特許第6818664号(P6818664)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6818664
(24)【登録日】2021年1月5日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
   G11C 29/34 20060101AFI20210107BHJP
   G11C 16/10 20060101ALI20210107BHJP
【FI】
   G11C29/34
   G11C16/10 150
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-176904(P2017-176904)
(22)【出願日】2017年9月14日
(65)【公開番号】特開2019-53801(P2019-53801A)
(43)【公開日】2019年4月4日
【審査請求日】2019年12月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】葛西 駿
【審査官】 佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−069185(JP,A)
【文献】 特開平02−292798(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0255161(US,A1)
【文献】 特開2003−203493(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 29/00− 29/56
G11C 11/56
G11C 16/00− 17/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1メモリセルを含む第1ブロックと、第2メモリセルを含む第2ブロックと、第3メモリセルを含む第3ブロックとを含む第1メモリセルアレイと、
書き込みにおいて、前記第1ブロック、前記第2ブロック、および前記第3ブロックを選択し、かつ前記選択されたブロックのうちの前記第1ブロックを選択するマルチブロック選択回路と、
前記書き込みにおける第1期間において、前記第1メモリセル、前記第2メモリセル、および前記第3メモリセルに第1プログラムを行う制御部と
を具備し、
前記制御部は、前記第1期間後の第2期間において、前記第1メモリセルに第1ベリファイを行い、
前記第1ブロックは、センスアンプから最も近いブロックおよび前記センスアンプから最も遠いブロック以外のブロックである半導体記憶装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2期間後の第3期間において、前記第1メモリセルおよび前記第2メモリセルに第2プログラムを行う請求項1の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第3期間後の第4期間において、前記第1メモリセルに第2ベリファイを行う請求項2の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記制御部は、第1コマンドおよび前記第1コマンドと異なる第2コマンドを受信した場合に前記第1プログラムを行う請求項1乃至請求項3のいずれか1項の半導体記憶装置。
【請求項5】
第1メモリセルを含む第1ブロックと、第2メモリセルを含む第2ブロックと、第3メモリセルを含む第3ブロックとを含む第1メモリセルアレイと、
前記第1メモリセルに接続される第1ワード線と、
前記第2メモリセルに接続される第2ワード線と、
前記第3メモリセルに接続される第3ワード線と、
書き込みにおいて、前記第1ブロック、前記第2ブロック、および前記第3ブロックを選択し、かつ前記選択されたブロックのうちの前記第1ブロックを選択するマルチブロック選択回路と、
前記書き込みにおける第1期間において、前記第1ワード線、前記第2ワード線、および前記第3ワード線に第1電圧を印加する制御部と
を具備し、
前記制御部は、前記第1期間後の第2期間において、前記第1ワード線に第2電圧を印加し、かつ前記第2ワード線および前記第3ワード線に前記第2電圧より小さい第3電圧を印加し、
