特許第6818689号(P6818689)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6818689
(24)【登録日】2021年1月5日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】分割方法
(51)【国際特許分類】
   D07B 1/06 20060101AFI20210107BHJP
   B60C 9/00 20060101ALI20210107BHJP
   D07B 3/00 20060101ALI20210107BHJP
【FI】
   D07B1/06 A
   B60C9/00 L
   D07B3/00 Z
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-546024(P2017-546024)
(86)(22)【出願日】2015年11月20日
(65)【公表番号】特表2017-535692(P2017-535692A)
(43)【公表日】2017年11月30日
(86)【国際出願番号】EP2015077255
(87)【国際公開番号】WO2016083265
(87)【国際公開日】20160602
【審査請求日】2018年10月5日
(31)【優先権主張番号】1461395
(32)【優先日】2014年11月25日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514326694
【氏名又は名称】コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】カルヴェ マルク
(72)【発明者】
【氏名】バルゲ アンリ
(72)【発明者】
【氏名】オーバレード フランシス
【審査官】 橋本 有佳
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭50−121537(JP,A)
【文献】 特開2010−179773(JP,A)
【文献】 特開平09−013289(JP,A)
【文献】 特開平02−269885(JP,A)
【文献】 特表2002−540304(JP,A)
【文献】 特表平11−512788(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D07B1/00−9/00
B60C1/00−19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一螺旋組立体に巻回された複数の繊維状要素(14)を含むM1の繊維状要素及びM2の繊維状要素の少なくとも第1及び第2の組立体(26、28)を製造するための方法であって、前記第1及び第2の組立体(26、28)のうちの少なくとも1つが螺旋状に巻回された複数の繊維状要素(14)を備えており、前記方法は、
−仮組立体(22)を形成するために、Mの繊維状要素(14)を仮コア(16)の周りでMの繊維状要素(14)の層に組み合わせるステップと、
−前記仮組立体(22)をM1の繊維状要素及びM2の繊維状要素の少なくとも前記第1及び第2の組立体(26、28)に分割するステップと、
を含み、
前記繊維状要素は、単一の基本モノフィラメント又は複数の基本モノフィラメントの組立体を備え、前記基本モノフィラメントの各々は、0.05mm〜0.50mmの範囲の直径を有し、
前記仮組立体(22)を分割するステップは、少なくとも前記第1及び第2の組立体(26、28)の間で前記仮コア(16)を分離するステップを含む、
方法。
【請求項2】
前記仮組立体(22)を分割するステップは、前記仮コア(16)を前記第1及び第2の組立体(26、28)から分離するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記分割ステップの間に、前記第1の組立体(26)を、前記第2の組立体(28)及び前記仮コア(16)により形成された仮集合体(25)から分離し、次に、前記第2の組立体(28)及び前記仮コア(16)を、相互に分離する、請求項1から2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記仮コア(16)を再利用するステップを含み、該ステップの間に、
−前記仮コア(16)を前記分割ステップの下流側で回収し、
−以前に回収された仮コア(16)を前記組み合わせステップの上流側に導入する、
請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記分割ステップの間に、前記第1の組立体(26)を形成するように、前記仮コア(16)の少なくとも第1の部分(27)を第1の繊維状要素(29)と一緒に前記仮組立体(22)から分離するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記分割ステップの間に、前記第2の組立体(28)を形成するように、前記仮コア(16)の少なくとも第2の部分(27’)を第2の繊維状要素(29’)と一緒に前記仮組立体(22)から分離するステップを含む、請求項1又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記組み合わせステップは、撚り合わせによって実行される、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記仮組立体(22)を撚り釣り合わせするステップを含む、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記繊維状要素(14、17)の各々を個別に予備成形するステップを含まない、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、M1の繊維状要素及びM2の繊維状要素の少なくとも第1及び第2の組立体を製造するための方法、繊維状要素組立体、及びこの組立体を備えるタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来からラジアルカーカス補強体を有する大型車両用タイヤが公知である。