特許第6818571号(P6818571)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6818571樹脂製筒状体、樹脂製筒状体の製造金型、及び樹脂製筒状体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6818571
(24)【登録日】2021年1月5日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】樹脂製筒状体、樹脂製筒状体の製造金型、及び樹脂製筒状体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/27 20060101AFI20210107BHJP
   B29C 45/37 20060101ALI20210107BHJP
   B29L 23/00 20060101ALN20210107BHJP
【FI】
   B29C45/27
   B29C45/37
   B29L23:00
【請求項の数】9
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-15510(P2017-15510)
(22)【出願日】2017年1月31日
(65)【公開番号】特開2018-122482(P2018-122482A)
(43)【公開日】2018年8月9日
【審査請求日】2019年12月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208765
【氏名又は名称】株式会社エンプラス
(74)【代理人】
【識別番号】110000545
【氏名又は名称】特許業務法人大貫小竹国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】酒巻 和幸
【審査官】 山本 雄一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−221687(JP,A)
【文献】 国際公開第2003/004244(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00−45/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒部の一端側の外周面には径方向外方へ向かって突出する円板状のフランジ部が一体に形成された樹脂製筒状体において、
前記円筒部の一端側には、前記円筒部の一端面に開口し、且つ、前記円筒部の外周面と同心の円環状溝が形成され、
前記円環状溝は、前記円筒部の中心軸に沿った方向の溝深さが前記フランジ部の厚さよりも深くなるように形成され、
前記フランジ部は、両側面のうちの一方の側面が前記円筒部の前記一端面側に位置し、前記両側面のうちの他方の側面が前記一方の側面よりも前記円筒部の他端面寄りに位置している場合に、前記他方の側面と前記円筒部の外周面との交点から前記フランジ部の外周面までの径方向長さの方が前記他方の側面と前記円筒部の外周面との交点から前記円環状溝までの径方向長さよりも長くなるように形成された、
ことを特徴とする樹脂製筒状体。
【請求項2】
円筒部の一端側の外周面には径方向外方へ向かって突出する円板状のフランジ部が一体に形成された樹脂製筒状体において、
前記円筒部の一端側には、前記円筒部の一端面に開口し、且つ、前記円筒部の外周面と同心の円環状溝が形成され、
前記円環状溝は、前記円筒部の中心軸に沿った方向の溝深さが前記フランジ部の厚さよりも深い部分から漸減するように形成され、
前記フランジ部は、両側面のうちの一方の側面が前記円筒部の前記一端面側に位置し、前記両側面のうちの他方の側面が前記一方の側面よりも前記円筒部の他端面寄りに位置している場合に、前記他方の側面と前記円筒部の外周面との交点から前記フランジ部の外周面までの径方向長さの方が前記他方の側面と前記円筒部の外周面との交点から前記円環状溝までの径方向長さよりも長くなるように形成された、
ことを特徴とする樹脂製筒状体。
【請求項3】
前記円筒部は、大径円筒部分と小径円筒部分とを有し、前記大径円筒部分が前記円筒部の一端側に形成され、前記小径円筒部分が前記円筒部の他端側に形成された、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂製筒状体。
【請求項4】
固定型と可動型との型合わせ面側にキャビティが形成され、前記キャビティにピンポイントゲートから溶融樹脂を射出することにより、前記キャビティの形状が転写された樹脂製筒状体を形成する樹脂製筒状体の製造金型において、
(A).前記樹脂製筒状体は、円筒部と、前記円筒部の一端側の外周面から径方向外方へ向かって突出する円板状のフランジ部と、を一体に有し、
前記円筒部の一端側には、前記円筒部の一端面に開口し、且つ、前記円筒部の外周面と同心の円環状溝が形成され、
前記円環状溝は、前記円筒部の中心軸に沿った方向の溝深さが前記フランジ部の厚さよりも深くなるように形成され、
前記フランジ部は、両側面のうちの一方の側面が前記円筒部の前記一端面側に位置し、前記両側面のうちの他方の側面が前記一方の側面よりも前記円筒部の他端面寄りに位置している場合に、前記他方の側面と前記円筒部の外周面との交点から前記フランジ部の外周面までの径方向長さの方が前記他方の側面と前記円筒部の外周面との交点から前記円環状溝までの径方向長さよりも長くなるように形成され、
(B).前記キャビティは、前記フランジ部を形作る第1キャビティ部分と、前記円筒部を形作る第2キャビティ部分と、を有し、
前記固定型は、前記第1キャビティ部分に開口する前記ピンポイントゲートが形成されると共に、前記円環状溝を形作るためのリング状突起が形成され、
前記ピンポイントゲートは、前記第1キャビティ部分の周方向に沿って等間隔で複数配置され、且つ、前記第1キャビティ部分への開口部が前記円筒部の外周面を形作る前記第2キャビティ部分の内周面よりも径方向外方側に位置するように配置され、前記フランジ部の前記一方の側面を形作る前記第1キャビティ部分の第1の壁面側から前記フランジ部の前記他方の側面を形作る前記第1キャビティ部分の第2の壁面側に向けて前記溶融樹脂を射出するようになっている、
ことを特徴とする樹脂製筒状体の製造金型。
【請求項5】
固定型と可動型との型合わせ面側にキャビティが形成され、前記キャビティにピンポイントゲートから溶融樹脂を射出することにより、前記キャビティの形状が転写された樹脂製筒状体を形成する樹脂製筒状体の製造金型において、
(A).前記樹脂製筒状体は、円筒部と、前記円筒部の一端側の外周面から径方向外方へ向かって突出する円板状のフランジ部と、を一体に有し、
前記円筒部の一端側には、前記円筒部の一端面に開口し、且つ、前記円筒部の外周面と同心の円環状溝が形成され、
前記円環状溝は、前記円筒部の中心軸に沿った方向の溝深さが前記フランジ部の厚さよりも深い部分から漸減するように形成され、
