特許第6818598号(P6818598)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6818598
(24)【登録日】2021年1月5日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】スートブロワ
(51)【国際特許分類】
   F23J 3/00 20060101AFI20210107BHJP
【FI】
   F23J3/00 101B
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-41875(P2017-41875)
(22)【出願日】2017年3月6日
(65)【公開番号】特開2018-146175(P2018-146175A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2019年12月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】日鉄エンジニアリング株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390022873
【氏名又は名称】日鉄プラント設計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001601
【氏名又は名称】特許業務法人英和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】權 容旭
(72)【発明者】
【氏名】矢野 亮
(72)【発明者】
【氏名】田中 聡
(72)【発明者】
【氏名】羽田野 紘史
【審査官】 吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5320052(JP,B2)
【文献】 特開平06−174226(JP,A)
【文献】 実開平02−140133(JP,U)
【文献】 特開平11−063466(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0296837(US,A1)
【文献】 特開平04−073509(JP,A)
【文献】 特開平11−230536(JP,A)
【文献】 実開平05−034425(JP,U)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内管と、内管の外側に抜き差し可能に配置した外管と、内管の内側に配置し、その先端部を内管の内周面に固定することなくシール材を介して支持した蒸気供給管とを備え、蒸気供給管に供給した蒸気を外管に導入し、外管先端のノズルからボイラの伝熱管に蒸気を吹き付けて伝熱管に付着した飛灰を除去するスートブロワであって、
前記内管は、スートブロワの暖機及びスートブロワ内のドレン排出のために外管先端のノズルをボイラ内のボイラ外壁近傍に位置させた状態(以下、この状態の位置を「中間停止位置」という。)において前記外管に連通する第1の孔と、前記中間停止位置において前記外管外に連通する第2の孔とを有する、スートブロワ。
【請求項2】
前記中間停止位置において前記蒸気供給管に供給した蒸気による内圧によって、前記外管と前記内管との間に溜まっているドレンを、前記第1の孔から前記内管と前記蒸気供給管との間を経由して前記第2の孔からボイラ外に排出する、請求項1に記載のスートブロワ。
【請求項3】
前記蒸気供給管の基端部は前記内管の基端部とフランジとにより挟持し、前記蒸気供給管は前記内管から取り外し可能である、請求項1又は2に記載のスートブロワ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイラの伝熱管に蒸気を吹き付けて伝熱管に付着した飛灰を除去するスートブロワに関する。なお、本発明において「飛灰」とは、ボイラ内に浮遊しボイラの伝熱管に付着する煤、灰、ダストなどを総称するものである。
【背景技術】
【0002】
ボイラ、特に廃棄物処理設備で使用されるボイラには、高温の排ガスとともに多量の飛灰が到来し、ボイラの伝熱管に飛灰が付着するので、ボイラの運転を効率的かつ安全に行うためには、伝熱管に付着した飛灰を定期的又は必要に応じて除去する必要がある。このようなボイラの伝熱管に付着した飛灰を除去するために、スートブロワが使用される。
【0003】
図6は、従来一般的なスートブロワの基本構成と動作を示す説明図である。図6(a)に示すように、従来一般的なスートブロワは、内管10の外側に外管20を抜き差し可能に配置した2重管構造を有する。このうち内管10は固定され、外管20は、その長手方向に沿って進退可能(抜き差し可能)であるとともに、長手方向の軸周りに回転可能である。そして、外管20の基端と内管10の外周面との間は、シール材30によってシールされている。
【0004】
内管10の基端には入口弁40が取り付けられており、この入口弁40を開くことにより、主蒸気ライン50から内管10に蒸気が供給される。内管10に供給された蒸気は、外管20に導入され、外管先端のノズル21から噴射される。
【0005】
