(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6818746
(24)【登録日】2021年1月5日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】表面を衛生化するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61L 2/18 20060101AFI20210107BHJP
A01P 1/00 20060101ALI20210107BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20210107BHJP
A01N 25/06 20060101ALI20210107BHJP
A01N 59/00 20060101ALI20210107BHJP
A01N 31/02 20060101ALI20210107BHJP
A61L 101/06 20060101ALN20210107BHJP
A61L 101/10 20060101ALN20210107BHJP
A61L 101/20 20060101ALN20210107BHJP
A61L 101/22 20060101ALN20210107BHJP
A61L 101/34 20060101ALN20210107BHJP
A61L 101/36 20060101ALN20210107BHJP
【FI】
A61L2/18 102
A61L2/18 100
A61L2/18
A01P1/00
A01P3/00
A01N25/06
A01N59/00 A
A01N59/00 Z
A01N31/02
A61L101:06
A61L101:10
A61L101:20
A61L101:22
A61L101:34
A61L101:36
【請求項の数】38
【全頁数】43
(21)【出願番号】特願2018-512842(P2018-512842)
(86)(22)【出願日】2016年5月23日
(65)【公表番号】特表2018-518341(P2018-518341A)
(43)【公表日】2018年7月12日
(86)【国際出願番号】US2016033792
(87)【国際公開番号】WO2016191375
(87)【国際公開日】20161201
【審査請求日】2019年4月25日
(31)【優先権主張番号】62/166,007
(32)【優先日】2015年5月24日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/197,067
(32)【優先日】2015年7月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517408955
【氏名又は名称】リブオニックス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】LivOnyx Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【弁理士】
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 豊
(72)【発明者】
【氏名】コズマン・モーリー・ディー
(72)【発明者】
【氏名】カルバリョ・ブルース・エル
【審査官】
小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−147673(JP,A)
【文献】
特開2012−000274(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/00− 2/28
A61L 11/00− 12/14
A01N 1/00− 65/48
A01P 1/00− 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
病原菌を死滅させるか、または不活性化するシステムにおいて、
ハウジングであって、
手受け入れ領域であって、少なくとも1つの手を受け入れるように構成され、少なくとも2つのノズルを有する、手受け入れ領域と、
前記少なくとも2つのノズルと流体連通する、活性薬剤容器と、
を有する、ハウジングと、
送達用量の、前記少なくとも2つのノズルからのエアゾールとしての活性薬剤の送達を制御するように構成された制御モジュールと、
を含み、
前記制御モジュールは、前記送達用量を、薄い被覆として、標的の手表面に送達するようにプログラムされており、
前記手表面への前記活性薬剤の前記送達および前記活性薬剤の乾燥を含む、プロセス全体でかかる時間は、10秒未満である、システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記少なくとも2つのノズルに空気を提供するように構成された空気タンクをさらに含む、システム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記少なくとも2つのノズルにおける圧力を制御するように構成された圧力調節器をさらに含む、システム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記制御モジュールに通信可能に連結され、かつ前記システムの動作に関する情報を表示するように構成されたディスプレイをさらに含む、システム。
【請求項5】
請求項4に記載のシステムにおいて、
前記ディスプレイは、前記システムの前記動作に関する命令を受信するように構成された対話型ディスプレイを含む、システム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記少なくとも2つのノズルに近接した前記標的の手表面の存在を検出するように構成された少なくとも1つのセンサーをさらに含む、システム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記標的の手表面に送達された前記送達用量を乾かすように構成された乾燥構成要素をさらに含む、システム。
【請求項8】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記活性薬剤容器は、取り外し可能で詰め替え可能な試薬収容カートリッジを収めている、システム。
【請求項9】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記活性薬剤容器は、前記活性薬剤の供給を受ける貯蔵器として構成されている、システム。
【請求項10】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記活性薬剤は、過酸化水素の水溶液、次亜塩素酸の水溶液、イソプロピルアルコールの水溶液、エタノールの水溶液、過酢酸の水溶液、酢酸の水溶液、次亜塩素酸ナトリウムの水溶液、オゾンの水溶液、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される溶液を含む、システム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムにおいて、
前記活性薬剤は、0.3%〜15%の過酸化水素を含む、システム。
【請求項12】
請求項11に記載のシステムにおいて、
前記活性薬剤は、0.33%、1%、3%、6%、9%、または12%の過酸化水素を含む、システム。
【請求項13】
請求項10に記載のシステムにおいて、
前記活性薬剤は、少なくとも0.046%の次亜塩素酸を含む、システム。
【請求項14】
病原菌を死滅させるか、または不活性化するシステムにおいて、
少なくとも1つのノズルと流体連通する活性薬剤容器を有するハウジングと、
前記少なくとも1つのノズルと流体連通する空気ポンプと、
送達用量の、前記少なくとも1つのノズルを通るエアゾールとしての活性薬剤の送達を制御するように構成された制御モジュールと、
を含み、
前記システムは、前記送達用量を、薄い被覆として、標的表面に送達するように構成されており、
前記標的表面への前記活性薬剤の前記送達および前記活性薬剤の乾燥を含む、プロセス全体でかかる時間は、10秒未満であり、
前記活性薬剤は、少なくとも70%のイソプロピルアルコールを含む、システム。
【請求項15】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記活性薬剤は、過酢酸と過酸化水素との水性混合物を含む、システム。
【請求項16】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記少なくとも2つのノズルのうちの1つは、静止ノズルである、システム。
【請求項17】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記少なくとも2つのノズルは、2つ以上の静止ノズルを含む、システム。
【請求項18】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記少なくとも2つのノズルは、2つ以上の可動ノズルを含む、システム。
【請求項19】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記少なくとも2つのノズルを起動するためにユーザー入力を受信するように構成された少なくとも1つのアクチュエータをさらに含む、システム。
【請求項20】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記少なくとも2つのノズルは、前記活性薬剤の均一層を前記標的の手表面へと送達するように構成され、
前記均一層は、1μm〜50μmの厚さを有する、システム。
【請求項21】
請求項20に記載のシステムにおいて、
前記均一層は、5μm〜20μmの厚さを有する、システム。
【請求項22】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記少なくとも2つのノズルは、超音波ノズルである、システム。
【請求項23】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記少なくとも2つのノズルは、空気流ベースの噴霧ノズルを含む、システム。
【請求項24】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記少なくとも2つのノズルは、圧力ベースの流体ノズルを含む、システム。
【請求項25】
手表面上の病原菌を死滅させるか、または不活性化する方法において、
少なくとも1つの手を受け入れるように構成された手受け入れ領域において、少なくとも2つのノズルから、前記手表面上に活性薬剤のエアゾール化層をスプレーすることを含み、
前記エアゾール化層は、薄く実質的に均一な被覆であり、
前記スプレーすることは、第1の期間にわたって行われ、前記エアゾール化層は、第2の期間にわたって乾くのに有効であると共に、前記手表面上の前記病原菌を死滅させるか、または不活性化するのに有効であり、
前記第1および第2の期間の持続時間は、10秒未満である、方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法において、
前記病原菌は、細菌、ウイルス、真菌、それらの胞子、またはそれらの任意の組み合わせを含む、方法。
【請求項27】
請求項26に記載の方法において、
前記病原菌は、エンテロコッカス・フェシウム、黄色ブドウ球菌、肺炎桿菌、アシネトバクター、緑膿菌、およびエンテロバクター(「ESKAPE」)を含む、方法。
【請求項28】
請求項26に記載の方法において、
前記病原菌は、大腸菌、サルモネラ菌、およびリステリア菌のうちの少なくとも1つを含む、方法。
【請求項29】
請求項26に記載の方法において、
前記病原菌は、無エンベロープウイルスを含む、方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法において、
前記無エンベロープウイルスは、ノロウイルス、ライノウイルス、コクサッキーウイルス、ロタウイルス、またはそれらの任意の組み合わせを含む、方法。
【請求項31】
請求項26に記載の方法において、
前記病原菌は、エンベロープウイルスを含む、方法。
【請求項32】
請求項31に記載の方法において、
前記エンベロープウイルスは、インフルエンザウイルスを含む、方法。
【請求項33】
請求項26に記載の方法において、
前記病原菌は、クロストリジウム・ディフィシルの胞子を含む、方法。
【請求項34】
請求項25に記載の方法において、
前記第1および第2の期間の前記持続時間は、5秒未満である、方法。
【請求項35】
請求項25に記載の方法において、
前記第1および第2の期間の前記持続時間は、3秒未満である、方法。
【請求項36】
請求項25に記載の方法において、
前記第1の期間は、1秒以下である、方法。
【請求項37】
請求項25に記載の方法において、
前記第2の期間は、2秒以下である、方法。
【請求項38】
請求項25に記載の方法において、
前記活性薬剤の前記エアゾール化層は、厚さが1μm〜50μmである、方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本出願は、2015年5月24日出願の、名称が「Apparatus and Method for Sanitizing Skin」である米国仮特許出願第62/166,007号、および2015年7月25日出願の、名称が「Apparatus and Method for Sanitizing Skin」である米国仮特許出願第62/197,067号の優先権を主張し、これらは、参照により全体として本明細書に組み込まれるものである。
【0002】
〔分野〕
本開示は、表面を衛生化するためのシステムおよび方法に関する。
【0003】
〔背景〕
人間の疾患は、細菌、ウイルス、および真菌という主要なカテゴリーを代表する病原微生物によって引き起こされることが多い。宿主または感染した個人から感染しやすい新たな犠牲者への感染粒子の移動は、宿主からエアゾール化流体を吸い込むこと、宿主および宿主体液により汚染された表面との接触、または宿主から犠牲者もしくは第三者の手へ、もしくは汚染された表面から犠牲者への移動によるものを含む、さまざまなメカニズムによって起こり得る。具体的な移動メカニズムは、生物ならびに特定の環境に左右される。病院および他の臨床環境では、介護者の手への移動は、エンテロコッカス・フェシウム、黄色ブドウ球菌、肺炎桿菌、アシネトバクター・バウマンニ、緑膿菌、およびエンテロバクター種(集合的にESKAPE病原菌として知られる)、ならびにクロストリジウム・ディフィシルなどの生物にとって、潜在的に重要なメカニズムと考えられる。さらに、1つ以上の種類の抗菌剤に耐性がある、微生物、主に細菌と定義される、多剤耐性生物(MDRO)は、それらの獲得耐性により、特別な臨床的意義を有する。MDROは、メチシリン耐性の黄色ブドウ球菌(MRSA)、カルバペネム耐性腸内細菌(CRE)、多剤耐性のアシネトバクター・バウマンニ(MDR−Ab)、およびバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)を含むが、これらに制限されない。新たな宿主における感染を開始するのに必要な生存可能生物の数および接触部位は、生物の感染性、ならびに新たな見込み宿主の免疫能力に左右される。入院患者など、免疫機能が損なわれているかまたは弱い個人は、一般に、新たな感染症の宿主になる可能性が高い。院内感染は、医療産業にとって、深刻な問題となっている。この問題の深刻さは、抗生物質耐性を持つさらなる病原体が生じると、増大し続ける可能性がある。
【0004】
