特許第6818470号(P6818470)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6818470バランス装置を有する加工ヘッド及び歯車製造機械
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6818470
(24)【登録日】2021年1月5日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】バランス装置を有する加工ヘッド及び歯車製造機械
(51)【国際特許分類】
   B23F 23/12 20060101AFI20210107BHJP
   B24B 41/04 20060101ALI20210107BHJP
   B24B 45/00 20060101ALI20210107BHJP
   B23Q 17/12 20060101ALI20210107BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20210107BHJP
   G01M 1/36 20060101ALI20210107BHJP
【FI】
   B23F23/12
   B24B41/04
   B24B45/00 B
   B23Q17/12
   B23Q11/00 B
   G01M1/36
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-166711(P2016-166711)
(22)【出願日】2016年8月29日
(65)【公開番号】特開2017-71048(P2017-71048A)
(43)【公開日】2017年4月13日
【審査請求日】2019年5月17日
(31)【優先権主張番号】10 2015 012 818.3
(32)【優先日】2015年10月5日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】594012634
【氏名又は名称】リープヘル−フェアツァーンテヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プレッシング マティーアス
【審査官】 中里 翔平
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第102009039752(DE,A1)
【文献】 特開2014−094442(JP,A)
【文献】 特開2001−232563(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23F 23/12
B23B 17/00−23/04
B23F 5/04− 5/06
B23Q 3/12− 3/14
B23Q 11/00
B23Q 17/12
B24B 41/04
B24B 45/00
G01M 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのモータスピンドルおよび少なくとも1つのカウンタースピンドルを備えた歯車製造機械用の加工ヘッドであって、
上記モータスピンドルと上記カウンタースピンドルとの間に、少なくとも1つの工具が設けられた工具アーバが取り付けられ、
上記モータスピンドル内に、少なくとも1つのバランス装置が設けられ、
上記カウンタースピンドル内に、少なくとも1つのバランス装置が設けられている
ことを特徴とする加工ヘッド。
【請求項2】
請求項1において、
各上記バランス装置は、全体が上記モータスピンドルまたは上記カウンタースピンドルのハウジング内に設けられ、かつ上記モータスピンドルのロータまたは上記カウンタースピンドルのシャフトに取り付けられている
ことを特徴とする加工ヘッド。
【請求項3】
請求項1または2において、
上記モータスピンドルおよび/または上記カウンタースピンドルの上記バランス装置は、二面バランス装置である
ことを特徴とする加工ヘッド。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項において、
上記バランス装置は、上記モータスピンドルおよび/または上記カウンタースピンドル内において、上記モータスピンドルまたは上記カウンタースピンドルのフロントスピンドル軸受の裏側または下方に配置されている
ことを特徴とする加工ヘッド。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項において、
上記モータスピンドルおよび/または上記カウンタースピンドルに、歯車製造加工の間の振動を記録するための少なくとも1つの振動センサが設けられ、
上記振動センサは、歯車製造機械の制御部と通信的に接続可能である
ことを特徴とする加工ヘッド。
【請求項6】
請求項5において、
上記モータスピンドルおよび/または上記カウンタースピンドルの後端部に、上記バランス装置を調節するための信号送信機が設けられている