前記フランジ部は、両側面のうちの一方の側面が前記円筒部の前記一端面側に位置し、前記両側面のうちの他方の側面が前記一方の側面よりも前記円筒部の他端面寄りに位置している場合に、前記他方の側面と前記円筒部の外周面との交点から前記フランジ部の外周面までの径方向長さの方が前記他方の側面と前記円筒部の外周面との交点から前記円環状溝までの径方向長さよりも長くなるように形成され、
(B).前記キャビティは、前記フランジ部を形作る第1キャビティ部分と、前記円筒部を形作る第2キャビティ部分と、を有し、
前記固定型は、前記第1キャビティ部分に開口する前記ピンポイントゲートが形成されると共に、前記円環状溝を形作るためのリング状突起が形成され、
前記ピンポイントゲートは、前記第1キャビティ部分の周方向に沿って1箇所だけ配置され、前記第1キャビティ部分への開口部が前記円環状溝の最も溝深さが深くなる部分の径方向外方に位置し、且つ、前記第1キャビティ部分への開口部が前記円筒部の外周面を形作る前記第2キャビティ部分の内周面よりも径方向外方側に位置するように配置され、前記フランジ部の前記一方の側面を形作る前記第1キャビティ部分の第1の壁面側から前記フランジ部の前記他方の側面を形作る前記第1キャビティ部分の第2の壁面側に向けて前記溶融樹脂を射出するようになっている、
ことを特徴とする樹脂製筒状体の製造金型。
【請求項6】
前記円筒部は、大径円筒部分と小径円筒部分とを有し、前記大径円筒部分が前記円筒部の一端側に形成され、前記小径円筒部分が前記円筒部の他端側に形成されており、
前記第2キャビティ部分は、前記大径円筒部分を形作る大径円筒空間部と、前記小径円筒部分を形作る小径円筒空間部と、を有する、
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の樹脂製筒状体の製造金型。
【請求項7】
固定型と可動型との型合わせ面側にキャビティが形成され、前記キャビティにピンポイントゲートから溶融樹脂を射出することにより、前記キャビティの形状が転写された樹脂製筒状体を形成する樹脂製筒状体の製造方法において、
(A).前記樹脂製筒状体は、円筒部と、前記円筒部の一端側の外周面から径方向外方へ向かって突出する円板状のフランジ部と、を一体に有し、
前記円筒部の一端側には、前記円筒部の一端面に開口し、且つ、前記円筒部の外周面と同心の円環状溝が形成され、
前記円環状溝は、前記円筒部の中心軸に沿った方向の溝深さが前記フランジ部の厚さよりも深くなるように形成され、
前記フランジ部は、両側面のうちの一方の側面が前記円筒部の前記一端面側に位置し、前記両側面のうちの他方の側面が前記一方の側面よりも前記円筒部の他端面寄りに位置している場合に、前記他方の側面と前記円筒部の外周面との交点から前記フランジ部の外周面までの径方向長さの方が前記他方の側面と前記円筒部の外周面との交点から前記円環状溝までの径方向長さよりも長くなるように形成され、
(B).前記キャビティは、前記フランジ部を形作る第1キャビティ部分と、前記円筒部を形作る第2キャビティ部分と、を有し、
前記固定型は、前記第1キャビティ部分に開口する前記ピンポイントゲートが形成されると共に、前記円環状溝を形作るためのリング状突起が形成され、
前記ピンポイントゲートは、前記第1キャビティ部分の周方向に沿って等間隔で複数配置され、且つ、前記第1キャビティ部分への開口部が前記円筒部の外周面を形作る前記第2キャビティ部分の内周面よりも径方向外方側に位置するように配置され、前記フランジ部の前記一方の側面を形作る前記第1キャビティ部分の第1の壁面側から前記フランジ部の前記他方の側面を形作る前記第1キャビティ部分の第2の壁面側に向けて前記溶融樹脂を射出するようになっており、
(C).前記ピンポイントゲートから前記第1キャビティ部分に射出された溶融樹脂は、前記第1キャビティ部分及び前記第2キャビティ部分のうちの前記リング状突起の外周側に位置する部分を流動した後、あたかもリングゲートから射出された溶融樹脂であるかのように、前記第2キャビティ部分に充填される、
ことを特徴とする樹脂製筒状体の製造方法。
【請求項8】
固定型と可動型との型合わせ面側にキャビティが形成され、前記キャビティにピンポイントゲートから溶融樹脂を射出することにより、前記キャビティの形状が転写された樹脂製筒状体を形成する樹脂製筒状体の製造方法において、
(A).前記樹脂製筒状体は、円筒部と、前記円筒部の一端側の外周面から径方向外方へ向かって突出する円板状のフランジ部と、を一体に有し、
前記円筒部の一端側には、前記円筒部の一端面に開口し、且つ、前記円筒部の外周面と同心の円環状溝が形成され、
前記円環状溝は、前記円筒部の中心軸に沿った方向の溝深さが前記フランジ部の厚さよりも深い部分から漸減するように形成され、
前記フランジ部は、両側面のうちの一方の側面が前記円筒部の前記一端面側に位置し、前記両側面のうちの他方の側面が前記一方の側面よりも前記円筒部の他端面寄りに位置している場合に、前記他方の側面と前記円筒部の外周面との交点から前記フランジ部の外周面までの径方向長さの方が前記他方の側面と前記円筒部の外周面との交点から前記円環状溝までの径方向長さよりも長くなるように形成され、
(B).前記キャビティは、前記フランジ部を形作る第1キャビティ部分と、前記円筒部を形作る第2キャビティ部分と、を有し、
前記固定型は、前記第1キャビティ部分に開口する前記ピンポイントゲートが形成されると共に、前記円環状溝を形作るためのリング状突起が形成され、
前記ピンポイントゲートは、前記第1キャビティ部分の周方向に沿って1箇所だけ配置され、前記第1キャビティ部分への開口部が前記円環状溝の最も溝深さが深くなる部分の径方向外方に位置し、且つ、前記第1キャビティ部分への開口部が前記円筒部の外周面を形作る前記第2キャビティ部分の内周面よりも径方向外方側に位置するように配置され、前記フランジ部の前記一方の側面を形作る前記第1キャビティ部分の第1の壁面側から前記フランジ部の前記他方の側面を形作る前記第1キャビティ部分の第2の壁面側に向けて前記溶融樹脂を射出するようになっており、
(C).前記ピンポイントゲートから前記第1キャビティ部分に射出された溶融樹脂は、前記第1キャビティ部分及び前記第2キャビティ部分のうちの前記リング状突起の外周側に位置する部分を流動した後、あたかもリングゲートから射出された溶融樹脂であるかのように、前記第2キャビティ部分に充填される、
ことを特徴とする樹脂製筒状体の製造方法。
【請求項9】
前記円筒部は、大径円筒部分と小径円筒部分とを有し、前記大径円筒部分が前記円筒部の一端側に形成され、前記小径円筒部分が前記円筒部の他端側に形成されており、
前記第2キャビティ部分は、前記大径円筒部分を形作る大径円筒空間部と、前記小径円筒部分を形作る小径円筒空間部と、を有し、
前記第2キャビティ部分を流動する前記溶融樹脂は、前記大径円筒空間部のうちの前記小径円筒空間部近傍及び前記小径円筒空間部で周方向に沿って流動しながら充填される、
ことを特徴とする請求項又はに記載の樹脂製筒状体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、各種機械の構成部品や管継ぎ手等として広く使用される樹脂製筒状体、その樹脂製筒状体の製造金型、及びその樹脂製筒状体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(第1従来例)