前記第1ブロックは、センスアンプから最も近いブロックおよび前記センスアンプから最も遠いブロック以外のブロックである半導体記憶装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第2期間後の第3期間において、前記第1ワード線および前記第2ワード線に前記第1電圧より大きい第4電圧を印加する請求項5の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第3期間後の第4期間において、前記第1ワード線に前記第2電圧を印加し、かつ前記第2ワード線に前記第3電圧を印加する請求項6の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記制御部は、第1コマンドおよび前記第1コマンドと異なる第2コマンドを受信した場合に前記第1ワード線および前記第2ワード線に前記第1電圧を印加する請求項5乃至請求項7のいずれか1項の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体記憶装置としてNAND型フラッシュメモリが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−178590号公報
【特許文献2】特開2008−282521号公報
【特許文献3】特開昭59−098393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
テストモードにおける書き込み時間の短縮を図る半導体記憶装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態による半導体記憶装置は、第1メモリセルを含む第1ブロックと、第2メモリセルを含む第2ブロックと、第3メモリセルを含む第3ブロックとを含む第1メモリセルアレイと、書き込みにおいて、前記第1ブロック、前記第2ブロック、および前記第3ブロックを選択し、かつ前記選択されたブロックのうちの前記第1ブロックを選択するマルチブロック選択回路と、前記書き込みにおける第1期間において、前記第1メモリセル、前記第2メモリセル、および前記第3メモリセルに第1プログラムを行う制御部と、を具備する。前記制御部は、前記第1期間後の第2期間において、前記第1メモリセルに第1ベリファイを行い、前記第1ブロックは、センスアンプから最も近いブロックおよび前記センスアンプから最も遠いブロック以外のブロックである
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に係る半導体記憶装置を示す図。
図2】実施形態に係る半導体記憶装置におけるメモリセルアレイを示す図。
図3】実施形態に係る半導体記憶装置におけるブロックを示す回路図。
図4】実施形態に係る半導体記憶装置におけるブロックを示す断面図。
図5】実施形態に係る半導体記憶装置におけるテストモードの書き込みを示すフローチャート。
図6】実施形態に係る半導体記憶装置におけるテストモードの書き込みのコマンドシーケンスを示す図。
図7】実施形態に係る半導体記憶装置におけるテストモードの書き込みを示す概略図。
図8】実施形態に係る半導体記憶装置におけるテストモードの書き込みを示す概略図。
図9】実施形態に係る半導体記憶装置におけるテストモードの書き込みを示す電圧タイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本実施形態を以下に図面を参照して説明する。図面において、同一部分には同一の参照符号を付す。
【0008】
<実施形態>
図1乃至図9を用いて、実施形態に係る半導体記憶装置について説明する。以下では、半導体記憶装置として、メモリセル(メモリセルトランジスタ)が半導体基板上に三次元に積層された三次元積層型NANDフラッシュメモリについて説明する。また、以下の説明において、「接続」は直接接続される場合だけではなく、任意の素子を介して接続される場合も含む。また、トランジスタの第1端子はソースまたはドレインの一方を示し、トランジスタの第2端子はソースまたはドレインの他方を示す。また、トランジスタの制御端子は、ゲートを示す。
【0009】
[1.実施形態における構成例]
図1は、実施形態に係る半導体記憶装置100を示す図である。
【0010】
図1に示すように、半導体記憶装置100は、プレーン10A,10B、入出力回路14、ロジック制御回路15、レディー/ビジー制御回路16、レジスタ17、シーケンサ18、および電圧生成回路19を含む。
【0011】
入出力回路14は、半導体記憶装置100の外部(ホストまたはメモリコントローラ)から信号IO(IO0−IO7)を送受信する。信号IOは、コマンド、アドレス、およびデータ等を含む。入出力回路14は、外部からのコマンドおよびアドレスをレジスタ17に送信する。入出力回路14は、外部からの書き込みデータをセンスアンプ13(13A,13B)に送信し、センスアンプ13からの読み出しデータを外部に送信する。また、入出力回路14は、読み出しデータとともに外部にデータストローブ信号DQS,/DQSを送信する。読み出しデータは、信号DQS,/DQSに同期して読み出される。