このようなタイヤは、2つのビードに固定されかつトレッドを載置するクラウン補強体自体によって半径方向に載置されたラジアルカーカス補強体を備え、トレッドは、2つのサイドウォールによってビードに接続される。
【0003】
このようなタイヤにおいて、クラウン補強体は、ワーキング補強体、フープ補強体、保護補強体、及び随意的に三角形補強体を備える。これらの補強体の相対的な配置は、様々とすることができる。一般に、保護補強体は、半径方向で最も外側の補強体であり、ワーキング補強体は、半径方向で最も内側の補強体であり、フープ補強体は、保護補強体とワーキング補強体との間に配置される。
【0004】
各補強体は、単一又は複数のプライを備える。各プライは、互いに平行に横並びで配置された補強要素を備える。各補強要素は、プライが属する補強体に応じて変化する角度を成す。各補強要素は、繊維状要素の1又は2以上の組立体を備え、各組立体は、ケーブリング又は撚り合わせによって互いに組み合わされた複数の個別の金属スレッドを備える。
【0005】
従来から5mmのピッチで螺旋状に巻回された直径0.26mmの繊維状要素(本例では3本のスレッド)の単一層で構成される繊維状要素組立体が公知である。この組立体は、標準用語に従って「3.26」組立体と呼ばれる。
【0006】
各補強体、特にフープ補強体及び保護補強体が正常に機能することを保証するために、この繊維状要素組立体の構造的伸び率を制御すること、より詳細には、必要に応じて大きな構造的伸び率を得ることができることが望ましい。従来の撚り合わせ法を使用すると、前述の3.26コードに関して最大でも0.5%に等しい構造的伸び率を得ることができる。
【0007】
構造的伸び率の値を大きくするために、従来から螺旋状に巻回された複数スレッドの単一層を備えるスレッド組立体の製造のための様々な方法及び装置が公知である。このような方法及び設備は、欧州特許第0548539号、欧州特許第1000194号、又は欧州特許第0143767号で説明されている。これらの方法では、可能な限り大きな構造的伸び率を得るために、スレッドは予備成形される。しかしながら、一方では特別な設備を必要とするスレッドの予備成形ステップは、プロセスにおいて大きな構造的伸び率を得ることを可能にしない、予備成形ステップを有していない方法に比べてこの方法を比較的に非生産的なものにし、その上、予備成形工具との摩擦に起因して、このように予備備成形されたスレッドに損傷を与える。具体的には、スレッドを予備成形するステップを用いる組立体プロセスを使用すると、前述の3.26コードに関して最大でも2.0%に等しい構造的伸び率を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許第0548539号明細書
【特許文献2】欧州特許第1000194号明細書
【特許文献3】欧州特許第0143767号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、繊維状要素組立体の構造的伸び率を制御すること、特に、大きな構造的伸び率を達成できることを目的とし、大きな構造的伸び率が必要な場合に予備成形ステップを必然的に使用する必要はない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するために、本発明の1つの主題は、少なくとも一方が螺旋状に巻回された複数の繊維状要素を備える、M1の繊維状要素及びM2の繊維状要素の少なくとも第1及び第2の組立体を製造するための方法であって、
−仮組立体を形成するためにMの繊維状要素を仮コアの周りでMの繊維状要素の層に組み合わせるステップと、
−仮組立体をM1の繊維状要素及びM2の繊維状要素の少なくとも第1及び第2の組立体に分割するステップと、
を含む方法である。
【0011】
本発明の方法により、得られた組立体の構造的伸び率を制御し、必要である場合、比較的大きな構造的伸び率を、予備成形ステップを使用することなく得ることが可能になる。
【0012】
具体的には、仮組立体を組み合わせるステップの間に、Mの繊維状要素は、該繊維状要素が分割ステップの間及びその後に維持する曲率が与えられる。ここで、この仮組立体の分割ステップの間、仮コアは繊維状要素の第1及び第2の組立体間で分割される、つまり、繊維状要素の第1及び第2の組立体から分離されるので、得られた組立体(複数を含む)は、仮コアの直径の低減又は排除、及び繊維状要素が曲率を維持することに起因して非常に開放的である。この開放性により、大きな構造的伸び率が必要である場合に大きな構造的伸び率を呈する組立体を得ることが可能である。
【0013】
本発明の方法により、M1の繊維状要素及びM2の繊維状要素の第1及び第2の組立体が同時に製造される。
【0014】
各第1及び第2の組立体は、単一螺旋組立体である。定義上、単一螺旋組立体は、各繊維状要素の軸線が、組立体の軸線周りの第1の螺旋と、組立体の軸線が描く螺旋周りの第2の螺旋とを描く二重螺旋組立体とは対照的に、各繊維状要素の軸線が単一の螺旋を描く組立体である。