ことを特徴とする加工ヘッド。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項において、
上記カウンタースピンドルと上記モータスピンドルとの間の間隔は、上記工具または上記工具アーバの長さに応じて可変的に調節可能である
ことを特徴とする加工ヘッド。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項において、
小さな工具径を有する上記工具は、上記工具アーバに収容可能であり、
上記工具は、小さな研削ホイールおよび/または小さな研削ウォーム、および/または少なくとも1つの研削ウォームと少なくとも1つの研削ホイールとの組み合わせである
ことを特徴とする加工ヘッド。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項において、
上記モータスピンドルは、8000rpm以上の回転速度で動作可能である
ことを特徴とする加工ヘッド。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項において、
上記バランス装置の構成要素は、上記工具アーバ内に全く配置されていない
ことを特徴とする加工ヘッド。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の加工ヘッドを備えた、歯車装置を研削するための歯車製造機械。
【請求項12】
請求項11において、
上記歯車製造機械は、制御部を備え、
上記制御部は、上記加工ヘッドの信号送信機からの振動パラメータを受信し、受信した該振動パラメータおよび上記モータスピンドルの現在の回転速度および/または角度位置に応じて、研削工具のアンバランスを補償するように、少なくとも1つの上記バランス装置のための調整値を生成するように構成されている
ことを特徴とする歯車製造機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯車製造装置、好ましくは歯車研削装置のための加工ヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
工具、特に仕上げ用の研削工具は、高品質な結果物を得るためにバランスが取られている必要がある。工具アーバが1つ以上のディスク状工具および/または1つ以上の円筒状工具を有しているか否かによって、それらは1つのバランス面あるいは2つのバランス面内においてバランスが取られていなければならない。
【0003】
アンバランスは、質量が中心周りに非対称に分布している回転体によって生じる回転力によるものである。回転軸回りに回転体が回転する場合、外方へ作用する遠心力が常に生じる。回転体内において質量が均一に分布している場合には、遠心力は互いに相殺し、当該回転体は回転の間において原位置に位置したままとなる。対照的に、質量が不均一に分布している場合には、回転軸に対する回転体の相対移動を生じさせる追加的な力およびトルクが回転体に作用する。回転体が固定されている場合には、軸受に歪みが生じる。
【0004】
アンバランスには2種類のもの、すなわち静的アンバランスと動的アンバランスとがあり、それらはまた組み合わさって生じることもある。質量体が質量miを有する小さく細いディスクである場合、質量中心は回転軸に関して一定の間隔riをおいて一定の方向に存在する。このため、回転体の質量中心が回転軸上に位置せず、むしろ慣性中心主軸が回転軸からの間隔eと平行であるという静的アンバランスが生じる。よって、遠心力が回転において回転軸に対して垂直に作用しかつもはや相殺され得ない。アンバランスUiは、点質量miおよびその回転軸からの間隔riによって規定されて生じる。この静的アンバランスは、従来より静的状態において、例えば研削ホイール用のアンバランス・スケールを用いることによって測定され得る。
【0005】
動的アンバランスでは、回転体の質量中心は明らかに回転軸上に存在するが、慣性主軸が回転軸と平行ではなく特定の角度をなしている。このことの原因は、個々のディスクの質量中心が回転軸上に存在していないことにある。そのことを考慮すると、これらの小さなディスクはしたがってアンバランスを生じさせる遠心力を有している。アンバランス力は明らかに合計するとゼロになる、すなわち横方向への力は生じないのだが、それらはアプリケーションの平行線上に位置するため、回転体に作用するモーメント負荷が生じる。いわゆる曲げモーメントがしたがって回転中に生じる。不均等で不安定な回転運動が結果として生じる。動的アンバランスは、回転している回転体においてのみ測定され得る。技術的な回転体においては、一般的な動的アンバランス、すなわち静的および動的アンバランスの組み合わせが典型的には存在する。
【0006】
