【実施例1】
【0019】
図12及び
図13により、本発明の一実施例に係る電気掃除機300について説明する。
図12に本実施例の電動送風機が適用される電気掃除機の斜視図を示す。
図12に示すように、100は塵埃を集塵する集塵室101及び集塵するのに必要な吸込気流を発生させる電動送風機200(
図13)を収納する掃除機本体、102は掃除機本体100を取り付ける保持部、103は保持部102の一端部に設けたグリップ部、104はグリップ部に設けられた電動送風機200の入切を行うスイッチ部である。保持部102の他端部には吸口体105が取り付けられ、掃除機本体100と吸口体105は接続部106で繋がれている。107は電池ユニット108(
図13)を充電する充電台である。
【0020】
以上の構成において、グリップ部103のスイッチ部104を操作すると、掃除機本体100に収納された電動送風機200が運転し、吸込気流を発生させる。そして、吸口体105から塵埃を吸込み、接続部106を通して掃除機本体100の集塵室101に集塵する。
【0021】
次に、
図13に示す電気掃除機における掃除機本体100を模式的に示した断面図を用いて、掃除機本体100について説明する。掃除機本体100の内部には、吸引力を発生させる電動送風機200、電動送風機200を駆動する電池ユニット108、駆動用回路109、集塵室101が配置されている。
【0022】
掃除機本体100は保持部102から取り外しハンディ掃除機として使用することができ、掃除機本体100には本体グリップ部110と吸口開口111が備えられている。112(
図12)はハンディ掃除機として使用するときの電動送風機200の入切を行う本体スイッチ部である。なお、本体スイッチ112は掃除機本体100を保持部102に取り付けているときでも操作することができる。
【0023】
次に、
図1(a)に示す電動送風機の外観図と、(b)に示す電動送風機の縦断面図を参照して電動送風機200について説明する。この電動送風機200は、送風機部201と電動機部202に大別される。送風機部201は、回転翼である遠心羽根車1と、該遠心羽根車1の裏面である電動機部202側に仕切板2が配置され、該遠心羽根車1、仕切板2を収納する樹脂製のファンケーシング3で構成される。仕切板2は円板状で、ファンケーシング3の内面と仕切板2外径で電動機部202に空気を流入させる円環流路が形成されている。ファンケーシング3の上面には空気吸込口4が設けられている。遠心羽根車1は熱可塑性樹脂製で、回転軸5に直結されている。ここで、本実施例では、回転翼である遠心羽根車1を回転軸5に圧入固定しているが、回転軸5の端部にねじを設け、遠心羽根車1は固定ナットを用い固定しても良い。
【0024】
電動機部202は、ハウジング6内に収納される回転軸5に固定されているロータコア(回転子)7、及びハウジング6に固定されているステータコア(固定子)8から構成される。ステータコア8の周りには、ステータ巻線9が巻かれ、一緒になって相巻線を形成する。相巻線は、電動送風機200に備わる駆動用回路109に電気的に接続される。
【0025】
ロータコア7は、回転軸5における遠心羽根車1が固定されている端部と逆側の端部に形成されており、希土類系のボンド磁石からなる。希土類系のボンド磁石は、希土類系磁性粉末と有機バインダーとを混合して作られる。希土類系のボンド磁石としては、例えば、サマリウム鉄窒素磁石や、ネオジム磁石等を用いることができる。ロータコア7は回転軸5に一体成形されている。
【0026】
なお、本実施例ではロータコア7に永久磁石を用いているが、これに囚われることがなく、無整流子電動機の一種であるリラクタンスモータなどを使用しても良い。
【0027】
遠心羽根車1とロータコア7の間には軸受10、11を備え、回転軸5を回転自在に支持している。軸受10と軸受11の間には、圧縮された状態でばね12が配置され、軸受10、軸受11に予圧を付与している。軸受10、11と、ばね12は軸受カバー13に内包されている。ハウジング6は合成樹脂製であり、軸受カバー13を固定する支持部14を有している。軸受カバー13の外周には軸受10、11の冷却用のヒートシンクである回転軸方向に長い複数の冷却フィン13aが設けられている。軸受カバー13は非磁性金属材料製で、樹脂製ハウジング6とインサート成形によって一体化される。
