特許第6818013号(P6818013)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6818013
(24)【登録日】2021年1月4日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】LED駆動回路
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/3577 20200101AFI20210107BHJP
   H05B 45/20 20200101ALI20210107BHJP
   H05B 45/40 20200101ALI20210107BHJP
【FI】
   H05B45/3577
   H05B45/20
   H05B45/40
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-510644(P2018-510644)
(86)(22)【出願日】2017年4月5日
(86)【国際出願番号】JP2017014285
(87)【国際公開番号】WO2017175806
(87)【国際公開日】20171012
【審査請求日】2020年2月26日
(31)【優先権主張番号】特願2016-75727(P2016-75727)
(32)【優先日】2016年4月5日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100161089
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 良一
(72)【発明者】
【氏名】後藤 聡
(72)【発明者】
【氏名】山田 達郎
【審査官】 田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/039457(WO,A1)
【文献】 特開2014−146595(JP,A)
【文献】 特表2014−516452(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調光に連動して出力が変化する電源に接続された整流回路と、
前記整流回路に接続され、かつ複数のLEDが直列に接続された第1LED列と、
前記整流回路に対して前記第1LED列と並列に接続され、かつ複数のLEDが直列に接続された第2LED列と、
前記第2LED列と直列に接続され、かつ複数のLEDが直列に接続された第3LED列と、
前記第2LED列と前記第3LED列との間に一端が接続され、かつ複数のLEDが直列に接続された第4LED列と、
前記第1LED列を流れる電流を制限する第1電流制限部と、
前記第2及び第4LED列を流れる電流を制限する第2電流制限部と、を備え、
前記第1LED列に含まれる前記複数のLEDは、前記第2及び第3LED列に含まれる前記複数のLEDよりも低い色温度で発光し、
前記第1LED列が発光するための第1閾値電圧は、前記第2及び第4LED列が発光するための第2閾値電圧よりも小さく、
前記第2閾値電圧は、前記第2及び第3LED列が発光するための第3閾値電圧よりも小さい、
ことを特徴とするLED駆動回路。
【請求項2】
前記第1電流制限部は、前記整流回路の出力電圧が第1範囲内にあるときに、前記第1LED列を流れる電流を制限し、
前記第2電流制限部は、前記出力電圧が前記第1範囲よりも高い第2範囲内にあるときに、前記第2及び第4LED列を流れる電流を制限し、
前記整流回路の電流出力端子は、前記第1及び第2LED列のアノードに接続し、
前記第1LED列のカソードは、前記第1電流制限部の電流入力端子に接続し、
前記第2LED列のカソードは、前記第3及び第4LED列のアノードに接続し、
前記第3LED列のカソード並びに前記第1及び第2電流制限部の電流出力端子は、直接又は回路素子を介して前記整流回路の電流が戻る端子に接続し、
前記第4LED列のカソードは、前記第2電流制限部の電流入力端子に接続している、請求項1に記載のLED駆動回路。
【請求項3】
前記第1電流制限部は、第1スイッチ素子及び第1電流検出素子を有し、
前記第2電流制限部は、第2スイッチ素子及び第2電流検出素子を有し、
前記第3LED列のカソードは、直接又は回路素子を介して前記第2電流検出素子に接続し、
前記第2電流制限部の電流出力端子は、前記第1電流検出素子に接続し、
前記第1電流制限部の電流出力端子は、前記整流回路の電流が戻る端子に接続している、請求項2に記載のLED駆動回路。
【請求項4】
前記第3LED列のカソードは、第3スイッチ素子及び第3電流検出素子を有する第3電流制限回路を介して前記第2電流検出素子に接続している、請求項3に記載のLED駆動回路。
【請求項5】
前記整流回路の電流出力端子と前記第2LED列のアノードの間に挿入された逆流防止用ダイオードと、
前記第2LED列と並列接続されたコンデンサと、
をさらに備える、請求項3又は4に記載のLED駆動回路。
【請求項6】
前記第1スイッチ素子と前記第1電流検出素子の間又は前記第2スイッチ素子と前記第2電流検出素子の間に接続された抵抗をさらに有する、請求項3〜5のいずれか一項に記載のLED駆動回路。
【請求項7】
