特許第6818478号(P6818478)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6818478X線コンピュータ断層撮影装置及び寝台装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6818478
(24)【登録日】2021年1月5日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】X線コンピュータ断層撮影装置及び寝台装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20210107BHJP
   A61B 6/04 20060101ALI20210107BHJP
【FI】
   A61B6/03 323D
   A61B6/04 332Z
【請求項の数】12
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-181665(P2016-181665)
(22)【出願日】2016年9月16日
(65)【公開番号】特開2018-42893(P2018-42893A)
(43)【公開日】2018年3月22日
【審査請求日】2019年9月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】大石 圭佑
【審査官】 佐々木 龍
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−126142(JP,A)
【文献】 特開昭58−121939(JP,A)
【文献】 特開平08−140963(JP,A)
【文献】 特表2008−532611(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 −6/14
A61B 5/055
G01T 1/161−1/166
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線管とX線検出器とを装備する架台と、
被検体が載置される天板を支持する天板支持部と、
前記天板支持部を長手方向に移動可能に支持するスライド支持部と、
前記スライド支持部を上下方向に移動可能に支持するXリンクを装備する昇降支持部と、
前記スライド支持部の上下方向の移動に伴い変化する前記天板支持部の前記長手方向に関する位置を補正するために、前記昇降支持部の駆動軸の動作情報に基づいて前記天板支持部を移動させる移動制御部と、
を具備し、
前記移動制御部は、前記昇降支持部の前記駆動軸の前記長手方向に沿う移動量に基づいて前記天板支持部を前記長手方向に沿って移動させる、
X線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項2】
X線管とX線検出器とを装備する架台と、
被検体が載置される天板を支持する天板支持部と、
前記天板支持部を長手方向に移動可能に支持するスライド支持部と、
前記スライド支持部を上下方向に移動可能に支持するXリンクを装備する昇降支持部と、
前記スライド支持部の上下方向の移動に伴い変化する前記天板支持部の前記長手方向に関する位置を補正するために、前記昇降支持部の駆動軸の動作情報に基づいて前記天板支持部を移動させる移動制御部と、
を具備し、
前記昇降支持部は、前記Xリンクと前記Xリンクを支持する基台と昇降駆動装置とを有し、
前記Xリンクは、X形状に枢支された一対のリンクを有し、前記一対のリンクのうちの一方のリンクの一端が前記基台に固定され他端が前記スライド支持部に固定され、前記一対のリンクのうちの他方のリンクの一端が前記基台にスライド可能に支持され他端が前記スライド支持部にスライド可能に支持され、
前記昇降駆動装置は、更に、前記スライド支持部を上昇又は下降するために前記駆動軸を回転し、前記他方のリンクを前記長手方向に略一致する水平方向に押し又は引き、
前記動作情報は、前記天板の前記長手方向に略一致する前記水平方向に関する移動量を規定する前記駆動軸の回転量を示す、
X線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項3】
前記移動制御部は、前記スライド支持部を上昇させる場合、前記架台に対する前記天板支持部の位置を固定するために、前記スライド支持部の上昇に伴う前記天板支持部の前記架台への接近を、前記天板支持部を前記架台から離間して相殺する、請求項1又は2記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項4】
前記移動制御部は、前記スライド支持部を下降させる場合、前記架台に対する前記天板支持部の位置を固定するために、前記スライド支持部の下降に伴う前記天板支持部の前記架台からの離間を、前記天板支持部を前記架台に接近して相殺する、請求項1又は2記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項5】
前記昇降支持部は、前記Xリンク、前記Xリンクを支持する基台、前記Xリンクを作動するための前記駆動軸を有する昇降駆動装置及び前記昇降駆動装置を制御する昇降制御部を有し、
前記スライド支持部は、前記天板支持部を前記長手方向にスライド可能に支持するスライド機構、前記スライド機構を作動するための他の駆動軸を有するスライド駆動装置及び前記スライド駆動装置を制御するスライド制御部を有し、
前記移動制御部は、前記駆動軸の駆動量を示すフィードバック信号を前記動作情報として前記昇降制御部から収集し、前記駆動量に略一致する駆動量だけ前記他の駆動軸を駆動させるために、前記収集されたフィードバック信号を前記スライド制御部に供給する、
請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項6】
前記昇降支持部は、前記Xリンクと前記Xリンクを支持する基台とを有し、
前記Xリンクは、X形状に枢支された一対のリンクを有し、前記一対のリンクのうちの一方のリンクの一端が前記基台に固定され他端が前記スライド支持部に固定され、前記一対のリンクのうちの他方のリンクの一端が前記基台にスライド可能に支持され他端が前記スライド支持部にスライド可能に支持される、
請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項7】
前記昇降支持部は、更に、前記スライド支持部を上昇又は下降するために前記駆動軸を回転し、前記他方のリンクを前記長手方向に略一致する水平方向に押す又は引く昇降駆動装置を有し、
前記動作情報は、前記天板の前記長手方向に略一致する前記水平方向に関する移動量を規定する前記駆動軸の回転量を示す、
請求項記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項8】
前記移動制御部は、前記昇降支持部による前記スライド支持部の移動と前記スライド支持部による前記天板支持部の移動とを逐次的に行う、請求項1又は2記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項9】
前記移動制御部は、前記昇降支持部による前記スライド支持部の移動の完了後に前記スライド支持部による前記天板支持部の移動を行う、請求項1又は2記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項10】
前記スライド支持部は、前記昇降支持部による前記スライド支持部の上昇中は常に前記昇降支持部により前記長手方向に移動させられる、請求項1又は2記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項11】
前記移動制御部は、前記昇降支持部の前記駆動軸の前記長手方向に沿う移動量に基づいて前記天板支持部を前記長手方向に沿って移動させる、請求項記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項12】
被検体が載置される天板を支持する天板支持部と、
前記天板支持部を長手方向に移動可能に支持するスライド支持部と、
前記スライド支持部を上下方向に移動可能に支持するXリンクを装備する昇降支持部と、を具備する寝台装置であって、
前記天板支持部は、前記スライド支持部の上下方向の移動に伴い変化する前記長手方向に関する位置を補正するために、前記昇降支持部の駆動軸の動作情報に基づいて移動され
前記天板支持部は、前記昇降支持部の前記駆動軸の前記長手方向に沿う移動量に基づいて前記長手方向に沿って移動される、
