(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
金属支持基板と、前記金属支持基板の厚み方向一方側に配置されるベース絶縁層と、前記ベース絶縁層の前記厚み方向一方側に配置され、スライダと電気的に接続される接続端子を備える導体層とを備える回路付サスペンション基板であり、
前記ベース絶縁層は、
前記厚み方向に投影したときに、少なくとも前記接続端子と重なる端子領域と、
前記端子領域と重ならず、かつ、前記端子領域の周辺の周辺領域と
を有し、
前記端子領域の厚みは、前記周辺領域の厚みよりも厚く、
前記ベース絶縁層は、
前記金属支持基板の前記厚み方向一方側に配置される第1ベース絶縁層と、
前記第1ベース絶縁層を被覆し、前記金属支持基板の前記厚み方向一方側に配置される第2ベース絶縁層と
を備え、
前記端子領域は、
前記第1ベース絶縁層からなり、前記金属支持基板の前記厚み方向一方側に配置される第1端子領域絶縁層と、
前記第2ベース絶縁層からなり、前記第1端子領域絶縁層の前記厚み方向一方側に配置される第2端子領域絶縁層と
を備え、
前記端子領域の厚みが、前記第1端子領域絶縁層と前記第2端子領域絶縁層との合計厚みであり、
前記周辺領域は、前記第2ベース絶縁層からなり、前記金属支持基板の前記厚み方向一方側に配置される第2周辺領域絶縁層を備え、
前記周辺領域の厚みが、前記第2周辺領域絶縁層の厚みであり、
前記回路付サスペンション基板は、前記スライダを支持する台座をさらに備え、
前記台座は、前記第1ベース絶縁層または前記第2ベース絶縁層を備え、
前記周辺領域が、前記台座を含まず、
前記導体層は、前記ベース絶縁層の全領域において、前記第1ベース絶縁層と前記第2ベース絶縁層との間に位置しないことを特徴とする、回路付サスペンション基板。
金属支持基板と、前記金属支持基板の厚み方向一方側に配置されるベース絶縁層と、前記ベース絶縁層の前記厚み方向一方側に配置され、スライダと電気的に接続される接続端子を備える導体層とを備える回路付サスペンション基板であり、
前記ベース絶縁層は、
前記厚み方向に投影したときに、少なくとも前記接続端子と重なる端子領域と、
前記端子領域と重ならず、かつ、前記端子領域の周辺の周辺領域と
を有し、
前記端子領域の厚みは、前記周辺領域の厚みよりも厚く、
前記ベース絶縁層は、
前記金属支持基板の前記厚み方向一方側に配置される第1ベース絶縁層と、
前記第1ベース絶縁層の前記厚み方向一方側に配置される第2ベース絶縁層と、
を備え、
前記端子領域は、
前記第1ベース絶縁層からなり、前記金属支持基板の前記厚み方向一方側に配置される第1端子領域絶縁層と、
前記第2ベース絶縁層からなり、前記第1端子領域絶縁層の前記厚み方向一方側に配置される第2端子領域絶縁層と
を備え、
前記端子領域の厚みが、前記第1端子領域絶縁層と前記第2端子領域絶縁層との合計厚みであり、
前記周辺領域は、前記第1ベース絶縁層からなり、前記金属支持基板の前記厚み方向一方側に配置される第1周辺領域絶縁層を備え、
前記周辺領域の厚みが、前記第1周辺領域絶縁層の厚みであり、
前記回路付サスペンション基板は、前記スライダを支持する台座をさらに備え、
前記台座は、前記第1ベース絶縁層または前記第2ベース絶縁層を備え、
前記周辺領域が、前記台座を含まず、
前記導体層は、前記ベース絶縁層の全領域において、前記第1ベース絶縁層と前記第2ベース絶縁層との間に位置しないことを特徴とする、回路付サスペンション基板。
【発明を実施するための形態】
【0033】
<第1実施形態>
図1に示す回路付サスペンション基板1は、磁気ヘッド3を搭載するスライダ4、および、ピエゾ素子5を実装し、外部基板6および電源7が接続されて、ハードディスクドライブ(図示せず)に搭載される。
【0034】
なお、
図1において、紙面左右方向は、先後方向(第1方向)であって、紙面左側が先側(第1方向一方側)、紙面右側が後側(第1方向他方側)である。また、紙面上下方向は、左右方向(幅方向、第2方向)であって、紙面上側が左側(幅方向一方側、第2方向一方側)、紙面下側が右側(幅方向他方側、第2方向他方側)である。また、紙面紙厚方向は、上下方向(厚み方向、第3方向)であって、紙面手前側が上側(厚み方向一方側、第3方向一方側)、紙面奥側が下側(厚み方向他方側、第3方向他方側)である。具体的には、各図の方向矢印に準拠する。
【0035】
また、
図1において、架橋部36(後述)以外のベース絶縁層9(後述)、および、カバー絶縁層11を省略している。また、
図2においては、ベース絶縁層9(第1ベース絶縁層26(後述)、第2ベース絶縁層27(後述))を図示し、カバー絶縁層11(後述)を省略している。
【0036】
回路付サスペンション基板1は、
図1に示すように、先後方向に延びる平帯形状に形成されている。回路付サスペンション基板1は、
図3Aおよび
図3Bに示すように、金属支持基板8、金属支持基板8の上に形成されるベース絶縁層9、ベース絶縁層9の上に形成される導体層10、ベース絶縁層9の上に導体層10を被覆するように形成されるカバー絶縁層11、および、導体層10の後述する複数の端子(外部側端子57、ヘッド側端子58、ピエゾ側端子59)の表面を被覆するめっき層12を備えている。
【0037】
金属支持基板8は、
図1に示すように、先後方向に延びる平帯形状に形成されており、本体部13と、本体部13の先側に形成されるジンバル部14とを一体的に備えている。
【0038】
本体部13は、先後方向に延びる平面視略矩形状に形成されている。本体部13は、回路付サスペンション基板1がハードディスクドライブに搭載されるときに、ハードディスクドライブのロードビーム(図示せず)に支持される。
【0039】
ジンバル部14は、
図2に示すように、本体部13の先端から先側に延びるように形成されている。
【0040】