前記第2LED列を流れる電流が前記第1スイッチ素子をカットオフし、前記第3LED列を流れる電流が前記第2スイッチ素子をカットオフする、請求項3〜6のいずれか一項に記載のLED駆動回路。
【請求項8】
前記第1電流制限部は、前記出力電圧が前記第1範囲内にあるときに導通する第1スイッチであり、
前記第2電流制限部は、前記出力電圧が前記第2範囲内にあるときに導通する第2スイッチである、請求項2に記載のLED駆動回路。
【請求項9】
前記第4LED列に含まれる前記複数のLEDは、前記第2及び第3LED列に含まれる前記複数のLEDよりも低い色温度で発光する、請求項1〜8のいずれか一項に記載のLED駆動回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調光に連動して発光色が変化するLED駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
商用交流電源と白熱電球の間に調光器を挿入し、白熱電球の発光量を調節することが古くから行われている。この調光器は、トライアックを含み、商用交流電源の交流波形の一部を切り取るようにして実効値を調整している。調光に際し白熱電球には、明るくすると色温度が高くなり、暗くすると色温度が低くなるという発光特性がある。このような発光特性が一般に好まれるため、白熱電球からLED(発光ダイオード)を光源とするLED電球への置き換えが進むなかで、白熱電球の発光特性を模したLED照明装置が上市されるようになった。
【0003】
任意の強度で任意の発光色を得るには、赤色で発光する光源と緑色で発光する光源と青色で発光する光源とを準備すれば良い。このような光源にデジタル制御可能な電源などを付加すれば、様々な強度で様々な発光色が得られる。調光に連動して調色を行うには、このような照明システムを組み、調光度合に応じて各光源の発光強度を調整すれば良い。しかしながら、このような原則通り照明システムを構成すると、回路規模が大きくなり無駄が多くなる。そこで、変化できる発光色を色温度で表せる範囲内に限定し、調光度合に応じて色温度を調整するようにすれば、照明システムを小規模化できる。すなわち、高い色温度の白色光源と低い色温度の白色光源とを準備し、調光度合に応じてアナログ制御でそれぞれの光源の発光強度を変化させれば良い。
【0004】
二つの光源(LEDを直列接続した回路。以下「LED列」と呼ぶ。)をアナログ制御で切り換えるLED駆動回路は、特許文献1の図5−1に示されている。そこで特許文献1の図5−1(図5A)及び図5−1(図5B)を図8、9にそれぞれ再掲示し、その回路構成及び動作並びに調光に応じて調色できるようにする手法を説明する。
【0005】
図8は、特許文献1のLED駆動回路(以下「回路500」と呼ぶ)の回路図であり、図9は、回路500に流れる電流を示す波形図である。回路500は、整流回路107と、第1光源となる第1LEDグループ509と、第2光源となる第2LEDグループ511と、デプレッション型のFET513及び電流検出用の抵抗517からなる第1電流制限回路と、デプレッション型のFET515及び電流検出用の抵抗519からなる第2電流制限回路とを備えている。整流回路107の入力側には、過渡電圧サプレッサ(TVS)105と、ヒューズ103を介して商用交流電源101(AC電源)とが接続している。
【0006】
整流回路107の出力端子には、交流を全波整流した電圧が現れる(以下この電圧を「全波整流電圧」と呼ぶ)。図9に示すように、全波整流電圧が0(V)から第1LEDグループ509が発光するための閾値電圧(以下単に「閾値電圧」という)未満となる期間(t0〜t1、t4〜t5)では、電流は流れない。全波整流電圧が第1LEDグループ509の閾値電圧以上で第2LEDグループ511の閾値電圧未満となる期間(t1〜t2、t3〜t4)では、第1LEDグループ509に電流IG1(図8では「IG2」と誤記されている)が流れる。全波整流電圧が第2LEDグループ511の閾値電圧以上となる期間(t2〜t3)では、第2LEDグループ511に電流IG2(図8では「IG1」と誤記されている)が流れるとともに電流IG1が無くなる。なお、実際の電流IG1、IG2は、図9に示される通り過渡状態をもって切り換わる。
【0007】
調光に応じて調色できるようにするためには、回路500において商用交流電源101とヒューズ103の間に調光器(位相制御型ディマー)が挿入され、第1LEDグループ509の発光色が低い色温度に、第2LEDグループ511の発光色が高い色温度にそれぞれ設定される。
【0008】
調光器は、商用交流電源101から得られる交流の一部の期間(「位相」ともいう)を切り取る(0(V)にする)。このとき整流回路107は、一部分が切り取られた交流波形を全波整流し、全波整流電圧の波形から一部分が切り取られた脈流電圧を出力する。調光器により明るく調光されると、脈流電圧のなかで電圧の高い期間が占める割合が多くなる。この結果、第2LEDグループ511の発光が支配的になり、発光色が高い色温度となる。これに対し、調光器により暗く調光されると、脈流電圧のなかで電圧の低い期間が占める割合が多くなる。この結果、第1LEDグループ509の発光が支配的になり、発光色が低い色温度となる。