ノロウイルス、腸内病原菌などの一部の微生物は、結束の強い共同体内部で伝播が急速となり得る、クルーズ船産業において、また補助介護施設/老人ホームの環境において、大きな懸念である。引き起こされた病気は、命にかかわる場合がある。食品調理産業、例えば、大規模な鶏肉包装施設は、耐抗生物質サルモネラ菌の大発生に繰り返し関係し、多くの死を引き起こしている。これらの環境でのノロウイルスおよびサルモネラ生物の蔓延および伝染における手の接触の役割は、重要となる可能性が高い。
【0005】
臨床および食品調理の環境における良好な手指衛生の重要性は、確立されており、典型的には、手洗いまたは局所用アルコール含有ゲルの使用に関して促進されている。しかしながら、従来のアプローチには、ある程度の制限がある。手洗いで、健康な個人の皮膚に見られる常在性生物に深刻な危害を生じることなく、表面の汚染生物を除去することができる。効果的にするために、手洗いには約30秒かけるべきである。しかしながら、この時間は、めまぐるしく変化する、ストレスに満ちた救命救急環境では法外(prohibitive)であり、手を乾かすための追加の時間が見込まれていない。シンクの有用性も、このアプローチの使用を制限し得る。手の上でアルコールゲルを分配し、塗布し、乾かすことは、手洗いして乾かすよりも著しく早く達成され得るが、これらの工程もはやり、約10〜15秒という比較的長い時間が必要である。
【0006】
したがって、医療環境、家庭環境、および他の環境で表面および手を衛生化するための改善された技術および装置が必要とされている。
【0007】
〔概要〕
いくつかの態様では、病原菌を死滅させるか、または不活性化するためのシステムが提供され、このシステムは、少なくとも1つのノズルと流体連通する活性薬剤容器を有するハウジングと、少なくとも1つのノズルと流体連通する空気ポンプと、送達用量の、少なくとも1つのノズルを通るエアゾールとしての活性薬剤の送達を制御するように構成された制御モジュールと、を含み得る。システムは、その送達用量を、5秒以下である時間内に薄く均一な乾燥被覆として標的表面に送達するように構成されている。表面は任意の適切な表面であってよい。例えば、表面は、片手または両手の表面であってよい。
【0008】
システムは、いくつかの方法で変化し得る。例えば、システムは、少なくとも1つのノズルに空気を提供するように構成された空気タンクをさらに含み得る。システムは、少なくとも1つのノズルにおける圧力を制御するように構成された圧力調節器を含むこともできる。別の実施例として、システムは、制御モジュールに通信可能に連結され、かつシステムの動作に関する情報を表示するように構成されたディスプレイをさらに含み得る。このディスプレイは、任意の適切なディスプレイであってよく、いくつかの実施形態では、システムの動作に関する命令を受信するように構成された対話型ディスプレイであってよい。
【0009】
システムは、少なくとも1つのノズルに近接した標的表面の存在を検出するように構成された少なくとも1つのセンサーを含み得る。少なくとも1つのセンサーは、光学モーションセンサーまたは任意の他のセンサーであってよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、システムは、標的表面に送達された送達用量を乾かすように構成された乾燥構成要素を含む。いくつかの実施形態では、システムは、圧力ベースの流体ポンプを含み得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、活性薬剤容器は、取り外し可能で詰め替え可能な試薬収容カートリッジを収めている。他の実施形態では、活性薬剤容器は、活性薬剤の供給を受ける貯蔵器として構成されている。
【0012】
活性薬剤は、任意の1つ以上の成分を含み得る。例えば、活性薬剤は、過酸化水素の水溶液、次亜塩素酸の水溶液、イソプロピルアルコールの水溶液、エタノールの水溶液、過酢酸の水溶液、酢酸の水溶液、次亜塩素酸ナトリウムの水溶液、オゾンの水溶液、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。いくつかの実施形態では、活性薬剤は、過酢酸と過酸化水素との水性混合物を含み得る。
【0013】
活性薬剤は、任意の適切な濃度の1つ以上の成分を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、過酸化水素の水溶液は、約0.3%〜約15%の過酸化水素を有し得る。他の実施形態では、過酸化水素の水溶液は、約0.33%、1%、3%、6%、9%、または12%の過酸化水素を有し得る。
【0014】
次亜塩素酸の水溶液は、約0.046%の次亜塩素酸を有し得る。イソプロピルアルコールの水溶液は、少なくとも約70%のイソプロピルアルコールを有し得る。
【0015】
少なくとも1つのノズルは、多くの異なる方法で変化し得る。例えば、少なくとも1つのノズルは、単一の静止ノズルであってよい。他の実施形態では、少なくとも1つのノズルは、2つ以上の静止ノズル、または2つ以上の可動ノズルであってよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのノズルは、超音波ノズルであってよい。他の実施形態では、少なくとも1つのノズルは、空気流ベースの噴霧ノズルであってよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、システムは、少なくとも1つのノズルを起動するためにユーザー入力を受信するように構成された少なくとも1つのアクチュエータを含み得る。少なくとも1つのノズルは、活性薬剤の均一層を標的表面へと送達するように構成され得、均一層は、約1μm〜約50μmの厚さを有する。いくつかの実施形態では、均一層は、約5μm〜約20μmの厚さを有する。
【0017】
いくつかの態様では、表面上の病原菌を死滅させるか、または不活性化する方法が提供される。この方法は、表面上に活性薬剤のエアゾール化層をスプレーすることを含んでよく、この層は、薄く実質的に均一な被覆である。スプレーすることは、第1の期間にわたって行われてよく、エアゾール化層は、第2の期間にわたって乾くのに有効であると共に、表面上の病原菌を死滅させるか、または不活性化するのに有効であり、第1および第2の期間の持続期間は5秒未満である。
【0018】
この方法は、多くの異なる方法で変化し得る。例えば、病原菌は、細菌、ウイルス、真菌、それらの胞子、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。細菌は、エンテロコッカス・フェシウム、黄色ブドウ球菌、肺炎桿菌、アシネトバクター、緑膿菌、およびエンテロバクター(「ESKAPE」)を含み得る。別の実施例として、細菌は、大腸菌、サルモネラ菌、およびリステリア菌のうちの少なくとも1つを含み得る。ウイルスは、ノロウイルス、ライノウイルス、コクサッキーウイルス、ロタウイルス、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る、無エンベロープウイルスであってよい。ウイルスはまた、インフルエンザウイルスを含み得るエンベロープウイルスを含み得る。胞子は、クロストリジウム・ディフィシルの胞子を含み得る。
【0019】
第1および第2の期間の持続時間は変化し得る。例えば、第1および第2の期間の持続時間は3秒未満であってよい。場合によっては、第1の期間は約1秒以下である。場合によっては、第2の期間は約2秒以下である。
【0020】
活性薬剤の層は、厚さが約1μm〜約50μmであってよい。
【0021】
一態様では、記載される技術によって、1つまたは複数の手がノズルに隣接して置かれたことが検出されると病原菌不活性化流体または殺菌流体の薄い均一層をその1つまたは複数の手表面上に送達し、その後、流体を乾かすことを含む、方法が提供される。このプロセスは、短時間で、好ましくは5秒未満で完了する。
【0022】
別の態様では、記載される技術は、皮膚への病原菌不活性化流体または殺菌流体の低容量(したがって低用量)であるが有効な塗布を提供する。低用量の活性薬剤により、皮膚に与えられる刺激または毒性が最低限となる。低用量の活性薬剤の使用により、無生物表面上の病原菌を不活性化するか、または死滅させるのに通常使用される消毒流体を含むように、一連の安全な非刺激性および非毒性の流体が防腐流体の範囲を超えて拡張される。
【0023】
別の態様では、5秒未満で蒸発により適切に乾くのに十分な薄さの、病原菌不活性化流体または殺菌流体の送達層を提供することを含む方法が提供される。
【0024】
別の態様では、病原菌不活性化流体または殺菌流体の乾燥が手の全域で空気を吸い込むことによって、または手を赤外線放射にさらすことによって促進される方法が提供される。
【0025】
別の態様では、乾燥プロセス、および手が湿っている時間の制御を使用して、病原菌不活性化流体または殺菌流体が有効である持続時間を制御する。
【0026】
別の態様では、乾燥プロセス、および手が湿っている時間の制御を使用して、病原菌不活性化流体または殺菌流体の潜在的な皮膚刺激および毒性影響を、流体の乾燥によりその活性を停止させることで最小化する。
【0027】
別の態様では、乾燥プロセス、および手が湿っている時間の制御を使用して、皮膚上の常在細菌叢への損害を最小化する。
【0028】
一態様では、記載される方法は、細菌、真菌、ウイルス、または胞子を含む、さまざまなタイプの病原菌を不活性化するか、または死滅させる上で有効である。別の態様では、この方法は、手の表面上の病原菌を選択的に不活性化するか、または死滅させると共に、手の常在細菌叢を実質的に不活性化しないか、または死滅させないことを含む。
【0029】
別の態様では、記載される技術は、例えば、ESKAPE病原菌、大腸菌、サルモネラ菌、およびリステリア菌などの、さまざまな細菌性病原菌の株を不活性化するか、または死滅させる上で有効である。
【0030】
いくつかの態様では、記載される技術は、ノロウイルス、ライノウイルス、コクサッキーウイルス、およびロタウイルスなどの無エンベロープウイルスを不活性化するか、または死滅させる上で有効である。他の態様では、記載される技術は、インフルエンザウイルスなどのエンベロープウイルスを不活性化するか、または死滅させる上で有効である。さらに他の態様では、記載される技術は、クロストリジウム・ディフィシルの胞子を不活性化するか、または死滅させる上で有効である。
【0031】
いくつかの態様では、活性薬剤は、過酸化水素の水溶液である病原菌不活性化流体または殺菌流体を含む。
【0032】
一実施形態では、病原菌不活性化流体または殺菌流体は、次亜塩素酸の水溶液である。
【0033】
別の実施形態では、病原菌不活性化流体または殺菌流体は、イソプロピルアルコールの水溶液である。
【0034】
別の実施形態では、病原菌不活性化流体または殺菌流体は、エタノールの水溶液である。
【0035】
別の実施形態では、病原菌不活性化流体または殺菌流体は、過酢酸の水溶液である。
【0036】
別の実施形態では、病原菌不活性化流体または殺菌流体は、酢酸の水溶液である。
【0037】
別の実施形態では、病原菌不活性化流体または殺菌流体は、次亜塩素酸ナトリウムの水溶液である。
【0038】
別の実施形態では、病原菌不活性化流体または殺菌流体は、オゾンの水溶液(またはオゾン水)である。
【0039】
別の実施形態では、病原菌不活性化流体または殺菌流体は、オゾン水と過酸化水素水溶液との混合物である。
【0040】
別の実施形態では、病原菌不活性化流体または殺菌流体は、過酢酸と過酸化水素との水性混合物である。
【0041】
いくつかの態様では、病原菌不活性化流体または殺菌流体を含む活性薬剤の薄い均一層を手の表面に送達することができる、気流ベースの噴霧スプレーシステムが提供される。
【0042】
他の態様では、病原菌不活性化流体または殺菌流体の薄い均一層を手の表面に送達することができる、圧力ベースの噴霧スプレーシステムが提供される。
【0043】
他の態様では、病原菌不活性化流体または殺菌流体の薄い均一層を手の表面に送達することができる、超音波スプレーシステムが提供される。
【0044】
いくつかの実施形態では、記載されるシステムは、送風機を組み込み、空気を手の全域に吹き付けたり吸い込んだりして、病原菌不活性化流体または殺菌流体の乾燥を加速させる。
【0045】
いくつかの実施形態では、記載されるシステムは、加熱器と送風機との組み合わせを組み込み、加熱された空気を手の全域に吹き付け、病原菌不活性化流体または殺菌流体の乾燥を加速させる。
【0046】
いくつかの実施形態では、記載されるシステムは、赤外線の熱を手に送達し、病原菌不活性化流体または殺菌流体の乾燥を早める。
【0047】
いくつかの実施形態では、約4μm〜約10μmの厚さを有する病原菌不活性化流体または殺菌流体の被覆の層を手の表面に送達することができる、空気噴霧スプレーシステムが提供される。5秒以内に乾くことができる被覆は、大腸菌の1つ以上の株に対して有効である。
【0048】
本明細書で提供する技術は標的表面としての片手または両手を衛生化するのに使用されるものとして説明されているが、この技術は、任意の無生物表面を含む任意の他の標的表面に適用されてもよいことを、認識されたい。
【0049】
前述した実施形態は、添付図面と併せて理解される、以下の詳細な説明からさらに十分に理解されるであろう。図面は、一定の縮尺で描かれることを意図していない。明確化のため、すべての構成要素がすべての図面で標識付けされているわけではない。
【0050】
〔詳細な説明〕
本明細書に開示するシステムおよび方法の原理の全体的な理解をもたらすため、特定の例示的な実施形態を説明する。これらの実施形態の1つ以上の実施例を、添付図面に示す。当業者は、本明細書で具体的に説明し、添付図面に示すシステムおよび方法が、非限定的な例示的実施形態であること、ならびに、実施形態の範囲が特許請求の範囲によってのみ定められることを、理解するであろう。さらに、例示的な一実施形態と関連して示されるか、または説明される特徴部は、他の実施形態の特徴部と組み合わせられ得る。このような改変および変形は、記載される実施形態の範囲に含まれることが意図されている。
【0051】
本明細書に記載される実施形態は、概して、さまざまな環境で、例えば手などの体表を含む表面を衛生化するためのシステムおよび方法に関する。記載される技術は、表面微生物または一過性微生物を不活性化するか、または死滅させるように、処置されている標的表面に活性薬剤の均一な薄層を送達することを含む。活性薬剤は、標的表面に、素早く、かつ制御されて送達され、また、処置される表面で素早く乾く。具体的には、いくつかの実施例では、薬剤は、1もしくは2秒未満、または0.5秒未満で表面上に送達され、表面上で、数秒以内、または1秒未満で乾くことができる。例えば、いくつかの実施形態では、標的表面への活性薬剤の送達および活性薬剤の乾燥を含む、衛生化プロセス全体でかかる時間は、10秒未満であってよい。他の実施形態では、衛生化プロセスにかかる時間は、5秒未満であってよい。さらに他の実施形態では、衛生化プロセスでかかる時間は、3秒未満であってよい。よって、標的表面は、数秒のうちに確実に衛生化され得る。
【0052】
本明細書で使用される活性薬剤とは、細菌、真菌、ウイルスもしくは胞子を含むさまざまなタイプの一過性病原菌を不活性化するか、または死滅させる防腐剤または殺菌剤などの、単一の成分、または2つ以上の成分の混合物である。いくつかの態様では、手を衛生化するために塗布され得る活性薬剤は、手の表面上の一過性病原菌を選択的に不活性化するか、または死滅させるが、手の常在細菌叢の生存能力に実質的に影響を与えることはない。
【0053】
