(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6818990
(24)【登録日】2021年1月6日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】回転型サンバイザーを備えた帽子
(51)【国際特許分類】
A42B 1/0182 20210101AFI20210114BHJP
【FI】
A42B1/18 K
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-8871(P2017-8871)
(22)【出願日】2017年1月20日
(65)【公開番号】特開2017-222964(P2017-222964A)
(43)【公開日】2017年12月21日
【審査請求日】2019年11月13日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0074512
(32)【優先日】2016年6月15日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517022902
【氏名又は名称】キム,トゥ テ
【氏名又は名称原語表記】KIM, Doo Tae
(74)【代理人】
【識別番号】100115200
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修之
(72)【発明者】
【氏名】キム,トゥ テ
【審査官】
塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3095596(JP,U)
【文献】
韓国公開特許第2002−0096503(KR,A)
【文献】
特開2015−030962(JP,A)
【文献】
米国特許第06173447(US,B1)
【文献】
米国特許第05544361(US,A)
【文献】
特開2015−036113(JP,A)
【文献】
実開平01−087125(JP,U)
【文献】
特開2013−087381(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A42B 1/00−1/24
A42B 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔面部位に入射する紫外線を遮断するために頭に着用されるサンバイザーを備えた帽子であって、
前記頭の周りを取り囲むバンドリングと、前記バンドリングの下端に結合されて前方に伸びた補助バイザーとを含む頭部着用部と;
前記バンドリングの内部に埋め込まれ、前記頭の側部に装着されるように曲がった板状の支持板心材と、前記支持板心材の外面から外側に突出した回動結合棒と、前記回動結合棒から所定の距離で離隔して突出した係合突起とを含む一対の心材部と;
前記紫外線を遮断するように色相を有する透明バイザーと、前記回動結合棒に結合するように前記透明バイザーの両側部に穿孔された回転締結孔と、前記回動結合棒を中心に回転するときに前記係合突起に対応するように穿孔された多数の多段回転孔とを含む透明バイザー部と;
前記回動結合棒に結合された前記回転締結孔の外側部を取り囲み、前記回動結合棒と結合するように中央が穿孔されたバイザー固定部材と;を含んでなり、
前記支持板心材には、前記バンドリングに埋め込まれたとき、前記回動結合棒が所定の高さで突出するように前記回動結合棒の底面を取り囲むとともに上部に突出したバンドリング装着端が備えられ、
前記回動結合棒の外周面には、前記バイザー固定部材が挿合されるように、半径方向内側に段差を有するように形成された固定部材挿合溝が備えられ、
前記透明バイザーには、回転時に前記補助バイザーを越えて下方に過度に回転することを防止するために、内側先端から下方に突出した停止突条が備えられることを特徴とする、回転型サンバイザーを備えた帽子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転型サンバイザーを備えた帽子に係り、より詳しくは、頭に着用されて紫外線を遮断するサンバイザーを多段回転型で備え、下方への過回転を防止する補助バイザーを備え、サンバイザーの回転が容易であり、前記サンバイザーを支持する心材部が頭の一側部に装着されるように構成することにより、長時間の着用にも使用が便利な回転型サンバイザーを備えた帽子に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、太陽光には紫外線が含まれているため、野外活動の際、皮膚に直接照射されて色素沈着、しみ、及び火傷などを引き起こすことになる。したがって、前記太陽光の紫外線を遮断するために、野外活動時にサングラス又はサンキャップなどが多く用いられている。