ジンバル部14は、1対のアウトリガー部17と、搭載部18と、1対の連結部19とを備えている。
【0041】
アウトリガー部17は、平面視細長矩形状をなし、本体部13の幅方向両端部から先側に向かって直線状に延びるように1対として形成されている。
【0042】
搭載部18は、1対のアウトリガー部17に対して幅方向内側に間隔を隔て、かつ、本体部13の先端縁に対して、先後方向に間隔を隔てるように配置されている。搭載部18は、幅方向両側に向かって開く平面視略H字状に形成されている。すなわち、搭載部18は、先後方向中央部の幅方向両端部が切り欠かれ(開口され)ている。具体的には、搭載部18は、基部21と、ステージ22と、中央部23とを一体的に備えている。
【0043】
基部21は、搭載部18の後端部に配置されており、幅方向に長く延びる平面視略矩形状に形成されている。
【0044】
ステージ22は、基部21の先側に間隔を隔てて配置され、幅方向に長く延びる平面視略矩形状に形成されている。また、ステージ22は、ステージ開口部25を備えている。
【0045】
ステージ開口部25は、
図2および
図3Aに示すように、ステージ22を厚み方向に平面視略矩形状に貫通するように形成されている。
【0046】
中央部23は、
図2に示すように、基部21およびステージ22の幅方向中央を接続し、先後方向に延びる平面視細長矩形状に形成されている。中央部23は、幅方向に湾曲可能な幅狭に形成されている。
【0047】
なお、搭載部18において、切り欠かれた部分は、1対の連通空間24として区画されている。1対の連通空間24は、中央部23の幅方向両側に区画されており、金属支持基板8を厚み方向に貫通するように形成されている。
【0048】
1対の連結部19のそれぞれは、1対のアウトリガー部17のそれぞれの先端部から、基部21の幅方向両端部に連結されるように、幅方向内側斜め後方に延びている。これにより、1対の連結部19は、1対のアウトリガー部17と搭載部18とを連結している。
また、これによって、1対の連結部19と1対のアウトリガー部17との間、および、搭載部18と本体部13との間に、平面視において先側に向かって開く略U字状の基板開口部16が開口されている。
【0049】
金属支持基板8は、例えば、ステンレス、42アロイ、アルミニウム、銅−ベリリウム、りん青銅などの金属材料から形成されている。好ましくは、ステンレスから形成されている。
【0050】
金属支持基板8の厚みは、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上であり、例えば、30μm以下、好ましくは、25μm以下である。
【0051】
ベース絶縁層9は、金属支持基板8の上面に、導体層10に対応するパターンに形成されている。ベース絶縁層9は、第1ベース絶縁層26と、第2ベース絶縁層27とを備えている。
【0052】
第1ベース絶縁層26は、金属支持基板8の上面に配置されている。第1ベース絶縁層26は、第1端子領域絶縁層28と、第1ベース台座層の一例としての1対の第1先側ベース層29と、第1ベース台座層の一例としての1対の第1後側ベース層30とを備えている。
【0053】
第1端子領域絶縁層28は、ステージ22におけるステージ開口部25の先側に形成されている。第1端子領域絶縁層28は、ステージ開口部25の幅方向両端部よりも幅方向外側まで延びる平面視略矩形状に形成されている。
図2および
図3Aに示すように、第1端子領域絶縁層28の後端縁は、ステージ開口部25の前端縁と一致している。
【0054】
1対の第1先側ベース層29のそれぞれは、1対の連通空間24とステージ開口部25との間において、ステージ22の上に配置されている。第1先側ベース層29は、平面視略矩形状に形成されている。1対の第1先側ベース層29は、幅方向において、互いに間隔を隔てて配置されている。
【0055】
1対の第1後側ベース層30のそれぞれは、
図2および
図3Bに示すように、中央部23の上に配置されている。第1後側ベース層30は、平面視略矩形状に形成されている。
1対の第1後側ベース層30は、先後方向において、互いに間隔を隔てて配置されている。
【0056】
第1ベース絶縁層26は、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などの合成樹脂などの絶縁材料から形成されている。好ましくは、ポリイミド樹脂から形成されている。
【0057】
第1ベース絶縁層26の厚みは、具体的には、1μm以上、好ましくは、3μm以上であり、例えば、30μm以下、好ましくは、15μm以下である。
【0058】
第2ベース絶縁層27は、金属支持基板8の上に、第1ベース絶縁層26を被覆するように配置されている。第2ベース絶縁層27は、本体部13に対応する本体部絶縁層31と、ジンバル部14に対応するジンバル部絶縁層32とを備えている。
【0059】
本体部絶縁層31は、
図1に示す本体部13における導体層10(具体的には、後述する外部側端子57、および、配線60)に対応するように形成されている。
【0060】
ジンバル部絶縁層32は、
図2に示すように、基板開口部16に対応する基板開口部絶縁層34と、搭載部18に対応する搭載部絶縁層35と、架橋部36とを備えている。
【0061】
基板開口部絶縁層34は、基板開口部16を先後方向に跨ぐように形成されている。具体的には、基板開口部絶縁層34は、本体部絶縁層31の幅方向両端部の先端から連続して基板開口部16を通過するように先側に向かって延びており、基板開口部16の後側において幅方向両側に分岐され、基部21よりも後側で合一となり、基部21の先後方向途中まで延びる平面視略Y字状に形成されている。
【0062】
搭載部絶縁層35は、搭載部18に対応して、平面視略H字状に形成されている。具体的には、搭載部絶縁層35は、基部絶縁層38と、ステージ絶縁層39と、中央部絶縁層40とを備えている。