寝台装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、X線コンピュータ断層撮影装置及び寝台装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高精細な画像を得るために開口内での天板の撓みや振動の低減が求められている。これを実現するために、天板を支持する支持フレームを架台に近づけることが可能な寝台装置が開発されている。例えば、天板及び支持フレームの昇降に伴い当該天板及び支持フレームが前後する方式がある。この方式を採用した場合、天板及び支持フレームを上昇させると、必然的に天板及び支持フレームが迫り出してしまう。開口内での天板及び支持フレームの位置決め作業においてこの迫り出しを解消するため、天板及び支持フレームの上下方向の位置に基づいて天板及び支持フレームの前後方向の位置を補正している。しかしながら、例えば上下方向の位置などの前後方向以外の動作情報を前後方向の位置に換算する必要があるため、正確に補正することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−61194号公報
【特許文献2】再表2010/123024号公報
【特許文献3】特開昭60−041955号公報
【特許文献4】特開平08−322829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態の目的は、天板及び支持フレームが昇降に伴い前後する方式を有するX線コンピュータ断層撮影装置及び寝台装置において、天板及び支持フレームの位置決め作業に関する効率を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、X線管とX線検出器とを装備する架台と、被検体が載置される天板を支持する天板支持部と、前記天板支持部を長手方向に移動可能に支持するスライド支持部と、前記スライド支持部を上下方向に移動可能に支持するXリンクを装備する昇降支持部と、前記スライド支持部の上下方向の移動に伴い変化する前記天板支持部の前記長手方向に関する位置を補正するために、前記昇降支持部の昇降駆動軸の動作情報に基づいて前記天板支持部を移動させる移動制御部と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置の構成を示す図である。
図2図2は、本実施形態に係る架台と寝台との外観を模式的に示す図である。
図3図3は、本実施形態に係る寝台の側面を模式的に示す図である。
図4図4は、本実施形態に係る寝台の下段フレーム、Xリンク及び基台の斜視図である。
図5図5は、本実施形態に係る寝台の迫り出しを示す図である。
図6図6は、本実施形態に係る架台/寝台駆動系と架台制御回路との一構成例を示す図である。
図7図7は、本実施形態に係る迫り出し補正を伴わない上昇の前後の寝台と架台との位置関係を示す図である。
図8図8は、本実施形態に係る迫り出し補正を伴う上昇の前後の寝台と架台との位置関係を示す図である。
図9図9は、本実施形態に係る迫り出し補正動作における架台制御回路、昇降駆動制御装置及びフレーム駆動制御装置間の動作指示信号の流れを模式的に示す図である。
図10図10は、本実施形態に係る架台制御回路による位置決めに関する動作例の典型的な流れを示す図である。
図11図11は、図10の動作例における天板の移動経路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係わるX線コンピュータ断層撮影装置及び寝台装置を説明する。
【0008】
本実施形態に係る寝台装置は、X線コンピュータ断層撮影装置、X線診断装置、PET(positron emission tomography)装置及びSPECT(single photon emission computed tomography)装置等の医用画像診断装置に用いられる医用撮像用の寝台装置である。本実施形態に係る寝台装置は、上記のようなシングルモダリティ装置に限定されず、PET/CT装置、SPECT/CT装置、IVR(interventional radiology)/CT等のマルチモダリティ装置に用いられても良い。以下、本実施形態に係る寝台装置は、X線コンピュータ断層撮影装置に設けられているものとする。
【0009】
図1は、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置の構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、架台10とコンソール100とを有する。例えば、架台10はCT検査室に設置され、コンソール100はCT検査室に隣接する制御室に設置される。架台10とコンソール100とは互いに通信可能に接続されている。架台10は、被検体OをX線CTスキャンするためのスキャン機構を搭載する。コンソール100は、架台10を制御するコンピュータである。
【0010】
図1に示すように、架台10は、撮影空間(field of view)をなす開口が形成された略円筒形状の回転フレーム11を有する。図1に示すように、回転フレーム11には、開口を挟んで対向するように配置されたX線管13とX線検出器15とが取付けられている。回転フレーム11は、アルミ等の金属により円環形状に形成された金属枠である。後述するが、架台10は、アルミ等の金属により形成されたメインフレームを有する。回転フレーム11は、当該メインフレームにより中心軸AR回りに軸受等を介して回転可能に支持されている。メインフレームの回転フレーム11との接触部には環状電極(図示せず)が設けられている。当該接触部には環状電極に摺り接触するように導電性の摺動子(図示せず)が取り付けられている。当該環状電極及び摺動子を介して、架台10に収容された電源装置(図示せず)からの電力が回転フレーム11に搭載されたX線検出器15や高電圧発生器17等の各種機器に供給される。
【0011】
X線管13は、高電圧発生器17に接続されている。高電圧発生器17は、例えば、回転フレーム11に取付けられている。高電圧発生器17は、架台の電源装置(図示せず)から環状電極及び摺動子を介して供給された電力から、架台制御回路33による制御に従いX線管13に印加する高電圧を発生しフィラメント加熱電流を供給する。高電圧発生器17とX線管13とは高圧ケーブル(図示せず)を介して接続されている。高電圧発生器17により発生された高電圧は、高圧ケーブルを介してX線管13に印加される。また、高電圧発生器17により発生されたフィラメント加熱電流は、高圧ケーブルを介してX線管13に印加される。
【0012】
回転フレーム11は、回転駆動装置21からの動力を受けて中心軸AR回りに一定の角速度で回転する。回転駆動装置21としてダイレクトドライブモータやサーボモータ等の任意のモータが用いられる。回転駆動装置21は、例えば、架台10に収容されている。回転駆動装置21は、架台制御回路33からの駆動信号を受けて回転フレーム11を回転させるための動力を発生する。
【0013】
回転フレーム11の開口(bore)にはFOV(field of view)が設定される。回転フレーム11の開口内には寝台23に支持された天板が挿入される。天板には被検体Oが載置される。寝台23は、例えば、2段スライド型である。寝台23は、架台/寝台駆動系25からの動力を受けて天板を自在に移動する。寝台23と架台/寝台駆動系25とについての詳細は後述する。天板は、載置された被検体Oの撮像部位がFOV内に含まれるように天板が位置決めされる。
【0014】
架台/寝台駆動系25は、架台10のチルトやスリュー(slew)等の架台10の移動に関する駆動制御装置と寝台23の移動に関する駆動制御装置とを含む。架台/寝台駆動系25は、架台制御回路33からの駆動信号を受けて動力を発生する。架台/寝台駆動系25の詳細については後述する。
【0015】
X線検出器15は、X線管13から発生されたX線を検出する。具体的には、X線検出器15は、2次元湾曲面上に配列された複数の検出器素子を有している。各検出器素子は、シンチレータと光電変換素子とを有する。シンチレータは、X線を蛍光に変換する物質により形成される。シンチレータは、入射X線を、当該入射X線の強度に応じた個数の蛍光光子に変換する。光電変換素子は、蛍光を増幅して電気信号に変換する回路素子である。光電変換素子としては、例えば、光電子増倍管やフォトダイオード等が用いられる。なお、検出器素子は、上記の通りX線を光に変換してから検出する間接検出型でも良いし、X線を直接的に電気信号に変換する直接変換型であっても良い。直接検出型の検出器素子としては、例えば、半導体の両端に電極が取り付けられてなる半導体ダイオードを含むタイプが適用可能である。
【0016】