【0028】
樹脂製ハウジング6の支持部14の端部には回転軸方向に延在するねじ穴15が形成されている。ねじ穴15には固定ねじ16が螺合可能で、固定ねじ16の螺合によって仕切板2が樹脂製のハウジング6に固定設置されている。
【0029】
ファンケーシング3の内面と仕切板2の外周との間で、円環流路を形成している。円環流路の面積は遠心羽根車1の出口面積よりも大きくなるように仕切板2の外径を設定している。これにより、円環流路部での流速の増加、すなわち円環流路部での損失が増加するのを抑制している。また、円環流路面積を遠心羽根車1の出口面積よりも大きくし、仕切板2の外径を遠心羽根車1の外径よりも大きくすることで、仕切板2とファンケーシング3間で羽根無しディフューザとして作用するため、送風機効率を向上させることができる。
【0030】
仕切板2を遠心羽根車1の裏面である電動機部202側に設置することで、遠心羽根車1による電動機部202内の空気流れの乱れを抑制することで電動機部202の流路損失の増加を抑え、また遠心羽根車1の円板摩擦損失を低減することができる。
【0031】
ハウジング6には、ハウジング6内に空気が流れ込むように開口17と、電動送風機200の外部に空気を排出する排気口18が設けられている。ハウジング6の端部に配置されるステータコア8は、固定ねじ19によってハウジング6に固定されている。
【0032】
次に、電動送風機200内における空気の流れを説明する。電動機部202を駆動して回転翼である遠心羽根車1を回転させると、ファンケーシング3の空気吸込口4から空気が流入し、遠心羽根車1内に流入する。流入した空気は遠心羽根車1内で昇圧及び増速され、遠心羽根車1の外周から流出される。遠心羽根車1から流出された空気流は、ファンケーシング3の内面と仕切板2の外周で形成される円環流路から電動機部202に流入する。
【0033】
電動機部202に流入した空気は、ハウジング6の開口17からハウジング6内部に流入する。この流入空気により軸受カバー13の冷却フィン13aが冷却され、軸受カバー13を介して軸受10、11が冷却される。また、ロータコア7、ステータコア8、ステータ巻線9を冷却して外部へ排出される。これによって、ハウジング6内の各部が冷却される。ハウジング6に流入した空気流の一部は、ハウジング6の排気口18から外部へ排出される。
【0034】
ファンケーシング3の端部には突起20が設けられ、ファンケーシング3をハウジング6に固定する取付穴21が設けられている。ハウジング6の送風機部201側の端部には爪状突起22が設けられ、ファンケーシング3の取付穴21と嵌合接続される。
【0035】
次に、本実施の形態例の送風機部201を
図2から
図4を用い説明する。
図2(a)は本発明による一実施例の遠心羽根車の斜視図で、(b)は遠心羽根車の断面図、
図3(a)は本発明によるファンケーシングの斜視図で、(b)は断面図、
図4は本発明の一実施例における送風機部の流れを示す説明図で、(a)は送風機部の拡大断面図、(b)は
図1(a)の電動送風機のA−A線での断面図である。
【0036】
先ず
図2を用い、本発明に係る一実施例における回転翼である遠心羽根車1について説明する。本発明に係る一実施例の遠心羽根車1は、シュラウド板23と、ハブ板24と複数枚の羽根25から構成されている。ハブ板24と羽根25は熱可塑性樹脂で一体成形されている。熱可塑性樹脂製のシュラウド板23は、中央部に空気を吸い込む円環状の吸込開口26が形成されている。
【0037】
シュラウド板23の流路面には、羽根25と対応する位置に凹状溝27が形成され、外径側まで延設されている。凹状溝27には貫通穴28が設けられている。ハブ板24の中央には、回転軸5が挿入されて固定される凸形状のボス29が形成されている。ハブ板24と一体成形されている羽根25は周方向に等間隔で設置されており、内径側から径方向外側に向かうにつれ、回転方向に後退した羽根形状を有する。ボス29は軸方向から径方向に向かうようにボス曲面29aが形成されている。羽根25の上面には突起状の爪30と溶着用のリブが形成されている。羽根25の突起状の爪30とシュラウド板23の貫通穴28、及びシュラウド板23の凹状溝27と羽根25を係合させ、爪30及び溶着リブを溶着加工により接合することで遠心羽根車1が形成される。
