(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6818981
(24)【登録日】2021年1月6日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】広角レンズ、撮像装置及び無人機
(51)【国際特許分類】
G02B 13/04 20060101AFI20210114BHJP
G02B 13/18 20060101ALI20210114BHJP
G02B 7/02 20210101ALI20210114BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20210114BHJP
【FI】
G02B13/04 D
G02B13/18
G02B7/02 H
G02B7/02 Z
G03B15/00 U
【請求項の数】19
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-542370(P2019-542370)
(86)(22)【出願日】2018年1月26日
(65)【公表番号】特表2020-508481(P2020-508481A)
(43)【公表日】2020年3月19日
(86)【国際出願番号】CN2018074334
(87)【国際公開番号】WO2019144382
(87)【国際公開日】20190801
【審査請求日】2019年8月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】513068816
【氏名又は名称】エスゼット ディージェイアイ テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SZ DJI TECHNOLOGY CO.,LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ユアン
【審査官】
下村 一石
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2011/148822(WO,A1)
【文献】
特開2014−102291(JP,A)
【文献】
中国実用新案第204855918(CN,U)
【文献】
中国特許出願公開第106291886(CN,A)
【文献】
国際公開第2012/176667(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00−17/08
G02B21/02−21/04
G02B25/00−25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
広角レンズであって、物体側から像側まで順に第1レンズ群と第2レンズ群からなり、前記第1レンズ群は、物体側から像側まで順に、
保護用レンズと、
物体側の面が凸面であり且つ像側の面が凹面である、負の屈折力を有する第1レンズと、
物体側の面が凸面であり且つ像側の面が凹面である、負の屈折力を有する第2レンズと、
物体側の面及び像側の面がいずれも凸面である、正の屈折力を有する第3レンズと、からなり、
前記第2レンズ群は、物体側から像側まで順に、
物体側の面が平面であり且つ像側の面が凸面である、正の屈折力を有する第4レンズと、
物体側の面及び像側の面がいずれも凸面である、正の屈折力を有する第5レンズと、
物体側の面及び像側の面がいずれも凹面である、負の屈折力を有する第6レンズと、
物体側の面及び像側の面がいずれも凸面である、正の屈折力を有する第7レンズと、からなり、
前記広角レンズは、
H2/G2R2<1.8という関係式を満たし、式中、H2が前記第1レンズの像側の面の口径であり、G2R2が前記第1レンズの像側の面の曲率半径であり、
前記広角レンズは、
G2R1≧45と10≧G2R1/G2R2≧7という関係式を満たし、式中、G2R1が前記第1レンズの物体側の面の曲率半径であり、G2R2が前記第1レンズの像側の面の曲率半径である広角レンズ。
【請求項2】
前記広角レンズは、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群の間に設置される絞りを含む請求項1に記載の広角レンズ。
【請求項3】
前記絞りは前記第4レンズの物体側の面に接着される請求項2に記載の広角レンズ。
【請求項4】
前記広角レンズは、
0.02≧Φ1+Φ2≧−0.02という関係式を満たし、式中、Φ1が前記第1レンズ群の焦点屈折力であり、Φ2が前記第2レンズ群の焦点屈折力である請求項1〜3のいずれか一項に記載の広角レンズ。
【請求項5】