X線検出器15にはデータ収集回路27が接続されている。データ収集回路27は、X線検出器15から、X線検出器15により検出されたX線の強度に応じたデータ(以下、生データと呼ぶ)をビュー毎に収集する。具体的には、データ収集回路27は、例えば、検出器素子毎に積分回路(図示せず)とA/D変換器(図示せず)とを有する。積分回路は、検出器素子からの電気信号をビュー毎に積分する。A/D変換器は、積分された電気信号をアナログ信号からデジタル信号(生データ)に変換する。これにより、ビュー毎の生データが収集される。生データは、生成元の検出器素子のチャンネル番号、列番号及び収集されたビューを示すビュー番号により識別されたX線の強度を示すデジタル値のセットである。生データは、例えば、架台10に収容された非接触データ伝送装置(図示せず)を介してコンソール100に供給される。なお、データ収集回路27には前置増幅器やIV変換器等の他の回路素子が実装されていても良い。データ収集回路27は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の半導体集積回路を有し、当該半導体集積回路に上記の積分回路やA/D変換器等の回路素子が実装される。
【0017】
表示回路29は、寝台23や架台10の幾何学的配置やスキャン条件等の種々の情報を表示する。具体的には、表示回路29は、表示インタフェース回路と表示機器とを有する。表示インタフェース回路は、表示対象を表すデータをビデオ信号に変換する。表示信号は、表示機器に供給される。表示機器は、架台10の表面に設けられる。表示機器は、表示対象を表すビデオ信号を表示する。表示機器としては、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、又は当技術分野で知られている他の任意のディスプレイが適宜利用可能である。
【0018】
入力回路31は、寝台23や架台10の移動に関するユーザからの各種指令を入力する。具体的には、入力回路31は、入力機器と入力インタフェース回路とを有する。入力機器は、ユーザからの各種指令を受け付ける。入力機器としては、操作パネルや各種スイッチ等が利用可能である。入力インタフェース回路は、入力機器からの出力信号をバスを介して架台制御回路33に供給する。
【0019】
架台制御回路33は、コンソール100のシステム制御回路113からのスキャン条件に従いX線CTスキャンを実行するために高電圧発生器17、回転駆動装置21、架台/寝台駆動系25及びデータ収集回路27を同期的に制御する。また、架台制御回路33は、架台/寝台駆動系25を制御し、天板の撓み及び振動が少ない架台10と寝台23との位置決めを実現するために架台10と寝台23とを連動して移動させる。ハードウェア資源として、架台制御回路33は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等の処理装置(プロセッサ)とROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の記憶装置(メモリ)とを有する。また、架台制御回路33は、ASICやフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)、他の複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)により実現されても良い。架台制御回路33の詳細については後述する。
【0020】
図1に示すように、コンソール100は、前処理回路101、再構成回路103、画像処理回路105、表示回路107、入力回路109、主記憶回路111及びシステム制御回路113を有する。前処理回路101、再構成回路103、画像処理回路105、表示回路107、入力回路109、主記憶回路111及びシステム制御回路113間のデータ通信は、バス(bus)を介して行われる。
【0021】
前処理回路101は、ハードウェア資源として、GPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサとROMやRAM等の記憶装置とを有する。前処理回路101は、架台10から伝送された生データに対数変換等の前処理を施す。前処理後の生データは投影データとも呼ばれている。
【0022】
再構成回路103は、ハードウェア資源として、CPUあるいはMPU、GPU等のプロセッサとROMやRAM等のメモリとを有する。再構成回路103は、前処理後の生データに基づいて被検体Oに関するCT値の空間分布を表現するCT画像を発生する。画像再構成アルゴリズムとしては、FBP(filtered back projection)法やCBP(convolution back projection)法等の解析学的画像再構成法や、ML−EM(maximum likelihood expectation maximization)法やOS−EM(ordered subset expectation maximization)法等の統計学的画像再構成法等の既存の画像再構成アルゴリズムが用いられれば良い。
【0023】
なお、前処理回路101と再構成回路103とは単一のハードウェア資源に組み込まれても良い。
【0024】
画像処理回路105は、再構成回路103により再構成されたCT画像に種々の画像処理を施す。例えば、画像処理回路105は、当該CT画像にボリュームレンダリングや、サーフェスボリュームレンダリング、画像値投影処理、MPR(Multi-Planer Reconstruction)処理、CPR(Curved MPR)処理等の3次元画像処理を施して表示画像を生成する。画像処理回路105は、ハードウェア資源として、CPUやMPU、GPU等のプロセッサとROMやRAM等のメモリとを有する。また、画像処理回路105は、ASICやFPGA、CPLD、SPLDにより実現されても良い。
【0025】
表示回路107は、2次元のCT画像や表示画像等の種々のデータを表示する。具体的には、表示回路107は、表示インタフェース回路と表示機器とを有する。表示インタフェース回路は、表示対象を表すデータをビデオ信号に変換する。表示信号は、表示機器に供給される。表示機器は、表示対象を表すビデオ信号を表示する。表示機器としては、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、又は当技術分野で知られている他の任意のディスプレイが適宜利用可能である。
【0026】
入力回路109は、ユーザからの各種指令を入力する。具体的には、入力回路109は、入力機器と入力インタフェース回路とを有する。入力機器は、ユーザからの各種指令を受け付ける。入力機器としては、キーボードやマウス、各種スイッチ等が利用可能である。入力インタフェース回路は、入力機器からの出力信号をバスを介してシステム制御回路113に供給する。
【0027】
主記憶回路111は、種々の情報を記憶するHDDやSSD、集積回路記憶装置等の記憶装置である。また、主記憶回路111は、CD−ROMドライブやDVDドライブ、フラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体との間で種々の情報を読み書きする駆動装置等であっても良い。例えば、主記憶回路111は、CT画像や表示画像のデータを記憶する。また、主記憶回路111は、本実施形態に係るX線CTスキャンに関する制御プログラム等を記憶する。
【0028】
システム制御回路113は、ハードウェア資源として、CPUやMPU等のプロセッサとROMやRAM等のメモリとを有する。また、システム制御回路113は、ASICやFPGA、CPLD、SPLDにより実現されても良い。システム制御回路113は、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置の中枢として機能する。具体的には、システム制御回路113は、主記憶回路111に記憶されている制御プログラムを読み出してメモリ上に展開し、展開された制御プログラムに従ってX線コンピュータ断層撮影装置の各部を制御する。
【0029】
次に、図2を参照しながら、本実施形態に係る架台10と寝台23との位置関係について説明する。図2は、本実施形態に係る架台10と寝台23との外観を模式的に示す図である。図2に示すように、架台10は、略円筒形の開口41が形成された筐体43を有する。筐体43には、開口41を挟んでX線管13とX線検出器15とが設けられた回転フレーム11等が収容されている。
【0030】
