特許第6818069号(P6818069)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6818069
(24)【登録日】2021年1月4日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】溶接面および溶接方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 9/32 20060101AFI20210107BHJP
   G01J 5/00 20060101ALI20210107BHJP
   G01J 5/04 20060101ALI20210107BHJP
   G01J 5/48 20060101ALI20210107BHJP
   B23K 31/00 20060101ALI20210107BHJP
   G02B 27/02 20060101ALI20210107BHJP
【FI】
   B23K9/32 B
   G01J5/00 101D
   G01J5/04
   G01J5/48 A
   B23K31/00 M
   G02B27/02 Z
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-42910(P2019-42910)
(22)【出願日】2019年3月8日
(65)【公開番号】特開2020-142294(P2020-142294A)
(43)【公開日】2020年9月10日
【審査請求日】2019年7月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】391001169
【氏名又は名称】櫻護謨株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 哲也
(72)【発明者】
【氏名】國府田 文彦
(72)【発明者】
【氏名】大根田 毅
【審査官】 豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−313850(JP,A)
【文献】 特開2018−008313(JP,A)
【文献】 実開昭53−126923(JP,U)
【文献】 特開平01−130874(JP,A)
【文献】 特開2018−183785(JP,A)
【文献】 特開2018−081093(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 9/32
B23K 31/00
G01J 5/00 − 5/48
G02B 27/02
A61F 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接作業者の顔面を覆うための面体と、
前記面体に設けられ、フレーム開口を有する窓部と、
前記フレーム開口の少なくとも一部を覆い、溶接時に発生する有害光線を遮蔽するフィルタプレートと、
溶接部の温度を検知するセンサと、
前記窓部に設けられた画面を有し、前記センサの検知結果に基づく温度分布を前記画面に表示する表示装置と、
を備え
前記窓部は、
前記フレーム開口を有するとともに、前記フィルタプレートおよび前記表示装置を保持するフレームと、
前記面体に設けられた面体開口と、
前記面体開口を開閉可能となるように前記フレームを保持する保持機構と、
を備え、
前記フレーム開口は、前記フィルタプレートを通じて外部を視認可能な視野領域を含み、
前記画面と前記視野領域は、互いに隣接しており、
前記表示装置は、前記視野領域を通じて視認される領域に対応する前記温度分布を前記画面に表示する、溶接面。
【請求項2】
前記画面は、前記面体を装着した溶接作業者から見たときに、前記フィルタプレートと重畳しない、
請求項1に記載の溶接面。
【請求項3】
前記画面が前記フレーム開口を覆う面積は、前記視野領域よりも小さい、
請求項1又は2に記載の溶接面。
【請求項4】
前記画面と前記視野領域は、当該溶接面を装着する作業者から見て上下に並んでいる、
請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の溶接面。
【請求項5】
前記画面は、少なくとも2辺が前記視野領域と接する多角形状である、
請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の溶接面。
【請求項6】