前記保護用レンズの物体側の面と像側の面がいずれも平面である請求項1〜4のいずれか一項に記載の広角レンズ。
【請求項6】
前記広角レンズは、
H1<23mmという関係式を満たし、H1が前記保護用レンズの物体側の面の口径である請求項1〜5のいずれか一項に記載の広角レンズ。
【請求項7】
広角レンズであって、物体側から像側まで順に第1レンズ群と第2レンズ群からなり、前記第1レンズ群は、物体側から像側まで順に、
物体側の面が凸面であり且つ像側の面が凹面である、負の屈折力を有する第1レンズと、
物体側の面が凸面であり且つ像側の面が凹面である、負の屈折力を有する第2レンズと、
物体側の面及び像側の面がいずれも凸面である、正の屈折力を有する第3レンズと、からなり、
前記第2レンズ群は、物体側から像側まで順に、
物体側の面が平面であり且つ像側の面が凸面である、正の屈折力を有する第4レンズと、
物体側の面及び像側の面がいずれも凸面である、正の屈折力を有する第5レンズと、
物体側の面及び像側の面がいずれも凹面である、負の屈折力を有する第6レンズと、
物体側の面及び像側の面がいずれも凸面である、正の屈折力を有する第7レンズと、からなり、
前記広角レンズは、
H2/G2R2<1.8という関係式を満たし、式中、H2が前記第1レンズの像側の面の口径であり、G2R2が前記第1レンズの像側の面の曲率半径であり、
前記広角レンズは、
y=2×f×tan(θ/2)及びf/2y≦0.35という関係式を満たし、式中、fが前記広角レンズの焦点距離であり、θが前記広角レンズの入射角度であり、yが前記広角レンズの像高である広角レンズ。
【請求項8】
広角レンズであって、物体側から像側まで順に第1レンズ群と第2レンズ群からなり、前記第1レンズ群は、物体側から像側まで順に、
物体側の面が凸面であり且つ像側の面が凹面である、負の屈折力を有する第1レンズと、
物体側の面が凸面であり且つ像側の面が凹面である、負の屈折力を有する第2レンズと、
物体側の面及び像側の面がいずれも凸面である、正の屈折力を有する第3レンズと、からなり、
前記第2レンズ群は、物体側から像側まで順に、
物体側の面が平面であり且つ像側の面が凸面である、正の屈折力を有する第4レンズと、
物体側の面及び像側の面がいずれも凸面である、正の屈折力を有する第5レンズと、
物体側の面及び像側の面がいずれも凹面である、負の屈折力を有する第6レンズと、
物体側の面及び像側の面がいずれも凸面である、正の屈折力を有する第7レンズと、からなり、
前記広角レンズは、
H2/G2R2<1.8という関係式を満たし、式中、H2が前記第1レンズの像側の面の口径であり、G2R2が前記第1レンズの像側の面の曲率半径であり、
前記広角レンズは、
1.5≧G2R2/G3R1≧1.0という関係式を満たし、式中、G2R2が前記第1レンズの像側の面の曲率半径であり、G3R1が前記第2レンズの物体側の面の曲率半径である広角レンズ。
【請求項9】
広角レンズであって、物体側から像側まで順に第1レンズ群と第2レンズ群からなり、前記第1レンズ群は、物体側から像側まで順に、
保護用レンズと、
物体側の面が凸面であり且つ像側の面が凹面である、負の屈折力を有する第1レンズと、
物体側の面が凸面であり且つ像側の面が凹面である、負の屈折力を有する第2レンズと、
物体側の面及び像側の面がいずれも凸面である、正の屈折力を有する第3レンズと、からなり、
前記第2レンズ群は、物体側から像側まで順に、
物体側の面が平面であり且つ像側の面が凸面である、正の屈折力を有する第4レンズと、
物体側の面及び像側の面がいずれも凸面である、正の屈折力を有する第5レンズと、
物体側の面及び像側の面がいずれも凹面である、負の屈折力を有する第6レンズと、
物体側の面及び像側の面がいずれも凸面である、正の屈折力を有する第7レンズと、からなり、
前記広角レンズは、
H2/G2R2<1.8という関係式を満たし、式中、H2が前記第1レンズの像側の面の口径であり、G2R2が前記第1レンズの像側の面の曲率半径であり、
前記広角レンズは、
y=2×f×tan(θ/2)及びf/2y≦0.35という関係式を満たし、式中、fが前記広角レンズの焦点距離であり、θが前記広角レンズの入射角度であり、yが前記広角レンズの像高である広角レンズ。
【請求項10】
広角レンズであって、物体側から像側まで順に第1レンズ群と第2レンズ群からなり、前記第1レンズ群は、物体側から像側まで順に、
保護用レンズと
物体側の面が凸面であり且つ像側の面が凹面である、負の屈折力を有する第1レンズと、
物体側の面が凸面であり且つ像側の面が凹面である、負の屈折力を有する第2レンズと、
物体側の面及び像側の面がいずれも凸面である、正の屈折力を有する第3レンズと、からなり、