【0038】
溶着リブは凹状溝27内で溶融するため、溶着リブの体積を凹部溝27に羽根25が挿入された際の隙間の体積よりも小さくしている。つまり、溶融した樹脂材が遠心羽根車1の流路内にはみ出すことを抑制できる。また、羽根25の溶着リブが溶融し、シュラウド板23と溶着されているため、羽根25間での漏れ流れを防止することができる。本実施例ではシュラウド板23と羽根23の位置を決めるためにシュラウド板23に貫通穴28を設けているが、これに囚われることがなく、貫通していない凹部形状としても良く、羽根25の爪30と嵌合させシュラウド板23と羽根25の位置決めができれば、どのような形状でも良い。
なお、ハブ板24の羽根25の裏面側の外周には凸部24aが設けられており、遠心羽根車1を回転させて凸部24aを削ることで、バランス修正を行うことができる。これにより、遠心羽根車1のアンバランス量を小さくでき、振動や騒音の低減を図ることができる。
【0039】
次に
図3を用い、本発明に係る一実施例のファンケーシング3について説明する。本発明に係る一実施例におけるファンケーシング3は、回転翼である遠心羽根車1を外方から覆っており、平面視で円形状の上板31と、上板31の周縁部に連続して軸方向に延在する曲面32を有し、曲面部32から延在する円環状の側板33とを備えている。ファンケーシング3の側板33の反上板31側の端部には突起20が設けられ、ファンケーシング3をハウジング6に固定する取付穴21が設けられている。
【0040】
ファンケーシング3の上板31の中央に空気吸込口4が設けられている。空気吸込口4よりも外径側には凹部34が設けられ、凹部34内に遠心羽根車1の吸込開口26が配置される。ファンケーシング3と遠心羽根車1の吸込開口26の先端は小さな隙間を有するように遠心羽根車1が配置され、遠心羽根車1で昇圧された空気が遠心羽根車1の吸込開口26側へ循環する空気量を小さくする構造を有している。凹部34内にシール部材を配設することで、シール効果を高めることができ、送風機効率をさらに向上させることができる。
【0041】
次に
図4を用い、本発明に係る第1の実施形形態の送風機部の流れを説明する。電動機を駆動して回転翼である遠心羽根車1を回転させるとファンケーシング3の空気吸込口4から遠心羽根車1に流入する。遠心羽根車1に流入した空気は、流入流れ35のように回転軸5の方向から流入し、半径方向流れに転向される。以下、空気吸込口4から回転軸5の方向への流れを軸方向流れと呼ぶ。遠心羽根車1内で昇圧及び増速され、遠心羽根車1から流出流れ36となる。流出流れ36は旋回方向の流れ成分を有しており、ファンケーシング3の内面に当たって、旋回しながら軸方向流れに転向され、ファンケーシング3の内面と仕切板2の外周で形成される円環流路からハウジング6に流入する。ファンケーシング3は曲面32を有しているため、スムーズに軸方向流れに転向することができ、損失を小さくすることができる。これによって、送風機効率を向上させることができる。また、羽根付ディフューザを用いていないために、設計点風量以外の広い風量域で高い効率を得ることができる。
【0042】
次に本発明の第1の実施形態における電動機部202を
図5から
図7を用い説明する。
図5(a)は本発明による一実施例のハウジングの斜視図で、
図5(b)は背面図で、
図6(a)は
図5(a)のB−B線での断面図で、(b)は
図5(a)のC−C線での断面図で、
図7(a)は
図6(a)に示すD部の拡大図で、(b)は拡大外観斜視図である。
【0043】
ハウジング6は合成樹脂製であり、軸受10、11を内包する軸受カバー13を固定する支持部14を有している。支持部14は略2重円筒状を呈しており、ハウジング6の前部の内側に位置している。支持部14の内側の略円筒部14aには、非磁性金属材料で製作された軸受カバー13が固定されている。軸受カバー13の外周の略円筒部14bには軸受10、11の冷却用のヒートシンクである回転軸方向に長い複数の冷却フィン13aが設けられ、ハウジング6の支持部14と一体成形されている。軸受カバー13の外周に冷却フィン13aが設けられている複雑形状のため、ダイカストで製作することで生産コストを抑え、高い寸法精度を得ることができる。軸受カバー13と冷却フィン13aの使用素材としては、非磁性金属で熱伝導率の高いアルミニウム合金が望ましい。
