(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
円筒状の側壁と、前記側壁の下端に設けられた前記側壁より外周径の大きい円筒状の台座部と、前記台座部の下端縁から外方に延伸して設けられた円盤状のフランジ部とを有するスパウトと、
前記スパウトの上端から取り付けられるキャップとを含み、
前記台座部の外周面に、全周にわたる溝状の第1の肉盗み部が形成され、
前記台座部の下端面に、前記第1の肉盗み部と同心円状に設けられた溝状の第2の肉盗み部が形成され、
前記第1の肉盗み部は、前記第2の肉盗み部よりも前記台座部の外周側に形成され、
前記第1の肉盗み部の下端は、前記第2の肉盗み部の上端よりも下方に位置するように形成され、
前記第1の肉盗み部と前記第2の肉盗み部との間の、前記フランジ部の上面より上方に、前記フランジ部より厚みが薄い壁が形成されている、注出口栓。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態に係る包装容器及び注出口栓について、図を参照して説明する。なお、各実施形態において、同一または対応する構成に、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0013】
<第1の実施形態>
(包装容器)
図1に、第1の実施形態に係る包装容器1の斜視図を示す。包装容器1は、シート材を加工したブランク110を箱型に折曲げ、端部を重ね合わせてシールして形成される容器本体100と、注出口栓2とを備える。注出口栓2は、スパウト3とキャップ4とを備える。容器本体100は、一例として、正立時に上部となる頂部101と、側面となる胴部102と、下部となる底部103とを含み、頂部101は、2つの屋根板106(106a、106b)と、屋根板106の間に折込まれる折込み板107および折返し板108とを含む。屋根板106aに、円形の注出孔114が形成される。注出口栓2は注出孔114に取付けられる。胴部102を形成する4枚の側面板111に、一例として、容器本体100を正立させた際の左右方向である幅方向に、破断強度を弱化させた脆弱部105が胴部102を一周するように形成される。
【0014】
(注出口栓)
図2Aに、第1の実施形態に係るスパウト3とキャップ4とを含む注出口栓2の拡大図を含む断面図を示し、
図2Bに、スパウト3を下方から見た平面図を示し、
図2Cに、
図2AのB−B’線で切断したスパウト3の断面図を示す。なお、注出口栓2の説明では、便宜上、
図2Aの紙面上下方向を上下と定める。また、
図2Aは、注出口栓2を
図2Bに示すA−A’線で切断した断面である。
【0015】
スパウト3は、円筒状の側壁部11と、側壁部11の下端に設けられた側壁部11より外周径の大きい円筒状の台座部12と、台座部12の下端縁から外方に延伸して設けられた円盤状のフランジ部13とを備える。スパウト3は、一例として、フランジ部13の側壁部11側の面が、容器本体100の屋根板106a内面に超音波溶着されることによって取り付けられる。
【0016】
側壁部11の外周面には、上端側から、キャップ4の内ネジ23と螺合する外ネジ14と、円周方向にわたり突出した凸部15とが設けられている。側壁部11の内周面に、上端側と下端側とを閉塞する円板状の隔壁17が、隔壁17外周縁の板厚を薄くして形成したハーフカット18を介して設けられる。隔壁17に、支柱19を介してプルリング20が設けられている。
【0017】
台座部12の外周面に、全周にわたる溝状の第1の肉盗み部16が形成されている。また、台座部12の下端面に、第1の肉盗み部16と同心円状に設けられた溝状の第2の肉盗み部24が形成されている。
図2Aに示すように、第1の肉盗み部16は、第2の肉盗み部24よりも台座部12の外周側に形成され、第1の肉盗み部16の下端は、第2の肉盗み部24の上端よりも下方に位置するように形成される。第1の肉盗み部16と第2の肉盗み部24とは壁29により隔てられている。
【0018】
第2の肉盗み部24の断面形状は、例えば、
図2Aに示すように、超音波振動に対する耐性が強い、天面が丸みをおびた逆U字型(ドーム状)に形成できる。第2の肉盗み部24が、超音波振動の隔壁17への伝播を抑制(分散)することで、隔壁17のハーフカット18にクラックが生じることを防ぐことができる。