実際にボイラの伝熱管に蒸気を吹き付けて伝熱管に付着した飛灰を除去する際には、図6(c)に示すように、外管20を前進させてボイラB内に差し込み、外管20を回転させながら、ノズル21から蒸気を噴射する。また、飛灰の除去作業が終わったら、図6(a)に示すように、ボイラB外の待機位置まで外管20を後退させ、入口弁40を閉じて蒸気の供給を停止する。
【0006】
このように、スートブロワは、待機時には外管20をボイラ外の待機位置に位置させ、蒸気の供給を停止するので、待機時に、内管10及び外管20が冷却され、各管内にドレンDが残留する。また、次回起動時には完全に冷却された状態にて蒸気が供給されるため、内管10及び外管20が蒸気にて暖機される間に多量のドレンDが発生する。このドレンがボイラ内に噴射され、ドレンアタックが発生して伝熱管等が損傷する。
【0007】
このドレンアタックの発生を防止するために、特許文献1には図7に示すようなスートブロワが提案されている。すなわち、特許文献1のスートブロワでは、内管(フィードパイプ)10内にドレン排出管(ドレン排出パイプ)60を設け、その先端は、図6(a)の待機位置から図6(c)のブロー位置の途中にある、図6(b)の中間停止位置、すなわち外管(ランスパイプ)20先端のノズル21をボイラB内のボイラ外壁B1近傍に位置させた状態おいて、外管20の下部領域に連通し、基端は内管10外に連通している。そして、図6(b)の中間停止位置において内管10に供給した蒸気による内圧によって、外管20の下部領域に溜まっているドレンを、ドレン排出管60の先端61から当該ドレン排出管内を経由してその基端62からボイラ外に排出する。
【0008】
しかし、特許文献1のスートブロワは、両端部が屈曲したドレン排出管を内管の内側に配置し、その両端部を内管に溶接固定した構造であるため、この構造上、どうしてもドレン排出管の内径には大きさの限界がある。したがって、特許文献1のスートブロワはドレン排出能力が十分でなく、ドレンアタックが発生しない程度までドレンを排出できず、依然としてドレンアタックが発生するという問題があった。
【0009】
また、特許文献1のスートブロワでは前述のとおりドレン排出管の両端部が内管に溶接固定されているところ、スートブロワは、待機時に蒸気の供給を停止するので冷却され、起動時に蒸気により急激に加熱されるため、長期間にわたって冷却と加熱が繰り返され、その熱応力(熱膨張・収縮)により、ドレン排出管、特に両端(先端61部分と基端62部分)の溶接固定部が破損するという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第5320052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、ドレン排出能力を向上できるとともに、熱応力を緩和できるスートブロワを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一観点によれば、次のスートブロワが提供される。
「内管と、内管の外側に抜き差し可能に配置した外管と、内管の内側に配置し、その先端部を内管の内周面に固定することなくシール材を介して支持した蒸気供給管とを備え、蒸気供給管に供給した蒸気を外管に導入し、外管先端のノズルからボイラの伝熱管に蒸気を吹き付けて伝熱管に付着した飛灰を除去するスートブロワであって、
前記内管は、スートブロワの暖機及びスートブロワ内のドレン排出のために外管先端のノズルをボイラ内のボイラ外壁近傍に位置させた状態(以下、この状態の位置を「中間停止位置」という。)において前記外管に連通する第1の孔と、前記中間停止位置において前記外管外に連通する第2の孔とを有する、スートブロワ。」
【発明の効果】
【0013】
本発明のスートブロワにおいて外管と内管との間に溜まっているドレンは、第1の孔から内管と蒸気供給管との間を経由して第2の孔からボイラ外に排出可能である。すなわち本発明によれば、内管の内周面と蒸気供給管の外周面との間の間隙全体をドレン排出経路として利用でき、しかも第1の孔及び第2の孔の大きさや個数も基本的に自由に設定できるので、特許文献1のように内管の内側に配置したドレン排出管をドレン排出経路として利用する場合に比べ、ドレン排出に必要なスペースを大きく確保することができ、ドレン排出能力を向上することができる。
【0014】
また、本発明のスートブロワにおいて蒸気供給管の先端部は、内管の内周面に固定することなくシール材を介して支持している。すなわち本発明によれば、待機時の冷却や起動時の加熱に伴う熱応力により蒸気供給管の先端部が移動可能であるため、その熱応力を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明のスートブロワの基本構成と動作を示す説明図である。
図2】本発明のスートブロワにおける蒸気供給管の先端部近傍の構成例を示す断面図である。
図3図2のA−A端面図である。
図4図2のB−B端面図である。
図5】本発明のスートブロワにおける蒸気供給管の基端部近傍の構成例を示す断面図である。
図6】従来一般的なスートブロワの基本構成と動作を示す説明図である。
