特許第6818862号(P6818862)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6818862
(24)【登録日】2021年1月5日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】エレベータのかご
(51)【国際特許分類】
   B66B 11/02 20060101AFI20210107BHJP
【FI】
   B66B11/02 F
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-232106(P2019-232106)
(22)【出願日】2019年12月5日
【審査請求日】2019年12月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100211502
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 祥弘
(72)【発明者】
【氏名】新野 隆司
【審査官】 羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−190883(JP,A)
【文献】 特開2015−3820(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 11/00−11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータのかごの天井板と、
前記天井板よりも上部に位置し、前記かごの内部に送り込む風を発生させるファンと、
前記ファンに設けられ、前記ファンで発生させた風を送り出す孔である第一の吹き出し口と、
前記天井板に設けられ、前記ファンで発生させた風をかご内に送り込む孔である第二の吹き出し口と、
前記ファンと前記天井板の間に位置し、前記第二の吹き出し口の上に設けられ、前記第一の吹き出し口から流れてきた風を前記かご内へと導くアダプターと、
を備え、
前記アダプターは、前記天井板に対して前記ファンを傾斜して取り付けるための面である斜面と、該斜面に設けられ、前記第一の吹き出し口と接続され、前記第一の吹き出し口から送り込まれる風を流す孔である接続部と、を有し、
前記第一の吹き出し口と前記第二の吹き出し口とは、投影面上重ならない位置に存在することを特徴とするエレベータのかご。
【請求項2】
前記斜面は、前記天井板に対して略45°の傾きを有することを特徴とする請求項1に記載のエレベータのかご。
【請求項3】
前記斜面は、前記天井板に対して15°乃至30°の傾きを有することを特徴とする請求項1に記載のエレベータのかご。
【請求項4】
前記アダプターは、前記接続部の縁近傍から前記第二の吹き出し口に向けて、風の流れを誘導する、対向する二枚の整風板をさらに有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のエレベータのかご。
【請求項5】
前記アダプター及び前記整風板のいずれか一方もしくは双方に、騒音の低減のための防音材を有することを特徴とする請求項4に記載のエレベータのかご。
【請求項6】
前記アダプターに設けられ、前記天井板と前記アダプターとを接続するための第一の接続部と、
前記ファンに設けられ、前記アダプターと前記ファンとの接続のための第二の接続部と、
をさらに有し、
前記第一の接続部と前記天井板との間、及び、前記第二の接続部と前記アダプターとの間のいずれか一方もしくは双方に、振動の低減のためのクッション材を有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のエレベータのかご。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータのかごに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エレベータのかごにおける空気の循環に関しては、送風手段としての空調ファンが用いられている。ファン本体はエレベータのかごの天井板の上に設けられ、ルーバーを介してかご内部へと風が送られる。これまで、かご内に効率的に空気を送風するために、天井板に設けられる空気の吹き出し口の直上にファンを配置して送風する機構が設けられてきた。しかし、ファン本体が天井板吹き出し口の直上に配置されていることにより、かご内から天井を見上げた際、ルーバーの隙間を介してファン本体が見えてしまうといった意匠性の問題があった。