前記第2レンズ群は、物体側から像側まで順に、
物体側の面が平面であり且つ像側の面が凸面である、正の屈折力を有する第4レンズと、
物体側の面及び像側の面がいずれも凸面である、正の屈折力を有する第5レンズと、
物体側の面及び像側の面がいずれも凹面である、負の屈折力を有する第6レンズと、
物体側の面及び像側の面がいずれも凸面である、正の屈折力を有する第7レンズと、からなり、
前記広角レンズは、
H2/G2R2<1.8という関係式を満たし、式中、H2が前記第1レンズの像側の面の口径であり、G2R2が前記第1レンズの像側の面の曲率半径であり、
前記広角レンズは、
1.5≧G2R2/G3R1≧1.0という関係式を満たし、式中、G2R2が前記第1レンズの像側の面の曲率半径であり、G3R1が前記第2レンズの物体側の面の曲率半径である広角レンズ。
【請求項11】
前記保護用レンズの物体側の面と像側の面がいずれも平面である請求項9または10に記載の広角レンズ。
【請求項12】
前記広角レンズは、
H1<23mmという関係式を満たし、H1が前記保護用レンズの物体側の面の口径である請求項9から11のいずれか一項に記載の広角レンズ。
【請求項13】
前記広角レンズは、
1.5≧G2R2/G3R1≧1.0という関係式を満たし、式中、G2R2が前記第1レンズの像側の面の曲率半径であり、G3R1が前記第2レンズの物体側の面の曲率半径である請求項1〜12のいずれか一項に記載の広角レンズ。
【請求項14】
前記第5レンズと前記第6レンズは接合レンズである請求項1〜13のいずれか一項に記載の広角レンズ。
【請求項15】
前記第2レンズと前記第3レンズの物体側の面及び像側の面がいずれも非球面である請求項1〜14のいずれか一項に記載の広角レンズ。
【請求項16】
前記第7レンズの物体側の面及び像側の面がいずれも非球面である請求項1〜15のいずれか一項に記載の広角レンズ。
【請求項17】
撮像装置であって、前記広角レンズの像側に設置されるイメージセンサと請求項1〜16のいずれか一項に記載の広角レンズを含む撮像装置。
【請求項18】
無人機であって、本体と前記本体に取り付けられる請求項17に記載の撮像装置を含む無人機。
【請求項19】
前記無人機は前記本体に取り付けられる雲台を含み、前記撮像装置は前記雲台に取り付けられる請求項18に記載の無人機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学イメージング技術分野に関し、特に広角レンズ、撮像装置及び無人機に関する。
【背景技術】
【0002】
科学技術 の発展に伴い、人々は、撮影に対する要求が益々高くなっている。広角レンズは視野が広く、被写界深度が長く、日常的な撮影や一般的な風景撮影に用いることができ、人々に人気がある。しかし、強い光の環境下で、入射光により大量の迷光反射をもたらすため、広角レンズの解像力がよくない。また、外側レンズの像側の面の周辺と中心部にはコーティングの均一性問題が存在するため、広角レンズの安定性が悪くない。
【発明の概要】
【0003】
本発明の実施形態は広角レンズ、撮像装置及び無人機を提供する。
【0004】
本発明の実施形態に係る広角レンズは、物体側から像側まで順に、第1レンズ群と、第2レンズ群とを含み、前記第1レンズ群は、物体側から像側まで順に、
物体側面が凸面であり且つ像側面が凹面である、負の屈折力を有する第1レンズと、
物体側面が凸面であり且つ像側面が凹面である、負の屈折力を有する第2レンズと、
物体側面及び像側面がいずれも凸面である、正の屈折力を有する第3レンズと、を含み、
前記第2レンズ群は、物体側から像側まで順に、
物体側面が平面であり且つ像側面が凸面である、正の屈折力を有する第4レンズと、
物体側面及び像側面がいずれも凸面である、正の屈折力を有する第5レンズと、
物体側面及び像側面がいずれも凹面である、負の屈折力を有する第6レンズと、
物体側面及び像側面がいずれも凸面である、正の屈折力を有する第7レンズと、
前記広角レンズは、
H2/G2R2<1.8という関係式を満たし、式中、H2が前記第1レンズの像側面の口径であり、G2R2が前記第1レンズの像側面の曲率半径である。
【0005】
本発明の実施形態の広角レンズは、上記関係式を満たし、強い光の環境下で、入射光による迷光反射を減少させ、広角レンズの解像度を向上させることに役立ち、また、第1レンズの像側の面のコーティングの均一性問題を改善することに役立ち、それによって広角レンズの安定性を向上させることに役立つ。
【0006】
本発明の実施形態に係る撮像装置は、イメージセンサと上記実施形態に記載の広角レンズとを含み、前記イメージセンサは前記広角レンズの像側に設置される。