本明細書に記載するシステムおよび方法には、いくつかの利点がある。特に、前述のとおり、標的表面を活性薬剤で覆うプロセスは、10秒未満、または3〜5秒未満で完了させることができる。表面を衛生化するプロセス、さらに具体的には手の衛生化の、このような改善された時間的調整(timing)は、適時かつ頻繁な手の衛生化を欠くことのできない医療環境または他の環境では、特に有利となり得る。さらに、活性薬剤は、薬剤の衛生化作用の効力を損なわずに、低い用量として、処置されている表面に送達され得る。これは、活性薬剤が手に送達される際に特に有益となり得る。特に、低い用量は、皮膚に対する刺激または毒性が低いので、人の手の適切な衛生状態を維持するために、薬剤を繰り返し塗布することが可能となる。例えば、医療従事者は、不都合なく、または不快になることなく、1日の間に複数回、自分の手を衛生化することができる。これにより、医療関係者の手の衛生化基準の順守も改善され得、これによって、院内感染を実質的に減らし、そのため、命を救うことができる。さらに、記載される技術を用いて活性薬剤が送達され得る方法により、環境によっては、過度の皮膚刺激を避けるために一般的に用いられるであろう活性薬剤よりも強い活性薬剤を使用することができる。同時に、前述したように、記載する衛生化プロセスは、手の自然(常在)細菌叢に対して、より穏やかなものとなり得る。
【0054】
記載される技術は、無生物表面、および人の身体部分の表面、例えば、手など(手袋をしているかしていないかに関わらず)を含む、さまざまな表面と共に、また、さまざまな異なる環境で、使用され得る。
【0055】
記載される表面衛生化技術を実行し得るシステムは、さまざまな構成要素を有してよく、いくつかの異なるアプローチを用いて活性薬剤を噴霧することができる。その特定の構成、ならびに構成要素のタイプおよび数に関係なく、システムは、エアゾールスプレーの形態で標的表面上に活性薬剤を付着させるよう動作する。エアゾールスプレーを製造するためにシステムにおいてさまざまなテクノロジーを使用することができる。
【0056】
本明細書で提示する技術の実施例を説明する前に、本明細書で使用する特定の用語の非限定的な定義を記載する。例えば、「常在細菌叢」という用語は、皮膚に持続的に存在する生物(permanent inhabitants of the skin)と考えられる、常在微生物の群集を指す。これらの常在微生物は、皮膚の表皮層の上または内部で見られるものである。
【0057】
「病原菌」という用語は、疾患を引き起こすことのできる細菌、真菌、ウイルス、または胞子を指す。「一過性病原菌」という用語は、これらが通常存在しない皮膚の外層上で見られる病原菌を指す。一過性病原菌は、典型的には、汚染された表面と直接接触することによって、皮膚上に付着される。
【0058】
図1は、概して、記載される技術を実施することができる、表面を衛生化するためのシステム100の一実施形態を示す。システム100は、コントローラー104と、活性薬剤容器106と、活性薬剤ディスペンサー108と、センサー110と、乾燥構成要素112と、オプションのスプレーしぶき収集装置115と、を含むハウジング102を有する。ハウジング102が、単純化のため
図1には図示されていない他の構成要素を含み得ることを認識されたい。よって、システム100は、活性薬剤ディスペンサー108内に存在する活性薬剤をエアゾールへと変容させるように構成された、1つ以上のエアゾール化構成要素または噴霧構成要素を含む。システムは、気流ベースの噴霧スプレーシステム、圧力ベースの噴霧スプレーシステム、超音波スプレーシステム、または他のタイプの噴霧システムであってよい。また、
図1に示す構成要素と他の構成要素との間に存在するすべての通信可能な接続(communicative connection)が、
図1に示されているわけではない。
【0059】
システム100は不動であってよく、例えば、壁または他の表面に取り付けられるように構成され得る。場合によっては、システム100は、可動であってよい。また、システム100は、他の構成要素を含む別のシステムの一部であってよい。一例として、システム100は、システム100に加えて、手袋保管構成要素、活性薬剤の在庫(supply)、および手の衛生化に関連した任意の他の特徴部を有し得る、可動カートの一部であってよい。
【0060】
この実施例では、システム100は、さまざまな方法でハウジング102と結合され得、かつシステム100が標的表面を衛生化するために起動されるべきであると判断するために使用され得る、センサー110を含む。いくつかの実施形態では、センサー110は、標的表面が活性薬剤ディスペンサー108に近接していることを検出する、近接センサーであってよい。しかしながら、センサー110は、単なる一例として図示されていることを認識されたい。よって、いくつかの実施形態では、他のトリガー機構が、標的表面衛生化プロセスを実行するようシステム100を起動するために追加的または代替的に使用され得る。例えば、システム100は、システム100を始動させるためにコマンド(例えばユーザー入力)を受信し得る、フットスイッチ、1つ以上のボタン、または1つ以上の他の適切な機構と結合され得る。さらに、システム100は、音声コマンド、タッチスクリーンディスプレイもしくはセンサーを介して受信された命令に応じて、または任意の他の方法で、起動され得るように構成されてもよい。
【0061】
標的表面は、任意の適切な表面であってよい。本明細書で示す実施例では、標的表面は、人の片手または両手である。この手は手袋をはめていてもよく、または標的表面が皮膚表面であってもよい。任意の他の表面がシステム100を用いて衛生化され得ることを認識されたい。標的表面は、活性薬剤ディスペンサー108の近くに持ってこられ得る。例えば、片手または両手は、活性薬剤ディスペンサー108に近接した適切な場所に置かれ得る。さらに、システム100または記載される技術に従った類似のシステムが持ち運びできる実装では、システム100は、衛生化されている表面の場所に持ってこられ得る。
【0062】
活性薬剤容器106は、活性薬剤を受け取り、かつ保管することができる貯蔵器として構成され得る。活性薬剤は、原位置で(in situ)製造され、貯蔵器へと送達され得る。いくつかの実施形態では、活性薬剤容器106は、取り外し可能で詰め替え可能な試薬収容カートリッジ107を収めることができる。しかしながら、場合によっては、カートリッジは、使い捨てで、詰め替え不可であってよい。カートリッジ107は、カートリッジ107からの活性薬剤がシステムによりアクセスされ、必要に応じてノズルへと供給され得るよう、活性薬剤容器106に取り外し可能に嵌まるように構成されてよい。
【0063】
ディスペンサー構成要素108は、いったん処置されるべき表面がセンサー110により検出されたら、または、システム200が任意の他の適切な方法で起動されたらエアゾールの形で活性薬剤を分配するように構成された、1つ以上のスプレーノズル114を含む。ノズル114は、活性薬剤を所望の方法で標的表面上に送達するように配され得る。ディスペンサー108の動作は、コントローラー104によって制御される。スプレーノズル114は、以下でさらに詳細に論じるように、静止していても、可動であってもよい。それらの特定の配置、構成および数にかかわらず、スプレーノズル114は、特定量の活性薬剤をエアゾール調剤(aerosol dosage)として送達するように、コントローラー104により制御される。
【0064】
ハウジング102の乾燥構成要素112は、ハウジング102に近接した標的表面の検出に応じて、コントローラー104によって起動され得る。乾燥構成要素112は、さまざまな異なる構成を有し得る。例えば、乾燥構成要素112は、気流を提供し得る送風機/乾燥器として構成されてよく、気流は、ノズル114から分配される活性薬剤によってスプレーされる標的表面がこの気流によって乾かされるように、向けられる。乾燥構成要素112は、任意の他の適切な構成を有し得る。
【0065】
スプレーしぶき収集装置115は、いくつかの異なる構成を有し得る。ハウジング内部のスプレーしぶき収集装置115は、その特定の構成および形状にかかわらず、あらゆる余分なスプレーを収集するように構成されている。衛生化サイクルの後、空気流は、蒸発を引き起こすように、スプレーしぶき収集装置115の表面全域に向けられ得る。いくつかの実施形態では、さらに、または代わりに、余分な量のスプレーは、器具から除去され廃棄されるように、排水管または他の容器に収集され得る。
【0066】
図2A、
図2B、
図2Cのシステム200、200’、200”はそれぞれ、
図1に示すシステム100のさらに詳細な実施例を示す。
図2Aに示すように、システム100は、
図1のハウジング102と同様であってよいハウジング202を含む。図示のとおり、ハウジング202は、いくつかある構成要素の中でも特に、空気タンク204と、空気ポンプ214と、活性薬剤容器206と、流体ポンプ228と、1つ以上のノズルを有するノズル構成要素208と、ノズル構成要素208に近接した標的表面を検出するように構成された1つ以上のセンサーを有するセンサーモジュール210と、オプションの乾燥構成要素238と、オプションのスプレーしぶき収集装置240と、ディスプレイ213に動作可能に連結されたコントローラー212と、を含む。この実施例では、標的表面は、活性薬剤209をスプレーされている手207の形で図示されているが、任意の他の表面がシステム200を用いて衛生化され得ることを認識されたい。空気タンク204および活性薬剤容器206は、空気および活性薬剤それぞれを、ノズル構成要素208に送達するのに使用され、活性薬剤は、薄層として表面上に付着されるエアゾールとして標的表面に送達される。エアゾールは、多くの適切な方法で生成され得る。システム200は、空気流ベースの噴霧スプレーシステム、超音波スプレーシステム、または他のタイプの噴霧システム(例えば、圧力ベースの噴霧スプレーシステムなど)であってよい。
【0067】
記載されたシステムでは、ハウジング202の空気ポンプ214、空気タンク204、活性薬剤容器206、ノズルモジュール208、ならびに他の構成要素は、コントローラー212によって制御される。ディスプレイ213は、コントローラー212に通信可能に連結され、システムの動作に関する情報を、任意の適切な形態で表示するように構成されている。ディスプレイ213は、システムの動作に関する命令を受信するように構成された対話型ディスプレイであってよい。コントローラー212は、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせにおいて実装され得る。
【0068】
空気タンク204は、これと結合された圧力センサー205を有し、圧力センサー205は、タンク204内の圧力を監視するように構成されている。
図2Aに示すように、空気タンク204は、周囲空気を引き抜き、かつそれを空気タンク204へと送達するように制御されている、空気ポンプ214に連結されている。空気ポンプ214と空気タンク204との間の通信回線は、
図2Aに示すように圧力計211を備えていてよい。空気ポンプ214により引き抜かれた空気は、エアフィルター216を介して通過することができる。空気は、空気タンク204の出口218からノズル構成要素208へと、導管220を介して提供される。図示のとおり、空気は、フィルター222を通過してよく、ノズル構成要素208への空気の送達は、制御弁224を介して制御される。圧力調節器構成要素226が、導管220を通過した空気の圧力を制御する。空気ポンプ214の動作により、コントローラー212による制御下で、空気タンク204内の圧力が維持される。
【0069】
活性薬剤容器206は、投薬量の活性薬剤を容器206からノズル構成要素208に送達する流体ポンプ228と流体連通する。コントローラー212は、1回分の用量(dose)の容積および送達時間を制御する。投薬量は、ノズル構成要素208の1つ以上のノズルが起動されるたびに所定量の活性薬剤を送達するように、予め設定され得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、投薬量は、衛生化されるべき標的物体の大きさおよび他の特性に基づいて、コントローラー212によって動的に決定され得る。その物体の特性は、センサー構成要素210を用いて、または他の方法で、決定され得る。例えば、システムのディスプレイ213または他の構成要素は、対話型であってよく、また、システム200を起動させる入力を含む、衛生化されている表面に関するユーザー入力を受信するために使用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、片手、両手、または任意の他の表面が衛生化され得るかどうかをユーザーが(例えば、ボタンを押すか、またはボタンの上に手を合わせることによって)選択できるように、2つ以上のオプションが提供され得る。さらに、
図1のシステム100と同じように、システム200は、システムを起動させるように構成されたボタン、タッチスクリーン、フットスイッチ、または他の制御機構などの適切な機構を介して、命令を受信することができる。この制御機構は、ハウジング102に連結され得る(例えば、有線接続によりハウジングに取り付けられるか、もしくは連結されてよい)か、または、ハウジングの構成要素と無線通信する遠隔装置であってよい。
【0070】
図2Aに示すように、活性薬剤容器206は、これと結合されたフィルター230を有してよく、フィルター230は、活性薬剤を転置させる排出空気(vent air)からほこりおよび他の不純物をろ過して取り除き、薬剤は、容器206から抜き取られる。フィルターは、取り外し可能かつ取り替え可能であってよい。
【0071】
ハウジング202は、バッテリー要素234から、またはACインレット236を通じてAC電源から、電力を取ることのできる電源モジュール232を含み得る。バッテリー要素は、取り外し可能かつ取り替え可能であってよい。いくつかの実装では、システム200は持ち運び可能であってよい。
【0072】
ノズル構成要素208の1つ以上のノズルは、さまざまな異なる構成を有してよく、それらは、静止していても、可動であってもよい。いくつかの実装では、システムは、ノズルのうちの1つ以上が静止しているが、ノズルのうちの1つ以上が可動であるように、静止ノズルおよび可動ノズルの両方を有してもよい。ノズルは、活性薬剤を所望の形で送達するように、さまざまな方法で配列され得る。例えば、ノズルは、手が活性薬剤で確実に完全に覆われるようノズルに対して手を動かすことが必要となるように、システムのハウジング上の特定の場所に配され得る。しかしながら、いくつかの実施例では、ノズルは、手を単にノズルに近接して位置づけることができ、かつ、ノズルにより供給された活性薬剤で手を適切に覆うために手をさらに動かす必要がないように、配され得る。このような実施例では、ハウジングの少なくとも一部は、1つ以上の手が活性薬剤により処置されるように位置づけられ得、かつ処置するのに手をさらに動かす必要がないように、成形され得る。これは、コンプライアンスを確実にするのに役立つ。例えば、ハウジングは、ノズル開口部を内壁に有する空洞または他の開口部を有し得る。空洞は、任意の適切な形状およびサイズを有し得る。一例として、空洞は、手の形状に一致するように、または、手を空洞内に置いた後でユーザーが追加の動作をせずに手を覆うことができるような他の方法で、成形され得る。しかしながら、空洞は、楕円形、矩形であってよいか、または任意の他の形状を有し得ることを認識されたい。空洞のサイズにより、空洞は1つまたは2つの手を受け入れることができる。さらに、いくつかの実装では、二人以上の人が、自分たちの手を同時に衛生化するためにシステムを使用することができる。ノズルは、活性薬剤エアゾールを所望の様式で送達するために、さまざまなサイズおよび形状を有し得る。
【0073】
図3、
図4、
図5A〜