【0003】
また、前記太陽光の紫外線は野外活動時に目をひどく刺激して事物を識別することができない場合がたびたび発生し、夏期に太陽光に長時間露出される場合、皮膚老化及び皮膚癌など、身体に致命的な損傷を誘発することができる。
【0004】
そして、近来には地球のオゾン層破壊によって地上に照射される紫外線の量が増加するにつれて紫外線による被害を減らすためにサンキャップ又はバイザー帽子を使うことになる。
【0005】
ここで、前記サンキャップは強い日光及び紫外線から着用者の顔面などを保護するために頭に着用するもので、弾力的に折り曲げられたフレームが内蔵されたバンドと、バンドの両端に結合されるバイザーとからなったものであり、そのバイザーの角度調節によって日光を遮断するか風又は雨などを遮断する目的で使われている
【0006】
このようなサンキャップは着用が簡便でありながらも日光とともに紫外線、風、雨などを遮断することができ、多用途に使用可能な効果があるので、一般人に広く普及されているものである。
【0007】
しかし、このようなサンキャップは、着用時にバンドが頭部を強く締め付けて圧迫することによって頭痛を引き起こす問題があり、風及びほこりの遮断のためにバイザーを下げる場合、口や鼻から排出される熱い熱気によってバイザーが曇る問題を解消するために二重バイザーが提案されたこともある。
【0008】
これに係わる従来技術として、大韓民国登録特許第10−1160080号(2012.06.20)には耳掛け型サンキャップが開示されている。
【0009】
前記従来技術は、使用者の耳にかけることができるようになった一対の眼鏡蔓部110;前記眼鏡蔓部110の前方に回転可能にヒンジ結合されるゴーグル部120;及び前記眼鏡蔓部110の前方において回転可能にゴーグル部120に二重ヒンジ結合されるマスク部130;を含み、前記眼鏡蔓部110は、バー状の支持フレーム111の後方端部が半円形に折り曲げられ、前記支持フレーム111の前方端部に円板状のディスク113が一体に形成されたことを特徴とする。
【0010】
ただ、このような従来技術は、バンドに内蔵されたフレームによる頭痛を予防するために前記眼鏡蔓部110を備えているが、前記眼鏡蔓部110によって耳にひんぱんな摩擦が発生して、長時間の着用時に耳の痛症を引き起こす問題点があった。
【0011】
また、このような従来技術は、ゴーグル部120とマスク部130がそれぞれヒンジで結合されるように構成されるため、生産コストが高くなり、前記ゴーグル部120とマスク部130の回動時にひんぱんな故障が発生する問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】大韓民国登録特許第10−1160080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、前記のような従来技術の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、頭を取り囲む頭バンドに内蔵されたフレームが頭に直接接触する接触面を減らすように両側に分離されて構成されるので、フレームの長時間圧迫による頭痛を予防し、紫外線遮断のためにサンバイザーが上下に回動するときに多段で回動するように構成されるので、前記サンバイザーの角度調節が容易である回転型サンバイザーを備えた帽子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するための本発明による回転型サンバイザーを備えた帽子は、顔面部位に入射する紫外線を遮断するために頭に着用されるサンバイザーを備えた帽子であって、前記頭の周りを取り囲むバンドリングと、前記バンドリングの下端に結合されて前方に伸びた補助バイザーとを含む頭部着用部と;前記バンドリングの内部に埋め込まれ、前記頭の側部に装着されるように曲がった板状の支持板心材と、前記支持板心材の外面から外側に突出した回動結合棒と、前記回動結合棒から所定の距離で離隔して突出した係合突起とを含む一対の心材部と;前記紫外線を遮断するように色相を有する透明バイザーと、前記回動結合棒に結合するように前記透明バイザーの両側部に穿孔された回転締結孔と、前記回動結合棒を中心に回転するときに前記係合突起に対応するように穿孔された多数の多段回転孔とを含む透明バイザー部と;前記回動結合棒に結合された前記回転締結孔の外側部を取り囲み、前記回動結合棒と結合するように中央が穿孔されたバイザー固定部材と;を含んでなることを特徴とする。
