(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6818263
(24)【登録日】2021年1月5日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】破面解析装置および破面解析方法
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20210107BHJP
G01N 21/17 20060101ALI20210107BHJP
G01N 3/06 20060101ALI20210107BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20210107BHJP
【FI】
G06T7/00 300E
G01N21/17 A
G01N3/06
G06T1/00 300
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-219778(P2016-219778)
(22)【出願日】2016年11月10日
(65)【公開番号】特開2018-77719(P2018-77719A)
(43)【公開日】2018年5月17日
【審査請求日】2019年9月2日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)集会での発表 ・集会名 日本材料学会第14回フラクトグラフィシンポジウム ・開催日 平成28年10月14日 (2)刊行物などへの発表 ・発行者 日本材料学会 ・刊行物名 第14回フラクトグラフィシンポジウム講演論文集 ・発行日 平成28年10月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】593006630
【氏名又は名称】学校法人立命館
(73)【特許権者】
【識別番号】000210986
【氏名又は名称】中央発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(74)【代理人】
【識別番号】100142572
【弁理士】
【氏名又は名称】水内 龍介
(72)【発明者】
【氏名】上野 明
(72)【発明者】
【氏名】榊原 隆之
【審査官】
粕谷 満成
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−266613(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/099270(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
G01N 21/17
G01N 3/06
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被解析物の破面の全部または一部の濃淡を測定する測定手段と、
前記破面の濃淡測定位置それぞれについて、その位置の濃淡と他の位置の濃淡との濃淡差を算出する濃淡差算出手段と、
前記濃淡差算出手段による算出結果を用いてリカレンスプロットを作成する作成手段と、
前記作成手段で作成された前記リカレンスプロットと、予め設定された基準破面の濃淡に基づき作成された基準リカレンスプロットとの類似度を正規化相互相関関数により算出する類似度算出手段と
を備えることを特徴とする破面解析装置。
【請求項2】
前記測定手段は、前記被解析物の破面の一部の濃淡を測定するものであり、前記破面のある位置とそれと異なる位置とを結ぶ直線上の濃淡を測定する
ことを特徴とする請求項1に記載の破面解析装置。
【請求項3】
前記直線は、互いに平行に配置される複数の直線であり、
前記各直線において前記リカレンスプロットを作成し、
前記各直線について、前記リカレンスプロットと前記基準リカレンスプロットとの類似度を正規化相互相関関数により算出する
ことを特徴とする請求項2に記載の破面解析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工業製品などの破断原因を解明する際に、被解析物の破面を解析する破面解析装置および破面解析方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、工業製品などの被解析物の破断原因を解明する際には、熟練者が破面を目視して判断していたが、熟練を要することなく誰にでも容易に破断原因を解明できることが望まれている。そこで、下記特許文献1に開示されるように、材料の破断部における破面画像のフラクタル次元を演算し、その演算結果と材料に関する特性データとから破断部の応力拡大係数範囲、力学的負荷量または化学的負荷量を推定する材料破面解析装置が提案されている。この材料破面解析装置では、材料の破面画像の画像データから、どのような応力がどの程度加えられたかを推定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−266613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、フラクタル次元の場合、異なる破面性状であっても、同じ値のフラクタル次元が算出されることがある。従って、フラクタル次元を用いる従来の装置では、破面画像のフラクタル次元と特性データとを照合した際に、間違った推定結果を導くおそれがある。