(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6818596
(24)【登録日】2021年1月5日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】無胴綱検知装置及びその方法
(51)【国際特許分類】
A62B 35/00 20060101AFI20210107BHJP
G08B 21/02 20060101ALI20210107BHJP
E04G 21/32 20060101ALI20210107BHJP
【FI】
A62B35/00 J
G08B21/02
E04G21/32 D
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-41255(P2017-41255)
(22)【出願日】2017年3月6日
(65)【公開番号】特開2018-143476(P2018-143476A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2020年1月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】坂田 輝幸
【審査官】
内山 隆史
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3194445(JP,U)
【文献】
特開2003−111856(JP,A)
【文献】
特開2006−313425(JP,A)
【文献】
特開2010−252879(JP,A)
【文献】
特開2015−204997(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62B 35/00
E04G 21/32
G08B 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池電源と、
前記電池電源により駆動され、無胴綱の検知対象となる区画に取り付けられた外部の第1の通信機器と予め設定された第1の範囲内で無線通信する第1通信手段と、
前記電池電源により駆動され、安全帯における胴綱に取り付けられた外部の第2の通信機器と予め設定された第2の範囲内で無線通信する第2通信手段と、
前記第1通信手段により前記第1の通信機器との通信が確立された状態で、前記第2通信手段により前記第2の通信機器との通信が確立された場合に、無胴綱状態を警告する無胴綱警告手段と、
を備えた無胴綱検知装置。
【請求項2】
前記第1通信手段により前記第1の通信機器との通信が確立された場合に、前記区画への侵入を報知する区画侵入報知手段を備えた、
請求項1に記載の無胴綱検知装置。
【請求項3】
前記区画侵入報知手段は、前記第1通信手段により前記第1の通信機器との通信が確立された場合に、予め設定された第1の時間の経過を判定する第1時間経過判定手段を有し、前記第1時間経過判定手段により第1の時間の経過が判定された場合に前記区画への侵入を報知する、
請求項2に記載の無胴綱検知装置。
【請求項4】
前記無胴綱警告手段は、前記区画侵入報知手段により前記区画への侵入が報知された場合に、予め設定された第2の時間の経過を判定する第2時間経過判定手段を有し、前記第2時間経過判定手段により第2の時間の経過が判定された場合に無胴綱状態を警告する、
請求項2又は請求項3に記載の無胴綱検知装置。
【請求項5】
前記安全帯に着脱自在に装着されることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の無胴綱検知装置。
【請求項6】
前記第1の通信機器と第2の通信機器は、何れも近距離無線通信用のICタグを有し、前記第1通信手段と第2通信手段は、前記電池電源により駆動され、前記ICタグと近距離無線通信する送受信部を有する、ことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の無胴綱検知装置。
【請求項7】
電池電源により駆動される装置を用いた無胴綱検知方法であって、
前記電池電源により、無胴綱の検知対象となる区画に取り付けられた外部の第1の通信機器と予め設定された第1の範囲内で無線通信すること、
前記電池電源により、安全帯における胴綱に取り付けられた外部の第2の通信機器と予め設定された第2の範囲内で無線通信すること、
前記第1の通信機器との通信が確立された状態で、前記第2の通信機器との通信が確立された場合に、無胴綱状態を警告すること、