【0003】
このような従来技術に対して、ファン本体が直接視界に入らないように考慮したエレベータのかごが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭61−83680号公報
【特許文献2】特許第5157509号公報
【特許文献3】特開2009−208922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
意匠性の問題を解消するため、エレベータのかご本体もしくはかご内部に別の機構を加え、送風経路を変化させることでかご内の利用者からファン本体が直接視界に入らないようにしているものがある。例えば、照明の裏側に送風路を形成したものや、送風路内に偏風板を設置した造りのものがあり、いずれもかご内の意匠を考慮した構造が必要になる。他にも、天井板吹き出し口の意匠面側つまりかご内部側からパンチング処理プレート等を取り付けて、かごの上に設置されるファンがかご内から直接見えにくくなる対応をとっているものがある。この場合、かご内部へいわゆるシャワー状に空気が供給されるため、吹き出し口の開口面積が小さくなり、十分な量の風を送ることができない。
【0006】
一方、かご本体の構造を変えずに、動作中のファンが見えにくい構造を有しているものとして、天井板吹き出し口の直上からずらした位置にファンを設置しているものがある。これは、ファンと天井板の各吹き出し口との間に風を伝える部品を設け、ルーバーとファン本体との間に、ある程度の空間を確保している。そのため、視線を遮ることができ、意匠性の低下の要因を排除できる。
【0007】
しかし、例えば、空調ファン本体からかご内へ蛇腹状のホースを介して送風する場合、ファンの回転動作で生じた風はエネルギーの損失が起こり、風速が落ちてしまうという課題がある。さらに、空調ファンの設置の際の構成部品が多いと据付作業の効率が良いとは言い難く、かつ設置面積は広く必要となってしまう。
【0008】
以上のことから本発明では、空調ファンを設けるかご上のスペースをできるだけコンパクトに収め、エネルギーの損失を有効に抑制しつつ、かご内からファンが直接視界に入りにくい意匠的に優れたエレベータかごを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態のエレベータのかごは、エレベータのかごの天井板と、前記天井板よりも上部に位置し、前記かご内部に送り込む風を発生させるファンと、前記ファンに設けられ、前記ファンで発生させた風を送り出す孔である第一の吹き出し口と、前記天井板に設けられ、前記ファンで発生させた風をかご内に送り込む孔である第二の吹き出し口と、前記ファンと前記天井板の間に位置し、前記第二の吹き出し口の上に設けられ、前記第一の吹き出し口から流れてきた風を前記かご内へと導くアダプターと、を備え、前記アダプターは、前記天井板に対して前記ファンを傾斜して取り付けるための面である斜面と、該斜面に設けられ、前記第一の吹き出し口と接続され、前記第一の吹き出し口から送り込まれる風を流す孔である接続部と、を有し、前記第一の吹き出し口と前記第二の吹き出し口とは、投影面上重ならない位置に存在する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明におけるエレベータのかごの構成を示す図である。
図2図2は、アダプターの斜視図である。
図3図3は、本実施形態の他の形状を示すアダプターの斜視図(1)である。
図4図4は、他の形状を示すアダプターの斜視図(2)である。
図5図5は、他の形状を示すアダプターの斜視図(3)である。
図6図6は、天井板と、アダプターと、ファンとの接続関係を示す斜視図である。
図7図7は、天井板と、アダプターと、ファンとの接続関係を示す側面図であり、乗客の視線の一例を示す図である。
図8図8は、アダプターの角度と設置スペースとの関係を示す図である。
図9図9は、第二実施形態における、天井板と、整風板を有するアダプターと、ファンとの接続関係を示す側面図である。
図10図10は、整風板を有するアダプターの斜視図である。
図11図11は、図9の機構に防音材を加えた、第三実施形態を説明する図である。