【0044】
樹脂製ハウジング6の支持部14の端部には回転軸方向に延在するねじ穴15が形成されている。ねじ穴15には固定ねじ16が螺合可能で、固定ねじ16の螺合によって仕切板2がハウジング6に固定設置される。支持部14の外周部はブリッジ37によって、略円筒状のフレーム38につながれている。フレーム38のブリッジ37がある端部にはステータコア8を固定するねじ穴39が設けられている。ねじ穴39には固定ねじ19が螺合可能で、固定ねじ19の螺合によってステータコア8がハウジング6に固定設置されている。また、フレーム38における送風機部201側の端部には爪状突起22が設けられ、ファンケーシング3の取付穴21と嵌合接続される。これにより、ファンケーシング3の回転軸5の方向の位置決め精度を確保することができ、樹脂製ファンケーシング3の端部と樹脂製ハウジング6の端部で確実に嵌合保持することができる。遠心羽根車1とファンケーシング3の位置決め精度が向上することで、遠心羽根車1とファンケーシング3の凹部34の隙間のばらつきを小さくすることができ、電動送風機200の性能向上と量産時の性能のばらつきを小さくできる。また、遠心羽根車1とファンケーシング3が接触することが無く、信頼性が高い電動送風機200を提供することができる。
【0045】
ハウジング6には、ハウジング6内に空気が流れ込むようにブリッジ37間で形成される開口17と、ロータコア7、ステータコア8、ステータ巻線9を冷却せずに直接外部に空気を排出する排気口18が複数個設けてもかまわない。
【0046】
フレーム38の内側は傾斜部40が設けられている。ファンケーシング3の内面と仕切板2の外周で形成される円環流路から流出した空気が、傾斜部40によって開口17に流入し易い構造となっている。開口17から流入した空気は、軸受カバー13に設けた冷却フィン13aにあたる。軸受10、11で発生した熱は、非磁性金属材料で製作させている軸受カバー13を熱伝導で伝わり、冷却フィン13aで放熱され、軸受10、11が効果的に冷却される。
【0047】
ハウジング6を樹脂製としても、軸受10、11で発生した熱を軸受カバー13に設けた冷却フィン13aで効果的に放熱させることができ、軸受10、11を効果的に冷却することができ、信頼性が高い電動送風機200を提供することができる。さらに、ハウジング6を樹脂製としているため、軽量化が可能となり、電動送風機200を軽量化することができる。本実施例では、軸受カバー13と樹脂製ハウジング6をインサート成形で一体化しているが、樹脂製ハウジング6に軸受カバー13を圧入しても良い。
【0048】
図7に示すように、フレーム38のファンケーシング3側の端面にはファンケーシング3の内面と嵌合する略円筒形状の取付部41と、ファンケーシング3の端面と接触する接触部42を形成している。このため、取付部41と接触部42でファンケーシング3の位置決めを容易に行うことができる。また、フレーム38の爪状突起22は、略三角柱形状で略四角形面の一つがフレーム38の取付部41に取り付けられ爪状突起を形成している。略四角形面22aは回転軸と垂直に形成され、他の略四角形面22bは回転軸に対し斜めに形成されている。
【0049】
ファンケーシング3をハウジング6への取付時には、樹脂製のファンケーシング3の突起20の端面が爪状突起22の斜めに形成された略四角形面22bと接触し、さらにファンケーシング3を押し込むことで突起20が外径側に変形し、ファンケーシング3の取付穴21に爪状突起22が嵌合接続される。取付穴21と爪状突起22が嵌合接続されると、爪状突起22の略四角形面22aによりファンケーシング3が確実に固定される。
【0050】
樹脂製のファンケーシング3の取付穴21と樹脂製のハウジング3の爪状突起22が嵌合接続され、ファンケーシング3の端面とハウジング6の接触部42が接触することで、ファンケーシング3の回転軸5の方向の位置決め精度を確保することができる。
【0051】