【0007】
本発明の実施形態の撮像装置では、広角レンズは関係式H2/G2R2<1.8を満たし、強い光の環境下で、入射光による迷光反射を減少させ、広角レンズの解像度を向上させることに役立ち、また、第1レンズの像側の面のコーティングの均一性問題を改善することに役立ち、それによって広角レンズの安定性を向上させることに役立つ。
【0008】
本発明の実施形態に係る無人機は、上記実施形態に記載の撮像装置と本体とを含み、前記撮像装置は前記本体に取り付けられる。
【0009】
本発明の実施形態に係る無人機では、撮像装置の広角レンズは関係式H2/G2R2<1.8を満たし、強い光の環境下で、入射光による迷光反射を減少させ、広角レンズの解像度を向上させることに役立ち、また、第1レンズの像側の面のコーティングの均一性問題を改善することに役立ち、それによって広角レンズの安定性を向上させることに役立つ。
【0010】
本発明のさらなる態様及び利点は以下の説明に部分的に記載され、その一部を以下の説明において明確にし、又は本発明の実施により理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明の上記及び/又はさらなる態様および利点は、以下の図面による実施形態の説明から明らかになり、理解されやすくなる。
【
図1】本発明の実施形態に係る広角レンズの構成図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る広角レンズの軸方向収差の分布図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る広角レンズの像面湾曲図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る広角レンズのひずみ図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る広角レンズの相対的照度の分布図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る広角レンズの倍率色収差の分布図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る広角レンズの温度25℃時ののデフォーカスMTF表現を示す図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る広角レンズの温度−40℃時のデフォーカスMTF表現を示す図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る広角レンズの温度85℃時ののデフォーカスMTF表現を示す図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る撮像装置の構成模式図である。
【
図11】本発明の実施形態に係る無人機の構成模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明し、前記実施形態の実例が図面において示され、同一又は類似する番号は、常に、同一又は類似する部品、或いは、同一又は類似する機能を有する部品を示す。以下、図面を参照しながら説明される実施形態は例示的なものであり、本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0013】
本発明の説明において、「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」などの用語が示す方位又は位置関係は、図面に示される方位又は位置関係に基づいて、本発明を容易に、又は簡単に説明するためのものに過ぎず、言われる装置又は部品が特定の方位にあり、特定の方位において構造され操作されると指示し又は暗示するものではないため、本発明を限定するものではない。更に、「第1」、「第2」という用語は説明するためのものに過ぎず、相対的な重要性を示しもしくは暗示し、或いは、示される技術的特徴の数を暗示的に示すものと解釈されべきではない。そこで、「第1」、「第2」を定義する特徴は一つ又はより多くの前記特徴を含むことを明示又は暗示するものである。本発明の説明において、別途に明確且つ具体的な限定がない限り、「複数」とは、二つ以上を意味する。
【0014】