図7】特許文献1に開示されたスートブロワの基本構成と動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
図1は、本発明のスートブロワの基本構成と動作を示す説明図である。図1に示す本実施形態のスートブロワは、内管1と、内管1の外側に配置した外管2と、内管1の内側に配置した蒸気供給管3とを備えた3重管構造を有する。
【0018】
具体的に説明すると、外管2は、内管1の外側に抜き差し可能に配置されており、その長手方向に沿って進退可能(抜き差し可能)であるとともに、長手方向の軸周りに回転可能である。なお、外管2の基端と内管1の外周面との間は、シール材4によってシールされている。
【0019】
蒸気供給管3は、その先端部を内管1の内周面に固定することなくシール材としてのグランドパッキン5を介して支持することで、内管1の内側に配置されている。蒸気供給管3の基端側には入口弁6が取り付けられており、この入口弁6を開くことにより、主蒸気ライン7から蒸気供給管3に蒸気が供給される。蒸気供給管3に供給された蒸気は、外管2に導入され、外管先端のノズル2aから噴射される。また、内管1には、図1(b)の中間停止位置において外管2に連通する第1の孔1aと、同じく図1(b)の中間停止位置において外管2外(ボイラ外)に連通する第2の孔1bとが設けられている。
【0020】
図2は蒸気供給管の先端部近傍の構成例を示す断面図、図3図2のA−A端面図、図4図2のB−B端面図である。図2に示す構成例では、蒸気供給管3の先端部がシール材としてのグランドパッキン5を介して内管1の内周面に支持され、グランドパッキン押え3aが蒸気供給管3の先端に装着(螺着)されている。このグランドパッキン押え3aは蒸気供給管3の先端部の一部を構成するものであり、グランドパッキン押え3aの外周面と内管1の内周面との間には隙間が確保されている。すなわち、図2の構成例では、蒸気供給管3の先端部は内管1の内周面に固定されることなく、グランドパッキン5を介して内管1の内周面に支持されている。また、図2の構成例では、グランドパッキン押え3aの先端に蒸気供給口3bが設けられており、蒸気供給管3に供給された蒸気は、この蒸気供給口3bから外管2に導入される。
【0021】
図2の構成例において第1の孔1aは、図3に表れているように内管1の最下部に設けられており、外管2の下側領域、より具体的には内管1と外管2とが重なり合った部分の下側領域に連通している。なお、第1の孔1aは、内管1と外管2とが重なり合った部分に溜まったドレンを排出するために設けられており、その大きさや個数は所定のドレン排出能力を得るために適宜自由に設定できる。例えば、図4に表れているように内管1の周方向に沿って複数個設けることもできるし、図3に表れている第1の孔1aと図4に表れている第1の孔1aとの組合せとすることもできる。また、前述した第2の孔1bについても、その大きさや個数は所定のドレン排出能力を得るために適宜自由に設定できる。ただし、ドレンを排出しやすくする点から、第1の孔1a及び第2の孔1bはいずれも内管1の下部領域に設けることが好ましい。
【0022】
図5は、蒸気供給管の基端部近傍の構成例を示す断面図である。図5の構成例では、蒸気供給管3の基端部にフランジ部3cが設けられ、このフランジ部3cが、内管1の基端部に設けたフランジ部1cと、これらフランジ部3c及びフランジ部1cから独立した別部材であるフランジ8とにより挟持されている。すなわち、図5の構成例では、フランジ8を緩めるか取り外すことにより蒸気供給管3の基端部がフリーとなり、この蒸気供給管3を長手方向に沿って引き抜くことにより内管1から取り外すことができ、再び内管1内に取り付けることもできる。このように、図5の構成例によれば、蒸気供給管3を内管1から取り外したり、再び内管1内に取り付けたりすることができるので、蒸気供給管3の補修や交換を容易に行うことができる。また、図5の構成例によれば溶接が不要であるので、溶接に伴う熱応力をなくすこともできる。
【0023】
以上のような構成において、ボイラの伝熱管に蒸気を吹き付けて伝熱管に付着した飛灰を除去する際には、図1(c)に示すように、外管2を前進させてボイラB内に差し込み、外管2を回転させながら、ノズル2aから蒸気を噴射する。また、飛灰の除去作業が終わったら、図1(a)に示すように、ボイラB外の待機位置まで外管2を後退させ、入口弁6を閉じて蒸気の供給を停止する。
【0024】
また、図1(a)の待機位置から図1(c)のブロー位置まで外管2を前進させる途中で、スートブロワの暖機及びスートブロワ内のドレン排出のために、図1(b)の中間停止位置において一時停止させ、低圧蒸気を蒸気供給管3に供給する。この低圧蒸気は、入口弁6の開度を通常動作時よりも小さくすることによって供給してもよいし、図示していないが、入口弁6を跨ぐようにバイパスラインを設け、このバイパスラインに開閉弁と減圧手段を設け、このバイパスラインを経由して供給してもよい。なお、低圧蒸気を供給する代わりに、入口弁6を全開して通常圧の蒸気を供給するようにしてもよい。
【0025】
