネート末端ウレタンプレポリマー(B2−1)10973重量部と、「コロネート 1331」(MDIとPoly−MDIが重量比で76/2
4の混合物、NCO含有量=32.3重量%、東ソー株式会社製)を11550重量部を容器に仕込み、30分間攪拌後、イソシアネート(B’−2)(NCO基の含有量19.0重量%)を得た。
【0083】
比較製造例3 <イソシアネート(B’−3)>
ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI、NCO含有量=33.6重量%、東ソー株式会社製、「ミリオネート MT」)をそのままイソシアネート(B’−3)として用いた。
【0084】
表1の実施例および比較例に記載した記号のポリウレタンフォーム原料は次の通りである。
(1)ポリエーテルポリオール(A11−1):グリセリンに水酸化セシウムを触媒として用いてPOを付加し、次いでEOを付加させて得られた、官能基数3、水酸基あたりの数平均分子量2338、水酸基価24mgKOH/g、末端EO単位の含有量14重量%、末端水酸基の1級水酸基率85%、不飽和度0.03meq/gのポリエーテルポリオール。
(2)ポリエーテルポリオール(A11−2):グリセリンに水酸化カリウムを触媒として用いてPOを付加し、次いでEOを付加させて得られた、官能基数3、水酸基あたりの数平均分子量2004、水酸基価28mgKOH/g、末端EO単位の含有量16重量%、末端水酸基の1級水酸基率85%、不飽和度0.08meq/gのポリエーテルポリオール。
(3)ポリエーテルポリオール(A11−6):グリセリンに水酸化セシウムを触媒として用いてPOを付加し、次いでEOを付加させて得られた、官能基数3、水酸基あたりの数平均分子量2004、水酸基価28mgKOH/g、末端EO単位の含有量16重量%、末端水酸基の1級水酸基率85%、不飽和度0.02meq/gのポリエーテルポリオール。
(4)ポリエーテルポリオール(A13−1):ソルビトールのEO付加物(水酸基価=1055mgKOH/g)。
(5)ポリエーテルポリオール(A14−1):グリセリンのEO・POランダム付加物(EO単位含量72重量%、水酸基価24mgKOH/g)
(6)ポリオール(A31−1):グリセリン(水酸基価=1829mgKOH/g)。
(7)ウレタン化触媒(C−1):エアプロダクツジャパン(株)製「DABCO−33LV」(トリエチレンジアミンの33重量%ジプロピレングリコール溶液)。
(8)ウレタン化触媒(C−2):東ソー(株)製「TOYOCAT ET」(ビス(ジメチルアミノエチル)エーテルの70重量%ジプロピレングリコール溶液)。
(9)整泡剤(D−1):エボニック(株)製「TEGOSTAB B8742LF2」(ポリシロキサン系整泡剤)。
(10)発泡剤(E−1):水。
【0085】
<実施例1〜8、比較例1〜6>
表1に示す部数のポリオールプレミックスと、表1に示すイソシアネート指数となるポリイソシアネート成分(B)とを、下記の発泡条件により軟質ポリウレタンフォームを直方体の金型内で発泡してフォームを形成後、金型から取り出し一昼夜放置(23±2℃、湿度50±5%)後の軟質ポリウレタンフォーム諸物性を測定した。各物性の測定値も表1にそれぞれ記載した。
【0086】
(発泡条件[1])(直方体金型)
金型サイズ:400mm×400mm×100mm(高さ)
金型温度:65℃
金型材質:アルミ
ミキシング方法:高圧ウレタン発泡機(PEC社製)を用いて、ポリオールプレミックスとポリイソシアネート成分(B)とを16MPaで混合。
【0087】
【表1】
【0088】
フォーム物性の測定方法及び単位を以下に示す。
(1)フォーム硬さ(25%圧縮硬さ):JIS K6400に準拠、単位はN/314cm
2。なお、乗り心地が良好である範囲は、250〜280N/314m
2である。
(2)ヒステリシスロス率(%):JIS K6400に準拠。なお、25〜29%で振動吸収特性及び乗り心地が良好である。
【0089】
(3)応力緩和(%):直径200mmの円形加圧板で、50mm/分の速度でウレタンフォームの初期厚みの75%の距離を圧縮した。その後、荷重を除き、1分間放置した。再び同じ速度にて荷重をかけて、196N(20kgf)の負荷となった時点で加圧板を停止させ、5分間放置後の加重を読み取った。そして、下記式により、応力緩和を算出した。なお、数値が小さいほど着座時の姿勢安定性が良好となるものであり、15%以下であると乗り心地が良好である。
応力緩和(%)=100×[加圧板停止時の加重(196N)−5分間放置後の加重(N)]/加圧板停止時の加重(196N)
【0090】
(4)反発弾性(%):JIS K6400に準拠。
【0091】
表1の結果から、本発明の実施例1〜8の軟質ポリウレタンフォームは、25%圧縮硬さが250〜280N/314cm
2であるときのヒステリシスロス率が25〜〜29%の範囲の値であり、応力緩和も15%以下であり、25%圧縮硬さが250〜280N/314cm
2時に適度なヒステリシスロス率を有し、かつ、応力緩和を低減できていることがわかる。
【0092】
一方、重合体微粒子の含有量が20重量%を超え、ポリエーテルポリオール(A11)全体の総不飽和度の重量平均値が0.053meq/gを超える比較例1は、実施例1〜7と密度が同程度である場合において、25%圧縮硬さが280N/314cm
2よりも大きくなり、ヒステリシスロス率も29%を超え、応力緩和も15%を超えた。
また、重合体微粒子を含まない比較例2は、25%圧縮硬さが250N/314cm
2よりも小さくなり、ヒステリシスロス率も25%未満であった。
また、ポリイソシアネート成分(B)中のイソシアネート基の含有量が30重量%を超える比較例3は、25%圧縮硬さが280N/314cm
2よりも大きくなり、ヒステリシスロス率が29%を超え、応力緩和も15%を超えた。
また、ポリイソシアネート成分(B)中のイソシアネート基の含有量が20重量%未満の比較例4はヒステリシスロス率が25%未満であった。
また、重合体微粒子の含有量が10重量%未満である比較例5は、25%圧縮硬さが250N/314cm
2よりも小さくなり、ヒステリシスロス率も25%未満であった。
また、ポリイソシアネート成分(B)として常温で固状のジフェニルメタンジイソシアネートを加熱溶融して用いた比較例6は、均一なフォームがうまくできなかった。