すなわち、材料の破面性状を正確に識別することができないおそれがある。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、熟練を要することなく誰にでも容易にかつ正確に被解析物の破面の解析を行うことができる破面解析装置および破面解析方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明に係る破面解析装置は、被解析物の破面の全部または一部の濃淡を測定する測定手段と、前記破面の濃淡測定位置それぞれについて、その位置の濃淡と他の位置の濃淡との濃淡差を算出する濃淡差算出手段と、前記濃淡差算出手段による算出結果を用いてリカレンスプロットを作成する作成手段と、前記作成手段で作成された前記リカレンスプロットと、予め設定された基準破面の濃淡に基づき作成された基準リカレンスプロットとの類似度を正規化相互相関関数により算出する類似度算出手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る破面解析装置は、前記測定手段は、前記被解析物の破面の一部の濃淡を測定するものであり、前記破面のある位置とそれと異なる位置とを結ぶ直線上の濃淡を測定することを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明に係る破面解析装置は、前記直線は、互いに平行に配置される複数の直線であり、前記各直線において前記リカレンスプロットを作成し、前記各直線について、前記リカレンスプロットと前記基準リカレンスプロットとの類似度を正規化相互相関関数により算出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る破面解析装置によれば、解析対象である被解析物の破面の濃淡に基づいて濃淡差算出手段および作成手段により作成されるリカレンスプロットと、予め設定された基準破面の濃淡に基づき作成された基準リカレンスプロットとの類似度を類似度算出手段により算出するので、被解析物の破面を容易に解析することができる。リカレンスプロットは、破面性状が異なれば必ず異なるものである。従って、被解析物の破面のリカレンスプロットと基準リカレンスプロットとの類似度を算出することで、被解析物の破面を正確に解析することができる。
【0011】
また、本発明に係る破面解析装置によれば、被解析物の破面の任意の二点間を結ぶ直線上の濃淡を測定するので、濃淡の測定を容易に行うことができる。
【0012】
また、本発明に係る破面解析装置によれば、複数の直線それぞれについて、リカレンスプロットと基準リカレンスプロットとの類似度を正規化相互相関関数により算出するので、被解析物の破面の解析をより正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の破面解析装置の一実施例の概略構成図である。
【
図2】
図1の破面解析装置の撮像手段により取得された白黒画像の一例を示す図である。
【
図3】白黒画像の所定箇所の濃淡データを示すグラフである。
【
図4】
図1の破面解析装置により作成されるリカレンスプロットを作成する状態を示す図であり、濃淡データが並べられた状態を示す説明図である。
【
図5】
図1の破面解析装置により作成されるリカレンスプロットを作成する状態を示す図であり、
図4の状態から所定の箇所が着色された状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の破面解析装置の一実施例の概略構成図である。本実施例の破面解析装置1は、工業製品などの被解析物2の破断原因を解明する際に被解析物2の破面を解析する装置である。被解析物2は、特に問わないが、たとえば金属製のばねとされる。
図1に示されるように、破面解析装置1は、撮像手段3、測定手段4、濃淡差算出手段5、作成手段6および類似度算出手段7を備える。
【0017】
撮像手段3は、被解析物2の破面を撮像する手段であり、本実施例では電子顕微鏡が好ましい。これは、被解析物2の破面の微細なパターンを撮像するのに適しているからである。なお、撮像手段3は、電子顕微鏡に限定されるものではなく、被解析物2の破面の画像を取得できるものであればよい。たとえば、被解析物2を撮影して画像を取得するカメラでもよい。
【0018】
測定手段4は、被解析物2の破面の全部または一部の濃淡を測定する手段であり、本実施例では、被解析物2の破面のある位置とそれと異なる位置とを結ぶ直線上の濃淡を測定する。すなわち、直線上の複数の位置の濃淡を測定するものである。この直線は、互いに平行に配置される複数の直線としてもよい。なお、本実施例の測定手段4は、撮像手段3により撮像された被解析物2の破面の画像の全部または一部の濃淡を測定するものであり、被解析物2の破面の画像の前記直線上の濃淡を測定する。
【0019】
濃淡差算出手段5は、被解析物2の破面の濃淡測定位置それぞれについて、その位置の濃淡と他の位置の濃淡との濃淡差を算出する手段である。具体的には、ある測定位置の濃淡とそれ以外の全ての測定位置の濃淡との濃淡差を算出する。そして、これが全ての測定位置それぞれについて行われる。なお、本実施例の濃淡差算出手段5は、撮像手段3により撮像された被解析物2の破面の画像の濃淡測定位置それぞれについて前記濃淡差を算出するものであり、前記直線上の測定位置それぞれについて前記濃淡差を算出する。この直線が複数の場合には、各直線において前記濃淡差が算出される。