【0009】
図8、9に示した回路500では、調光器がないとき、LED列に全波整流電圧を印加するだけの単純なLED駆動回路に比べて、力率や高調波歪率が改善されている。特許文献1には、力率や高調波歪率を改善するという回路500と共通の課題をもった他の回路が示されている(例えば図1−1)。そこで特許文献1の図1−1(図1A)を図10に再掲示し、その構成と動作を説明する。
【0010】
図10は、特許文献1の他のLED駆動回路(以下「回路100」と呼ぶ)の回路図である。回路100は、第1LEDグループ109、第2LEDグループ111、FET113と抵抗117からなる第1電流制限回路(「バイパス回路」ともいう)、及びFET115と抵抗119からなる第2電流制限回路(「定電流回路」ともいう)を備えている。回路100では、第1LEDグループ109と第2LEDグループ111が直列接続している。第1電流制限回路において、電流入力端子となるFET113のドレインは第1LEDグループ109と第2LEDグループ111との接続点に接続し、電流出力端子となる抵抗117の右端子は整流回路107の電流が戻る端子V−に接続している。第2電流制限回路において、電流入力端子であるFET115のドレインは第2LEDグループ111の電流出力端子に接続し、電流出力端子である抵抗119の右端子は抵抗117に接続している。
【0011】
回路100に全波整流電圧を印加したとき、全波整流電圧が0(V)から第1LEDグループ109の閾値電圧に達するまでの期間では、整流回路107から第1LEDグループ109に電流は流れ込まない。全波整流電圧が第1LEDグループ109の閾値電圧から第1LEDグループ109の閾値電圧と第2LEDグループ111の閾値電圧との和となる電圧に達するまでの期間では、整流回路107を発し、第1LEDグループ109及び第1電流制限回路を経て整流回路107に戻る電流IG1が流れる。このとき第1電流制限回路では、抵抗117の電圧降下がFET113にフィードバックし、電流IG1が定電流化する。全波整流電圧が上記の和の電圧を超える期間では、整流回路107を発し、第1及び第2LEDグループ109、111、第2電流制限回路並びに抵抗117を経て整流回路107に戻る電流IG2が流れる。このとき第1電流制限回路では、抵抗117の電圧降下が増大するためFET113はカットオフする。同時に第2電流制限回路では、抵抗119の電圧降下がFET115にフィードバックし、電流IG2が定電流化する。全波整流電圧が低下する期間では、全波整流電圧が上昇する期間の過程とは逆の過程を辿る。
【0012】
以上の知見に基づき本願発明者は、図8に示した回路500に図10に示した回路100を適用して、さらに他のLED駆動回路を作成した(特許文献2を参照)。図11は、特許文献2のLED駆動回路(以下「LED駆動回路300」と呼ぶ)の回路図である。LED駆動回路300は、第1LED列301、第2LED列302、第3LED列303、第1電流制限回路311、第2電流制限回路312、第3電流制限回路313及び整流回路305を備えている。図11では、参考のため商用交流電源121と、位相制御型ディマーである調光器122とを書き加えている。
【0013】
第1、第2及び第3LED列301、302、303では、それぞれLED301a、302a、303aが直列接続している。LED301aは低い色温度で発光し、LED302a、303aは高い色温度で発光する。第1、第2及び第3電流制限回路311、312、313は、それぞれデプレッション型のFET311a、312a、313aと電流検出用の抵抗311b、312b、313bとからなる。整流回路305は4個のダイオード305aのダイオードブリッジで構成されている。
【0014】
整流回路305が全波整流電圧を出力する場合、全波整流電圧が第1LED列301の閾値電圧以上でありかつ第2LED列302の閾値電圧よりも低い期間では、第1LED列301に電流I31が流れ、第1LED列301が低い色温度で点灯する。全波整流電圧が第2LED列302の閾値電圧以上でありかつ第2LED列302と第3LED列303との閾値電圧の和となる電圧未満となる期間では、第2LED列302に電流I32が流れ、第2LED列302が高い色温度で点灯する。全波整流電圧が上記の和の電圧を超える期間では、第2及び第3LED列302、303に電流I33が流れ、第2及び第3LED列302、303が高い色温度で点灯する。
【0015】
調光器122で調光した場合、整流回路305は前述の脈流電圧を出力し、脈流電圧のなかで電圧の高い期間が占める割合に応じてLED駆動回路300の発光色が変化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特表2014−516452号公報(図1−1、図5−1)
【特許文献2】国際公開第2016/039457号(図1
【発明の概要】
【0017】
前述したようにLED駆動回路300は、低く調光したとき、第1LED列301だけが点灯し、低い色温度で発光する。一方LED駆動回路300は、高く調光したとき、第2及び第3LED列302、303の発光が支配的になるため、高い色温度で発光する。しかしながら、中間の調光状態では、LED駆動回路300は、特定の調光度合を境にして急激に発光色が変化するため、使用者に不自然な印象を与えた。