【0012】
ロジック制御回路15は、外部から各種制御信号を受信し、入出力回路14およびシーケンサ18を制御する。この制御信号としては、例えばチップイネーブル信号/CE、コマンドラッチイネーブル信号CLE、アドレスラッチイネーブル信号ALE、ライトイネーブル信号/WE、リードイネーブル信号/RE、ライトプロテクト信号/WP、およびデータストローブ信号DQS,/DQSが使用される。信号/CEは、半導体記憶装置100(半導体チップ)をイネーブルにする。信号CLE,ALEはそれぞれ、信号IOがコマンドおよびアドレスであることを入出力回路14に通知する。信号/WEは、信号IOの入力を入出力回路14に指示する。信号/REは、信号IOの出力を入出力回路14に指示する。信号/WPは、例えば電源のオンオフ時に半導体記憶装置100を保護状態にする。信号DQS,/DQSは、書き込みデータとともに受信される。書き込みデータは、信号DQS,/DQSに同期して書き込まれる。
【0013】
レディー/ビジー制御回路16は、信号/RBを外部に送信して半導体記憶装置100の状態を外部に通知する。信号/RBは、半導体記憶装置100がレディー状態(外部からの命令を受け付ける状態)であるか、ビジー状態(外部からの命令を受け付けない状態)であるかを示す。
【0014】
レジスタ17は、コマンドおよびアドレスを保持する。レジスタ17は、アドレスをロウデコーダ12(12A,12B)およびセンスアンプ13(13A,13B)に送信するとともに、コマンドをシーケンサ18に送信する。また、レジスタ17は、コマンドに基づいて実行されるシーケンスを制御するための各種テーブルを保持する。
【0015】
シーケンサ(制御部)18は、コマンドを受信し、レジスタ17の各種テーブルを参照する。そして、シーケンサ18は、各種テーブルに示される情報に従って、半導体記憶装置100の全体を制御する。
【0016】
電圧生成回路19は、各種ドライバを含む。電圧生成回路19は、シーケンサ18の制御に従って、データの書き込み、読み出し、および消去等の動作に必要な電圧を生成する。電圧生成回路19は、生成した電圧をロウデコーダ12およびセンスアンプ13に供給する。
【0017】
プレーン10Aは、メモリセルアレイ11A、ロウデコーダ12A、およびセンスアンプ13Aを含む。プレーン10Bは、プレーン10Aと同様の構成を有し、メモリセルアレイ11B、ロウデコーダ12B、およびセンスアンプ13Bを含む。各プレーンには、例えば、同時に(並行して)書き込みおよび読み出しを実行することができる。なお、プレーンの数は、2つに限らず、3つ以上であってもよい。以下では、主にプレーン10Aについて説明する。
【0018】
ロウデコーダ12Aは、レジスタ17からロウアドレス(ブロックアドレス、ページアドレスを含む)を受信し、ロウアドレスに基づいてメモリセルアレイ11A内のブロックBLKおよびワード線WLを選択する。そして、ロウデコーダ12Aは、選択されたワード線WLに電圧生成回路19からの電圧を供給する。
【0019】
また、ロウデコーダ12Aは、マルチブロック選択回路41Aを含む。マルチブロック選択回路41Aは、例えば、テストモードにおける書き込みにおいて、ロウアドレスに基づいてメモリセルアレイ11A内の任意の複数ブロックBLKおよびそのうちの任意の単数ブロックBLKを選択する。プレーン10Bにおけるロウデコーダ12Bも同様に、マルチブロック選択回路41Bを含む。以下、マルチブロック選択回路41A,41Bを区別しない場合には、単にマルチブロック選択回路41と称す。
【0020】
センスアンプ13Aは、ビット線BLに電圧生成回路19からの電圧を供給することで、メモリセルアレイ11A内のビット線BLを介してメモリセルのデータを読み出したり、ビット線BLを介してメモリセルアレイ11A内のメモリセルにデータを書き込んだりする。センスアンプ13Aは図示せぬデータラッチを含み、データラッチは書き込みデータおよび読み出しデータを一時的に記憶する。センスアンプ13Aは、レジスタ17からカラムアドレスを受信し、カラムアドレスに基づいてデータラッチのデータを入出力回路14に出力する。
【0021】
図2は、実施形態に係る半導体記憶装置100におけるメモリセルアレイを示す図である。
【0022】