【0015】
換言すると、組立体が実質的に直線的方向に延在する場合に、各組立体は、螺旋状に巻回された繊維状要素の1又は2以上の層を備え、層の各繊維状要素は、実質的に直線的方向に螺旋の形態の経路を描き、所定の層の各繊維状要素の中心と、実質的に直線的方向の軸線との間の距離は、所定の層の全ての繊維状要素に関して実質的に一定かつ等しい。対照的に、二重螺旋組立体が実質的に直線的方向に延在する場合、所定の層の各繊維状要素の中心と実質的に直線的方向との間の距離は、所定の層の全ての繊維状要素に関して異なる。
【0016】
繊維状要素とは、横断面の形状が例えば円形、長方形、矩形、又は正方形、もしくは平坦であるか否かに関わらず、横断面に対して大きな長さを有する何らかの長直線(longilinear)要素を意味し、この繊維状要素は、例えば、捻り合わせること又は波形を付けることができる。繊維状要素の形状が円形である場合、直径は好ましくは3mm未満である。
【0017】
1つの実施形態において、各繊維状要素は、単一の基本モノフィラメントを備える。
【0018】
別の実施形態において、各繊維状要素は、複数の基本モノフィラメントの組立体を備える。従って、例えば、各繊維状要素は、複数の基本モノフィラメントの撚糸を備える。各撚糸は、好ましくは螺旋状に巻回された基本モノフィラメントの1又は2以上の層を備える。
【0019】
これらの2つの実施形態において、各基本モノフィラメントは、好ましくは金属製である。金属製とは、大部分が(質量の50%を上回るという意味)又は全体として(質量の100%)金属材料から成る基本モノフィラメントである。各基本モノフィラメントは、好ましくは鋼製、更に好ましくは、以下「炭素鋼」と示されるパーライト(又はフェライトーパーライト)炭素鋼製、又は、代替的に(定義上少なくとも10.5%のクロミウムを含有する鋼である)ステンレス鋼製である。
【0020】
炭素鋼が使用される場合、炭素含有量(鋼の重量%)は、好ましくは、0.5%〜0.9%である。好ましくは2000MPaを上回り、更に好ましくは2500MPaを上回り3500MP未満の(2009年の規格ISO 6892−1による引張試験の下で取得した測定値)引張強さ(Rm)を有する標準張力(NT)鋼コードの鋼又は高張力(HT)鋼コード形式の鋼が利用される。
【0021】
1つの好適な実施形態では、前記又は各基本モノフィラメントは、0.05mm〜0.50mm、好ましくは0.10mm〜0.40mm、更に好ましくは0.15mm〜0.35mmの範囲の直径を有する。
【0022】
第1の実施形態では、仮組立体を分割するステップは、仮コアを第1及び第2の組立体から分離する手段を備える。
【0023】
従って、この第1の実施形態において、各々がそれぞれ螺旋状に巻回されたM1、M2の繊維状要素の層を備える繊維状要素の2つの組立体が得られる。繊維状要素の各組立体は、センタワイヤを有していない。この実施形態では、第1の組立体は、第1の組立体の軸線周りに巻回されかつ単一の層に分配されたM1の繊維状要素で構成される。同様に、この実施形態の第2の組立体は、第2の組立体の軸線周りに巻回されかつ単一層に分配されたM2の繊維状要素で構成される。これらは、1xM1及び1xM2構造の組立体、又はオープンコード構造の組立体と呼ばれる場合もある。
【0024】
換言すると、この第1の実施形態において、少なくとも1つのスレッドを備える仮コアに関して、仮コアの各スレッドは、M1の繊維状要素及びM2の繊維状要素の第1及び第2の組立体に属さない。従って、M1+M2=Mである。
【0025】
この第1の実施形態の第1の好適な代替形態において、分割ステップの間に、第1の組立体は、第2の組立体及び仮コアにより形成された仮集合体から分離され、次に、第2の組立体及び仮コアは、互いに分離される。従って、最初に第1の組立体を仮集合体から分離することで、第2の組立体を仮コアから分離する場合、仮コアは、第2の組立体の繊維状要素で形成される層から容易に取り出すことができる。
【0026】
第2の好適な代替形態において、分割ステップの間、仮コア、第1の組立体、及び第2の組立体は、互いにペアで同時に分離される。
【0027】
好都合には、本方法は、仮コアを再利用するステップを含み、このステップの間に、
−仮コアは、分割ステップの下流側で回収され、
−以前に回収された仮コアは組み合わせステップの上流側に導入される。
【0028】
従って、仮コアは再利用される。
【0029】
好適な実施形態において、仮コアを再利用するステップは連続的に実行することができ、すなわり、分離ステップを出た仮コアは、仮コアの中間貯蔵ステップなしに組立体ステップに再導入される。
【0030】
別の実施形態において、仮コアを再利用するステップは不連続である、つまり仮コアの中間貯蔵のステップがある。
【0031】
更に好ましくは、織物で作られている仮コアが利用される。織物とは、仮コアが非金属製であることを意味する。具体的には、組み合わせ及び分割ステップの間に仮コアが受ける、撚り合わせ−撚り戻し捻れサイクルが発生し、仮コアが金属製である場合、残留捻れにより、再利用された仮コアは使用しづらくなる。仮コアは、織物で作られる場合、残留捻れを呈さないので再利用が容易になる。
【0032】
1つの実施形態において、織物仮コアは、織物基本モノフィラメントを備える。
【0033】