【0018】
そこで本発明は、上記の課題に鑑みて為されたものであり、回路構成が簡単でありながら調光に応じて発光色を滑らかに変化させられるLED駆動回路を提供することを目的とする。
【0019】
上記の課題を解決するため、高い色温度で発光するLEDと低い色温度で発光するLEDを備え、調光に連動して発光色が変化するLED駆動回路において、整流回路と、低い色温度で発光する第1及び第4LED列と、高い色温度で発光する第2及び第3LED列と、第1スイッチ素子及び第1電流検出素子を有する第1電流制限回路と、第2スイッチ素子及び第2電流検出素子を有する第2電流制限回路とを備え、整流回路の電流を出力する端子は、第1及び第2LED列のアノードに接続し、第1LED列のカソードは、第1電流制限回路の電流入力端子に接続し、第2LED列のカソードは、第3及び第4LED列のアノードに接続し、第3LED列のカソードは、直接又は回路素子を介して第2電流検出素子に接続し、第4LED列のカソードは、第2電流制限回路の電流入力端子に接続し、第2電流制限回路の電流出力端子は、第1電流検出素子に接続し、第1電流制限回路の電流出力端子は、整流回路の電流が戻る端子に接続し、第1LED列の閾値電圧は、第2及び第4LED列の閾値電圧の和となる電圧よりも小さく、第4LED列の閾値電圧は、第3LED列の閾値電圧よりも小さいことを特徴とするLED駆動回路が提供される。
【0020】
また、調光に連動して出力が変化する電源に接続された整流回路と、整流回路に接続され、かつ複数のLEDが直列に接続された第1LED列と、整流回路に対して第1LED列と並列に接続され、かつ複数のLEDが直列に接続された第2LED列と、第2LED列と直列に接続され、かつ複数のLEDが直列に接続された第3LED列と、第2LED列と第3LED列との間に一端が接続され、かつ複数のLEDが直列に接続された第4LED列と、第1LED列を流れる電流を制限する第1電流制限部と、第2及び第4LED列を流れる電流を制限する第2電流制限部とを備え、第1LED列に含まれる複数のLEDは、第2及び第3LED列に含まれる複数のLEDよりも低い色温度で発光し、第1LED列が発光するための第1閾値電圧は、第2及び第4LED列が発光するための第2閾値電圧よりも小さく、第2閾値電圧は、第2及び第3LED列が発光するための第3閾値電圧よりも小さいことを特徴とするLED駆動回路が提供される。
【0021】
全波整流電圧が0(V)から第1LED列の閾値電圧(第1閾値電圧)まで上昇する位相では、整流回路は電流を出力しない。全波整流電圧が第1LED列の閾値電圧から第2及び第4LED列の閾値電圧の和となる電圧(第2閾値電圧)まで上昇する位相では、第1LED列に電流が流れ、第1LED列は低い色温度で発光する。全波整流電圧が第2及び第4LED列の閾値電圧の和となる電圧から第2及び第3LED列の閾値電圧の和となる電圧(第3閾値電圧)まで上昇する位相では、第2及び第4LED列に電流が流れ、第2及び第4LED列はそれぞれ高い色温度及び低い色温度で発光する。全波整流電圧が第2及び第3LED列の閾値電圧の和となる電圧よりも高い電圧となる位相では、第2及び第3LED列に電流が流れ、第2及び第3LED列は高い色温度で発光する。全波整流電圧が低下する位相では、全波整流電圧が上昇する位相とは逆の過程を辿る。
【0022】
商用交流電源が出力する交流の位相の一部が調光器により切り取られた電圧波形が整流回路に入力されると、整流回路は電圧波形を全波整流した脈流電圧を出力する。調光度が低いときには、脈流電圧では電圧の低い位相の割合が多くなるので、第1LED列の発光が支配的となり、LED駆動回路の発光色の色温度は低くなる。反対に、調光度が高いときには、脈流電圧では電圧の高い位相の割合が多くなるので、第2及び第3LED列の発光が支配的となり、LED駆動回路の発光色の色温度は高くなる。調光度が中間的な状態にあるときには、脈流電圧では第2及び第4LED列が発光する位相の割合が多くなるので、LED駆動回路の発光色の色温度は中間的になる。
【0023】
第1電流制限部は、整流回路の出力電圧が第1範囲内にあるときに、第1LED列を流れる電流を制限し、第2電流制限部は、出力電圧が第1範囲よりも高い第2範囲内にあるときに、第2及び第4LED列を流れる電流を制限し、整流回路の電流出力端子は、第1及び第2LED列のアノードに接続し、第1LED列のカソードは、第1電流制限部の電流入力端子に接続し、第2LED列のカソードは、第3及び第4LED列のアノードに接続し、第3LED列のカソード並びに第1及び第2電流制限部の電流出力端子は、直接又は回路素子を介して整流回路の電流が戻る端子に接続し、第4LED列のカソードは、第2電流制限部の電流入力端子に接続しても良い。
【0024】
第1電流制限部は、第1スイッチ素子及び第1電流検出素子を有し、第2電流制限部は、第2スイッチ素子及び第2電流検出素子を有し、第3LED列のカソードは、直接又は回路素子を介して第2電流検出素子に接続し、第2電流制限部の電流出力端子は、第1電流検出素子に接続し、第1電流制限部の電流出力端子は、整流回路の電流が戻る端子に接続しても良い。