前記画面に表示される前記温度分布の垂直方向における座標が前記視野領域の垂直方向における位置に対応し、前記温度分布の水平方向における座標が前記視野領域の水平方向における位置に対応する、
請求項4に記載の溶接面。
【請求項7】
前記フィルタプレートに重ねられたカバープレートをさらに備え、
前記フィルタプレートは、前記表示装置と前記カバープレートの間に位置している、
請求項1乃至6のうちいずれか1項に記載の溶接面。
【請求項8】
請求項1乃至7のうちいずれか1項に記載の溶接面を用いて、前記画面に表示される温度分布を確認しながら溶接作業を行う溶接方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の溶接作業に用いられる溶接面および当該溶接面を用いた溶接方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルミニウム、ステンレス鋼、その他の各種金属の溶接に際して、作業者は、溶融状態等を目視で確認しながら作業を行う。溶接作業の対象である溶接部は、目に有害な紫外放射、赤外放射および強烈な可視光等の有害光線を発する。そこで、溶接作業においては、作業者の目を保護するとともに、アークやスパッタなどによる外傷の危険から作業者の顔面を保護する溶接用保護面(以下、溶接面と呼ぶ)が用いられている。
【0003】
現状の溶接作業においては、十分な金属の溶融や熱入りの具合を確認することが困難である。したがって、溶接作業は作業者の感覚に依存するところが多く、作業者の熟練度によって仕上がりの質が変わる。
【0004】
従来、溶接における温度管理を目的とした技術も提案されている。例えば特許文献1には、複数パスにわたる溶接において、パス間温度を管理するための溶接作業用温度計が開示されている。この温度計は、ケースと、当該ケースを溶接部の周辺に着脱するための永久磁石と、溶接部からの赤外線を検知するセンサと、当該センサの出力に基づき算出される温度を表示する表示器と、温度がプリセット温度を下回ったことを知らせるブザーとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−208612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の溶接作業用温度計は、溶接部の周辺に配置されるものであり、溶接面を装着した作業者から視認しにくい可能性がある。すなわち、溶接面の窓部は所定の遮光性を有したフィルタプレートにて覆われているため、表示器の輝度を十分に高く設定しなければ作業者はフィルタプレートを通じて表示内容を視認できない。また、溶接部は徐々に移動するため、溶接作業用温度計による測定範囲と溶接部とがずれる可能性があるし、溶接部と表示器の距離が大きくなると作業者は双方を確認するために視界を頻繁に動かす必要がある。
【0007】
これらの他にも、従来の溶接作業には種々の課題が存在する。そこで、本発明は、溶接作業を支援することが可能な溶接面および当該溶接面を用いた溶接方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態に係る溶接面は、溶接作業者の顔面を覆うための面体と、前記面体に設けられ、開口を有する窓部と、前記開口の少なくとも一部を覆い、溶接時に発生する有害光線を遮蔽するフィルタプレートと、溶接部の温度を検知するセンサと、前記窓部に設けられた画面を有し、前記センサの検知結果に基づく温度情報を前記画面に表示する表示装置と、を備えている。また、一実施形態に係る溶接方法は、当該溶接面を用いて、前記画面に表示される温度情報を確認しながら溶接作業を行うことを含む。
【0009】
前記画面は、前記面体を装着した溶接作業者から見たときに、前記フィルタプレートと重畳しないように配置されてもよい。
【0010】
前記開口は、前記フィルタプレートを通じて外部を視認可能な視野領域を含んでもよい。この場合において、前記画面と前記視野領域は、互いに隣接してもよい。一例として、前記画面と前記視野領域は、当該溶接面を装着する作業者から見て上下に並んでもよい。また、前記画面は、少なくとも2辺が前記視野領域と接する多角形状であってもよい。
【0011】
前記センサは、前記溶接部の温度分布を検知可能であってもよい。この場合において、前記画面に表示される前記温度情報は、前記視野領域に対応する温度分布を含んでもよい。
【0012】
