(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6818688
(24)【登録日】2021年1月5日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】疎な材料のための高電圧接続
(51)【国際特許分類】
B03C 3/155 20060101AFI20210107BHJP
B03C 3/011 20060101ALI20210107BHJP
B03C 3/019 20060101ALI20210107BHJP
B03C 3/66 20060101ALI20210107BHJP
【FI】
B03C3/155 B
B03C3/011
B03C3/019
B03C3/66
【請求項の数】19
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-545860(P2017-545860)
(86)(22)【出願日】2015年11月19日
(65)【公表番号】特表2017-535428(P2017-535428A)
(43)【公表日】2017年11月30日
(86)【国際出願番号】US2015061464
(87)【国際公開番号】WO2016081680
(87)【国際公開日】20160526
【審査請求日】2018年11月13日
(31)【優先権主張番号】62/082,407
(32)【優先日】2014年11月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517178449
【氏名又は名称】エンヴァイロメンタル マネージメント コンフェデレーション,インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】ENVIRONMENTAL MANAGEMENT CONFEDERATION,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】ワイザー,フォーウッド シー.
【審査官】
富永 正史
(56)【参考文献】
【文献】
特表2009−522498(JP,A)
【文献】
特開2005−161302(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0045037(US,A1)
【文献】
米国特許第03509696(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0277637(US,A1)
【文献】
国際公開第2007/076551(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B03C 3/00−11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
能動電界分極媒体型エアクリーナ用のフィルタアセンブリであって、
高電圧を導通させる導電性スクリーンと、
電圧を前記導電性スクリーンに供給するプローブと、
前記導電性スクリーンに接着によって取付けられる導電性パッチとを含み、
前記プローブは、前記導電性パッチを介して前記導電性スクリーンに前記高電圧を供給し、前記パッチは、丸みを帯びた縁を有し、前記導電性スクリーンとは明確に区別される別個のものであることを特徴とするフィルタアセンブリ。
【請求項2】
前記導電性スクリーンのいずれかまたは両側に配置されるフィルタ媒体をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項3】
前記導電性スクリーンのいずれかまたは両側にある複数の接地スクリーンをさらに含むことを特徴とする、請求項2に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項4】
前記プローブ近傍の前記接地スクリーンの領域に前記複数の接地スクリーンの少なくとも1つに取付けられる絶縁要素をさらに含み、前記絶縁要素はグランドへの前記高電圧の短絡を防止することを特徴とする、請求項3に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項5】
少なくとも1つのフィルタ媒体パッドは、貫通孔を含み、前記プローブは前記貫通孔を通って延びて前記導電性パッチに接触することを特徴とする、請求項2に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項6】
該アセンブリを接地する接地スクリーンをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項7】
前記導電性パッチは、アルミニウム箔を含むことを特徴とする、請求項1に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項8】
前記導電性パッチは、金属シートを含むことを特徴とする、請求項1に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項9】
前記導電性パッチは、導電性プラスチックを含むことを特徴とする、請求項1に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項10】