からなる無胴綱検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、例えば、高所作業員が装着する安全帯のランヤード(胴綱)が未使用(無胴綱)であることを検知するための無胴綱検知装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
仮設足場や仮設ステージ等における高所作業、各種の機器や資材の搬出入などを行なう開口部での高所作業では、作業員の安全対策として安全帯を使用する。作業員は安全帯を装着し、この安全帯に備わるランヤード(胴綱)のフックを堅牢な手すり等に掛けることにより、万が一作業員の墜転落が発生した際、重大な災害となることを防止している。
【0003】
しかしながら、作業員が安全帯の胴綱のフックを掛けなかったり掛けるのを忘れてしまったりした状態(無胴綱状態)では、作業員の安全を確保できない。
【0004】
そこで、従来、作業員が高所作業エリアや危険エリアに入っている状態での安全帯の胴綱のフックが掛かっているか否かを監視し、当該フックが掛かっていない場合には警告を発する安全帯の使用状況監視システムが考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−165517号公報
【特許文献2】特開2014−004006号公報
【特許文献3】特開2014−150960号公報
【特許文献4】特開2015−204997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の安全帯の使用状況監視システムでは、監視対象となる高所作業エリアの周辺に複数の送受信機器を設置したり、仮設足場の外部や出入り口に前記送受信機器により得られる情報を収集して前記エリア内での安全帯の使用状況を監視する管理コンピュータを設置したりする必要があるため、システム全体が大掛かりになる。
【0007】
このようなシステムは、例えば大型の構造物を長期に渡り建設したり改修したりする場合であれば、長期に渡り足場も仮設したままとなるため、大掛かりなシステムであってもその設置期間も長く不具合はない。しかしながら、例えば短い工期で足場も含めて場所を移動しながら作業する場合、場所移動の都度、システム全体の設置のし直しが必要になり、このようなシステムの導入は現実的ではない問題がある。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、作業エリアが短い期間で変わる場合であっても、大掛かりなシステムを設置し直す必要なく、容易且つ確実に作業員に無胴綱状態を知らせることを可能にする無胴綱検知装置及びその方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の無胴綱検知装置は、電池電源と、前記電池電源により駆動され、無胴綱の検知対象となる区画に取り付けられた外部の第1の通信機器と予め設定された第1の範囲内で無線通信する第1通信手段と、前記電池電源により駆動され、安全帯における胴綱に取り付けられた外部の第2の通信機器と予め設定された第2の範囲内で無線通信する第2通信手段と、前記第1通信手段により前記第1の通信機器との通信が確立された状態で、前記第2通信手段により前記第2の通信機器との通信が確立された場合に、無胴綱状態を警告する無胴綱警告手段と、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態の無胴綱検知装置10を使用した作業現場での無胴綱検知システムの全体的な構成を示す外観図。
【
図2】前記無胴綱検知システムの無胴綱検知装置10と使用区画決定装置20と無胴綱状況判断装置30とを抜き出して示す図。
【
図3】前記無胴綱検知装置10の電子回路の構成を示すブロック図。
【
図4】前記無胴綱検知装置10の無胴綱検知処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態の無胴綱検知装置について、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、実施形態の無胴綱検知装置10を使用した作業現場での無胴綱検知システムの全体的な構成を示す外観図である。
【0013】
図2は、前記無胴綱検知システムの無胴綱検知装置10と使用区画決定装置(第1の通信機器)20と無胴綱状況判断装置(第2の通信機器)30とを抜き出して示す図である。
【0014】