別の実施形態において、織物仮コアは、複数の織物基本モノフィラメントを備える1又は2以上の織物マルチフィラメント撚糸を含む。代替形態では、仮コアは、複数の基本モノフィラメントを含むオーバーツイストと呼ばれる単一のマルチフィラメント撚糸を備える。代替形態では、仮コアは、複数のマルチフィラメント撚糸を備え、各々はオーバーツイストと呼ばれ、各々は複数の基本モノフィラメントを備え、合撚糸を形成するために螺旋状に組み合わせられる。
【0034】
好都合には、前記又は各織物基本モノフィラメントの各繊維材料は、ポリエステル、ポリアミド、ポリケトン、ポリビニルアルコール、セルロース、無機繊維、天然繊維、又はこれらの材料の混合物から選択される。
【0035】
ポリエステルの中で、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリプロピレンテレフタル酸塩(PPT)、又はポリプロピレンナフタレート(PPN)を挙げることができる。ポリアミドの中で、アラミドなどのナイロン、又は芳香族ポリアミドなどの脂肪族ポリアミドを挙げることができる。ポリビニルアルコールの中で、Kuralon(登録商標)を挙げることができる。セルロースの中で、レーヨンを挙げることができる。無機繊維の中で、ガラス繊維及び炭素繊維を挙げることができる。天然繊維の中で、麻又は麻繊維を挙げることができる。
【0036】
第2の実施形態において、仮コアを分割するステップは、少なくとも第1及び第2の組立体の間で仮コアを分割するステップを含む。
【0037】
従って、この第2の実施形態において、繊維状要素の2つの組立体が得られ、各々は、それぞれ螺旋状に巻回されたP1、P2の繊維状要素の層と、組立体のうちの少なくとも1つに関して、層の繊維状要素が巻回される仮コアの少なくとも一部を備えるか又はこれを構成するセンタワイヤとを備える。
【0038】
換言すると、この第2の実施形態において、Nの繊維状要素を備える仮コアについて、仮コアのNの繊維状要素のうちの少なくとも1つは、M1の繊維状要素及びM2の繊維状要素の第1及び第2の組立体のうちの少なくとも1つに属する。
【0039】
好都合には、分割ステップの間に、第1の組立体を形成するように、仮コアのうちの少なくとも第1の部分は、第1の繊維状要素と一緒に仮組立体から分割される。
【0040】
従って、第1の組立体は、螺旋状に巻回されたP1の繊維状要素の層と、仮コアのNの繊維状要素の第1の部分(N1の繊維状要素)を備えるか又はこれを構成するP1の繊維状要素が螺旋状に巻回されるセンタワイヤとを備える。従って、P1+N1=M1である。
【0041】
好都合には、分割ステップの間に、第2の組立体を形成するように、仮コアのうちの少なくとも第2の部分は、第2の繊維状要素と一緒に仮組立体から分割される。
【0042】
従って、第2の組立体は、螺旋状に巻回されたP2の繊維状要素の層と、仮コアのNの繊維状要素の第2の部分(N2の繊維状要素)を備えるか又はこれを構成するP2の繊維状要素が螺旋状に巻回されるセンタワイヤを備える。従って、P2+N2=M2である。
【0043】
好ましくは、第1及び第2の組立体は、同時に形成される。
【0044】
好ましくは、分割ステップの前に、仮コアの第1及び第2の部分は、仮コアを構成する。従って、仮コアの第1及び第2の部分は相互補完的である。従って、N1+N2=Nである。代替形態において、N1+N2<Nとすることができる。
【0045】
代替形態において、第1の組立体は、仮コアを備えるか又はこれを構成するセンタワイヤの周りに螺旋状に巻回されたP1の繊維状要素の層を備え、第2の組立体は、センタワイヤなしで螺旋に巻回されたP2=M2の繊維状要素の層を備える。
【0046】
1つの実施形態において、組み合わせステップは、撚り合わせることで実行される。この場合、スレッド又は撚糸は、自身の軸線の周りで集合的な撚り合わせ及び個別の撚り合わせを受け、スレッド又は撚糸の各々の上に撚り戻しトルクが発生する。
【0047】
別の実施形態において、組み合わせステップは、ケーブリングを用いて実行される。この場合、スレッド又は撚糸は回転が組み合わせ箇所の前後で同期しているので、自身の軸線の周りの捻れを受けない。
【0048】
好ましくは、撚り合わせを用いた組み合わせステップの場合、本方法は、仮組立体を撚り釣り合わせするステップを含む。従って、撚り釣り合わせステップが、Mの繊維状要素及び仮コアで構成されている組立体で実行されると、撚り釣り合わせステップは、分割ステップの上流側で非明示的に実行される。これにより、組み合わせステップの下流側でコードが追従する経路において、特に例えばプーリーの案内手段において、組み合わせステップの間に課された残留捻れを管理する必要性が回避される。更に、撚り釣り合わせステップは、予備成形ステップなしでケーブリングによる組み合わせステップで得られた曲率よりも大きな曲率を繊維状要素に課す。このより大きな曲率は、大きな構造的伸び率の好適な実現に寄与する。
【0049】
好都合には、本方法は、分割ステップの後で、第1及び第2の組立体のうちの少なくとも一方において撚り釣り合わせするステップを含む。
【0050】
好都合には、本方法は、それぞれの移動方向の周りの第1及び第2の組立体の回転を維持するステップを含む。このステップは、分割ステップの後で、並びに第1及び第2の組立体のうちの少なくとも一方において撚り釣り合わせするステップの前で実行される。
【0051】