図2Bに示すように、第2の肉盗み部24に、リブ25が並んで設けられている。リブ25により、超音波振動のエネルギーが一定程度吸収、分散されるため、フランジ部13や第2の肉盗み部24近傍において共振動が抑制され、エネルギーの集中ムラがなくなる。この結果、フランジ部13や側壁部11が波を打ったように変形することを抑制できる。
【0019】
図2Aに示すように、側壁部11の下方に肉厚を大きく形成した凸部15を設けて、キャップ4がスパウト3に螺着された状態で、凸部15がキャップ4の周壁22内側に嵌入するように形成されている。このように凸部15を形成することで、
図2Aの拡大図に示すように、キャップ4をスパウト3に螺着した状態で、凸部15は周壁22の内周面に対向する。なお、本明細書中において、「螺合」とは、キャップ4の内ネジ23とスパウト3の外ネジ14どうしをかみ合わせて、これらを相対的に円周方向に回転させることで両者を嵌合することをいう。また、「キャップ4がスパウト3に螺着された状態」とは、キャップ4とスパウト3との嵌合が進行、完了した状態のことをいう。
【0020】
図2Cに示すように、第1の肉盗み部16の内部に、一例として、第1のリブ27と第2のリブ28とが円周等分8箇所にわたって形成されている。第1のリブ27は、スパウト3の上面視において、金型の合わせ目方向に沿って形成されている。また、第2のリブ28は、スパウト3の上面視において、金型の抜き方向に沿って形成されている。第1のリブ27と第2のリブ28の数及び形状は、これに限定されず、第1の肉盗み部16及び台座部12の強度に応じて適宜設定可能である。
【0021】
図2Bに示すように、リブ25の円周方向外方に、肉厚をリブ25より小さくしたリブである薄厚部26が設けられている。リブ25、薄厚部26の形状を適宜設定することで、側壁部11及び台座部12の強度や剛性を適宜調整可能である。例えば、
図2Aに示すように、薄厚部26上端の台座部12下端からの高さを、壁29の上端から下端までの間に設定することで、注出口栓2の分離の際に壁29に生じる破断をスムーズに薄厚部26に伝えることができるため、後述するスパウト3の破断が容易になる。
【0022】
第1の肉盗み部16の上下方向における幅Aは、フランジ部13の板厚より大きいことが望ましく、例えば、0.60mm以上が好ましい。
図2Aに示すように、第1の肉盗み部16の上下方向における幅を外方に向かって拡がるように形成してもよく、この場合は、幅Aが最も小さくなる場所、すなわち第1の肉盗み部16の最内方における幅を0.60mm以上とすればよい。幅Aをフランジ部13の板厚より大きくすることにより、例えばパーツフィーダーの様に大量のスパウト3がランダムな姿勢で収納される場合に、スパウト3のフランジ部13が他のスパウト3の第1の肉盗み部16に嵌り込み、スパウト3の供給が滞ることを防止できる。
【0023】
また、幅Aを外方に向かって拡がるように形成した場合には、スパウト3を容器本体100に取付けた際に、注出孔114の内周面が壁29に当接しない状態で、屋根板106aが第1の肉盗み部16の上下の壁面の間で挟持されるように設定してもよい。第1の肉盗み部16及び注出孔114をこのように設定することで、スパウト3の取付け時に、スパウト3が注出孔114内において偏心すると、第1の肉盗み部16の上下の壁面と屋根板106aとが接するため、スパウト3の注出孔114内における動きは規制される。したがって、超音波溶着等の振動の発生する方法を用いる場合でも、スパウト3が注出孔114内において偏心した状態で取付けられることを防止できる。
【0024】
壁29の肉厚Bは、0.20mm以上1.00mm以下がよく、特に0.20mm以上0.60mm以下が好ましい。肉厚Bを0.20mm以上にすることで、製造工程におけるピンホールの発生を防ぐことができ、1.00mm以下とすることでスパウト3の分離に必要な荷重が大きくなり過ぎることを防止できる。
【0025】
薄厚部26の円周方向における肉厚Cと第1のリブ27及び第2のリブ28の幅Dとは0.20mm以下が好ましい。肉厚C及び幅Dが0.20mmを超えると、当該箇所の強度が大きくなり過ぎ、注出口栓2の分離が困難になるためである。
【0026】
キャップ4は、円形状の天板21と、天板21の外周縁から垂設された円筒形状の周壁22と、周壁22の内面に形成され、スパウト3の外ネジ14と螺合される内ネジ23とを備える。