【0063】
基部絶縁層38は、搭載部18の基部21における導体層10に対応して形成されている。基部絶縁層38は、搭載部18の基部21の先側において、基板開口部絶縁層34から連続して、幅方向両外側に延びる平面視略矩形状に形成されている。また、基部絶縁層38は、基部21の先端縁よりも先方まで延びるように形成されている。基部絶縁層38において、搭載部18の中央部23を跨いで連通空間24から露出される部分が、1対の後ピエゾ側端子形成部43として区画されている。
【0064】
ステージ絶縁層39は、搭載部18のステージ22における導体層10に対応して形成されている。ステージ絶縁層39は、基部絶縁層38の先側に間隔を隔てて配置され、搭載部18のステージ22の先側から、ステージ22の後端縁よりも後方まで延びる平面視略矩形状に形成されている。ステージ絶縁層39において、搭載部18の中央部23を跨いで連通空間24から露出される部分が、1対の前ピエゾ側端子形成部44として区画されている。また、ステージ絶縁層39において、厚み方向に投影したときに、第1端子領域絶縁層28と重なる部分が、第2端子領域絶縁層54として区画され、第2端子領域絶縁層54以外の部分が、第2周辺領域絶縁層55として区画されている。また、ステージ絶縁層39において、厚み方向に投影したときに、1対の第1先側ベース層29のそれぞれと重なる部分が、第2ベース台座層の一例としての1対の第2先側ベース層50として区画されている。つまり、第2先側ベース層50は、幅方向において、互いに間隔を隔てて配置されている。また、ステージ絶縁層39は、ステージ開口部25に対応する接続端子開口部45と、複数(2つ)の接地開口部46とを備えている。
【0065】
接続端子開口部45は、
図2および
図3Aに示すように、ステージ絶縁層39を厚み方向に略矩形に貫通するように形成されている。接続端子開口部45の幅方向両端縁、および、後端縁は、厚み方向に投影したときに、ステージ開口部25の幅方向両端縁、および、後端縁と一致している。接続端子開口部45の先端縁は、ステージ開口部25の先端縁よりも後方に位置している。
【0066】
接地開口部46は、厚み方向に投影したときに、搭載部18のステージ22の後端部と重なる部分において、ステージ絶縁層39を厚み方向に貫通するように形成されている。
【0067】
中央部絶縁層40は、
図2に示すように、搭載部18の中央部23における導体層10に対応して形成されている。中央部絶縁層40は、基部絶縁層38およびステージ絶縁層39の幅方向中央を接続し、先後方向に延びる平面視細長矩形状に形成されている。なお、中央部絶縁層40は、中央部23よりも幅狭であり、幅方向に湾曲可能に形成されている。また、中央部絶縁層40において、厚み方向に投影したときに、1対の第1後側ベース層30のそれぞれと重なる部分が、第2ベース台座層の一例としての1対の第2後側ベース層51として区画されている。つまり、第2後側ベース層51は、先後方向において、互いに間隔を隔てて配置されている。
【0068】
なお、1対の後ピエゾ側端子形成部43と、1対の前ピエゾ側端子形成部44とを併せて、ピエゾ側端子形成部47とする。
【0069】
ピエゾ側端子形成部47は、
図2および
図3Aに示すように、端子開口部49を備えている。
【0070】
端子開口部49は、基部絶縁層38の1対の後ピエゾ側端子形成部43のそれぞれ、および、ステージ絶縁層39の1対の前ピエゾ側端子形成部44のそれぞれに、1つずつ形成されている。端子開口部49は、後ピエゾ側端子形成部43、および、前ピエゾ側端子形成部44を厚み方向に略矩形に貫通するように形成されている。
【0071】
架橋部36は、
図2に示すように、1対のアウトリガー部17の先端と、ステージ22の幅方向両端とを湾曲状に連結する1対の湾曲部52と、1対のアウトリガー部17の先端およびステージ22の先端を連結するE字部53とを備えている。
【0072】
湾曲部52は、アウトリガー部17の先端から幅方向内側斜め先側に向かって湾曲状に延び、ステージ22の幅方向両端に至っている。
【0073】
E字部53は、平面視略E字状をなし、具体的には、両アウトリガー部17の先端から先側に向かって延び、その後、幅方向内側に屈曲し、幅方向内側に延びて合一となった後、後側に屈曲して、ステージ22の先端の幅方向中央に至っている。
【0074】
第2ベース絶縁層27は、第1ベース絶縁層26を形成する絶縁材料と同一の絶縁材料から形成されている。
【0075】
第2ベース絶縁層27の厚みは、第1ベース絶縁層26の厚み100%に対して、例えば、20%以上、好ましくは、40%以上であり、例えば、500%以下、好ましくは、300%以下である。第2ベース絶縁層27の厚みは、具体的には、例えば、1μm以上、好ましくは、3μm以上であり、例えば、30μm以下、好ましくは、15μm以下である。
【0076】
なお、ベース絶縁層9において、第1端子領域絶縁層28および第2端子領域絶縁層54が形成される領域が、端子領域62として区画され、厚み方向に投影したときに、端子領域62と重ならない領域であり、ベース絶縁層9における端子領域62以外のすべての領域(第2周辺領域絶縁層55が形成される領域)が、周辺領域63として区画されている。
【0077】
導体層10は、
図1に示すように、外部側端子57と、接続端子の一例としてのヘッド側端子58と、ピエゾ側端子59と、配線60とを備えている。
【0078】
外部側端子57は、本体部13に対応する本体部絶縁層31の後端部に複数(6つ)配置されている。外部側端子57は、信号端子57Aと、電源端子57Bとを備えている。
【0079】
信号端子57Aは、外部側端子57の複数(6つ)の内、後方に配置される4つであり、幅方向に互いに間隔を隔てて配置されている。信号端子57Aは、外部基板6と電気的に接続される。
【0080】