図2に示すように、メモリセルアレイ11Aは、複数のブロックBLK(BLK0,BLK1,BLK2,…)を含む。ブロックBLKは、例えば4つのストリングユニットSU(SU0−SU3)を含む。そして、ストリングユニットSUは、複数のNANDストリング35を含む。メモリセルアレイ11A内のブロック数およびブロック内のストリングユニット数は、任意である。
【0023】
図3は、実施形態に係る半導体記憶装置100におけるブロックBLKを示す回路図である。
【0024】
図3に示すように、NANDストリング35は、n個のメモリセルトランジスタMT(MT0−MTn−1)および選択トランジスタST1,ST2を含む。メモリセルトランジスタMTは、制御ゲートと電荷蓄積層とを備え、1ビット以上のデータを不揮発に保持する。メモリセルトランジスタMTは、ロウおよびカラムに対応付けられる。メモリセルトランジスタMTは、選択トランジスタST1の第1端子と選択トランジスタST2の第1端子との間に直列接続される。
【0025】
ストリングユニットSU0−SU3における選択トランジスタST1の制御端子は、セレクトゲート線SGD0−SGD3に接続される。これに対し、ストリングユニットSU0−SU3における選択トランジスタST2の制御端子は、例えばセレクトゲート線SGSに共通に接続されるが、ストリングユニット毎に異なるセレクトゲート線SGS0−SGS3に接続されてもよい。また、同一のブロックBLK内にあるメモリセルトランジスタMT0−MTn−1の制御端子は、ワード線WL0−WLn−1に共通に接続される。
【0026】
また、メモリセルアレイ11A内において同一列にあるNANDストリング35の選択トランジスタST1の第2端子は、ビット線BL(BL0−BLm−1)のいずれかに共通接続される。すなわち、ビット線BLは、複数のブロックBLK間でNANDストリング35を共通に接続する。さらに、複数の選択トランジスタST2の第2端子は、ソース線SLに共通に接続される。
【0027】
すなわち、ストリングユニットSUは、異なるビット線BLに接続され、かつ同一のセレクトゲート線SGDに接続されたNANDストリング35の集合体である。また、ブロックBLKは、ワード線WLを共通にする複数のストリングユニットSUの集合体である。そして、メモリセルアレイ11Aは、ビット線BLを共通にする複数のブロックBLKの集合体である。
【0028】
ストリングユニットSU内のいずれかのワード線WLに接続されるメモリセルMTには、一括してデータの書き込みおよび読み出しが行われる。この単位をページと呼ぶ。ブロックBLKは、書き込みおよび読み出しにおいてページ単位(ページ0、ページ1、…)で分割される。
【0029】
一方、データの消去は、ブロックBLK単位、またはブロックBLKよりも小さい単位で行うことができる。消去方法に関しては、例えば“NONVOLATILE SEMICONDUCTOR MEMORY DEVICE”という2011年9月18日に出願された米国特許出願13/235,389号に記載されている。また、“NON-VOLATILE SEMICONDUCTOR STORAGE DEVICE”という2010年1月27日に出願された米国特許出願12/694,690号に記載されている。さらに、“NONVOLATILE SEMICONDUCTOR MEMORY DEVICE AND DATA ERASE METHOD THEREOF”という2012年5月30日に出願された米国特許出願13/483,610号に記載されている。これらの特許出願は、その全体が本願明細書において参照により援用されている。
【0030】
図4は、実施形態に係る半導体記憶装置100におけるブロックBLKを示す断面図である。
【0031】
図4に示すように、p型ウェル領域(半導体基板)20上に、複数のNANDストリング35が設けられる。すなわち、ウェル領域20上には、セレクトゲート線SGSとして機能する例えば4層の配線層21、ワード線WL(WL0−WLn−1)として機能するn層の配線層22、およびセレクトゲート線SGDとして機能する例えば4層の配線層23が、順次積層される。積層された配線層間には、図示せぬ絶縁層が形成される。
【0032】
そして、これらの配線層21,22,23内を通過してウェル領域20に達するピラー状の導電体24が設けられる。導電体24の側面には、ゲート絶縁層25、電荷蓄積層(絶縁層または導電層)26、およびブロック絶縁層27が順次設けられる。導電体24、ゲート絶縁層25、電荷蓄積層26、およびブロック絶縁層27によって、メモリセルトランジスタMT、および選択トランジスタST1,ST2が構成される。導電体24は、NANDストリング35の電流経路として機能し、各トランジスタのチャネルが形成される領域となる。そして、導電体24の上端は、ビット線BLとして機能する金属配線層28に接続される。