前記窓部は、前記開口を有するとともに、前記フィルタプレートおよび前記表示装置を保持するフレームと、前記面体に設けられた面体開口と、前記面体開口を開閉可能となるように前記フレームを保持する保持機構と、を備えてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、溶接作業を支援することが可能な溶接面および当該溶接面を用いた溶接方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、一実施形態に係る溶接面の概略的な斜視図であり、窓部のフレームが下げられた状態を示す。
図2図2は、一実施形態に係る溶接面の概略的な斜視図であり、窓部のフレームが上げられた状態を示す。
図3図3は、一実施形態に係る溶接面の概略的な断面図である。
図4図4は、一実施形態に係る溶接面を装着して溶接作業を行う作業者の視界の一例を概略的に示す図である。
図5図5は、画面および視野領域の他の例を示す図である。
図6図6は、画面および視野領域のさらに他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態につき、図面を参照しながら説明する。
図1および図2は、本実施形態に係る溶接面100の概略的な斜視図である。溶接面100は、面体1と、ヘッドギア2と、窓部3と、フィルタプレート4と、カバープレート5と、センサ6と、表示装置7とを備えている。フィルタプレート4およびカバープレート5は、互いに重ねられており、カバープレート5が外側(図1に示す側)に位置している。
【0016】
面体1は、例えば難燃性の材料で形成されており、作業者の顔面を覆うことが可能な大きさを有している。ヘッドギア2は、溶接面100を作業者の頭部に装着する。ヘッドギア2により溶接面100が作業者の頭部に装着された状態においては、面体1が作業者の顔面に触れないことが好ましい。
【0017】
窓部3は、面体1において、溶接面100を装着した作業者の目に対応する位置に設けられている。窓部3は、面体1に設けられた面体開口1a(図2参照)と、面体1の外面に取り付けられたベース10と、フィルタプレート4およびカバープレート5を保持するフレーム20と、フレーム20を保持する保持機構30とを備えている。例えば、ベース10、フレーム20および保持機構30は、金属材料で形成され、かつ表面が絶縁材で被覆されている。
【0018】
図2に示すように、ベース10は、フランジ11と、フランジ11から突出する突出部12とを有している。突出部12は、面体1の開口1aと重なるベース開口12aを有している。
【0019】
フレーム20は、フレーム開口20aを有するとともに、フィルタプレート4およびカバープレート5の周縁部を保持している。図1に示すように、フィルタプレート4およびカバープレート5は、フレーム開口20aの全体を覆っている。フィルタプレート4およびカバープレート5は、フレーム20に対して着脱可能であることが好ましい。これにより、フィルタプレート4およびカバープレート5の交換が容易となる。
【0020】
保持機構30は、1つまたは複数のヒンジ31と、弾性体32とを備えている。ヒンジ31は、フレーム20がベース10に対して回動可能となるように、フレーム20の上縁部とベース10とを連結している。弾性体32は、例えばコイルスプリングであり、一端がフレーム20の側縁部に接続され、他端がベース10に接続されている。
【0021】
このような構成の保持機構30によれば、フレーム20により面体開口1aおよびベース開口12aを開閉可能となる。図1のようにフレーム20を下した状態においては、弾性体32によりフレーム20がベース10に向けて付勢される。また、図2のようにフレーム20を上げた状態においては、弾性体32によりフレーム20の姿勢が当該上げた状態に維持される。
【0022】
フィルタプレート4は、目に有害な紫外放射、赤外放射および強烈な可視光等の有害光線を遮蔽する。なお、ここでの「遮蔽」は、有害光線を完全に遮る場合だけでなく、目に害が及ばない程度に弱める場合を含む。カバープレート5は、溶接時に発生するスパッタやヒューム等のフィルタプレート4への付着や、フィルタプレート4の損傷を防ぐ役割を担う透明な部材である。
【0023】