図8(a)は、第1従来例に係る樹脂製筒状体100の製造金型101を説明する図(製造金型101の縦断面図)である。また、図8(b)は、図8(a)の製造金型101を使用して射出成形された樹脂製筒状体100を説明するための図(樹脂製筒状体100の外観斜視図)である。この第1従来例において、樹脂製筒状体100は、溶融樹脂をピンポイントゲート102から製造金型101のキャビティ103内に射出することにより、キャビティ103の形状が転写された形状に成形されている(特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、第1従来例に係る製造金型101は、溶融樹脂がピンポイントゲート102からキャビティ103内に射出されると、キャビティ103内で溶融樹脂が合流した部分にウェルドライン104ができ、このウェルドライン104が樹脂製筒状体100の強度を低下させるという問題を生じる。とりわけ、繊維強化樹脂材料を使用して射出成形された樹脂製筒状体100は、ウェルドライン104の強化繊維が一方向(溶融樹脂が流れる方向)に揃ってしまうため、円筒部105を軸(図示せず)に圧入すると、円筒部105がウェルドライン104から割れを生じるという問題を生じる。
【0004】
(第2従来例)
図9は、第2従来例に係る樹脂製筒状体110の製造金型111の縦断面図である。この図9に示す第2従来例に係る製造金型111は、リングゲート112をピンポイントゲートに代えて使用することにより、第1従来例に係る製造金型101によって生じる問題点を解消するものである。すなわち、図9に示す第2従来例に係る製造金型111は、溶融樹脂をリングゲート112からキャビティ113内に射出することにより、キャビティ113内に円筒状の溶融樹脂の流れを生じさせ、樹脂製筒状体110の円筒部114に溶融樹脂の合流部が生じないようにして、円筒部114にウェルドラインが生じるのを防止している(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3383971号公報(段落番号0003、及び図6の記載参照)
【特許文献2】国際公開第2015/080038号(段落番号0030〜0033、及び図3の記載参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、第2従来例に係る製造金型111は、ピンポイントゲート102を採用する第1従来例に係る製造金型101と比較して、ランナ115及びリングゲート112内に残留して廃棄される樹脂材料が多くなり、製品コストが高くなるという問題を有している。
【0007】
そこで、本発明は、ピンポイントゲートで射出成形してもウェルドラインの発生を防止することができる形状の樹脂製筒状体、樹脂製筒状体の製造金型、及び樹脂製筒状体の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、円筒部3の一端側の外周面3aには径方向外方へ向かって突出する円板状のフランジ部4が一体に形成された樹脂製筒状体1に関するものである。本発明において、前記円筒部3の一端側には、前記円筒部3の一端面3bに開口し、且つ、前記円筒部3の外周面3aと同心の円環状溝5が形成されている。また、前記円環状溝5は、前記円筒部3の中心軸6に沿った方向の溝深さが前記フランジ部4の厚さよりも深くなるように形成されている。そして、前記フランジ部4は、両側面4a,4bのうちの一方の側面4aが前記円筒部3の前記一端面3b側に位置し、前記両側面4a,4bのうちの他方の側面4bが前記一方の側面4aよりも前記円筒部3の他端面3c寄りに位置している場合に、前記他方の側面4bと前記円筒部3の外周面3aとの交点P1から前記フランジ部4の外周面4cまでの径方向長さL1の方が前記他方の側面4bと前記円筒部3の外周面3aとの交点P1から前記円環状溝5までの径方向長さL2よりも長くなるように形成されている。
【0009】
また、本発明は、円筒部3の一端側の外周面3aには径方向外方へ向かって突出する円板状のフランジ部4が一体に形成された樹脂製筒状体1に関するものである。本発明において、前記円筒部3の一端側には、前記円筒部3の一端面3bに開口し、且つ、前記円筒部3の外周面3aと同心の円環状溝5が形成されている。また、前記円環状溝5は、前記円筒部3の中心軸6に沿った方向の溝深さが前記フランジ部4の厚さよりも深い部分から漸減するように形成されている。そして、前記フランジ部4は、両側面4a,4bのうちの一方の側面4aが前記円筒部3の前記一端面3b側に位置し、前記両側面4a,4bのうちの他方の側面4bが前記一方の側面4aよりも前記円筒部3の他端面3c寄りに位置している場合に、前記他方の側面4bと前記円筒部3の外周面3aとの交点P1から前記フランジ部4の外周面4cまでの径方向長さL1の方が前記他方の側面4bと前記円筒部3の外周面3aとの交点P1から前記円環状溝5までの径方向長さL2よりも長くなるように形成されている。
【0010】
また、本発明は、固定型14と可動型15との型合わせ面14a,15a側にキャビティ13が形成され、前記キャビティ13にピンポイントゲート20から溶融樹脂を射出することにより、前記キャビティ13の形状が転写された樹脂製筒状体1を形成する樹脂製筒状体1の製造金型12に関するものである。
本発明において、
(A).前記樹脂製筒状体1は、円筒部3と、前記円筒部3の一端側の外周面3aから径方向外方へ向かって突出する円板状のフランジ部4と、を一体に有し、
前記円筒部3の一端側には、前記円筒部3の一端面3bに開口し、且つ、前記円筒部3の外周面3aと同心の円環状溝5が形成され、
前記円環状溝5は、前記円筒部3の中心軸6に沿った方向の溝深さが前記フランジ部4の厚さよりも深くなるように形成され、
前記フランジ部4は、両側面4a,4bのうちの一方の側面4aが前記円筒部3の前記一端面3b側に位置し、前記両側面4a,4bのうちの他方の側面4bが前記一方の側面4aよりも前記円筒部3の他端面3c寄りに位置している場合に、前記他方の側面4bと前記円筒部3の外周面3aとの交点P1から前記フランジ部4の外周面4cまでの径方向長さL1の方が前記他方の側面4bと前記円筒部3の外周面3aとの交点P1から前記円環状溝5までの径方向長さL2よりも長くなるように形成され、
(B).前記キャビティ13は、前記フランジ部4を形作る第1キャビティ部分17と、前記円筒部3を形作る第2キャビティ部分18と、を有し、
前記固定型14は、前記第1キャビティ部分17に開口する前記ピンポイントゲート20が形成されると共に、前記円環状溝5を形作るためのリング状突起21が形成され、
前記ピンポイントゲート20は、第1キャビティ部分17の周方向に沿って等間隔で複数配置され、且つ、前記第1キャビティ部分17への開口部20aが前記円筒部3の外周面3aを形作る前記第2キャビティ部分18の内周面31よりも径方向外方側に位置するように配置され、前記フランジ部4の前記一方の側面4aを形作る前記第1キャビティ部分17の第1の壁面25側から前記フランジ部4の前記他方の側面4bを形作る前記第1キャビティ部分17の第2の壁面15a,29側に向けて前記溶融樹脂を射出するようになっている。