【0033】
ウェル領域20の表面領域内には、n型不純物拡散層29が設けられる。拡散層29上には、コンタクトプラグ30が設けられる。コンタクトプラグ30は、ソース線SLとして機能する金属配線層31に接続される。さらに、ウェル領域20の表面領域内には、p型不純物拡散層32が設けられる。拡散層32上には、コンタクトプラグ33が設けられる。コンタクトプラグ33は、ウェル配線CPWELLとして機能する金属配線層34に接続される。ウェル配線CPWELLは、ウェル領域20を介して導電体24に電位を印加するための配線である。
【0034】
以上の構成が、図4を記載した紙面の奥行き方向に複数配列されており、奥行き方向に並ぶ複数のNANDストリング35の集合によってストリングユニットSUが構成される。
【0035】
さらに、メモリセルアレイ11Aの構成についてはその他の構成であっても良い。すなわち、メモリセルアレイ11Aの構成については、例えば、“三次元積層型不揮発性半導体メモリ(THREE DIMENSIONAL STACKED NONVOLATILE SEMICONDUCTOR MEMORY)”という2009年3月19日に出願された米国特許出願12/407,403号に記載されている。また、“三次元積層型不揮発性半導体メモリ(THREE DIMENSIONAL STACKED NONVOLATILE SEMICONDUCTOR MEMORY)”という2009年3月18日に出願された米国特許出願12/406,524号、“不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法(NON-VOLATILE SEMICONDUCTOR STORAGE DEVICE AND METHOD OF MANUFACTURING THE SAME)”という2010年3月25日に出願された米国特許出願12/679,991号“半導体メモリ及びその製造方法(SEMICONDUCTOR MEMORY AND METHOD FOR MANUFACTURING SAME)”という2009年3月23日に出願された米国特許出願12/532,030号に記載されている。これらの特許出願は、その全体が本願明細書において参照により援用されている。
【0036】
[2.実施形態における動作]
(2−1.実施形態におけるテストモードの書き込みのフローチャート)
本例では、テストモードの書き込みにおいて、複数ブロックBLKのページに対して並行して(同時に)書き込み(プログラムおよびベリファイ)が行われる。このとき、プログラムは複数ブロックBLKに対して行われ、ベリファイは複数ブロックBLKのうちの単数ブロックBLKのみに行われる。以下に、テストモードの書き込みについて詳説する。
【0037】
なお、プログラムとは、電子を電荷蓄積層に注入することによりメモリセルの閾値レベルを上昇させる(または注入を禁止することで閾値レベルを維持させる)動作である。ベリファイとは、プログラムの後、データを読み出すことで、メモリセルの閾値レベルが所定レベルまで達したか否かを判定する動作である。書き込みでは、プログラムとベリファイとの組み合わせをループさせる(繰り返す)ことで、メモリセルの閾値レベルが所定レベルまで上昇される。
【0038】
図5は、実施形態に係る半導体記憶装置100におけるテストモードの書き込みを示すフローチャートである。
【0039】
図5に示すように、テストモードの書き込みでは、まず、ステップS11においてロウデコーダ12(マルチブロック選択回路41)は、任意の複数ブロックBLKおよびそのうちの任意の単数ブロックBLKを選択する。例えば、ロウデコーダ12は、受信されたブロックアドレスに基づいて、複数ブロックBLKとしてブロックBLK1,BLK2を選択し、単数ブロックBLKとしてブロックBLK2を選択する。選択された複数ブロックBLKはプログラム対象となり、選択された単数ブロックBLKはベリファイ対象となる。
【0040】
なお、ここでは、複数ブロックBLKとして2つのブロックBLKが選択されるが、これに限らず、3つ以上のブロックBLKが選択されてもよい。この場合、3つ以上のブロックBLKのうちの任意の単数ブロックBLKが選択される。また、単数ブロックBLKとしては、端部(センスアンプ13から最も近いブロックBLKまたは最も遠いブロックBLK)以外の信頼性の高いブロックBLKが選択されることが望ましい。
【0041】
次に、ステップS12において、ロウデコーダ12は、選択された各ブロックBLKのページを選択する。例えば、ロウデコーダ12は、受信されたページアドレスに基づいて、ブロックBLK1,BLK2のページ0を選択する。