ここで、図1(b)に示す中間停止位置とは、前述のとおり、スートブロワの暖機及びスートブロワ内のドレン排出のために外管先端のノズル2aをボイラB内のボイラ外壁B1近傍に位置させた状態における位置のことであり、言い換えれば、ノズル2aからドレンを噴射したとしても、それによって発生するドレンアタックがボイラの伝熱管に実質的な損傷を与えないような位置のことである。具体的には、ノズル2aからボイラ外壁B1の内面との距離Lが、150mm〜300mm程度の範囲である。
【0026】
この中間停止位置において蒸気供給管3に低圧蒸気を供給すると、内管1と外管2とが重なり合った部分に溜まって外管先端のノズル2aからは排出されないドレンは、外管2内の内圧によって、図1(b)に矢印で示すように、内管1に設けた第1の孔1aから内管1と蒸気供給管3との間の間隙を経由して、内管1に設けた第2の孔1bからボイラ外に排出される。その他のドレンは、外管先端のノズル2aから排出される。
【0027】
このように本実施形態のスートブロワによれば、内管1の内周面と蒸気供給管3の外周面との間の間隙全体をドレン排出経路として利用できる。しかも第1の孔1a及び第2の孔1bの大きさや個数は前述のとおり基本的に自由に設定できる。したがって、特許文献1のように内管の内側に配置したドレン排出管をドレン排出経路として利用する場合に比べ、ドレン排出に必要なスペースを大きく確保することができ、ドレン排出能力を向上することができる。例えば本発明者らの試算によると、本実施形態におけるドレン排出経路(内管1の内周面と蒸気供給管3の外周面との間の間隙)の断面積は、特許文献1におけるドレン排出経路(ドレン排出管)の断面積に比べ、5〜6倍程度も大きくできる。このように、ドレン排出経路の断面積を大きくできることで、ドレン排出能力を向上することができ、ドレンアタックの発生、及びドレンアタックによるボイラの伝熱管の損傷を防止できる。
【0028】
また、本実施形態のスートブロワにおいて蒸気供給管3の先端部は、内管1の内周面に固定することなくシール材(グランドパッキン5)を介して支持している。すなわち本実施形態のスートブロワでは、待機時の冷却や起動時の加熱に伴う熱応力により蒸気供給管3の先端部が移動可能であるため、その熱応力を緩和することができる。なお、蒸気供給管3の先端部の外周面と内管1の内周面との間はシール材(グランドパッキン5)でシールされているので、ドレン排出の駆動力となる外管2内の内圧は維持され、ドレンの逆流も防止される。
【0029】
また、内管1と外管2とが重なり合った部分に溜まったドレンが概ねに排出されたか否かの判断は、例えば、内管1の第2の孔1b近傍の温度を計測し、これが急上昇しているか否かによって行うことができる。ドレンが排出されている場合、ドレンにより稼働後、内管1の第2の孔1b近傍の温度が急激に上昇する。なお、図1(b)の中間停止位置において内管1と外管2とが重なり合った部分の、第1の孔1aより基端側に溜まったドレンは、例えば図1(c)のブロー位置まで外管2を前進させる過程で、中間停止位置でのドレン排出と同様に、第1の孔1aから内管1と蒸気供給管3との間の間隙を経由して第2の孔1bからボイラ外に排出することもできる。
【0030】
また、内管1の第2の孔1b近傍の温度を計測してドレンが完全に排出されたか否かを判断する方法に代えて、内管1の第2の孔1bからドレンが排出されているか否かを直接的に確認するようにしてもよい。さらに、図1(b)の中間停止位置における低圧蒸気の供給をタイマーの設定により時間管理し、所定時間が経過したら中間停止位置におけるドレン排出を終了するようにしてもよい。
【実施例】
【0031】
廃棄物処理設備のボイラで使用されていた特許文献1のスートブロワを、前述した本発明の実施形態(本実施形態)のスートブロワに交換し、スートブロワの影響がある部分におけるボイラの伝熱管の減肉速度を比較した。このボイラの伝熱管の減肉速度は、スートブロワの影響、特にドレンアタックの影響を表す指標である。なお、スートブロワの稼働頻度は2〜4回/日で、その他の稼働条件も交換前後でほぼ同じ条件とした。
【0032】
結果は、特許文献1のスートブロワを使用していたときの減肉速度は3mm/年であったところ、本実施形態のスートブロワに交換後の減肉速度は0.75mm/年となり、ボイラの伝熱管の減肉速度は1/4に低減された。すなわち、本実施形態のスートブロワより、ドレン排出能力を向上することができ、これによりドレンアタックの発生、及びドレンアタックによるボイラの伝熱管の損傷を防止又は大幅に抑制できることが確認された。
【0033】
また、本実施形態のスートブロワに交換後は、その蒸気供給管等に割れ等が発生することはなく、熱応力も十分に緩和できることが確認できた。
【符号の説明】
【0034】
1 内管
1a 第1の孔
1b 第2の孔
1c フランジ部(基端部)
2 外管
2a ノズル
3 蒸気供給管
3a グランドパッキン押え(先端部)
3b 蒸気供給口
3c フランジ部(基端部)
4 シール材
5 グランドパッキン(シール材)
6 入口弁
7 主蒸気ライン
8 フランジ
B ボイラ
B1 ボイラ外壁
D ドレン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7