電源端子57Bは、外部側端子57の複数(6つ)の内、前方に配置される2つであり、幅方向に互いに間隔を隔てて配置されている。電源端子57Bは、電源7と電気的に接続される。
【0081】
ヘッド側端子58は、
図2に示すように、ステージ22に対応するステージ絶縁層39の先端部の上面に設けられ、幅方向に互いに間隔を隔てて複数(4つ)配置されている。
ヘッド側端子58は、
図3Aおよび
図3Bに示すように、ステージ開口部25の先端縁と、接続端子開口部45の先端縁とを跨ぐように先後方向に延びている。ヘッド側端子58は、後述するヘッド接合材66を介して、磁気ヘッド3と電気的に接続される。ヘッド側端子58は、先側部58Aと、中央部58Bと、後側部58Cとを備えている。
【0082】
先側部58Aは、ヘッド側端子58におけるステージ開口部25の先端縁よりも先側部分である。先側部58Aは、厚み方向に投影したときに、金属支持基板8、第1ベース絶縁層26の第1端子領域絶縁層28、および、第2ベース絶縁層27と重なっている。つまり、先側部58Aは、厚み方向に投影したときに、端子領域62と重なっている。言い換えると、端子領域62は、厚み方向に投影したときに、先側部58Aと重なっている。
先側部58Aは、ヘッド側端子58を支持している。
【0083】
中央部58Bは、ヘッド側端子58におけるステージ開口部25の先端縁と、接続端子開口部45の先端縁との間の部分である。中央部58Bは、先側部58Aの後端部から連続して延びている。中央部58Bは、厚み方向に投影したときに、第2ベース絶縁層27と重なっている。中央部58Bは、ステージ開口部25内に配置されるが、第2ベース絶縁層27により支持されている。
【0084】
後側部58Cは、ヘッド側端子58における接続端子開口部45の先端縁よりも後側部分である。後側部58Cは、中央部58Bの後端部から連続して、下方に屈曲した後、後方に延びている。これにより、後側部58Cの上面と、中央部58Bの上面とは段差を形成している。また、後側部58Cの下面は、ステージ開口部25内に位置する第2ベース絶縁層27の下面と面一である。後側部58Cは、ステージ開口部25内に配置され、より磁気ヘッド3の近傍に位置することができる。
【0085】
ピエゾ側端子59は、連通空間24におけるベース絶縁層9のピエゾ側端子形成部47に、複数(4つ)配置されている。具体的には、ピエゾ側端子59は、基部絶縁層38の1対の後ピエゾ側端子形成部43のそれぞれの端子開口部49、および、ステージ絶縁層39の1対の前ピエゾ側端子形成部44のそれぞれの端子開口部49に落ち込み、充填されている。なお、
図2および
図3Aに示すように、ピエゾ側端子59において、1対の後ピエゾ側端子形成部43のそれぞれの端子開口部49に充填されるピエゾ側端子59を後ピエゾ側端子59Aとし、1対の前ピエゾ側端子形成部44のそれぞれの端子開口部49に充填されるピエゾ側端子59を前ピエゾ側端子59Bとする。ピエゾ側端子59は、後述するピエゾ接合材68を介して、ピエゾ素子5と電気的に接続される。
【0086】
配線60は、
図1に示すように、本体部13に対応する本体部絶縁層31(
図2参照)、および、ジンバル部14に対応するジンバル部絶縁層32(
図2参照)において、幅方向に互いに間隔を隔てて複数(6つ)形成されている。配線60は、信号配線60Aと、電源配線60Bとを備えている。
【0087】
信号配線60Aは、複数(6つ)の配線60の内の幅方向内側の4つであり、信号端子57Aと、ヘッド側端子58とに電気的に接続されている。信号配線60Aは、磁気ヘッド3(
図3Aおよび
図3B参照)、および、外部基板6間に電気信号を伝達する。
【0088】
具体的には、信号配線60Aは、本体部13に対応する本体部絶縁層31(
図2参照)の後端部において、信号端子57Aから先側に向かって延びた後、
図2に示すように、基板開口部絶縁層34、および、搭載部絶縁層35の上を順次通過して、ヘッド側端子58に至るように形成されている。
【0089】
なお、信号配線60Aは、搭載部絶縁層35の中央部絶縁層40において、厚み方向に投影したときに、第1ベース絶縁層26の1対の第1後側ベース層30と重なっている。
また、信号配線60Aは、搭載部絶縁層35のステージ絶縁層39において、厚み方向に投影したときに、第1先側ベース層29、および、第1端子領域絶縁層28と重なっている。
【0090】
電源配線60Bは、
図1に示すように、複数(6つ)の配線60の内、信号配線60Aよりも幅方向両外側の2つであり、電源端子57Bと、後ピエゾ側端子59Aとに電気的に接続されている。電源配線60Bは、ピエゾ素子5に、電源7から電力を供給する。
【0091】
具体的には、電源配線60Bは、本体部13に対応する本体部絶縁層31(
図2参照)の後端部において、電源端子57Bから先側に向かって延びた後、
図2に示すように、基板開口部絶縁層34、および、搭載部絶縁層35を順次通過して、後ピエゾ側端子59Aに至るように形成されている。
【0092】
また、配線60は、ジンバル部14に対応するジンバル部絶縁層32において、幅方向に互いに間隔を隔てて複数(2つ)形成されるグランド配線60Cを備えている。
【0093】
グランド配線60Cは、前ピエゾ側端子59Bを接地するために設けられている。具体的には、グランド配線60Cは、
図2および
図3Aに示すように、前ピエゾ側端子59Bから先側に向かって延び、信号配線60Aの後側において、接地開口部46に落ち込み、充填されるように下側に屈曲し、金属支持基板8と接触している。
【0094】
導体層10は、例えば、銅、ニッケル、金、はんだ、または、これらの合金などの導体材料から形成されている。好ましくは、銅から形成されている。
【0095】