【0042】
次に、ステップS13において、シーケンサ18は、選択された対象複数ブロックBLKの対象ページにプログラムを並行して行う。すなわち、シーケンサ18は、ブロックBLK1のページ0およびブロックBLK2のページ0に並行してプログラムを行う(ループ1)。
【0043】
次に、ステップS14において、シーケンサ18は、選択された対象単数ブロックBLKの対象ページにベリファイを行う。すなわち、シーケンサ18は、ブロックBLK2のページ0にベリファイを行う。一方、ブロックBLK1のページ0に対してベリファイは行われない(ループ1)。
【0044】
次に、ステップS15において、ベリファイ結果に基づいて、対象ページのメモリセルの閾値レベルが所定レベルに達したかどうかが判定される。
【0045】
ステップS15において所定レベルに達していない場合、ステップS16においてプログラム電圧がステップアップされる。そして、ステップS13において、ステップアップされたプログラム電圧によって、対象複数ブロックBLK(ブロックBLK1,BLK2)の対象ページ(ページ0)にプログラムが行われる(ループ2)。
【0046】
ステップS15において所定レベルに達した場合、ステップS17において対象複数ブロックBLK内の全ページの書き込みが終了したかどうかが判定される。
【0047】
ステップS17において全ページの書き込みが終了していない場合、ステップS12において次のページが選択される(インクリメントされる)。例えば、ロウデコーダ12は、受信されたページアドレスに基づいて、ブロックBLK1,BLK2のページ1を選択する。
【0048】
ステップS17において全ページの書き込みが終了した場合、ステップS18において全ブロックBLKの書き込みが終了したかどうかが判定される。
【0049】
ステップS18において全ブロックBLKの書き込みが終了していない場合、ステップS11において次の任意の複数ブロックBLKおよびそのうちの任意の単数ブロックBLKが選択される。例えば、ロウデコーダ12は、受信されたブロックアドレスに基づいて、複数ブロックBLKとしてブロックBLK3,BLK4を選択し、単数ブロックBLKとしてブロックBLK3を選択する。
【0050】
ステップS18において全ブロックBLKの書き込みが終了した場合、テストモードの書き込みが終了する。
【0051】
(2−2.実施形態におけるテストモードの書き込みのコマンドシーケンス)
上述したように、テストモードの書き込みでは、複数ブロックBLKに対してプログラムが行われ、そのうちの単数ブロックBLKに対してベリファイが行われる。このような、プログラム対象の複数ブロックBLKの選択、およびベリファイ対象の単数ブロックBLKの選択は、特殊コマンドが受信されることで実行される。以下に、特殊コマンドシーケンスについて詳説する。
【0052】
図6は、実施形態に係る半導体記憶装置100におけるテストモードの書き込みのコマンドシーケンスを示す図である。ここでは、ブロックBLK1,2のページ0が選択される例が示されている。また、図7および図8は、実施形態に係る半導体記憶装置100におけるテストモードの書き込みを示す概略図である。
【0053】
なお、以下の説明において、コマンドおよびアドレスは、外部(メモリコントローラ)で発行され、半導体記憶装置100に受信される。
【0054】
図6に示すように、まず、半導体記憶装置100は、コマンドxxhを受信する。コマンドxxhは、特殊コマンドであり、上述したテストモードにおける書き込みを命令するコマンドである。また、コマンドxxhは、テストモードにおける書き込みのプログラム対象を複数ブロックBLKに設定し、かつベリファイ対象を単数ブロックBLKに設定するコマンドである。
【0055】
次に、半導体記憶装置100は、アドレスADD1を受信する。アドレスADD1は、テストモードの書き込みを行うアドレスを指定し、ブロックアドレスを指定する。より具体的には、アドレスADD1は、テストモードにおける書き込みのプログラム対象の複数のブロックアドレス、およびベリファイ対象の単数のブロックアドレスを指定する。ここでは、アドレスADD1は、プログラム対象としてブロックBLK1,BLK2のアドレス、ベリファイ対象としてブロックBLK2のアドレスを指定する。
【0056】
これらコマンドxxhおよびアドレスADD1により、テストモードにおける書き込みが設定される。すなわち、ブロックBLK1,BLK2に対してプログラムが並行して行われ、その後、ブロックBLK2にベリファイが行われることが設定される。