図12図12は、図9の機構にクッション材を加えた、第四実施形態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第一実施形態>
以下、本発明実施形態の空調ファンを設置しているエレベータのかごについて、図面を参照しながら説明する。本実施形態は、意匠性の低下を有効に防ぎつつ、かご内への空調を適切に行う。
【0012】
図1は、エレベータのかごの構成を示す図である。
【0013】
エレベータのかご1は、床板2の上面外周に側板3を配置し、その上面に天井板5を取り付ける形で構成されている。かごドア4は、エレベータの出入口通路である図中左側に位置する。天井板5には、かご1内への空気循環のための孔部である、天井板吹き出し口6が設けられており、その天井板吹き出し口6の直上にアダプター7を設けている。アダプター7の面の一つには、長方形の細長い孔部であるファン吹き出し口接続部8が設けられている。そのファン吹き出し口接続部8に、ファン9に設けられたファン吹き出し口10の凸部11を挿し込むことでファン9を配置する。
【0014】
次に、図2を用いて、アダプター7の構造を説明する。
【0015】
図2において、アダプター7は、五角形の側面7A,7B、長方形の側面7C,7D、斜面7E、上面7F、取り付け面7G,7Hからなる鋼板で構成されている。
【0016】
斜面7Eには、ファン9を接続するための孔部である、ファン吹き出し口接続部8を設けている。ファン吹き出し口接続部8は、ファン吹き出し口10の形状に合わせて開口部分の大きさや位置を変更してもよい。
【0017】
また、アダプター7は底面を有しておらず、縁のある帽子状になっている。さらに、アダプター7は斜面7Eを有する形状であればよく、例えば、図3に示すように側面7Dを持たず、斜面7Eが直接、天井板5に接する構造でもよいし、あるいは、図4のように上面7Fを持たず、側面7Cから斜面7Eにつながる構造であってもよい。また、図5のように、側面7Dと上面7Fの両方を持たず、側面7Aと側面7Bが三角形となる立体構造でもよい。
【0018】
次に、図6を用いて、天井板5とアダプター7との設置構造、及びアダプター7とファン9との設置構造を説明する。
【0019】
アダプター7は、天井板5に設けられている天井板吹き出し口6を覆うように直上に配置され、天井板吹き出し口6とファン吹き出し口接続部8とが投影面上重ならない位置に調整する。そして、アダプター7の取り付け面7G,7Hに設けたアダプター締結部12にボルトを挿入することにより、アダプター7を天井板5に固定する。
【0020】
一方、ファン9は、そのファン吹き出し口10をアダプター7のファン吹き出し口接続部8の位置に重なるように合わせ、ファン吹き出し口10に設けられている凸部11をファン吹き出し口接続部8に挿し込む。そしてファン9の底面を斜面7Eに添わせるようにして安定させた後、ファン9の外枠に設けられた左右の取り付け面上のファン締結部13にボルトを挿入することにより、ファン9をアダプター7に固定する。
【0021】
本実施形態では、アダプター締結部12、ファン締結部13にそれぞれ2つずつ、計4つのボルトを用いて締結を行っているが、気密性を高める場合には数を増やしてもよい。また、ファン9及びアダプター7の締結には、各種溶接等のボルト締結以外の方法を用いてもよい。
【0022】
図7は、かご1内から天井板吹き出し口6を見上げた際の乗客の視線と天井板5上の構造との関係を示す図である。
【0023】
天井板吹き出し口6の縁には、ルーバー14が、カバーの役割として、天井板吹き出し口6全体を覆うようにかご1内面側から取り付けられている。
【0024】
また、本実施形態では、ファン吹き出し口10と天井板吹き出し口6とが投影面上重ならず、つまり、乗客の視線15とファン9とが重ならないようにしている。従って、かご1内の乗客が真下から天井を見上げた場合でも、ルーバー14から天井板吹き出し口6を介して、ファン9内部の回転機構が見えにくくなる。
【0025】
本実施形態において、天井板吹き出し口6とファン吹き出し口10の二つの孔部が水平投影面上重なる位置には存在しないだけでなく、ファン9が天井板5に対して所定の角度だけ傾けている。
【0026】
天井板5に対するファン9の角度は、かご上のスペースやかご内に送り込む空気のエネルギー損失に影響する。また、構造としてファン9の底面とアダプター7は接しているため、天井板5に対するファン9の角度は、アダプター7の斜面7Eの傾きの角度と同等である。