【0011】
また、本発明は、固定型14と可動型15との型合わせ面14a,15a側にキャビティ13が形成され、前記キャビティ13にピンポイントゲート20から溶融樹脂を射出することにより、前記キャビティ13の形状が転写された樹脂製筒状体1を形成する樹脂製筒状体1の製造金型12に関するものである。
本発明において、
(A).前記樹脂製筒状体1は、円筒部3と、前記円筒部3の一端側の外周面3aから径方向外方へ向かって突出する円板状のフランジ部4と、を一体に有し、
前記円筒部3の一端側には、前記円筒部3の一端面3bに開口し、且つ、前記円筒部3の外周面3aと同心の円環状溝5が形成され、
前記円環状溝5は、前記円筒部3の中心軸6に沿った方向の溝深さが前記フランジ部4の厚さよりも深い部分から漸減するように形成され、
前記フランジ部4は、両側面4a,4bのうちの一方の側面4aが前記円筒部3の前記一端面3b側に位置し、前記両側面4a,4bのうちの他方の側面4bが前記一方の側面4aよりも前記円筒部3の他端面3c寄りに位置している場合に、前記他方の側面4bと前記円筒部3の外周面3aとの交点P1から前記フランジ部4の外周面4cまでの径方向長さL1の方が前記他方の側面4bと前記円筒部3の外周面3aとの交点P1から前記円環状溝5までの径方向長さL2よりも長くなるように形成され、
(B).前記キャビティ13は、前記フランジ部4を形作る第1キャビティ部分17と、前記円筒部3を形作る第2キャビティ部分18と、を有し、
前記固定型14は、前記第1キャビティ部分17に開口する前記ピンポイントゲート20が形成されると共に、前記円環状溝5を形作るためのリング状突起22が形成され、
前記ピンポイントゲート20は、第1キャビティ部分18の周方向に沿って1箇所だけ配置され、前記第1キャビティ部分17への開口部20aが前記円環状溝5の最も溝深さが深くなる部分の径方向外方に位置し、且つ、前記第1キャビティ部分17への開口部20aが前記円筒部3の外周面3aを形作る前記第2キャビティ部分18の内周面31よりも径方向外方側に位置するように配置され、前記フランジ部4の前記一方の側面4aを形作る前記第1キャビティ部分17の第1の壁面25側から前記フランジ部4の前記他方の側面4bを形作る前記第1キャビティ部分17の第2の壁面15a,29側に向けて前記溶融樹脂を射出するようになっている。
【0012】
また、本発明は、固定型14と可動型15との型合わせ面14a,15a側にキャビティ13が形成され、前記キャビティ13にピンポイントゲート20から溶融樹脂を射出することにより、前記キャビティ13の形状が転写された樹脂製筒状体1を形成する樹脂製筒状体1の製造方法に関するものである。
本発明において、
(A).前記樹脂製筒状体1は、円筒部3と、前記円筒部3の一端側の外周面3aから径方向外方へ向かって突出する円板状のフランジ部4と、を一体に有し、
前記円筒部の一端側には、前記円筒部3の一端面3bに開口し、且つ、前記円筒部3の外周面3aと同心の円環状溝5が形成され、
前記円環状溝5は、前記円筒部3の中心軸6に沿った方向の溝深さが前記フランジ部4の厚さよりも深くなるように形成され、
前記フランジ部4は、両側面4a,4bのうちの一方の側面4aが前記円筒部3の前記一端面3b側に位置し、前記両側面4a,4bのうちの他方の側面4bが前記一方の側面4aよりも前記円筒部3の他端面3c寄りに位置している場合に、前記他方の側面4bと前記円筒部3の外周面3aとの交点P1から前記フランジ部4の外周面4cまでの径方向長さL1の方が前記他方の側面4bと前記円筒部3の外周面3aとの交点P1から前記円環状溝5までの径方向長さL2よりも長くなるように形成され、
(B).前記キャビティ13は、前記フランジ部4を形作る第1キャビティ部分17と、前記円筒部3を形作る第2キャビティ部分18と、を有し、
前記固定型14は、前記第1キャビティ部分17に開口する前記ピンポイントゲート20が形成されると共に、前記円環状溝5を形作るためのリング状突起22が形成され、
前記ピンポイントゲート20は、第1キャビティ部分17の周方向に沿って等間隔で複数配置され、且つ、前記第1キャビティ部分17への開口部20aが前記円筒部3の外周面3aを形作る前記第2キャビティ部分18の内周面31よりも径方向外方側に位置するように配置され、前記フランジ部4の前記一方の側面4aを形作る前記第1キャビティ部分17の第1の壁面25側から前記フランジ部4の前記他方の側面4bを形作る前記第1キャビティ部分17の第2の壁面15a,29側に向けて前記溶融樹脂を射出するようになっており、
(C).前記ピンポイントゲート20から前記第1キャビティ部分17に射出された溶融樹脂は、前記第1キャビティ部分17及び前記第2キャビティ部分18のうちの前記リング状突起22の外周側に位置する部分を流動した後、あたかもリングゲートから射出された溶融樹脂であるかのように、前記第2キャビティ部分18に充填される。
【0013】
また、本発明は、固定型14と可動型15との型合わせ面14a,15a側にキャビティ13が形成され、前記キャビティ13にピンポイントゲート20から溶融樹脂を射出することにより、前記キャビティ13の形状が転写された樹脂製筒状体1を形成する樹脂製筒状体1の製造方法に関するものである。
本発明において、
(A).前記樹脂製筒状体1は、円筒部3と、前記円筒部3の一端側の外周面3aから径方向外方へ向かって突出する円板状のフランジ部4と、を一体に有し、
前記円筒部3の一端側には、前記円筒部3の一端面3bに開口し、且つ、前記円筒部3の外周面3aと同心の円環状溝5が形成され、
前記円環状溝5は、前記円筒部3の中心軸6に沿った方向の溝深さが前記フランジ部4の厚さよりも深い部分から漸減するように形成され、
前記フランジ部4は、両側面4a,4bのうちの一方の側面4aが前記円筒部3の前記一端面3b側に位置し、前記両側面4a,4bのうちの他方の側面4bが前記一方の側面4aよりも前記円筒部3の他端面3c寄りに位置している場合に、前記他方の側面4bと前記円筒部3の外周面3aとの交点P1から前記フランジ部4の外周面4cまでの径方向長さL1の方が前記他方の側面4bと前記円筒部3の外周面3aとの交点P1から前記円環状溝5までの径方向長さL2よりも長くなるように形成され、
(B).前記キャビティ13は、前記フランジ部4を形作る第1キャビティ部分17と、前記円筒部3を形作る第2キャビティ部分18と、を有し、
前記固定型14は、前記第1キャビティ部分17に開口する前記ピンポイントゲート20が形成されると共に、前記円環状溝5を形作るためのリング状突起22が形成され、
前記ピンポイントゲート20は、第1キャビティ部分17の周方向に沿って1箇所だけ配置され、前記第1キャビティ部分17への開口部20aが前記円環状溝5の最も溝深さが深くなる部分の径方向外方に位置し、且つ、前記第1キャビティ部分17への開口部20aが前記円筒部3の外周面3aを形作る前記第2キャビティ部分18の内周面31よりも径方向外方側に位置するように配置され、前記フランジ部4の前記一方の側面4aを形作る前記第1キャビティ部分17の第1の壁面25側から前記フランジ部4の前記他方の側面4bを形作る前記第1キャビティ部分17の第2の壁面15a,29側に向けて前記溶融樹脂を射出するようになっており、