【0020】
作成手段6は、濃淡差算出手段5による算出結果を用いてリカレンスプロットを作成する手段である。この作成手段6により、前記濃淡差を用いてリカレンスプロットを描くことができ、濃淡を示すデータの有する特徴を視覚化することができる。なお、直線が複数の場合には、各直線においてリカレンスプロットが作成される。
【0021】
類似度算出手段7は、作成手段6で作成されたリカレンスプロットと基準リカレンスプロットの類似度を正規化相互相関関数により算出する手段である。ここで、基準リカレンスプロットは、予め設定された基準破面の濃淡に基づき作成されるものであり、記憶手段8に記憶されている。本実施例では、基準リカレンスプロットは、基準破面の画像の濃淡に基づき作成されるものである。図示例では、類似度算出手段7により算出された結果は、記憶手段9に記憶される。なお、直線が複数の場合には、各直線について、作成手段6により作成されたリカレンスプロットと基準リカレンスプロットとの類似度が正規化相互相関関数により算出される。
【0022】
次に、本実施例の破面解析装置1を用いた破面解析方法について説明する。
図2は、本実施例の破面解析装置の撮像手段により取得された白黒画像の一例を示す図であり、
図3は、その白黒画像の所定箇所の濃淡データを示すグラフである。
図4から
図5は、本実施例の破面解析装置により作成されるリカレンスプロットの一例の作成状態を時系列に示す説明図である。
【0023】
本実施例では、まず、撮像手段3により、被解析物2の破面の白黒画像10が取得される。この際、被解析物2の破面全体の白黒画像を取得してもよいが、本実施例では、被解析物2の破面の内、最も特徴が表れている箇所の白黒画像10が取得される。
【0024】
次に、測定手段4により、取得された白黒画像10の全部または一部の濃淡が測定される。本実施例では、取得された白黒画像10の上下方向略中央部において、白黒画像10の左端部と右端部とを結ぶ直線11上の濃淡が測定される。この濃淡の測定は、従来公知の方法により行われる。
【0025】
被解析物2の破面の白黒画像10から読み取った濃淡を表す数値データは、(x
1,x
2,x
3,…,x
N)のように並べられる。ここで、数値データは、白黒画像10の黒が0とされ、白が255とされる。なお、数値データは、後述するリカレンスプロットの時系列データとされるが、本実施例の場合、時間には関係なく、白黒画像10の各測定位置における濃淡データとされる。
図3は、濃淡データのグラフであり、白黒画像から測定された濃淡に相当する。このデータを用いて、以下に示すとおりに計算を行い、その計算結果を色分けして示したものがリカレンスプロットとされる。本実施例では、前記直線11上の21箇所(x
1からx
21)の測定位置の濃淡が以下の場合について説明する。
【0027】
これらのデータ間にどのような関係があるかを調べるために、濃淡差算出手段5によって、白黒画像10の前記直線11の濃淡測定位置それぞれについて、その位置の濃淡と他の位置の濃淡との濃淡差が算出される。これには、濃淡データのユークリッドノルムである|x
i−x
j|が用いられる。具体的には、x
1からx
21のそれぞれを基準として、その基準値と他の値との差を算出する。なお、その差は、絶対値が用いられる。
【0028】
x
1を基準とした場合、x
1とx
1,x
2とx
1,x
3とx
1,…,x
21とx
1との間の関係を調べるために、2つのデータを引き算した値であるx
1−x
1,x
2−x
1,x
3−x
1,…,x
21−x
1を求めると、
【0032】
x
2を基準とした場合、x
1とx
2,x
2とx
2,x
3とx
2,…,x
21とx
2との間の関係を調べるために、2つのデータを引き算した値であるx
1−x
2,x
2−x
2,x
3−x
2,…,x
21−x
2を求めると、
【0034】
となり、以下の式(2)で表される。但し、絶対値とされる。
【0036】
x
3を基準とした場合、x
1とx
3,x
2とx
3,x
3とx
3,…,x
21とx
3との間の関係を調べるために、2つのデータを引き算した値であるx
1−x
3,x
2−x
3,x
3−x
3,…,x
21−x
3を求めると、
【0038】
となり、以下の式(3)で表される。但し、絶対値とされる。これらと同様にして、x
4からx
21のそれぞれを基準とした場合について計算すると、以下の式(4)から式(21)で表される。
【0040】
次に、作成手段6により、濃淡差算出手段5による算出結果を用いてリカレンスプロットが作成される。リカレンスプロットの横軸は、データの個数、すなわち白黒画像10の位置を左から右へ並べて描くものである。リカレンスプロットの縦軸は、データの個数、すなわち白黒画像10の位置を下から上へ並べて描くものである。従って、
図4に示されるように、式(1)が横軸の最も下側に並べられ、その上に式(2)から式(21)が順次並べられることになる。
【0041】
ここで、
図5に示されるように、予め設定された閾値以上の場合には、着色される。本実施例では、閾値が6とされ、6以上の箇所が着色される。
図5では、着色箇所12を実線で囲んで示している。
【0042】
これが、求めるリカレンスプロットとされる。
図5に示されるように、リカレンスプロットは、原点を通る右上がりの対角線に対して、左上部分と右下部分とが対称とされる。その右上がりの対角線上の数値は、全て同じ数値(本実施例ではゼロ)とされる。