導体層10の厚みは、ベース絶縁層9の厚み(第1ベース絶縁層26の厚みと第2ベース絶縁層27の厚みとの総和)100%に対して、10%以上、好ましくは、30%以上であり、例えば、200%以下、好ましくは、100%以下である。導体層10の厚みは、具体的には、例えば、3μm以上、好ましくは、5μm以上であり、例えば、50μm以下、好ましくは、20μm以下である。
【0096】
カバー絶縁層11は、
図1が参照されるように、本体部13およびジンバル部14にわたって形成され、
図3Aおよび
図3Bに示すように、ベース絶縁層9の上に配置され、平面視において導体層10を含むパターンに形成されている。
【0097】
具体的には、カバー絶縁層11は、配線60の上面を被覆し、外部側端子57(
図1参照)、および、ヘッド側端子58の上面を露出するパターンに形成されている。
【0098】
また、カバー絶縁層11において、厚み方向に投影したときに、1対の第1先側ベース層29および1対の第2先側ベース層50と重なる部分が、カバー台座層の一例としての1対の先側スライダ接触層78として区画されている。
【0099】
そして、第1先側ベース層29、第2先側ベース層50、および、先側スライダ接触層78から、台座の一例としての第1台座88が形成されている。つまり、第1台座88は、1対設けられている。1対の第1台座88は、幅方向において、互いに間隔を隔てて配置されている。
【0100】
また、カバー絶縁層11において、厚み方向に投影したときに、1対の第1後側ベース層30および1対の第2後側ベース層51と重なる部分が、カバー台座層の一例としての1対の後側スライダ接触層79として区画されている。
【0101】
そして、第1後側ベース層30、第2後側ベース層51、および、後側スライダ接触層79から、台座の一例としての第2台座89が形成されている。つまり、第2台座89は、1対設けられている。1対の第2台座89は、先後方向において、互いに間隔を隔てて配置されている。1対の第2台座89は、1対の第1台座88よりも後側であって、1対の第1台座88の幅方向略中央に配置されている。これにより、1対の第2台座89のいずれか一方と、1対の第1台座88とは、それぞれを頂点とする略三角形状に配置されている。
【0102】
カバー絶縁層11は、ベース絶縁層9(第1ベース絶縁層26および第2ベース絶縁層27)を形成する絶縁材料と同一の絶縁材料から形成されている。カバー絶縁層11の厚みは、第1ベース絶縁層26の厚み100%に対して、例えば、50%以上、好ましくは、80%以上であり、例えば、200%以下、好ましくは、150%以下である。また、カバー絶縁層11の厚みは、第2ベース絶縁層27の厚み100%に対して、例えば、10%以上、好ましくは、30%以上であり、例えば、100%以下、好ましくは、70%以下である。カバー絶縁層11の厚みは、具体的には、例えば、1μm以上、好ましくは、3μm以上であり、例えば、40μm以下、好ましくは、10μm以下である。
【0103】
めっき層12は、複数の端子、具体的には、外部側端子57、ヘッド側端子58、ピエゾ側端子59の表面に形成されている。めっき層12は、例えば、無電解めっき、電解めっきなどのめっき、好ましくは、電解めっきによって形成される。めっき層12は、例えば、ニッケル、金などの金属材料から形成されて、好ましくは、金から形成されている。
めっき層12の厚みは、導体層10の厚み100%に対して、例えば、5%以上、好ましくは、10%以上であり、例えば、100%以下、好ましくは、50%以下である。めっき層12の厚みは、具体的には、例えば、0.1μm以上、好ましくは、1μm以上であり、例えば、8μm以下、好ましくは、4μm以下である。
【0104】
スライダ4は、その先端にハードディスクの情報を読み書き可能な磁気ヘッド3が搭載されており、平面視略矩形箱形状に形成されている。なお、磁気ヘッド3の先端には、複数のヘッド側端子58に対応して、複数(4つ)のヘッド端子65が設けられている。
【0105】
ヘッド端子65は、磁気ヘッド3の前端面に配置され、磁気ヘッド3の下端部よりも上側に位置し、厚み方向に長さを有し、先側に臨むように設けられている。
【0106】
スライダ4は、1対の第1台座88および1対の第2台座89に接着剤などを介して、載置されており、ヘッド端子65がヘッド側端子58の上面に臨むように、ヘッド側端子58の上側に微小間隔を隔てて配置されている。
【0107】
そして、ヘッド側端子58の上面には、ヘッド接合材66が設けられている。
【0108】
ヘッド接合材66は、例えば、はんだや、導電性接着剤などの導電性材料から形成されている。好ましくは、低融点のはんだから形成されている。この低融点のはんだとしては、例えば、錫、銀、銅の合金からなるはんだ、錫、銀、ビスマス、インジウムの合金からなるはんだ、錫、亜鉛の合金からなるはんだ、錫、ビスマスの合金からなるはんだ、錫、ビスマス、銀の合金からなるはんだなどが挙げられる。低融点のはんだの融点は、好ましくは220℃以下である。また、導電性接着剤としては、例えば、銀ペーストなどが挙げられる。
【0109】
ヘッド接合材66は、ヘッド側端子58と、磁気ヘッド3のヘッド端子65とを電気的に接続している。
【0110】
このように、端子領域62において、第1ベース絶縁層26の第1端子領域絶縁層28と、第2ベース絶縁層27の第2端子領域絶縁層54とが形成されていることにより、ヘッド側端子58を、スライダ4が搭載する磁気ヘッド3のヘッド端子65に対して近接させている。
【0111】
ピエゾ素子5は、先後方向に伸縮可能なアクチュエータであって、先後方向に延びる平面視略矩形状に形成されている。ピエゾ素子5は、電力が供給され、その電圧が制御されることによって、伸縮する。なお、ピエゾ素子5の上部における前側および後側のそれぞれには、ピエゾ端子67が設けられている。ピエゾ素子5は、
図2および