前記導電性パッチは、裏張りに取付けられた導電部を含むことを特徴とする、請求項1に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項11】
前記パッチは、中央部から外方に達するスプラインを含むことを特徴とする、請求項1に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項12】
前記プローブおよび前記導電性パッチは、接着剤を介して互いに係合していることを特徴とする、請求項1に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項13】
前記導電性スクリーンの反対側に取付けられる第2の導電性パッチをさらに含み、各導電性パッチは導電部を含み、各導電性パッチの導電部は互いに対して背中合わせに設けられることを特徴とする、請求項1に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項14】
前記第2の導電性パッチは、前記導電性パッチと電気的に接触していることを特徴とする、請求項13に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項15】
前記第2の導電性パッチは、前記導電性スクリーンの間隙を介して前記導電性パッチに接着によって接続されることを特徴とする、請求項13に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項16】
前記導電性スクリーンの反対側に取付けられた前記第2のパッチは、絶縁体であることを特徴とする、請求項13に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項17】
前記導電性スクリーンの反対側にある絶縁スペーサをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項18】
前記高電圧は、前記導電性パッチから放射状に供給されることを特徴とする、請求項1に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項19】
前記導電性パッチは、楕円形であることを特徴とする、請求項1に記載のフィルタアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
静電吸着の原理は、空気流に存在する汚染物質の除去を向上させるために長年使用されてきている。空気静電クリーナには、主として3つに分類され、すなわち静電集塵装置、受動静電フィルタ、および能動電界分極媒体型エアクリーナがあり、それらは別の名称でも知られている。
【背景技術】
【0002】
静電集塵装置は、粒子を帯電させ、その後、逆帯電した、および/または接地された捕集板上に粒子を捕獲する。
【0003】
受動静電フィルタ(エレクトレットとしても知られている)は、処理および/または固有の各特性の組合せによって静電荷を有する媒体(または異なる媒体の組み合わせ)を使用する。静電荷を有する、フィルタ媒体に入った粒子は、逆の静電荷を有する帯電した媒体フィルタ材料に吸着される。
【0004】
たとえば、いずれも、本明細書においてすべて述べられているとして、参照によって組み込まれる、米国特許第7,708,813号明細書および米国特許公開第2012/0260803号明細書に記載されている分極媒体型エアクリーナでは、要素間の電圧差を用いて媒体パッドの繊維と空気中の汚染物質の表面電荷とを分極させる静電界を生成する。これによって、汚染物質の捕獲および充填が著しく促進される。これらのシステムでは、高圧電源と、接地された外部スクリーン間に配置された媒体パッドのプローブが中心に位置する導電性スクリーンとの間に高電圧接続が存在する。中央スクリーンと接地スクリーン(複数の接地スクリーン)との間の電圧差が静電界を生成するので、この接続はシステム全体の機能にとって重要である。しかしながら、この接続点はシステムの弱点ともなり得るものであって、故障する可能性があり、エアクリーナ内の分極機能を無効にする。
【0005】
これが欠点となり得る理由は、フィルタ材料自体が疎な(あらい)材料であることが多いからである。空気は可能な限りほとんど抵抗がない状態でシステムを通過しなければならないので、フィルタ内のスクリーンおよび他の材料は、疎な材料から製造され得る。これは頑丈な電気接続のためにはならない。さらに、不完全な接続の副産物として、アーク放電、イオン化、およびオゾン生成などがある。これらはどれも、さまざまな材料を破壊する傾向があり、さらに問題を悪化させる。したがって、中央スクリーンが比較的疎な材料であり、高電圧プローブが比較的小さい場合、両者の間の確実な接続を保証することは困難であり得る。
【0006】
したがって、導電性プローブを含む、材料に接続された物体は、疎で最小限に強靭な材料では応力点になる。
【発明の概要】
【0007】
この接続点は、分極されたエアクリーナの性能にとって重要である。本発明は、電源と比較的疎なフィルタ材料との間で良好に電気的接触をさせることに関する。
【0008】
能動電界分極媒体型エアクリーナ用のフィルタアセンブリは、高電圧を導通させる導電性スクリーンと、導電性スクリーンに電圧を供給するプローブと、導電性スクリーンに接着された導電性パッチとを含む。プローブは、導電性パッチを介して導電性スクリーンに高電圧を供給する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】スクリーンに取付けられた導電性ディスクの等角図を示し、明確化のために特定の要素が透過的に描かれている。