【0027】
スパウト3の材質には、低密度ポリエチレン樹脂等を用いることができ、キャップ4の材質には、低密度ポリエチレン樹脂と比較して剛性の高いポリプロピレン樹脂や高密度ポリエチレン樹脂を用いることができる。スパウト3に用いる材質の曲げ弾性率は100MPa以上180MPa以下がよく、特に120MPa以上155MPa以下が好ましい。スパウト3及びキャップ4は、例えば一体成形により製造することができる。
【0028】
(ブランク)
図3に、第1の実施形態に係る容器本体100の素材となるブランクの一例であるブランク110の平面図を示す。ブランク110は、頂部101を構成する屋根板106a、106b、折込み板107および折返し板108と、胴部102を構成する4つの側面板111と、底部103を構成する底面板112と、端部に形成されたシール部113とを有する。ブランク110を
図3に示す一点鎖線にしたがって折曲げ、シール部113を、これと反対側の端部にシールすることでブランク110が箱型に形成される。屋根板106aの中央付近に、注出口栓2を挿入して固定する注出孔114が形成されている。側面板111に、容器本体100を正立させた際の左右方向である幅方向にわたって略全周に線状の脆弱部105が形成される。
【0029】
ブランク110には、紙基材層、バリア層等を積層した公知のシート材を用いることができる。脆弱部105は、例えばブランク110の紙基材層及び/またはバリア層に所定深さで形成された溝状の傷加工部により構成される。傷加工部は、包装容器1の強度を確保できる範囲の深さで形成することができる。傷加工部の形成方法には、例えば刃型を用いた半抜き加工や全抜き加工、レーザー光加工等を用いることができる。脆弱部105は、包装容器1の強度確保のためミシン目状に形成しても良いし、直線状に形成してもよい。
【0030】
ブランク110及び容器本体100はこの形態に限定されない。容器本体100の形態は、ブランクを箱型に折曲げて端部を重ね合わせてシールすることにより形成できれば、直方体形状のブリックタイプ、四面体形状のテトラパック型等の任意の形態を採用でき、これに合わせてブランクの形態も任意の形態を採用できる。また、脆弱部105は形成しなくてもよい。
【0031】
(分離方法)
以下では、第1の実施形態に係る包装容器1に設けた注出口栓2の分離方法の一例である分離方法を説明する。
図4A〜4Dに、注出口栓2の分離方法に係る各工程及び分離の際の容器本体100と注出口栓2との部分拡大断面図を示す。
【0032】
図4Aに、包装容器1を押し潰す工程を示す。本工程において、包装容器1の使用者は、屋根板106の下方に延びる、対向する2つの側面板111を互いに接する方向に押し込むことで、胴部102を押し潰す。押し潰される側面板111に接する2つの側面板111及び折返し板108は、包装容器1の内部方向に折り畳まれる。
【0033】
図4Bに、脆弱部105に沿って、注出口栓2を含む屋根板106を包装容器1から分離する工程を示す。本工程において、使用者は、
図4Bの左に示すように、側面板111の一部を脆弱部105に沿って引裂く。この結果、包装容器1は、
図4Bの右に示すように、胴部102の上部及び屋根板106と胴部102の下部とが別々に分離された状態になる。
【0034】
図4Cに、分離した屋根板106を折曲げる工程を示す。本工程において、使用者は、
図4Cに示すように、屋根部106を、容器本体100を正立させた際の左右中央付近で折曲げる。このとき、屋根板106にできる折れ線は、注出孔114を通過する。この結果、注出孔114に取り付けられているスパウトのフランジ部13の一部も屋根板106と同じ方向に向かって折曲がるように荷重が加わる。なお、屋根板106を折曲げる位置は、形成される折れ線が注出孔114を通過することができればどこでもよいが、屋根板106の左右中央付近では、包装容器1の内部方向に左右から折り畳まれた折返し板108が屋根板106と重ならないため、他の位置よりも容易に折曲げることができる。
【0035】
図4Cに示すように、フランジ部13が折曲げられることで、スパウト3の側壁部11も屋根板106が折曲げられる方向に広がるように変形しようとする。しかしながら、側壁部11には、凸部15が形成されているため、側壁部11が変形を始めるとすぐに、凸部15がキャップ4の周壁22に当接する。この結果、屋根板106の変形にともなう側壁部11の変形は、剛性の高い材質からなるキャップ4の周壁22により規制される。