架台10の前方には寝台23が設置されている。寝台23は、天板51と支持フレーム53と支持台55とを装備する。天板51は、天板51の長軸A1が開口41の中心軸ARに平行するように配置される。支持フレーム53は、天板51を天板51の長軸A1に沿ってスライド可能に支持する。支持台55は、支持フレーム53を長軸A1に平行な軸に沿ってスライド可能、且つ長軸A1に鉛直に直交する鉛直軸A2に沿って昇降可能に支持している。支持台55は、片持ち支持構造を有する。すなわち、支持台55は、天板51及び支持フレーム53を長軸A1方向に関して片側からのみで支持する。ここで長軸A1に平行する軸をZ軸に規定し、鉛直軸A2に平行する軸をY軸に規定する。Z軸とY軸とに直交する軸をX軸に規定する。XYZ座標系は直交座標系をなす。以下、天板51の長軸A1に平行する方向を長手方向、前後方向又はZ方向、鉛直軸A2に平行する方向を上下方向又はY方向と呼ぶことにする。また、寝台23が架台10に接近する方向を前方向又は+Z方向、寝台23が架台10から離れる方向を後方向又は−Z方向、寝台23が上昇する方向を上方向又は+Y方向、寝台23が下降する方向を下方向又は−Y方向とする。
【0031】
次に、寝台23の構造について説明する。図3は、本実施形態に係る寝台23の側面を模式的に示す図である。なお、図3において寝台23の筐体は図示していない。図3に示すように、寝台23は、架台10の前方(−Z方向)に設置されている。図3に示すように、寝台23は、天板51、支持フレーム53及び支持台55を有する。天板51には被検体Oが載置される。天板51は、柔軟性を有する板状構造体である。天板51は、例えば、発泡ウレタンやカーボン等のX線透過率が比較的高い材質により形成される。
【0032】
天板51は、支持フレーム53によりZ方向に関してスライド可能に支持されている。支持フレーム53は、上段フレーム61と下段フレーム63とを有する。上段フレーム61は、天板51を下方から支持する。上段フレーム61は、天板51をスライド可能であれば如何なる構造を有していても良い。例えば、上段フレーム61は、天板51を支持する頑強な枠状フレーム(図示せず)と、当該枠状フレームに設けられ、天板51をZ方向に案内する案内レール(図示せず)とを有している。上段フレーム61には、天板51をスライドするための駆動制御装置(以下、天板駆動制御装置と呼ぶ)62が設けられている。天板駆動制御装置62は、架台制御回路33からの動作指示を受けて上段フレーム61を作動させ天板51をスライドする。
【0033】
下段フレーム63は、上段フレーム61を下方から支持する。下段フレーム63は、上段フレーム61をZ方向に関してスライド可能に支持している。下段フレーム63は、上段フレーム61をスライド可能であれば如何なる構造を有していても良い。例えば、下段フレーム63は、ボールねじにより実現される。下段フレーム63には、上段フレーム61をスライドするための駆動制御装置(以下、フレーム駆動制御装置と呼ぶ)64が設けられている。フレーム駆動制御装置64は、架台制御回路33からの動作指示を受けて下段フレーム63を作動させ上段フレーム61をスライドする。
【0034】
支持台55は、床面に設置される。支持台55は、下段フレーム63をY方向に関して上昇又は下降しつつ架台10に対して接近(前進)又は離間(後進)することが可能な支持構造を有している。例えば、支持台55は、Xリンク65と基台67とを有する。Xリンク65は、下段フレーム63と基台67とに接続されている。基台67には、Xリンク65により下段フレーム63を昇降するための駆動制御装置(以下、昇降駆動制御装置と呼ぶ)66が設けられている。昇降駆動制御装置66は、架台制御回路33からの動作指示を受けてXリンク65を作動させ下段フレーム63を昇降させる。
【0035】
図4は、下段フレーム63、Xリンク65及び基台67の斜視図である。図4に示すように、下段フレーム63は、支持フレーム631を有している。支持フレーム631は、Z方向に延在する矩形形状を有する金属フレームである。支持フレーム631には、ボールねじ632が設けられている。ボールねじ632は、ねじ軸とスライダとを有する。ボールねじ632は、Z方向に延在するように支持フレーム631に設けられている。ボールねじ632のスライダには上段フレーム61(図4に図示せず)が取付けられる。支持フレーム631には、ボールねじ632のZ方向に関するスライドを案内するための案内レール633が設けられている。ボールねじ632の一端636は軸心回りに回転可能に支持フレーム631に設けられている。ボールねじ632のねじ軸は、フレーム駆動制御装置64の駆動軸の回転に連動し、ボールねじ632のスライダは、当該ねじ軸の軸心に沿ってスライドする。ボールねじ632には、ボールねじ632の可動範囲を機械的に制限するストッパ636が設けられると良い。
【0036】
なお、上記の説明において支持フレーム631は、矩形形状を有するものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。例えば、支持フレーム631は、案内レール633が取付けられる一対の梁状のフレームであっても良い。この場合、支持フレーム631の短軸方向(X軸方向)の一対のフレームは設けられる必要はない。
【0037】
Xリンク65は、X形状に枢支された一対のリンク(以下、可動リンクと呼ぶ)651とリンク(以下、固定リンクと呼ぶ)652とを有する。可動リンク651と固定リンク652とは、支点75を中心に回転可能に設けられている。可動リンク651と固定リンク652との各々は、例えば、略同一長さを有する一対の板状形状を有する金属板により形成される。一方の固定リンク652の基台67側の端部656は基台67に固定される。端部656は、例えば、締結具等により固定されると良い。固定リンク652の他の端部655は支持フレーム631に固定される。より詳細には、端部655は、支持フレーム631のうちの長辺に関する一対のフレームに設けられる転子634に固定されている。転子634は案内レール633に締結具等により固定されている。これにより、端部655を支持フレーム631に対して固定することができる。
【0038】
可動リンク651の基台67側の端部654は、基台67にZ方向に関してスライド可能に支持される。具体的には、端部654にはリードスクリュ76が挿通されている。リードスクリュ76の一端は昇降駆動制御装置66に接続される。昇降駆動制御装置66は基台67に配置されている。リードスクリュ76の他端には制動装置77が取付けられている。リードスクリュ76には端部654と昇降駆動制御装置66との間においてナット78が取り付けられている。ナット78は、リードスクリュ76のねじ山に螺合するねじ溝が形成された貫通孔を有する構造体である。可動リンク651の他の端部653は、支持フレーム631にZ方向に関してスライド可能に支持される。具体的には、他端653は、支持フレーム631のうちの長辺に関する一対のフレームに設けられる転子635に固定されている。転子635は案内レール633にZ方向に関してスライド可能に取付けられている。すなわち、支持フレーム631に設けられた案内レール633は、スライダ6323(すなわち、上段フレーム61)のZ方向に関するスライドと可動リンク651のZ方向に関するスライドとの両方を一のレールで案内する。
【0039】
昇降駆動制御装置66の駆動軸回りの回転に連動してリードスクリュ76が軸心回りに回転する。リードスクリュ76の回転に連動してナット78がリードスクリュ76の軸心に沿って、すなわち、Z方向にスライドする。例えば、リードスクリュ76が順方向に回転するとナット78が+Z方向にスライドし、リードスクリュ76が逆方向に回転するとナット78が−Z方向にスライドする。ナット78が+Z方向にスライドすることにより可動リンク651を+Z方向に押圧し、可動リンク651と固定リンク652とのZ方向に関する間隔を狭めることにより下段フレーム63を上昇させる。ナット78が−Z方向にスライドすることにより可動リンク651が+Z方向の押圧から開放され、可動リンク651と固定リンク652とのZ方向に関する間隔が広がることにより下段フレーム63を下降させる。
【0040】
次に、本実施形態に係る2段スライド型の寝台23の迫り出しの原理について説明する。図5は、寝台23の迫り出しを示す図である。図5においては、下限高さに配置された寝台23は点線で示されており、上昇後の寝台23は実線で示されている。
【0041】