図1および図2の例において、フレーム20は、センサ6および表示装置7をさらに保持している。センサ6は、フレーム20の上縁部近傍に設けられた小孔21を通じて、溶接面100に対向する検知領域の温度を検知する。小孔21は、フレーム開口20aの水平方向中心Cの上方に配置されている。本実施形態においては、センサ6として、赤外線により検知領域の温度分布を検知するサーモグラフィーを用いる場合を想定する。
【0024】
図2に示すように、表示装置7は、画像が表示される画面70を有している。画面70は、フレーム20を下した状態において作業者の目に対向する。図1および図2の例において、画面70は、フレーム開口20aの上方を覆っている。フレーム開口20aにおいて画面70により覆われていない領域は、作業者がフィルタプレート4を通じて外部を視認可能な視野領域Aに相当する。視界を広く確保する観点から、画面70がフレーム開口20aを覆う面積は、視野領域Aよりも小さいことが好ましい。
【0025】
表示装置7としては、バックライトを有した液晶表示パネルや、有機エレクトロルミネッセンス表示パネルなどのフラットパネル型の表示装置を利用できるが、この例に限定されない。表示装置7は、遮光性を有してもよいし、透光性を有してもよい。表示装置7が透光性を有する場合、すなわち画面70を通じて背景が視認可能である場合、作業者の視野をより広げることができる。
【0026】
溶接面100は、センサ6および表示装置7に電源を供給するバッテリ8と、センサ6および表示装置7を制御する制御装置9とをさらに備えてもよい。これらバッテリ8および制御装置9は、例えば面体1の内面側に配置されてもよいし、外面側に配置されてもよい。他の例として、センサ6および表示装置7は、ケーブルを介して外部の電源および制御装置と接続されてもよい。
【0027】
図3は、水平方向中心Cに沿う溶接面100の概略的な断面図である。この図に示すようにフレーム20を下した状態においては、面体開口1a,ベース開口12aおよびフレーム開口20aが重なる。
【0028】
センサ6は、例えばフレーム20の内面に固定されている。表示装置7は、図3には示されていない位置、例えば水平方向の両端において、フレーム20に固定されている。表示装置7は、フィルタプレート4よりも、溶接面100を装着した作業者W側に位置している。表示装置7においては、画面70の反対側の裏面の少なくとも一部がフィルタプレート4およびカバープレート5によって覆われている。これにより、表示装置7がアーク、スパッタあるいはヒューム等から保護される。他の例として、フィルタプレート4およびカバープレート5の少なくとも一方は、表示装置7と重ならない領域にのみ設けられてもよい。
【0029】
本実施形態においては、窓部3のベース10が突出部12を備えるため、作業者Wの目と画面70との間に十分な距離を確保できる。これにより、作業者Wの目の焦点が画面70に合いやすくなる。さらに、視野領域Aを通じて視認される外部の様子と画面70とが同時に作業者Wの視野に入りやすくなる。
【0030】
図4は、溶接面100を装着して溶接作業を行う作業者の視界の一例を概略的に示す図である。ここでは、溶接作業の一例として、溶接トーチTと溶接棒Rを作業者が手で持って行うTIG(Tungsten Inert Gas)溶接を想定する。ただし、溶接面100は、被覆アーク溶接、MIG(Metal Inert Gas)溶接、MAG(Metal Active Gas)溶接、あるいは炭酸ガスアーク溶接等の他種の溶接作業にも利用できる。また、溶接面100は、半自動溶接やセルフシールド溶接に利用されてもよい。
【0031】
フレーム20を下した状態において、作業者は、視野領域Aを通じて溶融池Pを含む溶接部を見ることができる。なお、視野領域Aはフィルタプレート4により覆われているため、溶融池P近傍の有害光線は遮蔽されている。
【0032】
さらに、溶接作業においては、センサ6が視野領域Aに対応する部分の温度分布を検知する。検知された温度分布は、画面70に表示される。この温度分布は、例えば赤が高温で青が低温を示すグラデーションにより表される。図4の例においては、高温である溶融池P近傍に対応する高温分布Dが画面70に表示されている。
【0033】
例えば、画面70に表示される温度分布は、視野領域Aを通じて視認される領域に対応している。すなわち、画面70に表示される温度分布の垂直方向(図4における上下方向)における座標が視野領域Aの鉛直方向における位置に対応し、温度分布の水平方向(図4における左右方向)における座標が視野領域Aの水平方向における位置に対応する。この場合、溶融池Pの直上に高温分布Dが表示される。