本発明の説明において、別途に明確な規定と限定がない限り、「取り付け」、「つなぐ」、「接続」という用語の意味は広く理解されるべきであり、例えば、固定接続や、着脱可能な接続や、或いは一体的な接続でも可能である。機械的な接続や、電気的な接続であってもよい。直接的に接続することや、中間媒体を介して間接的に接続することや、2つの部品の内部が連通することや、或いは、2つの部品の間に相互の作用関係があることも可能である。当業者にとって、具体的な場合によって上記用語の本発明において具体的な意味を理解することができる。
【0015】
図1に示すように、本発明の実施形態の広角レンズ10は、物体側から像側まで順に第1レンズ群12と、第2レンズ群14とを含む。第1レンズ群12は物体側から像側まで順に、
第1レンズL2の物体側の面S3が凸面であり且つ像側の面S4が凹面である、負の屈折力を有する第1レンズL2と、
第2レンズL3の物体側の面S5が凸面であり且つ像側の面S6が凹面である、負の屈折力を有する第2レンズL3と、
第3レンズL4の物体側の面S7及び像側の面S8がいずれも凸面である、正の屈折力を有する第3レンズL4と、を含み、
第2レンズ群14は物体側から像側まで順に、
第4レンズL5の物体側の面S10が平面であり且つ像側の面S11が凸面である、正の屈折力を有する第4レンズL5と、
第5レンズL6の物体側の面S12及び像側の面S13がいずれも凸面である、正の屈折力を有する第5レンズL6と、
第6レンズL7の物体側の面S14及び像側の面S15がいずれも凹面である、負の屈折力を有する第6レンズL7と、
第7レンズL8の物体側の面S16及び像側の面S17がいずれも凸面である、正の屈折力を有する第7レンズL8と、を含み、
広角レンズ10は、
H2/G2R2<1.8という関係式を満たし、式中、H2が第1レンズL2の像側の面S4の口径であり、G2R2が第1レンズL2の像側の面S4の曲率半径である。
【0016】
本発明の実施形態の広角レンズ10は、上記関係式を満たし、強い光の環境下で、入射光による迷光反射を減少させ、広角レンズ10の解像度を向上させることに役立ち、また、第1レンズL2の像側の面S4のコーティングの均一性問題を改善することに役立ち、それによって広角レンズ10の安定性を向上させることに役立つ。
【0017】
いくつかの実施形態において、広角レンズ10は絞りSTOを含み、絞りSTOは第1レンズ群12と第2レンズ群14との間に設置される。絞りSTOはレンズを通過する光束の強さを調節するために用いられることを理解されたい。
【0018】
いくつかのの実施形態において、絞りSTOは第4レンズL5の物体側の面S10に接着される。
【0019】
第4レンズL5の物体側の面S10が平面であるため、絞りSTOを遮光紙に製造するように第4レンズL5の物体側の面S10に接着されやすくなり、それによって絞りSTOの光反射によるゴーストの発生を防止することを理解されたい。
【0020】
いくつかの実施形態において、広角レンズ10は、0.02≧Φ1+Φ2≧−0.02という関係式を満たし、Φ1が第1レンズ群12の焦点屈折力であり、Φ2が第2レンズ群14の焦点屈折力である。
すなわち、Φ1+Φ2は[−0.02、0.02]範囲内の任意の値であってもよく、例えば、該値は−0.02、0.02又は−0.02から0.02の間の任意の数値であってもよい。
【0021】
上記関係式を満たす広角レンズ10は、高温又は低温により広角レンズ10焦点のオフセット量に与えた影響を減少させることに役立つ。
【0022】
いくつかの実施形態において、第1レンズ群12は保護用レンズL1を含み、保護用レンズL1は第1レンズL2の物体側に設置される。
【0023】
保護用レンズL1は耐磨耗性と耐傷性があり、レンズを保護するために用いられ、塵埃によるレンズへの浸食を防止することで、イメージング効果に影響を与えることを回避できることを理解されたい。保護用レンズL1はガラスレンズであってもよい。レンズL2からL8はプラスチックレンズであってもよい。
図1に示すような実施形態において、広角レンズ10は更に、ガラスL9を使用したイメージセンサを含む。
【0024】
いくつかの実施形態において、保護用レンズL1の物体側の面S1と像側の面S2がいずれも平面である。従って、保護用レンズL1により広角レンズ10のイメージングに影響を与えることを減少させる。
【0025】
いくつかの実施形態において、広角レンズ10は、H1<23mmという関係式を満たし、式中、H1が保護用レンズL1の物体側の面S1の口径である。上記関係式を満たす広角レンズ10は、外観の小型化に役立つ。
【0026】