【0027】
ここで図8を用いて、天井板5に対するファン9の設置角度θとアダプター7の設置の幅W及びかご上からのアダプター7の高さHの関係を説明する。
【0028】
ファン9の設置角度θを大きくすれば、設置の幅Wを小さくすることができ、天井上の空きスペースをより広く取ることができるため、据付や保守等の作業の際のスペースに余裕を作ることが可能である。しかし、ファン9の設置角度θが大きくなりすぎると図中右側のファン9の下側に位置する天井板5との間の空間が狭くなり、その空間の活用が難しくなる。天井板5の上は、エレベータの運行に係る他の装置も多く具設されているため、実際に作業スペースとして活用するだけでなく、他の装置を設置したりするためには、図中右側のファン9の下側に位置する天井板5との間の空間が広いほうが好ましい。このためには、ファン9の設置角度θは、およそ45°であることが望ましい。
【0029】
一方、ファン9の設置角度θを小さくすると、高さHを抑えることが可能である。つまり、天井上のオーバーヘッドの隙間を比較的小さく抑えることができ、エレベータを内設する建物にとって最上階の余分なスペースを縮小できる。
【0030】
ここで、高さHは、ファン9の設置角度θが45°で最大であり、角度を45°から90°へ向けて大きくしていく、あるいは45°より0°に向けて小さくしていくと、高さHは抑えることができる。
【0031】
さらに、ファン吹き出し口10から天井板吹き出し口6への距離が遠ければ遠いほど風のエネルギーの損失が起こり、送風効率が低下してしまう。つまり、ファン9の設置角度θが大きすぎると、ファン吹き出し口10から天井板吹き出し口6までに距離が長くなり、かご1内へと風が流れ伝わるまでに風力が落ちてしまう。そのため、ファン9の設置角度θはおよそ45°よりも大きくはせず、角度θを比較的緩やかにすることで、ファン吹き出し口10から天井板吹き出し口6への距離を抑え、風力を維持することが可能である。
【0032】
すなわち、設置の幅Wだけでなく、高さH及びファン吹き出し口10から天井板吹き出し口6までの距離も配慮した場合、1°〜45°の間としておよそ15〜30°が、幅Wと高さHとの両方のスペースにバランス良い形となり、エネルギー損失も有効に抑制できる。このように、設置スペースの状況に応じてファン9の設置角度θを選定して載置すればよい。
【0033】
ここでは、ファン9は、取付作業を容易に行うために、アダプター7の側面7Dの高さだけ嵩上げした位置に取り付けており、嵩上げしていない場合に比べて高さHは有するが、ファン9が天井板5とは接していないため振動が伝わりにくいという利点がある。
【0034】
その他、アダプター7内部に生じる空気の層は、ファン9本体の駆動音がかご1内へ伝わるのを抑制することができる。また、意匠性を考慮して天井板吹き出し口6を縮小する必要がないため、天井板吹き出し口6の大きさを縮小せず十分にとったまま、風をかご1内に送り込むことができ、ルーバー14に生じる風切り音等の騒音を有効に抑制する。
【0035】
また、ファン9の動作によって結露が生じることがあるが、ファン9を構成する外枠に傾きがあるため水滴の流れる経路や方向をある程度特定することが可能である。このため、水滴を集める機構もしくは吸収する機構をその特定の場所のみに設ければよく、かご1内への結露落下を簡素な構造で防止することができる。
【0036】
以上に述べたように、本発明のエレベータのかご及び空調ファン設置方法によれば、かご1内を特別な構造にすることなく、かご1上の作業スペースを配慮しつつ、ファン9とルーバー14とが投影面上重ならない位置に配置することで、かご1内部から見上げた際、ルーバー14の隙間を通してファン9が見えず、意匠性の低下を有効に抑制することができる。
【0037】
<第二実施形態>
第二実施形態は、前述した第一実施形態でのファンの設備に加え、アダプター内に空気の流れを誘導可能にする整風板を有するものである。
【0038】
図9は、整風板を有するアダプター7の側面図である。
【0039】
整風板16は、ファン吹き出し口接続部8から天井板吹き出し口6への空気の経路を限定するために用いており、二枚の鋼板から構成される。整風板16は、ファン吹き出し口接続部8から天井板5中の天井板吹き出し口6の位置を繋ぐ形で対にして構成されている。
【0040】
図10は、整風板16を有するアダプター7単体の斜視図である。
【0041】