図5Cは、システム200または記載される技術を実行する他のシステム、例えば以下でさらに詳細に説明するシステム200’(
図2B)およびシステム200”(
図2C)と共に使用され得る、種々のタイプのノズルの実施例を示す。
図3は、記載される技術を実行するシステム300の一部の実施例を示す。図示のとおり、システム300は、活性薬剤を表面、例えば、この実施例では手306に分配するように構成された単一の静止ノズル304を有するハウジング302を含む。ユーザーの片手306が示されているが、静止ノズル304のサイズおよび構成に応じて、ノズル304は、ユーザーの両手を同時に衛生化するように活性薬剤を送達することができることを認識されたい。
【0074】
図3は、手のひら側がノズル304の方を向くように静止ノズル304に隣接して置かれたユーザーの手306を示す。この構成では、活性薬剤は、ノズル304から分配され、手のひら側に送達される。活性薬剤を手の甲に受けるために、ユーザーは、手の甲がノズル304の方を向くように、自分の手を180°回転させる必要がある。この構成では、スプレーされる活性薬剤の円錐角は、手の両側に、また指の両側に送達することができるように設計され得る。(例えば、ユーザーが指を閉じるもしくは曲げているか、手を握り締めているか、または手が触れ合っているという理由から)手のこれらの領域が遮られないことを確実にするために、システム300は、自分の手を適切に維持する必要性についてユーザーに知らせる表示をユーザーに与えることができる。例えば、表示は、音声形式、視覚的な形式、またはそれらを組み合わせた形式でユーザーに与えられて、指を開くように、また、手を互いに、もしくは他の物体などと触れさせないように、自分の手を置くことをユーザーに思い出させることができる。さらに、人は、自分の手のひらが(「握手」の位置にある間のような、横向きではなく)上または下を向いているときには指を開くことが多いので、システムは、手のひらが上または下を向いた状態で手が置かれた場合にのみ手を受け入れることができるように、構成され得る。
【0075】
図4は、ノズルが別の構成を有している、記載される技術を実行するシステム400の一部を示す。システム400は、システム100(
図1)、200(
図2A)、200’(
図2B)、200”(
図2C)に関連して説明したものと同じかまたは類似の構成要素を有し得る。この実施例では、システム400は、ハウジングを含み、ハウジングの2つの部分が、上方ハウジング部分402aおよび下方ハウジング部分402bとして図示されている。図示のとおり、上方ハウジング部分402aおよび下方ハウジング部分402bは、それらと結合されたノズルのアレイ404a、404bをそれぞれ有する。システム400において、ノズルアレイ404a、404bがそれぞれ3つのノズルを有しているが、ノズルアレイは、アレイ間で異なる数のノズルを含め、任意の適切な数のノズル(例えば、2つ、または3つより多い)を含み得ることを認識されたい。
【0076】
図4の実施例では、図示のとおり、ノズルアレイ404a、404bは、一対の手406の甲と手のひら(tops and bottoms)など、標的表面の両側に活性薬剤を分配することができる。当業者は、適切な形状およびサイズを有する任意の他の表面もシステム400を使用して衛生化され得ることを、認識するであろう。
【0077】
ノズルアレイ404a、404bは、さまざまな異なる構成を有し得る。
図4では、アレイはそれぞれ、同じ線に沿って配列されたノズルを有する線形アレイである。しかしながら、アレイの一方または両方において、ノズルは、矩形パターン、円形パターン、楕円形パターン、長円形パターン、または他のパターンを形成し得ることを認識されたい。
【0078】
一実施形態では、ノズルアレイは、線形ストリップであってよく、このストリップの長さに沿ってスロットとして微小孔が形成されている。線形ストリップは、蛇行レイアウトとしてパターン化されて、この蛇行レイアウトの下(または上)のエリアにわたり、手に活性薬剤の微小滴が均一に送達されることを可能にする。
【0079】
さらに、いくつかの実施形態では、ノズルは、標的表面が必ずしも「アレイ」と呼ばれ得ないさまざまなパターンを形成するように置かれる場所に向かって配され、方向づけられ得る。例えば、前述のとおり、ハウジングは、手の形状に一致する輪郭を有する空洞または他の構造体を有してよく、また、複数のノズルは、それらの孔がそのような空洞の内壁に沿って配されるように配列され得る。空洞は、手が挿入される開口部を有し得る。そのような構成では、空洞の中に置かれた手は、ノズルから放出され、その後乾く活性薬剤で適切に覆われるように、向きを変えたり別様に動かしたりする必要はない。空洞は、手のひらを上または下に向けた状態で、握手に適切である位置で、または他の様式で手が空洞に挿入され得るように、成形され得る。空洞は、ユーザーの両手が同時に衛生化され得るように設計されてもよい。空洞は、ユーザーに便利なように手を受け入れることができるよう位置づけられる。空洞およびノズルの構成および位置にかかわらず、システムは、少なくとも手のつかみ表面を適切に衛生化するするように構成され得る。
【0080】
図5A〜
図5Cは、手の衛生化を行うため、活性薬剤を一対の手506に分配するように構成された、(不図示の衛生化システムと共に使用される)ノズルの可動アレイ502を概略的に示す。静止ノズルの構成と異なり、可動アレイは、衛生化プロセス中、手(または任意の他の物体)の表面の上を動く。例示された実施例では、ノズルのアレイ502は、線形ストリップとして図示されているが、当業者が認識するように、他の構成を代わりに使用することもできる。
図5Aは、アレイ502が手首の周りに配されている、手の衛生化プロセスの初めの、第1の期間における、ノズルのアレイ502の位置を示す。
図5Bは、ノズルのアレイ502がユーザーの手506に対して半ばまで動いている、衛生化プロセスの第2の中間期間における、ノズルのアレイ502の位置を示す。最後に、
図5Cは、ノズルのアレイ502がユーザーの手506を通り過ぎた第3の後の期間における、ノズルのアレイ502の位置を示す。
図5A〜
図5Cに示す実施例では、手は、アレイ502より上または下に置かれてよく、アレイは、一対の手の上および下をスキャンし、それにより活性薬剤を手の甲および手のひらに送達することができ、ここで、活性薬剤を送達し、手を乾かす方法に係る時間は、5秒未満となり得る。
【0081】
図3、
図4、
図5A〜
図5Cでは、それぞれのシステムのノズルは、1つまたは複数の手が手のひら側を「上」または「下」にして向けられるように配され、手のひらに対する法線は、重力の方向と整列している。他の実施形態では、システムは、別の人と握手をするときに従来達成されるように、手のひらを90°回転させるか、または横にして、手を向けることができるように構成され得る。
【0082】
記載される技術を実行するシステムの1つ以上のノズルは、さまざまな異なる方法で動作することができる。よって、ノズルは、それらの特定の構成および配列にかかわらず、空気流ベースの技術、圧力ベースの技術、超音波技術、または他の技術を用いて駆動され得る。ノズルは、活性薬剤を所望の配分パターンを有するスプレーとして放出することを可能にし得る、異なるサイズおよび構成の孔を有し得る。例えば、場合によっては、ノズルは、スプレーされる薬剤を、標的表面上で円形に配分することができる。他の場合では、さらに、または代わりに、ノズルは、静止した標的物体に対して扇形のスプレーパターンを生成することができる。ノズルは、所望の特徴を有するスプレーを生成するのを可能にするさまざまな構成要素(例えば、エアキャップ)を備えていてよい。
【0083】
ノズルは、さまざまな動作パラメータを有し得る。よって、ノズルは、比較的短期間(例えば、5秒未満、3秒未満、もしくは1秒未満)で標的表面上に活性薬剤の薄い均一層を作り出すのに適した活性薬剤流量をもたらすように、ある空気圧力で動作することができる。薄い均一層はその後、手を衛生化するのに必要な合計時間が、5秒未満、3秒未満、または1秒未満となるように、標的表面上で乾く。例えば、一実施形態では、超音波ノズルは、約0.2psi〜約5psiの範囲である空気圧力で動作することができる。活性薬剤は、約2psiの空気圧で空気を供給されると、1つの手の片側に等しい表面積上において1秒で約10.0μmの被覆厚さを達成するために、約15mL/分の流量でこのようなノズルから放出され得る。別の実施形態では、空気噴霧ノズルは、約35mL/分の活性薬剤流量を有してよく、空気の噴霧については12psiで、活性薬剤については10psiで動作する。1つの手の片側の表面は、このようなノズルを用いて、約10.0μmの厚さで、0.5秒未満で覆われ得る。このタイプの空気噴霧ノズルは、約5psi〜約100psiの範囲の空気圧力にわたり動作することができ、液体は、約10psi〜約50psiの範囲にわたって供給される。
【0084】
再び
図2Aを参照すると、前述したように、ハウジング202は、エアゾールの形態の活性薬剤209が標的表面207上に分配された後で標的表面207を乾かすように構成されたオプションの乾燥構成要素238を含むこともできる。この実施例では、乾燥構成要素238は、標的表面が活性薬剤で処置された後で標的表面を乾かすように気流を提供することができる空気乾燥器であってよい。乾燥構成要素238は、さまざまな構成を有し得る。乾燥構成要素238は、室温を有する周囲空気の流れを使用することができるか、または、空気は加熱され得る。あるいは、乾燥構成要素は、赤外線放射を標的表面に供給して標的表面を乾かすことができる赤外線加熱器であってよい。記載される技術はこの点において制限されないので、乾燥構成要素は、任意の他の構成を有し得る。乾燥構成要素は、その特定の構成にかかわらず、存在する場合には、標的表面上に付着された活性薬剤の薄いフィルムを乾かすように構成される。
【0085】
前述のとおり、乾燥構成要素は、所定の期間にわたり、標的表面を乾かすように制御され得る。この期間は、乾燥プロセスが所定の持続時間にわたり、例えば、5秒、3秒、または他の持続時間にわたり、継続するように、予め設定され得る。別のオプションとして、必要な乾燥レベルは、ユーザーの動き次第であり得る。このようなシナリオでは、乾燥は、衛生化されているユーザーの手(もしくは他の表面)がもはやセンサーに近接していないとシステムが判断するまで続行され得る。いくつかの実施形態では、センサー210、または代わりにもしくは追加的にシステムと結合され得る1つ以上の他のセンサーが、標的表面の乾燥レベルを検出することができる。
【0086】
センサーモジュール210も、さまざまな異なる構成を有することができ、任意の適切なタイプの1つ以上のセンサーを有し得る。センサーモジュール210のセンサーは、ほんの一例として
図2Aでは手207として図示される標的物体を検出することができる、光学的近接センサーであってよい。光学的近接センサーは、手207または他の標的物体の位置および動きを検出することも可能であってよい。例えば、センサーは、手207がノズル208に近接して配されていることを検出でき、また、手207がノズル208に対してどのように位置づけられるのかも検出することができる。他の事象も、以下で説明するように、センサーモジュール210の1つ以上のセンサーによって、検出され得る。
【0087】
システム200の活性薬剤容器206は、さまざまな構成を有してよく、活性薬剤をさまざまな方法で受け取り保管することができる。よって、活性薬剤容器206は、活性薬剤の供給を受けるように構成された、詰め替え可能な貯蔵器として構成され得る。活性薬剤の量が、特定の量を下回ると、適切な表示が提供され得る。いくつかの実施形態では、活性薬剤容器206は、取り外し可能かつ詰め替え可能な活性薬剤収容カートリッジを収める。カートリッジは、活性薬剤で予め満たされるように取り換え可能であってよい。
【0088】
他の構成を有するシステムも記載される技術を実行することができるので、
図2Aのシステム200は、ほんの一例として記載されていることを認識されたい。よって、記載される技術を実施することができるシステムの別の実施例は、システム200’がエアゾールスプレーの形態の活性薬剤209’を表面207’(例えば、保護されていない手もしくは手袋をはめた手)に送達するように構成されている、
図2Bに図示されている。図示のとおり、システム200’は、ディスプレイ213’と結合されたコントローラー212’と、活性薬剤容器206’と、流体ポンプ228’と、1つ以上のノズルを有するノズル構成要素208’と、センサーモジュール210’(システム200’を起動する他の方法が、追加的に、または代わりに使用され得る)と、乾燥構成要素238’と、バッテリー要素234’から、もしくはACインレット236’を通じてAC電源から電力を取ることのできる電源モジュール232’と、オプションのスプレーしぶき収集装置240’と、を有する、ハウジング202’を含む。これらの構成要素は、システム200(
図2A)の対応する構成要素と類似していてよく、そのため、さらに詳細には説明しない。システム200’は、空気送達構成要素を含まなくてもよい。しかしながら、いくつかの実装では、1つ以上の空気送達構成要素が存在し得る。この実施例では、噴霧された活性薬剤は、少なくとも1つの(オプションの)ファン219’によって、ノズル構成要素208’のノズルから標的表面207’へ移動することができる。システム200’は、超音波噴霧システムであってもよい。さらに、システム200’の構成は、圧力ベースの噴霧スプレーシステムを代表するものであってもよい。
【0089】
記載される技術を実施することができるシステムのさらに別の実施例は、システム200”がエアゾールスプレーの形態の活性薬剤209”を表面207”(例えば、保護されていない手または手袋をはめていない手)に送達するように構成された、
図2Cに図示されている。図示のとおり、システム200”は、フィルター216”と、ポンプ214”と、センサー205”と、計器211”と、出口218”を備えた空気タンク204”と、フィルター222”と、圧力調節器構成要素226”と、制御弁224”と、ディスプレイ213”と結合されたコントローラー212”と、フィルター230”と、活性薬剤容器206”と、1つ以上のノズルを有するノズル構成要素208”と、センサーモジュール210”(システム200”を起動させる他の方法が追加的に、または代わりに使用され得る)と、乾燥構成要素238”と、バッテリー要素234”から、またはACインレット236”を通じてAC電源から電力を取ることのできる電源モジュール232”と、オプションのスプレーしぶき収集装置240”と、を有するハウジング202”を含む。空気は、空気タンク204”の出口218”からノズル構成要素208”へ、導管220”を介して供給される。これらの構成要素は、システム200(
図2A)の対応する構成要素と類似であってよいので、
図2Cに関連してさらに詳細には説明しない。この実施例では、活性薬剤は、空気タンク204”からの空気によって活性薬剤容器206”から転置される。コントローラー212”の制御下にある制御弁229”が、加圧空気を容器206”に入れる。容器206”からノズル構成要素208”への流体の分配は、制御弁231”がコントローラー212”によって作動されると起こる。
【0090】
システム100(
図1)、200(
図2A)、200’(
図2B)、200”(
図2C)は例示的なものに過ぎず、システム100、200、200’、200”は本明細書で示していない他の構成要素を含み得ることを認識されたい。
【0091】
記載される技術を実行するシステムの具体的な構成にかかわらず、この技術は、皮膚の表面または任意の他の表面上の一過性病原菌を死滅させるか、または不活性化する方法を提供する。