前記無胴綱検知システムは、無胴綱検知装置10と、使用区画決定装置20と、無胴綱状況判断装置30とを含んで構成される。
【0015】
前記無胴綱検知装置10は、作業員WMがその胴体にベルトで固定して使用する安全帯SBに装着され、電源機能、通信機能(RFIDタグ等のNFCタグとの送受信機能(第1・第2通信手段))、音声出力機能を有する。
【0016】
前記使用区画決定装置20は、前記安全帯SBの胴綱(ランヤード)twの使用を必要する区画(胴綱使用区画)である足場SFの手すりの単管や親綱等に対して係止具22により着脱自在に取り付けられ、前記無胴綱検知装置10に対する通信応答機能(RFIDタグ等のNFCタグ21)を有する。
【0017】
前記無胴綱状況判断装置30は、前記安全帯SBの胴綱(ランヤード)twの先端にあるフックfの基部に強固なパッチ式の接着等により取り付けられ、前記無胴綱検知装置10に対する通信応答機能(RFIDタグ等のNFCタグ31)を有する。
【0018】
前記無胴綱検知装置10は、通信機能(第1通信手段)を用いて前記使用区画決定装置20とのコールバックによる近距離通信Ceが確立されることにより、前記安全帯SBの胴綱(ランヤード)twの使用を必要する区画(胴綱使用区画)に侵入したことを検知する。ここで、前記胴綱使用区画の範囲(第1の範囲)は、前記無胴綱検知装置10と使用区画決定装置20との通信可能距離により設定され、例えば半径2mの範囲に設定される。
【0019】
また、前記無胴綱検知装置10は、通信機能(第2通信手段)を用いて前記無胴綱状況判断装置30とのコールバックによる近距離通信Csが確立されることにより、前記胴綱twのフックfが安全帯SBの近傍にあり胴綱twが使用されていない、つまり、無胴綱状態であることを検知する。ここで、前記無胴綱状態を検知する範囲(第2の範囲)は、前記無胴綱検知装置10と無胴綱状況判断装置30との通信可能距離により設定され、胴綱twがその巻取機Rwに完全に巻き取られた状態でのフックf迄の距離(例えば50cm)に応じて設定される。
【0020】
図3は、前記無胴綱検知装置10の電子回路の構成を示すブロック図である。
【0021】
この無胴綱検知装置10の電子回路は、例えば1チップの半導体集積回路ICにより構成され、制御部11、メモリ12、送受信部(第1・第2通信手段)13、音声出力部14、入力部15を備え、電池電源16により駆動される。
【0022】
前記制御部11は、タイマ機能Tを有し、メモリ12に記憶された無胴綱検知プログラム12aに従い各部の動作を制御する。前記メモリ12には、前記無胴綱検知プログラム12aのデータの他に、作業員WMが胴綱使用区画に侵入した状態であることを確実に判定(第1時間経過判定手段)するための使用区画侵入時間<T1>12bのデータ、作業員WMの胴綱使用区画への侵入を確定した後に、当該作業員WMが無胴綱状態であることを確実に判定(第2時間経過判定手段)するための無胴綱時間<T2>12cのデータが記憶される。
【0023】
前記送受信部13は、電池電源16から供給される電圧に基づいて、前記使用区画決定装置20のNFCタグ21との近距離通信Ce(第1通信手段)と、前記無胴綱状況判断装置30のNFCタグ31との近距離通信Cs(第2通信手段)を行なう。
【0024】
前記音声出力部14は、前記制御部11の制御に従い、作業員WMの胴綱使用区画への侵入が確定した状態で区画侵入を報知する電子音声(例えば『ピヨピヨ』)を繰り返し出力し(区画侵入報知手段)、また、作業員WMの無胴綱状態が確定した状態で無胴綱を警告する電子音声(例えば『無胴綱です。フックを掛けて下さい!』)を繰り返し出力する(無胴綱警告手段)。なお、区画侵入を報知する電子音声と無胴綱を警告する電子音声とは、重ねて出力してもよいし、切り替えて出力してもよい。
【0025】
前記入力部15は、前記使用区画侵入時間<T1>のデータと前記無胴綱時間<T2>のデータとを、それぞれ例えば2段階に切り替えるための2つの切り替えスイッチを有する。
【0026】
このように構成された無胴綱検知装置10は、前記制御部11が前記無胴綱検知プログラム12aに記述された命令に従い各部の動作を制御し、ソフトウエアとハードウエアとが協働して動作することにより、以下の動作説明で述べるような、各種の機能を含む無胴綱検知処理を実現する。
【0027】
次に、前記構成の無胴綱検知装置10の動作について説明する。
【0028】
図4は、前記無胴綱検知装置10の無胴綱検知処理を示すフローチャートである。
【0029】