好ましくは、本方法は、繊維状要素の各々を個別に予備成形するステップを含んでいない。繊維状要素の各々を個別に予備成形するステップを使用する従来の方法では、繊維状要素は、ホイール等の予備成形工具により与えられる形状を有し、これらの工具により、欠陥が繊維状要素の表面に発生する。これらの欠陥により、繊維状要素、従って、組立体の耐久性が著しく低下する。逆に、本方法は、好ましくは、予備成形ステップを実行すること、従って、欠陥を発生させること回避することを可能にする。従って、得られた組立体は、同じ構造的伸び率を有するが予備成形された少なくとも1つの繊維状要素を含む組立体よりも耐久性が非常に良好である。
【0052】
本発明の他の主題は、螺旋状に巻回された複数の繊維状要素の層を備える単一螺旋組立体であり、規格ASTM A931−08に従って測定された2.0%以上の構造的伸び率を有することを特徴とし、前記の方法を用いて得ることができる。
【0053】
好都合には、層の各繊維状要素は、自身の回転軸の周りの捻れを呈する。このような組立体は、撚りステップを用いる方法を使用して製造される。このような捻れは、各繊維状要素を顕微鏡で見ることで確かめることができる。
【0054】
好都合には、層の各繊維状要素は、予備成形の痕跡を呈さない。従って、コードに与えられる開放性、従って、その構造的伸び率は、結果的に痕跡が各繊維状要素上に残ると思われる予備成形ステップによってではなく本明細書で前述した方法で与えられる。このような痕跡は、各繊維状要素を顕微鏡で調べることで見ることができるはずである。
【0055】
好都合には、繊維状要素の組立体は、規格ASTM A931−08に従って測定された3.0%、好ましくは4.0%、更に好ましくは5.0%以上の構造的伸び率を有する。
【0056】
1つの実施形態において、繊維状要素の組立体は、螺旋状に巻回された複数の繊維状要素の単一の層を備え、センタワイヤを有していない。換言すると、組立体は、一緒に巻回された複数の繊維状要素の単一の層で構成される。
【0057】
別の実施形態において、繊維状要素の組立体は、螺旋状に巻回された複数の繊維状要素の層と、層の繊維状要素が螺旋状に巻回されたセンタワイヤとを備える。
【0058】
1つの実施形態において、単一の撚糸で構成される組立体に関して、組立体は2.4mm以下直径を有する。
【0059】
別の実施形態において、組立体が少なくとも2つの撚糸で形成される場合、組立体は6.5mm以下の直径を有する。
【0060】
組立体の直径は、組立体の全ての繊維状要素が内接する最小円の直径である。このような直径は、投影器を使用して観察することで測定することができる。
【0061】
本発明の他の主題は、前記の方法を用いて得ることができる螺旋状に巻回された複数の繊維状要素の層を備える繊維状要素の組立体である。
【0062】
本発明のさらに他の主題は、前記の方法を用いて得ることができる組立体を備えたタイヤである。
【0063】
このようなタイヤは、特に、乗用車、SUV(スポーツ多目的車)、2輪(特に自転車、バイク)の動力車、航空機タイプ、及び、バン、大型車両−すなわち、地下鉄、バス、大型道路輸送車両(トラック、トラクタ、トレーラ)、農業用又は土木用工事車両などのオフロード車両、又は他の輸送又は運送車両から選択された産業用車両に取り付けられることが意図される。
【0064】
好ましくは、タイヤは、トレッド及び該トレッドの円周方向内側に配置されたクラウン補強体を備える。クラウン補強体は、好ましくはワーキング補強体及び保護補強体を備え、保護補強体は、トレッドとワーキング補強体との間に半径方向に配置される。好適な実施形態において、各保護プライは、保護要素と呼ばれる1又は2以上の補強要素を備え、各保護補強要素は、本明細書で前述したような組立体を備える。
【0065】
タイヤの随意的な特徴によれば、保護補強要素は、タイヤの円周方向に対して少なくとも10°に等しい、好ましくは10°〜35°、更に好ましくは15°〜35°の角度を成す。
【0066】
タイヤの他の随意的な特徴によれば、ワーキング補強要素と呼ばれる補強要素を備える各ワーキングプライに関して、ワーキング補強要素は、タイヤの円周方向に対して、最大でも60°に等しい、好ましくは15°〜40°の範囲の角度を成す。
【0067】
好適な実施形態では、クラウン補強体は、少なくとも1つのフーププライを含むフープ補強体を備える。好適な実施形態において、各フーププライは、フープ補強要素と呼ばれる1又は2以上の補強要素を備え、各フープ要素は、本明細書で前述したような組立体を備える。
【0068】
タイヤの随意的な特徴によれば、フープ補強要素は、タイヤの円周方向に対して最大でも10°に等しい、好ましくは5°〜10°の範囲の角度を成す。
【0069】
好適な実施形態において、カーカス補強体は、クラウン補強体の半径方向内側に配置される。
【0070】
好都合には、カーカス補強体は、カーカス補強要素と呼ばれる補強要素を備える少なくとも1つのカーカスプライを備え、カーカス補強要素は、タイヤの円周方向に対して、65°以上、好ましくは80°以上、更に好ましくは80°〜90°の範囲の角度を成す。
【0071】
本発明は、単に非限定的な例として図面を参照して示されており、以下の説明を読むことでより良好に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0072】
図1】本発明の第1の実施形態による方法を実行しかつ図5のコードを製造するための設備の図である。
図2図1の設備の分離手段の図である。
図3図1の設備の分離手段の図である。
図4】第1の仮組立体(直線的かつ静止状態にあると想定された)の組立体軸線に垂直な断面図である。
図5図1の設備を使用して製造された、第1の実施形態による組立体(直線的かつ静止状態にあると想定された)の組立体軸線に垂直な断面図である。