【0025】
第3LED列のカソードは、第3スイッチ素子及び第3電流検出素子を有する第3電流制限回路を介して第2電流検出素子に接続しても良い。
【0026】
整流回路の電流出力端子と第2LED列のアノードの間に挿入された逆流防止用ダイオードと、第2LED列と並列接続されたコンデンサをさらに備えても良い。
【0027】
第1スイッチ素子と第1電流検出素子の間又は第2スイッチ素子と第2電流検出素子の間に接続された抵抗をさらに有しても良い。
【0028】
第2LED列を流れる電流が第1スイッチ素子をカットオフし、第3LED列を流れる電流が第2スイッチ素子をカットオフしても良い。
【0029】
第1電流制限部は、出力電圧が第1範囲内にあるときに導通する第1スイッチであり、第2電流制限部は、出力電圧が第2範囲内にあるときに導通する第2スイッチでも良い。
【0030】
第4LED列に含まれる複数のLEDは、第2及び第3LED列に含まれる複数のLEDよりも低い色温度で発光しても良い。
【0031】
また、高い色温度で発光するLEDと低い色温度で発光するLEDを備え、調光に連動して発光色が変化するLED駆動回路において、整流回路と、低い色温度で発光する第5及び第8LED列と、高い色温度で発光する第6及び第7LED列と、整流回路が低い電圧を出力しているとき導通する第4スイッチと、整流回路が中間の電圧を出力しているときに導通する第5スイッチとを備え、整流回路の電流を出力する端子は、第5及び第6LED列のアノードに接続し、第5LED列のカソードは、第4スイッチの電流入力端子に接続し、第6LED列のカソードは、第7及び第8LED列のアノードに接続し、第8LED列のカソードは、第5スイッチの電流入力端子に接続し、第7LED列のカソード並びに第4及び第5スイッチの電流出力端子は、直接又は回路素子を介して整流回路の電流が戻る端子に接続することを特徴とするLED駆動回路が提供される。
【0032】
上記のLED駆動回路は、回路構成が簡単でありながら調光に応じて発光色を滑らかに変化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】LED駆動回路10の回路図である。
図2】LED駆動回路10の動作を説明するための波形図である。
図3】他のLED駆動回路20の回路図である。
図4】比較例として示すLED駆動回路25の回路図である。
図5】LED駆動回路20、25の発光色と調光度の関係を示すグラフである。
図6】さらに他のLED駆動回路30の回路図である。
図7】さらに他のLED駆動回路40の回路図である。
図8】特許文献1のLED駆動回路の回路図である。
図9図8のLED駆動回路に流れる電流を示す波形図である。
図10】特許文献1の他のLED駆動回路の回路図である。
図11】特許文献2のLED駆動回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図1〜7を参照しながらLED駆動回路の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一又は相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。請求の範囲に記載した発明特定事項をカッコ内に記載している。
【0035】
(第1実施形態)
図1は、LED駆動回路10の回路図である。図2は、LED駆動回路10の動作を説明するための波形図であり、(a)は1周期分の全波整流電圧を、(b)は全波整流電圧に対する回路電流を、(c)は調光時の脈流電圧と回路電流との関係を示す。図2において、(a)の縦軸は電圧V、(b)の縦軸は電流I、(c)の縦軸は電圧Vと電流Iである。また図2において、(a)、(b)及び(c)の横軸は時間tを示し、共通の時間軸となる。
【0036】
図1に示すように、LED駆動回路10は、整流回路15、LED列11(第1LED列)、LED列12(第2LED列)、LED列13(第3LED列)、LED列14(第4LED列)、バイパス回路16(第1電流制限部、第1電流制限回路)、バイパス回路17(第2電流制限部、第2電流制限回路)及び定電流回路18(第3電流制限回路)を備えている。図1では、参考のため商用交流電源121と、位相制御型ディマーである調光器122とを書き加えている。
【0037】
整流回路15は4個のダイオード15aのダイオードブリッジで構成されている。整流回路15の一方の入力端子151には調光器122を介して商用交流電源121が接続し、他方の入力端子152には商用交流電源121が直接接続している。すなわち、整流回路15は、2つの入力端子151、152を介して、調光に連動して出力が変化する電源(商用交流電源121及び調光器122)に接続されている。なお、ヒューズや過電圧サプレッサなどの安全に係る回路は図示していない。
【0038】
LED列11、12、13、14では、それぞれLED11a、12a、13a、14aが直列接続している。LED11a、14aは、LED12a、13aよりも低い色温度で発光し、LED12a、13aは、LED11a、14aよりも高い色温度で発光する。すなわち、LED列11、14はLED列12、13よりも低い色温度で発光し、LED列12、13はLED列11、14よりも高い色温度で発光する。