【0036】
屋根板106をさらに折曲げることによってフランジ部13をさらに折曲げると、壁29が側壁11の中心に向かって湾曲し、壁29に大きな応力が発生する。屋根板106の変形がさらに進み壁29にはたらく応力が一定値を超えると、壁29の少なくとも一部に破断が生じる。破断が生じた後に、さらに屋根板106を折曲げ続ければ、破断は壁29に沿って円周方向に進む。
【0037】
図4Dに、注出口栓2を包装容器1から分離する工程を示す。前工程で壁29に、少なくとも部分的に破断が生じているため、使用者はこれを起点としてわずかな力でスパウト3を切断し、注出口栓2を包装容器1から分離することができる。
【0038】
<第2の実施形態>
(包装容器)
図5に、第2の実施形態に係る包装容器5を示す。包装容器5は、シート材を加工したブランク210を箱型に折曲げ、端部を重ね合わせてシールして形成される容器本体200と、注出口栓2とを備える。包装容器1と包装容器5との相違点は、脆弱部105の形成位置である。容器本体200の屋根板106、折込み板107および折返し板108に、容器本体200の頂部101を一周するように脆弱部105が形成される。
【0039】
図6に、第2の実施形態に係る容器本体200の素材となるブランクの一例であるブランク210の平面図を示す。ブランク110とブランク210との相違点は、脆弱部105の形成位置である。ブランク210の脆弱部105は、容器本体200を正立させた際の左右方向である幅方向にわたって、屋根板106、折込み板107および折返し板108を一周するように形成される。脆弱部105の一部は、注出孔114によって分断されている。すなわち、容器本体200を脆弱部105に沿って折曲げることによってできる折れ線は、注出孔114を通過する。脆弱部105は、その一部が注出孔114によって分断されていれば、容器本体200の上下方向等任意の方向にわたって形成してもよい。
【0040】
(分離方法)
以下では、第2の実施形態に係る包装容器5に設けた注出口栓2の分離方法の一例である分離方法を説明する。
図7A〜7Cに、注出口栓2の分離方法に係る各工程及び分離の際の容器本体200と注出口栓2との部分拡大断面図を示す。
【0041】
図7Aに、包装容器5を押し潰す工程を示す。本工程において、包装容器5の使用者は、屋根板106の下方に延びる、対向する2つの側面板111を互いに接する方向に押し込むことで、胴部102を押し潰す。押し潰される側面板111に接する2つの側面板111及び折返し板108は、包装容器5の内部方向に折り畳まれる。
【0042】
図7Bに、包装容器5を脆弱部105に沿って折曲げる工程を示す。本工程において、使用者は、
図7Bの左に示すように、屋根部106を脆弱部105に沿って折曲げる。このとき、屋根板106にできる折れ線は、注出孔114を通過する。この結果、注出孔114に取り付けられているスパウトのフランジ部13の一部も屋根板106と同じ方向に向かって折曲がるように荷重が加わる。
【0043】
この後、
図7Bの左に示すように、フランジ部13が折曲げられ、壁29の少なくとも一部に破断が生じる。この工程は、第1の実施形態に係る分離方法と同様であるため、説明は省略する。
【0044】
図7Cに、注出口栓2を包装容器5から分離する工程を示す。前工程で壁29に少なくとも部分的に破断が生じているため、使用者はこれを起点としてわずかな力でスパウト3を切断し、注出口栓2を包装容器5から分離することができる。
【0045】
以上の各実施形態において、剛性の高い材質からなるキャップ4を螺着した状態のまま屋根板106を折曲げた場合に、凸部15を周壁22に当接させて側壁部11の変形をキャップ4により規制することができる。この結果、壁29を湾曲させて、当該箇所に効率的に応力を集中させることができる。このため、包装容器1の使用者は、注出口栓2を容易に分離することができる。
【0046】
また、スパウト3の側壁部11に凸部15を設けることで、側壁部11の下端の肉厚を一部厚く形成することができる。このため、側壁部11は十分な剛性を有することができ、溶着時の超音波振動でハーフカット18が破損することを防止できる。また、螺着時の側壁部11の倒れ込み量を減らせるため、オーバーランの発生も防止できる。ここで、オーバーランとは、螺着後のキャップ4に対して過剰なトルクを加えた際に、側壁部11がスパウト3の内方に倒れ込み、キャップ4の内ネジ12が側壁部11の外ネジ14を乗り越えることをいう。