無胴綱検知装置10の電源スイッチ(図示せず)の操作により電源が投入されると、制御部11による、送受信部13と使用区画決定装置20との近距離通信Ceが確立されるか否かの判定により、作業員WMの胴綱使用区画への侵入の有無が検知される(ステップS1)。
【0030】
ここで、制御部11により、送受信部13と使用区画決定装置20との近距離通信Ceが確立されたと判定されることで、作業員WMの胴綱使用区画への侵入が検知されると(ステップS1(Yes))、タイマ機能Tにより使用区画侵入時間<T1>の計時が開始され(ステップS2,S3)、制御部11による、送受信部13と無胴綱状況判断装置30との近距離通信Csが確立されるか否かの判定により、作業員WMが無胴綱状態にあるか否かが検知される(ステップS4)。
【0031】
ここで、例えば作業員WMが、胴綱使用区画に侵入した直後であったり、当該胴綱使用区画を通り過ぎただけであったりすることで、送受信部13と無胴綱状況判断装置30との近距離通信Csが確立され、作業員WMが無胴綱状態にあると検知されると(ステップS4(Yes))、前記タイマ機能Tにより計時されている使用区画侵入時間<T1>が経過したか否かが判定される(ステップS5)。
【0032】
そして、前記使用区画侵入時間<T1>が経過してないと判定されると(ステップS5(No))、繰り返し、前記作業員WMの胴綱使用区画への侵入の有無が検知され(ステップS6)、引き続き前記作業員WMの胴綱使用区画への侵入が検知されると(ステップS6(Yes))、繰り返し、前記作業員WMが無胴綱状態にあるか否かが検知される(ステップS4)。
【0033】
そして、前記作業員WMが無胴綱状態にあると検知されている状態にあって(ステップS4(Yes))、前記使用区画侵入時間<T1>が経過したと判定されると(ステップS5(Yes))、音声出力部14により、作業員WMの胴綱使用区画への侵入確定を報知する電子音声『ピヨピヨ』が繰り返し出力され、作業員WMに対して安全帯SBの胴綱twの使用が促されると共に(ステップS7)、タイマ機能Tにより無胴綱時間<T2>の計時が開始される(ステップS8,S9)。
【0034】
そして、前記作業員WMが無胴綱状態にあると検知されている状態にあって(ステップS4(Yes))、前記無胴綱時間<T2>が経過したと判定されると(ステップS10(Yes))、音声出力部14により、作業員WMの無胴綱を警告する電子音声『無胴綱です。フックを掛けて下さい!』が繰り返し出力され、作業員WMに対して無胴綱の状態であることが警告される(ステップS11)。
【0035】
この後、作業員WMが胴綱twのフックfを足場SFの手すりの単管や親綱等に掛けて作業を始めることで、例えば
図1に示すように、当該胴綱twがその巻取機Rwから引き出されて伸び、送受信部13と無胴綱状況判断装置30との近距離通信Csが遮断され、作業員WMの無胴綱状態が検知されなくなる(解消される)と(ステップS4(No))、前記タイマ機能Tによる計時時間T1,T2がリセットされると共に(ステップS12)、前記音声出力部14による報知音声『ピヨピヨ』と警告音声『無胴綱です。フックを掛けて下さい!』の出力が停止される(ステップS13)。
【0036】
そうすると、前記作業員WMが再び無胴綱状態になるか否かが検知される(ステップS14)。
【0037】
ここで、作業員WMが、例えばそこでの作業を終了することに応じて、胴綱twのフックfを足場SFの手すり等から外すことで、当該胴綱twがその巻取機Rwに巻き取られると、送受信部13と無胴綱状況判断装置30との近距離通信Csが再開され、作業員WMが再び無胴綱状態にあることが検知される(ステップS14(Yes))。
【0038】
そうすると、前記一連の無胴綱検知処理の先頭からの処理に戻る(ステップS1)。
【0039】
一方、前記ステップS6において(No)、つまり、前記作業員WMの胴綱使用区画への侵入が検知され、前記使用区画侵入時間<T1>が経過していない状態にあって、例えば、当該作業員WMが胴綱使用区画を単に通過したことでその侵入が検知されなくなると、前記タイマ機能Tによる計時時間T1がリセットされ(ステップS15)、前記一連の無胴綱検知処理の先頭からの処理に戻る(ステップS1)。
【0040】
この後、例えば、前記足場SFを解体して別の場所に組み直した場合でも、作業員TWがその組み直した足場SFの作業エリアに前記使用区画決定装置20を取り付けて作業することで、容易且つ確実に、当該作業員TWの安全帯SBに装着した無胴綱検知装置10において、前記同様の無胴綱検知処理を行なわせることができる。