図6】本発明の第2の実施形態による方法を実行しかつ図8のコードを製造するための設備の図である。
図7】第2の仮組立体(直線的かつ静止状態にあると想定された)組立体軸線に垂直な断面図である。
図8図6の設備を使用して製造された、本発明の第2の実施形態による組立体(直線的かつ静止状態にあると想定された)の組立体軸線に垂直な断面図である。
図9】本発明の第3の実施形態による方法を実行しかつ図1のコードを製造するための設備の図である。
【発明を実施するための形態】
【0073】
図1は、M1の繊維状要素及びM2の繊維状要素の少なくとも第1及び第2の組立体を製造する設備を示す。この設備は、全体的な参照番号10により示されている。
【0074】
設備10は、繊維状要素が移動する方向を検討する際に上流側から下流側に、
−Mの繊維状要素14及び仮コア16を供給する手段12と、
−仮組立体22を形成するために、Mの繊維状要素14を仮コア16の周りでMの繊維状要素14の層に組み合わせる手段18と、
−Mの繊維状要素14及び仮コア16を備え、本例ではこれらで構成された仮組立体22を撚り釣り合わせを行う手段20と、
−Mの繊維状要素14及び仮コア16をM1の繊維状要素及びM2の繊維状要素の少なくとも第1及び第2の組立体26、28に分割する手段24と、
−分割手段24の下流側に配置される、それぞれの移動方向の周りの各第1及び第2の組立体26、28の回転を維持する手段34と、
−回転維持手段34の下流側に配置される、第1及び第2の組立体26、28の少なくとも一方を撚り釣り合わせする手段35と、
−第1及び第2の組立体26、28を貯蔵する手段36と、
を備える。
【0075】
また、設備10は、従来から当業者が用いるような、繊維状要素及び組立体を案内し、繰り出し、及び引き寄せる、案内手段G、繰り出し手段D、及び牽引手段Tを備え、例えば、プーリー及びキャプスタンである。
【0076】
ここでは、供給手段12は、各繊維状要素14用の6つの貯蔵リール38、及び仮コア16用の貯蔵リール40を含む。図1では、図面の明瞭化のために6つのリール38のうちの2つのみが示されている。
【0077】
組み合わせ手段18は、分配装置42及び組立体ガイド44を含む。組み合わせ手段18は、Mの繊維状要素14及び仮コア16を撚り合わせる手段46を含む。また、撚り合わせ手段46は、ツイスタとして当業者に一般的に知られている装置48、例えば、4プーリーツイスタを備える。この撚り合わせ手段46の下流側において、撚り釣り合わせ手段20は、ツイスタ50、例えば、4プーリーツイスタを備える。最後に、ツイスタ48の下流側において、組み合わせ手段18は、最終捻り釣り合わせ手段35及び貯蔵手段36を支持するブラケット52及びナセル53を備える。ブラケット52及びナセル53は、組立体26、28の組立体ピッチを維持するように回転する能力を伴って取り付けられる。
【0078】
この第1の実施形態では、分割手段24は、仮コア16を第1及び第2の組立体26、28から分離する手段54を備える。これらの分離手段54は、一方では、第1の組立体26を第2の組立体28及び仮コア16により形成された仮集合体25から分離する手段56、及び、他方では、第2の組立体28及び仮コア16を互いから分離する手段58を備える。
【0079】
図2は、分離手段56を示す。仮組立体22は、上流側移動方向Xに移動する。分離手段56を通った後、第1の組立体26は、下流側移動方向X1に移動し、仮集合体25は、下流方向X2に移動する。分離手段56は、一方では、それぞれ下流側方向X1、X2の第1の組立体26及び仮集合体25の並進移動を可能にし、他方では、それぞれ下流側方向X1、X2の周りの第1の組立体26及び仮集合体25の回転を可能する案内手段57を備える。この特定の実例では、手段57は、傾斜した回転ローラ61を備える。
【0080】
図3は、分離手段58を示す。仮集合体25は、上流側移動方向Yに移動する。分離手段58を通った後、第2の組立体28は、下流側移動方向Y1に移動し、仮コア16は、下流方向Y2に移動する。分離手段58は、一方では、それぞれ下流側方向Y1、Y2の第2の組立体28及び仮コア16の並進移動を可能にし、他方では、それぞれ下流側方向Y1、Y2の周りの第2の組立体28及び仮コア16の回転を可能にする案内手段59を備える。この特定の実例では、手段59は、傾斜した回転ローラ61’を備える。
【0081】
当業者であれば、特に移動速度及び組立体の直径に従ってどのようにローラ61、61’の傾きを決定するかを理解できるはずである。
【0082】
図1を参照すると、分離手段54は、分離手段56、58の下流側に、第1及び第2の組立体26、28をそれぞれ案内する手段60、60’をさらに備える。案内手段60、60’は、それぞれ、手段57、59と同様に、それぞれの下流方向の第1及び第2の各々の組立体26、28の並進移動を可能にし、それぞれの下流方向の周りの第1及び第2の各々の組立体26、28の回転を可能にする。各案内手段60、60’は、ローラ61、61’と類似の傾斜した回転ローラを備える。
【0083】
各組立体26、28に関する回転維持手段34は、ツイスタ62、例えば、4プーリーツイスタを備え、それぞれ下流側方向X1、Y1周りの各組立体の回転を維持することが可能である。
【0084】
また、各組立体26、28に関する最終撚り釣り合わせ手段35は、ツイスタ63、例えば、4プーリーツイスタを備える。
【0085】