(C).前記ピンポイントゲート20から前記第1キャビティ部分17に射出された溶融樹脂は、前記第1キャビティ部分17及び前記第2キャビティ部分18のうちの前記リング状突起22の外周側に位置する部分を流動した後、あたかもリングゲートから射出された溶融樹脂であるかのように、前記第2キャビティ部分18に充填される。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る樹脂製筒状体は、円筒部の一端側に円環状溝が形成されているため、製造金型のキャビティ内に円環状溝を形作るためのリング状突起が形成されることになり、そのリング状突起が射出成形時におけるキャビティ内の溶融樹脂の流動速度を調整し、ピンポイントゲートから射出された溶融樹脂がリングゲートから射出された溶融樹脂と同様にキャビティ内に充填される。その結果、本発明に係る樹脂製筒状体は、製品コストの高騰を招くことなく、ウェルドラインが円筒部に生じることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態に係る樹脂製筒状体を示す図であり、図1(a)は樹脂製筒状体の平面図、図1(b)は樹脂製筒状体の側面図、図1(c)は図1(a)のA1−A1線に沿って切断して示す樹脂製筒状体の断面図である。
図2】樹脂製筒状体に被固定物が圧入された状態を示す断面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る樹脂製筒状体の射出成形用の金型を簡略化して示す図であり、図3(a)は固定型の型合わせ面の図、図3(b)は金型の縦断面図、図3(c)は第1実施形態に係る金型の変形例を示す金型の一部断面図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る樹脂製筒状体を示す図であり、図4(a)は樹脂製筒状体の平面図、図4(b)は樹脂製筒状体の側面図、図4(c)は図4(a)のA2−A2線に沿って切断して示す樹脂製筒状体の断面図である。
図5】本発明の第2実施形態に係る樹脂製筒状体の射出成形用の金型を簡略化して示す図であり、図5(a)は固定型の型合わせ面の図、図5(b)は金型の縦断面図、図5(c)は第2実施形態に係る金型の変形例を示す金型の一部断面図である。
図6】本発明の第3実施形態に係る樹脂製筒状体を示す図であり、図6(a)は樹脂製筒状体の平面図、図6(b)は樹脂製筒状体の側面図、図6(c)は図6(a)のA3−A3線に沿って切断して示す樹脂製筒状体の断面図である。
図7】本発明の第4実施形態に係る樹脂製筒状体を示す図であり、図7(a)は樹脂製筒状体の平面図、図7(b)は樹脂製筒状体の側面図、図7(c)は図7(a)のA4−A4線に沿って切断して示す樹脂製筒状体の断面図である。
図8】第1従来例に係る樹脂製筒状体及びその製造金型を説明するための図であり、図8(a)は樹脂製筒状体の製造金型の縦断面図、図8(b)は樹脂製筒状体の外観斜視図である。
図9】第2従来例に係る樹脂製筒状体の製造金型を説明するための図(製造金型の縦断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき詳述する。
【0017】
[第1実施形態]
図1及び図2は、本発明の第1実施形態に係る樹脂製筒状体1を示す図である。なお、図1(a)は、樹脂製筒状体1の平面図である。また、図1(b)は、樹脂製筒状体1の側面図である。また、図1(c)は、図1(a)のA1−A1線に沿って切断して示す樹脂製筒状体1の断面図である。また、図2は、樹脂製筒状体1に被固定物2が圧入された状態を示す断面図である。
【0018】
図1及び図2に示すように、樹脂製筒状体1は、円筒部3と、この円筒部3の一端側の外周面3aから径方向外方へ向かって突出する円板状のフランジ部4と、を一体に有している。そして、円筒部3の一端側には、円筒部3の一端面3bに開口し、且つ、円筒部3の外周面3aと同心の円環状溝5が形成されている。この円環状溝5は、円筒部3の中心軸6に沿った方向の溝深さd1がフランジ部4の厚さd2よりも深く(d1>d2)なるように形成されている。
【0019】
フランジ部4は、両側面4a,4bのうちの一方の側面4aが円筒部3の一端面3b側に位置し、両側面4a,4bのうちの他方の側面4bが一方の側面4aよりも円筒部3の他端面3c寄りに位置している。このフランジ部4は、他方の側面4bと円筒部3の外周面3aとの交点P1からフランジ部4の外周面4cまでの径方向長さL1の方が他方の側面4bと円筒部3の外周面3aとの交点P1から円環状溝5までの径方向長さL2よりも長くなるように形成されている。
【0020】
また、円筒部3は、大径円筒部分7と小径円筒部分8とからなり、小径円筒部分8が大径円筒部分7の他端側に一体に形成され、大径円筒部分7の小径円筒部分8に隣接する範囲が被固定物2を圧入するための圧入部分になっており、被固定物2が大径円筒部分7の内周面7a側に圧入される。小径円筒部分8の内周面8aは、大径円筒部分7の内周面7aよりも大径に形成され、被固定物2が大径円筒部分7の内周面7aに圧入される際に、被固定物2との間に隙間が生じるようになっており、被固定物2を大径円筒部分7の内周面7aに円滑に案内するガイド面として機能する。また、小径円筒部分8は、被固定物2を大径円筒部分7の内周面7aに圧入することによって生じる大径円筒部分7の応力を緩和する(減少させる)。小径円筒部分8の肉厚t1は、大径円筒部分7(但し、円環状溝5が形成された一端側の大径円筒部分7を除く)の肉厚t2よりも薄肉に形成されている。そして、大径円筒部分7の外周面7bと小径円筒部分8の外周面8bは、円筒部3の中心軸6に直交する仮想平面10上に位置する円板状の接続端面11で接続されている。なお、図1(c)において、小径円筒部分8は、大径円筒部分7の肉厚t2の約1/2の肉厚(t1=t2/2)に形成された場合を例示したが、これに限られず、被固定物2の圧入時の強度を保持でき、且つ、後述の射出成形時の所望の溶融樹脂の流れを生じさせることができることを条件として、大径円筒部分7との肉厚比(t1=t2/2)を適宜変更することができる。
【0021】
以上のような形状の樹脂製筒状体1は、溶融状態の合成樹脂材料(ポリアセタール(POM)、ポリアミド(PA)、30%ガラスファイバー入りナイロン66(PA66−GF30)、20%ガラスファイバー入りナイロン6(PA6−GF20)、40%ガラスファイバー入りポリフェニレンサルファイド(PPS−GF40)、又は25%ガラスファイバー入りポリアセタール(POM−GF25)等)を金型(樹脂製筒状体1の製造金型)12のキャビティ13内に射出して成形されている。
【0022】
図3は、本実施形態に係る樹脂製筒状体1の射出成形用の金型12を簡略化して示す図である。なお、図3(a)は、固定型14の型合わせ面14aの図である。また、図3(b)は、金型12の縦断面図である。
【0023】