図6は、記載される技術に従って、1つ以上の防腐または殺菌試薬を含む活性薬剤を用いて、表面上の一過性病原菌を死滅させるか、または不活性化するプロセス600を示す。プロセス600は、このプロセスを実施することができる例示的なシステムとしてのシステム200(
図2A)と関連して本明細書に記載される。しかしながら、プロセス600は、システム100(
図1)、システム200’(
図2B)、システム200”(
図2C)によって、または任意の他の適切なシステムによって、実行され得ることを認識されたい。
【0092】
プロセス600は、任意の適切な時点で開始され得る。例えば、このプロセスを実行するシステム(例えば、システム100または200)が起動したときにプロセスを開始することができる。プロセス600は、例えば
図2のコントローラー212など、システムの制御モジュールによって制御され得る。
【0093】
ブロック602で、システムは、システムのノズル(例えば、
図2Aのノズルモジュール208)に近接した標的表面の存在について監視することができる。標的表面は、ノズルから分配され得る活性薬剤が表面に到達して活性薬剤の層でその表面を適切に覆うことができるように、ノズルに隣接している場合にノズルに「近接している」とみなされる。標的表面は、ユーザーの手の一方もしくは両方、または、別の物体であってよい。ユーザーの1つまたは複数の手は、むきだしであっても、手袋をはめていてもよい。前述のとおり、近接センサー、モーションセンサー、または他のタイプのセンサーが、それに近接して表面が検出されるかどうかを判断するように動作することができる。
【0094】
また、いくつかの実施形態では、システムは、ほんの一例として示された
図6のブロック602および604での処理とは異なり得る他の方法で、表面衛生化プロセスを実行するように起動されてもよい。したがって、さらに、または代わりに、システムは、システムを起動するように構成されたフットスイッチ、ボタン、タッチスクリーン、センサー、または任意の他の制御機構などの適切な機構を介して、ユーザーから命令を受信することができる。制御機構は、システムのハウジングに連結され得る(例えば、有線接続によりハウジングに取り付けられるか、もしくは連結され得る)か、またはハウジングの構成要素と無線通信する遠隔装置であってよい。よって、いくつかの実施形態では、標的表面は、検出されなくてよく、むしろ、システムは、他の適切なトリガーに応じて記載される技術を実行するように起動される。
【0095】
標的表面がノズルに近接していると判断される具体的な方法、および/または標的表面がノズルに隣接していると判断されるのに応じてシステムを起動させる命令が受信される方法にかかわらず、プロセス600は、活性薬剤が標的表面上に分配されるブロック606へと続く。活性薬剤は、表面上の一過性病原菌を死滅させるか、または不活性化することができる1つの成分、またはそのような成分のうちの2つ以上の混合物を含んでよく、その例については、以下で論じる。活性薬剤は、
図2に示すノズルモジュール208のノズルなど、1つ以上のノズルから分配される。活性薬剤は、エアゾールスプレーの形態で表面上に分配され、薄く実質的に均一な被覆であるエアゾール化層を標的表面上に形成する。
【0096】
活性薬剤の層は、厚さが約1μm〜約50μmであってよい。さらに、いくつかの実施形態では、活性薬剤の層は、厚さが約5μm〜約20μmであってよい。さらに他の実施形態では、活性薬剤の層の厚さは、約4μm〜約10μmであってよい。
【0097】
システムは、表面の覆われていないエリアがないように(または、覆われていないエリアが衛生化プロセスの結果に影響を及ぼさないように)活性薬剤を送達するよう構成され得る。均一な被覆は、活性薬剤のエアゾール特性により達成され得る。具体的には、エアゾールの形態の活性薬剤は、活性薬剤の薄い均一層が標的表面上に形成されるのを可能にするサイズ(またはサイズ分布)を有する小さな流体液滴を含む。少なくともいくつかの実施形態では、活性薬剤の液滴は、直径が約18μm〜約56μmであってよい。液滴のサイズ分布は、さまざままな方法で変化してよく、液滴の平均直径は、約33μmの直径であってよい。少なくともいくつかの実施形態では、液滴のサイズは、約36μm〜約107μmであり、平均直径が約57μmであってよい。他の実施形態では、液滴のサイズは、約28μm〜約116μmの範囲であり、平均直径が約59μmであってよい。他のサイズの活性薬剤液滴が、さらに、または代わりに形成され得ることを認識されたい。ブロック606における活性薬剤送達プロセスは、標的表面の適切な処置を確実にするように制御され得る。例えば、適切な1つ以上のセンサー(例えば、センサー210および/または任意の他のセンサー)が、適切な表面被覆を確実にするように、薬剤送達プロセスを監視し得る。センサーは、表面上への活性薬剤の適切な送達を制御する方法として、標的表面上に任意の流体が存在するかどうかを判断することができる。センサーは、標的表面の上への活性薬剤の付着の均一さの度合いを監視することもできる。
【0098】
判定ブロック604において、標的表面が検出されなかったと判断されたら、プロセス600は、
図6に示すように、ブロック602に戻って、標的表面の存在について監視を続けることができる。
【0099】
活性薬剤が表面上に分配された後、活性薬剤は、ブロック608において表面上で乾かされる。乾燥は、例えば、乾燥構成要素238(
図2A)などの適切な乾燥構成要素によって行われ得る。乾燥は、(冷気もしくは暖気であってよい)空気の流れによって、赤外線乾燥器によって、または任意の他のアプローチを用いて、実行され得る。前述したように、乾燥構成要素はオプションであり、標的表面上で分配された活性薬剤の層は、周囲空気によって乾かされ得る。例えば、ユーザーは、活性薬剤で処置された自分の手が乾くのに、単に数秒待てばよい。
【0100】
ブロック606および608における処理ステップはいずれも、例えば5秒未満で、迅速に完了され得る。活性薬剤の分配にかかる時間は、3秒未満であってよく、処置される表面上の、層として分配された薬剤が乾くのにかかる時間は、2秒未満であってよい。しかしながら、薬剤分配ステップおよび乾燥ステップは、他の期間にわたって実行されてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、標的表面を処置するプロセス全体にかかる時間は、3秒未満であってよい。このように、ユーザーは、都合よく、また適時に自分の手を衛生化することができる。
【0101】
乾燥をどのように実行するかにかかわらず、
図6のブロック610で、システムは、乾燥が完了したかを判断し、乾燥ステップの完了の表示を提供することができる。適切な光学的センサーは、処置されている標的表面を監視することができ、また、表面が十分に乾いていると考えられる時点を判断することができる。例えば、センサーは、表面上に任意の湿ったエリアが存在するかどうかを自動的に判断し、かつ表面の乾燥レベルを判断するのに使用され得る。表示は、音声形態、視覚的形態、または他の形態でユーザーに提供され得る。例えば、ユーザーの手が衛生化されたことをユーザーに示すように、音声信号が生成され得る。別のオプションとして、さらに、または代わりに、視覚的表示(例えば、光インジケータ、テキストメッセージ、もしくは他の表示)が、例えば
図2Aのディスプレイ213などのディスプレイ上で、ユーザーに提示され得る。加えて、適切な表示が、活性薬剤の塗布および/または乾燥中にユーザーに提供され得る。例えば、プロセスが進行中である間に1つの色のインジケータが提供されてよく、その色は、プロセスが完了したら変化することができる。また、いくつかの実施形態では、乾燥が完了した表示が提供されず、ユーザーは、自分の手が乾いていることを知覚することができる。
【0102】
乾燥が実行される方法にかかわらず、手の表面上の活性薬剤は、その表面上の一過性病原菌を死滅させるか、または不活性化するのに有効である。さらに、活性薬剤が手の上に分配される方法により、活性薬剤は、皮膚の常在細菌叢に著しく影響を及ぼすことなく、皮膚を衛生化することができる。加えて、活性薬剤が、別の状況では皮膚に刺激が強いと考えられるであろう(しかし、それにもかかわらず特定の環境では使用が望ましい)強い殺菌剤の種類に属する場合であっても、記載される技術を用いて活性薬剤の薄層を素早く塗布することにより、そのような強い殺菌剤の悪影響を軽減することができる。
【0103】
乾燥完了の表示が提供された後、プロセス600を終えることができる。しかしながら、プロセス600は継続してもよいことを認識されたい。このように、1つの表面が処置されたら、システムは、ノズルに近接した別の表面の存在について監視し、かつ/または活性薬剤の分配を開始するトリガーを待つ。例えば、病院環境では、プロセス600を実行する器具が、続けざまに、複数の職員の手を衛生化することができる。
【0104】
図7は、記載される技術に従って表面上の一過性病原菌を死滅させるか、または不活性化するプロセスの別の実施例を示す。
図7に示すプロセス700は、
図6のプロセス600と同様であり、システム100(
図1)、システム200(
図2A)、システム200’(
図2B)、システム200”(
図2C)などのシステムによって、または他の適切なシステムによって、同様に実行され得る。プロセス700は、ここでは、ほんの一例として、
図2Aのシステム200によって実行されるものとして説明される。また、プロセス600の対応するステップと同様である、プロセス700のステップは、
図7に関連して詳細には説明しない。
【0105】
図7に示すように、プロセス700が適切な時点で開始された後、標的表面の存在が、ブロック702で検出され得る。前述のとおり、標的表面は、1つ以上の適切なセンサーによって検出され得るか、または、本プロセスを実行するシステムは、ノズルを起動させる命令など、適切なトリガーに反応し得る。いくつかの実装では、使用されるセンサーは、検出される表面の、サイズおよび輪郭などの1つ以上の特性を判断することが可能であってよい。
【0106】
標的表面が検出されると、ブロック704で、圧力が調節された空気流が、ノズルに供給される。例えば、
図2Aの実施例に示すように、空気タンク204からの空気は、空気ポンプ214によって、ノズル構成要素208に供給されることができる。このプロセスは、制御モジュール(例えば、
図2Aのコントローラー212)によって制御される。空気は、所望の空気流圧力でノズルモジュールに送達され得る。空気流の圧力は、処置されている表面を素早く覆うように十分高くなるよう、しかしそれと同時に、過度に高くならないように、選択される。それは、高い圧力は、望んだよりも厚い層として付着されるエアゾール流を生成し得るためである。超音波アトマイザーがエアゾールを生成するのに使用される実施形態では、例えば約0.5psi〜約5psiの、より低い圧力が使用され得る。空気流ベースの噴霧スプレーシステムが使用される他の実施形態では、例えば約5psi超の、より高い圧力が使用され得る。
【0107】
ブロック706では、
図7に示すように、プロセスを実行するシステムの少なくとも1つのノズルが起動される。投薬量の活性薬剤が、ブロック708において、起動されたノズルに供給され得る。ほんの一例として
図2Aのシステム200を再び参照すると、活性薬剤は、流体ポンプ228によって、活性薬剤容器206からノズル構成要素208へと供給され得る。
【0108】
投薬量は、衛生化されるべき標的表面の予想表面に基づいて選択されてよく、これは、事前に行われ得る(例えば、ノズルが同様のサイズの表面をスプレーするのに使用される場合)か、または、投薬量は、処置されている具体的な標的表面の特性(例えば、サイズ、輪郭など)に基づいて、動的に選択されてもよい。例えば、システムが手を殺菌するように構成されている実施形態では、投薬量は、片手または両手の面積の大きさに基づいて選択され得る。表面積が約500cm
2である、個人の手の場合、この手の表面全体に均一に配分された0.5mLの分配用量の活性薬剤が、約10μm厚さの被覆をもたらす。同じ表面積にわたり均一に分配された3mLの活性薬剤用量は、約60μm厚さの被覆をもたらす。30%のスプレーしぶき(スプレーされている標的表面を越えて広がる余分な活性薬剤)の余裕を持って、3mLの投薬量を約4mLに増やして、60μm厚さの被覆をもたらすことができる。60μm厚さの被覆および30%のスプレーしぶきで2つの手を均一に覆うには、約8mLの投薬量が必要となる。一対の手の手のひらおよび隣接する指表面のみを処置し、30%のスプレーしぶきが予測され、目標被覆厚さが約10μm厚さである場合、活性薬剤の投薬量は約1.5mLとなり得る。
【0109】
ブロック710で、投薬量の活性薬剤が、標的表面上に薄い均一層を形成するように、ノズルから分配される。前述のとおり、活性薬剤は、エアゾールスプレーの形態で分配される。エアゾールスプレーは、空気圧力を用いてスプレーを生成し、かつスプレーの液滴を標的表面に送達する空気噴霧ノズルによって、生成され得る。他の実施形態では、システムは、超音波ノズルシステムであってよい。さらに他の実施形態では、システムは、水圧ノズルを使用し得る。容積型ポンプ、吸引もしくは圧力ベースの流体送達アプローチ、または任意の他の適切なアプローチを用いて、流体を1つまたは複数のノズルに送達することができる。一例として、
図2Aのシステム200では、エアゾールは、活性薬剤容器206から受け取った活性薬剤を、導管220を介してノズルに送達される気流内でエアゾール化することによって生成される。
【0110】
標的表面が所望の投薬量のエアゾール化した活性薬剤をスプレーされた後、乾燥構成要素は、ブロック712で、表面上の活性薬剤を乾かすように起動される。乾燥プロセスが完了したこと、したがって表面の衛生化が完了したことの表示が、ブロック714で提供される。プロセス700はその後終了してよいが、別の標的表面を衛生化するために、継続して実行されてもよい。
【0111】
活性薬剤は、手の表面などの標的表面上の一過性病原菌を不活性化するか、または死滅させるのに使用され得る、1つ以上の成分を含むことができる。任意の1つ以上の病原菌不活性化流体または殺菌流体が、活性薬剤において使用され得る。活性薬剤は、標的表面上の一過性病原菌を素早く死滅させるか、または不活性化することができる、薄く均一で素早く乾く被覆として、標的表面上に送達され得るように選択される。
【0112】
一実施例として、活性薬剤は、次亜塩素酸の水溶液であってよい。任意の適切な次亜塩素酸の供給源を使用し得る。例えば、Excelyte(サウスカロライナ州リトルリバーにあるIntegrated Environmental Technologies, LTD.)または別の適切な次亜塩素酸の供給源を使用することができる。Excelyteは、(パッケージラベルによると)クロストリジウム・ディフィシル、大腸菌、MRSA、サルモネラ菌、シュードモナス、リステリア菌、エンテロコッカス・フェカーリス(VRE)、クレブシエラ肺炎(NDM−1)、および黄色ブドウ球菌を死滅させるのに効果的であると報告されているので、見込みある次亜塩素酸水溶液組成物として投与され得る。次亜塩素酸の水溶液は、任意の適切な濃度の次亜塩素酸を有し得る。いくつかの実施形態では、次亜塩素酸の水溶液は、少なくとも約0.046%の次亜塩素酸を含む。別の実施例として、次亜塩素酸の水溶液は、約0.005%〜約1%の次亜塩素酸を含み得る。適切な市販製品またはその溶液が、活性薬剤として使用され得る。
【0113】