ファン吹き出し口接続部8の長辺の長さと天井までの長さそれぞれに適切に合わせた整風板16が、ファン吹き出し口10と天井板吹き出し口6とを繋ぐように設置されているため、ファン吹き出し口10から吹き出されたかご内循環用の空気は、二枚の整風板16の間を通り、天井板吹き出し口6へと流れ、ルーバー14を介してかご1内に届く。
【0042】
第一実施形態ではアダプター7内に余分な空間があるため、風の流れは乱流となり、エネルギーの損失が起こり易くなるため、風速が低下し得る。それに対し、本実施形態の構成によれば、ファン吹き出し口10から吹き出されたかご内循環用の空気の流れがアダプター7内で乱れるのを防ぐため、エネルギーの損失を抑え、かご内循環用空気の速度低下を有効に抑制させることが可能となる。また、送風効率の損失を伴わずに風量を確保することができる。
【0043】
<第三実施形態>
第三実施形態は、前述した第二実施形態の構造に加え、騒音の要因となるファンの動作音を吸収する防音材を有するものである。
【0044】
図11は、図9における整風板を有するアダプターの機構に、本実施形態の防音材17をさらに貼り付けた図である。ここでは、アダプター7の外壁及び整風板16の双方に貼り付けているが、いずれか一方だけに貼り付けてもよい。防音材17は、音楽室やコンサートホールに用いる凹凸のある吸音シートや遮音シートである。
【0045】
ファン吹き出し口10から吹き出されたかご内循環用の空気の風速が上がると、整風板16とアダプター7で発生する騒音が増加する。そのため、防音材17を有することで、騒音をより低減することができる。
【0046】
<第四実施形態>
第四実施形態は、前述した第二実施形態の構造に加え、アダプター締結部12とファン締結部13とに振動を和らげ、防振や防音に効果的であるクッション材を設けたものである。
【0047】
図12は、図9における天井板5にアダプター7を固定しているアダプター締結部12とアダプター7にファン9を固定しているファン締結部13のそれぞれの締結部に、クッション材18を取り付けた図である。クッション材18は、アダプター締結部12、もしくはファン締結部13のいずれか一方に装着してもよい。クッション材18には、例えば、保護や緩衝材等に用いるゴムや金属バネのようなものを用いる。通常、アダプター7上部に設置されたファン9により発生する振動が、アダプター7を介して天井板5に伝わる。締結部にて固定する際、振動や音を吸収するクッション材18を介して取り付けることで、かご1の天井板5への振動の伝播を低減することができる。さらに、ファン9本体からの騒音を発生させにくくする効果もある。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、そのほかの様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0049】
1…エレベータのかご、2…床板、3…側板、4…かごドア、5…天井板、6…天井板吹き出し口、7…アダプター、7A,7B,7C,7D…側面、7E…斜面、7F…上面、7G,7H…取り付け面、8…ファン吹き出し口接続部、9…ファン、10…ファン吹き出し口、11…凸部、12…アダプター締結部、13…ファン締結部、14…ルーバー、15…視線、16…整風板、17…防音材、18…クッション材
【要約】      (修正有)
【課題】空調ファンを設けるためのかご上のスペースをできるだけコンパクトに収め、エネルギーの損失を有効に抑制しつつ、かご内からファンが直接視界に入りにくい意匠的に優れたエレベータかごを提供する。
【解決手段】エレベータのかごは天井板5と天井板よりも上部に位置し、風を発生させるファン9とファンに設けられ、発生させた風を送り出す孔である第一の吹き出し口と天井板に設けられ発生させた風をかご内に送り込む孔である第二の吹き出し口と、ファンと天井板の間に位置し、第二の吹き出し口の上に設けられ第一の吹き出し口から流れてきた風をかご内へと導くアダプター7とを備え、アダプターは天井板に対してファンを傾斜して取り付けるための斜面と、斜面に設けられ、第一の吹き出し口と接続され第一の吹き出し口から送り込まれる風を流す孔である接続部と、を有し、第一の吹き出し口と第二の吹き出し口とは投影面上重ならない位置に存在する。
【選択図】図7
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12