工具ホルダにおけるアンバランスは、設計、図面、材料、製造または設置における欠陥が存在する場合に生じる。言及した欠陥に加えて、アンバランスは、仕上げ用の研削工具において、異なる材料密度のために、または研削工具による異なった量の冷却液の受容のために生じ得る。
【0007】
大きなアンバランスを有する工具は、加工において複数の点に関して悪影響を有する。そのような工具は、工具ホルダの振動のために加工されたワークピースの低品質な表面を作り出し、工具ホルダを発振させ、実現可能な切削速度に制限を課し、製作精度を低下させ、または不均一な刃の摩耗のために工具の寿命を短くさせる。
【0008】
これらの悪影響を回避するために、技術的に実現可能であって経済的に有効なバランス品質において、工具ホルダのバランスを取ること、またはより良くは、クランプ工具によって工具ホルダのバランスを取ることが推奨されている。バランスを取る間には、工具ホルダの非対称な質量分布が、質量を付け加えるか、質量を取り除くか、あるいは質量を置き換えることで補償される。バランスを取ることの目的は、軸受力、軸受の振動、および波状変形(wave deformations)を許容値まで制限することである。
【0009】
アンバランスを補償するためには、まずそれを測定プロセスを用いて分析的に求めることが必要である。生じる遠心力は振動センサによって測定され、アンバランスおよび必要とされるアンバランス補償が算出される。工具システムにおける必要とされる適合がそしてデータを用いて実行される。そのような工具は、別個のバランス機械において、および/または製造機械においてバランスが取られる。製造機械において仕上げられた工具は、また、仕上げプロセスにおいてバランス状態が変化し得る。そのような場合には、これらの工具を製造機械においてバランス取りすることがしたがって常に有利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1870198号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1には、工具アーバにおいて研削工具の直下に配置された研削ホイールのバランスを取るためのバランスシステムが示されている。工具のバランス状態は対応するセンサシステムによって検出され、処理装置によって評価される。バランスウェイトをそれ相応に調節するための制御信号が、評価の結果としてバランスユニットに出力される。
【0012】
この実施形態は、従来技術に係る大きな工具や大きなウォーム径によく適している。なぜなら、工具ボアは十分に寸法が大きく、工具アーバはバランスヘッドの収容のための十分な空間を提供しているためである。利用可能なスペースが小さくなるほど、使用されるバランスウェイトが小さくなって、最大に補償可能なアンバランスが低減される。しかしながら、大きなアンバランスは特に往々にして高速回転工具において補正されなければならない。
【0013】
衝突しそうなワークピースが加工される場合には、非常に小さな径を有する研削ウォームもしくは非常に小さな研削ホイール径を有する研削ホイール、またはその2つの組み合わせの使用が必要となる。このシステムは概してここでその限界に到達する。なぜなら、研削工具を収容するための工具アーバがバランスヘッドを収容するための特定の最小径を有している必要があるためである。
【0014】
本発明の目的は、歯車製造機械のための加工ヘッドであって、小径工具または歯車加工用もしくは特に衝突しそうなワークピースの加工用の工具アーバのためのバランスシステムを備えた加工ヘッドの革新的な構成を提供することである。これらの小さな工具径は、ワークピースにおいて工具と歯車装置または別の歯車装置に隣り合う径との間の望ましくない衝突を工具径が生じさせるときに、そうでなければ大きくなりすぎるように選択される。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的は、請求項1の特徴を有する加工ヘッドによって達成される。加工ヘッドの有利な実施形態は従属請求項の主題である。
【0016】
本発明によると、工具アーバを保持する少なくとも1つのモータスピンドルを備えた歯車製造機械のための加工ヘッドが提示される。本発明によると、保持された工具の任意のアンバランスを補正するためのバランス装置がモータスピンドル内に設けられる。工具アーバは両側において、すなわち一方ではモータスピンドルによって、他方では対向して配置されたカウンタースピンドルによって保持される。カウンタースピンドルは、また、少なくとも1つのバランス装置を有している。モータスピンドルおよびカウンタースピンドルのバランス装置は、好ましくは、アンバランスを補償するために位置調節可能なバランスウェイトまたはバランスヘッドを有している。すなわち、モータスピンドルおよびカウンタースピンドルに分散された構成要素は、アンバランスを補償するための共通の二面(two-plane)バランスシステムを形成し得る。
【0017】