図5に示すように、下限高さにおいて下段フレーム63のZ方向に関する端部、より詳細には、下段フレーム63の支持フレーム631のZ方向に関する端部は、Z方向に関する位置PE1に配置されているものとする。上記の通り、可動リンク651の端部653は下段フレーム63にZ方向に関してスライド可能に設けられ、端部654は基台67にZ方向に関してスライド可能に設けられている。固定リンク652の端部655は下段フレーム63に固定され、端部656は基台67に固定されている。このため、ナット78による可動リンク651の押圧により、端部655は、端部656を支点とし端部655と端部656とを結ぶ直線を半径とする円弧PRに沿って移動する。当該移動の前後において下段フレーム63での端部655の位置と基台67での端部656の位置とは不動である。よって下段フレーム63のZ方向に関する端部は、架台10側に迫り出す。例えば、天板が目標高さまで上昇した場合、下段フレーム63のZ方向に関する端部は、下限高さにおける位置PE1よりも架台10側に近いPE2まで迫り出すこととなる。
【0042】
このように下段フレーム63が架台10に向けて迫り出すことにより、架台10に接触する直前まで、下段フレーム63に支持された上段フレーム61を接近させることができる。従って天板51が開口41に挿入されているときの天板51の撓み及び振動を低減することができる。
【0043】
なお、上記構造により、下段フレーム63が下降する場合、下段フレーム63は下降に伴い架台10から離れることとなる。具体的には、例えば、天板51が目標高さから下限高さまで下降した場合、下段フレーム63のZ方向に関する端部は、位置PE2から位置PE1まで後進することとなる。
【0044】
本実施形態に係るXリンク65のように一方のリンク(固定リンク652)の両端を固定点とし、他方のリンク(可動リンク651)を浮動点とすることにより、Xリンク65による天板51及び支持フレーム53の昇降に伴い天板51及び下段フレーム63が必然的に前後することとなる。例えば、天板51及び上段フレーム61のZ方向の位置決めが完了してから天板51及び上段フレーム61を上昇させる場合、下段フレーム63の迫り出しに伴い天板51及び上段フレーム61のZ方向位置がずれてしまう。ずれた天板51及び上段フレーム61の位置は再度の調整が必要である。
【0045】
本実施形態に係る架台制御回路33は、Xリンク65による下段フレーム63の昇降に伴う上段フレーム61のZ方向位置のずれを補正する。以下、架台制御回路33によるずれ補正について詳細に説明する。まず、本実施形態に係る架台/寝台駆動系25と架台制御回路33との構成について説明する。
【0046】
図6は、本実施形態に係る架台/寝台駆動系25と架台制御回路33との一構成例を示す図である。図6に示すように、架台/寝台駆動系25は、チルト駆動制御装置68、天板駆動制御装置62、フレーム駆動制御装置64及び昇降駆動制御装置66を有する。
【0047】
チルト駆動制御装置68は、架台10に設けられている。チルト駆動制御装置68は、架台制御回路33からの動作指示信号を受けて架台10をチルトする。具体的には、チルト駆動制御装置68は、チルト制御回路681、チルト駆動装置683及びチルト検出器685を有する。チルト制御回路681は、架台制御回路33からの動作指示信号を受けてチルト駆動装置683に、当該動作指示信号に対応する電力を供給する。具体的には、チルト駆動装置683に供給する電力を発生する電源回路と、チルト検出器685からの位置信号に基づいて電源回路を制御する制御回路とを有するサーボアンプである。チルト駆動装置683は、チルト制御回路681からの電力を受けて駆動して、架台10をチルトする。具体的には、チルト駆動装置683は、駆動軸の回転により動力を発生するモータである。チルト検出器685は、チルト駆動装置683の駆動軸に設けられた位置検出器である。チルト検出器685は、チルト駆動装置683の駆動軸が所定角度回転する毎にパルス信号(位置信号)を出力するロータリーエンコーダである。
【0048】
天板駆動制御装置62は、例えば、上段フレーム61に設けられている。天板駆動制御装置62は架台制御回路33からの動作指示信号を受けて天板51をスライドする。具体的には、天板駆動制御装置62は、天板制御回路621、天板駆動装置623及び天板検出器625を有する。天板制御回路621は、架台制御回路33からの動作指示信号を受けて天板駆動装置623に、当該動作指示信号に対応する電力を供給する。具体的には、天板駆動装置623に供給する電力を発生する電源回路と、天板検出器625からの位置信号に基づいて電源回路を制御する制御回路とを有するサーボアンプである。天板駆動装置623は、天板制御回路621からの電力を受けて駆動し、接続先の上段フレーム61を作動して天板51をスライドする。具体的には、天板駆動装置623は、駆動軸の回転により動力を発生するモータである。天板検出器625は、天板駆動装置623の駆動軸に設けられた位置検出器である。天板検出器625は、天板駆動装置623の駆動軸が所定角度回転する毎にパルス信号(位置信号)を出力するロータリーエンコーダである。
【0049】
フレーム駆動制御装置64は、例えば、下段フレーム63に設けられている。フレーム駆動制御装置64は架台制御回路33からの動作指示信号を受けて上段フレーム61をスライドする。具体的には、フレーム駆動制御装置64は、フレーム制御回路641、フレーム駆動装置643及びフレーム検出器645を有する。フレーム制御回路641は、架台制御回路33からの動作指示信号を受けてフレーム駆動装置643に、当該動作指示信号に対応する電力を供給する。具体的には、フレーム駆動装置643に供給する電力を発生する電源回路と、フレーム検出器645からの位置信号に基づいて電源回路を制御する制御回路とを有するサーボアンプである。フレーム駆動装置643は、フレーム制御回路641からの電力を受けて駆動し、接続先の下段フレーム63を作動して上段フレーム61をスライドする。具体的には、フレーム駆動装置643は、駆動軸の回転により動力を発生するモータである。フレーム検出器645は、フレーム駆動装置643の駆動軸に設けられた位置検出器である。フレーム検出器645は、フレーム駆動装置643の駆動軸が所定角度回転する毎にパルス信号(位置信号)を出力するロータリーエンコーダである。
【0050】
昇降駆動制御装置66は、例えば、支持台55に設けられている。昇降駆動制御装置66は架台制御回路33からの動作指示信号を受けてXリンク65を作動して天板51及び支持フレーム53を昇降(上下動)する。具体的には、昇降駆動制御装置66は、昇降制御回路661、昇降駆動装置663及び昇降検出器665を有する。昇降制御回路661は、架台制御回路33からの動作指示信号を受けて昇降駆動装置663に、当該動作指示信号に対応する電力を供給する。具体的には、昇降駆動装置663に供給する電力を発生する電源回路と、昇降検出器665からの位置信号に基づいて電源回路を制御する制御回路とを有するサーボアンプである。昇降駆動装置663は、昇降制御回路661からの電力を受けて駆動し、接続先のXリンク65を作動して天板51及び支持フレーム53を昇降する。具体的には、昇降駆動装置663は、駆動軸の回転により動力を発生するモータである。当該駆動軸の回転によりリードスクリュ76が軸心回りに回転し、リードスクリュ76の回転に連動してナット78によりXリンク65が押し引きされる。これにより天板51及び支持フレーム53が昇降する。昇降検出器665は、昇降駆動装置663の駆動軸に設けられた位置検出器である。昇降検出器665は、昇降駆動装置663の駆動軸が所定角度回転する毎にパルス信号(位置信号)を出力するロータリーエンコーダである。
【0051】
架台制御回路33は、入力回路31を介したユーザ指示、又はチルト検出器685、天板検出器625、フレーム検出器645及び昇降検出器665からの位置信号等に基づいて架台/寝台駆動系25を制御する。本実施形態に係る架台制御回路33は、Xリンク65による天板51及び支持フレーム53の昇降に伴う支持フレーム53のZ方向位置のずれを補正するための動作(以下、ずれ補正動作と呼ぶ)を行う。ずれ補正動作は、天板51及び支持フレーム53の上昇に伴う支持フレーム53の架台10への迫り出しを補正するための動作と、天板51及び支持フレーム53の下降に伴う支持フレーム53の架台10からの離間を補正するための動作とを含む。架台制御回路33は、具体的には、位置判定機能331及び移動制御機能333を実行する。
【0052】
位置判定機能331において架台制御回路33は、チルト検出器685、天板検出器625、フレーム検出器645及び昇降検出器665からの位置信号に基づいて支持フレーム53が所定の位置に到達したか否かを判定する。判定対象の所定の位置は、動作モードの転換点に対応する。所定の位置は、X方向(左右方向)、Y方向(上下方向)及びZ方向(前後方向)の何れの方向の位置に規定されても良い。動作モードの詳細については後述する。