図3に示す金型12は、固定型14と可動型15とがパーティングライン16を境にして分割され、可動型15が固定型14に対して接離可能に移動させられるようになっている。そして、この金型12は、固定型14と可動型15の型合わせ面14a,15a側に、樹脂製筒状体1を形作るためのキャビティ13が形成されている。このキャビティ13は、樹脂製筒状体1のフランジ部4を形作るための第1キャビティ部分17と、樹脂製筒状体1の円筒部3を形作るための第2キャビティ部分18とに大別される。そして、固定型14には、第1キャビティ部分17に開口するピンポイントゲート20が第1キャビティ部分17の周方向に沿って等間隔で4箇所形成されている。
【0024】
固定型14の型合わせ面14a側には、第1キャビティ部分17と第2キャビティ部分18の一部(以下、固定型側第2キャビティ部分21と略称する)が形成されると共に、樹脂製筒状体1の円環状溝5を形作るためのリング状突起22が形成されている。リング状突起22は、第1キャビティ部分17及び第2キャビティ部分18の中心軸23と同心に形成され、その径方向内方側に位置する底面24が第1キャビティ部分17の底面(第1の壁面)25の径方向内方への延長線上に位置している。そして、リング状突起22の径方向内方の底面24には、可動型15に配置された軸型26の先端面26aが突き当てられている。なお、第1キャビティ部分17の底面25は、樹脂製筒状体1のフランジ部4の一方の側面4aを形作るようになっている。
【0025】
可動型15の型合わせ面15a側には、可動型側第2キャビティ部分27が形成されている。この可動型側第2キャビティ部分27は、軸型26の周囲に形成された有底の円筒状の空間であり、開口端28側に位置する大径円筒空間部27aと底面30側に位置する小径円筒空間部27bとからなっている。また、この可動型側第2キャビティ部分27は、可動型15が固定型14に突き当てられた状態(図3(b)の状態)において、固定型14のリング状突起22の外周面22aと型合わせ面15a側の開口端28との間隔(第2キャビティ部分18の径方向に沿った距離)L3が可動型側第2キャビティ部分27の大径円筒空間部27aの内周面31と軸型26の外周面26aとの間隔(第2キャビティ部分18の径方向に沿った距離)よりも小さくなっている。また、この可動型側第2キャビティ部分27は、固定型14のリング状突起22の外周面22aと型合わせ面15a側の開口端28との間隔L3が第1キャビティ部分17の径方向寸法L4よりも小さくなっている。したがって、金型12は、リング状突起22の外周面22aと可動型側第2キャビティ部分27の開口端28との間が第1キャビティ部分17及び固定型側第2キャビティ部分21から可動型側第2キャビティ部分27に向けて流動する溶融樹脂の流路絞り部32になっている。また、可動型側第2キャビティ部分27は、大径円筒空間部27aの底面33が大径円筒空間部27aの内周面31と小径円筒空間部27bの内周面34とを接続する面であり、その大径円筒空間部27aの底面33が第2キャビティ部分18の中心軸23に直交する仮想平面35上に位置するように形成されている。なお、固定型側第2キャビティ部分21及び可動型側第2キャビティ部分27は、樹脂製筒状体1の円筒部3を形作るようになっている。また、可動型側第2キャビティ部分27の大径円筒空間部27aは、円筒部3の大径円筒部分7を形作るようになっている。また、可動型側第2キャビティ部分27の小径円筒空間部27bは、円筒部3の小径円筒部分8を形作るようになっている。また、大径円筒空間部27aの底面33は、大径円筒部分7の外周面7bと小径円筒部分8の外周面8bとを径方向に沿って接続する円板状の接続端面11を形作るようになっている。そして、可動型15の型合わせ面15aのうちの第1キャビティ部分17に対向する部分(第1キャビティ部分17の第2の壁面)は、樹脂製筒状体1のフランジ部4の他方の側面4bを形作るようになっている。
【0026】
固定型14に形成されたピンポイントゲート20は、第1キャビティ部分17への開口部20aが第1キャビティ部分17の底面(第1の壁面)25に形成されており、その開口部20aが可動型側第2キャビティ部分27の開口端28(大径円筒空間部27a)よりも径方向外方側に配置されている。そして、ピンポイントゲート20の開口部20aは、可動型15の第2キャビティ部分18よりも径方向外方側の型合わせ面(第1キャビティ部分17の第2の壁面)15aに対向するように位置しており、溶融樹脂を型合わせ面15aに向けて射出するようになっている。なお、本実施形態において、ピンポイントゲート20は、固定型14に4箇所だけ設けられているが、これに限られず、樹脂製筒状体の大きさ等に応じて2箇所以上の適当な数だけ設けられる。
【0027】
以上のような構造の金型12は、ピンポイントゲート20から第1キャビティ部分17に射出された溶融樹脂の直進方向の流れが可動型15の型合わせ面15aで邪魔され、ピンポイントゲート20から射出された溶融樹脂が第1キャビティ部分17及び固定型側第2キャビティ部分21(第2キャビティ部分18のうちのリング状突起22の外周側に位置する部分)を周方向に沿って流動し、4箇所のピンポイントゲート20から射出された溶融樹脂が第1キャビティ部分17及び固定型側第2キャビティ部分21に均一に充填される。そして、第1キャビティ部分17及び固定型側第2キャビティ部分21に充填された溶融樹脂は、あたかもリングゲートから射出された溶融樹脂であるかのように、流路絞り部32からほぼ同時に可動型側第2キャビティ部分27の大径円筒空間部27a内に流れ込み、可動型側第2キャビティ部分27の大径円筒空間部27a内を小径円筒空間部27bへ向けてほぼ均一な速度で充填される。可動型側第2キャビティ部分27の大径円筒空間部27a内を流動した溶融樹脂は、可動型側第2キャビティ部分27の大径円筒空間部27aの底面33に衝突して周方向の流れを生じながら、可動型側第2キャビティ部分27の小径円筒空間部27b内にほぼ均一に充填される。
【0028】
以上の説明のように、本実施形態に係る樹脂製筒状体1は、円筒部3の一端側に円環状溝5が形成され、フランジ部4と円環状溝5との間の間隔L3がフランジ部4の径方向長さL4よりも小さくなっているため、金型12のキャビティ13に流路絞り部32が形成されることになる。したがって、本実施形態に係る金型12を使用して製造された樹脂製筒状体1は、4箇所のピンポイントゲート20から第1キャビティ部分17及び固定型側第2キャビティ部分21に射出された溶融樹脂があたかもリングゲートから射出された溶融樹脂であるかのように流動して可動型側第2キャビティ部分27に充填されるため、リングゲートを使用した場合と同様にウェルドラインの発生が防止され、リングゲートを使用した場合と同様の寸法精度で形作られると共に、リングゲートを使用した場合と同様の強度を有する。その結果、本実施形態に係る樹脂製筒状体1は、リングゲートで射出成形された場合と比較し、金型12のランナ内に残留する樹脂材料の量が少なくなり、1回の射出成形で無駄になる(樹脂製筒状体1にならずに廃棄される)樹脂材料の量が少なくなるため、製品コストを低減することが可能になる。
【0029】