いくつかの実施形態において、広角レンズ10は更に、光学フィルターを含む。光学フィルターは第7レンズL8の像側に設置される。1の実施形態において、広角レンズ1の実施形態において、広角レン10はイメージングに用いられる場合、被写体OBJから発する又は反射される光線は物体側の方向から広角レンズ10に入り、順に保護用レンズL1、第1レンズL2、第2レンズL3、第3レンズL4、第4レンズL5、第5レンズL6、第6レンズL7、第7レンズL8及び光学フィルターを通過し、最終的に撮像面に集中される。
【0027】
いくつかの実施形態において、広角レンズ10は、G2R1≧45と10≧G2R1/G2R2≧7という関係式を満たし、式中、G2R1が第1レンズL2の物体側の面S3の曲率半径であり、G2R2が第1レンズL2の像側の面S4の曲率半径である。
【0028】
具体的に、いくつかの例において、G2R1の値は45、46、50、52、55、60、70又はその他の数値であってもよく、G2R1/G2R2は7、10、又は7から10までの間の任意の数値であってもよい。
【0029】
上記関係式を満たす広角レンズ10は、光線が大角度で入射する時、第1レンズL2の物体側の面S3と保護用レンズL1の平面反射によるゴーストエネルギーの強度を減少させることに役立ち。
【0030】
いくつかの実施形態において、広角レンズ10は、y=2×f×tan(θ/2)及びf/2y≦0.35という関係式を満たし、式中、fが広角レンズ10の焦点距離であり、θが広角レンズ10の入射角度であり、yが広角レンズ10の像高である。
【0031】
具体的に、いくつかの例において、f/2yの値は−0.66、−0.38、0.12、0.26、0.35又はその他の数値であってもよい。
【0032】
上記関係式を満たす広角レンズ10により、立体撮影周辺の景物の圧縮比が更に小さく、周辺視野の情報係数が増大する。従って、画像周辺のひずみを補正する時、画素の損失が少なく、画質の向上に役立つ。
【0033】
いくつかの実施形態において、広角レンズ10は、1.5≧G2R2/G3R1≧1.0という関係式を満たし、式中、G2R2が第1レンズL2の像側の面S4の曲率半径であり、G3R1が第2レンズL3の物体側の面S5の曲率半径である。
【0034】
すなわち、G2R2/G3R1の値は1.0、1.5、又は1.0から1.5の間にある任意の数値であってもよい。
【0035】
上記関係式を満たす広角レンズ10、逆光条件下で、迷光の強度を減少させることに役立つ。
【0036】
いくつかの実施形態において、第5レンズL6と第6レンズL7は接合レンズである。
【0037】
理解すべきことは、第5レンズL6の像側の面S13と第6レンズL7の物体側の面S14は一体に接着されることである。
【0038】
いくつかの実施形態において、第2レンズL3の物体側の面S5及び像側の面S6がいずれも非球面であり、第3レンズL4の物体側の面S7及び像側の面S8がいずれも非球面である。
【0039】
従って、軸外収差を改善して立体射影のひずみを低減させることに役立つ。
【0040】
いくつかの実施形態において、第7レンズL8の物体側の面S16及び像側の面S17がいずれも非球面である。
【0041】
従って、軸外収差を改善して光束の射出角度を減少させることに役立ち、また広角レンズ10をイメージセンサに更に良くマッチングさせることができる。
【0042】
非球面の形状は式
【数1】
により決定され、
式中、hが非球面上の任意のの点から光軸までの高さであり、cが頂点の曲率であり、kが円錐形定数であり、Aiは非球面の第i−th次の補正係数である。
【0043】
図1から
図9に示すように、本発明の実施形態において、広角レンズ10は下表の条件を満たす。
【0045】
ここで、Rは曲率半径を表し、Dは軸上距離を表し、Nは屈折率を表し、Vはアッベ数を表す。S9は絞りSTOの面を表し、S18とS19はイメージセンサのガラスを使用した面を表し、S20は撮像面を表す。
【0049】
ここで、EFFLは広角レンズ10の有効焦点距離を示し、Hは水平視角を示し、Vは垂直視角を示し、Dは対角線視角を示す。
【0050】
図7から
図9に示すように、本発明の実施形態に係る広角レンズの高温と低温の状況下でのレンズ焦点のオフセット量である。
【0051】
図7は温度が25℃である時、広角レンズ10のバックフォーカスシフトを示す。
図8において、温度が−40℃である時、広角レンズ10のバックフォーカスシフトの変化量は0.005ミリメートルであり、
図9において、温度が85℃である時、広角レンズ10のバックフォーカスシフトの変化量は−0.005ミリメートルであることが分かった。
図7〜
図9において、横座標はフォーカスシフト/ミリメートル(Focus shift in millmeters)を示し、縦座標は光学伝達関数のモジュラス(Modulus of the OTF)を示す。
【0052】