【0053】
移動制御機能333において架台制御回路33は、天板駆動制御装置62、フレーム駆動制御装置64及び昇降駆動制御装置66を個別又は同期的に制御し、天板51、支持フレーム53及びXリンク65を個別又は同期的に移動させる。また、架台制御回路33は、チルト駆動制御装置68を制御し、架台10をチルトさせる。本実施形態に係る架台制御回路33は、支持フレーム53の位置に応じて動作モードを切替える。本実施形態に係る動作モードとしては、単独動作モード、加速動作モード及びずれ補正動作モード等が挙げられる。
【0054】
単独動作モードにおいて架台制御回路33は、天板51、上段フレーム61及び下段フレーム63を個別に移動するため、天板制御回路621、フレーム制御回路641及び昇降制御回路661を個別に制御する。例えば、架台制御回路33は、上段フレーム61を+Z方向又は−Z方向にスライドするためにフレーム制御回路641を制御する。また、架台制御回路33は、Xリンク65により下段フレーム63を上昇又は下降するために昇降制御回路661を制御する。
【0055】
加速動作モードにおいて架台制御回路33は、下段フレーム63の上昇に伴う+Z方向の迫り出しに並行して上段フレーム61を+Z方向にスライドするために、フレーム制御回路641と昇降制御回路661とを同期的に制御する。また、架台制御回路33は、下段フレーム63の下降に伴う−Z方向の退避に並行して上段フレーム61を−Z方向にスライドするために、フレーム制御回路641と昇降制御回路661とを同期的に制御する。
【0056】
ずれ補正動作モードにおいて架台制御回路33は、上記の通り、Xリンク65による下段フレーム63の昇降に伴う上段フレーム61のZ方向に関する位置ずれを補正するために、昇降制御回路661とフレーム制御回路641とを制御する。具体的には、架台制御回路33は、下段フレーム63を上昇させる場合、架台10に対する上段フレーム61のZ方向に関する位置を固定するために、下段フレーム63の上昇に伴う上段フレーム61の架台10への接近(迫り出し)を、上段フレーム61の架台10からの離間動作(−Z方向へのスライド)により相殺する。また、架台制御回路33は、下段フレーム63を下降させる場合、架台10に対する上段フレーム61のZ方向に関する位置を固定するために、下段フレーム63の下降に伴う上段フレーム61の架台10からの離間を、上段フレーム61の架台10への接近動作(+Z方向へのスライド)により相殺する。
【0057】
次に、図7図8とを比較しながら、下段フレーム63の上昇局面におけるずれ補正動作(以下、迫り出し補正動作と呼ぶ)について説明する。図7は、迫り出し補正を伴わない上昇の前後の寝台23と架台10との位置関係を示す図である。
【0058】
図7の上段(上昇前)に示すように、天板51が開口41内に挿入され、支持フレーム53の上段フレーム61が架台10の前面間際に配置されているものとする。この状態のXリンク65のうちの可動リンク651の基台67側の端部がZ方向位置Zl1に配置され、下段フレーム63の架台10側の端部がZ方向位置Zf11に配置され、上段フレーム61の架台10側の端部がZ方向位置Zf21に配置され、天板51の架台10側の端部がZ方向位置Zt1に配置されているものとする。
【0059】
図7の下段(上昇後)に示すように、所定のタイミングにおいて架台制御回路33は、迫り出し補正を伴わない上昇動作を行う。具体的には、架台制御回路33は、昇降駆動制御装置66に上昇動作に関する動作指示を行い、昇降駆動制御装置66は、Xリンク65を+Z方向に押すことにより下段フレーム63を上昇させる。下段フレーム63に支持されている上段フレーム61及び天板51も上昇する。迫り出し補正を伴わない上昇動作の場合、架台制御回路33は、昇降駆動制御装置66により下段フレーム63を上昇させている間、天板駆動制御装置62とフレーム駆動制御装置64とに対しては動作指示を行わない。従って下段フレーム63は、上昇に伴い+Z方向に迫り出す。
【0060】
上昇後の可動リンク651の基台67側の端部がZ方向位置Zl2に配置され、下段フレーム63の架台10側の端部がZ方向位置Zf12に配置され、上段フレーム61の架台10側の端部がZ方向位置Zf22に配置され、天板51の架台10側の端部がZ方向位置Zt2に配置されたものとする。支持フレーム53の上昇前後における可動リンク651の端部のZ方向の移動量D1は、Z方向位置Zl1からZl2への距離により規定され、下段フレーム63の端部のZ方向の移動量D2は、Z方向位置Zf11からZf12への距離により規定される。上昇前後において上段フレーム61と天板51とは移動がなされないので、上昇前後における上段フレーム61の端部のZ方向の移動量と天板51の端部のZ方向の移動量とは、D2に等しい。
【0061】
下段フレーム63、Xリンク65及び基台67は、ナット78が可動リンク651を押し出す方向と当該押し出しに伴い下段フレーム63が迫り出す方向とが略一致するように配置される。また、可動リンク651の押し出しにより、可動リンク651に接続された下段フレームが迫り出すため、可動リンク651の端部の移動量D1と下段フレーム63の端部の移動量D2とは略等しい。この場合、下段フレーム63が移動量D2だけ迫り出すので、上段フレーム61及び天板51も移動量D2だけ迫り出すこととなる。
【0062】
図8は、迫り出し補正を伴う上昇の前後の寝台23と架台10との位置関係を示す図である。図8に示すように、上昇前後において上段フレーム61及び天板51のZ方向位置の迫り出しを補正するため、架台制御回路33による迫り出し補正動作が行われる。
【0063】
図8の上段(上昇前)に示す寝台23及び架台10の配置は、図7の上段の配置と同じである。所定のタイミングにおいて架台制御回路33は、迫り出し補正を伴う上昇動作を行う。具体的には、架台制御回路33は、昇降駆動制御装置66に上昇動作に関する動作指示を行い、昇降駆動制御装置66は、Xリンク65を+Z方向に押すことにより下段フレーム63を上昇させる。下段フレーム63に支持されている上段フレーム61及び天板51も上昇する。迫り出し補正を伴う上昇動作の場合、架台制御回路33は、昇降駆動制御装置66により下段フレーム63を上昇させている間、フレーム駆動制御装置64に迫り出し補正のための動作指示を行う。フレーム駆動制御装置64は、上昇前後において上段フレーム61が架台10に対して移動しないように、すなわち、上段フレーム61のZ方向に関する絶対位置を固定するように、下段フレーム63の上昇に伴う前記上段フレーム61の架台10への迫り出しを、上段フレーム61を架台10からの離間により相殺する。具体的には、フレーム駆動制御装置64は、下段フレーム63が迫り出す方向とは逆方向の−Z方向に、可動リンク651の移動量D1と同一の移動量D2だけ上段フレーム61を下段フレーム63に対して移動させる。
【0064】
迫り出し補正動作により、上段フレーム61の架台10側の端部のZ方向位置Zf22は、上昇前のZ方向位置Zf21に略一致し、天板51の端部のZ方向位置Zt2は、上昇前のZ方向位置Zt1に略一致することとなる。従って天板51及び上段フレーム61のZ方向に関する絶対位置を固定しつつ上昇させることができる。
【0065】
本実施形態に係る架台制御回路33は、下段フレーム63の迫り出しを正確に補正するために、昇降駆動制御装置66の駆動軸の動作情報に基づいて下段フレーム63を移動させる。
【0066】
図9は、本実施形態に係る迫り出し補正動作における架台制御回路33、昇降駆動制御装置66及びフレーム駆動制御装置64間の動作指示信号の流れを模式的に示す図である。図9に示すように、架台制御回路33は、昇降制御回路661に、上昇指示に関する動作指示信号PSigを供給する。具体的には、架台制御回路33は、入力回路31の上昇指示ボタンが押下されている期間、動作指示信号PSigとして、パルス信号系列を昇降制御回路661に供給する。
【0067】
動作指示信号PSigを受けた昇降制御回路661は、昇降駆動装置663に、供給された動作指示信号Psigと同一の動作指示信号PSigを供給する。動作指示信号PSigを受けた昇降駆動装置663は、当該動作指示信号Psigに従い駆動軸を回転し、Xリンク65の可動リンク651を押し出すための動力を発生する。その結果、可動リンク651が固定用のリンク652に接近して下段フレーム63が上昇する。
【0068】