また、本実施形態に係る樹脂製筒状体1は、円筒部3が大径円筒部分7と小径円筒部分8とからなり、小径円筒部分8がフランジ部4から離れた円筒部3の他端側に位置し、小径円筒部分8が大径円筒部分7の肉厚よりも薄肉に形成され、大径円筒部分7の外周面7bと小径円筒部分8の外周面8bとが円板状の接続端面11で接続されているため、金型12の第2キャビティ部分18に溶融樹脂の流れの向きを変える面(樹脂製筒状体1の接続端面11に対応する大径円筒空間部27aの底面33)と溶融樹脂の流れを絞る部分(小径円筒空間部27bの大径円筒空間部27a側への開口端36と軸型26の外周面26bとの隙間部分)が形成されることになる。したがって、本実施形態に係る金型12を使用して製造された樹脂製筒状体1の大径円筒部分7のうちの少なくとも小径円筒部分8に隣接する範囲(被固定物2の圧入部分)は、第2キャビティ部分18を周方向に沿って流動する溶融樹脂で形作られる。その結果、本実施形態に係る樹脂製筒状体1は、繊維強化樹脂材料を使用して射出成形された場合、大径円筒部分7のうちの少なくとも小径円筒部分8に隣接する範囲(被固定物2の圧入部分)の強化繊維の向きが大径円筒部分7の周方向に揃うため、被固定物2を大径円筒部分7の内周面7aに圧入する際に作用する力(大径円筒部分7を拡径させる方向の力)に対抗するための強度をより一層大きくすることができる。
【0030】
[第2実施形態]
図4は、本発明の第2実施形態に係る樹脂製筒状体1を示す図である。なお、図4(a)は、樹脂製筒状体1の平面図である。また、図4(b)は、樹脂製筒状体1の側面図である。また、図4(c)は、図4(a)のA2−A2線に沿って切断して示す樹脂製筒状体1の断面図である。
【0031】
本実施形態に係る樹脂製筒状体1は、円環状溝5の形状が第1実施形態に係る樹脂製筒状体1と相違するが、他の構成が第1実施形態に係る樹脂製筒状体1と同様である。したがって、本実施形態に係る樹脂製筒状体1は、第1実施形態に係る樹脂製筒状体1と同様の構成部分に第1実施形態に係る樹脂製筒状体1と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0032】
すなわち、本実施形態に係る樹脂製筒状体1は、円環状溝5の最深部5aが周方向の1箇所のみに位置し、その最深部5aの溝深さが第1実施形態に係る樹脂製筒状体1の円環状溝5の溝深さと同一の寸法であり、最深部5aの位置から周方向に(中心軸6の回りを)180°回転した位置の円環状溝5の溝深さが最も浅くなっており、最深部5aから周方向に離れるにしたがって溝深さが漸減している。
【0033】
図5は、本実施形態に係る樹脂製筒状体1の射出成形用の金型12を簡略化して示す図である。なお、図5(a)は、固定型14の型合わせ面14aの図である。また、図5(b)は、金型12の縦断面図である。
【0034】
本実施形態に係る金型12は、固定型14の第1キャビティ部分17に開口するピンポイントゲート20が1箇所のみ設けられる点が第1実施形態に係る金型12と相違し、樹脂製筒状体1の円環状溝5を形作るリング状突起22の形状が第1実施形態に係る金型12のリング状突起22と相違するが、他の構成が第1実施形態に係る金型12と同様である。したがって、本実施形態に係る金型12は、第1実施形態に係る金型12と同様の構成部分に第1実施形態に係る金型12と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0035】
すなわち、本実施形態に係る金型12において、固定型14に形成された1箇所のピンポイントゲート20は、第1キャビティ部分17への開口部20aが第1キャビティ部分17の底面(第1の壁面)25に形成されており、可動型側第2キャビティ部分27の開口端28(大径円筒空間部27a)よりも径方向外方側に開口部20aが配置されている。そして、ピンポイントゲート20の開口部20aは、可動型側第2キャビティ部分27よりも径方向外方側の型合わせ面(第1キャビティ部分17の第2の壁面)15aに対向するように位置している。
【0036】
また、本実施形態に係る金型12において、リング状突起22は、ピンポイントゲート20の中心と第1キャビティ部分17の中心とを結ぶ中心線37上に突起高さの最高部38が位置し、その最高部38から周方向に(第1キャビティ部分17の中心の回りを)180°回転した位置に突起高さの最低部40が位置し、最高部38から最低部40に向けて突起高さが漸減するように形成されている。そして、リング状突起22は、最高部38の突起高さが第1実施形態の金型12のリング状突起22の突起高さと同一であり、固定型14の型合わせ面14aに可動型15の型合わせ面15aを突き合わせた状態(図5(b)の状態)において、可動型側第2キャビティ部分27内に最高部38及びその近傍が進入している。このリング状突起22が可動型側第2キャビティ部分27内に進入している部分は、可動型側第2キャビティ部分27の開口端28との間に溶融樹脂の流れが絞られる流路絞り部32を形成するため、ピンポイントゲート20近傍の溶融樹脂が第1キャビティ部分17及び固定型側第2キャビティ部分21から可動型側第2キャビティ部分27内に流入するのを遅らせる。また、リング状突起22は、突起高さが最高部38から最低部40に向かって漸減しているため、可動型側第2キャビティ部分27内に進入していない部分において、第1キャビティ部分17及び固定型側第2キャビティ部分21と可動型側第2キャビティ部分27との間の溶融樹脂の流路をピンポイントゲート20から離れるにしたがって拡げ、第1キャビティ部分17及び固定型側第2キャビティ部分21から可動型側第2キャビティ部分27へ向かう溶融樹脂の流れをピンポイントゲート20から離れるにしたがって速くすることができる。その結果、ピンポイントゲート20から第1キャビティ部分17及び固定型側第2キャビティ部分21に射出された溶融樹脂は、第1キャビティ部分17及び固定型側第2キャビティ部分21(第2キャビティ部分18のうちのリング状突起22の外周側に位置する部分)を流動した後、ほぼ同時に可動型側第2キャビティ部分27に流入する。すなわち、本実施形態に係る金型12は、リング状突起22が溶融樹脂の流動速度を調整することにより、第1キャビティ部分17及び固定型側第2キャビティ部分21(第2キャビティ部分18のうちのリング状突起22の外周側に位置する部分)がリングゲートと同様に機能する。
【0037】
このような構造の金型12は、ピンポイントゲート20から第1キャビティ部分17に射出された溶融樹脂の直進方向の流れが可動型15の型合わせ面(第1キャビティ部分17の第2の壁面)15aで邪魔され、ピンポイントゲート20から射出された溶融樹脂が第1キャビティ部分17及び固定型側第2キャビティ部分21(第2キャビティ部分18のうちのリング状突起22の外周側に位置する部分)を周方向に沿って流動する。この際、第1キャビティ部分17及び固定型側第2キャビティ部分21を流動する溶融樹脂は、第1キャビティ部分17及び固定型側第2キャビティ部分21から可動型側第2キャビティ部分27に向かう溶融樹脂の流動速度がリング状突起22によって調整され、第1キャビティ部分17及び固定型側第2キャビティ部分21がリングゲートであるかのように機能するため、あたかもリングゲートから射出された溶融樹脂であるかのように、第1キャビティ部分17及び固定型側第2キャビティ部分21の全周からほぼ同時に可動型側第2キャビティ部分27(大径円筒空間部27a)に流入し、可動型側第2キャビティ部分27の大径円筒空間部27a内を小径円筒空間部27bへ向けてほぼ均一な速度で充填される。可動型側第2キャビティ部分27の大径円筒空間部27a内を流動した溶融樹脂は、可動型側第2キャビティ部分27の大径円筒空間部27aの底面33に衝突して周方向の流れを生じながら、可動型側第2キャビティ部分27の小径円筒空間部27b内にほぼ均一に充填される。その結果、本実施形態に係る金型12を使用して製造された樹脂製筒状体1は、円筒部3の大径円筒部分7及び小径円筒部分8におけるウェルドラインの発生が防止される。