【0034】
作業者は、画面70に表示された温度分布を確認することで、金属の溶融や熱入りの具合などを容易に把握できる。したがって、熟練度の低い作業者であっても、精度よく作業を進行し、溶接の仕上がりの質を高めることができる。
【0035】
仮にフィルタプレート4を通じて画面70を見る場合、画像の輝度が低下して温度分布の確認が困難となる可能性がある。これに対し、本実施形態においては画面70が作業者から見てフィルタプレート4と重畳しないため、作業者は高品位の画像を視認することが可能である。
【0036】
画面70は視野領域Aに隣接しているため、作業者は目線を大きく動かすことなく画面70に表示される温度分布と実際の作業状況とを確認することができる。上述のように画面70に表示される温度分布が視野領域Aを通じて視認される部分に対応していれば、温度分布と作業領域近傍との対応関係の把握も容易である。
【0037】
さらに、本実施形態においては溶接面100がセンサ6を備えるため、センサ6による検知領域と視野領域Aとの関係が固定的となる。したがって、溶接面100を装着した作業者が頭を動かすと顔面に正対する方向にセンサ6の検知領域も移動するため、特段の操作を要することなく視野領域Aの温度分布を画面70に表示させることが可能である。
【0038】
また、表示装置7は窓部3のフレーム20に設けられているので、フレーム20を図2に示すように上げた場合には作業者の視界が表示装置7で遮られない。そのため、作業者は、フレーム20を上げて溶接の準備等を行うときには広範囲を視認することができる。
【0039】
このように、本実施形態によれば、溶接作業を好適に支援することが可能な溶接面100を実現できる。さらに、この溶接面100を用いることで、効率的かつ高精度な溶接方法を実現できる。溶接面100を用いた溶接は、例えば航空宇宙、自動車、鉄道、船舶、あるいは建築などの種々の分野における手動または半手動の溶接作業に適用し得る。
【0040】
以上の実施形態は、本発明の範囲を各実施形態にて開示した構成に限定するものではない。本発明は、上記実施形態に開示した構成を種々の態様に変形して実施することができる。
【0041】
画面70と視野領域Aとの関係は、図4に例示したものに限られない。例えば図5に示すように、画面70が視野領域Aの下方に位置してもよい。その他にも、画面70が視野領域Aの左方または右方に位置してもよい。
【0042】
また、図6に示すように、矩形状の画面70の3辺が視野領域Aと接してもよい。この場合においては、画面70の左右に視野領域Aの拡張部分EXが形成される。したがって、作業者は、フィルタプレート4を通じてより広い範囲を視認することができる。なお、図5の例の他にも、画面70が矩形以外の多角形状に形成され、そのうちの2辺以上が視野領域Aと接してもよい。
【0043】
溶接面100は、ヘッドギア2に代えて、面体1から例えば下方に延出するグリップを有するものであってもよい。この場合、作業者は、グリップを手で持って溶接面100を顔面の前方に配置することができる。また、溶接面100は、作業者が頭部に被るヘルメット状であってもよい。窓部3の構造は、溶接面100の形状等に応じて種々の態様に変形できる。
【0044】
センサ6は、溶接面100とは別途に配置されてもよい。この場合においては、センサ6と溶接面100とを有線または無線にて通信接続すれば、センサ6にて検知した温度情報を溶接面100の画面70に表示させることが可能である。
【0045】
表示装置7は、フィルタプレート4の外側に配置されてもよい。この場合においても、例えば表示装置7の輝度を十分に高めれば作業者から画面70の画像を視認することが可能である。
【0046】
画面70に表示される温度情報は、温度分布に限られない。例えば、温度情報は、センサ6によって検知される特定位置の温度、特定領域の温度の平均値、あるいは特定領域の温度の最大値などを表す数値であってもよい。また、温度情報は、溶接対象の金属に応じた目標温度や、この目標温度とセンサ6により検知される温度との差分などを含んでもよい。
【符号の説明】
【0047】
100…溶接面、1…面体、2…ヘッドギア、3…窓部、4…フィルタプレート、5…カバープレート、6…センサ、7…表示装置、8…バッテリ、9…制御装置、10…ベース、20…フレーム、30…保持機構、70…画面、A…視野領域。
図1
図2
図3
図4
図5
図6