【
図4】
図4A〜
図4Cは、導電性スクリーンの両面に取付けられたディスクの異なる図を示す。
【
図5】
図5A〜
図5Cは、導電性スクリーンの片面に取付けられたディスクの異なる図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
能動電界分極媒体型エアクリーナは、電圧差によって生成される静電界を使用する。静電界は、媒体繊維および侵入する粒子の両方を分極させ、それによって媒体の除去効率およびエアクリーナの負荷容量を増加させる。誘電体材料は、電気絶縁体であるか、または電気エネルギを貯蔵することもできる、電流に対して高い抵抗性を有する物質である。誘電体材料は、印加された電界をそれ自体の内部に集中させる傾向があり、したがって、静電界の効率的な支持体となる。
【0011】
導電性接着剤パッチ100は、
図1に示すように、導電性中央スクリーン110の疎な材料とプローブ140との間の接続点を改善し、確実にする。導電性パッチ100は、金属箔またはシートとすることができ、それらが均一な形状を維持することを確実にするようにプラスチック裏張りを含んでもよい。パッチ100がプラスチック材料で裏張りされている場合、プラスチック材料は、パッチが導電性プローブ140から電荷を受け取ることを可能にするための開口部を含む。
【0012】
導電性パッチ100は、任意の導電性材料とすることができる。アルミニウム箔接着テープおよびダイカット部品は、入手が容易で安価な選択肢であり、現在のところ好適である。図面は、導電性プラスチック網に貼り付けられ、押出された円形片のアルミニウム箔を示しているが、もちろん他の材料の種類および形状にも適用することができる。
【0013】
使用時には、接着剤で裏張りされた導電性パッチ100は、2つのフィルタ媒体120を分離する導電性中央スクリーン110に取付けられる。フィルタ媒体120の両側の複数の接地スクリーン130は、フィルタアセンブリ90全体を接地するように作用する。プローブ140は、電圧源からフィルタアセンブリ90を介して導電性パッチ100に電圧を供給する。
【0014】
プローブ140と導電性パッチ100との間の電圧接触は、プローブ140上の接触点150を介して行われる。接触点150は、鋭くとがった先端を有し、媒体120およびパッチ100を貫通することができる。あるいは、接触点150は、とがっておらず、または丸みを帯びてもよく、パッチ100と接触するだけでよい。接触点150は、パッチ100に接触するいくつかの接着剤をそれ自体に塗布して、接続が失われる可能性を最小にすることができる。この接着剤は、それ自体が導電性であるか、接触点を囲むだけであり、接触点を必要以上に絶縁することはない。あるいは、接触点150およびパッチ100は、磁気的接続によって接続されてもよい。
【0015】
いくつかの例では、媒体120は、そこを通って接触することが可能なほど疎でなければならない。あるいは、媒体を切り取って、プローブのための開いた経路としてもよい。一実施形態では、グランドへの高電圧の短絡を防止するために、接点に近接する領域において、反対側の接地スクリーン130上に絶縁要素160が存在してもよい。この絶縁要素160は、媒体中央スクリーンまたは他の場所に取付けることもできる。絶縁要素の他の実施形態は、パッチから中央スクリーン110の反対側に配置されたスペーサとして作用することができ、スペーサは中央スクリーンが短くならないようにしている。
【0016】
図示されるように、導電性パッチ100は楕円形であり、異なる大きさおよび種類の媒体パッドおよびフィルタフレームを用いた配置の多少の変動を可能にする。導電性パッチ100は、フィルタアセンブリ90と高電圧プローブ140との間の関係が均一であれば、より小さくてもよい。導電性パッチ100の丸みを帯びた縁は、電圧スプレーおよびアーク放電の可能性を最小にする。パッチ100はまた、中心から外方に延びるアームを有するスプライン形状であってもよい。
【0017】
導電性パッチ100は、
図4A〜
図4Cに示すように、中央スクリーン110の両面(別々に取付けられた第1および第2のパッチ)に取付けてもよく、または
図5A〜
図5Cに示されるように、片面に取付けてもよい。前者の利点は、中央スクリーン110の材料がより疎な場合にあり、2つのパッチ100が、中央スクリーン110の間隙を介して、それらの接着剤が互いに接触することによって、適所に互いに保持されあうことである。あるいは、プローブ140とは反対側にあるパッチ100は、絶縁材料からなっていてもよく、絶縁要素160を予め配置しておくのに役立てることが可能である。中央スクリーン110それ自体は、さまざまな導電性材料のいずれであってもよい。
【0018】
図示された実施形態はエアクリーナに関しているけれども、疎な材料もしくは織った材料、または基板もしくは押出プラスチック網への確実な電気的接続が必要とされる接触のための他の用途もある。
【0019】
本発明を上記の実施形態を参照して説明してきたが、当業者であれば、特許請求の範囲から逸脱することなくさまざまな変更または修正を行うことができることを理解するであろう。