別の実施例として、活性薬剤は、病原菌不活性化流体または殺菌流体として使用される過酸化水素の水溶液であってよい。それは、過酸化水素が、細菌、ウイルス、真菌および胞子を不活性化するか、または死滅させることのできる、広域抗菌薬であるためである。過酸化水素の水溶液は、約0.3%、約1%、約3%、約6%、約9%、または約12%の過酸化水素を含み得る。いくつかの実施形態では、過酸化水素の水溶液は、約3%〜約6%の範囲の過酸化水素濃度で使用され得る。
【0114】
別の実施例として、活性薬剤は、加速化過酸化水素すなわちAHPであってよい。AHPは、殺菌能力および洗浄性能の改善のため設計された、過酸化水素と、表面活性薬剤と、湿潤剤と、キレート剤と、水との、特許で保護されたブレンドである(カナダのオンタリオ州オークビルにあるVirox)。AHPは、病原菌不活性化流体または殺菌流体として使用される。それは、AHPが、細菌、ウイルス、真菌および胞子を不活性化するか、または死滅させることができる広域抗菌薬であり、手の表面を容易に湿らせることが予測され、AHPの小液滴の制御されたスプレーから手の上へ、薄く均一な被覆を発生させることができるためである。活性薬剤が過酸化水素の水溶液である場合、過酸化水素の水溶液は、約3.0%〜約12.0%の範囲の過酸化水素濃度で使用され得る。
【0115】
別の実施例として、活性薬剤は、過酢酸と過酸化水素との混合物である水溶液であってよい。
【0116】
さらに別の実施例として、活性薬剤は、酢酸の水溶液であってよい。酢酸の水溶液は、約1%〜約10.0%の範囲の酢酸濃度を有し得る。他の実施形態では、使用される酢酸の水溶液は、約3.0%〜約6.0%の範囲の酢酸濃度を有し得る。酢酸の水溶液は、広域の細菌の不活性化または死滅が保証される場合、病原菌不活性化流体または殺菌流体として使用される。
【0117】
いくつかの実施形態では、活性薬剤は、イソプロピルアルコールの水溶液を含み得る。イソプロピルアルコールの水溶液は、約60%〜約90%のイソプロピルアルコール濃度を有し得る。
【0118】
いくつかの実施形態では、活性薬剤は、エタノールの水溶液を含み得る。エタノールの水溶液は、約60%〜約90%のエタノール濃度を有し得る。
【0119】
別の実施形態では、活性薬剤は、過酢酸の水溶液を含み得る。過酢酸の水溶液は、約0.1%〜約1.0%の過酢酸濃度を有し得る。
【0120】
他の実施形態では、活性薬剤は、次亜塩素酸ナトリウムの水溶液を含み得る。次亜塩素酸ナトリウムの水溶液は、約0.1%〜約1.0%の次亜塩素酸ナトリウム濃度を有し得る。
【0121】
活性薬剤中に含まれる特定の成分または成分の混合物にかかわらず、少量の活性薬剤をスプレーした後で手を素早く乾かすプロセスは、手の表面上にある生存可能な一過性細菌の数を減らす効果がある。この流体の薄く均一な被覆は、周囲環境に暴露することによって、または、例えば、強制空気、強制加熱空気(forced heated air)、もしくは赤外線放射の流れなど、「能動的」技術を使用して、素早く乾く。乾燥行為は、病原菌の不活性化または死滅プロセスを停止させるか、または実質的に弱め、それによって、細菌の不活性化または死滅が、皮膚の最も外側の表面上の一過性病原菌に制限される。衛生化プロセスは、手の表面上の一過性病原菌を不活性化するか、または死滅させる効果を有し、これは、常在細菌叢集団を実質的に変化させたり、皮膚に対して刺激もしくは毒性効果を引き起こしたりすることなく、行われ得る。
【0122】
少なくともいくつかの実施形態では、活性薬剤は、約1百万分率(ppm)〜約40ppmの範囲のオゾン濃度を有するオゾンの水溶液であってもよい。少なくともいくつかの実施形態では、オゾン水は、約0.2%〜約2.0%の溶解オゾン濃度を有し得る。さらに、少なくともいくつかの実施形態では、活性薬剤は、約0.1mg/L〜約10mg/Lの範囲の溶解オゾン濃度を有するオゾンの水溶液であってもよい。オゾンの水溶液は、オゾンが細菌、ウイルス、真菌、および胞子を不活性化するか、または死滅させることができる広域抗菌薬であるため、病原菌不活性化流体または殺菌流体として使用され得る。
【0123】
活性薬剤は、オゾンの水溶液(すなわち、オゾン水)と過酸化水素の水溶液の混合物であってもよい。いくつかの実施形態では、オゾン水および過酸化水素水溶液は、別々のノズルから標的表面としての手に送達され得る。これらのノズルおよびスプレープロトコルは、送達されるスプレー中に、または、皮膚表面上に衝突した際に、オゾン水と過酸化水素水溶液との混合をもたらすように設計され得る。他の実施形態では、オゾン水および過酸化水素水溶液は、同じノズルまたはノズルのアレイを通じてスプレーする前に、送達器具内部で混合され得る。オゾン水および過酸化水素水溶液が標的表面に一緒に送達されるか、別々に送達されるかにかかわらず、手の表面上に送達される活性薬剤の薄く均一な被覆は、周囲環境への暴露により、または、例えば、強制空気、強制加熱空気、もしくは赤外線放射の流れなどの「能動的」技術を用いて、素早く乾く。
【0124】
以下の非限定的な実施例では、記載される技術の効力を評価するために実施された実験を説明する。
【0125】
以下の実施例は、本明細書に記載するシステム、組成物、装置および/または方法を作成し評価し得る方法の実施例を当業者に提供するために提案されたものであり、本開示の単に例示となることを意図していて、開示の範囲を制限することは意図していない。よって、以下の実施例は、単に、さまざまな環境で手または他の表面を衛生化する技術を例示するものである。
【0126】
〔実施例〕
実施例1
この実施例では、病原菌不活性化流体を短時間スプレーした後で素早く乾かすことにより、人の手にある細菌を不活性化することを説明する。
【0127】
大腸菌のK−12株のオリジナル溶液を入手し(ノースカロライナ州バーリントンにあるCarolina Biological Supply Company)、ニュートリエントブロス(ノースカロライナ州バーリントンにあるCarolina Biological Supply Company)中で10,000倍希釈して、希釈細菌溶液を生成した。この実施例では、25μLの希釈溶液が、人の手の人差し指、中指、薬指の腹の上にピペットで移された。ピペットで移した後、溶液は、ピペット先端部で広げられて、小さな送風機(ミネソタ州シーフリバーフォールズにあるDigi−KeyのデルタモデルBFB0712HH−A)の下、数分で乾かされた。この25μLの溶液は、以下の実施例4で説明する、この同じバッチの溶液からの細菌の平板菌数に基づけば、70〜100個の細菌を含有していたと予測される。乾燥直後、過酸化水素の水溶液(3.0%濃度)が、先に大腸菌で処置された人差し指、中指、および薬指のうちの中指および薬指の腹に1秒間スプレーされた。スプレー器具は、水と同様の粘度を有する各種流体の薄い被覆をスプレーすることができるエアブラシ(イリノイ州フランクリンパークにあるBadgerのPatriotモデル105)を含んでいた。やはり先に大腸菌希釈溶液で処置された人差し指は、過酸化水素の水溶液をスプレーされなかった。過酸化水素溶液をスプレーした後、中指および薬指の腹を、同じ小さな送風機の下、5秒間乾かした。3本の指の腹はすべて、成形済みのルリア培地(LB)寒天平板(ノースカロライナ州バーリントンにあるCarolina Biological Supply Company)上に押し付けられた。
図8は、37℃で一晩インキュベーションした後の、この寒天平板を示す。この平板は、スプレーされていない人差し指の腹と接触した寒天培地の領域(803)上で成長した、少なくとも5つの細菌コロニーを示す。病原菌不活性化流体または死滅流体を素早くスプレーされ、少量の強制空気で乾かされた、中指の腹および薬指の腹と接触した寒天平板の領域(801)および(802)上では、細菌コロニーの成長は見られない。
【0128】
〔実施例2〕
この実施例では、病原菌不活性化流体を短時間スプレーした後で素早く乾かすことにより、人の手にある細菌を不活性化することを説明する。
【0129】
大腸菌のK−12株の溶液を入手し、ニュートリエントブロス中で10,000倍希釈して、希釈細菌溶液を生成した。すべての生物学的供給品は、Carolina Biological Supply Company(ノースカロライナ州バーリントン)から供給された。この実施例では、5μLのこの希釈溶液が、人の手の人差し指、中指、薬指の腹の上にピペットで移された。ピペットで移した後、溶液は、実施例1に記載するように、ピペット先端部で広げられて、小さな送風機の下、数分間乾かされた。この5μLの溶液は、実施例4で説明する、この同じバッチの溶液からの細菌の平板菌数に基づけば、15〜20個の細菌を含有していたと予測される。乾燥直後、過酸化水素の水溶液(3.0%濃度)が、先に大腸菌で処置された人差し指、中指、および薬指のうちの中指および薬指の腹に1秒間スプレーされた。スプレー器具は、実施例1に記載したエアブラシであった。やはり先に大腸菌希釈溶液で処置された人差し指は、スプレーされなかった。過酸化水素溶液をスプレーした後、中指および薬指の腹が、同じ小さな送風機の下、5秒間、十分に乾かされた。3本の指の腹はすべて、成形済みのルリア培地(LB)寒天平板上に押し付けられた。
図9は、37℃で一晩インキュベーションした後の、この寒天平板を示す。この平板は、スプレーされていない人差し指の腹と接触した寒天培地の領域(901)上で成長した、少なくとも6つの細菌コロニーを示す。過酸化水素の水溶液を素早くスプレーされ、少量の強制空気で乾かされた、中指の腹および薬指の腹と接触した寒天平板の領域(902)および(903)上では、細菌コロニーの成長は見られない。
【0130】
〔実施例3〕
この実施例では、空気流ベースの噴霧スプレーシステムにより付着し、小さな送風機で乾かされた水の量を判断する試験について説明する。
【0131】
エアブラシから付着した水の量、および小さな送風機からの空気流に暴露して5秒で起こる乾燥の量が、0.4μm直径の孔を有する、25mm直径のトラックエッチドポリカーボネートメンブレン(ミズーリ州セントルイスにあるSigma−AldrichのWhatman Cycloporeモデル7060−2504)上で評価された。この実施例で使用されたエアブラシおよび小さな送風機については、実施例1に記載されている。このメンブレンの初期重量は、精密天秤(ニューヨーク州ボヘミアのザルトリウス(Sartorius)モデルCPA64)を用いて測定された。初期秤量に続き、メンブレンは、ポリカーボネート支持ブロック上に置かれ、くり抜かれた16.3mm直径の3つの穴を含んだ、ポリカーボネートプレートの重量によって保持された。このプレートは、貫通穴のうちの1つがメンブレンと同心となるように、置かれた。次に、メンブレンは、約1秒間、Badgerのスプレーブラシを用いて、保持プレートの穴を通じて水で薄く覆われた。プレートは、メンブレンが秤量のための天秤上に置かれることを可能にするよう、すぐに取り外された。示度を得た後、メンブレンは、支持ブロック上の異なる場所に置かれ、保持プレートで再び押し下げられたが、異なる貫通穴と整列した。これは、保持プレートまたは支持ブロック上に残る水が、試験ディスク上へ吸い上げられるのを防ぐために行われた。小さな送風機はその後、5秒間ディスクに衝突する(製造者の仕様書によると)約433.25L/分(約15.3立方フィート/分(CFM))の空気流によりメンブレンより数インチ上に保持され、その後、メンブレンの重量が再び測定された。
【0132】
結果を表1に記載する。
【表1】
表1.付着した水の量および5秒の能動的乾燥後に除去された水の量を評価するための重量測定値。乾燥後の重量は、除去された水の重量を算出するため、初期重量の値と少なくとも等しいと想定された。
【0133】
スプレー面積、およびこの面積上に付着した水の量に基づいて、付着した水の算出された厚さは、約3.8μm〜約8.6μmの範囲である。付着した水の大部分は、メンブレンの上面において空気の流れの中で乾かされることにより5秒で除去され得た。
【0134】
〔実施例4〕
この実施例は、その後のスプレーおよび乾燥の検討のための対照の開発について説明する。
【0135】
大腸菌のK−12株の溶液を入手し、ニュートリエントブロス中で10,000倍、100,000倍、および1,000,000倍希釈して、3つの希釈細菌溶液を生成した。すべての生物学的供給品は、Carolina Biological Supply Company(ノースカロライナ州バーリントン)から供給された。それぞれが直径25mmで0.4μmの孔を有する、3つのトラックエッチドポリカーボネートメンブレン(ミズーリ州セントルイスにあるSigma−AldrichのWhatman Nucleopore)が、真空マニホールド(マサチューセッツ州ベッドフォードにあるMillipore)上に置かれた。真空引き動作により、希釈細菌溶液のうち1つが150μL、ポリカーボネートメンブレンそれぞれの露出(マット)表面の中央上にピペットで移された。溶液は、トラックエッチドメンブレンを通って素早く引き出され、付着した細菌を、露出(マット)表面上に残した。真空マニホールド上で5分乾かした後、メンブレンは、この実験における次のステップのために準備された
【0136】
第1組の対照は、付着ステップのために、受け取ったままの(オリジナルの)大腸菌溶液の10,000倍希釈物を使用した。この組の対照では、メンブレンは、真空マニホールド上での細菌付着および乾燥ステップの直後に、成形済みのルリア培地(LB)寒天平板上に、マット側を上にして置かれた。トラックエッチドメンブレンの孔は、寒天培地から、メンブレンのマット側に付着した細菌へ、栄養分を輸送することを可能にする。
図10は、37℃で一晩インキュベーションした後の、寒天平板上のこれら3つのメンブレンを示す。
図10は、150μLの希釈細菌溶液が予め付着している各メンブレンの中央に、細菌コロニーの完全な円形の菌叢も示す。この実験により、細菌がポリカーボネートメンブレン上に付着され、乾かされ、一晩のインキュベーションにより寒天培地上で成長させられ得ることが、証明される。
【0137】
以下の実験は、細菌が付着したメンブレン上に水をスプレーし、その後、小さな送風機で乾かすことを伴った。これらの実験では、スプレーは、エアブラシを用いて約1秒間行われ、乾燥は、約5秒間、メンブレンを小さな送風機の出力の近くに保持することによって達成された。この実施例で使用したエアブラシおよび小さな送風機については、実施例1に記載されている。スプレー行為は、各スプレー後の各メンブレンの上部における観察された反射光沢に基づけば、均一な被覆を送達したと予測される。小さな送風機で5秒乾かした後、メンブレンは、すべての流体を除去され、完全に乾いたように見えた。
【0138】
第2組の対照は、付着ステップのために、受け取ったままの大腸菌溶液の10,000倍希釈物を使用したが、メンブレンを寒天平板上に直接置く代わりに、メンブレンは、真空マニホールド上に残し、その後、水でスプレーされてから取り外され、小さな送風機からの強制空気で5秒間乾かされ、それから、寒天平板上に置かれた。
図11は、37℃で一晩インキュベーションした後の、寒天平板上のこれら3つのメンブレンを示す。
図11は、150μLの希釈細菌溶液が予め付着している各メンブレンの中央における、細菌コロニーの完全な円形の菌叢も示す。
【0139】
第3組の対照は、付着ステップのために、受け取ったままの大腸菌溶液の100,000倍希釈物を使用した。細菌の付着および乾燥後、メンブレンは、真空マニホールド上に残し、その後、水でスプレーされてから取り外され、小さな送風機からの強制空気で5秒間乾かされ、それから、寒天平板上に置かれた。
図12は、37℃で一晩インキュベーションした後の、寒天平板上のこれら3つのメンブレンを示す。
図12は、150μLの希釈細菌溶液が予め付着している3つのメンブレンの中央における、約50、65、40個の細菌コロニーも示す。
【0140】