モータスピンドルまたはカウンタースピンドルにバランス装置を設けることにより、様々な工具アーバを保持すること、および様々な工具をその径に関係なく使用することが可能となる。非常に小さな径を有する工具、特に研削ホイールまたは研削ウォームが、それにより特に衝突しそうなワークピースにおいて歯車を製造するために使用され得る。この点において、最小工具ボア径は必要とされるバランス容量によって決まる。必要とされる容量が大きくなるほど、バランスシステムのための取付ボアが大きくならなければならない。この点において、50mm以下の工具ボア径は、例えば、もはや従来技術に係るバランスシステムを工具アーバに設けることには適さない。
【0018】
特に小さな径を有する様々な工具アーバの使用がモータスピンドルまたはカウンタースピンドル内にバランス装置を設けることにより可能とされるのみでなく、工具アーバにあるいは工具アーバの周囲にバランス装置を設けることによって生じ得る任意の突出端部がまた除外される。取り付けられたバランス装置は、特に、V方向における、すなわち工具の回転軸に沿った工具または工具アーバのシフト経路に影響しない。このことは、特に、歯車製造加工または歯車研削加工において有利である。なぜなら、工具の様々な領域がV軸方向におけるシフトによってワークピースと接触するためである。複数の同じ工具または異なった工具を工具アーバに設けることが同様に考えられる。そのような工具としては、例えばシフト移動によってワークピースに交互に接触する研削ホイールまたは研削ウォームが挙げられる。モータスピンドルまたはカウンタースピンドル内におけるバランス装置の完全な一体化は、最大シフト移動に影響しない。
【0019】
モータスピンドルおよび/またはカウンタースピンドルのバランス装置は、理想的には完全にあるいは少なくともほぼ完全に、モータスピンドルまたはカウンタースピンドルのハウジングに取り囲まれている。例えば、モータスピンドルのバランス装置はロータ内に設けられてもよい一方、カウンタースピンドルのバランス装置はそこで回転可能に支持されたスピンドルシャフト内に設けられてもよい。
【0020】
モータスピンドルおよび/またはカウンタースピンドルのバランス装置は、それぞれが1つ以上のバランスウェイトを有していてもよく、例えば、当該バランスウェイトは、測定された振動に応じてバランスウェイトの径方向移動によって補償が行われるように、各スピンドルの径方向において位置調節可能である。異なった液体量を含む複数の放射状に配置されたチャンバを有する実施形態が同様に考えられる。スピンドルのバランス状態は、液体チャンバの充填レベルの制御された変動によって変更され得る。
【0021】
バランス装置の代替的な実施形態はバランス装置/バランス面当たり少なくとも1つのバランスウェイトに基づいていてもよく、当該バランスウェイトは少なくとも1つのモータによって中心軸周りにおいて電気機械的に調節可能である。2つのバランス面におけるバランス取りがそれにより実施され得る。
【0022】
バランス装置が、モータスピンドル内またはカウンタースピンドル内において、フロントスピンドル軸受の裏側または下方に配置されていることが特に好ましい。フロントスピンドル軸受は、工具アーバに空間的に近く配置されている軸受に相当する。
【0023】
少なくとも1つの振動センサ、好ましくは少なくとも1つの加速度センサが、任意のアンバランスを検出するために設けられ、理想的にはバランス面ごとに振動センサが、よってモータスピンドルに対して1つの振動センサが、カウンタースピンドルに対して別の振動センサが設けられている。振動センサは、好ましくは、歯車製造加工の間における振動、理想的には工具アーバ、保持された工具およびスピンドルのシステム全体の振動を記録する。振動センサは、好ましくは、制御部と通信接続されていてもよい。制御部は振動信号からバランスシステムの設定のための制御パルスを決定し、当該制御パルスは信号送信機を介して非接触でバランス装置に送信されなければならない。
【0024】
1つ以上の信号送信機が、制御部でアンバランス信号が補正値に変換された後で、制御部で決定された補正信号をバランス装置に送信するために設けられていてもよい。信号送信機は、例えば、後端部、すなわちモータスピンドルまたはカウンタースピンドルの、工具アーバとは反対側に位置する端部に設けられていてもよい。
【0025】
加工ヘッドは、特に、カウンタースピンドルとモータスピンドルとの間の間隔が可変的に設定され得るように設計されていてもよい。加工ヘッドは、それにより、工具の長さごとまたは工具アーバの長さごとに可変的に調節可能であるために様々な長さの工具に対して使用可能となる。このフレキシブルな構成の可能性は、まず、バランス装置がモータスピンドルまたはカウンタースピンドルに取り囲まれていて、工具アーバ自体に取り付けられていないことにより生じる。
【0026】