ここでは、貯蔵手段36は、第1及び第2の各々の組立体26、28をそれぞれ貯蔵する2つの貯蔵リール64、66を備える。
【0086】
仮コア16を再利用するため、設備10は、仮コア16を一方では分割手段24の出口68と他方では組み合わせ手段18の入口70との間で案内する手段69を備える。
【0087】
設備10は、予備成形手段、特に組み合わせ手段18の上流側に配置される繊維状要素14を個別に予備成形する手段を備えていないことに留意されたい。
【0088】
図4は、Nの繊維状要素17から成る仮コア16の周りに螺旋状に巻回されたMの繊維状要素を備える仮組立体22を示す。仮組立体22は、M=6の繊維状要素14を備える。仮コア16は、ここでは単一の繊維状要素17(N=1)を備える。
【0089】
各繊維状要素14は、この実例では炭素鋼製の円形断面の0.05〜0.50mm、ここでは0.26mmに等しい直径を有する単一の金属製基本モノフィラメントを備える(この実例ではこれで構成される)。各繊維状要素17は、各々がオーバーツイストと呼ばれ、各々が複数の基本モノフィラメントを備え、螺旋状に組み合わされて合撚糸を形成するようになった複数のマルチフィラメント撚糸を備える。基本モノフィラメントは、織物であり、この実例では、PET製である。
【0090】
図5は、本発明の第1の実施形態による各第1及び第2の組立体26、28を示す。第1の組立体26は、螺旋状に巻回されたM1=3の繊維状要素14の層を備える。同様に、第2の組立体28は、螺旋状に巻回されたM2=3の繊維状要素14の層を備える。各組立体26、28は、センタワイヤを有していない。各第1及び第2の組立体26、28は、単一螺旋形式である。
【0091】
各第1及び第2の組立体26、28は、規格ASTM A931−08に従って測定された2.0%以上の構造的伸び率を有する。好都合には、組立体は、規格ASTM A931−08に従って測定された3.0%、好ましくは4.0%、更に好ましくは5.0%以上の構造的伸び率を有する。この特定の実例では、各第1及び第2の組立体26、28の構造的伸び率は、規格ASTM A931−08に従って測定された5.0%に等しい。
【0092】
各第1及び第2の組立体26、28の層の各繊維状要素は、自身の回転軸の周りのねじれ撚り合わせを呈する。各第1及び第2の組立体26、28の層の各繊維状要素は、予備成形の痕跡を有していない。
【0093】
このような組立体26、28は、特にタイヤ、更に好ましくは前述のタイヤの保護プライ又はフーププライで使用される。
【0094】
以下、第1の実施形態による、設備10を使用して実行される、組立体26、28を製造する方法を説明する。この方法は、組立体26、28を同時に製造することを可能にする。
【0095】
最初に、繊維状要素14及び仮コア16は、供給手段12、この実例ではリール38、40から繰り出される。
【0096】
次に、本方法は、Mの繊維状要素14を仮コア16の周りでMの繊維状要素の単一層に組み合わせるステップを備える。この組み合わせステップの間に仮組立体22が形成される。組み合わせステップは、ツイスタ48、ブラケット52、及びナセル53を使用して撚り合わせることで実行される。
【0097】
次に、本方法は、仮組立体22を撚り釣り合わせするステップを含み、該ステップは、ツイスタ50を使用して実行される。
【0098】
次に、本方法は、仮組立体22を第1及び第2の組立体26、28に分割するステップを含む。この第1の実施形態において、仮組立体を分割するステップは、仮コア16を第1及び第2の組立体26、28から分離するステップを含む。分割ステップの間に、第1の組立体26は、第2の組立体28及び仮コア16で形成された集合体25から分離され、次に、第2の組立体28及び仮コア16は、互いに分離される。
【0099】
一方で、第1及び第2の組立体26、28に関して、本方法は、それぞれの下流側移動方向X1、Y1の周りの第1及び第2の組立体26、28の回転を維持するステップを含む。仮組立体22を分割するステップの下流側のこの回転を維持するステップは、手段34を使用して実行される。
【0100】
また、本方法は、第1及び第2の組立体26、28を撚り釣り合わせするステップを含む。この最終撚り釣り合わせステップは、手段35を用いて中間撚り釣り合わせステップの下流側で実行される。
【0101】
最後に、第1及び第2の各々の組立体26、28は、貯蔵リール64、66内に貯蔵される。
【0102】
他方で、仮コア16に関して、本方法は、仮コア16を再利用するステップを含む。この再利用ステップの間に、仮コア16は、分割ステップの下流側で回収され、以前に回収された仮コア16は、組立体ステップの上流側に導入される。この再利用ステップは、連続的である。
【0103】
前述の方法は、繊維状要素14の各々を個別に予備成形するステップを有していないことに留意されたい。
【0104】
図6図8は、第2の実施形態による発明による仮組立体を例示する。図1図5に示すものと類似の要素は、同じ参考番号により示されている。
【0105】
第1の実施形態とは異なり、図6の設備は、仮コア16を出口68と入口70との間で案内する手段69を有していない。更に、分割手段24は、仮コアを少なくとも第1及び第2の組立体26、28の間で分割する手段55を備える。
【0106】
分割手段55は、第1の組立体26を形成するように仮コア16の少なくとも第1の部分27を第1の繊維状要素29とともに仮組立体22から分離する手段56を備える。また、分割手段55は、第2の組立体28を形成するように仮コア16の少なくとも第2の部分27’を第2の繊維状要素29’と一緒に仮組立体22から分離する手段56を備える。