図3Aに示すように、幅方向に間隔を隔てて1対配置されている。このとき、ピエゾ素子5は、後ピエゾ側端子59A、および、前ピエゾ側端子59Bを回路付サスペンション基板1に対して下側から架設し、ピエゾ側端子59の下面に対して、ピエゾ端子67が臨むように配置されている。
【0112】
そして、ピエゾ側端子59の上面には、ピエゾ接合材68が設けられている。ピエゾ接合材68は、例えば、ヘッド接合材66を形成する導電性材料と同一の導電性材料から形成されている。
【0113】
ピエゾ接合材68は、ピエゾ側端子59と、ピエゾ素子5のピエゾ端子67とを電気的に接続している。
【0114】
次に、回路付サスペンション基板1の製造方法について、
図4A〜
図6Iを参照して説明する。
【0115】
この方法では、
図4Aに示すように、まず、金属支持基板8を用意する。
【0116】
次いで、
図4Bに示すように、第1ベース絶縁層26を金属支持基板8の上に形成する。
【0117】
具体的には、第1ベース絶縁層26を、第1端子領域絶縁層28、1対の第1先側ベース層29(
図3A参照)、および、1対の第1後側ベース層30に対応するパターンとして、金属支持基板8の上に形成する。
【0118】
第1端子領域絶縁層28、1対の第1先側ベース層29(
図3A参照)、および、1対の第1後側ベース層30を備える第1ベース絶縁層26を形成するには、感光性の絶縁材料のワニスを金属支持基板8の上に塗布して乾燥させて、ベース皮膜を形成する。
【0119】
その後、ベース皮膜を、図示しないフォトマスクを介して露光する。フォトマスクは、遮光部分および光全透過部分をパターンで備えており、第1ベース絶縁層26を形成する部分には光全透過部分を、第1ベース絶縁層26を形成しない部分には遮光部分を、ベース皮膜に対して対向配置し、露光する。
【0120】
その後、ベース皮膜を現像し、必要により加熱硬化させることにより、第1端子領域絶縁層28、1対の第1先側ベース層29(
図3A参照)、および、1対の第1後側ベース層30を備えるベース絶縁層9を、上記したパターンで形成する。
【0121】
次いで、
図4Cに示すように、第2ベース絶縁層27を、第1ベース絶縁層26を被覆するように、金属支持基板8の上に形成する。
【0122】
具体的には、第2ベース絶縁層27を、本体部絶縁層31(
図1参照)、および、ジンバル部絶縁層32に対応するパターンとして、金属支持基板8の上に形成する。ジンバル部絶縁層32においては、第2端子領域絶縁層54と、第2周辺領域絶縁層55と、1対の第2先側ベース層50(
図3A参照)と、1対の第2後側ベース層51と、接続端子開口部45とを備えるパターンとして形成する。
【0123】
接続端子開口部45が形成される第2ベース絶縁層27を形成するには、感光性の絶縁材料のワニスを金属支持基板8および第1ベース絶縁層26の上に塗布して乾燥させて、ベース皮膜を形成する。
【0124】
その後、ベース皮膜を、図示しないフォトマスクを介して露光する。フォトマスクは、遮光部分および光全透過部分をパターンで備えており、ベース絶縁層9(接続端子開口部45を形成する部分を除く。)を形成する部分には光全透過部分を、ベース絶縁層9を形成しない部分、および、接続端子開口部45を形成する部分には遮光部分を、ベース皮膜に対して対向配置し、露光する。
【0125】
その後、ベース皮膜を現像し、必要により加熱硬化させることにより、第2端子領域絶縁層54、第2周辺領域絶縁層55、1対の第2先側ベース層50、1対の第2後側ベース層51、および、接続端子開口部45を備えるベース絶縁層9を、上記したパターンで形成する。
【0126】
次いで、
図5Dに示すように、導体層10を、ベース絶縁層9の上面に形成する。詳しくは、ベース絶縁層9の上面に、導体層10をアディティブ法またはサブトラクティブ法などのパターン形成法、好ましくは、アディティブ法によって形成する。
【0127】
これにより、
図1が参照されるように、導体層10が、ベース絶縁層9の上面に、外部側端子57、ヘッド側端子58、ピエゾ側端子59、および、配線60を備えるように形成される。なお、ヘッド側端子58の後側部58Cは、第1端子領域絶縁層28の上面に落ち込むように形成される。
【0128】
次いで、
図5Eに示すように、カバー絶縁層11を、第2ベース絶縁層27の上に、1対の先側スライダ接触層78(
図3A参照)、および、1対の後側スライダ接触層79を備えるパターンとして形成する。1対の先側スライダ接触層78(
図3A参照)、および1対の後側スライダ接触層79を備えるカバー絶縁層11を形成するには、第2ベース絶縁層27および導体層10の上に、感光性の絶縁材料のワニスを塗布して乾燥させて、カバー皮膜を形成した後、カバー皮膜を露光し、続いて、現像して、加熱硬化することにより、上記したパターンで形成する。
【0129】
これにより、
図3Aが参照されるように、1対の先側スライダ接触層78は、対応する第2ベース絶縁層27の1対の第2先側ベース層50、および、第1ベース絶縁層26の1対の第1先側ベース層29とともに、第1台座88を構成する。
【0130】
また、
図5Eに示すように、1対の後側スライダ接触層79は、対応する第2ベース絶縁層27の1対の第2後側ベース層51、および、第1ベース絶縁層26の1対の第1後側ベース層30とともに、第2台座89を構成する。
【0131】
次いで、
図5Fに示すように、金属支持基板8を、例えば、エッチングなどによって、基板開口部16(
図1および
図2参照)、および、ステージ開口部25が形成されるように、外形加工する。
【0132】
これにより、ステージ開口部25から、第1端子領域絶縁層28の後端部の下面が露出される。
【0133】
次いで、
図6Gに示すように、ベース絶縁層9において、ステージ開口部25から露出する第1端子領域絶縁層28の後端部を除去する。具体的には、エッチング、好ましくは、ウェットエッチングなどによって、除去する。
【0134】