【0047】
また、第1の肉盗み部16を溶着時の超音波振動の伝達経路となるフランジ部13から外れた台座部12に形成したため、フランジ部13に薄肉部を形成する場合と比べて溶着ムラを発生し難くすることができる。
【実施例】
【0048】
実施例1〜3に係る注出口栓を作成し、それぞれを85mm角で容量2リットルの紙基材を含むブランクを用いたゲーブルトップ型の容器本体100に溶着した後、注出口栓の解体性評価、オーバーラントルクの測定、落下破壊試験、寸法測定を行った。各キャップの材質はポリプロピレンとし、各スパウトの材質は低密度ポリエチレンとした。また、キャップ周壁の最大外周径を、キャップ下端部において24.7mmとした。
【0049】
(実施例1)
実施例1として、第1の肉盗み部16にリブを設けない注出口栓1を容器本体100に溶着した包装容器を作成した。溶着条件は、溶着エネルギー:113J、振幅:83%、振動数:30kHz、溶着時間:0.22秒以下とした。
【0050】
(実施例2)
実施例2として、第1の肉盗み部16にリブ27、28を設けた注出口栓1を容器本体100に溶着した包装容器1を作成した。溶着条件は、実施例1と同じとした。
【0051】
(実施例3)
実施例3として、第1の肉盗み部16にリブ27、28を設けた注出口栓1を容器本体100に溶着した包装容器1を作成した。溶着条件は、溶着エネルギー:130J、振幅:89%、振動数:30kHz、溶着時間:0.22秒以下とした。
【0052】
(分離性評価)
実施例1〜3に係る包装容器を各10個準備して、上述の第1の実施形態に係る分離方法により、注出口栓を包装容器から容易に分離できるかどうかの評価を行った。
【0053】
(オーバーラントルクの測定)
各スパウトにキャップ4を螺合させて、オーバーランが発生する際のトルクを測定した。
【0054】
(落下破壊試験1)
包装容器の頂部を下方に向けて、800mmの高さからコンクリート面に最大3回落下させて、注出口栓が破損して内容液が漏れだすかどうかを評価した。
【0055】
(落下破壊試験2)
注出口栓114の形成された屋根板106に接する側面板111を下方に向け、800mmの高さからコンクリート面に最大3回落下させて、注出口栓が破損して内容液が漏れだすかどうかを評価した。
【0056】
各評価結果を表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
分離性評価では、リブ27、28を設けた実施例2、3の分離に要する荷重が実施例1と比較してわずかに大きかったものの、実施例1〜3に係る注出口栓は、容易に包装容器から分離できることが確認できた。
【0059】
また、オーバーラントルクの測定では、リブ27、28を設けない実施例1のオーバーラントルクが実施例2、3と比較してわずかに小さかったものの、実施例1〜3に係る注出口栓は十分なオーバーラントルクを確保でき、オーバーランが発生し難いことが確認できた。
【0060】
また、落下破壊試験では、実施例1に係る注出口栓は、落下試験1、2のどちらも、2回目の落下まで破損は生じなかった。また、実施例2、3に係る注出口栓は、落下試験1、2のどちらも、3回目の落下まで破損が生じなかった。このことから、実施例1〜3に係る注出口栓が十分な強度を備え、特に、リブ27、28を形成することでその効果が顕著であることが確認できた。
【0061】
また、溶着後の注出口栓のフランジ部13の底面から天板21の上面までの高さを測定するとともに、溶着により第1の肉盗み部16に変形が生じていないかを目視で確認した。寸法測定では、実施例1〜3に係る注出口栓のいずれも、規格(18.5mm以下)を満たす高さであった。また、実施例1〜3に係る注出口栓のいずれも、第1の肉盗み部16に変形は確認されなかった。このことから、第1の肉盗み部16を形成した注出口栓を溶着しても、大きな変形は生じないことが確認された。
【0062】
以上説明したように、本発明によれば、十分な剛性を有し、溶着時の超音波振動によっても破損することがなく、包装容器の解体に際して容易に分離が可能な注出口栓及びこれを用いた包装容器を提供することができる。