【0039】
LED列11の閾値電圧は、LED11aの順方向ドロップ電圧とLED列11におけるLED11aの直列段数との積である。同様に、LED列12〜14の閾値電圧は、それぞれLED12a〜14aの順方向ドロップ電圧とLED列12〜14におけるLED12a〜14aの直列段数との積である。LED列11の閾値電圧(第1閾値電圧)は、LED列12、14の閾値電圧の和となる電圧(第2閾値電圧)よりも小さく、LED列14の閾値電圧はLED列13の閾値電圧よりも小さい。また、LED列12、14の閾値電圧の和は、LED列12、13の閾値電圧の和となる電圧(第3閾値電圧)よりも小さい。
【0040】
LED列11に含まれる初段のLED11aのアノード(以下「LED列11のアノード」と呼ぶ。以下同様。)は、整流回路15の電流を出力する端子(以下「出力端子」と呼ぶ)及びLED列12のアノードに接続している。LED列12に含まれる最終段のLED12aのカソード(以下「LED列12のカソード」と呼ぶ。以下同様。)は、LED列13、14のアノードに接続している。
【0041】
バイパス回路16は、デプレッション型のFET16a(第1スイッチ素子)と抵抗16b(第1電流検出素子)からなる。バイパス回路17は、デプレッション型のFET17a(第2スイッチ素子)と抵抗17b(第2電流検出素子)からなる。定電流回路18は、デプレッション型のFET18a(第3スイッチ素子)と抵抗18b(第3電流検出素子)からなる。バイパス回路16、17及び定電流回路18では、それぞれFET16a〜18aのドレインが電流入力端子、抵抗16b〜18bの左端子が電流出力端子であり、FET16a〜18aのソース及びゲートはそれぞれ抵抗16b〜18bの右端子及び左端子に接続している。LED列11、14、13のカソードはそれぞれFET16a、17a、18aのドレインに接続している。抵抗18bの左端子と抵抗17bの右端子、抵抗17bの左端子と抵抗16bの右端子、抵抗16bの左端子と整流回路15の電流が戻る端子(以下「グランド端子」と呼ぶ)がそれぞれ接続している。
【0042】
次に図2によりLED駆動回路10の動作を説明する。なお、特別な明示なしに図1に含まれる部品を参照する。図2(a)に示した全波整流電圧V0は、整流回路15のグランド端子を0(V)としたとき出力端子に現れる電圧である。図2(a)に示す位相t1は、全波整流電圧V0が0(V)からLED列11の閾値電圧に等しい電圧V1になるまでの期間である。図2(b)に示すように、位相t1においてLED駆動回路10に電流は流れない。
【0043】
位相t2は、全波整流電圧V0が電圧V1からLED列12、14の閾値電圧の和となる電圧V2まで上昇する期間である。位相t2では、整流回路15の出力端子を発し、LED列11、FET16aのドレイン−ソース間、及び抵抗16bを経てグランド端子に至る電流I1が流れ、LED列11が低い色温度で発光する。図2(b)に示すように、電流I1は、位相t2の最初のタイミングで急激に増加し、その後定電流I11となる。抵抗16bは電流検出抵抗として機能する。電流I1により発生する抵抗16bの電圧降下がFET16aにフィードバックし、FET16aのドレイン−ソース間電流が定電流化する。
【0044】
位相t3は、全波整流電圧V0が電圧V2からLED列12、13の閾値電圧の和となる電圧V3まで上昇する期間である。位相t3では、整流回路15の出力端子を発し、LED列12、14、FET17aのドレイン−ソース間、及び抵抗17b、16bを経てグランド端子に至る電流I2が流れ、LED列12、14がそれぞれ高い色温度及び低い色温度で発光する。図2(b)に示すように、位相t3の最初のタイミングでは、電流I2が抵抗16bに流れ込むため電流I1が急激に減少し、これと同時に電流I2が急激に増加する。その後、電流I1は0(A)となり、電流I2は定電流I12となる。抵抗17bは、電流検出抵抗として機能し、電流I2による抵抗17bの電圧降下でFET17aのドレイン−ソース間電流を定電流化する。
【0045】
位相t4は、全波整流電圧V0が電圧V3を超える期間である。位相t4では、整流回路15の出力端子を発し、LED列12、13、FET18aのドレイン−ソース間、及び抵抗18b、17b、16bを経てグランド端子に至る電流I3が流れ、LED列12、13が高い色温度で発光する。図2(b)に示すように、位相t4の最初のタイミングでは電流I3が増加し、その後電流I3は定電流I13となる。なお、位相t4の最初のタイミングでは、電流I3により抵抗17bの電圧降下が増大するため、FET17aのドレイン−ソース間はカットオフする(FET16aのドレイン−ソース間はカットオフが維持される)。抵抗18bは電流検出抵抗として機能し、電流I3による抵抗18bの電圧降下でFET18aのドレイン−ソース間電流を定電流化する。
【0046】
位相t5、t6、t7は、それぞれ全波整流電圧V0が、電圧V3から電圧V2、電圧V2から電圧V1、電圧V1から0(V)に下降する期間である。全波整流電圧V0が低下する位相t5、t6、t7では、全波整流電圧V0が上昇する位相t1、t2、t3とは逆の過程を辿る。