遠心羽根車1とファンケーシング3の回転軸5の方向の位置決め精度が向上することで、遠心羽根車1とファンケーシング3の凹部34の隙間のばらつきを小さくすることができ、電動送風機200の性能向上と性能ばらつきを小さくできる。また、遠心羽根車1とファンケーシング3が接触することが無く、信頼性が高い電動送風機200を提供することができる。本実施の形態例ではファンケーシング3の取付穴21とハウジング6の爪状突起22により、ファンケーシング3の取付を行っているが、ファンケーシング3の内面に雌ねじ、ハウジング3の取付部41の外周に雄ねじを設けねじの嵌合によりファンケーシング3を固定しても良い。
【0052】
以上説明した本実施の形態例の電動送風機200によれば、ファンケーシング3の内面と仕切板2の外周との間の円環流路の面積は遠心羽根車1の出口面積よりも大きくなるように仕切板2の外径を設定しているため、円環流路部での流速の増加、すなわち円環流路部での損失を抑制できる。
【0053】
また、円環流路面積を遠心羽根車1の出口面積よりも大きくし、仕切板2の外径を遠心羽根車1の外径よりも大きくすることで、仕切板2とファンケーシング3で羽根無しディフューザとして作用するため、さらに送風機効率を向上させることができる。これにより、広い風量域において高効率な小型軽量の電動送風機を得ることができる。
【0054】
さらに、仕切板2を遠心羽根車1の裏面の電動機部202側に設置することで、遠心羽根車1による電動機部202内の空気流れの乱れを抑制すことで電動機部202の流路損失の増加を抑え、また遠心羽根車1の円板摩擦損失を低減することができ、送風機効率を向上させることができる。
【0055】
また、樹脂製ファンケーシング3端部の突起20にハウジング3との取付穴21と、樹脂製ハウジング6の略四角柱の爪状突起22を嵌合接続させることで、爪状突起22の略四角形面22aによりファンケーシング3が確実に固定させることができ、ファンケーシング3の軸方向の位置決め精度を確保することができる。これにより、遠心羽根車1とファンケーシング3の凹部34の隙間のばらつきを小さくすることができ、電動送風機200の性能向上と性能ばらつきを小さくできる。また、遠心羽根車1とファンケーシング3が接触することが無く、信頼性が高い電動送風機200を得ることができる。
【0056】
さらに、ファンケーシング3、ハウジング6、遠心羽根車1を樹脂製としているため、電動送風機200を軽量化することができる。電動送風機200を電気掃除機に搭載することで、電気掃除機の信頼性が高く小型軽量化を行うことができ、広い風量域において吸引力を向上させることができる。
【実施例2】
【0057】
次に第2の実施形態例について、
図8から
図10を用い説明する。
図8は本発明の第2の実施形態例における電動送風機の縦断面図で、
図9(a)はファンケーシングの斜視部、(b)は縦断面図で、
図10は送風機部の流れを示す説明図で、
図8の電動送風機のD−D線での断面図である。上記第1の実施形態例と基本的な構成は同じであるので同一要素については同一符号を用い、その説明を省略する。
【0058】
本実施の形態例では、送風機部201は、回転翼である遠心羽根車1と、遠心羽根車1の裏面の電動機部202側に仕切板2が配置され、遠心羽根車1、仕切板2を収納する樹脂製のファンケーシング3で構成される。仕切板2は円板状で、ファンケーシング3の内面と仕切板2の外径で電動機部202に空気を流入させる円環流路が形成されている。ファンケーシング3の内面に案内板43を一体形成している。ファンケーシング3は、平面視円形状の上板31と、上板31の周縁部に連続して回転軸5の方向に延在する曲面32を有し、曲面部32から延在する円環状の側板33とを備えている。案内板43は曲面32と側板33のファンケーシング3の内部で接している。案内板43は、回転軸5に垂直に切った断面で見て、案内板43と隣接する案内板43とは重ならないように設けられている。なお、ファンケーシング3の上板31には空気吸込口4が設けられている。なお、ファンケーシング3の側板33の端部には突起20が設けられ、ファンケーシング3をハウジング6に固定する取付穴21が設けられている。なお、ファンケーシング3の内面と仕切板2外径で形成される円環流路円環流路の面積は、遠心羽根車1の出口面積よりも大きくなるように仕切板2の外径を設定している。
【0059】