加工ヘッドは、特に、非常に小さな研削ホイールまたは小さな研削ウォームのために寸法決めされる。そのような小さな寸法の工具は、好ましくは、高速回転で扱われる。モータスピンドルは、したがって、好ましくは、8000rpm以上の回転速度に対応して設計されている。
【0027】
加工ヘッドに加えて、本発明は、また、本発明または本発明の有利な実施形態に係る少なくとも1つの加工ヘッドを用いて歯車装置を研削するための歯車製造機械に関する。歯車製造機械は、したがって、本発明に係る加工ヘッドと同様の利点および特性によって特徴付けられるので、ここでは再度の説明は省略する。
【0028】
歯車製造機械は、加工ヘッドの1つ以上の振動センサおよび信号送信機または対応する評価電子機器に通信的に接続され得る少なくとも1つの制御部を備えている。制御部は、特に、振動センサからの1つ以上の振動パラメータを受信すること、および、受信した振動パラメータに応じてモータスピンドルおよび/またはカウンタースピンドルの1つ以上のバランス装置のための対応する調整値を生成することに適している。制御パラメータは、理想的には、また、振動センサによって検出されたアンバランスを補償するために、モータスピンドルの現在の回転速度、および/または、モータスピンドル/カウンタースピンドルの現在の角度位置に応じて生成される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、従来技術に係る加工ヘッドを示す図である。
図2a図2aは、本発明に係る加工ヘッドの断面図である。
図2b図2bは、小さな研削工具を伴う図2aの加工ヘッドを示す図である。
図3a図3aは、別の研削工具を伴う、本発明に係る加工ヘッドを示す別の図である。
図3b図3bは、別の工具構成を伴う、本発明に係る加工ヘッドを示す別の図である。
図3c図3cは、異なる研削ホイールを含む複数荷重の工具アーバを伴う、本発明に係る加工ヘッドを示す図である。
図4図4は、歯車製造加工における突出端部を示すための、本発明に係る加工ヘッドを示す別の図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0031】
まず、図1を参照しつつ、従来技術に係る実施形態について概観する。図1は、バランス装置によって研削ウォームを収容するための従来技術に係る機械の加工ヘッド10を示している。工具、この例では研削ウォーム70の駆動は、実施形態において、NC軸(B1軸)として設計されたモータスピンドル40を介して実行される。研削ウォーム70は、モータスピンドル40とカウンター軸受30との間に、工具取付インタフェース50を介してクランプされている。
【0032】
別個の振動センサ65が各スピンドル、モータスピンドル40およびカウンター軸受30に設けられており、当該振動センサ65を介して各振動平面に関連する信号が記録される。記録された振動信号は、制御部(NC)においてモータスピンドルの角度位置および速度に関連するデータと共に評価され、補正値に変換されて、引き続きデータインタフェース60を介して工具アーバ75内に配置された二面バランスヘッド81,82に設定値として送られる。
【0033】
この実施形態は、大きな工具70および従来技術に係る大きなウォーム径によく適している。なぜなら、工具ボアがバランス装置81,82を有する工具アーバを収容するのに十分大きく寸法決めされているためである。しかしながら、衝突しそうなワークピースが加工される場合には、より小さな径、より小さな研削ホイール径を有する研削ウォーム、またはその2つを組み合わせたものの使用が必要となる。システムはここでその限界に到達する。なぜなら、研削工具を収容するための工具アーバ75が、バランスヘッド81,82を収容するために必要とされる最小径よりも小さくなるためである。
【0034】
本発明に係る加工ヘッドが図2aに示されている。研削ホイール70は、工具アーバ75に取り付けられ、また駆動モータ41を有するモータスピンドル40とカウンタースピンドル30との間にインタフェースを介してクランプされている。工具の長さまたは工具収容アーバ75の長さに応じて、カウンタースピンドル30はV1方向において移動することによってその位置をそれ相応に設定され得る。工具旋回角度の調節はA1軸に関して行われる。工具の位置は、よって歯車装置のねじれ角に適合され、また追加的に、ウォーム型工具のリード角に適合される。歯車製造加工においては、品質的な理由のために、工具とワークピースとの間の理想的な位置依存性、または加工される歯のスペースが常に重要となる。軸方向移動は、この理由のために、NC軸(B1軸)によって互いに対して位置配向をもって行われる。工具は、V1軸を介してワークピースに対して接線方向に動かされ得る。工具は、よって、突出輪郭が存在することなく、その全幅にわたって利用され得る。
【0035】