【0015】
前記支持板心材には、前記バンドリングに埋め込まれたとき、前記回動結合棒が所定の高さで突出するように前記回動結合棒の底面を取り囲むとともに上部に突出したバンドリング装着端が備えられることを特徴とする。
【0016】
前記回動結合棒の外周面には、前記バイザー固定部材が挿合されるように、半径方向内側に段差を有するように形成された固定部材挿合溝が備えられることを特徴とする。
【0017】
前記透明バイザーには、回転時に前記補助バイザーを越えて下方に過度に回転することを防止するために、内側先端から下方に突出した停止突条が備えられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
このように、本発明による回転型サンバイザーを備えた帽子の効果は次のようである。
【0019】
第一、紫外線を遮断するために、頭を取り囲むバンドリングの内部に埋め込まれた回転結合棒に結合されて回転する透明バイザーが多段で回転するように係合突起と多段回転孔を備えることにより、頭に着用するとき、透明バイザーを所定の角度で固定して紫外線を易しく遮断する。
【0020】
第二、前記回転結合棒の外周面に、前記透明バイザーが容易に回転できるように、バンドリング装着端と固定部材挿合溝を備えることにより、前記バンドリングによる回転干渉を防止し、バイザー固定部材の組立を容易にして生産性を向上させる。
【0021】
第三、前記バンドリングの一側下端から前方に伸びた補助バイザーと、透明バイザーの内側先端から下方に突出した停止突条とを備えることにより、前記透明バイザーの過度な回転を防止して使用者に対する着心地を向上させる。
【0022】
第四、前記透明バイザーを回動可能に固定させる心材部と前記心材部の外側に結合されるバイザー固定部材とを備えることにより、前記心材部とバイザー固定部材の結合を容易にして、帽子の生産性を向上させ、人件費を節減する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】従来技術による耳当て型サンキャップの分解斜視図である。
【
図2】本発明による回転型サンバイザーを備えた帽子の斜視図である。
【
図3】本発明による透明バイザー部、心材部及びバイザー固定部材を分解して示した図である。
【
図4】本発明による回転型サンバイザーを備えた帽子の作用を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面に基づいて本発明の好適な実施例をより詳細に説明する。
【0025】
本発明による回転型サンバイザーを備えた帽子は、
図2及び
図3に示したように、顔面部位に入射する紫外線を遮断するために頭に着用されるサンバイザーを備えた帽子であって、前記頭の周りを取り囲むバンドリング11と、前記バンドリング11の一側下端に結合されて前方に伸びた補助バイザー12とを備えた頭部着用部10と;前記バンドリング11の内部に埋め込まれて前記頭の側部に装着されるように曲がった板状の支持板心材21と、前記支持板心材21の外面から外側に突出した回動結合棒22と、前記回動結合棒22から所定の距離で離隔して突出した係合突起23とを備えた一対の心材部20と;前記紫外線を遮断するために色相を有する透明バイザー31と、前記回動結合棒22に挿合されるように前記透明バイザー31の両側部に穿孔された回転締結孔32と、前記回動結合棒22を中心に回転するとき、前記係合突起23と結合するように穿孔された多数の多段回転孔33とを備えた透明バイザー部30と;前記回動結合棒22に結合された前記回転締結孔32の外側部を覆いながら前記回動結合棒22と結合するように中央が穿孔されたバイザー固定部材40とを含んでなる。
【0026】
ここで、前記頭部着用部10は、頭の上部を取り囲むキャップ(図示せず)が前記バンドリング11の上端に結合されることができる。前記バイザー固定部材40の外観は美麗に形成するために丸いテーパー状に仕上げられ、前記回動結合棒22の外側先端は外観のために緩やかな半球状に形成されることが好ましい。
【0027】
そして、前記心材部20は弾性材でなり、頭に加わる締付力が発生しないように短く形成され、着用が便利であり、前記回動結合棒22は前記支持板心材21の外面中央から前方に偏って備えられることにより、前記透明バイザー31の回転時にかかることを防止する。