第4組の対照は、付着ステップのために、受け取ったままの大腸菌溶液の1,000,000倍希釈物を使用した。細菌の付着および乾燥後、メンブレンは、真空マニホールド上に残し、その後、水でスプレーされてから取り外され、小さな送風機からの強制空気で5秒間乾かされ、それから、寒天平板上に置かれた。
図13は、37℃で一晩インキュベーションした後の、寒天平板上のこれら3つのメンブレンを示す。
図13は、150μLの希釈細菌溶液が予め付着している3つのメンブレンの中央における、1、2、11個の細菌コロニーも示す。
【0141】
これらの実験により、細菌の希釈溶液がポリカーボネートメンブレン上に付着し、乾かされ、水をスプレーされ、空気乾燥され、一晩のインキュベーションにより寒天培地上で成長させられ得ることが、証明される。第4組(1,000,000倍希釈物)の対照からのメンブレンにおける平均細菌コロニー数は、5である。第3組(100,000倍希釈物)の対照からのメンブレンにおける平均細菌数は、51である。これらの数に基づけば、受け取ったままの大腸菌溶液の10,000倍希釈物150μLで、約500個の細菌が付着すると予測される。
【0142】
〔実施例5〕
この実施例では、過酸化水素の希釈水溶液(3%)を短時間スプレーした後で素早く乾かすことにより、ポリカーボネートメンブレン上の細菌を不活性化することを説明する。これらの実験では、ポリカーボネートメンブレン上に細菌を付着させた後で、過酸化水素溶液をスプレーし、メンブレンを強制空気で乾かすことは、実施例4に記載の材料、設備、および方法を使用して行われた。
【0143】
第1組のメンブレンが、受け取ったままの大腸菌溶液の10,000倍希釈物を150μL付着させることによって準備された。実施例4のガイダンスを用いると、500個の細菌がこれらのメンブレンそれぞれの上に付着したと予測される。
【0144】
過酸化水素濃度が3%(w/v)の過酸化水素の水溶液を入手し(マサチューセッツ州オールストンにあるWalgreens)、これらの細菌が付着したメンブレン上にスプレーし、その後、小さな送風機で乾かし、メンブレンを、マット側を上にして寒天平板上に置いた。
図14は、37℃で一晩インキュベーションした後の、寒天平板上のこれら3つのメンブレンを示す。細菌コロニーはこれらのメンブレン上に見られず、付着した細菌がすべて不活性化または死滅したことを示している。
【0145】
第2組のメンブレンが、受け取ったままの大腸菌溶液の100,000倍希釈物を150μL付着させることにより準備された。実施例4のガイダンスを用いると、50個の細菌がこれらのメンブレンそれぞれの上に付着したと予測される。
【0146】
過酸化水素濃度が3%(w/v)の過酸化水素の水溶液を入手し(マサチューセッツ州オールストンにあるWalgreens)、これらの細菌が付着したメンブレン上にスプレーし、その後、小さな送風機で乾かし、メンブレンを、マット側を上にして寒天平板上に置いた。
図15は、37℃で一晩インキュベーションした後の、寒天平板上のこれら3つのメンブレンを示す。細菌コロニーはこれらのメンブレン上に見られず、付着した細菌がすべて不活性化または死滅したことを示している。
【0147】
第3組のメンブレンが、受け取ったままの大腸菌溶液の1,000,000倍希釈物を150μL付着させることにより準備された。実施例4のガイダンスを用いると、5個の細菌がこれらのメンブレンそれぞれの上に付着したと予測される。
【0148】
過酸化水素濃度が3%(w/v)の過酸化水素の水溶液を入手し(マサチューセッツ州オールストンにあるWalgreens)、これらの細菌が付着したメンブレン上にスプレーし、その後、小さな送風機で乾かし、メンブレンを、マット側を上にして寒天平板上に置いた。
図16は、37℃で一晩インキュベーションした後の、寒天平板上のこれら3つのメンブレンを示す。細菌コロニーはこれらのメンブレン上に見られず、付着した細菌がすべて不活性化または死滅したことを示している。
【0149】
この実施例の第1組のメンブレンからの結果は、この第1の組からのメンブレン上における約500個の細菌の不活性化を示す。この発見は、過酸化水素の希釈水溶液(3%)を短時間スプレーした後で素早く乾かすことにより、処置表面上における細菌個体群の少なくとも2.7の対数減少を生じ得ることを示す。
【0150】
〔実施例6〕
この実施例では、過酸化水素の希釈水溶液(1%w/vおよび0.33%w/v)を短時間スプレーした後で素早く乾かすことにより、ポリカーボネートメンブレン上の細菌を不活性化することを説明する。これらの実験では、ポリカーボネートメンブレン上に細菌を付着させた後で、過酸化水素溶液をスプレーし、メンブレンを強制空気で乾かすことは、実施例4に記載の材料、設備、および方法を使用して行われた。
【0151】
メンブレンは、受け取ったままの大腸菌溶液の10,000倍希釈物を150μL付着させることによって準備された。実施例4のガイダンスを用いると、500個の細菌がこれらのメンブレンそれぞれの上に付着したと予測される。
【0152】
過酸化水素濃度が3%(w/v)の過酸化水素の水溶液を入手し(マサチューセッツ州オールストンにあるWalgreens)、3倍希釈し、再び3倍希釈することで、過酸化水素の1%(w/v)水溶液および0.33%(w/v)水溶液を得た。
【0153】
過酸化水素の1%(w/v)水溶液を、第1組の細菌が付着したメンブレンにスプレーし、その後、小さな送風機で乾かし、メンブレンを、マット側を上にして寒天平板上に置いた。
図17は、37℃で一晩インキュベーションした後の、寒天平板上のこれら3つのメンブレンを示す。細菌コロニーはこれらのメンブレン上に見られず、付着した細菌がすべて不活性化または死滅したことを示している。
【0154】
過酸化水素の0.33%(w/v)水溶液を、第2組の細菌が付着したメンブレンにスプレーし、その後、小さな送風機で乾かし、メンブレンを、マット側を上にして寒天平板上に置いた。
図18は、37℃で一晩インキュベーションした後の、寒天平板上のこれら3つのメンブレンを示す。3つの細菌コロニーがメンブレンのうちの1つに見られるが、残りのメンブレンはそれぞれ、ただ1つの細菌コロニーを含んでいる。
【0155】
3%(w/v)から1%(w/v)、そして0.33%(w/v)へと過酸化水素濃度を下げると、病原菌不活性化流体または死滅流体の効力を低減させるように思われるが、0.33%(w/v)の過酸化水素溶液は依然として実質的な効力を有していることが注目され得る。
【0156】
〔実施例7〕
この実施例では、次亜塩素酸の希釈溶液を短時間スプレーした後で素早く乾かすことにより、ポリカーボネートメンブレン上の細菌を不活性化することを説明する。これらの実験では、ポリカーボネートメンブレン上に細菌を付着させた後で、次亜塩素酸溶液をスプレーし、メンブレンを強制空気で乾かすことは、実施例4に記載の材料、設備、および方法を使用して行われた。
【0157】
第1組のメンブレンが、受け取ったままの大腸菌溶液の10,000倍希釈物を150μL付着させることによって準備された。実施例4のガイダンスを用いると、500個の細菌がこれらのメンブレンをそれぞれの上に付着したと予測される。
【0158】
次亜塩素酸濃度が0.046%の次亜塩素酸の水溶液を入手し(サウスカロライナ州リトルリバーにあるIntegrated Environmental Technologies, LTD.のExcelyte)、これらの細菌が付着したメンブレン上にスプレーし、その後、小さな送風機で乾かし、メンブレンを、マット側を上にして寒天平板上に置いた。
図19は、37℃で一晩インキュベーションした後の、寒天平板上のこれら3つのメンブレンを示す。細菌コロニーはこれらのメンブレン上に見られず、付着した細菌がすべて不活性化または死滅したことを示している。
【0159】
第2組のメンブレンが、受け取ったままの大腸菌溶液の100,000倍希釈物を150μL付着させることにより準備された。実施例4のガイダンスを用いると、50個の細菌がこれらのメンブレンそれぞれの上に付着したと予測される。
【0160】
次亜塩素酸濃度が0.046%の次亜塩素酸の水溶液を入手し(サウスカロライナ州リトルリバーにあるIntegrated Environmental Technologies, LTD.のExcelyte)、これらの細菌が付着したメンブレン上にスプレーし、その後、小さな送風機で乾かし、メンブレンを、マット側を上にして寒天平板上に置いた。
図20は、37℃で一晩インキュベーションした後の、寒天平板上のこれら3つのメンブレンを示す。図の上部のメンブレン上には細菌コロニーが見られないが、この図に示す残りの2つのメンブレン上には単一の細菌コロニーがあり得る。
【0161】
第3組のメンブレンが、受け取ったままの大腸菌溶液の1,000,000倍希釈物を150μL付着させることにより準備された。実施例4のガイダンスを用いると、5個の細菌がこれらのメンブレンそれぞれの上に付着したと予測される。
【0162】
次亜塩素酸濃度が0.046%の次亜塩素酸の水溶液を入手し(サウスカロライナ州リトルリバーにあるIntegrated Environmental Technologies, LTD.のExcelyte)、これらの細菌が付着したメンブレン上にスプレーし、その後、小さな送風機で乾かし、メンブレンを、マット側を上にして寒天平板上に置いた。
図21は、37℃で一晩インキュベーションした後の、寒天平板上のこれら3つのメンブレンを示す。細菌コロニーはこれらのメンブレン上に見られず、付着した細菌がすべて不活性化したことを示している。
【0163】
この実施例の第1組のメンブレンからの結果は、この第1の組からのメンブレン上における約500個の細菌の不活性化を示す。この発見は、次亜塩素酸の希釈水溶液を短時間スプレーした後で素早く乾かすことにより、処置表面上における細菌個体群の少なくとも2.7の対数減少を生じ得ることを示す。
【0164】
〔実施例8〕
この実施例では、イソプロピルアルコールの水溶液を短時間スプレーした後で素早く乾かすことにより、ポリカーボネートメンブレン上の細菌を不活性化することを説明する。これらの実験では、ポリカーボネートメンブレン上に細菌を付着させた後で、次亜塩素酸溶液でスプレーし、メンブレンを強制空気で乾かすことは、実施例4に記載の材料、設備、および方法を使用して行われた。
【0165】
第1組のメンブレンが、受け取ったままの大腸菌溶液の10,000倍希釈物を150μL付着させることによって準備された。実施例4のガイダンスを用いると、500個の細菌がこれらのメンブレンそれぞれの上に付着したと予測される。
【0166】
イソプロピルアルコール濃度が70%のイソプロピルアルコールの水溶液を入手し(マサチューセッツ州ベルモントにあるCVS)、これらの細菌が付着したメンブレン上にスプレーし、その後、小さな送風機で乾かし、メンブレンを、マット側を上にして寒天平板上に置いた。
図22は、37℃で一晩インキュベーションした後の、寒天平板上のこれら3つのメンブレンを示す。細菌コロニーはこれらのメンブレン上に見られず、付着した細菌がすべて不活性化または死滅したことを示している。
【0167】
第2組のメンブレンが、受け取ったままの大腸菌溶液の100,000倍希釈物を150μL付着させることにより準備された。実施例4のガイダンスを用いると、50個の細菌がこれらのメンブレンそれぞれの上に付着したと予測される。
【0168】
イソプロピルアルコール濃度が70%のイソプロピルアルコールの水溶液を入手し(マサチューセッツ州ベルモントにあるCVS)、これらの細菌が付着したメンブレン上にスプレーし、その後、小さな送風機で乾かし、メンブレンを、マット側を上にして寒天平板上に置いた。
図23は、37℃で一晩インキュベーションした後の、寒天平板上のこれら3つのメンブレンを示す。細菌コロニーはこれらのメンブレン上に見られず、付着した細菌がすべて不活性化または死滅したことを示している。
【0169】
第3組のメンブレンが、受け取ったままの大腸菌溶液の1,000,000倍希釈物を150μL付着させることにより準備された。実施例4のガイダンスを用いると、5個の細菌がこれらのメンブレンそれぞれの上に付着したと予測される。
【0170】
イソプロピルアルコール濃度が70%のイソプロピルアルコールの水溶液を入手し(マサチューセッツ州ベルモントにあるCVS)、これらの細菌が付着したメンブレン上にスプレーし、その後、小さな送風機で乾かし、メンブレンを、マット側を上にして寒天平板上に置いた。
図24は、37℃で一晩インキュベーションした後の、寒天平板上のこれら3つのメンブレンを示す。細菌コロニーはこれらのメンブレン上に見られず、付着した細菌がすべて不活性化または死滅したことを示している。
【0171】
この実施例の第1組のメンブレンからの結果は、この第1の組からのメンブレン上における約500個の細菌の不活性化を示す。この発見は、イソプロピルアルコールの水溶液を短時間スプレーした後で素早く乾かすことにより、処置表面上における細菌個体群の少なくとも2.7の対数減少を生じ得ることを示す。
【0172】
〔実施例9〕
この実施例では、過酸化水素の水溶液を短時間スプレーした後で素早く乾かすことにより、ポリカーボネートメンブレン上の細菌胞子を不活性化することを説明する。この実施例で使用した過酸化水素の水溶液は、蒸留水を用いて希釈されたか、または過酸化水素水溶液(12%)(コロラド州フォートコリンズにあるO−W & Company)から受け取ったまま使用された。流体をスプレーするのに使用されたエアブラシは、メンブレンの乾燥に使用される送風機と共に、実施例1に記載されている。
【0173】
6633細胞株の枯草菌胞子の溶液を入手し(オハイオ州ノースウッドにあるNAMSA)、蒸留水で100倍希釈して、1mL当たり約190,000個の胞子を含有する希釈胞子溶液を作製した。それぞれが直径25mmで0.4μmの孔を有する、3つのトラックエッチドポリカーボネートメンブレン(ミズーリ州セントルイスにあるSigma−AldrichのWhatman Nucleopore)が、真空マニホールド(マサチューセッツ州ベッドフォードにあるMillipore)上に置かれた。真空引き動作により、150μLの希釈胞子溶液が、ポリカーボネートメンブレンそれぞれの露出(マット)表面の中央上にピペットで移された。溶液は、トラックエッチドメンブレンを通って素早く引き出され、約30,000個の胞子をメンブレンそれぞれの露出(マット)表面上に残した。真空マニホールド上で3分乾かした後、メンブレンは、小さな送風機からの空気流の下でメンブレンそれぞれを保持することにより、さらに乾かされた。
【0174】
これらの胞子が付着したメンブレンは、次に、予め洗浄された実験台の表面に置かれ、エアブラシを用いて、蒸留水、または3%、6%、9%、もしくは12%の過酸化水素の水溶液を約1秒間スプレーされ、その後、メンブレンを小さな送風機の出力付近に保持することによって約5秒間乾かされた。スプレー行為は、各スプレー後の各メンブレンの上部における観察された反射光沢に基づけば、均一な被覆を送達したと予測される。小さな送風機で5秒乾かした後、メンブレンは、すべての流体を除去され、完全に乾いたように見え、その後、メンブレンは、寒天平板上に置かれ、37℃で一晩インキュベーションさせられた。この実施例で使用される寒天平板は、成形済みのルリア培地(LB)寒天平板(ノースカロライナ州バーリントンにあるCarolina Biological Supply Company)であった。
【0175】
図25A〜
図25Eは、37℃で一晩インキュベーションした後の、寒天培地上における、胞子が付着し、かつ流体をスプレーされたさまざまなメンブレンの画像を示す。
図25A〜
図25Eは、本明細書では、逆の順序で説明する。