【0043】
そして、類似度算出手段7により、作成手段6で作成されたリカレンスプロットと予め設定された基準リカレンスプロットとの類似度が正規化相互相関関数により算出される。基準リカレンスプロットは、予め設定された基準破面の白黒画像の濃淡に基づき作成されるものであり、被解析物2の破面の前述したリカレンスプロットと同様にして作成される。基準破面は、被解析物2と同一の材質のものの破面であり、本実施例では、ディンプル、リバーパターン、ストライエーションおよび粒界割れを示す破面とされる。
【0044】
基準リカレンスプロットを作成するには、まず、基準破面の白黒画像の上下方向略中央部において、白黒画像の左端部と右端部とを結ぶ直線上の濃淡が測定される。そして、被解析物2のリカレンスプロットと同様にして、基準破面の濃淡測定位置それぞれについて、その位置の濃淡と他の位置の濃淡との濃淡差が算出され、その算出された濃淡差を用いて基準リカレンスプロットが作成される。
図1に示されるように、基準リカレンスプロットは、被解析物2の破面の解析を行う前に、記憶手段8に予め記憶されている。
【0045】
この基準リカレンスプロットと被解析物2の破面のリカレンスプロットとの類似度は、以下の式(22)に示す正規化相互相関関数で計算される。計算結果が1に近いほど両者が似ていることを示す。このようにして算出された類似度は、ディスプレイなどの表示手段に表示されたり、記憶手段9に記憶されたり、また、所定の形式でプリントアウトされたりする。
【0047】
なお、T(i,j)は、被解析物2の破面の時系列データを表しており、I(i,j)は、基準破面の時系列データを表している。ここで、被解析物2の破面の画像から得られた白黒濃淡度のデータ数は、画像横幅方向の画素数と同一である。本実施例では、画像の横幅方向の画素数は、640画素に統一している。このデータが、正規化相互相関関数の計算式の中のT(i,j)になる。また、基準破面の画像から得られた白黒濃淡度のデータ数は、画像横幅方向の画素数と同一であり、本実施例では、画像の横幅方向の画素数は、640画素に統一している。このデータが、正規化相互相関関数の計算式の中のI(i,j)になる。実際には、被解析物2の破面および基準破面はそれぞれ、画像の横方向一直線上で白黒濃淡データを求めているので、T(i,j)およびI(i,j)のiが1だけで、jが0〜255まで変化することになる。
【0048】
本実施例の場合、被解析物2の破面のリカレンスプロットと基準破面のリカレンスプロットの類似度が正規化相互相関関数により算出される。従って、相応の知識と経験とが必要であった破面の識別を自動で行うことができ、熟練者でなくとも容易に破面の解析を行うことができる。
【0049】
また、本実施例の場合、被解析物2の破面と基準破面とは、それぞれ対応するリカレンスプロット同士が比較される。フラクタル次元を用いた比較では、異なる破面性状であっても同一の値が算出されるおそれがあるが、リカレンスプロットを用いた本実施例の場合では、そのような問題が生じない。従って、本実施例によれば、被解析物2の破面を正確に解析することができる。
【0050】
さらに、本実施例の場合、被解析物2の破面の白黒画像10の左端部と右端部とを結ぶ直線11上の濃淡が測定される。従って、画像の領域の全ての濃淡を測定する場合と比較して、濃淡の測定を容易に行うことができる。これにより、リカレンスプロットの作成などは、少ない白黒情報を用いてなされることになるので、処理速度の高速化を実現することができる。
【0051】
本発明の
破面解析装置は、前記実施例の構成に限らず、適宜変更可能である。たとえば、前記実施例では、被解析物2の破面の白黒画像10の濃淡測定は、一本の直線上の濃淡を測定してなされたが、これに限定されるものではなく、複数の直線のそれぞれの直線上の濃淡を測定してなされてもよい。この場合、それぞれが白黒画像10の左右方向に沿う複数の直線が互いに平行に配置され、各直線において前述したようにリカレンスプロットが作成される。そして、作成された複数のリカレンスプロットそれぞれと前述した基準リカレンスプロットとの類似度が正規化相互相関関数により算出され、被解析物2の破面の識別がなされる。このように各直線それぞれについて類似度が算出されるので、被解析物2の破面の識別をより正確に行うことができる。
【0052】
また、前記実施例では、白黒画像10の左右方向に沿う直線11上の濃淡が測定されたが、白黒画像10の上下方向に沿う直線上の濃淡を測定してもよい。典型的には、白黒画像10の左右方向略中央部において、その白黒画像10の上端部と下端部とを結ぶ直線上の濃淡が測定される。この場合、直線は、一本であってもよいし、複数であってもよい。複数の場合には、それぞれが互いに平行に配置される。また、前記実施例では、被解析物2の破面の白黒画像10の一部である直線11上の濃淡を測定したが、白黒画像10の全部の濃淡を測定してもよい。さらに、前記実施例では、被解析物2の破面の白黒画像10の濃淡を測定したが、これに限定されるものではなく、被解析物2の破面から直接濃淡を測定してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、工業製品などの被解析物の破面を解析する装置および方法に好適に適用されるものである。
【符号の説明】
【0054】
1 破面解析装置
2 被解析物
4 測定手段
5 濃淡差算出手段
6 作成手段
7 類似度算出手段
11 直線