【0028】
また、前記透明バイザー31は有彩色又は無彩色などの多様な色相を有することができる。
【0029】
一方、前記支持板心材21には、前記バンドリング11に埋め込まれるとき、前記回動結合棒22が所定の高さで突出するように前記回動結合棒22の底面を取り囲むとともに上方に突出したバンドリング装着端21aが備えられる。
【0030】
すなわち、前記バンドリング装着端21aは前記透明バイザー部30の回転締結孔32部位と前記バンドリング11の間で発生する摩擦を最小化して、前記透明バイザー部30が円滑に回転するようにする。
【0031】
そして、前記回動結合棒22の外周面には、前記バイザー固定部材40が挿合されるように半径方向内側に段差をなすように凹設された固定部材挿合溝22aが備えられることにより、前記バイザー固定部材40が外部に離脱することを防止する。
【0032】
一方、前記透明バイザー31は、回転の際、前記補助バイザー12を越えて下方に過度に回転することを防止するために、内側先端から下方に突出した停止突条31aを備えている。ここで、前記停止突条31aは前記透明バイザー31が下方に回転する時に前記補助バイザー12の先端部にかかるようになる。
【0033】
前記のように構成された本発明による回転型サンバイザーを備えた帽子の作用を説明するとつぎのようである。
【0034】
本発明の回転型サンバイザーを備えた帽子は、
図2〜
図4に示したように、顔面部位に入射する紫外線を遮断するために、透明バイザー部30が頭部着用部10に回転可能に結合されるように心材部20とバイザー固定部材40とを備える。
【0035】
ここで、前記心材部20はバンドリング11の内部に埋め込まれた支持板心材21から突出した回動結合棒22と係合突起23とを備え、透明バイザー31は回転締結孔32を介して前記回動結合棒22に結合される。
【0036】
一方、前記透明バイザー31が固定される前記支持板心材21は一般的な帽子に備えられた心材とは違い、短い形態の一対でなることにより、前記支持板心材21で発生する弾性力による頭痛を防止するようになる。
【0037】
そして、透明バイザー部30の多段回転孔33は前記係合突起23に対応するように穿孔され、前記透明バイザー31の上下回動時に前記係合突起23が多段回転孔33にスナップ方式で回転することにより、前記透明バイザー部30が多段で回転し、停止時には所定の角度を維持することができるようにする。
【0038】
また、前記バイザー固定部材40は前記回動結合棒22の外周面に半径方向内側に凹設された固定部材挿合溝22aに挿合されて前記透明バイザー部30を固定させるようになる。すなわち、前記固定部材挿合溝22aは前記バイザー固定部材40が堅く装着されるようにするとともに外部に離脱することを防止するようになる。
【0039】
そして、前記回動結合棒22の底面を取り囲みながら前記支持板心材21から上部に突出したバンドリング装着端21aは縫製加工される前記バンドリング11による干渉を最小化するようになる。すなわち、前記バンドリング装着端21aは前記バンドリング11と透明バイザー31の回転時に干渉を最小化するように外側に突出する。
【0040】
また、前記透明バイザー31の内側先端から下方に突出した停止突条31aは前記バンドリング11の下端から前方に伸びた補助バイザー12にかかるようになる。ここで、前記補助バイザー12は一般的な帽子のバイザーの素材と同一の素材からなるが、前方に伸びた長さが相対的に小さく形成されることにより、前記透明バイザー31との回転干渉が発生しないようにするとともに前記透明バイザー31が下方に過度に回転することを防止するようになる。
【0041】
本発明は前述した特定の好適な実施例に限定されなく、請求範囲で請求する本発明の要旨を逸脱しない範疇内で本発明が属する当該技術分野で通常の知識を有する者であれば誰でも多様な変形実施が可能であり、そのような変更は請求範囲記載の範囲内にあるものであるというのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0042】
10 頭部着用部
11 バンドリング
12 補助バイザー
20 心材部
21 支持板心材
21a バンドリング装着端
22 回動結合棒
22a 固定部材挿合溝
23 係合突起
30 透明バイザー部
31 透明バイザー
31a 停止突条
32 回転締結孔
33 多段回転孔
40 バイザー固定部材