【0038】
以上の説明のように、本実施形態に係る金型12を使用して製造された樹脂製筒状体1は、1箇所のピンポイントゲート20から第1キャビティ部分17及び固定型側第2キャビティ部分21(第2キャビティ部分18のうちのリング状突起22の外周側に位置する部分)に射出された溶融樹脂があたかもリングゲートから射出された溶融樹脂であるかのように流動して可動型側第2キャビティ部分27に充填されるため、リングゲートを使用した場合と同様にウェルドラインの発生が防止され、リングゲートを使用した場合と同様の寸法精度で形作られると共に、リングゲートを使用した場合と同様の強度を有する。その結果、本実施形態に係る樹脂製筒状体1は、リングゲートで射出成形された場合と比較し、ランナ内に残留する樹脂材料の量が少なくなり、1回の射出成形で無駄になる(樹脂製筒状体にならずに廃棄される)樹脂材料の量が少なくなるため、製品コストを低減することが可能になる。また、本実施形態に係る樹脂製筒状体1は、繊維強化樹脂材料を使用して射出成形された場合、大径円筒部分7のうちの少なくとも小径円筒部分8に隣接する範囲(被固定物2の圧入部分)の強化繊維の向きが大径円筒部分7の周方向に揃うため、被固定物2を大径円筒部分7の内周面7aに圧入する際に作用する力(大径円筒部分7を拡径させる方向の力)に対抗するための強度をより一層大きくすることができる。
【0039】
[第3実施形態]
図6は、本発明の第3実施形態に係る樹脂製筒状体1を示す図であり、第1実施形態に係る樹脂製筒状体1の変形例を示す図である。なお、図6(a)は、樹脂製筒状体1の平面図である。また、図6(b)は、樹脂製筒状体1の側面図である。また、図6(c)は、図6(a)のA3−A3線に沿って切断して示す樹脂製筒状体1の断面図である。
【0040】
本実施形態に係る樹脂製筒状体1は、第1実施形態に係る樹脂製筒状体1の小径円筒部分8を省略した点を除き、第1実施形態に係る樹脂製筒状体1と同様であるので、第1実施形態に係る樹脂製筒状体1と同様の構成部分に同一符号を付し、第1実施形態に係る樹脂製筒状体1と重複する説明を省略する。
【0041】
本実施形態に係る樹脂製筒状体1は、第1実施形態に係る樹脂製筒状体1と同様に、ウェルドラインが生じることがない。本実施形態に係る樹脂製筒状体1は、第1実施形態に係る樹脂製筒状体1と同様に、リングゲートで射出成形された場合と比較し、ランナ内に残留する樹脂材料の量が少なくなり、1回の射出成形で無駄になる(樹脂製筒状体1にならずに廃棄される)樹脂材料の量が少なくなるため、製品コストを低減することが可能になる。
【0042】
[第4実施形態]
図7は、本発明の第4実施形態に係る樹脂製筒状体1を示す図であり、第2実施形態に係る樹脂製筒状体1の変形例を示す図である。なお、図7(a)は、樹脂製筒状体1の平面図である。また、図7(b)は、樹脂製筒状体1の側面図である。また、図7(c)は、図7(a)のA4−A4線に沿って切断して示す樹脂製筒状体1の断面図である。
【0043】
本実施形態に係る樹脂製筒状体1は、第2実施形態に係る樹脂製筒状体1の小径円筒部分8を省略した点を除き、第2実施形態に係る樹脂製筒状体1と同様であるので、第2実施形態に係る樹脂製筒状体1と同様の構成部分に同一符号を付し、第2実施形態に係る樹脂製筒状体1と重複する説明を省略する。
【0044】
本実施形態に係る樹脂製筒状体1は、第2実施形態に係る樹脂製筒状体1と同様に、ウェルドラインが生じることがない。また、本実施形態に係る樹脂製筒状体1は、第2実施形態に係る樹脂製筒状体1と同様に、リングゲートで射出成形された場合と比較し、ランナ内に残留する樹脂材料の量が少なくなり、1回の射出成形で無駄になる(樹脂製筒状体1にならずに廃棄される)樹脂材料の量が少なくなるため、製品コストを低減することが可能になる。
【0045】
[その他の実施形態]
第1実施形態及び第2実施形態に係る樹脂製筒状体1は、棒状の被固定物2を大径円筒部分7の内周面7aに圧入する態様を例示したが、円筒状の被固定物2を大径円筒部分7の外周面7bに圧入するように変更してもよい。
【0046】
第1実施形態及び第2実施形態に係る樹脂製筒状体1は、大径円筒部分7の外周面7bと小径円筒部分8の外周面8bが円筒部3の中心軸6に直交する仮想平面10上に位置する円板状の接続端面11で接続される構成を例示しているが、射出成形時に周方向の溶融樹脂の流れを生じさせることができる限り、接続端面11を傾斜面や曲面にしてもよい。
【0047】
図3(c)は、第1実施形態に係る金型12の変形例を示す図であり、金型12の一部断面図である。この図3(c)に示すように、金型12は、パーティングライン16が第1キャビティ部分17の面取り部19の下端に位置し、固定型14に形成されたピンポイントゲート20が可動型15に形成された第1キャビティ部分17の第2の壁面29に対向して位置するように形成してもよい。また、金型12のパーティングライン16は、図3(b)で示す位置と図3(c)で示す位置との間の任意の位置に配置してもよい。
【0048】
図5(c)は、第2実施形態に係る金型12の変形例を示す図であり、金型12の一部断面図である。この図5(c)に示すように、金型12は、パーティングライン16が第1キャビティ部分17の面取り部19の下端に位置し、固定型14に形成されたピンポイントゲート20が可動型15に形成された第1キャビティ部分17の第2の壁面29に対向して位置するように形成してもよい。また、金型12のパーティングライン16は、図5(b)で示す位置と図5(c)で示す位置との間の任意の位置に配置してもよい。
【符号の説明】
【0049】
1……樹脂製筒状体、3……円筒部、3a……外周面、3b……一端面、3c……他端面、4……フランジ部、4a……一方の側面、4b……他方の側面、4c……外周面、5……円環状溝、6……中心軸、12……金型(製造金型)、13……キャビティ、14……固定型、14a……型合わせ面、15……可動型、15a……型合わせ面(第1キャビティ部分の第2の壁面)、17……第1キャビティ部分、18……第2キャビティ部分、20……ピンポイントゲート、20a……開口部、22……リング状突起、25……底面(第1キャビティ部分の第1の壁面)、29……第2の壁面、31……内周面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9