図7から
図9から分かるように、高温と低温の状況下での本発明の実施形態の広角レンズ10の撮像品質が好ましい。
【0053】
図10に示すように、本発明の実施形態の撮像装置100はイメージセンサ20と上記いずれかの実施形態の広角レンズ10を含む。イメージセンサ20は広角レンズ10の像側に設置される。
【0054】
本発明の実施形態の撮像装置100では、広角レンズ10は関係式H2/G2R2<1.8を満たし、強い光の環境下で、入射光による迷光反射を減少させ、広角レンズ10の解像度を向上させることに役立ち、また、第1レンズL2の像側の面S4のコーティングの均一性問題を改善することに役立ち、それによって広角レンズ10の安定性を向上させることに役立つ。
【0055】
具体的に、
図10の実施形態において、撮像装置100は更に、鏡筒30、レンズホルダー40と回路基板50を含み、イメージセンサ20は回路基板50に設置されかつ回路基板50に電気的に接続され、レンズホルダー40は回路基板50に設置され、鏡筒30はレンズホルダー40に接続され、広角レンズ10は鏡筒30に設置される。
【0056】
図11に示すように、本発明の実施形態に係る無人機1000は上記実施形態の撮像装置100と本体200とを含み、撮像装置100は本体200に取り付けられる。
【0057】
本発明の実施形態の無人機1000では、撮像装置の広角レンズ10は関係式H2/G2R2<1.8を満たし、強い光の環境下で、入射光による迷光反射を減少させ、広角レンズ10の解像度を向上させることに役立ち、また、第1レンズL2の像側の面S4のコーティングの均一性問題を改善することに役立ち、それによって広角レンズ10の安定性を向上させることに役立つ。
【0058】
いくつかの実施形態において、無人機1000は雲台300を含む。雲台300は本体200に取り付けられ、撮像装置100は雲台300に取り付けられる。
【0059】
一例において、雲台300は3軸安定化雲台であってもよく、撮像装置は雲台300に取り付けられ、無人機1000が飛行状態で、撮像装置100がより安定な画面を撮影することができるように保証する。
【0060】
本発明において、別途に明確な規定および限定がない限り、第1特徴が第2特徴の「上」又は「下」にあるというのは、第1特徴と第2特徴とが直接的に接触することを含んでもよく、又は第1特徴と第2特徴が直接的に接触しないが中間媒体を介して間接に接触することを含んでもよい。且つ、第1特徴が第2特徴の「上」、「上方」と「上の方」にあるということは、第1特徴が第2特徴の真上と斜め上にあることを含み、又は第1特徴の水平高さが第2特徴より高いことだけを示す。第1特徴が第2特徴の「下」、「下方」と「下面」にあることは第1特徴が第2特徴の直下と斜め下にあることを含み、又は第1特徴の水平高さが第2特徴より低いだけを示す。
【0061】
上記の開示は、本発明の異なる構成を達成するための多くの異なる実施形態又は例を提供する。本発明の開示を簡略化させるために、特定の例の部品および構成を上に述べた。当然ながら、これらは単なる例示に過ぎず、本発明を限定するためのものではない。更に、本発明は、異なる例において、参照番号及び/又は参照アルファベット文字を繰り返したが、このような繰り返しは説明を簡略化して明確させるためのものであり、それ自体は、検討された各種の実施形態及び/又は構成間の関係を示すものでない。更に、本発明は、様々な特定のプロセスと材料の例を提供するが、当業者であれば、その他のプロセスの応用及び/又はその他の材料の適用も想到可能なことを理解するであろう。
【0062】
本明細書の説明において、用語「一実施形態」、「いくつかの実施形態」、「例示的な実施形態」、「例」、「具体的な例」、又は「いくつかの例」などの記載は、実施形態又は例を参照しながら説明される具体的な特徴、構造、材料又は特徴が本発明の少なくともの一実施形態又は例に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語に対する例示的な説明は、必ずしも同じ実施形態又は例を指すものではない。且つ、説明される具体的な特徴、構造、材料又は特徴は、少なくとも1つ又は複数の実施形態又は例において適宜、組み合わせることができる。
【0063】
以上の記載には、本発明の実施形態を示して説明したが、本発明の原理と趣旨から逸脱することなく、これらの実施形態に対して様々な変更、修正、置換及び変形を加えることができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲及びその均等物によって限定されることは、当業者であれば理解するであろう。