この際、昇降検出器665は、可動リンク651の動作量を示すフィードバック信号FB1Sigを昇降制御回路661にフィードバックする。フィードバック信号FB1Sigは、動作指示信号Psigを受けて昇降駆動装置663の駆動軸が所定角度回転する毎に昇降検出器665から即時的に出力される。すなわち、フィードバック信号FB1Sigは、より詳細には、昇降駆動装置663の駆動軸の駆動量を示す。駆動量は、厳密には、駆動軸の回転量に対応する。
【0069】
昇降検出器665からフィードバック信号FB1Sigを受けた昇降制御回路661は、当該フィードバック信号FB1Sigを架台制御回路33に即時的にフィードバックする。昇降制御回路661からフィードバック信号FB1Sigを受けた架台制御回路33は、当該フィードバック信号FB1Sigを、−Z方向へのスライド指示に関する動作指示信号としてフレーム制御回路641に即時的に供給する。換言すれば、昇降検出器665から出力されたフィードバック信号FB1Sigは、昇降制御回路661と架台制御回路33とを介してフレーム制御回路641に即時的に供給される。
【0070】
動作指示信号FB1Sigを受けたフレーム制御回路641は、フレーム駆動装置643に、供給された動作指示信号FB1Sigと同一の動作指示信号FB1Sigを供給する。動作指示信号FB1Sigを受けたフレーム駆動装置643は、当該動作指示信号FB1Sigに従い駆動軸を回転し、上段フレーム61をスライドするための動力を発生する。その結果、下段フレーム63が上段フレーム61を−Z方向にスライドする。
【0071】
この際、フレーム検出器645は、上段フレーム61の動作量を示すフィードバック信号FB2Sigをフレーム制御回路641にフィードバックし、フレーム制御回路641は、フィードバック信号FB2Sigを架台制御回路33にフィードバックする。
【0072】
以上により、迫り出し補正動作における架台制御回路33、昇降駆動制御装置66及びフレーム駆動制御装置64間の動作指示信号の流れの説明を終了する。上記の通り、本実施形態に係る架台制御回路33は、昇降駆動装置663の駆動軸の駆動量を示すフィードバック信号FB1Sigを動作情報として昇降制御回路661から収集し、昇降駆動装置663の駆動軸の駆動量に略一致する駆動量だけ、フレーム駆動装置643の駆動軸を駆動させるために、フィードバック信号FB1Sigをフレーム制御回路641に供給する。
【0073】
例えば、本実施形態とは異なる方法として、下段フレーム63の上昇量をロータリーエンコーダにより位置検出信号に変換し、当該位置検出信号を利用して、上段フレーム61を−Z方向にスライドするための動作指示信号を生成する場合が考えられる。この場合、下段フレーム63の上昇方向(+Y方向)と上段フレーム61のスライド方向(−Z方向)とが同軸方向ではないため、ロータリーエンコーダからの位置検出信号に基づいて、下段フレーム63の上昇量を上段フレーム61のスライド量に換算しなければならない。従ってこの場合、正確な迫り出し補正をすることはできない。
【0074】
一方、本実施形態においては、上記の通り、下段フレーム63を上昇するための方式としてXリンク65を採用しているため、下段フレーム63の上昇を可動リンク651の+Z方向への押し出しにより実現している。当該機構により、可動リンク651の移動方向(+Z方向)と上段フレーム61の迫り出し補正のスライド方向(−Z方向)とが同軸方向(Z方向)に一致するため、可動リンク651の移動量D1と上段フレーム61の移動量D2とが厳密に一致する。このため、可動リンク651の移動量D1に一致する移動量D2だけ上段フレーム61を移動すれば良く、上記動作指示信号として、昇降検出器665からのフィードバック信号をそのまま利用することができる。よって本実施形態によれば、従来に比して、正確な迫り出し補正をすることができる。また、位置検出信号から上段フレーム61の移動量への換算工程が不要であるため、本実施形態によれば、従来に比して、下段フレーム63の上昇に連動する上段フレーム61のスライドに関する即応性を高めることができる。
【0075】
なお、図9には、下段フレーム63の上昇時における動作指示信号の流れが示されているが、下段フレーム63の下降時においても、同様にフィードバックが実行されれば良い。
【0076】
次に、本実施形態に係る架台制御回路33による天板51の位置決めに関する動作例を説明する。本実施形態に係る架台制御回路33は、寝台23の位置に応じて動作モードを切替えることにより、最短距離で天板51をX線パスへ到達させることができる。
【0077】
図10は、架台制御回路33による位置決めに関する動作例の典型的な流れを示す図である。図11は、図10の動作例における天板51の移動経路を示す図である。図11の縦軸はY方向位置に規定され、横軸はZ方向位置に規定されている。
【0078】
なお図10の開始時点において天板51は初期位置P1に配置されているものとする。初期位置P1のY方向位置は、寝台下限高さに設定され、Z方向位置は、最大退避位置に設定されているものとする。寝台下限高さは、天板51が開口41外にある場合における天板51の下限高さである。最大退避位置は、天板51が構造的に到達可能な、最も架台10から離間した位置である。また、図10の開始時点において架台制御回路33の動作モードは、単独動作モードに設定されているものとする。
【0079】
まず、ユーザは、天板51の基準点が目標位置P4に一致するように天板51を位置決めするため、入力回路31を介して上昇を指示するための上昇ボタンを押下する。天板51の基準点は、天板51の如何なる位置に設定されていても良い。目標位置P4のY方向位置は、開口内下限高さと開口内上限高さとの間に設定される。開口内下限高さは、天板51が開口41内に位置している場合における天板51の下限高さである。開口内上限高さは、天板51が開口41内に位置している場合における天板51の上限高さである。目標位置P4のZ方向位置は、X線管13とX線検出器15とを結ぶX線パス上に設定される。天板51の目標位置に対応して、上段フレーム61についても目標位置が設定される。上段フレーム61の目標位置は、上段フレーム61の架台10側端部が架台10の前面直前に位置するように設定される。これにより、天板51のうちの上段フレーム61により支持されている部分を多くすることにより、開口41内での天板51の撓み及び振動を低減し、ひいては、高精細画像を再構成することが可能になる。
【0080】
上昇ボタンは、例えば、デッドマンスイッチである。従って上昇ボタンが押下されている期間、架台制御回路33は、後続のステップS1−S7の処理を行う。上昇ボタンが離された場合、架台制御回路33は、処理を一時中断することとなる。再び上昇ボタンが押下された場合、架台制御回路33は、中断した処理を再開する。
【0081】
ユーザにより当該ボタンが押下されている間、架台制御回路33は、Xリンク65を押して下段フレーム63を上昇するために、昇降制御回路661を制御する(ステップS1)。図11の経路R1(太字)に示すように、Xリンク65による下段フレーム63の上昇に伴い+Z方向に自動的に迫り出す。下段フレーム63の迫り出しに伴い、下段フレーム63に支持されている天板51及び支持フレーム53も+Z方向に自動的に迫り出す。
【0082】
下段フレーム63の上昇中、架台制御回路33は、位置判定機能331を実行する(ステップS2)。ステップS2において架台制御回路33は、天板51が所定高さ(転換点)P2に到達したか否かを繰り返し判定する。転換点P2は、単独動作モードから加速動作モードへの切替えが行われる高さに規定される。
【0083】
天板51が転換点P2に到達したと判定された場合(ステップS2:YES)、架台制御回路33は、動作モードを単独動作モードから加速動作モードに切替える(ステップS3)。ステップS3において架台制御回路33は、図11の経路R1に示すように、Xリンク65を押して下段フレーム63を上昇させると共に上段フレーム61を+Z方向(前方)にスライドするために、フレーム制御回路641と昇降制御回路661とを同期的に制御する。
【0084】
加速動作モードにおいて架台制御回路33は、位置判定機能331を実行する(ステップS4)。ステップS4において架台制御回路33は、天板51がX線パス、より詳細には、中間地点P3に到達したか否かを繰り返し判定する。中間地点P3のY方向位置は、開口内下限高さに規定され、Z方向位置は、開口内のX線パス上に設定される。
【0085】