バランス装置のバランスヘッド31,32は、モータスピンドル40のハウジング内およびカウンタースピンドル30のハウジング内に位置している。バランスヘッド31,32は、特に、モータスピンドル40のロータ42内およびカウンタースピンドル30の回転シャフト34内に配置されている。ロータ42およびシャフト34は、それぞれ、ハウジング内においてスピンドル軸受23,24を介して支持されている。ここで、スピンドル軸受24は、フロントスピンドル軸受を構成している。モータスピンドル40およびカウンタースピンドル30の各々に対して少なくとも1つずつ設けられた振動センサによって、振動信号が記録されかつ歯車製造機械の制御部に伝達される。記録された振動信号は、そしてモータスピンドル40の角度位置および速度に関連するデータと共に制御部(NC)において評価され、補正値に変換されて、引き続きモータスピンドル40およびカウンタースピンドル30内に配置された二面バランスヘッド31,32にデータインタフェースを介して設定値として送られる。
【0036】
ここで使用される工具アーバ75では、アーバ75内におけるバランスユニットの配置は、ここで使用される工具アーバ径のために問題にはならないだろう。対照的に、図2bに係る工具アーバ75の使用においては状況が異なる。図2b、図3a、図3b、図3cおよび図4は、図2aの本発明に係る加工ヘッドを示しているが、異なる研削プロセスのための異なる工具アーバ75を使用している。
【0037】
図2bでは、小さな外径を有する研削ウォーム71が、それに応じて小さな径を有する工具アーバ75に取り付けられている。これらの研削ウォーム71は、ワークピースが突出輪郭に関わらずグラウンド(ground)を生成できるように、ウォーム径がワークピースにおける衝突輪郭のために小さくされる必要のあるときに使用される。この径またはより小さな工具アーバ径においては、何よりまず十分なバランス容量が提供されるべきときに、もはやアーバ75内に対応するバランスユニットのためのスペースは存在しない。
【0038】
図3aでは、非常に小さな研削ホイール径の使用が、非常に小さなワークピース径を有し、特に突出輪郭を有するワークピース90の歯車製造のためにしばしば使用されるものとして示されている。図3bに示す研削ウォーム73と研削ホイール72とを組み合わせた工具は、また、非常に小さなワークピース径および突出輪郭を有するワークピース90の加工を提供する。この例では、ラフ加工が研削ウォーム73によって実行され、これはよって研削ホイール72による各歯スペースの個別の加工よりも非常に速く行われ得る。歯車装置における品質要求は、何よりまず歯すじの表面粗さであって、仕上げホイール72または仕上げホイールパッケージによる加工によって実現される。
【0039】
図3cは、二歯車装置システムにおいてしばしば使用される4つの分離した研削ホイール72を有する工具アーバを示している。1つのホイール対72が、それぞれ歯車装置の加工のために使用される。それは通常、荒削りホイールまたは仕上げホイールである。しかしながら、ホイールパッケージ、いわゆるマルチホイールの使用が同様に可能である。
【0040】
図4は、他の工作機械に対する歯車製造機械の特別な特徴を示している。歯車製造機械およびウォーム型工具71では、工具71の全体がその幅にわたって使用される。ワークピースが加工され始めると、工具71は典型的にはV1方向において特定量だけ移動/シフトされる。工具71の均一な摩耗、または乾燥生成における均一な工具の加熱がこのプロセスにおいて実現される。
【0041】
ある例では、ワークピース90が特定の形状を実現するべく加工されている間、特に改良された工具71が研削の間において斜めにシフトされる。このことから生じる状況は、特に縁の工具領域において、主軸受およびカウンター軸受30,40が歯車装置のねじれ角に依存した追加的な突出輪郭として考慮に入れられる必要があるということである。2つの領域91,91’は、出来る限り突出輪郭から自由なままであるべき領域を示している。したがって、工具アーバの安定性の理由のために、しかしながら、特に細い工具71,72または細い工具アーバ75が十分な安定性を有するために、工具アーバが長すぎることがないことが必要である。従来技術に係る機械において知られている、制御部とアーバ内のバランスユニットとの間における情報のデータ交換のための伝達ユニットは、小さな工具およびワークピース径において非常に邪魔になるだろうし、また許容されるシフト範囲を制限するだろう。なぜなら、対応する構造スペースが回転伝達のための工具アーバの周囲に放射状に設けられる必要があるためである。
【符号の説明】
【0042】
10 加工ヘッド
24 スピンドル軸受(フロントスピンドル軸受)
30 カウンタースピンドル
34 シャフト
40 モータスピンドル
42 ロータ
65 振動センサ
70 研削ホイール、研削ウォーム(工具)
71 研削ウォーム(工具)
75 工具アーバ
81 バランス装置
82 バランス装置
NC 制御部
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図3c
図4