【0047】
調光器122は、商用交流電源121が出力する交流の位相の一部を切り取る(0(V)にする)。図2(c)に示すように、整流回路15は、調光器122の出力する電圧波形を全波整流し脈流電圧V0aを出力する。脈流電圧V0aは、全波整流電圧V0(破線)の先頭部分を切り取ったものであり、調光度合に応じて切り取る部分が増減する。なお、図2(c)で例示した脈流電圧V0aでは、LED駆動回路10に、電流I3a、I2a、I1aが流れる。電流I3a、I2a、I1aは、脈流電圧V0aが存在する期間における電流I3、I2、I1である。
【0048】
調光度が低いとき、脈流電圧V0aでは、切り取られる部分が大きくなるため電圧の低い部分(位相t6)の割合が多くなる。これは、例えば、図2(c)において例示した脈流電圧V0aよりも全波整流電圧V0が大きく切り取られ、脈流電圧V0aに位相t6の一部と位相t7だけが含まれるような状態である。このときLED列11の発光が支配的となり、LED駆動回路10の発光色の色温度は低くなる。
【0049】
調光度が中間的な状態にあるとき、脈流電圧V0では中間の電圧となる期間(位相t5)の割合が多くなる。これは、例えば、図2(c)において例示した脈流電圧V0aよりももう少し大きく全波整流電圧が切り取られ、脈流電圧V0aに位相t5の一部と位相t6、t7だけが含まれるような状態である。位相t5では、LED列12が高い色温度で発光する一方、LED列14は低い色温度で発光する。この結果、LED駆動回路10としては中間的な色温度で発光する。なお、この脈流電圧V0aでも位相t6でLED列11が発光する。しかしながら、位相t5における電流I2aの値並びにLED12a及びLED14aの数が、位相t6における電流I1a及びLED11aの数よりも大きいので、LED列11の発光が色温度に与える影響が小さくなり、位相t5における発光が支配的になる。
【0050】
調光度が高いとき、脈流電圧V0aは電圧のもっとも高い期間(位相t4)を多く含むようになり、LED駆動回路10の発光色の色温度が高くなる(図2(c)の脈流電圧V0a)。なお、脈流電圧V0aでは位相t5、t6でLED列14、11がそれぞれ発光する。しかしながら、位相t4における電流I3aの値並びにLED12a及びLED13aの数が、位相t5、t6における電流I2a、I1aの値及びLED14a、11aの数よりも大きいので、LED列11、14の発光が色温度に与える影響は小さくなり、位相t4におけるLED列12、13の発光が支配的となる。なお、さらに調光度を上げ、脈流電圧V0aに位相t2、t3が含まれるようになると、LED駆動回路10の輝度は上昇する一方で、位相t2、t3におけるLED列11、14の点灯により色温度が若干下がる(図5の発光特性51を参照)。
【0051】
LED駆動回路10は、全波整流電圧V0が低い位相t2、t6、中間的な位相t3、t5、高い位相t4に対し、低い色温度、中間の色温度、高い色温度で発光する。調光のため全波整流電圧V0の一部分の位相を切り取った脈流電圧V0aに対し、LED駆動回路10は、低い調光状態では低い色温度での発光を支配的にし、中間的な調光状態では中間の色温度での発光を支配的にしている。またLED駆動回路10は、高い調光状態では高い色温度での発光を支配的にするため、位相t4においてLED列14を消灯し、LED列12、13だけを発光させている。以上のようにしてLED駆動回路10は、回路構成が簡単でありながら調光に応じて発光色を滑らかに変化させることができる。
【0052】
LED駆動回路10のLED列13のカソードは、定電流回路18を介してバイパス回路17に含まれる電流検出用の抵抗17bに接続している。ただし、LED列13のカソードは、直接又は電流制限抵抗や定電流ダイオードを介して抵抗17bに接続しても良い。なお、定電流回路18には、素子数が少なく、定電流I13の値を抵抗18bの値で調整できるという特徴がある。また定電流回路18の代わりに、スイッチ素子用のエンハンスメント型FET、反転増幅用のバイポーラトランジスタ、電流検出抵抗及びプルアップ抵抗からなる良く知られた電流制限回路を用いても良い(バイパス回路16、17も同様)。
【0053】
(第2実施形態及び比較例)
図3は、他のLED駆動回路20の回路図である。図4は、比較例として示すLED駆動回路25の回路図である。図5は、LED駆動回路20、25の発光色と調光度の関係を示すグラフである。図5の縦軸は色温度(CCT(K))、横軸は調光度(Power(%))であり、図5では、LED駆動回路20の発光特性51とLED駆動回路25の発光特性52に加えて、参考のため白熱電球の発光特性53とハロゲンランプの発光特性54を示している。
【0054】
LED駆動回路20では、図1に示したLED駆動回路10に対し、逆流防止用ダイオード21と、コンデンサ22と、ゲート保護抵抗16c、17c、18cとが追加されている。LED駆動回路25は、LED駆動回路20とは、LED列14を備えていないところだけが相違している。コンデンサ22は、LED列12に並列接続され、位相t1、t7(図2(b)参照)において放電してLED列12を点灯させる。逆流防止用ダイオード21は、整流回路15の出力端子とLED列12のアノードの間に挿入され、コンデンサ22の放電に際し予期しない電流経路が発生しないようにする。ゲート保護抵抗16c、17c、18cは、FET16a、17a、18aのゲートに接続され、それらのゲートを静電気やサージから保護する。