図11に示すように、加速動作モードを使用せず、単独動作モードのみで転換点P2から中間地点P3に天板51を移動させることも可能である。例えば、この場合、例えば、経路R2(図11の細線)に示すように、転換点P2を通過しても単独動作モードで下段フレーム63の上昇を継続し、開口内下限高さに到達してから、経路R3(図11の一点鎖線)に示すように、下段フレーム63の上昇を停止し、上段フレーム61を+Z方向にスライドをすることとなる。しかしながら、本実施形態のように転換点P2において単独動作モードから加速動作モードに切替えた場合、転換点P2から中間地点P3において、下段フレーム63の上昇に伴う+Z方向への迫り出しに並行して、積極的に上段フレーム61を+Z方向にスライドすることにより、天板51が最短経路R1を通過することとなる。これにより、転換点P2から中間地点P3への道のりを短くすることができ、より短時間で中間地点P3に到達させることができる。
【0086】
天板51がX線パスに到達したと判定された場合(ステップS4:YES)、架台制御回路33は、動作モードを加速動作モードから迫り出し補正動作モードに切替える(ステップS5)。ステップS5において架台制御回路33は、Xリンク65を押して下段フレーム63を上昇させると共に上段フレーム61を−Z方向(後方)にスライドするために、フレーム制御回路641と昇降制御回路661とを制御する。上記の通り、迫り出し補正により、天板51及び上段フレーム61のZ方向位置を固定しつつ、天板51及び上段フレーム61を上昇させることができる。
【0087】
迫り出し補正動作モードにおいて架台制御回路33は、位置判定機能331を実行する(ステップS6)。ステップS6において架台制御回路33は、天板51が目標高さ、より詳細には、目標位置P4に到達したか否かを繰り返し判定する。そして天板51が目標高さに到達した場合、架台制御回路33は、フレーム制御回路641及び昇降制御回路661の制御を停止する。これにより天板51及び支持フレーム53の位置決めが終了する。
【0088】
以上で、本実施形態に係る架台制御回路33による天板51及び支持フレーム53の位置決めに関する動作例の説明を終了する。
【0089】
上記の通り、本実施形態に係る架台制御回路33は、単独動作モード、加速動作モード及び迫り出し補正動作モードを天板51及び支持フレーム53の位置に応じて切替えることにより、最短経路R1で天板51及び支持フレーム53を目標位置P4まで移動させることが可能となる。また、架台制御回路33は、下段フレーム63の上昇時においては、下段フレーム63の迫り出し量だけ上段フレームを反対側にスライドすることにより、天板51及び支持フレーム53のZ方向に関する位置ずれを防止することができる。これにより、天板51及び支持フレーム53の位置決めの効率を向上させることができる。
【0090】
上記動作例は、初期位置P1から目標位置P4への移動を例に挙げて説明した。しかしながら、本実施形態に係る架台制御回路33は、初期位置P1から目標位置P4への工程の逆の工程を辿ることにより、同様に最短経路R1で目標位置P4から初期位置P1へ天板51を移動させることが可能である。これにより、目標位置P4が初期位置P1までの移動時間を短縮し、ひいてはCT検査のスループットを向上することができる。
【0091】
また、上記動作例においては天板51の位置が転換点P2や中間地点P3、目標位置P4に到達したか否かがリアルタイムで判定されるものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。例えば、初期位置P1と目標位置P4とを結び且つ天板51と架台10とが干渉しないような最短経路R1が予め計算されても良い。この場合、天板51が最短経路R1を通るための天板制御回路621、フレーム制御回路641及び昇降制御回路661各々に関する動作シーケンスが決定される。架台制御回路33は、当該動作シーケンスに従って天板51が最短経路R1を通るように天板制御回路621、フレーム制御回路641及び昇降制御回路661を制御する。
【0092】
上記動作例において架台制御回路33は、Xリンク65による下段フレーム63の昇降に連動して上段フレーム61のスライドを行う。より詳細には、昇降制御回路661にパルス信号が入力されるとXリンク65が作動し、Xリンク65の駆動軸が所定角度回転する毎にフィードバック信号としてのパルス信号が即時的に出力され、当該フィードバック信号がフレーム制御回路641に入力されると下段フレーム63が作動し、上段フレーム61がスライドするものとした。すなわち、昇降制御回路661による下段フレーム63の昇降とフレーム制御回路641による上段フレーム61のスライドとが逐次的に行われるものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。例えば、架台制御回路33は、昇降制御回路661による下段フレーム63の所定高さへの昇降が完了した後、フレーム制御回路641による上段フレーム61のスライドを行っても良い。
【0093】
また、上記動作例において架台10のチルト角は、0度であっても良いし、0度以外の如何なる角度に設定されていても良い。この場合、転換点P2のZ方向位置とY方向位置とは、天板51及び支持フレーム53が架台10に干渉しないように、チルト角に応じて決定されることとなる。
【0094】
また、上記動作例において上段フレーム61の目標位置は、架台10の前面直前であるとしたが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、高精細画像を得る際には、上段フレーム61の目標位置を架台10に可能な限り接近させ、架台10のチルト動作を優先させる場合、上段フレーム61の目標位置を架台10から遠ざけても良い。
【0095】
(総括)
上記の通り、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、少なくとも架台10、上段フレーム61、下段フレーム63、支持台55及び架台制御回路33を有している。架台10は、X線管13とX線検出器15とを装備する。上段フレーム61は、被検体Oが載置される天板51を支持する。下段フレーム63は、上段フレーム61をZ方向に移動可能に支持する。支持台55は、下段フレーム63をY方向に移動可能に支持するXリンク65を装備する。架台制御回路33は、下段フレーム63のY方向の移動に伴い変化する上段フレーム61のZ方向位置を補正するために、Xリンク65を作動するための駆動軸の動作情報に基づいて上段フレーム61を移動させる。
【0096】
上記の構成により、Xリンク65により下段フレーム63を昇降させる場合、上段フレーム61のZ方向位置を固定することができるので、昇降後の天板51の再度の位置決めが不要になる。また、Xリンク65は上段フレーム61の移動方向と同方向に移動することにより下段フレーム63を昇降させるので、本実施形態に係る架台制御回路33は、Xリンク65の駆動軸の動作情報を利用することにより、下段フレーム63の昇降に伴う上段フレーム61の前後移動量を正確に補正することができる。
【0097】
かくして、本実施形態によれば、天板及び支持フレームが昇降に伴い前後する方式を有するX線コンピュータ断層撮影装置及び寝台装置において、天板及び支持フレームの位置決め作業に関する効率を向上することが可能になる。
【0098】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0099】
10…架台、11…回転フレーム、13…X線管、15…X線検出器、17…高電圧発生器、21…回転駆動装置、23…寝台、25…架台/寝台駆動系、27…データ収集回路、29…表示回路、31…入力回路、33…架台制御回路、41…開口、43…筐体、51…天板、53…支持フレーム、55…支持台、61…上段フレーム、62…天板駆動制御装置、63…下段フレーム、64…フレーム駆動制御装置、65…Xリンク、66…昇降駆動制御装置、67…基台、68…チルト駆動制御装置、75…支点、76…リードスクリュ、77…制動装置、78…ナット、100…コンソール、101…前処理回路、103…再構成回路、105…画像処理回路、107…表示回路、109…入力回路、111…主記憶回路、113…システム制御回路、331…位置判定機能、333…移動制御機能、621…天板制御回路、623…天板駆動装置、625…天板検出器、631…枠状フレーム、632…ボールねじ、633…案内レール、634…転子、635…転子、636…ストッパ、641…フレーム制御回路、643…フレーム駆動装置、645…フレーム検出器、651…可動リンク、652…固定リンク、653…端部、654…端部、655…端部、656…端部、661…昇降制御回路、663…昇降駆動装置、665…昇降検出器、681…チルト制御回路、683…チルト駆動装置、685…チルト検出器、6321…ねじ軸、6323…スライダ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11