【0041】
なお、前記使用区画決定装置20は、NFCタグ21等のICタグを備えるだけで安価に構成できるため、前記足場SFを別の場所に組み直したり別の足場SFに移動したりして作業エリアを変更する度に、新たな使用区画決定装置20を接着等によりその足場SFに取り付け、使い捨てて使用する構成としてもよい。
【0042】
したがって、前記構成の無胴綱検知装置10によれば、電池電源16により駆動される近距離無線通信の送受信部13により、足場SFの作業エリアに着脱自在に取り付けられる使用区画決定装置(NFCタグ)20との近距離通信Ceが確立されることで作業員WMの胴綱使用区画(高所作業エリア等)への侵入を検知し、更に、胴綱twのフックfにパッチ式の接着等により取り付けられる無胴綱状況判断装置(NFCタグ)30との近距離通信Csが確立されることで作業員WMの無胴綱状態を検知する。
【0043】
そして、前記作業員WMの胴綱使用区画への侵入を検知すると、音声出力部14により当該作業員WMの胴綱使用区画への侵入を報知する電子音声『ピヨピヨ』を出力し、更に、前記作業員WMの無胴綱状態を検知すると、音声出力部14により当該作業員WMの無胴綱状態を警告する電子音声『無胴綱です。フックを掛けて下さい!』を出力する。
【0044】
これにより、作業エリアが短い期間で変わる場合であっても、大掛かりなシステムを設置し直す必要なく、容易且つ確実に、作業員WMに対して、胴綱使用区画への侵入を報知し、そこでの無胴綱状態を警告できる。
【0045】
また、前記構成の無胴綱検知装置10によれば、前記作業員WMの胴綱使用区画への侵入が検知されている状態が、メモリ12に記憶されている使用区画侵入時間<T1>のあいだ継続し経過した場合に、前記音声出力部14により当該作業員WMの胴綱使用区画への侵入を報知する電子音声を出力するので、作業員WMが、例えば単に胴綱使用区画を通過しただけなのにその報知音声が出力されてしまうのを防止できる。
【0046】
また、前記構成の無胴綱検知装置10によれば、前記作業員WMの無胴綱が検知されている状態が、メモリ12に記憶されている無胴綱時間<T2>のあいだ継続し経過した場合に、前記音声出力部14により当該作業員WMの無胴綱状態を警告する電子音声を出力するので、作業員WMが、胴綱使用区画に侵入し、例えば胴綱twのフックfを足場SFの手すり等に掛けようとしているとき直ぐにその警告音声が出力されてしまうのを防止できる。
【0047】
なお、前記構成の無胴綱検知装置10において、作業員WMの胴綱使用区画への侵入を報知する電子音声の内容や当該作業員WMの無胴綱状態を警告する電子音声の内容は、前記実施形態に限定されるものではなく、どのような電子音又は電子音声であってもよい。
【0048】
また、前記実施形態の無胴綱検知装置10では、送受信部13と胴綱twのフックfに取り付けた無胴綱状況判断装置(NFCタグ)30との近距離通信Csが確立されることで、胴綱twがその巻取機Rwに完全に巻き取られて使用されていない距離の範囲にあると判定し、作業員WMの無胴綱状態を検知する構成としたが、前記胴綱twの巻取機Rwに当該胴綱twの引き出しを検知してON又はOFFになるスイッチを設け、このスイッチの動作に基づき無胴綱状態を検知する構成としてもよい。
【0049】
本願発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。さらに、前記各実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、各実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されたり、幾つかの構成要件が異なる形態にして組み合わされても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除されたり組み合わされた構成が発明として抽出され得るものである。
【符号の説明】
【0050】
10…無胴綱検知装置、11…制御部、12…メモリ、
12a…無胴綱検知プログラム、12b…使用区画侵入時間<T1>、
12c…無胴綱時間<T2>、13…送受信部、14…音声出力部、15…入力部、
16…電池電源、20…使用区画決定装置、22…係止具、
30…無胴綱状況判断装置、21,31…NFCタグ、SF…足場、WM…作業員、
SB…安全帯、tw…胴綱(ランヤード)、f…フック、Rw…巻取機。