【0055】
LED駆動回路20、25の動作は、基本的に図1に示したLED駆動回路10及び図11に示したLED駆動回路300と等しく、位相t1、t7においてコンデンサ22の放電によりLED列12が点灯するところだけが異なる。LED駆動回路20は、位相t1、t7におけるフリッカが軽減される点で、LED駆動回路10に比べて改善されている。
【0056】
LED11a、14aの発光色は2000K、LED12a、13aの発光色は3000Kである。LED列11、12、13、14の直列段数は、それぞれ、5段、14段、7段、4段である。図5を参照すると、LED駆動回路20の発光特性51では、LED駆動回路25の発光特性52に比べて調光度に応じて色温度が滑らかに変わっていることが分かる。
【0057】
(第3実施形態)
図6は、さらに他のLED駆動回路30の回路図である。図6に示すように、LED駆動回路30は、図1に示したLED駆動回路10とは、FET16aと抵抗16bの間、及びFET17aと抵抗17bの間にそれぞれ抵抗16d、17dが追加されているところだけが相違している。抵抗16d、17dを挿入すると、位相t3の最初のタイミング、位相t4の最初と最後のタイミング、及び位相t5の最後のタイミングにおける電流I1、I2、I3の変化(図2を参照)が緩やかになる。この結果、LED駆動回路30では、LED駆動回路10に比べて調光に応じて発光色の色温度がより滑らかに変化する。
【0058】
(第4実施形態)
図7は、さらに他のLED駆動回路40の回路図である。図7に示すように、LED駆動回路40は、図1に示したLED駆動回路10のバイパス回路16、17をスイッチ46(第1電流制限部、第1又は第4スイッチ)及びスイッチ47(第2電流制限部、第2又は第5スイッチ)に置き換え、LED駆動回路10の定電流回路18を取り去ったものである。LED駆動回路40は、整流回路15と、低い色温度で発光するLED列11(第1又は第5LED列)及びLED列14(第4又は第8LED列)と、高い色温度で発光するLED列12(第2又は第6LED列)及びLED列13(第3又は第7LED列)と、スイッチ46、47と、電圧検出回路60と、制御回路70とを備えている。
【0059】
電圧検出回路60は、整流回路15に並列に接続され、全波整流電圧V0の値を検出する。制御回路70は、電圧検出回路60が検出した全波整流電圧V0の値に応じて、スイッチ46、47の導通を制御する。スイッチ46、47は、アナログスイッチでもカットオフできる電流制限回路でも良く、制御回路70によりそのオンオフが切り換えられる。
【0060】
図2、7を参照しながらLED駆動回路40の動作を説明する。LED列12、14の閾値電圧の和となる電圧V2よりも低い電圧を「低い電圧」、電圧V2以上でLED列12、13の閾値電圧の和である電圧V3よりも低い電圧を「中間の電圧」とする。スイッチ46は整流回路15が低い電圧を出力しているときに導通し、スイッチ47は整流回路15が中間の電圧を出力しているときに導通する。
【0061】
整流回路15が全波整流電圧V0を出力する場合、全波整流電圧V0がLED列11の閾値電圧(電圧V1)未満である位相t1では、スイッチ46を導通させておいても電流I41は流れない。全波整流電圧V0が電圧V1以上で電圧V2未満となる位相t2では、LED列11及びスイッチ46を電流I41が流れ、LED列11が低い色温度で発光する。全波整流電圧V0が電圧V2以上で電圧V3未満となる位相t3では、スイッチ46がオフしスイッチ47がオンする。このときLED列12、14及びスイッチ47に電流I42が流れ、LED列12、14が中間の色温度で発光する。全波整流電圧V0が電圧V3以上となる位相では、スイッチ47がオフし、LED列12、13に電流I43が流れ、LED列12、13が高い色温度で発光する。
【0062】
全波整流電圧V0が低下する位相では、全波整流電圧が上昇する位相とは逆の過程を辿る。整流回路15が脈流電圧V0aを出力する場合、調光度に応じて脈流電圧V0aに含まれる前述の位相の割合が変化し発光色が変化する。この結果、LED駆動回路40も、LED駆動回路10と同様に、回路構成が簡単でありながら調光に応じて発光色を滑らかに変化させることができる。
【0063】
図1に示したLED駆動回路10では、LED列12を流れる電流I2が、バイパス回路16に含まれるFET16aをカットオフし、LED列13を流れる電流I3が、バイパス回路17に含まれるFET17aをカットオフする。これと同様に、LED駆動回路40でも、制御回路70が、LED列12を流れる電流I42に応じてスイッチ46をオフし、LED列13を流れる電流I43に応じてスイッチ47をオフしても良い。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11