【0057】
次に、半導体記憶装置100は、書き込み動作に関する通常のコマンドおよびアドレスを受信する。より具体的には、まず、半導体記憶装置100は、コマンド80hを受信する。コマンド80hは、書き込みにおけるアドレスの入力を命令するコマンドである。引き続き、半導体記憶装置100は、アドレスADD2を受信する。アドレスADD2は、テストモードの書き込みを行うアドレスを指定し、ページアドレス(ロウアドレス、ワード線WL)を指定する。ここでは、アドレスADD2は、各ブロックBLKのページ0を指定する。その後、半導体記憶装置100は、コマンド10hを受信する。コマンド10hは、書き込みの実行を命令するコマンドである。
【0058】
そして、半導体記憶装置100は、コマンド10hに応答して、ビジー状態(RB=「L(Low)」レベル)となり、書き込みを開始する。図示するように、書き込みはプログラムおよびベリファイを含み、プログラムおよびベリファイはメモリセルの閾値レベルが所定レベルを超えるまでループして(繰り返し)行われる。
【0059】
より具体的には、まず、時刻T1から時刻T2の期間において、ループ1のプログラムが行われる。このプログラムは、図7に示すように、ブロックBLK1のページ0およびブロックBLK2のページ0に対して並行して行われる。その後、時刻T2から時刻T3の期間において、ループ1のベリファイが行われる。このベリファイは、図8に示すように、ブロックBLK2のページ0に対してのみ行われる。
【0060】
次に、時刻T3から時刻T4の期間において、ループ2のプログラムが行われる。ループ2のプログラムでは、プログラム電圧がステップアップされる。ループ2のプログラムは、ループ1と同様に、ブロックBLK1のページ0およびブロックBLK2のページ0に対して並行して行われる。その後、時刻T4から時刻T5の期間において、ループ2のベリファイが行われる。ループ2のベリファイは、ループ1と同様に、ブロックBLK2のページ0に対してのみ行われる。
【0061】
その後、メモリセルの閾値レベルが所定レベルに達するまで、プログラムおよびベリファイは繰り返し行われる。
【0062】
図示はしないが、ブロックBLK1,BLK2のページ0への書き込みが終了すると、コマンド80h,10hおよびアドレスADD2が発行される。このアドレスADD2は、例えばページ1を指定する。これにより、例えばブロックBLK1,BLK2のページ1の書き込みが行われる。
【0063】
また、ブロックBLK1,BLK2の全ページへの書き込みが終了すると、コマンドxxhおよびアドレスADD1が発行される。このADD1は、例えば複数ブロックBLKとしてブロックBLK3,BLK4を指定し、単数ブロックとしてBLK3を指定する。さらに、コマンド80h,10hおよびアドレスADD2が発行される。このアドレスADD2は、例えばページ0を指定する。これにより、例えばブロックBLK3,BLK4のページ0の書き込みが行われる。
【0064】
(2−3.実施形態におけるテストモードの書き込みの電圧タイミングチャート)
以下に、上述したテストモードの書き込みにおける電圧タイミングチャートについて説明する。
【0065】
図9は、実施形態に係る半導体記憶装置100におけるテストモードの書き込みを示す電圧タイミングチャートである。ここでは、ブロックBLK1,2のページ0が選択される例が示され、ワード線WLに印加される電圧について示している。
【0066】
図9に示すように、書き込み動作では、ループ1−ループkにおいて、プログラムおよびベリファイの組み合わせが行われる。
【0067】
より具体的には、まず、時刻T1から時刻T2の期間において、ループ1のプログラムが行われる。このとき、ブロックBLK1のワード線WL0(ページ0に対応するワード線WL)およびブロックBLK2のワード線WL0に、プログラム電圧VPGMが印加される。すなわち、ブロックBLK1のページ0およびブロックBLK2のページ0に対してプログラムが行われる。
【0068】
その後、接地電圧VSSが印加された後、時刻T2から時刻T3の期間においてループ1のベリファイが行われる。このとき、ブロックBLK2のワード線WL0に、ベリファイ電圧VFYが印加される。一方、ブロックBLK1のワード線WLに、電圧VSSが印加される。すなわち、ブロックBLK2のページ0に対してベリファイが行われ、ブロックBLK1のページ0に対してベリファイは行われない。
【0069】
なお、例えばメモリセルが3ビットのデータを記憶する場合、ベリファイ電圧VFYとして電圧VFYA,VFYB,VFYC,VFYD,VFYE,VFYF,VFYGが順に印加される(VFYA<VFYB<VFYC<VFYD<VFYE<VFYF<VFYG)。