図25Eのパネル2501に示すように、画像は、蒸留水の短時間のスプレーを受けた、胞子が付着したメンブレン上における実質的な細菌増殖を示す。ここで、実質的な細菌増殖の証拠は、円形のメンブレンそれぞれの中央における、(ほぼ)円形の黒いパッチである。パネル2501では、黒いパッチは、水のスプレーおよび乾燥後に胞子溶液がメンブレン上に付着され37℃で一晩インキュベーションされたところで成長した、細菌の完全な菌叢を含む。
【0176】
図25D(パネル2502)は、3%の過酸化水素の水溶液の短時間のスプレーを受けた、胞子が付着したメンブレン上における実質的な細菌増殖を表す画像を示す。ここで、実質的な細菌増殖の証拠は、円形のメンブレンそれぞれの中央における、(ほぼ)円形の黒いパッチである。
図25Dでは、黒いパッチは、胞子溶液が付着したところにおいて37℃で一晩インキュベーションした後で成長した細菌の(ほぼ)完全な菌叢を含む。3%の過酸化水素水溶液が枯草菌胞子を素早く不活性化させる能力の一部の証拠を、円形のメンブレンそれぞれの中央における、より大きな黒いパッチ内部の小さい別個の黒いパッチの外観を通じて見ることができる。これらの小さい別個のパッチは、3%(w/v)の過酸化水素の水溶液による短時間のスプレーで不活性化されなかった胞子から成長した、単離コロニーに対応するようである。ある程度の不活性化の証拠は、これらの小さい別個の黒いパッチ間の、細菌がないかまたは含まれない領域の外観を通じて見られる。
【0177】
図25C(パネル2503)は、6%(w/v)の過酸化水素の水溶液の短時間のスプレーを受けた、胞子が付着したメンブレンにおいて、細菌増殖が無いことを示す。
図25B(パネル2504)は、9%(w/v)の過酸化水素の水溶液の短時間のスプレーを受けた、胞子が付着したメンブレンにおいて、細菌増殖が無いことを示す。最後に、
図25A(パネル2505)は、12%(w/v)の過酸化水素の水溶液の短時間のスプレーを受けた、胞子が付着したメンブレンにおいて、細菌増殖が無いことを示す。パネル2503(
図25C)、2504(
図25B)、2505(
図25A)では、細菌増殖が無い証拠、よって、細菌胞子の完全な不活性化の証拠は、過酸化水素水溶液のスプレー、乾燥、およびその後の37℃での一晩のインキュベーションより前に、胞子溶液が付着したメンブレンそれぞれの中央に、小さく別個の黒いパッチも、大きく完全な黒いパッチもないことによって示されている。
図25A〜
図25Eでは、メンブレンはすべて、寒天培地の上に位置する間に撮像された。この構成により、不活性化されていない胞子が、発芽および増殖し、各メンブレン内部のμm未満の直径の貫通穴もしくは孔を通じて寒天培地から栄養分を取り出すことができる。
【0178】
特に、細菌増殖は、6%、9%、または12%(w/v)の過酸化水素の水溶液をスプレーされた、胞子が付着したメンブレンでは見られない。結果が
図25A〜
図25Eに示されている、これらの実験は、表面上の細菌胞子が、過酸化水素の水溶液による短時間のスプレーと、その後の素早い乾燥により不活性化され得ることを証明している。
【0179】
本開示は、さまざまな実施形態および実施例と共に説明されてきたが、記載される技術がこのような実施形態または実施例に制限されることは意図していない。それどころか、記載される技術は、当業者が理解するような、さまざまな代替案、改造物、および等価物を含むものである。したがって、前述の説明および図面は、ほんの一例にすぎない。
【0180】
〔実施の態様〕
(1) 病原菌を死滅させるか、または不活性化するシステムにおいて、
少なくとも1つのノズルと流体連通する活性薬剤容器を有するハウジングと、
前記少なくとも1つのノズルと流体連通する空気ポンプと、
送達用量の、前記少なくとも1つのノズルを通るエアゾールとしての活性薬剤の送達を制御するように構成された制御モジュールと、
を含み、
前記システムは、前記送達用量を、5秒以下である時間内に薄く均一な乾燥被覆として、標的表面に送達するように構成されている、システム。
(2) 実施態様1に記載のシステムにおいて、
前記少なくとも1つのノズルに空気を提供するように構成された空気タンクをさらに含む、システム。
(3) 実施態様1に記載のシステムにおいて、
前記少なくとも1つのノズルにおける圧力を制御するように構成された圧力調節器をさらに含む、システム。
(4) 実施態様1に記載のシステムにおいて、
前記制御モジュールに通信可能に連結され、かつ前記システムの動作に関する情報を表示するように構成されたディスプレイをさらに含む、システム。
(5) 実施態様4に記載のシステムにおいて、
前記ディスプレイは、前記システムの動作に関する命令を受信するように構成された対話型ディスプレイを含む、システム。
【0181】
(6) 実施態様1に記載のシステムにおいて、
前記少なくとも1つのノズルに近接した前記標的表面の存在を検出するように構成された少なくとも1つのセンサーをさらに含む、システム。
(7) 実施態様1に記載のシステムにおいて、
前記標的表面に送達された前記送達用量を乾かすように構成された乾燥構成要素をさらに含む、システム。
(8) 実施態様1に記載のシステムにおいて、
前記活性薬剤容器は、取り外し可能で詰め替え可能な試薬収容カートリッジを収めている、システム。
(9) 実施態様1に記載のシステムにおいて、
前記活性薬剤容器は、前記活性薬剤の供給を受ける貯蔵器として構成されている、システム。
(10) 実施態様1に記載のシステムにおいて、
前記活性薬剤は、過酸化水素の水溶液、次亜塩素酸の水溶液、イソプロピルアルコールの水溶液、エタノールの水溶液、過酢酸の水溶液、酢酸の水溶液、次亜塩素酸ナトリウムの水溶液、オゾンの水溶液、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される溶液を含む、システム。
【0182】
(11) 実施態様10に記載のシステムにおいて、
前記過酸化水素の水溶液は、約0.3%〜約15%の過酸化水素を含む、システム。
(12) 実施態様11に記載のシステムにおいて、
前記過酸化水素の水溶液は、約0.33%、1%、3%、6%、9%、または12%の過酸化水素を含む、システム。
(13) 実施態様10に記載のシステムにおいて、
前記次亜塩素酸の水溶液は、少なくとも約0.046%の次亜塩素酸を含む、システム。
(14) 実施態様10に記載のシステムにおいて、
前記イソプロピルアルコールの水溶液は、少なくとも約70%のイソプロピルアルコールを含む、システム。
(15) 実施態様1に記載のシステムにおいて、
前記活性薬剤は、過酢酸と過酸化水素との水性混合物を含む、システム。
【0183】
(16) 実施態様1に記載のシステムにおいて、
前記少なくとも1つのノズルは、単一の静止ノズルを含む、システム。
(17) 実施態様1に記載のシステムにおいて、
前記少なくとも1つのノズルは、2つ以上の静止ノズルを含む、システム。
(18) 実施態様1に記載のシステムにおいて、
前記少なくとも1つのノズルは、2つ以上の可動ノズルを含む、システム。
(19) 実施態様1に記載のシステムにおいて、
前記少なくとも1つのノズルを起動するためにユーザー入力を受信するように構成された少なくとも1つのアクチュエータをさらに含む、システム。
(20) 実施態様1に記載のシステムにおいて、
前記少なくとも1つのノズルは、前記活性薬剤の均一層を前記標的表面へと送達するように構成され、
前記均一層は、約1μm〜約50μmの厚さを有する、システム。
【0184】
(21) 実施態様20に記載のシステムにおいて、
前記均一層は、約5μm〜約20μmの厚さを有する、システム。
(22) 実施態様1に記載のシステムにおいて、
前記少なくとも1つのノズルは、超音波ノズルである、システム。
(23) 実施態様1に記載のシステムにおいて、
前記少なくとも1つのノズルは、空気流ベースの噴霧ノズルを含む、システム。
(24) 実施態様1に記載のシステムにおいて、
前記システムは、圧力ベースの流体ポンプを含む、システム。
(25) 表面上の病原菌を死滅させるか、または不活性化する方法において、
前記表面上に活性薬剤のエアゾール化層をスプレーすることを含み、
前記層は、薄く実質的に均一な被覆であり、
前記スプレーすることは、第1の期間にわたって行われ、前記エアゾール化層は、第2の期間にわたって乾くのに有効であると共に、前記表面上の前記病原菌を死滅させるか、または不活性化するのに有効であり、
前記第1および第2の期間の持続時間は、5秒未満である、方法。
【0185】
(26) 実施態様25に記載の方法において、
前記病原菌は、細菌、ウイルス、真菌、それらの胞子、またはそれらの任意の組み合わせを含む、方法。
(27) 実施態様26に記載の方法において、
前記細菌は、エンテロコッカス・フェシウム、黄色ブドウ球菌、肺炎桿菌、アシネトバクター、緑膿菌、およびエンテロバクター(「ESKAPE」)を含む、方法。
(28) 実施態様26に記載の方法において、
前記細菌は、大腸菌、サルモネラ菌、およびリステリア菌のうちの少なくとも1つを含む、方法。
(29) 実施態様26に記載の方法において、
前記ウイルスは、無エンベロープウイルスを含む、方法。
(30) 実施態様29に記載の方法において、
前記無エンベロープウイルスは、ノロウイルス、ライノウイルス、コクサッキーウイルス、ロタウイルス、またはそれらの任意の組み合わせを含む、方法。
【0186】
(31) 実施態様26に記載の方法において、
前記ウイルスは、エンベロープウイルスを含む、方法。
(32) 実施態様31に記載の方法において、
前記エンベロープウイルスは、インフルエンザウイルスを含む、方法。
(33) 実施態様26に記載の方法において、
前記胞子は、クロストリジウム・ディフィシルの胞子を含む、方法。
(34) 実施態様25に記載の方法において、
前記表面は、手の表面である、方法。
(35) 実施態様25に記載の方法において、
前記第1および第2の期間の前記持続時間は、3秒未満である、方法。
【0187】
(36) 実施態様25に記載の方法において、
前記第1の期間は、約1秒以下である、方法。
(37) 実施態様25に記載の方法において、
前記第2の期間は、約2秒以下である、方法。
(38) 実施態様25に記載の方法において、
前記活性薬剤の前記層は、厚さが約1μm〜約50μmである、方法。
【図面の簡単な説明】
【0188】
【
図1】記載される技術を実施することができる、システムの概略図である。
【
図2A】記載される技術を実施することができる、システムの別の概略図である。
【
図2B】記載される技術を実施することができる、システムの別の概略図である。
【
図2C】記載される技術を実施することができる、システムの別の概略図である。
【
図3】手などの表面に活性薬剤を分配することができる静止ノズルを有するシステムの略図である。
【
図4】一対の手などの表面に活性薬剤を分配することができるノズルのアレイを有するシステムの略図である。
【
図5A】一対の手などの表面に活性薬剤を分配するために衛生化システムと共に使用され得るノズルの可動アレイの略図である。
【
図5B】一対の手などの表面に活性薬剤を分配するために衛生化システムと共に使用され得るノズルの可動アレイの略図である。
【
図5C】一対の手などの表面に活性薬剤を分配するために衛生化システムと共に使用され得るノズルの可動アレイの略図である。
【
図6】記載される技術に従って表面を衛生化する方法のフローチャートである。
【
図7】記載される技術に従って表面を衛生化する方法のフローチャートである。
【
図8】細菌で覆われた指上に活性薬剤を塗布する効果を証明する、実験の結果を示す寒天平板の画像である。
【
図9】細菌で覆われた指上に活性薬剤を塗布する効果を証明する、別の実験の結果を示す寒天平板の別の画像である。
【
図10】10,000倍希釈細菌溶液に曝されたメンブレン上において相当な細菌増殖があることを証明する、実験の結果を示す寒天平板の画像である。
【
図11】10,000倍希釈細菌溶液に曝されたメンブレン上において相当な細菌増殖があることを証明する、別の実験の結果を示す寒天平板の別の画像である。
【
図12】100,000倍希釈細菌溶液に曝されたメンブレン上において中程度の細菌増殖があることを証明する、別の実験の結果を示す寒天平板の画像である。
【
図13】1,000,000倍希釈細菌溶液に曝されたメンブレン上において限られた細菌増殖があることを証明する、別の実験の結果を示す寒天平板の画像である。
【
図14】10,000倍希釈細菌溶液に曝されたメンブレン上において、過酸化水素の3%水溶液を用いてこのメンブレンを処理した際に、細菌増殖が無いことを証明する、実験の結果を示す寒天平板の画像である。
【
図15】100,000倍希釈細菌溶液に曝されたメンブレン上において、過酸化水素の3%水溶液を用いてこのメンブレンを処理した際に、細菌増殖が無いことを証明する、実験の結果を示す寒天平板の画像である。
【
図16】1,000,000倍希釈細菌溶液に曝されたメンブレン上において、過酸化水素の3%水溶液を用いてこのメンブレンを処理した際に、細菌増殖が無いことを証明する、実験の結果を示す寒天平板の画像である。
【
図17】10,000倍希釈細菌溶液に曝されたメンブレン上において、過酸化水素の1%水溶液を用いてこのメンブレンを処理した際に、細菌増殖が無いことを証明する、実験の結果を示す寒天平板の画像である。
【
図18】10,000倍希釈細菌溶液に曝されたメンブレン上において、過酸化水素の0.33%水溶液を用いてこのメンブレンを処理した際に、限られた細菌増殖があることを証明する、実験の結果を示す寒天平板の画像である。
【
図19】10,000倍希釈細菌溶液に曝されたメンブレン上において、次亜塩素酸の希釈水溶液を用いてこのメンブレンを処理した際に、細菌増殖が無いことを証明する、実験の結果を示す寒天平板の画像である。
【
図20】100,000倍希釈細菌溶液に曝されたメンブレン上において、次亜塩素酸の希釈水溶液を用いてこのメンブレンを処理した際に、限られた細菌増殖があることを証明する、実験の結果を示す寒天平板の画像である。
【
図21】1,000,000倍希釈細菌溶液に曝されたメンブレン上において、次亜塩素酸の希釈水溶液を用いてこのメンブレンを処理した際に、細菌増殖が無いことを証明する、実験の結果を示す寒天平板の画像である。
【
図22】10,000倍希釈細菌溶液に曝されたメンブレン上において、イソプロピルアルコールの70%水溶液を用いてこのメンブレンを処理した際に、細菌増殖が無いことを証明する、実験の結果を示す寒天平板の画像である。
【
図23】100,000倍希釈細菌溶液に曝されたメンブレン上において、イソプロピルアルコールの70%水溶液を用いてこのメンブレンを処理した際に、細菌増殖が無いことを証明する、実験の結果を示す寒天平板の画像である。
【
図24】1,000,000倍希釈細菌溶液に曝されたメンブレン上において、イソプロピルアルコールの70%水溶液を用いてこのメンブレンを処理した際に、細菌増殖が無いことを証明する、実験の結果を示す寒天平板の画像である。
【
図25A】約30,000個の枯草菌胞子が予め付着され、かつ12%の過酸化水素濃度を有する過酸化水素水溶液で処理されたメンブレンの画像を示す。
【
図25B】約30,000個の枯草菌胞子が予め付着され、かつ9%の過酸化水素濃度を有する過酸化水素水溶液で処理されたメンブレンの画像を示す。
【
図25C】約30,000個の枯草菌胞子が予め付着され、かつ6%の過酸化水素濃度を有する過酸化水素水溶液で処理されたメンブレンの画像を示す。
【
図25D】約30,000個の枯草菌胞子が予め付着され、かつ3%の過酸化水素濃度を有する過酸化水素水溶液で処理されたメンブレンの画像を示す。
【
図25E】約30,000個の枯草菌胞子が予め付着され、かつ蒸留水で処理されたメンブレンの画像を示す。