図10に示すように、回転翼である遠心羽根車1から流出した流出流れ36は旋回速度成分を有している。そのため、ファンケーシング3の案内板43が設置されていない場合、遠心羽根車1から流出した空気は、ファンケーシング3の内面と仕切板2の外周で形成される円環流路からハウジング6に流入するまでの軌跡(流跡線の長さ)が長くなる。ファンケーシング3に案内板43を設けることで、流出流れ36の旋回速度成分を回転軸方向成分にスムーズに変換でき、流路を流れる際の軌跡をより短くできるので摩擦損失を低減することができる。これによって、送風機効率を向上させることができる。
【0060】
また、案内板43と隣接する案内板43とは重ならないようにすることで、案内板43と隣接する案内板43で形成される入口側の流路面積が狭くならない。そのため、案内板43に流入する流速が速くならないため、案内板43の入口での摩擦損失を小さくすることができる。設計点よりも大風流側での運転においても、案内板43は重なっていないため、案内板43の入口部では、遠心羽根車1から流出した流速よりも速くならないため、案内板43での損失を抑制することができる。すなわち、広い風量域で高い効率を維持することができる。
【0061】
さらに、案内板43はファンケーシング3の曲面32と側板33の内部で接しているため、ファンケーシング3の強度を高めることができ、ファンケーシング3の変形を小さくすることができ、遠心羽根車1とファンケーシング3の凹部34の隙間のばらつきを小さくすることができる。これにより、電動送風機200の性能向上と性能ばらつきを小さくできる。また、遠心羽根車1とファンケーシング3が接触することが無く、信頼性が高い電動送風機200を得ることができる。
【0062】
さらに、ファンケーシング3の強度が強くなることで、ファンケーシング3の板厚を厚くしなくともファンケーシング3の固有振動数を高くすることができ、軽量化することができる。また、固有振動数を高くすることができるので、振動、騒音も低減することができる。
【0063】
また、ファンケーシング3の内面と仕切板2の外周との間の円環流路の面積は遠心羽根車1の出口面積よりも大きくなるように仕切板2の外径を設定しているため、円環流路部での流速の増加、すなわち円環流路部での損失を抑制することができる。
【0064】
さらに、仕切板2を遠心羽根車1の裏面の電動機部202側に設置することで、遠心羽根車1による電動機部202内の空気流れの乱れを抑制すことで電動機部202の流路損失の増加を抑え、また遠心羽根車1の円板摩擦損失を低減することができ、送風機効率を向上させることができる。
【0065】
なお、本実施の形態例では案内板43を直線状の平板で図記しているが、回転軸5に垂直に切った断面で見て、円弧状としても良い。
【0066】
次に、本発明の第2の実施形態における他のファンケーシングを
図11で説明する。
図11は本発明のファンケーシングの縦断面図である。
図11に示すように、ファンケーシング3の内面に複数枚の案内板43を一体形成し、案内板43はファンケーシング3の曲面32と側板33がファンケーシング3の内部で接している。案内板43の曲面32と接している側と反対側の案内板43の長さは、曲面32と接している長さよりも短くなる構成としたもので、その他の部分は先の実施例と同じである。
【0067】
設計点より大風量側では遠心羽根車1からの流出流れ36の流出角度は大きくなる。すなわち旋回速度成分は、設計点や低風量側よりも小さい。そのため、流出流れ36は案内板43の側面に当たりファンケーシング3の内面に衝突し、回転軸5の方向に急激に曲がられる。案内板43の曲面32と接している側と反対側の案内板43の長さ短くしていることにより、案内板43から電動機部202側に流入する空気がチョークすることを防ぐことができ、大風量側で送風機部201の効率を向上させることができる。
【0068】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分りやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部については、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。