これにより、第2端子領域絶縁層54の後端部の下面が露出されるとともに、ヘッド側端子58の後側部58Cの下面が露出される。
【0135】
次いで、
図6Hに示すように、複数の端子、具体的には、外部側端子57、ヘッド側端子58、ピエゾ側端子59の表面に、めっき層12を形成する。
【0136】
具体的には、無電解めっき、電解めっきなどのめっき、好ましくは、電解めっきによって、めっき層12を形成する。
【0137】
これにより、回路付サスペンション基板1が完成する。
【0138】
次いで、
図6Iに示すように、回路付サスペンション基板1に対して、磁気ヘッド3が搭載されたスライダ4を接続するときには、まず、ヘッド側端子58(めっき層12)の上にヘッド接合材66を形成する。具体的には、上記した導電性材料を公知の印刷機による印刷、または、ディスペンサーで塗布することで、ヘッド接合材66を形成する。
【0139】
次いで、磁気ヘッド3が搭載されたスライダ4を、1対の第1台座88(
図2および
図3A参照)、および、1対の第2台座89によって支持され、ヘッド端子65がヘッド側端子58の上側に位置するように、回路付サスペンション基板1に対して上側に配置する。
【0140】
そして、ヘッド接合材66を、レーザー(Xeランプレーザー)照射、または、はんだごてなどの加熱方法によって、その溶融温度以上に加熱する。好ましくは、ヘッド接合材66を、レーザー照射により加熱する。
【0141】
これにより、
図3Aおよび
図3Bに示すように、ヘッド接合材66が溶融されて流動し、ヘッド側端子58と、磁気ヘッド3のヘッド端子65とが電気的に接続される。
【0142】
このとき、ヘッド接合材66がフィレットを形成することで、ヘッド端子65の上端部まで、確実にヘッド接合材66を配置することができ、ヘッド側端子58とヘッド端子65とを確実に電気的に接続させることができる。
【0143】
また、
図3Aに示すように、回路付サスペンション基板1に対して、ピエゾ素子5を接続するときには、まず、ピエゾ側端子59の下にピエゾ接合材68を形成する。具体的には、上記した導電性材料を、公知の印刷機による印刷、または、ディスペンサーで塗布することで、ピエゾ接合材68を形成する。
【0144】
そして、1対のピエゾ素子5を、ピエゾ端子67が対応するピエゾ側端子59の下側に位置するように、回路付サスペンション基板1に対して下側に配置する。
【0145】
次いで、ピエゾ素子5が配置された回路付サスペンション基板1のジンバル部14をリフロー炉内に入れて加熱し、ピエゾ接合材68をリフローする。
【0146】
リフロー温度は、ピエゾ接合材68が溶融する温度以上、例えば、100℃以上、好ましくは、130℃以上であり、例えば、350℃以下、好ましくは、300℃以下である。
【0147】
また、リフロー時間は、例えば、5秒以上、好ましくは、10秒以上であり、例えば、500秒以下、好ましくは、300秒以下である。
【0148】
これにより、ピエゾ接合材68は、溶融することにより流動し、ピエゾ側端子59と、ピエゾ素子5のピエゾ端子67とを接着する。
【0149】
ピエゾ素子5は、ピエゾ側端子59を介して電源7から電力が供給され、その電圧が制御されることによって、先後方向に伸縮する。ピエゾ素子5が伸縮することにより、スライダ4の位置を微調整することができる。
【0150】
この回路付サスペンション基板1によれば、
図3Aおよび
図3Bに示すように、端子領域62の厚みが、周辺領域63の厚みよりも厚いので、厚み方向において、ヘッド側端子58をスライダ4の磁気ヘッド3のヘッド端子65に対して近接させることができる。
【0151】
そのため、ヘッド側端子58とヘッド端子65とを確実に接続させることができる。
【0152】
一方、周辺領域63の厚みは、端子領域62の厚みよりも薄いので、回路付サスペンション基板1の軽量薄型化を図ることができる。
【0153】
この回路付サスペンション基板1によれば、
図3Aおよび
図3Bに示すように、周辺領域63が、第2ベース絶縁層27からなる第2周辺領域絶縁層55を備えているのに対し、端子領域62が、第1ベース絶縁層26からなる第1端子領域絶縁層28と、第2ベース絶縁層27からなる第2端子領域絶縁層54を備えている。
【0154】
そのため、端子領域62を、1層のベース絶縁層9から形成する場合と比較して、端子領域62の厚みを2層、すなわち、第1端子領域絶縁層28および第2端子領域絶縁層54から形成することで、周辺領域63の厚みよりも容易に厚くすることができる。
【0155】
その結果、ヘッド側端子58をスライダ4の端子に対して近接させることができるので、ヘッド側端子58とスライダ4の磁気ヘッド3のヘッド端子65とを、より確実に接続させることができる。
【0156】
この回路付サスペンション基板1によれば、
図3Aおよび
図3Bに示すように、1対の第1先側ベース層29および1対の第1後側ベース層30が第1ベース絶縁層26からなり、1対の第2先側ベース層50および1対の第2後側ベース層51が第2ベース絶縁層27からなり、1対の先側スライダ接触層78および1対の後側スライダ接触層79がカバー絶縁層11からなるので、スライダ4を支持するための部材を別途設けることなく、配線60を被覆するようにして、1対の第1台座88および1対の第2台座89を形成することができる。
【0157】
この回路付サスペンション基板1の製造方法によれば、
図3Aおよび
図3Bに示すように、端子領域62の厚みが、周辺領域63の厚みよりも厚く、厚み方向において、ヘッド側端子58をスライダ4の端子に対して近接させることのできる回路付サスペンション基板1を製造することができる。
【0158】
また、
図4Cに示すように、第2端子領域絶縁層54および第2周辺領域絶縁層55を形成する工程において、1対の第2先側ベース層50、および、1対の第2後側ベース層51を同時に形成することができる。