【0107】
第1及び第2の組立体を互いに分離する手段56、58は、案内手段を備え、一方では、それぞれの下流方向の第1及び第2の組立体26、28の並進移動を引き起こすことが可能であり、他方では、第1及び第2の組立体26、28のそれぞれの下流方向の周りに回転させることが可能である。第1の実施形態とは異なり、第2の実施形態の分離手段56、58は、単一の傾斜した回転ローラ61を備える。傾斜した回転ローラ61’は、第1及び第2の組立体26、28を互いに分離せず、第2の組立体28を案内するだけである。
【0108】
第1の実施形態による方法とは異なり、第2の実施形態による方法は、仮コア16を再利用するステップを含まない。この第2の実施形態において、仮組立体を分割するステップは、仮コア16を、この実例では仮コア16の全体を第1及び第2の組立体26、28の間で分割するステップを含む。
【0109】
分割ステップの間、第1の繊維状要素29を伴う仮コア16の少なくとも第1の部分27は、第1の組立体26を形成するように仮組立体22から分割される。また、分割ステップの間、第2の繊維状要素29’を伴う仮コア16の少なくとも第1の部分27’は、第2の組立体28を形成するように仮組立体22から分割される。従って、第1及び第2の組立体26、28は、同時に形成される。
【0110】
分割ステップの前、仮コア16の第1及び第2の部分27、27’は、仮コア16を構成する。
【0111】
従って、図7に例示するように、仮組立体22は、2つの部分29、29’に区分され、Nの繊維状要素17を構成しかつ2つの部分27、27’に区分された仮コア16の周りで螺旋状に巻回されたMの繊維状要素の層を備える。仮組立体22は、M=6の繊維状要素14を備える。仮コア16は、ここでは2つの繊維状要素17(N=2)を備える。
【0112】
図6及び図8に例示するように、各組立体26、28は、螺旋状に巻回された繊維状要素14の層を備えるM1=M2=4の繊維状要素、及び仮コア16の1又は2以上の繊維状要素17を備えかつ繊維状要素14の層が螺旋状に巻回されるセンタワイヤ15を含む。
【0113】
この特定の実例では、第1の組立体26は、螺旋状に巻回されたP1の繊維状要素14の層と、仮コア16のNの繊維状要素17の第1の部分27(N1の繊維状要素、N1=1)を備え(この実例では第1の部分27で構成され)、P1の繊維状要素14の層により形成されたMの繊維状要素の第1の部分29が螺旋状に巻回されたセンタワイヤ15とを備える。ここで、P1+N1=M1である。
【0114】
第2の組立体は、螺旋状に巻回されたP2の繊維状要素14の層と、仮コア16のNの繊維状要素17の第2の部分27’(N2の繊維状要素、N2=1)を備え(この実例では第1の部分27で構成され、P2の繊維状要素14の層により形成されたMの繊維状要素の第2の部分29’が螺旋状に巻回されたセンタワイヤ15を備える。ここで、P2+N2=M2である。
【0115】
図9は、本発明の第3の実施形態による方法を実行すること及び図1のコードを製造することができる設備を例示する。前出の図に示すものと類似の要素は、同じ参考番号により示されている。
【0116】
第1の実施形態とは異なり、図9の設備は、仮コア16を出口68と入口70との間で案内する手段60を有していない。設備10は、出口68の下流側に配置される、仮コア16を貯蔵する手段72を備える。これらの手段72は、例えば、貯蔵リール74を含む。第3の実施形態の案内手段69は、仮コア16を出口68と貯蔵手段72との間で案内することができる。
【0117】
本発明は、本明細書で説明した実施形態に限定されるものではない。
【0118】
具体的には、本発明は、各々が複数の金属製基本モノフィラメントを含む繊維状要素と共に利用することを想定することができる。撚糸と呼ばれるこのような繊維状要素は、組み合わせると、マルチストランドロープを形成することが意図される。
【0119】
分割ステップの間、仮コア、第1の組立体、及び第2の組立体を対で互いに同時に分離することを想定することが可能である。
【0120】
また、複数の繊維状要素で構成される中央コアの周りに螺旋状に巻回された複数の繊維状要素の層を備える繊維状要素の組立体26、28を得ることを想定することが可能である。次に、このような組立体26、28は、X+Y形式の構造を示すように、例えば、構造2X+2Y、例えば4+14、4+16、4+18、6+14、6+16、又は、6+18の仮組立体22から得ることができ、X>1、例えば、2+7、2+8、2+9、3+7、3+8、又は、3+9である。
【0121】
また、組立体26、28が必ずしも同じ構造を有していない方法を利用することを想定することが可能である。従って、それぞれの構造X+Y、Z+Tを有する組立体26、28は、構造(X+Z)+(+TY)の仮組立体22から得ることができる(但し、X≠Z及び/又はY≠Tである)。例えば、構造3+15の仮組立体22は、構造1+8及び2+7の2つの組立体を得ることを可能にする。
【0122】
また、仮組立体を3以上の組立体に、例えば3又は4の組立体に分割することを想定することが可能である。
【符号の説明】
【0123】
10 設備
14 繊維状要素
16 仮コア
17 繊維状要素
18 組み合わせ手段
22 仮組立体
24 分割手段
26 第1の組立体
28 第2の組立体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9