【0070】
次に、時刻T3から時刻T4の期間において、ループ2のプログラムが行われる。このとき、ブロックBLK1のワード線WL0およびブロックBLK2のワード線WL0に、ステップアップされたプログラム電圧VPGMが印加される。すなわち、ブロックBLK1のページ0およびブロックBLK2のページ0に対して再度プログラムが行われる。
【0071】
その後、接地電圧VSSが印加された後、時刻T4から時刻T5の期間においてループ2のベリファイが行われる。このとき、ループ1と同様、ブロックBLK2のワード線WL0に、ベリファイ電圧VFYが印加される。また、ループ1と同様、ブロックBLK1のワード線WL0に、電圧VSSが印加される。すなわち、ループ1と同様、ブロックBLK2のページ0に対して再度ベリファイが行われ、ブロックBLK1のページ0に対してベリファイは行われない。
【0072】
その後、ループ3−ループk−1(時刻T5−T10)および最終ループk(時刻T10−T12)において、ループ2と同様、順にステップアップされた電圧VPGMによってブロックBLK1のページ0およびブロックBLK2のページ0に対して再度プログラムが行われ、ベリファイ電圧VFYによってブロックBLK2のページ0のみに対して再度ベリファイが行われる。
【0073】
[実施形態における効果]
NAND型フラッシュメモリでは、出荷前にテストモードにおける書き込み(プログラムおよびベリファイ)が行われる。このテストモードにおける書き込みは、NAND型フラッシュメモリの全メモリセルに対して順に行われる。より具体的には、1つのブロックに対してページ単位で順に書き込みが行われ、その後、次のブロックに対してページ単位で順に書き込みが行われる(通常書き込み)。これが繰り返され、最終ブロックまでページ単位で順に書き込みが行われる。このような通常書き込みでは、NAND型フラッシュメモリの大容量化に伴い、テスト時間は非常に長くなってしまう。テスト時間の長時間化は、NAND型フラッシュメモリの生産コスト増につながってしまう。
【0074】
これに対し、上記実施形態によれば、マルチブロック選択回路41が設けられる。マルチブロック選択回路41は、テストモードの書き込みにおいて、複数ブロックBLKを選択する。そして、テストモードの書き込みにおいて、選択された複数ブロックBLKのページに並行して(同時に)書き込みが行われる(特殊書き込み)。例えば、ブロックBLK1のページ0の書き込みおよびブロックBLK2のページ0の書き込みが並行して行われる。このような特殊書き込みにより、テストモードにおける書き込み時間の短縮を図ることができる。
【0075】
一方、NAND型フラッシュメモリの書き込みにおいて、プログラムの消費電流よりもベリファイ消費電流のほうが大きい。このため、複数ブロックBLKでベリファイが同時に行われると、大電流が流れてしまい、テスト動作に問題が生じてしまう場合がある。
【0076】
これに対し、上記実施形態によれば、複数ブロックBLKのページに並行して書き込みが行われる際、プログラムは任意の複数ブロックに対して行われ、ベリファイは任意の複数ブロックのうちの任意の単数ブロックのみに行われる。例えば、ブロックBLK1のページ0のプログラムおよびブロックBLK2のページ0のプログラムが並行して行われ、その後、ブロックBLK2のページ0のベリファイのみが行われる。これにより、ベリファイ時の大電流を抑制することができ、問題なくテスト動作を実行することができる。
【0077】
なお、本実施形態のテストモードにおいて、特殊書き込みだけではなく、通常書き込みも行われてもよい。これにより、テストモードにおける信頼性を向上させることができる。上述したように、特殊書き込みは、特殊コマンドxxhおよび通常コマンド80hが発行されることで実行される。一方、通常書き込みは、通常コマンド80hの発行によって行われる。
【0078】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を実行することができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0079】
MT…メモリセルトランジスタ(メモリセル)、BLK…ブロック、11…メモリセルアレイ、12…ロウデコーダ(制御部)、15…ロジック制御回路(制御部)、18…シーケンサ(制御部)、41…マルチブロック選択回路(制御部)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9