【0159】
そのため、ヘッド側端子58をスライダ4の端子に確実に近接させることができながら、別途工程を増やすことなく、効率よく1対の第1台座88および1対の第2台座89を形成することができる。
【0160】
<第2実施形態>
次いで、
図7Aおよび
図7Bを参照して、本発明の第2実施形態の回路付サスペンション基板1について説明する。なお、第2実施形態において、上記した第1実施形態と同様の部材には同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0161】
上記した第1実施形態では、第1ベース絶縁層26が、第1端子領域絶縁層28、1対の第1先側ベース層29、1対の第1後側ベース層30のみを備え、第2ベース絶縁層27が、本体部13に対応する本体部絶縁層31と、ジンバル部14に対応するジンバル部絶縁層32とを備えている。
【0162】
対して、第2実施形態では、第1ベース絶縁層26が、本体部13に対応する本体部絶縁層31と、ジンバル部14に対応するジンバル部絶縁層32とを備え、第2ベース絶縁層27が、第2周辺領域絶縁層55を備えず、第2端子領域絶縁層54、1対の第2先側ベース層50、および、1対の第2後側ベース層51のみを備えている。
【0163】
そして、第1ベース絶縁層26のステージ絶縁層39において、第2端子領域絶縁層54と重なる部分が、第1端子領域絶縁層28として区画されている。言い換えると、第2端子領域絶縁層54は、第1端子領域絶縁層28の上に配置されている。また、第1ベース絶縁層26において、第1端子領域絶縁層28以外の部分が、第1周辺領域絶縁層95として区画されている。
【0164】
なお、ベース絶縁層9において、第1端子領域絶縁層28および第2端子領域絶縁層54が形成される領域が、端子領域62として区画され、厚み方向に投影したときに、端子領域62と重ならない領域であり、ベース絶縁層9における端子領域62以外のすべての領域(第1周辺領域絶縁層95が形成される領域)が、周辺領域63として区画されている。
【0165】
このような回路付サスペンション基板1を製造するには、上記した第1実施形態の第1ベース絶縁層26を金属支持基板8の上に形成する工程において、第2実施形態では、第1ベース絶縁層26を、本体部絶縁層31(
図1参照)、および、ジンバル部絶縁層32に対応するパターンとして、金属支持基板8の上に形成する。ジンバル部絶縁層32においては、第1端子領域絶縁層28と、第1周辺領域絶縁層95と、1対の第1先側ベース層29と、1対の第1後側ベース層30と、接続端子開口部45とを備えるパターンとして形成する。
【0166】
また、上記した第1実施形態の第2ベース絶縁層27を、第1ベース絶縁層26を被覆するように、金属支持基板8の上に形成する工程において、第2実施形態では、第2ベース絶縁層27を、第2端子領域絶縁層54と、1対の第2先側ベース層50と、1対の第2後側ベース層51とを備えるパターンとして、第1ベース絶縁層26の上に形成する。
【0167】
上記した工程以外は、第1実施形態と同様の製造方法により、回路付サスペンション基板1を製造する。
【0168】
以上により、第2実施形態の回路付サスペンション基板1が完成する。
【0169】
この回路付サスペンション基板1によれば、
図7Aおよび
図7Bに示すように、周辺領域63が、第1ベース絶縁層26からなる第1周辺領域絶縁層95を備えているのに対し、端子領域62が、第1ベース絶縁層26からなる第1端子領域絶縁層28と、第2ベース絶縁層27からなる第2端子領域絶縁層54とを備えている。
【0170】
そのため、端子領域62を、1層のベース絶縁層9から形成する場合と比較して、端子領域62の厚みを2層、すなわち、第1端子領域絶縁層28および第2端子領域絶縁層54から形成することで、周辺領域63の厚みよりも容易に厚くすることができる。
【0171】
その結果、ヘッド側端子58をスライダ4の磁気ヘッド3のヘッド端子65に対して近接させることができるのでヘッド側端子58とヘッド端子65とを、より確実に接続させることができる。
【0172】
この回路付サスペンション基板1によれば、
図7Aおよび
図7Bに示すように、1対の第1先側ベース層29および1対の第1後側ベース層30が第1ベース絶縁層26からなり、1対の第2先側ベース層50および1対の第2後側ベース層51が第2ベース絶縁層27からなり、1対の先側スライダ接触層78および1対の後側スライダ接触層79がカバー絶縁層11からなるので、スライダ4を支持するための部材を別途設けることなく、配線60を被覆するようにして、1対の第1台座88および1対の第2台座89を形成することができる。
【0173】
この回路付サスペンション基板1の製造方法によれば、
図7Aおよび
図7Bに示すように、端子領域62の厚みが、周辺領域63の厚みよりも厚く、厚み方向において、ヘッド側端子58をスライダ4の端子に対して近接させることのできる回路付サスペンション基板1を製造することができる。
【0174】
また、第1端子領域絶縁層28および第1周辺領域絶縁層95を形成する工程において、1対の第1先側ベース層29、および、1対の第1後側ベース層30を同時に形成することができる。
【0175】
そのため、ヘッド側端子58をスライダ4の端子に確実に近接させることができながら、別途工程を増やすことなく、効率よく台座を形成することができる。
【0176】
<変形例>
上記した第1実施形態および第2実施形態では、回路付サスペンション基板1は、スライダ4を支持するための第1台座88および第2台座89を備えているが、第1台座88および第2台座89を備えず、接着剤層などにより、スライダ4が支持されていてもよい。
【0177】
このような変形例においても、第1実施形態および第2実施形態と同様の作用効果を得ることができる。